(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-17
(45)【発行日】2024-12-25
(54)【発明の名称】加圧システム
(51)【国際特許分類】
B29C 43/32 20060101AFI20241218BHJP
B30B 15/00 20060101ALI20241218BHJP
B29C 43/02 20060101ALI20241218BHJP
【FI】
B29C43/32
B30B15/00 G
B29C43/02
(21)【出願番号】P 2023175901
(22)【出願日】2023-10-11
【審査請求日】2023-10-25
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000226242
【氏名又は名称】日機装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141173
【氏名又は名称】西村 啓一
(72)【発明者】
【氏名】中塚 聡
(72)【発明者】
【氏名】森 隆博
(72)【発明者】
【氏名】森永 高広
【審査官】岩▲崎▼ 則昌
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-028980(JP,A)
【文献】特開2017-199812(JP,A)
【文献】特開2017-196645(JP,A)
【文献】特開2010-062468(JP,A)
【文献】特開2008-120613(JP,A)
【文献】特開2006-035430(JP,A)
【文献】特開2004-058349(JP,A)
【文献】特開2003-300220(JP,A)
【文献】特開平01-125209(JP,A)
【文献】国際公開第2014/051014(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 43/32
B30B 15/00
B29C 43/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークに対する加圧処理と、前記ワークに対する前記加圧処理に関連する関連処理と、を実行する加圧システムであって、
前記加圧処理が実行される加圧エリアと、
前記加圧エリアに隣接した位置に前記加圧エリアを挟み込むように配置されて、前記関連処理が実行される2つの関連エリアと、
前記ワークを収容する2つのチャンバユニットと、
2つの前記チャンバユニットを同時に往復搬送するチャンバ搬送装置と、
前記加圧エリアと前記関連エリアそれぞれとに配置される昇降装置と、
前記加圧エリアに配置されて、前記ワークを加熱する押圧ユニットと、
前記関連エリアに配置されて、前記チャンバユニットに収容されている前記加圧処理前の前記ワークを予備加熱する予備加熱処理を前記関連処理として実行する予備加熱ユニットと、
前記関連エリアに配置されて、前記チャンバユニットに収容されている前記加圧処理後の前記ワークを冷却する冷却処理を前記関連処理として実行する冷却ユニットと、
前記関連エリアに隣接する待機エリアと、前記関連エリアと、の間で前記予備加熱ユニットを往復搬送する熱ユニット搬送装置と、
を有してなり、
前記加圧エリアに配置される前記昇降装置は、前記押圧ユニットを昇降して、
前記関連エリアに配置される前記昇降装置は、前記予備加熱ユニットおよび/または前記冷却ユニットを昇降して、
前記加圧エリアと前記関連エリアそれぞれとは、
前記昇降装置の上方に
、前記押圧ユニットと、前記予備加熱ユニットおよび/または前記冷却ユニットと、が昇降可能な昇降空間と、
前記昇降空間よりも上方に位置する上部空間と、
を備えて、
2つの前記チャンバユニットは、前記加圧エリアの前記上部空間と、前記関連エリアの前記上部空間と、の間を往復搬送されて、
前記チャンバ搬送装置は、
前記加圧エリアの前記上部空間と、前記関連エリアそれぞれの前記上部空間と、に配置されて、
一方の前記チャンバユニットが前記加圧エリアに位置しているとき、他方の前記チャンバユニットが一方の前記関連エリアに位置するように、かつ、
他方の前記チャンバユニットが前記加圧エリアに位置しているとき、一方の前記チャンバユニットが他方の前記関連エリアに位置するように、前記チャンバユニットを往復搬送
して、
前記加圧処理前の前記チャンバユニットが前記関連エリアに位置しているとき、
前記熱ユニット搬送装置は、前記予備加熱ユニットを、前記冷却ユニットと前記チャンバユニットとの間に搬送して、
前記昇降装置は、前記冷却ユニットと前記予備加熱ユニットとを上昇させることにより、前記予備加熱ユニットを前記チャンバユニットに当接させて、
前記加圧処理後の前記チャンバユニットが前記関連エリアに位置しているとき、
前記昇降装置は、前記冷却ユニットを上昇させることにより、前記冷却ユニットを前記チャンバユニットに当接させて、
前記冷却処理において、
前記予備加熱ユニットは、前記待機エリアに位置する、
加圧システム。
【請求項2】
前記チャンバユニットは、
前記ワークが載置されて、前記加圧処理において、前記ワークを下方から加圧する下加圧ユニットとして機能する載置台と、
前記載置台の上方に配置されて、前記加圧処理において、前記ワークを上方から加圧する上加圧ユニットとして機能する天井部材と、
水平方向において、前記ワークの全周を取り囲むように配置されて、前記載置台と前記天井部材と共に前記ワークが収容される収容室を区画する周壁部材と、
を備えて、
前記関連エリアにおいて、
前記昇降装置は、前記ワークが載置されている前記載置台を昇降可能であり、
前記昇降装置の上昇に基づいて前記載置台が前記周壁部材に取り付けられて、前記加圧処理前の前記ワークが前記収容室に収容される収容処理が前記関連処理として実行されて、
前記昇降装置の下降に基づいて前記載置台が前記周壁部材から取り外されて、前記加圧処理後の前記ワークが前記収容室から取り出される取出処理が前記関連処理として実行される、
請求項1に記載の加圧システム。
【請求項3】
前記予備加熱処理は、前記収容処理の後に実行されて、
前記収容処理において、
前記ワークが載置されている前記載置台は、前記昇降装置の上方に配置されて、
前記天井部材と前記周壁部材とは、前記載置台の上方に配置されて
、
前記取出処理において、
前記予備加熱ユニットは、前記待機エリアに位置する、
請求項
2に記載の加圧システム。
【請求項4】
前記ワークが前記載置台に搬入されるワーク搬入処理、および前記載置台から前記ワークが搬出されるワーク搬出処理、が実行されるワーク搬送エリアと、
前記ワーク搬送エリアと前記関連エリアとの間で前記ワークが載置された前記載置台を往復搬送する台搬送装置と、
を有してなり、
上方視において、前記載置台の搬送方向は、前記予備加熱ユニットの搬送方向と同じであり、
前記予備加熱ユニットの搬送経路は、前記載置台の搬送経路の下方に配置される、
請求項
3に記載の加圧システム。
【請求項5】
前記関連処理と前記加圧処理とが実行される前の前記ワークが配置されるワーク搬入エリアと、
前記関連処理と前記加圧処理とが実行された後の前記ワークが配置されるワーク搬出エリアと、
前記ワーク搬入エリアから前記ワークが一方の前記載置台に搬入される第1ワーク搬入処理、および前記一方の前記載置台から前記ワークが前記ワーク搬出エリアに搬出される第1ワーク搬出処理、が実行される第1ワーク搬送エリアと、
前記ワーク搬入エリアから前記ワークが他方の前記載置台に搬入される第2ワーク搬入処理、および前記他方の前記載置台から前記ワークが前記ワーク搬出エリアに搬出される第2ワーク搬出処理、が実行される第2ワーク搬送エリアと、
前記第1ワーク搬入処理と、前記第1ワーク搬出処理と、前記第2ワーク搬入処理と、前記第2ワーク搬出処理と、を実行するワーク搬送装置と、
を有してなり、
前記ワーク搬送装置は、
前記ワーク搬入エリアと前記第1ワーク搬送エリアとの間と、前記ワーク搬入エリアと前記第2ワーク搬送エリアとの間と、を移動して、前記載置台に前記ワークを搬入するワーク搬入装置と、
前記ワーク搬出エリアと前記第1ワーク搬送エリアとの間と、前記ワーク搬出エリアと前記第2ワーク搬送エリアとの間と、を移動して、前記載置台から前記ワークを搬出するワーク搬出装置と、
を備えて、
前記ワーク搬入装置が前記ワーク搬入エリアに位置しているとき、前記ワーク搬出装置は、前記第1ワーク搬送エリアまたは前記第2ワーク搬送エリアに位置して、
前記ワーク搬出装置が前記ワーク搬出エリアに位置しているとき、前記ワーク搬入装置は、前記第1ワーク搬送エリアまたは前記第2ワーク搬送エリアに位置する、
請求項2に記載の加圧システム。
【請求項6】
前記加圧エリアに配置されて、前記加圧処理を実行する加圧装置、
を有してなり、
前記加圧装置は、
前記加圧処理において、前記チャンバユニットの下方から上昇することにより前記載置台に当接して、前記載置台と共に前記下加圧ユニットとして機能する
前記押圧ユニット、
を備える、
請求項2に記載の加圧システム。
【請求項7】
前記収容室は、前記収容室の内部圧力が前記チャンバユニットの外部空間の外部圧力よりも低い減圧雰囲気であり、
前記載置台は、前記周壁部材の下方に配置されて、前記内部圧力と前記外部圧力との圧力差により前記周壁部材に取り付けられる、
請求項2に記載の加圧システム。
【請求項8】
前記収容室の雰囲気は、前記収容室の内部圧力が前記チャンバユニットの外部空間の外部圧力と同じになるようにガスが充填されるガス雰囲気であり、
前記チャンバユニットは、
前記載置台を前記周壁部材に固定する固定部材、
を備える、
請求項2に記載の加圧システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加圧システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、被加圧物(例えば、電子部品など)を加圧するために、加圧装置が用いられている。例えば、特許文献1に開示された加圧装置は、上加圧ユニットおよび下加圧ユニットを備えて、上加圧ユニットおよび下加圧ユニットにより被加圧物を挟持・加圧すると共に、下加圧ユニットが備える熱ユニットにより被加圧物を加熱する。同加圧装置では、被加圧物の加圧および加熱が完了した後は、加圧状態のまま被加工物は冷却されて、被加圧物は冷却後に取り出される。同加圧装置では、1つの熱ユニットにより被加圧物が加熱および冷却される。そのため、熱ユニットによる加熱と冷却の切り替えに時間が必要となり、加圧処理ごとの処理時間が長期化していた。
【0003】
特許文献2に開示された加圧装置では、下加圧ユニットは、予め加熱されている加熱ユニット、および、予め冷却されている冷却ユニットを備える。加熱ユニットおよび冷却ユニットは、被加圧物を保持した上加圧ユニットに対して移動可能に構成されていて、加圧処理の進行状況に応じて、適宜切り替えられる。そのため、下加圧ユニットによる加熱と冷却の切り替え時間が短縮されて、処理時間も短縮される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2007-896号公報
【文献】特開2017-199812号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1,2に開示された加圧装置では、被加圧物に対する各処理(加熱・加圧・冷却)が実行されている間、被加圧物は、上加圧ユニットと下加圧ユニットとに挟持されている。そのため、各処理が開始されてから終了するまでの間、同加圧装置は処理中の被加圧物のみに対応する専用機となる。その結果、加圧処理中は、次の加圧処理用の被加圧物は加圧装置にセットできない。すなわち、加圧処理と次の加圧処理との間に長い時間が必要となる。
【0006】
ここで、加圧処理の前処理として被加圧物に予備加熱処理を実行することにより、処理時間の短縮が見込まれる。また、加圧処理から冷却処理を分離して、加圧処理の後処理として被加圧物に冷却処理を実行することによっても、処理時間の短縮が見込まれる。このように、加圧処理に関連する処理(以下「関連処理」という。)が加圧装置で実行可能となることにより、加圧装置における処理時間が短縮されると共に、加圧処理間の時間も短縮可能となる。しかしながら、同加圧装置において、関連処理の実行は容易ではない。また、仮に、関連処理が実行できたとしても、同加圧装置では被加圧物は加圧処理中のみ密封されるため、関連処理中の被加圧物は大気に曝されてしまい、被加圧物が酸化し得る。そのため、関連処理用のチャンバ、および、同チャンバ内を満たす大量の不活性ガス(例えば、窒素ガス)が必要となる。
【0007】
