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  • 特許-充填ロッドの巻上機及び巻上方法 図1
  • 特許-充填ロッドの巻上機及び巻上方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-17
(45)【発行日】2024-12-25
(54)【発明の名称】充填ロッドの巻上機及び巻上方法
(51)【国際特許分類】
   A24C 5/18 20060101AFI20241218BHJP
【FI】
A24C5/18
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2023539453
(86)(22)【出願日】2021-08-04
(86)【国際出願番号】 JP2021028970
(87)【国際公開番号】W WO2023012936
(87)【国際公開日】2023-02-09
【審査請求日】2023-10-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000004569
【氏名又は名称】日本たばこ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002664
【氏名又は名称】弁理士法人相原国際知財事務所
(72)【発明者】
【氏名】丹保 仁
(72)【発明者】
【氏名】杉中 哲士
(72)【発明者】
【氏名】小野 充
【審査官】杉浦 貴之
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-183248(JP,A)
【文献】特開平11-69964(JP,A)
【文献】特開平4-346778(JP,A)
【文献】特開昭62-44159(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24C 5/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
香味原料を巻紙とともに搬送経路に沿って搬送する過程にて、前記香味原料を充填物に成形しつつ、前記巻紙により連続的に包み込む、充填ロッドの巻上機であって、
前記搬送経路に沿って走行するガニチャテープと、
前記ガニチャテープが走行する成形溝を有する成形ベッドと
を備え、
前記巻紙は、前記ガニチャテープの上に供給され、前記ガニチャテープとともに前記成形溝を走行し、
前記充填物は、前記巻紙の上に供給され、前記成形溝を走行する前記ガニチャテープを介して前記巻紙により連続的に包み込まれて前記充填ロッドに成形され、
前記成形ベッドは、前記成形溝の溝空間を吸引するサクションチャンバを有し、
前記ガニチャテープは、サクション孔が開口され、前記サクション孔を介して前記巻紙に前記サクションチャンバからの吸引力を付与する、充填ロッドの巻上機。
【請求項2】
前記サクション孔は、前記ガニチャテープの延設方向に沿って複数設けられる、請求項1に記載の充填ロッドの巻上機。
【請求項3】
前記サクションチャンバは、前記搬送経路に沿って前記成形溝に複数開口される、請求項1又は2に記載の充填ロッドの巻上機。
【請求項4】
前記成形ベッドは、前記成形溝を冷却する冷却通路を有する、請求項1から3の何れか一項に記載の充填ロッドの巻上機。
【請求項5】
香味原料を巻紙とともに搬送経路に沿って搬送する過程にて、前記香味原料を充填物に成形しつつ、前記巻紙により連続的に包み込む、充填ロッドの巻上方法であって、
前記搬送経路に沿って走行するガニチャテープと、前記ガニチャテープが走行する成形溝を有する成形ベッドとを用い、前記巻紙を前記ガニチャテープの上に供給するとともに前記充填物を前記巻紙の上に供給し、前記巻紙及び前記充填物を前記ガニチャテープとともに前記成形溝を走行させて搬送する搬送ステップと、
前記ガニチャテープを介して前記充填物を前記巻紙により連続的に包み込んで前記充填ロッドに成形するラッピングステップと
を含み、
前記ラッピングステップでは、前記成形溝の溝空間を吸引することにより、前記ガニチャテープに開口されたサクション孔を介して、前記巻紙に対し吸引力を付与するサクションプロセスを行う、充填ロッドの巻上方法。
【請求項6】
