(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-17
(45)【発行日】2024-12-25
(54)【発明の名称】デュアルキャリアインデックス変調(DC-IM)
(51)【国際特許分類】
H04L 27/26 20060101AFI20241218BHJP
H04J 13/16 20110101ALI20241218BHJP
【FI】
H04L27/26 110
H04L27/26 310
H04L27/26 410
H04J13/16
(21)【出願番号】P 2023520027
(86)(22)【出願日】2021-10-19
(86)【国際出願番号】 EP2021078968
(87)【国際公開番号】W WO2022084326
(87)【国際公開日】2022-04-28
【審査請求日】2023-04-26
(32)【優先日】2020-10-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】519061251
【氏名又は名称】ヴェステル・エレクトロニキ・サナイ・ヴェ・ティジャレット・ア・セ
(73)【特許権者】
【識別番号】523115601
【氏名又は名称】ケーオーシー ユニバーシティー
【氏名又は名称原語表記】KOC UNIVERSITY
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】ドグカン, アリ タグバーク
(72)【発明者】
【氏名】バサール, エルトゥールル
(72)【発明者】
【氏名】オズバキス, バサク
【審査官】吉江 一明
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-528974(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第108736948(CN,A)
【文献】MAO,T et al.,Dual-Mode Index Modulation Aided OFDM,IEEE Access, vol. 5,2016年08月19日,pp. 50-60,doi: 10.1109/ACCESS.2016.2601648.
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 27/26
H04J 13/16
IEEE Xplore
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線送信のための方法であって、
p個のビットの複数のグループを取得するステップであって、pが1よりも大きい整数である、取得するステップと、
p個のビットのグループについて、
(i)p個のビットの前記グループを、p
1個のビットの第1のサブグループとp
2個のビットの第2のサブグループとに分割することであって、p
1及びp
2が0よりも大きい整数である、分割すること、
(ii)前記p
1個のビットに基づいて、変調方式の複数の予め定められたシーケンスから変調方式のシーケンスを選択することであって、
前記予め定められたシーケンスが互いに異なり、
前記予め定められたシーケンスのそれぞれが長さRを有し、
Rが1よりも大きい整数である、選択すること、及び、
(iii)前記選択されたシーケンスのR個の変調方式によって、前記p
2個のビットをR個のサブキャリアにそれぞれマッピングすること、
を含む、送信信号を生成するステップと、
生成された前記送信信号を送信するステップと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記予め定められたシーケンスのそれぞれが、長さR=2を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1のサブグループが、p
1=log
2A個のビットのものであり、Aが前記予め定められたシーケンスの数であり、
前記予め定められたシーケンスに現れる各変調方式が、同じ数M個のシンボルを有し、前記第2のサブグループが、p
2=log
2M個のビットのものである、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記予め定められたシーケンスの任意の2つのシーケンス間のハミング距離がRであり、及び/又は、
前記予め定められたシーケンスの数Aが、前記予め定められたシーケンスに現れる相互に異なる変調方式の数Qよりも小さい又は数Qに等しい、
請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記予め定められたシーケンスI
k(1≦k≦A≦Q)のそれぞれが、
として与えられ、
x
i(1≦i≦Q)が、Q個の相互に異なる変調方式であり、
π
j(1≦j≦R)が{1,2,....、Q}のR個の順列である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記予め定められたシーケンスに現れる前記変調方式は、
位相シフトキーイング又は直交振幅変調方式を、M個のシンボルを有するグループに区分することによって取得することができ、及び/又は、
複素平面における回転によって相互に関係する、請求項4又は5に記載の方法。
【請求項7】
前記変調方式は、バイナリ位相シフトキーイング(BPSK)、及び、直交バイナリ位相シフトキーイング(QBPSK)を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
p個のビットの前記複数のグループの数が、
であり、ここでのNが、p個のビットのN
p個のグループを送信するのに使用されるサブキャリアの数であり、
及び/又は、
前記送信信号を前記生成することが、p個のビットの前記N
p個のグループのそれぞれについて、前記分割すること、前記選択すること、及び、前記マッピングすること、を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記N
p個のグループのそれぞれn番目のグループについて、前記R個のサブキャリアが、インデックスn、n+N/R、n+2N/R、...、n+(R-1)N/Rを有するサブキャリアである、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
無線受信のための方法であって、
送信信号を受信するステップと、
前記受信された送信信号から、p
1及びp
2が0よりも大きい整数であるp=p
1+p
2個のビットを取得するステップであって、前記受信された送信信号に最尤推定を実行することによって、p
1個のビットの第1のサブグループ及びp
2個のビットの第2のサブグループを決定することを含む、取得するステップと、
を含み、
(iv)前記p
2個のビットが、変調方式のシーケンスのうちのR個の変調方式によって、それぞれR個のサブキャリアにマッピングされ、前記Rが1よりも大きい整数であり、
(v)前記シーケンスが、変調方式の複数の予め定められたシーケンスのうちの1つのシーケンスであり、ここで、前記予め定められたシーケンスが互いに異なり、前記予め定められたシーケンスのそれぞれが長さRを有し、前記p
1個のビットを示す、
方法。
【請求項11】
前記複数の予め定められたシーケンスのそれぞれが、長さR=2を有する、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記第1のサブグループが、p
1=log
2A個のビットのものであり、Aが前記予め定められたシーケンスの数であり、
前記予め定められたシーケンスに現れる各変調方式が、同じ数M個のシンボルを有し、前記第2のサブグループが、p
2=log
2M個のビットのものである、請求項10又は11に記載の方法。
【請求項13】
前記予め定められたシーケンスの任意の2つのシーケンス間のハミング距離がRであり、及び/又は、
前記予め定められたシーケンスの数であるAが、前記予め定められたシーケンスに現れる相互に異なる変調方式の数Qよりも小さい又は数Qに等しい、
請求項10~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
pが1よりも大きい整数であるp個のビットの複数のグループを取得することと、
p個のビットのグループについて、
p個のビットの前記グループを、p
1個のビットの第1のサブグループとp
2個のビットの第2のサブグループとに分割することであって、p
1及びp
2が0よりも大きい整数である、分割すること、
前記p
1個のビットに基づいて、変調方式の複数の予め定められたシーケンスから変調方式のシーケンスを選択することであって、
前記予め定められたシーケンスが互いに異なり、
前記予め定められたシーケンスのそれぞれが長さRを有し、
Rが1よりも大きい整数である、当該選択すること、
並びに、
前記選択されたシーケンスのR個の変調方式によって、前記p
2個のビットをR個のサブキャリアにそれぞれマッピングすること、
を含む、送信信号を生成することと、
を行うように構成された回路と、
生成された前記送信信号を送信するように構成された送信機と、
を備える、送信装置。
【請求項15】
送信信号を受信するように構成された受信機と、
受信された前記送信信号から、p
1及びp
2が0よりも大きい整数であるp=p
1+p
2個のビットを取得することであって、前記受信された送信信号に最尤推定を実行することによって、p
1個のビットの第1のサブグループ及びp
2個のビットの第2のサブグループを決定することを含む当該取得すること、を行うように構成された回路と、
を備える受信装置であって、
前記p
2個のビットが、変調方式のシーケンスのうちのR個の変調方式によって、それぞれR個のサブキャリアにマッピングされ、Rが1よりも大きい整数であり、
前記シーケンスが、変調方式の複数の予め定められたシーケンスのうちの1つのシーケンスであり、
前記予め定められたシーケンスが互いに異なり、
