(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-17
(45)【発行日】2024-12-25
(54)【発明の名称】発光装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
H04N 1/036 20060101AFI20241218BHJP
B41J 2/447 20060101ALI20241218BHJP
B41J 2/45 20060101ALI20241218BHJP
H01L 33/62 20100101ALI20241218BHJP
H01L 33/52 20100101ALI20241218BHJP
H10K 50/842 20230101ALI20241218BHJP
H10K 59/80 20230101ALI20241218BHJP
H10K 59/95 20230101ALI20241218BHJP
H01L 33/00 20100101ALI20241218BHJP
【FI】
H04N1/036
B41J2/447 101A
B41J2/45
H01L33/62
H01L33/52
H10K50/842
H10K59/80
H10K59/95
H01L33/00 L
(21)【出願番号】P 2023222110
(22)【出願日】2023-12-28
(62)【分割の表示】P 2019152978の分割
【原出願日】2019-08-23
【審査請求日】2024-01-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100101498
【氏名又は名称】越智 隆夫
(74)【代理人】
【識別番号】100106183
【氏名又は名称】吉澤 弘司
(74)【代理人】
【識別番号】100136799
【氏名又は名称】本田 亜希
(72)【発明者】
【氏名】小山 勇人
(72)【発明者】
【氏名】中西 宏一郎
(72)【発明者】
【氏名】古田 泰友
【審査官】橘 高志
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-270070(JP,A)
【文献】特開2010-017897(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/036
B41J 2/447
B41J 2/45
H01L 33/62
H01L 33/52
H10K 50/842
H10K 59/80
H10K 59/95
H01L 33/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の長辺と、前記第一の長辺に沿った第二の長辺とを有する矩形状の
発光チップと、
前記第一の長辺に沿って設けられた複数の発光
素子と、前記第一の長辺に沿った第三の長辺と、前記第一の長辺に沿った第四の長辺
とを有し、前記
発光チップの短手方向において
前記第一の長辺と前記第三の長辺
との間の距離が前記第一の長辺
と前記第四の長辺と
の間の距離よりも短い、発光領域と、
前記発光領域を覆う封止領域であって、前記第一の長辺に沿った第五の長辺と、前記第一の長辺に沿った第六の長辺
とを有し、前記短手方向において
前記第一の長辺と前記第五の長辺
との間の距離が前記第一の長辺
と前記第六の長辺と
の間の距離よりも短い、封止領域と、
前記発光領域から出射された光を集光するレンズアレイと、
を備え、
前記短手方向において、前記第一の長辺と前記第三の長辺との間の
前記距離は、前記第二の長辺と前記第四の長辺との間の距離よりも短く、
前記短手方向において、前記第一の長辺と前記第五の長辺との間の
前記距離は、前記第二の長辺と前記第六の長辺との間の距離よりも短く、
前記短手方向において、
前記第五の長辺は、前記第一の長辺と前記第三の長辺との間に位置する、
ことを特徴とする発光
装置。
【請求項2】
前記短手方向において、前記第一の長辺と前記第五の長辺との間の前記距離は、前記第三の長辺と前記第五の長辺との間の距離よりも短い、
ことを特徴とする請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記
発光チップに設けられ、画像データに基づいて前記複数の発光
素子の点灯と消灯とを制御する
回路部を備える、
ことを特徴とする請求項1に記載の発光
装置。
【請求項4】
前記発光領域と前記回路部とは、前記発光チップの表面に垂直な垂直方向に見たときにオーバーラップしている、
ことを特徴とする請求項3に記載の発光装置。
【請求項5】
光が透過可能な第一の電
極と、
基板の表面に垂直な垂直方向において前記第一の電
極と前記基板との間に
設けられ
た複数
の第二の電
極と、
前記垂直方向において前記第一の電
極と前記
複数の第二の電
極との間に
設けられた発光層と、
を備え、
前記発光層が発した光は前記第一の電
極を透過して出射される、
ことを特徴とする請求項
4に記載の発光
装置。
【請求項6】
前記回路部は、前記発光チップに内蔵されている、
ことを特徴とする請求項3に記載の発光装置。
【請求項7】
前記短手方向において、前記第三の長辺と前記第五の長辺の間の距離は、前記第四の長辺と前記第六の長辺との間の距離よりも短い、
ことを特徴とする請求項1に記載の発光装置。
【請求項8】
前記複数の発光
素子は有機ELである、
ことを特徴とする請求項1に記載の発光
装置。
【請求項9】
記録媒体に画像を形成する画像形成装置であって、
感光ドラムと、
前記感光ドラムの表面を露光する発光装置と、
を備え、
前記発光装置は、
第一の長辺と、前記第一の長辺に沿った第二の長辺とを有する矩形状の発光チップと、