本発明は、加圧処理間の時間が短縮可能で、加圧処理の関連処理が実行可能な加圧システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施態様における加圧システムは、ワークに対する加圧処理と、前記ワークに対する前記加圧処理に関連する関連処理と、を実行する加圧システムであって、前記加圧処理が実行される加圧エリアと、前記加圧エリアに隣接した位置に前記加圧エリアを挟み込むように配置されて、前記関連処理が実行される2つの関連エリアと、前記ワークを収容する2つのチャンバユニットと、2つの前記チャンバユニットを同時に往復搬送するチャンバ搬送装置と、前記加圧エリアと前記関連エリアそれぞれとに配置される昇降装置と、前記関連エリアに配置されて、前記チャンバユニットに収容されている前記加圧処理前の前記ワークを予備加熱する予備加熱処理を前記関連処理として実行する予備加熱ユニットと、前記関連エリアに配置されて、前記チャンバユニットに収容されている前記加圧処理後の前記ワークを冷却する冷却処理を前記関連処理として実行する冷却ユニットと、前記関連エリアに隣接する待機エリアと、前記関連エリアと、の間で前記予備加熱ユニットを往復搬送する熱ユニット搬送装置と、を有してなり、前記加圧エリアに配置される前記昇降装置は、前記押圧ユニットを昇降して、前記関連エリアに配置される前記昇降装置は、前記予備加熱ユニットおよび/または前記冷却ユニットを昇降して、前記加圧エリアと前記関連エリアそれぞれとは、前記昇降装置の上方に、前記押圧ユニットと、前記予備加熱ユニットおよび/または前記冷却ユニットと、が昇降可能な昇降空間と、前記昇降空間よりも上方に位置する上部空間と、を備えて、2つの前記チャンバユニットは、前記加圧エリアの前記上部空間と、前記関連エリアの前記上部空間と、の間を往復搬送されて、前記チャンバ搬送装置は、前記加圧エリアの前記上部空間と、前記関連エリアそれぞれの前記上部空間と、に配置されて、一方の前記チャンバユニットが前記加圧エリアに位置しているとき、他方の前記チャンバユニットが一方の前記関連エリアに位置するように、かつ、他方の前記チャンバユニットが前記加圧エリアに位置しているとき、一方の前記チャンバユニットが他方の前記関連エリアに位置するように、前記チャンバユニットを往復搬送して、前記加圧処理前の前記チャンバユニットが前記関連エリアに位置しているとき、前記熱ユニット搬送装置は、前記予備加熱ユニットを、前記冷却ユニットと前記チャンバユニットとの間に搬送して、前記昇降装置は、前記冷却ユニットと前記予備加熱ユニットとを上昇させることにより、前記予備加熱ユニットを前記チャンバユニットに当接させて、前記加圧処理後の前記チャンバユニットが前記関連エリアに位置しているとき、前記昇降装置は、前記冷却ユニットを上昇させることにより、前記冷却ユニットを前記チャンバユニットに当接させて、前記冷却処理において、前記予備加熱ユニットは、前記待機エリアに位置する、加圧システムである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、加圧処理間の時間が短縮可能で、加圧処理の関連処理が実行可能な加圧システムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明に係る加圧システムの実施の形態を示す模式斜視図である。
【
図2】
図1の加圧システムの機能ブロック図である。
【
図4】
図3の加圧システムのAA線における模式断面図である。
【
図5】
図3の加圧システムのBB線における模式断面図である。
【
図6】
図3の加圧システムのCC線における模式断面図である。
【
図7】
図3の加圧システムのDD線における模式断面図である。
【
図8】
図1の加圧システムが備えるチャンバユニットの模式断面図である。
【
図9】
図1の加圧システムの動作を説明する模式断面図である。
【
図10】
図1の加圧システムの
図9の次の動作を説明する模式断面図である。
【
図11】
図10の加圧システムが備える第4エリアの模式平面図である。
【
図19】
図1の加圧システムが備えるワーク搬送装置の動作を説明する模式平面図である。
【
図20】変形例に係る加圧システムが備えるチャンバユニットの模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明に係る加圧システム(以下「本システム」という。)の実施の形態が、以下に説明される。以下の説明において、各図面は、適宜参照される。各図面において、同一の部材および要素については同一の符号が付されて、重複する説明は省略される。また、各要素の寸法比率は、説明の便宜上、誇張されている場合が有り、各図面に示されている比率に限定されない。
【0012】
以下の説明および図面において、特に断りがない限り、空間において相互に直交する3軸をそれぞれX軸、Y軸、およびZ軸としたとき、「X軸方向」はX軸に沿う方向であり、例えば、左右方向である。「Y軸方向」は、Y軸に沿う方向であり、例えば、前後方向である。「Z軸方向」は、Z軸に沿う方向であり、上下方向である。また、「+X軸方向」は左方であり、「-X軸方向」は右方であり、「+Y軸方向」は前方であり、「-Y軸方向」は後方であり、「+Z軸方向」は上方であり、「-Z軸方向」は下方である。以下の説明において、上下方向を除く方向の特定には、主に、X軸方向(+X軸方向、-X軸方向)およびY軸方向(+Y軸方向、-Y軸方向)が用いられる。
【0013】
本発明では、加圧処理に関連する処理(以下「関連処理」という。)を実行する機能が加圧装置に対して追加されて、加圧処理を含む複数の処理を実行する本システムが構成されている。また、加圧処理においてワークを加圧する上加圧ユニットの一部、および、下加圧ユニットの一部により、ワークが収容されているチャンバユニットが2つ形成されている。2つのチャンバユニットは本システム内に配置されている加圧エリアと関連エリアとの間を交互に往復搬送されて、ワークに対して各エリアに対応する処理が実行される。その結果、本発明は、チャンバユニットを往復搬送することにより、ワークに対する関連処理を実行可能である。また、本発明は、加圧処理と次の加圧処理との間(加圧処理間)の時間を短縮可能である。さらに、本発明は、1つの関連エリアにおいて、複数種の関連処理を実行することにより、ワークに対する複数種の関連処理を実行可能である。各用語の説明および各部材の具体的な構成は、後述される。
【0014】
「加圧処理」は、ワークに対して上下方向から圧力を加えて、ワークに所定の加工(例えば、圧縮、圧接、シンタリング接合など)を実行する処理である。加圧処理は、加圧のみが実行される処理、および加圧および加熱が実行される処理を含む。
【0015】
「ワーク」は、本システムにおいて加圧される対象(すなわち、被加圧物)であり、例えば、シート状の基材(セラミックグリーンシートなど)、電子部品、回路などが搭載されている基板、などである。
【0016】
「関連処理」は、本システムにおいて加圧処理に関連する処理であり、加圧処理の実行前にワークに対して必要な前処理(例えば、ワークの収容、ワークの予備加熱など)、および加圧処理の実行後にワークに対して必要な後処理(例えば、ワークの冷却、ワークの取り出しなど)を含む。本実施の形態において、関連処理は、前処理として収容処理および予備加熱処理を含み、後処理として冷却処理および取出処理を含む。各処理の詳細は、後述される。
【0017】
●加圧システム●
●加圧システムの構成
図1は、本システム1の実施の形態を示す模式斜視図である。
図2は、本システム1の機能ブロック図である。
図1では、後述される各エリアの境界が、太い一点鎖線により示されている。
【0018】
本システム1は、ワークWに対して、加圧処理および関連処理を実行する。本システム1は、筐体2、制御装置3、第1冷却装置4、第1予備加熱装置5、第2冷却装置6、第2予備加熱装置7、加圧装置8、搬送装置9、雰囲気調整装置10、および2つのチャンバユニット20を有してなる。以下の説明において、チャンバユニット20それぞれが区別されるとき、一方のチャンバユニット20およびその構成部材には符号「A」が付されて、他方のチャンバユニット20およびその構成部材には符号「B」が付される。
【0019】
本システム1では、2つのワークWに対して、交互に加圧処理および関連処理が実行される。以下の説明において、ワークWそれぞれが区別されるとき、一方のワークWは「第1ワークW1」と称呼されて、他方のワークWは「第2ワークW2(
図4参照。以下同じ。)」と称呼される。
【0020】
筐体2は、制御装置3、第1冷却装置4、第1予備加熱装置5、第2冷却装置6、第2予備加熱装置7、加圧装置8、搬送装置9、雰囲気調整装置10、および2つのチャンバユニット20を収容する。
【0021】
図3は、本システム1の模式平面図である。
同図では、説明の便宜上、本システム1の一部の構成の図示が省略されている。また、同図では、後述されるベース部材B1が半透明な状態で示されていて、第1冷却装置4が二点鎖線で示されている。以下の説明では、
図1~
図2も適宜参照される。
【0022】
上方視において、筐体2の形状は、X軸方向およびY軸方向(以下「XY軸方向」という。)に沿う矩形状であり、中空の直方体状である。筐体2は、水平な床面に配置されている。以下の説明において、「水平方向」は、床面に対して平行な方向であり、XY軸方向に平行な方向である。また、水平方向は、完全な水平だけでなく、床面の僅かな傾斜、および本システム1を構成している各部品の製造公差および組立公差による誤差(僅かな傾斜)を含む。
【0023】
上方視において、筐体2の内部の空間は、第1エリアA1、第2エリアA2、第3エリアA3、第4エリアA4、第5エリアA5、第6エリアA6、第7エリアA7、第8エリアA8、および第9エリアA9に区分されている。換言すれば、本システム1は、第1エリアA1~第9エリアA9を有してなる。本明細書において、第1エリアA1~第9エリアA9それぞれが特に区別されないとき、これらは単に「エリア」と称呼される。
【0024】
各エリアのうち、第2エリアA2~第4エリアA4、および第8エリアA8は、第1ワークW1を取り扱う第1系統を構成している。第5エリアA5~第8エリアA8は、第2ワークW2を取り扱う第2系統を構成している。
【0025】
「第1エリアA1」は、各処理前のワークWが配置されている(待機している)エリアである。第1エリアA1には、ベルトコンベアa11が配置されている。第1エリアA1は、本発明におけるワーク搬入エリアの一例である。
【0026】
「第2エリアA2」は、第4エリアA4に搬送される各処理前のワークWが第1ワークW1として配置されるエリアであり、かつ、第4エリアA4から搬送される各処理後の第1ワークW1が配置されるエリアである。第2エリアA2は、本発明における第1ワーク搬送エリアの一例である。
【0027】
「第3エリアA3」は、第1ワークW1への加圧処理、冷却処理、および取出処理において、第1予備加熱装置5が待機(位置)しているエリアである。第3エリアA3は、本発明における待機エリアの一例である。
【0028】
「第4エリアA4」は、第1ワークW1への関連処理(収容処理、予備加熱処理、冷却処理、および取出処理)が実行されるエリアである。第4エリアA4は、本発明における一方の関連エリアの一例である。
【0029】
「第5エリアA5」は、各処理前のワークWが第2ワークW2として配置されるエリアであり、かつ、第7エリアA7から搬送される各処理後の第2ワークW2が配置されるエリアである。第5エリアA5は、本発明における第2ワーク搬送エリアの一例である。
【0030】
「第6エリアA6」は、第2ワークW2への加圧処理、冷却処理、および取出処理において、第2予備加熱装置7が待機(位置)しているエリアである。第6エリアA6は、本発明における待機エリアの一例である。
【0031】
「第7エリアA7」は、第2ワークW2への関連処理(収容処理、予備加熱処理、冷却処理、および取出処理)が実行されるエリアである。第7エリアA7は、本発明における他方の関連エリアの一例である。
【0032】
「第8エリアA8」は、ワークWへの加圧処理が実行されるエリアである。第8エリアA8は、本発明における加圧エリアの一例である。
【0033】
「第9エリアA9」は、例えば、各処理後のワークWが配置されているエリアである。第9エリアA9には、ベルトコンベアa91が配置されている。第9エリアA9は、本発明におけるワーク搬出エリアの一例である。
【0034】
上方視において、第2エリアA2~第8エリアA8は、第1エリアA1と第9エリアA9との間に配置されている。第2エリアA2は、第1エリアA1の+X軸方向に隣接して配置されている。第3エリアA3は、第2エリアA2の+Y軸方向に隣接して配置されている。第4エリアA4は、第3エリアA3の+Y軸方向に隣接して配置されている。第5エリアA5は、第2エリアA2の+X軸方向に配置されていて、第9エリアA9の-X軸方向に隣接して配置されている。第6エリアA6は、第5エリアA5の+Y軸方向に隣接して配置されている。第7エリアA7は、第6エリアA6の+Y軸方向に隣接して配置されている。第8エリアA8は、第4エリアA4の+X軸方向に隣接して配置されていて、第7エリアA7の-X軸方向に隣接して配置されている。すなわち、X軸方向において、第8エリアA8は、第4エリアA4と第7エリアA7との間に挟み込まれるように配置されている。
【0035】
制御装置3は、本システム1全体の動作を制御する。制御装置3は、例えば、CPU(Central Processing Unit)3aなどのプロセッサ、CPU3aの作業領域として機能するRAM(Random Access Memory)3bなどの揮発性メモリ、および、制御プログラムなどの各種情報を記憶するROM(Read Only Memory)3cなどの不揮発性メモリ、を備える。
【0036】
図4は、
図3の本システム1のAA線における模式断面図である。
図5は、
図3の本システム1のBB線における模式断面図である。
以下の説明において、
図2は、適宜参照される。
【0037】
第1冷却装置4は、チャンバユニット20Aに収容されている加圧処理後の第1ワークW1を冷却する。第1冷却装置4は、テーブル40、冷却ユニット41、および昇降装置42を備える。第1冷却装置4は、第4エリアA4に配置されている。
【0038】
テーブル40は、冷却ユニット41が載置される台である。テーブル40の形状は、例えば、上方視においてXY軸方向に沿う4辺を有する八角形状であり(
図11参照)、板状である。
【0039】
冷却ユニット41は、テーブル40の上方に配置されていて、テーブル40に取り付けられている。冷却ユニット41は、本体部41a、断熱部材41b、および複数の冷媒流路C1を備える。本体部41aは、冷媒流路C1を保護する。本体部41aは、例えば、高い熱伝導性を有する金属(例えば、銅合金)製である。上方視において、本体部41aの形状は、例えば、テーブル40と同じ形状である(
図11参照)。断熱部材41bは、本体部41aの周囲(水平方向の全周および下方向。以下同じ。)を覆い、本体部41aの結露を抑制している。冷媒流路C1は、冷媒(不図示。以下同じ。)が流れる流路である。冷媒は、冷却装置により冷却されていて、冷媒流路C1と冷却装置(不図示。以下同じ。)との間で循環されている。冷却ユニット41の上面41cは、水平方向に平行な平面状である。