前記サクションプロセスでは、前記ガニチャテープの延設方向に亘って複数設けられた前記サクション孔を介して、前記巻紙に対し吸引力を付与する、請求項5に記載の充填ロッドの巻上方法。
【請求項7】
前記ラッピングステップでは、前記成形溝を冷却する冷却プロセスを行う、請求項5又は6に記載の充填ロッドの巻上方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充填ロッドの巻上機及び巻上方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、たばこロッドの巻上機が開示されている。巻上機は、刻みたばこなどのたばこ原料を巻紙とともに搬送経路に沿って搬送する。この搬送過程にて、巻上機は、たばこ原料を充填物に成形しつつ、巻紙により連続的に包み込む。巻上機は、搬送経路に沿って走行するガニチャテープと、ガニチャテープが走行する成形溝を有する成形ベッドとを備えている。
【0003】
巻紙は、ガニチャテープの上に供給され、ガニチャテープとともに成形溝を走行する。たばこ原料からなる充填物は、巻紙の上に供給され、成形溝を走行するガニチャテープを介して巻紙により連続的に包み込まれてたばこロッドに成形される。充填物がガニチャテープ及び巻紙とともに成形溝を走行する際、充填物の重みを受けて巻紙とガニチャテープとが接触し、巻紙とガニチャテープとの間に摩擦力が作用する。
【0004】
巻紙とガニチャテープとの間に摩擦力が作用することにより、巻紙がガニチャテープと一体となって成形溝を走行可能となるとともに、巻紙が充填物を連続的に包み込み可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2009-183248号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
たばこ原料を充填したたばこロッドは、広義において、香味原料(たばこ原料を含まない場合もあり得る)を充填した充填ロッドと定義される。この場合、充填ロッドを切断して得られる充填部が非燃焼加熱型の香味吸引物品を構成する。香味吸引物品を使用するために用いるデバイスのヒータは、例えば充填部に差し込まれることにより充填部を加熱し、香味成分のエアロゾルを発生させる。この場合、充填部において、ヒータの大きさに比して香味原料の充填量が多いと、充填部に対するヒータの挿入抵抗が大きくなり、ヒータを挿入し難くなって吸引時の操作性が悪化する。また、ヒータの挿入抵抗によってヒータの折損を招くこともある。
【0007】
さらに、充填部において、ヒータの大きさに比して香味原料の充填量が多いと、ヒータの挿入によって、充填部における香味原料が過密となり、充填部における通気性が悪化し、喫味が損なわれるおそれがある。これらの不具合を解消するために、充填ロッドに充填する香味原料の充填量を従来よりも低減する場合がある。また、香味吸引物品のコスト上の事情を考慮して、香味原料の充填量を低減する場合もある。
【0008】
香味原料の充填量を低減すると、香味原料からなる充填物の充填密度が低下するため、充填物の硬さが低下し、すなわち、充填物が軟化する。充填物の軟化により、充填物の反力が低下し、換言すると、充填物が弾性変形し難くなるため、成形溝を走行する際の巻紙とガニチャテープとの密着性が低下し、巻紙とガニチャテープと間の摩擦力が低下する。この結果、成形溝において、ガニチャテープ、巻紙、及び充填物が一体走行され難くなり、成形溝に香味原料が取り残されて詰まるなどし、所望の充填ロッドを製造できないおそれがある。
【0009】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたもので、香味原料の充填量を低減する場合であっても、所望の充填ロッドを製造することができる、充填ロッドの巻上機及び巻上方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