前記第一の長辺に沿って設けられた複数の発光素子と、前記第一の長辺に沿った第三の長辺と、前記第一の長辺に沿った第四の長辺とを有し、前記発光チップの短手方向において前記第一の長辺と前記第三の長辺との間の距離が前記第一の長辺と前記第四の長辺との間の距離よりも短い、発光領域と、
前記発光領域を覆う封止領域であって、前記第一の長辺に沿った第五の長辺と、前記第一の長辺に沿った第六の長辺とを有し、前記短手方向において前記第一の長辺と前記第五の長辺との間の距離が前記第一の長辺と前記第六の長辺との間の距離よりも短い、封止領域と、
前記発光領域から出射された光を集光するレンズアレイと、
を備え、
前記短手方向において、前記第一の長辺と前記第三の長辺との間の前記距離は、前記第二の長辺と前記第四の長辺との間の距離よりも短く、
前記短手方向において、前記第一の長辺と前記第五の長辺との間の前記距離は、前記第二の長辺と前記第六の長辺との間の距離よりも短く、
前記短手方向において、前記第五の長辺は、前記第一の長辺と前記第三の長辺との間に位置する、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
前記短手方向において、前記第一の長辺と前記第五の長辺との間の前記距離は、前記第三の長辺と前記第五の長辺との間の距離よりも短い、
ことを特徴とする請求項9に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記発光チップに設けられ、画像データに基づいて前記複数の発光素子の点灯と消灯とを制御する回路部を備える、
ことを特徴とする請求項9に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記発光領域と前記回路部とは、前記発光チップの表面に垂直な垂直方向に見たときにオーバーラップしている、
ことを特徴とする請求項11に記載の画像形成装置。
【請求項13】
光が透過可能な第一の電極と、
基板の表面に垂直な垂直方向において前記第一の電極と前記基板との間に設けられた複数の第二の電極と、
前記垂直方向において前記第一の電極と前記複数の第二の電極との間に設けられた発光層と、
を備え、
前記発光層が発した光は前記第一の電極を透過して出射される、
ことを特徴とする請求項12に記載の画像形成装置。
【請求項14】
前記回路部は、前記発光チップに内蔵されている、
ことを特徴とする請求項11に記載の画像形成装置。
【請求項15】
前記短手方向において、前記第三の長辺と前記第五の長辺の間の距離は、前記第四の長辺と前記第六の長辺との間の距離よりも短い、
ことを特徴とする請求項9に記載の画像形成装置。
【請求項16】
前記複数の発光素子は有機ELである、
ことを特徴とする請求項9に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置においては、回転駆動される感光体と、静電潜像を形成するために感光体を露光する露光部と、感光体上の静電潜像を現像剤を用いて現像する現像部と、現像剤により現像された画像をシートへ転写する転写部を備える。ここで、露光部としては、レーザスキャナ、露光ヘッドなどが知られている。レーザスキャナとは、光源からの光が感光体の表面を走査するように光源からの光を偏向部材によって偏向する露光装置である。一方、露光ヘッドとは、偏向部材を備えず、感光体の表面が移動する方向に直交する方向へ複数の光源を並べて配置した露光装置である。露光ヘッドは、複数の発光素子からの光を感光体上に結像するレンズアレイを備える。
【0003】
特許文献1に記載の露光ヘッドは、光源としての複数の有機ELが水分や酸素によって劣化することを抑制するために、有機EL基板と駆動用IC基板とを金属接合で貼り合わせることによって有機ELを封止している。さらに特許文献1に記載の露光ヘッドは、複数の有機EL基板が千鳥状に配置されている。これは、1枚の長尺の有機EL基板を有する露光ヘッドに比べて製造コストが安価にできるからである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
複数の発光素子から構成される発光素子アレイチップが基板上に千鳥状に配列された露光ヘッドは、光利用効率の観点から各発光素子アレイチップの発光領域とレンズアレイの中心までの距離を短くすることが望ましい。しかしながら、発光素子アレイチップの端部からの水分や酸素の侵入を抑制するために発光領域を封止する封止材が必要となるので、発光領域とレンズアレイの中心との距離が大きくなり、光利用効率が低下する課題がある。
そこで、本発明の目的は、発光チップの発光効率の低下を抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題を解決するため、本発明の一実施例による発光装置は、
第一の長辺と、前記第一の長辺に沿った第二の長辺とを有する矩形状の発光チップと、
前記第一の長辺に沿って設けられた複数の発光素子と、前記第一の長辺に沿った第三の長辺と、前記第一の長辺に沿った第四の長辺とを有し、前記発光チップの短手方向において前記第一の長辺と前記第三の長辺との間の距離が前記第一の長辺と前記第四の長辺との間の距離よりも短い、発光領域と、
前記発光領域を覆う封止領域であって、前記第一の長辺に沿った第五の長辺と、前記第一の長辺に沿った第六の長辺とを有し、前記短手方向において前記第一の長辺と前記第五の長辺との間の距離が前記第一の長辺と前記第六の長辺との間の距離よりも短い、封止領域と、
前記発光領域から出射された光を集光するレンズアレイと、
を備え、
