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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-17
(45)【発行日】2024-12-25
(54)【発明の名称】発光装置及び照明器具
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/50 20100101AFI20241218BHJP
   H01L 33/52 20100101ALN20241218BHJP
【FI】
H01L33/50
H01L33/52
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2024055090
(22)【出願日】2024-03-28
【審査請求日】2024-03-28
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】591149089
【氏名又は名称】株式会社MARUWA
(74)【代理人】
【識別番号】100096116
【弁理士】
【氏名又は名称】松原 等
(72)【発明者】
【氏名】加藤 曜
(72)【発明者】
【氏名】川本 健一
【審査官】百瀬 正之
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-091648(JP,A)
【文献】特開2020-167399(JP,A)
【文献】特開2022-048863(JP,A)
【文献】国際公開第2021/085546(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0326627(US,A1)
【文献】特開平07-296770(JP,A)
【文献】特開2019-212905(JP,A)
【文献】国際公開第2022/208922(WO,A1)
【文献】特開2023-011822(JP,A)
【文献】特開2022-022660(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0405997(US,A1)
【文献】特開2021-163958(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00-33/64
F21K 9/00-9/90
F21S 2/00
F21V 8/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1又は複数のLED素子と、複数の蛍光体とを備え、
色温度が7500K以上である高色温度側の光と、色温度が2000~3000Kである低色温度側の光とを発し、
高色温度側の光と低色温度側の光との混合光は、色温度が2700~7500Kの範囲で平均演色評価数Raが95以上かつ特殊演色評価数R9が75以上であり、かつ、色温度が6000K以上でメラノピック比が1を超え、色温度が3100Kでメラノピック比が0.58を超えていない発光装置。
【請求項2】
1又は複数のLED素子と、複数の蛍光体とを備え、
色温度が7500K以上である高色温度側の光と、色温度が2000~3000Kである低色温度側の光とを発し、
高色温度側の光と低色温度側の光との混合光は、CIE1931表色系の色度図の色度座標で、色温度が7500Kにおいてxが0.295~0.298、yが0.315~0.331の範囲内であり、色温度が2700Kにおいてxが0.462~0.467、yが0.415~0.425の範囲内であり、
該混合光は、色温度が2700~7500Kの範囲で平均演色評価数Raが95以上かつ特殊演色評価数R9が75以上であり、かつ、色温度が6000K以上でメラノピック比が1を超え、色温度が3100Kでメラノピック比が0.58を超えていない発光装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の発光装置を備えた照明器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人の概日リズム(サーカディアンリズム)と演色性に配慮した発光装置及び照明器具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
照明やディスプレイにおいて、サーカディアンリズムに配慮して色温度を調整することが、一部で行われるようになった。
【0003】
また、物の見え方に関わる演色性に配慮することは、従来より一般的に行われている。JIS Z 9112:2019(蛍光ランプ・LEDの光源色及び演色性による区分)では、色温度範囲(2600K~7100K)で平均演色評価数Raが95以上、特殊演色評価数R9(赤色)が75以上を充足すれば、高演色形クラス3(美術館、博物館などで美術品を展示、鑑賞する場合に推奨されるクラス)となる。
