(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-17
(45)【発行日】2024-12-25
(54)【発明の名称】貨幣取扱装置
(51)【国際特許分類】
G07D 11/14 20190101AFI20241218BHJP
【FI】
G07D11/14
(21)【出願番号】P 2022004007
(22)【出願日】2022-01-13
【審査請求日】2024-03-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000237639
【氏名又は名称】富士通フロンテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石丸 紗伎
(72)【発明者】
【氏名】江上 博之
【審査官】山本 裕太
(56)【参考文献】
【文献】特開平03-271887(JP,A)
【文献】特開2013-050769(JP,A)
【文献】国際公開第2011/001505(WO,A1)
【文献】国際公開第2001/097183(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07D 11/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
貨幣取扱ユニットと、
前記貨幣取扱ユニットが着脱される装着部と、
前記装着部に装着された前記貨幣取扱ユニットに貨幣を投入するための投入口が設けられた装置筐体と、
前記投入口を閉じる閉塞位置と、前記投入口を開く開放位置とに回動する本体シャッタを有し、前記装置筐体に設けられたシャッタ機構と、を備え、
前記貨幣取扱ユニットは、前記装着部に対して前記装置筐体の前後方向に沿って着脱され、
前記本体シャッタは、前記閉塞位置から前記開放位置へ回動するときに、前記投入口から前記装置筐体の前面側に向かって退避する、貨幣取扱装置。
【請求項2】
前記貨幣取扱ユニットは、前記投入口に対応する受入口と、前記受入口を開閉するユニットシャッタと、前記シャッタ機構を作動させるシャッタ操作部材と、を有し、
前記貨幣取扱ユニットが前記装着部に装着されるときに、前記投入口に対向する位置へ移動する前記ユニットシャッタによって前記投入口を閉じながら、前記本体シャッタが前記投入口から退避するように、前記シャッタ操作部材は前記シャッタ機構を作動させる、
請求項1に記載の貨幣取扱装置。
【請求項3】
前記シャッタ機構は、回動する前記本体シャッタと共に移動する開閉ローラを有し、
前記シャッタ操作部材は、前記開閉ローラが転がる作動面が形成された作動部を有し、
前記装着部に対する前記貨幣取扱ユニットの進入に伴って、前記開閉ローラが前記作動面に沿って移動することによって、前記本体シャッタは回動される、
請求項2に記載の貨幣取扱装置。
【請求項4】
前記シャッタ機構は、前記本体シャッタを支持する一組の支持アームと、回動軸を介して前記一組の支持アームを回動自在に支持するベース部材と、を有する、
請求項2または3に記載の貨幣取扱装置。
【請求項5】
前記シャッタ機構は、前記支持アームに係合して前記本体シャッタを前記閉塞位置にロックするロック部材と、前記ロック部材に設けられ、前記ロック部材のロック状態を解除するためのロック解除ローラと、を有し、
前記シャッタ操作部材は、前記ロック解除ローラを移動させるロック解除部を有する、
請求項4に記載の貨幣取扱装置。
【請求項6】
前記ロック部材は、前記装置筐体の前記前面側から前記支持アームに係合するように配置されている、
請求項5に記載の貨幣取扱装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貨幣取扱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、現金自動預払機等の貨幣取扱装置には、貨幣取扱ユニットが着脱される装着部と、装着部に装着された貨幣取扱ユニットに貨幣を投入するための投入口を有する装置筐体と、を備えるものが知られている。この種の貨幣取扱装置としては、投入口を開閉する本体シャッタを有するシャッタ機構が装置筐体に設けられており、貨幣取扱ユニットが装着部から引き出されたときに開放される投入口が、シャッタ機構の本体シャッタによって閉じられるものがある。この貨幣取扱装置では、貨幣取扱ユニットが装着部に装着されたときに、貨幣取扱ユニットによって投入口が閉じられる。