前記短手方向において、前記第一の長辺と前記第三の長辺との間の前記距離は、前記第二の長辺と前記第四の長辺との間の距離よりも短く、
前記短手方向において、前記第一の長辺と前記第五の長辺との間の前記距離は、前記第二の長辺と前記第六の長辺との間の距離よりも短く、
前記短手方向において、前記第五の長辺は、前記第一の長辺と前記第三の長辺との間に位置する、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、発光チップの発光効率の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図5】
図4(a)のV-V線に沿って取った発光素子アレイチップの部分拡大断面図。
【
図7】画像コントローラ及びプリント基板のブロック図。
【
図8】発光素子アレイチップ内の回路部のブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(画像形成装置)
図1を用いて、本実施例における電子写真方式の画像形成装置1を説明する。
図1は、画像形成装置1の断面図である。画像形成装置1は、マルチファンクションプリンタ(MFP)である。画像形成装置1は、スキャナ部100、画像形成部103、定着部104、給送/搬送部105及びプリンタ制御部115を有する。プリンタ制御部115は、スキャナ部100、画像形成部103、定着部104及び給送/搬送部105を制御する。スキャナ部100は、原稿台に載置された原稿を照明し、原稿からの反射光を光学的に読み取る。スキャナ部100は、読み取った反射光を電気信号へ変換して画像データを生成する。画像形成部103は、一連の電子写真プロセス(帯電、露光、現像、転写)を行う4つの画像形成ユニット120C、120M、120Y、120Kを有する。4つの画像形成ユニット120C、120M、120Y、120Kは、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の順に並べて配置され、フルカラーの画像を形成する。4つの画像形成ユニット120C、120M、120Y、120Kは、シアンの画像形成ユニット120Cの画像形成開始から所定時間経過後に、マゼンタ、イエロー、ブラックの画像形成動作を順次実行していく。参照符号の添え字C、M、Y、Kは、それぞれシアン、マゼンタ、イエロー、ブラックを表す。以下の説明において、特に必要でない場合には、参照符号の添え字C、M、Y、Kを省略することがある。
【0010】
画像形成部103は、感光ドラム102C、102M、102Y、102Kを回転させる。帯電器107C、107M、107Y、107Kは、感光ドラム102C、102M、102Y、102Kの表面を均一に帯電する。露光ヘッド106C、106M、106Y、106Kは、画像データに従って発光し、感光ドラム102C、102M、102Y、102Kの表面上に静電潜像を形成する。現像器108C、108M、108Y、108Kは、感光ドラム102C、102M、102Y、102Kの表面上に形成された静電潜像をそれぞれの色のトナーで現像してシアン、マゼンタ、イエロー、ブラックのトナー像にする。
【0011】
画像形成装置1は、内部給送ユニット109a、109b、外部給送ユニット109c及び手差し給送ユニット109dを有する。給送/搬送部105は、内部給送ユニット109a、109b、外部給送ユニット109c及び手差し給送ユニット109dのうちの予め指定された給送ユニットから画像が形成される記録媒体としてのシートを給送する。給送されたシートは、レジストレーションローラ110へ搬送される。レジストレーションローラ110は、画像形成部103において形成されたトナー像がシートへ転写されるように転写ベルト111上へシートを搬送する。
【0012】
感光ドラム102C、102M、102Y、102Kの表面上のシアン、マゼンタ、イエロー、ブラックのトナー像は、それぞれ転写装置114C、114M、114Y、114Kによって転写ベルト111上のシートに順次転写されて重ね合わされる。トナー像が転写されたシートは、定着部(定着装置)104へ搬送される。定着部104は、熱源としてハロゲンヒータを内蔵した加熱ローラと、加熱ローラに圧接する加圧ローラと、を有する。定着部104は、シート上のトナー像を熱と圧力によって溶融してシートへ定着する。これによって、シートにフルカラーの画像が形成される。画像が形成されたシートは、排出ローラ112によって画像形成装置1の外部へ排出される。
【0013】
なお、転写ベルト111に対向して光学センサ113が配置されている。光学センサ113は、転写ベルト111上に転写されたテストチャートのトナー像の位置を検出する。光学センサ113の検出結果に基づいて、各色のトナー像の色ずれ量が算出される。色ずれ量は、画像コントローラ部700(
図7)へ入力される。画像コントローラ部700は、色ずれ量に基づいて各色の画像位置を補正する。画像コントローラ部700による色ずれ補正制御によって、シート上に色ずれのないフルカラートナー像が転写される。
【0014】
プリンタ制御部115は、画像形成装置1の全体を制御するMFP制御部(不図示)と通信する。プリンタ制御部115は、MFP制御部(不図示)の指示に従って、原稿の画像の読み取り、トナー像の形成及び定着、シートの給送/搬送の状態を管理しながら全体が調和を保って円滑に動作できるように各部へ指示を出す。
【0015】
(露光ヘッド)
次に、
図2を用いて、感光ドラム102を露光する露光ヘッド106を説明する。
図2は、感光ドラム102と露光ヘッド106の配置を示す図である。
図2(a)は、感光ドラム102に対する露光ヘッド106の配置を示す図である。
