(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-17
(45)【発行日】2024-12-25
(54)【発明の名称】落下防止装置および方法
(51)【国際特許分類】
F16D 59/00 20060101AFI20241218BHJP
H02K 49/10 20060101ALI20241218BHJP
【FI】
F16D59/00 A
H02K49/10 B
F16D59/00 Z
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023028193
(22)【出願日】2023-02-27
(62)【分割の表示】P 2021077507の分割
【原出願日】2015-08-18
【審査請求日】2023-03-24
(32)【優先日】2014-08-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NZ
(73)【特許権者】
【識別番号】515073551
【氏名又は名称】エディ・カーレント・リミテッド・パートナーシップ
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】ディール, アンドリュー カール
(72)【発明者】
【氏名】アーリントン, クリストファー ジェームズ
(72)【発明者】
【氏名】ライト, ケヴィン アンドリュー
【審査官】久米 伸一
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-316272(JP,A)
【文献】特開2012-152316(JP,A)
【文献】特表2012-520655(JP,A)
【文献】特表2004-504549(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0174914(US,A1)
【文献】米国特許第05711404(US,A)
【文献】国際公開第2007/000857(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第103244577(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16D 59/00
H02K 49/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
落下防止装置
(図11)であって、
回転中心軸を有しており、スプールおよびラインと連結された回転子
(300)と、
少なくとも1つの第1のラッチ要素
(401)を含む固定子
(400)と、
前記回転子に結合され、前記回転子の回転軸からオフセットしたピボット軸
(500)の周りを前記回転子に対して回転するように構成された第2のラッチ要素
(106)と、
前記第2のラッチ要素
(106)が前記回転子の回転軸の周りで収縮位置に向かうように前記第2のラッチ要素にバイアスをかけるバイアス部材
(120)と、
を備えており、
ラインの引き伸ばしの所定の速度、急速運動、または加速度を下回ると、前記ラインは、前記ラインにかかる引き伸ばし力が前記バイアス部材
(120)のバイアス力に打ち勝つには十分でないため、前記スプールおよび前記回転子
(300)から引き出すことが可能であり、
前記ラインの引き伸ばしの所定の速度、急速運動、または加速度を超えると、前記ラインによって誘導される前記回転子の軸の周りの前記スプールおよび前記回転子
(300)の回転により、前記第2のラッチ要素
(106)が前記バイアス力に打ち勝って、前記第2のラッチ要素
(106)が前記固定子の第1のラッチ要素
(401)に係合するまでピボット軸の周りを回転し、係合時に、前記固定子
(400)および回転子
(300)がもはや独立に運動することができず、前記スプールからの前記ラインのさらなる繰り出しが停止され
、
前記第2のラッチ要素(106)は、導電体であるかまたは導電性材料を有し、
前記第2のラッチ要素(106)の動きが、前記第2のラッチ要素(106)またはその一部を磁界領域内に導き、渦電流誘導抗力を前記第2のラッチ要素(106)に発生させ、前記渦電流誘導抗力が、その後、回転子の回転を遅くし、前記第2のラッチ要素(106)が前記固定子の第1のラッチ要素(401)と係合するのに先立って前記スプールからの前記ラインの繰り出しを遅くする、落下防止装置。
【請求項2】
落下防止装置
(図11)であって、
回転中心軸を有しており、スプールおよびラインと連結された回転子
(300)と、
少なくとも1つの第1のラッチ要素
(401)を含む固定子
(400)と、
前記回転子に結合され、前記回転子の回転軸からオフセットしたピボット軸
(500)の周りを前記回転子に対して回転するように構成された第2のラッチ要素
(106)と、
前記第2のラッチ要素
(106)が前記回転子の回転軸の周りで収縮位置に向かうように前記第2のラッチ要素にバイアスをかけるバイアス部材
(120)と、
を備えており、
ラインの引き伸ばしの所定の速度、急速運動、または加速度を下回ると、前記ラインは、前記ラインにかかる引き伸ばし力が前記バイアス部材
(120)のバイアス力に打ち勝つには十分でないため、前記スプールおよび前記回転子
(300)から引き出すことが可能であり、
前記ラインの引き伸ばしの所定の速度、急速運動、または加速度を超えると、前記ラインによって誘導される前記回転子の軸の周りの前記スプールおよび前記回転子
(300)の回転により、前記第2のラッチ要素
(106)が前記バイアス力に打ち勝って、前記第2のラッチ要素
(106)が前記固定子の第1のラッチ要素
(401)に係合するまでピボット軸の周りを回転し、係合時に、前記固定子
(400)および回転子
(300)がもはや独立に運動することができず、前記スプールからの前記ラインのさらなる繰り出しが停止され
、
前記第2のラッチ要素(106)は、磁石であるか、または磁石を有し、
前記第2のラッチ要素(106)の動きが、前記第2のラッチ要素(106)またはその一部を導体領域内に導き、渦電流誘導抗力を前記第2のラッチ要素(106)に発生させ、前記渦電流誘導抗力が、その後、前記回転子の回転を遅くし、前記第2のラッチ要素(106)が前記固定子の第1のラッチ要素(401)と係合するのに先立って前記スプールからの前記ラインの繰り出しを遅くする、落下防止装置。
【請求項3】
前記第1のラッチ要素が突起である、請求項1
又は2に記載の落下防止装置。
【請求項4】
前記固定子又は前記固定子の一部に複数の突起が設けられている、請求項
3に記載の落下防止装置。
【請求項5】
前記固定子の第1のラッチ要素の片側が、前記第2のラッチ要素の対向する側と係合する、請求項1
又は2に記載の落下防止装置。
【請求項6】
前記磁界領域が、前記第2のラッチ要素が通過する領域の周縁の周りに配置された一連の磁石から形成される、請求項
1に記載の落下防止装置。
【請求項7】
前記導体領域は、前記第2のラッチ要素が通過する領域の周縁の周りに配置された1つまたは複数の導電性材料から形成される、請求項
2に記載の落下防止装置。
【請求項8】
当該落下防止装置が、複数の第2のラッチ要素を備える、請求項1
又は2に記載の落下防止装置。
【請求項9】
当該落下防止装置の運動が前記ラインの引き伸ばしの所定の速度、急速運動、または加速度を下回るときに、前記複数の第2のラッチ要素が一緒に収縮位置に収まる、請求項
8に記載の落下防止装置。