【0003】
関連技術の貨幣取扱装置では、貨幣取扱ユニットが装置筐体の前後方向に対して着脱されており、投入口を開閉する本体シャッタが、投入口における装置筐体の前面側に配置されたヒンジ部によって開閉可能に支持されている(特許文献1)。シャッタ機構の本体シャッタは、ヒンジ部を介して、投入口に対して装置筐体の後面側の下方へ倒れることで、投入口を閉じた閉塞位置から、投入口を開く開放位置へ退避する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の貨幣取扱装置のシャッタ機構は、上述のように、投入口を閉じた本体シャッタが、ヒンジ部を介して、装置筐体の後面側の下方へ倒れることで投入口を開く。このため、投入口から装置筐体の後面側へ退避する本体シャッタと、装置筐体の後面側から前面側に向かって装着部に進入する貨幣取扱ユニットとの衝突を避けるために、本体シャッタが投入口から退避した後に、貨幣取扱ユニットによって投入口が閉じられる。
【0006】
したがって、この貨幣取扱装置では、本体シャッタが投入口を開いたときから、装着部に装着される貨幣取扱ユニットが投入口を閉じるまでの間、投入口全体が開いている時間が発生する。そのため、貨幣取扱ユニットの着脱時に開いている投入口に、利用者が貨幣や指先等を投入口に誤って入れるおそれがある。このとき、投入口に誤って投入された貨幣は、貨幣取扱ユニットに投入されず、装置筐体の内部に落下してしまう不都合がある。
【0007】
開示の技術は、上記に鑑みてなされたものであって、装着部に対する貨幣取扱ユニットの着脱時に開いた投入口に利用者が貨幣や指先等を誤って入れることを防ぐことができる貨幣取扱装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願の開示する貨幣取扱装置の一態様は、貨幣取扱ユニットと、前記貨幣取扱ユニットが着脱される装着部と、前記装着部に装着された前記貨幣取扱ユニットに貨幣を投入するための投入口が設けられた装置筐体と、前記投入口を閉じる閉塞位置と、前記投入口を開く開放位置とに回動する本体シャッタを有し、前記装置筐体に設けられたシャッタ機構と、を備え、前記貨幣取扱ユニットは、前記装着部に対して前記装置筐体の前後方向に沿って着脱され、前記本体シャッタは、前記閉塞位置から前記開放位置へ回動するときに、前記投入口から前記装置筐体の前面側に向かって退避する。
【発明の効果】
【0009】
本願の開示する貨幣取扱装置の一態様によれば、装着部に対する貨幣取扱ユニットの着脱時に開いた投入口に利用者が貨幣や指先等を誤って入れることを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、実施例の貨幣取扱装置全体を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、実施例の貨幣取扱装置が備える貨幣取扱ユニットを示す斜視図である。
【
図3】
図3は、実施例の貨幣取扱装置が備えるシャッタ機構を示す斜視図である。
【
図4】
図4は、実施例におけるシャッタ機構の内側を示す斜視図である。
【
図5】
図5は、実施例におけるシャッタ機構を示す分解斜視図である。
【
図6】
図6は、実施例における貨幣取扱ユニットとシャッタ機構の動作を説明するための側面図である。
【
図7】
図7は、実施例における貨幣取扱ユニットとシャッタ機構の動作を説明するための側面図である。
【
図8】
図8は、実施例における貨幣取扱ユニットとシャッタ機構の動作を説明するための側面図である。
【
図9】
図9は、実施例における貨幣取扱ユニットとシャッタ機構の動作を説明するための側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本願の開示する貨幣取扱装置の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施例によって、本願の開示する貨幣取扱装置が限定されるものではない。
【実施例】
【0012】
(貨幣取扱装置)
図1は、実施例の貨幣取扱装置全体を示す斜視図である。
図1において、貨幣取扱装置における前後方向をX方向とし、幅方向をY方向とし、高さ方向をZ方向とする。
図1以降においても
図1と同様にX、Y、Z方向を示す。
【0013】
