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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-17
(45)【発行日】2024-12-25
(54)【発明の名称】洗濯機
(51)【国際特許分類】
   D06F 39/12 20060101AFI20241218BHJP
【FI】
D06F39/12 B
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2023218710
(22)【出願日】2023-12-26
(62)【分割の表示】P 2022092612の分割
【原出願日】2017-07-27
(65)【公開番号】P2024019697
(43)【公開日】2024-02-09
【審査請求日】2024-01-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147304
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 知哉
(74)【代理人】
【識別番号】100148493
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 浩二
(72)【発明者】
【氏名】柴田 遼
【審査官】粟倉 裕二
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0091904(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 34/34、39/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体の上面部に機械式スイッチの操作ボタンを有する洗濯機であって、
前記機械式スイッチの周囲に配置される防水機構を備えており、
前記防水機構は、水平面となる主底部と、該主底部から前方に延在し該主底部よりも位置が低くなるように形成される排水部と、を有する第1の部材を含み、
前記主底部に、前記機械式スイッチを露出させるための開口が形成されており、
前記装置本体の前面部は、上下方向に延在し洗濯物を出し入れする洗濯物投入口を有する平面部と、前記平面部の上方に延在するとともに前記平面部に対して後方に傾斜している上傾斜部と、を有しており、
前記排水部の前端は、前記上傾斜部の下方に位置しており、
前記平面部と前記上傾斜部との間に隙間が設けられており、
前記前面部には前記平面部の背面から後方に延ばされた受け部が形成され、
前記排水部の前端および前記隙間は、前記受け部に対して前後方向及び上下方向において重なる位置にあることを特徴とする洗濯機。
【請求項2】
請求項に記載の洗濯機であって、
前記防水機構は、前記機械式スイッチの上方を覆う第2の部材を含み、
前記第2の部材の前端は前記排水部の上方まで延在していることを特徴とする洗濯機。
【請求項3】
請求項に記載の洗濯機であって、
前記第2の部材は、前記主底部の上方に配置されるボタン底部と、前記ボタン底部から上方に立設して形成されて前記機械式スイッチの直上に位置するボタン突起部と、前記ボタン底部の外縁を囲むように前記ボタン底部に対して上方に立設される外枠部と、を有しており、
前記ボタン底部に排水孔部が形成されていることを特徴とする洗濯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装置上面に機械式スイッチの操作ボタンを有する洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、意匠性および操作性を向上させたドラム式洗濯機として、機械式(接点式)スイッチからなる主電源ボタンとタッチスイッチとから構成される操作パネルを備えたものが開示されている。すなわち、操作パネルにおいてタッチスイッチを用いることは、意匠性および操作性を向上させるのに有効であると考えられるが、洗濯機の不使用時における待機電力を削減するために主電源ボタンのみは機械式スイッチとすることが望ましい。
【0003】
洗濯機に用いられる機械式スイッチにおいては、該スイッチの周囲から水が浸入し、浸入した水によって操作基板が濡れることを防止するための防水機構が必要となる。特許文献2には、機械式スイッチの周囲にラビリンス構造を設け、スイッチ下方に配置される操作基板を防水する構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-43869号公報
