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特許7606636レーザーレーダー用のフォトマスク汚れ検出方法及びフォトマスク汚れ検出システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-17
(45)【発行日】2024-12-25
(54)【発明の名称】レーザーレーダー用のフォトマスク汚れ検出方法及びフォトマスク汚れ検出システム
(51)【国際特許分類】
   G01S 7/497 20060101AFI20241218BHJP
【FI】
G01S7/497
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2023580611
(86)(22)【出願日】2022-03-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-17
(86)【国際出願番号】 CN2022081304
(87)【国際公開番号】W WO2023273421
(87)【国際公開日】2023-01-05
【審査請求日】2023-12-27
(31)【優先権主張番号】202110734418.5
(32)【優先日】2021-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】519434972
【氏名又は名称】上海禾賽科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】Hesai Technology Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】No.2 Building,No.468 XinLai Road,Jiading District,Shanghai,China
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】肖国▲うぇい▼
(72)【発明者】
【氏名】趙▲しん▼
(72)【発明者】
【氏名】于慶国
(72)【発明者】
【氏名】向少卿
【審査官】梶田 真也
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-010094(JP,A)
【文献】特表2021-505893(JP,A)
【文献】国際公開第2021/065998(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0377072(US,A1)
【文献】特開2017-067559(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第111551946(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/48 - 7/51
G01S 17/00 - 17/95
G01C 3/00 - 3/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パルスエンコーディングを有するマルチパルスシーケンスを送信するステップS101と、
レーダーエコーを受信し、前記レーダーエコーにおける、前記マルチパルスシーケンスに対応するエコーパルスシーケンスを取得するステップS102と、
前記エコーパルスシーケンスの飛行時間が飛行時間閾値より小さい場合に、レーザーレーダーにフォトマスク汚れが存在すると判定するステップS103と、を含み、
ステップS103は、
シングルフレームの点群データにおいて、前記フォトマスク汚れに対応するエコー点数をカウントし、前記エコー点数が点数閾値より大きい場合に、レーザーレーダーにフォトマスク汚れが存在すると判定するステップと、
前記エコー点数に基づき、前記フォトマスク汚れのタイプを判断するステップをさらに含む、レーザーレーダー用のフォトマスク汚れ検出方法。
【請求項2】
前記レーザーレーダーによる探知の所定角度範囲内で、前記フォトマスク汚れに対応するエコー点数をカウントし、前記エコー点数が前記点数閾値より大きい場合に、前記所定角度範囲内でフォトマスク汚れが存在すると判定するステップをさらに含む、請求項に記載の検出方法。
【請求項3】
ステップS101は、時間間隔でエンコーディングされたマルチパルスシーケンスを送信するステップをさらに含み、ステップS102は、
前記エコーパルスシーケンスの時間間隔が、前記マルチパルスシーケンスの時間間隔と一致するステップをさらに含む、請求項に記載の検出方法。
【請求項4】
前記飛行時間閾値に基づいて対応する点数閾値を設定するステップをさらに含む、請求項に記載の検出方法。
【請求項5】
連続マルチフレームの点群データにおいて前記エコー点数がいずれも前記点数閾値より大きい場合に、レーザーレーダーにフォトマスク汚れが存在すると判定するステップをさらに含む、請求項に記載の検出方法。
【請求項6】
前記エコー点数が第1識別閾値より大きい場合に、前記フォトマスク汚れが反射型汚れであると判定するステップと、
前記エコー点数が第1識別閾値以下で第2識別閾値より大きい場合に、前記フォトマスク汚れが散乱型汚れであると判定するステップと、
前記エコー点数が第2識別閾値以下である場合に、前記フォトマスク汚れが吸収型汚れであると判定するステップと、をさらに含む、請求項に記載の検出方法。
【請求項7】
前記フォトマスク汚れが存在する所定角度範囲内を第2所定角度で再スキャンし、前記所定角度範囲内のフォトマスク汚れの分布状況を決定するステップをさらに含む、請求項に記載の検出方法。
【請求項8】
パルスエンコーディングを有するマルチパルスシーケンスを送信するように構成される送信ユニットと、
レーダーエコーを受信するように構成される受信ユニットと、
前記送信ユニット、前記受信ユニットにそれぞれ結合される波形検出ユニットであって、前記レーダーエコーにおける、前記マルチパルスシーケンスに対応するエコーパルスシーケンスを取得するように構成される波形検出ユニットと、
シングルフレームの点群データにおいて、フォトマスク汚れに対応するエコー点数をカウントするように構成され、レーザーレーダーによる探知の所定角度範囲内で、前記フォトマスク汚れに対応するエコー点数をカウントする点数カウントユニットと、
前記エコーパルスシーケンスの飛行時間に基づき、レーザーレーダーにフォトマスク汚れが存在するか否かを判断するように構成される判断ユニットであって、シングルフレームの点群データにおいて、前記フォトマスク汚れに対応するエコー点数が第1の点数閾値より大きい場合、又は、前記レーザーレーダーによる探知の所定角度範囲内で、前記フォトマスク汚れに対応するエコー点数が第2の点数閾値より大きい場合、レーザーレーダーにフォトマスク汚れが存在すると判定する、判断ユニットと、を含み、
前記判断ユニットは、
各列には、前記レーザーレーダーが連続マルチフレームでスキャンする時に同一の所定角度範囲内を探知したフォトマスク汚れ判定結果が対応づけて記憶され、
各行には、前記レーザーレーダーがシングルフレームでスキャンする時の各所定角度範囲内のフォトマスク汚れ判定結果が対応づけて記憶されるように設定される、マルチビット記憶テーブルを含む、レーザーレーダーのフォトマスク汚れ検出システム。
【請求項9】
記判断ユニットは、さらに、
