(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-17
(45)【発行日】2024-12-25
(54)【発明の名称】MMP-9関連状態及び炎症を予防、改善又は治療するための3,6,7-トリメチルルマジンを含む組成物の使用
(51)【国際特許分類】
A61K 31/519 20060101AFI20241218BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20241218BHJP
A61P 1/04 20060101ALI20241218BHJP
A61P 1/00 20060101ALI20241218BHJP
A61P 1/02 20060101ALI20241218BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20241218BHJP
A61P 25/28 20060101ALI20241218BHJP
A61P 9/00 20060101ALI20241218BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20241218BHJP
A61P 19/02 20060101ALI20241218BHJP
A61P 25/18 20060101ALI20241218BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20241218BHJP
A61P 31/04 20060101ALI20241218BHJP
A61K 36/61 20060101ALI20241218BHJP
A61K 35/644 20150101ALI20241218BHJP
A61K 8/49 20060101ALI20241218BHJP
A23L 33/10 20160101ALI20241218BHJP
A23L 2/52 20060101ALI20241218BHJP
【FI】
A61K31/519
A61P43/00 111
A61P1/04
A61P1/00
A61P1/02
A61P25/00
A61P25/28
A61P9/00
A61P35/00
A61P19/02
A61P25/18
A61P29/00
A61P31/04
A61K36/61
A61K35/644
A61K8/49
A23L33/10
A23L2/00 F
A23L2/52
(21)【出願番号】P 2021577968
(86)(22)【出願日】2020-07-03
(86)【国際出願番号】 NZ2020050065
(87)【国際公開番号】W WO2021002763
(87)【国際公開日】2021-01-07
【審査請求日】2023-06-14
(32)【優先日】2019-07-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NZ
(73)【特許権者】
【識別番号】508068722
【氏名又は名称】コンビタ リミテッド
【氏名又は名称原語表記】COMVITA LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ステファン ジョナサン マクドナルド カウンセル
(72)【発明者】
【氏名】ルーメス ケリー
(72)【発明者】
【氏名】リン ビン
(72)【発明者】
【氏名】ソタ ロヒス
(72)【発明者】
【氏名】ブリンブル マーガレット
(72)【発明者】
【氏名】エヴァンス ジャクリーン キャロル
【審査官】田澤 俊樹
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/099612(WO,A1)
【文献】特表2009-507069(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0038945(US,A1)
【文献】Benjamin J. Daniels et al.,"Isolation, Structural Elucidation, and Synthesis of Lepteridine From Manuka (Leptospermum scoparium) Honey",Journal of Agricultural and Food Chemistry,2016年,Vol.64,p.5079-5084,DOI: 10.1021/acs.jafc.6b01596
【文献】Nicole Beitlich et al.,"Fluorescent Pteridine Derivatives as New Markers for the Characterization of Genuine Monofloral New Zealand Manuka (Leptospermum scoparium) Honey",Journal of Agricultural and Food Chemistry,2016年,Vol.64,p.8886-8891,DOI: 10.1021/acs.jafc.6b03984
【文献】Sadia Afrin et al.,"The inhibitory effect of Manuka honey on human colon cancer HCT-116 and LoVo cell growth. Part 2: Induction of oxidative stress, alteration of mitochondrial respiration and glycolysis, and suppression of metastatic ability",Food & Function,2018年,Vol.9,p.2158-2170,DOI: 10.1039/c8fo00165k
【文献】Benjamin A. Minden-Birkenmaier et al.,"The Effect of Manuka Honey on dHL-60 Cytokine, Chemokine, and Matrix-Degrading Enzyme Release under Inflammatory Conditions",Med One,2019年04月25日,Vol.4, e190005,p.1-22,DOI: 10.20900/mo.20190005
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00-33/44
36/61
35/644
8/49
A61P 1/00-43/00
A23L 33/10
2/52
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
炎症、又はMMP-9の阻害によって予防、改善若しくは治療され得る状態を予防、改善又は治療するために用いられる、3,6,7-トリメチルルマジンを含む組成物。
【請求項2】
前記MMP-9の阻害によって予防、改善若しくは治療され得る状態が、MMP-9関連炎症状態である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記MMP-9関連炎症状態が、胃腸管の炎症に関連する、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記MMP-9の阻害によって予防、改善若しくは治療され得る状態が、胃腸炎症性疾患、胃潰瘍、消化性潰瘍、胃炎、MMP関連炎症状態、炎症性腸疾患、クローン病、潰瘍性大腸炎、過敏性腸症候群、消化器疾患、胃食道逆流症、胸焼け、胃酸逆流、ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)感染症、口腔内潰瘍、口内炎、咽頭炎、歯肉炎、食道潰瘍、精神神経疾患、統合失調症、双極性気分障害、神経変性障害、外傷性脳損傷、多発性硬化症、アルツハイマー病、心血管疾患、がん及び関節炎から選択される、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記炎症が、対象の胃腸管に関連する、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記炎症が、胃腸炎症性疾患、胃潰瘍、消化性潰瘍、胃炎、MMP関連炎症状態、炎症性腸疾患、クローン病、潰瘍性大腸炎、過敏性腸症候群、消化器疾患、胃食道逆流症、胸焼け、胃酸逆流、ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)感染症、口腔内潰瘍、口内炎、咽頭炎、歯肉炎、食道潰瘍、精神神経疾患、統合失調症、双極性気分障害、神経変性障害、外傷性脳損傷、多発性硬化症、アルツハイマー病、心血管疾患、がん及び関節炎から選択される状態に関連する、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記3,6,7-トリメチルルマジンの起源が蜂蜜である、請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記蜂蜜が、ネズモドキ属(Leptospermum)に由来する花起源である、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
前記蜂蜜が、ギョリュウバイ(Leptospermum scoparium)、レプトスペルマム・ポリガリフォリウム(Leptospermum polygalifolium)、レプトスペルマム・サブテニュー(Leptospermum subtenue)、及び/又はそれらの組み合わせに由来する花起源である、請求項7又は8に記載の組成物。
【請求項10】
前記3,6,7-トリメチルルマジンが合成品である、請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
更に蜂蜜又は蜂蜜抽出物を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
前記組成物が、2.5μg/mL~1000μg/mLの3,6,7-トリメチルルマジン;又は
2.5μg/mL~80μg/mLの3,6,7-トリメチルルマジン;又は
2.5μg/mL、5μg/mL、10μg/mL、20μg/mL、40μg/mL、50μg/mL、60μg/mL、70μg/mL若しくは80μg/mLの3,6,7-トリメチルルマジン
を含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
前記組成物が、5mg/kg~3000mg/kgの3,6,7-トリメチルルマジン;又は
5mg/kg~80mg/kgの3,6,7-トリメチルルマジン;又は
5mg/kg、10mg/kg、15mg/kg、20mg/kg、25mg/kg、30mg/kg、35mg/kg、40mg/kg、45mg/kg、50mg/kg、55mg/kg、60mg/kg、70mg/kg若しくは80mg/kgの3,6,7-トリメチルルマジン
を含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
3,6,7-トリメチルルマジンを含む前記組成物が、液体製剤、日用消費財、カプセル剤、錠剤、チュアブル錠剤、ジェル、ローション、粉末、坐剤、化粧品配合物、静脈内製剤、筋肉内製剤、皮下製剤、溶液、食品、飲料、栄養補助食品又はスプレーとして調合される、請求項1~13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
前記組成物が、5~3000mg/kgの標準化3,6,7-トリメチルルマジン濃度を有する、請求項1~12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
前記組成物が、5mg/kg~3000mg/kgの標準化3,6,7-トリメチルルマジン濃度を有し、
● 既知の濃度の3,6,7-トリメチルルマジンを有する第1の組成物と、
○ 既知の濃度の3,6,7-トリメチルルマジンを有する少なくとも1つのさらなる組成物;
○ 合成3,6,7-トリメチルルマジン;
○ 単離3,6,7-トリメチルルマジン;、
○ 3,6,7-トリメチルルマジンを含む蜂蜜抽出物、及び/又は
○ ネズモドキ属(Leptospermum)の植物に直接由来する3,6,7-トリメチルルマジン
の1つ又は複数と、を含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項17】
a.蜂蜜を含む第1の組成物を3,6,7-トリメチルルマジン濃度について試験することと、
b.蜂蜜を含む少なくとも1つのさらなる組成物を3,6,7-トリメチルルマジン濃度について試験することと、
c.5mg/kgを超える3,6,7-トリメチルルマジン濃度を有する蜂蜜を含む組成物を選択することと、
d.5mg/kgの3,6,7-トリメチルルマジンを超える3,6,7-トリメチルルマジン濃度を有する蜂蜜を含む、少なくとも1つのさらなる組成物を選択することと、
e.蜂蜜を含む選択された組成物を組み合わせて、少なくとも5~80mg/kgの3,6,7-トリメチルルマジン濃度を有する蜂蜜組成物を形成することと
を含む、抗炎症及び/又はMMP-9阻害活性を有する組成物を作製する方法。
【請求項18】
蜂蜜を含む組成物が、5mg/kg、10mg/kg、15mg/kg、20mg/kg、25mg/kg、30mg/kg、35mg/kg、40mg/kg、45mg/kg、50mg/kg、55mg/kg、60mg/kg、70mg/kg又は80mg/kgを超える3,6,7-トリメチルルマジンの濃度を有する場合に選択される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
a.組成物を3,6,7-トリメチルルマジン濃度について試験することと、
i.前記組成物が、5mg/kgを超える3,6,7-トリメチルルマジン濃度を含有する場合、抗炎症及び/又はMMP-9阻害活性を有するとして同定することと、又は
ii.前記組成物が、5mg/kgよりも低い3,6,7-トリメチルルマジン濃度を含有する場合、それを抗炎症及び/MMP-9阻害活性を有さないものとして同定することと
を含む、抗炎症及び/又はMMP-9阻害活性を有するとして組成物を同定する方法。
【請求項20】
前記組成物が蜂蜜を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
3,6,7-トリメチルルマジンを含む組成物の、炎症、又はMMP-9の阻害によって予防、改善若しくは治療され得る状態を予防、改善又は治療するための医薬の製造のための使用。
【請求項22】
対象の正常な消化をサポート若しくは維持するため、対象の健康な消化をサポート若しくは維持するため、又は対象の一般的な腸の健
康をサポート若しくは維持するために用いられる、3,6,7-トリメチルルマジンを含む組成物。
【請求項23】
3,6,7-トリメチルルマジンを含む前記組成物が、
a.5mg/kgを超える3,6,7-トリメチルルマジン濃度を含有する;
b.抽出物がそれに由来する蜂蜜に天然に存在することが認められる3,6,7-トリメチルルマジンの濃度よりも高い濃度の3,6,7-トリメチルルマジンを含む蜂蜜抽出物を含む;及び/又は
c.合成3,6,7-トリメチルルマジン及び/又は蜂蜜から単離された3,6,7-トリメチルルマジン
を含む、
請求項1又は22に記載の組成物。
【請求項24】
3,6,7-トリメチルルマジンを含む組成物の、対象の正常な消化をサポート若しくは維持するため、対象の健康な消化をサポート若しくは維持するため、又は対象の一般的な腸の健
康をサポート若しくは維持するための医薬の製造のための使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、参照により本明細書に援用されるニュージーランド特許出願第755138号明細書から優先権を派生させる。
【0002】
本発明は、3,6,7-トリメチルルマジンを含む組成物、炎症の予防、改善又は治療、及び/又は炎症に関連する状態の予防、改善又は治療における方法及びその使用に関する。より具体的には、それだけではないが、本発明は、3,6,7-トリメチルルマジンを含む組成物、及び胃腸管の炎症及び/又は胃腸管に関連する炎症状態などのMMP-9関連状態の予防、改善又は治療におけるその使用方法に関する。
【背景技術】
【0003】
免疫系に関連する炎症は有益であり得るが、これは常にそうであるとは限らない。それは特に胃腸系の文脈では、ネガティブな反応又は避けるべき反応と見なされることが多い。
【0004】
炎症は、広範な胃腸障害に関係している。健康な腸では、腸粘膜は、炎症誘発性及び抗炎症性サイトカインと細胞との複雑な均衡によって調節される、制御された応答の状態にある。この均衡の妨害は、免疫/非免疫応答の持続的な活性化に至り、活発な炎症及び組織破壊をもたらし得る。炎症を適切に予防又は解決できないことは、胃潰瘍、炎症性腸疾患(IBD)、クローン病、及び潰瘍性大腸炎をはじめとする、胃腸管のいくつかの疾患の病態形成に関係している。
【0005】
治療の重症度、範囲、及び医学的目標に応じて、炎症状態に対する、スルファサラジン、メサラジン、コルチコステロイド、及びメトトレキサートなどの従来の薬物療法が、主に免疫及び炎症性応答を調節するために使用される。炎症状態に対する現在の医学的アプローチで遭遇する安全性と有効性の双方の限界は、より良好でより安全な代替治療薬の探索を推進し続けている。消費者はまた、より一般的に自分の健康と幸福をサポートする自然な方法を探している。
【0006】
炎症の具体的な原因はまだ多くの病気で特定されていないが、腸粘膜系におけるサイトカイン活性化は、腸内炎症性疾患の炎症を調節するための重要な標的である。
【0007】
胃潰瘍は、別の一般的な炎症関連の胃腸障害である。胃潰瘍は良性粘膜病変であり、粘膜筋板を越えて腸壁に深く浸透し、急性及び慢性の炎症性細胞浸潤に囲まれたクレーターを形成する。多くの研究は、胃潰瘍の主要リスク因子としては、ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)感染症、喫煙、アスピリン/非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)の使用、アルコール乱用、及びストレスが挙げられることを報告している。
【0008】
マトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)は、炎症誘発性効果を示す酵素群である。それらは、炎症における役割を有して疾患に対する炎症反応に関与することが示されており(Stallmach,2000)、MMP-1、MMP-2、及びMMP-9が炎症において重要であることが示されている(Manicone,2008)。
【0009】
MMP-9は、急性及び慢性の胃潰瘍を特異的に制御するゼラチナーゼ型酵素である(Swarnakar et al.,2005)。エタノール及びインドメタシン誘発性胃潰瘍における複数の研究で、MMP-9活性の上昇(最大10倍)が報告されている(Lempinen,Inkinen,Wolff,& Ahonen,2000;Pradeepkumar Singh,Kundu,Ganguly,Mishra,& Swarnakar,2007)。MMP-9は、多くのサイトカイン及びケモカインをプロIL-1β及びIL-8などのより活性な形態にタンパク質分解的にプロセスし得る、重要な炎症促進性酵素の1つである(Van den Steen et al.,2000)。したがって、MMP-9は、細胞外マトリックスの過度の組織分解を防ぐための胃潰瘍の治療における関心の対象である。
【0010】
胃潰瘍の従来の治療法としては、オメプラゾール及びラニチジンなどの医薬品による薬剤管理が挙げられる。このような医薬品は、骨髄抑制及び異常な心調律動などの重篤な副作用を有し得て、高い再発率を有することが知られている。
【0011】
したがって、MMP9関連炎症状態及びその他のMMP-9関連の状態をはじめとする、胃腸炎症及び/又は胃腸炎症に関連する状態の治療で使用するためのその他の抗炎症剤を同定することに関心が持たれている。
【0012】
蜂蜜は、その抗微生物作用で良く知られている。また、当技術分野では、蜂蜜が抗炎症活性を保有することが示唆されているが、その理由は十分に特徴付けられてはいない。本明細書に参照により援用される1つの特許公開、国際公開第2015/030609号パンフレットは、蜂蜜の特定の画分の抗炎症活性を探求している。この公開は、蜂蜜からの低分子量画分が、一般化された抗炎症効果を有し、免疫賦活性効果を有さないことを教示する。それは、具体的な抗炎症作用については触れていない。
【0013】
上記から、胃腸管に関連する炎症状態をはじめとする、炎症状態を治療する代替方法を提供することが有用であることが理解されるであろう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の目的は、胃腸管に関連する炎症状態をはじめとする炎症状態を治療する方法を提供すること、及び/又は前述の問題に対処すること、又は少なくとも公衆に有用な選択肢を提供することである。
【0015】
製品、組成物、方法、及び使用のさらなる態様及び利点は、単なる例として与えられる以下の説明から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本明細書に記載されているのは、3,6,7-トリメチルルマジンを含む組成物、及びMMP-9関連状態、胃腸管の炎症、及び/又は胃腸管に関連する炎症状態を予防、改善又は治療するために、当該組成物を使用する方法である。本発明者らは、蜂蜜由来のプテリジンである3,6,7-トリメチルルマジンが、抗炎症活性及びMMP-9阻害活性を有することを特定した。化合物が単離でき、抗炎症及びMMP-9阻害活性を特徴付けできることは、胃腸管の炎症状態をはじめとする、MMP-9に関連する状態の治療、予防、及び改善を含めた、様々な使用のための薬剤を製造する能力を提供する。
