(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-17
(45)【発行日】2024-12-25
(54)【発明の名称】ケーブル駆動のパラレルマニピュレータ制御機構と関連するシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
B25J 13/02 20060101AFI20241218BHJP
B25J 3/00 20060101ALI20241218BHJP
B25J 11/00 20060101ALI20241218BHJP
A61B 34/20 20160101ALN20241218BHJP
【FI】
B25J13/02
B25J3/00 Z
B25J11/00 D
A61B34/20
(21)【出願番号】P 2023535433
(86)(22)【出願日】2021-12-08
(86)【国際出願番号】 US2021062391
(87)【国際公開番号】W WO2022125655
(87)【国際公開日】2022-06-16
【審査請求日】2023-08-03
(32)【優先日】2020-12-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520421813
【氏名又は名称】マゼラン・バイオメディカル インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】タバラエイ,モハメド・アリ
(72)【発明者】
【氏名】クアドリ,アマール
(72)【発明者】
【氏名】ライト,グラハム・エー
(72)【発明者】
【氏名】セワニ,アリカーン
(72)【発明者】
【氏名】ゾウ,ジェームズ・ジーウェン
(72)【発明者】
【氏名】マグニン,クリストファー・ジェイ
【審査官】杉山 悟史
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2007/0113700(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0047705(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0374293(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2020/0015832(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00 ~ 21/02
A61B 34/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
受動的なケーブル制御を提供するケーブル駆動パラレルマニピュレータ制御機構であって、
制御面を有する制御部材を備え、制御面は三次元の外形を形成し、
移動ステージを備え、移動ステージは少なくとも2自由度を有し、制御部材に動作可能に連結されており、
ケーブル作動機構を備え、ケーブル作動機構は制御面の下方に位置しており、
ケーブル作動機構は、少なくとも一つのコネクタ機構と、複数のケーブルとを含み、コネクタ機構は制御面と接触するように拘束されており、ケーブルのそれぞれが第1端と第2端とを有し、
第1端は少なくとも一つのコネクタ機構の一つに接続されており、第2端は制御される装置に対して連結取付を提供するようになっており、
2次元平面に沿った制御部材の移動によって、少なくとも一つのコネクタ機構を2次元平面に対して垂直に移動させ、その結果
、制御部材の移動に
応じたケーブルの変位が生じることにより制御される装置が動かされる、ケーブル駆動パラレルマニピュレータ制御機構。
【請求項2】
請求項1に記載のケーブル駆動パラレルマニピュレータ制御機構であって、制御される装置が介入装置である、ケーブル駆動パラレルマニピュレータ制御機構。
【請求項3】
請求項1に記載のケーブル駆動パラレルマニピュレータ制御機構であって、三次元の外形が円錐形凹部である、ケーブル駆動パラレルマニピュレータ制御機構。
【請求項4】
請求項1に記載のケーブル駆動パラレルマニピュレータ制御機構であって、少なくとも一つのコネクタが複数のピストンを含み、それぞれのピストンが制御面に接触するように拘束されたばねとローラーとを含む、ケーブル駆動パラレルマニピュレータ制御機構。
【請求項5】
請求項1に記載のケーブル駆動パラレルマニピュレータ制御機構であって、少なくとも一つのコネクタが、ばねを一端に拘束するレバーを含む、ケーブル駆動パラレルマニピュレータ制御機構。
【請求項6】
請求項1に記載のケーブル駆動パラレルマニピュレータ制御機構であって、移動ステージが2自由度のシステムであり、移動ステージに制御部材が取り付けられており、制御部材が移動ステージ上を動作可能に摺動する、ケーブル駆動パラレルマニピュレータ制御機構。
【請求項7】
請求項6に記載のケーブル駆動パラレルマニピュレータ制御機構であって、2自由度のシステムが、2つの上軸マウントに取り付けられた2つの上軸を含み、
2つの上軸マウントが、2つの下軸マウントに取り付けられた2つの下軸上を摺動する、ケーブル駆動パラレルマニピュレータ制御機構。
【請求項8】
請求項1に記載のケーブル駆動パラレルマニピュレータ制御機構であって、移動ステージが平面ローラーシステムであり、平面ローラーシステム上に制御部材が取り付けられており、制御部材が平面ローラーシステム上を動作可能に摺動する、ケーブル駆動パラレルマニピュレータ制御機構。
【請求項9】
請求項8に記載のケーブル駆動パラレルマニピュレータ制御機構であって、平面ローラーシステムが上部ローラー面と、複数の垂直支持体と、取付板とを含む、ケーブル駆動パラレルマニピュレータ制御機構。
【請求項10】