前記エコーパルスシーケンスの飛行時間が飛行時間閾値より小さい場合に、レーザーレーダーにフォトマスク汚れが存在すると判定するように構成される、請求項に記載のフォトマスク汚れ検出システム。
【請求項10】
前記受信ユニットと前記波形検出ユニットとの間に結合され、前記レーダーエコーに対してデータ収集を行い、前記レーダーエコーのデータ信号を前記波形検出ユニットに送信するために用いられるデータ収集ユニットをさらに含む、請求項又はに記載のフォトマスク汚れ検出システム。
【請求項11】
前記送信ユニットは、さらに、時間間隔でエンコーディングされたマルチパルスシーケンスを送信するように構成され、前記波形検出ユニットは、さらに、
前記エコーパルスシーケンスの時間間隔が、前記マルチパルスシーケンスの時間間隔と一致するように構成される、請求項又はに記載のフォトマスク汚れ検出システム。
【請求項12】
前記マルチビット記憶テーブルにおける同一列の記憶結果がいずれも前記レーザーレーダーにおけるフォトマスク汚れの存在を示す場合に、前記判断ユニットは、前記同一列に対応する前記所定角度範囲内でフォトマスク汚れが存在すると判定するようにさらに構成される、請求項に記載のフォトマスク汚れ検出システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はレーザー探知の分野に関し、特に、レーザーレーダー用のフォトマスク汚れ検出方法及びフォトマスク汚れ検出システムに関する。
【背景技術】
【0002】
レーザーレーダーは無人運転にとって重要なセンサであり、従来のレーザーレーダーには一般的に、フォトマスクを検出するためのフォトマスク汚れ検出装置が配置されておらず、無人車両の走行中に、レーザーレーダーが雨や雪、風や砂等の天候に遭遇することがあるため、フォトマスクにはほこり、スクラッチ、汚水、泥及び腐食等の状況が形成され、レーザーレーダーは無人車両周辺の環境情報を正常に取得できなくなり、これにより、レーザーレーダーのフォトマスク汚れ情報を取得することは、レーザーレーダーの正常な探知に有利である。
【0003】
従来技術におけるフォトマスク汚れ検出方法では、フォトマスク汚れを検出するために発光装置をさらに増設する必要があり、構造が比較的複雑で、検出精度が低く、誤判定が発生しやすい。
【0004】
背景技術部分の内容は開示者が知っている技術に過ぎず、必ずしも本分野の従来技術を代表するものではない。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、フォトマスク汚れへの検出精度を向上させ、誤判定の発生を回避するために用いられ、
パルスエンコーディングを有するマルチパルスシーケンスを送信するステップS101と、
レーダーエコーを受信し、前記レーダーエコーにおける、前記マルチパルスシーケンスに対応するエコーパルスシーケンスを取得するステップS102と、
前記エコーパルスシーケンスの飛行時間に基づき、レーザーレーダーにフォトマスク汚れが存在するか否かを判断するステップS103と、を含む、レーザーレーダー用のフォトマスク汚れ検出方法を提供する。
【0006】
本発明の一態様によれば、ステップS103は、
前記エコーパルスシーケンスの飛行時間が飛行時間閾値より小さい場合に、前記レーザーレーダーにフォトマスク汚れが存在すると判定するステップをさらに含む。
【0007】
本発明の一態様によれば、ステップS103は、
シングルフレームの点群データにおいて、前記フォトマスク汚れに対応するエコー点数をカウントし、前記エコー点数に基づき、レーザーレーダーにフォトマスク汚れが存在するか否かを判断するステップをさらに含む。
【0008】
本発明の一態様によれば、前記検出方法は、
前記エコー点数が点数閾値より大きい場合に、レーザーレーダーにフォトマスク汚れが存在すると判定するステップをさらに含む。
【0009】
本発明の一態様によれば、前記検出方法は、
前記レーザーレーダーによる探知の所定角度範囲内で、前記フォトマスク汚れに対応するエコー点数をカウントし、前記エコー点数が前記点数閾値より大きい場合に、前記所定角度範囲内でフォトマスク汚れが存在すると判定するステップをさらに含む。
【0010】
本発明の一態様によれば、ステップS101は、時間間隔でエンコーディングされたマルチパルスシーケンスを送信するステップをさらに含み、ステップS102は、
前記エコーパルスシーケンスの時間間隔が、前記マルチパルスシーケンスの時間間隔と一致するステップをさらに含む。
【0011】
本発明の一態様によれば、前記検出方法は、
前記飛行時間閾値に基づいて対応する点数閾値を設定するステップをさらに含む。
【0012】
本発明の一態様によれば、前記検出方法は、
連続マルチフレームの点群データにおいて前記エコー点数がいずれも前記点数閾値より大きい場合に、レーザーレーダーにフォトマスク汚れが存在すると判定するステップをさらに含む。
【0013】
本発明の一態様によれば、前記検出方法は、
前記エコー点数に基づき、前記フォトマスク汚れのタイプを判断するステップをさらに含む。
【0014】
本発明の一態様によれば、前記検出方法は、
前記エコー点数が第1識別閾値より大きい場合に、前記フォトマスク汚れが反射型汚れであると判定するステップと、
前記エコー点数が第1識別閾値以下で第2識別閾値より大きい場合に、前記フォトマスク汚れが散乱型汚れであると判定するステップと、
前記エコー点数が第2識別閾値以下である場合に、前記フォトマスク汚れが吸収型汚れであると判定するステップと、をさらに含む。
【0015】
本発明の一態様によれば、前記検出方法は、
前記フォトマスク汚れが存在する所定角度範囲内を第2所定角度で再スキャンし、前記所定角度範囲内のフォトマスク汚れの分布状況を決定するステップをさらに含む。
【0016】
本発明は、
パルスエンコーディングを有するマルチパルスシーケンスを送信するように構成される送信ユニットと、
レーダーエコーを受信するように構成される受信ユニットと、
前記送信ユニット、前記受信ユニットにそれぞれ結合される波形検出ユニットであって、
前記レーダーエコーにおける、前記マルチパルスシーケンスに対応するエコーパルスシーケンスを取得するように構成される波形検出ユニットと、
前記エコーパルスシーケンスの飛行時間に基づき、レーザーレーダーにフォトマスク汚れが存在するか否かを判断するように構成されるフォトマスク汚れ判断ユニットと、を含む、レーザーレーダーのフォトマスク汚れ検出システムをさらに提供する。
【0017】
本発明の一態様によれば、前記フォトマスク汚れ判断ユニットは、さらに、
前記エコーパルスシーケンスの飛行時間が飛行時間閾値より小さい場合に、レーザーレーダーにフォトマスク汚れが存在すると判定するように構成される。
【0018】
本発明の一態様によれば、前記フォトマスク汚れ検出システムは、
シングルフレームの点群データにおいて、前記フォトマスク汚れに対応するエコー点数をカウントするように構成される点数カウントユニットをさらに含み、
前記フォトマスク汚れ判断ユニットは、さらに、前記エコー点数に基づき、レーザーレーダーにフォトマスク汚れが存在するか否かを判断するように構成される。
【0019】
本発明の一態様によれば、前記フォトマスク汚れ判断ユニットは、さらに、
前記エコー点数が点数閾値より大きい場合に、レーザーレーダーにフォトマスク汚れが存在すると判定するように構成される。
【0020】
本発明の一態様によれば、前記点数カウントユニットは、さらに、
