(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-17
(45)【発行日】2024-12-25
(54)【発明の名称】親水性熱可塑性ポリウレタン組成物から作製される物品
(51)【国際特許分類】
C08G 18/48 20060101AFI20241218BHJP
B29C 45/00 20060101ALI20241218BHJP
B29C 64/314 20170101ALI20241218BHJP
B33Y 80/00 20150101ALI20241218BHJP
B29C 64/118 20170101ALI20241218BHJP
C08G 18/73 20060101ALI20241218BHJP
C08G 18/30 20060101ALI20241218BHJP
【FI】
C08G18/48 033
B29C45/00
B29C64/314
B33Y80/00
B29C64/118
C08G18/73 050
C08G18/30
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023123247
(22)【出願日】2023-07-28
(62)【分割の表示】P 2021131288の分割
【原出願日】2017-06-20
【審査請求日】2023-07-28
(32)【優先日】2016-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506347528
【氏名又は名称】ルブリゾル アドバンスド マテリアルズ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】ジョセフ ジェイ. ボントーシック ジュニア
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド カズンズ
【審査官】尾立 信広
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-121274(JP,A)
【文献】特表2009-541571(JP,A)
【文献】特表2014-531522(JP,A)
【文献】特開平07-173385(JP,A)
【文献】特開2008-266579(JP,A)
【文献】特表2010-522811(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 18/00-18/87
C08L 1/00-101/14
C08K 3/00-13/08
B29C 45/00-45/24
B29C 64/00-64/40
B33Y 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性ポリウレタン組成物を含む射出成形物品であって、前記熱可塑性ポリウレタン組成物は、ヒドロキシル末端ポリオールであるヒドロキシル末端中間体成分であって、ポリ(エチレングリコール)を含むヒドロキシル末端中間体成分と、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)を含むイソシアネート成分と
、鎖延長剤成分との反応生成物を含み、
ここで、前記鎖延長剤成分は、1,4-ブタンジオールであり、前記イソシアネート成分および
鎖延長剤成分は、前記熱可塑性ポリウレタンの硬質セグメントを構成し、前記熱可塑性ポリウレタンは、10wt%~50wt%の硬質セグメントを含む、射出成形物品。
【請求項2】
前記熱可塑性ポリウレタンが、6.35cm×0.1524cmの試験片寸法および72時間の浸漬時間を使用することにより変更されたASTM D570により測定される少なくとも70%の吸水率範囲を有する、請求項1に記載の射出成形物品。
【請求項3】
前記熱可塑性ポリウレタンが、6.35cm×0.1524cmの試験片寸法および72時間の浸漬時間を使用することにより変更されたASTM D570により測定される少なくとも100%の吸水率範囲を有する、請求項1または2に記載の射出成形物品。
【請求項4】
前記イソシアネート成分が、ヘキサメチレンジイソシアネートからなる、請求項1から3のいずれかに記載の射出成形物品。
【請求項5】
前記ヒドロキシル末端中間体成分が、ポリ(エチレングリコール)からなり、前記イソシアネート成分が、ヘキサメチレンジイソシアネートからなる、請求項1から4のいずれかに記載の射出成形物品。
【請求項6】
射出成形物品を作製する方法であって、
ヒドロキシル末端ポリオールであるヒドロキシル末端中間体成分であって、ポリ(エチレングリコール)を含むヒドロキシル末端中間体成分と、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)を含むイソシアネート成分と
、鎖延長剤成分とを含む、熱可塑性ポリウレタン組成物を調製するステップであって、
ここで、前記鎖延長剤成分は、1,4-ブタンジオールであり、前記イソシアネート成分および
鎖延長剤成分は、前記熱可塑性ポリウレタンの硬質セグメントを構成し、前記熱可塑性ポリウレタンは、10wt%~50wt%の硬質セグメントを含む、ステップと、
前記熱可塑性ポリウレタン組成物を、120℃~190℃の温度に加熱して、前記熱可塑性ポリウレタン組成物を溶融するステップと、
前記溶融した熱可塑性ポリウレタン組成物を型内に射出するステップと、
前記熱可塑性ポリウレタン組成物を冷却して物品を形成するステップと
を含む、方法。
【請求項7】
前記熱可塑性ポリウレタンが、10wt%~30wt%の硬質セグメントを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記熱可塑性ポリウレタンが、6.35cm×0.1524cmの試験片寸法および72時間の浸漬時間を使用することにより変更されたASTM D570により測定される少なくとも70%の吸水率範囲を有する、請求項6または7に記載の方法。
【請求項9】
前記熱可塑性ポリウレタンが、6.35cm×0.1524cmの試験片寸法および72時間の浸漬時間を使用することにより変更されたASTM D570により測定される少なくとも100%の吸水率範囲を有する、請求項6から8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記ヒドロキシル末端中間体成分が、ポリ(エチレングリコール)からなる、請求項6から9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
前記イソシアネート成分が、ヘキサメチレンジイソシアネートからなる、請求項6から10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
熱可塑性ポリウレタン組成物を含む射出成形物品であって、前記熱可塑性ポリウレタン組成物は、ヒドロキシル末端ポリオールであるヒドロキシル末端中間体成分であって、ポリ(エチレングリコール)を含むヒドロキシル末端中間体成分と、ヘキサメチレンジイソシアネートを含むイソシアネート成分と、鎖延長剤成分との反応生成物を含み、
ここで、前記鎖延長剤成分は、1,4-ブタンジオールであり、前記イソシアネート成分および前記鎖延長剤成分は、前記熱可塑性ポリウレタンの硬質セグメントを構成し、前記熱可塑性ポリウレタン組成物は、10wt%~30wt%の硬質セグメントを含み、前記熱可塑性ポリウレタン組成物は、6.35cm×0.1524cmの試験片寸法および72時間の浸漬時間を使用することにより変更されたASTM D570により測定される少なくとも100%の吸水率範囲を有する、射出成形物品。