【0004】
そして、特許文献1のように、サーカディアンリズムに配慮して色温度を調整でき、かつ、演色性に配慮した発光装置が知られている。しかし、図12に示すように、特許文献1の実施形態に係る第1~第3発光装置のうち最も演色性を考慮した第2発光装置でも、電球色(2700K付近)でR9が68であり、色温度範囲(2600K~7100K)でR9が75以上を充足できていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第7174266号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明の目的は、2つの光の混合光により、サーカディアンリズムに配慮して色温度を調整でき、かつ、高演色形クラス3を優に満たす発光装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[1]1又は複数のLED素子と、複数の蛍光体とを備え、
色温度が7500K以上である高色温度側の光と、色温度が2000~3000Kである低色温度側の光とを発し、
高色温度側の光と低色温度側の光との混合光は、色温度が2700~7500Kの範囲で平均演色評価数Raが95以上かつ特殊演色評価数R9(赤色)が75以上であり、かつ、色温度が6000K以上でメラノピック比が1を超える発光装置。
【0008】
[2]1又は複数のLED素子と、複数の蛍光体とを備え、
色温度が7500K以上である高色温度側の光と、色温度が2000~3000Kである低色温度側の光とを発し、
高色温度側の光と低色温度側の光との混合光は、CIE1931表色系の色度図(以下単に「色度図」)の色度座標で、色温度が7500Kにおいてxが0.295~0.298、yが0.315~0.331の範囲内(より好ましくはxが0.295~0.297、yが0.324~0.330の範囲内)であり、色温度が2700Kにおいてxが0.462~0.467、yが0.415~0.425の範囲内(より好ましくはxが0.463~0.466、yが0.416~0.421の範囲内)である発光装置。
【0009】
[3]1又は複数のLED素子と、複数の蛍光体とを備え、
色温度が7500K以上である高色温度側の光と、色温度が2000~3000Kである低色温度側の光とを発し、
高色温度側の光と低色温度側の光との混合光は、色度図の色度座標で、色温度が7500Kにおいてxが0.295~0.298、yが0.315~0.331の範囲内(より好ましくはxが0.295~0.297、yが0.324~0.330の範囲内)であり、色温度が2700Kにおいてxが0.462~0.467、yが0.415~0.425の範囲内(より好ましくはxが0.463~0.466、yが0.416~0.421の範囲内)であり、
該混合光は、色温度が2700~7500Kの範囲で平均演色評価数Raが95以上かつ特殊演色評価数R9が75以上であり、かつ、色温度が6000K以上でメラノピック比が1を超える発光装置。
【0010】
[4]前記[1]~[3]のいずれか一項に記載の発光装置を備えた照明器具。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、2つの光の混合光により、サーカディアンリズムに配慮して色温度を調整でき、かつ、高演色形クラス3を満たす発光装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は実施例及び比較例の発光装置の断面図である。
図2図2(a)は実施例1の高色温度側の光(8200K)の発光スペクトル図、(b)は実施例1の低色温度側の光(2400K)の発光スペクトル図である。
図3図3は実施例1の高色温度側の光と低色温度側の光との混合光(7500K、6700K、5400K、4500K、3800K、3100K、2700Kの7段階)の発光スペクトル図である。
図4図4は各実施例及び各比較例の混合光(前記7段階)の色度座標を示す色度図である。
図5図5は各実施例及び各比較例の混合光(7500K)の色度座標を示す拡大した色度図である。
図6図6は各実施例及び各比較例の混合光(2700K)の色度座標を示す拡大した色度図である。
図7図7は実施例2の高色温度側の光と低色温度側の光との混合光(前記7段階)の発光スペクトル図である。
図8図8(a)は比較例1の高色温度側の光(10300K)の発光スペクトル図、(b)は比較例1の低色温度側の光(2500K)の発光スペクトル図である。
図9図9は比較例1の高色温度側の光と低色温度側の光との混合光(前記7段階)の発光スペクトル図である。