図2(b)は、発光素子群201から出射され、ロッドレンズアレイ203によって感光ドラム102へ集光される光束200を示す図である。露光ヘッド106及び感光ドラム102は、取り付け部材(不図示)によって画像形成装置1に取り付けられている。露光ヘッド106は、発光素子群201と、発光素子群201を実装したプリント基板202と、ロッドレンズアレイ203と、ロッドレンズアレイ203及びプリント基板202を取り付けるハウジング204と、を備える。工場では、露光ヘッド106単体の組み立て調整作業が行われる。組み立て調整作業において、集光位置でのスポットを所定サイズに調整するピント調整及び光量調整が行われる。ここで、感光ドラム102とロッドレンズアレイ203の間の距離及びロッドレンズアレイ203と発光素子群201の間の距離が所定の距離になるようにロッドレンズアレイ203が配置される。それによって、発光素子群201から出射された光束200は、ロッドレンズアレイ203によって感光ドラム102上に結像される。ピント調整においては、ロッドレンズアレイ203と発光素子群201との間の距離が所定の値になるように、ロッドレンズアレイ203の取り付け位置が調整される。また、光量調整においては、発光素子群201の各発光素子を個別に順次発光させ、ロッドレンズアレイ203によって集光された光の光量が所定の値になるように、各発光素子の駆動電流が調整される。
【0016】
(プリント基板)
次に、
図3を用いて、発光素子群201が実装されたプリント基板202を説明する。
図3は、プリント基板202を示す図である。プリント基板202は、発光素子群201が実装されている面(以下、発光素子実装面という)202aと、発光素子実装面202aと反対の面(以下、発光素子非実装面という)202bと、を備える。
図3(a)は、プリント基板202の発光素子非実装面202bを示す図である。発光素子非実装面202bには、コネクタ305が配置されている。コネクタ305は、画像コントローラ部700(
図7)からの制御信号ケーブル及び電源(不図示)からの電力ケーブルに接続される。制御信号ケーブルは、
図7を用いて後述するチップセレクト信号線705、クロック信号線706、画像データ信号線707、ライン同期信号線708及び通信信号線709を含む。
図3(b)は、プリント基板202の発光素子実装面202aを示す図である。発光素子群201は、互い違いに即ち千鳥状に配置された20個の発光素子アレイチップ400(1)、400(2)、・・・、400(19)及び400(20)から成る。発光素子アレイチップ400(1)~400(20)は、コネクタ305を介して、画像コントローラ部700から制御信号が入力され、電源(不図示)から電力が供給されて駆動される。発光素子アレイチップ400は、矩形状をしている。
【0017】
図3(c)は、発光素子アレイチップ400(2)と発光素子アレイチップ400(3)の間の境界部を示す図である。発光素子アレイチップ400(1)~400(20)の発光領域404のそれぞれには、複数の発光部602が露光ヘッド106の長手方向LDに所定のピッチLPで形成されている。長手方向LDは感光ドラム102の表面が移動する方向に直交する方向である。本実施例においては、一つの発光素子アレイチップ400に発光点として748個の発光部602が設けられている。発光部602は、面発光レーザ、面発光型ダイオードなどの面発光素子であるとよい。発光部602は、ボトムエミッション型の有機EL又はLEDであってもトップエミッション型の有機EL又はLEDであってもよい。本実施例では、長手方向LDに隣接する発光部602の所定のピッチLPは、1200dpiの解像度のピッチ(約21.16μm)である。発光素子アレイチップ400の発光領域404内における748個の発光部602の端から端までの距離は、約15.8mmである。発光素子群201は、20個の発光素子アレイチップ400を有し、14,960個の発光部602を有するので、約316mmの幅の画像を形成可能である。発光素子アレイチップ400(1)~400(20)は、千鳥状に二列に配置されている。発光素子アレイチップ400(1)~400(20)のそれぞれは、露光ヘッド106の長手方向LDに沿って配置される。例えば、発光素子アレイチップ400(1)と発光素子アレイチップ400(3)は、感光ドラム102Yの表面が移動する方向において発光素子アレイチップ400(2)や発光素子アレイチップ400(4)とずれて配置されている。さらに、発光素子アレイチップ400(1)~400(20)は、露光ヘッド106の長手方向LDにおいてオーバーラップする複数の領域を有する。
【0018】
図3(c)に示すように、発光素子アレイチップ400間(チップ間)の境界部においても、長手方向LDにおける発光部602(748)と602(1)の間のピッチLP0は、1200dpiの解像度のピッチ(約21.16μm)である(LP0=LP)。また、長手方向LDに垂直な方向において、二列の発光素子アレイチップ400の発光部602の間隔Sが約105μm(1200dpiで5画素分の間隔)になるように、発光素子アレイチップ400が配置される。
【0019】
(発光素子アレイチップ)
次に、
図4を用いて、発光素子アレイチップ(発光チップ)400を説明する。
図4は、発光素子アレイチップ400を示す図である。
図4において、X方向は露光ヘッド106の長手方向LDであり、Y方向は感光ドラム102の回転方向である。