前記予め定められたシーケンスのそれぞれが、長さRを有し、前記p
1個のビットを示す、
受信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は一般に、通信に関し、いくつかの特定の実施形態では、インデックス変調を使用する信号の伝送のための技法に関する。
【背景技術】
【0002】
今ではもう、無線通信は数十年にわたって進歩してきている。最近では、グローバル通信システム並びにローカルネットワークシステムが、直交周波数分割多重化(OFDM)に基づく技術を使用してきている。
【0003】
OFDMにおいては、複数のサブキャリア全体にわたって、データシンボルが同時に伝送される。ここでのデータシンボルとは、変調次数に応じて、1つ又は複数のデータビットを搬送することのできる変調シンボルを指す。同時にとは、1つのOFDMシンボル内を意味する。変調シンボルを伝送帯域のサブキャリアにマッピングすることによって、及び、次いで逆フーリエ変換(IFFT)によって、又は一般には逆直交変換によってサブキャリアを変換することによって、OFDMシンボルが得られる。次いで、送信するために、(ここでは時間領域での)OFDMシンボルが供給される。送信する前に、多入力多出力(MIMO)処理、又は何らかのさらなる信号処理に関連する操作など、さらに別の操作を使用してもよい。この送信は、適切な搬送周波数へのパルス整形、増幅、及び変調のうちの1つ又は複数をさらに含んでもよい。
【0004】
OFDMシンボルごとに、合計Nlog2Mの数のビットを送信することができ、ここで、N及びMはそれぞれ、リソースユニット(RU)内のサブキャリアの数及び変調次数である。リソースユニットとは、割当て可能なリソースの単位である。たとえば、割当て可能な最小のリソースユニットは、(時間領域での時間間隔に対応する)1つ又は複数のOFDMシンボルにおける複数のサブキャリアを含んでもよい。ここで、OFDMシステムのスペクトル効率を、log2Mで与えることができる。IEEE(米国電気電子技術者協会)の802.11(Wi-Fi)規格、たとえばIEEE.802.11ax(Wi-Fi6)では、様々な変調及び符号化方法(MCS)が、異なる変調次数及び符号化速度で定義されている。たとえば、MCS0は、バイナリ位相シフトキーイング(BPSK)(M=2)及び1/2符号化速度を有する方式である。MCS0では、log2M=1ビットのみを、サブキャリアごとに送信することができる。したがって、チャネル状態が悪いか、又は受信信号強度が低いときに、この方式を使用してもよい。信頼性をさらに改善するために、同じ又は異なるコンステレーションを有する1対のサブキャリア上で同じ入力ビットを変調する、デュアルキャリア変調(DCM)が導入されてきた。しかし、DCMの主な欠点の1つは、データ転送速度が半分に低下することである。
【0005】
高い誤り性能を依然として実現しながら、DCMのような方法のデータ転送速度を増加させることは、難易度の高いタスクである。
【発明の概要】
【0006】
インデックス変調を使用することによって、高いデータ転送速度及び誤り性能を可能にするための方法及び技法を説明する。
【0007】
本発明は、独立クレームによって定義される。いくつかの例示的な実装形態は、従属クレームによって提示される。
【0008】
たとえば、無線送信のための方法であって、p個のビットの複数のグループを取得するステップであり、pが1よりも大きい整数である、取得するステップと、p個のビットのグループについて、(i)このp個のビットのグループを、p1個のビットの第1のサブグループとp2個のビットの第2のサブグループとに分割することであり、p1及びp2が0よりも大きい整数である、分割すること、(ii)p1個のビットに基づいて、変調方式の複数の予め定められたシーケンスから変調方式のシーケンスを選択することであり、この予め定められたシーケンスが互いに異なり、この予め定められたシーケンスのそれぞれが長さRを有し、Rが1よりも大きい整数である、選択すること、及び、(iii)この選択されたシーケンスのR個の変調方式によって、p2個のビットをR個のサブキャリアにそれぞれマッピングすることを含む、送信信号を生成するステップと、生成されたこの送信信号を送信するステップとを含む、方法が提供される。
【0009】
さらに、無線受信のための方法であって、送信信号を受信するステップと、この受信された信号から、p1及びp2が0よりも大きい整数であるp=p1+p2個のビットを取得するステップであり、受信された送信信号に最尤推定を実行することによって、p1個のビットの第1のサブグループ及びp2個のビットの第2のサブグループを決定することを含む、取得するステップと、を含み、(i)p2個のビットが、変調方式のシーケンスのうちのR個の変調方式によって、それぞれR個のサブキャリアにマッピングされ、Rが1よりも大きい整数であり、(ii)このシーケンスが、変調方式の複数の予め定められたシーケンスのうちの1つのシーケンスであり、この予め定められたシーケンスが互いに異なり、この予め定められたシーケンスのそれぞれが、長さRを有し、p1個のビットを示す、方法が提供される。
【0010】
一実施形態によれば、送信装置が提供される。この装置は、pが1よりも大きい整数であるp個のビットの複数のグループを取得し、p個のビットのグループについて、(i)このp個のビットのグループを、p1個のビットの第1のサブグループとp2個のビットの第2のサブグループとに分割することであって、p1及びp2が0よりも大きい整数である、分割すること、(ii)p1個のビットに基づいて、変調方式の複数の予め定められたシーケンスから変調方式のシーケンスを選択することであって、この予め定められたシーケンスが互いに異なり、この予め定められたシーケンスのそれぞれが長さRを有し、Rが1よりも大きい整数である、選択すること、及び(iii)この選択されたシーケンスのR個の変調方式によって、p2個のビットをR個のサブキャリアにそれぞれマッピングすることを含む、送信信号を生成するように構成された回路と、生成されたこの送信信号を送信するように構成された送信機とを備える。
【0011】
一実施形態によれば、送信信号を受信するように構成された受信機と、この受信された信号から、p1及びp2が0よりも大きい整数であるp=p1+p2個のビットを取得し、受信された送信信号に最尤推定を実行することによって、p1個のビットの第1のサブグループ及びp2個のビットの第2のサブグループを決定することを含むように構成された回路とを備え、p2個のビットが、変調方式のシーケンスのうちのR個の変調方式によって、それぞれR個のサブキャリアにマッピングされ、Rが1よりも大きい整数であり、このシーケンスが、変調方式の複数の予め定められたシーケンスのうちの1つのシーケンスであり、この予め定められたシーケンスが互いに異なり、この予め定められたシーケンスのそれぞれが、長さRを有し、p1個のビットを示す、受信装置が提供される。
【0012】
前述の回路は、1つ若しくは複数のプロセッサ、及び/又は他の回路要素を備える処理回路など、任意の回路でもよい。
【0013】
ここに開示される主題の上記その他の特徴及び特性、並びに構造体の関連する要素の動作及び機能の方法、並びに部品の組合せ及び製造の経済性は、そのすべてが本明細書の一部を形成する添付図面を参照して、以下の説明及び添付の特許請求の範囲を考慮すると、より明白となろう。しかし、各図面は、もっぱら例示し、説明するためのものであり、開示される主題の限定を定義するものと意図されるものではないことを明示的に理解されたい。本明細書及び特許請求の範囲で使用されているように、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈から明らかにそうでないことが示されていなければ、複数の参照対象を含む。
【0014】
以下の各図を参照することにより、様々な実施形態の性質及び利点の理解を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図2】DCMによる、リソースユニットへのマッピングを示す概略図である。
【
図4a】送信装置によって実行される例示的なステップを示す流れ図である。
【
図4b】受信装置によって実行される例示的なステップを示す流れ図である。
【
図5】例示的な実施形態による、リソースユニットへのマッピングを示す概略図である。
【
図6】BPSK及び回転したBPSKのコンステレーションを示す概略図である。
【
図7】例示的な実装形態におけるビット誤り率を示すシミュレーション結果を示すグラフである。
【
図8】例示的な実装形態におけるパケット誤り率を示すシミュレーション結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
ある種の例示的な実装形態によれば、様々な図における同様の参照番号及びシンボルは、同様の要素を示す。
【0017】
以下で説明するために、「端部」、「上部」、「下部」、「右」、「左」、「垂直」、「水平」、「上端」、「下端」、「横方向」、「縦方向」という用語、及びこれらの派生語は、開示される主題が各図面において配向されるときの、この主題に関連するものとする。しかし、これとは反対に明示的に指定される場合を除いて、開示されるこの主題は、様々な代替の変形形態及びステップシーケンスを仮定できることを理解されたい。添付図面に示され、以下の明細書に説明される具体的な装置及びプロセスは、開示される主題の単なる例示的な実施形態又は態様であることも理解されたい。したがって、本明細書に開示される実施形態又は態様に関連する、具体的な寸法及び他の物理的特性は、別段の定めがない限り、限定的なものと考えるべきではない。
【0018】