図1に示すように、貨幣取扱装置1は、貨幣取扱ユニット3と、貨幣取扱ユニット3が着脱されるユニット装着部5と、入金される貨幣を投入するための投入口7aを有する入金部7が設けられた装置筐体6と、を備える。また、実施例の貨幣取扱装置1は、貨幣取扱ユニット3がユニット装着部5から取り外されたときに開放される投入口7aを閉じるためのシャッタ機構8を備える。
【0014】
貨幣取扱ユニット3は、ユニット装着部5に対して装置筐体6の前後方向であるX方向に沿って着脱可能に設けられており、ユニット装着部5に対して装置筐体6の後面6Rから引き出される。詳細について後述するが、貨幣取扱ユニット3は、入金部7の投入口7aに対応する受入口21を開閉するユニットシャッタ22を有する。
【0015】
ユニット装着部5の上部における装置筐体6の前面6F側は、入金部7の投入口7aと連通しており、ユニット装着部5に貨幣取扱ユニット3が装着されたときに貨幣取扱ユニット3のユニットシャッタ22によって投入口7aが閉じられる。
【0016】
入金部7は、装置筐体6の前面6Fに設けられており、ユニット装着部5に装着された貨幣取扱ユニット3に貨幣を投入するための投入口7aを有する。入金部7の投入口7aは、ユニット装着部5に装着された貨幣取扱ユニット3のユニットシャッタ22によって開閉される。入金部7が取り扱う貨幣としては、例えば、硬貨が投入口7aから投入されるが、紙幣や、硬貨と紙幣の両方に適用されてもよい。また、入金部7は、利用者への出金も兼ねる入出金部として用いられてもよい。
【0017】
装置筐体6の前面6Fには、一例として、操作パネル11、カード挿入口12、通帳挿入口13、受話器14等が設けられている。装置筐体6の後面6Rには、装置筐体6の内部を開閉するための開閉扉15が設けられている。
【0018】
詳細について後述するが、シャッタ機構8は、装置筐体6における入金部7に設けられており、貨幣取扱ユニット3がユニット装着部5から取り外されたときに、本体シャッタとしての安全シャッタによって投入口7aを閉じることで、利用者が硬貨や指先を投入口7aに誤って投入することを防ぐ。
【0019】
(貨幣取扱ユニット)
図2は、実施例の貨幣取扱装置1が備える貨幣取扱ユニット3を示す斜視図である。
図2に示すように、貨幣取扱ユニット3は、入金部7の投入口7aに対応する受入口21と、受入口21を開閉するユニットシャッタ22と、ユニットシャッタ22を開閉する開閉機構23と、受入口21を通過した貨幣が収容される収容部24と、を備える。
【0020】
貨幣取扱ユニット3の受入口21は、貨幣取扱ユニット3がユニット装着部5に装着されたときに、X-Y平面において投入口7aに重なるように形成されている。ユニットシャッタ22は、平板状に形成されており、例えば、受入口21に対してX方向にスライド可能に設けられている。
【0021】
また、貨幣取扱ユニット3の側面における装置筐体6の前面6F側には、シャッタ機構8を作動させるシャッタ操作部材26が設けられている。シャッタ操作部材26は、シャッタ機構8における後述するロック部材45のロック状態を解除するためのロック解除部27と、シャッタ機構8における後述する安全シャッタ31を回動させる作動部28と、を有する。
【0022】
シャッタ操作部材26は、X方向に延びる長尺状に形成されており、一端部26a側が貨幣取扱ユニット3から装置筐体6の前面6F側に向かって突出し、他端部26b側が貨幣取扱ユニット3の側面3Sに固定されている。シャッタ操作部材26は、ユニット装着部5に対する貨幣取扱ユニット3の着脱に伴って、シャッタ機構8に対して進退する。
【0023】
シャッタ操作部材26のロック解除部27は、シャッタ操作部材26の一端部26aの先端から下端に沿って延びて形成されており、X方向に対して傾斜された傾斜面27aと、X方向に沿って形成された平坦面27bと、を有する。
【0024】
シャッタ操作部材26の作動部28は、シャッタ操作部材26の他端部26b側の上部に形成されており、Z方向に対して傾斜された作動面28aを有する。作動面28aは、上端が下端よりも、装置筐体6の前面6F側に位置するように傾斜している。
【0025】
(シャッタ機構)
図3は、実施例の貨幣取扱装置1が備えるシャッタ機構8を示す斜視図である。
図4は、実施例におけるシャッタ機構8の内側を示す斜視図である。
図5は、実施例におけるシャッタ機構8を示す分解斜視図である。