【請求項10】
前記複数の第2のラッチ要素が、前記収縮位置において、前記回転子の直径の内側に配置される、請求項
9に記載の落下防止装置。
【請求項11】
当該落下防止装置が、3つの第2のラッチ要素を備える、請求項1
又は2に記載の落下防止装置。
【請求項12】
前記第2のラッチ要素のピボット軸が、前記回転子の軸に平行である、請求項1
又は2に記載の落下防止装置。
【請求項13】
前記バイアス部材がばねである、請求項1
又は2に記載の落下防止装置。
【請求項14】
当該落下防止装置が、複数のばねを備える、請求項
13に記載の落下防止装置。
【請求項15】
前記ラインの引き伸ばしの所定の速度、急速運動、または力は、前記ラインに取り付けられている間に落下する人に関連して予想される引き出しの速度、急速運動、または加速度に基づいて設定される、請求項1
又は2に記載の落下防止装置。
【請求項16】
請求項1~
15のいずれか一項に記載された落下防止装置の前記スプールからラインを引き出す方法であって、
所定の値を下回る、ラインの引き伸ばしの速度、急速運動、または加速度を前記ラインに加えるステップであって、前記バイアス部材のバイアス力に打ち勝つには十分でない引き伸ばし力を前記ラインに提供し、それによって前記ラインが前記スプール及び前記回転子から引き出される、ステップ、又は
前記所定の値を超える、ラインの引き伸ばしの速度、急速運動、または加速度を前記ラインに加えるステップであって、前記ラインによって誘導される前記回転子の軸の周りの前記スプールおよび前記回転子の回転により、前記第2のラッチ要素が前記バイアス力に打ち勝って、前記第2のラッチ要素が前記固定子の第1のラッチ要素に係合するまでピボット軸の周りを回転し、その結果、係合時に前記固定子および回転子がもはや独立して運動しなくなり、前記スプールからの前記ラインのさらなる繰り出しが停止される、ステップ
を含む方法。
【請求項17】
ラッチ装置
(図1)からラインを引き出す方法であって、前記ラッチ装置は、
第1のラッチ要素
(9)を含むラッチ部材
(4)と、
中心長手軸を有する回転子であって、前記回転子に結合されたラインに引き伸ばし力を加えると、前記中心長手軸の周りを前記ラッチ部材に対して回転するように構成された回転子
(5)と、
前記回転子
(5)に回転可能に結合された第2のラッチ要素であって、前記中心長手軸に対して平行であり且つ前記中心長手軸からオフセットされた第1の軸
(7)の周りを前記回転子に対して回転するように構成された第2のラッチ要素
(2)と、
を備えており、
前記方法は
前記回転子
(5)にかかる回転力を生じる前記ラインへの引き伸ばし力を加えるステップであって、該ステップにより前記第2のラッチ要素
(2)が前記第1の軸
(7)の周りで枢動して、前記第2のラッチ要素
(2)の少なくとも一部が前
記ラッチ部材
(4)と前記回転子
(5)との間に存在する磁界
(3)に入ると、前記磁界内での前記第2のラッチ要素
(2)の運動に対して渦電流抗力効果が生じる、加えるステップ
を含み、
前記渦電流抗力効果は、前記第2のラッチ
要素(2)が前記第1のラッチ要素
(9)に係合し前記回転子
(5)の前
記ラッチ部材
(4)に対する回転を停止させるまで、前記回転子
(5)に対する前記第2のラッチ
要素(2)の前記第1の軸
(7)の周りでの更なる枢動運動を付勢する、方法。
【請求項18】
前記ラッチ部材が磁石を含み、前記第2のラッチ要素が導体を含む、請求項
17に記載の方法。
【請求項19】
前記ラッチ部材が導体を含み、前記第2のラッチ要素が磁石を含む、請求項
17に記載の方法。
【請求項20】
前記ラッチ装置は、前記回転子に結合された第1の端部と、前記第2のラッチ要素に結合された、前記第1の端部と反対の第2の端部とを有するばねをさらに含む、請求項
17に記載の方法。
【請求項21】
前記ばねは、前記第2のラッチ要素が前記ラッチ部材から離れて回転するように前記第2のラッチ要素にバイアスをかける、請求項
20に記載の方法。
【請求項22】
前記ばねは、前記中心長手軸の周りの前記ラッチ部材に対する前記回転子の回転方向と一致する方向に、前記第1の軸の周りで前記回転子に対して前記第2のラッチ要素が回転するように前記第2のラッチ要素にバイアスをかける、請求項
17に記載の方法。
【請求項23】
前記第1のラッチ要素は、突起である、請求項
17に記載の方法。
【請求項24】
前記第1のラッチ要素は、くぼみである、請求項
17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願]
本出願は、引用により本明細書に組み入れるニュージーランド特許出願番号第627619号に基づく優先権を有する。
本明細書では、部材間の相対速度を制御するラッチ装置が説明される。より詳細には、部材の運動の相対速度が渦電流形成によって部分的に制御され又は低減され、且つラッチ配置によって部分的に制御され又は相対運動が停止される、ラッチ装置が説明される。
【背景技術】
【0002】
渦電流形成は、部材の回転速度を調節するために種々の方式で用いることができる。種々の装置が存在し、例えば懸垂降下においてクライマーの降下を制御し、又は例えば個人用保護具シナリオにおいて負傷の原因となる落下を防止する。渦電流発生を使用する他の用途は、列車、ケーブルカー、ジップライン装置及びローラコースタのライン(line)の繰出しの制御である。
【0003】
1つの技術装置は、US2012/0055740として公開されている。この装置は、回転子(rotor、ロータ)に対して運動するアームを有する回転子組立体を利用する。アーム自体が導電性若しくは磁性である場合もあり、又はアームに取り付けられた導電性若しくは磁性部材を有する場合もある。回転子に回転力が印加されたとき、アームが遠心力によって中心軸から外方に移動して磁(又は導電)界に入る。アームが界を通って移動するにつれて渦電流が発生し、その強度は回転速度に依存する。回転速度が低下すると、アームは、ばねにより及び/又はアームに作用する遠心力の低減により、回転軸に向かって引き戻される。この装置は広範に用いられており、部品の相対速度を変更する優れた手段を提供するが、部品の相対運動を完全に停止するための機構は存在しない。
【0004】
相対運動を減速すること及び完全停止することの両方を伴う用途は、車両で用いられるシートベルト組立体に存在する場合があり、あるいは高所からの人間の落下を減速する及び停止するための工業的個人用落下安全装置に存在する場合がある。シートベルトの技術設計は、例えば遠心クラッチ機構を用いることが多く、この場合、ベルト又は帯ひもがスプールから高速度で引張られると、重みがかけられた枢動レバーがスプールから外方に移動して、スプールハウジングに取り付けられたカムピースに係合し、それによりレバーがハウジングに対して動かなくなり、スプールからのベルトの更なる解放を防止する。このシステムは広範に用いられており、多くの命を救ってきたが、冗長性を有さず、もしレバーが故障するとベルトは役に立たなくなる。第2に、運動は段階的減速効果を伴わない突然停止であり、時としてベルトが装着者を横切っている箇所に負傷をもたらすことがある。シートベルトはまた、時として、車両が停止しているとき又は動かないときなどのように所望されないときに係合することがある。長時間にわたって装着されることが多い工業用落下安全製品では、誤作動は装着者を苛立たせ、疲労させる。停止ラッチを伴うこれらの技術装置に共通する課題は、制動応答を調整する方法が少数しか存在せず、潜在的に誤作動をもたらすことである。
