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特許7606614ガス分配機能を備えた、溶接スタッドを溶接するための溶接デバイス
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  • 特許-ガス分配機能を備えた、溶接スタッドを溶接するための溶接デバイス 図1
  • 特許-ガス分配機能を備えた、溶接スタッドを溶接するための溶接デバイス 図2
  • 特許-ガス分配機能を備えた、溶接スタッドを溶接するための溶接デバイス 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-17
(45)【発行日】2024-12-25
(54)【発明の名称】ガス分配機能を備えた、溶接スタッドを溶接するための溶接デバイス
(51)【国際特許分類】
   B23K 9/20 20060101AFI20241218BHJP
【FI】
B23K9/20 D
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2023537245
(86)(22)【出願日】2021-12-01
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-27
(86)【国際出願番号】 EP2021083777
(87)【国際公開番号】W WO2022128475
(87)【国際公開日】2022-06-23
【審査請求日】2023-06-27
(31)【優先権主張番号】20214831.8
(32)【優先日】2020-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】591010170
【氏名又は名称】ヒルティ アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Hilti Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】Feldkircherstrasse 100, 9494 Schaan, Liechtenstein
(74)【代理人】
【識別番号】100123342
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 承平
(72)【発明者】
【氏名】ロルフ エアハルト
(72)【発明者】
【氏名】ユリア ツィールバウアー
(72)【発明者】
【氏名】シーグリート アンドレエ
【審査官】松田 長親
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/120781(WO,A2)
【文献】独国特許出願公開第102016217499(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 9/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶接スタッドを溶接軸に沿って溶接方向に基板(被留め付け部材)に溶接するための溶接ガンである溶接デバイスであって、前記溶接軸の周りにリングの形態で配置された不活性ガス入口と、不活性ガス出口と、前記溶接方向に面する開口部とを有する不活性ガスカバーを含み、前記開口部は、前記溶接方向を横断する方向に開口部直径を有し、前記不活性ガス入口は、前記溶接方向と反対側に前記開口部から入口距離にあり、前記不活性ガス出口は、前記溶接方向と反対側に前記開口部から出口距離にあり、前記溶接デバイスは、溶接作業中に前記不活性ガスカバー内に前記溶接スタッドを保持するための保持デバイスを更に含み、前記保持デバイスは、外径と、内径を有するスタッド受け部とを有し、前記出口距離は、前記開口部直径と前記外径との間の差の少なくとも半分であ且つ前記入口距離の大きさの少なくとも半分である、溶接デバイス。
【請求項2】
前記不活性ガス入口は、前記開口部が覆われるとき、前記開口部に沿って前記溶接軸に対して半径方向に不活性ガスの流れを発生させるために、前記開口部の半径方向外側の領域上に向けられる、請求項1に記載の溶接デバイス。
【請求項3】