【0026】
図3、
図4及び
図5に示すように、シャッタ機構8は、ユニット装着部5に対する貨幣取扱ユニット3の着脱に応じて投入口7aを開閉する安全シャッタ31と、安全シャッタ31を支持する支持ステー32と、支持ステー32を介して安全シャッタ31を支持する一組の支持アーム33と、回動軸35を介して一組の支持アーム33を回動自在に支持するベース部材34と、を有する。
【0027】
また、シャッタ機構8は、安全シャッタ31が投入口7aを閉じるように支持アーム33を付勢する引張コイルばね36と、貨幣取扱ユニット3のシャッタ操作部材26によって操作されて安全シャッタ31を開閉するための開閉ローラ37と、を有する。
【0028】
安全シャッタ31は、投入口7aを閉じる略四角形状の平面部31aと、平面部31aを支持する一組の取付け脚31bと、を有する。平面部31aには、利用者に注意を促すために、例えば、「準備中」等の表示が設けられている。一組の取付け脚31bは、支持ステー32の上面に固定ネジ38によって固定されている。
【0029】
図3及び
図4に示すように、安全シャッタ31は、一組の支持アーム33が回動軸35まわりに回動することにより、投入口7aを閉じる閉塞位置P1と、投入口7aを開く開放位置P2とに回動する。閉塞位置P1において、安全シャッタ31は、平面部31aがX-Y平面に沿う姿勢となる。また、開放位置P2において、安全シャッタ31は、平面部31aがX-Y平面に対して傾斜された姿勢となる(
図9参照)。
【0030】
図3、
図4及び
図5に示すように、支持ステー32は、Y方向に沿って設けられており、シャッタ機構8に対してシャッタ操作部材26が進退する側の端部に、開閉ローラ37が回転自在に設けられている。支持ステー32には、Y方向に沿って設けられた回転軸37aに、開閉ローラ37が支持されている。このため、開閉ローラ37は、一組の支持アーム33A、33Bを介して回動する安全シャッタ31と共に移動する。
【0031】
一組の支持アーム33A、33Bは、支持ステー32の両端に固定されており、回動軸35を介してベース部材34に回動可能にそれぞれ支持されている。一方の支持アーム33Aには、引張コイルばね36の一端が取り付けられるばね掛け片33bが形成されている。
【0032】
ベース部材34は、装置筐体6に固定されるベース部40と、一組の支持アーム33A、33Bを回動可能に支持する一組の支持壁41A、41Bと、後述するロック部材45を支持するガイド壁43と、を有する。ベース部40は、装置筐体6の前面6F側のフレーム(図示せず)に固定ネジ38によって固定されている。ガイド壁43は、引張コイルばね36の他端が取り付けられるばね掛け片43aを有する。ガイド壁43の詳細については後述する。
【0033】
引張コイルばね36は、安全シャッタ31を回動させるばねであり、一端が、支持アーム33Aのばね掛け片33bに取り付けられると共に、他端が、ベース部材34のばね掛け片43aに取り付けられている。このため、引張コイルばね36は、安全シャッタ31が閉塞位置P1へ向かって回動するように支持アーム33Aを付勢する。
【0034】
開閉ローラ37は、回転軸37aを介して支持ステー32に回転自在に支持されており、X方向に沿って移動するシャッタ操作部材26の作動部28の移動経路上に配置されている。
【0035】
また、シャッタ機構8は、安全シャッタ31を閉塞位置P1にロックするロック部材45と、安全シャッタ31をロックする方向にロック部材45を付勢するロック用の引張コイルばね46と、ロック部材45のロック状態を解除するためのロック解除ローラ47と、を有する。
【0036】
ベース部材34のガイド壁43には、ロック部材45を支持するガイド軸43bが設けられており、ロック部材45がガイド壁43に沿ってスライド可能に設けられている。また、安全シャッタ31を支持する支持アーム33Aには、ロック部材45が係合されるロック部48が一体に形成されている。
【0037】
ロック部材45は、ガイド壁43のガイド軸43bに支持される長穴状のガイド穴45aと、支持アーム33Aのロック部48に係合するロック爪45bと、ロック解除ローラ47を支持するローラ支持片45cと、ロック用の引張コイルばね46の一端が取り付けられるばね掛け片45dと、を有する。
【0038】