請求項1に記載のケーブル駆動パラレルマニピュレータ制御機構であって、ケーブル作動機構が取付ブロックを含む、ケーブル駆動パラレルマニピュレータ制御機構。
【請求項11】
請求項1に記載のケーブル駆動パラレルマニピュレータ制御機構であって、複数のケーブルに接続されたギアリングシステムをさらに含む、ケーブル駆動パラレルマニピュレータ制御機構。
【請求項12】
請求項11に記載のケーブル駆動パラレルマニピュレータ制御機構であって、ギアリングシステムが介入装置にかかる力の大きさを増加させるように連動する、ケーブル駆動パラレルマニピュレータ制御機構。
【請求項13】
請求項1に記載のケーブル駆動パラレルマニピュレータ制御機構であって、制御部材の位置がジョイスティックで操作される、ケーブル駆動パラレルマニピュレータ制御機構。
【請求項14】
請求項1に記載のケーブル駆動パラレルマニピュレータ制御機構であって、ケーブル駆動機構がケーブルガイドを含む、ケーブル駆動パラレルマニピュレータ制御機構。
【請求項15】
請求項1に記載のケーブル駆動パラレルマニピュレータ制御機構であって、ケーブル駆動機構がピストンブロックを含む、ケーブル駆動パラレルマニピュレータ制御機構。
【請求項16】
請求項1に記載のケーブル駆動パラレルマニピュレータ制御機構であって、複数の位置センサが含まれており、制御面の少なくとも一つの位置を追跡し、かつ、複数のケーブルのうちの少なくとも一つの変位を追跡する、ケーブル駆動パラレルマニピュレータ制御機構。
【請求項17】
請求項1に記載のケーブル駆動パラレルマニピュレータ制御機構であって、制御される装置が、拡張可能なフレームを有する、ケーブル駆動の操縦可能なカテーテルである、ケーブル駆動パラレルマニピュレータ制御機構。
【請求項18】
請求項1に記載のケーブル駆動パラレルマニピュレータ制御機構であって、ケーブル駆動機構の複数のケーブルが3つ以上のケーブルを含み、それらが多角形形状のケーブル駆動機構に固定されている、ケーブル駆動パラレルマニピュレータ制御機構。
【請求項19】
請求項1に記載のケーブル駆動パラレルマニピュレータ制御機構であって、制御される装置が前方視撮像変換器を含む、ケーブル駆動パラレルマニピュレータ制御機構。
【請求項20】
請求項1に記載のケーブル駆動パラレルマニピュレータ制御機構であって、制御される装置がカテーテルである、ケーブル駆動パラレルマニピュレータ制御機構。
【請求項21】
請求項1に記載のケーブル駆動パラレルマニピュレータ制御機構であって、制御される装置が捜索・救助用途
のロボット装置である、ケーブル駆動パラレルマニピュレータ制御機構。
【請求項22】
請求項1に記載のケーブル駆動パラレルマニピュレータ制御機構であって、回転アクチュエータを用いて制御面の位置を動かす、ケーブル駆動パラレルマニピュレータ制御機構。
【請求項23】
複数のケーブルを制御する装置制御機構であって、
制御面を有する制御部材を備え、制御面が制御部材の底部において三次元円錐形凹部を形成し、これがカムガイド面として作用し、
制御部材に動作可能に連結された移動ステージを備え、
複数のピストンを備え、それぞれが下からガイド面に接触するように拘束されたばねとローラーとを含み、
複数のケーブルを備え、それぞれが第1端
部と第2端
部とを有し、第1端
部は複数のピストンのうちの1つに接続され、第2端
部は制御されるエンドエフェクタに接続されており、
複数のケーブルが緊張した状態に維持されて、かつ、対応する多角形形状の頂点として第1端
部及び第2端
部で固定されている、装置制御機構。
【請求項24】
請求項23に記載の装置制御機構であって、移動ステージは2自由度のシステムであり、移動ステージに制御部材が取り付けられて、制御部材が移動ステージ上を動作可能に摺動する、装置制御機構。
【請求項25】
請求項23に記載の装置制御機構であって、移動ステージが2自由度の平面ローラーシステムであり、平面ローラーシステムに制御部材が取り付けられて、制御部材が平面ローラー上を動作可能に摺動する、装置制御機構。
【請求項26】
請求項23に記載の装置制御機構であって、複数のピストンが少なくとも3つのピストンを含む、装置制御機構。
【請求項27】
請求項23に記載の装置制御機構であって、複数のケーブルに接続されたギアリングシステムをさらに含む、装置制御機構。
【請求項28】
請求項23に記載の装置制御機構であって、制御部材の位置がジョイスティックで操作される、装置制御機構。
【請求項29】
請求項23に記載の装置制御機構であって、複数の位置センサが含まれており、制御面の少なくとも一つの位置と、複数のケーブルのうちの少なくとも一つの変位とを追跡する、装置制御機構。
【請求項30】
請求項23に記載の装置制御機構であって、制御されるエンドエフェクタが介入装置である、装置制御機構。
【請求項31】
請求項30に記載の装置制御機構であって、介入装置が、拡張可能なフレームを有する、ケーブル駆動操作可能なカテーテルである、装置制御機構。
【請求項32】
請求項30に記載の装置制御機構であって、介入装置が前方視撮像変換器を含む、装置制御機構。
【請求項33】
請求項23に記載の装置制御機構であって、アクチュエータまたはモーターを用いて制御面の位置を動かす、装置制御機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ケーブルまたは紐を用いる装置及び関連するシステムの制御と作動のための機構に関する。この機構の実施形態は、心臓血管手術のための介入装置の操縦・追跡のための用途を有する。実施形態は、心臓・血管介入のためのガイドワイヤ、カテーテル、ニードル、及び撮像装置並びにアブレーション装置などの介入装置の制御及びナビゲーションに関連し得る。さらなる実施形態は、遠隔カメラの操作用途、連続体ロボティクスの用途、検査・救助の用途、及び狭い空間でのロボティクスのための操縦可能なロボティクスに関する。
