(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-18
(45)【発行日】2024-12-26
(54)【発明の名称】車両側部構造
(51)【国際特許分類】
B62D 25/04 20060101AFI20241219BHJP
B62D 25/08 20060101ALI20241219BHJP
B60R 22/24 20060101ALI20241219BHJP
B60R 22/18 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
B62D25/04 B
B62D25/08 K
B60R22/24
B60R22/18 118
(21)【出願番号】P 2021051786
(22)【出願日】2021-03-25
【審査請求日】2024-01-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【氏名又は名称】松島 鉄男
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【氏名又は名称】有原 幸一
(72)【発明者】
【氏名】河合 桂介
(72)【発明者】
【氏名】増田 一樹
【審査官】林 政道
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-001426(JP,A)
【文献】特開2010-052627(JP,A)
【文献】特開2012-136201(JP,A)
【文献】特開2008-238885(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 25/04
B62D 25/08
B60R 22/24
B60R 22/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両側部に配置され、車両上下方向に延びているインナパネルと、
前記インナパネルに接続され、車両上下方向に延び、前記インナパネルよりも車室内側に膨出しているピラーと、
シートベルトの取り出し量を調整するリトラクタおよびベルトアンカを有するシートベルト装置と、を備えた車両側部構造において、
前記リトラクタを収容するための空間を前記インナパネルとの間に形成するリトラクタ収容部材を備え、
前記インナパネルは、前記リトラクタ収容部材よりも車室外側に位置して前記リトラクタの収容空間を区画している外壁部を有し、
前記外壁部には、前記リトラクタの少なくとも一部を挿通可能な挿通部が形成されており、
前記ベルトアンカは、前記インナパネルの前記ピラーと車両前後方向で隣接する位置に設けられていることを特徴とする車両側部構造。
【請求項2】
前記ピラーは、前記ベルトアンカから離れる方向に凹んだ凹部を有し、
前記ベルトアンカの少なくとも一部が、車両側方視で、前記凹部の内側に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の車両側部構造。
【請求項3】
前記ベルトアンカは、前記ピラーの車両後方側に配置されているとともに、シートベルト装着時に該シートベルトの延伸方向を調整可能にする調整部を有し、
前記調整部は、前記ピラーの車室内側面よりも車室外側に配置可能となるように構成されており、
前記ピラーは、前記インナパネルから車室内側に隆起して車両上下方向に延び、前記ベルトアンカと対向する隆起面を有し、
前記隆起面には、前記調整部よりも車両下方側に、車両下方に向かうに従い車両後方に延びる第1傾斜部が形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の車両側部構造。
【請求項4】
前記ピラーは、前記インナパネルから車室内側に隆起して車両上下方向に延び、前記ベルトアンカと対向する隆起面を有し、
前記隆起面には、前記インナパネルの前記外壁部から車両前後方向へ離れて行くに従い車室内側に延びる第2傾斜部が形成されており、
前記挿通部は、車両前後方向に延び、車両前後方向の一端部分が前記第2傾斜部に位置するように形成されていることを特徴とする請求項
1~3のいずれか1つに記載の車両側部構造。
【請求項5】
前記リトラクタ収容部材は、車両前後方向に延び、車幅方向で前記リトラクタの収容空間と車室空間とを区画する内壁部と、車幅方向に延び、車両前後方向で前記リトラクタの収容空間と車室空間とを区画する側壁部と、を有し、
前記内壁部および前記側壁部は、樹脂材料により一体成形されていることを特徴とする請求項
1~4のいずれか1つに記載の車両側部構造。
【請求項6】