【文献】特開2013-143988号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献2には、機械式スイッチの周囲から浸入した水が操作基板に掛からないようにラビリンス構造を用いて逃がす構造までしか開示されておらず、逃がされた水を最終的にどのように排水するかは考慮されていない。実際には、操作基板に掛からないように逃がされた水は、その後、洗濯機のフレーム内部に排水されているのが実情である。
【0006】
しかしながら、洗濯機のフレーム内には、操作基板だけでなく配線やコネクタ等の配置されており、これらに水が掛かると短絡等の問題が生じる。そのため、機械式スイッチの防水機構によって逃がされる水をフレーム内部に排水する場合、配線やコネクタの電気部品に対しても十分な防水対策を施す必要がある。また、フレーム内部に排水された水は装置底部の部品(底台)上に溜り、フレーム内に溜まった水はユーザによる清掃が困難であるため、衛生面でも問題があった。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、装置本体のフレーム内への排水を回避する構成とした機械式スイッチの防水機構を備えた洗濯機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明は、装置本体の上面に機械式スイッチの操作ボタンを有する洗濯機であって、前記操作ボタンの周囲から浸入する水が操作基板に掛かることを防止する防水機構を有しており、前記防水機構は、前記操作ボタンの周囲から浸入した水を前記装置本体のフレーム外に排出する構成であることを特徴としている。
【0009】
上記の構成によれば、機械式スイッチの操作ボタンの周囲から浸入した水を防水機構によって洗濯機の機外に排出でき、洗濯機の機内に水が入り込むことを防止できる。これにより、洗濯機の機内において、操作基板の周囲にある配線やコネクタ等に水が掛かる恐れが無くなる(もしくは低減できる)。このため、配線やコネクタ等における防水対策を省略(もしくは簡素化)することができる。また、排水された水が装置本体の底部の部品(底台)上に溜ることを防止でき、機内に排水する場合の衛生面における課題も解消できる。
【0010】
また、上記洗濯機では、前記防水機構は、内部領域に前記機械式スイッチを露出させるための開口を有している主底部と、前記主底部の外縁を囲むように前記主底部に対して上方に立設された第1外枠部と、前記主底部の前記開口の周囲を囲むように前記主底部に対して上方に立設された内枠部と、前記主底部に連接して設けられると共に、前記主底部よりも位置が低くなるように形成され、前記主底部上に溜まった水を機外に案内する排水部と、を備えた第1の部材と、前記第1の部材の前記内枠部の上方で、前記内枠部の全体を覆うように配置されるボタン底部と、前記ボタン底部の外縁全体を囲むように前記ボタン底部に対して上方に立設された第2外枠部と、前記第2外枠部の内部領域において前記ボタン底部から上方に立設して形成されると共に、その上面が前記操作ボタンとなるボタン突起部と、前記第2外枠部の内部領域に形成され、前記ボタン底部上に溜まった水を前記第1の部材の前記排水部上に直接排出する排水孔部と、を備えた第2の部材と、からなり、前記防水機構は、前記操作ボタンの周囲から浸入した水を、前記第2の部材の前記ボタン底部で受けた後、前記排水孔部から前記第1の部材の前記排水部上に直接排出し、前記排水部から機外に排出する第1の案内経路と、前記第2の部材の第2外枠部を越えた水を、前記第1の部材の前記主底部で受けた後、前記主底部から前記排水部に案内し、前記排水部から機外に排出する第2の案内経路と、を有している構成とすることができる。
【0011】
また、上記洗濯機では、前記防水機構は、内部領域に前記機械式スイッチを露出させるための開口を有している主底部と、前記主底部に連接して設けられると共に、前記主底部よりも位置が低くなるように形成され、前記主底部上に溜まった水を機外に案内する排水部と、を備えた第1の部材と、前記第1の部材の前記開口の上方で、前記開口の全体を覆うように配置されるボタン底部と、前記ボタン底部の外縁全体を囲むように前記ボタン底部に対して上方に立設された第2外枠部と、前記第2外枠部の内部領域において前記ボタン底部から上方に立設して形成されると共に、その上面が前記操作ボタンとなるボタン突起部と、前記第2外枠部の内部領域に形成され、前記ボタン底部上に溜まった水を前記第1の部材の前記排水部上に直接排出する排水孔部と、を備えた第2の部材と、からなり、前記防水機構は、前記操作ボタンの周囲から浸入した水を、前記第2の部材の前記ボタン底部で受けた後、前記排水孔部から前記第1の部材の前記排水部上に直接排出し、前記排水部から機外に排出する第1の案内経路を有している構成とすることができる。