【0017】
第1の特定の態様では、本発明は、3,6,7-トリメチルルマジンを含む組成物をそれを必要とする対象に投与することを含む、対象のMMP-9関連状態を予防、改善又は治療する方法を提供する。
【0018】
第1の態様の一実施形態では、MMP-9関連状態は、胃腸炎症性疾患、胃潰瘍(例えば消化性潰瘍)、胃炎、MMP関連炎症状態、炎症性腸疾患(IBD)、クローン病、潰瘍性大腸炎、過敏性腸症候群(IBS)、消化器疾患、胃食道逆流症(GERD)、胸焼け、胃酸逆流、ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)感染症、口腔内潰瘍、口内炎、咽頭炎、歯肉炎、食道潰瘍、精神神経疾患(統合失調症、双極性気分障害、多発性硬化症など)、神経変性障害(外傷性脳損傷、多発性硬化症、及びアルツハイマー病など)、心血管疾患、がん及び関節炎から選択される。
【0019】
第2の特定の態様では、本発明は、3,6,7-トリメチルルマジンを含む組成物をそれを必要とする対象に投与することを含む、対象のMMP-9関連炎症状態を予防、改善又は治療する方法を提供する。
【0020】
第2の態様の一実施形態では、MMP-9関連炎症状態は、胃腸管の炎症に関連する。別の実施形態では、MMP-9関連炎症状態は、胃腸炎症性疾患、胃潰瘍(例えば消化性潰瘍)、胃炎、MMP関連炎症状態、炎症性腸疾患(IBD)、クローン病、潰瘍性大腸炎、過敏性腸症候群(IBS)、消化器疾患、胃食道逆流症(GERD)、胸焼け、胃酸逆流、ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)感染症、口腔内潰瘍、口内炎、咽頭炎、歯肉炎及び/又は食道潰瘍から選択される。
【0021】
一実施形態では、MMP-9関連炎症状態は、精神神経疾患(統合失調症、双極性気分障害、多発性硬化症など)、神経変性障害(などの外傷性脳損傷、多発性硬化症、及びアルツハイマー病など)、心血管疾患、がん及び関節炎から選択される。
【0022】
第3の特定の態様では、本発明は、3,6,7-トリメチルルマジンを含む組成物をそれを必要とする対象に投与することを含む、対象の炎症を予防、改善又は治療する方法を提供する。
【0023】
第3の特定の態様の一実施形態では、炎症は、対象の胃腸管に関連する。一実施形態では、炎症は、胃腸炎症性疾患、胃潰瘍(例えば消化性潰瘍)、胃炎、MMP関連炎症状態、炎症性腸疾患(IBD)、クローン病、潰瘍性大腸炎、過敏性腸症候群(IBS)、消化器疾患、胃食道逆流症(GERD)、胸焼け、胃酸逆流、ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)感染症、口腔内潰瘍、口内炎、咽頭炎、歯肉炎、食道潰瘍、精神神経疾患(統合失調症、双極性気分障害、多発性硬化症など)、神経変性障害(外傷性脳損傷、多発性硬化症、及びアルツハイマー病など)、心血管疾患、がん及び又は関節炎から選択される状態に関連する。
【0024】
態様1~3の一実施形態では、3,6,7-トリメチルルマジンの起源はネズモドキ属(Leptospermum)である。一実施形態では、3,6,7-トリメチルルマジンは、実質的に、ギョリュウバイ(Leptospermum scoparium)、レプトスペルマム・ポリガリフォリウム(Leptospermum polygalifolium)、レプトスペルマム・サブテニュー(Leptospermum subtenue)、及びそれらの組み合わせを含む群から選択される植物に由来する。一実施形態では、3,6,7-トリメチルルマジンは、ギョリュウバイ(Leptospermum scoparium)に由来する。
【0025】
態様1~3の一実施形態では、3,6,7-トリメチルルマジンの起源は蜂蜜である。
【0026】
一実施形態では、蜂蜜は、実質的に、ネズモドキ属(Leptospermum)に由来する花起源のものである。一実施形態では、蜂蜜は、実質的に、ギョリュウバイ(Leptospermum scoparium)、レプトスペルマム・ポリガリフォリウム(Leptospermum polygalifolium)、レプトスペルマム・サブテニュー(Leptospermum subtenue)、及び/又はそれらの組み合わせに由来する花起源のものである。一実施形態では、蜂蜜は、実質的に、ギョリュウバイ(Leptospermum scoparium)(マヌカとも称される)に由来する花起源のものである。
【0027】
態様1~3の一実施形態では、3,6,7-トリメチルルマジンは、ネズモドキ属(Leptospermum)の植物に直接由来する。一実施形態では、3,6,7-トリメチルルマジンは、ネズモドキ属(Leptospermum)の植物の花、花蜜、根、果実、種子、樹皮、油、葉、木材、茎又はその他の植物材料に直接由来する。一実施形態では、3,6,7-トリメチルルマジンは、実質的に、ギョリュウバイ(Leptospermum scoparium)、レプトスペルマム・ポリガリフォリウム(Leptospermum polygalifolium)、レプトスペルマム・サブテニュー(Leptospermum subtenue)、及びそれらの組み合わせを含む群から選択される植物に由来する。
【0028】
上記の態様の一実施形態では、3,6,7-トリメチルルマジンを含む組成物は、蜂蜜を含む。一実施形態では、3,6,7-トリメチルルマジンを含む組成物は、蜂蜜からなる。
【0029】
上記の態様の一実施形態では、3,6,7-トリメチルルマジンを含む組成物は、蜂蜜抽出物を含む。上記の態様の一実施形態では、3,6,7-トリメチルルマジンを含む組成物は、蜂蜜抽出物を含み、その中では、蜂蜜抽出物は、蜂蜜に天然に存在することが認められた3,6,7-トリメチルルマジンの濃度よりも高い濃度の3,6,7-トリメチルルマジンを含む。一実施形態では、組成物は、蜂蜜抽出物からなり、その中では、蜂蜜抽出物は、蜂蜜に天然に存在することが認められた3,6,7-トリメチルルマジンの濃度よりも高い濃度の3,6,7-トリメチルルマジンを含む。一実施形態では、蜂蜜抽出物は、抽出物がそれに由来する蜂蜜に天然に存在することが認められる3,6,7-トリメチルルマジンの濃度よりも高い濃度の3,6,7-トリメチルルマジンを含む。
【0030】
一実施形態では、抽出物がそれに由来する蜂蜜は、実質的にギョリュウバイ属(Leptospermum)に由来する花起源のものである。一実施形態では、抽出物がそれに由来する蜂蜜は、実質的に、ギョリュウバイ(Leptospermum scoparium)、レプトスペルマム・ポリガリフォリウム(Leptospermum polygalifolium)、レプトスペルマム・サブテニュー(Leptospermum subtenue)、及びそれらの組み合わせから選択される種に由来する花起源のものである。一実施形態では、組成物は蜂蜜をさらに含む。
【0031】
上記の態様の一実施形態では、蜂蜜は、未加工蜂蜜、加熱処理蜂蜜又は低温殺菌蜂蜜である。
【0032】
上記の態様の一実施形態では、組成物は、蜂蜜から単離された3,6,7-トリメチルルマジンを含む。一実施形態では、蜂蜜は、実質的に、ネズモドキ属(Leptospermum)に由来する花起源のものである。一実施形態では、蜂蜜は、実質的に、ギョリュウバイ(Leptospermum scoparium)、レプトスペルマム・ポリガリフォリウム(Leptospermum polygalifolium)、レプトスペルマム・サブテニュー(Leptospermum subtenue)、及び/又はそれらの組み合わせの種に由来する花起源のものである。一実施形態では、3,6,7-トリメチルルマジンは、蜂蜜を固相抽出に供し、続いて順相フラッシュクロマトグラフィー及び分取薄層クロマトグラフィーに供することによって単離される。
【0033】
上記の態様の一実施形態では、3,6,7-トリメチルルマジンは合成品である。一実施形態では、組成物は蜂蜜をさらに含む。
【0034】
一実施形態では、組成物は、約2.5μg/mL~約1000μg/mLの3,6,7-トリメチルルマジンを含む。一実施形態では、組成物は、約2.5μg/mL、約5μg/mL、約10μg/mL、約20μg/mL、約40μg/mL、約50μg/mL、約60μg/mL、約70μg/mL、約80μg/mL、約90μg/mL、約100μg/mL、150μg/mL、約200μg/mL、約250μg/mL、約300μg/mL、約350μg/mL、約400μg/mL、約450約500μg/mL、約550μg/mL、約600μg/mL、約650μg/mL、約700μg/mL、約750μg/mL、約800μg/mL、約850μg/mL、約900μg/mL、約950μg/mL~約1000μg/mLの3,6,7-トリメチルルマジンを含む。又はその中では、組成物は、約2.5~5μg/mL、約5~10μg/mL、約10~20μg/mL、約20~40μg/mL、約40~50μg/mL、約50~60μg/mL、約60~70μg/mL、約70~80μg/mL、約80~90μg/mL、約90~100μg/mL、約100~150μg/mL、150~200μg/mL、約200~250μg/mL、約250~300μg/mL、約300~350μg/mL、約350~400μg/mL、約400~450μg/mL、約450~500μg/mL、約500~550μg/mL、約550~600μg/mL、約600~650μg/mL、約650~700μg/mL、約700~750μg/mL、約750~800μg/mL、約800~850μg/mL、約850~900μg/mL、約900~950μg/mL、約950~1000μg/mLの3,6,7-トリメチルルマジンを含む。
【0035】
一実施形態では、組成物は、約5mg/kg~約3000mg/kgの3,6,7-トリメチルルマジンを含む。一実施形態では、組成物は、約5mg/kg、約10mg/kg、約15mg/kg、約20mg/kg、約25mg/kg、約30mg/kg、約35mg/kg、約40mg/kg、約45mg/kg、約50mg/kg、約55mg/kg、約60mg/kg、約70mg/kg、約80mg/kg、約90mg/kg、約100mg/kg、約150mg/kg、約200mg/kg、約250mg/kg、約300mg/kg、約350mg/kg、約400mg/kg、約450mg/kg、約500mg/kg、約550mg/kg、約600mg/kg、約650mg/kg、約700mg/kg、約750mg/kg、約800mg/kg、約850mg/kg、約900mg/kg、約950mg/kg、約1000mg/kg、約1100mg/kg、約1200mg/kg、約1300mg/kg、約1400mg/kg、約1500mg/kg、約1600mg/kg、約1700mg/kg、約1800mg/kg、約1900mg/kg、約2000mg/kg、約2100mg/kg、約2200mg/kg、約2300mg/kg、約2400mg/kg、約2500mg/kg、約2600mg/kg、約2700mg/kg、約2800mg/kg、約2900mg/kg~約3000mg/kgの3,6,7-トリメチルルマジンを含む。又はその中では、組成物は、5~10mg/kg、又は10~15mg/kg、又は15~20mg/kg、又は20~25mg/kg、又は25~30mg/kg、又は30~35mg/kg、又は35~40mg/kg、又は40~45mg/kg、又は45~50mg/kg、又は50~55mg/kg、又は55~60mg/kg、又は60~70mg/kg又は70~80mg/kg、約90~100mg/kg、約100~150mg/kg、約150~200mg/kg、約200mg/kg、約250~300mg/kg、約300~350mg/kg、約350~400mg/kg、約400~450mg/kg、約450~500mg/kg、約500~550mg/kg、約550~600mg/kg、約600~650mg/kg、約650~700mg/kg、約700~750mg/kg、約750~800mg/kg、約800~850mg/kg、約850~900mg/kg、約900~950mg/kg、約950~1000mg/kg、約1000~1100mg/kg、約1100~1200mg/kg、約1200~1300mg/kg、約1300~1400mg/kg、約1400~1500mg/kg、約1500~1600mg/kg、約1600~1700mg/kg、約1700~1800mg/kg、約1800~1900mg/kg、約1900~2000mg/kg、約2000~2100mg/kg、約2100~2200mg/kg、約2200~2300mg/kg、約2300~2400mg/kg、約2400~2500mg/kg、約2500~2600mg/kg、約2600~2700mg/kg、約2700~2800mg/kg、約2800~2900mg/kg、約2900~3000mg/kgの濃度の3,6,7-トリメチルルマジンを含む。
【0036】
上記の態様の一実施形態では、組成物は、治療的有効量の3,6,7-トリメチルルマジンを含む。
【0037】
一実施形態では、3,6,7-トリメチルルマジンを含む組成物は、薬剤、治療用製品、又は健康補助食品として調合される。一実施形態では、3,6,7-トリメチルルマジンを含む組成物は、液体製剤、カプセル、チュアブル錠、錠剤、坐薬、日用消費財、静脈内製剤、筋肉内製剤、皮下製剤、溶液、食品、飲料、栄養補助食品、化粧品配合物、ジェル、ローション、粉末又はスプレーをはじめとするがこれらに限定されるものではない、一連の送達システムに調合される。
【0038】
上記の態様の一実施形態では、方法は、3,6,7-トリメチルルマジンを含む組成物を毎日1、2、3、4又は5回投与することを含む。
【0039】
上記の態様の一実施形態では、方法は、3,6,7-トリメチルルマジンを含む組成物を毎週1、2、3、4、5、6、又は7回投与することを含む。
【0040】
一実施形態では、3,6,7-トリメチルルマジンを含む組成物は、単回用量又は分割用量として投与される。一実施形態では、3,6,7-トリメチルルマジンを含む組成物は、1、2、3又は4回の別々の用量として投与される。
【0041】
上記の態様の一実施形態では、方法は、約1mg~約3000mgの用量での3,6,7-トリメチルルマジンを含む組成物を投与することを含む。特定の一実施形態では、方法は、約1mg、10mg、20mg、30mg、40mg、50mg、60mg、70mg、80mg、90mg、100mg、150mg、200mg、250mg、300mg、350mg、400mg、450mg、500mg、550mg、600mg、650mg、700mg、750mg、800mg、850mg、900mg、950mg、1000mg、1100mg、1200mg、1300mg、1400mg、1500mg、1600mg、1700mg、1800mg、1900mg、2000mg、2100mg、2200mg、2300mg、2400mg、2500mg、2600mg、2700mg、2800mg、2900mg、3000mgの3,6,7-トリメチルルマジンを含む組成物を投与することを含む。
【0042】
上記の態様の一実施形態では、方法は、約5g~約100gの3,6,7-トリメチルルマジンの用量で、組成物を投与することを含む。
【0043】
上記の態様の一実施形態では、3,6,7-トリメチルルマジンの標準化濃度を有する、3,6,7-トリメチルルマジンを含む組成物は、
● 既知の濃度の3,6,7-トリメチルルマジンを有する第1の組成物を選択することと、
● 既知の濃度の3,6,7-トリメチルルマジンを有する少なくとも1つのさらなる組成物を選択することと、
● 第1の組成物を第2の組成物と組み合わせて、約5mg/kg~約3000mg/kgの標準化3,6,7-トリメチルルマジン濃度を有する最終組成物を得ることと
によって得られる。
【0044】
上記の態様の一実施形態では、3,6,7-トリメチルルマジンの標準化濃度を有する、3,6,7-トリメチルルマジンを含む組成物は、
● 既知の濃度の3,6,7-トリメチルルマジンを有する第1の組成物を選択することと、
● 選択された第1の組成物を
○ 合成3,6,7-トリメチルルマジン、
○ 単離3,6,7-トリメチルルマジン、
○ 3,6,7-トリメチルルマジンを含む蜂蜜抽出物、及び/又は
○ ネズモドキ属(Leptospermum)の植物に直接由来する3,6,7-トリメチルルマジン
の1つ又は複数と組み合わせることと、
約5mg/kg~約3000mg/kgの標準化3,6,7-トリメチルルマジン濃度の組成物を形成することと
によって得られる。
【0045】
一実施形態では、組成物は、蜂蜜、蜂蜜抽出物、単離3,6,7-トリメチルルマジン及び/又は合成3,6,7-トリメチルルマジンを含む。
【0046】
一実施形態では、植物に直接由来する3,6,7-トリメチルルマジンは、ネズモドキ属(Leptospermum)の植物の花、花蜜、根、果実、種子、樹皮、油、葉、木材、茎又はその他の植物材料に直接由来する。
【0047】
一実施形態では、標準化3,6,7-トリメチルルマジン濃度は、約5mg/kg~約3000mg/kgである。一実施形態では、標準化3,6,7-トリメチルルマジン濃度は、約5mg/kg、約10mg/kg、約15mg/kg、約20mg/kg、約25mg/kg、約30mg/kg、約35mg/kg、約40mg/kg、約45mg/kg、約50mg/kg、約55mg/kg、約60mg/kg、約70mg/kg、約80mg/kg、約90mg/kg、約100mg/kg、約150mg/kg、約200mg/kg、約250mg/kg、約300mg/kg、約350mg/kg、約400mg/kg、約450mg/kg、約500mg/kg、約550mg/kg、約600mg/kg、約650mg/kg、約700mg/kg、約750mg/kg、約800mg/kg、約850mg/kg、約900mg/kg、約950mg/kg、約1000mg/kg、約1100mg/kg、約1200mg/kg、約1300mg/kg、約1400mg/kg、約1500mg/kg、約1600mg/kg、約1700mg/kg、約1800mg/kg、約1900mg/kg、約2000mg/kg、約2100mg/kg、約2200mg/kg、約2300mg/kg、約2400mg/kg、約2500mg/kg、約2600mg/kg、約2700mg/kg、約2800mg/kg、約2900mg/kg~約3000mg/kgの3,6,7-トリメチルルマジンである。
【0048】
一実施形態では、3,6,7-トリメチルルマジンの濃度は、クロマトグラフィー、分析測定、分光光度法、及び/又は当業者に知られている任意のその他の方法によって判定される。一実施形態では、3,6,7-トリメチルルマジンの濃度は、逆相HPLC装置によって判定される。
【0049】
第4の特定の態様では、本発明は
a.蜂蜜を含む第1の組成物を3,6,7-トリメチルルマジン濃度について試験することと、
b.蜂蜜を含む少なくとも1つのさらなる組成物を3,6,7-トリメチルルマジン濃度について試験することと、
c.約5mg/kgの3,6,7-トリメチルルマジンを超える3,6,7-トリメチルルマジン濃度を有する蜂蜜を含む組成物を選択することと、
d.約5mg/kgを超える3,6,7-トリメチルルマジン濃度を有する蜂蜜を含む、少なくとも1つのさらなる組成物を選択することと、
e.蜂蜜を含む選択された組成物を組み合わせて、少なくとも約5~約80mg/kgの3,6,7-トリメチルルマジン濃度を有する蜂蜜組成物を形成することと
を含む、抗炎症性及び/又はMMP-9阻害活性を有する組成物を作製する方法を提供する。
【0050】
第4の態様の一実施形態では、蜂蜜を含む組成物は、それが約5mg/kg、約10mg/kg、約15mg/kg、約20mg/kg、約25mg/kg、約30mg/kg、約35mg/kg、約40mg/kg、約45mg/kg、約50mg/kg、約55mg/kg、約60mg/kg、約70mg/kg又は約80mg/kgを超える3,6,7-トリメチルルマジン濃度を有する場合に選択される。
【0051】
第4の態様の一実施形態では、組成物は蜂蜜である。
【0052】
一実施形態では、3,6,7-トリメチルルマジン濃度は、クロマトグラフィー、分析測定、分光光度法、及び/又は当業者に知られている任意のその他の方法によって判定される。一実施形態では、3,6,7-トリメチルルマジンの濃度は、逆相HPLC装置によって判定される。
【0053】
第4の態様の一実施形態では、抗炎症活性を有する組成物は、態様1~3のいずれか1つの方法での使用に適している。
【0054】
第5の特定の態様では、本発明は、
a.組成物を3,6,7-トリメチルルマジン濃度について試験することと、
i.組成物が、約5mg/kgを超える3,6,7-トリメチルルマジン濃度を含有する場合、抗炎症及び/又はMMP-9阻害活性を有するとして同定することと、又は
ii.組成物が、約5mg/kgよりも低い3,6,7-トリメチルルマジン濃度を含有する場合、それを抗炎症及び/又はMMP-9阻害活性を有さないものとして同定することと
を含む、抗炎症性及び/又はMMP-9阻害活性を有する組成物を同定する方法を提供する。
【0055】
一実施形態では、組成物は、蜂蜜又は蜂蜜抽出物を含む。
【0056】