図4(a)は、発光素子アレイチップ400の平面図である。発光素子アレイチップ400は、発光基板402と、発光基板402の上に配列された複数の発光部602を含む発光領域404と、発光基板402の上に形成された複数のワイヤボンディング用パッド(WBパッド)408と、封止領域409と、を備える。ワイヤボンディング用パッド408は、金属線によってプリント基板202に電気的に接続される。発光基板402には、発光領域404の駆動を制御するための制御回路としての回路部406が内蔵されている。回路部406としては、アナログ駆動回路、デジタル制御回路、又はその両方を含んだ回路を用いることができる。回路部406への電源供給及び発光素子アレイチップ400の外部との信号の入出力は、ワイヤボンディング用パッド408を通して行われる。
【0020】
封止領域409は、発光領域404及びその周囲の領域である。封止領域409において、封止材からなる封止層509(
図5)が、発光領域404の発光面及びその側面並びに発光領域404の周囲の発光基板402の上面(光を出射する発光面側の面)を覆っている。発光面の側から見たときに、封止材が施されている封止領域409は、発光領域404を内包している。封止層509については後述する。
図4(a)に示すように、発光領域404の左辺404Lから封止領域409の左辺409Lまでの距離をwb0とし、発光領域404の左辺404Lから発光基板402の左辺402Lまでの距離をwa0とする。発光領域404の右辺404Rから封止領域409の右辺409Rまでの距離をwb1とし、発光領域404の右辺404Rから発光基板402の右辺402Rまでの距離をwa1とする。発光領域404の下辺404Bから封止領域409の下辺409Bまでの距離をwb2とし、発光領域404の下辺404Bから発光基板402の下辺402Bまでの距離をwa2とする。発光領域404の上辺404Tから封止領域409の上辺409Tまでの距離をwb3とし、発光領域404の上辺404Tから発光基板402の上辺402Tまでの距離をwa3とする。
【0021】
発光素子アレイチップ400の二つの長辺の一方である下辺(第一の辺)402Bから下辺402Bに平行で直近にある封止領域409の下辺(一方の長辺)409Bまでの距離を第一の距離(wa2-wb2)とする。発光素子アレイチップ400の二つの長辺の他方である上辺(第二の辺)402Tから上辺402Tに平行で直近にある封止領域409の上辺(他方の長辺)409Tまでの距離を第二の距離(wa3-wb3)とする。第一の距離(wa2-wb2)は、第二の距離(wa3-wb3)より短いとよい。発光素子アレイチップ400の下辺(第一の辺)402Bから下辺402Bに平行で直近にある発光領域404の下辺(一方の長辺)404Bまでの距離wa2を第三の距離wa2とする。発光素子アレイチップ400の上辺(第二の辺)402Tから上辺402Tに平行で直近にある発光領域404の上辺(他方の長辺)404Tまでの距離wa3を第四の距離wa3とする。第三の距離wa2は、第四の距離wa3より短いとよい。
【0022】
発光素子アレイチップ400の二つの短辺の一方である左辺(第三の辺)402Lから左辺402Lに平行で直近にある封止領域409の左辺(一方の短辺)409Lまでの距離を第五の距離(wa0-wb0)とする。発光素子アレイチップ400の二つの短辺の他方である右辺(第四の辺)402Rから右辺402Rに平行で直近にある封止領域409の右辺(他方の短辺)409Rまでの距離を第六の距離(wa1-wb1)とする。第一の距離(wa2-wb2)は、第五の距離(wa0-wb0)及び第六の距離(wa1-wb1)より短いとよい。
【0023】
発光素子アレイチップ400の二つの短辺の一方である左辺(第三の辺)402Lから左辺402Lに平行で直近にある発光領域404の左辺(一方の短辺)404Lまでの距離wa0を第七の距離wa0とする。発光素子アレイチップ400の二つの短辺の他方である右辺(第四の辺)402Rから右辺402Rに平行で直近にある発光領域404の右辺(他方の短辺)404Rまでの距離wa1を第八の距離wa1とする。第三の距離wa2は、第七の距離wa0及び第八の距離wa1より短いとよい。
【0024】
本実施例では、距離wa0、wa1、wa2及びwa3の中で距離wa2が最小になるように、発光基板402に対する発光領域404の位置が決定されている。また、距離wb0、wb1、wb2及びwb3の中で距離wb2が最小になるように、封止領域409が形成されている。距離wb2は、発光領域404を封止するのに十分な長さを有する。このように距離wb2を最小にすることによって、長手方向LDに沿う一辺(
図4(a)において下辺402B)と発光領域404の下辺404Bとの間の距離wa2を最小化することができる。
【0025】
図4(b)を用いて、隣接する発光素子アレイチップ400の境界部(継ぎ目部分)を説明する。本実施例では、発光領域404との距離が最小である辺同士が向かい合うように、複数の発光素子アレイチップ400は、長手方向LDに延在する一つの直線410に沿って千鳥状に配置される。直線410は、露光ヘッド106の中心線であるとよいが、必ずしも中心線である必要は無い。
図4(b)は、一例として発光素子アレイチップ400(2)と発光素子アレイチップ400(3)の間の境界部を示す図である。発光素子アレイチップ400(2)の発光基板402の下辺402Bと発光素子アレイチップ400(3)の発光基板402の下辺402Bは、互いに向かい合って直線410上に配置されている。このように、隣接する発光素子アレイチップ400のそれぞれの下辺(第一の辺)402Bが部分的に互いに向かい合うように、複数の発光素子アレイチップ400が直線410に沿って千鳥状に配置される。Y方向において隣接する発光素子アレイチップ400の発光領域404の間の距離は、距離wa2の2倍である。各発光領域404と直線410との間の距離は、最小になる。ロッドレンズアレイ203が直線410上に配置されると、ロッドレンズアレイ203と発光領域404との間の距離も最小になる。これによって、光利用効率の低下を最小限に抑制することができる。