【0012】
また、上記洗濯機では、前記防水機構は、内部領域に前記機械式スイッチを露出させるための開口を有している主底部と、前記主底部の外縁を囲むように前記主底部に対して上方に立設された第1外枠部と、前記主底部の前記開口の周囲を囲むように前記主底部に対して上方に立設された内枠部と、前記主底部に連接して設けられると共に、前記主底部よりも位置が低くなるように形成され、前記主底部上に溜まった水を機外に案内する排水部と、を備えた第1の部材と、前記第1の部材の前記内枠部の上方で、前記内枠部の全体を覆うように配置されるボタン底部と、前記ボタン底部から上方に立設して形成されると共に、その上面が前記操作ボタンとなるボタン突起部と、を備えた第2の部材と、からなり、前記防水機構は、前記操作ボタンの周囲から浸入した水を、前記第2の部材の前記ボタン底部で受け、前記第2の部材の前記ボタン底部から流れ落ちた水を前記第1の部材の前記主底部で受けた後、前記主底部から前記排水部に案内し、前記排水部から機外に排出する第2の案内経路を有している構成とすることができる。
【0013】
また、上記洗濯機では、前記防水機構は、前記操作ボタンの周囲から浸入した水を、前記装置本体の前面からフレーム外に排出する構成とすることができる。
【0014】
上記の構成によれば、防水機構により機外に排出される水は、装置本体の前面から排出されるため、ユーザによる清掃が簡単に行える。
【発明の効果】
【0015】
本発明の洗濯機は、機械式スイッチの操作ボタンの周囲から浸入した水を防水機構によって洗濯機の機外に排出することで、洗濯機の機内において、操作基板の周囲にある配線やコネクタ等における防水対策を省略(もしくは簡素化)することができるといった効果を奏する。また、排水された水が装置本体の底部の部品(底台)上に溜ることを防止でき、機内に排水する場合の衛生面における課題も解消できるといった効果を併せて奏する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施形態に係るドラム式洗濯機のドアが閉じた状態の外観を示す斜視図である。
図2図1のドラム式洗濯機のドアが開いた状態の外観を示す斜視図である。
図3】実施の形態1のドラム式洗濯機の装置本体から上面フレーム板を取り外した状態を示す斜視図である。
図4】実施の形態2の防水機構における防水カバーを示す図であり、(a)は斜視図、(b)は平面図、(c)は(b)におけるA-A断面図である。
図5】実施の形態2の防水機構におけるボタンシールドを示す図であり、(a)は斜視図、(b)は平面図、(c)は(b)におけるB-B断面図である。
図6】実施の形態2のドラム式洗濯機の装置本体から上面フレーム板を取り外した状態であって、基板ユニット上に防水カバーのみが配置された状態を示す斜視図である。
図7】実施の形態2における防水機構を示す図であり、装置本体に取り付けられた状態の防水機構を側方から見た断面図である。
図8】実施の形態3における防水機構を示す図であり、装置本体に取り付けられた状態の防水機構を側方から見た断面図である。
図9】実施の形態4における防水機構を示す図であり、装置本体に取り付けられた状態の防水機構を側方から見た断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0018】
〔実施の形態1〕
図1は、本実施の形態1に係るドラム式洗濯機1のドア20が閉じた状態の外観を示す斜視図である。図2は、ドラム式洗濯機1のドア20が開いた状態の外観を示す斜視図である。以下、説明の便宜上、ドア20が設けられた方向を前面側(前方)とする。また、本願におけるドラム式洗濯機1は、洗濯のみを行うドラム式洗濯機に限定されるものではなく、洗濯及び乾燥を行うことのできるドラム式洗濯乾燥機をも含むものである。また、本発明が適用可能な洗濯機は、装置上面に機械式スイッチの操作ボタンを有するものであればドラム式洗濯機に限定されるものでもなく縦型洗濯機でもよい。
【0019】
ドラム式洗濯機1は、装置本体10と、装置本体10の前面側に設けられるドア20とを備えている。装置本体10における外箱前面部101は、外箱平面部101Aと、上傾斜部101Bとを有している。外箱平面部101Aは、略垂直方向に延在する。上傾斜部101Bは、外箱平面部101Aの上方に延在すると共に、外箱平面部101Aに対して後方に傾斜している。