第5の特定の態様の一実施形態では、蜂蜜を含む組成物が、約5mg/kg、約10mg/kg、約15mg/kg、約20mg/kg、約25mg/kg、約30mg/kg、約35mg/kg、約40mg/kg、約45mg/kg、約50mg/kg、約55mg/kg、約60mg/kg、約70mg/kg又は約80mg/kgを超えて含有する場合、抗炎症活性を有すると判定される。
【0057】
第5の態様の一実施形態では、組成物は蜂蜜又は蜂蜜抽出物である。
【0058】
第5の特定の態様の一実施形態では、抗炎症活性を有する組成物は、態様1~3のいずれか1つの方法での使用に適する。
【0059】
第6の特定の態様では、本発明は、
a.組成物を3,6,7-トリメチルルマジン濃度について試験することと、
i.組成物が、約5~約80mg/kgの3,6,7-トリメチルルマジンを超える3,6,7-トリメチルルマジン濃度を含有する場合、態様1~3のいずれかでの使用に適すると同定すること、又は
ii.組成物が、約5mg/kgの3,6,7-トリメチルルマジンより低い3,6,7-トリメチルルマジン濃度を含有する場合、態様1~3のいずれかでの使用に適さないと同定することと
を含む、態様1~3のいずれかの方法での使用に適する抗炎症及び/又はMMP-9阻害活性を有する組成物を同定する方法を提供する。
【0060】
第6の特定の態様の一実施形態では、組成物が、約5mg/kg、約10mg/kg、約15mg/kg、約20mg/kg、約25mg/kg、約30mg/kg、約35mg/kg、約40mg/kg、約45mg/kg、約50mg/kg、約55mg/kg、約60mg/kg、約70mg/kg又は約80mg/kgを超える3,6,7-トリメチルルマジン濃度を含有する場合、態様1~4のいずれか1つの方法での使用に適すると同定される。
【0061】
一実施形態では、組成物は、蜂蜜又は蜂蜜抽出物である。
【0062】
一実施形態では、3,6,7-トリメチルルマジン濃度は、クロマトグラフィー、分析測定、分光光度法、及び/又は当業者に知られている任意のその他の方法によって判定される。一実施形態では、3,6,7-トリメチルルマジンの濃度は、逆相HPLC装置によって判定される。
【0063】
第7の特定の態様では、本発明は、上記の態様のいずれかの方法での使用に適する3,6,7-トリメチルルマジンを含む組成物を提供する。
【0064】
第7の態様の一実施形態では、3,6,7-トリメチルルマジンの起源はネズモドキ属(Leptospermum)である。一実施形態では、3,6,7-トリメチルルマジンは、実質的に、ギョリュウバイ(Leptospermum scoparium)、レプトスペルマム・ポリガリフォリウム(Leptospermum polygalifolium)、レプトスペルマム・サブテニュー(Leptospermum subtenue)、及びそれらの組み合わせを含む群から選択される植物に由来する。一実施形態では、3,6,7-トリメチルルマジンは、ギョリュウバイ(Leptospermum scoparium)に由来する。
【0065】
第7の態様の一実施形態では、3,6,7-トリメチルルマジンの起源は蜂蜜である。一実施形態では、蜂蜜は、実質的に、ネズモドキ属(Leptospermum)に由来する花起源のものである。一実施形態では、蜂蜜は、実質的に、ギョリュウバイ(Leptospermum scoparium)、レプトスペルマム・ポリガリフォリウム(Leptospermum polygalifolium)、レプトスペルマム・サブテニュー(Leptospermum subtenue)、及び/又はそれらの組み合わせに由来する花起源のものである。一実施形態では、蜂蜜は、実質的に、ギョリュウバイ(Leptospermum scoparium)(マヌカ)に由来する花起源のものである。
【0066】
第7の態様の一実施形態では、3,6,7-トリメチルルマジンは、ネズモドキ属(Leptospermum)の植物に直接由来する。一実施形態では、3,6,7-トリメチルルマジンは、ネズモドキ属(Leptospermum)の植物の花蜜、根、果実、種子、樹皮、油、葉、木材、茎又はその他の植物材料に直接由来する。一実施形態では、3,6,7-トリメチルルマジンは、実質的に、ギョリュウバイ(Leptospermum scoparium)、レプトスペルマム・ポリガリフォリウム(Leptospermum polygalifolium)、レプトスペルマム・サブテニュー(Leptospermum subtenue)、及びそれらの組み合わせを含む群から選択される植物に由来する。
【0067】
第7の態様の一実施形態では、3,6,7-トリメチルルマジンを含む組成物は、蜂蜜を含む。一実施形態では、3,6,7-トリメチルルマジンを含む組成物は、蜂蜜からなる。
【0068】
上記の態様の一実施形態では、3,6,7-トリメチルルマジンを含む組成物は、蜂蜜抽出物を含む。一実施形態では、3,6,7-トリメチルルマジンを含む組成物は、蜂蜜抽出物を含み、その中では、蜂蜜抽出物は、蜂蜜に天然に存在することが認められた3,6,7-トリメチルルマジンの濃度よりも高い濃度の3,6,7-トリメチルルマジンを含む。一実施形態では、組成物は、蜂蜜抽出物からなり、その中では、蜂蜜抽出物は、蜂蜜に天然に存在することが認められた3,6,7-トリメチルルマジンの濃度よりも高い濃度の3,6,7-トリメチルルマジンを含む。一実施形態では、蜂蜜抽出物は、抽出物がそれに由来する蜂蜜に天然に存在することが認められる3,6,7-トリメチルルマジンの濃度よりも高い濃度の3,6,7-トリメチルルマジンを含む。
【0069】
一実施形態では、抽出物がそれに由来する蜂蜜は、実質的にギョリュウバイ属(Leptospermum)に由来する花起源のものである。一実施形態では、抽出物がそれに由来する蜂蜜は、実質的に、ギョリュウバイ(Leptospermum scoparium)、レプトスペルマム・ポリガリフォリウム(Leptospermum polygalifolium)、レプトスペルマム・サブテニュー(Leptospermum subtenue)、及びそれらの組み合わせから選択される種に由来する花起源のものである。一実施形態では、組成物は蜂蜜をさらに含む。
【0070】
一実施形態では、蜂蜜は、未加工蜂蜜、加熱処理蜂蜜又は低温殺菌蜂蜜である。
【0071】
一実施形態では、組成物は、蜂蜜から単離された3,6,7-トリメチルルマジンを含む。一実施形態では、蜂蜜は、実質的に、ネズモドキ属(Leptospermum)に由来する花起源のものである。一実施形態では、蜂蜜は、実質的に、ギョリュウバイ(Leptospermum scoparium)、レプトスペルマム・ポリガリフォリウム(Leptospermum polygalifolium)、レプトスペルマム・サブテニュー(Leptospermum subtenue)、及び/又はそれらの組み合わせの種に由来する花起源のものである。一実施形態では、3,6,7-トリメチルルマジンは、蜂蜜を固相抽出に供し、続いて順相フラッシュクロマトグラフィー及び分取薄層クロマトグラフィーに供することによって単離される。
【0072】
一実施形態では、組成物は、合成3,6,7-トリメチルルマジンを含む。一実施形態では、組成物は蜂蜜をさらに含む。
【0073】
一実施形態では、組成物は、約2.5μg/mL~約1000μg/mLの3,6,7-トリメチルルマジンを含む。一実施形態では、組成物は、約2.5μg/mL、約5μg/mL、約10μg/mL、約20μg/mL、約40μg/mL、約50μg/mL、約60μg/mL、約70μg/mL、約80μg/mL、約90μg/mL、約100μg/mL、150μg/mL、約200μg/mL、約250μg/mL、約300μg/mL、約350μg/mL、約400μg/mL、約450約500μg/mL、約550μg/mL、約600μg/mL、約650μg/mL、約700μg/mL、約750μg/mL、約800μg/mL、約850μg/mL、約900μg/mL、約950μg/mL~約1000μg/mLの3,6,7-トリメチルルマジンを含み、又はその中では、組成物は、約2.5~5μg/mL、約5~10μg/mL、約10~20μg/mL、約20~40μg/mL、約40~50μg/mL、約50~60μg/mL、約60~70μg/mL、約70~80μg/mL、約80~90μg/mL、約90~100μg/mL、約100~150μg/mL、150~200μg/mL、約200~250μg/mL、約250~300μg/mL、約300~350μg/mL、約350~400μg/mL、約400~450μg/mL、約450~500μg/mL、約500~550μg/mL、約550~600μg/mL、約600~650μg/mL、約650~700μg/mL、約700~750μg/mL、約750~800μg/mL、約800~850μg/mL、約850~900μg/mL、約900~950μg/mL、約950~1000μg/mLの3,6,7-トリメチルルマジンを含む。
【0074】
一実施形態では、組成物は、約5mg/kg~約3000mg/kgの3,6,7-トリメチルルマジンを含む。一実施形態では、組成物は、約5mg/kg、約10mg/kg、約15mg/kg、約20mg/kg、約25mg/kg、約30mg/kg、約35mg/kg、約40mg/kg、約45mg/kg、約50mg/kg、約55mg/kg、約60mg/kg、約70mg/kg、約80mg/kg、約90mg/kg、約100mg/kg、約150mg/kg、約200mg/kg、約250mg/kg、約300mg/kg、約350mg/kg、約400mg/kg、約450mg/kg、約500mg/kg、約550mg/kg、約600mg/kg、約650mg/kg、約700mg/kg、約750mg/kg、約800mg/kg、約850mg/kg、約900mg/kg、約950mg/kg、約1000mg/kg、約1100mg/kg、約1200mg/kg、約1300mg/kg、約1400mg/kg、約1500mg/kg、約1600mg/kg、約1700mg/kg、約1800mg/kg、約1900mg/kg、約2000mg/kg、約2100mg/kg、約2200mg/kg、約2300mg/kg、約2400mg/kg、約2500mg/kg、約2600mg/kg、約2700mg/kg、約2800mg/kg、約2900mg/kg~約3000mg/kgの3,6,7-トリメチルルマジンを含み、又はその中では、組成物は、5~10mg/kg、又は10~15mg/kg、又は15~20mg/kg、又は20~25mg/kg、又は25~30mg/kg、又は30~35mg/kg、又は35~40mg/kg、又は40~45mg/kg、又は45~50mg/kg、又は50~55mg/kg、又は55~60mg/kg、又は60~70mg/kg又は70~80mg/kg、約90~100mg/kg、約100~150mg/kg、約150~200mg/kg、約200mg/kg、約250~300mg/kg、約300~350mg/kg、約350~400mg/kg、約400~450mg/kg、約450~500mg/kg、約500~550mg/kg、約550~600mg/kg、約600~650mg/kg、約650~700mg/kg、約700~750mg/kg、約750~800mg/kg、約800~850mg/kg、約850~900mg/kg、約900~950mg/kg、約950~1000mg/kg、約1000~1100mg/kg、約1100~1200mg/kg、約1200~1300mg/kg、約1300~1400mg/kg、約1400~1500mg/kg、約1500~1600mg/kg、約1600~1700mg/kg、約1700~1800mg/kg、約1800~1900mg/kg、約1900~2000mg/kg、約2000~2100mg/kg、約2100~2200mg/kg、約2200~2300mg/kg、約2300~2400mg/kg、約2400~2500mg/kg、約2500~2600mg/kg、約2600~2700mg/kg、約2700~2800mg/kg、約2800~2900mg/kg、約2900~3000mg/kgの濃度の3,6,7-トリメチルルマジンを含む。
【0075】
一実施形態では、組成物は、治療的有効量の3,6,7-トリメチルルマジンを含む。
【0076】
一実施形態では、3,6,7-トリメチルルマジンを含む組成物は、薬剤、治療用製品、又は健康補助食品として調合される。一実施形態では、3,6,7-トリメチルルマジンを含む組成物は、液体製剤、日用消費財、カプセル、チュアブル錠、錠剤、坐薬、静脈内製剤、筋肉内製剤、皮下製剤、溶液、食用、飲料、栄養補助食品、化粧品配合物、ジェル、ローション、粉末又はスプレーをはじめとするがこれらに限定されるものではない、一連の送達システムに調合される。
【0077】
第8の特定の態様では、本発明は、対象のMMP-9関連状態を予防、改善又は治療するための薬剤の製造における、3,6,7-トリメチルルマジンを含む組成物の使用を提供する。
【0078】
第8の態様の一実施形態では、MMP-9関連状態は、胃腸炎症性疾患、胃潰瘍(例えば消化性潰瘍)、胃炎、MMP関連炎症状態、炎症性腸疾患(IBD)、クローン病、潰瘍性大腸炎、過敏性腸症候群(IBS)、消化器疾患、胃食道逆流症(GERD)、胸焼け、胃酸逆流、ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)感染症、口腔内潰瘍、口内炎、咽頭炎、歯肉炎、食道潰瘍、精神神経疾患(統合失調症、双極性気分障害、多発性硬化症など)、神経変性障害(外傷性脳損傷、多発性硬化症、及びアルツハイマー病など)、心血管疾患、がん及び関節炎から選択される。
【0079】
第9の特定の態様では、本発明は、対象のMMP-9関連炎症状態を予防、改善又は治療するための薬剤の製造における、3,6,7-トリメチルルマジンを含む組成物の使用を提供する。
【0080】
第9の態様の一実施形態では、MMP-9関連炎症状態は、胃腸管の炎症に関連する。別の実施形態では、MMP-9関連炎症状態は、胃腸炎症性疾患、胃潰瘍(例えば消化性潰瘍)、胃炎、MMP関連炎症状態、炎症性腸疾患(IBD)、クローン病、潰瘍性大腸炎、過敏性腸症候群(IBS)、消化器疾患、胃食道逆流症(GERD)、胸焼け、胃酸逆流、ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)感染症、口腔内潰瘍、口内炎、咽頭炎、歯肉炎及び/又は食道潰瘍から選択される。
【0081】
一実施形態では、MMP-9関連炎症状態は、精神神経疾患(統合失調症、双極性気分障害、多発性硬化症など)、神経変性障害(などの外傷性脳損傷、多発性硬化症、及びアルツハイマー病など)、心血管疾患、がん及び関節炎から選択される。
【0082】
第10の特定の態様では、本発明は、対象の胃腸管の炎症を予防、改善又は治療するための薬剤の製造における、3,6,7-トリメチルルマジンを含む組成物の使用を提供する。
【0083】
第10の態様の一実施形態では、本発明は、胃腸管の炎症に関連する状態を予防、改善又は治療するための使用を提供する。一実施形態では、胃腸管の状態は、胃腸炎症性疾患、胃潰瘍(例えば消化性潰瘍)、胃炎、MMP関連炎症状態、炎症性腸疾患(IBD)、クローン病、潰瘍性大腸炎、過敏性腸症候群(IBS)、消化器疾患、胃食道逆流症(GERD)、胸焼け、胃酸逆流、ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)感染症、口腔内潰瘍、口内炎、咽頭炎、歯肉炎及び/又は食道潰瘍から選択される。
【0084】
第11の特定の態様では、本発明は、対象の炎症を予防、改善又は治療するための薬剤の製造における、3,6,7-トリメチルルマジンを含む組成物の使用を提供する。
【0085】
第11の特定の態様の一実施形態では、炎症は、対象の胃腸管に関連する。一実施形態では、炎症は、胃腸炎症性疾患、胃潰瘍(例えば消化性潰瘍)、胃炎、MMP関連炎症状態、炎症性腸疾患(IBD)、クローン病、潰瘍性大腸炎、過敏性腸症候群(IBS)、消化器疾患、胃食道逆流症(GERD)、胸焼け、胃酸逆流、ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)感染症、口腔内潰瘍、口内炎、咽頭炎、歯肉炎及び/又は食道潰瘍から選択される状態に関連する。
【0086】
一実施形態では、炎症は、精神神経疾患(統合失調症、双極性気分障害、多発性硬化症など)、神経変性障害(などの外傷性脳損傷、多発性硬化症、及びアルツハイマー病など)、心血管疾患、がん及び関節炎から選択される状態に関連する。
【0087】
第12の特定の態様では、上記の態様のいずれか1つの方法、使用、又は組成物が提供され、その中では、組成物は、COX-2阻害剤をさらに含む。
【0088】
第13の特定の態様では、COX-2阻害剤の同時投与をさらに含む、上記の態様のいずれか1つの方法又は使用が提供される。
【0089】
上記の方法及び使用の利点は、変動してもよい。いくつかの実施形態では、3,6,7-トリメチルルマジンの起源は天然に存在し、持続可能な基準で製造され得る。3,6,7-トリメチルルマジンは副作用がないと予想されており、それは様々な投与方法のために多種多様な様式で処方されてもよい。
【0090】
本発明はまた、個々に又は集合的に、出願明細書中で言及され又は示される、部分、構成要素、及び特性に、及び前記部分、構成要素及び特性の任意の2つ以上の任意の又は全ての組み合わせにあると概して言ってもよく、本発明が関連する技術分野で公知の等価物を有する特定の整数が本明細書で言及される場合、このような公知の等価物は、あたかも個別に記載されているかのように、本明細書に組み込まれたものと見なされる。
【0091】
その全ての新規態様において考慮されるべき本発明のさらなる態様は、本発明の実用化の少なくとも1つの例を提供する以下の説明を読めば、当業者には明らかになるであろう。
【0092】
ここで、添付の図面を参照して、本発明の実施形態を単なる例として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【
図1】10分間にわたるMMP-9活性によって生成された、蛍光強度を図解するグラフである。
【
図2】2.5~40μg/mlの範囲の3,6,7-トリメチルルマジンからのMMP-9活性の阻害率を図解するグラフである。データは、平均±SEMとして示される。n=4。****p<0.0001。
【
図3】3,6,7-トリメチルルマジン濃度とMMP-9阻害の間の相関関係を図解するグラフである。IC50は11.5μg/mlと計算された。データは、平均±SEMとして示される。n=4。
【
図4】120分間にわたる412nmでの吸光度によって測定されたMMP-9活性を図解するグラフである。
【
図5】MMP-9の活性に対する3,6,7-トリメチルルマジンによる阻害率を図解するグラフである(n=5、各2つの相互反復試験)。
【
図6】3,6,7-トリメチルルマジンと発色基質(A)又は反応生成物(B)との間に、20分間にわたり有意な相互作用がないことを図解するグラフである。
【
図7】通常の現像緩衝液(列3~5)、3,6,7-トリメチルルマジン添加緩衝液(列6~8)、及びNNGH(列9~11)中でインキュベートされたゲルを示す、典型的なゼラチンゲル酵素電気泳動を示す。上部の透明なバンドは、不活性MMP-9(約47kDa)のフィブロネクチンドメインからのゼラチナーゼ活性を表す。下のバンドは、プロドメインが切断されている活性MMP-9(約37kDa)のゼラチナーゼ活性を表す。
【
図8】ゼラチン酵素電気泳動による3,6,7-トリメチルルマジンからの阻害率(n=5)を図解するグラフである。阻害率は、光学濃度を陰性対照(阻害剤なし)と比較することによって計算された。
【
図9】3,6,7-トリメチルルマジンが、MMP-9のS’1基質結合ポケットにドッキングしていることを図示する。3,6,7-トリメチルルマジンのNH基とMMP-9のTyr420残基との間に、水素結合が見いだされた。
【
図10】4つのマヌカ蜂蜜サンプル(A、B、C、D)の胃内消化中の3,6,7-トリメチルルマジン(ng/mL)の量を消化時間の関数として示す。データは平均±SD、n=3を表す。
【
図11】4つのマヌカ蜂蜜サンプル(A、B、C、D)の腸内消化中の3,6,7-トリメチルルマジン(ng/mL)の量を消化時間の関数として示す。データは平均±SD、n=3を表す。
【
図12】4つの50%マヌカ蜂蜜サンプル(A、B、C、D)の胃内消化中の6,3,6,7-トリメチルルマジン(ng/mL)の量を消化時間の関数として示す。データは平均±SD、n=3を表す。
【
図13】4つの50%マヌカ蜂蜜サンプル(A、B、C、D)の腸内消化中の3,6,7-トリメチルルマジン(ng/mL)の量を消化時間の関数として示す。データは平均±SD、n=3を表す。
【
図14】純粋な3,6,7-トリメチルルマジンの胃内消化中の3,6,7-トリメチルルマジン(ng/mL)の量を消化時間の関数として示す。データは平均±SD、n=3を表す。
【
図15】純粋な3,6,7-トリメチルルマジンの腸内消化中の3,6,7-トリメチルルマジン(ng/mL)の量を消化時間の関数として示す。データは平均±SD、n=3を表す。
【
図16】3,6,7-トリメチルルマジン(2.5~40μg/mL)の細胞生存率に対する影響を示す。データは、平均±SDとして提示される。
【
図17】分化THP-1細胞(n=2つの反復試験)における、リポ多糖(055:B5、1μg/mL)誘発性マトリックスメタロペプチダーゼ9(MMP-9)分泌に対する、3,6,7-トリメチルルマジンの効果(生の値に基づく)を図示する。小文字は、処理間の有意差を表す。a:40μg/mLの3,6,7-トリメチルルマジンは、mmp-9分泌を阻害する(P=0.02);b:30μg/mLの3,6,7-トリメチルルマジンは、mmp-9分泌を阻害する(P=0.02)。