【請求項13】
熱可塑性ポリウレタン組成物を含む3D印刷物品であって、前記熱可塑性ポリウレタン組成物は、ヒドロキシル末端ポリオールであるヒドロキシル末端中間体成分であって、ポリ(エチレングリコール)を含むヒドロキシル末端中間体成分と、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)を含むイソシアネート成分と、
鎖延長剤成分との反応生成物を含み、
ここで、前記鎖延長剤成分は、1,4-ブタンジオールであり、ここで、前記イソシアネート成分および
鎖延長剤成分が、前記熱可塑性ポリウレタンの硬質セグメントを構成し、そしてここで、前記熱可塑性ポリウレタンが、10wt%~50wt%の硬質セグメントを含む、3D印刷物品。
【請求項14】
前記熱可塑性ポリウレタンが、6.35cm×0.1524cmの試験片寸法および72時間の浸漬時間を使用することにより変更されたASTM D570により測定される少なくとも70%の吸水率範囲を有する、請求項13に記載の3D印刷物品。
【請求項15】
前記熱可塑性ポリウレタンが、6.35cm×0.1524cmの試験片寸法および72時間の浸漬時間を使用することにより変更されたASTM D570により測定される少なくとも100%の吸水率範囲を有する、請求項13から14のいずれかに記載の3D印刷物品。
【請求項16】
前記ヒドロキシル末端中間体成分が、ポリ(エチレングリコール)からなり、前記イソシアネート成分が、ヘキサメチレンジイソシアネートからなる、請求項13から15のいずれかに記載の3D印刷物品。
【請求項17】
3D印刷を作製する方法であって、
ヒドロキシル末端ポリオールであるヒドロキシル末端中間体成分であって、ポリ(エチレングリコール)を含むヒドロキシル末端中間体成分と、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)を含むイソシアネート成分と
、鎖延長剤成分とを含む、熱可塑性ポリウレタン組成物を調製するステップであって、
ここで、前記鎖延長剤成分は、1,4-ブタンジオールであり、前記イソシアネート成分および
鎖延長剤成分は、前記熱可塑性ポリウレタンの硬質セグメントを構成し、前記熱可塑性ポリウレタンは、10wt%~50wt%の硬質セグメントを含む、ステップと、
物体の固体自由形状製作のためのシステムを操作するステップであって、前記システムは、構築材料の微小ビーズを制御された様式で堆積させる固体自由形状製作装置を備える、ステップと
を含み、
前記構築材料は、前記熱可塑性ポリウレタン組成物を含む、方法。
【請求項18】
前記熱可塑性ポリウレタンが、10wt%~30wt%の硬質セグメントを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記熱可塑性ポリウレタンが、6.35cm×0.1524cmの試験片寸法および72時間の浸漬時間を使用することにより変更されたASTM D570により測定される少なくとも70%の吸水率範囲を有する、請求項17または18に記載の方法。
【請求項20】
前記熱可塑性ポリウレタンが、6.35cm×0.1524cmの試験片寸法および72時間の浸漬時間を使用することにより変更されたASTM D570により測定される少なくとも100%の吸水率範囲を有する、請求項17から19のいずれかに記載の方法。
【請求項21】
前記ヒドロキシル末端中間体成分が、ポリ(エチレングリコール)からなる、請求項17に記載の方法。
【請求項22】
前記イソシアネート成分が、ヘキサメチレンジイソシアネートからなる、請求項17から21のいずれかに記載の方法。
【請求項23】
熱可塑性ポリウレタン組成物を含む三次元印刷物品であって、前記熱可塑性ポリウレタン組成物は、ヒドロキシル末端ポリオールであるヒドロキシル末端中間体成分であって、ポリ(エチレングリコール)を含むヒドロキシル末端中間体成分と、ヘキサメチレンジイソシアネートを含むイソシアネート成分と、鎖延長剤成分との反応生成物を含み、
ここで、前記鎖延長剤成分は、1,4-ブタンジオールであり、前記イソシアネート成分および前記鎖延長剤成分は、前記熱可塑性ポリウレタンの硬質セグメントを構成し、前記熱可塑性ポリウレタン組成物は、10wt%~30wt%の硬質セグメントを含み、前記熱可塑性ポリウレタン組成物は、6.35cm×0.1524cmの試験片寸法および72時間の浸漬時間を使用することにより変更されたASTM D570により測定される少なくとも100%の吸水率範囲を有する、三次元印刷物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本発明は、親水性熱可塑性ポリウレタン組成物を使用して作製される物品に関する。物品は、射出成形により、または3D印刷により作製することができる。
【背景技術】
【0002】
背景
脂肪族イソシアネートから作製される親水性熱可塑性ポリウレタン(TPU)は、様々な物品に有用となる有益な特性を示すが、そのようなTPU材料から物品を作製するための製造方法は幾分制限されている。特に、脂肪族イソシアネートをベースとする親水性TPU組成物は、商業的に許容できない長い処理時間を必要とするため、そのような材料はある特定の用途では使用されない。例えば、射出成形用途、または熱溶解積層法等の3D印刷用途においては、TPU材料は、それらを取り扱うことができるまでに十分に固化する必要がある。脂肪族イソシアネートをベースとする親水性TPUは、典型的には低温で結晶化し、または全く結晶化せず、したがってよりゆっくりと固化し、結果として物品を型から取り出す、または印刷後に取り扱うことができるようになるまでより長い期間が必要となるため、そのような親水性TPUはより長いサイクル時間を有する。射出成形または3D印刷を用いてこれらの材料で物品を作製することは、長い処理時間に起因して商業的に実行可能ではない。したがって、射出成形または3D印刷により物品が作製され得るには、型内で迅速に固化可能な脂肪族イソシアネートをベースとする親水性TPUを有することが必要である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
要旨
本発明は、親水性熱可塑性ポリウレタン(TPU)から作製される射出成形または3D印刷物品、およびそのような物品を作製するためのプロセスに関する。
【0004】
本発明の一実施形態では、射出成形物品は、TPU組成物を含み、TPU組成物は、ヒドロキシル末端ポリオール中間体成分と、脂肪族ジイソシアネートを含むイソシアネート成分と、必要に応じて鎖延長剤との反応生成物を含み、TPU組成物は、動的走査熱量測定(DSC)により測定される少なくとも75℃の結晶化温度を有する。一実施形態では、TPU組成物は、10wt%~約50wt%の硬質セグメントを含む。一実施形態では、TPU組成物は、ASTM D570試験法により測定される少なくとも100%の吸水率範囲を有する。一部の実施形態では、鎖延長剤が存在し、1,4-ブタンジオールを含む。一部の実施形態では、ヒドロキシル末端ポリオール中間体は、ポリ(エチレングリコール)を含む。
【0005】
