(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-17
(45)【発行日】2024-12-25
(54)【発明の名称】血液の体外治療のための装置及び血液の体外治療のための装置の膜ガス交換器における水分損失を決定するための方法
(51)【国際特許分類】
A61M 1/34 20060101AFI20241218BHJP
A61M 1/14 20060101ALI20241218BHJP
【FI】
A61M1/34 123
A61M1/14
(21)【出願番号】P 2022500918
(86)(22)【出願日】2020-07-01
(86)【国際出願番号】 EP2020068514
(87)【国際公開番号】W WO2021004855
(87)【国際公開日】2021-01-14
【審査請求日】2023-06-19
(32)【優先日】2019-07-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】501473877
【氏名又は名称】ガンブロ・ルンディア・エービー
【氏名又は名称原語表記】GAMBRO LUNDIA AB
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】プーシュリン, ドミニク
【審査官】大橋 俊之
(56)【参考文献】
【文献】特開昭61-162952(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0227134(US,A1)
【文献】欧州特許出願公開第02238995(EP,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0101657(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 1/34
A61M 1/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
血液の体外治療のための装置であって、
体外血液回路と、
前記体外血液回路のポンプ部分に結合されるように構成された血液ポンプ(11)と、
前記体外血液回路内を流れる血液とガスを交換するために前記体外血液回路に動作可能に結合された少なくとも1つの膜ガス交換器(19)であって、前記膜ガス交換器(19)は、前記体外血液回路に液体連通する血液入口(19a)及び血液出口(19b)を有する血液側(201)と、掃引ガスによって交差され、ガス入口(19c)及びガス出口(19d)を有するガス側(202)とを含む、少なくとも1つの膜ガス交換器(19)と、
タスクの実行を命令するように構成された制御ユニット(10)であって、前記タスクは、少なくとも以下のステップ、
‐前記膜ガス交換器(19)の前記血液側(201)を通って流れる前記血液と、前記膜ガス交換器(19)の前記ガス側(202)を通って流れる前記掃引ガスとの間でガスを交換すること、
‐ガス交換に起因して前記膜ガス交換器(19)で生じる血液水分損失(Q
eccor)を決定すること、
‐前記水分損失(Q
eccor)を知らせる信号を発すること、及び/又は前記水分損失(Q
eccor)を少なくとも部分的に補償すること
を含む、制御ユニット(10)とを備える装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置であって、前記血液水分損失を決定することは、
‐前記膜ガス交換器(19)の前記ガス側(202)における掃引ガス流量(Q
gas)を取得することと、
‐少なくとも前記掃引ガス流量(Q
gas)の関数として前記血液水分損失(Q
eccor)を計算することとを含む、装置。
【請求項3】
請求項2に記載の装置であって、前記血液水分損失を決定することは、
‐前記膜ガス交換器(19)の前記ガス出口(19d)における水分飽和量(C
saturation_out)を取得することと、
‐前記ガス出口(19d)における前記水分飽和量(C
saturation_out)の関数としても前記血液水分損失(Q
eccor)を計算することとを含む、装置。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の装置であって、前記血液水分損失を決定することは、
‐前記膜ガス交換器(19)の前記ガス入口(19c)における水分飽和量(C
saturation_in)を取得することと、
‐前記ガス入口(19d)における前記水分飽和量(C
saturation_in)の関数としても前記血液水分損失(Q
eccor)を計算することとを含む、装置。
【請求項5】
請求項2又は3又は4に記載の装置であって、前記血液水分損失を決定することは、
‐前記膜ガス交換器(19)の前記ガス出口(19d)における相対湿度(RH
outlet)を取得することと、
‐前記膜ガス交換器(19)の前記ガス入口(19c)における相対湿度(RH
inlet)を取得することと、
‐前記ガス出口(19d)における前記相対湿度(RH
outlet)と、前記ガス入口(19c)における前記相対湿度(RH
inlet)との関数としても前記血液水分損失(Q
eccor)を計算することとをさらに含む、装置。
【請求項6】
請求項3乃至5の何れか1項に記載の装置であって、前記掃引ガス流量(Q
gas)を取得することは、
‐前記掃引ガス流量(Q
gas)を直接的又は間接的に測定すること、又は
‐掃引ガス流量(Q
gas)規定値を収集することを含む、装置。
【請求項7】
請求項5が請求項3又は4に従属する場合又は請求項6が請求項3又は4又は5に従属する場合の請求項3乃至6の何れか1項に記載の装置であって、前記ガス出口(19d)における前記水分飽和量(C
saturation_out)を取得することは、
‐前記膜ガス交換器(19)の前記血液入口(19a)における血液入口温度(T
in)を取得することであって、前記血液入口温度(T
in)は、測定又は計算されるか、又は一定のデフォルト値である、ことと、
‐前記血液入口温度(T
in)の関数として前記ガス出口(19d)における前記水分飽和量(C
saturation_out)を計算することとを含み、
前記ガス入口(19c)における前記水分飽和量(C
saturation_in)を取得することは、
‐加湿温度(T
hum)を取得することであって、前記加湿温度(T
hum)は、測定又は計算されるか、又は一定のデフォルト値である、ことと、
‐前記加湿温度(T
hum)の関数として、前記ガス入口(19c)における前記水分飽和量(C
saturation_in)を計算することとを含む、装置。
【請求項8】
請求項5に記載の、又は請求項5に従属する場合の請求項6又は7に記載の装置であって、前記ガス出口(19d)における前記相対湿度(RH
outlet)を取得することは、
‐前記膜ガス交換器(19)及び前記掃引ガス流量(Q
gas)のタイプから前記ガス出口(19d)における前記相対湿度(RH
outlet)を導出すること、又は
‐前記ガス出口(19d)における前記相対湿度(RH
outlet)が100%に等しいと仮定することを含み、
前記ガス入口(19c)における前記相対湿度(RH
inlet)を取得することは、
‐前記掃引ガスが加湿されているならば、前記ガス入口(19c)における前記相対湿度(RH
inlet)が100%に等しいと仮定すること、又は
‐前記掃引ガスが加湿されていないならば、前記ガス入口(19d)における前記相対湿度(RH
inlet)が0%に等しいと仮定することを含む、装置。
【請求項9】
請求項1乃至8の何れか1項に記載の装置であって、前記血液水分損失を少なくとも部分的に補償することは、前記体外血液回路に水を加えることを含む、装置。
【請求項10】
