IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アイシン精機株式会社の特許一覧 ▶ 本田技研工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-物体検出装置 図1
  • 特許-物体検出装置 図2
  • 特許-物体検出装置 図3
  • 特許-物体検出装置 図4
  • 特許-物体検出装置 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-17
(45)【発行日】2024-12-25
(54)【発明の名称】物体検出装置
(51)【国際特許分類】
   G01S 7/526 20060101AFI20241218BHJP
   G01S 7/527 20060101ALI20241218BHJP
   G01S 15/931 20200101ALI20241218BHJP
【FI】
G01S7/526 J
G01S7/527
G01S15/931
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2023532037
(86)(22)【出願日】2022-06-29
(86)【国際出願番号】 JP2022026080
(87)【国際公開番号】W WO2023277097
(87)【国際公開日】2023-01-05
【審査請求日】2023-11-07
(31)【優先権主張番号】P 2021109444
(32)【優先日】2021-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐々 浩一
(72)【発明者】
【氏名】崎内 拓哉
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 龍也
(72)【発明者】
【氏名】遠島 康平
【審査官】藤田 都志行
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-085131(JP,A)
【文献】特開2016-080639(JP,A)
【文献】特開2016-031355(JP,A)
【文献】特開2021-089209(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0302258(US,A1)
【文献】特開2013-242660(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/00- 7/64
G01S 13/00-17/95
(57)【特許請求の範囲】
【請求項3】
前記距離閾値は、前記送受信部の路面からの高さを示す設置高さよりも大きい、請求項1に記載の物体検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、物体検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両に搭載された超音波センサによる超音波の送受信の結果に基づいて、車両の周囲に存在する物体のうち検出対象を検出する物体検出装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6519115号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種の物体検出装置では、検出対象の検出精度が向上できれば有益である。
【0005】
本開示が解決しようとする課題の一つは、物体検出装置の検出対象の検出精度の向上を図ることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一例としての物体検出装置は、車両に搭載された送受信部による送信波の送信と前記送受信部による物体からの反射波の受信との結果に基づいて検出される前記送受信部から前記物体までの距離を示す検出距離と、前記送受信部が受信した前記反射波の強度を示す受信強度と、を取得する取得部と、強度閾値を超えた前記受信強度に基づいて、前記物体のうち検出対象を検出する検出部と、を備え、前記検出部は、前記検出距離が距離閾値以下であり、前記検出対象を検出した場合に、前記強度閾値を高くする。
【0007】
このような構成によれば、例えば、検出距離が距離閾値以下であり、検出対象を検出した場合に、強度閾値が高くなるので、検出部が検出対象以外の物体を誤って検出対象であると検出(誤検知)するのが抑制される。よって、物体検出装置の検出対象の検出精度を向上することができる。