別の実施形態では、射出成形物品は、TPU組成物を含み、TPU組成物は、ポリ(エチレングリコール)を含むヒドロキシル末端ポリオール中間体成分と、ヘキサメチレンジイソシアネートを含むイソシアネート成分と、鎖延長剤成分との反応生成物を含み、イソシアネート成分および鎖延長剤成分は、TPU組成物の硬質セグメントを構成し、TPU組成物は、10wt%~約30wt%の硬質セグメントを含み、TPU組成物は、ASTM D570試験法により測定される少なくとも100%の吸水率範囲を有し、TPU組成物は、DSCにより測定される少なくとも75℃の結晶化温度を有する。1つのそのような実施形態では、ヒドロキシル末端ポリオール中間体は、ポリ(エチレングリコール)から本質的になる。イソシアネート成分は、ヘキサメチレンジイソシアネートからなって
もよい、またはそれから本質的になってもよい。
【0006】
本発明の別の実施形態は、射出成形物品を作製する方法であって、本明細書に記載のTPU組成物を調製するステップであって、熱可塑性ポリウレタン組成物は、DSCにより測定される少なくとも75℃の結晶化温度を有するステップと;前記熱可塑性ポリウレタン組成物を、160℃~190℃の温度に加熱して、前記熱可塑性ポリウレタン組成物を溶融するステップと;前記溶融した熱可塑性ポリウレタン組成物を型内に射出するステップと;前記熱可塑性ポリウレタン組成物を冷却して物品を形成するステップとを含む、方法を含む。
【0007】
本発明の別の実施形態は、ヒドロキシル末端中間体成分であって、ヒドロキシル官能性中間体成分がポリ(エチレングリコール)を含むヒドロキシル末端中間体成分と、ヘキサメチレンジイソシアネートを含むイソシアネート成分と、必要に応じて鎖延長剤成分との反応生成物を含むTPU組成物の、物品を形成するための射出成形における使用を含む。1つのそのような実施形態では、鎖延長剤が存在し、1,4-ブタンジオールを含む。
【0008】
本発明の一実施形態では、3D印刷物品は、TPU組成物を含み、TPU組成物は、ヒドロキシル末端ポリオール中間体成分と、脂肪族ジイソシアネートを含むイソシアネート成分と、必要に応じて鎖延長剤との反応生成物を含み、TPU組成物は、動的走査熱量測定(DSC)により測定される少なくとも75℃の結晶化温度を有する。一実施形態では、TPU組成物は、10wt%~約50wt%の硬質セグメントを含む。一実施形態では、TPU組成物は、ASTM D570試験法により測定される少なくとも100%の吸水率範囲を有する。一部の実施形態では、鎖延長剤が存在し、1,4-ブタンジオールを含む。一部の実施形態では、ヒドロキシル末端ポリオール中間体は、ポリ(エチレングリコール)を含む。
【0009】
別の実施形態では、3D印刷物品は、TPU組成物を含み、TPU組成物は、ポリ(エチレングリコール)を含むヒドロキシル末端ポリオール中間体成分と、ヘキサメチレンジイソシアネートを含むイソシアネート成分と、鎖延長剤成分との反応生成物を含み、イソシアネート成分および鎖延長剤成分は、TPU組成物の硬質セグメントを構成し、TPU組成物は、10wt%~約30wt%の硬質セグメントを含み、TPU組成物は、ASTM D570試験法により測定される少なくとも100%の吸水率範囲を有し、TPU組成物は、DSCにより測定される少なくとも75℃の結晶化温度を有する。1つのそのような実施形態では、ヒドロキシル末端ポリオール中間体は、ポリ(エチレングリコール)から本質的になる。イソシアネート成分は、ヘキサメチレンジイソシアネートからなってもよい、またはそれから本質的になってもよい。
【0010】
本発明の別の実施形態は、3D印刷物品を作製する方法であって、方法は、物体の固体自由形状製作(solid freeform fabrication)のためのシステムを操作するステップであって、システムは、構築材料の微小ビーズを制御された様式で堆積させて三次元物品を形成する固体自由形状製作装置を備える、ステップを含み、構築材料は、TPU組成物を含み、TPU組成物は、ヒドロキシル末端ポリオール中間体成分と、脂肪族ジイソシアネートを含むイソシアネート成分と、必要に応じて鎖延長剤との反応生成物を含み、TPU組成物は、動的走査熱量測定(DSC)により測定される少なくとも75℃の結晶化温度を有する、方法を含む。
【0011】
本発明の別の実施形態は、ヒドロキシル末端中間体成分であって、ヒドロキシル官能性中間体成分がポリ(エチレングリコール)を含むヒドロキシル末端中間体成分と、ヘキサメチレンジイソシアネートを含むイソシアネート成分と、必要に応じて鎖延長剤成分との反応生成物を含むTPU組成物の、物品を形成するための固体自由形状製作装置熱溶解積
層法における使用を含む。1つのそのような実施形態では、鎖延長剤が存在し、1,4-ブタンジオールを含む。
【発明を実施するための形態】
【0012】
詳細な説明
本発明による射出成形または3D印刷物品は、ヒドロキシル末端中間体成分と、脂肪族ジイソシアネートを含むイソシアネート成分と、必要に応じて鎖延長剤成分との反応生成物を含むTPU組成物を使用して作製される。本発明の一態様では、熱可塑性ポリウレタン組成物が効率的に射出成形され得る、または固体自由形状製作システム(3D印刷)において使用され得るために、熱可塑性ポリウレタン組成物は、少なくとも75℃のDSCにより測定される結晶化温度を有する。本発明のTPU組成物はまた、ASTM D570により測定される少なくとも100%の吸水率範囲を有し得る。TPU組成物はまた、10wt%~50wt%、例えば13wt%~30wt%の硬質セグメント(イソシアネート単独、またはイソシアネートおよび鎖延長剤の組合せの量で定義される)を有し得る。
ヒドロキシル末端中間体成分
【0013】
本明細書に記載のTPU組成物は、ヒドロキシル末端ポリオール中間体を使用して作製される。ポリオールは、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリシロキサンポリオール、およびそれらの組合せを含む。
【0014】
1つの有用な実施形態では、ヒドロキシル末端ポリオール中間体は、ポリエーテルポリオール中間体を含む。ヒドロキシル末端ポリエーテル中間体は、合計で2~15個の炭素原子を有するジオールまたはポリオールから誘導されるポリエーテルポリオール、一部の実施形態では2~6個の炭素原子を有するアルキレンオキシド、典型的にはエチレンオキシドもしくはプロピレンオキシドまたはそれらの混合物を含むエーテルと反応するアルキルジオールまたはグリコールを含む。例えば、ヒドロキシル官能性ポリエーテルは、まずプロピレングリコールをプロピレンオキシドと反応させ、続いてその後エチレンオキシドと反応させることにより生成され得る。エチレンオキシドから得られる1級ヒドロキシル基は、2級ヒドロキシル基より反応性であり、したがって好ましい。有用な市販のポリエーテルポリオールは、エチレングリコールと反応したエチレンオキシドを含むポリ(エチレングリコール)、プロピレングリコールと反応したプロピレンオキシドを含むポリ(プロピレングリコール)、重合テトラヒドロフランとも説明され得、また一般にPTMEGと呼ばれるテトラヒドロフランと反応した水を含むポリ(テトラメチレンエーテルグリコール)を含む。ポリエーテルポリオールはまた、アルキレンオキシドのポリアミド付加物を含み、例えば、エチレンジアミンおよびプロピレンオキシドの反応生成物を含むエチレンジアミン付加物、ジエチレントリアミンとプロピレンオキシドの反応生成物を含むジエチレントリアミン付加物、ならびに同様のポリアミド型ポリエーテルポリオールを含み得る。コポリエーテルもまた、説明された組成物中に利用することができる。典型的なコポリエーテルは、THFおよびエチレンオキシドまたはTHFおよびプロピレンオキシドの反応生成物を含む。これらは、ブロックコポリマーであるPolyTHF(登録商標)B、およびランダムコポリマーであるPolyTHF(登録商標)Rとして、BASFから入手可能である。様々なポリエーテル中間体は、一般に、約700より多くの、例えば約700~約10,000、または約1,000~約8,000、または約1,400~約8,000の平均分子量である、末端官能基のアッセイにより決定される数平均分子量(Mn)を有する。