【0026】
(発光領域)
次に、
図5を用いて、発光領域404を説明する。
図5は、
図4(a)のV-V線に沿って取った発光素子アレイチップ400の部分拡大断面図である。なお、
図5中のZ方向は、X方向及びY方向に垂直で発光領域404から出射光510が出射される方向である。発光領域404は、複数の下部電極504、発光層506及び上部電極508を有する。封止領域409には、発光領域404を封止する封止層509が設けられている。複数の下部電極504は、発光基板402上に形成されている。発光層506は、発光基板402上に形成された複数の下部電極504上に形成されている。上部電極508は、発光層506上に形成されている。封止層509は、発光層506上に形成されている。
【0027】
下部電極504は、独立電極である。上部電極508は、共通電極である。
図5に示すように、下部電極504は、長手方向LDに平行なX方向に幅Wを有する。発光領域404には、複数個(本実施例において748個)の下部電極504がX方向に間隔sを空けて形成されている。発光層506は、下部電極504と上部電極508の間に形成されている。発光層506は、連続して形成されていても、下部電極504とほぼ同等の大きさに分断されて形成されていてもよい。複数の下部電極504のうちの選択された下部電極504と上部電極508とを介して発光層506へ通電することによって、選択された下部電極504に対応する発光層506の部分が発光し、上部電極508を通して出射光510を出射する。下部電極504は、発光層506の発光波長に対して反射率の高い銀(Ag)で形成されている。しかし、下部電極504は、アルミニウム(Al)又はその合金などの金属で形成されていてもよい。
【0028】
上部電極508は、発光層506の発光波長に対して透明である材料で形成されているので、上部電極508は、発光層506から出射される出射光510を透過させる。本実施例では、上部電極508は、酸化インジウム錫(ITO)で形成されている。発光層506は、例えば、有機EL膜で形成されている。しかし、発光層506は、有機EL膜以外の無機EL膜で形成されていてもよい。封止層509は、上部電極508の上面及び側面、発光層506の側面、下部電極504の側面、及び発光領域404の周囲の発光基板402の上面を覆うように設けられている。封止層509は、酸素及び水分を通さず、発光層506の発光波長に対して透明である封止材を用いる。
【0029】
(発光素子の配列)
以下、
図6を用いて、発光領域404上の発光部602を説明する。
図6は、発光部602を示す図である。
図6(a)は、複数の発光部602が列状に配置された発光領域404を示す図である。複数の発光部602(1)、602(2)、602(3)、・・・、602(n)は、X方向に所定のピッチLPで配置され、発光アレイ604を構成する。例えば、解像度が1200dpiであるときに、所定のピッチは21.16μmである。発光部602は、X方向において幅W1を有する。隣接する発光部602は、X方向において間隔s1を有する。発光層506が十分に薄い場合は、発光部602の寸法は、実質的に下部電極504の寸法と同じである。本実施例においては、発光部602の幅W1は、
図5に示す下部電極504の幅Wとみなしてよい。隣接する発光部602の間隔s1は、
図5に示す隣接する下部電極504の間隔sとみなしてよい。本実施例においては、発光部602の幅W1は、20.9μmである。隣接する発光部602の間隔s1は、0.26μmである。
【0030】
図6(b)は、発光アレイ604の断面図である。
図6(b)に示すように、複数個(本実施例において748個)の下部電極504のそれぞれは、X方向に幅W1を有する。複数個の下部電極504は、X方向に間隔s1を空けて配置され、発光アレイ604を構成している。発光部602のそれぞれは、下部電極504と、下部電極504に対向する上部電極508の部分と、下部電極504と上部電極508の部分との間の発光層506と、によって構成される。
図6(b)において、発光部602は、点線で囲んだ部分によって示される。
【0031】
(制御部)
次に、
図7を用いて、制御部750を説明する。制御部750は、画像コントローラ部700及びプリント基板202を含む。
図7は、画像コントローラ部700及びプリント基板202のブロック図である。ここでは、説明を簡易化するために制御部750による単色の処理を説明するが、制御部750は、同様の処理を4色同時に並列処理することができる。画像コントローラ部700は、画像データ生成部701、チップデータ変換部702、CPU703及び同期信号生成部704を有する。プリント基板202は、発光素子アレイチップ400(1)、400(2)、400(3)、・・・、400(20)及びヘッド情報保存部710を有する。
【0032】
(画像コントローラ部)
画像コントローラ部700は、プリント基板202を制御するための制御信号をプリント基板202へ送信する。制御信号は、画像データの有効範囲を表すチップセレクト信号、クロック信号、画像データ、画像データの1ライン毎の区切りを表す信号(以下、ライン同期信号という)及びCPU703との通信信号を含む。チップセレクト信号、クロック信号及び画像データは、画像コントローラ部700のチップデータ変換部702からチップセレクト信号線705、クロック信号線706及び画像データ信号線707を通して発光素子アレイチップ400へ送信される。ライン同期信号は、画像コントローラ部700の同期信号生成部704からライン同期信号線708を通して発光素子アレイチップ400へ送信される。通信信号は、CPU703から通信信号線709を通して発光素子アレイチップ400及びヘッド情報保存部710へ送信される。