【0008】
前記物体検出装置では、例えば、前記検出部は、前記検出距離が前記距離閾値以下であり、前記検出対象の検出の回数が加算された後、前記検出対象の検出の回数が回数閾値以上となった場合に、前記強度閾値を高くする。
【0009】
このような構成によれば、例えば、検出距離が距離閾値以下かつ検出対象の検出の回数が加算された後、検出対象の検出の回数が回数閾値以上となった場合に、強度閾値が高くなるので、検出部が検出対象以外の物体を誤って検出対象であると検出(誤検知)するのが抑制される。よって、物体検出装置の検出対象の検出精度を向上することができる。
【0010】
前記物体検出装置では、例えば、前記距離閾値は、前記送受信部の路面からの高さを示す設置高さよりも大きい。
【0011】
このような構成によれば、少なくとも車両の周囲において送受信部から送受信部の設置高さ以内に存在する検出対象を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、実施形態に係る車両の構成の一例を示す上面図である。
図2図2は、実施形態に係る車両制御装置の構成の一例を示すブロック図である。
図3図3は、実施形態に係る物体検出装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
図4図4は、実施形態においてTOFを利用した物体検出法の概要を説明するための包絡線を示す図である。
図5図5は、実施形態に係る物体検出装置が実行する物体検出処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本開示の実施形態について図面を参照して説明する。以下に記載する実施形態の構成、並びに当該構成によってもたらされる作用及び効果は一例であって、本発明は以下の記載内容に限定されるものではない。
【0014】
図1は、実施形態に係る車両1の構成の一例を示す上面図である。車両1は、本実施形態に係る物体検出装置が搭載される車両(移動体)の一例である。本実施形態に係る物体検出装置は、車両1から超音波を送信し物体からの反射波を受信することにより取得されるTOF(Time Of Flight)、ドップラーシフト情報等に基づき、車両1の周辺に存在する物体(他車両、構造物、歩行者等)を検出する装置である。
【0015】
本実施形態に係る物体検出装置は、複数の送受信部21A~21H(以下、複数の送受信部21A~21Hを区別する必要がない場合には送受信部21と略記する。)を有する。各送受信部21は、車両1の外装としての車体2に設置され、車体2の外側へ向けて超音波(送信波)を送信し、車体2の外側に存在する物体からの反射波を受信する。図1に示す例では、車体2の前端部に4つの送受信部21A~21Dが配置され、後端部に4つの送受信部21E~21Hが配置されている。なお、送受信部21の数及び設置位置は上記例に限定されるものではない。
【0016】
図2は、実施形態に係る車両制御装置50の構成の一例を示すブロック図である。車両制御装置50は、物体検出装置200から出力される情報に基づいて車両1を制御するための処理を行う。本実施形態に係る車両制御装置50は、ECU100及び物体検出装置200を含む。
【0017】
物体検出装置200は、複数の送受信部21及び制御部22を含む。各送受信部21は、圧電素子等を利用して構成される振動子211、増幅器等を含み、振動子211の振動により超音波の送受信を実現するものである。具体的には、各送受信部21は、振動子211の振動に応じて発生する超音波を送信波として送信し、当該送信波が物体Oにより反射された反射波によりもたらされる振動子211の振動を検出する。振動子211の振動は、電気信号に変換され、当該電気信号に基づいて送受信部21から物体Oまでの距離に対応するTOF、物体Oの相対速度に対応するドップラーシフト情報等を取得できる。
【0018】
本実施形態に係る送受信部21は、車両1の進行方向に対して平行又は略平行な方向に指向性を有する超音波を含む送信波を送信する。当該送信波には、送受信部21から鉛直方向下方へ進行する超音波(非指向性成分)が含まれる。
【0019】
なお、図2に示す例では、送信波の送信と反射波の受信との両方が単一の振動子211を利用して行われる構成が例示されているが、送受信部21の構成はこれに限定されるものではない。例えば、送信波の送信用の振動子と反射波の受信用の振動子とが個別に設けられた構成のように、送信側と受信側とが分離された構成であってもよい。
【0020】