【0015】
一部の実施形態では、本発明のTPU組成物を作製するために使用されるヒドロキシル末端ポリオール中間体は、約1,000~約10,000のMnを有するポリ(エチレングリコール)を含む。一部の実施形態では、ヒドロキシル末端ポリオール中間体は、約1
,000~約10,000のMnを有するポリ(エチレングリコール)から本質的になる。一部の実施形態では、ヒドロキシル末端ポリオール中間体は、約1,000~約10,000のMnを有するポリ(エチレングリコール)からなる。
イソシアネート成分
【0016】
本明細書に記載のTPU組成物は、a)ポリイソシアネート成分を使用して作製される。特に、本発明において有用なポリイソシアネート成分は、脂肪族ジイソシアネートである。脂肪族ポリイソシアネートの例は、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、1,4-シクロヘキシルジイソシアネート(CHDI)、デカン-1,10-ジイソシアネート、リジンジイソシアネート(LDI)、1,4-ブタンジイソシアネート(BDI)、1,5-ペンタンジイソシアネート(PDI)、水素化キシレンジイソシアネート(HXDI)、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)およびジシクロヘキシルメタン-4,4’-ジイソシアネート(H12MDI)を含む。2種またはそれよりも多くのポリイソシアネートの混合物が使用されてもよい。
【0017】
本発明の任意の実施形態では、ポリイソシアネート成分は、ヘキサメチレンジイソシアネートからなってもよい、またはそれから本質的になってもよい。
鎖延長剤成分
【0018】
本明細書に記載のTPU組成物は、必要に応じて鎖延長剤成分を使用して作製される。鎖延長剤は、ジオール、ジアミン、およびそれらの組合せを含む。
【0019】
好適な鎖延長剤は、比較的低分子量のポリヒドロキシ化合物、例えば2~20個、または2~12個、または2~10個の炭素原子を有する低級脂肪族または短鎖グリコールを含む。好適な例は、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4-ブタンジオール(BDO)、1,6-ヘキサンジオール(HDO)、1,3-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4-シクロヘキサンジメタノール(CHDM)、2,2-ビス[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]プロパン(HEPP)、ヘキサメチレンジオール、ヘプタンジオール、ノナンジオール、ドデカンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、エチレンジアミン、ブタンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、およびヒドロキシエチルレゾルシノール(HER)等、ならびにそれらの混合物を含む。一部の実施形態では、鎖延長剤は、BDO、HDO、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、またはそれらの組合せを含む。一部の実施形態では、鎖延長剤は、BDOを含む。他のグリコール、例えば芳香族グリコールが使用されてもよいが、一部の実施形態では、本明細書に記載のTPUは、そのような材料を本質的に含まない、またはさらに完全に含まない。
【0020】
鎖延長剤は、存在する場合、熱可塑性ポリウレタン組成物の「硬質セグメント」として公知であるものを形成するために、イソシアネート成分と組み合わされる。鎖延長剤が存在しない場合、「硬質セグメント」は、イソシアネート成分のみにより形成される。一部の実施形態では、本発明のTPU組成物は、少なくとも10wt%の硬質セグメントを含む。別の実施形態では、本発明のTPU組成物は、10wt%~50wt%の硬質セグメントを含む。別の実施形態では、本発明のTPU組成物は、10wt%~50wt%の硬質セグメントを含み、DSCにより測定される少なくとも75℃の結晶化温度を有する。一実施形態では、TPU組成物は、10wt%~30wt%の硬質セグメントを含み、ASTM D570により測定される少なくとも100%の吸水率範囲を有する。別の実施形態では、TPU組成物は、10wt%~30wt%の硬質セグメントを含み、ASTM
D570により測定される少なくとも100%の吸水率範囲を有し、DSCにより測定される少なくとも75℃の結晶化温度を有する。別の実施形態では、TPU組成物は、少なくとも13wt%の硬質セグメントを含み、ASTM D570により測定される少な
くとも100%の吸水率範囲を有し、DSCにより測定される少なくとも75℃の結晶化温度を有する。
【0021】
熱可塑性ポリウレタン組成物を調製するために、3つの反応物質(ポリオール中間体、ジイソシアネート、および鎖延長剤)を共に反応させて、本発明において有用なTPUを形成する。TPUを作製するために、3つの反応物質を反応させる任意の公知のプロセスが使用され得る。一実施形態では、プロセスはいわゆる「ワンショット」プロセスであり、3つ全ての反応物質を押出反応器に加えて反応させる。ヒドロキシル含有成分、すなわちポリオール中間体および鎖延長剤グリコールの全当量に対するジイソシアネートの当量は、約0.95~約1.10、または約0.96~約1.02、さらには約0.97~約1.005であってもよい。ウレタン触媒を利用した反応温度は、約175~約245℃であってもよく、別の実施形態では、180~220℃であってもよい。
【0022】
TPUはまた、プレポリマープロセスを利用して調製されてもよい。プレポリマー経路では、ポリオール中間体は、一般に当量過剰の1種または複数のジイソシアネートと反応して、遊離または未反応ジイソシアネートを中に有するプレポリマー溶液を形成する。反応は、一般に、好適なウレタン触媒の存在下で、約80~約220℃、または約150~約200℃の温度で行われる。その後、上述のように、鎖延長剤が、イソシアネート末端基および任意の遊離または未反応ジイソシアネート化合物に概して等しい当量で添加される。したがって、ポリオール中間体および鎖延長剤の全当量に対する全ジイソシアネートの全体的当量比は、約0.95~約1.10、または約0.96~約1.02、さらには約0.97~約1.05である。鎖延長反応温度は、一般に、約180~約250℃、または約200~約240℃である。典型的には、プレポリマー経路は、押出機を含む任意の従来のデバイスで行われ得る。そのような実施形態では、ポリオール中間体は、押出機の第1の部分において当量過剰のジイソシアネートと反応してプレポリマー溶液を形成し、その後下流部分において鎖延長剤が添加され、プレポリマー溶液と反応する。少なくとも20、一部の実施形態では少なくとも25の長さ対直径比を有するバリアスクリューを装備した押出機を含む、任意の従来の押出機が利用され得る。
【0023】
一実施形態では、構成成分は、その供給端部とダイ端部との間に複数の加熱ゾーンおよび複数の供給ポートを有する単軸または二軸押出機で混合される。構成成分は、供給ポートの1つまたは複数で添加されてもよく、押出機のダイ端部から出る得られたTPU組成物は、ペレット化されてもよい。