一態様に係る充填ロッドの巻上機は、香味原料を巻紙とともに搬送経路に沿って搬送する過程にて、香味原料を充填物に成形しつつ、巻紙により連続的に包み込む、充填ロッドの巻上機であって、搬送経路に沿って走行するガニチャテープと、ガニチャテープが走行する成形溝を有する成形ベッドとを備え、巻紙は、ガニチャテープの上に供給され、ガニチャテープとともに成形溝を走行し、充填物は、巻紙の上に供給され、成形溝を走行するガニチャテープを介して巻紙により連続的に包み込まれて充填ロッドに成形され、成形ベッドは、成形溝の溝空間を吸引するサクションチャンバを有し、ガニチャテープは、サクション孔が開口され、サクション孔を介して巻紙にサクションチャンバからの吸引力を付与する。
【0011】
一態様に係る充填ロッドの巻上方法は、香味原料を巻紙とともに搬送経路に沿って搬送する過程にて、香味原料を充填物に成形しつつ、巻紙により連続的に包み込む、充填ロッドの巻上方法であって、搬送経路に沿って走行するガニチャテープと、ガニチャテープが走行する成形溝を有する成形ベッドとを用い、巻紙をガニチャテープの上に供給するとともに充填物を巻紙の上に供給し、巻紙及び充填物をガニチャテープとともに成形溝を走行させて搬送する搬送ステップと、ガニチャテープを介して充填物を巻紙により連続的に包み込んで充填ロッドに成形するラッピングステップとを含み、ラッピングステップでは、成形溝の溝空間を吸引することにより、ガニチャテープに開口されたサクション孔を介して、巻紙に対し吸引力を付与するサクションプロセスを行う。
【発明の効果】
【0012】
前述した充填ロッドの巻上機及び巻上方法によれば、香味原料の充填量を低減する場合であっても、所望の充填ロッドを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】充填ロッド製造機の概略図である。
図2図1のC-C方向から見た巻上機の一部断面図である。
図3】ガニチャテープの一部上面図である。
図4】充填ロッドの巻上方法を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、充填ロッド製造機1の概略図を示す。充填ロッド製造機1は、サクションバンド2を備えている。サクションバンド2は、無端状をなし、サクションバンド2の下面に、香味原料を層状に吸着して香味層TLを形成し、香味層TLを搬送経路4の矢印Aで示す搬送方向に移送する。
【0015】
充填ロッドの充填物Bを構成する香味原料は、例えば、刻みたばこ、たばこシートを細断した物、或いは、たばこシートをギャザー状に折り畳んだ物である。また、香味原料は、たばこを含まないパルプから形成されたシートに香料を添加した物、非たばこ植物から形成されたシートを細断した物、或いは、これらのシートをギャザー状に折り畳んだ物であっても良い。
【0016】
搬送経路4の搬送方向Aにおけるサクションバンド2の下流には、本実施形態に係る巻上機6が配置されている。巻上機6は、香味原料からなる香味層TLをペーパウエブからなる巻紙Pとともに搬送経路4に沿って移送する過程にて、香味層TLを充填物Bに成形しつつ、巻紙Pにより連続的に包み込んで、充填ロッドTRに成形する。
【0017】
巻上機6は、ガニチャテープ8、成形ベッド10、及び駆動ドラム12を備えている。ガニチャテープ8は無端状をなし、駆動ドラム12に掛け回されている。駆動ドラム12の回転に伴い、ガニチャテープ8の一部が搬送経路4に沿って走行する。成形ベッド10は、ガニチャテープ8が走行する成形溝14を有する。巻紙Pは、ガニチャテープ8の上に供給され、ガニチャテープ8とともに成形溝14を走行する。
【0018】
充填物Bは、巻紙Pの上に供給され、成形溝14を走行するガニチャテープ8を介して巻紙Pにより連続的に包み込まれ、充填ロッドTRに成形される。巻上機6には、搬送経路4における搬送方向Aの上流側から順に、シュー16、トング18、ショートホルダ20、ロングホルダ22、及びヒータ24が配置されている。シュー16及びトング18は、成形ベッド10と協働して香味層TLを充填物Bに圧縮成形するための圧縮成形ユニット26を構成する。
【0019】
シュー16は、香味層TLをサクションバンド2から剥離させて巻紙Pに導く。ガニチャテープ8が走行し、巻紙Pの上に供給された香味層TLがガニチャテープ8とともにトング18を通過する際、トング18は、成形ベッド10の成形溝14と協働して、香味層TLを充填物Bに圧縮成形する。トング18を通過した充填物Bは、ガニチャテープ8及び巻紙Pとともにショートホルダ20、ロングホルダ22及びヒータ24を通過する。