前記レーザーレーダーによる探知の所定角度範囲内で、前記フォトマスク汚れに対応するエコー点数をカウントするように構成され、
前記フォトマスク汚れ判断ユニットは、さらに、前記エコー点数が前記点数閾値より大きい場合に、前記所定角度範囲内でフォトマスク汚れが存在すると判定するように構成される。
【0021】
本発明の一態様によれば、前記フォトマスク汚れ検出システムは、
前記受信ユニットと前記波形検出ユニットとの間に結合され、前記レーダーエコーに対してデータ収集を行い、前記レーダーエコーのデータ信号を前記波形検出ユニットに送信するために用いられるデータ収集ユニットをさらに含む。
【0022】
本発明の一態様によれば、前記送信ユニットは、さらに、時間間隔でエンコーディングされたマルチパルスシーケンスを送信するように構成され、前記波形検出ユニットは、さらに、
前記エコーパルスシーケンスの時間間隔が、前記マルチパルスシーケンスの時間間隔と一致するように構成される。
【0023】
本発明の一態様によれば、前記フォトマスク汚れ判断ユニットは、
各列には、前記レーザーレーダーが連続マルチフレームでスキャンする時に同一の所定角度範囲内を探知したフォトマスク汚れ判定結果が対応づけて記憶され、
各行には、前記レーザーレーダーがシングルフレームでスキャンする時の各所定角度範囲内のフォトマスク汚れ判定結果が対応づけて記憶されるように設定される、マルチビット記憶テーブルを含む。
【0024】
本発明の一態様によれば、前記フォトマスク汚れ検出システムは、さらに、
前記マルチビット記憶テーブルにおける同一列の記憶結果がいずれも前記レーザーレーダーにおけるフォトマスク汚れの存在を示す場合に、前記フォトマスク汚れ判断ユニットは、前記同一列に対応する前記所定角度範囲内でフォトマスク汚れが存在すると判定するように構成される。
【0025】
本発明は、レーザーレーダー用のフォトマスク汚れ検出方法及びフォトマスク汚れ検出システムを提供し、レーザーレーダーの送信ユニットで生成されたビームを用いてフォトマスク汚れを検出し、光源及び/又は探知デバイスを追加する必要がなく、且つレーザーレーダーのエンコーディング時間、飛行時間、エコー点数で検出し、信号波形に閾値を設定するだけでフォトマスク汚れを検出する場合に比べ、検出精度が高く、誤判定の発生を回避し、且つエコー点数によってフォトマスク汚れのタイプを判断でき、後続の汚れ除去に根拠を提供する。本発明は、ターゲットを探知するためのレーザーレーダー内の送信ユニット及び受信ユニットによってフォトマスク汚れ検出を完了し、構造が簡単であり、レーザーレーダーの内部空間を節約する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図面は本発明の実施例を更に理解させ、明細書の一部を構成するためのものであり、本発明の実施例と共に本発明を解釈するために用いられるが、本発明を限定するものとならない。図面の説明を次に記載する。
図1A】レーザーレーダーのフォトマスクに汚れが存在しない場合の光路を示す。
図1B】レーザーレーダーのフォトマスクに汚れが存在する場合の光路を示す。
図2】本発明の一実施例によるフォトマスク汚れ検出光路を模式的に示す。
図3】本発明の一つの好ましい実施例によるレーザーレーダー用のフォトマスク汚れ検出方法を示す。
図4】フォトマスク汚れに対応するエコーパルスシーケンスと、目標物に対応するエコーパルスシーケンスとの相対的な位置関係を模式的に示す。
図5A】飛行時間閾値が1nsの場合、シングルフレームの点群データにおけるフォトマスク汚れに対応するエコー点数を示す。
図5B】飛行時間閾値が2nsの場合、シングルフレームの点群データにおけるフォトマスク汚れに対応するエコー点数を示す。
図6】本発明の一つの好ましい実施例によるフォトマスク汚れ検出システムを模式的に示す。
図7】本発明の一つの好ましい実施例によるフォトマスク汚れ判断ユニットの二次元記憶テーブルを模式的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下において、いくつかの例示的な実施例のみを簡単に説明する。当業者であれば理解できるように、本発明の趣旨又は範囲を逸脱することなく、説明される実施例を様々な方法で修正することができる。従って、図面及び説明は、実質的に例示的なものであり、限定的なものではないと理解される。
【0028】
本発明の説明では、理解すべきところとして、用語の「中心」、「縦方向」、「横方向」、「長さ」、「幅」、「厚さ」、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、「鉛直」、「水平」、「頂」、「底」、「内」、「外」、「時計回り」、「逆時計回り」等で示す方位又は位置関係は図面に基づくものであり、本発明を容易に説明し記述を簡略化するためのものに過ぎず、記載される装置又は素子は必ず特定の方位を有したり、特定の方位で構成、操作されたりすることを指示又は暗示することがないので、本発明を制限するものと理解してはならない。また、用語の「第1」、「第2」は、説明するためのものに過ぎず、相対的重要性を指示又は暗示したり、指示される技術特徴の数量を暗示したりするものと理解してはならない。従って、「第1」、「第2」と制限される特徴は1つ又は複数の前記特徴を明示的又は暗示的に含むことができる。本発明の説明では、明確且つ具体的に制限しない限り、「複数」は2つ又は2つ以上を意味する。
【0029】
本発明の説明では、説明すべきところとして、別に明確に規定、制限しない限り、用語の「取り付ける」、「連結する」、「接続する」を広義的に理解すべきであり、例えば、固定的に接続してもよく、取り外し可能に接続してもよく、又は、一体的に接続してもよく、機械的に接続してもよく、電気的に接続してもよく、又は相互に通信してもよく、直接接続してもよく、更に中間媒介を介して間接的に接続してもよく、2つの素子の内部を連通させてもよく、又は2つの素子の相互作用の関係であってもよい。当業者であれば、具体的な状況に応じて本発明での上記用語の具体的な意味を理解してもよい。
【0030】
本発明では、別に明確に規定、制限しない限り、第1特徴が第2特徴の「上」又は「下」にあるというのは、第1と第2特徴が直接接触する場合を含んでもよいし、第1と第2特徴が直接接触せず、それらの間の別の特徴を介して接触する場合を含んでもよい。また、第1特徴が第2特徴の「上」、「上方」及び「上面」にあるというのは、第1特徴が第2特徴の真上及び斜め上方にある場合を含み、又はただ第1特徴の水平高さが第2特徴より高いことを意味する。第1特徴が第2特徴の「下」、「下方」及び「下面」にあるというのは、第1特徴が第2特徴の真下及び斜め下方にある場合を含み、又はただ第1特徴の水平高さが第2特徴より小さいことを意味する。
【0031】
以下の開示では、本発明の異なる構造を実現するために多くの異なる実施形態又は例を提供する。本発明の開示を簡略化するために、以下では特定の例の部材及び設定について説明する。当然ながら、それらは例に過ぎず、本発明を限定することを目的とするものではない。また、本発明では、異なる例において参照数字及び/又は参照アルファベットを重複することができ、そのような重複は、簡略化及び明瞭化のためのものであり、それ自体は、説明される各種の実施形態及び/又は設定間の関係を示すものではない。また、本発明は様々な特定のプロセス及び材料の例を提供するが、当業者であれば、他のプロセスの応用及び/又は他の材料の使用を想到できる。