本明細書において使用される態様、構成要素、要素、構造、動作、ステップ、機能、命令、及び/又は同様のものは、このように明示的に説明されていない限り、重要又は必須であると解釈すべきではない。また、本明細書では、冠詞「a」及び「an」は、1つ又は複数の項目を含むものであり、「1つ又は複数の」及び「少なくとも1つの」と区別なく使用することができる。さらに、本明細書で使用される場合、「セット(set)」という用語は、1つ又は複数の項目(たとえば、関係する項目、関係しない項目、関係する項目と関係しない項目との組合せなど)を含むものであり、「1つ又は複数の」又は「少なくとも1つの」と区別なく使用することができる。1つの項目のみが意図される場合、「1つの(one)」という用語、又は同様の言葉遣いが使用される。また、本明細書では、「has」、「have」、「having」などの用語は、非限定型の用語であることが意図される。さらに、「に基づく(based on)」という語句は、別段の記載が明示的にない限り、「に少なくとも部分的に基づく」を意味するものである。
【0019】
図1には、Txが送信機を表し、Rxが受信機を表す、例示的な通信システムCSが示してある。送信機Txは、インターフェースIfを介して、受信機Rxに信号を送信することができる。このインターフェースは、たとえば、無線インターフェースでもよい。このインターフェースは、送信機Tx及び受信機Rxによる送信及び受信用に使用することのできるリソースによって指定されてもよい。このようなリソースは、時間領域、周波数領域、符号領域、及び空間領域のうちの1つ又は複数(又は、そのすべて)において定義されてもよい。一般に、「送信機」及び「受信機」はまた、両方とも同じ装置に統合されてもよいことに留意されたい。すなわち、
図1での装置Tx及びRxは、それぞれRx及びTxの機能を含んでもよい。
【0020】
本開示は、特定のいかなる送信機Tx、受信機Rx、及び/又はインターフェースIfの実装形態にも限定されない。しかし、本開示は、既存のいくつかの通信システム、並びにそのようなシステムの拡張機能、又は新規の通信システムに容易に適用されてもよい。例示的な既存の通信システムは、たとえば、現在若しくは将来のリリースでの5G新無線(NR)、及び/又は最近研究されているIEEE.802.11beなどのIEEE.802.11ベースのシステムでもよい。
【0021】
背景の段落で説明した通り、OFDMは、現在かなり普及している広帯域マルチキャリア伝送技術であり、IEEE.802.11(Wi-Fi)、LTE(第4世代(4G)の移動体通信システムであるロングタームエボリューション)、新無線(第5世代(5G)に属するNR)など、数多くの規格で使用されてきた。OFDMでは、周波数帯はサブバンドに分割され、これらの帯域はサブキャリアと呼ばれる。コンステレーションを用いて入力ビットをマッピングすることによって得られるデータシンボルは、これらのサブキャリア全体にわたって同時に送信される。ある数のサブキャリアが、リソースユニット(RU)を形成する。たとえば、RUは、26個、52個、106個、242個、484個、又は996個のサブキャリアを含んでもよい。IEEE.802.11ax(Wi-Fi6)などのWi-Fi規格では、データ転送速度及び通信範囲を調整できるようにするMCSがいくつかある。たとえば、MCS0は、1/2の符号化速度を有するBPSKに対応し、あらゆるMCSの中で信頼性の最も高い通信及び最も低いデータ転送速度を実現する。通信範囲をさらに拡張し、Wi-Fiでの誤り性能を改善するために、データ転送速度を半分に低下させることを犠牲にして、DCMが導入されてきた。本開示は、OFDMシステムに容易に適用することができるが、これに限定されないことに留意されたい。本開示は、周波数分割多重化(FDM)など、一般に他の方式に適用されてもよいと考えられる。OFDM又はFDMは、FFTを使用することに限定されず、離散フーリエ変換(DFT)又は他の変換を使用してもよい。受信機側では、時間領域の信号が受信される。OFDMシンボルに属するサンプルは、高速フーリエ変換など、(順方向)変換によって変換される。以て、サブキャリアにマッピングされる変調シンボルが得られ、これがデマッピングされる。
【0022】
デュアルキャリア変調(DCM)
DCMは、OFDMベースの伝送方法に適用されてもよい変調方式である。DCMは、IEEE.802.11ax規格に関わってきており、MCS0、1、3、及び4で適用される。DCMでは、Nのサイズ(たとえば、N個のサブキャリア)を有するRUが、2つの部分に分割される。
【0023】
図2には、DCM-MCS0、すなわちBPSKに基づくDCMの例示的なマッピング方式が示してある。
【0024】
図2に示すように、RUの前半及び後半のデータシンボル(x_n及びx_m)は、同じ入力ビットによって決定されて、周波数ダイバーシチを実現し、ここで、n∈{1,...,N/2}及びm=N/2+nは、それぞれRUの前半及び後半のサブキャリアインデックスである。RUの前半及び後半のデータシンボルに入力ビットをマッピングするためには、同じ又は異なる変調方式を使用できることに留意されたい。ここでの変調という用語は、1つ又は複数のビットを、変調方式によって与えられる複数の信号点のうちから1つの信号点にマッピングすることを指す。変調方式における信号点の配置はまた、コンステレーションと呼ばれることもある。BPSKの場合、1ビットのデータが、1つのデータシンボル(変調シンボル)にマッピングされる。BPSKでは、実現可能な2つの信号点は、通常、正反対であり、互いにπ(180°)だけ異なるそれぞれ2つの位相を表す。
【0025】
より具体的には、DCM-MCS0によれば、ビットのN/2個のグループが、最初のN/2個のサブキャリア(たとえば、サブキャリアがそのインデックスに従って順序付けられるときの、最初のN/2個のサブキャリア)にそれぞれマッピングされる。さらに、ビットの同じN/2個のグループが、第2のN/2個のサブキャリア(たとえば、サブキャリアがそのインデックスに従って順序付けられるときの、最後のN/2個のサブキャリア)にそれぞれマッピングされる。この場合、BPSKマッピングが適用されるので、グループのサイズは1であり、このことはN/2個のグループのそれぞれが1ビットを含むことを意味する。すなわち、N個の入力ビットが、2つの分岐に分離する。第1の分岐では、N/2個のビットが、第1のBPSKマッピングによってデータシンボルx_nにマッピングされ、その一方で、第2の分岐では、残りのN/2個のビットが、第2のBPSKマッピングによってデータシンボルx_mにマッピングされる。
【0026】
DCMは、OFDMの2つの異なるサブキャリア上で同じ情報を伝送するので、信頼性の高い通信を実現し、通信範囲を拡大する。しかし、同じ理由から、従来のDCMの方法は、任意のMCSのデータ転送速度を半分にし、これは、無線通信ネットワークにおいて非常に重要な指標である。
【0027】
データ転送速度は、既存の無線通信ネットワークにおける効率のための重要な指標のうちの1つである。しかし、システム内でデータ転送速度が上昇するにつれて、通常、誤り性能は悪化する。前述のように、IEEE.802.11axなどのWi-Fi技術では、データ転送速度及び信頼性を調整するためのいくつかのMCSが存在する。たとえば、MCS0は、信頼性の最も高い方式であるが、それにもかかわらず、そのデータ転送速度は、上位層の変調を用いる方式と比較して低い。DCM技法は、MCSの信頼性を改善することができ、したがって、通信範囲を拡大することもできる。しかし、この技法は、データ転送速度を低下させる場合がある。IEEE.802.11beなど、非常に高いデータ転送速度を実現することを目標とする将来の無線通信技術では、データ転送速度の低下を回避又は低減することが望ましいはずである。我々の発明では、DCMに近い誤り性能を依然として実現しながら、DCMのこの欠点を克服する。
【0028】
実施形態
図3aには、いくつかの例示的な実施形態による送信装置350が示してある。この送信装置350は、STA若しくはAPなど任意の無線通信装置の一部でもよく、又は一般には基地局若しくは端末でもよい。送信装置350は、メモリ310、処理回路320、及び無線送受信機330(又は、無線送信機330)を備え、これらは、バス301を介して互いに通信することができてもよい。送信装置350は、ユーザインターフェース340をさらに備えてもよい。しかし、用途によっては、このユーザインターフェース340は必要ではない(たとえば、マシンツーマシン通信などのためのいくつかの装置)。
【0029】
メモリ310は、本開示のいくつかの実施形態を実装する、複数のファームウェアモジュール又はソフトウェアモジュールを記憶してもよい。メモリ310は、処理回路320によって読み取られてもよい。以て、この処理回路は、各実施形態を実装するファームウェア/ソフトウェアを実行するように構成されてもよい。処理回路320は、動作にあたって、p個のビットの複数のグループを取得し、送信信号を生成する、1つ又は複数のプロセッサを備えてもよい。送信信号の生成は、p個のビットのグループについて(又は、p個のビットの複数のグループのうちのp個のビットの各グループについて)、i)このp個のビットのグループを、p1個のビットの第1のサブグループとp2個のビットの第2のサブグループとに分割することと、ii)p1個のビットに基づいて、変調方式の複数の予め定められたシーケンスから変調方式のシーケンスを選択することであって、この予め定められたシーケンスが互いに異なり、この予め定められたシーケンスのそれぞれが長さRを有し、Rが1よりも大きい整数である、選択することと、iii)この選択されたシーケンスのR個の変調方式によって、p2個のビットをR個のサブキャリアにそれぞれマッピングすることとを含む。動作にあたって、無線送受信機330は、生成された送信信号を送信する。
【0030】
前述の送信装置に対応して、送信装置によって実行される(1つ又は複数の)無線送信用の通信方法が提供される。
図4aに示すように、この方法は、p個のビットの複数のグループを取得するステップS420を含む。この方法は、p個のビットのグループについて(又は、p個のビットの複数のグループのうちのp個のビットの各グループについて)、i)このp個のビットのグループを、p