ロック爪45bは、ロック部材45の上端部に形成されており、ロック部48における支持アーム33Aの端面に係合される。また、ガイド軸43bが通されたガイド穴45aの長手方向に沿ってロック部材45が移動することで、ロック爪45bはロック部48に対して進退する。ローラ支持片45cは、ロック部材45の下端部をガイド壁43側へ折り曲げて形成されている。ばね掛け片45dは、ローラ支持片45cに形成されている。
【0039】
また、ロック部材45は、支持アーム33Aに対して装置筐体6の前面6F側に配置されており、安全シャッタ31が投入口7aを開く際に支持アーム33Aが回動する側においてロック爪45bがロック部48に係合するように構成されている。これにより、例えば、閉塞位置P1の安全シャッタ31の平面部31aが利用者によって押し込まれて安全シャッタ31を閉塞位置P1から開放位置P2側へ回動させる外力が加わった場合であっても、ロック部材45が安全シャッタ31の回動を妨げるロック状態の信頼性が確保されている。
【0040】
ロック用の引張コイルばね46は、一端がロック部材45のばね掛け片45dに取り付けられると共に、他端が、ベース部材34のガイド壁43に形成されたばね掛け片43cに取り付けられている。このため、引張コイルばね46は、ロック爪45bがロック部48に係合するようにロック部材45を付勢する。
【0041】
ロック解除ローラ47は、回転軸47aを介してロック部材45のローラ支持片45cに回転自在に支持されてX方向に沿って移動するシャッタ操作部材26のロック解除部27の移動経路上に配置されている。また、ベース部34材のガイド壁43には、ロック部48からロック爪45bが退避したときにロック部材45のロック解除ローラ47との干渉を避けるための切欠き部43dが形成されている。
【0042】
(シャッタ機構の動作)
図6~
図9は、実施例における貨幣取扱ユニット3とシャッタ機構8の動作を説明するための側面図である。ここでは、貨幣取扱装置1のユニット装着部5に対して貨幣取扱ユニット3が装着されるときのシャッタ機構8の動作について説明する。
【0043】
まず、
図6に示すように、シャッタ機構8は、ユニット装着部5から貨幣取扱ユニット3が取り外されているとき、安全シャッタ31が閉塞位置P1において投入口7aを閉じている。このとき、シャッタ機構8は、ロック部材45のロック爪45bがロック部48に係合されており、安全シャッタ31が閉塞位置P1にロックされている。また、入金部7を見る利用者には、投入口7aを閉じた安全シャッタ31が視認される。
【0044】
なお、閉塞位置P1において安全シャッタ31の平面部31aは、装置筐体6の前面6F側へ僅かに傾斜されており、前面6F側の利用者からの平面部31aの表示の視認性が高められている。これにより、入金部7が取り扱い不可であることを利用者が認識し易くされている。
【0045】
次に、ユニット装着部5に対して貨幣取扱ユニット3が装置筐体6の後面6R側から前面6F側に向かって進入し、貨幣取扱ユニット3のシャッタ操作部材26のロック解除部27がシャッタ機構8に進入したときに、ロック解除部27の傾斜面27aが、ロック解除ローラ47の周面に接する(
図6参照)。
【0046】
続いて、
図7に示すように、ユニット装着部5に対して貨幣取扱ユニット3が装置筐体6の前面6F側に向かって更に進入することで、シャッタ操作部材26のロック解除部27の移動に伴い、ロック解除部27の傾斜面27aに沿ってロック解除ローラ47が下方へ転がり、平坦面27bに達する。ロック解除ローラ47がロック解除部27の傾斜面27aに沿って平坦面27bまで移動することで、引張コイルばね46の付勢力に抗してロック部材45がガイド壁43に沿って下方へスライドし、ロック爪45bがロック部48から外れ、支持アーム33Aのロック状態が解除される。このため、シャッタ機構8は、支持アーム33Aが回動可能となり、安全シャッタ31が閉塞位置P1から開放位置P2に向かって回動可能になる。
【0047】
ロック部材45のロック爪45bが支持アーム33Aのロック部48から外れた後、
図7に示すように、シャッタ操作部材26の作動部28の作動面28aが、開閉ローラ37の周面に接する。続いて、貨幣取扱ユニット3が装置筐体6の前面6F側に向かって更に進入することで、シャッタ操作部材26の作動部28に接した開閉ローラ37を介して支持アーム33Aが押されると共に、
図8に示すように、開閉ローラ37が作動部28の作動面28aに沿って下方へ転がる。