【0032】
以下では、図面を参照しながら本発明の実施例を説明し、ここで説明される実施例は本発明を説明、解釈するためのものに過ぎず、本発明を制限する意図がないことを理解すべきである。
【0033】
レーザーレーダーのフォトマスクは、レーザーレーダー内部のデバイスを保護するためにレーザーレーダーの外部に配置され、フォトマスクは探知ビーム及びエコービームの通過を可能にする。レーザーレーダーのフォトマスクには、油汗、スクラッチ、石によるピット、汚水、ほこり、しみ、土砂等の表面欠陥や汚れがよく発生する。これらの表面欠陥や汚れはレーザーレーダーの正常な探知に悪影響を及ぼす。
【0034】
本発明者らはレーザーレーダーのフォトマスク汚れを吸収型、反射型及び散乱型という3つのタイプに分け、以下において図面を参照しながらこの3つの汚れタイプの特徴を詳細に説明する。図1Aに示すように、レーザーレーダーのフォトマスクにいかなる汚れもない場合に、送信ユニットから送信された探知ビームは、レーザーレーダーのフォトマスクを透過して直線的に出射し、探知ビームはターゲット空間に出射し、目標物で反射されてエコーを形成し、該探知エコーは同様にレーザーレーダーの受信ユニットに入射し、受信ユニットで受信され、光信号が電気信号に変換され、目標物の距離、速度、反射率等の情報をプロセッサによって分析する。図1Bに示すように、レーザーレーダーのフォトマスクに油汗、スクラッチ、石によるピット、汚水、ほこり、しみ、土砂等の異なるタイプの汚れが存在する場合に、送信ユニットから送信された探知ビームは、フォトマスク汚れに遭遇すると直線的に出射できなくなり、異なるタイプの汚れの影響により、探知ビームの出射経路が変化することが多い。吸収型のフォトマスク汚れについては、図1Bの(1)に示す点のように、該点のフォトマスクにアスファルトやペンキ等の吸収型汚れがあり、探知ビームの一部が吸収型汚れにより吸収され、出射ビームを形成できなくなる。反射型のフォトマスク汚れについては、図1Bの(2)に示す点のように、該点のフォトマスクにほこり、泥等の反射型汚れがあり、探知ビームの一部が反射型汚れにより反射され、同様に出射ビームを形成できなくなる。散乱型のフォトマスク汚れについては、図1Bの(3)に示す点のように、該点のフォトマスクにスクラッチ、石によるピット、昆虫の死体、鳥の糞、油汗、指紋、汚水、清水、フォトマスク腐食等の散乱型汚れがあり、探知ビームの一部が散乱型汚れにより散乱し、出射ビームは、散乱型汚れを透過できるが、伝播方向が変わる。
【0035】
レーザーレーダーのフォトマスクに汚れが存在するため、探知ビームが出射できなくなるか、又は探知ビームの伝播方向が変わり、レーザーレーダーの正常な探知に与える影響は以下の1)、2)及び3)を含む。
【0036】
1)目標物に入射する探知ビームのパワーが弱まるため、測距能力が低下し、点のロスが増加する。
2)目標物の反射率は光パワーに依存して計算されるため、光パワーの低下は反射率測定の精度の低下にもつながる。
3)フォトマスク汚れの反射エコーは、ノイズを増加させる原因となる。
【0037】
従って、本発明はレーザーレーダー用のフォトマスク汚れ検出方法を提供し、図2に示すように、該方法では、ターゲットを探知するためのレーザーレーダーの送信ユニット(例えば半導体レーザー機器)で生成されたビームを用いてフォトマスク汚れを検出し、フォトマスク汚れを検出するために光源を追加する必要はない。上述した3つのタイプの汚れは、いずれも探知ビームに対して反射が発生し、ここで、反射型汚れの反射率が最も高く、吸収型汚れの反射率が最も弱く、散乱型汚れは部分的に反射し、反射率が両者の間にある。従って、ターゲットを探知するためのレーザーレーダーの受信ユニット(例えばAPDで表されるアバランシェフォトダイオードであり、ここでは例示に過ぎず、本発明で使用される受信ユニットはAPDに限定されない)を用いて、フォトマスク汚れによって反射された探知ビームのエコーを受信し、光信号を電気信号に変換し、さらに波形情報に基づいてフォトマスク汚れの位置、分布及び/又はタイプを分析することができる。
【0038】
図3に示すように、本発明の一つの好ましい実施例によれば、本発明はステップS101~ステップS103を含むレーザーレーダー用のフォトマスク汚れ検出方法10を提供する。
【0039】
ステップS101では、パルスエンコーディングを有するマルチパルスシーケンスを送信する。
【0040】
レーザーレーダーは、直接飛行時間法(TOF)に基づいて距離測定に用いられ、即ち、狭いパルス幅で高いピークパワーのレーザーパルスを送信し、レーザーレーダーと目標物との間を往復するレーザーパルスの飛行時間を測定することで距離測定を行う。
【0041】
同じ測定範囲内で、複数台のレーザーレーダーが同時に動作するシーンでは、例えば、1台の車両に複数台のレーザーレーダーが搭載されている場合、又はレーザーレーダーが搭載された複数の車両が比較的近い距離にある場合に、レーザーレーダーの測定原理は、送信レーザーパルスの飛行時間の測定に基づくものであるため、各レーザーレーダーは、受信したエコーパルスが自身から送信されたものであるか否かを判別できず、他のレーダーから送信されたエコーパルスを一定の確率で受信する場合にも、エコー信号と判定され、それにより、距離測定の結果に誤差が発生し、即ち、クロストークが発生する。
【0042】
現在、マルチパルスエンコーディング方式を用いてエコー信号を識別することは、レーザーレーダーの効果的な干渉防止方法である。パルスエンコーディング方法の基本的な考え方は、レーザーレーダーは、目標物を探知するために予め設定されたエンコーディング情報を含むレーザーパルスを送信し、エコーを受信する時に、予め設定されたエンコーディング情報によって識別し、該レーダーから送信された探知ビームの反射エコーを決定する、ということである。
【0043】
パルスエンコーディングは、時間間隔エンコーディング、ピーク強度エンコーディング、パルス幅エンコーディング等のエンコーディング方法のうちの一種又は複数種を使用することができる。
【0044】
レーザーレーダーのフォトマスク汚れ検出方法10では、レーザーレーダーは探知時にパルスエンコーディングされたマルチパルスシーケンスが用いられる。検出光源を別に提供したり、実際の探知とは異なるエンコーディングメカニズムを使用したりする必要はない。具体的には、本発明の好ましい実施例は、探知エンコーディングと異なるエンコーディングパルスを時系列に送信して汚れを検出する必要はなく、エコーパルスを直接用いることでフォトマスク汚れを判断することができる。
【0045】
ステップS102では、レーダーエコーを受信し、前記レーダーエコーにおける、前記マルチパルスシーケンスに対応するエコーパルスシーケンスを取得する。
【0046】
レーザーレーダーのフォトマスク汚れがフォトマスク表面に存在し、フォトマスク汚れによって反射されたレーザーは、受信ユニットで受信される。従って、受信ユニットのエコー波形においてフォトマスク汚れによるエコーが存在するか否かを検出することにより、フォトマスク汚れの有無を検出することができる。本発明の好ましい実施例は、送信レーザーパルスのエンコーディング情報を用いて、フォトマスク汚れによるエコーを識別するため、フォトマスク汚れを検出するために光源及び/又は受信装置を追加する必要はないため、レーザーレーダーの構造と配置を節約する。
【0047】