【0005】
認識できるように、渦電流効果及びラッチ配置の両方によって相対運動の減速及び停止の両方を行う単純な手段を提供することは、有用な場合があり、又は少なくとも公衆に選択肢を与える。
【0006】
ラッチ装置の更なる態様及び利点は、例示のみの目的で与えられる以下の説明から明らかとなるであろう。
【発明の概要】
【0007】
本明細書では、部材間の運動の相対速度が部分的に渦電流形成によって制御され又は低減され、部分的にラッチ機構によって制御され又は相対運動が停止される、ラッチ装置が説明される。
【0008】
第1の態様において、
少なくとも1つの導電性部材と、
少なくとも1つの磁界と、
ラッチする以前は前記少なくとも1つの導電性部材とは独立して運動する、少なくとも1つのラッチ部材と、
付勢力が印加されると、少なくとも1つの導電性部材を少なくとも1つの磁界に対して異なる速度で運動させることを可能にして、それにより少なくとも1つの磁界内での少なくとも1つの導電性部材の相対運動によって渦電流抗力を誘導する、少なくとも1つの導電性部材と前記少なくとも1つの磁界との間の運動学的関係と、
を備え、
渦電流抗力は、点又は線に対する少なくとも1つの導電性部材の運動を生じさせて、少なくとも1つの導電性部材又はそれに由来する部材の少なくとも一部を少なくとも1つのラッチ部材と係合させ、それにより少なくとも1つの導電性部材と少なくとも1つのラッチ部材との間の運動を停止させる、
ラッチ装置が提供される。
【0009】
第2の態様において、
少なくとも1つの磁性部材と、
少なくとも1つの導体による場(conductor field導体場)と、
ラッチする以前は少なくとも1つの磁性部材とは独立して運動する、少なくとも1つのラッチ部材と、
付勢力が印加されると、少なくとも1つの磁性部材を少なくとも1つの導体場に対して異なる速度で運動させることを可能にして、それにより少なくとも1つの導体場内での少なくとも1つの磁性部材の相対運動によって渦電流抗力を誘導する、少なくとも1つの磁性部材と前記少なくとも1つの導体場との間の運動学的関係と、
を備え、
渦電流抗力は、点又は線に対する少なくとも1つの磁性部材の運動を生じさせて、少なくとも1つの磁性部材又はそれに由来する部材の少なくとも一部を少なくとも1つのラッチ部材と係合させ、それにより少なくとも1つの磁性部材と少なくとも1つのラッチ部材との間の運動を停止させる、
ラッチ装置が提供される。
【0010】
第3の態様において、引き伸ばされ且つ引き込まれるラインを組み込んだライン繰出し装置(line dispensing device)が提供され、ラインは実質的に上で説明したような少なくとも1つのラッチ装置に動作可能に結合される。
【0011】
第4の態様において、引き伸ばされ且つ引き込まれる帯ひもを組み込んだ乗客座席拘束装置が提供され、帯ひもは実質的に上で説明したような少なくとも1つのラッチ装置に動作可能に結合される。
【0012】
第5の態様において、少なくとも1つのホイールを組み込んだ車両が提供され、ホイールは実質的に上で説明したような少なくとも1つのラッチ装置に動作可能に結合される。
【0013】
第6の態様において、実質的に上で説明したような少なくとも1つのラッチ装置を組み込んだジップラインが提供される。
【0014】
更に以下の説明で概説するように、その他の多くの装置の用途もまた可能であり得る。
【0015】
上記装置の1つの利点は、部品間の相対速度を二重の方式で制御して減速効果及び停止効果を生じさせる能力を含むことである。制動効果の大きさは、高度に優勢な渦電流誘導制動効果に軽微なラッチ制動効果が伴う端から、小さい渦電流誘導制動効果と強いラッチ制動効果が伴う反対端までの両極端の間で調整することができる。調整は、急激な停止を回避する効果を有することができ、したがってより段階的な停止効果を実行することができる。より段階的な停止後解放(release post stopping)もまた使用することができる。加えて、二重の相対速度制御手段を使用することにより、冗長性が存在するので、従って、もし一方の制御方法が故障してもなお他方が実行されるので、それにより付加的な安全層が提供される。上記装置の別の更なる利点は、ラッチ応答を制御し且つ変更する広範な能力であり、このことは該装置が、広範な異なる方式及び用途で用いることが可能であること、及び、誤作動の可能性を最小限にすることを意味する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
ラッチ装置の更なる態様は、例示のみの目的で与えられ且つ添付図面を参照する以下の説明から明らかになるであろう。
【
図1】ラッチ装置の1つの実施形態の側面図を未制動(実線)、渦電流誘導制動のみ(破線)、及びラッチ(点線)の3つの構成で示す。
【
図2】回転本体部材及び枢動つめを組み込んだ代替的な実施形態の側面図を示す。
【
図3】回転本体部材及び摺動つめを組み込んだ代替的な実施形態の側面図を示す。
【
図4】回転本体部材及び枢動つめを組み込んだ代替的な実施形態の側面図を示す。
【
図5】回転本体部材及び摺動つめを組み込んだ代替的な実施形態の側面図を示す。
【
図6】摺動本体部材及び枢動つめを組み込んだ代替的な実施形態の側面図を示す。
【
図7】摺動本体部材及び摺動つめを組み込んだ代替的な実施形態の側面図を示す。
【
図8】摺動本体部材及び枢動つめを組み込んだ代替的な実施形態の側面図を示す。
【
図9】摺動本体部材及び摺動つめを組み込んだ代替的な実施形態の側面図を示す。
【
図10】回転及び並進してシリンダの中へ入る管を組み込んだ代替的な実施形態の斜視図を示す。
【
図11】ライン繰出し装置に有用な特定の実施形態の側面略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
上記のように、本明細書では、部材間の運動の相対速度が部分的に渦電流形成によって制御され又は低減され、部分的にラッチ機構によって制御され又は相対運動が停止される、ラッチ装置が説明される。
【0018】
本明細書の目的に関して、用語「約」又は「ほぼ」及びそれらの文法的変形は、基準の分量、レベル、度、値、数、頻度、百分率、寸法、サイズ、量、重量又は長さに対して高々30、25、20、15、10、9、8、7、6、5、4、3、2、又は1%だけ変動する分量、レベル、度、値、数、頻度、百分率、寸法、サイズ、量、重量又は長さを意味する。
【0019】
用語「実質的に」又はその文法的変形は、少なくとも約50%、例えば75%、85%、95%又は98%を指す。
【0020】
用語「含む、備える」及びその文法的変形は、包括的な意味を有するものとし、すなわち、それが直接言及する列挙された構成要素のみならず、他の特定されていない構成要素又は要素もまた含むことを意味するものとして解釈される。
【0021】
用語「付勢力(energizing force)」は、物体に運動速度を与える力を指す。
【0022】
第1の態様において、
少なくとも1つの導電性部材と、
少なくとも1つの磁界と、
ラッチする以前は少なくとも1つの導電性部材とは独立して運動する、少なくとも1つのラッチ部材と、
付勢力が印加されると、少なくとも1つの導電性部材を少なくとも1つの磁界に対して異なる速度で運動させることを可能にして、それにより少なくとも1つの磁界内での少なくとも1つの導電性部材の相対運動によって渦電流抗力を誘導する、少なくとも1つの導電性部材と少なくとも1つの磁界との間の運動学的関係と、