前記リトラクタ収容部材は、車両前後方向に延び、車幅方向で前記リトラクタの収容空間と車室空間とを区画する内壁部と、車幅方向に延び、車両前後方向で前記リトラクタの収容空間と車室空間とを区画する側壁部と、前記インナパネルに固定されるインナパネル固定部と、を有し、
前記側壁部は、前記内壁部から車両前後方向に離れて行くに従い車室外側に傾斜しており、
前記インナパネル固定部は、前記側壁部から前記インナパネルの前記外壁部に向かって延びていることを特徴とする請求項
1~4のいずれか1つに記載の車両側部構造。
【請求項7】
前記ピラーは、前記リトラクタの収容空間と隣接する部分に車室外側へ窪んだ窪み部を有し、
前記リトラクタ収容部材は、前記内壁部における前記ピラーの側に位置する端部にピラー固定部を有し、
前記ピラー固定部は、前記窪み部に固定されていることを特徴とする請求項
5または
6に記載の車両側部構造。
【請求項8】
車両側部に配置され、車両上下方向に延びているインナパネルと、
前記インナパネルに接続され、車両上下方向に延び、前記インナパネルよりも車室内側に膨出しているピラーと、
シートベルトの取り出し量を調整するリトラクタを有するシートベルト装置と、を備えた車両側部構造において、
前記リトラクタを収容するための空間を前記インナパネルとの間に形成するリトラクタ収容部材を備えていることを特徴とする車両側部構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両側部構造に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の車両には、座席に対応したシートベルト装置が車両側部に設けられている。シートベルト装置は、シートベルトと、該シートベルトの取り出し量を調整するリトラクタと、該リトラクタとバックル(ベルトロック部)との間でシートベルトを中継するベルトアンカと、を有している。一般に、リトラクタは、車両側部のピラー内部に配置され、ベルトアンカは、ピラーの車室内側面、かつ、バックルが配置される座席の座部よりも後方に配置されている。
【0003】
上記のようなシートベルト装置は車両の後部座席にも設けられている。従来、後部座席については、乗員が着席していないとき、該後部座席のシートバック部を前方に折り畳むことにより、車両後部空間が後部座席により仕切られることを防止し、車両後部空間の荷物収容性を高めるようにすることがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、シートベルト装置のベルトアンカが配置されているピラーに近接させて荷物を配置し、かつ、ベルトアンカの高さまで荷物を積もうとした場合、車室内側に膨出するピラーからベルトアンカが更に車室内側へ出っ張っているので、荷物を収容空間に搬入し難い、荷物の効率的な配置が難しいなどの荷物の収容性に関する課題があった。
【0006】
具体的には、車両前後方向から荷物を収容空間に搬入する際に、荷物とベルトアンカが干渉して搬入作業を妨げる可能性があった。また、搬入する荷物の形状によっては、ピラーの車室内側面とベルトアンカに当接した荷物との間に、荷物を収容できない空間(デッドスペース)が車両上下方向に形成されてしまう、つまり、ピラーの車室内側面に隣接して荷物を積むことができない場合があり、荷物の収容空間に対する占有率を低下させる可能性があった。さらに、上記デッドスペースが生じることで車両走行中などにおける積荷の安定性が低下してしまうおそれもあった。
【0007】
また、シートベルト装置のリトラクタは、シートベルトが支持軸に何重にも巻かれているため、ベルトアンカと比べて車幅方向の寸法が大きくなりやすい。このようなリトラクタがピラー内部に配置されていると、該ピラーの車室内側への膨出量が増加し、車室内の荷物収容空間が狭められてしまうため、改善の余地があった。
【0008】
本発明はこのような実状に鑑みてなされたものであって、その目的は、シートベルト装置の配置に起因した荷物の収容性低下を軽減できる車両側部構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため本発明の一態様は、車両側部に配置され、車両上下方向に延びているインナパネルと、前記インナパネルに接続され、車両上下方向に延び、前記インナパネルよりも車室内側に膨出しているピラーと、シートベルトの取り出し量を調整するリトラクタおよびベルトアンカを有するシートベルト装置と、を備えた車両側部構造において、前記リトラクタを収容するための空間を前記インナパネルとの間に形成するリトラクタ収容部材を備え、前記インナパネルは、前記リトラクタ収容部材よりも車室外側に位置して前記リトラクタの収容空間を区画している外壁部を有し、前記外壁部には、前記リトラクタの少なくとも一部を挿通可能な挿通部が形成されており、前記ベルトアンカは、前記インナパネルの前記ピラーと車両前後方向で隣接する位置に設けられている。