請求項1乃至9の何れか1項に記載の装置であって、水ライン(22、22′)を通じて前記体外血液回路に直接的又は間接的に接続された、溶液である水のソース(23、23′)を含み、前記水ライン(22、22′)上で水ポンプ(24、24′)が動作し、前記水分損失を少なくとも部分的に補償することは、前記体外血液回路に、前記溶液を介して、水を注入することを含む、装置。
【請求項11】
請求項10に記載の装置であって、前記制御ユニット(10)は、前記計算された血液水分損失(Q
eccor)の関数として、前記体外血液回路内に注入された前記水又は前記溶液の流量(Q
water)を調節するように構成される、装置。
【請求項12】
請求項10又は11に記載の装置であって、前記水ライン(22)は、前記血液ポンプ(11)の下流に位置する接続点において前記体外血液回路に直接的に接続される、装置。
【請求項13】
請求項1に記載の装置であって、前記血液水分損失を決定することは、
‐前記膜ガス交換器(19)の前記ガス側(202)における掃引ガス流量(Q
gas)を取得することと、
‐前記膜ガス交換器(19)の前記血液入口における血液入口温度(T
in)を取得することと、
‐室温(T
room)を取得することと、
‐少なくとも前記掃引ガス流量(Q
gas)及び前記血液入口温度(T
in)と、前記室温(T
room)との関数として、前記血液水分損失(Q
eccor)を計算することと、を含む、装置。
【請求項14】
請求項13に記載の装置であって、前記血液水分損失を決定することは、
‐前記血液入口温度(T
in)の関数として前記ガス出口における水分率(Q
gas-out)を計算することと、
‐前記室温(T
room)の関数として前記ガス入口における水分率(Q
gas-in)を計算することと、
‐前記ガス出口における前記水分率と、前記ガス入口における前記水分率との差として、前記血液水分損失(Q
eccor)を計算することとを含む、装置。
【請求項15】
請求項14に記載の装置であって、前記血液水分損失(Q
eccor)を計算することは、以下の式、
Q
eccor=[Q
gas-out×(α(T
in))]-[Q
gas-in×(β(T
room))]
に従い、
Q
gas-out×(α(T
in))は、前記ガス出口(19d)における前記水分率であり、
Q
gas-in×(β(T
room)は、前記ガス入口(19c)における前記水分率であり、
T
inは、前記血液入口(19a)における前記血液温度であり、
T
roomは、前記室温であり、
前記ガス出口における前記水分率(Q
gas-out)と前記血液入口温度とを相関させるパラメータが計算を通じて導出され、前記ガス入口における前記水分率(Q
gas-in)と前記室温とを相関させるパラメータが実験的試験によって導出される、装置。
【請求項16】
請求項1乃至15の何れか1項に記載の装置であって、前記膜ガス交換器は、前記血液側とガス側とを分離するガス透過膜を備え、二酸化炭素CO
2除去器であり、前記交換されるガスは、二酸化炭素(CO
2)であり、血液から除去され、前記ガス透過膜は、複数の中空糸を含む、装置。
【請求項17】
血液の体外治療のための装置であって、
血液治療ユニット(2)と、
前記血液治療ユニット(2)に結合された体外血液回路と、
前記体外血液回路のポンプ部分に結合されるように構成された血液ポンプ(11)と、
前記血液治療ユニット(2)に結合された液体回路と、
前記体外血液回路内を流れる血液又は前記液体回路内を流れる液体とガスを交換するために前記体外血液回路又は前記液体回路に動作可能に結合された少なくとも1つの膜ガス交換器(19)であって、前記膜ガス交換器(19)は、前記体外血液回路又は前記液体回路に液体連通する血液又は液体入口(19a)及び血液又は液体出口(19b)を有する血液又は液体側(201)と、掃引ガスによって交差され、ガス入口(19c)及びガス出口(19d)を有するガス側(202)とを含む、少なくとも1つの膜ガス交換器(19)と、
タスクの実行を命令するように構成された制御ユニット(10)であって、前記タスクは、少なくとも以下のステップ、
‐前記膜ガス交換器(19)の前記血液又は液体側(201)を通って流れる前記血液又は液体と、前記膜ガス交換器(19)の前記ガス側(202)を通って流れる前記掃引ガスとの間でガスを交換すること、
‐ガス交換に起因して前記膜ガス交換器(19)で生じる血液又は液体水分損失(Q
eccor)を決定すること、
‐前記水分損失(Q
eccor)を知らせる信号を発すること、及び/又は前記水分損失(Q
eccor)を少なくとも部分的に補償すること
を含む、制御ユニット(10)とを備える装置。
【請求項18】
請求項17に記載の装置であって、前記血液又は液体水分損失を決定することは、
‐前記膜ガス交換器(19)の前記ガス側(202)における掃引ガス流量(Q
gas)を取得することと、
‐少なくとも前記掃引ガス流量(Q
gas)の関数として前記血液又は液体水分損失(Q
eccor)を計算することとを含む、装置。
【請求項19】
請求項18に記載の装置であって、前記血液又は液体水分損失を決定することは、
‐前記膜ガス交換器(19)の前記ガス出口(19d)における水分飽和量(C
saturation_out)を取得することと、
‐前記ガス出口(19d)における前記水分飽和量(C
saturation_out)の関数としても前記血液又は液体水分損失(Q
eccor)を計算することとを含む、装置。
【請求項20】
請求項18又は19に記載の装置であって、前記血液又は液体水分損失を決定することは、
‐前記膜ガス交換器(19)の前記ガス入口(19c)における水分飽和量(C
saturation_in)を取得することと、
‐前記ガス入口(19d)における前記水分飽和量(C
saturation_in)の関数としても前記血液又は液体水分損失(Q
eccor)を計算することとを含む、装置。
【請求項21】
請求項18又は19又は20に記載の装置であって、前記血液又は液体水分損失を決定することは、
‐前記膜ガス交換器(19)の前記ガス出口(19d)における相対湿度(RH
outlet)を取得することと、
‐前記膜ガス交換器(19)の前記ガス入口(19c)における相対湿度(RH
inlet)を取得することと、
‐前記ガス出口(19d)における前記相対湿度(RH
outlet)と、前記ガス入口(19c)における前記相対湿度(RH
inlet)との関数としても前記血液又は液体水分損失(Q
eccor)を計算することとをさらに含む、装置。
【請求項22】
請求項19乃至21の何れか1項に記載の装置であって、前記掃引ガス流量(Q
gas)を取得することは、
‐前記掃引ガス流量(Q
gas)を直接的又は間接的に測定すること、又は
‐掃引ガス流量(Q
gas)規定値を収集することを含む、装置。
【請求項23】
請求項21が請求項19又は20に従属する場合又は請求項22が請求項19又は20又は21に従属する場合の請求項19乃至22の何れか1項に記載の装置であって、前記ガス出口(19d)における前記水分飽和量(C
saturation_out)を取得することは、
‐前記膜ガス交換器(19)の前記血液又は液体入口(19a)における血液又は液体入口温度(T
in)を取得することであって、前記血液又は液体入口温度(T
in)は、測定又は計算されるか、又は一定のデフォルト値である、ことと、
‐前記血液又は液体入口温度(T
in)の関数として前記ガス出口(19d)における前記水分飽和量(C
saturation_out)を計算することとを含み、
前記ガス入口(19c)における前記水分飽和量(C
saturation_in)を取得することは、
‐加湿温度(T
hum)を取得することであって、前記加湿温度(T
hum)は、測定又は計算されるか、又は一定のデフォルト値である、ことと、
‐前記加湿温度(T
hum)の関数として、前記ガス入口(19c)における前記水分飽和量(C
saturation_in)を計算することとを含む、装置。
【請求項24】