【0033】
画像コントローラ部700は、画像データに対する処理と、印字タイミングに対する処理と、を行う。画像データ生成部701は、スキャナ部100又は外部装置から受信した画像データ(画像信号)に対して、CPU703によって指示された解像度でディザリング処理を行い、プリント出力のための画像データを生成する。本実施例では、1200dpiの解像度でディザリング処理が行われる。
【0034】
同期信号生成部704は、ライン同期信号を生成する。CPU703は、所定の回転速度で感光ドラム102の表面が回転方向(Y方向)に1200dpiの画素サイズ(約21.16μm)移動する周期を1ライン周期として、同期信号生成部704へ信号周期の時間間隔を指示する。例えば、シート搬送方向(Y方向)に200mm/sの速度で印字する場合、CPU703は、1ライン周期を105.8μs(小数点2桁以下省略)として時間間隔を同期信号生成部704へ指示する。なお、CPU703は、感光ドラム102の速度制御手段(不図示)に設定する印字速度の設定値(固定値)を用いて、シート搬送方向における速度を算出する。
【0035】
チップデータ変換部702は、同期信号生成部704によって生成されたライン同期信号に同期して1ライン分の画像データを発光素子アレイチップ400毎に分割する。チップデータ変換部702は、分割した画像データをクロック信号及びチップセレクト信号とともにプリント基板202へ送信する。
【0036】
(プリント基板)
次に、プリント基板202の構成を説明する。ヘッド情報保存部710は、各発光素子アレイチップ400の発光量及び実装位置情報などのヘッド情報を保存する記憶装置である。ヘッド情報保存部710は、通信信号線709を介してCPU703に接続されている。クロック信号線706、画像データ信号線707、ライン同期信号線708及び通信信号線709は、発光素子アレイチップ400の全てに接続されている。チップセレクト信号線705は、発光素子アレイチップ400(1)の入力に接続されている。発光素子アレイチップ400(1)の出力は、チップセレクト信号線711(1)を介して発光素子アレイチップ400(2)の入力に接続されている。発光素子アレイチップ400(2)の出力は、チップセレクト信号線711(2)を介して発光素子アレイチップ400(3)の入力に接続されている。以下、同様にして、チップセレクト信号線がそれぞれの発光素子アレイチップ400にカスケード接続されている。発光素子アレイチップ400のそれぞれは、入力されるチップセレクト信号、クロック信号、ライン同期信号、画像データ及び通信信号によって設定される設定値に基づいて上部電極508と下部電極504との間に電流を印加する。これによって上部電極508と下部電極504との間の発光層506(発光部602)が発光する。また、発光素子アレイチップ400のそれぞれは、次の発光素子アレイチップ400用のチップセレクト信号を生成する。
【0037】
(発光素子アレイチップ内の回路部)
図8は、発光素子アレイチップ400内の回路部406のブロック図である。発光素子アレイチップ400内の回路部406は、デジタル部800とアナログ部806から成る。デジタル部800へは、クロック信号線706、通信信号線709、チップセレクト信号線705、画像データ信号線707及びライン同期信号線708を通して、クロック信号、通信信号、チップセレクト信号、画像データ及びライン同期信号が入力される。デジタル部800は、通信信号によって予め設定された設定値、チップセレクト信号、画像データ及びライン同期信号に基づいて、クロック信号に同期して発光部602を発光させるためのパルス信号を生成する機能を有する。デジタル部800は、パルス信号をアナログ部806へ送信する。また、デジタル部800は、入力されたチップセレクト信号に基づいて、次の発光素子アレイチップ用のチップセレクト信号を生成する機能を有する。
【0038】
デジタル部800は、通信インターフェース部(以下、通信IF部という)801、レジスタ部802、チップセレクト信号生成部803、画像データ保存部804、パルス信号生成部805(1)、805(2)、・・・、805(748)を有する。通信IF部801は、CPU703から通信信号線709を通して入力される通信信号に基づいて、レジスタ部802への設定値の書き込み及び読み出しを制御する。レジスタ部802は、動作に必要な設定値を保存する。設定値は、画像データ保存部804によって使用される露光タイミング情報、パルス信号生成部805によって生成されるパルス信号の幅及び遅延情報、及びアナログ部806によって設定される駆動電流の設定情報を含む。チップセレクト信号生成部803は、チップセレクト信号線705を通して入力されたチップセレクト信号を遅延させ、次の発光素子アレイチップ400用のチップセレクト信号を生成する。チップセレクト信号生成部803は、次の発光素子アレイチップ400用のチップセレクト信号を、チップセレクト信号線711を通して次の発光素子アレイチップ400へ出力する。
【0039】