図10図10は実施例1~4の混合光(前記7段階)のR9を示すグラフである。
図11図11は比較例1~3の混合光(前記7段階)のR9を示すグラフである。
図12図12は特許文献1の発光装置の光(6500K、5000K、4000K、3500K、3000K、2700K)のR9を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<1>LED素子
LED素子には、レーザーダイオード素子が含まれる。LED素子の発するピーク波長は、特に限定されないが、450nm以下であることが好ましい。
【0014】
<2>蛍光体
蛍光体は、LED素子の発する光を励起源として蛍光を発する物質である。
蛍光体は、複数種の蛍光体から構成される蛍光体群であることが好ましい。
高色温度側の光を発するための蛍光体は、445~490nmの範囲にピーク波長を有する青色系蛍光体と、491~600nmの範囲にピーク波長を有する黄色ないし緑色系の蛍光体とを、それぞれ少なくとも一種ずつ含むことが好ましい。
低色温度側の光を発するための蛍光体は、491~600nmの範囲にピーク波長を有する黄色ないし緑色系の蛍光体と、601~670nmの範囲にピーク波長を有する赤色蛍光体とを、それぞれ少なくとも一種ずつ含むことが好ましい。
【0015】
<3>1又は複数のLED素子と、複数の蛍光体
「1又は複数のLED素子と、複数の蛍光体」は、次の態様を含む。
・1のLED素子と、該LED素子の発する光で別々に励起されるように互いに区分けされた複数の蛍光体
・第1LED素子と、第1LED素子の発する光で励起される第1の蛍光体と、第2LED素子と、第2LED素子の発する光で励起される第2蛍光体
【0016】
<4>2つの光
高色温度側の光と低色温度側の光という2つの光の混合光により、色温度が2700~7500Kの範囲で平均演色評価数Raが95以上かつ特殊演色評価数R9が75以上であり、かつ、色温度が6000K以上でメラノピック比が1を超えるものであれば、その2つの光に第3の光を加え混合して、さらに演色性を高めてもよい。
【0017】
<5>メラノピック比
サーカディアンに配慮した照明とは、午前中はメラトニンの分泌を抑制する色温度が高い光を低照度で照射し、夕刻以降はメラトニンを分泌させる色温度が低い光を低照度で照射し、サーカディアンリズムを整えるものである。WELL認証が米国より始まり、ビルやオフィスなどの照明では、「少なくとも午前9時から午後1時の間は、最低240EMLの垂直面照度を持つこと」が高ポイントを得るための基準として設定されている。EMLは、等価メラノピック照度を表す単位であり、通常の555nmの波長をピークとする視感度曲線とは異なり、490nmの波長をピークとするメラノピック感度曲線(図2図8参照)を用いて算出される照度である。
【0018】
等価メラノピック照度は、「等価メラノピック照度=照度×メラノピック比」で表されるものであり、光源の分光分布曲線E(λ)、メラノピック感度曲線C(λ)、視感度曲線V(λ)とすると、メラノピック比は次の式(1)で表される。
【0019】
【数1】
【実施例
【0020】
次に、本発明を具体化した実施例について、比較例と比較しつつ、図面を参照して説明する。なお、実施例の各部の材料、数量及び条件は例示であり、発明の要旨から逸脱しない範囲で適宜変更できる。
【0021】
図1に示すように、実施例の発光装置1は、基板10と、基板10上に接着された第1LED素子2と、第1LED素子2を封止した第1封止材3と、基板10上に接着された第2LED素子6と、第2LED素子6を封止した第2封止材7とを備えるものである。第1封止材3は、透明な樹脂4と該樹脂4に分散した蛍光体5とからなる。第2封止材7は、透明な樹脂8と該樹脂8に分散した蛍光体9とからなる。
【0022】
実施例の発光装置1は、第1LED素子2と蛍光体5により、色温度が7500K以上である高色温度側の光を発し、第2LED素子6と蛍光体9により、色温度が2000K-3000Kの範囲である低色温度側の光を発し、高色温度側の光と低色温度側の光との混合光は、色温度が2700K-7500Kの範囲でRa≧95及びR9≧75を満たし、かつ、色温度が6000K以上でメラノピック比が1を超えるものである。
これに対し、比較例の発光装置は、実施例と同じ図1の構造を有するが、光の特性が実施例と異なる。
詳しくは、表1に示す実施例1~4及び比較例1~3の発光装置を、次のように作製し、光の特性を調べた。
【0023】
【表1】
【0024】
表1中、LED素子は、豊田合成社製の窒化ガリウム系LED素子である。
樹脂は、アイカ工業社製のシリコーン樹脂T-122である。