請求項21に記載の、又は請求項21に従属する場合の請求項22又は23に記載の装置であって、前記ガス出口(19d)における前記相対湿度(RH
outlet)を取得することは、
‐前記膜ガス交換器(19)及び前記掃引ガス流量(Q
gas)のタイプから前記ガス出口(19d)における前記相対湿度(RH
outlet)を導出すること、又は
‐前記ガス出口(19d)における前記相対湿度(RH
outlet)が100%に等しいと仮定することを含み、
前記ガス入口(19c)における前記相対湿度(RH
inlet)を取得することは、
‐前記掃引ガスが加湿されているならば、前記ガス入口(19c)における前記相対湿度(RH
inlet)が100%に等しいと仮定すること、又は
‐前記掃引ガスが加湿されていないならば、前記ガス入口(19d)における前記相対湿度(RH
inlet)が0%に等しいと仮定することを含む、装置。
【請求項25】
請求項17乃至24の何れか1項に記載の装置であって、前記血液又は液体水分損失を少なくとも部分的に補償することは、前記体外血液回路又は前記液体回路に水を加えること、及び/又は前記体外血液回路からの正味液体除去を低減することを含む、装置。
【請求項26】
請求項25に記載の装置であって、前記体外血液回路又は前記液体回路へ水を加えることは、前記排出ポンプによって平衡されない、装置。
【請求項27】
請求項17乃至26の何れか1項に記載の装置であって、前記血液治療ユニット(2)は、半透膜(5)によって分離された一次チャンバ(3)及び二次チャンバ(4)を含み、前記体外血液回路は、前記一次チャンバ(3)の入口(3a)に接続された脱血ライン(6)と、前記一次チャンバ(3)の出口(3b)に接続された返血ライン(7)とを含み、前記液体回路は、前記二次チャンバ(4)の出口(4b)に接続された排液ライン(12)と、前記排液ライン(12)上で動作する排出ポンプ(13)とを含み、前記血液又は液体水分損失(Q
eccor)を少なくとも部分的に補償することは、前記計算された血液又は液体水分損失の関数として前記排出ポンプのポンプ速度を低減することによって、前記排出ポンプを調節するように構成される前記制御ユニットを備える、装置。
【請求項28】
請求項17乃至27の何れか1項に記載の装置であって、水ライン(22、22′)を通じて前記体外血液回路に直接的又は間接的に接続された、溶液である水のソース(23、23′)を含み、前記水ライン(22、22′)上で水ポンプ(24、24′)が動作し、前記水分損失を少なくとも部分的に補償することは、前記体外血液回路に、前記溶液を介して、水を注入することを含む、装置。
【請求項29】
請求項28に記載の装置であって、前記制御ユニット(10)は、前記計算された血液又は液体水分損失(Q
eccor)の関数として、前記体外血液回路内に注入された前記水又は前記溶液の流量(Q
water)を調節するように構成される、装置。
【請求項30】
請求項28又は29に記載の装置であって、前記水ライン(22)は、前記血液ポンプ(11)の下流に位置する接続点において前記体外血液回路に直接的に接続される、装置。
【請求項31】
請求項28乃至30の何れか1項に記載の装置であって、前記血液治療ユニット(2)は、半透膜(5)によって分離された一次チャンバ(3)及び二次チャンバ(4)を含み、前記体外血液回路は、前記一次チャンバ(3)の入口(3a)に接続された脱血ライン(6)と、前記一次チャンバ(3)の出口(3b)に接続された返血ライン(7)とを含み、透析液ライン(14)が、前記二次チャンバ(4)の前記入口(4a)及び透析液源に接続され、少なくとも1つの透析ポンプ(15)が、前記透析液ライン(14)のポンプ部分に結合され又は結合されるように構成され、前記水ライン(22′)は、前記透析液ライン(14)に終端する、装置。
【請求項32】
請求項31に記載の装置であって、前記水ライン(22′)は、前記透析ポンプ(15)と前記血液治療ユニット(2)との間に位置する接続点において前記透析液ライン(14)に接続される、装置。
【請求項33】
請求項28乃至32の何れか1項に記載の装置であって、前記体外血液回路に接続された置換液の1つ以上の注入ライン(16)と、前記注入ライン(16)のポンプ部分に結合され又は結合されるように構成された少なくとも1つの注入ポンプ(18)とを備える注入回路を備え、前記水ライン(22)は、前記注入ライン(16)のうちの少なくとも1つに終端する、装置。
【請求項34】
請求項31乃至33の何れか1項に記載の装置であって、少なくとも1つの構成において、前記液体回路は、前記二次チャンバ(4)に接続された閉ループを呈する、装置。
【請求項35】
請求項17に記載の装置であって、前記血液又は液体水分損失を決定することは、
‐前記膜ガス交換器(19)の前記ガス側(202)における掃引ガス流量(Q
gas)を取得することと、
‐前記膜ガス交換器(19)の前記血液又は液体入口における血液又は液体入口温度(T
in)を取得することと、
‐室温(T
room)を取得することと、
‐少なくとも前記掃引ガス流量(Q
gas)及び前記血液又は液体入口温度(T
in)と、前記室温(T
room)との関数として、前記血液又は液体水分損失(Q
eccor)を計算することと、を含む、装置。
【請求項36】
請求項35に記載の装置であって、前記血液又は液体水分損失を決定することは、
‐前記血液又は液体入口温度(T
in)の関数として前記ガス出口における水分率(Q
gas-out)を計算することと、
‐前記室温(T
room)の関数として前記ガス入口における水分率(Q
gas-in)を計算することと、
‐前記ガス出口における前記水分率と、前記ガス入口における前記水分率との差として、前記血液又は液体水分損失(Q
eccor)を計算することとを含む、装置。
【請求項37】
請求項36に記載の装置であって、前記血液又は液体水分損失(Q
eccor)を計算することは、以下の式、
Q
eccor=[Q
gas-out×(α(T
in))]-[Q
gas-in×(β(T
room))]
に従い、
Q
gas-out×(α(T
in))は、前記ガス出口(19d)における前記水分率であり、
Q
gas-in×(β(T
room)は、前記ガス入口(19c)における前記水分率であり、
T
inは、前記血液入口(19a)における前記血液温度であり、
T
roomは、前記室温であり、
前記ガス出口における前記水分率(Q
gas-out)と前記血液又は液体入口温度とを相関させるパラメータが計算を通じて導出され、前記ガス入口における前記水分率(Q
gas-in)と前記室温とを相関させるパラメータが実験的試験によって導出される、装置。
【請求項38】
請求項17乃至37の何れか1項に記載の装置であって、前記膜ガス交換器は、前記血液又は液体側とガス側とを分離するガス透過膜を備え、二酸化炭素CO
2除去器であり、前記交換されるガスは、二酸化炭素(CO
2)であり、血液又は液体から除去され、前記ガス透過膜は、複数の中空糸を含む、装置。
【請求項39】
請求項17乃至38の何れか1項に記載の装置であって、前記膜ガス交換器の前記ガス側を通じて掃引ガスを供給するために、前記ガス入口に掃引ガス源が接続され、前記掃引ガスは、乾燥ガス又は加湿ガスである、装置。
【請求項40】
請求項39に記載の装置であって、前記掃引ガス源と前記ガス入口との間に、前記掃引ガスを加湿するためのデバイスが配置される、装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血液の体外治療のための装置、特に、例えばCO2除去のための膜ガス交換器を備えた装置、及び血液の体外治療のための装置の膜ガス交換器における水分損失を検出するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