1個のビットの第1のサブグループとp
2個のビットの第2のサブグループとに分割することと(S440)、ii)p
1個のビットに基づいて、変調方式(MS)の複数の予め定められたシーケンスから変調方式のシーケンスを選択することと(S450)、iii)この選択されたシーケンスのR個の変調方式によって、p
2個のビットをR個のサブキャリアにそれぞれマッピングすることと(S460)を含む、送信信号を生成するステップS430をさらに含む。さらに、この方法は、生成された(S430)送信信号を送信するステップS470を含む。さらに、この方法は、m個のビットを取得するステップS410を含んでもよい。以下に述べるように、次いで、このm個のビットから、ステップS420において、p個のビットの(1つ又は複数の)グループが取得されてもよい。
【0031】
送信信号を生成すること(S430)は、OFDM及び/又はさらなるデジタル処理(MIMOなど)、並びにアナログ処理(パルス整形、電力増幅、プリディストーション、システムの指定された周波数キャリアへの変調などのうちの1つ又は複数)を実行することをさらに含んでもよい。
【0032】
ビットのグループ
本開示において、m及びpは、一般に、1よりも大きい整数(又は自然数)であり、p1及びp2は、0よりも大きい整数であることに留意されたい。「xxxビットのグループ」及び「xxxビット」という用語は、区別なく使用され、長さ「xxx」を有する一連の0及び1を指すことにさらに留意されたい。すなわち、「xxxビット」のグループは、「xxxビット」から構成されてもよい。
【0033】
一般に、p個のビットは、m個のビットから取得されてもよい。このm個のビットは、たとえば、上位層から、又は、前方誤り訂正符号化、速度マッチング、インターリービングなどのうちの1つ若しくは複数を含んでもよい先行処理から取得されてもよい。これらのm個のビットは、予め定められたいくつかのパターンに従って、p個のビットのグループに分割(又は分離)されてもよい。たとえば、m個のビットの第1のp個のビットを、p個のビットの第1のグループに入れてもよく、以下同様である(より具体的には、p個のビットのn番目のグループは、m個のビットのうちの「(n×p)+1」番目のビット、「(n×p)×2」番目のビット、....、「(n+1)×p」番目までのビットを含むはずである)。本開示では、p個のビットのグループの数(カウント、量)はN
pと表される。一般に、(p個のビットの複数のグループにおける)p個のビットのグループの数(カウント、量)は、
でもよい。一般に、p個のビットの1つ又は複数のグループが存在してもよい。すなわち、数N
pは一般に、0よりも大きい整数である。すなわち、p個のビットの1つ又は複数のグループが存在してもよい(すなわち、N
p≧1)。
【0034】
送信信号を生成することは、p個のビットのNp個のグループのそれぞれについて、分割することと、選択することと、マッピングすることとを含んでもよいことに留意されたい。より具体的には、送信信号の生成は、p個のビットのNp個のグループのそれぞれについて、i)このp個のビットのグループを、p1個のビットの第1のサブグループとp2個のビットの第2のサブグループとに分割することと、ii)p1個のビットに基づいて、変調方式の複数の予め定められたシーケンスから変調方式のシーケンスを選択することと、iii)この選択されたシーケンスのR個の変調方式によって、p2個のビットをR個のサブキャリアにそれぞれマッピングすることとを含んでもよい。
【0035】
特に、分離する際には、p個のビットのNp個のグループのそれぞれが、同じ数のp1個のビット及びp2個のビットに分離されてもよい。すなわち、p個のビットのNp個のグループを分離することによって取得される第1のサブグループは、同じサイズ(ビットの数)を有してもよく、p個のビットのNp個のグループを分離することによって取得される第2のサブグループは、同じサイズ(ビットの数)を有してもよい。しかし、本発明は、これに限定されるものではなく、一般に、p個のビットのNp個のグループを様々なサイズのサブグループに分離してもよい。
【0036】
さらに、選択する際には、p個のビットのNp個のグループのそれぞれについて、変調方式の同じ複数の予め定められたシーケンスから、変調方式が選択されてもよい。しかし、本発明は、これに限定されるものではない。一般に、Np個のグループのそれぞれは、変調方式が選択される元の、これ自体の/対応する複数の予め定められたシーケンスを有してもよい。一般に、Np個のグループは、シーケンスが選択される元の、相互に異なる予め定められたシーケンスの同じ数Aを有する。さらに、Np個のグループの予め定められたシーケンスは、同じ長さRを有してもよい。p個のビットのNp個のグループのそれぞれについては、この選択が、p個のビットのそれぞれのグループを分離することによって取得されるp1個のビットの第1のサブグループに基づくことに、さらに留意されたい。
【0037】
さらに、マッピングする際には、Np個のグループのそれぞれのp2個のビットが、一般に、相互に異なるR個のサブキャリアにマッピングされる。すなわち、Np個のグループを分割することによって得られる第2のサブグループのそれぞれは、同じ数R個のサブキャリアにマッピングされてもよい。しかし、第2のサブグループがマッピングされる先のこれらの「Np×R」個のサブキャリアは一般に、相互に異なる。Np個のグループのそれぞれについては、(前記グループの第1のサブグループに基づいて)前記グループにおいて選択される変調方式のシーケンスを使用して、マッピングが実行されることにさらに留意されたい。
【0038】
本開示では、p個のビットのグループごとに(たとえば、各グループごとに)使用されるサブキャリアの数(量、カウント)はRと表され、p個のビットのNp個のグループを送信するのに使用されるサブキャリアの数(量、カウント)はNと表されることにさらに留意されたい。一般に、R及びNは、1よりも大きい整数である。
【0039】
一般に、m個のビットを、p個のビットの
個のグループに分離してもよい。mが「N/R×p」よりも大きい場合、m個のビットのうちの第1の「N/2×p」個のビットのみが、p個のビットのN/R個のグループにグループ化されてもよく、残りのビットは、後に送信されてもよいことに留意されたい。たとえば、(R=2に対応する)DCMが使用される場合、m個のビットは、それぞれがp個のビットを含むN/2個のグループに分離されてもよい。
【0040】
p個のビットのグループは、2つのグループに分離又は分割されてもよく、本開示では、これらは、それぞれ、p1個のビットの第1のサブグループ及びp2個の第2のサブグループと呼ばれる。たとえば、p個のビットのそれぞれは、(受信機と送信機の両方に知られている)予め定められた又は予め定義されたパターンに従って、第1のサブグループ又は第2のサブグループのいずれかに入れられてもよい。したがって、p1とp2の和は、p=p1+p2でもよい。たとえば、p個のビットの最初のp1は、第1のサブグループに入れられてもよく、p個のビットの最後のp2は、第2のサブグループに入れられてもよい。
【0041】
予め定められたシーケンスすなわちモード起動パターン(MAP)
本開示では、予め定められたシーケンスの数(量、カウント)はAと呼ばれ、予め定められたシーケンスに(たとえば、結合されたすべての予め定められたシーケンスに)現れる、相互に異なる変調方式の数(量、カウント)はQと呼ばれることに留意されたい。さらに、「予め定められたシーケンス」という用語、及び「モード起動パターン」という用語は、区別なく使用されることに留意されたい。
【0042】
一般に、予め定められたシーケンスは、同じ長さRを有してもよく、ここで、Rは1よりも大きい整数である。すなわち、予め定められた各シーケンスは、同じ数の要素(すなわち、変調方式)を有してもよい。一般に、予め定められたシーケンスの長さと、グループがマッピングされる先のサブキャリアの数とは同じでもよいことに留意されたい。
【0043】
一般に、予め定められたシーケンスは、相互に異なっていてもよい。たとえば、実施形態によっては、予め定められたシーケンスのうちの任意の2つのシーケンス間のハミング距離はRでもよい。これは、以下のように書いてもよい。
k≠lの場合、d(Ik,Il)=Rである。
ここで、k∈{1,2,....,Q}、l∈{1,2,....,Q}であり、d(v,z)は、vとzの間のハミング距離を表し、Ik及びIlは、予め定められた2つのシーケンスである。
【0044】
すなわち、実施形態によっては、予め定められた様々なシーケンスの各対において、ハミング距離はシーケンスの長さに等しい。すなわち、任意の2つのシーケンスは、それぞれの位置において異なる。
【0045】
ここで、変調方式の2つのシーケンス間のハミング距離は、対応する変調方式が異なる位置(シーケンスでの第1の位置、第2の位置、....、最後の位置)の数である。すなわち、第1のシーケンスと第2のシーケンスとの間のハミング距離は、第1のシーケンスの変調方式と第2のシーケンスの変調方式とが異なる位置の数である。より具体的には、第1のシーケンスの第1、第2、...、及び最後の変調方式が、それぞれ、第2のシーケンスの第1、第2、....、及び最後の変調方式と比較される。
【0046】
しかし、シングルトン限界(A≦QR-d+1)からは、ハミング距離Rを有するせいぜいA=Q個の異なるMAPを、Q個の異なるモードから生成することのみが可能でもよい。これに応じて、実施形態によっては、予め定められたシーケンスの数Aは、予め定められたシーケンスに現れる相互に異なる変調方式の数Qよりも小さいか、又は数Qに等しい。
【0047】
実施形態によっては(特に、DCMを使用するとき)、予め定められたシーケンスのそれぞれは、長さR=2を有する。すなわち、DCMを2つのサブキャリアで適用する場合、1つの/それぞれのMAPの長さは2(すなわち、ダイバーシチ次数が2)でもよい。さらに、R=2を有する実施形態の一部では、任意の2つのシーケンス間のハミング距離が2である。すなわち、実施形態によっては、あらゆるk≠lについて、条件d(Ik,Il)=2が満たされる。