【0048】
このとき、ロック部材45は、シャッタ操作部材26のロック解除部27の移動に伴って、ロック解除ローラ47がロック解除部27の平坦面27bに沿ってX方向に転がることにより、ロック部48からロック爪45bが退避した状態であるロック解除状態が保たれる。
【0049】
シャッタ機構8は、シャッタ操作部材26の作動部28によって押された支持アーム33Aが、引張コイルばね36の付勢力に抗して回動軸35まわりに回動することで、安全シャッタ31が閉塞位置P1から開放位置P2に向かって回動を始める。貨幣取扱装置1は、
図7に示すように、安全シャッタ31が閉塞位置P1から開放位置P2へ回動を始めるときに、貨幣取扱ユニット3のユニットシャッタ22が投入口7a近傍に到達している。
【0050】
シャッタ機構8は、安全シャッタ31が閉塞位置P1から開放位置P2へ回動するときに、安全シャッタ31の平面部31aが、装置筐体6の前面6F側を向くように倒れながら、安全シャッタ31が投入口7aから装置筐体6の前面6F側に向かって退避する。これにより、シャッタ機構8は、投入口7aから退避する安全シャッタ31、特に平面部31aが、装置筐体6の前面6F側の利用者から視認し易くなるので、安全シャッタ31が装置筐体6の後面6R側へ回動する構造と比べて、投入口7aにおける安全シャッタ31の存在を利用者に認識させることができる。
【0051】
続いて、貨幣取扱ユニット3が装置筐体6の前面6F側に向かって更に進入することで、
図8に示すように、ユニットシャッタ22が投入口7aを閉じるように進みながら、安全シャッタ31が投入口7aから退避する。このとき、投入口7aを閉じるユニットシャッタ22と、投入口7aを開く安全シャッタ31とが徐々に入れ替わるように動作するので、ユニットシャッタ22及び安全シャッタ31の存在を利用者に認識させ易くなる。
【0052】
これにより、貨幣取扱装置1は、投入口7aにおけるユニットシャッタ22及び安全シャッタ31の存在が利用者に容易に視認されるので、安全シャッタ31が投入口7aから退避するときであっても、入金部7が準備中であることを利用者に認識させることができる。このため、貨幣取扱装置1は、貨幣取扱ユニット3の着脱時に利用者が投入口7aに貨幣や指先等を誤って投入することを防げる。
【0053】
また、実施例の貨幣取扱装置1は、貨幣取扱ユニット3がユニット装着部5に着脱されるときに、投入口7aに対向する位置へ移動するユニットシャッタ22によって投入口7aを閉じながら、安全シャッタ31が投入口7aから退避するように、シャッタ操作部材26がシャッタ機構8を作動させることにより、投入口7a全体が開いている時間が発生することが避けられる。このため、貨幣取扱装置1は、貨幣取扱ユニット3の着脱時に利用者が投入口7aに貨幣や指先等を誤って投入することを更に防げる。
【0054】
続いて、貨幣取扱ユニット3が装置筐体6の前面6F側に向かって更に進入することで、安全シャッタ31が開放位置P2に向かって更に回動し、
図9に示すように、投入口7aを見る利用者から見えない位置まで安全シャッタ31が退避したときには、貨幣取扱ユニット3のユニットシャッタ22によって投入口7aがほぼ閉じられる。最後に、シャッタ機構8は、安全シャッタ31が開放位置P2まで回動されたとき、貨幣取扱ユニット3のユニットシャッタ22によって投入口7aが閉じられる。また、ユニット装着部5に対して貨幣取扱ユニット3が取り外されるときのシャッタ機構8の動作は、上述した動作と逆となる。
【0055】
(実施例の効果)
実施例の貨幣取扱装置1は、ユニット装着部5に装着された貨幣取扱ユニット3に貨幣を投入するための投入口7aが設けられた装置筐体6と、閉塞位置P1と開放位置P2に回動する安全シャッタ31を有するシャッタ機構8と、を備えており、貨幣取扱ユニット3がユニット装着部5に対して装置筐体6の前後方向(X方向)に沿って着脱され、安全シャッタ31が、閉塞位置P1から開放位置P2へ回動するときに、投入口7aから装置筐体6の前面6F側に向かって退避する。これにより、投入口7aから装置筐体6の前面6F側に退避する安全シャッタ31が、装置筐体6の前面6F側の利用者から視認し易くなるので、安全シャッタ31が装置筐体6の後面6R側へ回動する構造と比べて、投入口7aにおける安全シャッタ31の存在を利用者に認識させ易くできる。その結果、貨幣取扱装置1は、ユニット装着部5に対する貨幣取扱ユニット3の着脱時に開いた投入口7aに利用者が貨幣や指先等を誤って入れることを防ぐことができる。したがって、投入口7aに誤って投入された貨幣等が、貨幣取扱ユニット3に投入されずに装置筐体6の内部に落下することを防げる。