【0020】
また、装置本体10は内部に回転槽11を有しており、回転槽11は外箱前面部101にて開口している。これにより、回転槽11には、外箱前面部101側の開口から衣類等の洗濯物を出し入れすることができる。
【0021】
ドア20は、側方の一方の端部をヒンジによって装置本体10に対して回動可能に取り付けられており、外箱前面部101にて回転槽11の開口を開閉できるようにされている。本実施の形態1において、ドア20の形状は、回転槽11の開口に合わせた略円形状とはされておらず、正面視で略矩形状とされている。
【0022】
より具体的には、ドア20は、ドア本体部21と傾斜部22とを備えている。ドア本体部21は、正面視で矩形状をしており、略垂直方向に延在する。ドア本体部21における矩形状とは、そのコーナー部が丸みを有する形態も含む。傾斜部22は、ドア本体部21の上方に延在すると共に、ドア本体部21に対して後方に傾斜している。すなわち、傾斜部22の上端がドア本体部21よりも後方に位置するように傾斜部22は傾斜している。また、ドア20におけるドア本体部21および傾斜部22は、装置本体10の外箱前面部101における外箱平面部101Aおよび上傾斜部101Bにそれぞれ対応した位置関係を有している。
【0023】
ドア本体部21は、その前面のほぼ全体が透光性を有する材料(例えばガラス材料)からなるドア前パネル部211とされている。また、ドア本体部21の裏面側には、透光性を有する材料(例えばガラス材料)からなる突出閉止部212が設けられている。これにより、ドア20が閉じられた状態において、ドア20の前面側からドア前パネル部211および突出閉止部212を通じて回転槽11の内部を視認できるようになっている。
【0024】
また、ドア20が閉じられた状態において、突出閉止部212の後方頂部の一部が回転槽11の開口内に挿入されるようになっており、突出閉止部212の外周面が回転槽11の開口周辺のパッキンに密着して、回転槽11内の液体が外部に漏れることを防止するようになっている。
【0025】
ドア20の傾斜部22には、その前面側に表示操作部221が配設される。表示操作部221は、例えばタッチパネルにて構成されており、ドラム式洗濯機1における動作状態、各種設定、ユーザへのメッセージ等の各種情報を表示したり、ユーザによる入力操作を受け付けたりできるようになっている。
【0026】
本実施の形態1に係るドラム式洗濯機1では、ドア本体部21と傾斜部22とからなる矩形状のドア20を備えることで、以下のような様々な利点が得られる。
(a) 矩形状のドア20が回転槽11の開口を閉じることで、装置本体10の外箱前面部101とドア20との間に凹凸が形成されにくくなり、清掃性が良好となる。
(b) 後方に傾斜した傾斜部22の前面側に表示操作部221を配設することで、表示操作部221の面積を大きくすることができ、表示操作部221の操作性および視認性が向上する。
(c) 正面視で、ドア20の上方において傾斜部22が後方に引っ込んだ形態となっており、ドラム式洗濯機1がコンパクトになると共に圧迫感が軽減される。
(d) 表示操作部221がドア20側に設けられることで、装置本体10の上面に表示操作部を設ける必要が無くなり、装置本体10の上方の空間を有効活用できる。
【0027】
また、ドラム式洗濯機1は、タッチパネルからなる表示操作部221以外に、主電源ボタン(操作ボタン)12を有している。主電源ボタン12は、機械式スイッチからなり、装置本体10の外箱上面部102に配置されている。機械式スイッチである主電源ボタン12を設けたことで、ドラム式洗濯機1の不使用時における待機電力を削減することができる。
【0028】
装置本体10は、その外郭を構成するフレーム板の一部として、外箱前面部101の一部を形成する前面フレーム板103と、外箱上面部102および外箱前面部101の一部を形成する上面フレーム板104とを備えている。より具体的には、前面フレーム板103は、外箱前面部101における外箱平面部101Aの全体と、外箱前面部101における上傾斜部101Bの下部を含むように構成される。一方、上面フレーム板104は、外箱上面部102の全体と、外箱前面部101における上傾斜部101Bの上部を含むように構成される。
【0029】