【
図18】分化THP-1細胞(n=2つの反復試験)における、リポ多糖(055:B5、1μg/mL)誘発性マトリックスメタロペプチダーゼ9(MMP-9)分泌に対する、3,6,7-トリメチルルマジンの効果(絶対値に基づく)を図示する。小
文字は、処理間の有意差を表す。a:40μg/mLの3,6,7-トリメチルルマジンは、mmp-9分泌を阻害する(P=0.00);b:30μg/mLの3,6,7-トリメチルルマジンは、mmp-9分泌を阻害する(P=0.04);c:アジスロマイシンは、mmp-9分泌を阻害する(P=0.00)。
【発明を実施するための形態】
【0094】
本明細書に記載されるのは、3,6,7-トリメチルルマジンを含む組成物、炎症及び/又は炎症状態を予防、改善又は治療するための方法、及び該組成物の使用である。特に、MMP-9関連の炎症状態をはじめとする、胃腸管に関連する炎症又は炎症状態。
【0095】
定義
本明細書の目的で、「含む(comprising)」という用語は、本明細書の用法では、「全体又は少なくとも一部からなる」ことを意味する。この用語を含む本明細書の記述を解釈する際に、各記述においてこの用語によって前置される特徴は全て存在する必要があるが、その他の特徴もまた存在し得る。「含む(comprise)」及び「含む(comprised)」などの関連用語もまた、同様に解釈されるべきである。
【0096】
「約」又は「およそ」という用語及びその文法的変形は、30、25、20、15、10、9、8、7、6、5、4、3、2、又は1%と同程度に変動する分量、レベル、程度、値、数、頻度、百分率、寸法、サイズ、量、重量又は長さを意味する。
【0097】
「薬剤」という用語又はその文法的変形は、医薬製品を指す。医薬製品としては、これらに限定されるものではないが、液体製剤、カプセル、錠剤、チュアブル錠剤、ジェル、ローション、粉末、日用消費財、坐薬、化粧品配合物、スプレー製剤、食品製剤、飲料、静脈内製剤、筋肉内製剤、皮下製剤、及び溶液が挙げられる。
【0098】
「治療製品」という用語又はその文法的変形は、健康をサポートし、修復し、又は回復するのを助ける製品を指す。製品としては、これらに限定されるものではないが、日用消費財、液体製剤、カプセル、錠剤、チュアブル錠剤、ジェル、ローション、粉末、坐薬、スプレー製剤、食品製剤、飲料、化粧品配合物、静脈内製剤、筋肉内製剤、皮下製剤、及び溶液が挙げられる。
【0099】
「炎症状態」という用語は、望ましくない及び/又は異常な炎症に関連する状態又は障害を意味する。
【0100】
「炎症」という用語は、感染、刺激、傷害、疾患、病状、又はその他の原因の結果として、発赤、温感、腫れ、及び/又は疼痛を生じる身体の反応を意味する。炎症はまた、細胞レベルでも特徴付けられ得る。細胞性炎症は、サイトカイン、ケモカイン、又は活性窒素種及び酸素種などの様々な炎症性メディエーターの産生によって特徴付けられてもよい。
【0101】
「抗炎症」という用語又はその文法的変形は、抗炎症化合物が添加されていない期間、グレード、又は状況と比較した場合における、炎症関連サイトカイン、ケモカイン、活性窒素種及び酸素種の予防、緩和、急冷、鎮静、抑制又は軽減を指す。それはまた、発赤、温感、腫れ及び/又は疼痛が減少する程度まで、炎症が予防、緩和、急冷、鎮静又は抑制されることを指し、減少量は、抗炎症化合物が添加されていない期間、グレード、又は状況との比較である。
【0102】
組成物又は薬剤の量又は投与量に関する「治療的に有効」という用語は、対象の炎症を効果的に予防、改善又は除去するのに十分な組成物の量を指す。この用語は、限定的なものと見なされるべきではない。それは、所望の用途に応じて、対象に対する抗炎症効果を最適化する組成物又は薬剤の投与量を指してもよい。
【0103】
本発明の文脈における「健康補助食品」という用語は、対象の食餌に補給されることが意図される製品を意味する。
【0104】
「治療」という用語は、その最も広い文脈で考慮されるべきである。この用語は、対象が完全に回復するまで治療されることを必ずしも意味するものではない。したがって、「治療」には、特定の状態の症状又は重症度を緩和又は改善すること、又は特定の状態を発症するリスクを防止しさもなければ軽減することが含まれる。それはまた、状態の完全又は部分的な寛解状態を維持又は促進することを含んでもよい。
【0105】
「未加工蜂蜜」という用語は、最小限の加熱(例えば50℃未満)処理のみを受けた、又はいかなる加熱処理も受けていない蜂蜜を意味する。
【0106】
本発明の文脈における「標準化濃度」という用語は、所定の濃度範囲に適合するように決定された濃度を意味する。
【0107】
本明細書の用法では、「及び/又は」という用語は、「及び」、又は「又は」、又はその双方を意味する。
【0108】
本明細書の用法では、名詞に続く「(s)」は、名詞の複数形及び/又は単数形を意味する。
【0109】
本明細書で開示された数の範囲(例えば、1~10)への言及は、その範囲内の全ての有理数(例えば、1、1.1、2、3、3.9、4、5、6、6.5、7、8、9、及び10)と、その範囲内の任意の有理数範囲(例えば、2~8、1.5~5.5及び3.1~4.7)への言及もまた組み込むことが意図される。
【0110】
「対象」は、ヒト又は非ヒト動物であってもよい。非ヒト動物の非限定的例は、コンパニオンアニマル(例えば、猫及び犬)、馬、牛、羊、鹿などの家畜である。
【0111】
上述したように、本発明者らは、例えば、蜂蜜に見られる3,6,7-トリメチルルマジンなどの3,6,7-トリメチルルマジンが、抗炎症活性を有することを特定した。特に、本発明者らは、驚くべきことに、3,6,7-トリメチルルマジンが抗炎症効果を有することを発見した。特に、本発明者らは、3,6,7-トリメチルルマジンがMMP-9阻害活性を有することを発見した。3,6,7-トリメチルルマジンの活性及び安定性を特徴付できることは、様々なMMP-9関連状態及び炎症症状、特に胃腸管の炎症状態の予防、改善、治療をはじめとする、炎症の予防、改善、治療のための組成物を製造する能力を提供する。
【0112】
プテリジンは、ピリミド[4,5-b]ピラジン環構造に基づく化合物のグループである。二環式化合物は、多くの生物によって自然に生成され、しばしばプテリンと称される。プテリジン及びプテリジン誘導体はまた、合成される。多くのプテリジン誘導体は、核酸、アミノ酸、神経伝達物質、一酸化窒素、並びにプリン及び芳香族アミノ酸の合成をはじめとする、酵素的補因子として重要な代謝的役割を果たす。
【0113】
本明細書で本発明者らは、ネズモドキ属(Leptospermum)蜂蜜からのプテリジン誘導体である3,6,7-トリメチルルマジン、それを含む組成物、及び使用方法を報告する。3,6,7-トリメチルルマジンの単離、構造解明、及び合成は、同一出願人によって出願されたニュージーランド特許出願第722140(NZ722140)号明細書に以前に記載されており、参照により本明細書に援用される。
【0114】
炎症は、広範な病気に関係している多因子現象である。健康な腸では、腸粘膜は炎症誘発性サイトカイン(例えば、腫瘍壊死因子、TNF-α、インターフェロン、IFN-γ、IL-1、IL-6)と、抗炎症サイトカイン(例えば、IL-4、IL-10)との複雑な均衡によって調節された制御された応答の状態にある。この欠陥は、遺伝的、微生物的、環境的要因の間の複雑な相互作用を促進し、免疫/非免疫応答の持続的な活性化をもたらし、活発な炎症及び組織破壊を引き起こす可能性がある。炎症が解消できないことが、胃潰瘍、炎症性腸疾患(IBD)、クローン病、及び潰瘍性大腸炎などの胃腸炎症性関連状態の病態形成に関与している。
【0115】
マトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)は、亜鉛依存性エンドペプチダーゼのグループであり、炎症及び酸化ストレスをはじめとする、多くの生物学的及び病理学的プロセスに関与する重要な要素である。
【0116】
MMP-9に関連する炎症性及び酸化ストレス関連の状態としては、胃腸炎症性疾患、胃潰瘍(例えば消化性潰瘍)、胃炎、MMP関連炎症状態、炎症性腸疾患(IBD)、クローン病、潰瘍性大腸炎、過敏性腸症候群(IBS)、消化器疾患、胃食道逆流症(GERD)、胸焼け、胃酸逆流、ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)感染症、口腔内潰瘍、口内炎、咽頭炎、歯肉炎、食道潰瘍、精神神経疾患(統合失調症、双極性気分障害、多発性硬化症など)、神経変性障害(外傷性脳損傷、多発性硬化症、及びアルツハイマー病など)、心血管疾患、がん及び関節炎などの一連の異なる状態が挙げられる。
【0117】
炎症におけるMMPの主な役割の1つは、身体的障壁の調節である。炎症性細胞の遊走は、細胞間接合部を消化するそれらの能力により、MMPによって促進される。内皮接着接合部のいくつかの主要構成成分は、MMPの基質として同定されている。これらの細胞構成成分の分解は血管透過性を増加させ、ひいては炎症性細胞及び血漿タンパク質の流入を可能にする。
【0118】
MMP-9(ゼラチナーゼBとしても知られている)は炎症促進性酵素炎であり、それは、いくつかのサイトカイン及びケモカインをプロIL-1β及びIL-8などのより活性な形態に、タンパク質分解的に処理し得る(Schonbeck et al.,1998;Van den Steen,Proost,Wuyts,Van Damme,& Opdenakker,2000)。MMP-9は、密着結合中のオクルディンを分解して炎症性細胞及びタンパク質の流入を容易にすることによって、上皮性関門透過性を調節し得て(Caron et al.,2005;Reijerkerk et al.,2006)、粘膜の損傷及び細胞のremodellingリモデリングをもたらす細胞外マトリックス(ECM)分解に深く関与している(Swarnakar et al.,2007)こともまた報告されている。MMP-9は、精神神経疾患(統合失調症、双極性気分障害、多発性硬化症など)、神経変性障害(外傷性脳損傷、多発性硬化症、アルツハイマー病など)、心血管疾患、がん及び関節炎をはじめとする、いくつかの状態に関連する(Rybakowski 2009,Fingleton(2007),Reinhard,2015)。
【0119】
MMP-9はまた、胃潰瘍の発生と重症度にも密接に関連する。多くの研究が、胃潰瘍の過程におけるMMP-9の発現と活性の上昇を報告している(Pradeepkumar Singh,Kundu,Ganguly,Mishra,& Swarnakar,2007;Swarnakar et al.,2005,2007)。エタノール誘発性胃潰瘍は、用量、時間、及び重症度依存様式でプロMMP-9活性の上昇に関連し、MMP-9が胃潰瘍の再発のリスク因子であることもまた報告されている(Li et al.,2013)。
【0120】
MMP-9の発現及び分泌は、正常な健常組織では非常に低い。胃潰瘍の形成過程では、酸化ストレスの誘導がMMP-9の分泌を増強し、粘膜の損傷をもたらす(Ganguly & Swarnakar,2012;Li et al.,2013)。したがって、MMP-9は胃潰瘍の予防と治癒における既知の治療標的である。
【0121】
したがって、MMP-9関連状態は、MMP-9の発現が増加している状態であり、MMP-9の発現又は過剰発現が増加している炎症状態が含まれる。このような状態としては、これらに限定されるものではないが、胃潰瘍(例えば消化性潰瘍)、胃炎、その他のMMP関連炎症状態、炎症性腸疾患(IBD)、クローン病、潰瘍性大腸炎、過敏性腸症候群(IBS)、消化器疾患、胃食道逆流症(GERD)、胸焼け、胃酸逆流、ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)感染症、口腔内潰瘍、口内炎、咽頭炎、歯肉炎及び/又は食道潰瘍が挙げられる。特定の一実施形態では、MMP-9関連炎症状態は、胃潰瘍又は胃炎である。MMP-9関連状態はまた、精神神経疾患(統合失調症、双極性気分障害、多発性硬化症など)、神経変性障害(などの外傷性脳損傷、多発性硬化症、及びアルツハイマー病など)、心血管疾患、がん及び関節炎などのその他の状態も含む。
【0122】
上記から理解されるように、MMP-9は、炎症を予防、改善又は治療するための、及び/又は炎症に関連する状態を予防、改善又は治療するための望ましい標的である。特に、胃腸管の炎症に関連する状態を予防、改善、又は治療するため。MMP-9は、精神神経疾患(統合失調症、双極性気分障害、多発性硬化症など)、神経変性障害(などの外傷性脳損傷、多発性硬化症、及びアルツハイマー病など)、心血管疾患、がん及び関節炎などのMMP-9に関連するその他の状態を治療するための望ましい標的でもある。
【0123】
本発明者らは、3,6,7-トリメチルルマジン及びそれを含む組成物がMMP-9阻害活性を有し、ひいては、炎症及び/又は酸化ストレスに関連するものなどのMMP-9関連状態を予防、改善又は治療する方法において有用であることを発見した。本発明者らは、驚くべきことに、3,6,7-トリメチルルマジンがMMP-9の活性及び発現の双方を阻害することを発見した。MMP-9阻害効果は顕著であり、特に胃腸炎症状態などの炎症及び/又は炎症状態の予防及び/又は治療において、良好な効率と潜在的に広範な用途及び使用が示唆される。特に、胃炎及び胃潰瘍。
【0124】
一態様では、本発明は、3,6,7-トリメチルルマジンを含む組成物をそれを必要とする対象に投与することを含む、対象のMMP-9関連状態を予防、改善又は治療する方法を提供する。
【0125】
一実施形態では、MMP-9関連炎症状態は、胃腸炎症性疾患、胃潰瘍(例えば消化性潰瘍)、胃炎、MMP関連炎症状態、炎症性腸疾患(IBD)、クローン病、潰瘍性大腸炎、過敏性腸症候群(IBS)、消化器疾患、胃食道逆流症(GERD)、胸焼け、胃酸逆流、ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)感染症、口腔内潰瘍、口内炎、咽頭炎、歯肉炎、食道潰瘍、精神神経疾患(統合失調症、双極性気分障害、多発性硬化症など)、神経変性障害(外傷性脳損傷、多発性硬化症、及びアルツハイマー病など)、心血管疾患、がん及び関節炎から選択される。
【0126】
一態様では、本発明は、3,6,7-トリメチルルマジンを含む組成物をそれを必要とする対象に投与することを含む、対象のMMP-9関連炎症状態を予防、改善又は治療する方法を提供する。
【0127】
一実施形態では、MMP-9関連炎症状態は、胃腸管の炎症に関連する。一実施形態では、MMP-9関連炎症状態は、胃腸炎症性疾患、胃潰瘍(例えば消化性潰瘍)、胃炎、MMP関連炎症状態、炎症性腸疾患(IBD)、クローン病、潰瘍性大腸炎、過敏性腸症候群(IBS)、消化器疾患、胃食道逆流症(GERD)、胸焼け、胃酸逆流、ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)感染症、口腔内潰瘍、口内炎、咽頭炎、歯肉炎及び食道潰瘍から選択される。
【0128】
一実施形態では、MMP-9関連炎症状態は、精神神経疾患(統合失調症、双極性気分障害、多発性硬化症など)、神経変性障害(などの外傷性脳損傷、多発性硬化症、及びアルツハイマー病など)、心血管疾患、がん及び関節炎から選択される。
【0129】
別の態様では、本発明は、3,6,7-トリメチルルマジンを含む組成物をそれを必要とする対象に投与することを含む、対象の胃腸管の炎症を予防、改善又は治療する方法を提供する。
【0130】
別の態様では、本発明は、胃腸管の炎症に関連する状態を予防、改善又は治療する方法を提供する。
【0131】
一態様では、本発明は、3,6,7-トリメチルルマジンを含む組成物をそれを必要とする対象に投与することを含む、対象の炎症を予防、改善又は治療する方法を提供する。一実施形態では、炎症は胃腸管の炎症である。
【0132】
一実施形態では、本発明は、胃腸炎症性疾患、胃潰瘍(例えば消化性潰瘍)、胃炎、MMP関連炎症状態、炎症性腸疾患(IBD)、クローン病、潰瘍性大腸炎、過敏性腸症候群(IBS)、消化器疾患、胃食道逆流症(GERD)、胸焼け、胃酸逆流、ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)感染症、口腔内潰瘍、口内炎、咽頭炎、歯肉炎、食道潰瘍、精神神経疾患(統合失調症、双極性気分障害、多発性硬化症など)、神経変性障害(外傷性脳損傷、多発性硬化症、及びアルツハイマー病など)、心血管疾患、がん及び関節炎などの状態に関連する炎症を予防、改善、又は治療する方法を提供する。
【0133】
一実施形態では、本発明は、胃腸炎症性疾患、胃潰瘍(例えば消化性潰瘍)、胃炎、MMP関連炎症状態、炎症性腸疾患(IBD)、クローン病、潰瘍性大腸炎、過敏性腸症候群(IBS)、消化器疾患、胃食道逆流症(GERD)、胸焼け、胃酸逆流、ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)感染症、口腔内潰瘍、口内炎、咽頭炎、歯肉炎、食道潰瘍、精神神経疾患(統合失調症、双極性気分障害、多発性硬化症など)、神経変性障害(外傷性脳損傷、多発性硬化症、及びアルツハイマー病など)、心血管疾患、がん及び関節炎などの状態を予防、改善、又は治療する方法を提供する。
【0134】
上記から理解されるように、3,6,7-トリメチルルマジン、及びそれを含む組成物は、対象の正常な消化をサポート又は維持すること、対象の健康な消化をサポート又は維持すること、対象の一般的な腸の健康と幸福をサポート又は維持することをはじめとする、その他の広範囲な使用において有用であってもよい。
【0135】
一実施形態では本発明の、本明細書で開示される方法、使用、及び組成物中の3,6,7-トリメチルルマジンの起源は、ネズモドキ属(Leptospermum)である。一実施形態では、3,6,7-トリメチルルマジンは、実質的に、ギョリュウバイ(Leptospermum scoparium)、レプトスペルマム・ポリガリフォリウム(Leptospermum polygalifolium)、レプトスペルマム・サブテニュー(Leptospermum subtenue)、及びそれらの組み合わせを含む群から選択される植物に由来する。一実施形態では、3,6,7-トリメチルルマジンは、ギョリュウバイ(Leptospermum scoparium)(マヌカ)に由来する。
【0136】
本発明の態様の一実施形態では、3,6,7-トリメチルルマジンの起源は蜂蜜である。一実施形態では、蜂蜜は、実質的に、ネズモドキ属(Leptospermum)に由来する花起源のものである。一実施形態では、蜂蜜は、実質的に、ギョリュウバイ(Leptospermum scoparium)、レプトスペルマム・ポリガリフォリウム(Leptospermum polygalifolium)、レプトスペルマム・サブテニュー(Leptospermum subtenue)、及びそれらの組み合わせに由来する花起源のものである。
【0137】
一実施形態では、蜂蜜は、実質的に、ギョリュウバイ(Leptospermum scoparium)(マヌカとも称される)に由来する花起源のものである。
【0138】
特定の一実施形態では、3,6,7-トリメチルルマジンは、ネズモドキ属(Leptospermum)の植物に直接由来する。本発明の一実施形態では、3,6,7-トリメチルルマジンは、ネズモドキ属(Leptospermum)の植物の花蜜、根、果実、種子、樹皮、油、葉、木材、茎又はその他の植物材料に直接由来する。本発明の一実施形態では、3,6,7-トリメチルルマジンは、ネズモドキ属(Leptospermum)の植物の花蜜に直接由来する。一態様では、3,6,7-トリメチルルマジンは、実質的に、ギョリュウバイ(Leptospermum scoparium)、レプトスペルマム・ポリガリフォリウム(Leptospermum polygalifolium)、レプトスペルマム・サブテニュー(Leptospermum subtenue)、及びそれらの組み合わせを含む群から選択される植物に由来する。
【0139】
本発明の一実施形態では、3,6,7-トリメチルルマジンは合成品である。
【0140】
例えば、3,6,7-トリメチルルマジンは、参照により本明細書に援用され、以下に示されるように、ニュージーランド特許第722140号明細書として公開された本出願人の以前の特許に記載されるように合成されてもよい。
【0141】
以下のスキームを参照すると、3位の6-アミノウラシル(5)のN-メチル化は、Galaら(1997)の研究に従って、触媒量の硫酸(H2SO4)の存在下における、ヘキサメチルジシラザン(HDMS)での処理時の環外アミノ基とカルボニル基のシリル化を介して達成された。硫酸アンモニウムもまた、触媒として使用され得る。次に、有機溶媒としてジメチルホルムアミド(DMF)の存在下でヨードメタン(Mel)を使用して、2段階で71%の収率でメチル化がもたらされた。硫酸ジメチルもまた、メチル化剤として使用され得る。引き続く水性後処理中の脱シリル化により、78%の収率で6-アミノ-3-メチルウラシル(6)がもたらされた。
【0142】