【0002】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年12月10日に出願された「CABLE DRIVEN PARALLELMANIPULATOR CONTROL MECHANISM AND RELATED SYSTEMS AND METHODS」と題する米国仮特許出願63/123,981号の利益を主張するものであり、これは参照によりその全体が本明細書に援用される。
【0003】
本開示全体を通して「ケーブル」への言及は、例えば金属、布、ポリマー、または結晶などでできた任意のタイプの紐、ワイヤー、または類似の操作可能な部品に広く言及するものであると理解されなければならない。
【背景技術】
【0004】
医療用介入装置におけるケーブル駆動装置を制御するための過去のアプローチでは、ケーブルに取り付けられた電動ウィンチを使用することが多かった。これらのウィンチは、位置および張力のフィードバックを利用して、ケーブル長を比率調整(proportional adjustment)を可能とし、作業空間におけるエンドエフェクタを所望の位置に配置することができる。また、これらのウィンチを用いてケーブルの最適な張力を維持し、ケーブルのたわみ(張力の低下)を回避することもできる。
【0005】
概して、一定数のケーブルを備えるケーブル駆動機構では、同数のモーターを使用してエンドエフェクタの位置を制御する必要がある。このアプローチでは、ケーブルの本数が増えれば増えるほど、必要なアクチュエータの数も増え、制御のためのコストと複雑さが増すことになる。すべてのケーブルはエンドエフェクタに直接接続されているため、ケーブルの相互作用には固有の相互依存が存在する。要求された位置に配置するために、モーターは相互依存の動きを考慮して、すべてのケーブルを調整しなければならない。また、これらのシステムでは、ケーブルに由来する張力にてこ入れし、かつ、エンドエフェクタの操縦を可能にするために、利用可能な作業空間を取り囲むフレームが必要となる。例えば、4本のケーブルで駆動される2次元平面の作業空間を持つケーブル駆動型エンドエフェクタがありうる。ケーブルを巻き取る1つのモーターで任意の所定位置に移動するためには、他の3つのモーターでそれらに対応するケーブルを解放する必要がある。このことが正しく考慮されていないと、ケーブルの張力が増加してシステムを損傷させたり、その性能や精度を低下させたりする可能性がある。
【0006】
ケーブル駆動システムには、従来からロボティクスが用いられてきた。一般に、多くのロボット装置はマスター/スレーブシステムで構成され、「マスター」が入力を、「スレーブ」が出力を表す。この明細書の文脈においては、「マスター」はケーブルの操作方法を指し、「スレーブ」は、制御され、及び、遠隔操作される装置を指すものとする。直感的に操作するためには、マスターでの入力動作がスレーブでの出力動作に似ていることが重要である。
【0007】
ケーブル駆動システムの場合、ケーブルは、マスター入力ユニットの作動によるスレーブ装置の操作のために、ケーブルを支持するフレームとしての拡張可能な構造を活用することができる。様々な用途で、スレーブに接続された複数のケーブルを使用する必要がある。ケーブルの機械的な連結と相互接続には、スレーブの適切な制御と作動のために、入力マスターユニットでケーブルの比率調整を必要とする。モーター駆動のシステムでは、この要件は、所望の張力でそれぞれのケーブルの長さを調整するモーターの自動比率制御によって対応することができる。しかしながら、受動的なシステムでは、これらのケーブルの相互依存性を考慮し、システムの複雑さを軽減しながらケーブル長を比率調整することができる解決策が必要である。受動的マニュアルスレーブの構成を可能にする一方で、モーター駆動の構成のための、よりシンプルな解決策を可能にする適切な解決策が必要である。
【0008】
したがって、高い効果と利便性を有する所望の装置のケーブル駆動型エンドエフェクタの制御および作動を可能にし、過去の限界を克服する、改良された装置または解決策が望まれている。
【発明の概要】
【0009】
本明細書に記載の、または他の方法で企図される実施形態は、介入装置などの装置のケーブル駆動型エンドエフェクタの正確な制御、作動、および張力を実質的に提供する。本明細書に開示される実施形態は、2次元平面における装置の位置を制御するために、相互作用する複数のケーブルを同時に作動させられるようにする装置、システム、および方法に関するものである。
【0010】
一実施形態は、受動的なケーブル制御を行うケーブル駆動型パラレルマニピュレータの制御機構に関する。制御機構は、制御部材と、移動ステージと、ケーブル作動機構とを含む。制御部材は、3次元の輪郭(外形)を形成する制御面を含む。移動ステージは、少なくとも2自由度(DOF)を有し、制御部材に動作可能に連結される。ケーブル作動機構は、制御面の下方に位置し、少なくとも1つのコネクタ機構と複数のケーブルとを含む。少なくとも1つのコネクタ機構は、制御面に接触するように拘束される。複数のケーブルはそれぞれ第1端と第2端とを有し、第1端は少なくとも1つのコネクタ機構の1つに接続され、第2端は制御される装置への連結取り付けを提供する。さらに、制御部材が二次元平面に沿って移動することにより、少なくとも1つのコネクタが二次元平面に垂直に移動し、制御部材の移動に比例して制御される装置を作動させるケーブル変位が発生する。
【0011】