例えば、レーザーレーダーは、時間間隔エンコーディングを用いて、時間エンコーディング情報を含む複数のレーザーパルスを送信する場合に、受信側では受信パルス信号の時間間隔に基づき、該受信パルス信号が複数のレーザーパルスの反射によるエコーであるか否かを判断する。
【0048】
また、例えば、レーザーレーダーは、ピーク強度エンコーディングを用いて、ピーク強度エンコーディング情報を含む複数のレーザーパルスを送信する場合に、受信側では受信パルス信号のピーク強度の比(受信パルス信号のピーク強度は送信パルスに比べて減衰するが、比は基本的に変わらず、一定の許容差を設定することができる)に基づき、該受信パルス信号が複数のレーザーパルスの反射によるエコーであるか否かを判断する。
【0049】
また、例えば、レーザーレーダーは、パルス幅エンコーディングを用いて、パルス幅エンコーディング情報を含む複数のレーザーパルスを送信する場合に、受信側では受信パルス信号のパルス幅の比(受信パルス信号のパルス幅は送信パルスに比べて広くなるが、比は基本的に変わらず、一定の許容差を設定することができる)に基づき、該受信パルス信号が複数のレーザーパルスの反射によるエコーであるか否かを判断する。
【0050】
図4に示すように、好ましくは、レーザーレーダーの送信ユニットは、時間間隔エンコーディングが用いられる。例えば、送信ユニットが、時間間隔エンコーディングtを有するダブルパルスシーケンスを送信する場合に、フォトマスク汚れによるエコーと、ターゲット空間にスキャンして目標物によって反射された探知ビームのエコー波形は図4に示され、2つのフォトマスクエコーの間には時間間隔tがあり、2つの探知エコーの間にも時間間隔tがある。
【0051】
先ず、時間間隔エンコーディングに基づいて探知ビームに対応するエコーパルスシーケンスを決定し、その後、エコーパルスシーケンスからフォトマスク汚れによるエコーパルスシーケンスをスクリーニングする。フォトマスクエコーは、複数の正常エコーのパルスの前に1つの小パルスがそれぞれ形成され、隣接する2つの小パルスの時間間隔が隣接する2つの正常エコーの時間間隔、即ちエンコーディング時間に等しいことを特徴とする。
【0052】
ステップS103では、前記エコーパルスシーケンスの飛行時間に基づき、レーザーレーダーにフォトマスク汚れが存在するか否かを判断する。
【0053】
フォトマスクと送信ユニットとの距離が非常に近く、フォトマスク汚れに対応するエコーパルスシーケンスの飛行時間が短いため、対応するエコーパルスシーケンスの飛行時間を設定することによって、該エコーパルスシーケンスがフォトマスク汚れに対応するか否かを判断することができる。好ましくは、該エコーパルスシーケンスの飛行時間は該エコーパルスシーケンスにおける最初のパルスの前縁時刻に基づいて決定される。図4に示すように、好ましくは、送信ユニットは、時間間隔エンコーディングtを有するダブルパルスシーケンスを送信し、その場合、1回探知されたフォトマスク汚れに対応するエコーパルスシーケンスを判断するには以下の1)、2)の2つの条件がある。
【0054】
1)前後の2つのエコー信号はエンコーディング条件を満たし、即ち送信パルスシーケンスのエンコーディング時間がtである場合、隣接する2つのフォトマスク汚れに対応するエコー信号の間の前縁時間間隔もtである。
2)フォトマスク汚れに対応するエコーパルスシーケンスにおける最初のパルスの前縁時間がt1未満であり、例えば、t1は1nsである。前縁時間t1は、一定の値取り範囲を有してもよく、t1の値は、検出精度の要件及びレーザーレーダーのタイプ(フォトマスクと送信ユニットの距離)によって決定できる。
【0055】
条件1)の作用は、エンコーディング条件を満たすエコーパルスシーケンスをスクリーニングすることであり、条件2)の作用は、近距離ターゲットのエコーがフォトマスク汚れに対応するエコーと類似しているため、誤報を引き起こす可能性があり、誤報の確率をできるだけ低減するために、異なる距離でエコーの前縁時間が異なるという特性を用いて、例えば、飛行時間閾値(例えば、エコーパルスシーケンスの前縁時間が1ns未満である)を設定することで近距離ターゲットのエコーによる誤報を除去することができる、ということである。
【0056】
本発明の好ましい実施例で提供されるフォトマスク汚れ検出方法は、レーザーレーダーに装置又は構造を追加する必要がなく、レーザーレーダーの実際の探知に用いられるエンコーディング方式を用いて検出し、検出精度が高い。
【0057】
本発明の一つの好ましい実施例によれば、検出方法10では、ステップS103(前記エコーパルスシーケンスの飛行時間に基づき、レーザーレーダーにフォトマスク汚れが存在するか否かを判断する)は、
シングルフレームの点群データにおいて、フォトマスク汚れに対応するエコー点数をカウントし、エコー点数に基づき、レーザーレーダーにフォトマスク汚れが存在するか否かを判断することをさらに含む。エコー点数とは、レーダー点群においてエコー対応点の数を意味する。
【0058】
機械式レーザーレーダーを例にとると、そのオプトメカニカルローターには、通常、複数のレーザー機器が含まれ、各レーザー機器の発光方向は垂直方向の一つの視野又は一つの角度に対応し、オプトメカニカルローターは垂直軸線の周りを回転し、それにより水平方向での360度のスキャンと探知を実現し、レーザーレーダーの1フレームの点群データを形成する。そのうちの1つのレーザー機器は、回転過程において、一定の回転角度(即ちレーザーレーダーの角分解能であり、例えば0.1度)ごとに探知ビームを送信し、レーザーレーダーの受信ユニットは、該探知ビームが障害物で乱反射した後のエコーを受信して点群データを生成する。レーザーレーダーは、一回りのスキャン後にレーダーの現在位置の周囲環境の障害物情報を含む1フレームの点群データを生成する。
【0059】
例を挙げると、128ラインのレーザーレーダーについては、全てのレーザー機器が発光する場合に、角分解能が0.1°であると仮定すると、1探知周期内に460800点を有する1フレームの点群データが生成される。
【0060】
本発明の一つの好ましい実施例によれば、検出方法10は、前記エコー点数が点数閾値より大きい場合に、レーザーレーダーにフォトマスク汚れが存在すると判定するステップをさらに含む。
【0061】
本発明の好ましい実施例では、飛行時間によってフォトマスク汚れを判断する条件に加えて、シングルフレームの点群データにおける、フォトマスク汚れに対応するエコー点数をカウントするという限定条件を追加する。例えば、128ラインのレーザーレーダーについては、全てのレーザー機器が発光する場合に、角分解能が0.1°であると仮定すると、1探知周期内に460800点を有する1フレームの点群データが生成され、ここで、飛行時間閾値の条件を満たす点が100個以上である場合、フォトマスク汚れが存在するとみなされる。
【0062】
本発明の好ましい実施例では、シングルフレームの点群データにおいて点数閾値を設定することが用いられ、フォトマスク汚れに対応する点数が点数閾値より大きい場合に、フォトマスク汚れが存在すると判定する。前の実施例では飛行時間閾値によるスクリーニングを行った上で、点数閾値の判断条件を追加し、各種の干渉因素による誤判定を回避し、判断結果をより正確なものとする。
【0063】
本発明の一つの好ましい実施例によれば、検出方法10は、