制御部220は、入出力装置221、記憶装置222、及びプロセッサ223を含む。入出力装置221は、制御部220と外部(送受信部21、ECU100等)との間で情報の送受信を実現するためのインターフェースデバイスである。記憶装置222は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等の主記憶装置、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)等の補助記憶装置を含む。プロセッサ223は、制御部220の機能を実現するための各種処理を実行する集積回路であり、例えばプログラムに従い動作するCPU(Central Processing Unit)、特定用途
向けに設計されたASIC(Application Specific Integrated Circuit)等を含む。プロセッサ223は、記憶装置222に記憶されたプログラムを読み出して実行することで各種の演算処理及び制御処理を実行する。
【0021】
ECU100は、物体検出装置200等から取得される各種情報に基づき、車両1を制御するための各種処理を実行するユニットである。ECU100は、入出力装置110、記憶装置120、及びプロセッサ130を有する。入出力装置110は、ECU100と外部機構(物体検出装置200、駆動機構、制動機構、操舵機構、変速機構、車内ディスプレイ、スピーカ等)との間で情報の送受信を実現するためのインターフェースデバイスである。記憶装置120は、ROM、RAM等の主記憶装置、HDD、SSD等の補助記憶装置を含む。プロセッサ130は、ECU100の機能を実現するための各種処理を実行する集積回路であり、例えばCPU、ASIC等を含む。プロセッサ130は、記憶装置120に記憶されたプログラムを読み出して各種の演算処理及び制御処理を実行する。
【0022】
図3は、実施形態に係る物体検出装置200の機能構成の一例を示すブロック図である。本実施形態に係る物体検出装置200は、取得部301及び検出部302を含む。これらの機能的構成要素301,302は、図2に示すような物体検出装置200のハードウェア構成要素、及びファームウェア、プログラム等のソフトウェア構成要素の協働により実現される。
【0023】
取得部301は、各種情報を取得する。例えば、取得部301は、送受信部21により取得されたデータを処理し、各種情報を生成する。取得部301は、例えば、振動子211の振動に対応する電気信号に対する増幅処理、フィルタ処理、線処理等を行い、送受信部21により送信され物体Оにより反射された反射波の強度(振幅値)の経時的変化を示すエコー情報を生成する。上記反射波の強度は、送受信部21で受信された反射波の強度である。反射波の振幅値は、反射波の強度の一例である。送受信部21で受信された反射波の強度は、受信強度とも称される。取得部301は、当該エコー情報に基づいて、車両1の周辺に存在する物体Оに対応するTOFを検出し、送受信部21(車体2)から物体Оまでの距離である検出距離を算出すなわち取得する。
【0024】
図4は、実施形態においてTOFを利用した物体検出法の概要を説明するための包絡線を示す図である。図4には、送受信部21が送受信する超音波の強度の経時的変化を示すエコー情報としての包絡線が例示されている。図4に示すブラフにおいて、横軸は時間(TOF)に対応し、縦軸は送受信部21により送受信される超音波の強度に対応する。
【0025】
実線L11は、振動子211の振動の大きさを示す強度の経時的変化を示す包絡線の一例を表している。この実線L11からは、振動子211がタイミングt0から時間Taだけ駆動されて振動することで、タイミングt1で送信波の送信が完了し、その後タイミングt2に至るまでの時間Tbの間、慣性による振動子211の振動が減衰しながら継続する、ということが読み取れる。従って、図4に示されるグラフにおいては、時間Tbが、いわゆる残響時間に対応する。
【0026】
実線L11は、送信波の送信が開始したタイミングt0から時間Tpだけ経過したタイミングt4で、振動子211の振動の大きさが、一点鎖線L21で表される所定の強度閾値(閾値)を超える(又は以上になる)ピークを迎える。この強度閾値は、振動子211の振動が、検出対象の物体からの反射波の受信によってもたらされたものか、又は、検出対象外の物体からの反射波の受信によってもたらされたものかを識別するために予め設定される値である。ここでは、一点鎖線L21で示される強度閾値が一定値として示されているが、詳しくは後述するが強度閾値は変化する変動値である。強度閾値は、振幅閾値とも称される。また、検知対象は、障害物とも称される。