一実施形態は、複数のケーブルを制御する装置制御機構に関する。装置制御機構は制御面を有する制御部材を含む。制御面は、カムガイド面として機能する制御部材の底部に三次元円錐凹部を形成する。装置制御機構は、制御部材に動作可能に結合された移動ステージを含む。装置制御機構はさらに複数のピストンを含む。複数のピストンのそれぞれはガイド面に下方から接触するように拘束されたばねおよびローラーを含む。装置制御機構はまた複数のケーブルを含み、複数のケーブルのそれぞれは第1端と第2端とを有する、第1端は複数のピストンのうちの1つに接続され、第2端は介入装置などの制御されるエンドエフェクタに接続される。複数のケーブルは張力が維持され、対応する多角形形状の頂点として第1端および第2端に近接して固定される。
【0012】
特定の実施形態では、システムおよび方法は2自由度移動ステージに結合された制御面(例えば3次元円錐面など)を組み込んでおり、システムに入力を提供するためのマスター側として機能する。様々な実施形態において、含まれる各ケーブルの一端はピストンに接続され、ピストンは制御面に接触するように(例えばばねの利用によって)拘束される。ケーブルの他端は、制御される目的のスレーブ装置に結合される。制御面が2次元平面に沿って移動すると、ピストンは平面に対して垂直に移動し、その結果、ケーブルの変位が生じ、例えばカテーテルの遠位先端部などのスレーブのエンドエフェクタを作動させる。このようなシステムおよび方法により、利用者が制御面の位置を直接調整することができ、その結果、付属のケーブルを介してカテーテル先端部の対応する比率調整を行うことができる。
【0013】
実施形態によっては、ケーブル駆動機構を介して2次元で介入装置を作動及び制御するための機構を含む。この機構は、複数のばね付きカムフォロアと、カムとして機能する円錐形制御面とを含む。円錐形カムが2自由度で移動することで、カムフォロアの垂直な直線運動をもたらす。ケーブルは、一端がカムフォロアに結合され、他端が目的の装置に結合されており、フォロアが動くとケーブル変位が生じ、最終的には介入装置などのエンドエフェクタの操作につながる。このアプローチにより、カムプロファイルによって決定される比率でケーブルの長さを調整することができ、これにより一定の張力を維持し、たるみを回避することができる。その結果得られたシステムにより、正確な装置の位置制御、位置推定、触覚フィードバックを可能とする、完全に受動機構となり得る。このような装置の用途としては、介入手術や撮像、連続体ロボットとの統合、遠隔カメラ操作、捜索・救助用途、狭い空間のロボットなどが想定される。
【0014】
上記の概要は、例示した各実施形態または本明細書の主題のすべての実施形態を説明することを意図していない。図面および以下の詳細な説明は、様々な実施形態をより具体的に例示するものである。
【図面の簡単な説明】
【0015】
本明細書の主題は、添付図面と関連して以下の様々な実施形態の詳細な説明を考慮することで、より完全に理解することができる。
【
図1】
図1は、一実施形態による操縦可能な介入医療装置のための制御機構の等角図である。
【
図2】
図2は、一実施形態による
図1の制御機構の側面図である。
【
図3】
図3は、一実施形態による
図1の制御機構の断面図である。
【
図4A】
図4Aは、一実施形態による交互位置における
図1の制御機構の側方断面図であり、修正された操縦張力を示す。
【
図4B】
図4Bは、一実施形態による交互位置における
図1の制御機構の側方断面図であり、異なる修正された操縦張力を示す。
【
図5A】
図5Aは、一実施形態による交互位置における
図1の制御機構の端部断面図である。
【
図5B】
図5Bは、一実施形態による、交互位置における
図1の制御機構の端部断面図である。
【
図6】
図6は、一実施形態による、操縦可能な介入医療装置のための制御機能の等角図である。
【
図7】
図7は、一実施形態による、
図6の制御機構の側面図である。
【
図8】
図8は、一実施形態による、
図6の制御機構の側方断面図である。
【
図9A】
図9Aは、一実施形態による、交互位置における
図6の制御機構の側方断面図であり、修正された操縦張力を示す。
【
図9B】
図9Bは、一実施形態による、交互位置における
図6の制御機構の側方断面図であり、異なる修正された操縦張力を示す。
【
図11A】
図11Aは、一実施形態による、3次元制御面の位置決めを表す実施例の略図であり、これを用いて2次元平面におけるカテーテル先端の位置決めを制御することができる。
【
図11B】
図11Bは、一実施形態による、3次元制御面の位置決めを表す実施例の略図であり、これを用いて2次元平面におけるカテーテル先端の位置決めを制御することができる。
【
図11C】
図11Cは、一実施形態による、3次元制御面の位置決めを表す実施例の略図であり、これを用いて2次元平面におけるカテーテル先端の位置決めを制御することができる。
【
図11D】
図11Dは、一実施形態による、3次元制御面の位置決めを表す実施例の略図であり、これを用いて2次元平面におけるカテーテル先端の位置決めを制御することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
様々な実施形態は様々な修正形態および代替形態にする余地があるが、その詳細について図面の中の例により説明し、以下で詳細に説明する。なお、その意図は、請求項に記載した事項を、明細書に記載した特定の実施形態に限定することではないことを理解されたい。それどころか、その意図は特許請求の範囲によって定義される主題の主旨および範囲内にあるすべての修正物、均等物、および代替物を網羅することにある。
【0017】
図面の詳細な説明
本明細書に開示される実施形態は、ケーブル駆動型エンドエフェクタの作動および制御のための機構を含む。提案するシステムは様々な特徴を備えることができる。例えば、制御面を有する制御部材、移動ステージシステム(すなわち軸システム)、およびばね作動ピストンまたはレバーなどの少なくとも1つのコネクタ機構を有するケーブル作動機構などである。さらに、実施形態は、ケーブルの変位を追跡するためのギアボックスやエンコーダの追加などの変更を含むこともできる。