前記レーザーレーダーによる探知の所定角度範囲内で、前記フォトマスク汚れに対応するエコー点数をカウントし、前記エコー点数が前記点数閾値より大きい場合に、前記所定角度範囲内でフォトマスク汚れが存在すると判定するステップをさらに含む。
【0064】
レーザーレーダーのフォトマスクに存在する汚れは、通常、フォトマスクの各位置に分布するものではなく、一つの角度範囲内に集中しているものである。従って、特定の角度範囲を設定でき、例えば、10°間隔で、10°あたりの範囲内のフォトマスク汚れに対応するエコー点数の総数を計算し、点数閾値を設定し、10°の範囲内のフォトマスク汚れに対応するエコー点数の総数が該点数閾値より大きい場合に、該10°の範囲内でフォトマスク汚れが存在すると判定する。
【0065】
例を挙げると、128ラインのレーザーレーダーについては、全てのレーザー機器が発光し、角分解能が0.1°であると仮定する。レーザーレーダーは、10°のスキャン範囲内で、合計で12800点を有する点群データを生成する。点数閾値は、12800点のうち5点がフォトマスク汚れに対応するエコー点数であると、フォトマスク汚れが存在するとみなされるように設定される。また、マルチラインのレーザーレーダーは、一部のレーザー機器を発光させたり、他の角分解能を用いたりしてもよい。
【0066】
本実施例では、前の実施例による点数閾値の追加に基づき、フォトマスク汚れの範囲を所定角度範囲内に限定し、フォトマスク汚れが存在するか否かを正確に判断できるだけでなく、汚れのある範囲を予測し、その後の汚れ除去作業を容易にすることもできる。
【0067】
本発明の一つの好ましい実施例によれば、検出方法10におけるステップS101は、時間間隔でエンコーディングされたマルチパルスシーケンスを送信するステップをさらに含み、ステップS102は、
前記エコーパルスシーケンスの時間間隔が、前記マルチパルスシーケンスの時間間隔と一致するステップをさらに含む。
【0068】
本発明の一つの好ましい実施例によれば、好ましくは、レーザーレーダーの送信ユニットは時間間隔エンコーディングを用いてマルチパルスシーケンスを送信し、アナログディジタルコンバータ(ADC)がサンプリングすることでレーダーエコーの全波波形を取得でき、強度閾値を設定することで、レーダーエコーのうちピーク強度が強度閾値よりも高い複数のエコーパルス信号をスクリーニングする。選択された複数のエコーパルス信号の時間間隔が送信パルスシーケンスの時間間隔と一致する場合に、選択されたエコーパルス信号を送信パルスシーケンスに対応するエコーパルスシーケンスとする。
【0069】
本発明の一つの好ましい実施例によれば、検出方法10では、ステップS103(前記エコーパルスシーケンスの飛行時間に基づき、レーザーレーダーにフォトマスク汚れが存在するか否かを判断する)は、
前記エコーパルスシーケンスの飛行時間が飛行時間閾値より小さい場合に、レーザーレーダーにフォトマスク汚れが存在すると判定するステップをさらに含む。
【0070】
図4に戻ると、レーザーレーダーのフォトマスクと送信ユニットとの距離が非常に近いため、フォトマスク汚れが存在する場合、送信ユニットから送信された探知ビームは、フォトマスク汚れで反射された後に、受信ユニットによって受信された飛行時間も非常に短くなり、探知ビームが障害物で反射された後に、受信ユニットによって受信された飛行時間よりもはるかに短い。エコーパルスシーケンスにおける最初のエコーパルスの前縁時間によって、エコーパルスシーケンスの飛行時間を決定してもよく、エコーパルスシーケンスにおける最初のエコーパルスのピーク時間、又はエコーパルスシーケンスにおける他の時点での換算によって、さらにエコーパルスシーケンスの飛行時間を決定してもよく、これらは全て本発明の保護範囲内にある。エコーパルスシーケンスの飛行時間が飛行時間閾値より小さい場合に、該エコーパルスシーケンスは、探知ビームがフォトマスク汚れで反射された後に受信ユニットによって受信されて生成されたエコーパルス信号であると判定し、即ちレーザーレーダーにフォトマスク汚れが存在すると判定する。
【0071】
目標物がフォトマスク(0cm)に密着する状態からフォトマスクから徐々に離れる過程において、シングルフレームで検出されたフォトマスク汚れに対応するエコー点数は先に増加してから減少する過程を経て、目標物がフォトマスクから5cm程度離れている場合に、検出されたエコー点数が、フォトマスク表面に汚れが存在する場合よりもさらに多くなるため、飛行時間閾値だけでは近距離ターゲットによる誤報を完全に防ぐことはできない。
【0072】
近距離ターゲットによる誤報を防止する方法について、以下に詳細に説明する。
【0073】
本発明の一つの好ましい実施例によれば、検出方法10は、前記飛行時間閾値に基づいて対応する点数閾値を設定するステップをさらに含み、この場合、異なる飛行時間閾値が異なる点数閾値に対応するため、前記飛行時間閾値とその対応する点数閾値を用いて、フォトマスク汚れを正確に判断し、近距離ターゲットによる誤報を回避することができる。図5A図5Bに示すように、図5Aは、飛行時間閾値が1nsと設定されている場合、シングルフレームの点群データにおける各角度に対応するエコー点数である。図5Bは、飛行時間閾値が2nsと設定されている場合、シングルフレームの点群データにおける各角度に対応するエコー点数である。図5A図5Bから分かるように、飛行時間閾値を大きくすると、探知されたフォトマスク汚れに対応するエコー点数が増加し、飛行時間閾値を大きくすることは、より広い範囲内のフォトマスク汚れ(例えば斜め角度でのフォトマスク汚れ)に対して効果的な探知結果が得られるが、それとともに誤報率が増加する可能性がある。
【0074】
図5Aに示すように、飛行時間閾値が1nsの場合に、対応する点数閾値D1を設定し、シングルフレームの点群データにおける、フォトマスク汚れに対応するエコー点数が該点数閾値を超えるか否かを計算することができる。図5Bに示すように、飛行時間閾値が2nsの場合に、対応する点数閾値D2を設定し、シングルフレームの点群データにおける、フォトマスク汚れに対応するエコー点数が該点数閾値を超えるか否かを計算することができる。ここで、飛行時間が2nsの場合の点数閾値は、飛行時間が1nsの場合の点数閾値よりも高い。
【0075】
好ましくは、所定角度範囲内のフォトマスク汚れに対応するエコー点数を計算する。図5Aに示すように、飛行時間閾値が1nsの場合に、10°の範囲内の対応する点数閾値(例えば5点と設定する)を設定し、10°の範囲内で生成された点群データにおいてフォトマスク汚れに対応するエコー点数が該点数閾値5を超えるか否かを計算することができる。図5Bに示すように、飛行時間閾値が2nsの場合に、10°の範囲内の応する点数閾値(例えば40点)を設定し、10°の範囲内で生成された点群データにおいてフォトマスク汚れに対応するエコー点数が該点数閾値40を超えるか否かを計算することができる。
【0076】
本実施例では、飛行時間閾値と点数閾値を組み合わせ、近距離ターゲットによる誤報を回避する。実際の操作では、クエリテーブルを設定して対応する飛行時間閾値と点数閾値を動的に選択したり、実際の検出状況に応じて閾値を調整したりして、誤報を低減することができる。
【0077】
フォトマスク汚れは常に安定して存在し、近距離の目標物は短時間で存在する可能性がある(例えば移動するターゲット)ことを考慮するため、さらにフレーム数制限を設定することで近距離ターゲットによる誤報を低減ことができ、例えば、連続する10フレームの、同じ飛行時間閾値でのフォトマスク汚れに対応するエコー点数がいずれも点数閾値に達すると、フォトマスク汚れが検出されたとみなされる。本発明の一つの好ましい実施例によれば、検出方法10は、