次に、アミノウラシル(6)は亜硝酸ナトリウム(NaNO2)及び酢酸(AcOH)溶液で処理され、水性溶媒アンモニア(NH3)中の亜ジチオン酸ナトリウム(Na2S2O4)による70℃での還元がそれに続き(Chaudhari et al.,2009)、2段階で31%の収率で5,6-ジアミノ-3-メチルウラシル(7)がもたらされた。ニトロソ化の最初の工程で使用され得る代替の酸としては、塩酸が挙げられる。亜硝酸ナトリウムと酢酸による最初の工程の還元の代替法は、水性又は有機溶媒中でのパラジウム炭素又は二酸化白金などの触媒を使用した接触水素化である。
【0143】
エタノール(EtOH)及び酢酸(AcOH)溶液中でのジアミノウラシル(7)と2,3-ブタンジオン(8)の縮合により、3,6,7-トリメチルルマジン(3)が無色の固体として得られた。凝縮工程で使用するための代替の酸は塩酸である。合成3,6,7-トリメチルルマジンの分光データ(UV-vis、IR、
1H NMR、
13C NMR)は、単離天然物のデータと非常に良く一致した。さらに、天然物と合成物の双方の
1H NMRスペクトルは、別々の天然物と合成物の
1H NMRスペクトルと同一であった。したがって、3,6,7-トリメチルルマジン(3)の構造は、3,6,7-トリメチルルマジンとして明確に確立された。
【化1】
【0144】
化合物(9)
【化2】
の代案の合成は、下に示される中間体化合物
【化3】
のN-3でのメチル化を介し、又は以下に示す中間化合物の、クルチウス、ホフマン、ロッセン、又はシュミット転位によって生成されたものをはじめとするがこれらに限定されるものではない一過性イソシアネート種への形質転換を介する。
【化4】
【0145】
上記を参照すると、3位の6-アミノウラシル(5)のN-重水素化メチル化は、触媒量の硫酸(H2SO4)の存在下における、ヘキサメチルジシラザン(HDMS)での処理時の環外アミノ基とカルボニル基のシリル化を介して達成された。次に、有機溶媒としてジメチルホルムアミド(DMF)の存在下でヨードメタン-d3(CD3l)を使用して、2段階で71%の収率でメチル化がもたらされた。引き続く水性処理中の脱シリル化により、78%の収率で6-アミノ-3-(2H3)-メチルウラシル(9)がもたらされた。
【0146】
次に、アミノウラシル(6)は亜硝酸ナトリウム(NaNO2)及び酢酸(AcOH)溶液で処理され、水性溶媒アンモニア(NH3)中の亜ジチオン酸ナトリウム(Na2S2O4)による70℃での還元がそれに続き(Chaudhari et al.,2009)、2段階で31%の収率で5,6-ジアミノ-3-(2H3)-メチルウラシル(10)がもたらされた。ニトロソ化の最初の工程で使用され得る代替の酸としては、塩酸が挙げられる。亜硝酸ナトリウムと酢酸による最初の工程の還元の代替法は、水性又は有機溶媒中でのパラジウム炭素又は二酸化白金などの触媒を使用した接触水素化である。
【0147】
エタノール(EtOH)及び酢酸(AcOH)溶液中でのジアミノウラシル(10)と2,3-ブタンジオン(8)の縮合により、3,6,7-(3-2H3)トリメチルルマジン(11)が無色の固体として得られた。
【0148】
材料と方法:全ての反応は、乾燥窒素雰囲気下で火炎乾燥又はオーブン乾燥したガラス器具内で実施された。全ての試薬は試薬等級として購入され、さらに精製することなく使用された。ジメチルホルムアミドは脱気され、LC Technical SP-1溶媒精製装置を使用して乾燥させた。エタノールは、Mg(OEt)2上で蒸留された。酢酸エチル、メタノール、及び石油エーテルは、使用前に蒸留された。全てのその他の溶剤は、特に明記されない限り、受領された形態で使用された。固相抽出(SPE)は、StrataC18E70Å、55μm 20g/60mLカラムを使用して実施された。RP-HPLCは、Agilent 1100で、Jupiter C18 300Å、5μm、2.0mm×250mmカラムを使用して、0.2mL/分の流速で、DAD検出器を262、280、及び320nmで動作させて実施された。5%B~100%Bの適切に調整された勾配が使用され、溶媒AはH2O中の0.1%HCOOHであり、BはMeCN中の20%Aであった。フラッシュクロマトグラフィーは、0.063~0.1mmのシリカゲルと所望の溶媒を使用して実行された。薄層クロマトグラフィー(TLC)は、0.2mm KieselgelF254(Merck)シリカプレートを使用して実施され、化合物は、254又は365nmでのUV照射、及び/又は水酸化ナトリウム水溶液中の過マンガン酸カリウム及び炭酸カリウム溶液による染色を使用して視覚化された。分取TLCは、500μm、20×20cm Uniplate(商標)(Analtech)シリカゲルTLCプレートを使用して実施され、化合物は、254又は365nmでのUV照射を使用して可視化された。融点はコフラーKoflerホットステージ装置上で測定され、補正されていない。赤外線スペクトルは、フィルムATR試料採取アクセサリ上で、Perkin-Elmer Spectrum 100 FTIR分光計を使用して取得された。吸収極大は、波数(cm-1)で表される。NMRスペクトルは、1H核の場合は400MHz、13C核の場合は100MHzで動作するBruker Avance 400分光計;1H核の場合は400MHz、13C核の場合は100MHzで動作するBruker DRX-400分光計;1H核の場合は500MHz、13C核の場合は125MHzで動作するBruker Avance AVIII-HD500分光計;又は1H核の場合は600MHz、13C核の場合は150MHzで動作するBruker Avance 600分光計のいずれかに示されているように記録された。1H及び13Cの化学シフトは、CDCl3(1H及び13C)又は(CD3)2SO(1H及び13C)と比較した百万分率(ppm)で報告される。15N化学シフトは、Brukerライブラリ関数「xiref」によって実装された一体化されたΞi尺度(Harris et al.、2008)を使用して参照された。1H NMRデータは、化学シフト、相対積分、多重度(s、一重項、割付)として報告される。割付は、必要に応じてCOSY、NOESY、HSQC、及びHMBC実験の助けを借りて行なわれた。高分解能質量スペクトルは、ESIイオン化源を備えたBruker micrOTOF-Q II質量分析計上で記録された。紫外可視スペクトルは、島津UV-2101PC走査型分光光度計上で、H2O溶液として実行された。
【0149】
一実施形態では、本発明は、上に記載されている方法で使用するためのa3,6,7-トリメチルルマジンを含む組成物を提供する。一実施形態では、組成物は、治療的有効量の3,6,7-トリメチルルマジンを含む。
【0150】
本発明の一実施形態では、3,6,7-トリメチルルマジンを含む組成物は、蜂蜜を含む。特定の一実施形態では、3,6,7-トリメチルルマジンを含む組成物は、蜂蜜からなる。
【0151】
一実施形態では、蜂蜜は、実質的に、ネズモドキ属(Leptospermum)に由来する花起源のものである。一実施形態では、蜂蜜は、実質的に、ギョリュウバイ(Leptospermum scoparium)、レプトスペルマム・ポリガリフォリウム(Leptospermum polygalifolium)、レプトスペルマム・サブテニュー(Leptospermum subtenue)、及びそれらの組み合わせを含む群から選択される植物に由来する。
【0152】
一実施形態では、組成物は、約2.5μg/mL~約80μg/mLの3,6,7-トリメチルルマジンを含む。一実施形態では、組成物は、約2.5μg/mL、約5μg/mL、約10μg/mL、約20μg/mL、約40μg/mL、約50μg/mL、約60μg/mL、約70μg/mL又は約80μg/mLの3,6,7-トリメチルルマジンを含み、又はその中では、組成物は、2.5μg/mL~5μg/mL、又は5μg/mL~10μg/mL、又は10μg/mL~20μg/mL、又は20μg/mL~40μg/mL、又は40μg/mL~50μg/mL、又は50μg/mL~約60μg/mL、又は60μg/mL~70μg/mL、又は70μg/mL~80μg/mLの3,6,7-トリメチルルマジンの濃度の3,6,7-トリメチルルマジンを含む。
【0153】
一実施形態では、組成物は、約5~約80mg/kgの3,6,7-トリメチルルマジンを含む。一実施形態では、組成物は、約5mg/kg、約10mg/kg、約15mg/kg、約20mg/kg、約25mg/kg、約30mg/kg、約35mg/kg、約40mg/kg、約45mg/kg、約50mg/kg、約55mg/kg、約60mg/kg、約70mg/kg又は約80mg/kgの3,6,7-トリメチルルマジンを含み、又はその中では、組成物は、5~10mg/kg、又は10~15mg/kg、又は15~20mg/kg、又は20~25mg/kg、又は25~30mg/kg、又は30~35mg/kg、又は35~40mg/kg、又は40~45mg/kg、又は45~50mg/kg、又は50~55mg/kg、又は55~60mg/kg、又は60~70mg/kg又は70~80mg/kgの濃度の3,6,7-トリメチルルマジンを含む。
【0154】
一実施形態では、蜂蜜は、未加工蜂蜜である。一実施形態では、蜂蜜は、当業者に良く知られた方法に従って、加熱処理又は低温殺菌されている。
【0155】
特定の一実施形態では、組成物は、蜂蜜抽出物を含む。一実施形態では、組成物は、蜂蜜抽出物からなる。
【0156】
一実施形態では、蜂蜜抽出物は、蜂蜜に天然に存在することが認められる3,6,7-トリメチルルマジンの濃度よりも高い濃度の3,6,7-トリメチルルマジンを含む。
【0157】
一実施形態では、蜂蜜抽出物は、抽出物がそれに由来する蜂蜜に天然に存在することが認められる3,6,7-トリメチルルマジンの濃度よりも高い濃度の3,6,7-トリメチルルマジンを含む。
【0158】
一実施形態では、抽出物がそれに由来する蜂蜜は、実質的にギョリュウバイ属(Leptospermum)に由来する花起源のものである。一実施形態では、抽出物がそれに由来する蜂蜜は、実質的に、ギョリュウバイ(Leptospermum scoparium)、レプトスペルマム・ポリガリフォリウム(Leptospermum polygalifolium)、レプトスペルマム・サブテニュー(Leptospermum subtenue)、及びそれらの組み合わせを含む群から選択される植物に由来する。
【0159】
一実施形態では、抽出物は、約2.5μg/mL~約1000μg/mLの3,6,7-トリメチルルマジンを含む。一実施形態では、抽出物は、約2.5μg/mL、約5μg/mL、約10μg/mL、約20μg/mL、約40μg/mL、約50μg/mL、約60μg/mL、約70μg/mL,約80μg/mL、約90μg/mL、約100μg/mL、150μg/mL、約200μg/mL、約250μg/mL、約300μg/mL、約350μg/mL、約400μg/mL、約450約500μg/mL、約550μg/mL、約600μg/mL、約650μg/mL、約700μg/mL、約750μg/mL、約800μg/mL、約850μg/mL、約900μg/mL、約950μg/mL、~約1000の3,6,7-トリメチルルマジンを含み、又はその中では、組成物は、約2.5~5μg/mL、約5~10μg/mL、約10~20μg/mL、約20~40μg/mL、約40~50μg/mL、約50~60μg/mL、約60~70μg/mL、約70~80μg/mL、約80~90μg/mL、約90~100μg/mL、約100~150μg/mL、150~200μg/mL、約200~250μg/mL、約250~300μg/mL、約300~350μg/mL、約350~400μg/mL、約400~450μg/mL、約450~500μg/mL、約500~550μg/mL、約550~600μg/mL、約600~650μg/mL、約650~700μg/mL、約700~750μg/mL、約750~800μg/mL、約800~850μg/mL、約850~900μg/mL、約900~950μg/mL、約950~1000μg/mLの3,6,7-トリメチルルマジンを含む。
【0160】
一実施形態では、抽出物は、約5~約3000mg/kgの3,6,7-トリメチルルマジンを含む。一実施形態では、抽出物は、約5mg/kg、約10mg/kg、約15mg/kg、約20mg/kg、約25mg/kg、約30mg/kg、約35mg/kg、約40mg/kg、約45mg/kg、約50mg/kg、約55mg/kg、約60mg/kg、約70mg/kg、約80mg/kg、約90mg/kg、約100mg/kg、約150mg/kg、約200mg/kg、約250mg/kg、約300mg/kg、約350mg/kg、約400mg/kg、約450mg/kg、約500mg/kg、約550mg/kg、約600mg/kg、約650mg/kg、約700mg/kg、約750mg/kg、約800mg/kg、約850mg/kg、約900mg/kg、約950mg/kg、約1000mg/kg、約1100mg/kg、約1200mg/kg、約1300mg/kg、約1400mg/kg、約1500mg/kg、約1600mg/kg、約1700mg/kg、約1800mg/kg、約1900mg/kg、約2000mg/kg、約2100mg/kg、約2200mg/kg、約2300mg/kg、約2400mg/kg、約2500mg/kg、約2600mg/kg、約2700mg/kg、約2800mg/kg、約2900mg/kg~約3000mg/kgの3,6,7-トリメチルルマジンを含み、又はその中では、抽出物は、5~10mg/kg、又は10~15mg/kg、又は15~20mg/kg、又は20~25mg/kg、又は25~30mg/kg、又は30~35mg/kg、又は35~40mg/kg、又は40~45mg/kg、又は45~50mg/kg、又は50~55mg/kg、又は55~60mg/kg、又は60~70mg/kg又は70~80mg/kg、約90~100mg/kg、約100~150mg/kg、約150~200mg/kg、約200mg/kg、約250~300mg/kg、約300~350mg/kg、約350~400mg/kg、約400~450mg/kg、約450~500mg/kg、約500~550mg/kg、約550~600mg/kg、約600~650mg/kg、約650~700mg/kg、約700~750mg/kg、約750~800mg/kg、約800~850mg/kg、約850~900mg/kg、約900~950mg/kg、約950~1000mg/kg、約1000~1100mg/kg、約1100~1200mg/kg、約1200~1300mg/kg、約1300~1400mg/kg、約1400~1500mg/kg、約1500~1600mg/kg、約1600~1700mg/kg、約1700~1800mg/kg、約1800~1900mg/kg、約1900~2000mg/kg、約2000~2100mg/kg、約2100~2200mg/kg、約2200~2300mg/kg、約2300~2400mg/kg、約2400~2500mg/kg、約2500~2600mg/kg、約2600~2700mg/kg、約2700~2800mg/kg、約2800~2900mg/kg、約2900~3000mg/kgの濃度の3,6,7-トリメチルルマジンを含む。
【0161】
一実施形態では、組成物は、少なくとも0.1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%又は100%の3,6,7-トリメチルルマジンを含む。
【0162】
一実施形態では、組成物は蜂蜜抽出物を含み、蜂蜜をさらに含む。
【0163】
一実施形態では、組成物は、蜂蜜から単離された単離3,6,7-トリメチルルマジンを含む。一実施形態では、蜂蜜は、実質的に、ネズモドキ属(Leptospermum)に由来する花起源のものである。一実施形態では、蜂蜜は、実質的に、ギョリュウバイ(Leptospermum scoparium)、レプトスペルマム・ポリガリフォリウム(Leptospermum polygalifolium)、レプトスペルマム・サブテニュー(Leptospermum subtenue)、及びそれらの組み合わせを含む群から選択される植物に由来する。
【0164】
一実施形態では、3,6,7-トリメチルルマジンは、当業者に良く知られた任意の方法によって単離される。一実施形態では、3,6,7-トリメチルルマジンは、蜂蜜をSPE(固相抽出)に供し、続いて順相フラッシュクロマトグラフィー及び分取TLC(薄層クロマトグラフィー)に供することによって単離される。
【0165】
一実施形態では、3,6,7-トリメチルルマジンは、参照により本明細書に援用され、以下に示されるように、ニュージーランド特許第722140号明細書として公開された本出願人の以前の特許に記載されている方法によって単離される。
【0166】
3,6,7-トリメチルルマジンの化学的単離
未加工マヌカ蜂蜜(51.3g)は、H2O+0.1%HCOOH(150mL)に溶解され、20分間超音波処理された。得られた懸濁液はセライトで濾過され、濾液は続く工程で使用された。
【0167】
濾液は100mLの2つの部分に分割され、各部分はMeOH-H2O+0.1%HCOOH(1:9、80mL)を使用してSPEに供されて、望まれない物質が除去された。次にMeOH-H2O+0.1%HCOOH(4:1、80mL)を使用して、所望の画分が溶出された。2つの画分を合わせて濃縮し、粗抽出物(0.23g)を得て、それをフラッシュクロマトグラフィー(1:4の石油エーテル-EtOAc)によってさらに精製し、精製抽出物(3mg)が褐色の固体として得られた。
【0168】
いくつかの精製抽出物を合わせて(合計6mg)分取TLC(1:3の石油エーテル-EtOAc、4回)でさらに精製し、3(4mg)(以下に示す)が無色の固体として得られた。
【化5】
【0169】
HPLCを使用して、ネズモドキ属(Leptospermum)、ユーカリ属(Eucalyptus)、クンゼア属(Kunzea)、及びクニグチア属(Knightia)の種に由来するニュージーランド及びオーストラリアの蜂蜜を調べ、ネズモドキ属(Leptospermum)蜂蜜の提案されたバイオマーカーであるレプトスペリン(4)の存在を確認したところ(Kato et al.2012及び2014;Aitken,et al.2013;以下に示すような構造)、320nmで予想外のUV吸光度が認められた。
【化6】
【0170】
このピークは、レプトスペリンが検出されなかったL.サブテニュー(L.subtenue)由来の蜂蜜をはじめとするネズモドキ属(Leptospermum)の蜂蜜(ギョリュウバイ(L.scoparium)、ギョリュウバイ変種エクシミウム(L.scoparium var.eximium(exinium))、L.ポリガリフォリウム(L.polygalifolium)、L.サブテニュー(L.subtenue)のみで観察された。固相抽出(SPE)とそれに続く逆相HPLCの使用によって、320nmでUV吸光度を示す化合物の精製が可能になった。しかしこの方法は時間がかかり、歩留まりが低く、拡張性がないため、より効率的な単離法が求められていた。マヌカ蜂蜜をSPEに供し、それに続く順相フラッシュクロマトグラフィーと分取TLCにより、分光分析を実施するのに十分な量の無色の固体として3,6,7-トリメチルルマジンの単離が可能になった。
【0171】
本発明の一実施形態では、組成物は、合成3,6,7-トリメチルルマジン又は単離3,6,7-トリメチルルマジンを含む。一実施形態では、組成物は蜂蜜をさらに含む。一実施形態では、組成物は、合成3,6,7-トリメチルルマジンと蜂蜜からなる。一実施形態では、組成物は、単離3,6,7-トリメチルルマジンと蜂蜜からなる。
【0172】
一実施形態では、蜂蜜は、実質的に、ネズモドキ属(Leptospermum)に由来する花起源のものである。一実施形態では、蜂蜜は、実質的に、ギョリュウバイ(Leptospermum scoparium)、レプトスペルマム・ポリガリフォリウム(Leptospermum polygalifolium)、レプトスペルマム・サブテニュー(Leptospermum subtenue)、及びそれらの組み合わせを含む群から選択される植物に由来する。
【0173】
一実施形態では、組成物は、約2.5μg/mL~約1000μg/mLの3,6,7-トリメチルルマジンの合成3,6,7-トリメチルルマジン又は単離3,6,7-トリメチルルマジンを含む。一実施形態では、組成物は、約2.5μg/mL、約5μg/mL、約10μg/mL、約20μg/mL、約40μg/mL、約50μg/mL、約60μg/mL、約70μg/mL、約80μg/mL、約90μg/mL、約100μg/mL、150μg/mL、約200μg/mL、約250μg/mL、約300μg/mL、約350μg/mL、約400μg/mL、約450約500μg/mL、約550μg/mL、約600μg/mL、約650μg/mL、約700μg/mL、約750μg/mL、約800μg/mL、約850μg/mL、約900μg/mL、約950μg/mL~約1000μg/mLの合成3,6,7-トリメチルルマジン又は単離3,6,7-トリメチルルマジンを含み、又はその中では、組成物は、約2.5~5μg/mL、約5~10μg/mL、約10~20μg/mL、約20~40μg/mL、約40~50μg/mL、約50~60μg/mL、約60~70μg/mL、約70~80μg/mL、約80~90μg/mL、約90~100μg/mL、約100~150μg/mL、150~200μg/mL、約200~250μg/mL、約250~300μg/mL、約300~350μg/mL、約350~400μg/mL、約400~450μg/mL、約450~500μg/mL、約500~550μg/mL、約550~600μg/mL、約600~650μg/mL、約650~700μg/mL、約700~750μg/mL、約750~800μg/mL、約800~850μg/mL、約850~900μg/mL、約900~950μg/mL、約950~1000μg/mLの合成3,6,7-トリメチルルマジン又は単離3,6,7-トリメチルルマジンを含む。