前記不活性ガス入口は、前記溶接軸を囲むリングの形態の入口開口部を含む、請求項1又は2に記載の溶接デバイス。
【請求項4】
前記不活性ガス入口は、前記溶接軸の周りにリングの形態で配置された複数の入口開口部を含む、請求項1~のいずれか一項に記載の溶接デバイス。
【請求項5】
前記不活性ガス出口は、前記溶接軸の周りにリングの形態で配置された複数の出口開口部を含む、請求項1~のいずれか一項に記載の溶接デバイス。
【請求項6】
前記不活性ガス出口は、前記溶接軸に対して半径方向に前記不活性ガスカバーを通して外側に向かって周囲領域に通じている、請求項1~のいずれか一項に記載の溶接デバイス。
【請求項7】
前記不活性ガス出口は、前記溶接軸に対して横断方向に前記不活性ガス入口からオフセットして配置される、請求項1~のいずれか一項に記載の溶接デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に言うと、溶接スタッドを溶接軸に沿って溶接方向に基板(被留め付け部材)に溶接するための溶接デバイスに関する。本発明は、特に、溶接ガンに関する。
【背景技術】
【0002】
様々な用途において、様々なスタッドを基板に留め付ける多くの既知のデバイス及び方法が存在する。例えば、スタッドを基板に接触させて、そこに電流が加えられる。この目的のために、スタッドは、導電性スタッドホルダによって保持される。スタッドと基板との間に電流が流れると直ちに、スタッドが基板から離されてアークを形成する。放出されるエネルギーにより、スタッド及び基板の材料が部分的に液化される。次いで、電流がオフに切り替えられ、スタッドは、液化された材料に浸漬され、この材料が冷却されて固化する。その後、スタッドは、一体的に接合された状態で基板に接続される。
【0003】
スタッド及び基板の材料を十分に短時間で液化するのに必要なエネルギーを提供するために、非常に高い電流強度の電流を生成し、対応する定格の電気ケーブルを使用して電流をスタッドに供給するデバイスが知られている。液化された材料の酸化を避けるため、スタッドと基板との間の接点を不活性ガスで満たすことが知られている。この場合、不活性ガスは、液化された材料とともに溶接点を通過して流れ、ある状況下でそこに存在する酸素を周囲空気から排除する。
【0004】
例えば、建造物又は造船における用途の場合、物品を基板に留め付けるために、物品がねじ止めされるねじ山を備えた様々な大きさのスタッドが使用される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、基板に対するスタッドの留め付けを改善するデバイスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は、溶接スタッドを溶接軸に沿って溶接方向に基板に溶接するための溶接デバイスであって、溶接軸の周りにリングの形態で配置された不活性ガス入口と、不活性ガス出口と、溶接方向に面する開口部とを有する不活性ガスカバーを含み、開口部は、溶接方向を横断する方向に開口部直径を有し、不活性ガス入口は、溶接方向と反対側に開口部から入口距離にあり、不活性ガス出口は、溶接方向と反対側に開口部から出口距離にあり、溶接デバイスは、溶接作業中に不活性ガスカバー内に溶接スタッドを保持するための保持デバイスを更に含み、保持デバイスは、外径と、内径を有するスタッド受け部とを有し、出口距離は、開口部直径と外径との間の差の少なくとも半分である、溶接デバイスを使用して達成される。同様に、この目的は、出口距離が入口距離と少なくとも同じ大きさである場合に達成される。溶接デバイスは、溶接ガンとして形成されることが好ましい。不活性ガス入口をリングの形態で配置し、開口部から距離を置いて不活性ガス出口を配置することにより、不活性ガスが全ての方向から溶接点に半径方向に均一に流れ、次いで溶接点から実質的に軸方向に離れることが確実となる。
【0007】
本発明の有利な態様は、出口距離が、開口部直径と内径との間の差の少なくとも半分であるか、又は入口距離と少なくとも同じ大きさであることを特徴とする。更に有利な態様は、出口距離が、開口部直径と外径との間の差の少なくとも半分であり、且つ入口距離の大きさの少なくとも半分であることを特徴とする。
【0008】