【0018】
図1~5Bは、一実施形態による制御機構100を描いている。制御機構100は、さらに、本開示において時折「操縦機構」と呼び、理解され得る。さらに、制御機構100は、本開示および特許請求の範囲を通じて時折「ケーブル駆動パラレルマニピュレータ制御機構」または「装置制御機構」を示すものとも理解することもでき、それは受動的なケーブル制御を提供する。そのようなケーブル駆動パラレルマニピュレータ制御機構は、実施形態によっては、受動的なケーブル制御を提供することができる。同様に、装置制御機構は、複数のケーブルを制御するものと理解され得る。
【0019】
様々な実施形態において、制御機構100は、移動ステージ(具体的には、
図1~5Bの2軸レールシステム120)に取り付けられた制御面112(下部凹部内)と入力面114(上部)とを有する制御部材110と、制御面112の下方に位置するケーブル作動機構130とを含む。なお、実施形態によっては、利用者が親指を動かすなどによる入力面114のユーザ操作を用いて制御機構100に対して入力を提供し得ることを理解されたい。制御機構100は、実施形態によっては、ハンドルまたは他のユーザ制御の一部であり得る。
【0020】
図2は、一実施形態による制御機構100の側面図である。図示のように、2軸レールシステム120は、上軸マウント122に取り付けられた2つの上軸121で構成されている。二軸レールシステム120は、より一般的には、二自由度システムであると理解することができ、その上に制御部材110が取り付けられ、動作可能に摺動する。二自由度システムは、本開示の目的上、単に二軸レールシステムに限定されない。制御部材110は上軸121上を摺動する。上軸マウント122は、下軸マウント124に取り付けられた2つの下軸123上を摺動する。ケーブル作動機構130は概して制御機構100の基部に位置し、ケーブル131および取付ブロック132を含むように示されている。
【0021】
図3は、一実施形態による、制御機構100の側方断面図である。図示のように、ケーブル作動機構130が断面図に描かれている。
図3ではすべてのピストンが見えるわけではないが、ケーブル作動機構130は4つのピストン133を含み、それぞれがばね134とローラー135とを有すると理解されるべきである。
【0022】
実施形態によっては、ピストン133は存在せず、代わりに、いくつかの他のタイプの少なくとも1つのコネクタ機構が存在する。実施形態によっては、少なくとも1つのコネクタ機構は、ケーブルをその面に接続するためのレバーまたは他の機構であり得る。例えば、レバーは、一端に備えられたばねとともに使用することができ、それは制御面によって拘束される。
【0023】
制御部材110が2軸レールシステム120上を摺動するとき、ばね134はローラー135をその制御面112に接触した状態に保持する。制御面112は三次元の外形を形成する。この特定の例では、三次元の外形は、三次元円錐凹型とすることができ、したがって、概して機構のためのカムとして機能することができる。制御面112の円錐形状は、張力を供給する必要なケーブル変位を確保し、かつ、目的の装置に比率調整を伝達するために有用な構造を提供する。
図11A~Dおよび制御面112の円錐形状に関連するその議論を参照されたい。他の三次元形状(外形)も同様に考えられ、かつ可能であり得る。
【0024】
ローラー135は、概してカムフォロアとして機能することができる。ローラー135は自由に回転し、制御面112の摩擦摩耗を低減することができる。ピストン133は、ローラー135を保持するためのリップを有する。ピストン133が取付ブロック132内で移動すると、ケーブル131は、関連する変位によって作動される。ケーブル131はケーブルガイド136を通過して、エンドエフェクタ(またはケーブル131の端部に取り付けられた介入装置の他の特徴)を、実施形態に関連して必要な位置へ作動させる。
【0025】
図4Aおよび
図4Bは、一実施形態による、制御面112が交互位置にある制御機構100の側方断面図である。ピストン133は、ばね134がローラー135を拘束して制御面112に接触するように作動したことが示されている。
【0026】
図5Aおよび
図5Bは、一実施形態による、制御面112が交互位置にある制御機構100の端部断面図を示す。ピストン133は、ばね134がローラー135を拘束して制御面112に接触するように作動したことが示されている。
【0027】
図6~10Bは、制御面駆動される、制御機構200の別の実施形態を示す。制御機構200は、本開示において時折、追加的に「操縦機構」と呼び、理解することができる。様々な実施形態において、制御機構200は、移動ステージ(具体的には
図6~10Bの平面ローラーシステム220)に取り付けられた制御面212(下部凹部内にある)とジョイスティック225(上部にある)とを有する制御部材210と、制御面212によって形成される凹部の下方かつ内部に位置するケーブル作動機構230とを含む。
【0028】
図7は一実施形態による制御機構200の側面図である。一実施形態として、平面ローラーシステム220(2自由度を有する移動ステージを構成する)は、上部ローラー面221を、取付板224に2つの垂直支持体222で取り付けた構成である。なお、2自由度を有する他の移動ステージも可能である。制御部材210は、上部ローラー面221とピストンブロック223との間に挟まれ、大ローラー227と小ローラー228とで接触点の荷重を分散させることができる。ジョイスティック225は、ジョイスティックマウント226によって制御部材210に接続されており、利用者が制御部材210およびその制御面212を手動で作動させられるようになっている。制御部材210が作動すると、大ローラー227および小ローラー228が転動して摩擦を減少させる。ケーブル作動機構230は、図示のケーブル231とガイドブロック232とを含む。