【0020】
この際、充填物Bは、巻紙Pにより連続的に包み込まれ、充填ロッドTRに成形される。巻紙Pの両側縁は糊を介して互いに重ね合わされ、充填ロッドTRに巻紙Pのシームを形成する。シームの糊は充填ロッドTRがヒータ24を通過する際に乾燥される。巻上機6から送出された充填ロッドTRは、切断ユニット28を通過し、所定長さに切断される。切断された充填ロッドTRは、後工程の図示しないフィルタアタッチメントユニットに搬送され、非燃焼加熱型の香味吸引物品の充填部を構成する。
【0021】
図2は、図1のC-C方向から見た巻上機6の一部断面図を示す。本実施形態の巻上機6の成形ベッド10の内部には、成形溝14の溝空間30を吸引するサクションチャンバ32が形成されている。サクションチャンバ32は、搬送経路4に沿って成形溝14に複数開口されている。サクションチャンバ32は、図1にも示すように、成形ベッド10に形成された複数のサクションポート34に連通され、各サクションポート34からサクション源に連通される。
【0022】
ガニチャテープ8には、サクション孔36が開口されている。ガニチャテープ8のサクション孔36を介して巻紙Pにサクションチャンバ32からの吸引力が付与される。さらに、成形ベッド10の内部には冷却通路38が形成されている。冷却通路38は、外部からの冷却水の循環供給を受け、成形ベッド10の特に成形溝14を冷却する。
【0023】
図3は、ガニチャテープ8の一部上面図を示す。サクション孔36は、ガニチャテープ8の延設方向に沿って複数設けられている。サクション孔36の孔形状は、円形であっても良いし、矩形であっても良く、1つのサクション孔36の大きさ及び形成範囲は種々のパターンが想定される。また、サクション孔36の列数は図3に示すように一列であっても良いし、複数列であっても良い。
【0024】
図4は、充填ロッドTRの巻上方法を説明するフローチャートを示す。充填ロッドTRの巻上が開始されると、ステップS1において、前述したように、巻紙Pをガニチャテープ8の上に供給するとともに、充填物Bを巻紙Pの上に供給し、巻紙P及び充填物Bをガニチャテープ8とともに成形溝14を走行させて搬送する(搬送ステップ)。また、ステップS2において、前述したように、ガニチャテープ8を介して充填物Bを巻紙Pにより連続的に包み込んで、充填ロッドTRに成形する(ラッピングステップ)。
【0025】
ラッピングステップでは、プロセスP1において、成形溝14の溝空間30を吸引することにより、ガニチャテープ8に開口されたサクション孔36を介して、巻紙Pに対しサクションチャンバ32からの吸引力を付与する(サクションプロセス)。サクションプロセスでは、ガニチャテープ8の延設方向に亘って複数設けられたサクション孔36を介して、巻紙Pに対し吸引力を付与する。
【0026】
また、ラッピングステップでは、プロセスP2において、冷却通路38を循環する冷却水によって、成形ベッドの成形溝14を冷却する(冷却プロセス)。なお、上記巻上方法は、説明の便宜上、ステップS1、S2、及びプロセスP1、P2に分けて説明したが、充填ロッドTRの巻上が開始されてから終了するまで、ステップS1、S2、及びプロセスP1、P2は同じタイミングで行われる。
【0027】
以上のように、本実施形態の充填ロッドTRの巻上機6及び巻上方法においては、成形ベッド10がサクションチャンバ32を有するとともに、ガニチャテープ8がサクション孔36を有する。そして、ラッピングステップのサクションプロセスにおいて、サクション孔36を介して巻紙Pにサクションチャンバ32からの吸引力を付与する。
【0028】
前述したように、香味原料の充填量を従来よりも低減した場合、充填物Bの軟化によって、巻紙Pとガニチャテープ8との間に作用する摩擦力が低下する。より具体的には、充填物Bの硬さが70%未満になると、充填ロッドTRの製造が困難となるため、充填物Bの硬さは70%以上、より好ましくは75%以上とする必要があることが判明している。
【0029】