【0174】
一実施形態では、組成物は、約5mg/kg~約3000mg/kgの合成3,6,7-トリメチルルマジン又は単離3,6,7-トリメチルルマジンを含む。一実施形態では、組成物は、約5mg/kg、約10mg/kg、約15mg/kg、約20mg/kg、約25mg/kg、約30mg/kg、約35mg/kg、約40mg/kg、約45mg/kg、約50mg/kg、約55mg/kg、約60mg/kg、約70mg/kg、約80mg/kg、約90mg/kg、約100mg/kg、約150mg/kg、約200mg/kg、約250mg/kg、約300mg/kg、約350mg/kg、約400mg/kg、約450mg/kg、約500mg/kg、約550mg/kg、約600mg/kg、約650mg/kg、約700mg/kg、約750mg/kg、約800mg/kg、約850mg/kg、約900mg/kg、約950mg/kg、約1000mg/kg、約1100mg/kg、約1200mg/kg、約1300mg/kg、約1400mg/kg、約1500mg/kg、約1600mg/kg、約1700mg/kg、約1800mg/kg、約1900mg/kg、約2000mg/kg、約2100mg/kg、約2200mg/kg、約2300mg/kg、約2400mg/kg、約2500mg/kg、約2600mg/kg、約2700mg/kg、約2800mg/kg、約2900mg/kg~約3000mg/kgの合成3,6,7-トリメチルルマジン又は単離3,6,7-トリメチルルマジンを含み、又はその中では、組成物は、5~10mg/kg、又は10~15mg/kg、又は15~20mg/kg、又は20~25mg/kg、又は25~30mg/kg、又は30~35mg/kg、又は35~40mg/kg、又は40~45mg/kg、又は45~50mg/kg、又は50~55mg/kg、又は55~60mg/kg、又は60~70mg/kg又は70~80mg/kg、約90~100mg/kg、約100~150mg/kg、約150~200mg/kg、約200mg/kg、約250~300mg/kg、約300~350mg/kg、約350~400mg/kg、約400~450mg/kg、約450~500mg/kg、約500~550mg/kg、約550~600mg/kg、約600~650mg/kg、約650~700mg/kg、約700~750mg/kg、約750~800mg/kg、約800~850mg/kg、約850~900mg/kg、約900~950mg/kg、約950~1000mg/kg、約1000~1100mg/kg、約1100~1200mg/kg、約1200~1300mg/kg、約1300~1400mg/kg、約1400~1500mg/kg、約1500~1600mg/kg、約1600~1700mg/kg、約1700~1800mg/kg、約1800~1900mg/kg、約1900~2000mg/kg、約2000~2100mg/kg、約2100~2200mg/kg、約2200~2300mg/kg、約2300~2400mg/kg、約2400~2500mg/kg、約2500~2600mg/kg、約2600~2700mg/kg、約2700~2800mg/kg、約2800~2900mg/kg、約2900~3000mg/kgの合成3,6,7-トリメチルルマジン又は単離3,6,7-トリメチルルマジンを含む。
【0175】
一実施形態では、組成物は、0.1%~100%の3,6,7-トリメチルルマジンを含む。一実施形態では、組成物は、少なくとも0.1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%又は実質的に純粋な3,6,7-トリメチルルマジンを含む。
【0176】
蜂蜜由来の3,6,7-トリメチルルマジン及び/又は合成3,6,7-トリメチルルマジンを含む組成物は、副作用がないと予想される。3,6,7-トリメチルルマジンはいくつかの蜂蜜に天然に存在し、3,6,7-トリメチルルマジンを含有するこのような蜂蜜は、長年にわたって販売及び消費されてきた。
【0177】
3,6,7-トリメチルルマジンを含む組成物は、薬剤、治療用製品、又は健康補助食品として調合されてもよい。
【0178】
一実施形態では、3,6,7-トリメチルルマジンを含む組成物は、薬剤、治療用製品、又は健康補助食品として調合される。一実施形態では、3,6,7-トリメチルルマジンを含む組成物は、液体製剤、カプセル、日用消費財、チュアブル錠、錠剤、坐薬、静脈内製剤、筋肉内製剤、皮下製剤、溶液、食用、飲料、栄養補助食品、化粧品配合物、ジェル、ローション、粉末又はスプレーをはじめとするがこれらに限定されるものではない、一連の送達システムに調合される。
【0179】
特定の一実施形態では、上記の本発明の方法は、約1mg~約3000mgの3,6,7-トリメチルルマジンを含む組成物を投与することを含む。特定の一実施形態では、上記の本発明の方法は、約1mg、10mg、20mg、30mg、40mg、50mg、60mg、70mg、80mg、90mg、100mg、150mg、200mg、250mg、300mg、350mg、400mg、450mg、500mg、550mg、600mg、650mg、700mg、750mg、800mg、850mg、900mg、950mg、1000mg、1100mg、1200mg、1300mg、1400mg、1500mg、1600mg、1700mg、1800mg、1900mg、2000mg、2100mg、2200mg、2300mg、2400mg、2500mg、2600mg、2700mg、2800mg、2900mg、3000mgの3,6,7-トリメチルルマジンを含む組成物の投与することを含む。
【0180】
特定の一実施形態では、上記の本発明の方法は、3,6,7-トリメチルルマジンを含む組成物を投与することを含み、その中では、組成物は、蜂蜜又は蜂蜜抽出物である。一実施形態では、本発明の方法における蜂蜜は、約5g~約100gの用量で投与される。一実施形態では、蜂蜜は、約5g、10g、15g、20g、25g、30g、40g、50g、60g、70g、80g、90g、100gの用量で投与される。一実施形態では、蜂蜜は、小さじ約1杯から大さじ約5杯の蜂蜜に相当する用量で投与される。一実施形態では、蜂蜜は、単回用量又は複数回用量として投与される。
【0181】
一実施形態では、3,6,7-トリメチルルマジンを含む組成物は、単回用量又は分割用量として投与される。一実施形態では、3,6,7-トリメチルルマジンを含む組成物は、1、2、3又は4回の別々の用量として投与される。
【0182】
特定の一実施形態では、上記の本発明の方法は、3,6,7-トリメチルルマジンを含む組成物を毎日1、2、3又は4回投与することを含む。別の実施形態では、上記の本発明の方法は、3,6,7-トリメチルルマジンを含む組成物を毎週1、2、3、4、5、6又は7回投与することを含む。
【0183】
3,6,7-トリメチルルマジンの濃度は、蜂蜜サンプル毎に大幅に変動し得る。したがって、本発明の本明細書に記載の特定の一実施形態では、蜂蜜を含む組成物は、3,6,7-トリメチルルマジンの標準化濃度を有する。
【0184】
一実施形態では、3,6,7-トリメチルルマジンを含む組成物は、
- 既知の濃度の3,6,7-トリメチルルマジンを有する第1の組成物を選択することと、
- 既知の濃度の3,6,7-トリメチルルマジンを有する少なくとも1つのさらなる組成物を選択することと、
- 第1の組成物を第2の組成物と組み合わせて、約5mg/kg~約3000mg/kgの標準化3,6,7-トリメチルルマジン濃度を有する最終組成物を得ることと
によって得られる、3,6,7-トリメチルルマジンの標準化濃度を有する。
【0185】
一実施形態では、3,6,7-トリメチルルマジンを含む組成物は、
- 既知の濃度の3,6,7-トリメチルルマジンを有する第1の組成物を選択することと、
- 選択された第1の組成物を
○ 合成3,6,7-トリメチルルマジン、
○ 単離3,6,7-トリメチルルマジン、
○ 3,6,7-トリメチルルマジンを含む蜂蜜抽出物、及び/又は
○ ネズモドキ属(Leptospermum)の植物に直接由来する3,6,7-トリメチルルマジン
の1つ又は複数と組み合わせて、約5mg/kg~約3000mg/kgの標準化3,6,7-トリメチルルマジン濃度の組成物を形成することと
によって得られる、3,6,7-トリメチルルマジンの標準化濃度を有する。
【0186】
一実施形態では、3,6,7-トリメチルルマジンを含む組成物は、
- 既知の濃度の3,6,7-トリメチルルマジンを有する蜂蜜を含む第1の組成物を選択することと、
- 蜂蜜を含む選択された第1の組成物を
○ 合成3,6,7-トリメチルルマジン、
○ 単離3,6,7-トリメチルルマジン、及び
○ 3,6,7-トリメチルルマジンを含む蜂蜜抽出物、及び/又は
○ ネズモドキ属(Leptospermum)の植物に直接由来する3,6,7-トリメチルルマジン
の1つ又は複数と組み合わせて、約5~約3000mg/kgの標準化3,6,7-トリメチルルマジン濃度の組成物を形成することと
によって得られる、3,6,7-トリメチルルマジンの標準化濃度を有する。
【0187】
一実施形態では、組成物は、蜂蜜、蜂蜜抽出物、単離3,6,7-トリメチルルマジン及び/又は合成3,6,7-トリメチルルマジンを含む。
【0188】
一実施形態では、植物に直接由来する3,6,7-トリメチルルマジンは、ネズモドキ属(Leptospermum)の植物の花、花蜜、根、果実、種子、樹皮、油、葉、木材、茎又はその他の植物材料に直接由来する。
【0189】
一実施形態では、標準化3,6,7-トリメチルルマジン濃度は、約2.5μg/mL~約1000μg/mLの3,6,7-トリメチルルマジンである。一実施形態では、標準化3,6,7-トリメチルルマジン濃度は、約2.5μg/mL、約5μg/mL、約10μg/mL、約20μg/mL、約40μg/mL、約50μg/mL、約60μg/mL、約70μg/mL,約80μg/mL、約90μg/mL、約100μg/mL、150μg/mL、約200μg/mL、約250μg/mL、約300μg/mL、約350μg/mL、約400μg/mL、約450約500μg/mL、約550μg/mL、約600μg/mL、約650μg/mL、約700μg/mL、約750μg/mL、約800μg/mL、約850μg/mL、約900μg/mL、約950μg/mL、~約1000の3,6,7-トリメチルルマジンである。
【0190】
一実施形態では、標準化3,6,7-トリメチルルマジン濃度は、約5mg/kg~約3000mg/kgである。一実施形態では、標準化3,6,7-トリメチルルマジン濃度は、約5mg/kg、約10mg/kg、約15mg/kg、約20mg/kg、約25mg/kg、約30mg/kg、約35mg/kg、約40mg/kg、約45mg/kg、約50mg/kg、約55mg/kg、約60mg/kg、約70mg/kg、約80mg/kg、約90mg/kg、約100mg/kg、約150mg/kg、約200mg/kg、約250mg/kg、約300mg/kg、約350mg/kg、約400mg/kg、約450mg/kg、約500mg/kg、約550mg/kg、約600mg/kg、約650mg/kg、約700mg/kg、約750mg/kg、約800mg/kg、約850mg/kg、約900mg/kg、約950mg/kg、約1000mg/kg、約1100mg/kg、約1200mg/kg、約1300mg/kg、約1400mg/kg、約1500mg/kg、約1600mg/kg、約1700mg/kg、約1800mg/kg、約1900mg/kg、約2000mg/kg、約2100mg/kg、約2200mg/kg、約2300mg/kg、約2400mg/kg、約2500mg/kg、約2600mg/kg、約2700mg/kg、約2800mg/kg、約2900mg/kg~約3000mg/kgの3,6,7-トリメチルルマジンである。
【0191】
一実施形態では、3,6,7-トリメチルルマジンの濃度は、クロマトグラフィー、分析測定、分光光度法、及び/又は当業者に知られている任意のその他の方法によって判定される。一実施形態では、3,6,7-トリメチルルマジンの濃度は、逆相HPLC装置によって判定される。
【0192】
一実施形態では、蜂蜜中の3,6,7-トリメチルルマジン濃度は、参照により本明細書に援用される、ニュージーランド特許第722140号明細書に以前に記載されている方法によって判定される。
【0193】
別の特定の態様では、本発明は
a.蜂蜜を含む第1の組成物を3,6,7-トリメチルルマジン濃度について試験することと、
b.蜂蜜を含む少なくとも1つのさらなる組成物を3,6,7-トリメチルルマジン濃度について試験することと、
c.約5mg/kgの3,6,7-トリメチルルマジンを超える3,6,7-トリメチルルマジン濃度を有する蜂蜜を含む組成物を選択することと、
d.約5mg/kgの3,6,7-トリメチルルマジンを超える3,6,7-トリメチルルマジン濃度を有する蜂蜜を含む、少なくとも1つのさらなる組成物を選択することと、
e.蜂蜜を含む選択された組成物を組み合わせて、少なくとも約5~約80mg/kgの3,6,7-トリメチルルマジン濃度を有する蜂蜜組成物を形成することと
を含む、抗炎症性及び/又はMMP-9阻害活性を有する組成物を作製する方法を提供する。
【0194】
一実施形態では、約5mg/kg、約10mg/kg、約15mg/kg、約20mg/kg、約25mg/kg、約30mg/kg、約35mg/kg、約40mg/kg、約45mg/kg、約50mg/kg、約55mg/kg、約60mg/kg、約70mg/kg又は約80mg/kgを超える3,6,7-トリメチルルマジンの濃度を有する場合に、蜂蜜を含む組成物は、選択される。
【0195】
一実施形態では、方法は、抗炎症活性を有すると同定された組成物を、それが少なくとも約5~約80mg/kgの3,6,7-トリメチルルマジン濃度を有することを識別するラベルと共に包装することをさらに含む。特定の一実施形態では、少なくとも約5mg/kg、約10mg/kg、約15mg/kg、約20mg/kg、約25mg/kg、約30mg/kg、約35mg/kg、約40mg/kg、約45mg/kg、約50mg/kg、約55mg/kg、約60mg/kg、約70mg/kg又は約80mg/kgの3,6,7-トリメチルルマジン。一実施形態では、少なくとも5~10mg/kg、又は10~15mg/kg、又は15~20mg/kg、又は20~25mg/kg、又は25~30mg/kg、又は30~35mg/kg、又は35~40mg/kg、又は40~45mg/kg、又は45~50mg/kg、又は50~55mg/kg、又は55~60mg/kg、又は60~70mg/kg又は70~80mg/kgの3,6,7-トリメチルルマジン。
【0196】
特定の一実施形態では、組成物は、蜂蜜又は蜂蜜抽出物である。
【0197】
一実施形態では、抗炎症活性を有する組成物は、上記及び下記の方法のいずれか1つでの使用に適する。
【0198】
一実施形態では、3,6,7-トリメチルルマジンの濃度は、クロマトグラフィー、分析測定、分光光度法、及び/又は当業者に知られている任意のその他の方法によって判定される。一実施形態では、3,6,7-トリメチルルマジンの濃度は、逆相HPLC装置によって判定される。
【0199】
一実施形態では、3,6,7-トリメチルルマジン濃度は、参照により本明細書に援用される、ニュージーランド特許第722140号明細書に以前に記載されている方法によって判定される。
【0200】
別の特定の態様では、本発明は、
a.組成物を3,6,7-トリメチルルマジン濃度について試験することと、
i.組成物が、約5~約80mg/kgの3,6,7-トリメチルルマジンを超える3,6,7-トリメチルルマジン濃度を含有する場合、抗炎症活性を有するとして同定することと、又は
ii.組成物が、約5mg/kgの3,6,7-トリメチルルマジンより低い3,6,7-トリメチルルマジン濃度を含有する場合、抗炎症活性を有さないとして同定することと
を含む、抗炎症性及び/又はMMP-9阻害活性を有する組成物を同定する方法を提供する。
【0201】
一実施形態では、組成物は、蜂蜜、蜂蜜抽出物、単離3,6,7-トリメチルルマジン及び/又は合成3,6,7-トリメチルルマジンを含む。
【0202】
一実施形態では、組成物が、約5mg/kg、約10mg/kg、約15mg/kg、約20mg/kg、約25mg/kg、約30mg/kg、約35mg/kg、約40mg/kg、約45mg/kg、約50mg/kg、約55mg/kg、約60mg/kg、約70mg/kg又は約80mg/kgを超えて含有する場合、抗炎症活性を有すると判定される。
【0203】
一実施形態では、方法は、抗炎症活性を有すると同定された組成物を、それが少なくとも約5~約80mg/kgの3,6,7-トリメチルルマジン濃度を有することと、抗炎症活性を有することとを識別するラベルと共に包装することをさらに含む。
【0204】
一実施形態では、抗炎症活性を有する組成物は、上記及び下記の方法のいずれか1つでの使用に適する。
【0205】
特定の一実施形態では、組成物は、蜂蜜又は蜂蜜抽出物である。
【0206】
別の特定の態様では、本発明は、
a.組成物を3,6,7-トリメチルルマジン濃度について試験することと、
i.それが、約5~約80mg/kgの3,6,7-トリメチルルマジンを超える3,6,7-トリメチルルマジン濃度を含有する場合、胃腸管の炎症に関連する状態を予防、改善又は治療する方法での使用に適する組成物であることを同定することと、又は
ii.それが、約5mg/kgの3,6,7-トリメチルルマジンより低い3,6,7-トリメチルルマジン濃度を含有する場合、胃腸管の炎症に関連する状態を予防、改善又は治療する方法での使用に適さない組成物であることを同定することと
を含む、胃腸管の炎症に関連する状態を予防、改善又は治療する方法での使用に適する、抗炎症及び/又はMMP-9阻害活性を有する組成物を同定する方法を提供する。
【0207】
一実施形態では、組成物は、蜂蜜、蜂蜜抽出物、単離3,6,7-トリメチルルマジン及び/又は合成3,6,7-トリメチルルマジンを含む。
【0208】
一実施形態では、胃腸管に関連する状態は、胃腸炎症性疾患、胃潰瘍(例えば消化性潰瘍)、胃炎、MMP関連炎症状態、炎症性腸疾患(IBD)、クローン病、潰瘍性大腸炎、過敏性腸症候群(IBS)、消化器疾患、胃食道逆流症(GERD)、胸焼け、胃酸逆流、ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)感染症、口腔内潰瘍、口内炎、咽頭炎、歯肉炎、食道潰瘍、精神神経疾患(統合失調症、双極性気分障害、多発性硬化症など)、神経変性障害(外傷性脳損傷、多発性硬化症、及びアルツハイマー病など)、心血管疾患、がん及び関節炎から選択される。
【0209】
一実施形態では、方法は、上記の方法によって同定された組成物を、少なくとも約5~約80mg/kgの3,6,7-トリメチルルマジン濃度を有することを識別するラベルと共に包装することをさらに含む。
【0210】
別の特定の態様では、本発明は、
a.蜂蜜のバッチを3,6,7-トリメチルルマジン濃度について試験することと、
i.それが、約5~約80mg/kgの3,6,7-トリメチルルマジンを超える3,6,7-トリメチルルマジン濃度を含有する場合、胃腸管の炎症を予防、改善又は治療する方法での使用に適する組成物であることを同定することと、又は
ii.それが、約5mg/kgの3,6,7-トリメチルルマジンより低い3,6,7-トリメチルルマジン濃度を含有する場合、胃腸管の炎症を予防、改善又は治療する方法での使用に適さない組成物であることを同定することと
を含む、胃腸管の炎症を予防、改善又は治療する方法での使用に適する、抗炎症及び/又はMMP-9阻害活性を有する組成物を同定する方法を提供する。
【0211】
一実施形態では、組成物は、蜂蜜、蜂蜜抽出物、単離3,6,7-トリメチルルマジン及び/又は合成3,6,7-トリメチルルマジンを含む。
【0212】
一実施形態では、胃腸炎症は、胃腸炎症性疾患、胃潰瘍(例えば消化性潰瘍)、胃炎、MMP関連炎症状態、炎症性腸疾患(IBD)、クローン病、潰瘍性大腸炎、過敏性腸症候群(IBS)、消化器疾患、胃食道逆流症(GERD)、胸焼け、胃酸逆流、ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)感染症、口腔内潰瘍、口内炎、咽頭炎、歯肉炎、食道潰瘍、精神神経疾患(統合失調症、双極性気分障害、多発性硬化症など)、神経変性障害(外傷性脳損傷、多発性硬化症、及びアルツハイマー病など)、心血管疾患、がん及び関節炎から選択される状態に関連する。
【0213】
一実施形態では、方法は、上記の方法によって同定された組成物を、少なくとも約5~約80mg/kgの3,6,7-トリメチルルマジン濃度を有することを識別するラベルと共に包装することをさらに含む。
【0214】
一実施形態では、3,6,7-トリメチルルマジンの濃度は、クロマトグラフィー、分析測定、分光光度法、及び/又は当業者に知られている任意のその他の方法によって判定されてもよい。一実施形態では、3,6,7-トリメチルルマジンの濃度は、逆相HPLC装置によって判定される。
【0215】