【0029】
図8は、一実施形態による制御機構200の側方断面図である。図示のように、ケーブル作動機構230は、断面において4つのピストン234を備え、それぞれがばね235およびローラー237を有している。具体的には、この実施形態では、ローラー237はボールである。制御面212が平面ローラーシステム220上を移動するとき、ばね235がローラー237を制御面212に接触させた状態に保持する。制御面212は、三次元の円錐凹部を形成し、それに応じて、概して機構にとってカムとして機能することができる。先に説明したように、 制御面212の円錐形は、この目的のために有利かつ有用であり得る。ケーブル231は、ケーブルマウント236によってピストン234内に固定されている。ケーブル231は、ガイドブロック232内のケーブルガイドを通ってガイドシャフト233上を移動する。これによりケーブル231に対する摩擦を低減する。ピストン234がピストンブロック223内を移動すると、ケーブル231は関連する変位によって作動される。ケーブル231は、その終端点まで続いて、エンドエフェクタ(またはケーブル231に取り付けられた介入装置の他の特徴)を、実施例に関連する必要な位置に作動させる。
【0030】
図9Aおよび
図9Bは、一実施形態による、制御部材210およびその制御面212が交互位置にある制御機構200の側方断面図である。ピストン234は、ばね235がローラー237を制御面212に接触するように押し付けて作動していることが示されている。
【0031】
図10Aおよび
図10Bは、一実施形態による、制御部材210およびその制御面212が交互の位置にある制御機構200の端部断面図である。ピストン234は、ばね235がローラー237を制御面212に接触するように押し付けて、作動していることが示されている。
【0032】
以下の説明と
図11A~Dは3次元制御面のための形状を示し、これは2次元平面における所望の装置(カテーテル先端など)のエンドエフェクタの位置決めを制御するために使用でき、逆円錐型であることが示されている。さらに、ハンドルの必要な形状及び、ユーザ入力と、結果として得られるエンドエフェクタの動きとの関係が、対応するものであることを示す。
【0033】
ここでは、エンドエフェクタを複数のケーブルで操作し、ケーブルのそれぞれが1つのアンカーをテコの支点として使用する。制御面は、エンドエフェクタ側のケーブルの長さの変化に合うように、ハンドル側のケーブルの長さを変化させる必要がある。ここでは、制御面をマスターと呼び、エンドエフェクタをスレーブと呼ぶ。それらに対応する座標系は、それぞれ上付き文字m、sで示す。
【0034】
スレーブとマスターとの間のギア比をαとする。つまり、マスター側でケーブルを1ミリ縮めると、ギアリングシステムがスレーブ側でαミリ縮むことになる。
【数1】
【0035】
スレーブ側のi
thアンカーの座標を
と呼び、ハンドルにおいて対応するピストンの座標を
とし、これら両方は一定になると仮定する。この説明は完全な普遍性を持って示されているため、複数のケーブル(iの値)のいずれにも個別に適用することが可能である。図では、一番右のケーブルに焦点をあてて説明している。
【0036】
制御面の変位を(xm,ym)と呼び、任意とみなされる。その結果生じるカテーテル先端の変位は(xs,ys)と呼び、表面の現在の変位と同様に固定された形状(すなわち、アンカーとピストンの位置および制御面の方程式(equation))の関数である。
【0037】
スレーブ側(2次元平面):
スレーブ側のケーブル長の変化は、カテーテルの位置1(
図11Aに示す)における初期ケーブル長(L
0)をとり、それをカテーテルの位置2(
図11Bに示す)における最終ケーブル長(L
f)から差し引くことにより算出する。
【数2】
【0038】
ピタゴラスの定理を用いて、アンカーの初期(
図11A)のケーブル長および最終(
図11B)のケーブル長を決定することができる。以下の式は、i
thのケーブルに関するものであり、iは任意である。
【数3】
【0039】
マスター側(立体面):
ケーブルは、ピストンを介して制御面に個別に拘束されている。それらは(カテーテル側のアンカーと同様に)それらの位置xとyで固定されているので、ケーブルの位置zはその位置での制御面の高さによって決まる。その制御面は、x軸とy軸に沿って自由に動くことができる。ケーブル長の変化は、ケーブルの初期垂直位置(z
0)(
図11Cに示す)を求め、それをケーブルの最終垂直位置(z
f)(
図11Dに示す)から差し引くことで計算する。
【数4】
【0040】
(制御)面中心に対するピストンの初期(
図11A)の位置xおよびyならびに最終(
図11B)の位置xおよびyを決定することができる。最終的なx、yの位置は、表面の変位にも依存する。これにより、位置をxとyの関数としての表面の高さの方程式の観点に置くことができる。
【数5】
【0041】
と
との間の関係はケーブル長の維持による。ハンドルにおけるケーブル長を長くすると、カテーテル先端部のケーブル長が短くなるため、負の関係が発生する。さらに、ギアリングにより、ハンドルにおけるケーブル長をαミリメートル長くするには、カテーテル先端のケーブル長を1ミリ短くさせる必要がある。従って、
【数6】
【数7】
【0042】
したがって、この等式の両辺をエレガントに合わせるには、次のような面の方程式がよく適している。
【数8】
【0043】
これは、主張するように傾きが1の円錐の方程式である。高さオフセットH0は任意であり、結果とは関係ない。したがって、都合の良い任意の高さオフセットを使用することができる。
【0044】
さらに、このアプローチでは、ハンドルにおけるピストンの形状は、カテーテル先端のアンカーの形状を縮小したものとなるべきであることを示唆している。