上面フレーム板104には、主電源ボタン12の配置箇所に開口が設けられており、主電源ボタン12の上面はこの開口から外部に露出している。これにより、ユーザは主電源ボタン12を押す操作が可能となる。また、主電源ボタン12の周囲(主電源ボタン12の外側面と上面フレーム板104の開口の内側面との間)には隙間が存在するため、この隙間から浸入した水が操作基板等に掛かることを防止するための防水機構が必要となる。
【0030】
図3は、装置本体10から上面フレーム板104を取り外した状態を示す斜視図である。尚、図3ではドア20も取り外した状態を示している。図3において、30は、操作基板33(図7~9参照)を含む基板ユニットである。また、図3において、50は、操作基板33上に配置された機械式スイッチ31(図6~9参照)を防水するための防水機構である。機械式スイッチ31は、ユーザによる主電源ボタン12の操作に連動してオン/オフされるものであり、機械式スイッチ31のオン/オフに伴ってドラム式洗濯機1の主電源がオン/オフされる。
【0031】
防水機構50は、基板ユニット30の上部で機械式スイッチ31を覆うようにして配置されており、主電源ボタン12の周囲の隙間から浸入した水が操作基板33に掛かることを防止すると共に、この水を機外(装置本体10のフレーム外)に排出する機能を有している。すなわち、防水機構50は、主電源ボタン12の周囲から浸入した水を機外に案内する案内経路を有している。
【0032】
主電源ボタン12の周囲から浸入した水は、防水機構50が有する案内経路を通り、装置本体10の外箱前面部101から排出される。より具体的には、前面フレーム板103と上面フレーム板104との間の隙間から装置本体10のフレーム外に排出される。
【0033】
本実施の形態1に係るドラム式洗濯機1では、防水機構50により、主電源ボタン12の周囲から浸入した水を機外に排出でき、機内(装置本体10のフレーム内)に水が入り込むことを防止できる。これにより、ドラム式洗濯機1の機内において、基板ユニット30の周囲にある配線やコネクタ等に水が掛かる恐れが無くなる(もしくは低減できる)。このため、配線やコネクタ等における防水対策を省略(もしくは簡素化)することができる。
【0034】
また、排水された水が装置本体10の底部の部品(底台)上に溜ることを防止でき、機内に排水する場合の衛生面における課題も解消できる。防水機構50により機外に排出される水は、装置本体10の外箱前面部101から排出されるため、ユーザによる清掃も簡易に行える。
【0035】
〔実施の形態2〕
本実施の形態2では、防水機構50の具体的構成について、図4図7を参照して詳細に説明する。
【0036】
防水機構50は、防水カバー(第1の部材)51およびボタンシールド(第2の部材)52により構成されている。図4は防水カバー51を示す図であり、(a)は斜視図、(b)は平面図、(c)は(b)におけるA-A断面図である。図5はボタンシールド52を示す図であり、(a)は斜視図、(b)は平面図、(c)は(b)におけるB-B断面図である。図6は、装置本体10から上面フレーム板104を取り外した状態であって、基板ユニット30上に防水カバー51のみが配置された状態を示す斜視図である。尚、図6では、基板ユニット30における上面カバー32(図3参照)をも取り外した状態を示している。
【0037】
防水カバー51は、図4に示すように、主底部511、第1外枠部512、内枠部513、排水部514、第3外枠部515およびヒンジ保持部516を備えている。
【0038】
主底部511は、防水カバー51を基板ユニット30上に配置した際に水平面となる底部であり、その外縁(特に、後部及び両側部の3方)を第1外枠部512で囲まれると共に、内部領域に基板ユニット30の機械式スイッチ31を露出させるための開口を有している。
【0039】
第1外枠部512は、主底部511に対して上方に立設されており、主底部511上に溜まった水が防水カバー51の外部に漏れることを防止し、主底部511上に溜まった水を排水部514に確実に案内する。
【0040】
内枠部513は、機械式スイッチ31を露出させるための上記開口を囲むように主底部511に対して上方に立設されており、平面視では前方側のみが開放された「コ」の字形に形成されている。すなわち、内枠部513で囲まれた開口内において基板ユニット30の機械式スイッチ31が露出するように防水カバー51が配置される(図6参照)。また、内枠部513の前端は、主底部511の前端縁と一致しており、内枠部513の前方の開放部分は排水部514に直接繋がっている。これにより、主底部511上に溜まった水が内枠部513の内側に回り込んで、上記開口から機内に入り込むことを防止できる。尚、内枠部513の平面視形状は、上述のように前方が開放された形状に限定されるものではなく、上記開口を完全に囲むような形状(例えば、略矩形状)であってもよい。