質量分析を用いたマヌカ蜂蜜中の3,6,7-トリメチルルマジンの定量化
本発明の一実施形態では、3,6,7-トリメチルルマジン濃度は、参照により本明細書に援用されて以下にコピーされる、同一出願人によって出願されたニュージーランド特許出願第722140号明細書に以前に記載された方法によって判定される。
【0216】
タンデム質量分析(LC-MS/MS)を用いて、3,6,7-トリメチルルマジン濃度を測定する定量的手法について説明する。より重い3,6,7-トリメチルルマジン同位体が合成され、マヌカ蜂蜜からのマトリックス効果を補償するための内部標準として用いられた。マヌカ蜂蜜には内因性化合物による干渉はなく、3Daの質量差は質量スペクトル上で明確に区別され得る。以下でさらに説明するLC-MS/MSの結果は、HPLC定量化及び蛍光分光からの以前のデータと強く相関する。したがって3,6,7-トリメチルルマジンは、3つの方法全てを使用して正確に判明され得る。LC-MS/MS定量化の結果は、HPLCの以前のデータよりも比較的低く、これは、同じHPLCピーク下における微量の共溶出化合物に起因してもよい。これらの発見は、定量的質量分析がマヌカ蜂蜜認証のための独立した又は相補的なアプローチとして使用されてもよいことを示す。
【0217】
LC-MS/MS法を検証するために、より重い3,6,7-トリメチルルマジン同位体の補給の前後に、典型的なマヌカ蜂蜜の質量スペクトルを取得した。示されるように、m/z210-212のマヌカ蜂蜜の内因性化合物からの有意な干渉ピークはなかった。同位体間の3Daの質量差は、質量スペクトル上で明確に特定されてもよい。マヌカ蜂蜜の最終的な試験濃度は、比較的高い質量スペクトル分解能を維持しながら糖濃度を下げるために、0.2%w/vに決定された。
【0218】
LC-MS/MS定量化
LCステージでは、内因性3,6,7-トリメチルルマジンと重同位体とが全く同じ時間(12.85分)に共溶出された。これらの異性体は、ほぼ同一のMS/MSスペクトルを示しながら、m/z189からm/z192への3Daの質量シフトによってのみ区別された。最も豊富な共通イオンは、148.05m/zで観測された。このフラグメントイオンで表される構造の部分には、重同位体は存在しなかった。3,6,7-トリメチルルマジンの定量にはこの共通イオンが採用され、バックグラウンド干渉が低減される。
【0219】
LC-MS/MSとHPLC定量化の比較
内因性3,6,7-トリメチルルマジン濃度は、質量分析定量化を用いて3-44mg/kgと定量化された。結果は、同じマヌカ蜂蜜サンプルのセットのHPLC分析からの以前のデータとの強い線形相関を実証した(R2=0.9517)。質量分析の結果は、以前のHPLC定量よりも比較的低かったことに留意すべきである(5~52mg/kg)。これは、その他のUV吸収化合物が、同じHPLCピークで3,6,7-トリメチルルマジンと共溶出された可能性があることを示唆する。
【0220】
質量分析定量からの結果はまた、ex330nm~em470nm(R2=0.8995)のシグネチャ蛍光と良好に相関する。
【0221】
3,6,7-トリメチルルマジンの構造解明
3,6,7-トリメチルルマジンの化学構造解明は、ニュージーランド特許出願第722140号明細書に記載されており、参照により本明細書に援用され、以下に示される。
【0222】
【0223】
上記表1を参照すると、陽イオンHRESIMSによって、未知化合物の分子式がC
9H
10N
4O
2であることが確定された。化合物は、CD
3OD及びCDCl
3に可溶性であり、後者には、CD
3ODで記録されたスペクトルには存在しないδ8.55ppm(H-1)における広範な共鳴が存在することから、NMRスペクトルの記録に使用された。このピークは、その化学シフト、及びIRスペクトルに特有のヒドロキシル吸収が存在しないことに基づいて、アミドプロトンとして割り当てられた。δ2.63ppm(H-10)及びδ2.67ppm(H-11)における2つの一重線は、それらの化学シフトに基づいてヘテロアリールメチル基として割り当てられ、δ3.50ppm(H-9)における残りの一重線は、2つの第四級カルボニル
13Cシグナル(C-2、C-4、下記参照)と等しい強度のHMBC相関、及びδ28.5ppm(C-9)の炭素信号とのHSQC相関のために、Nメチル基として割り当てられた。
【化7】
【0224】
それぞれδ292.0ppm及びδ329.9ppmにおける、H-10及びH-11~N-5及びN-8からの1H-15N HMBC相関は、これらの2つのメチル基がピラジン環に結合していることを示唆した。2,3-ジメチル置換パターンは、H-10~C-7及びH-11~C-6への1H-13CHMBC相関に基づいて割り当てられた。
【0225】
構造中の高度な不飽和度とピラジン環の存在を考慮して、この未知の化合物は縮合複素環構造であることが提案された。さらに、炭素C-2、C-4、及びC-4aの化学シフトと、ルマジン構造を含有する天然物中の類似炭素について報告されたシフトとの間に類似性が認められた(Pfleiderer,1984;Kakoi,et al.1995;Voerman,et al.,2005;Meyer,et al.2010;Chen,et al.2014)。この観察結果は、H-9からC-2及びC-4へのHMBC相関と、H-10からC-4aへの追加的な4結合カップリングと相まって、単離された化合物の構造の3,6,7-トリメチルルマジン(3)と暫定的割り当てをもたらした。
【0226】
3,6,7-トリメチルルマジン(3)は、1958年に最初に合成された(Curran & Angier,1958)。それ以来、それは関連するルマジンに関するいくつかの研究で報告されている(Pfleiderer & Fink,1963;Pfleiderer & Hutzenlaub,1973;Ritzmann & Pfleiderer,1973;Ram,et al.1977;Southon & Pfleiderer,1978;Uhlmann & Pfleiderer,1981;Ram,et al.1982;Bartke & Pfleiderer,1989;Acuna-Cueva,et al.2000)。ルマジン3の特性データは、融点(Curran & Angier,1958;Pfleiderer & Hutzenlaub,1973)、元素分析(Curran & Angier,1958)及びUV-visピーク(Pfleiderer & Hutzenlaub,1973;Ritzmann & Pfleiderer,1973;Uhlmann & Pfleiderer,1981)に限定されており;これまでのところ、NMR、MS、又はIRデータは報告されていない。
【0227】
上及び下で引用されている全ての出願、特許、及び刊行物の開示全体は、存在する場合、参照により本明細書に援用される。
【0228】
不確かさを回避するために、「組成物」という用語には、蜂蜜、蜂蜜抽出物、又は乾燥蜂蜜が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0229】
本明細書における任意の先行技術への言及は、その先行技術が世界のあらゆる国で努力傾注の分野における一般常識一部を形成するという承認でも又はいかなる形式の示唆でもなく、またそのように解釈されるべきではない。
【0230】
本発明はまた、本出願の明細書において個別に又は集合的に、部分、要素、又は特徴の2つ以上の任意の又は全ての組み合わせで言及されるか又は示される部分、要素、及び特徴にあると広く言うこともできる。
【0231】
その中では、前述の説明が、整数又はその既知の同等物を有する構成要素に言及されている場合、それらの整数は、あたかも個別に記載されているかのように本明細書に組み込まれる。
【0232】
本明細書に記載されている現在好ましい実施形態に対する様々な変更及び修正は、当業者には明らかであることに留意すべきである。このような変更及び修正は、本発明の精神と範囲を逸脱することなく、またそれに付随する利点を損なうことなく行われてもよい。したがって、このような変更及び修正は、本発明の範囲内に含まれることが意図される。
【実施例】
【0233】
ここで、上記で特定された組成物、薬剤、及び使用方法を、図及び特定の実施例を参照して説明する。
【0234】
実施例1-蛍光測定アッセイ
本実施例では、蛍光測定阻害剤スクリーニングが、MMP-9の潜在的阻害剤を同定するための迅速、高感度、高スループットな方法を提供する。
【0235】
方法及び材料
MMP-9阻害剤スクリーニングアッセイ(蛍光測定)キットは、Abcam(Melbourne,Australia)から購入した。蛍光測定キットは、組換えMMP-9酵素、MMP阻害剤NNGH(N-イソブチル-N-[4-メトキシフェニルスルホニル]グリシルヒドロキサム酸)、DMSOに可溶化したMMP蛍光発生基質、蛍光測定アッセイ緩衝液、及び96ウェル透明マイクロプレートを含有する。
【0236】
MMP-9に対する阻害活性は、市販のMMP-9阻害剤スクリーニングアッセイキットを使用して評価した。MMP-9活性は、SpectraMax iD3多重モードマイクロプレートリーダー(Molecular Devices、San Jose、USA)を使用して測定された蛍光強度の変化として表した。
【0237】
特定部位アッセイでは、FRETタグ付き(蛍光共鳴エネルギー移動)基質を使用し、これは、特定部位でMMP-9によって加水分解され得る(Abcam、2018)。FRET基質の切断は、クエンチされた蛍光Mca(7-メトキシクマリン-4-イル)-アセチル基を放出する(Abcam,2018)。キットは、クエンチされた蛍光発生基質Mca-Pro-Leu-Gly-Leu-Dpa-Ala-Arg-NH2を採用しており、Mca蛍光はMMPによる切断までDpaによってクエンチされる。MMP-9によって生成される蛍光生成物の量は、蛍光測定で検出され得て、酵素活性に比例する。蛍光をex320nm~em395nmで測定し、ex330nm~em470nmにおける3,6,7-トリメチルルマジンからの蛍光干渉を最小限に抑えた。アッセイは、キットに含まれる96ウェル透明マイクロプレート上で実施し、最終反応量は100μLであった。基質を添加する前に、MMP-9酵素を試験サンプル及び阻害剤対照と共に37℃で60分間インキュベートした。アッセイ前に蛍光基質を各ウェルに添加し、反応を開始した。アッセイを20分間実行し、反応チャンバー内の温度を37℃に設定した。
【0238】
上で概説したように調製された3,6,7-トリメチルルマジンを含む試験サンプルを調製した。
【0239】
MMP-9と蛍光基質のみを有する陽性対照を、阻害率を計算するための参照として使用した。陰性対照として、広域スペクトルMMP阻害剤NNGHを含めた。MMP-9を含まない試験濃度の3,6,7-トリメチルルマジンと、3,6,7-トリメチルルマジンによって生成される自家蛍光を測定するために不可欠な蛍光基質とを有する、一連の試験対照もまた含めた。
【0240】
結果
合成した3,6,7-トリメチルルマジンは、マヌカ蜂蜜に見られる2.5~40μg/ml(LC-MS/MSによる測定で3~44μg/ml)の濃度で、反応混合物に添加した。
図1に示されるように、蛍光強度の変化は、全ての3,6,7-トリメチルルマジンサンプル及び対照で直線的であった。NNGH陽性対照では、蛍光にほとんど変化はなかった。対照的に、阻害剤を含まない陰性対照では、蛍光の着実な増加が観察された。3,6,7-トリメチルルマジンサンプルは、その自家蛍光の性質のために、より高い初期蛍光を示した。本アッセイでは、各3,6,7-トリメチルルマジン濃度に対する蛍光対照を含めた。
【0241】
本研究では、
図2に示されるように、試験された全ての濃度の3,6,7-トリメチルルマジンは、MMP-9に対して12%~99%の範囲の阻害活性を示した。阻害剤を含まない陰性対照と比較して、MMP-9活性は、5μg/ml以上の濃度の3,6,7-トリメチルルマジンによって有意に阻害された(全てp<0.05)。2.5μg/mlの3,6,7-トリメチルルマジンはMMP-9活性を12%阻害したが、阻害は有意でなかった(p>0.05)。3,6,7-トリメチルルマジンは40μg/mlでMMP-9をほぼ完全に阻害し、NNGH対照と比較して有意差はなかった(p>0.05)。3,6,7-トリメチルルマジンの濃度が高いほど、低濃度と比較して常により強い阻害を示した(全てp<0.05)ので、MMP-9の阻害は、3,6,7-トリメチルルマジン濃度に用量依存的であるように見えた。
【0242】
図3に示されるように、MMP-9の阻害率は、3,6,7-トリメチルルマジンの濃度と正に相関した。相関は、R
2が0.9965の二次多項式モデルに最も良く適合する。これらのデータに基づいて、3,6,7-トリメチルルマジンのIC50は11.5μg/mlと計算された。
【0243】
実施例2-比色測定アッセイ
本実施例では、MMP-9比色阻害剤スクリーニングキットを使用して、3,6,7-トリメチルルマジンの生物活性をさらに調べる。
【0244】
方法及び材料
MMP-9阻害剤スクリーニングアッセイ(比色測定)キットは、Abcam(Melbourne,Australia)から購入した。キットは、組換えMMP-9酵素、MMP阻害剤NNGH、MMP発色基質、比色測定アッセイ緩衝液、及び96ウェル透明マイクロプレートを含有する。
【0245】
比色キットは、発色基質としてチオペプチド(Ac-PLG-[2-メルカプト-4-メチル-ペンタノイル]-LG-OC2H5)を使用し、これはMMPによって加水分解されてスルフヒドリル基を生成し得る。この中間生成物は、DTNB[5,5’-ジチオビス(2-ニトロ安息香酸)、エルマン試薬]とさらに反応して2-ニトロ-5-チオ安息香酸を形成し、これは412nmでの吸光度によって検出され得る。吸光度の変化は、SpectraMax iD3多重モードマイクロプレートリーダー(Molecular Devices、San Jose、USA)を使用して測定した。アッセイは、最終反応量100μLの便利な96ウェルマイクロプレート上で実施した。アッセイの前に、全ての試験サンプルと阻害剤対照をMMP-9と共に37℃で60分間インキュベートした。発色基質を各ウェルに添加して、反応を開始させた。アッセイは、37℃で120分間実行した。吸光度は、最初の20分間は1分間隔で測定し、その後、アッセイが終了するまで10分間隔で測定した。
【0246】
組換えMMP-9と発色基質を、100%の酵素活性に相当する陽性対照として使用した。NNGHを陰性対照として使用した。一連の3,6,7-トリメチルルマジン濃度を比色測定緩衝液で希釈し、反応生成物の吸光度を測定した。
【0247】
結果
3,6,7-トリメチルルマジンの根底にある阻害的生物活性を、MMP-9比色測定阻害剤スクリーニングキットを使用してさらに調べた。比色キットは、MMPによって加水分解されてスルフヒドリル基中間体を生成し得るチオペプチド基質を使用し、これはエルマン試薬とさらに反応して2-ニトロ-5-チオ安息香酸を形成する。エルマン試薬はタンパク質スルフヒドリルの濃度を検出するために使用され、反応生成物は412nmでの吸光度によって検出され得る(Riener,Kada,& Gruber,2002)。
【0248】
3,6,7-トリメチルルマジン(40μg/ml)を反応混合物に添加することによって、阻害的生物活性を最初に調べた(
図4)。阻害剤を含まない陰性対照と比較して、3,6,7-トリメチルルマジン添加サンプル中では、吸光度の変化率がわずかに小さかった。NNGHは、ほとんどのMMP-9活性を阻害する陽性対照として採用された。NNGHは、1.3μMでMMP-9を完全に阻害するとは予想されていない(Abcam,2019)。最初の40分間にわたり、3,6,7-トリメチルルマジンサンプルと対照で吸光度の変化は直線的であった。生成物は不安定で、40分後に分解し始めるようであった。反応の最初の20分間をさらなる計算のために選択した。
【0249】
3,6,7-トリメチルルマジンは、2.5~80μg/mlの濃度でMMP-9に対して阻害的生物活性を示した。阻害率は、3,6,7-トリメチルルマジンサンプルの吸光度の変化を陰性対照(阻害剤なし、100%のMMP-9活性)と比較することによって計算した。
図5に示されるように、全ての3,6,7-トリメチルルマジンサンプルは、MMP-9を3.5%~10%阻害した。陰性対照と比較して、高濃度(20~80μg/ml)の3,6,7-トリメチルルマジンは、MMP-9に対して有意な阻害を示した(全てp<0.0001)。より低い3,6,7-トリメチルルマジン濃度(2.5~10μg/ml)では、MMP-9阻害のレベルは有意でなかった(全てp>0.05)。3,6,7-トリメチルルマジン濃度を40μg/mlから80μg/mlに増加させても、MMP-9はさらに阻害されなかった(どちらも10%の阻害、p>0.05)。これは、3,6,7-トリメチルルマジンが、発色基質と比較して、MMP-9酵素[E]又は酵素-基質複合体[ES]に対して比較的低い結合親和性(Ki)を有する可能性があることを示唆する。
【0250】
MMP-9の非存在下では、3,6,7-トリメチルルマジンは、発色基質及び反応生成物によって生成される吸光度シグナルに干渉しなかった。これは、3,6,7-トリメチルルマジン(40μg/ml及び80μg/ml)を基質(
図6A)及び反応生成物(
図6B)と20分間インキュベートすることによって調べた。どちらの場合も、3,6,7-トリメチルルマジンは、吸光度シグナルを有意に干渉しなかった。
【0251】
実施例3:ゼラチンゲル酵素電気泳動
3,6,7-トリメチルルマジンによるMMP-9の阻害を確認するために、本発明者らは、ゼラチンゲル酵素電気泳動を実施して、MMP-9の活性を検出した。ゼラチンゲル酵素電気泳動は、ゼラチンを消化する能力があるMMP-9(ゼラチナーゼ)の活性を検出するために独自に設計されている。
【0252】
方法及び材料
Novex(商標)10% Zymogram Plus(ゼラチン)タンパク質ゲル(15ウェル)は、Thermo Fisher Scientific Inc.(Auckland、New Zealand)から購入した。ザイモグラム分析に必要な全ての化学物質もまた、Thermo Fisherから購入し、それらには、Novex(商標)Sharp染色済みタンパク質標準物質、Novex Tris-Glycine SDSサンプル緩衝液、Novex Tris-Glycine SDS泳動緩衝液、Novex Zymogram再生緩衝液、及びNovex Zymogram現像緩衝液が含まれる。再蒸留水は、Sartorius Arium(登録商標)Pro(18.2 MΩ cm)浄水装置から精製した。3,6,7-トリメチルルマジンからのMMP-9の阻害を確認するための独立した技術として、ゼラチンゲル酵素電気泳動を実施した。この技術は、ゼラチンが包埋された非還元SDS-PAGE(ドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動)ゲルを使用する。タンパク質は電気泳動中に、移動及び分離される。電気泳動後にSDSを除去し、次にゲルを酵素活性に必要な必須補因子と共にインキュベートした。包埋されたゼラチンはMMP-9で消化され得て、クーマシーブルー色素で染色した後、濃青色の背景上に透明なバンドをもたらす。ゼラチナーゼ活性は、画像解析ソフトウェアで評価され得るバンド濃度計測で表される。ゼラチンゲル酵素電気泳動は、比較的低コストで高感度な技術である(Leber & Balkwill,1997)。さらに、このアプローチでは、ゲルを通過するプロMMPと活性MMPが移動距離に基づいて区別され得ることから、双方のゼラチナーゼ活性が同時に検出され得る(Rossano et al.,2014)。
【0253】
MMP-9酵素は、5μg/mLの最終試験濃度になるように希釈した。MMP-9酵素は、ローディング緩衝液及び水と穏やかに混合し、1ウェルあたり10μLの総ローディング量を達成した。ゲル電気泳動は、XCell Surelock(商標)Mini-Cellシステム(Thermo Fisher Scientific、Auckland、New Zealand)を使用して実施した。上部チャンバーに200mLの1×Tris-Glycine SDS泳動緩衝液を充填し、下部チャンバーには600mLを充填した。125V及び30mA(開始電流)の定電圧で、ゲルを105分間にわたり泳動した。電気泳動後、ゲルを除去し、1×の再生緩衝液で30分間穏やかに撹拌しながらインキュベートした。インキュベーション後、ゲルを慎重に小片に切り分け、さらに1×現像緩衝液中、又は3,6,7-トリメチルルマジンを添加した現像緩衝液中で、穏やかに撹拌しながら30分間別個にインキュベートした。ゲルは、3,6,7-トリメチルルマジン含有又は非含有の新鮮な現像緩衝液と共に、37℃で13時間一晩さらにインキュベートした。NNGHもまた、陽性対照として2.6μMで現像緩衝液に添加した。
【0254】
インキュベーション後、ゼラチンゲルを穏やかに撹拌しながら水で3回(各5分)すすいだ。20mLのSimplyBlue Safestainを添加してゲルを染色し、穏やかに撹拌しながら室温で2時間インキュベートした。SimplyBlue Safestainを除去することによってそれを脱色し、穏やかに撹拌しながら室温で2時間水ですすいだ。MMP-9活性は、ImageJ Version1.52a上で濃度計測を用いて解析した。
【0255】
結果