有利な態様は、不活性ガス入口が、開口部が覆われるとき、開口部に沿って設定軸に対して半径方向に不活性ガスの流れを発生させるために、開口部の半径方向外側の領域上に向けられることを特徴とする。
【0009】
有利な態様は、不活性ガス入口が、溶接軸を囲むリングの形態の入口開口部を含むことを特徴とする。別の態様は、不活性ガス入口が、溶接軸の周りにリングの形態で配置された複数の入口開口部を含むことを特徴とする。
【0010】
有利な態様は、不活性ガス出口が、溶接軸の周りにリングの形態で配置された複数の出口開口部を含むことを特徴とする。不活性ガス出口は、溶接軸に対して横断方向に不活性ガス入口からオフセットして配置されることが好ましい。更なる有利な態様は、不活性ガス出口が、溶接軸に対して半径方向に不活性ガスカバーを通して外側に向かって周囲領域に通じていることを特徴とする。
【0011】
以下では、図面を参照して、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】溶接デバイスを概略的に示す図である。
図2】溶接デバイスを概略的に示す部分長手方向断面図である。
図3】溶接デバイスを概略的に示す部分長手方向断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1には、溶接スタッド20を基板(被留め付け部材)30に溶接するための溶接デバイス10が概略的に示されている。溶接スタッド20の材料及び基板30の材料は、導電性であり、特に金属である。溶接デバイス10は、押しボタンスイッチとして形成されたトリガスイッチ41を有する溶接ガン40と、溶接ユニット50と、第1の電気ケーブル61と、接続端子63を有する第2の電気ケーブル62と、例えば電力ケーブルとしての電気供給ケーブル64と、電気通信ライン65と、ガスシリンダーとしてのガス貯蔵部70と、管状ガス供給ライン71と、ガスホース72とを含む。
【0014】
第1のケーブル61は、溶接ユニット50を介して溶接スタッド20に電流を供給する役割を果たす。第2のケーブル62は、接続端子63が基板30にクランプされたとき、基板30を溶接ユニット50に電気的に接続する役割を果たす。溶接スタッド20が基板30と接触すると、回路が閉じ、それにより例えば直流又は交流の形態の溶接電流が溶接ユニット50を介して溶接スタッド20に印加され得る。このために、溶接ガン40は、図1に示されていない溶接電流接点要素を含む。溶接ユニット50は、供給ケーブル64からの電流を溶接電流に変換するためのデバイス(図示せず)を含み、このデバイスは、溶接電流を所望の電圧及び電流強度で提供するために、例えば電気コンデンサ、サイリスタ、絶縁ゲート電極を有するバイポーラトランジスタ又はパワーエレクトロニクスからの他の構成要素及びまたマイクロプロセッサを有する関連する制御ユニットを含む。
【0015】
ガス供給ライン71及びガスホース72は、溶接作業中に周囲領域からの酸素による酸化から接触領域を保護するために、溶接スタッド20と基板30との間の接触領域にガス貯蔵部70からの不活性ガスを供給する役割を果たす。接触領域へのガスの流れを制御するために、ガス貯蔵部70、ガス供給ライン71、溶接ユニット50、ガスホース72又は溶接ガン40は、バルブ(図示せず)、特に可制御バルブを含む。
【0016】
溶接ユニット50は、作動要素52を有する入力デバイス51と、視覚表示要素54及び無線送信ユニットを有する出力デバイス53とを有する。入力デバイス51は、例えば、電圧、電流強度、溶接電流の電力及び持続時間、スタッドの位置及び速度など、溶接デバイス10のユーザにより溶接デバイス10で実行される溶接方法のパラメータを入力するのに役立つ。出力デバイス53は、情報、例えば溶接方法のパラメータに関する情報、溶接方法の検出されたエミッション又は他の変数に関する情報、溶接作業の品質に関する情報、溶接作業を改善するための方策に関する情報、溶接スタッドの検出された特性に関する情報若しくは前述の変数から導出される情報並びに/或いは溶接デバイス10、特に溶接ガン40の洗浄及び/又は保守に関する推奨事項又は指示をユーザに出力する役割を果たす。
【0017】