【0048】
実施形態によっては、予め定められたシーケンスI
k(1≦k≦A≦Q)のそれぞれは、
として与えられ、ここで、x
i(1≦i≦Q)は、Q個の相互に異なる変調方式であり、π
j(1≦j≦R)は{1,2,....、Q}のR個の順列(たとえば、再順列化)である。
【0049】
たとえば、ハミング距離Rを有するQ個のMAPが、次式で与えられてもよい(1≦k≦Q)。
I
k={X
k,X
k,...,X
k}
を導入することによって、ここで
は、
において、対応する予め定められたシーケンス
のモードインデックスを表し、これは、I
k={k,k,...,k}と書くこともできる。ハミング距離Rを有するQ個のMAPについての別の例が、
I
k=(k,k+1,...,Q,1,2...,Q,1,2...,R)
上記の式で与えられる。
【0050】
さらに、R=2(DCM)での実施形態によっては、実現可能なMAPは、Ia=(a,b)として得られ、ここで、a∈{1,...,Q}であり、
b=-(a mod(-(Q+1))=-a mod(Q+1)=Q+1-aである。
【0051】
(モード又はコンステレーションとも呼ばれる)変調方式
一般に、予め定められたシーケンスに現れる各変調方式Xkは、同じ数(量、カウント)であるM個のシンボルを有する。すなわち、各変調方式Xkは、サイズがMの1組のシンボルである。さらに、Q個の相互に異なる変調方式は、シンボルに関して重複部分をもたないようなものでもよい。すなわち、Q個の相互に異なる変調方式のうち、2つ以上の変調方式に現れるシンボルは存在しない。これは、すべてのk≠lに対して、Xk∩Xl=φ、k∈{1,...,Q}、l∈{1,...,Q}と書くことができる。重なりなしのモードを使用することにより、送信機によって(たとえば、その回路によって)選択される変調方式のモードの、受信機による(たとえば、その回路による)容易な検出が可能になってもよい。
【0052】
実施形態によっては、予め定められたシーケンスに現れる変調方式は、位相シフトキーイング(PSK)又は直交振幅変調(QAM)方式を、M個のシンボルを有するグループに区分することによって取得することができ、及び/又は複素平面における回転によって相互に関係する。
【0053】
たとえば、変調方式(又はモード)には、バイナリ位相シフトキーイング(BPSK)、及び直交バイナリ位相シフトキーイング(QBPSK)が含まれる。これが
図6に示してある。すなわち、BPSKのコンステレーションでの2つのモードは、元のBPSKシンボル、及びその回転バージョンによって、それぞれX
1={1,-1}及びX
2={j,-j}として取得することができる(ここで、jは虚数単位、すなわちJ
2=-1を表す)。すなわち、第1の変調方式のシンボルは、BPSKのシンボル{1,-1}でもよく、第2の変調方式のシンボルは、複素平面上においてBPSKのシンボルをπ/2だけ回転させることによって取得されてもよい。第1及び第2の変調方式のシンボルは、QPSKのシンボル(又は、より一般には、4つのシンボルを有する変調方式のシンボル)を、2つのグループに分割することによって取得されてもよく、この2つのそれぞれが、第1及び第2の変調方式のうちの1つに対応する。たとえば、第1のBPSKマッピングは、0及び1を位相0及びπにマッピングし、第2のBPSKマッピングは、0及び1を位相π/2及び3π/2にマッピングし、これらは、前述の2つのBPSKコンステレーションに対応する。QPSK、及び対応する2つのBPSKマッピングは、一定の同じ角度、たとえばπ/4だけ回転されてもよいことに留意されたい。次いで、第1のBPSKマッピングは、0及び1を位相π/2及び5π/2にマッピングし、第2のBPSKマッピングは、0及び1を位相3π/2及び7π/2にマッピングする。これらは、それぞれが2つのシンボル(M=2)を有する、2つの変調方式(Q=2)をどのように取得するのかの例であった。
【0054】
たとえば、MCS0の場合、
図6にあるように2つのモードが定義されてもよく、d(I
1,I
2)=d(I
1,I
2)=2で周波数ダイバーシチを保存するように、MAPは、I
1=(1,2)及びI
2=(2,1)でもよい。したがって、この例では、MAPを選択することにより、サブキャリアの各対に総数p
1=1個のビットを送信することができ、これにより、p
2=1個のビットの各グループを、2つのサブキャリアのそれぞれにわたって送信することに起因するデータ転送速度の低下を補償できるようになることがある。
【0055】
一般に(すなわち、Q≧2、及びM≧2の場合)、少なくとも「Q×M」個のシンボルでコンステレーションを区分することによって、Q個の変調方式が取得されてもよい。たとえば、16QAMのシンボルは、それぞれ4個のシンボルを有する4個のグループ、それぞれ2個のシンボルを有する8個のグループ、又はそれぞれ8個のシンボルを有する2個のグループに分割することができる。これは、16QAMに限定されない。たとえば、任意のQAM(4QAM、8QAM、16QAM、32QAM、64QAM、256QAMなど)、又はPSK変調(4PSK、8PSK、16PSK、...)のシンボルが区分されてもよい。
【0056】
或いは、複素平面内でコンステレーションを回転させることにより(たとえば、各シンボルを回転させることにより)、所与の変調方式から新規の変調方式を取得することができる。所与の変調方式及び回転された変調方式は、同じ数のシンボルを有することになる。
【0057】
一般に、任意のコンステレーション、特に、任意のQAM及び任意のPSK変調を回転させて(追加の)変調方式を取得することができる。しかし、所与のコンステレーションを回転させることによって変調方式Xk(k∈{1,...,Q})を取得するとき、すべてのk≠lについて、Xk∩Xl=φ、(k∈{1,...,Q}、l∈{1,...,Q}という条件が満たされる角度だけ、前記所与のコンステレーションを回転しなければならない。
【0058】
(1つ又は複数の)MAPの選択
p個のビットの各グループについて、p個のビットのそれぞれのグループを、第1及び第2のサブグループに分割することによって取得されるp1個のビットであるそれぞれのp1個のビットに基づいて、(1つ又は複数の)MAPの選択が実行される。特に、前記p1個のビットの値に基づいて、前記選択を実行してもよい。実施形態によっては、どのMAPが選択されるかを、p1個のビットの値が決定する。
【0059】
一般に、MAPのそれぞれは、p1個のビットの取り得る値の(単一の)組合せに対応してもよく、又はこれに関連付けられてもよい。すなわち、各MAPは、p1個のビットのそれぞれについて、対応する値(たとえば、0又は1を示す値)を示すことができる。特に、選択する際に、p1個のビットに対応するMAPを選択してもよい。MAPとp1個のビットの値との間の関連付けは、予め定められてもよく、又は送信側と受信側の両方に知られていてもよい。したがって、MAPの選択、すなわち、どのMAPが選ばれるかの選択が、p1個のビットの値を示す。したがって、受信機においては、利用されるMAPからp1個のビットの値を決定することができる。
【0060】
特に、実施形態によっては、第1のサブグループは、p1=log2A個のビットのものである。すなわち、第2のグループは、p1=log2A個のビットを含み、又はそれから構成される。これらの実施形態では、あるMAPが選択される元の複数のMAPのうちのMAPと、p1個のビットの取り得る値との間には、1対1の対応関係が存在する。
【0061】
MAPを選択することによってビットの第2のサブグループを示すことにより、データ転送速度を増加させ、それでもなお良好な誤り訂正を可能にする。たとえば、少なくともM個の異なるMAPを有すること(たとえば、M以上のQを有すること)により、DCMを使用することに起因してデータ転送速度が半減するという欠点を克服/補償できることがある。特に、DCMと比較して、(R=2での)サブキャリアの対に使用されるマッピング方式(又はコンステレーション)は、1つ又は複数の追加の入力ビットに従って選択される。したがって、コンステレーションモードにインデックス変調(IM)を適用することによって、DCMのデータ転送速度を増加させながら、それでもなお、顕著な誤り性能によって信頼性の高い通信を実現することができる。たとえば、R=Q=A=2の場合、1対のサブキャリアごとに、DCM-MCS0と比較して、追加の1ビットを送信することが可能になることがある。さらに、特にR=2の場合、これにより、IEEE.802.11axの無線規格で既に使用されている、確立されたDCMアーキテクチャを使用することが可能になる。
【0062】
(1つ又は複数の)第2のサブグループのシンボル/サブキャリアへのマッピング
一般に、p個のビットのNp個のグループのそれぞれについて、p2個のビットが、R個のデータシンボルにマッピングされる。このマッピングは、p個のビットのこのグループのp1個のビットに基づいて選択されたMAPに従って実行されてもよい。ここにおいて、p2個のビットをマッピングするために、選択されたMAPのR個の変調方式のうちの1つの方式(たとえば、単一の方式)を使用することによって、R個のデータシンボルのそれぞれを取得することができる。したがって、R個のデータシンボルは、選択されたMAPのR個の変調方式に従って、p2個のビットにそれぞれ対応してもよい。すなわち、選択されたMAPに現れる各変調方式については、前記変調方式に従ってp2個のビットに対応するシンボルに、このp2個のビットがマッピングされる。これによって、一連のR個のシンボルが与えられ、そのR個のシンボルのそれぞれが、p2個のビットを示す。変調方式のそれぞれがM個のシンボルを有するので、第2のサブグループは、p2=log2M個のビットで含んでもよく、又はそれから構成されてもよい。
【0063】