通常の現像緩衝液中でインキュベートされたゼラチンゲルを3,6,7-トリメチルルマジン添加及びNNGH添加緩衝液と比較することによって、MMP-9に対する3,6,7-トリメチルルマジンの生物活性をゼラチン酵素電気泳動を使用してさらに調べた。本研究で使用されたMMP-9酵素を4-アミノフェニル第二水銀酢酸塩(4-APMA)によって部分的に活性化させ、分子相互作用に関するより多くの情報を提供した。
図7に示されるように、ゲル上の透明なバンドは、MMP-9からのゼラチナーゼ活性を表す。下部のバンドは、活性MMP-9(約37kDa)のゼラチナーゼ活性を表す。上部のバンドは、部分的に活性化されたプロMMP-9(約48kDa)からのゼラチナーゼ活性を表す。電気泳動中にプロMMP-9はSDSによって変性され、次にTriton X-100などの界面活性剤でSDSを除去することによって再生された(Ren,Chen,& Khalil,2017)。この再折りたたみプロセスは、プロドメインを切断することなく、プロMMP-9の一部を自動活性化する(Woessner,1995)。しかし、自己活性化されたプロMMP-9は、生体内の真の活性を表していない可能性がある。
【0256】
3,6,7-トリメチルルマジンは、ゼラチン酵素電気泳動を使用して、活性及び不活性双方のMMP-9からのゼラチナーゼ活性を低下させたようである。阻害剤を含まない陰性対照(
図7、列3~5)と比較して、3,6,7-トリメチルルマジン処理ゲルでは、どちらの透明なバンドの面積も減少しているようであった(
図7、列6~8)。陽性対照NNGHは、活性MMP-9からのゼラチナーゼ活性を完全に阻害した(
図7、列9~10)。不活性MMP-9からのNNGH処理ゲル中にいくらかのゼラチナーゼ活性があるようであったが、これは、フィブロネクチンドメインからの残
留ゼラチナーゼ活性の結果である可能性が高い。
【0257】
3,6,7-トリメチルルマジンは、活性及び不活性双方のMMP-9からのゼラチナーゼ活性を有意に低下させた(
図8、どちらもp<0.001)。3,6,7-トリメチルルマジン及びNNGHによる阻害率を濃度計測によって分析し、
図8にプロットした。示されるように、3,6,7-トリメチルルマジンは、活性及び不活性MMP-9の活性をそれぞれ31%及び17%有意に阻害した(どちらもp<0.01)。3,6,7-トリメチルルマジンは、不活性MMP-9と比較して、活性MMP-9に対して有意により強力な阻害を示したことに留意すべきである(p<0.05)。これは、3,6,7-トリメチルルマジンがMMP-9の亜鉛活性部位と、より多く相互作用する可能性が高いことを示唆する。同じパターンはまた、NNGHが亜鉛イオンと特異的に相互作用する、NNGH処理でも観察され得る(Bertini et al.,2005)。
【0258】
実施例4-3,6,7-トリメチルルマジンのMMP-9への分子ドッキング
本実施例では、分子ドッキング研究を実行して、3,6,7-トリメチルルマジンとMMP-9の間の非共有相互作用を予測した。
【0259】
原理
分子ドッキングは、リガンドと生体高分子ターゲットとの非共有相互作用を予測しようとする計算手順である。AutoDock及びAutoDock Vinaは、生体分子複合体の判定において研究者を支援するために一般に使用される計算ツールである。このソフトウェアは、全てのねじれ自由度を効率的に探索しながら、標的タンパク質とリガンドの間の最小相互作用エネルギーを計算する。AutoDockは、経験的自由エネルギー力場及び迅速ラマルク型遺伝的アルゴリズム検索方法に基づいている(Goodsell & Olson,1990;Morris et al.,2009)。AutoDock Vinaは、より単純なスコアリング関数及び高速勾配最適化立体構造検索を使用して、速度と精度を大幅に向上させる(Trott & Olson,2010)。
【0260】
方法及び材料
AutoDock Vinav1.1.2を用いて、MMP-9及び3,6,7-トリメチルルマジンの分子ドッキング研究を実行した。ドッキングの準備、ドッキング後の解析と視覚化は、Chimera v1.13.1上で実施した(Pettersen et al.,2004)。3,6,7-トリメチルルマジンの3D構造は、Avogadro v1.2.0上で描画した(Hanwell et al.,2012)。MMP-9(PDB ID:1L6J)の完全な3D結晶学的構造は、RCSBタンパク質データバンクを通じて取得した(Elkins et al.,2002)。
【0261】
双方の化合物について、Chimeraを用いてドッキングの準備を行った。Smart Minimizerアルゴリズムを採用することによって、3,6,7-トリメチルルマジン構造を最小化した。ねじれ角の検出及びGasteiger電荷の割り当ては、Chimera上でも実施した。MMP-9構造は、水素原子を付加し、非極性水素原子をマージし、欠損原子をチェックし、Gasteiger電荷を割り当てることによって作成した。MMP-9酵素の触媒ドメイン上に、Å3=35、45、48(x、y、z座標=30、30、35)の体積を有するグリッドボックスを定義した。これは、ドッキング計算に関与するタンパク質の区域を画定する。
【0262】
AutoDock Vina上で分子ドッキングを実施し、網羅性を8に設定して結合様式の数を10に設定した。最高スコアの最高の結合立体構造をAutoDock Vina上に列挙し、Chimera上で視覚化した。各結合ポーズの潜在的な分子間水素結合もまた、Chimera上で分析した。
【0263】
結果
分子ドッキングは、3,6,7-トリメチルルマジンとMMP-9の間の有意な結合親和性を予測した。3,6,7-トリメチルルマジンは、AutoDock Vinaを使用して、-7.9の最高のドッキングスコアでMMP-9の活性部位内に成功裏にドッキングさせた(表2)。AutoDock Vinaスコアは、水素結合、疎水性相互作用、及びねじれペナルティの組み合わせを考慮して、2つの化合物が結合するために必要な予測エネルギーを表す(Chang,Ayeni,Breuer,& Torbett,2010)。結果として、最も好ましい結合立体構造は負のスコアとして表される。比較すると、AutoDock Vinaを使用した場合、最も活性な合成MMP-9阻害剤のドッキングスコアは、-7.6~-8.9の範囲であった(Rathee et al.,2018)。
【0264】
【0265】
3,6,7-トリメチルルマジンは、Tyr420残基と水素結合を形成させることによって、S’1基質結合部位にドッキングさせた。S’1基質結合部位は、活性部位亜鉛に最も近い活性部位裂溝の中央に囲まれている。その他の結合ポケットと比較して、S’1ポケットは、アミノ酸構造とポケットの深さの双方がMMP間で変動する(Aureli et al.,2008)。結果として、S’1ポケットは基質結合特異性を決定し、多くのMMP阻害剤を標的化する。特にMMP-9では、異なる阻害剤との共結晶化が、Arg424残基が非常に柔軟であり、一部のMMP阻害剤がS1’ポケットに移動できるようにすることを明らかにした(Tochowicz et al.,2007)。
【0266】
以前のドッキング研究では、カルボン酸とスルホンアミドヒドロキサム酸基を有する合成阻害剤が、S’1ポケットに結合しており;一方でチオ-エステル基は、S’1及びS1ポケットの双方と相互作用する(Tandon & Sinha,2011)。3,6,7-トリメチルルマジンのNH基と、S’1空洞の壁近くのTyr
420との間に、潜在的な水素結合が認められた(
図9)。S’1壁残基は、基質又は阻害剤への主鎖間水素結合のための水素受容体として機能することが多い(Tyr
420、Pro
421、Tyr
423)(Tandon & Sinha,2011)。カルボニル基又はNH基を有する亜鉛結合阻害剤は、S1’ポケットとの水素結合相互作用の機会を提供する(Tandon & Sinha,2011)。どちらの構造も、3,6,7-トリメチルルマジン中に存在する。
【0267】
これらの結果は、フィブロネクチンII型ドメイン内に位置するMMPのエキソサイトにおける、3,6,7-トリメチルルマジンの結合をさらに支持した。本発明者らは、MMP-9を用いて、3,6,7-トリメチルルマジンの高いゴールドスコア(53.4)をさらに特定した(ドッキングはGOLD v5.7.3で実施し、リガンド毎に合計10回のGAを検索効率を最大にして実行した。ドッキングされたポーズは、GoldScoreでスコア化した)。これらの発見は、3,6,7-トリメチルルマジンがゼラチンの結合を破壊することによって、MMP-9のエキソサイトと相互作用してもよいことを示唆した。分子ドッキング分析からの結果は、フィブロネクチンII型ドメイン内に位置するMMP-9のエキソサイトにおける、3,6,7-トリメチルルマジンの結合をさらに裏付けた。
【0268】
実施例5-胃腸環境のシミュレーション
3,6,7-トリメチルルマジンの抗炎症活性が、胃腸消化中にどの程度保持されるかは不明である。この生理活性分子は、低pHで又は消化酵素によって修飾され、その生物学的活性を部分的又は完全に失う可能性がある。
【0269】
3,6,7-トリメチルルマジン含有蜂蜜サンプルのシミュレートされた胃内消化と、それに続くシミュレートされた腸内消化を生体外で実施した。この過程における所定の時点で、胃又は腸の消化管内容物を取り出して、3,6,7-トリメチルルマジンの残存量を分析した。
【0270】
材料
胃腸環境のシミュレーション:
シミュレートされた胃腸消化は、静的モデルを使用して実行した。シミュレートされた胃液(SGF)とシミュレートされた腸液(SIF)は、グローバルコンセンサスプロトコルに従って調製した(Minekus et al 2014)。SGFはpH3を有し、胃の摂食状態を模倣する。マヌカ蜂蜜(又は蜂蜜溶液)と混合すると、最終的な混合物は、2000U/mLのペプシンを含有する。SIFはpH7を有し、小腸の摂食状態を模倣し、使用前に、2mg/mlのパンクレアチン(8×USP、又は200U/mLのプロテアーゼ活性に基づく)及び20mMのブタ胆汁抽出物を含有する。
【0271】
胃内消化:
シミュレートされた胃内消化では、2gのマヌカ蜂蜜を2mLのSGF中で37℃、95rpmの振盪下で2時間インキュベートした(三連)。選択されたた時点(0、30、60、及び120分)で、3,6,7-トリメチルルマジン分析のために所定量(0.1mL)の混合物を抜き取った。分析用の溶液に0.1mLのSIF(pH7)を添加して氷上で保存し、ペプシン活性を停止させた。比較目的で、対照群として、純粋な3,6,7-トリメチルルマジン溶液を同様に処理した。
【0272】
腸内消化:
2時間の胃消化に続いて、得られた溶液をSIF(pH7)と1:1の容積比で混合し、1mg/mLのパンクレアチンと10mMのブタ胆汁抽出物とを含有する、最終混合物を得た。この混合物を95rpmの振盪下、37℃で4時間インキュベートした(三連)。選択されたた時点(0、60、120、及び240分)で、3,6,7-トリメチルルマジン濃度分析のために所定量(0.1mL)の混合物を抜き取った。採取された溶液中のパンクレアチン活性は、5mmol/LのPefabloc(登録商標)を添加することによってクエンチした(Egger et al 2019)。
【0273】
3,6,7-トリメチルルマジン保持の分析:
3,6,7-トリメチルルマジン分析用の胃腸消化物を処理して、HPLC分析の前に不溶性画分(例えば、パンクレアチン)を除去した。手短に述べると、全てのサンプルを0.1%ギ酸で希釈し、14,000rpmで10分間遠心分離した。分析のために上清を採取した。異なる時点での3,6,7-トリメチルルマジンの量は、文献で報告されているように、3,6,7-トリメチルルマジン及びレプトスペリンを分析するために以前に使用された逆相HPLC装置を使用して分析した(BinLin et al2017)。手短に述べると、サンプルを0.1%v/vのギ酸で5倍に希釈した。Hypersil GOLDカラム(150×2.1mm、3μM粒度)を固定相として使用し(25℃)、移動相は0.1%ギ酸(A相)、及び80:20のアセトニトリル:0.1%ギ酸(B相)からなる。注入容積は3μL、流速は0.200mLであり、3,6,7-トリメチルルマジンとその他を分離するために次の勾配溶出を使用した:初期2分(5%B相)、7分(25%B)、14分(50%B)、16分(100%B)、19分(5%B)、20分(5%B、10分保持)。3,6,7-トリメチルルマジンのシグナルは、320nmで検出した。
【0274】
統計解析:
2つの平均値の差の有意性は、両側独立スチューデントt検定を使用して分析した。2つを超える平均値を比較する場合、有意差は、一元配置分散分析とそれに続くボンフェローニの多重比較検定(SPSS Statisticsバージョン24、IBM)によって分析した。差は、p<0.05で統計的に有意と見なした。
【0275】
結果
4つの蜂蜜サンプルの胃腸消化をシミュレートした結果は、マヌカ蜂蜜からの3,6,7-トリメチルルマジンが、消化管の過酷な環境内で非常に安定していることを示す。研究の終わりまでに、すなわち2時間の胃内消化と4時間の腸内消化までに、4つの蜂蜜サンプルからの最初の3,6,7-トリメチルルマジン量のほぼ100%が消化管内容物中で完全に回収され得た。明らかな分解は観察されない。詳細な動態が
図10及び11に示され、最初の2時間は3,6,7-トリメチルルマジンがシミュレートされた胃液中でインキュベートされる一方で、引き続く4時間は腸内消化過程を表す。生データは表3に要約される。
【0276】
実験結果の詳細
【0277】
【0278】
引き続く研究では、本発明者らは、異なる濃度のマヌカ蜂蜜中の3,6,7-トリメチルルマジンの安定性を理解するために、希釈されたマヌカ蜂蜜サンプルの胃腸消化を実施した。3,6,7-トリメチルルマジン(純粋化合物)の安定性もまた、同じ生体外消化プロトコルを用いて試験した。本発明者らの結果は、3,6,7-トリメチルルマジンの安定性が、50%(w/w)マヌカ蜂蜜溶液(
図12及び13)でも、消化媒体に直接曝露された場合(
図14及び15)でも、未消化の未加工蜂蜜の安定性プロファイルと比較して変化しないことを示す。有意な分解は観察されない。詳細な動態を示す生データは、表4に要約される。
【0279】
【0280】
希釈された(50%希釈)マヌカ蜂蜜サンプルA、B、C、及びDで、並びにその最も純粋な形で試験された、消化管内の3,6,7-トリメチルルマジンの成り行きに関する生体外研究は、生理活性化合物である3,6,7-トリメチルルマジンの高い安定性を明らかに示した。
【0281】
実施例6-ヒトマクロファージ細胞株におけるマトリックスメタロプロテイナーゼ-9(MMP-9)に対する3,6,7-トリメチルルマジンの効果
本発明者らは、酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)技術を用いて、マヌカ蜂蜜中に存在する3,6,7-トリメチルルマジンが、ヒトマクロファージ細胞株(THP-1)中でリポ多糖(LPS)誘導性MMP-9分泌を阻害する効率を調べた。
【0282】
マクロファージは、細菌性因子と炎症誘発性サイトカインとの双方に応答して、MMP-9分泌が増加することが知られているため、それらは胃のMMPの潜在的な供給源である。したがって、THP-1からのMMP-9分泌は、胃の炎症のマーカーとして使用され得る。
【0283】
2.5~40μg/mLの濃度の3,6,7-トリメチルルマジンをMMP-9阻害活性について試験した。アジスロマイシンを陽性対照として選択した。40μg/mL(38%減少)及び30μg/mL(23%減少)の3,6,7-トリメチルルマジンは、20及び5μg/mLと比較して、LPS(1μg/mL)処理された分化したTHP-1細胞からのMMP-9分泌を有意(P<0.05)に減少させた。40μg/mLの3,6,7-トリメチルルマジンはMMP-9を減少させ、30μg/mLを超えると、この減少はアジスロマイシンよりわずかに高かった。しかし、細胞生存率の報告に基づけば、30μg/mL(13%の細胞死)は40μg/mL(20%の細胞死)よりもわずかにより安全である。
【0284】
方法
用量:
分化したTHP-1細胞を使用して、3,6,7-トリメチルルマジンを2.5~40μg/mlの用量で、MMP-9炎症反応の阻害について試験した。
【0285】
細胞培養:
THP-1細胞(ATCC、ATCTIB202)は、RPMI-1640(Gibco、11875093)と0.05mMの2-メルカプトエタノールと10%ウシ胎児血清(FCS)と1%ペニシリン-ストレプトマイシン溶液中で培養した。実験では、10%ウシ胎仔血清(FBS)のみを有するRPMI-1640培地中で、細胞を培養した。
【0286】
THP-1単球細胞を96ウェルプレートに2.5x105個の細胞/mlの密度で播種し、10ng/mlのホルボール12-ミリステート13-アセテート(PMA)(Bergin et al)(Sigma、P1585-1MG、ロット番号SLBX889、100%純度)を使用して、72時間にわたりマクロファージに分化させた。次に、分化したTHP-1細胞からPMA培地を除去し、細胞をRPMI-1640培地で1回洗浄し、次に約5時間静置した。
【0287】
LPS刺激及び3,6,7-トリメチルルマジンによる処理:
分化したTHP-1細胞は、大腸菌(E.coli)055:B5からのLPS(Sigma、L6529;ロット番号037K4068)で刺激した。LPSは、1μg/mlの濃度で試験した(Kong et al)。細胞は、LPSのみと共に、又は2.5~40μg/mlの濃度範囲の3,6,7-トリメチルルマジン(オークランド大学より受領、RPMI-1640中で1mg/mlの原液濃度に希釈、原液は使用前に冷蔵庫で2日間保存)と組み合わせてインキュベートした。6μMのアジスロマイシン(シグマ、カタログ番号75199-25MG、ロット番号069M4826V)を陽性対照として使用した(Vandooren et al)。次に、細胞を異なる処理で24時間インキュベートした(Kong et al)。24時間後、細胞培養培地を収集し、MMP-9ELISA(R&D systems、ロット番号P239459のRDSDY91105、及びロット番号P239900のDY008)を用いて、MMP-9濃度を測定した。その後、細胞をWST-1と共にインキュベートし、細胞生存率を測定した。
【0288】
2枚の追加の96ウェルプレートを上記のように処理し、培地を除去して、細胞を含有するプレートを将来のRT-PCR実験のために-80℃で凍結した。
【0289】
ELISA特異性:
このヒトMMP-9アッセイは、92kDaのPro-MMP-9及び82kDaの活性MMP-9を測定する。これは、65kDaの形態を測定しない。このアッセイは、ヒトMMP-9がヒト起源物質から単離されたリポカリン-2/NGALと複合体を形成した場合にも、それを認識する。
【0290】
50ng/mLで調製された以下の要素が分析され、交差反応性又は干渉を示さなかった:MMP-1、MMP-2、MMP-3、MMP-7、MMP-8、MMP-10、MMP-12、MMP-13、MMP-14、TIMP-2、TIMP-3、TIMP-4、TIMP-4、組換えマウスMMP-9。
【0291】
組換えヒトTIMP-1はこのアッセイでは交差反応しないが、1.56ng/mlを超える濃度では干渉する。
【0292】
細胞生存率及び予備的MMP-9分泌試験:
異なる用量での3,6,7-トリメチルルマジンの細胞傷害性を測定するために、2-(4-ヨードフェニル)-3-(4-ニトロフェニル)-5-(2,4-ジスルホフェニル)-2H-テトラゾリウム、一ナトリウム塩(WST-1)(Roche、11644807001、ロット番号45255800)を使用した。WST-1は、比色測定アッセイを使用して、細胞の増殖、生存率、及び細胞障害性を測定するための細胞増殖試薬である(Gosert(2011);Peskin(2000))。
【0293】
インキュベーション後、培養培地の一部を採取し、ELISAを使用したMMP-9分泌試験のために保存した。次に、プレート内の残りの培地を除去し、100μlのRPMI-1640培地中のWST-1(1:10希釈)を各セルウェルに添加して、37℃でさらに4時間インキュベートした。次に、プレートリーダーを使用して、450nmの波長でプレートを読み取った。細胞傷害性は以下のように計算した:
[各サンプルのWST-1スコア/対照のWST-1スコア]×100
80%未満のWST-1スコアを細胞傷害性と見なした。
【0294】
統計解析:
変動性をより良く捉えるために、各処理は各プレート(2プレート)で少なくとも三連で実行した。三連のウェルからの培地をプールし、MMP-9ELISAについて二連で分析した。LPSを添加した培地と、異なる処理との間で、Excelでスチューデントのt検定を実施した。
【0295】
結果
濃度40μg/mLの3,6,7-トリメチルルマジンは、研究で選択されたその他の濃度(2.5~30μg/mL)よりもわずかに高い%細胞傷害性を示す(
図16)。しかし、有毒であると見なすには、それは境界線(79.8)にある。40μg/mL(38%減少)及び30μg/mL(23%減少)の3,6,7-トリメチルルマジンは、20及び5μg/mLと比較して、LPS(1μg/mL)処理された分化したTHP-1細胞からのMMP-9分泌を有意(P<0.05)に減少させた(
図17)。3,6,7-トリメチルルマジンは、30μg/mLにおけるよりも40μg/mLにおいて、アジスロマイシンより大きくMMP-9を減少させた。調整された値(LPSに関して)は、
図18に示される。
【0296】
参考文献
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