【0040】
昇降装置42は、テーブル40および冷却ユニット41を昇降させる。昇降装置42は、例えば、公知のシリンダである。
【0041】
第1予備加熱装置5は、チャンバユニット20Aに収容されている第1ワークW1を後述される予備加熱温度まで加熱する。第1予備加熱装置5は、テーブル50、予備加熱ユニット51、および熱ユニット搬送装置52を備える。
【0042】
テーブル50は、予備加熱ユニット51が載置される台である。テーブル50は、本体部50aおよび取付部50bを備える。本体部50aの形状は、例えば、板状である。上方視において、本体部50aの形状はテーブル40および冷却ユニット41と相似形であり、本体部50aはテーブル40および冷却ユニット41よりも僅かに大きい(
図11参照)。本体部50aの-Y軸方向側の端部は、-Y軸方向側に矩形板状に延出されていて、取付部50bを構成している。
【0043】
予備加熱ユニット51は、本体部50aの上方に配置されていて、本体部50aに取り付けられている。予備加熱ユニット51は、本体部51a、断熱部材51b、および複数のヒータH1を備える。本体部51aは、ヒータH1を保護する。本体部51aは、例えば、高い熱伝導性を有する金属(例えば、銅合金)製である。本体部51aの形状は、例えば、上方視においてXY軸方向に沿う矩形状であり(
図11参照)、直方体状である。上方視において、本体部51aは、本体部50aよりも小さい。断熱部材51bは、本体部51aの周囲を覆い、ヒータH1の熱の周囲への漏れを抑制している。ヒータH1は、本体部51aの内部に配置されている。予備加熱ユニット51の上面51cは、水平方向に平行な平面状である。
【0044】
熱ユニット搬送装置52は、テーブル50および予備加熱ユニット51を第3エリアA3と第4エリアA4との間で往復搬送する。熱ユニット搬送装置52は、例えば、モータ(不図示。以下同じ。)、動力伝達機構52a、連結部材52b、昇降部材52c、複数のローラ52d、および一対のレール部材R1,R2を備える。
【0045】
動力伝達機構52aは、例えば、モータの回転運動を直線運動に変換する公知のボールねじである。動力伝達機構52aは、Y軸方向に沿うように第3エリアA3および第4エリアA4(第3エリアA3側の部分)に配置されている。連結部材52bは、動力伝達機構52aに取り付けられて、Y軸方向に往復移動可能である。昇降部材52cの上端は、取付部50bに取り付けられている。昇降部材52cは、連結部材52bに対してテーブル50と共に上下方向に昇降可能に、連結部材52bに支持されている。ローラ52dは、レール部材R1,R2の上に載せられていて、回転することによりテーブル50および予備加熱ユニット51の搬送を補助する。ローラ52dは、本体部50aのX軸方向側の両側面に均等に取り付けられている。レール部材R1,R2は、テーブル50および予備加熱ユニット51がY軸方向に水平移動可能となるように、ローラ52dを介してテーブル50および予備加熱ユニット51を支持している。レール部材R1,R2は、Y軸方向に沿うように、第3エリアA3および第4エリアA4に配置されている。レール部材R1,R2は、筐体2に支持されている。
【0046】
ローラ52dがレール部材R1,R2の上に載置されることにより、テーブル50および予備加熱ユニット51はレール部材R1,R2に、Y軸方向に往復移動可能に支持されている。連結部材52bがY軸方向に往復移動することにより、テーブル50および予備加熱ユニット51は第3エリアA3と第4エリアA4との間を往復搬送される。後述のとおり、テーブル50および予備加熱ユニット51は、第1ワークW1の加圧処理、冷却処理、および取出処理において第3エリアA3に配置されていて、第1ワークW1の収容処理および予備加熱処理において第4エリアA4に配置されている。
【0047】
図6は、
図3の本システム1のCC線における模式断面図である。
以下の説明において、
図3および
図4も適宜参照される。
【0048】
第2冷却装置6は、チャンバユニット20Bに収容されている加圧処理後の第2ワークW2を冷却する。第2冷却装置6の構成は第1冷却装置4の構成と共通するため、その詳細な説明は省略される。第2冷却装置6は、テーブル60、冷却ユニット61、および昇降装置62を備える。第2冷却装置6は、第7エリアA7に配置されている。
【0049】
テーブル60および昇降装置62の構成は、テーブル40および昇降装置42の構成と共通する。
【0050】
冷却ユニット61は、本体部61a、断熱部材61b、上面61c、および複数の冷媒流路C2を備える。本体部61a、断熱部材61b、上面61c、および複数の冷媒流路C2それぞれの構成は、本体部41a、断熱部材41b、上面41c、および複数の冷媒流路C1それぞれの構成と共通する。
【0051】
第2予備加熱装置7は、チャンバユニット20Bに収容されている第2ワークW2を後述される予備加熱温度まで加熱する。第2予備加熱装置7の構成は第1予備加熱装置5の構成と共通するため、その詳細な説明は省略される。第2予備加熱装置7は、テーブル70、予備加熱ユニット71、および熱ユニット搬送装置72を備える。
【0052】
テーブル70は、本体部70aおよび取付部70bを備える。本体部70aおよび取付部70bそれぞれの構成は、本体部50aおよび取付部50bそれぞれの構成と共通する。
【0053】
予備加熱ユニット71は、本体部71a、断熱部材71b、上面71c、および複数のヒータH2を備える。本体部71a、断熱部材71b、上面71c、およびヒータH2それぞれの構成は、本体部51a、断熱部材51b、上面51c、およびヒータH1それぞれの構成と共通する。
【0054】
熱ユニット搬送装置72は、例えば、モータ(不図示。以下同じ。)、動力伝達機構72a、連結部材72b、昇降部材72c、複数のローラ72d、および一対のレール部材R3,R4を備える。動力伝達機構72aは、Y軸方向に沿うように第6エリアA6および第7エリアA7(第6エリアA6側の部分)に配置されている。レール部材R3,R4は、Y軸方向に沿うように、第6エリアA6および第7エリアA7に配置されている。レール部材R3,R4は、筐体2に支持されている。
【0055】
ローラ72dがレール部材R3,R4の上に載置されることにより、テーブル70および予備加熱ユニット71はレール部材R3,R4に、Y軸方向に往復移動可能に支持されている。連結部材72bがY軸方向に往復移動することにより、テーブル70および予備加熱ユニット71は第6エリアA6と第7エリアA7との間を往復搬送される。後述のとおり、テーブル70および予備加熱ユニット71は、第2ワークW2の加圧処理、冷却処理、および取出処理において第6エリアA6に配置されていて、第2ワークW2の収容処理および予備加熱処理において第7エリアA7に配置されている。
【0056】
以下の説明において、
図1~
図4が適宜参照される。
加圧装置8は、チャンバユニット20に収容されているワークWを加圧する。加圧装置8は、下ベース部材80、熱ユニット81、および昇降装置82を備える。加圧装置8は、第8エリアA8に配置されている。
【0057】
下ベース部材80は、熱ユニット81を支持する。下ベース部材80は、例えば、高い剛性を有する金属(例えば、ステンレス鋼)製である。下ベース部材80の形状は、例えば、上方視においてXY軸方向に沿う矩形状であり、直方体状である。
【0058】
熱ユニット81は、下ベース部材80の上方に配置されていて、下ベース部材80に取り付けられている。熱ユニット81は、本体部81a、断熱部材81b、複数のヒータH3、および複数の冷媒流路C3を備える。本体部81aは、ヒータH3および冷媒流路C3を保護する。本体部81aは、例えば、高い剛性を有する金属(例えば、炭素鋼)製である。本体部81aの形状は、上方向視においてXY軸方向に沿う矩形状であり、直方体状である。断熱部材81bは、本体部81aの周囲を覆うと共に、本体部81aを上下に2分割するように配置されている。断熱部材81bは、ヒータH3の熱の周囲への漏れ、および、本体部81aの結露を抑制している。ヒータH3は、ワークWが加圧されるとき、ワークWを加熱する。ヒータH3は、本体部81aの上半部内に配置されている。冷媒流路C3は、本体部81aの下半部を冷却する冷媒が流れる流路である。冷媒は、冷却装置により冷却されていて、冷媒流路C1と冷却装置との間で循環されている。冷媒流路C3は、本体部81aの下半部内に配置されている。熱ユニット81の上面81cは、水平方向に平行な平面状である。熱ユニット81は、下ベース部材80の上方に配置されていて、下ベース部材80に取り付けられている。熱ユニット81は、本発明における押圧ユニットの一例である。
【0059】
昇降装置82は、下ベース部材80および熱ユニット81を昇降させる。昇降装置82は、例えば、公知の油圧シリンダである。
【0060】
搬送装置9は、ワークWおよびチャンバユニット20を搬送する。搬送装置9は、ワーク搬送装置90、台搬送装置93、およびチャンバ搬送装置96を備える。
【0061】
図7は、
図3の本システム1のDD線における模式断面図である。
以下の説明において、
図1~
図6も適宜参照される。
【0062】
ワーク搬送装置90は、第1エリアA1に位置しているワークWを第2エリアA2および第5エリアA5に搬入して、第2エリアA2および第5エリアA5に搬送された加圧処理後のワークWを第9エリアA9に搬出する。ワーク搬送装置90は、ワーク搬入装置91、ワーク搬出装置92、駆動機構(不図示。以下同じ。)、および一対のレール部材R5,R6を備える。
【0063】
ワーク搬入装置91は、第1エリアA1に待機しているワークWを第2エリアA2および第5エリアA5に搬入する。ワーク搬入装置91は、支持部材91a、昇降装置91b、および保持部材91cを備える。支持部材91aは、昇降装置91bを支持している。支持部材91aは、X軸方向に往復移動可能にレール部材R5,R6に支持されている。昇降装置91bは、保持部材91cを昇降させる。保持部材91cは、ワークWを(例えば、吸着)保持する。保持部材91cは、昇降装置91bの下端部に取り付けられている。
【0064】
ワーク搬出装置92は、第2エリアA2および第5エリアA5に搬送された加圧処理後のワークWを第9エリアA9に搬出する。ワーク搬出装置92は、支持部材92a、昇降装置92b、および保持部材92cを備える。支持部材92a、昇降装置92b、および保持部材92cそれぞれの構成は支持部材91a、昇降装置91b、および保持部材91cの構成それぞれと共通するため、これらの詳細な説明は省略される。
【0065】
駆動機構は、ワーク搬入装置91およびワーク搬出装置92を個別にX軸方向に往復搬送するための動力を生成して、ワーク搬入装置91およびワーク搬出装置92に伝達する。駆動機構は、例えば、公知のモータおよびボールねじを備える。
【0066】
レール部材R5,R6は、X軸方向に沿うように、第1エリアA1、第2エリアA2、第5エリアA5、および第9エリアA9の上部空間に配置されている。レール部材R5,R6は、筐体2に支持されている。ワーク搬入装置91およびワーク搬出装置92は、X軸方向に往復移動可能に、レール部材R5,R6に支持されている。ワーク搬入装置91は、ワーク搬出装置92よりも-X軸方向側に配置されている。
【0067】
台搬送装置93は、第2エリアA2と第4エリアA4との間で第1ワークW1を往復搬送すると共に、第5エリアA5と第7エリアA7との間で第2ワークW2を往復搬送する。台搬送装置93は、第1台搬送装置94および第2台搬送装置95を備える。
【0068】
第1台搬送装置94は、第2エリアA2と第4エリアA4との間で第1ワークW1を往復搬送する。第1台搬送装置94は、搬送台94a、駆動機構(不図示。以下同じ。)および一対のレール部材R7,R8を備える。
【0069】
搬送台94aは、後述される載置台21Aと共に第1ワークW1を搬送する。搬送台94aの形状は、上方視において矩形枠状であり、板状である。搬送台94aは、上方視においてXY軸方向に沿う4辺を有する八角形状の中央孔94bを備える。上方視において、中央孔94bの形状は本体部50aと相似形であり、中央孔94bはローラ52dが取り付けられているテーブル50よりも大きい(
図11参照)。搬送台94aの下面のうち、X軸方向側の端部は、例えば、レール部材R7,R8と摺動可能に噛み合うように(例えば、凹凸形状)構成されている。搬送台94aは、レール部材R7,R8に対してY軸方向に摺動可能である。
【0070】
なお、本発明において、搬送台94aの形状は、第1ワークW1を搬送可能、かつ、後述される収容処理、予備加熱処理、冷却処理、および取出処理が実行可能な形状であればよく、本実施の形態に限定されない。
【0071】
駆動機構は、搬送台94aをY軸方向に往復搬送するための動力を生成して、搬送台94aに伝達する。駆動機構は、例えば、公知のモータおよびボールねじを備える。
【0072】
レール部材R7,R8は、Y軸方向に沿うように、第2エリアA2、第3エリアA3、および第4エリアA4に配置されている。上下方向において、レール部材R7,R8は、レール部材R1,R2よりも上方に配置されている。レール部材R7,R8は、筐体2に支持されている。搬送台94aは、Y軸方向に往復移動可能に、レール部材R7,R8の上に載置されている。すなわち、搬送台94aは、第2エリアA2と第4エリアA4との間で往復搬送される。上方視において、搬送台94a(載置台21A、第1ワークW1)の搬送経路は、予備加熱ユニット51の搬送経路と重複している。すなわち、予備加熱ユニット51の搬送経路は、搬送台94a(載置台21A、第1ワークW1)の搬送経路の下方に配置されている。
【0073】
第2台搬送装置95は、第5エリアA5と第7エリアA7との間で第2ワークW2を往復搬送する。第2台搬送装置95は、搬送台95a、駆動機構(不図示。以下同じ。)および一対のレール部材R9,R10を備える。