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る車両側部構造によれば、車室内側に膨出するピラーの車室内側面よりも車室外側にベルトアンカが配置されるようになるので、車室内の荷物収容空間に車両前後方向から荷物を搬入する際に、荷物とベルトアンカが干渉し難くなり、荷物の搬入作業を容易に行うことができる。また、ピラーの車室内側面に隣接して荷物を積むことが可能になるので、車室内の荷物収容空間に荷物を効率的に配置することができる。さらに、荷物をピラーの車室内側面に面接触させやすくなるので、車両走行中などにおける積荷の安定性を向上させることができる。加えて、インナパネルの外壁部に形成された挿通部にリトラクタの少なくとも一部を挿通することにより、リトラクタの収容空間が車室内の荷物収容空間を狭めてしまうことを抑制できるので、より多くの荷物を収容することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態に係る車両側部構造が適用された車両の側部後側を車室内側から見た側面図である。
【
図2】
図1におけるクォータピラーの周辺を拡大して示す側面図である。
【
図3】
図1のサイドインナパネルおよびクォータピラーを車室内側下方から見た斜視図である。
【
図4】
図1おけるリトラクタの周辺を車室外側下方から見た斜視図である。
【
図5】
図4の構造を車両下方から見た下面図である。
【
図6】上記実施形態における凹部の作用を説明する側面図である。
【
図7】上記実施形態における第1傾斜部の作用を説明する概念図である。
【
図8】上記実施形態に関連する変形例を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る車両側部構造が適用された車両の側部後側を車室内側から見た側面図である。また、
図2は、
図1におけるクォータピラー3の周辺を拡大して示す側面図である。ただし、
図2には、リトラクタ収容部材6およびシートベルト51を取り除いた状態が示されている。なお、図において、矢印Fr方向は車両前後方向で車両前方を示し、矢印O方向は車幅方向で車両外方を示し、矢印U方向は車両上下方向で車両上方を示している。
【0013】
図1および
図2に示すように、車両側部1には、サイドインナパネル2が設けられている。サイドインナパネル2は、車両前後方向に間隔を空けて配置されている複数のピラーの間に配置され、車両上下方向に延びている。複数のピラーは、クォータピラー(Cピラー)3と、図示しないフロントピラー(Aピラー)、センターピラー(Bピラー)およびリアピラー(Dピラー)とを含む。本実施形態におけるサイドインナパネル2は、クォータピラー3とリアピラーとの間に配置されている。クォータピラー3は、車両側部1のリヤドア開口部4の後方側に設けられ、車両上下方向に延び、かつ、サイドインナパネル2の内側面2Aよりも車室内側(車幅方向内側)に膨出している。リアピラーは、車両後端部に位置している。本実施形態では、サイドインナパネル2が本発明の「インナパネル」に相当し、クォータピラー3が本発明の「ピラー」に相当する。なお、本発明の「ピラー」は、鋼材等で形成された車体骨格部材としてのピラーだけでなく、該ピラーの車室内側に設けられているピラーガーニッシュを含む。また、本発明の「ピラー」は、クォータピラー3以外の他のピラーにも適用可能である。
【0014】
クォータピラー3およびリヤドア開口部4の車室内側の付近には、図示を省略した後部座席が設けられており、該後部座席に対応したシートベルト装置5が、サイドインナパネル2の前部の付近に配置されている。シートベルト装置5は、シートベルト51と、リトラクタ52と、ベルトアンカ53と、を有している。なお、
図1では、リトラクタ52は、後述するリトラクタ収容部材6によって覆い隠されている。
【0015】
シートベルト51は、長手方向の一端がリトラクタ52に取り付けられ巻き取られており、他端がクォータピラー3の下部または後部座席の下部などに固定されている。リトラクタ52は、巻き取ったシートベルト51の取り出し量を調整する機能を有している。ベルトアンカ53は、リトラクタ52と後部座席に設けられた図示しないバックル(ベルトロック部)との間でシートベルト51を中継する。シートベルト51には、図示しないタングプレートが取り付けられており、該タングプレートがバックルに着脱自在に取り付けられる。