【0024】
従来の手順および方法に従う様々なポリウレタンの調製、ならびに、上述のように一般に任意の種類のポリウレタンが利用可能であるため、その特定の成分の様々な量、様々な反応物質比、処理温度、その量での触媒、様々な種類の押出機等の重合機器等は、全て概して従来通りであり、当技術分野および文献において周知である。
【0025】
本発明のTPUを調製するための説明されたプロセスは、バッチ式または連続式のいずれかでの「プレポリマー」プロセスおよび「ワンショット」プロセスの両方を含む。すなわち、一部の実施形態では、TPUは、「ワンショット」重合プロセスにおいて成分を一緒に反応させることにより作製されてもよく、反応物質を含む成分の全てが、加熱された押出機に同時に、または実質的に同時に一緒に添加され、反応してTPUを形成する。一方、他の実施形態では、TPUは、まずポリイソシアネート成分をポリオール成分の一部と反応させてプレポリマーを形成し、次いでプレポリマーを残りの反応物質と反応させることにより反応を完了させ、TPUを生じさせることにより作製され得る。
【0026】
押出機から出た後、組成物は、通常ペレット化され、防湿包装内で保存され、最終的にペレット形態で販売される。組成物は必ずしもペレット化される必要はなく、反応押出機
からダイを通して最終生成物プロファイルとして直接押し出されてもよいことが理解される。
【0027】
重合反応の間、1種または複数の重合触媒が存在してもよい。一般に、ジイソシアネートをポリオール中間体または鎖延長剤と反応させるために、任意の従来の触媒が利用され得る。ジイソシアネートのNCO基とポリオールおよび鎖延長剤のヒドロキシ基との間の反応を特に促進する好適な触媒の例は、先行技術から公知である従来の3級アミン、例えばトリエチルアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン、N-メチルモルホリン、N,N’-ジメチルピペラジン、2-(ジメチルアミノエトキシ)エタノール、ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン等、および特に有機金属化合物、例えばチタン酸エステル、鉄化合物、例えば鉄アセチルアセトネート、スズ化合物、例えばスズジアセテート、スズジオクトエート、スズジラウレート、または脂肪族カルボン酸のジアルキルスズ塩、例えばジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジラウレート等である。触媒の通常の使用量は、100重量部のポリヒドロキシ化合物(b)当たり0.0001~0.1重量部である。
添加剤
【0028】
様々な種類の必要に応じた成分が重合反応の間存在してもよく、ならびに/または処理および他の特性を改善するために上述のTPUエラストマー内に組み込まれてもよい。これらの添加剤は、酸化防止剤、例えばフェノール系、有機ホスファイト、ホスフィンおよびホスホナイト、ヒンダードアミン、有機アミン、有機硫黄化合物、ラクトンおよびヒドロキシルアミン化合物、殺生物剤、殺真菌剤、抗微生物剤、相溶化剤、電気散逸または帯電防止添加剤、充填剤および強化剤、例えば二酸化チタン、アルミナ、クレイおよびカーボンブラック、難燃剤、例えばホスフェート、ハロゲン化材料およびアルキルベンゼンスルホネートの金属塩、衝撃改質剤、例えばメタクリレート-ブタジエン-スチレン(「MBS」)およびメチルメタクリレートブチルアクリレート(「MBA」)、離型剤、例えばワックス、脂肪および油、顔料および着色剤、可塑剤、ポリマー、レオロジー改質剤、例えばモノアミン、ポリアミドワックス、シリコーン、およびポリシロキサン、スリップ添加剤、例えばパラフィンワックス、炭化水素ポリオレフィンおよび/またはフッ素化ポリオレフィン、ならびにヒンダードアミン光安定剤(HALS)および/またはUV光吸収剤(UVA)型であってもよいUV安定剤を含むが、これらに限定されない。TPU組成物またはブレンドされた生成物の性能を高めるために、他の添加剤が使用されてもよい。上述の添加剤は全て、これらの物質に対して慣例的な有効量で使用され得る。
【0029】
これらの追加的な添加剤は、TPU樹脂の成分中に、またはその調製のための反応混合物中に、またはTPU樹脂の作製後に組み込まれてもよい。別のプロセスにおいて、材料は全てTPU樹脂と混合され、次いで溶融されてもよく、または、それらは、TPU樹脂の溶融物中に直接組み込まれてもよい。
【0030】
一実施形態では、型とTPUとの間の接着を低減するために、本明細書に記載のTPUに、および/または型に離型剤が加えられてもよい。離型剤として、例えば「Kunststoffhandbuch、第7巻、Polyurethane」、Carl Hanser Verlag、第3版、1993年、第3.4.9章に記載のような慣例的な物質を使用することが可能である。ワックス、脂肪および/または油を離型剤として使用することが特に好ましい。
【0031】
上述の添加剤は全て、これらの物質に対して慣例的な有効量で使用され得る。これらの追加的な添加剤は、TPU組成物の成分中に、またはその調製のための反応混合物中に、またはTPU組成物の作製後に組み込まれてもよい。別のプロセスにおいて、材料は全てTPU組成物と混合され、次いで溶融されてもよく、または、それらは、TPU組成物の溶融物中に直接組み込まれてもよい。
【0032】
本明細書に記載のTPU組成物は、本明細書に記載のイソシアネート成分と、本明細書に記載のヒドロキシル末端ポリオール成分と、必要に応じて本明細書に記載の鎖延長剤成分とを反応させるステップを含むプロセスにより調製することができ、反応は、触媒の存在下で行われ、前記触媒は、スズまたは鉄化合物から選択される1種または複数の化合物を含み、熱可塑性ポリウレタン組成物をもたらす。
【0033】
プロセスは、さらに、TPU組成物を、上述のいずれかを含む1種または複数の追加のTPU材料および/またはポリマーを含む、1種または複数のブレンド成分と混合するステップを含んでもよい。
【0034】
プロセスは、さらに、ステップのTPU組成物を、上述の追加の添加剤の1つまたは複数と混合するステップを含んでもよい。
【0035】
プロセスは、さらに、ステップ(I)のTPU組成物を、上述のいずれかを含む1種もしくは複数の追加のTPU材料および/もしくはポリマーを含む、1種もしくは複数のブレンド成分と混合するステップ、ならびに/または、ステップ(I)のTPU組成物を、上述の追加の添加剤の1つもしくは複数と混合するステップを含んでもよい。
【0036】
また、本発明の組成物またはその任意のブレンドは、任意の成形プロセスにおいて本発明の成形製品を製造するために使用され得る。成形プロセスは、当業者に周知であり、これらに限定されないが、注型成形、冷間成形、マッチドダイ成形、圧縮成形、発泡成形、射出成形、ガスアシスト射出成形、異形共押出し、異形押出し、回転成形、シート押出し、スラッシュ成形、噴霧技術、熱成形、トランスファー成形、真空成形、湿式積層もしくは接触成形、ブロー成形、押出しブロー成形、射出ブロー成形、および射出延伸ブロー成形、またはそれらの組合せを含む。
【0037】