通信ライン65は、溶接ガン40、特に図1に示されていない溶接ガン40の制御デバイスと、溶接ユニット50、特に制御ユニット並びに/又は入力デバイス51及び/若しくは出力デバイス53との間の通信に役立つ。例えば、溶接電流と溶接スタッド20の移動との同期を達成するか、又はそれをより容易にするために、この通信により、例えば溶接作業のパラメータに関する情報の交換が達成される。図示されていない実施例において、溶接ガンと溶接ユニットとの間の通信は、無線で、無線通信により又は溶接電流を搬送する第1の電気ケーブルにより行われる。
【0018】
溶接ガン40は、開口部46を有するハウジング42を有し、ハウジング42から、トリガスイッチ41を有するハンドル43が突出する。溶接ガン40は、溶接作業中に溶接スタッド20が保持されるスタッドホルダ44も有する。この目的のために、スタッドホルダは、例えば、2つ、3つ、4つ又はそれを超える弾性アーム(詳細に図示せず)を含み、それらの間に溶接スタッド20がクランプ嵌合によって挿入及び保持される。溶接スタッド20に溶接電流を印加するために、溶接ガン40は、溶接電流接点要素も有し、これは、例えば、1つ以上の弾性アームの形態でスタッドホルダ44に統合される。
【0019】
溶接ガン40は、溶接ガン及び溶接ユニット50の様々な構成要素及びデバイスを制御するための制御デバイス99も有する。制御デバイス99は、溶接作業の1つ以上のパラメータを制御することを意図している。この目的のために、制御デバイス99は、様々な電子構成要素、例えば1つ以上のマイクロプロセッサ、1つ以上の一時的又は恒久的なデータメモリなどを含む。
【0020】
溶接ガン40は、スタッドリフトデバイスも有し、スタッドリフトデバイスは、第1のリフト磁石として形成され、スタッドリフトデバイスが作動すると、スタッドホルダ44に、開口部46から離れる方に後方(図1では上向き)に力を作用させる。制御デバイス99は、スタッドリフトデバイスを制御するために、特にそれを作動及び停止させるために、信号線(図示せず)を介してスタッドリフトデバイスと通信する。
【0021】
溶接ガン40は、ばね要素又は第2のリフト磁石として形成されたスタッド浸漬デバイスも有し、スタッド浸漬デバイスが作動すると、スタッドホルダ44に、開口部46に向かって前方(図1では下向き)に力を作用させる。制御デバイス99は、スタッド浸漬デバイスを制御するために、特にそれを作動及び停止させるために、信号線(図示せず)を介してスタッド浸漬デバイスと通信する。スタッド浸漬デバイスがばね要素として形成される場合、このばね要素は、スタッドホルダがスタッドリフトデバイスによって後方に移動されると好ましくは張力をかけられるため、ばね要素は、スタッドリフトデバイスが停止すると直ちにスタッドホルダを前方に移動させる。
【0022】
溶接デバイス10を用いた溶接方法では、基板30及びスタッド20が最初に提供される。更なる工程では、例えば、それに続く溶接作業の所望のパラメータに関する情報は、入力デバイスを介してユーザにより入力される。更なる工程では、溶接スタッド20と基板30との間の溶接電流は、第1のケーブル61及び第2のケーブル62を用いて、溶接ユニット50によって溶接スタッド20に印加される。更なる工程では、溶接スタッド20は、溶接スタッド20と基板30との間に流れる溶接電流を維持しながら、スタッドリフトデバイスによって基板から離され、溶接スタッド20と基板30との間にアークを形成する。特に、アークによって生成される熱のため、溶接スタッド20及び/又は基板30の材料は、その後、部分的に液化される。更なる工程では、溶接スタッド20は、スタッド浸漬デバイスにより、溶接スタッド20又は基板30の液化された材料に浸漬される。その後、溶接スタッド20又は基板30の液化された材料は、溶接スタッド20が一体的に接合された状態で基板30に接続されるように固化する。
【0023】
図2は、溶接スタッド120を溶接軸105に沿って溶接方向110に基板130に溶接することを意図した溶接デバイス100の長手方向断面図を概略的に示す。溶接デバイス100は、溶接方向110を画定する溶接ガンとして形成される。溶接デバイス100は、スタッドホルダとして形成された、外径dAを有する保持デバイス144を有し、保持デバイスは、溶接作業中に溶接スタッド120を保持するための、内径dIを有するスタッド受け部121を有し、溶接スタッド120は、スタッド受け部121内に挿入することができ、好ましくはクランプ作用で保持される。溶接スタッド120の接触面125は、溶接作業前及び/又は溶接作業中に基板130と接触する。