VB202A3は、三菱ケミカル社製の青色蛍光体(SBCA)の品番である。
VB202B3は、三菱ケミカル社製の青色蛍光体(SBCA)の品番である。
GR540Kは、デンカ社製の緑色蛍光体(βサイアロン)の品番である。
YL595Bは、デンカ社製橙色蛍光体(αサイアロン)の品番である。
VR-103Cは、三菱ケミカル社製の赤色蛍光体(CASN)の品番である。
R660は、デンカ社製の赤色蛍光体(CASN)の品番である。
【0025】
[実施例1]
(作製方法)
基板10上に、第1LED素子2と第2LED素子6を並べて取り付け、それぞれ通電可能とした。いずれのLED素子2,6も、ピーク波長400~410nmの光を発するものである。ここでは、高色温度側の光用の第1LED素子2と低色温度側の光用の第2LED素子6に、同じピーク波長のLED素子を用いたが、異なるピーク波長のLED素子を用いてもよい。
樹脂に表1の上段(HT:高色温度側の光)に示す蛍光体を樹脂1gに対する配合量で配合し、撹拌機等を用いて混合して樹脂中に蛍光体を均一に分散させた。この樹脂と蛍光体の混合物を、表1の塗布量だけ、ディスペンサー等を用いて第1LED素子2上に塗布した。
樹脂に表1の下段(LT:低色温度側の光)に示す蛍光体を樹脂1gに対する配合量で配合し、撹拌機等を用いて混合して樹脂中に蛍光体を均一に分散させた。この樹脂と蛍光体の混合物を、表1の塗布量だけ、ディスペンサー等を用いて第2LED素子6上に塗布した。
オーブンで樹脂を加熱硬化させて第1封止材3及び第2封止材7とし、発光装置1を作製した。
【0026】
(2つの光の発光スペクトルと色温度)
第1LED素子2のみに通電したときの、第1LED素子2と蛍光体5が発する「高色温度側の光」の発光スペクトルを、図2(a)に示す。表1に示すとおり、高色温度側の光の色温度は8200Kである。
第2LED素子6のみに通電したときの、第2LED素子6と蛍光体9が発する「低色温度側の光」の発光スペクトルを、図2(b)に示す。表1に示すとおり、低色温度側の光の色温度は2400Kである。
【0027】
(混合光)
第1LED素子2と第2LED素子6に同時に通電し、両電流の比を1:0から0:1まで変化させ、高色温度側の光と低色温度側の光との「混合光」の色温度を7500Kから2700Kの範囲で変化させた。混合光の色温度が7500K、6700K、5400K、4500K、3800K、3100K、2700Kの7段階となったときの各々での、発光スペクトルを図3に示し、色度図における色度座標を表2及び図4に示し、RaとR9とメラノピック比を表2に示す。色温度7500Kのときの色度座標は、拡大した図5にも示し、色温度2700Kのときの色度座標は、拡大した図6にも示す。
【0028】
【表2】
【0029】
[実施例2]
表1に示すように蛍光体の選択、配合量、塗布量を変えた以外は、実施例1と同様にして、発光装置を作製した。
表1に示すとおり、高色温度側の光の色温度は10600Kであり、低色温度側の光の色温度は2300Kである。
また、実施例1と同様に電流の比を変化させ、高色温度側の光と低色温度側の光との「混合光」の色温度を7500Kから2700Kの範囲で変化させた。混合光の色温度が前記7段階となったときの各々での、発光スペクトルを図7に示し、色度図における色度座標を表3及び図4に示し、RaとR9とメラノピック比を表3に示す。色温度7500Kのときの色度座標は、拡大した図5にも示し、色温度2700Kのときの色度座標は、拡大した図6にも示す。
【0030】
【表3】
【0031】
[実施例3]
表1に示すように蛍光体の選択、配合量、塗布量を変えた以外は、実施例1と同様にして、発光装置を作製した。
表1に示すとおり、高色温度側の光の色温度は9500Kであり、低色温度側の光の色温度は2300Kである。
また、実施例1と同様に電流の比を変化させ、高色温度側の光と低色温度側の光との「混合光」の色温度を7500Kから2700Kの範囲で変化させた。混合光の色温度が前記7段階となったときの各々での、色度図における色度座標を表4及び図4に示し、RaとR9とメラノピック比を表4に示す。色温度7500Kのときの色度座標は、拡大した図5にも示し、色温度2700Kのときの色度座標は、拡大した図6にも示す。
【0032】
【表4】
【0033】
[実施例4]
表1に示すように蛍光体の選択、配合量、塗布量を変えた以外は、実施例1と同様にして、発光装置を作製した。
表1に示すとおり、高色温度側の光の色温度は9200Kであり、低色温度側の光の色温度は2300Kである。