本発明のTPU組成物は、予想外にも、射出成形プロセスにおいて有用である。射出成形プロセスにおいて、成形物品は、溶融ポリマーを所望の幾何形状および厚さの成形物品に造形および凝固させる型内に溶融ポリマーを射出することにより製作され得る。射出成形プロセスの一例は、以下のように説明される。造形されたラミネートが、射出成形ツール内に設置される。型が閉じられる。本発明のTPU組成物が溶融され、型内に射出される。TPU組成物を溶融するために、TPU組成物が約160℃~約190℃に加熱され得る。溶融したTPU組成物は、2~10秒の間の射出速度で型内に射出され得る。射出後、材料は、部品を寸法的および審美的に補正するために所定の時間および圧力で圧密または保持される。典型的な全成形サイクル時間は、約20~約70秒であり、圧力は、1,380~10,400kPaである。型は、基板を冷却するために、10℃~70℃の間に冷却される。温度は、所望の艶および所望の外観に依存する。典型的な冷却時間は、部品の厚さに依存して、10~40秒、例えば10~30秒である。最後に、型が開かれ、造形複合物品が取り出される。
【0038】
また、本発明のTPU組成物は、予想外にも、3D印刷システム(固体自由形状製作)、特に熱溶解積層システムにおいて有用である。本明細書に記載のTPU組成物は、熱溶解積層システムを使用した効率的な物品の作製に最適である。様々な種類の固体自由形状製作システムおよび装置が、当技術分野において公知である。本発明のTPU組成物は、様々な種類の固体自由形状製作システムおよび装置を用いて使用され得る。例えば、一実施形態では、熱溶解積層システムは、構築材料を半液体状態まで加熱し、それをコンピュータ制御の経路に従って押し出すことにより、層ごとに部品を構築するシステムを含む。材料は、半連続流として、および/もしくは材料のフィラメントとして分配器から分配されてもよく、または代替として、個々の液滴またはビーズとして分配されてもよい。熱溶解積層は、時折、2つの異なる材料を使用して物体を構築し得る。本明細書に記載のTP
U組成物等の積層材料が、物品に使用される。積層材料は、積層材料の「足場」として機能し得る支持材料上に堆積され得る。一実施形態では、システムの材料貯蔵部から印刷ヘッドに材料フィラメントが供給され、印刷ヘッドが二次元平面内で移動し、材料を堆積させて各層を完成させてから、ベースが第3の軸に沿って新たなレベルおよび/または面に移動して、次の層が開始する。システムが構築を完了すると、使用者は、支持材料を除去する、またはさらにはそれを溶解して、最終物品を残すことができる。一実施形態では、熱溶解積層装置は、本明細書に記載のTPU組成物の微小ビーズを制御された様式で堆積させ、3D印刷物品を形成する。
【0039】
また、本発明のTPU組成物およびその任意のブレンドは、通気性フィルムを含む単層または複数層フィルムとして形成されてもよい。これらのフィルムは、押出し、共押出し、押出しコーティング、ラミネーション、ブローおよびキャスト、またはそれらの任意の組合せを含む、当技術分野において公知の従来技術のいずれかによって形成され得る。フィルムは、フラットフィルムまたは管式プロセスにより得られてもよく、続いてフィルムの面内での一軸方向または互いに垂直な2つの方向への配向が行われてもよい。フィルムの層の1つまたは複数が、横方向および/または縦方向に同じまたは異なる程度で配向されてもよい。この配向は、個々の層が一緒にされる前、または一緒にされた後に行われてもよい。典型的には、フィルムは、最大15、好ましくは5~7の間の比率で流れ方向(MD)に、および最大15、好ましくは7~9の比率で幅方向(TD)に配向している。しかしながら、別の実施形態では、フィルムは、MDおよびTD方向の両方に同程度で配向している。
【0040】
本明細書に記載のTPU組成物は、脂肪族TPU組成物および/または親水性TPUの特性が望ましい広範な射出成形物品において使用され得る。有用な用途のいくつかの例は、これらに限定されないが、スポーツおよびレクリエーション器具、靴、例えば靴の中敷および靴底、医療デバイス、例えばペースメーカーリード、人工心臓、心臓弁、ステントカバー、人工腱、動脈、静脈、薬学的に活性な薬剤を含有するフィルム、血液バッグ、造瘻バッグ、IVバッグ等を含む埋め込み型デバイスを含む。また、本発明のTPU組成物を使用した射出成形物品は、医療用チューブおよびフィルムを含んでもよい。本明細書に記載のTPU組成物は、物品を防水性、通気性、またはその両方とすることができる。
【0041】
また、本発明のTPU組成物は、電界紡糸、強制紡糸、またはさらには押出し紡糸等により、フィラメントまたは繊維に使用され得る。
【実施例】
【0042】
列挙されたポリオールおよびイソシアネートを1,4-ブタンジオール鎖延長剤と共に使用して、熱可塑性ポリウレタン組成物を作製した。イソシアネート成分および鎖延長剤成分は、硬質セグメントを構成する。
【表1】
【0043】
表1は、少なくとも10wt%の硬質セグメントでのHDIおよびポリエチレングリコールの組合せが、効率的な射出成形プロセスに必要な結晶化温度を有するTPU組成物をもたらすことを示している。例B1、C1、D1、E1、およびF1は、本発明の例であり、一方A1、A2、B2、C2、D2、E2、およびF2は、比較例である。より低い結晶化温度は、TPU組成物が固化し、型から取り出されるのにより長い時間を要することを意味する。本発明の組成物は、脂肪族イソシアネートを使用し、また親水性であるTPU組成物から射出成形物品を作製するために好適な材料を提供する。さらに、例B1およびB2、C1およびC2、ならびにD1およびD2の比較により確認され得るように、HDIを用いて作製された本発明の試料(B1、C1、およびD1)は、H12MDIを用いて作製された同様のTPUよりも速い成形時間を有する。
【0044】
本明細書において使用される場合、「含む(including)」、「含有する」、または「
それにより特徴付けられる」と同義である移行語「含む、備える(comprising)」は、包含的または非制限的であり、列挙されていない追加の要素または方法ステップを除外しない。しかしながら、本明細書における「含む、備える」のそれぞれの列挙において、その用語がまた、代替の実施形態として、「~から本質的になる」および「~からなる」という語句を包含し、「~からなる」は、指定されていないいかなる要素またはステップも除外し、「~から本質的になる」は、考慮されている組成物または方法の本質的または基本的および新規の特徴に大きく影響しない追加的な列挙されていない要素またはステップの包含を許容することが意図される。本明細書において使用される場合、「DSC」によりなされたと言及される測定は、Perkin Elmer DSC7を使用した動的走査熱量測定を指す。
【0045】
本発明の例示を目的として、ある特定の代表的実施形態および詳細を示したが、本発明の範囲から逸脱せずにそれに様々な変更および修正を行うことができることが、当業者に明らかである。これに関して、本発明の範囲は、特許請求の範囲によってのみ限定される。
【0046】
本発明の好ましい実施形態によれば、例えば、以下が提供される。
(項1)
熱可塑性ポリウレタン組成物を含む射出成形物品であって、前記熱可塑性ポリウレタン組成物は、ヒドロキシル末端中間体成分と、脂肪族ジイソシアネートを含むイソシアネート成分と、必要に応じて鎖延長剤成分との反応生成物を含み、前記熱可塑性ポリウレタン組成物は、DSCにより測定される少なくとも75℃の結晶化温度を有し、前記イソシアネート成分および必要に応じた鎖延長剤成分は、前記熱可塑性ポリウレタンの硬質セグメントを構成し、前記熱可塑性ポリウレタンは、少なくとも10wt%の硬質セグメントを含む、射出成形物品。
(項2)
前記熱可塑性ポリウレタンが、約10wt%~約50wt%の硬質セグメントを含む、上記項1に記載の射出成形物品。
(項3)
前記熱可塑性ポリウレタンが、ASTM D570により測定される少なくとも70%の吸水率範囲を有する、上記項1から2のいずれかに記載の射出成形物品。