を備え、
渦電流抗力は、点又は線に対する少なくとも1つの導電性部材の運動を生じさせて、少なくとも1つの導電性部材又はそれに由来する部材の少なくとも一部を少なくとも1つのラッチ部材と係合させ、それにより少なくとも1つの導電性部材と少なくとも1つのラッチ部材との間の運動を停止させる、
ラッチ装置が提供される。
【0023】
第2の態様において、
少なくとも1つの磁性部材と、
少なくとも1つの導体による場(導体場)と、
ラッチする以前は少なくとも1つの磁性部材とは独立して運動する、少なくとも1つのラッチ部材と、
付勢力が印加されると、少なくとも1つの磁性部材を少なくとも1つの導体場に対して異なる速度で運動させることを可能にして、それにより少なくとも1つの導体場内での少なくとも1つの磁性部材の相対運動によって渦電流抗力を誘導する、少なくとも1つの磁性部材と少なくとも1つの導体場との間の運動学的関係と、
を備え、
渦電流抗力は、点又は線に対する少なくとも1つの磁性部材の運動を生じさせて、少なくとも1つの磁性部材又はそれに由来する部材の少なくとも一部を少なくとも1つのラッチ部材と係合させ、それにより少なくとも1つの磁性部材と少なくとも1つのラッチ部材との間の運動を停止させる、
ラッチ装置が提供される。
【0024】
認識されるように、磁束相互作用は交換することができ、この場合、1つの実施形態において、導電性部材がラッチ部材に係合し、又は代わりに磁性部材がラッチ部材に係合する。冗長になるので説明を簡単にするために、導電性部材がらち部材に係合する実施形態を越瞑するが、これは限定とみなすべきものではなく、部品は上記のように交換することができる。
【0025】
付勢力が所定レベルを下回ると、少なくとも1つの導電性部材は、少なくとも1つのラッチ部材から解放されることができ、少なくとも1つの導電性部材と少なくとも1つのラッチ部材との間の相対運動が生じることができる。代替的に、解放を生じさせるために力を印加することができる。
【0026】
付勢力が印加される以前、少なくとも1つの導電性部材は、少なくとも部分的に少なくとも1つの磁界内に位置することができる
【0027】
付勢力が印加される以前、少なくとも1つの導電性部材は、少なくとも1つの磁界の外部に位置することができ、更なる運動入力が、少なくとも1つの導電性部材を磁界内に移動させることができる。更なる運動入力は、
(a)少なくとも1つの導電性部材又は少なくとも1つの磁界に作用する遠心力、
(b)導電性部材の加速に起因する慣性応答、
(c)少なくとも1つの導電性部材又は少なくとも1つの磁界を一緒に引き寄せる又は押しやるバイアス機構、
(d)少なくとも1つの導電性部材又は少なくとも1つの磁界を一緒に駆動する少なくとも1つの機械式駆動機構、
(e)及び上記更なる運動入力の組合せ
から選択することができる。
【0028】
誘導渦電流抗力は、渦電流誘導抗力の作用線からそれぞれ傾斜した又はオフセットした、線又は点に対する少なくとも1つの導電性部材の線形及び/又は回転並進を生じさせることができる。
【0029】
少なくとも1つの導電性部材は、付勢力が印加されると、運動学的関係によって定められた導電性部材の運動方向に対して少なくとも部分的に直交して、及び/又は磁界に対して枢動式に運動することができる。
【0030】
少なくとも1つの導電性部材及び/又は少なくとも1つの磁界の運動力学は、少なくとも1つの導電性部材又は少なくとも1つの磁界、すなわち、寸法、重量、質量中心、部材上の位置、部材内の位置、導電性が部材の一部のみ又は全てのどちらを形成しているのかを変更することによって調整することができ、少なくとも1つの導電性部材及び/又は少なくとも1つの磁界の運動速度及び運動に対する慣性が調整される。例として、導電性部材は、部材の運動速度に影響を及ぼす要因である、種々の形状又は重量を取ることができる。磁界は、例えば連続的なもの又は離間したもの又は寸法が変化するものとすることができ、それにより磁束発生を調節する。導電性部材の導電性部分は、部材全体又はその一部分のみとすることができる。部材の一部分のみが導電性である場合、部材の外部、内部又は部分上のいずれかにある導電性部分の位置は、変更することができる。
【0031】
導電性部材の運動は、直接的なもの、すなわち導電性部材が付勢力に直接的に起因して運動するものとすることができる。導電性部材は、その代わりに、少なくとも部分的に付勢力に間接的に起因して又は代理で運動することができ、該付勢力は、少なくとも1つの付加的な機械的部分又は動力学的手段に、導電性部材の移動又は導電性部材との相互作用を生じさせ、それにより引き続き導電性部材の運動を生じさせる。間接的手段は、継手又は歯車といった別の部分を介した動的な力の伝達、又は別の部分に対する直接的な力によって導電性部材にかかる遠心力とすることができる。間接的な又は代理の力伝達は、付勢力を増幅し、それにより磁束相互作用を変更することができるという利点を有することができる。
【0032】
渦電流誘導力の作用点の静的若しくは動的な位置及び/又は強度の調節はまた、
(a)トリガ部材又は第1の部材が動くにつれてトリガ部材上の磁気要素又は導電性領域の位置を調節すること、及び/又は
(b)トリガ部材又は第1の部材が動くにつれて第1の部材上の磁気要素又は導電性領域の位置を調節すること
によって完成させることができる。
【0033】
例として、トリガ部材は、スロットを備えることができ、磁気要素又は導電性領域を備えたトリガ部材の一部は、付勢力が印加されてトリガ部材が全体として動くにつれて該スロット内を移動する。運動を調節するこの付加的手段は、動力学的手段を、従って部品が相互作用する手段を更に変更するのに有用であり得る。例えば、回転運動の実施形態において、トリガ部材が全体としてのシステム運動に対して渦電流抗力を誘導する場合、位置調節は、渦電流抗力及び位置の両方に影響を与えることができ、これが次にトリガ部材上の抵抗トルクを変化させることができる。線形運動の実施形態において、位置調節は、発生する渦電流力に影響を与えることになるであろう。
【0034】
少なくとも1つの導電性部材及び/又は少なくとも1つの磁界の運動力学はまた、
(a)少なくとも1つの導電性部材及び/又は少なくとも1つの磁界の互いに対する運動に抵抗する又はこれを付勢するバイアス機構、
(b)少なくとも1つの導電性部材及び/又は少なくとも1つの磁界の互いに対する運動に抵抗する又は
(c)少なくとも1つの導電性部材又は少なくとも1つの磁界を一緒に駆動する少なくとも1つの機械式駆動機構、
のうちの少なくとも1つの使用によって調整することができる。
【0035】
少なくとも1つの導電性部材は、少なくとも1つの導電性部材と共に少なくとも部分的に運動する本体部材に取り付けることができ、少なくとも1つの導電性部材が少なくとも1つのラッチ部材に係合したとき、本体部材の運動もまた少なくとも1つのラッチ部材に対して停止することができる。
【0036】
代替的な実施形態において、導電性部材は、静止した本体部材に取り付けることができ、ラッチ部材及び磁界は、導電性部材に対して運動し、少なくとも1つの導電性部材がラッチ部材に係合したとき、ラッチ部材の運動は、本体部材に対して停止する。
【0037】
少なくとも1つの導電性部材は、少なくとも1つのつめとすることができ、少なくとも1つの導電性部材の運動は、
(a)回転軸、
(b)並進線
(c)回転軸及び並進線の組合せ、
によって制限される。
【0038】
少なくとも1つのつめは、少なくとも1つの磁界内でつめの運動方向から直交平面に対して傾いた平面において配向されるものとすることができる。