【0027】
一点鎖線L21で示される強度閾値を超えた(又は以上の)ピークを有する振動は、検出対象の物体Оからの反射波の受信によってもたらされたものとみなすことができる。一方、強度閾値以下の(又は未満の)ピークを有する振動は、検出対象外の物体Оからの反射波の受信によってもたらされたものだとみなすことができる。従って、実線L11からは、タイミングt4における振動子211の振動が、検出対象の物体Оからの反射波の受信によってもたらされたものである、ということが読み取れる。
【0028】
なお、実線L11においては、タイミングt4以降で、振動子211の振動が減衰している。従って、タイミングt4は、検出対象の物体Оからの反射波の受信が完了したタイミング、換言すればタイミングt1で最後に送信された送信波が反射波として戻ってくるタイミングに対応する。
【0029】
また、実線L11において、タイミングt4におけるピークの開始点としてのタイミングt3は、検出対象の物体Оからの反射波の受信が開始したタイミング、換言すればタイミングt0で最初に送信された送信波が反射波として戻ってくるタイミング、に対応する。従って、タイミングt3とタイミングt4との間の時間ΔTが、送信波の送信時間としての時間Taと等しくなる。
【0030】
上記を踏まえて、TOFを利用して物体Оまでの距離を求めるためには、送信波が送信され始めたタイミングt0と反射波が受信され始めたタイミングt3との間の時間Tfを求めることが必要となる。この時間Tfは、タイミングt0と反射波の強度が閾値を超えてピークを迎えるタイミングt4との差分としての時間Tpから、送信波の送信時間としての時間Taに等しい時間ΔTを差し引くことで求めることができる。
【0031】
送信波が送信され始めたタイミングt0は、物体検出装置200が動作を開始したタイミングとして容易に特定することができ、送信波の送信時間としての時間Taは、設定等によって予め定められている。従って、反射波の強度が閾値を超えてピークを迎えるタイミングt4を特定することにより、検出対象の物体Оまでの距離を求めることができる。
【0032】
以上のように、取得部301は、車両1に搭載された送受信部21による送信波の繰り返しの送信と送受信部21による物体Оからの反射波の受信との結果に基づいて検出される送受信部21から物体Оまでの距離を示す検出距離を取得する。また、取得部301は、送受信部21が受信した反射波の強度を示す受信強度を取得する。上記の検出距離及び受信強度は、送受信情報を構成する。すなわち、送受信情報は、検出距離及び受信強度を含む。
【0033】
検出部302は、強度閾値を超えた受信強度に基づいて、物体Оのうち検出対象を検出する。検出部302は、検出距離が距離閾値以下であり、検出対象を検出した場合に、強度閾値を高くする。例えば、検出部302は、検出距離が距離閾値以下かつ検出対象の検出の回数(以後、検出回数とも称する)が回数閾値以上となった場合に、強度閾値を高くする。例えば、検出部302は、検出距離が距離閾値以下であり、検出対象の検出の回数が加算された後、検出対象の検出の回数が回数閾値以上となった場合に、強度閾値を高くする。すなわち、検出部302は、送受信部21から所定距離内の物体Оの検出回数が所定の回数を超えた場合に、強度閾値を高くする。このように、検出部302は、強度閾値を動的に補正する。強度閾値には、例えば、二つの値があり、二つの値が択一的に選択される。二つの値は、小閾値及び大閾値である。小閾値は、大閾値よりも小さい。換言すると、大閾値は、小閾値よりも大きい。これら小閾値と大閾値とは、それぞれ、その値が予め設定されていてよい。また、小閾値と大閾値とは、一方が基準とされ、他方は基準に対する割合で決められてもよい。例えば、大閾値が基準の場合、小閾値は、大閾値に対する所定の割合に設定される。一例として、小閾値は、大閾値の6割である。なお、大閾値に対する小閾値の割合は、6割以外であってもよい。距離閾値は、例えば、予め設定された固定値である。距離閾値は、一例として、送受信部21の路面Gからの高さを示す設置高さよりも大きい。設置高さは、所定の状態の車両1における送受信部21の路面Gからの高さを示し、予め設定された固定値である。所定の状態の車両1は、例えば、乗員が乗車していない状態であってもよいし、定員数の乗員が乗車した状態であってもよい。なお、強度閾値及び距離閾値は、上記に限定されない。
【0034】