さらに、p個のビットのNp個のグループのそれぞれについては、このグループのp1個のビットをシンボルにマッピングすることによって取得されるR個のデータシンボルが、R個のサブキャリアにそれぞれマッピングされてもよい。特に、実施形態によっては(特に、予め定められたシーケンスが長さR=2を有する場合の実施形態においては)、p個のビットの各グループのp1個のビットが、2つのサブキャリアにマッピングされる。一般に、Np個のグループのそれぞれについては、R個のデータシンボルがマッピングされることになるR個のサブキャリアが、予め定義されてもよく、又は予め定められてもよく(たとえば、上位層の信号伝達によって構成されてもよく)、特に、受信機に知られていてもよい。たとえば、実施形態によっては、Np個のグループのそれぞれn番目のグループについて、R個のサブキャリアは、インデックスn、n+N/R、n+2N/R、...、n+(R-1)N/Rを有するサブキャリアである。すなわち、n番目のグループのR個のシンボルがマッピングされる先のR個のサブキャリアは、インデックスn、n+N/R、n+2N/R、...、n+(R-1)N/Rを有するサブキャリアでもよい。
【0064】
より具体的には、p
1個のビットの値に基づいて、予め定められたシーケンス
を選択した後に、この選択済みの予め定められたシーケンスI
nの、R個の変調方式
、
、...、
をそれぞれ使用して、p個のビットのn番目のグループのp
2個のビットが、R個のデータシンボル
、
、...、
にマッピングされる。特に、n番目のグループの同じp
2個のビットは、前記R個のデータシンボルのそれぞれにマッピングされてもよい。ここで、
は、n番目のグループのシンボルを送信するのに使用されるi番目のサブキャリアのインデックスであり、p個のビットの様々なグループのR個のデータシンボルを区別するのに使用されてもよい。
【0065】
マッピングは、選択されたMAPに従って実行されてもよい。すなわち、MAPにおけるR個の変調方式の順序により、R個のサブキャリアのうちのいずれに、R個の取得済みデータシンボルのいずれがマッピングされるのかが決定されてもよい。たとえば、MAPの第1の変調方式(MS)を使用することによって取得されるシンボルは、R個のサブキャリアのインデックスのうち最も低いインデックスを有するサブキャリアにマッピングされてもよく、第2のMSを使用することによって取得されるシンボルは、R個のサブキャリアのうち2番目に低いインデックスを有するサブキャリアなどにマッピングされてもよい。
【0066】
一般に、(1つ又は複数の)MAPを決定した後に、DCMの場合と同じ処理を実行してもよい。これは、例示的なマッピングを示す
図5に示してある。
図5に示すように、p個のビットのグループがN/2個存在する(第1のグループ及びN/2番目のグループのみが明示的に図示されており、その他のグループが点で示してある)。p個のビットの各グループ(より具体的には、各グループのp
2個のビット)は、2個の(R=2)サブキャリアにマッピングされる。すなわち、p個のビットのN/2個のグループのそれぞれのp
2個のビットを、2個の(R=2)サブキャリアにマッピングすることによって、RUを形成してもよい。
【0067】
より具体的には、p個のビットのn番目のグループのp
2個のビットが、データシンボル
にマッピングされ、ここで、(・)
Tは転置を表す。このために、n番目のグループのp
1個のビットに基づいて選択されたMAPの変調方式を使用する(
図5では、選択されたこのMAPがI
nと表してある)。特に、第1のデータシンボル
は、前記MAPの第1の変調方式を使用して取得されてもよく、第2のデータシンボル
は、前記MAPの第2の変調方式を使用して取得されてもよい。すなわち、選択されたMAPの第1及び第2の変調方式を使用して、同じp
2個のビットをそれぞれマッピングすることによって、データシンボル
及び
が取得される。
【0068】
たとえば、p個のビットのn番目のグループのp
1個のビットが、MAP
を決定してもよく、ここで、n=1、...、N/2であり、
及び
が、それぞれn番目及びm番目のサブキャリア全体にわたって利用されるモードインデックスを表す。したがって、MAP I
nを決定/選択した後、n番目のグループのp
2個のビットは、モード(コンステレーション)
及び
を使用して、データシンボル
及び
にマッピングされる。
【0069】
図5に示す例では、n番目のグループのp
2個のビットをマッピングすることによって取得されるデータシンボル
、
が、それぞれインデックスn及びm=n+N/2を有するリソースユニット(RU)に配置される。すなわち、データシンボル
、
は、それぞれインデックスn及びm=n+N/2を有するサブキャリアにマッピングされる。p個のビットのn=N/2個のすべてのグループに、この処理を実行することによって、RUを構築してもよい。
【0070】
図3bには、いくつかの例示的な実施形態による受信装置355が示してある。受信装置355は、メモリ315、処理回路325、及び無線送受信機335(又は、無線受信機335)を備え、これらは、バス306を介して互いに通信することができてもよい。受信装置355は、ユーザインターフェース345をさらに備えてもよい。しかし、用途によっては、このユーザインターフェース345は必要ではない(たとえば、マシンツーマシン通信などのためのいくつかの装置)。
【0071】
送受信機/受信機335は、動作にあたっては、送信信号を受信する。処理回路325は、1つ又は複数のプロセッサを備えてもよく、このプロセッサは、動作にあたっては、受信した送信信号からp=p1+p2個のビットを取得し、ここで、p1及びp2はゼロより大きい整数である。この取得することは、受信した送信信号に最尤推定を実行することによって、p1個のビットの第1のサブグループ、及びp2個のビットの第2のサブグループを決定することを含む。このp2個のビットは、変調方式のシーケンスのうちのR個の変調方式によって、R個のサブキャリアにそれぞれマッピングされる(たとえば、受信信号を送信した送信装置によってマッピングされている)。さらに、Rは1よりも大きい整数であり、シーケンスは、変調方式の複数の予め定められたシーケンスのうちの1つのシーケンスである。さらに、予め定められたシーケンスは相互に異なり、この予め定められたシーケンスのそれぞれは、長さRを有し、p1個のビットを示す。
【0072】
前述の受信装置に対応して、受信装置によって実行される無線受信用の通信方法が提供される。
図4bに示すように、この方法は、送信信号を受信するステップ(S415)を含む。この方法は、受信した送信信号から、p=p
1+p
2個のビットを取得するステップ(S425)をさらに含み、ここで、p
1及びp
2は、0よりも大きい整数である。
図4bにさらに示すように、p個のビットを取得するステップ(S425)は、p個のビットのN
p個のグループのそれぞれに実行されてもよいことに留意されたい。取得するこのステップ(S425)は、受信した送信信号に最尤推定を実行すること(S445)によって、p
1個のビットの第1のサブグループ、及びp
2個のビットの第2のサブグループを決定するステップ(S435)を含む。より具体的には、MLの検出/推定を実行すること(S445)によって、MAP
及びシンボル
が決定又は推定されてもよい。ここで、上付き文字「n」は、ステップ(S425)が現在実行されているp個のビットのグループのインデックスである。一般に、MLの検出/推定は、受信信号に基づいて実行される。たとえば、MLの検出は、p個のビットのそれぞれのグループに関連付けられたR個のサブキャリアにおいて受信されるシンボルY
nに基づいてもよい。シンボル
は、前記R個のサブキャリアのそれぞれについてのシンボルを含んでもよいことに留意されたい。したがって、MLの検出により、p個のビットのそれぞれのグループに関連付けられたR個のサブキャリアのそれぞれについて、シンボルが推定/決定されてもよい。
【0073】
MLの検出において決定されるMAPは、A個の予め定められたMAP Ikのうちの1つであることに、さらに留意されたい。既にこれまで述べたように、これらの予め定められたMAPは、送信機及び受信機に知られていてもよい(たとえば、これらは、規格において定義されてもよく、又は上位層の信号伝達によって構成されてもよい)。
【0074】
さらに、取得するステップ(S435)は、MAPから(たとえば、A個の予め定められたMAP I
k(2≦k≦A)からMAP
を選択することから)p
1個のビットを決定するステップ(S455)を含んでもよい。さらに、取得するステップ(S435)は、決定されたシンボルから、p
2個のビットを決定するステップ(S465)を含んでもよい。これについては、以下でさらに説明する。
【0075】
前述の通り、このp2個のビットは、変調方式のシーケンスのうちのR個の変調方式によって、R個のサブキャリアにそれぞれマッピングされる(たとえば、受信信号を送信した送信装置によってマッピングされている)。このシーケンスは、変調方式の予め定められた複数のシーケンスのうちの1つのシーケンスである。さらに、予め定められたシーケンスは相互に異なり、この予め定められたシーケンスのそれぞれは、長さRを有し、p1個のビットを示す。より具体的には、予め定められた各シーケンスは、p1個のビットの値の1つの組合せを示す。すなわち、予め定められた各シーケンスは、p1個のビットのそれぞれについて、対応する値(たとえば、0又は1を示す値)を示す。
【0076】
受信機においては、高速フーリエ変換(FFT)を実行した後、(R=2個のサブキャリアにおいて)、サブキャリアn及びm=n+N/2での受信信号を、それぞれ次式で与えることができる。
ここで、h
n及びh
mは、それぞれサブキャリアn及びmのチャネルフェージング係数であり、w
n及びw
mは、周波数領域での雑音サンプルを表す。最尤(ML)検出規則を利用して、i)p個のビットのN
p個のグループのうちn番目のグループのp
1個のビットに基づいて選択されたMAP