血液の体外治療の分野では、血液透析治療において、血液中に存在する不純物及び望ましくない物質(尿素、クレアチニンなど)が血液から処理液への拡散移動によって移動しうるように、患者の血液及び血流とほぼ等張の処理液が血液透析器の個別の区画に循環される。処理液のイオン濃度は、患者の血液のイオン濃度を是正するように選択される。血液濾過透析による治療では、血液透析器の膜の血液側と処理液側との間に引き起こされる正の圧力差から生じる限外濾過による対流移動が、透析によって得られる拡散移動に加えられる。
【0003】
血液の体外血液治療及び療法の分野では、体外式膜型人工肺(ECMO)及び/又は体外式CO2除去(ECCO2R)のために膜ガス交換器が使用されている。当初は専用システムで使用されていたが、体外式CO2除去の発展により、近年、持続的腎代替療法(CRRT)のための透析システムに膜ガス交換器が導入されている。ガス交換膜を通じて他方の膜側を流れるガス(掃引ガス・フロー)へ血液から拡散することによって二酸化炭素CO2が除去される。CRRTシステムは、ECCO2R療法(スタンドアロンECCO2R)だけでなく、同じ血液回路内で組み合わされたCRRT及びECCO2Rをも提供できる。
【0004】
CO2除去中に、CO2が抽出されるのと同時に、水分の一部が掃引ガス・フロー内に移動して蒸発し、血液区画からの熱及び水分の両方の損失につながる。
【0005】
水分損失は、従来技術の装置では無視され、システムの液体平衡精度と同じの大きさの次元である患者の液体平衡にシステム的な偏りをもたらす。
【0006】
実際、掃引ガス・フローへの水分蒸発は2つの主な結果を有する。
‐患者液体除去を、制御されない量で増加する。
‐血液を冷却する(水分蒸発に関連する有意な潜熱)。
【0007】
ガス交換器を通じた水分損失は、1日当たり数100mlの範囲であり、それゆえ、装置の液体平衡システムに要求される精度に匹敵しうるので、液体平衡の態様は臨床的帰結を有しうる。
【0008】
したがって、本発明の目的は、患者の臨床的帰結のリスクを回避又は低減するために、体外血液治療中に患者に正しい液体平衡を提供するように構成された、血液の体外治療のための装置を提供することである。
【0009】
特に、本発明の目的は、CO2除去のためにガス交換器を備えた、血液の体外治療のための装置の既存の液体平衡システムの精度を向上することである。
【0010】
さらに、追加の特有の構成要素/デバイスを必要としない、正しい液体平衡を保証することができる装置を提供することが目的である。
【発明の概要】
【0011】
上記目的のうちの少なくとも1つは、添付の特許請求の範囲の1つ以上による血液の体外治療のための装置、及び血液の体外治療のための装置の膜ガス交換器における水分損失を決定するための方法によって実質的に達成される。
【0012】
本発明の態様による、上記目的のうちの1つ以上を実現することができる装置及び方法が以下に説明される。
【0013】
第1態様は、血液の体外治療のための装置であって、
オプションとして、血液治療ユニットと、
オプションとして前記血液治療ユニットに結合された体外血液回路と、
前記体外血液回路のポンプ部分に結合されるように構成された血液ポンプと、
オプションとして、前記血液治療ユニットに結合された液体回路と、
前記体外血液回路内を流れる血液から及び/又は前記液体回路内を流れる液体とガスを交換するために、前記体外血液回路及び/又は前記液体回路に動作可能に連結された少なくとも1つの膜ガス交換器であって、前記膜ガス交換器は、前記体外血液回路又は前記液体回路に液体連通する血液又は液体入口及び血液又は液体出口を有する血液又は液体側と、掃引ガスによって交差され、ガス入口及びガス出口を有するガス側とを有する、少なくとも1つの膜ガス交換器と、
タスクの実行を命令するように構成された制御ユニットであって、前記タスクは、少なくとも以下のステップ、
‐前記膜ガス交換器の前記血液又は液体側を通って流れる前記血液又は液体と、前記膜ガス交換器の前記ガス側を通って流れる前記掃引ガスとの間でガスを交換すること、
‐ガス交換に起因して前記膜ガス交換器内で生じる血液又は液体水分損失の決定すること、
‐前記水分損失を知らせる信号を発すること、及び/又は前記水分損失を少なくとも部分的に、オプションとして自動的に、補償すること
を含む、装置に関する。
【0014】
第2態様は、血液の体外治療のための装置においてガスを交換するための方法であって、血液の体外治療のための前記装置は、
オプションとして、血液治療ユニットと、
オプションとして前記血液治療ユニットに結合された体外血液回路と、
前記体外血液回路のポンプ部分に結合されるように構成された血液ポンプと、
オプションとして、前記血液治療ユニットに結合された液体回路と、
前記体外血液回路内を流れる血液と及び/又は前記液体回路内を流れる液体とガスを交換するために、前記体外血液回路及び/又は前記液体回路に動作可能に連結された少なくとも1つの膜ガス交換器であって、前記膜ガス交換器は、前記体外血液回路又は前記液体回路に液体連通する血液又は液体側と、掃引ガスによって交差されるガス側とを有する、少なくとも1つの膜ガス交換器とを備え、
前記方法は、
‐前記膜ガス交換器において、前記血液又は液体と、前記掃引ガスとの間でガスを交換すること、
‐ガス交換に起因して前記膜ガス交換器内で生じる血液又は液体水分損失の決定すること、
‐前記水分損失を知らせる信号を発すること、及び/又は前記水分損失を少なくとも部分的に、オプションとして自動的に、補償すること
を含む、方法に関する。
【0015】
第3態様は、血液の体外治療のための装置の膜ガス交換器における水分損失を決定するための方法であって、血液の体外治療のための前記装置は、
オプションとして、血液治療ユニットと、
オプションとして前記血液治療ユニットに結合された体外血液回路と、
前記体外血液回路のポンプ部分に結合されるように構成された血液ポンプと、
オプションとして、前記血液治療ユニットに結合された液体回路と、
前記体外血液回路内を流れる血液と及び/又は前記液体回路内を流れる液体とガスを交換するために、前記体外血液回路に動作可能に連結された少なくとも1つの膜ガス交換器であって、前記膜ガス交換器は、前記血液回路又は前記液体回路に液体連通する血液又は液体側と、掃引ガスによって交差されるガス側とを有する、少なくとも1つの膜ガス交換器とを備え、
前記方法は、
‐前記膜ガス交換器の前記ガス側における掃引ガス流量を取得することと、
‐
‐少なくとも前記掃引ガス流量の関数として前記血液又は液体水分損失を計算することとを含む、方法に関する。
【0016】
前述の態様のうちの何れか1つによる第4態様において、前記膜ガス交換器は二酸化炭素CO2除去器である、及び/又は前記交換されるガスは二酸化炭素(CO2)であり、血液又は液体から除去され、オプションとして、前記膜ガス交換器は、酸素供給器であり、及び/又は前記交換されるガスは酸素であり、血液又は液体に加えられ、オプションとして、前記膜ガス交換器は二酸化炭素CO2除去器及び酸素供給器であり、及び/又は、酸素が血液又は液体に加えられる間に二酸化炭素(CO2)が血液又は液体から除去される。
【0017】
前述の態様のうちの何れか1つによる第5態様において、前記膜ガス交換器は、前記血液又は液体側とガス側とを分離するガス透過膜を含み、オプションとして、前記ガス透過膜は複数の中空糸を含む。
【0018】
前述の態様による第6態様において、前記膜ガス交換器の前記ガス側を通して掃引ガスを供給するために前記ガス入口に掃引ガス源が接続され、オプションとして、前記掃引ガスは乾燥ガス又は加湿ガスであり、オプションとして、前記掃引ガスは空気、オプションとして乾燥空気又は加湿空気、二酸素、又は空気と二酸素の混合物であり、オプションとして、前記掃引ガスを加湿するためのデバイスが前記掃引ガス源と前記ガス入口との間に配置される。
【0019】
前述の態様のうちの何れか1つによる第7態様において、前記体外血液回路は、患者に接続可能な脱血ライン及び返血ラインを備え、前記脱血ラインは前記膜ガス交換器の前記血液入口に接続され、前記返血ラインは前記膜ガス交換器の前記血液出口に接続される。