画像データ保存部804は、入力されたチップセレクト信号が有効な期間の画像データを保存し、ライン同期信号に同期して画像データをパルス信号生成部805へ出力する。パルス信号生成部805は、画像データ保存部804から入力された画像データに応じて、レジスタ部802に設定されたパルス信号の幅情報及び位相情報を基にパルス信号を生成し、アナログ部806へ出力する。アナログ部806は、デジタル部800によって生成されたパルス信号を基に、下部電極504へ駆動電流を供給する。
【0040】
(アナログ部)
図9は、アナログ部806のブロック図である。アナログ部806は、駆動部1001(1)、1001(2)、・・・、1001(748)、デジタルアナログ変換器(以下、DACという)1002及び駆動部選択部1007を有する。駆動部1001(1)、1001(2)、・・・、1001(748)は、748個の下部電極504をそれぞれ駆動する。パルス信号生成部805(1)、805(2)、・・・、805(748)は、下部電極504(1)~504(748)のONタイミングを制御するパルス信号を生成する。パルス信号生成部805(1)、805(2)、・・・、805(748)は、パルス信号を、信号線1006(1)、1006(2)、・・・、1006(748)を通して駆動部1001(1)、1001(2)、・・・、1001(748)へ入力する。
【0041】
DAC1002は、レジスタ部802に設定されたデータに基づき信号線1003を通して、駆動電流を決定するアナログ電圧を駆動部1001に設定する。駆動部選択部1007は、レジスタ部802に設定されたデータに基づき、駆動部1001を選択する駆動部セレクト信号を、信号線1004、1005、・・・を通して、駆動部1001へ送信する。駆動部セレクト信号は、選択された駆動部1001に接続されている信号のみがHi(ハイ)となるように生成される。例えば、駆動部1001(1)が選択される場合、信号線1004のみにHiが供給される。選択されていない駆動部1001(2)に接続されている信号線1005、・・・、選択されていない1001(748)に接続されている信号線1748などの他の信号線にはLowが供給される。駆動部1001は、駆動部選択部1007によってそれぞれ選択されたタイミング(駆動部セレクト信号がHiになるタイミング)で、信号線1003を通してアナログ電圧を設定する。CPU703は、レジスタ部802を介して駆動部1001を順次選択し、選択した駆動部1001に対応するアナログ電圧を設定することによって、一つのDAC1002によって全ての駆動部1001のアナログ電圧を設定する。前述した動作によって駆動部1001(1)、・・・、1001(748)へ駆動電流を決定するアナログ電圧とパルス信号が入力され、後述する駆動回路によって駆動電流と発光時間が独立して制御される。
【0042】
(駆動回路)
図10は、駆動部1001(1)の駆動回路を示す図である。なお、他の下部電極504(2)、・・・、504(748)を駆動する駆動部1001(2)、・・・、1001(748)の駆動回路も同様である。駆動部1001は、MOS型の電界効果トランジスタ(以下、MOSFETという)1102、1103、1104、1107、インバータ1105及びコンデンサ1106を有する。
【0043】
MOSFET1102は、ゲート電圧値に応じて下部電極504(1)へ駆動電流を供給する。MOSFET1102は、ゲート電圧がLowレベルであるときに駆動電流がオフ(消灯)するように、電流を制御する。MOSFET1104のゲートには、パルス信号生成部805からのパルス信号を伝送する信号線1006が接続されている。MOSFET1104は、パルス信号がHiであるときに、コンデンサ1106に充電された電圧をMOSFET1102へ受け渡す。MOSFET1107のゲートには、駆動部選択部1007からの駆動部セレクト信号を伝送する信号線1004が接続されている。MOSFET1107は、駆動部セレクト信号がHiであるときにオンし、DAC1002から信号線1003を通して供給されるアナログ電圧をコンデンサ1106へ充電する。本実施例においては、画像形成前のタイミングでDAC1002がコンデンサ1106へアナログ電圧を設定し、画像形成期間中はMOSFET1107をオフ状態にすることによって電圧レベルを保持し続ける。上記動作によって設定されたアナログ電圧及びパルス信号に従って、MOSFET1102は、駆動電流を下部電極504(1)へ供給する。
【0044】
下部電極504(1)の入力容量が大きくオフ時の応答速度が遅い場合は、MOSFET1103によってオフの速度を速めることが可能である。MOSFET1103のゲートへは、インバータ1105によってパルス信号を論理反転させた信号が入力している。パルス信号がLowのときに、MOSFET1103のゲートはHiになり、上部電極508と下部電極504(1)との間の入力容量に充電された電荷を強制的に放電する。
【0045】
以上のように、長手方向LDの下辺402Bと発光領域404の距離が最小になるように、発光領域404と封止領域409が発光基板402上に設けられている。下辺402Bが互いに向かい合うように複数の発光素子アレイチップ400がプリント基板202上に千鳥状に配置される。これによって、発光領域404とロッドレンズアレイ203との距離を必要最小限に抑え、光利用効率の低下を抑制することができる。
【符号の説明】
【0046】
400・・・発光素子アレイチップ
402・・・発光基板
402B・・・発光基板の下辺(第一の長辺)
402T・・・発光基板の上辺(第二の長辺)
404・・・発光領域
404B・・・発光領域の下辺(第三の長辺)
404T・・・発光領域の上辺(第四の長辺)
409・・・封止領域
409B・・・封止領域の下辺(第五の長辺)
409T・・・封止領域の上辺(第六の長辺)
602・・・発光部