なお、充填物Bの硬さは、測定装置(型番:DD60A densimeter(Heinr. Borgwaldt GmbH社製))を用いて測定される。測定装置はプッシャーを備え、プッシャーを降下距離dで降下させて充填ロッドTRに負荷をかける。負荷がかけられる前の充填ロッドTRの直径をDsとし、負荷を所定時間かけた後の充填ロッドTRの直径をDdとしたとき、プッシャーの降下距離dはDs-Ddの式で算出され、充填物Bの硬さは(Dd/Ds)×100の式で算出される。
【0030】
充填物Bの硬さが70%未満であると、巻紙Pとガニチャテープ8との間の摩擦力が低下することにより、ガニチャテープ8、巻紙P、及び充填物Bが一体走行され難くなり、成形溝14に香味原料が取り残されて詰まるなどし、所望の充填ロッドTRを製造できないおそれがある。一方、本実施形態においては、充填物Bの硬さが70%未満であっても、巻紙Pとガニチャテープ8との間の摩擦力の低下分をサクションチャンバ32からの吸引力によって補うことができる。
【0031】
これにより、香味原料の充填量を従来よりも低減した場合であっても、走行中のガニチャテープ8と巻紙Pとの密着性を高めることができるため、ガニチャテープ8、巻紙P、及び充填物Bを一体走行させることが可能である。従って、成形溝14に充填物Bが取り残されて詰まるといった不具合を防止することができる。すなわち、香味原料の充填量及び充填密度に左右されることなく、また、充填物Bの硬さに左右されることなく、所望の充填ロッドTRを製造することができる。
【0032】
また、サクション孔36は、ガニチャテープ8の延設方向に沿って複数設けられる。これにより、巻紙Pにサクションチャンバ32からの吸引力をさらに効果的に付与することができる。これにより、前述した摩擦力の低下分をサクションチャンバ32からの吸引力によって、さらに効果的に補うことができる。
【0033】
また、サクションチャンバ32は、搬送経路4に沿って成形溝14に複数開口される。これにより、ガニチャテープ8及び巻紙Pにサクションチャンバ32からの吸引力を搬送方向Aにおける成形溝14の全域に亘って、より一層効果的に付与することができる。従って、前述した摩擦力の低下分をサクションチャンバ32からの吸引力によって、より一層効果的に補うことができる。
【0034】
また、成形ベッド10が冷却通路38を有し、ラッピングステップの冷却プロセスにおいて成形溝14が冷却される。サクションチャンバ32からの吸引力によって、走行中のガニチャテープ8が成形溝14に過度に接触することとなる場合、ガニチャテープ8及び成形溝14には摩擦熱が発生する。しかし、冷却通路38に冷却水を循環して成形溝14を冷却することにより、摩擦熱によりガニチャテープ8及び成形溝14が高温を帯びることが防止される。従って、高温による充填ロッドTRの変性を防止することができ、充填ロッドTRの品質を確保することができる。
【0035】
以上で実施形態についての説明を終えるが、上記実施形態は、限定的ではなく、趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更ができるものである。例えば、成形ベッド10は、その内部に冷却通路38を備えているが、実施に際し、冷却通路38は必ずしも不可欠なものではない。具体的には、サクション源の吸入圧を制御することにより、成形溝14に対するガニチャテープ8の摩擦力を低減すれば、成形溝14における摩擦熱の発生を抑制しつつ、成形溝14においてガニチャテープを円滑に走行させることができるため、成形溝14を冷却しなくとも所望の充填ロッドTRを製造可能である。
【0036】
また、サクションプロセスは、ガニチャテープ8のサクション孔36を介して巻紙Pに吸引力を付与可能であれば、成形ベッド10にサクションチャンバ32を形成する以外の手段を用いても良い。また、冷却プロセスは、成形溝14を冷却可能であれば、成形ベッド10に冷却通路38を形成する以外の手段を用いても良い。
【0037】
また、上記実施形態は、非燃焼加熱型の香味吸引物品に用いる充填ロッドTRの巻上機6及び巻上方法に限らず、燃焼型の香味吸引物品に用いる充填ロッドTRの巻上機6及び巻上方法にも適用可能である。
【符号の説明】
【0038】
4 搬送経路
6 巻上機
8 ガニチャテープ
10 成形ベッド
14 成形溝
30 溝空間
32 サクションチャンバ
36 サクション孔
38 冷却通路
B 充填物
P 巻紙
TR 充填ロッド

図1
図2
図3
図4