、及び、ii)前記MAP
を使用するときに、前記n番目のグループのp
2個のビットがマッピングされる先のデータシンボル
を、次式に従って取得することができる(S445)。
ここで、R=2において、n番目のグループが、インデックスn及びm=n+N/2を有するサブキャリアを使用すると仮定すれば、Y
n=[y
n,y
m]
T、H
n=diag(h
n,h
m)
T)であり、diag(・)は対角化演算を表し、前述の通り
は、データシンボル
及び
を含む。
【0077】
一般には(R≧2、及びN
p個のグループのサブキャリアへの任意のマッピングパターン)、
、
、
、及び
であり、ここで、
は、n番目のグループのシンボルを送信するのに使用されるi番目のサブキャリアのインデックスであり、
は、インデックス
を有するサブキャリアにおいて受信される信号である。
【0078】
たとえば、MAP
及びシンボル
の共同決定は、
に従ったML検出に基づいて実行されてもよく、ここで、それぞれのX
kは、MAP
に対応する(又は、これと一致する)シンボルのあらゆるシーケンスを含む。
【0079】
数学的には、これを
と表してもよく、ここで、「X」はデカルト積を表す。MAP I
kは相互に異なり、様々な変調方式X
i(1≦i≦Q)には共通のシンボルがないので、それぞれのX
nは、X
kのうちの1つにのみ含まれる。すなわち、MAP I
kとシンボルシーケンスのセットX
kとの間には、1対1の対応関係が存在する。したがって、n番目のグループのp
2個のビットをマッピングするのに使用されるMAP
は、ML検出による
を含む、シンボルシーケンスのセットX
kに対応するMAP I
kとして決定されてもよい。
【0080】
すなわち、diag(v)は、ベクトルvの各要素に対応する対角線要素を有する対角行列(すなわち、その対角線要素以外に0を有する行列)である。受信機は一般に、(1つ又は複数の)MAP
とシンボル
との共同ML検出を実行してもよいことに留意されたい。しかし、本発明は、これに限定されるものではない。たとえば、受信機(たとえば、その処理回路)は、まずML検出を実行して、送信機が利用する(1つ又は複数の)MAPを決定し、この(1つ又は複数の)MAPが決定された後に、決定されたこの(1つ又は複数の)MAP
を使用して、シンボルのML検出を実行してもよい。
【0081】
ステップS455においては、ML検出によって決定された(S435)、決定済みのMAP
から、p
1個のビットを決定してもよい。
より具体的には、A個の予め定められたMAP I
k(2≦k≦A)から、MAP
を選択するのに基づいて、p
1個のビットが決定されてもよい。すなわち、このp
1個のビットは、A個の予め定められたMAPのいずれが、ML検出手段によって決定/検出されたかに基づいて決定されてもよい。
【0082】
特に、A個の予め定められたMAPのそれぞれは、p
1個のビットの値の特定の組合せ(たとえば、単一の組合せ)に関連付けられてもよく、又はそれに対応してもよい。予め定められたMAPと、値の組合せとの間のこれらの関連付けは、送信機及び受信機に知られていてもよい(たとえば、これらは、規格において定義されてもよく、又は上位層の信号伝達によって構成されてもよい)。したがって、ステップS455においては、p
1個のビットが、検出されたMAP
に対応する値を有すると判定することができる。
【0083】
すなわち、受信機においては、p個のビットのグループのp
1個のビットを、以下のように決定することができる。ML検出を実行して、p
2個のビットをR個のシンボルにマッピングするのに使用された、MAPを決定してもよい。特に、p個のビットの各グループについて、p
2個のビットがそれぞれにマッピングされる先の対応するR個のサブキャリアが、受信機に知られていてもよい。たとえば、前記対応するR個のサブキャリアは、(たとえば、規格において)予め定義されていてもよく、又は(たとえば、上位層の信号伝達により)送信機によって信号伝達/指示されてもよい。したがって、受信機は、R個のサブキャリアにおいて受信されたシンボルY
nについて、予め定められたMAPのうちのいずれが(すなわち、どのI
nが)、上記「argmin」式を最小化するかを決定してもよい。たとえば、「argmin」式を最小化するシンボル
が、予め定められたMAPのいずれに対応するかが決定されてもよい。
【0084】
さらに、ステップS465においては、ML検出によって決定されたシンボル
に基づいて、又はそれに従って、p
2個のビットが決定されてもよい。すなわち、R個の決定されたシンボル
、
、...、
のそれぞれが、一般に、p
2個のビットの値の特定の組合せ(たとえば、単一の組合せ)に対応する。すなわち、R個の決定されたシンボルのそれぞれは、p
2個のビットのそれぞれについて、対応する値(たとえば、0又は1を示す値)を示すことができる。
【0085】
したがって、ステップS465においては、p
2個のビットが、検出されたシンボル
に対応する値を有すると判定することができる。送信機は、p
2個のビットを、R個のサブキャリアのそれぞれにマッピングするので、このp
2個のビットの値は、一般に、検出されたシンボルのそれぞれに対応してもよい。R個の決定されたシンボル
、
、...、
が、(たとえば、不完全なチャネルに起因して)p
2個のビットの同じ値に対応しない場合、たとえば、p
2個のビットが、このp
2個のビットの他の任意の組合せよりも、決定されたシンボル
のより多くに対応する値の組合せを有すると判定されてもよい。
【0086】
実験結果/発明の利点
図5を参照して先に説明した方法(DCIM-MCS0と表され、Eはenhancedを表す)は、
図7を見て分かるように、データ転送速度を2倍にしながら、
図2を参照して説明したDCM-MCS0よりも、誤り性能がわずかに悪化するだけである。
図7には、符号化を追加することのないレイリーチャネルにおける、ビット誤り率(BER)に関するシミュレーション結果が示してある。DCM-MCS0のスペクトル効率が、1/2 log
22=0.5bps/Hzであり、提案されている方法のスペクトル効率は、log
22=1bps/Hzである。図を見て分かるように、DCIM-MCS0は、スペクトル効率が2倍になるとともに、それでもなお顕著な誤り性能を実現することができる。ここで、SNRとは、E
B/N
0と定義される、1ビット当たりの信号対雑音比を指し、ここで、E
Bは1ビット当たりの信号エネルギーであり、N
0は雑音スペクトル密度である。
【0087】
図8には、MCS0、DCM-MCS0、及び
図5に関連して説明した例示的な実装形態のパケット誤り率(PER)性能のシミュレーションの結果が示してある。シミュレーションに使用したチャネルモデルは、符号化、特に符号化率が1/2の畳込み符号化(CC)を用いるチャネルモデルBであった。さらに、このシミュレーションでは、1つのパケットは、960バイトの情報を含む。このシミュレーション結果を見て分かるように、DCIM-MCS0は、MCS0と同じデータ転送速度を実現しながら、はるかに良好な誤り性能を実現している。さらに、シミュレーションの結果には、DCM-MCS0とDCIM-MCS0の誤り性能はかなり近く、DCIMは、DCM-MCS0よりもはるかに高いスペクトル効率を実現することが示してある。
図7と同様に、SNRは、1ビット当たりE
B/N
0と定義される。
【0088】
これまでの説明を見て分かるように、本開示の実施形態によっては、それぞれの周波数に変調シンボルをマッピングする、比較的単純な構造を実現することができる。
【0089】
さらに、本開示は、2つの変調方式を選択することに限定はされない。実施形態によっては、3つ以上の変調方式を活用することができ、したがってモード選択についての柔軟性が増す。
【0090】
実施形態によっては、本明細書に記載の機能を実行する処理回路は、シングルチップ上の集積回路内に集積されてもよい。処理回路の出力は、時間領域での合成信号である。これは、送信するために、この処理回路が送受信機330に供給することのできる、離散的信号でもよい。処理回路はまた、送受信機330が信号を送信するように制御するための制御機能を実装してもよい。送受信機330は、生成された信号を搬送するシンボルによって信号を伝送するように(たとえば、処理回路によって)構成される。たとえば、処理回路320は、バス301を介して信号を伝送するように、送受信機330を構成(制御)してもよい。送受信機は、たとえば。無線送受信機でもよい。
【0091】
前述の通り、プログラムコードは、(たとえば、1つ又は複数のプロセッサを備える)処理回路が、本明細書に開示される技法を実行するようにプログラムされた専用コンピュータとして動作できるようにすることができる。
図3aには、メモリ310が、処理回路から分離されるように示してある。しかし、これはほんの一例である。一般に、メモリ310は、処理回路内、たとえば、1つ又は複数のプロセッサ内に実装されてもよい。「メモリ」という用語は、長期、短期、揮発性、不揮発性、又は他のメモリの任意のタイプを指し、メモリの任意の特定のタイプ、又はメモリの数、又はメモリが格納される媒体のタイプに限定されるものではない。
【0092】
ソフトウェア及びハードウェアでの実装形態
(送信機側及び受信機側での)本明細書に記載の方法論は、用途に応じて、様々な手段によって実施されてもよい。たとえば、これらの方法論は、ハードウェア、オペレーションシステム、ファームウェア、ソフトウェア、又はこれらのうちの2つ又はすべての任意の組合せで実装されてもよい。ハードウェアの実装では、任意の処理回路を使用してもよく、この処理回路は、1つ又は複数のプロセッサを備えてもよい。たとえば、ハードウェアは、特定用途向け集積回路(ASIC)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、デジタル信号処理装置(DSPD)、プログラマブル論理デバイス(PLD)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プロセッサ、コントローラ、任意の電子装置、又は前述の機能を実行するように設計された他の電子回路ユニット若しくは要素のうちの、1つ又は複数を備えてもよい。