【0024】
溶接デバイス100は、ハンドル(図示せず)及びトリガスイッチ(図示せず)を備える、概略的に示されるハウジング101並びにまた不活性ガスカバー140を含み、不活性ガスカバー140は、周囲空気からの酸素による溶接溶融物の酸化を抑制又は完全に防止するために、不活性ガスで満たされることが意図される。この目的のために、不活性ガスカバー140は、溶接軸105の周りにリングの形態で配置された複数の第1の接続チャネル150を含む不活性ガス供給部を有する。不活性ガスカバー140に供給するための不活性ガスホース145などを不活性ガス供給部に接続することができる。溶接軸105に対して軸方向に延びる第1の接続チャネル150のそれぞれは、不活性ガスカバー140の主要チャンバ141に入口開口部160で開口するため、入口開口部160も同様に溶接軸105の周りにリングの形態で配置され、一緒に不活性ガス入口を形成する。図示しない実施例では、不活性ガス入口は、溶接軸を囲むリングの形態の単一の入口開口部を含む。更に、不活性ガスカバー140は、複数の出口開口部170を有し、出口開口部170は、同様に溶接軸の周りにリングの形態で配置され、溶接軸105に対して半径方向に不活性ガスカバー140を通して外側に向かって周囲領域に通じており、不活性ガス出口を形成する。出口開口部170は、それぞれ溶接軸105に対して横断方向(図2では図面の平面に対して垂直)に、特に周方向に入口開口部160からオフセットして配置される。
【0025】
更に、不活性ガスカバー140は、開口部180を有する。開口部180は、溶接方向110に面し、溶接方向110を横断する方向に開口部直径dMを有する。不活性ガス入口、具体的には入口開口部160は、溶接方向110と反対側に開口部180から入口距離aEにある。不活性ガス出口、具体的には出口開口部170は、溶接方向110と反対側に開口部180から出口距離aAにある。
【0026】
出口距離aAは、開口部直径dMと内径dIとの間の差の約半分の大きさ、すなわち溶接スタッド120と不活性ガスカバー140との間の半径方向距離xとほぼ同じ大きさである。更に、出口距離aAは、入口距離aEよりも大きい。開口部180が基板130によって覆われるとき、入口開口部160を通して主要チャンバ141に流入する不活性ガスは、流路190に沿って最初に開口部180の半径方向外側の領域に、次いで全ての側から溶接スタッド120へと半径方向内側に、次いで実質的に軸方向上向きに出口開口部170へと流れる。これにより、溶接軸105の周りに半径方向対称に配置され、溶接スタッド120の溶接点を不活性ガスで均一且つ効果的に満たす効果を有するトロイダルフローパターンの形成を生じさせる。例えば、保持デバイス144と不活性ガスカバーとの間の狭い間隙(図2では出口開口部170の上方)からゆっくりとのみ出る周囲空気は、出口開口部170を通る流れに同伴され、溶接点に近づかない。
【0027】
図3は、溶接デバイス100(図2)と実質的に同一の溶接デバイス200の長手方向断面図を概略的に示す。同一の要素は、同一の参照符号を有する。溶接デバイス200は、特に入口開口部160及び出口開口部170の配置が溶接デバイス100と異なる。出口距離aAは、開口部直径dMと外径dAとの間の差の約半分の大きさ、すなわち保持デバイス144と不活性ガスカバー140との間の半径方向距離yとほぼ同じ大きさである。更に、出口距離aAは入口距離aEよりも小さいが、入口距離aEの大きさの半分よりも大きい。出口開口部170は、流入する不活性ガスと、流出する不活性ガスとの間の相互作用が低減されるように、溶接軸105の周りに周方向に入口開口部160からオフセットしてそれぞれ配置される。
【0028】
本発明を溶接ガンの例に基づいて説明した。この場合、記載した態様の特徴を必要に応じて単一の留め付けのためのデバイス内で互いに組み合わせることもできる。本発明によるデバイスは、他の目的にも適していることが指摘される。
図1
図2
図3