(項4)
前記熱可塑性ポリウレタンが、ASTM D570により測定される少なくとも100%の吸水率範囲を有する、上記項1から3のいずれかに記載の射出成形物品。
(項5)
前記ポリエーテルポリオール中間体が、ポリ(エチレングリコール)を含む、上記項1から4のいずれかに記載の射出成形物品。
(項6)
前記ジイソシアネートが、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、1,4-シクロヘキシルジイソシアネート(CHDI)、デカン-1,10-ジイソシアネート、リジンジイソシアネート(LDI)、1,4-ブタンジイソシアネート(BDI)、1,5-ペンタンジイソシアネート(PDI)、水素化キシレンジイソシアネート(HXDI)、イソホロンジイソシアネート、およびヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)からなる群から選択される1種または複数のジイソシアネートを含む、上記項1から5のいずれかに記載の射出成形物品。
(項7)
前記ジイソシアネートが、ヘキサメチレンジイソシアネートから本質的になる、上記項1から6のいずれかに記載の射出成形物品。
(項8)
前記ポリエーテルポリオール中間体が、ポリ(エチレングリコール)から本質的になり、
前記ジイソシアネートが、ヘキサメチレンジイソシアネートから本質的になる、上記項1から7のいずれかに記載の射出成形物品。
(項9)
射出成形物品を作製する方法であって、
ヒドロキシル末端中間体成分と、脂肪族ジイソシアネートを含むイソシアネート成分と、必要に応じて鎖延長剤成分とを含む、熱可塑性ポリウレタン組成物を調製するステップであって、前記熱可塑性ポリウレタン組成物は、DSCにより測定される少なくとも75℃の結晶化温度を有し、前記イソシアネート成分および必要に応じた鎖延長剤成分は、前記熱可塑性ポリウレタンの硬質セグメントを構成し、前記熱可塑性ポリウレタンは、少なくとも10wt%の硬質セグメントを含む、ステップと、
前記熱可塑性ポリウレタン組成物を、120℃~190℃の温度に加熱して、前記熱可塑性ポリウレタン組成物を溶融するステップと、
前記溶融した熱可塑性ポリウレタン組成物を型内に射出するステップと、
前記熱可塑性ポリウレタン組成物を冷却して物品を形成するステップと
を含む、方法。
(項10)
前記ヒドロキシル末端中間体成分が、ポリ(エチレングリコール)を含み、前記イソシアネート成分が、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、1,4-シクロヘキシルジイソシアネート(CHDI)、デカン-1,10-ジイソシアネート、リジンジイソシアネート(LDI)、1,4-ブタンジイソシアネート(BDI)、1,5-ペンタンジイソシアネート(PDI)、水素化キシレンジイソシアネート(HXDI)、イソホロンジイソシアネート、およびヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)からなる群から選択される1種または複数のジイソシアネートを含む、上記項9に記載の方法。
(項11)
前記イソシアネート成分および必要に応じた鎖延長剤成分が、前記熱可塑性ポリウレタンの硬質セグメントを構成し、前記熱可塑性ポリウレタンが、少なくとも10wt%~約50wt%の硬質セグメントを含む、上記項9または10に記載の方法。
(項12)
前記熱可塑性ポリウレタンが、約10wt%~約30wt%の硬質セグメントを含む、上記項11に記載の方法。
(項13)
前記熱可塑性ポリウレタンが、ASTM D570により測定される少なくとも70%の吸水率範囲を有する、上記項9から12のいずれかに記載の方法。
(項14)
前記熱可塑性ポリウレタンが、ASTM D570により測定される少なくとも100%の吸水率範囲を有する、上記項9から13のいずれかに記載の方法。
(項15)
前記ポリエーテルポリオール中間体が、ポリ(エチレングリコール)から本質的になる、上記項9から14のいずれかに記載の方法。
(項16)
前記ジイソシアネートが、ヘキサメチレンジイソシアネートから本質的になる、上記項9から15のいずれかに記載の方法。
(項17)
熱可塑性ポリウレタン組成物を含む射出成形物品であって、前記熱可塑性ポリウレタン組成物は、ヒドロキシル末端中間体成分であって、前記ヒドロキシル官能性中間体成分がポリ(エチレングリコール)を含むヒドロキシル末端中間体成分と、ヘキサメチレンジイソシアネートを含むイソシアネート成分と、鎖延長剤成分との反応生成物を含み、前記イソシアネート成分および前記鎖延長剤成分は、前記熱可塑性ポリウレタンの硬質セグメントを構成し、前記熱可塑性ポリウレタン組成物は、10wt%~約30wt%の硬質セグメントを含み、前記熱可塑性ポリウレタン組成物は、ASTM D570により測定される
少なくとも100%の吸水率範囲を有し、前記熱可塑性ポリウレタン組成物は、DSCにより測定される少なくとも75℃の結晶化温度を有する、射出成形物品。
(項18)
ヒドロキシル末端中間体成分であって、前記ヒドロキシル官能性中間体成分がポリ(エチレングリコール)を含むヒドロキシル末端中間体成分と、ヘキサメチレンジイソシアネートを含むイソシアネート成分と、必要に応じて鎖延長剤成分との反応生成物を含む熱可塑性ポリウレタン組成物の、物品を形成するための射出成形における使用。
(項19)
前記熱可塑性ポリウレタン組成物が、DSCにより測定される少なくとも75℃の結晶化温度を有する、上記項18に記載の熱可塑性ポリウレタン組成物の使用。
(項20)
前記イソシアネート成分および必要に応じた鎖延長剤成分が、前記熱可塑性ポリウレタンの硬質セグメントを構成し、前記熱可塑性ポリウレタンが、少なくとも10wt%の硬質セグメントを含む、上記項18または19に記載の熱可塑性ポリウレタン組成物の使用。(項21)
前記熱可塑性ポリウレタンが、約10wt%~約50wt%の硬質セグメントを含む、請求項18から20のいずれかに記載の熱可塑性ポリウレタン組成物の使用。
(項22)
前記熱可塑性ポリウレタンが、ASTM D570により測定される少なくとも70%の吸水率範囲を有する、上記項18から21のいずれかに記載の熱可塑性ポリウレタン組成物の使用。
(項23)
前記熱可塑性ポリウレタンが、ASTM D570により測定される少なくとも100%の吸水率範囲を有する、上記項18から22のいずれかに記載の熱可塑性ポリウレタン組成物の使用。
(項24)
ポリエーテルポリオール中間体が、ポリ(エチレングリコール)から本質的になる、上記項18から23のいずれかに記載の熱可塑性ポリウレタン組成物の使用。
(項25)
前記ジイソシアネートが、ヘキサメチレンジイソシアネートから本質的になる、上記項18から24のいずれかに記載の熱可塑性ポリウレタン組成物の使用。
(項26)
熱可塑性ポリウレタン組成物を含む3D印刷物品であって、前記熱可塑性ポリウレタン組成物は、ヒドロキシル末端中間体成分と、脂肪族ジイソシアネートを含むイソシアネート成分と、必要に応じて鎖延長剤成分との反応生成物を含み、前記熱可塑性ポリウレタン組成物は、DSCにより測定される少なくとも75℃の結晶化温度を有する、3D印刷物品。
(項27)
前記イソシアネート成分および必要に応じた鎖延長剤成分が、前記熱可塑性ポリウレタンの硬質セグメントを構成し、前記熱可塑性ポリウレタンが、少なくとも10wt%の硬質セグメントを含む、上記項26に記載の3D印刷物品。
(項28)