【数9】
【0045】
さらに、カテーテル先端の変位が制御面の変位の拡大版であることを明示的に記述している。
【数10】
【0046】
円錐の傾きは1以外の数値に変更してもよい。例えば傾きを2に変更するとケーブルの変位が2倍になり、緊張(tensioning)システムのギア比を1/2にすることで全体の出力が変わらないように組み合わせることができる。これは、ハンドルの必要幅を減少させ、人間工学を改善することができるので有用となり得る。
【0047】
したがって、この説明および
図11A~Dによって示されるように、制御面212に三次元円錐形状を使用することによって、制御機構に望ましい物理的構造が提供され、特に有用な装置を実現することができる。
【0048】
制御機構(例えば100、200など)は、ケーブル駆動装置に対して広く適用できる。さらに、ケーブル駆動のマスター/スレーブシステムには多くの応用がある。一つの用途として、低侵襲性のカテーテルベースの処置に見出すことができる。これらの処置は典型的には2自由度で体外から操作できる柔軟性のある細長い部材によって案内されるため、利用できる作業スペースが制限される。ケーブル駆動のエンドエフェクタをこれの代わりに使用することで自由度が増し、操作性を向上させることができる。さらに、機械的に直接接続するため、操作者はエンドエフェクタから触覚フィードバックを受けることもできる。
【0049】
カテーテルなどの他の潜在的に関連のある実施形態および用途は、前方視撮像プローブにおけるものである。撮像プローブの小型化の主な制限の1つは、小型化された装置の先端で利用可能なスペースが限られていることであるため、大きな視野(FOV)を可能にするセンサまたは変換器を統合する能力が制約される。伸縮可能な構造を利用するケーブル駆動のカテーテルを使うと、視野の狭い変換器やセンサを複数の位置に進めて測定することができる。センサから取得した位置データを使用して、多数の読み取り値を1つの大きなFOVの画像に合成することができる。これは、超音波や光干渉断層撮影(OCT)など、さまざまな撮像モダリティに応用することができる。
【0050】
また、狭い空間でのロボット操作にも応用できる。実施形態によっては、連続体ロボットを用いてエンドエフェクタの正確な遠隔制御を可能にしながら、到達困難な領域にアクセスすることができる。狭い空間でのロボットの用途としては、捜索救助、産業・原子力メンテナンスロボット、航空宇宙・自動車製造、内視鏡検査などが考えられる。
【0051】
前述のように、提案するシステムおよび方法の実施形態は概して2自由度の移動ステージに連結された制御面(例えば3次元円錐面)を組み込んでおり、システムに入力を提供するためのマスター側として機能する。一実施形態として、含まれる各ケーブルの一端はピストンに接続され、ピストンは制御面に接触するように(例えば、ばねの利用によって)拘束される。ケーブルの他端は、制御されるべき対象のスレーブ装置に結合される。制御面が2次元平面に沿って移動すると、ピストンは当該平面に対して垂直に移動し、ケーブルが変位する結果、例えばカテーテルの遠位端などのスレーブエンドエフェクタを作動させることとなる。このシステムによって利用者が制御面の位置を直接調整することができ、その結果、付属のケーブルを介してカテーテルの先端について対応する比率調整をすることができる。
【0052】
実施形態によっては、ケーブルは、スレーブに移行する前に、ギアリングシステムに接続することができる。前述したように、これは(幾何学的)形状を変更する効果を有するため、エンドエフェクタの所定の変位に対して比例して小さな制御面の変位が必要となる。これにより、マスター制御のフットプリントを用途に応じて調整することができる。別の実施形態では、そのシステムは、介入装置のエンドエフェクタに加えられる力の大きさを増加させるように適合させることができる。さらに、これを用いてマスターとスレーブとの間の分解能を調整することもできる。
【0053】
制御機構(例えば100や200など)は、制御面の寸法変位が、例えばエンドエフェクタの変位に対する方向および大きさの両方において比例するような構造とすることができる。さらに、マスターにおけるピストンの位置および形状は、スレーブフレームのケーブルアンカーポイントの形状に比例する。また、マスターにおけるピストンに対する、シリンダーの中心の位置と形状は、スレーブの拡張アンカーに対するエンドエフェクタの位置と形状に比例する。比例定数は、マスター機構とスレーブ機構の間のギア比である。
【0054】
実施形態によっては、装置の作動に使用されるケーブルは4本だけであってもよい。典型的には、このシナリオでは、スレーブのフレーム内のアンカーポイントは、正方形の形状を有することになる。これにより、ケーブル用の4つのアンカーポイントだけで全領域を最大限カバーすることができる。これに対応して、マスター側の円錐面に対して垂直に動く4つのピストンも、同様に正方形状に配置される。しかしながら、提案するシステムはさらに一般的であり、任意の位置に任意の数のアンカーを配置することができる。例えば、実施形態によっては、アンカーは、辺の数が増加した正多角形の頂点に配置することができる。そうすると、対応する数のケーブルが存在することになり、マスターにおけるピストンが対応する多角形に配置されることになる。これは、多角形の頂点の数が増えるにつれて、エンドエフェクタが円形断面積のより大きな割合を横断できるようになるという利点を有する。
【0055】
一実施形態として、リニアまたはロータリーエンコーダのような装置を含む位置センサをマスターに追加し、制御面の位置またはケーブルの変位を追跡することができる。このような実施形態では、センサデータを使用して、その利用可能な作業空間に対するスレーブ装置またはエンドエフェクタの位置を視覚化し、ユーザインターフェースを介してオペレータに表示することができる。