連続マルチフレームの点群データにおいて前記エコー点数がいずれも前記点数閾値より大きい場合に、レーザーレーダーにフォトマスク汚れが存在すると判定するステップをさらに含む。
【0078】
本発明の一つの好ましい実施例によれば、検出方法10は、前記エコー点数に基づき、前記フォトマスク汚れのタイプを判断するステップをさらに含む。
【0079】
図1Bに戻ると、位置(1)の吸収型汚れについては、それに対応する反射エコーが非常に弱く、発生したフォトマスク汚れに対応するエコー点数も少なくなる。位置(2)の反射型汚れについては、それに対応する反射エコーが強く、発生したフォトマスク汚れに対応するエコー点数は多くなる。位置(3)の散乱型汚れについては、それに対応する反射エコーが比較的弱く、発生したフォトマスク汚れに対応するエコー点数は反射型汚れよりも少ないが、吸収型汚れよりも多い。フォトマスク汚れに対応するエコー点数は統計的に有意であり、エコー点数に関する識別閾値を設定して汚れタイプを判断することができる。
【0080】
本発明の一つの好ましい実施例によれば、検出方法10はさらに以下を含む。
【0081】
前記エコー点数が第1識別閾値より大きい場合に、前記フォトマスク汚れが反射型汚れであると判定する。ここで、反射型汚れはしみ、土砂、ほこり、泥等を含む。
【0082】
前記エコー点数が第1識別閾値以下で第2識別閾値より大きい場合に、前記フォトマスク汚れが散乱型汚れであると判定する。ここで、散乱型汚れは汚水、スクラッチ、石によるピット、昆虫の死体、鳥の糞、油汗、指紋、清水、フォトマスク腐食等を含む。
【0083】
前記エコー点数が第2識別閾値以下である場合に、前記フォトマスク汚れが吸収型汚れであると判定する。ここで、吸収型汚れは油汗、アスファルト、ペンキ等を含む。
【0084】
エコー点数に基づき、フォトマスク汚れのタイプを判定し、次の汚れ除去作業に備える。
【0085】
本発明の一つの好ましい実施例によれば、検出方法10は、
前記フォトマスク汚れが存在する所定角度範囲内を第2所定角度で再スキャンし、前記所定角度範囲内のフォトマスク汚れの分布状況を決定するステップをさらに含む。
【0086】
本発明の一つの好ましい実施例によれば、例えば、角分解能が0.1°であり、全てのレーザー機器が発光する128ラインのレーザーレーダーを使用する。所定の10°の範囲内には合計12800点があり、点数閾値を5と設定する。所定の10°の範囲内ではフォトマスク汚れに対応するエコー点数が5つを超えると、該10°の範囲内でフォトマスク汚れが存在すると判定する。好ましくは、連続する10フレームの該10°の範囲内のフォトマスク汚れに対応するエコー点数がいずれも5より大きい場合、該10°の範囲内でフォトマスク汚れが存在すると判定する。フォトマスク汚れが存在する特定の角度範囲を決定した後、レーザーレーダーは、元の角分解能で該角度範囲内を再スキャンし、該特定の角度範囲を複数の所定角度に小分けしてもよい。例えば、該10°の範囲を10個の1°の角度範囲に小分けする。各1°の所定角度範囲内で、フォトマスク汚れに対応するエコー点数をカウントし、それによりフォトマスク汚れの具体的な位置と強度分布を決定する。レーザーレーダーは、他の角分解能で該角度範囲内を再スキャンしてもよく、これらはいずれも本発明の保護範囲内にある。ここで、フォトマスク汚れに対応するエコー点数はエンコーディングマッチング及び飛行時間閾値に基づき決定されるが、ここでは説明を省略する。
【0087】
図6に示すように、本発明の一つの好ましい実施例によれば、本発明は、送信ユニット110、受信ユニット120、波形検出ユニット130及びフォトマスク汚れ判断ユニット140を含むレーザーレーダーのフォトマスク汚れ検出システム100をさらに提供する。
【0088】
送信ユニット110は、パルスエンコーディングを有するマルチパルスシーケンスを送信するように構成される。レーザーレーダーの探知で一般的に使用されるエンコーディングレーザーパルスを使用する。別の検出光源を提供するか、又は実際の探知と異なるエンコーディングメカニズムを使用する必要はない。
【0089】
受信ユニット120は、レーダーエコーを受信するように構成される。
【0090】
波形検出ユニット130は、送信ユニット110、受信ユニット120にそれぞれ結合され、
前記レーダーエコーにおける、前記マルチパルスシーケンスに対応するエコーパルスシーケンスを取得するように構成される。波形検出ユニットは、パルス幅、ピーク強度、前縁時間、距離、角度等の情報を含む波形情報を生成し、送信パルスシーケンスのエンコーディングとマッチングすることで対応するエコーパルスシーケンスを取得するために用いられる。
【0091】
フォトマスク汚れ判断ユニット140は、前記エコーパルスシーケンスの飛行時間に基づき、レーザーレーダーにフォトマスク汚れが存在するか否かを判断するように構成される。フォトマスク汚れに対応するエコーパルスシーケンスは探知ビームのエコーパルスシーケンスとは異なり、フォトマスクと送信ユニットとの距離が非常に近く、フォトマスク汚れに対応するエコーの飛行時間が非常に短いため、対応するエコーパルスシーケンスの飛行時間を設定することによって、該エコーパルスシーケンスがフォトマスク汚れに対応するか否かを判断することができる。
【0092】
図6に示すように、本発明の一つの好ましい実施例によれば、フォトマスク汚れ検出システム100は、シングルフレームの点群データにおいて、前記フォトマスク汚れに対応するエコー点数をカウントするように構成される点数カウントユニット150をさらに含み、フォトマスク汚れ判断ユニット140は、さらに、前記エコー点数に基づき、レーザーレーダーにフォトマスク汚れが存在するか否かを判断するように構成される。
【0093】
レーザーレーダーは、スキャン周期ごとに1フレームの点群データを生成し、ここで、点数カウントユニット150は、シングルフレームの点群データにおける、フォトマスク汚れに対応するエコー点数をカウントし、フォトマスク汚れ判断ユニット140は、該エコー点数に基づき、レーザーレーダーにフォトマスク汚れが存在するか否かを判断する。
【0094】
本発明の一つの好ましい実施例によれば、フォトマスク汚れ検出システム100では、フォトマスク汚れ判断ユニット140は、さらに、
前記エコー点数が点数閾値より大きい場合に、レーザーレーダーにフォトマスク汚れが存在すると判定するように構成される。
【0095】
レーダーによるシングルフレームの点群の形成過程では、具体的には、128ラインのレーザーレーダーについては、全てのレーザー機器が発光する場合に、角分解能が0.1°であると仮定すると、シングルフレームの点数閾値とは、460800点のうち点数閾値を超えるエコー点数が飛行時間の条件を満たすと、フォトマスク汚れが存在するとみなされることを意味する。
【0096】
本発明の好ましい実施例では、シングルフレームの点群データにおいて点数閾値を設定することが用いられ、フォトマスク汚れに対応する点数が点数閾値より大きい場合に、フォトマスク汚れが存在すると判定する。近距離の目標物(例えば、レーダーフォトマスクをふと飛ぶハエ)による誤報を回避する。
【0097】