【0093】
プログラムコードとして実装される場合、伝送機器(装置)によって実行される機能は、メモリ310又は他の任意のタイプの記憶装置など、持続的でコンピュータ読取り可能な記憶媒体に、1つ又は複数の命令又はコードとして記憶されてもよい。コンピュータ読取り可能な媒体は、物理的なコンピュータ記憶媒体を備え、これは、コンピュータが、又は一般に処理回路320がアクセスすることのできる、利用可能な任意の媒体でもよい。このようなコンピュータ読取り可能な媒体は、RAM、ROM、EEPROM、光ディスク記憶装置、磁気ディスク記憶装置、半導体記憶装置、又は他の記憶装置を備えてもよい。特定の非限定的な例には、コンパクトディスク(CD)、CD-ROM、レーザディスク、光ディスク、デジタル多用途ディスク(DVD)、ブルーレイディスク(BD)などが含まれる。様々な記憶媒体の組合せも実現可能であり、すなわち、分散型及び異種混在型の記憶装置を利用してもよい。
【0094】
前述の実施形態及び例示的な実装態様には、非限定的な例をいくつか示してある。特許請求される主題から逸脱することなく、様々な修正を加えてもよいことが理解される。たとえば、本明細書に記載の中心的な考え方から逸脱することなく、新規のシステム及び状況に各例を適合させるために、修正を加えてもよい。特に、上記の実施形態及び例示的な実装形態は、マルチ入力/マルチ出力(MIMO)互換であり、あらゆるMCSに適用することができる。
【0095】
選択された実施形態及び例
要約すると、無線伝送において、高い誤り性能でデータ転送速度を増加させる方法及び技法を説明する。p個のビットの複数のグループが取得され、ここでpは1よりも大きい整数である。さらに、送信信号が生成される。送信信号の生成は、p個のビットのグループについて、このp個のビットのグループを、p1個のビットの第1のサブグループとp2個のビットの第2のサブグループとに分割することを含み、ここで、p1及びp2は0よりも大きい整数である。さらに、p1個のビットに基づいて、変調方式の複数の予め定められたシーケンスから変調方式のシーケンスを選択する。予め定められたシーケンスは相互に異なり、この予め定められたシーケンスのそれぞれが、長さRを有し、ここで、Rは1よりも大きい整数である。さらに、p2個のビットは、選択されたシーケンスのR個の変調方式によって、それぞれR個のサブキャリアにマッピングされる。最終的に、生成された送信信号が送信される。
【0096】
無線送信のための方法であって、i)p個のビットの複数のグループを取得するステップであり、pが1よりも大きい整数である、取得するステップと、ii)p個のビットのグループについて、このp個のビットのグループを、p1個のビットの第1のサブグループとp2個のビットの第2のサブグループとに分割することであり、p1及びp2が0よりも大きい整数である、分割すること、p1個のビットに基づいて、変調方式の複数の予め定められたシーケンスから変調方式のシーケンスを選択することであり、この予め定められたシーケンスが互いに異なり、この予め定められたシーケンスのそれぞれが長さRを有し、Rが1よりも大きい整数である、選択すること、及び、この選択されたシーケンスのR個の変調方式によって、p2個のビットをR個のサブキャリアにそれぞれマッピングすることを含む、送信信号を生成するステップと、iii)生成されたこの送信信号を送信するステップとを含む、方法が提供される。
【0097】
実施形態によっては、予め定められたシーケンスのそれぞれは、長さR=2を有する。
【0098】
実施形態によっては、第1のサブグループは、p1=log2A個のビットのものであり、ここで、Aは予め定められたシーケンスの数であり、この予め定められたシーケンスに現れる各変調方式は、同じ数M個のシンボルを有し、第2のサブグループは、p2=log2M個のビットのものである。
【0099】
実施形態によっては、予め定められたシーケンスの任意の2つのシーケンス間のハミング距離はRであり、及び/又は、予め定められたシーケンスの数Aは、予め定められたシーケンスに現れる相互に異なる変調方式の数Qよりも小さいか、又は数Qに等しい。
【0100】
たとえば、予め定められたシーケンスI
k(1≦k≦A≦Q)のそれぞれは、
として与えられ、ここで、X
i(1≦i≦Q)は、Q個の相互に異なる変調方式であり、π
j(1≦j≦R)は{1,2,....、Q}のR個の順列である。
【0101】
実施形態によっては、予め定められたシーケンスに現れる変調方式は、位相シフトキーイング又は直交振幅変調方式を、M個のシンボルを有するグループに区分することによって取得することができ、及び/又は複素平面における回転によって相互に関係する。
【0102】
たとえば、変調方式には、バイナリ位相シフトキーイング(BPSK)、及び直交バイナリ位相シフトキーイング(QBPSK)が含まれる。
【0103】
実施形態によっては、p個のビットの複数のグループの数は
であり、ここで、Nは、p個のビットのN
p個のグループを送信するのに使用されるサブキャリアの数であり、及び/又は、この送信信号の生成は、p個のビットのN
p個のグループのそれぞれについて、分割、選択、及びマッピングを含む。
【0104】
実施形態によっては、Np個のグループのそれぞれn番目のグループについて、R個のサブキャリアは、インデックスn、n+N/R、n+2N/R、...、n+(R-1)N/Rを有するサブキャリアである。
【0105】
無線受信のための方法であって、i)送信信号を受信するステップと、ii)この受信された信号から、p1及びp2が0よりも大きい整数であるp=p1+p2個のビットを取得するステップであり、受信された送信信号に最尤推定を実行することによって、p1個のビットの第1のサブグループ及びp2個のビットの第2のサブグループを決定することを含む、取得するステップとを含み、p2個のビットが、変調方式のシーケンスのうちのR個の変調方式によって、それぞれR個のサブキャリアにマッピングされ、Rが1よりも大きい整数であり、このシーケンスが、変調方式の複数の予め定められたシーケンスのうちの1つのシーケンスであり、この予め定められたシーケンスが互いに異なり、この予め定められたシーケンスのそれぞれが長さRを有し、p1個のビットを示す、方法が提供される。
【0106】
実施形態によっては、複数の予め定められたシーケンスのそれぞれは、長さR=2を有する。
【0107】
実施形態によっては、第1のサブグループは、p1=log2A個のビットのものであり、Aは予め定められたシーケンスの数であり、この予め定められたシーケンスに現れる各変調方式は、同じ数M個のシンボルを有し、第2のサブグループは、p2=log2M個のビットのものである。
【0108】
実施形態によっては、予め定められたシーケンスの任意の2つのシーケンス間のハミング距離はRであり、及び/又は、予め定められたシーケンスの数Aは、予め定められたシーケンスに現れる相互に異なる変調方式の数Qよりも小さいか、又は数Qに等しい。
【0109】
送信装置であって、i)pが1よりも大きい整数であるp個のビットの複数のグループを取得し、ii)p個のビットのグループについて、このp個のビットのグループを、p1個のビットの第1のサブグループとp2個のビットの第2のサブグループとに分割することであり、p1及びp2が0よりも大きい整数である、分割すること、p1個のビットに基づいて、変調方式の複数の予め定められたシーケンスから変調方式のシーケンスを選択することであり、この予め定められたシーケンスが互いに異なり、この予め定められたシーケンスのそれぞれが長さRを有し、Rが1よりも大きい整数である、選択すること、及び、iii)この選択されたシーケンスのR個の変調方式によって、p2個のビットをR個のサブキャリアにそれぞれマッピングすることを含む、送信信号を生成するように構成された回路を備える、送信装置が提供される。さらに、送信装置は、生成された送信信号を送信するように構成された送信機を備える。
【0110】
送信信号を受信するように構成された受信機を備える、受信装置が提供される。さらに、この受信装置は、受信された信号から、p1及びp2が0よりも大きい整数であるp=p1+p2個のビットを取得し、受信された送信信号に最尤推定を実行することによって、p1個のビットの第1のサブグループ及びp2個のビットの第2のサブグループを決定することを含むように構成された回路を備え、p2個のビットが、変調方式のシーケンスのうちのR個の変調方式によって、それぞれR個のサブキャリアにマッピングされ、Rが1よりも大きい整数であり、このシーケンスが、変調方式の複数の予め定められたシーケンスのうちの1つのシーケンスであり、この予め定められたシーケンスが互いに異なり、この予め定められたシーケンスのそれぞれが長さRを有し、p1個のビットを示す。
【0111】
さらに、持続的な媒体に記憶され、コンピュータ又は処理回路によって実行されると、前述の方法のいずれかのステップを実行するコード命令を含む、コンピュータプログラムが提供される。
【0112】
いくつかの実施形態によれば、処理回路及び/又は送受信機は、集積回路(IC)に組み込まれる。
【0113】
最も実用的で好ましい実施形態であると現在考えられているものに基づいて例示するために、開示された主題を詳細に説明してきたが、このような詳細は、もっぱらその目的のためだけであり、開示された主題は、開示された実施形態に限定されるものではなく、それどころか、添付の特許請求の範囲の精神及び範囲内にある修正形態及び同等な構成を対象として含むものであることを理解されたい。たとえば、ここに開示された主題は、可能な範囲内で、任意の実施形態の1つ又は複数の特徴を、他の任意の実施形態の1つ又は複数の特徴と組み合わせることができることを企図するということを理解されたい。