また、実施例1と同様に電流の比を変化させ、高色温度側の光と低色温度側の光との「混合光」の色温度を7500Kから2700Kの範囲で変化させた。混合光の色温度が前記7段階となったときの各々での、色度図における色度座標を表5及び図4に示し、RaとR9とメラノピック比を表5に示す。色温度7500Kのときの色度座標は、拡大した図5にも示し、色温度2700Kのときの色度座標は、拡大した図6にも示す。
【0034】
【表5】
【0035】
[比較例1]
表1に示すように蛍光体の選択、配合量、塗布量を変えた以外は、実施例1と同様にして、発光装置を作製した。
「高色温度側の光」の発光スペクトルを、図8(a)に示す。表1に示すとおり、高色温度側の光の色温度は10300Kである。
「低色温度側の光」の発光スペクトルを、図8(b)に示す。表1に示すとおり、低色温度側の光の色温度は2500Kである。
また、実施例1と同様に電流の比を変化させ、高色温度側の光と低色温度側の光との「混合光」の色温度を7500Kから2700Kの範囲で変化させた。混合光の色温度が前記7段階となったときの各々での、発光スペクトルを図9に示し、色度図における色度座標を表6及び図4に示し、RaとR9とメラノピック比を表6に示す。色温度7500Kのときの色度座標は、拡大した図5にも示し、色温度2700Kのときの色度座標は、拡大した図6にも示す。
【0036】
【表6】
【0037】
[比較例2]
表1に示すように蛍光体の選択、配合量、塗布量を変えた以外は、比較例1と同様にして、発光装置を作製した。
表1に示すとおり、高色温度側の光の色温度は9600Kであり、低色温度側の光の色温度は2300Kである。
また、実施例1と同様に電流の比を変化させ、高色温度側の光と低色温度側の光との「混合光」の色温度を7500Kから2700Kの範囲で変化させた。混合光の色温度が前記7段階となったときの各々での、色度図における色度座標を表7及び図4に示し、RaとR9とメラノピック比を表7に示す。色温度7500Kのときの色度座標は、拡大した図5にも示し、色温度2700Kのときの色度座標は、拡大した図6にも示す。
【0038】
【表7】
【0039】
[比較例3]
表1に示すように蛍光体の選択、配合量、塗布量を変えた以外は、比較例1と同様にして、発光装置を作製した。
表1に示すとおり、高色温度側の光の色温度は8500Kであり、低色温度側の光の色温度は2100Kである。
また、実施例1と同様に電流の比を変化させ、高色温度側の光と低色温度側の光との「混合光」の色温度を7500Kから2700Kの範囲で変化させた。混合光の色温度が前記7段階となったときの各々での、色度図における色度座標を表8及び図4に示し、RaとR9とメラノピック比を表8に示す。色温度7500Kのときの色度座標は、拡大した図5にも示し、色温度2700Kのときの色度座標は、拡大した図6にも示す。
【0040】
【表8】
【0041】
[まとめ]
比較例1~3の高色温度側の光と低色温度側の光との混合光は、色温度が2700~7500Kの範囲でRaが95以上かつR9が75以上を充足しなかった。R9については、分かりやすいように図11にまとめた。
これに対し、実施例1~4の高色温度側の光と低色温度側の光との混合光は、色温度が2700~7500Kの範囲でRaが95以上かつR9が75以上を充足した。R9については、分かりやすいように図10にまとめた。●また、図5及び図6に示すように、色度座標で、色温度が7500Kにおいてxが0.295~0.298、yが0.315~0.331の範囲内であり、色温度が2700Kにおいてxが0.462~0.467、yが0.415~0.425の範囲内であれば、上記充足が得られると推定される。また、表2~表5から、色温度が6000K以上の範囲でメラノピック比が1を超えることが推定されることから、サーカディアンリズムに配慮された発光装置ということができる。
【0042】
なお、本発明は前記実施例に限定されるものではなく、発明の要旨から逸脱しない範囲で適宜変更して具体化することができる。
【符号の説明】
【0043】
1 発光装置
2 第1LED素子
3 第1封止材
4 樹脂
5 蛍光体
6 第2LED素子
7 第2封止材
8 樹脂
10 基板
【要約】
【課題】2つの光の混合光により、サーカディアンリズムに配慮して色温度を調整でき、かつ、高演色形クラス3を満たす発光装置を提供する。
【解決手段】1又は複数のLED素子と、複数の蛍光体とを備え、色温度が7500K以上である高色温度側の光と、色温度が2000~3000Kである低色温度側の光とを発し、高色温度側の光と低色温度側の光との混合光は、色温度が2700~7500Kの範囲で平均演色評価数Raが95以上かつ特殊演色評価数R9が75以上であり、かつ、色温度が6000K以上でメラノピック比が1を超える発光装置。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12