本発明の一つの好ましい実施例によれば、フォトマスク汚れ検出システム100では、点数カウントユニット150は、さらに、前記レーザーレーダーによる探知の所定角度範囲内で、前記フォトマスク汚れに対応するエコー点数をカウントするように構成され、フォトマスク汚れ判断ユニット140は、さらに、前記エコー点数が前記点数閾値より大きい場合に、前記所定角度範囲内でフォトマスク汚れが存在すると判定するように構成される。
【0098】
レーザーレーダーのフォトマスクに存在する汚れは、通常、フォトマスクの各位置に分布するものではなく、一つの角度範囲内に集中しているものである。従って、特定の角度範囲を設定でき、例えば、10°間隔で、10°あたりの範囲内のフォトマスクエコー点数の総数を計算し、点数閾値を設定し、10°の範囲内のフォトマスクエコー点数の総数が点数閾値より大きい場合に、該10°の範囲内でフォトマスク汚れが存在すると判定する。
【0099】
例を挙げると、128ラインのレーザーレーダーについては、全てのレーザー機器が発光する場合に、角分解能が0.1°であると仮定し、点数閾値は、12800点のうち5点がフォトマスク汚れに対応するエコー点数であると、フォトマスク汚れが存在するとみなされるように設定される。
【0100】
本実施例は、近距離ターゲットによるフォトマスクエコーの誤報を回避するだけでなく、さらにフォトマスク汚れの範囲を所定角度範囲内に限定し、その後の汚れ除去作業を容易にする。
【0101】
本発明の一つの好ましい実施例によれば、図6に示すように、フォトマスク汚れ検出システム100は、
受信ユニット120と波形検出ユニット130との間に結合され、前記レーダーエコーに対してデータ収集を行い、前記レーダーエコーのデータ信号を波形検出ユニット140に送信するために用いられる、データ収集ユニット160をさらに含む。ここで、データ収集ユニット160はアナログデジタル変換器(ADC)又は時間デジタル変換器(TDC)を含んでもよい。
【0102】
本発明の一つの好ましい実施例によれば、フォトマスク汚れ検出システム100における送信ユニット110は、さらに、時間間隔でエンコーディングされたマルチパルスシーケンスを送信するように構成され、波形検出ユニット130は、さらに、
前記エコーパルスシーケンスの時間間隔が、前記マルチパルスシーケンスの時間間隔と一致するように構成される。
【0103】
本発明の一つの好ましい実施例によれば、フォトマスク汚れ検出システム100におけるフォトマスク汚れ判断ユニット140は、さらに、
前記エコーパルスシーケンスの飛行時間が飛行時間閾値より小さい場合に、レーザーレーダーにフォトマスク汚れが存在すると判定するように構成される。エコーパルスシーケンスの飛行時間が飛行時間閾値より小さい場合に、該エコーパルスシーケンスは、探知ビームがフォトマスク汚れで反射された後に受信ユニット110によって受信されて生成されたエコー信号であると判定し、即ちレーザーレーダーにフォトマスク汚れが存在すると判定する。
【0104】
ここで、飛行時間閾値と点数閾値は組み合わせて使用することができ、飛行時間閾値に応じて対応する点数閾値を設定することができる。
【0105】
図7に示すように、本発明の一つの好ましい実施例によれば、フォトマスク汚れ検出システム100では、フォトマスク汚れ判断ユニット140は、
各列には、前記レーザーレーダーが連続マルチフレームでスキャンする時に同一の所定角度範囲内を探知したフォトマスク汚れ判定結果が対応づけて記憶され、
各行には、前記レーザーレーダーがシングルフレームでスキャンする時の各所定角度範囲内のフォトマスク汚れ判定結果が対応づけて記憶されるように設定される、マルチビット記憶テーブルを含む。
【0106】
好ましくは、図7に示すように、36ビットのバイナリメモリを用いて、その長さ方向(図に示すX方向)において、各列は、0~10°、10°~20°、……350°~360°等の角度範囲を表し、その幅方向(図に示すY方向)において、各行は1フレームを表す。幅方向の1行目では、レーザーレーダーが1周目(360°)をスキャンする時に、点数カウントユニットが10°の範囲ごとにフォトマスク汚れに対応するエコー点数をカウントすることを表し、該エコー点数が点数閾値より大きい場合に、メモリのこのビットは1として記憶される。連続する複数行の同じ列に記憶された値がいずれも1であると、連続マルチフレームの該所定角度範囲でのフォトマスク汚れに対応するエコー点数がいずれも点数閾値より大きいことを反映している。
【0107】
本発明の一つの好ましい実施例によれば、前記マルチビット記憶テーブルにおける同一列の記憶結果がいずれも前記レーザーレーダーにおけるフォトマスク汚れの存在を示す場合に、前記フォトマスク汚れ判断ユニット140は、前記同一列に対応する前記所定角度範囲内でフォトマスク汚れが存在すると判定する。
【0108】
好ましくは、前記マルチビットのバイナリメモリの連続する複数行の同じ複数列の記憶結果がいずれもフォトマスク汚れの存在を示す場合に、前記同じ複数列に対応する最大所定角度範囲及び最小所定角度範囲の平均値においてフォトマスク汚れが存在すると判定する。
【0109】
フォトマスク汚れが存在する角度範囲を決定した後、フォトマスク汚れ検出システム100は、前記フォトマスク汚れに対応する角度範囲内で、第2所定角度で再スキャンし、前記所定角度範囲内のフォトマスク汚れの分布状況を決定する。
【0110】
以上に係わる送信ユニットは、垂直共振器型面発光レーザー(Vertical-Cavity Surface-Emitting Laser,VCSEL)、端面発光レーザー(Edge Emitting Laser,EEL)のうちの少なくとも1つの半導体レーザー機器を含む。以上に係わる受信ユニットは、単一光子アバランシェダイオード(Single Photon Avalanche Diode,SPAD)探知器、アバランシェフォトダイオード(Avalanche Photo Diode,APD)探知器、シリコン光電子増倍管(Silicon Photomultiplier,SiPM)探知器のうちの少なくとも1つの探知器を含む。
【0111】
本発明の好ましい実施例は、レーザーレーダー用のフォトマスク汚れ検出方法及びフォトマスク汚れ検出システムを提供し、レーザーレーダーの送信ユニットで生成されたビームを用いてフォトマスク汚れを検出し、光源及び/又は探知デバイスを追加する必要がなく、且つレーザーレーダーのエンコーディング時間、飛行時間、エコー点数で検出し、検出精度が高く、誤判定の発生を回避する。本発明の好ましい実施例は、ターゲットを探知するためのレーザーレーダー内の送信ユニット及び受信ユニットによってフォトマスク汚れ検出を完了し、構造が簡単であり、レーザーレーダーの内部空間を節約する。本発明の好ましい実施例は、エコー点数によってフォトマスク汚れのタイプ及び分布状況を判断でき、後続の汚れ除去作業に根拠を提供する。
【0112】
最後に、説明すべきこととして、以上は本発明の好ましい実施例に過ぎず、本発明を限定するためのものではなく、上記実施例を参照して本発明を詳細に説明したが、当業者であれば、依然として上述した各実施例に記載の技術的解決手段を修正するか、又はその中の一部の技術的特徴に対して同等な置換を行うことができる。本発明の趣旨及び原則内に行った修正、同等な置換、改良等は、全て本発明の保護範囲に含まれるものとする。
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7