【0056】
また、実施例におけるシャッタ機構8は、上述した特許文献1のようなリンク機構を含まず、安全シャッタ31を支持する支持アーム33A、33Bが回動軸35まわりに回動する簡素な構造、かつ、機械的強度が確保された構造で、安全シャッタ31の開閉動作を行うことができる。
【0057】
また、実施例の貨幣取扱装置1において、貨幣取扱ユニット3は、投入口7aに対応する受入口21と、受入口21を開閉するユニットシャッタ22と、シャッタ機構8を作動させるシャッタ操作部材26と、を有する。貨幣取扱ユニット3がユニット装着部5に装着されるときに、投入口7aに対向する位置へ移動するユニットシャッタ22によって投入口7aを閉じながら、安全シャッタ31が投入口7aから退避するように、シャッタ操作部材26はシャッタ機構8を作動させる。これにより、ユニット装着部5に対する貨幣取扱ユニット3の着脱時に、投入口7aを閉じるユニットシャッタ22と、投入口7aを開く安全シャッタ31とが徐々に入れ替わるように動作する。このため、ユニットシャッタ22及び安全シャッタ31の存在を利用者に認識させ易くなると共に、投入口7a全体が開いている時間の発生を避けられる。したがって、安全シャッタ31が投入口7aから退避するときであっても、入金部7が準備中であることを利用者に認識させることが可能になり、貨幣取扱ユニット3の着脱時に利用者が投入口7aに貨幣や指先等を誤って投入することを更に防げる。
【0058】
また、実施例の貨幣取扱装置1において、シャッタ機構8が、回動する安全シャッタ31と共に移動する開閉ローラ37を有しており、シャッタ操作部材26が、開閉ローラ37が転がる作動面28aが形成された作動部28を有する。ユニット装着部5に対する貨幣取扱ユニット3の進入に伴って、開閉ローラ37が作動面28aに沿って移動することによって、安全シャッタ31は回動される、これにより、シャッタ操作部材26の移動と連動する安全シャッタ31の回動動作の精度を高められる。
【0059】
また、実施例の貨幣取扱装置1におけるシャッタ機構8は、安全シャッタ31を支持する一組の支持アーム33A、33Bと、回動軸35を介して一組の支持アーム33A、33Bを回動自在に支持するベース部材34と、を有する。これにより、シャッタ機構8の構成を簡素化し、シャッタ機構8の機械的強度、安全シャッタ31の動作信頼性を適正に確保できる。
【0060】
また、実施例の貨幣取扱装置1におけるシャッタ機構8は、支持アーム33Aに接して安全シャッタ31を閉塞位置P1にロックするロック部材45と、ロック部材45に設けられてロック部材45のロック状態を解除するためのロック解除ローラ47と、を有しており、シャッタ操作部材26が、ロック解除ローラ47を移動させるロック解除部27を有する。これにより、貨幣取扱ユニット3の移動に伴い、シャッタ操作部材26によって安全シャッタ31のロック状態を解除することが可能になる。また、シャッタ機構8は、一組の支持アーム33A、33Bによる回動構造と、安全シャッタ31をロックするロック構造とが独立するように分離して備えることで、安全シャッタ31の回動動作の信頼性、ロック部材45によるロック動作の信頼性を高められる。
【0061】
また、実施例におけるシャッタ機構8において、ロック部材45は、装置筐体6の前面6F側から支持アーム33Aに係合するように配置されている。これにより、例えば、閉塞位置P1の安全シャッタ31の平面部31aが利用者によって押し込まれて安全シャッタ31を閉塞位置P1から開放位置P2側へ回動させる外力が加わった場合であっても、ロック部材45が安全シャッタ31の回動を妨げるロック状態の信頼性を確保できる。
【符号の説明】
【0062】
1 貨幣取扱装置
3 貨幣取扱ユニット
5 ユニット装着部(装着部)
6 装置筐体
6F 前面
6R 後面
7 入金部
7a 投入口
8 シャッタ機構
21 受入口
22 ユニットシャッタ
26 シャッタ操作部材
27 ロック解除部
28 作動部
28a 作動面
31 安全シャッタ(本体シャッタ)
33 支持アーム
34 ベース部材
37 開閉ローラ
47 ロック解除ローラ
P1 閉塞位置
P2 開放位置