【0039】
回転軸又は並進線は、本体部材に取り付けることができる。
【0040】
本体部材は回転子とすることができ、少なくとも1つのつめは、回転子に回転式及び枢動式に取り付けられ、回転子は、付勢力が印加されると回転子軸の周りで回転する。
【0041】
少なくとも1つのつめは、回転子に回転子軸からオフセットした点で取り付けることができる。
【0042】
本体部材は、スライダとすることができ、少なくとも1つのつめは、スライダに回転式及び枢動式に取り付けることができ、スライダは、付勢力が印加されると経路に沿って並進する。
【0043】
少なくとも1つの導電性部材又はその一部の表面の少なくとも一部は、少なくとも1つのラッチ部材又はその一部の表面の少なくとも一部と作用し合うことができる。
【0044】
該表面同士は、摩擦係合することができる。
【0045】
該表面の一方又は両方を、部材を係合状態に物理的に拘束するように形作ることができる。
【0046】
少なくとも1つの導電性部材は、付勢力が除去された後、少なくとも1つのラッチ部材との係合態様に保持されることができる。
【0047】
少なくとも1つの導電性部材は、付勢力が印加されると、少なくとも1つの磁界に対して制限された経路を通って動くことができる。
【0048】
該経路は、運動範囲を定める導電性部材内の開口部及び運動の1以上の遠位点を定めるラッチ部材として作用する止め部の使用によって制限することができる。
【0049】
上記のように、2つの制動効果が存在し、一方は誘導渦電流に由来し、他方はラッチの係合に由来する。認識されるように、制動効果の大きさは、高度に優勢な渦電流誘導制動効果に軽微なラッチ制動効果が伴う端から、小さい渦電流誘導制動効果と強いラッチ制動効果が伴う反対端までの両極端の間で調整することができる。例として、自動ビレー装置は、上記のラッチ装置を組み込むことができる。この例において、渦電流制動効果が最も強く、ラッチ制動効果は二次的であり、その目的は、初期に降下を遅くし、次いで降下を完全に停止することである。代替的な実施形態において、渦電流制動効果は、非常に小さくすることができるが、つめを動かしてラッチ部材と係合させるのにちょうど十分であり、次いでラッチ部材が主制動効果を生じさせる。この実施形態を用いることができる例は、自動車のシートベルトであり得る。
【0050】
第1の部材と少なくとも第3の部材との間の相対運動は、摩擦のない運動とすることができる。上記の誘導力のような磁気力及びそれに続く第1の部材に作用するいずれの力も、摩擦接触を回避することができる。これは、部品に対する機械的摩耗を最小限にするのに有用であり得る。
【0051】
1つの実施形態において、部品間の運動は、主として動的力によって支配することができる。装置は、液体流体を伴わないものとすることができ、部品間の全ての運動が動的力に起因する。代替的に、装置は、存在するある程度の液体流体を有することができるが、装置部材に対する主な付勢力は動的力とすることができる。磁気学を利用して運動学的関係を変更する液体ベースのシステムも存在するが、これらの装置は、しばしば双安定、すなわち部品が2つの位置でのみ安定である点で、本明細書において説明する装置とは異なる。加えて、運動は、主として動的力に依拠するのとは対照的に、主として又は完全に液体流体から蓄積される力又は圧力に依拠する。液体ベースの装置はまた、液体の封止に関連した固有の難点を有し、信頼性のある運用を保証するにはより定期的な保守が必要である。
【0052】
第3の態様において、引き伸ばされ且つ引き込まれるラインを組み込んだライン繰出し装置が提供され、ラインは、実質的に上で説明したような少なくとも1つのラッチ装置に動作可能に結合される。自動ビレー装置などのライン繰出し装置は、レクリエーション用途及び工業的用途の両方で落下を防止するために広範に用いられる。場合によっては、自動ビレー装置からのラインの更なる解放を停止するラッチ機構は、非常に重要であり得る。
【0053】
第4の態様において、引き伸ばされ且つ引き込まれる帯ひもを組み込んだ乗客座席拘束装置が提供され、帯ひもは実質的に上で説明したような少なくとも1つのラッチ装置に動作可能に結合される。乗客座席拘束装置の一例は、自動車などの車両に用いられるシートベルトであり得る。シートベルトは極めて重要な安全機能であり、上述の装置は、特に上記の多様な方式で応答を調整する能力を前提として、既存の設計に対する有用な代替手段を提供することができる。
【0054】
第5の実施形態において、少なくとも1つのホイールを組み込んだ車両が提供され、ホイールは、車両の運動を停止するために実質的に上で説明したような少なくとも1つのラッチ装置に動作可能に結合される。ラッチ装置を使用する車両の一例は、石炭列車キャリッジなどの鉱業で用いられる荷物運搬車であり得る。ホイールは、上記ラッチ機構を含むことができ、運搬車が坂を下るといった不要の移動をしないように防止する。
【0055】
第6の実施形態において、実質的に上で説明したような少なくとも1つのラッチ装置を組み込んだジップラインが提供される。この用途において、ラッチは、過剰の動きを停止する又は例えばジップラインが逆方向に動くことを防止するための緊急機能として有用であり得る。
【0056】
説明した装置はその他の多様な用途で用いることができるので、上記の例は限定的なものとみなすべきではなく、非限定的な例は、
・回転式タービンの回転子
・運動器具、例えばローイングマシン、エピサイクリックトレーナー
・ローラコースタ及び他の遊具乗り物
・エレベータ及びエスカレータシステム
・避難用降下装置及び火災避難装置
・コンベヤシステム
・工場生産設備内の回転駆動部
・コンベヤベルトなどの材料搬送装置又はシュート内の制動装置
・回転式サインの変化速度を制御する動的ディスプレイ看板
・路側安全システム、例えば渦電流ブレーキをシステムに接続して、ブレーキによるエネルギー散逸によって衝突の減衰を提供することができる。
・車両内のシートベルト
・トロリー及びキャリッジ用の制動機構
の速度制御を含む。
【0057】
上記のように、上記のラッチ装置の1つの利点は、部品間の相対速度を2つの方式で制御して減速効果及び停止効果を生じさせる能力である。これは急激な停止を回避する効果を有し、従ってより段階的な停止効果を実行することができる。加えて、2つの相対速度制御手段を用いることにより、冗長性を組み込むことができ、従って、もし一方の制御方法が故障してもなお他方が実行されることになる。更なる利点は、部品間の運動学的関係を変更することによってラッチ応答を調整する広範な方式である。広範な調整は、該装置を広い範囲の用途において有用なものとする。
【0058】
上述の実施形態は、大まかに言って、本出願の明細書において個別に又は集合的に言及された又は示された部分、要素及び特徴、並びに2以上の該部分、要素又は特徴のいずれか又は全ての組合せに存するものと言うこともでき、また、実施形態が関連する技術分野において既知の均等範囲を有する特定の整数が本明細書において言及される場合、かかる既知の均等範囲は、あたかも個別に述べられているかの如くに本明細書に組み入れられるものとみなされる。
【0059】
本発明が関連する技術分野において既知の均等範囲を有する特定の整数が本明細書において言及される場合、かかる既知の均等範囲は、あたかも個別に述べられているかの如くに本明細書に組み入れられるものとみなされる。
【実施例】
【0060】
上述のラッチ装置をここで、特定の例を参照して説明する。