【0016】
ベルトアンカ53は、シートベルト51の装着時に、該シートベルト51の延伸方向を調整可能にする調整部53Aを有している。調整部53Aは、クォータピラー3の車室内側面31よりも車室外側に配置可能となるように構成されている。具体的に、本実施形態における調整部53Aは、車両前後方向に延び、中央部分にシートベルト51の挿通孔が形成された長円形の板状部材からなり、上側部分がベルトアンカ53の基部53Bに連結されている。調整部53Aは、車両前後方向の軸を中心に下側部分が回動可能であり、シートベルト51の非装着時には、クォータピラー3の車室内側面31よりも車室外側に調整部53Aの全体が配置される。なお、ベルトアンカ53の基部53Bを車幅方向の軸を中心に回動可能に構成することにより、シートベルト51の装着時には、調整部53Aの下側部分が車室内側に回動して、調整部53Aの一部がクォータピラー3の車室内側面31よりも車室内側に配置されるようにしてもよい。
【0017】
上記ベルトアンカ53は、サイドインナパネル2の内側面2Aにおけるクォータピラー3と車両前後方向で隣接する位置に設けられている。本実施形態では、ベルトアンカ53は、サイドインナパネル2の内側面2Aの上部において、クォータピラー3の車両後方側に隣接する位置に設けられている。つまり、本実施形態によるベルトアンカ53は、上述した従来の構造のようにピラーの車室内側面に取り付けられるのではなく、クォータピラー3の車両後方側に連続するサイドインナパネル2の内側面2Aのうち、クォータピラー3の近くに位置する部分に取り付けられている。
【0018】
ベルトアンカ53をサイドインナパネル2の内側面2Aに設ける場合、クォータピラー3には、ベルトアンカ53から離れる方向に凹んだ凹部33Aが形成されるようにするのが好ましい。
図3は、
図1のサイドインナパネル2およびクォータピラー3を車室内側下方から見た斜視図である。以下、サイドインナパネル2およびクォータピラー3の詳細について
図1~
図3を参照しながら説明する。
【0019】
本実施形態によるクォータピラー3は、
図1~
図3に示すように、車室内側面31、前側面32および後側面33を有している。車室内側面31は、サイドインナパネル2の内側面2Aに対して車室内側(車幅方向内側)に間隔を空けて配置されており、車両上下方向に延びている。車室内側面31の上端部は、車両前後方向に延出しており、車両上部で前後方向に延びるルーフサイドパネル7に接合されている。車室内側面31の上部前端は、車両上下方向へ概ね直線的に延びている。車室内側面31の上部後端は、ベルトアンカ53から離れる方向(車両前方)に凹んでいる。車室内側面31の下部前端は、車両下方に向かうに従い車両前方側(リヤドア開口部4の側)に張り出している。車室内側面31の下部後端は、車両上下方向へ概ね直線的に延びている。
【0020】
クォータピラー3の前側面32は、車室内側面31の前端部に沿って設けられており、車室内側面31の前端部から車室外側(車幅方向外側)に突出している。前側面32は、車室外側に向かうに従い車両前方に僅かに傾斜している。
【0021】
クォータピラー3の後側面33は、車室内側面31の後端部に沿って設けられており、車室内側面31の後端部から車室外側(車幅方向外側)に延びてサイドインナパネル2の前端部に接続されている。換言すると、後側面33は、サイドインナパネル2の前端部から車室内側に隆起して車両上下方向に延びている。後側面33は、サイドインナパネル2の内側面2Aに設けられるベルトアンカ53と対向している(
図1及び
図2を参照)。本実施形態では、クォータピラー3の後側面33が本発明の「隆起面」に相当する。
【0022】
クォータピラー3の後側面33(隆起面)の上部には、前述した凹部33A(ベルトアンカ53から離れる方向に凹んだ部位)が形成されている。すなわち、クォータピラー3は、サイドインナパネル2の内側面2Aに設けられるベルトアンカ53に対応させて、後側面33の上部がベルトアンカ53から離れる方向(車両前方)に凹むように形成されている。
【0023】
また、クォータピラー3の後側面33(隆起面)には、ベルトアンカ53の調整部53Aよりも車両下方側に、車両下方に向かうに従い車両後方に延びる第1傾斜部33Bが形成されている(
図2の斜線部分を参照)。第1傾斜部33Bは、ベルトアンカ53の調整部53Aで延伸方向が調整されたシートベルト51と当接する。つまり、シートベルト51の装着時に、クォータピラー3の後側面33のうちでシートベルト51が当接する部分に対応させて第1傾斜部33Bが設けられている。