【0074】
搬送台95aは、後述される載置台21Bと共に第2ワークW2を搬送する。搬送台95aの構成は搬送台94aの構成と共通するため、その詳細な説明は省略される。搬送台95aは、中央孔94bと同一形状の中央孔95bを備える。上方視において、中央孔95bの形状は本体部70aと相似形であり、中央孔95bはローラ72dが取り付けられているテーブル70よりも大きい。
【0075】
駆動機構は、搬送台95aをY軸方向に往復搬送するための動力を生成して、搬送台95aに伝達する。駆動機構は、例えば、公知のモータおよびボールねじを備える。
【0076】
レール部材R9,R10は、Y軸方向に沿うように、第5エリアA5、第6エリアA6、および第7エリアA7に配置されている。上下方向において、レール部材R9,R10は、レール部材R3,R4よりも上方に配置されている。レール部材R9,R10は、筐体2に支持されている。搬送台95aは、Y軸方向に往復移動可能に、レール部材R9,R10の上に載置されている。すなわち、搬送台95aは、第5エリアA5と第7エリアA7との間で往復搬送される。上方視において、搬送台95a(載置台21B、第2ワークW2)の搬送経路は、予備加熱ユニット71の搬送経路と重複している。すなわち、予備加熱ユニット71の搬送経路は、搬送台95a(載置台21B、第2ワークW2)の搬送経路の下方に配置されている。
【0077】
以下の説明において、
図3~
図5は、適宜参照される。
チャンバ搬送装置96は、第4エリアA4または第7エリアA7と、第8エリアA8と、の間で2つのチャンバユニット20を同時に往復搬送する。チャンバ搬送装置96は、2つの連結部材96a,96b、複数の固定部材96c、駆動機構(不図示。以下同じ。)、ベース部材96d、および一対のレール部材R11,R12を備える。
【0078】
連結部材96a,96bの形状は、例えば、角柱状である。固定部材96cは、例えば、L字状の固定具である。連結部材96a,96bは、後述される2つの上側ユニット22(チャンバユニット20)がX軸方向に並ぶように、複数の固定部材96cにより後述されるベース部材23(チャンバユニット20)それぞれの上面に固定されている。連結部材96a,96bの下面は、例えば、レール部材R11,R12と摺動可能に噛み合うように(例えば、凹凸形状)構成されている。連結部材96a,96bは、レール部材R11,R12に対してX軸方向に摺動可能である。連結部材96a,96bは、例えば、骨組み(不図示)を介して、ベース部材96dに支持されている。
【0079】
駆動機構は、2つのチャンバユニット20をX軸方向に往復搬送するための動力を生成して、2つのチャンバユニット20に伝達する。駆動機構は、例えば、重量物である2つのチャンバユニット20を同時に搬送可能な動力を生成可能なモータ、およびモータの動力を伝達可能な動力伝達機構(例えば、ギア、スプロケット、チェーンなど)を備える。
【0080】
ベース部材96dは、連結部材96a,96bを支持する。ベース部材96dの形状は、例えば、上方視においてXY軸方向に沿う矩形状であり、直方体状である。ベース部材96dは、第8エリアA8における熱ユニット81の上方、すなわち、第8エリアA8における上部空間に配置されている。ベース部材96dは、例えば、筐体2に取り付けられている。後述のとおり、ベース部材96dには加圧処理において所定の加圧力を受けるため、ベース部材96dは同加圧力に耐え得る強度を有するように設計されている。ベース部材96dは、加圧処理において、上側ユニット22の一部と共に上加圧ユニット8Uを構成している。ベース部材96dの下面の中央部は、下方へ向けて直方体状に突出していて、受部96eを構成している。受部96eは、加圧処理時にチャンバユニット20が当接されて、チャンバユニット20を介して所定の加圧力を受ける。受部96eの下面96fは、水平方向に平行な平面状である。
【0081】
雰囲気調整装置10は、後述される収容室20Rの雰囲気を調整する。雰囲気調整装置10は、真空ポンプP、減圧系配管Lp、ガス系配管Lg、2つの弁V1,V2、および2つの接続配管Lc1,Lc2を備える。雰囲気調整装置10は、収容室20Rの雰囲気を減圧雰囲気(真空雰囲気)または不活性ガス雰囲気へと調整可能に構成されている。
【0082】
真空ポンプPは、収容室20R内の雰囲気を減圧雰囲気(真空雰囲気)に調整する。真空ポンプPは、公知の真空ポンプである。真空ポンプPは、減圧系配管Lp、2つの弁V1,V2を介して、後述される貫通孔27cに接続されている。
【0083】
減圧系配管Lpは、真空ポンプPに接続されている配管である。ガス系配管Lgは、不活性ガス(例えば、窒素ガス)の供給配管(不図示。以下同じ。)に接続されている配管である。減圧系配管Lpおよびガス系配管Lgは2つの枝管に分岐していて、各枝管は対応する弁V1,V2を介して対応する接続配管Lc1,Lc2に接続されている。弁V1,V2は、接続配管Lc1,Lc2に対する減圧系配管Lpおよびガス系配管Lgの接続を切り替える公知の電磁弁である。接続配管Lc1は弁V1と対応する貫通孔27cAとに接続される配管であり、接続配管Lc2は弁V2と対応する貫通孔27cBとに接続される配管である。
【0084】
●チャンバユニットの構成
図8は、チャンバユニット20の模式断面図である。
以下の説明において、
図4は、適宜参照される。
【0085】
チャンバユニット20は、ワークWを収容して、第4エリアA4または第7エリアA7と第8エリアA8との間を往復搬送される。チャンバユニット20は、載置台21、上側ユニット22、および収容室20Rを備える。
【0086】
載置台21は、ワークWを搬送すると共に、収容室20Rを区画する。後述のとおり、載置台21は、ワークWの搬送プレートとして機能すると共に、ワークWが加圧されるとき下加圧ユニット8Dとして機能する。載置台21は、例えば、高い熱伝導性を有する金属(例えば、銅合金)製である。載置台21の形状は、上方視においてXY軸方向に沿う矩形状であり、板状である。載置台21は、後述される本システム1の動作において加えられる力に耐えられる程度の強度を有すると共に、ワークWの加熱/冷却時の載置台21の熱容量が比較的小さくなるような厚みを有する。載置台21の上面21aおよび下面21bの形状は、水平方向に平行な平面状である。載置台21は、上側ユニット22(サイド部材27)に対して着脱可能に構成されている。
【0087】
上側ユニット22は、ワークWを上方から覆う。上側ユニット22は、ベース部材23、上型24、枠部材25、加圧パッド26、サイド部材27、第1ばね部材28、第2ばね部材29、および2つのシール部材30,31を備える。後述のとおり、ベース部材23、上型24、および加圧パッド26は、ワークWが加圧されるとき上加圧ユニット8Uとして機能する。
【0088】
ベース部材23は、上型24、第1ばね部材28、および第2ばね部材29を支持する。ベース部材23は、例えば、高い剛性を有する金属(例えば、ステンレス鋼)製である。ベース部材23の形状は、上方視においてXY軸方向に沿う矩形状であり、上下方向に扁平な直方体状である。ベース部材23の下面23aおよび上面24bは、水平方向に平行な平面状である。
【0089】
上型24は、加圧パッド26を介して、上方からワークWを加圧する。上型24は、例えば、高い剛性を有する金属(例えば、ステンレス鋼)製である。上型24は、ベース部材23の下方に配置されていて、ベース部材23の下面23aに取り付けられている。上型24の形状は、下方視においてベース部材23よりも小さくXY軸方向に沿う矩形状であり、直方体状である。上型24の下面24aは、水平方向に平行な平面状である。
【0090】
なお、本発明において、上型24は、ベース部材23と一体に成型されていてもよい。
【0091】
枠部材25は、加圧パッド26を保持する。枠部材25は、例えば、高い剛性を有する金属(例えば、ステンレス鋼)製である。下方視において、枠部材25の形状は、XY軸方向に沿う矩形状であり、枠状である。すなわち、下方視において、枠部材25の中央には、矩形状の内部空間が形成されている。水平方向において、枠部材25は、上型24を囲むように配置されている。すなわち、内部空間には、上型24が配置されている。上下方向において、枠部材25の下端部25aは、上型24の下面24aよりも下方に位置している。枠部材25は、第1ばね部材28を介して、上型24に対して上下方向に相対移動可能に、ベース部材23に支持されている。枠部材25は、枠部材25の外周面25bを一周するように形成されている溝部25cを備える。
【0092】
加圧パッド26は、ワークWが加圧されるとき、ワークWの表面の形状に追従するように変形して、ワークWを均等に加圧すると共に、収容室20Rを区画する。加圧パッド26は、枠部材25の下端部25aに保持されていて、上型24の下方に配置されている。加圧パッド26は、柔軟層26aおよび断熱層26bを備える。
【0093】
柔軟層26aは、ワークWが加圧されるとき、上型24からの圧力をワークWへ均等に伝達する。柔軟層26aは、例えば、公知の高い流動性および低い反発弾性率を有する弾性体材料製である。柔軟層26aは、例えば、柔軟層26aの上下に配置されている2枚の膜部材(不図示。以下同じ。)の間に充填されている。膜部材の外縁部が全周に亘って枠部材25の下端部25aに保持されることにより、水平方向において、柔軟層26aは、枠部材25の下端部25aに囲まれている。
【0094】
断熱層26bは、ワークWが加圧されるとき、上型24からの圧力をワークWへ均等に伝達すると共に、熱ユニット81からの熱の柔軟層26aへの伝達を抑制する。断熱層26bは、例えば、公知の高い柔軟性および低い熱伝導性を有する繊維素材製である。断熱層26bは、柔軟層26aの下方に、柔軟層26aに隣接して配置されている。断熱層26bは、例えば、断熱層26bの上下に配置されている2枚の膜部材(不図示。以下同じ。)の間に充填されている。膜部材の外縁部が全周に亘って枠部材25の下端部25aに保持されることにより、水平方向において、断熱層26bは、枠部材25の下端部25aに囲まれている。
【0095】
なお、本発明において、後述される本加熱の温度が柔軟層26aの耐熱温度よりも低いとき、加圧パッド26は、断熱層26bを備えていなくてもよい。
【0096】
サイド部材27は、収容室20Rを区画する。サイド部材27は、例えば、高い剛性を有する金属(例えば、ステンレス鋼)製である。下方視において、サイド部材27の形状は、XY軸方向に沿う矩形状であり、枠状である。すなわち、下方視において、サイド部材27の中央には、矩形状の内部空間が形成されている。水平方向において、サイド部材27は、枠部材25を囲むように配置されている。すなわち、内部空間には、枠部材25(上型24、加圧パッド26)が配置されている。サイド部材27は、第2ばね部材29を介して、上型24および枠部材25に対して上下方向に相対移動可能に、ベース部材23に支持されている。サイド部材27は、サイド部材27の下面27aに形成されている溝部27b、および、サイド部材27の内面および外面に開口している貫通孔27cを備える。
【0097】
第1ばね部材28は、枠部材25を上型24に対して上下方向に相対移動可能に支持する。第1ばね部材28は、ベース部材23と枠部材25との間に配置されていて、ベース部材23の下面23aおよび枠部材25の上面25dに取り付けられている。
【0098】
第2ばね部材29は、サイド部材27を上型24および枠部材25に対して上下方向に相対移動可能に支持する。第2ばね部材29は、ベース部材23とサイド部材27との間に配置されていて、ベース部材23の下面23aおよびサイド部材27の上面27dに取り付けられている。
【0099】
シール部材30,31は、枠部材25とサイド部材27との間、および載置台21とサイド部材27との間を気密に封止する。シール部材30,31は、例えば、公知のO-リングである。シール部材30は溝部25cに配置されていて、枠部材25とサイド部材27とに当接している。シール部材31は溝部27bに配置されていて、載置台21とサイド部材27とに当接している。
【0100】
収容室20Rは、チャンバユニット20内に形成されている、ワークWが収容される空間である。収容室20Rは、載置台21、枠部材25、加圧パッド26、サイド部材27、およびシール部材30,31により区画される密閉空間である。収容室20Rは、貫通孔27cを介して、接続配管Lc1または接続配管Lc2に連通している。載置台21は収容室20Rを区画する床部材として機能していて、加圧パッド26は収容室20Rを区画する天井部材として機能していて、サイド部材27は収容室20Rを区画する周壁部材として機能している。加圧パッド26は本発明における天井部材の一例であり、サイド部材27は本発明における周壁部材の一例である。
【0101】
●加圧システムの動作
次に、本システム1の動作が、以下に説明される。以下の説明において、
図1~
図8は、適宜参照される。
【0102】
ここで、前提として、チャンバユニット20Aを構成する上側ユニット22Aは第4エリアA4に位置していて、チャンバユニット20Aを構成する載置台21Aは第2エリアA2に位置している搬送台94aの上に載置されている。チャンバユニット20Bを構成する上側ユニット22Bは第8エリアA8に位置していて、チャンバユニット20Bを構成する載置台21Bは第5エリアA5に位置している搬送台95aの上に載置されている。
【0103】
図9は、本システム1の動作を説明する模式断面図である。
同図は、
図3のDD線における本システム1の断面を示している。
【0104】