【0020】
前述の態様1乃至6の何れか1つによる第8態様において、前記装置は、前記血液治療ユニットを含み、前記体外血液回路は、前記血液治療ユニットに結合される。
【0021】
前述の態様8による第9態様において、前記血液治療ユニットは、半透膜によって分離された一次チャンバ及び二次チャンバを備え、前記体外血液回路は、前記一次チャンバの入口に接続された脱血ラインと、前記一次チャンバの出口に接続された返血ラインとを備え、オプションとして、前記液体回路は、前記二次チャンバに接続され、オプションとして、前記液体回路は、前記二次チャンバの出口に接続された排液ラインと、前記二次チャンバの入口に接続された透析液ラインとを備え、オプションとして、少なくとも1つの構成において、前記液体回路は、前記二次チャンバに接続された閉ループを呈する。
【0022】
前述の態様8又は9の何れかによる第10態様において、前記膜ガス交換器は、前記返血ライン上又は前記脱血ライン上に配置され、及び/又は前記膜ガス交換器は、前記液体回路上に、オプションとして閉ループ上に配置される。
【0023】
前述の態様のうちの何れか1つによる第11態様において、前記血液水分損失を決定することは、
‐前記膜ガス交換器の前記ガス側における掃引ガス流量を取得することと、
‐オプションとして、前記膜ガス交換器の前記ガス出口における水分飽和量を取得することと、
‐オプションとして、前記膜ガス交換器の前記ガス入口における水分飽和量を取得することと、
‐少なくとも前記掃引ガス流量と、オプションとして前記ガス出口における前記水分飽和量と、オプションとして前記ガス入口における前記水分飽和量との関数として、前記血液又は液体水分損失を計算することとを含む。
【0024】
前述の態様11による第12態様において、血液水分損失を決定することは、
‐前記膜ガス交換器の前記ガス出口における相対湿度を取得することと、
‐オプションとして、前記膜ガス交換器の前記ガス入口における相対湿度を取得することと、
‐前記ガス出口における前記相対湿度と、オプションとして前記ガス入口における前記相対湿度との関数としても前記血液水分損失を計算することとをさらに含む。
【0025】
前述の態様11又は12の何れか1つによる第13態様において、前記掃引ガス流量を取得することは、
‐前記掃引ガス流量を直接的又は間接的に測定することと、
‐掃引ガス流量の規定値を収集することとを含む。
【0026】
前述の態様11~13の何れか1つによる第14態様において、前記ガス出口における前記水分飽和量を取得することは、
‐前記膜ガス交換器の前記血液又は液体入口における血液又は液体入口温度を取得することと、
‐前記血液又は液体入口温度の関数としての前記水分飽和量を計算することとを含み、
オプションとして、前記掃引ガスが加湿されるならば、前記ガス入口における前記水分飽和量を取得することは、
‐加湿温度を取得することであって、オプションとして、前記加湿温度は、測定又は計算されるか、又は一定のデフォルト値、オプションとして室温である、ことと、
‐前記加湿温度の関数として前記ガス入口における前記水分飽和量を計算することとを含む。
【0027】
前述の態様による第15態様において、前記血液又は液体入口温度は、測定又は計算されるか、又は一定のデフォルト値である。
【0028】
上述の態様12又は態様12による場合の態様13~15の何れか1つによる第16態様において、前記ガス出口における前記相対湿度を取得することは、
‐前記膜ガス交換器のタイプから、オプションとして前記掃引ガス流量のタイプから前記ガス出口における前記相対湿度を導出することと、
‐例えば前記膜ガス交換器のタイプが未知であるならば、前記ガス出口における前記相対湿度が100%に等しいと仮定することと、
オプションとして、前記ガス入口における前記相対湿度を取得することは、
‐前記掃引ガスが加湿されているならば、前記ガス入口における前記相対湿度が100%に等しいと仮定することと、
‐前記掃引ガスが加湿されていないならば、前記ガス入口における前記相対湿度が0%に等しいと仮定することとを含む。
【0029】
前述の態様のうちの何れか1つによる第17態様において、前記血液又は液体水分損失を少なくとも部分的に補償することは、前記体外血液回路又は前記液体回路に、オプションとして溶液を介して、オプションとしてグルコース又は電解質/注入溶液を介して、水を加えることを含む。
【0030】
前述の態様のうちの何れか1つによる第18態様において、前記血液又は液体水分損失を少なくとも部分的に補償することは、前記体外血液回路からの正味液体除去を低減することを含む。
【0031】
態様9による場合の前述の態様のうちの何れか1つによる第19態様において、前記液体回路は、前記二次チャンバの出口に接続された排液ラインと、前記排液ライン上で動作する排出ポンプとを備え、前記血液又は液体水分損失を少なくとも部分的に補償することは、前記排出ポンプを調節することを含む。
【0032】
前述の態様による第20態様において、前記制御ユニットは、前記計算された血液又は液体水分損失の関数として、前記排出ポンプのポンプ速度を調節し、オプションとして低減することによって、前記排出ポンプを調節するように構成される。
【0033】
前述の態様のうちの何れか1つによる第21態様において、水、オプションとして溶液、オプションとしてグルコース溶液又は電解質/注入溶液のソースが直接的又は間接的に(例えば、液体回路又は注入ラインを介して)水ラインを通じて体外血液回路に接続され、水ポンプが前記水ライン上で動作し、前記血液又は液体水分損失を少なくとも部分的に補償することは、オプションとして溶液、オプションとしてグルコース溶液又は電解質/注入溶液を介して、前記体外血液回路に水を注入することを含み、オプションとして、前記水又は溶液注入は前記排出ポンプによって平衡されない。
【0034】
前述の態様による第22態様において、前記制御ユニットは、前記計算された血液水分損失の関数として、前記体外血液回路内の前記に注入される前記水又は前記溶液の流量を調整するように構成される。
【0035】
前述の態様21又は22による第23態様において、前記水分損失を少なくとも部分的に補償することは、前記水ポンプを調整することを含む。
【0036】
態様21又は22又は23による第24態様において、前記水ラインは、オプションとして溶血を最小化するために混合部位で、前記体外血液回路に終端する。
【0037】
前述の態様24による第25態様において、前記水ラインは、前記血液ポンプと前記膜ガス交換器との間、オプションとして前記血液ポンプと前記血液治療ユニットとの間、及び/又は前記膜ガス交換器の下流で前記血液回路に接続される。
【0038】
態様9による場合の態様21~23の何れかによる第26態様において、前記液体回路は、前記二次チャンバの前記入口及び透析液源に接続された前記透析液ラインと、オプションとして、前記透析液ラインのポンプ部分に結合され又は結合されるように構成された少なくとも1つの透析ポンプとを備え、前記水ラインは、前記透析液ラインに終端する。
【0039】
前述の態様26による第27態様において、前記水ラインは、前記透析ポンプと前記血液治療ユニットとの間に位置する連結点において前記透析液ラインに接続される。
【0040】
前述の態様21~23の何れか1つによる第28態様において、置換液の1つ以上の注入ラインを備える注入回路が前記体外血液回路に接続され、オプションとして、前記注入ラインのポンプ部分に結合され又は結合されるように構成される少なくとも1つの注入ポンプに接続され、前記水ラインは、前記注入ラインのうちの少なくとも1つに終端する。
【0041】
前述の態様による第29態様において、前記水ラインは、前記注入ポンプと前記体外血液回路との間に位置する連結点において前記注入ラインに接続される。
【0042】