【0024】
本実施形態において、第1傾斜部33Bは凹部33Aの下側部分と重なっており、凹部33Aが第1傾斜部33Bを含む構造になっている。具体的に、クォータピラー3の凹部33Aは、車室内側から見た車幅方向視で、上側部分が車両前方に凹んだ略円弧状に形成されており、下側部分が車両下方に向かうに従い車両後方に延びる略直線状(第1傾斜部33B)に形成されている。
【0025】
上記のようなクォータピラー3の凹部33Aの形状に合わせて、サイドインナパネル2の内側面2Aの上部前側には、車両前方に張り出した凸部2Bが形成されている(
図2の斜線部分を参照)。サイドインナパネル2の内側面2Aに設けられるベルトアンカ53は、車室内側から見た車幅方向視で、少なくとも一部が内側面2Aの凸部2Bと重なるように配置されている。つまり、ベルトアンカ53の少なくとも一部は、車両側方視で、クォータピラー3の凹部33Aの内側に配置されている。
【0026】
サイドインナパネル2の内側面2Aの下部前側には、リトラクタ収容部材6が取り付けられている(
図1を参照)。リトラクタ収容部材6は、サイドインナパネル2の内側面2Aとの間にシートベルト装置5のリトラクタ52を収容するための空間を形成している。
図4は、
図1おけるリトラクタ52の周辺を車室外側下方から見た斜視図である。また、
図5は、
図4の構造を車両下方から見た下面図である。
図4および
図5に示すように、リトラクタ52の収容空間Sは、サイドインナパネル2の内側面2Aとリトラクタ収容部材6との間で車両上下方向に延びている。
【0027】
具体的に、サイドインナパネル2の内側面2Aには、リトラクタ収容部材6よりも車室外側に位置してリトラクタ52の収容空間Sを区画する外壁部2Cが形成されている(
図3および
図4を参照)。外壁部2Cは、リトラクタ収容部材6の車両上下方向の全長よりも長い上下方向幅で車両前後方向に延びている(
図1および
図3を参照)。外壁部2Cには、リトラクタ52の少なくとも一部を挿通可能な挿通部8が形成されている(
図4を参照)。本実施形態における挿通部8は、サイドインナパネル2の外壁部2Cを車幅方向に貫通し、車両前後方向に延びる略矩形の孔から構成されている。なお、挿通部8は、略矩形の孔に限らず、例えば、サイドインナパネル2の外壁部2Cに車幅方向外側へ窪んだ略矩形の有底穴を形成したものであってもよい。
【0028】
クォータピラー3の後側面33(隆起面)の下部には、サイドインナパネル2の外壁部2Cに対応させて第2傾斜部33Cが形成されている。第2傾斜部33Cは、サイドインナパネル2の外壁部2Cから車両前後方向へ離れて行くに従い車室内側に延びている。具体的に、本実施形態における第2傾斜部33Cは、サイドインナパネル2の外壁部2Cの前端から車両前方に向かうに連れて車幅方向内側に延びている。第2傾斜部33Cには、上記挿通部8における車両前後方向の一端部分が位置している。したがって、挿通部8は、サイドインナパネル2の外壁部2Cとクォータピラー3の第2傾斜部33Cとの境界部分を含んで車両前後方向に延びるように形成されている(
図3および
図4を参照)。
【0029】
挿通部8に挿通されたリトラクタ52は、サイドインナパネル2およびクォータピラー3の車室外側に設けられている、サイドアウタパネル9およびクォータピラーアウタ10よりも車室内側に位置している(
図5を参照)。つまり、リトラクタ52は、車幅方向でリトラクタ収容部材6とサイドアウタパネル9およびクォータピラーアウタ10との間に配置されている。なお、本実施形態では、リトラクタ52の車室外側の端部とサイドアウタパネル9およびクォータピラーアウタ10との間に隙間Cが設けられている。この隙間Cにより、シートベルト51がリトラクタ52に巻き取られる際に、シートベルト51とサイドアウタパネル9およびクォータピラーアウタ10とが干渉するのを防止することができる。
【0030】
クォータピラー3における後側面33の第2傾斜部33Cと車室内側面31とが交わる角部分には、車室外側に窪んだ窪み部33Dが設けられている。窪み部33Dは、サイドインナパネル2の外壁部2Cの上下方向幅と同程度の長さで上下方向に延びており、外壁部2Cと略平行な固定面を有している。窪み部33Dの固定面には、リトラクタ収容部材6の車両前側の端部が固定される。
【0031】
リトラクタ収容部材6は、樹脂材料により一体成形された内壁部6Aおよび側壁部6Bを有している。内壁部6Aは、車両前後方向に延び、車幅方向でリトラクタ52の収容空間Sと車室空間とを区画している。内壁部6Aの車両前側の端部には、ピラー固定部6Cが設けられており、該ピラー固定部6Cがクォータピラー3の窪み部33Dの固定面にクリップ11等で固定されている(