先ず、制御装置3は、ワーク搬入装置91の動作を制御して、第1エリアA1に待機しているワークWを第1ワークW1として第2エリアA2に位置している載置台21Aの上に搬入する(第1ワーク搬入処理)。具体的には、ワーク搬入装置91は第1エリアA1に移動して、昇降装置91bが保持部材91cをワークWに向けて降下させる。次いで、保持部材91cはワークWを保持して、昇降装置91bが保持部材91cを上昇させる。次いで、ワーク搬入装置91は第2エリアA2に移動して、昇降装置91bが保持部材91cを載置台21Aに向けて降下させる。次いで、保持部材91cがワークWの保持を解除する。このとき、ワークWの角部が載置台21Aの上に載置されることにより、ワークW(第1ワークW1)は載置台21Aの上に載置されている。次いで、昇降装置91bは、保持部材91cを上昇させる。
【0105】
図10は、本システム1の次の動作を説明する模式断面図である。
同図は、
図3のBB線における本システム1の断面を示している。
【0106】
次いで、制御装置3は、第1台搬送装置94の動作を制御して、載置台21Aが載置されている搬送台94aを第4エリアA4に搬送する。すなわち、第1ワークW1は、第4エリアA4に搬送される。また、制御装置3は、熱ユニット搬送装置52の動作を制御して、テーブル50および予備加熱ユニット51を第4エリアA4に搬送する。このとき、テーブル50および予備加熱ユニット51は冷却ユニット41の上方に配置されていて、載置台21A、第1ワークW1および搬送台94aは予備加熱ユニット51の上方に配置されている。すなわち、テーブル50および予備加熱ユニット51は、冷却ユニット41と載置台21Aとの間に搬送されている。また、上側ユニット22Aは、載置台21Aおよび第1ワークW1の上方に配置されている。
【0107】
図11は、
図10の第4エリアA4の模式平面図である。
同図では、説明の便宜上、搬送台94aが着色されて示されていて、載置台21Aが半透明で示されていて、テーブル40および冷却ユニット41の外縁が二点鎖線で示されていて、レール部材R1,R2が破線で示されている。
【0108】
図11に示されているように、上方視において、載置台21A、テーブル40、冷却ユニット41、本体部50a、予備加熱ユニット51、および搬送台94aそれぞれの中心の位置は略同じ位置になるように配置されている。上方視において、テーブル40、冷却ユニット41、本体部50a、取付部50b、予備加熱ユニット51、およびローラ52dは、中央孔94bの中に配置されている。上方視において、テーブル40および冷却ユニット41は、レール部材R1,R2の間に配置されている。
【0109】
上方視において、テーブル40、冷却ユニット41、本体部50a、および中央孔94bそれぞれの形状は、相似形である。中央孔94bは、本体部50a、冷却ユニット41、およびテーブル40よりも大きい。本体部50aは、冷却ユニット41およびテーブル40よりも大きい。
【0110】
図12は、本システム1の次の動作を説明する模式断面図である。
同図は、
図3のAA線における本システム1の断面を示している。
【0111】
次いで、制御装置3は、昇降装置42の動作を制御して、テーブル40、冷却ユニット41、テーブル50、予備加熱ユニット51、載置台21A、および第1ワークW1を上昇させる。具体的には、昇降装置42は、冷却ユニット41(上面41c)がテーブル50(下面50c)に当接するまで、テーブル40および冷却ユニット41を上昇させる。このとき、冷却ユニット41は、レール部材R1,R2の間に通される。次いで、昇降装置42は、予備加熱ユニット51(上面51c)が載置台21A(下面21bA)に当接するまで、テーブル40および冷却ユニット41と共に、テーブル50および予備加熱ユニット51を上昇させる。このとき、ローラ52dはレール部材R1,R2から離れて、昇降部材52c(
図5参照)はテーブル50の上昇に伴い上昇して、テーブル40はレール部材R1,R2の間に通されて、予備加熱ユニット51は中央孔94b内に通される。次いで、昇降装置42は、載置台21Aが上側ユニット22A(シール部材31A)に密着するまで、テーブル40、冷却ユニット41、および予備加熱ユニット51と共に、載置台21Aを上昇させる。このとき、載置台21Aと上側ユニット22Aとの間には収容室20RAが形成されていて、第1ワークW1は収容室20RAに収容されている。
【0112】
なお、テーブル50は、上昇中、冷却ユニット41の上に載置されている状態である。そのため、冷却ユニット41に対するテーブル50の位置は、僅かな傾斜や振動により、変動し得る。そのため、本発明において、冷却ユニット41の上面41cおよびテーブル50の下面50cには、相互に嵌め合わされる凹凸部が形成されていてもよい(好ましくは、後述される冷却処理のため、凹部は上面41cに形成される)。
【0113】
図13は、本システム1の次の動作を説明する模式断面図である。
同図は、
図3のAA線における本システム1の断面を示している。
【0114】
次いで、雰囲気調整装置10は、真空ポンプPおよび弁V1を動作させて、収容室20RA内の雰囲気を不活性ガスで置換した後に、収容室20RAの雰囲気を減圧雰囲気にする。このとき、真空圧(収容室20RAとチャンバユニット20Aの外部空間との圧力差)により、載置台21Aがサイド部材27Aに密着して(取り付けられて)、第2ばね部材29Aが収縮して載置台21Aおよびサイド部材27Aが上昇する。すなわち、上下方向において、枠部材25Aおよび加圧パッド26Aは、載置台21A(第1ワークW1)に接近する。換言すれば、枠部材25Aおよび加圧パッド26Aは、載置台21Aに対して相対的に下降する。そして、最終的に、加圧パッド26Aが第1ワークW1に接触して、第1ワークW1は真空圧に応じた加圧力により予備加圧される。また、枠部材25Aは、載置台21Aに当接している。予備加圧により、加圧パッド26Aは第1ワークW1の表面の形状に応じて変形して、第1ワークW1は載置台21Aおよび加圧パッド26Aに保持される。ここで、予備加圧において第1ワークW1に加えられる加圧力は、加圧処理において第1ワークW1に加えられる加圧力よりも十分に小さい。このように、第4エリアA4において、載置台21Aが上側ユニット22A(サイド部材27A)に取り付けられることにより、チャンバユニット20Aが組み立てられて、第1ワークW1がチャンバユニット20Aに収容される(収容処理)。チャンバユニット20Aが組み立てられたとき、載置台21Aは第1ワークW1の下方に配置されていて、加圧パッド26Aは第1ワークW1の上方に配置されていて、水平方向においてサイド部材27Aは第1ワークW1の全周を取り囲むように配置されている。次いで、昇降装置42は、予備加熱ユニット51が載置台21Aに当接するように、テーブル40、冷却ユニット41、テーブル50、および予備加熱ユニット51を上昇させる。
【0115】
次いで、制御装置3は予備加熱ユニット51の動作を制御して、第1ワークW1に予備加熱処理を実行する。具体的には、昇降装置42は、予備加熱ユニット51が載置台21Aに当接している状態を所定時間維持する。ここで、予備加熱ユニット51は、予め既定の予備加熱温度まで加熱されている。そのため、予備加熱ユニット51からの熱は、載置台21Aを介して、第1ワークW1に伝達される。
【0116】
「予備加熱処理」は、加圧処理の前に予めワークWを所定の予備加熱温度まで加熱する処理である。予備加熱処理は、加圧処理におけるワークWの加熱時間を短縮するために、加圧処理の前に実行される前処理である。予備加熱温度は、後述される本加熱温度(例えば、約300℃)よりも低い温度(例えば、約200℃)である。
【0117】
図14は、本システム1の次の動作を説明する模式断面図である。
同図は、
図3のAA線における本システム1の断面を示している。
【0118】
次いで、所定時間の経過後、制御装置3は、昇降装置42の動作を制御して、テーブル40、冷却ユニット41、テーブル50、および予備加熱ユニット51を下降させる。このとき、昇降部材52c(
図5参照)はテーブル50の下降に伴い下降して、ローラ52dがレール部材R1,R2に当接して、テーブル50はローラ52dを介してレール部材R1,R2の上に載置される。
【0119】
次いで、制御装置3は、チャンバ搬送装置96の動作を制御して、チャンバユニット20Aを第4エリアA4から第8エリアA8に搬送すると同時に、上側ユニット22Bを第8エリアA8から第7エリアA7に搬送する。その結果、チャンバユニット20Aは第8エリアA8に位置していて、上側ユニット22Bは第7エリアA7に位置している。
【0120】
次いで、制御装置3は、加圧装置8の動作を制御して、第1ワークW1に加圧処理を実行する。
【0121】
具体的には、昇降装置82は、熱ユニット81(上面81c)がチャンバユニット20A(載置台21Aの下面21bA)に当接するまで、下ベース部材80および熱ユニット81を上昇させる。ついで、昇降装置82は、第1ワークW1に所定の加圧力(以下「本加圧力」という。)が加えられるまで、下ベース部材80および熱ユニット81を上昇させる。このとき、載置台21Aは枠部材25Aおよびサイド部材27Aと共に上昇して、上型24Aが枠部材25Aおよびサイド部材27Aに対して相対的に下降する。そのため、上型24Aは、加圧パッド26Aを下方へ向けて押圧して、加圧パッド26Aは第1ワークW1の表面の形状に追従するように変形して、第1ワークW1を均等に加圧する。その結果、第1ワークW1は下方から載置台21Aに押圧されて、上方から加圧パッド26A(上型24A)に押圧される。
【0122】
第1ワークW1が加圧されるとき、チャンバユニット20Aは、昇降装置82によりレール部材R11,R12から僅かに持ち上げられて、ベース部材96dの受部96eに当接する。すなわち、ベース部材96dはチャンバユニット20Aの上方への移動を規制して、チャンバユニット20Aは熱ユニット81およびベース部材96dにより挟圧される。このとき、ベース部材96dおよび下ベース部材80は、昇降装置82による本加圧力を受ける、いわゆるボルスタとして機能している。その結果、第1ワークW1には本加圧力が加えられると共に、第1ワークW1に加えられる本加圧力は安定する。このように、ベース部材23A単独では無く、2つのベース部材23A,96dが加圧処理における本加圧力を受けることにより、ベース部材23Aの厚みは、ベース部材23A単独で本加圧力を受ける場合と比較して薄くなるように設計できる。そのため、チャンバユニット20A(上側ユニット22A)の重量は軽くでき、これらの搬送に必要な動力は抑えられる。また、レール部材R11,R12に本加圧力が加えられないため、レール部材R11,R12には本加圧力に基づく負荷は加えられない。
【0123】
このように、加圧処理において、チャンバユニット20Aのうち、ベース部材23A、上型24A、および加圧パッド26Aは、ベース部材96dと共に第1ワークW1を上方から加圧する上加圧ユニット8Uとして機能している。また、チャンバユニット20Aのうち、載置台21Aは、下ベース部材80および熱ユニット81と共に第1ワークW1を下方から加圧する下加圧ユニット8Dとして機能している。
【0124】
図15は、本システム1の次の動作を説明する模式断面図である。
同図は、
図3のAA線における本システム1の断面を示している。
【0125】
次いで、昇降装置82は、第1ワークW1に本加圧力が加えられている状態を所定時間維持する。ここで、熱ユニット81の上半部は、予め既定の加熱温度(以下「本加圧温度」という。例えば、約300℃)まで加熱されている。そのため、熱ユニット81からの熱は、載置台21Aを介して、第1ワークW1に伝達される。このとき、熱ユニット81からの熱は、枠部材25Aおよび第1ワークW1を介して、加圧パッド26Aにも伝達される。前述のとおり、柔軟層26aAの下方には断熱層26bAが配置されているため、熱ユニット81からの熱は断熱層26bAにより柔軟層26aAへは伝達され難い。すなわち、柔軟層26aAは、断熱層26bAにより、熱的に保護されている。
【0126】
第1ワークW1への加圧処理が実行されているとき、制御装置3は、熱ユニット搬送装置52(
図5参照)の動作を制御して、テーブル50および予備加熱ユニット51を第3エリアA3に搬送する。
【0127】
なお、本発明において、テーブル50および予備加熱ユニット51の第3エリアA3への搬送は、チャンバユニット20Aの第8エリアA8への搬送と同時に実行されていてもよい。
【0128】
第1ワークW1への加圧処理が実行されているとき、制御装置3は、ワーク搬入装置91の動作を制御して、第1エリアA1に待機しているワークWを第2ワークW2として第5エリアA5に位置している載置台21Bの上に搬入する(第2ワーク搬入処理)。次いで、制御装置3は、第2台搬送装置95および熱ユニット搬送装置72の動作を制御して、第2ワークW2、載置台21B、搬送台95a、テーブル70、および予備加熱ユニット71を第7エリアA7に搬送する。次いで、制御装置3は、昇降装置62、および雰囲気調整装置10の動作を制御して、前述した第1ワークW1の収容処理と同様に、チャンバユニット20Bを組み立てて、第2ワークW2を収容室20RBに収容させる(収容処理)。このとき、チャンバユニット20Bは、第7エリアA7に位置している。
【0129】
図16は、本システム1の次の動作を説明する模式断面図である。
同図は、
図3のAA線における本システム1の断面を示している。
【0130】
次いで、所定時間の経過後、制御装置3は、昇降装置82の動作を制御して、下ベース部材80および熱ユニット81を下降させる。また、制御装置3は、昇降装置62の動作を制御して、テーブル60、冷却ユニット61、テーブル70、および予備加熱ユニット71を下降させる。このとき、昇降部材72c(
図6参照)はテーブル70の下降に伴い下降して、ローラ72dがレール部材R3,R4に当接して、テーブル70はローラ72dを介してレール部材R3,R4の上に載置される。
【0131】