前述の態様28又は29による第30態様において、前記注入ラインは、前記血液ポンプと前記膜ガス交換器との間、オプションとして前記血液ポンプと前記血液治療ユニットとの間で前記体外血液回路に接続され、オプションとして、前記血液ポンプの上流に注入ラインが接続される。
【0043】
前述の態様28又は29による第31態様において、前記注入ラインは、前記膜ガス交換器の下流で前記血液回路に接続される。
【0044】
第32態様において、前記水分損失を知らせる1つ以上の信号は、前記水分損失の値を示す1つ以上の視覚信号であり、オプションとして、前記1つ以上の信号は、ディスプレイ上に、オプションとして、前記制御ユニットに接続された制御パネル又は遠隔デバイスのディスプレイ上に示される。
【0045】
第33態様において、前記血液水分損失を決定することは、
‐前記膜ガス交換器の前記ガス側における掃引ガス流量を取得することと、
‐前記膜ガス交換器の前記血液又は液体入口における血液又は液体入口温度を取得することと、
‐室温を取得することと、
‐少なくとも前記掃引ガス流量及び前記血液又は液体入口温度と、オプションとして前記室温の関数として、前記血液又は液体水分損失を計算することとを含む。
【0046】
前述の態様による第34態様において、前記血液水分損失を決定することは、
‐前記血液又は液体入口温度の関数としての前記ガス出口における水分率を計算することと、
‐前記室温の関数として前記ガス入口における水分率を計算することと、
‐前記ガス出口における前記水分率と、前記ガス入口における前記水分率との差として前記血液又は液体水分損失を計算することとを含む。
【0047】
前述の態様による第35態様において、前記ガス出口における前記水分率と前記血液又は液体入口温度とを相関させるパラメータが計算を通じて導出され、前記ガス入口における前記水分率と前記室温とを相関させるパラメータが実験的試験によって導出される。
【図面の簡単な説明】
【0048】
非限定的な例として提供される添付の図面に本発明の態様が示される。
【
図1】血液の体外治療のための装置の概略図を示す。
【
図2】血液の体外治療のための装置の代替実施形態の概略図を示す。
【
図3】血液の体外治療のための装置のさらなる実施形態の概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0049】
本発明の革新的な態様を実施しうる血液の体外治療のための装置1の非限定的な実施形態が、
図1、2及び3に示される。以下の説明及び
図1、2及び3において、同じ構成要素は同じ参照符号によって識別される。
【0050】
図1には、半透膜5によって分離された一次チャンバ3及び二次チャンバ4を有する(血液フィルタ、限外フィルタ、血液透析フィルタ、透析器、血漿フィルタ等のような)血液治療ユニット2を含む血液の体外治療のための装置1が示されており、治療に応じて、血液治療ユニット2の半透膜5は、異なる特性及び性能を有するように選択されてもよい。一次チャンバ3の入口3aに脱血ライン6が接続され、一次チャンバ3の出口3bに返血ライン7が接続されている。使用時に、脱血ライン6及び返血ライン7が、針又はカテーテル又は他のアクセス・デバイス(図示せず)に接続され、これは次いで、患者「P」血管系と液体連通して配置され、その結果、血液は、脱血ライン6を通じて抜き取られ、一次チャンバ3を通って流れ、その後、返血ライン7を通じて患者の血管系に戻されうる。返血ライン7上に、脱気チャンバ8のような空気分離器が存在してもよい。さらに、制御ユニット10によって制御される安全リターン・クランプ9が、脱気チャンバ8の下流で返血ライン7上に存在してもよい。例えば、脱気チャンバ8に関連する、又は脱気チャンバ8とリターン・クランプ9との間のライン7の一部に結合された気泡センサが存在してもよい。存在するならば、気泡センサは制御ユニット10に接続され、安全閾値を超える1つ以上の気泡が検出された場合に、制御ユニット10がリターン・クランプ9を閉じさせるための信号を制御ユニット10に送信する。血液ラインを通る血流は、脱血ライン6又は返血ライン7の何れかに作用する血液ポンプ11、例えば蠕動血液ポンプによって制御される。
図1、2及び3の実施形態は、回収ライン6のポンプ部分に結合された血液ポンプ11を示す。
オペレータはユーザ・インタフェースを通じて血液流量Q
Bの設定値を入力してもよく、制御ユニット10は治療中に、設定された血液流量Q
Bに基づいて血液ポンプ11を制御するように構成される。
【0051】
制御ユニット10は、メモリ(又は複数のメモリ)を有するデジタル・プロセッサ(CPU)、アナログ・タイプ回路、又は1つ以上のデジタル処理ユニットと1つ以上のアナログ処理回路との組合せを備えてもよい。本明細書及び特許請求の範囲において、制御ユニット10はステップを実行するように「構成」又は「プログラム」されることが示される。これは実際には制御ユニット10を構成又はプログラムすることを可能にする任意の手段によって実現されてもよい。例えば、1つ以上のCPUを備える制御ユニット10の場合に、1つ以上のプログラムが適切なメモリに格納され、1つ以上のプログラムは、制御ユニット10によって実行された場合に、制御ユニット10に関連して説明及び/又は請求されるステップを制御ユニット10に実行させる命令を含む。これに代えて、制御ユニット10がアナログ・タイプであるならば、制御ユニット10の回路は、使用時に、本書に開示される制御ユニット10のステップを実行するような電気信号を処理するように構成された回路を含むように設計される。
【0052】
排液ライン12、すなわち使用済透析液ラインは、一端で、二次チャンバ4の液体出口4bに接続され、他端で、二次チャンバから抽出された液体を収集する排出導管又は排液容器であり得る廃棄物に接続される。排液ポンプ13は、排液ラインにわたる流量Qeffを調整するように、制御ユニット10の制御のもとで排液ライン12上で動作する。
【0053】
図1の装置は、一端が未使用の透析液源に接続され、他端が未使用の透析液を二次チャンバ4に供給するために処理ユニット2の二次チャンバ4の液体入口4aに接続された透析液ライン14を含む。透析液ポンプ15は、図示しない透析液容器から二次チャンバ4に流量Q
dialで液体を供給するために、制御ユニット10の制御のもとで透析液ライン14上で動作する。
【0054】
排液ライン12、透析液ライン14及び血液治療ユニット2の二次チャンバ4は、装置1の液体回路の一部である。
【0055】
図1の実施形態は、血液ポンプ11と治療ユニット2との間で脱血ライン6に接続された注入ライン16を示す。この注入ライン16は、注入ライン16の一端に接続された注入液容器17から置換液を供給する。注入ライン16の代わりに、又はそれに加えて、
図1の装置は、返血ライン7及び/又はそれ自体の注入液容器17′を有する血液ポンプ前注入ライン16′に注入液容器を接続する希釈後液体ライン(図示せず)を含んでもよいことに留意されたい。さらに、注入ライン16、16′を通る個別の流量Q
repを調整するために、注入ポンプ18が注入ライン16上で動作し、注入ポンプ18′が血液ポンプ前注入ライン16′上で動作する。2つ以上の注入ライン(希釈前及び希釈後及び血液ポンプ前注入ライン16′)の場合に、各注入ラインが、個別の注入ポンプを備えてもよいことに留意されたい。
【0056】
血液の体外治療のための装置1は、返血ライン7上に、すなわち、治療中の血液の流れ方向に関して血液治療ユニット2の下流に配置された膜ガス交換器19をさらに備える。膜ガス交換器19は、血液側201とガス側202とを分離するガス透過膜200を含む。血液治療ユニット2から来る返血ライン7の第1部分7aは、膜ガス交換器19の血液側201の血液入口19aに接続され、針又はカテーテルに接続された返血ライン7の第2部分7bは、膜ガス交換器19の血液側201の血液出口19bに接続される。膜ガス交換器19のガス側202に、掃引ガス(例えば、空気又は二酸素、又は空気と二酸素の混合物)のための個別のガス入口19c及びガス出口19dが設けられる。