次に、物体検出装置200が実行する物体検出処理(物体検出方法)を図5に基づいて説明する。図5は、実施形態に係る物体検出装置200が実行する物体検出処理の一例を示すフローチャートである。
【0035】
図5に示すように、検出部302が、強度閾値を小閾値に設定する(S101)。これに伴い、送受信部21による送信の送信及び反射波の受信が行われる。
【0036】
次に、取得部301が、送受信部21による送信波の送信及び反射波の受信に基づく送受信情報を送受信部21から取得する(S102)。上述のとおり、送受信情報には、検出距離及び受信強度が含まれる。
【0037】
次に、検出部302が、送受信情報の受信強度に基づいて、物体Оのうち検出対象(確定候補)の検出が有りかを判定する(S103)。ここで、検出部302は、受信強度が強度閾値を超えた物体Оを検出対象として検出する。したがって、検出部302は、受信強度が強度閾値を超えた場合には検出対象が検出されたと判定し(S103:Yes)、S104に進む。一方、検出部302は、受信強度が強度閾値以下の場合には検出対象が検出されないと判定し(S103:No)、S109に進む。
【0038】
S104において、検出部302は、送受信情報に含まれる検出距離が距離閾値以下であるかを判定する。検出部302は、送受信情報に含まれる検出距離が距離閾値以下であると判定した場合には(S104:Yes)、S105に進む。一方、検出部302は、送受信情報に含まれる検出距離が距離閾値以下でない、すなわち、送受信情報に含まれる検出距離が距離閾値よりも大きいと判定した場合には(S104:No)、S109に進む。
【0039】
S105において、検出部302は、記憶装置120に設けられたカウンター領域において検出回数を1回加算する。ここで、記憶装置120に設けられたカウンター領域は、検出対象の検出の回数(以後、検出回数とも称する)を記憶する領域である。カウンター領域は、回数記憶部とも称される。
【0040】
次に、検出部302は、カウンター領域に記憶された検出回数が回数閾値以上であるかを判定する(S106)。ここで、回数閾値は、例えば固定値であり、一例として2回である。なお、回数閾値は、2回以外であってよい。検出部302は、カウンター領域に記憶された検出回数が回数閾値以上であると判定した場合には(S106:Yes)、S107に進む。一方、検出部302は、カウンター領域に記憶された検出回数が回数閾値以上でない、すなわち、カウンター領域に記憶された検出回数が回数閾値未満であると判定した場合には(S106:No)、S110に進む。
【0041】
S107において、検出部302は、強度閾値を大閾値に設定する。その後、検出部302は、S108に進む。
【0042】
S108において、検出部302は、検出対象判定処理を行う。具体的には、検出部302は、カウンター領域に記憶された検出回数が確定閾値以上であるかを判定する。確定閾値は、回数閾値よりも大きい閾値であり、一例として、3回である。なお、確定閾値は、3回以外であってもよい。検出部302は、カウンター領域に記憶された検出回数が確定閾値以上であると判定した場合には、物体Оは検出対象であると確定する。一方、検出部302は、カウンター領域に記憶された検出回数が確定閾値以上ではない、すなわち、カウンター領域に記憶された検出回数が確定閾値未満あると判定した場合には、物体Оが検出対象であるとの確定はしない。なお、物体Оが検出対象であるかの判定方法(確定方法)は、上記に限定されない。
【0043】
検出部302は、物体Оは検出対象であると確定した場合、物体Оが検出対象であると確定した旨を示す確定情報をECU100に送信する。ECU100は、確定情報を受信した場合、所定の処理を実行する。所定の処理は、車内ディスプレイやスピーカによって警報を出す警報処理や、制動機構によって車両1を制動させる制動処理等である。
【0044】
検出部302は、S109において、カウンター領域に記憶された検出回数をリセットする。すなわち、検出部302は、カウンター領域に記憶された検出回数を0回にする。
【0045】
また、検出部302は、S110において、強度閾値を小閾値に設定する。
【0046】
以上のように、検出部302は、検出距離が距離閾値以下(S104:Yes)かつ検出対象の検出回数が回数閾値以上となった場合に(S106:Yes)、強度閾値を高くする。
【0047】