次いで、制御装置3は、チャンバ搬送装置96の動作を制御して、チャンバユニット20Aを第8エリアA8から第4エリアA4に搬送すると同時に、チャンバユニット20Bを第7エリアA7から第8エリアA8に搬送する。その結果、チャンバユニット20Aは第4エリアA4に位置していて、チャンバユニット20Bは第8エリアA8に位置している。
【0132】
次いで、制御装置3は、第1冷却装置4の動作を制御して第1ワークW1に冷却処理を実行すると共に、加圧装置8の動作を制御して第2ワークW2に加圧処理を実行する。ここで、第2ワークW2の加圧処理は第1ワークW1の加圧処理と共通するため、その詳細な説明は省略される。
【0133】
「冷却処理」は、加圧処理後のワークWを所定の温度(例えば、約100℃)まで冷却する処理である。冷却処理は、加圧処理後におけるワークWを冷却するために加熱処理の後に実行される加圧処理の後処理である。
【0134】
具体的には、昇降装置42は、冷却ユニット41(上面41c)がチャンバユニット20A(載置台21Aの下面21bA)に当接するまで、テーブル40および冷却ユニット41を上昇させる。このとき、テーブル40および冷却ユニット41は、レール部材R1,R2,R7,R8の間、および中央孔94bに通される。次いで、昇降装置42は、冷却ユニット41が載置台21Aに当接している状態を所定時間維持する。ここで、冷却ユニット41は、予め既定の一次冷却温度(例えば、約20℃)まで冷却されている。そのため、第1ワークW1は、載置台21Aを介して、冷却ユニット41により所定の温度(例えば、約100℃)前後まで冷却される。
【0135】
図17は、本システム1の次の動作を説明する模式断面図である。
同図は、
図3のAA線における本システム1の断面を示している。
【0136】
ここで、加圧処理において、チャンバユニット20Bのうち、ベース部材23B、上型24B、および加圧パッド26Bは、ベース部材96dと共に第2ワークW2を上方から加圧する上加圧ユニット8Uとして機能している。また、チャンバユニット20Bのうち、載置台21Bは、下ベース部材80および熱ユニット81と共に第2ワークW2を下方から加圧する下加圧ユニット8Dとして機能している。
【0137】
次いで、所定時間の経過後、昇降装置42は、テーブル40を降下させて、冷却処理を終了させる。次いで、制御装置3は、雰囲気調整装置10および昇降装置42の動作を制御して、第1ワークW1をチャンバユニット20Aから取り出す。具体的には、雰囲気調整装置10は、真空ポンプPおよび弁V1を動作させて、収容室20RAの雰囲気を不活性ガスでパージして、収容室20RAの雰囲気を不活性ガス雰囲気(大気圧)にする。このとき、真空圧が無くなり、第2ばね部材29Aが伸長して載置台21Aおよびサイド部材27Aが下降する。すなわち、上下方向において、枠部材25Aおよび加圧パッド26Aは、載置台21Aから遠ざかる。換言すれば、枠部材25Aおよび加圧パッド26Aは、載置台21Aに対して相対的に上昇する。そして、載置台21Aが上側ユニット22Aから取り外し可能となる。次いで、昇降装置42は、テーブル40、冷却ユニット41、載置台21A、および第1ワークW1を降下させて、載置台21Aを上側ユニット22Aから取り外すと共に、第1ワークW1をチャンバユニット20Aから取り出す(取出処理)。このように、第4エリアA4において、載置台21Aが上側ユニット22Aから取り外されることにより、チャンバユニット20Aの組み立てが解除されて、第1ワークW1がチャンバユニット20Aから取り出される(取出処理)。加圧処理後の第1ワークW1が載置されている載置台21Aは、搬送台94aの上に載置される。
【0138】
なお、本発明において、収容室20Rのパージは、エアを用いて行われていてもよい。
【0139】
図18は、本システム1の次の動作を説明する模式断面図である。
同図は、
図3のBB線における本システム1の断面を示している。
【0140】
次いで、制御装置3は、第1台搬送装置94の動作を制御して、載置台21Aが載置されている搬送台94aを第2エリアA2に搬送する。すなわち、加圧処理後の第1ワークW1は、第2エリアA2に搬送される。
【0141】
以下の説明において、
図2、
図3、
図7、および
図9~
図18も適宜参照される。
次いで、制御装置3は、ワーク搬出装置92の動作を制御して、第1エリアA1に搬送された第1ワークW1を第9エリアA9に搬出する(第1ワーク搬出処理)。具体的には、ワーク搬出装置92は第1エリアA1に移動して、昇降装置92bが保持部材92cを第1ワークW1に向けて降下させる。次いで、保持部材92cは第1ワークW1を保持して、昇降装置92bが保持部材92cを上昇させる。
【0142】
次いで、ワーク搬出装置92は第9エリアA9に移動して、昇降装置92bが保持部材92cをベルトコンベアa91に降下させる。次いで、保持部材92cが第1ワークW1の吸着を解除する。このとき、第1ワークW1は、ベルトコンベアa91の上に載置されている。次いで、昇降装置92bは、保持部材92cを上昇させる。
【0143】
次いで、制御装置3は、ワーク搬入装置91、第1台搬送装置94、および熱ユニット搬送装置52の動作を制御して、次の第1ワークW1、載置台21A、搬送台94a、テーブル50、および予備加熱ユニット51を第4エリアA4に搬送する。次いで、制御装置3は、昇降装置42、および雰囲気調整装置10の動作を制御して、チャンバユニット20Aを組み立てて、次の第1ワークW1を収容室20RAに収容する。ここで、第2ワークW2の加圧処理が既に終了しているとき、下ベース部材80および熱ユニット81は下降していて、チャンバユニット20Bは第8エリアA8に位置している。
【0144】
次いで、制御装置3は、昇降装置42、加圧装置8、およびチャンバ搬送装置96の動作を制御して次の第1ワークW1に加圧処理を実行すると共に、第2冷却装置6、第2台搬送装置95、およびワーク搬出装置92の動作を制御して加圧処理後の第2ワークW2を第9エリアA9に搬出する(冷却処理、取出処理、第2ワーク搬出処理)。次いで、第2ワークW2が搬入されて、以降は、前述された第1ワークW1への各処理(冷却処理、取出処理、第1ワーク搬出処理、第1ワーク搬入処理、収容処理、予備加熱処理、加圧処理、・・・)および第2ワークW2への各処理(収容処理、予備加熱処理、加圧処理、冷却処理、取出処理、第2ワーク搬出処理、・・・)が繰り返される。
【0145】
図19は、ワーク搬送装置90の動作を説明する模式平面図である。
同図は、説明の便宜上、ベルトコンベアa11,a91、載置台21A,21B、ワーク搬入装置91、ワーク搬出装置92、第1ワークW1、および第2ワークW2の輪郭のみを示していて、レール部材R5,R6を一点鎖線で示している。同図の矢印は、載置台21A,21B、ワーク搬入装置91、ワーク搬出装置92の移動を示している。
【0146】
第1ワークW1が載置台21Aに搬入されるとき、ワーク搬入装置91は、第1エリアA1から第2エリアA2に移動する。このとき、ワーク搬出装置92は、第9エリアA9に位置している。次いで、ワーク搬入装置91は、第2エリアA2から第1エリアA1に移動する。
【0147】
次いで、第2ワークW2が載置台21Bに搬入されるとき、ワーク搬入装置91は、第1エリアA1から第5エリアA5に移動する。次いで、ワーク搬入装置91は、第5エリアA5から第1エリアA1に移動する。
【0148】
次いで、加圧処理後の第1ワークW1が第2エリアA2に搬送されたとき、ワーク搬出装置92は、第9エリアA9から第2エリアA2に移動する。このとき、ワーク搬入装置91は第1エリアA1に位置している。次いで、ワーク搬出装置92は、第2エリアA2から第9エリアA9に移動する。このとき、ワーク搬入装置91は、第1エリアA1から第2エリアA2に移動して、第1エリアA1に戻る。
【0149】
次いで、加圧処理後の第2ワークW2が第5エリアA5に搬送されたとき、ワーク搬出装置92は、第9エリアA9から第5エリアA5に移動する。このとき、ワーク搬入装置91は第1エリアA1に位置している。次いで、ワーク搬出装置92は、第5エリアA5から第9エリアA9に移動する。このとき、ワーク搬入装置91は、第1エリアA1から第5エリアA5に移動して、第1エリアA1に戻る。
【0150】
このように、ワークWの搬入および搬出において、ワーク搬入装置91は第1エリアA1と第2エリアA2との間および第1エリアと第5エリアA5との間を移動して、ワーク搬出装置92は第9エリアA9と第2エリアA2との間および第9エリアA9と第5エリアA5との間を移動する。ワーク搬入装置91およびワーク搬出装置92は、相互に干渉しないように連動することにより、一対のレール部材R5,R6に案内されて、X軸方向に往復移動をしている。
【0151】
以上説明された動作において、本システム1は、ワークWの搬入処理、収容処理、予備加熱処理、加圧処理、冷却処理、取出処理、およびワークWの搬出処理を第1ワークW1の第1系統および第2ワークW2の第2系統の2系統で交互に実行して、一方のワークWの加圧処理と並行して他方のワークWの関連処理を実行する。その結果、本システム1では、あるワークW(例えば、第1ワークW1)に対する加圧処理と、その次のワークW(例えば、第2ワークW2)に対する加圧処理と、の間に必要な時間は、1系統でワークの加圧処理を実行する従来の加圧装置における同時間よりも大幅に短縮される。また、本システム1では、加圧処理と並行して、加圧処理の前処理および後処理(関連処理)も実行できる。
【0152】
また、本システム1では、加圧処理の前処理として予備加熱処理が実行されている。そのため、本システム1における加圧処理は、予備加熱処理が実行できない従来の加圧装置における加圧処理よりも短時間で実行可能である。そして、本システム1では、加圧処理と冷却処理とが分離されている。そのため、本システム1における加圧処理は、加圧処理と冷却処理とが分離できない従来の加圧装置における加圧処理よりも短時間で実行可能である。このように、本システム1では、関連処理として収容処理、予備加熱処理、冷却処理、および取出処理が第4エリアA4および第7エリアA7で交互に実行可能である。そのため、本システム1においてワークWの搬入から搬出までに必要な総時間は、従来の加圧装置に必要な総時間よりも短縮される。すなわち、本システム1では、複数の関連処理を加圧処理と並行して交互に実行することにより、加圧処理間の時間は、関連処理が実行不可能な従来の加圧装置における同時間よりも短縮される。
【0153】
さらに、本システム1では、ワークWの向きは、いずれの処理においても同じである。すなわち、本システム1による処理の前後の処理において、ワークWの向きが同じとなる。
【0154】
さらにまた、本システム1では、ワークWがチャンバユニット20に収容されている間、搬送中も含めて常に、雰囲気調整装置10による収容室20Rの雰囲気の調整が可能である。そのため、収容室20Rの減圧雰囲気は、常に、維持されている。この構成では、ワークWは、予備加熱処理、加圧処理、および冷却処理において、外気に曝されず、酸化しない。
【0155】
さらにまた、本システム1では、上側ユニット22が第4エリアA4に位置しているとき、搬送台94aを第2エリアA2に移動させて、予備加熱ユニット51を第3エリアA3に移動させることにより、第4エリアA4において、上側ユニット22のメンテナンス(特に、部材の交換)が可能な空間が確保できる。第7エリアA7でも同様に同空間が確保できる。そのため、第8エリアA8において、メンテナンス用のスペースが不要となる。したがって、第8エリアA8(筐体2)の高さ方向の小型化が実現可能である。
【0156】
さらにまた、本システム1では、レール部材R1~R4,R7~R10それぞれは、Y軸方向に沿うように、相互に並行に配置されている。レール部材R1,R2はレール部材R7,R8の上方に配置されていて、レール部材R3,R4はレール部材R9,R10の上方に配置されている。すなわち、上方視において、搬送台94a,95a(載置台21)の搬送方向は予備加熱ユニット51,71の搬送方向と同じであり、予備加熱ユニット51,71の搬送経路は搬送台94a,95a(載置台21)の搬送経路の下方に配置されている。また、上方視において、レール部材R11,R12は、X軸方向に沿うように配置されていて、レール部材R1~R4,R7~R10と直交している。すなわち、予備加熱ユニット51,71の搬送方向は、チャンバユニット20の搬送方向と直交している。そして、この直交する領域(第4エリアA4および第7エリアA7)において、複数種の関連処理が実行される。さらに、X軸方向において、予備加熱ユニット51,71の搬送経路それぞれは、互いに対向するような位置に平行に配置されている。この構成では、各エリアを筐体2内にコンパクトに配置されているため、筐体2の床面積の小型化が実現可能である。
【0157】
なお、本発明において、ワークWがワーク搬入装置91に搬入されるときからチャンバユニット20に収容されるまでの間のいずれかのタイミングにおいて、ワークWの上には、貼付防止シート(不図示。以下同じ。)が被せられていてもよい。貼付防止シートは、加熱処理後のワークWの加圧パッド26への貼り付きを防止するシートである。貼付防止シートは、例えば、後述される本加熱の温度に対する耐熱性を有する合成樹脂(例えば、PTFE(polytetrafluoroethylene))製のシートである。
【0158】
●まとめ
以上説明された実施の形態によれば、本システム1は、第8エリアA8、第4エリアA4、第7エリアA7、2つのチャンバユニット20、およびチャンバ搬送装置96を有してなる。第4エリアA4および第7エリアA7は、第8エリアA8に隣接した位置に第8エリアA8を挟み込むように配置されている。チャンバユニット20は、ワークWを収容して、第4エリアA4または第7エリアA7の上部空間と第8エリアA8の上部空間との間を往復搬送される。チャンバ搬送装置96の連結部材96a,96bは、2つのチャンバユニット20に連結されている。チャンバ搬送装置96は、一方のチャンバユニット20Bが第8エリアA8に位置しているとき、他方のチャンバユニット20Aが第4エリアA4に位置するように、かつ、他方のチャンバユニット20Aが第8エリアA8に位置しているとき、一方のチャンバユニット20Bが第7エリアA7に位置するように、チャンバユニット20を往復搬送する。この構成では、第1ワークW1の加圧処理が実行されているとき、第2ワークW2の関連処理(収容処理、予備加圧処理、冷却処理、および取出処理)が実行可能である。すなわち、本システム1は、2つのワークWに対して、加圧処理と関連処理それぞれを、交互かつ同時に実行可能である。その結果、本システム1では、加圧処理間の時間は短縮可能である。