前記熱可塑性ポリウレタンが、約10wt%~約50wt%の硬質セグメントを含む、上記項26に記載の3D印刷物品。
(項29)
前記熱可塑性ポリウレタンが、ASTM D570により測定される少なくとも70%の吸水率範囲を有する、上記項26から28のいずれかに記載の3D印刷物品。
(項30)
前記熱可塑性ポリウレタンが、ASTM D570により測定される少なくとも100%の吸水率範囲を有する、上記項26から29のいずれかに記載の3D印刷物品。
(項31)
前記ポリエーテルポリオール中間体が、ポリ(エチレングリコール)を含む、上記項26から30のいずれかに記載の3D印刷物品。
(項32)
前記ジイソシアネートが、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、1,4-シクロヘキシルジイソシアネート(CHDI)、デカン-1,10-ジイソシアネート、リジンジイソシアネート(LDI)、1,4-ブタンジイソシアネート(BDI)、1,5-ペンタンジイソシアネート(PDI)、水素化キシレンジイソシアネート(HXDI)、イソホロンジイソシアネート、およびヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)からなる群から選択される1種または複数のジイソシアネートを含む、上記項26から31のいずれかに記載の3D印刷物品。
(項33)
前記ポリエーテルポリオール中間体が、ポリ(エチレングリコール)から本質的になり、前記ジイソシアネートが、ヘキサメチレンジイソシアネートから本質的になる、上記項26から32のいずれかに記載の3D印刷物品。
(項34)
3D印刷を作製する方法であって、
ヒドロキシル末端中間体成分と、脂肪族ジイソシアネートを含むイソシアネート成分と、必要に応じて鎖延長剤成分とを含む、熱可塑性ポリウレタン組成物を調製するステップであって、前記熱可塑性ポリウレタン組成物は、DSCにより測定される少なくとも75℃の結晶化温度を有し、前記イソシアネート成分および必要に応じた鎖延長剤成分は、前記熱可塑性ポリウレタンの硬質セグメントを構成し、前記熱可塑性ポリウレタンは、少なくとも10wt%の硬質セグメントを含む、ステップと、
物体の固体自由形状製作のためのシステムを操作するステップであって、前記システムは、構築材料の微小ビーズを制御された様式で堆積させる固体自由形状製作装置を備える、ステップと
を含み、
前記構築材料は、前記熱可塑性ポリウレタン組成物を含む、方法。
(項35)
前記ヒドロキシル末端中間体成分が、ポリ(エチレングリコール)を含み、前記イソシアネート成分が、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、1,4-シクロヘキシルジイソシアネート(CHDI)、デカン-1,10-ジイソシアネート、リジンジイソシアネート(LDI)、1,4-ブタンジイソシアネート(BDI)、1,5-ペンタンジイソシアネート(PDI)、水素化キシレンジイソシアネート(HXDI)、イソホロンジイソシアネート、およびヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)からなる群から選択される1種または複数のジイソシアネートを含む、上記項34に記載の方法。
(項36)
前記イソシアネート成分および必要に応じた鎖延長剤成分が、前記熱可塑性ポリウレタンの硬質セグメントを構成し、前記熱可塑性ポリウレタンが、少なくとも10wt%~約50wt%の硬質セグメントを含む、上記項34または35に記載の方法。
(項37)
前記熱可塑性ポリウレタンが、約10wt%~約30wt%の硬質セグメントを含む、上記項36に記載の方法。
(項38)
前記熱可塑性ポリウレタンが、ASTM D570により測定される少なくとも70%の吸水率範囲を有する、上記項34から37のいずれかに記載の方法。
(項39)
前記熱可塑性ポリウレタンが、ASTM D570により測定される少なくとも100%の吸水率範囲を有する、上記項34から38のいずれかに記載の方法。
(項40)
前記ポリエーテルポリオール中間体が、ポリ(エチレングリコール)から本質的になる、上記項34から36のいずれかに記載の方法。
(項41)
前記ジイソシアネートが、ヘキサメチレンジイソシアネートから本質的になる、上記項34から40のいずれかに記載の方法。
(項42)
熱可塑性ポリウレタン組成物を含む三次元印刷物品であって、前記熱可塑性ポリウレタン組成物は、ヒドロキシル末端中間体成分であって、前記ヒドロキシル官能性中間体成分がポリ(エチレングリコール)を含むヒドロキシル末端中間体成分と、ヘキサメチレンジイソシアネートを含むイソシアネート成分と、鎖延長剤成分との反応生成物を含み、前記イソシアネート成分および前記鎖延長剤成分は、前記熱可塑性ポリウレタンの硬質セグメントを構成し、前記熱可塑性ポリウレタン組成物は、10wt%~約30wt%の硬質セグメントを含み、前記熱可塑性ポリウレタン組成物は、ASTM D570により測定される少なくとも100%の吸水率範囲を有し、前記熱可塑性ポリウレタン組成物は、DSCにより測定される少なくとも75℃の結晶化温度を有する、三次元印刷物品。
(項43)
ヒドロキシル末端中間体成分であって、前記ヒドロキシル官能性中間体成分がポリ(エチレングリコール)を含むヒドロキシル末端中間体成分と、イソシアネート成分であって、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、1,4-シクロヘキシルジイソシアネート(CHDI)、デカン-1,10-ジイソシアネート、リジンジイソシアネート(LDI)、1,4-ブタンジイソシアネート(BDI)、1,5-ペンタンジイソシアネート(PDI)、水素化キシレンジイソシアネート(HXDI)、イソホロンジイソシアネート、およびヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)からなる群から選択される1種または複数のジイソシアネートを含むイソシアネート成分と、必要に応じて鎖延長剤成分との反応生成物を含む熱可塑性ポリウレタン組成物の、物品を形成するための固体自由形状製作装置における使用。
(項44)
前記熱可塑性ポリウレタン組成物が、DSCにより測定される少なくとも75℃の結晶化温度を有する、上記項43に記載の熱可塑性ポリウレタン組成物の使用。
(項45)
前記イソシアネート成分および必要に応じた鎖延長剤成分が、前記熱可塑性ポリウレタンの硬質セグメントを構成し、前記熱可塑性ポリウレタンが、少なくとも10wt%の硬質セグメントを含む、上記項43または44に記載の熱可塑性ポリウレタン組成物の使用。(項46)
前記熱可塑性ポリウレタンが、約10wt%~約50wt%の硬質セグメントを含む、上記項43から45のいずれかに記載の熱可塑性ポリウレタン組成物の使用。
(項47)
前記熱可塑性ポリウレタンが、ASTM D570により測定される少なくとも70%の吸水率範囲を有する、上記項43から46のいずれかに記載の熱可塑性ポリウレタン組成物の使用。
(項48)
前記熱可塑性ポリウレタンが、ASTM D570により測定される少なくとも100%の吸水率範囲を有する、上記項43から46のいずれかに記載の熱可塑性ポリウレタン組成物の使用。
(項49)
ポリエーテルポリオール中間体が、ポリ(エチレングリコール)から本質的になる、上記項43から48のいずれかに記載の熱可塑性ポリウレタン組成物の使用。
(項50)
前記ジイソシアネートが、ヘキサメチレンジイソシアネートから本質的になる、上記項43から49のいずれかに記載の熱可塑性ポリウレタン組成物の使用。