また、検出部302は、検出対象が検出されない場合(S103:No)と、検出距離が距離閾値以下でない場合(S104:No)とには、検出回数をリセットして(S109)し、強度閾値を小閾値に設定し(S110)、その後、S108の処理を行う。この場合、S108においては、検出回数がリセットすなわち0になっているので、カウンター領域に記憶された検出回数が確定閾値以上ではない。よって、この場合には、検出部302は、S108において、物体Оが検出対象であるとの確定はしない。
【0048】
また、検出部302は、検出回数が回数閾値以上でない場合(S106:No)には、強度閾値を小閾値に設定し(S110)、その後、S108の処理を行う。この場合、検出回数が回数閾値以上でないので、検出回数は確定閾値以上ではない。よって、この場合、検出部302は、S108において、物体Оが検出対象であるとの確定はしない。
【0049】
以上のように、本実施形態では、物体検出装置200は、取得部301と、検出部302と、を備える。取得部301は、車両1に搭載された送受信部21による送信波の繰り返しの送信と送受信部21による物体Оからの反射波の受信との結果に基づいて検出される送受信部21から物体Оまでの距離を示す検出距離と、送受信部21が受信した反射波の強度を示す受信強度と、を取得する。検出部302は、強度閾値を超えた受信強度に基づいて、物体Оのうち検出対象を検出する。検出部302は、検出距離が距離閾値以下かつ検出対象の検出の回数が回数閾値以上となった場合に、強度閾値を高くする。
【0050】
このような構成によれば、例えば、検出距離が距離閾値以下かつ検出対象の検出の回数が回数閾値以上となった場合に、強度閾値が高くなるので、検出部302が検出対象以外の物体Оを誤って検出対象であると検出(誤検知)するのが抑制される。よって、物体検出装置200の検出対象の検出精度を向上することができる。
【0051】
例えば、物体Оが検出対象であると確定させる判定の際には、強度閾値が高いので、検出部302が検出対象以外の物体Оを誤って検出対象であると検出(誤検知)するのが抑制される。よって、例えば、検出対象ではない路面Gを検出対象として誤って検出することが抑制される。よって、誤検知による誤警報や制動機構の誤作動の発生が抑制される。
【0052】
また、上記構成によれば、検出距離が距離閾値よりも大きい場合には、強度閾値が低くなる。よって、例えば、車両1に対して遠距離にある反射の弱い物体Оからの反射波であっても、閾値を超えやすい。したがって、例えば、車両1に対して遠距離にある反射の弱い物体Оであっても検出および検出距離の算出をすることができる。
【0053】
また、距離閾値は、送受信部21の路面Gからの高さを示す設置高さよりも大きい。
【0054】
このような構成によれば、少なくとも車両1の周囲において送受信部21から送受信部21の設置高さ以内に存在する検出対象の物体Оを検出することができる。
【0055】
上記実施形態における各種機能を実現するための処理をコンピュータ(例えば制御部220のプロセッサ223、ECU100のプロセッサ130等)に実行させるプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD(Compact Disc)-
ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD-R(Recordable)、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供することが可能なものである。また、当該プログラムは、インターネット等のネットワーク経由で提供又は配布されてもよい。
【0056】
上記実施形態における検出部302は、検出距離が距離閾値以下かつ検出対象の検出の回数が回数閾値以上となった場合に、強度閾値が高くなるよう構成されているが、これに限定されない。検出部302は、検出距離が距離閾値以下であり、検出対象の検出の回数が加算された場合に、強度閾値を高くするように構成されてもよい。
【0057】
以上、本開示の実施形態について説明したが、上述した実施形態及びその変形例はあくまで例であって、発明の範囲を限定することは意図していない。上述した新規な実施形態及び変形例は、様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、及び変更を行うことができる。上述した実施形態及び変形例は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0058】
1…車両、21,21A~21H…送受信部、200…物体検出装置、301…取得部、302…検出部、G…路面、O…物体。
図1
図2
図3
図4
図5