【0159】
また、以上説明された実施の形態によれば、本システム1は、第4エリアA4に配置されている昇降装置42、および第7エリアA7に配置されている昇降装置62を有してなる。チャンバユニット20は、載置台21、加圧パッド26、およびサイド部材27を備える。載置台21は、ワークWの下方に配置されていて、下加圧ユニット8Dとして機能している。加圧パッド26は、ワークWの上方に配置されていて、上加圧ユニット8Uとして機能している。サイド部材27は、水平方向においてワークWの全周を囲むように配置されていて、載置台21および加圧パッド26と共に収容室20Rを区画している。第4エリアA4および第7エリアA7において、昇降装置42,62は、ワークWが載置されている載置台21を昇降可能である。昇降装置42,62の上昇に基づいて載置台21がサイド部材27に取り付けられて、収容処理が関連処理として実行される。一方、昇降装置42,62の下降に基づいて載置台21がサイド部材27から取り外されて、取出処理が関連処理として実行される。この構成では、本システム1では、チャンバユニット20(収容室20R)に収容されているワークWに対して加圧処理が実行可能である。さらに、加圧処理が実行される第8エリアA8に上下加圧ユニット8U,8Dとして機能しているチャンバユニット20が据え付けられておらず、第4エリアA4および第7エリアA7に搬送されている。また、第4エリアA4および第7エリアA7において、収容処理および取出処理が関連処理として実行される。そのため、本システム1では、加圧装置8内ではなく、第4エリアA4および第7エリアA7での上側ユニット22のメンテナンスが実行可能となり、上側ユニット22のメンテナンス性が向上する。
【0160】
さらに、以上説明された実施の形態によれば、本システム1は、冷却ユニット41,61を有してなる。冷却ユニット41は、第4エリアA4に配置されていて、第1ワークW1の冷却処理を関連処理として実行する、冷却ユニット61は、第7エリアA7に配置されていて、第2ワークW2の冷却処理を関連処理として実行する。加圧処理後のチャンバユニット20が第4エリアA4または第7エリアA7に位置しているとき、昇降装置42,62は、冷却ユニット41,61を上昇させることにより、冷却ユニット41,61を載置台21に当接させる。この構成では、第4エリアA4および第7エリアA7の上部空間はチャンバユニット20の搬送のみに使用可能となり、上部空間における部材構成は簡素化可能である。また、加圧処理と冷却処理とが並行して同時に実行可能となり、加圧処理間の時間は短縮可能である。
【0161】
さらにまた、以上説明された実施の形態によれば、取出処理は、冷却処理の後に実行される。取出処理において、昇降装置42,62は、載置台21に当接している冷却ユニット41,61を載置台21と共に下降させる。この構成では、冷却処理と取出処理とを連続して、同じエリアで実行可能である。その結果、筐体2の床面積の小型化が実現可能である。
【0162】
さらにまた、以上説明された実施の形態によれば、本システム1は、予備加熱ユニット51,71、および熱ユニット搬送装置52,72を有してなる。予備加熱ユニット51,71は、チャンバユニット20に収容されているワークWを予備加熱する。熱ユニット搬送装置52,72は、第4エリアA4(第7エリアA7)に隣接する第3エリアA3(第6エリアA6)と、第4エリアA4(第7エリアA7)と、の間で予備加熱ユニット51(予備加熱ユニット71)を往復搬送する。予備加熱処理は、収容処理の後に連続して実行される。収容処理において、ワークWが載置されている載置台21は昇降装置42,62の上方に配置されていて、加圧パッド26およびサイド部材27は載置台21の上方に配置されている。熱ユニット搬送装置52,72は、予備加熱ユニット51,71を、冷却ユニット41,61と載置台21との間に搬送する。次いで、昇降装置42,62は、冷却ユニット41,61および予備加熱ユニット51,71と共に載置台21を上昇させる。冷却処理および取出処理において、熱ユニット搬送装置52,72は、予備加熱ユニット51,71を第3エリアA3(第6エリアA6)に搬送する。この構成では、本システム1は、予備加熱ユニット51を第4エリアA4に進退させることにより、第4エリアA4において、予備加熱処理および冷却処理を関連処理として個別に実行可能である。第7エリアA7においても同様に、本システム1は、予備加熱処理および冷却処理を関連処理として個別に実行可能である。また、本システム1は、予備加熱処理を収容処理の直後に連続して実行可能であり、冷却処理を加圧処理の後に連続して実行可能であり、取出処理を冷却処理の直後に連続して実行可能である。その結果、各処理間の切替時間が短縮可能となり、加圧処理間の時間は短縮可能である。
【0163】
さらにまた、以上説明された実施の形態によれば、上方視において、予備加熱ユニット51,71の搬送方向(Y軸方向)は、チャンバユニット20の搬送方向(X軸方向)と直交している。チャンバユニット20の搬送方向において、予備加熱ユニット51,71の搬送方向それぞれは、互いに対向するような位置に平行に配置されている。この構成では、筐体2の床面積の小型化が実現可能である。
【0164】
さらにまた、以上説明された実施の形態によれば、本システム1は、第2エリアA2、第5エリアA5、第1台搬送装置94、および第2台搬送装置95を有してなる。第2エリアA2および第5エリアA5では、ワーク搬入処理およびワーク搬出処理が実行される。第1台搬送装置94は、第2エリアA2と第4エリアA4との間で第1ワークW1が載置された載置台21Aを往復搬送する。第2台搬送装置95は、第5エリアA5と第7エリアA7との間で第2ワークW2が載置された載置台21Bを往復搬送する。上方視において、載置台21A,21Bの搬送方向は予備加熱ユニット51,71の搬送方向と同じであり、予備加熱ユニット51,71の搬送経路は載置台21A,21Bの搬送経路の下方に配置されている。この構成では、共通した床面積内で予備加熱ユニット51,71の搬送経路および載置台21A,21Bの搬送経路それぞれが立体的に配置されるため、筐体2の床面積のさらなる小型化が実現可能である。
【0165】
さらにまた、以上説明された実施の形態によれば、本システム1は、第1エリアA1、第9エリアA9、ワーク搬送装置90を有してなる。第1エリアA1には関連処理および加圧処理前のワークWが配置されていて、関連処理および加圧処理後のワークWが配置されている。第2エリアA2では、第1ワーク搬入処理および第1ワーク搬出処理が実行される。第5エリアA5では、第2ワーク搬入処理および第2ワーク搬出処理が実行される。ワーク搬送装置90は、第1ワーク搬入処理、第1ワーク搬出処理、第2ワーク搬入処理、および第2ワーク搬出処理を実行する。ワーク搬送装置90は、ワーク搬入装置91およびワーク搬出装置92を備える。ワーク搬入装置91は、第1エリアA1と第2エリアA2との間、および第1エリアA1と第5エリアA5との間を移動して、載置台21にワークWを搬入する。ワーク搬出装置92は、第9エリアA9と第2エリアA2との間、および第9エリアA9と第5エリアA5との間を移動して、載置台21からワークWを搬出する。ワーク搬入装置91が第1エリアA1に位置しているとき、ワーク搬出装置92は第2エリアA2または第5エリアA5に位置していて、ワーク搬出装置92が第9エリアA9に位置しているとき、ワーク搬入装置91は第2エリアA2または第5エリアA5に位置している。この構成では、一対のレール部材R5,R6によりワーク搬入装置91およびワーク搬出装置92が案内可能となり、筐体2の床面積の小型化が実現可能である。また、1つのワーク搬入装置91で第1ワークW1および第2ワークW2を搬入して、1つのワーク搬出装置92で第1ワークW1および第2ワークW2を搬出するため、ワーク搬送装置90の部品点数は削減可能である。
【0166】
さらにまた、以上説明された実施の形態によれば、本システム1は、第8エリアA8に配置されていて、加圧処理を実行する加圧装置8を有してなる。加圧装置8は、加圧処理において、チャンバユニット20の下方から上昇することにより載置台21に当接して、載置台21と共に下加圧ユニット8Dとして機能する熱ユニット81を備える。この構成では、第8エリアA8の上部空間はチャンバユニット20の搬送のみに使用可能となり、上部空間における部材構成は簡素化可能となる。また、ワークWに本加圧力を加える機構の大半(特に、昇降装置82)がチャンバユニット20の下方に配置されるため、筐体2の高さ方向の小型化が実現可能である。
【0167】
さらにまた、以上説明された実施の形態によれば、収容室20Rの雰囲気は、収容室20Rの内部圧力がチャンバユニット20の外部空間の外部圧力よりも低い減圧雰囲気である。載置台21は、サイド部材27の下方に配置されていて、圧力差によりサイド部材27に取り付けられている。この構成では、載置台21をサイド部材27に取り付けるための個別の部材は不要となる。すなわち、チャンバユニット20の部品点数は削減可能である。また、各処理において、ワークWは外気に曝されない。
【0168】
●変形例●
次に、本システム1の変形例が、先に説明した実施の形態(以下「第1実施形態」という。)と異なる点を中心に、以下に説明される。本変形例では、チャンバユニットの構成、および収容室の雰囲気が第1実施形態と異なる。以下の変形例において、説明の便宜上、第1実施形態と同じ部材、および、共通する機能を有する部材には、第1実施形態と同じ符号が付されている。以下の変形例において、
図1~
図8は、適宜参照される。
【0169】
図20は、変形例に係るチャンバユニット20Xの模式断面図である。
【0170】
チャンバユニット20Xは、載置台21、上側ユニット22X、および収容室20Rを備える。上側ユニット22Xは、ベース部材23、上型24、枠部材25、加圧パッド26、サイド部材27、第1ばね部材28、第2ばね部材29、2つのシール部材30,31、および複数の固定部材32を備える。
【0171】
固定部材32は、載置台21をサイド部材27(上側ユニット22X)に固定する。固定部材32は、サイド部材27の下部の外周面27fに取り付けられている。固定部材32は、例えば、支持部32a、本体部32b、および公知のラチェット機構(不図示。以下同じ。)を備える。支持部32aは、本体部32bを固定位置と開放位置との間で回転可能に支持している。本体部32bの形状は、例えば、側方視においてL字状である。本体部32bは、例えば、ラチェット機構により、開放位置側へは回転可能であり固定位置側へは回転不可能であり、ラチェット機構が解除されると固定位置へ回転可能である。本体部32bが固定位置に位置しているとき、本体部32bの一部は、載置台21およびサイド部材27の下方に位置していて、載置台21を支持可能である。本体部32bが開放位置に位置しているとき、本体部32bの一部は、サイド部材27の側方に位置していて、載置台21を支持不可能である。
【0172】
チャンバユニット20XにワークWが収容されているとき、収容室20Rの雰囲気は、雰囲気調整装置10により不活性ガス雰囲気に調整されている。すなわち、収容室20Rには、収容室20Rの内部圧力が外部圧力(大気圧)と同じになるように不活性ガスが充填されている。この場合、真空圧が生じていないため、載置台21は、固定位置に回転した固定部材32によりサイド部材27(上側ユニット22X)に固定されている。前述のとおり、収容室20Rの雰囲気は、第4エリアA4、第7エリアA7、および第8エリアA8で維持可能である。そのため、載置台21とシール部材31との間には、僅かに隙間が生じていてもよい。
【0173】
この構成では、収容室20Rの雰囲気は不活性ガス雰囲気であるため、ワークWは、予備加熱処理、加圧処理、および冷却処理において外気に曝されず、酸化しない。また、必要となる不活性ガスの量は、収容室20Rの容積の量(数回の置換が行われる場合、同容積に置換回数を乗算した量)に抑えられる。
【0174】
なお、本変形例において、ワークWが酸化しない(酸化し難い)材質製の場合、収容室20Rには、エアが充填されていてもよい。
【0175】
また、本変形例において、固定部材32の構成は、支持部32a、本体部32b、および公知のラチェット機構に限定されない。すなわち、例えば、固定部材32は、側方視において矩形の「C字」状でもよい。この場合、例えば、サイド部材27の下端部27eの外周面27fには固定部材32が嵌め込まれる凹部又は凸部が形成されていて、固定部材32はサイド部材27の下端部27eおよび載置台21の外縁部を挟み込む。また、例えば、固定部材32は、載置台21の外縁部とサイド部材27とを締結するボルトでもよい。第1冷却装置4および第2冷却装置6は、固定部材32の取付機構および取外機構を備えていてもよい。
【0176】
●その他の実施形態●
なお、本発明において、本システム1は、第1冷却装置4および/または第1予備加熱装置5を備えていなくてもよい。同様に、本システム1は、第2冷却装置6および/または第2予備加熱装置7を備えていなくてもよい。具体的には、例えば、加圧処理において冷却処理も実行されていてもよい。この場合でも、加圧処理と平行して収容処理および取出処理が実行可能であり、加圧処理間の処理時間は従来の加圧装置よりも短縮可能である。また、この場合、本システム1は、例えば、第1ワークW1に対して第2ワークW2と異なる処理(第1ワークW1の本加圧温度を第2ワークW2の本加圧温度と異ならせて、一方にのみ予備加熱処理を実行するなど)を実行可能である。