【0056】
一実施形態として、制御機構(例えば100または200など)は、TavallaeiらによるWO2019/213215A1に開示された操縦可能なカテーテル構成などの、拡張可能なフレームを有するケーブル駆動の操縦可能なカテーテルに適用することができる。拡張可能なフレームを剛体のてこの支点としてケーブルに使用し、カテーテルの遠位先端などのエンドエフェクタを作動させることができる。これにより、カテーテルのマスター側を完全に機械的に解決することができる。位置センサ(リニアまたはロータリーエンコーダなどを含む)を使用して、カテーテル先端を追跡し、利用者にフィードバックを提供することもできる。
【0057】
また、一実施形態として、前方視撮像変換器(forward-looking imagingtransducer)をエンドエフェクタに取り付けることができる。このような実施形態では、エンドエフェクタを様々な位置に移動させることができ、撮像プローブを位置決めデータと共に使用して、大きな視野(FOV)の画像を再構築することができる。これは、先の実施形態で議論したようなカテーテル、あるいは、捜索・救助用途または到達困難な空間における撮像システムのための限られた作業空間におけるロボットに適用することができる。様々な撮像モダリティ又はセンサをシステムに統合することができる。例としては、光学ベースのセンサ、超音波変換器、又は放射線センサを含むが、これらに限定されない。このような実施形態では、リニア、回転アクチュエータ、又はモーターを使用してマスターにおける制御面の位置を動かすことができる。これは、プローブが断面にわたって掃引して自律的に画像を再構成することを可能にするため、撮像プローブにとって特に有用である。
【0058】
さらなる実施形態として、モーター駆動デザインの使用が許容される場合、制御面の使用により、必要なモーターの数を、制御面の2次元移動を制御するのに必要な2つまで減らすことができる。
【0059】
また一実施形態として、ケーブルは1点で制御面に取り付けることができる。例えば、3本のケーブルと非常に細長い表面とを有する異なるタイプの設計が可能である。この実施形態では、制御面は三次元(表)面となる。この三次元面は、単一の取り付け点において個々のケーブルに必要な長さの変化に対応する。このような実施形態では、ケーブルはその面に拘束され、ケーブル用の取り付け点が3次元面上で移動すると、面上のケーブルの長さが比例して変化し、スレーブ装置が目的の2次元面で制御されることとなる。他の実施形態については、エンドエフェクタ側または制御側のいずれかのケーブルに対して、代替の取り付け方法を利用することができる。これらの実施形態によれば、様々な三次元制御面を使用して取り付け方法を説明することができる。
【0060】
提案する方法を用いて、多数のケーブルによって作動する連続ケーブル駆動マニピュレータを作動させることもできる。例えば、ケーブル駆動式であり、1以上のケーブルを利用してその遠位端の向きを変えることのできる、デフレクタブル(deflectable)カテーテルでは同じ戦略を利用することができる。すなわち、カム面(本明細書では「カムガイド面」とも呼ぶ)をケーブルに結合して、カム面の動きでケーブルの長さを調節できるようにすることができる。これにより、受動的な遠隔作動方法が可能になり、カム面の外形に基づくマスターユニットの操作とカテーテル先端の動きとの間のマッピングが提供される。
【0061】
本明細書では、様々な実施形態のシステム、装置、及び方法について説明した。これらの実施形態は例としての挙げたにすぎず、特許請求の範囲に記載の発明の範囲を限定することを意図するものではない。さらに、説明した実施形態の様々な特徴を様々な方法で組み合わせて多数の追加の実施形態を作り出せることを理解されたい。さらに、開示した実施形態で用いる様々な材料、寸法、形状、構成および配置などについて説明してきたが、開示したもの以外のものを、特許請求の範囲に記載した発明の範囲を超えることなく利用できる。
【0062】
関連する技術分野における当業者であれば、本明細書の主題が、上記の個々の実施形態で示したものよりも少ない特徴を含んでもよいことが理解できるであろう。本明細書に記載の実施形態は、本明細書の主題の様々な特徴を組み合わせることのできる方法での徹底的な提案を示すものではない。それゆえ実施形態は、相互に排他的な特徴の組み合わせではなく、むしろ様々な実施例は当技術分野における当業者によって理解されるように、異なる個々の実施例から選択された異なる個々の特徴の組み合わせを含むことができる。さらに、一実施形態に関して記載された要素は、そのような実施例において特記しない限り、他の実施形態において実装することができる。
【0063】
従属請求項は請求項において、一以上の他の請求項との特定の組み合わせについて言及してもよいが、他の実施形態も同様に、従属請求項とそれぞれの他の従属請求項の主題との組み合わせ、または1つ以上の特徴と他の従属請求項または独立請求項との組み合わせを含むことができる。そのような組み合わせは、具体的に組み合わせる意図がないとの記載がない限り、本明細書で提案されている。
【0064】
上記文書の参照による援用は、本明細書の明示的な開示に反する主題が援用されないように制限される。上記文書の参照による援用はさらに、文書に含まる請求項が参照により本明細書に援用されないように制限される。上記文書の参照による援用は、文書に提供されているいかなる定義も本明細書に明示的に含まれていない限り、参照により本明細書に援用されないようにさらに制限される。
【0065】
請求項を解釈する目的で、請求項に「手段」または「ステップ」という特定の用語が記載されていない限り、35U.S.C.§112(f)の規定は発動されないことが明確に意図されている。