【0041】
排水部514は、主底部511の前方側において、主底部511よりも位置が低くなるように形成されており、主底部511上に溜まった水を機外に案内する。図4の例では、排水部514は階段状に形成されている。但し、本発明はこれに限定されるものではなく、排水部514は、例えば傾斜面等の他の形状であってもよい。
【0042】
第3外枠部515は、第1外枠部512と連接するように形成されると共に、排水部514の両側部で上方に立設するように形成されている。すなわち、第3外枠部515は、排水部514を流れる水が排水部514の側方に漏れることを防止し、機外に確実に案内する。
【0043】
ヒンジ保持部516は、ボタンシールド52が有するヒンジ部525(図5参照)と組み合わされてヒンジを形成する部分である。図4の例では、ヒンジ保持部516は、主底部511上において内枠部513の後方に配置されている。
【0044】
ボタンシールド52は、図5に示すように、ボタン底部521、第2外枠部522、ボタン突起部523、排水孔部524およびヒンジ部525を有している。
【0045】
ボタン底部521は、防水カバー51と共に防水機構50を構成する際、防水カバー51の主底部511の上方、より具体的には内枠部513直上に配置される。また、ボタン底部521は平面視で内枠部513よりも広く形成されており、内枠部513はボタン底部521によって完全に覆われる。
【0046】
第2外枠部522は、ボタン底部521の外縁全体を囲むように、ボタン底部521に対して上方に立設されており、ボタン底部521上に溜まった水がボタンシールド52の外部に漏れることを防止する。
【0047】
ボタン突起部523は、第2外枠部522の内部領域において、ボタン底部521から上方に立設して形成される。ボタン突起部523の上面は、装置本体10において、上面フレーム板104に設けられた開口から外部に露出して主電源ボタン12となる。また、ボタン突起部523の直下には、基板ユニット30の機械式スイッチ31が配置される。すなわち、ユーザが主電源ボタン12(外部に露出したボタン突起部523)を押すと、ボタンシールド52を介して機械式スイッチ31が押されるようになっている(図7参照)。
【0048】
排水孔部524は、ボタンシールド52の前方において筒状に形成されている。排水孔部524の上部開口はボタン底部521内(第2外枠部522の内部領域)に存在しており、ボタン底部521上に溜まった水は排水孔部524に流れ込むようになっている。一方、排水孔部524の下部開口はボタン底部521よりも下方に位置する。また、防水機構50においては、排水孔部524の下部開口は、防水カバー51の主底部511の前方において主底部511よりも低い位置に配置される。これにより、排水孔部524に流れ込んだ水は、防水カバー51の主底部511上に排出されることはなく、排水部514上に直接排出されるようになっている。
【0049】
ヒンジ部525は、第2外枠部522の外側(図5の例では、第2外枠部522の後方)に形成される。ヒンジ部525は、その先端に形成されたヒンジ軸を防水カバー51のヒンジ保持部516によって保持される。これにより、ボタンシールド52は防水カバー51にヒンジ結合され、ヒンジ軸周りに回動することが可能となる。すなわち、ユーザが主電源ボタン12(外部に露出したボタン突起部523)を押したときに、その押圧力を機械式スイッチ31に伝えることができるようになっている。
【0050】
尚、本実施の形態では、ボタンシールド52を防水カバー51にヒンジ結合する構成としているが、本発明はこれに限定されるものではなく、ボタンシールド52は上面フレーム板104にヒンジ結合されていてもよい。
【0051】
続いて、防水機構50において、主電源ボタン12の周囲から浸入した水を機外に案内する案内経路を説明する。図7は、装置本体10に取り付けられた状態の防水機構50を側方から見た断面図である。本実施の形態2では、防水機構50は2つの案内経路を有している。
【0052】
第1の案内経路(図7中、実線矢印で示す)では、主電源ボタン12の周囲から浸入した水は、最初にボタンシールド52のボタン底部521で受けられる。ボタン底部521に溜まった水は、第2外枠部522によって外部に漏れることを防止され、排水孔部524に流れ込む。排水孔部524に流れ込んだ水は、防水カバー51の排水部514上に直接排出され、排水部514から機外に排出される。