【0061】
例における説明を容易にするために、単一の導電性部材のみを典型的に示すが、複数の導電性部材を用いることができることを認識されたい。
【0062】
磁界及びラッチ部材は、冗長になるので連続領域として概略的に示す。磁界は、例えば一連の離散的な磁石とすることができ、又は単に1つの磁石であってもよい。同様に、ラッチ部材は、種々の形状又は表面輪郭を呈することができ、分かりやすくするために限られた数の例のみを示す。
【0063】
例においては、例えば導電性部材の特定の運動を示している場合があるが、磁界及び/又はラッチ部材もまた動く場合があり、又は、一方で磁界及び/又はラッチ部材が動く一方で導電性部材が固定されたままである場合もあることを認識されたい。認識されるように、これは導電性部材と関連する磁界との間の速度の相対差である。
【0064】
最後に、以下の例において導電性部材及び磁界を逆にすることができ、同じ結果が達成される。
【0065】
例1
図1の模式図に示すように、図示した実施形態のラッチ装置1は、この図示した例では磁界3に対して運動する導電性部材2、及びラッチ部材4を備えるものとして示される。
【0066】
示された導電性部材2は、本体部材として作用する回転子5に取り付けられる。回転子5は、軸6の周りでこの例では時計回り方向Aに回転する。導電性部材2は、回転子5からの回転力を受けたとき、回転子軸6から偏心したピボット軸7の周りで方向Bに回転することができる。導電性部材2は、ピボット軸7からオフセットした質量中心8を有することができる。ラッチ部材4は、導電性部材2と噛み合う1つ以上の突出部9を有することができる。使用時、ライン(図示せず)を引き伸ばすなどの力がかかると、回転子5に回転力がかかる。回転加速が生じるにつれて、導電性部材2に慣性力がかかる。付勢力が導電性部材2の慣性と相互作用して、導電性部材2が回転子5に対してピボット軸7の周りで枢動する。導電性部材2の運動を付勢する又は運動を遅延させるバイアス部材(図示せず)といった他の変形を用いて、導電性部材2の運動に影響を及ぼすことができる。
図1に示すように、方向Bの運動は、アイテム2Aとして線形態で示した磁界3の外部の点からの運動とすることができる。運動は、次いで軸7の周りの回転によるものとなり得、導電性部材2の一部が磁界3に入って破線で印された位置2Bまで移動し、この位置は、導電性部材2の少なくとも一部は磁界3の内部にあることを条件として、点2Aから点2Cまでの連続体である。導電性部材2が磁界3に入ると、渦電流抗力効果(図示せず)が磁界3の内部での導電性部材2の運動に対して生じる。この抗力は、導電性部材2の少なくとも一部がラッチ4に係合する点線で印された位置2Cに達するまで、回転子5に対する導電性部材2の回転軸7の周りでの更なる枢動運動を付勢する。係合は、単に2つの表面(導電性部材2の一部とラッチ4の一部)が互いに当接し、及び/又は摩擦を介して、更なる運動を妨げるものとすることができ、又は(図示されるように)、導電性部材2の縁部10が
図1に示すように突起9などの物理的拘束と係合する。ひとたび係合すると、導電性部材2の運動がラッチ部材4に対して停止される。図示したラッチ装置1の実施形態において、導電性部材2とラッチ部材4との係合は、本体部材又は回転子5の運動も停止する。例えばラインが回転子5に結合されている場合、導電性部材2とラッチ部材4とが係合すると、ラインの繰り出しが停止することになる。図示した実施形態において、回転子5にかかる回転力が除去され又は低減されることによりラッチ4の解放が生じ、導電性部材2が開始位置2Aに戻ることを可能にする。代替的に、ラッチ部材4及び導電性部材2は、例えば摩擦により及び/又は逆極性の磁石(図示せず)により及び/又は機械式噛み合いにより、付勢力が印加されて部品2、4を分離するまで係合したまま保持されることができる。
【0067】
部品2、4間の上記の運動学的関係は、変更することができる。
【0068】
例えば、導電性部材2は、既に部分的に磁界3の中にある中性位置2Bに置くことができる。代替的に、導電性部材2の質量中心8を導電性部材2のピボット軸7からオフセットした点に配置し、それにより、特に渦電流抗力が質量中心8に影響を及ぼすときにピボット軸7の周りでより大きい回転モーメントを導電性部材2に対して発生させることができる。
【0069】
運動学的関係は、導電性部材2又は磁界3の寸法、重量及び/又は質量中心を変えて、導電性部材2及び/又は磁界3の運動速度及び運動に対する慣性を調整することによって変更することもできる。
【0070】
例2
図2に示すように、導電性部材2は、所望の運動力学に適するように種々の形状を取ることができ、導電性部材2は、種々の位置に取り付けることができ、これもまた運動力学を変更する。
図2に示す実施形態において、導電性部材2は、依然として軸7の周りを回転するが、図示した実施形態では、導電性部材2は、ピボット軸7に対する導電性部材2の位置にかかわらず、すでにある程度まで磁界3の中に入っており、それは部材2の形状及びピボット軸7の位置に起因する。
【0071】
例3
図3は、導電性部材2がロッドの形態を取る更なる実施形態を示し、ロッド2は、XXで示された並進線に沿って並進して本体部材5内の開口部(図示せず)に出入りする。軸Aの周りの本体部材5の回転は、ロッド2を並進させて開口部から出し、ロッド2の一端がラッチ部材4に当接して係合することができる。この例もまた、導電性部材2がどのように異なる形状及び形態を呈することができるのかということ、並びに、導電性部材2の運動は、例1及び2の場合のように回転軸によるもの又はこの例の場合のように並進運動とすることができることを例証する。
【0072】
例4
図4は、ラッチ装置1の更なる実施形態を示す。この実施形態において、本体部材5及び導電性部材2は、回転軸がアイテム6であり且つ運動方向が時計回り方向である、回転する磁界3及びラッチ部材4の外周に置かれる。導電性部材2は、付勢力が印加されると、回転軸7の周りで運動して、導電性部材2の少なくとも一部が磁界3の中へ移動し、ここで渦電流抗力(図示せず)が誘導され、部材2がラッチ部材4と係合してラッチ部材4及び磁界3の相対回転を停止させるまで導電性部材2の回転を付勢する。
【0073】
例5
図5に示すように、
図4に示すのと同じ原理を、上記
図3で最初に論じたロッド5を用いて適用することができる。この例において、本体部材5及び第ロッド2は、装置1の周縁の一部の上の所定位置に固定され、磁界3及びラッチ部材4は、軸6の周りで方向Aに回転する。ロッド2は回転方向に対して傾斜した方向にオフセットされ、ロッド2が並進運動して本体部材5から出る(及び中に戻る)ことを可能にするようになっていることに留意されたい。
【0074】
例6
図6を参照すると、上記実施形態で例証した回転運動とは対照的に線形運動が用いられる代替的な実施形態が示される。
【0075】
本体部材5は、方向YYで平面に沿って動く。導電性部材2は、この場合にはピボット軸7に取り付けられた一端が本体部材5に固定された、つめとして示されている。本体部材5が線形方向YYに動くと、導電性部材2は、磁界3内へ移動して渦電流抗力によって付勢され、導電性部材2又はその一部がラッチ部材4に当接してこれと係合するまで軸7の周りを回転し、それによりラッチ部材4に対する本体部材5及び導電性部材2の更なる運動を阻止する。
【0076】
例7
図7は、