【0177】
また、本発明において、加圧装置8は、熱ユニット81を備えていなくてもよい。
【0178】
さらに、本発明において、チャンバ搬送装置96の構成は、チャンバユニット20および上側ユニット22が第4エリアA4、第7エリアA7、および第8エリアA8の上部空間を搬送可能に構成されていればよく、第1実施形態に限定されない。すなわち、例えば、チャンバユニット20(上側ユニット22)が、動力源およびレール部材R11,R12上を転動可能な駆動輪を備えていてもよい。また、例えば、レール部材R11,R12には、ベース部材23と当接可能な複数のローラが取り付けられていてもよい。さらに、例えば、チャンバ搬送装置96は、ベース部材23に着脱可能に構成されている係止部材、および第4エリアA4および第7エリアA7と第8エリアA8との間で係止部材を移動させる移動機構を備えていてもよい。
【0179】
さらにまた、各図面において、説明の便宜上、チャンバユニット20に収容されているワークWの形状は、1枚の平板状に示されているが、これに限定されない。すなわち、例えば、チャンバユニット20には複数の被加圧物から構成される1セットのワークWが収容されていてもよい。また、例えば、1セットのワークWを構成する被加圧物それぞれの形状は、同じでもよく、あるいは、異なっていてもよい。
【0180】
さらにまた、本発明において、熱ユニット搬送装置52,72の構成は、テーブル50,70および予備加熱ユニット51,71の搬送・昇降、および昇降装置42,62による冷却ユニット41,61の昇降に予備加熱ユニット51,71が干渉しない構成であればよく、第1実施形態に限定されない。
【0181】
さらにまた、本発明において、熱ユニット搬送装置52,72の搬送方向および搬送経路は、第1実施形態に限定されない。すなわち、例えば、熱ユニット搬送装置52,72の搬送方向および搬送経路は、X軸方向に沿っていてもよい。
【0182】
さらにまた、本発明において、熱ユニット搬送装置72の搬送経路は、第7エリアA7から+Y軸方向に延出されるように配置されていてもよい。
【0183】
さらにまた、本発明において、テーブル40、冷却ユニット41、テーブル50、および予備加熱ユニット51の形状は、昇降装置42による各処理(収容処理、予備加熱処理、冷却処理、取出処理)が実行可能であればよく、第1実施形態に限定されない。すなわち、例えば、上方視において、テーブル40、冷却ユニット41、およびテーブル50の形状は、矩形状でもよい。同様に、テーブル60、冷却ユニット61、テーブル70、および予備加熱ユニット71の形状についても、第1実施形態に限定されない。
【0184】
●本発明の実施態様●
次に、以上説明した各実施形態から把握される本発明の実施態様について、各実施形態において記載された用語と符号とを援用しつつ、以下に記載する。
【0185】
本発明の第1の実施態様は、ワーク(例えば、ワークW)に対する加圧処理と、前記ワークに対する前記加圧処理に関連する関連処理と、を実行する加圧システム(例えば、加圧システム1)であって、前記加圧処理が実行される加圧エリア(例えば、第8エリアA8)と、前記第8エリアに隣接した位置に前記加圧エリアを挟み込むように配置されて、前記関連処理が実行される2つの関連エリア(例えば、第4エリアA4、第7エリアA7)と、前記ワークを収容して、前記関連エリアの上部空間と、前記加圧エリアの上部空間と、の間を往復搬送される2つのチャンバユニット(例えば、チャンバユニット20,20X)と、2つの前記チャンバユニットを同時に往復搬送するチャンバ搬送装置(例えば、チャンバ搬送装置96)と、を有してなり、前記チャンバ搬送装置は、一方の前記チャンバユニットが前記加圧エリアに位置しているとき、他方の前記チャンバユニットが一方の前記関連エリアに位置するように、かつ、他方の前記チャンバユニットが前記加圧エリアに位置しているとき、一方の前記チャンバユニットが他方の前記関連エリアに位置するように、前記チャンバユニットを往復搬送する、加圧システムである。
この構成によれば、本システムは、2つのワークに対して、加圧処理と関連処理それぞれを、交互かつ同時に実行可能である。その結果、本システムでは、加圧処理間の時間は短縮可能である。
【0186】
本発明の第2の実施態様は、第1の実施態様において、前記関連エリアに配置される昇降装置(例えば、昇降装置42,62)、を有してなり、前記チャンバユニットは、前記ワークが載置されて、前記加圧処理において、前記ワークを下方から加圧する下加圧ユニット(例えば、下加圧ユニット8D)として機能する載置台(例えば、載置台21)と、前記載置台の上方に配置されて、前記加圧処理において、前記ワークを上方から加圧する上加圧ユニット(例えば、上加圧ユニット8U)として機能する天井部材(例えば、加圧パッド26)と、水平方向において、前記ワークの全周を取り囲むように配置されて、前記載置台と前記天井部材と共に前記ワークが収容される収容室(例えば、収容室20R)を区画する周壁部材(例えば、サイド部材27)と、を備えて、前記関連エリアにおいて、前記昇降装置は、前記ワークが載置されている前記載置台を昇降可能であり、前記昇降装置の上昇に基づいて前記載置台が前記周壁部材に取り付けられて、前記加圧処理前の前記ワークが前記収容室に収容される収容処理が前記関連処理として実行されて、前記昇降装置の下降に基づいて前記載置台が前記周壁部材から取り外されて、前記加圧処理後の前記ワークが前記収容室から取り出される取出処理が前記関連処理として実行される、加圧システムである。
この構成によれば、本システムでは、チャンバユニットに収容されているワークに対して加圧処理が実行可能である。また、上側ユニットのメンテナンス性が向上する。
【0187】
本発明の第3の実施態様は、第2の実施態様において、前記関連エリアに配置されて、前記チャンバユニットに収容されている前記加圧処理後の前記ワークを冷却する冷却処理を前記関連処理として実行する冷却ユニット(例えば、冷却ユニット41,61)、を有してなり、前記加圧処理後の前記チャンバユニットが前記関連エリアに位置しているとき、前記昇降装置は、前記冷却ユニットを上昇させることにより、前記冷却ユニットを前記載置台に当接させる、加圧システムである。
この構成によれば、加圧処理と冷却処理とが並行して同時に実行可能となり、加圧処理間の時間は短縮可能である。
【0188】
本発明の第4の実施態様は、第3の実施態様において、前記チャンバユニットに収容されている前記加圧処理前の前記ワークを予備加熱する予備加熱処理を前記関連処理として実行する予備加熱ユニット(例えば、予備加熱ユニット51,71)と、前記関連エリアに隣接する待機エリア(例えば、第3エリアA3、第6エリアA6)と、前記関連エリアと、の間で前記予備加熱ユニットを往復搬送する熱ユニット搬送装置(例えば、熱ユニット搬送装置52,72)と、を有してなり、前記予備加熱処理は、前記収容処理の後に実行されて、前記収容処理において、前記ワークが載置されている前記載置台は、前記昇降装置の上方に配置されて、前記天井部材と前記周壁部材とは、前記載置台の上方に配置されて、前記熱ユニット搬送装置は、前記予備加熱ユニットを、前記冷却ユニットと前記載置台との間に搬送して、前記昇降装置は、前記冷却ユニットと前記予備加熱ユニットと共に前記載置台を上昇させて、前記冷却処理と前記取出処理とにおいて、前記予備加熱ユニットは、前記待機エリアに位置する、加圧システムである。
この構成によれば、各処理間の切替時間が短縮可能となり、加圧処理間の時間は短縮可能である。
【0189】
本発明の第5の実施態様は、第4の実施態様において、前記ワークが前記載置台に搬入されるワーク搬入処理、および前記載置台から前記ワークが搬出されるワーク搬出処理、が実行されるワーク搬送エリア(例えば、第2エリアA2、第5エリアA5)と、前記ワーク搬送エリアと前記関連エリアとの間で前記ワークが載置された前記載置台を往復搬送する台搬送装置(例えば、第1台搬送装置94、第2台搬送装置95)と、を有してなり、上方視において、前記載置台の搬送方向は、前記予備加熱ユニットの搬送方向と同じであり、前記予備加熱ユニットの搬送経路は、前記載置台の搬送経路の下方に配置される、加圧システムである。
この構成によれば、筐体の床面積のさらなる小型化が実現可能である。
【0190】
本発明の第6の実施態様は、第2の実施態様において、前記関連処理と前記加圧処理とが実行される前の前記ワークが配置されるワーク搬入エリア(例えば、第1エリアA1)と、前記関連処理と前記加圧処理とが実行された後の前記ワークが配置されるワーク搬出エリア(例えば、第9エリアA9)と、前記ワーク搬入エリアから前記ワークが一方の前記載置台に搬入される第1ワーク搬入処理、および前記一方の前記載置台から前記ワークが前記ワーク搬出エリアに搬出される第1ワーク搬出処理、が実行される第1ワーク搬送エリア(例えば、第2エリアA2)と、前記ワーク搬入エリアから前記ワークが他方の前記載置台に搬入される第2ワーク搬入処理、および前記他方の前記載置台から前記ワークが前記ワーク搬出エリアに搬出される第2ワーク搬出処理、が実行される第2ワーク搬送エリア(例えば、第5エリアA5)と、前記第1ワーク搬入処理と、前記第1ワーク搬出処理と、前記第2ワーク搬入処理と、前記第2ワーク搬出処理と、を実行するワーク搬送装置(例えば、ワーク搬送装置90)と、を有してなり、前記ワーク搬送装置は、前記ワーク搬入エリアと前記第1ワーク搬送エリアとの間と、前記ワーク搬入エリアと前記第2ワーク搬送エリアとの間と、を移動して、前記載置台に前記ワークを搬入するワーク搬入装置(例えば、ワーク搬入装置91)と、前記ワーク搬出エリアと前記第1ワーク搬送エリアとの間と、前記ワーク搬出エリアと前記第2ワーク搬送エリアとの間と、を移動して、前記載置台から前記ワークを搬出するワーク搬出装置(例えば、ワーク搬出装置92)と、を備えて、前記ワーク搬入装置が前記ワーク搬入エリアに位置しているとき、前記ワーク搬出装置は、前記第1ワーク搬送エリアまたは前記第2ワーク搬送エリアに位置して、前記ワーク搬出装置が前記ワーク搬出エリアに位置しているとき、前記ワーク搬入装置は、前記第1ワーク搬送エリアまたは前記第2ワーク搬送エリアに位置する、加圧システムである。
この構成によれば、筐体の床面積の小型化が実現可能であり、ワーク搬送装置の部品点数は削減可能である。
【0191】
本発明の第7の実施態様は、第2の実施態様において、前記加圧エリアに配置されて、前記加圧処理を実行する加圧装置(例えば、加圧装置8)、を有してなり、前記加圧装置は、前記加圧処理において、前記チャンバユニットの下方から上昇することにより前記載置台に当接して、前記載置台と共に前記下加圧ユニットとして機能する押圧ユニット(例えば、熱ユニット81)、を備える、加圧システムである。
この構成によれば、筐体の高さ方向の小型化が実現可能である。
【0192】
本発明の第8の実施態様は、第2の実施態様において、前記収容室は、前記収容室の内部圧力が前記チャンバユニットの外部空間の外部圧力よりも低い減圧雰囲気であり、前記載置台は、前記周壁部材の下方に配置されて、前記内部圧力と前記外部圧力との圧力差により前記周壁部材に取り付けられる、加圧システムである。
この構成によれば、各処理において、ワークは外気に曝されない。
【0193】
本発明の第9の実施態様は、第2の実施態様において、前記収容室の雰囲気は、前記収容室の内部圧力が前記チャンバユニット(例えば、チャンバユニット20X)の外部空間の外部圧力と同じになるようにガスが充填されるガス雰囲気であり、前記チャンバユニットは、前記載置台を前記周壁部材に固定する固定部材(例えば、固定部材32)、を備える、加圧システムである。
この構成によれば、各処理において、ワークは外気に曝されない。また、必要となる不活性ガスの量は、収容室の容積の量に抑えられる。
【符号の説明】
【0194】
1 加圧システム
20 チャンバユニット
20R 収容室
21 載置台
26 加圧パッド(天井部材)
27 サイド部材(周壁部材)
41 冷却ユニット
42 昇降装置
51 予備加熱ユニット
52 熱ユニット搬送装置
61 冷却ユニット
62 昇降装置
71 予備加熱ユニット
72 熱ユニット搬送装置
8 加圧装置
8U 上加圧ユニット
8D 下加圧ユニット
90 ワーク搬送装置
91 ワーク搬入装置
92 ワーク搬出装置
94 第1台搬送装置
95 第2台搬送装置
96 チャンバ搬送装置
20X チャンバユニット
32 固定部材
A1 第1エリア(ワーク搬入エリア)
A2 第2エリア(第1ワーク搬送エリア)
A3 第3エリア(待機エリア)
A4 第4エリア(関連エリア)
A5 第5エリア(第2ワーク搬送エリア)
A6 第6エリア(待機エリア)
A7 第7エリア(関連エリア)
A8 第8エリア(加圧エリア)
A9 第9エリア(ワーク搬出エリア)
【要約】 (修正有)
【課題】加圧処理間の時間が短縮可能で、加圧処理の関連処理が実行可能な加圧システムを提供する。
【解決手段】本発明に係る加圧システム1は、ワークWに対する加圧処理と関連処理とを実行する加圧システムである。加圧システムは、加圧処理が実行される加圧エリアA8と、加圧エリアを挟み込むように配置されて関連処理が実行される2つの関連エリアA4,A7と、ワークを収容して、関連エリアの上部空間と加圧エリアの上部空間との間を往復搬送される2つのチャンバユニット20と、2つのチャンバユニットを同時に往復搬送するチャンバ搬送装置96と、を有してなる。チャンバ搬送装置は、一方のチャンバユニットが加圧エリアに位置して、他方のチャンバユニットが一方の関連エリアに位置するように、かつ、他方のチャンバユニットが加圧エリアに位置して、一方のチャンバユニットが他方の関連エリアに位置するように、チャンバユニットを往復搬送する。
【選択図】
図3