【0053】
主電源ボタン12の周囲から浸入した水の水量が多く、ボタン底部521に溜まった水が第2外枠部522を越えて漏れた場合には、第2の案内経路(図7中、破線矢印で示す)が使用される。第2の案内経路では、第2外枠部522を越えて漏れた水は、防水カバー51の主底部511で受けられる。主底部511に溜まった水は、第1外枠部512によって外部に漏れることを防止されると共に、内枠部513によって機械式スイッチ31の周囲の開口から基板ユニット30上に流れ込むことを防止される。すなわち、主底部511に溜まった水は、その全てが排水部514へと案内され、排水部514から機外に排出される。
【0054】
〔実施の形態3〕
実施の形態2で示した防水機構50は、主電源ボタン12の周囲から浸入した水を機外に案内する案内経路として、2つの案内経路(第1の案内経路および第2の案内経路)を有するものを例示した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、第1の案内経路における排水効率が十分に高ければ、第2の案内経路を省略して第1の案内経路のみとしてもよい。
【0055】
図8は、装置本体10に取り付けられた状態の防水機構50を側方から見た断面図である。本実施の形態3では、防水機構50は第1の案内経路のみを有している。すなわち、本実施の形態3に係る防水機構50は、第1の案内経路における排水効率が十分に高く、ボタン底部521に溜まった水が第2外枠部522を越えて漏れることが無い場合に適用できる。
【0056】
この場合、ボタンシールド52の構成は実施の形態2と同じであるが、防水カバー51においては、第1外枠部512および内枠部513が省略される。これは、ボタン底部521に溜まった水が第2外枠部522を越えることが無ければ、防水カバー51の主底部511に水が溜まることも無いためである。
【0057】
〔実施の形態4〕
本実施の形態4では、第2の案内経路のみを有する防水機構50の例を示す。図9は、装置本体10に取り付けられた状態の防水機構50を側方から見た断面図である。
【0058】
本実施の形態4に係る防水機構50では、防水カバー51の構成は実施の形態2と同じであるが、ボタンシールド52においては、第2外枠部522および排水孔部524が省略される。この場合、主電源ボタン12の周囲から浸入した水は、ボタンシールド52のボタン底部521で受けられた後、防水カバー51の主底部511上へ流れ落ちる。主底部511上へ流れ落ちた水は、実施の形態2で説明した第2の案内経路のように、排水部514から機外に排出される。
【0059】
本実施の形態4では、ボタンシールド52のボタン底部521は、平面視で内枠部513よりも広く形成されており、内枠部513はボタン底部521によって完全に覆われるようになっていればよい。これにより、ボタン底部521から流れ落ちる水が、内枠部513の内側に入り込むことを防止できる。
【0060】
また、図9に示すように、ボタン底部521の外縁部において、その外縁部を囲むように下方に突出した第4外枠部526を形成してもよい。この第4外枠部526を形成することにより、ボタン底部521から流れ落ちる水が、内枠部513の内側に入り込むことをより確実に防止できる。
【0061】
今回開示した実施形態はすべての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。従って、本発明の技術的範囲は、上記した実施形態のみによって解釈されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0062】
1 ドラム式洗濯機
10 装置本体
11 回転槽
12 主電源ボタン(操作ボタン)
20 ドア
21 ドア本体部
22 傾斜部
30 基板ユニット
31 機械式スイッチ
33 操作基板
50 防水機構
51 防水カバー(第1の部材)
52 ボタンシールド(第2の部材)
101 外箱前面部
101A 外箱平面部
101B 上傾斜部
102 外箱上面部
103 前面フレーム板
104 上面フレーム板
221 表示操作部
511 主底部
512 第1外枠部
513 内枠部
514 排水部
515 第3外枠部
516 ヒンジ保持部
521 ボタン底部
522 第2外枠部
523 ボタン突起部
524 排水孔部
525 ヒンジ部
526 第4外枠部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9