図6の実施形態と類似の実施形態を示し、今回は導電性部材2としてロッドを用い、これは軸の周りで回転する代わりに線XXに沿って並進する。本体部材5が線形方向YYに動くと、ロッド2は、磁界3の中でロッド2が運動することに起因する渦電流誘導抗力に起因して、ロッドがラッチ部材4に係合するまで本体部材5から外へ引き出される。
【0077】
例8
図8は、例6で説明した実施形態と類似の実施形態を示すが、
図8では、磁界3及びラッチ部材4が線形方向YYに運動し、つめ形の導電性部材2及び本体部材5は、方向YYの運動に対して静止したままである。磁界3の運動は、軸7の周りでの導電性部材2の運動を導電性部材2がラッチ部材4と係合するまで付勢し、その時点で相対運動が停止される。
【0078】
例9
図9は、例8の実施形態を示すが、今回は以前の実施形態で説明したロッド形の導電性部材2を用いる。認識されるように、導電性部材2の形状は、固定の本体部材5並びに運動する磁界3及びラッチ部材4のこのシナリオにおいても変更することができる。
【0079】
例10
図10は、ラッチ装置1の更なる変形を示す。この実施形態において、導電性部材2は管として形成される。管2は、方向Bを巡って回転運動することができ、且つ回転軸に沿って線形方向Aに並進することができる。管2は、並進方向Aで動いて、磁石又は磁化シリンダ3の中に入ることができる。管2とシリンダ3との間の運動の相対的な変動は、渦電流抗力を誘導し、これが、つめ20はラッチ4と係合するまで磁化シリンダ3に対する管2の回転を遅くし、ラッチ4は、この例ではシリンダ3の内部の嵌合凹みであり、そこにつめ20が噛み合う。管2の並進運動は、ねじ付きシャフト30などの駆動機構によって付勢することができる。
【0080】
例11
図11は、更なる変形を示し、今回は、ばね120を用いて導電性部材106の運動力学の調整を補助する。装置1は、この例では、回転子300回転軸の周りで、収縮位置に向かってバイアスがかけられた3つの導電性部材を含む。導電性部材は、ピボット軸500を有し、回転軸の周りで回転力が印加されると、その周りで運動する。導電性部材106の外方への動きは、これらを磁界領域200の中に導き、磁界200は、導電性部材106が通過する領域の周縁の周りの一連の磁石200から発生される。所定の点において、1つ又は複数の導電性部材106が、この例では1つ又は複数の導電性部材106の片側に係合する突起401として示されるラッチ部材400と係合する。この特定の実施形態は、落下防止装置において有用であり、この場合、回転子300は、スプール及びラインと連結することができる。正常な使用下で、装着者は、ラインにかかる引き伸ばし力が、ばね120のバイアスに打ち勝つには十分ではないので、スプールからラインを引き出すことができる。落下又は突然のライン引き出しの事象において、回転子軸300に伝達された回転は、導電性部材106をバイアスに打ち勝たせ、ラッチ部材400に係合するまで引き出す。係合時に、スプールからのラインの更なる繰り出しを妨げることによって落下を阻止することができ、従って装着者の落下を停止する。1つ又は複数のラッチ部材400と係合する速度を調整することによって、誤作動を回避することができる。加えて、渦電流誘導抗力を用いて、完全停止に先立つ繰り出しを遅くすることができ、それにより制動効果が緩衝される。
【0081】
ラッチ装置の態様を例示のみの目的で説明してきたが、本明細書における請求項の範囲から逸脱することなく修正及び付加を行うことができることを認識されたい。
[発明の項目]
[項目1]
少なくとも1つの導電性部材と、
少なくとも1つの磁界と、
ラッチする以前は前記少なくとも1つの導電性部材とは独立して運動する、少なくとも1つのラッチ部材と、
付勢力が印加されると、前記少なくとも1つの導電性部材を前記少なくとも1つの磁界に対して異なる速度で運動させることを可能にして、それにより前記少なくとも1つの磁界内での前記少なくとも1つの導電性部材の相対運動によって渦電流抗力を誘導する、前記少なくとも1つの導電性部材と前記少なくとも1つの磁界との間の運動学的関係と、
を備え、
前記渦電流抗力は、点又は線に対する前記少なくとも1つの導電性部材の運動を生じさせて、前記少なくとも1つの導電性部材又はそれに由来する部材の少なくとも一部を前記少なくとも1つのラッチ部材と係合させ、それにより前記少なくとも1つの導電性部材と前記少なくとも1つのラッチ部材との間の運動を停止させる、
ラッチ装置。
[項目2]
前記付勢力が所定レベルを下回ると、前記少なくとも1つの導電性部材は、前記少なくとも1つのラッチ部材から解放され、前記少なくとも1つの導電性部材と前記少なくとも1つのラッチ部材との間の相対運動が生じることができる、項目1に記載のラッチ装置。
[項目3]
前記付勢力が印加される以前、前記少なくとも1つの導電性部材は、少なくとも部分的に前記少なくとも1つの磁界内に位置する、項目1又は項目2に記載のラッチ装置。
[項目4]
前記付勢力が印加される以前、前記少なくとも1つの導電性部材は、前記少なくとも1つの磁界の外部に位置し、更なる運動入力が、前記少なくとも1つの導電性部材を前記磁界内に移動させる、項目1又は項目2に記載のラッチ装置。
[項目5]
前記更なる運動入力が、
(a)前記少なくとも1つの導電性部材又は前記少なくとも1つの磁界に作用する遠心力、
(b)前記導電性部材の加速に起因する慣性応答、
(c)前記少なくとも1つの導電性部材又は前記少なくとも1つの磁界を一緒に引き寄せる又は押しやるバイアス機構、
(d)前記少なくとも1つの導電性部材又は前記少なくとも1つの磁界を一緒に駆動する少なくとも1つの機械式駆動機構、
(e)及び上記の更なる運動入力の組合せ
から選択される、項目4に記載のラッチ装置。
[項目6]
誘導された前記渦電流抗力は、誘導された前記渦電流抗力の作用線からそれぞれ傾斜した又はオフセットした、線又は点に対する前記少なくとも1つの導電性部材の線形及び/又は回転並進を生じさせる、項目1~5のいずれか一項に記載のラッチ装置。
[項目7]
前記少なくとも1つの導電性部材は、前記付勢力が印加されると、前記運動学的関係によって定められた前記導電性部材の運動方向に対して少なくとも部分的に直交して、及び/又は前記磁界に対して枢動式に運動する、項目1~6のいずれか一項に記載のラッチ装置。
[項目8]
前記少なくとも1つの導電性部材及び/又は前記少なくとも1つの磁界の運動力学は、前記少なくとも1つの導電性部材又は前記少なくとも1つの磁界を変更することによって、すなわち、寸法、重量、質量中心、部材上の位置、部材内の位置、導電性が前記部材の一部のみ又は全てのどちらを形成しているのかを変更することによって調整されて、前記少なくとも1つの導電性部材及び/又は前記少なくとも1つの磁界の運動速度及び運動に対する慣性を調整する、項目1~7のいずれか一項に記載のラッチ装置。
[項目9]
前記導電性部材は、前記付勢力に直接的に起因して運動する、項目1~8のいずれか一項に記載のラッチ装置。
[項目10]
前記導電性部材は、少なくとも部分的に前記付勢力に間接的に起因して運動し、前記付勢力は、少なくとも1つの付加的な機械的部分又は動力学的手段に、前記導電性部材の移動又は前記導電性部材との相互作用を生じさせ、それにより引き続き前記導電性部材の運動を生じさせる、項目1~8のいずれか一項に記載のラッチ装置。
[項目11]
誘導された前記渦電流力の作用点の静的若しくは動的な位置及び/又は強度の調節はまた、前記導電性部材又は前記磁界が動くにつれて前記導電性部材上の導電性領域の位置を調節することによって完成される、項目1~10のいずれか一項に記載の装置。