【0057】
膜ガス交換器19の内部構造は、それ自体、公知であってもよい。ガス透過膜200は、血液側201とガス側202とを分離する。ガス透過膜200は、前記膜を規定する複数の中空糸を含んでもよい。掃引又は換気ガス(例えば、二酸素、空気、乾燥空気、加湿空気)が中空糸の内側(ガス側)を通過している間に、血液は、拡散によるガス交換を達成するために、中空糸の周り(血液側)を通る。膜ガス交換器19は、体外血液回路内を流れる血液とガスを交換するために、体外血液回路に動作可能に結合される。
図1、2及び3の開示された実施形態の膜ガス交換器19は、CO
2除去器である。二酸化炭素CO
2は、廃棄のために血液側201からガス中に拡散する。
図1の装置1は、スタンドアロンのCO
2除去、ならびに透析及びCO
2除去を同じ回路内で組み合わせて提供できる。
【0058】
他の実施形態では、膜ガス交換器19は、血液に酸素を加えるように構成された酸素供給器であってもよく、又は二酸化炭素CO2の除去と同時に血液に酸素を加えるように構成されてもよい。
【0059】
ガス容器のような掃引ガス源20は、膜ガス交換器19のガス側を通じて掃引ガスを供給するようにガス入口19cに接続される。
【0060】
変形の実施形態では、膜ガス交換器19は、脱血ライン6上に配置されてもよい。
【0061】
膜ガス交換器19と気泡トラップ8との間で返血ライン7上に血液加温器21が配置されてもよい。
【0062】
脱血ライン6、返血ライン7、治療ユニット2の一次チャンバ3、及び膜ガス交換器19の血液側201は、装置1の体外血液回路の一部を形成する。注入ライン16、16′は、装置1の注入回路の一部を形成する。
【0063】
血液ポンプ11、排液ポンプ13、透析液ポンプ15、注入ポンプ18、18′及び取りうる他のポンプは、前記ポンプを制御する制御ユニット10に動作可能に接続される。制御ユニット10はまた、血液回路及び/又は液体回路及び/又は注入回路上の(流量センサ及び/又は圧力センサのような)センサに動作可能に接続される。また、制御ユニット10は、リターン・クランプ9のようなクランプ及びバルブに動作可能に接続される。制御ユニット10はまた、図示されていないユーザ・インタフェース、例えばグラフィック・ユーザ・インタフェースに接続されており、これはオペレータの入力を受け取り、装置出力を表示する。例えば、グラフィック・ユーザ・インタフェースは、タッチ・スクリーン、表示スクリーン、及びユーザ入力を入力するためのハード・キー、又はそれらの組合せを含んでもよい。体外血液治療中に、制御ユニット10は、例えば、ユーザ・インタフェースを介して制御ユニット10に提供される処方箋によって要求されるように、予め定められた患者の正味液体除去が治療時間の経過中に確実に達成するために、少なくともポンプ11、13、15、18、18′を制御するように構成される。
【0064】
図1の装置1はさらに、溶液中、例えば袋内のグルコース液中の水のソース23に接続され、注射ポンプ18と体外血液回路との間に位置する接続点で注入ライン16に接続された水ライン22を備える。水ポンプ24は、水ライン22を通る水の流量Q
waterを調整するために水ライン22上で動作する。変形の実施形態(
図1の破線)によれば、水ライン22は、血液ポンプ11と血液治療ユニット2との間の体外血液回路に直接的に接続される。
【0065】
水源23′に接続され、水ポンプ24′に結合されたさらなる水ライン22′が、透析ポンプ15と血液治療ユニット2の二次チャンバ4の液体入口4aとの間に位置する接続点で透析液ライン14に接続されている。
【0066】
図1の装置1は、ECCO
2R療法と組み合わされた持続的腎代替療法(CRRT)、又は又はECCO
2R療法単独を提供するように構成される。
【0067】
制御ユニット10は、体外血液治療ユニット2及び膜ガス交換器19を介して患者「P」の治療を実行するように装置を制御するように構成される。また、制御ユニット10は、CO
2除去に起因して膜ガス交換器19内で発生する血液水分損失Q
eccorを考慮するために、本発明の方法にしたがって、タスクの実施を命令するように構成されている(
図4)。
【0068】
前記タスクは、少なくとも以下のステップ、
‐膜ガス交換器19の血液側を通じて流れる血液からのガス(CO2)を除去することと、
‐ガス交換(すなわち、掃引ガスへの水の蒸発)に起因して膜ガス交換器19内で生じる血液水分損失Qeccorを決定することと、
‐水分損失を知らせる信号を発すること、及び/又は前記水分損失Qeccorを少なくとも部分的に補償することとを含む。
【0069】
拡散によるガス交換を達成するために、血液が中空糸の周り(血液側201)を通過する間に、掃引又は換気ガス(例えば、二酸素、空気、乾燥空気、加湿空気)を膜ガス交換器19の中空糸の内側(ガス側202)に通すことによってガスが血液から除去される。
【0070】
膜式ガス交換器19における水分損失Qeccorを決定するために、制御ユニット10は、以下の式を通じた計算を実行するように構成される。
i) Qeccor=Qgas×Csaturation_out×(RHoutlet/100)
ここで、
Qeccorは、ガス交換器19におけるの血液水分損失、
Qgasは、ガス交換器19を通る掃引ガス流量、
Csaturation_outは、ガス出口19dにおけるの水分飽和量、
RHoutletは、ガス出口19dにおける相対湿度である。
【0071】
1つの実施形態では、ガス流量Qgas(L/分)は、例えば、制御ユニット10に動作可能に接続された流量センサ(図示せず)を通じて直接的に測定されてもよい。1つの実施形態では、ガス流量Qgasは、制御ユニット10の記憶メモリから収集された、又はオペレータの問い合わせに続いて、例えばキーボード又はタッチスクリーンを介してオペレータによって入力された規定値であってもよい。
【0072】
1つの実施形態では、血液が流れるのと同じ温度でガスが膜ガス交換器19を出ると仮定し、かつ患者「P」からの又は膜ガス交換器19の血液入口19aにおける体外血液回路からの血液温度を既知として、ガス出口19dにおける水分飽和量Csaturation_outが導出される。1つの実施形態では、血液入口19aに温度センサが配置され、血液入口温度Tinが測定される。1つの実施形態では、ガス出口19dに温度センサが配置されてもよい。1つの実施形態では、(例えば、患者「P」から、又は体外血液回路の異なる点から)異なる温度が測定され、大気及び/又は液体交換への熱損失を積分する数学モデルを通じて制御ユニット10によって血液入口温度Tinが計算される。1つの実施形態では、一定のデフォルト温度が血液入口温度Tinとして見なされてもよい。水分飽和量Csaturation_outはその後、血液入口温度Tinの関数として計算される。
【0073】
1つの実施形態では、ガス出口19dにおける相対湿度RHoutlet(%)が膜ガス交換器19のタイプ及び掃引ガス流量Qgasから導出され、これは、膜ガス交換器19のタイプに関連する値である。これは、大きなガス流量Qgasと組み合わされた小さな膜ガス交換器19に対して100%未満であってもよい。1つの実施形態では、例えば、膜ガス交換器19のタイプが未知であるならば、相対湿度RHoutletは100%に等しく設定される。
【0074】
1つの実施形態では、ガス入口19cに入る掃引ガスは、例えば掃引ガス源20とガス入口19cとの間に配置されたデバイスを通じて加湿される。したがって、制御ユニット10は、前記加湿も考慮して、以下の式を通じて計算を実行するように構成される。
ii) Qeccor=Qgas×((Csaturation_out×(RHoutlet/100))-(Csaturation_in×(RHinlet/100))
ここで、
Qeccorは、ガス交換器19における血液水分損失、
Qgasは、ガス交換器19を通る掃引ガス流量、