[項目12]
前記少なくとも1つの第1の部材と1つ又は複数の第3の部材との間の相対運動は、摩擦のない運動である、項目1~11のいずれか一項に記載の装置。
[項目13]
前記部材間の運動は、主として動的力によって支配される、項目1~12のいずれか一項に記載の装置。
[項目14]
前記少なくとも1つの導電性部材及び/又は前記少なくとも1つの磁界の運動力学はまた、
(a)前記少なくとも1つの導電性部材及び/又は前記少なくとも1つの磁界の互いに対する運動に抵抗する又はこれを付勢するバイアス機構、
(b)前記少なくとも1つの導電性部材及び/又は前記少なくとも1つの磁界の互いに対する運動に抵抗する又はこれを付勢する遠心入力、
(c)前記少なくとも1つの導電性部材又は前記少なくとも1つの磁界を一緒に駆動する少なくとも1つの機械式駆動機構、
のうちの少なくとも1つの使用によって調整される、項目1~13のいずれか一項に記載のラッチ装置。
[項目15]
前記少なくとも1つの導電性部材は、前記少なくとも1つの導電性部材と共に少なくとも部分的に運動する本体部材に取り付けられ、前記少なくとも1つの導電性部材が前記少なくとも1つのラッチ部材に係合したとき、前記本体部材の運動もまた前記少なくとも1つのラッチ部材に対して停止する、項目1~14のいずれか一項に記載のラッチ装置。
[項目16]
前記導電性部材は、静止した本体部材に取り付けられ、前記ラッチ部材及び前記磁界は、前記導電性部材に対して運動し、前記少なくとも1つの導電性部材が前記ラッチ部材に係合したとき、前記ラッチ部材の運動は、前記本体部材に対して停止する、項目1~14のいずれか一項に記載のラッチ装置。
[項目17]
前記少なくとも1つの導電性部材は、少なくとも1つのつめであり、前記少なくとも1つの導電性部材の運動は、
(a)回転軸、
(b)並進線
(c)回転軸及び並進線の組合せ、
によって制限される、項目15又は項目16に記載のラッチ装置。
[項目18]
前記少なくとも1つのつめは、前記少なくとも1つの磁界内で前記つめの運動方向から直交平面に対して傾いた平面において配向される、項目17に記載のラッチ装置。
[項目19]
前記回転軸又は前記並進線が前記本体部材に設けられた、項目17又は項目18に記載のラッチ装置。
[項目20]
前記本体部材は回転子であり、前記少なくとも1つのつめは、前記回転子に回転式及び枢動式に取り付けられ、前記回転子は、前記付勢力が印加されると回転子軸の周りで回転する、項目19に記載のラッチ装置。
[項目21]
前記少なくとも1つのつめは、前記回転子に前記回転子軸からオフセットした点で取り付けられる、項目20に記載のラッチ装置。
[項目22]
前記本体部材は、スライダであり、前記少なくとも1つのつめは、前記スライダに回転式及び枢動式に取り付けられ、前記スライダは、前記付勢力が印加されると経路に沿って並進する、項目21に記載のラッチ装置。
[項目23]
前記少なくとも1つの導電性部材又はその一部の表面の少なくとも一部は、前記少なくとも1つのラッチ部材又はその一部の表面の少なくとも一部と作用し合う、項目1~22のいずれか一項に記載のラッチ装置。
[項目24]
前記表面同士が摩擦係合する、項目23に記載のラッチ装置。
[項目25]
前記表面の一方又は両方が、前記部材を係合状態に物理的に拘束するように形作られる、項目23に記載のラッチ装置。
[項目26]
前記少なくとも1つの導電性部材は、前記付勢力が除去された後、前記少なくとも1つのラッチ部材との係合態様に保持される、項目1~25のいずれか一項に記載のラッチ装置。
[項目27]
前記少なくとも1つの導電性部材は、付勢力が印加されると、前記少なくとも1つの磁界に対して制限された経路を通って動く、項目1~26のいずれか一項に記載のラッチ装置。
[項目28]
前記経路は、運動範囲を定める前記導電性部材内の開口部及び運動の1以上の遠位点を定めるラッチ部材として作用する止め部の使用によって制限される、項目27に記載のラッチ装置。
[項目29]
少なくとも1つの磁性部材と、
少なくとも1つの導体による場と、
ラッチする以前は前記少なくとも1つの磁性部材とは独立して運動する、少なくとも1つのラッチ部材と、
付勢力が印加されると、前記少なくとも1つの磁性部材を前記少なくとも1つの導体による場に対して異なる速度で運動させることを可能にして、それにより前記少なくとも1つの導体による場内での前記少なくとも1つの磁性部材の相対運動によって渦電流抗力を誘導する、前記少なくとも1つの磁性部材と前記少なくとも1つの導体による場との間の運動学的関係と、
を備え、
前記渦電流抗力は、点又は線に対する前記少なくとも1つの磁性部材の運動を生じさせて、前記少なくとも1つの磁性部材又はそれに由来する部材の少なくとも一部を前記少なくとも1つのラッチ部材と係合させ、それにより前記少なくとも1つの磁性部材と前記少なくとも1つのラッチ部材との間の運動を停止させる、
ラッチ装置。
[項目30]
前記少なくとも1つの磁性部材は、前記少なくとも1つの磁性部材と共に少なくとも部分的に運動する本体部材に取り付けられ、前記少なくとも1つの磁性部材が前記少なくとも1つのラッチ部材に係合したとき、前記本体部材の運動もまた前記少なくとも1つのラッチ部材に対して停止する、項目29に記載のラッチ装置。
[項目31]
前記磁性部材は、静止した本体部材に取り付けられ、前記ラッチ部材及び前記導体による場は、前記磁性部材に対して運動し、前記少なくとも1つの磁性部材が前記ラッチ部材に係合したとき、前記ラッチ部材の前記本体部材に対する運動が停止する、項目29に記載のラッチ装置。
[項目32]
誘導された前記渦電流力の作用点の静的若しくは動的な位置及び/又は強度の調節はまた、前記磁性部材又は前記導体による場が動くにつれて前記磁性部材上の磁性要素の位置を調節することによって完成される、項目29~31のいずれか一項に記載の装置。
[項目33]
前記少なくとも1つの磁性部材は、少なくとも1つのつめであり、前記少なくとも1つの磁性部材の運動は、
(a)回転軸、
(b)並進線
(c)回転軸及び並進線の組合せ、
によって制限される、項目29~32のいずれか一項に記載のラッチ装置。
[項目34]
前記少なくとも1つの磁性部材又はその一部の表面の少なくとも一部は、前記少なくとも1つのラッチ部材又はその一部の表面の少なくとも一部と作用し合う、項目29~33のいずれか一項に記載のラッチ装置。
[項目35]
前記少なくとも1つの磁性部材は、前記付勢力が除去された後、前記少なくとも1つのラッチ部材との係合態様に保持される、項目29~34のいずれか一項に記載のラッチ装置。
[項目36]
前記少なくとも1つの磁性部材は、付勢力が印加されると、前記少なくとも1つの導体による場に対して制限された経路を通って移動する、項目29~35のいずれか一項に記載のラッチ装置。
[項目37]
前記経路は、運動範囲を定める前記磁性部材内の開口部及び運動の1以上の遠位点を定めるラッチ部材として作用する止め部の使用によって制限される、項目36に記載のラッチ装置。
[項目38]
項目1~37のいずれか一項に記載の少なくとも1つのラッチ装置を組み込んだライン繰出し装置。
[項目39]
項目1~37のいずれか一項に記載の少なくとも1つのラッチ装置を組み込んだ乗客座席拘束装置。
[項目40]
車両の運動を停止するために、項目1~37のいずれか一項に記載の少なくとも1つのラッチ装置を組み込んだ車両。
[項目41]
項目1~37のいずれか一項に記載の少なくとも1つのラッチ装置を組み込んだジップライン。