Csaturation_outは、ガス出口19dにおけるの水分飽和量、
RHoutletは、ガス出口19dにおける相対湿度、
Csaturation_inは、ガス入口19cにおける水分飽和量、
RHinletは、ガス入口19cにおける相対湿度である。
【0075】
ガス入口19cにおける水分飽和量Csaturation_inは、加湿温度Thum、典型的には室温Troomの関数として計算され、これは測定又は計算されてもよく、又は一定のデフォルト値である。ガス入口19cにおける相対湿度RHinletは、掃引ガスが加湿されているならば100%に等しいと仮定され、掃引ガスが加湿されていないならば0%に等しいと仮定される。
【0076】
別の実施形態では、制御ユニット10は、ガス加湿も考慮して、以下の式を通じて計算を実行するように構成される。
iii) Qeccor=[Qgas×(α(Tin))]-[Qgas×(β(Troom))]
ここで、
Qgas×(α(Tin))は、ガス出口19dにおける水分率、
Qgas×(β(Troom)は、ガス入口19cにおける水分率、
Tinは、血液入口19aにおける血液温度、
Troom は、室温である。
【0077】
関数α及びβは、計算及び/又は実験的試験を通じて導出され、以下の形を有してもよい。
1) α(Tin)=(a+b×Tin)
2) β(Troom)=d+e×Troom
式1及び2は、空気水飽和テーブルから、又は実験的測定から導出されてもよい。
【0078】
水分損失Qeccorの補償は、体外血液回路に水を加えることによって、及び/又は体外血液回路からの正味液体除去を低減することによって実現されてもよい。
【0079】
制御ユニット10は、計算された損失Qeccorをオペレータに警告し、計算された値をオペレータに知らせる信号を発するように構成されてもよい。制御ユニット10は、このような値を制御パネルのスクリーン上に表示してもよく、又はラップトップのような遠隔デバイスへ信号を送信してもよい。これは、取りうる医療介入を可能にする。オペレータは、正味液体除去の処方を調整するか、又は溶液、例えばグルコース溶液又は電解質/注入溶液を介して、体外血液回路中に、又は患者「P」に直接的に、注入水を提供してもよい。
【0080】
1つの実施形態では、制御ユニット10は、水源23、水ライン22、及び水ポンプ24を介して、体外血液回路又は注入ライン16に直接的に、計算された水分損失Qeccorで水を注入することによって自動的に補償するように構成される。1つの実施形態では、水は、水ライン22′、水源23′及び水ポンプ24′を介して透析液ライン14に注入される。制御ユニット10は、計算された血液水分損失Qeccorの関数として、体外血液回路内に注入される水又は溶液の流量を調整するように構成される。水流量は、水ポンプ24、24′の速度を調節することによって調節される。これらの実施形態では、排出ポンプ13の速度が標準的な治療に対して変化しない。水は純水として、又は溶液、例えばグルコース溶液又は電解質/注入溶液を介して注入されてもよい。前記水又は溶液の注入は、排出ポンプ13によって平衡されるものではない。
【0081】
1つの実施形態では、グルコース溶液を使用する場合に、自動注入は患者「P」の血液回路内で直接的に行われてもよい。
純水が体外血液回路内に直接的に注入されるならば、溶血を最小化するために、混合部位で水ライン22が体外血液回路内に終端する。
【0082】
1つの実施形態では、体外血液回路からの正味液体除去の低減による補償は、排出ポンプ13を調整することによって実現される。制御ユニット10は、計算された血液水分損失Qeccorの関数として、排出ポンプ13の速度を自動的に調整、例えば低減するように構成される。
【0083】
図2は、体外血液治療1の異なる実施形態を示す。
図1の同じ要素には同じ参照番号が使用されている。
図2の体外血液治療1は、血液治療ユニット2を備えておらず、膜ガス交換器19のみを備えている。膜ガス交換器19は、回路内の唯一のデバイスであり、装置1は、ECCO
2R療法(スタンドアロンECCO
2R)のみを提供するように構成される。
【0084】
脱血ライン6は膜ガス交換器19の血液入口19aに接続され、返血ライン7は膜ガス交換器19の血液出口19bに接続される。
【0085】
水ライン22は、溶液、例えば袋中のグルコース溶液中の水のソース23に接続され、血液ポンプ11と膜ガス交換器19との間で体外血液回路に接続される。水ポンプ24は、水ライン22を通る水の流量Qwaterを調整するために水ライン22上で動作する。変形の実施形態(図示せず)によれば、水ライン22は、膜ガス交換器19の下流に接続される。
【0086】
この実施形態では、水分損失Qeccorの補償は、水ライン22を介して体外血液回路に直接的に、グルコース液を介して水を加えることによって実現される。制御ユニット10は、計算された血液水分損失Qeccorの関数として、体外血液回路に注入される水又はグルコース液の流量を調節するように構成される。水流量は、水ポンプ24の速度を調節することによって調節される。
【0087】
図3は、体外血液治療1のさらなる実施形態を示す。
図1の同じ要素には同じ参照番号が使用されている。
【0088】
図3の体外血液治療1は、透析液ライン14及び排液ライン12を備える液体回路が、ループ・ポンプ100を備え、二次チャンバ4に接続された閉ループを備える点、及び膜ガス交換器19が体外血液回路上ではなく液体回路上に配置される点で、
図1の実施形態とは異なる。
【0089】
透析液ライン14は、図示されていない未使用透析液源に接続された第1ライン101を含む。排出ライン12は、図示されない廃棄物に接続された第2ライン102を含む。ブリッジング・ライン103が、第1ライン101の上流で透析液ライン14を、第2ライン102の下流で排出ライン12に接続する。透析液ライン14、排出ライン12及びブリッジング・ライン103は、液体出口4bから出て液体入口4aで終わるループ・ラインを形成する。図示されていないバルブ及び/又はクランプは、液体回路の構成を変更することを可能にする。ある構成では、未使用透析液源からの透析液が透析液ライン14内を二次チャンバ4内に流れ、使用済透析液が二次チャンバ4から排液ライン12内に流れ、その後、廃棄物に流れる。ある構成では、透析液は閉ループ・ライン内を再循環する。
【0090】
図3の実施形態では、膜ガス交換器19は、第1ライン101と液体入口4aとの間で透析液ライン14上に配置される。膜ガス交換器19は、液体回路と液体連通する液体入口19a及び液体出口19bを有する液体側201と、掃引ガスによって交差され、ガス入口19c及びガス出口19dを有するガス側202とを備える。
【0091】
この実施形態では、溶解ガス及び/又は重炭酸塩の形態の二酸化炭素CO2が一次チャンバ3内の血液から血液治療ユニット2の二次チャンバ4内の再循環透析液に移動する。その後、膜ガス交換器19において、膜ガス交換器19の液体側201を通って流れる液体と、膜ガス交換器19のガス側202を通って流れる掃引ガスとの間でガスが交換される。膜ガス交換器19において、二酸化炭素CO2は、液体側201の再循環透析液からガス側202の掃引ガスへ移動する。
【0092】
膜ガス交換器19における水分損失の決定は、上記に開示されたものと実質的に同じである。制御ユニット10は、水ライン22、水源23及び水ポンプ24を介して体外血液回路に直接的に、計算された水分損失Qeccorで水を注入することによって自動的に補償するように構成され、及び/又は水ライン22′、水源23′及び水ポンプ24′を介して透析液ライン14に水が注入される。
【0093】
本発明は現在最も実用的で好ましい実施形態であると考えられるものに関連して説明されてきたが、本発明は開示された実施形態に限定されるべきではなく、反対に、添付の特許請求の範囲の精神及び範囲内に含まれる種々の変形及び均等の構成を包含することが意図されることを理解されたい。