図4および
図5を参照)。内壁部6Aの車両上側の端部とサイドインナパネル2との間には、シートベルト51を取り出すための空間が確保されている。ここでは、内壁部6Aの上部が車両上方に向かうに従いサイドインナパネル2の側に傾斜するように形成されており、当該傾斜によりシートベルト51の取り出し空間を狭めて、車室空間がリトラクタ収容部材6で圧迫され難くなるようにしている。
【0032】
リトラクタ収容部材6の側壁部6Bは、内壁部6Aの車両後側端から車幅方向に延び、車両前後方向でリトラクタ52の収容空間Sと車室空間とを区画している。側壁部6Bは、内壁部6Aから車両前後方向に離れて行く(本実施形態では車両後方に向かう)に従い車室外側に傾斜している。側壁部6Bの車両後側の端部には、インナパネル固定部6Dが設けられている。インナパネル固定部6Dは、側壁部6Bからサイドインナパネル2の外壁部2Cに向かって延びており、外壁部2Cにクリップ11等で固定されている(
図4および
図5を参照)。なお、リヤドア開口部4を開閉可能にする図示しないサイドドアのスライドレールがサイドインナパネル2の下部に配置されている場合には、リトラクタ収容部材6の側壁部6Bの後端を車両後方に延出させて、スライドレールが車室内側に露出しないようにリトラクタ収容部材6で覆い隠すようにしてもよい。
【0033】
次に、本実施形態に係る車両側部構造の作用について説明する。
上記のような構造を有する車両側部1では、シートベルト装置5のベルトアンカ53がサイドインナパネル2の内側面2Aにおけるクォータピラー3と車両後方側で隣接する位置に設けられている。これにより、車室内側に膨出するクォータピラー3の車室内側面31よりも車室外側にベルトアンカ53が配置されるようになるので、車室内の荷物収容空間に車両前後方向から荷物を搬入する際に、荷物とベルトアンカ53が干渉し難くなり、荷物の搬入作業を容易に行うことができる。
【0034】
また、荷物をベルトアンカ53と同じ高さ(またはそれ以上の高さ)まで積む場合、上述した従来の構造のようなピラーの車室内側面とベルトアンカとの間の車両上下方向のデッドスペースが形成されなくなるので、クォータピラー3の車室内側面31に隣接して荷物を積むことができる。本実施形態では、クォータピラー3の後側面33とベルトアンカ53との間に車両前後方向の僅かなデッドスペースが形成されるだけであり、従来の構造と比べてデッドスペースを小さくすることが可能である。したがって、車室内の荷物収容空間に荷物を効率的に配置することができる。
【0035】
さらに、本実施形態においては、荷物をクォータピラー3の車室内側面31に面接触させやすくなるので、クォータピラー3に近接して配置される荷物の位置ずれを防止することができ、車両走行中などにおける積荷の安定性を向上させることが可能である。上記のように本実施形態の構造によれば、従来の構造におけるベルトアンカの配置に起因した荷物の収容性(荷物の搬入容易性、荷物の収容空間に対する占有率、積荷の安定性)の低下を軽減することができる。
【0036】
また、本実施形態による車両側部1の構造では、クォータピラー3が凹部33Aを有し、ベルトアンカ53の少なくとも一部が、車両側方視で凹部33Aの内側に配置されている。このようにクォータピラー3とベルトアンカ53の少なくとも一部とが車両前後方向に重なるように配置されていることで、荷物をベルトアンカ53と同じ高さ(またはそれ以上の高さ)に積む場合に、サイドインナパネル2におけるベルトアンカ53の後方側に荷物を隣接して配置しやすくなるので、車室内の荷物収容空間に荷物をより効率的に配置することができる。
【0037】
さらに、クォータピラー3に凹部33Aが形成されていることで、ベルトアンカ53をサイドインナパネル2の前方側に寄せて配置しやすくなるので、サイドインナパネル2のベルトアンカ53よりも後方側に位置するスペースを有効に活用することができる。例えば、
図6に示すようにサイドインナパネル2の上部にウィンドウ用開口部12が形成されている場合にも、該ウィンドウ用開口部12とクォータピラー3との間にベルトアンカ53を容易に配置することができる。
【0038】
また、本実施形態による車両側部1の構造では、ベルトアンカ53が調整部53Aを有し、該調整部53Aがクォータピラー3の車室内側面31よりも車室外側に配置可能となるように構成されているので、クォータピラー3の車室内側面31に近接させて荷物を配置する際にベルトアンカ53の調整部53Aが邪魔にならず、クォータピラー3の車室内側面31に隣接して荷物を積むことができる。
【0039】
さらに、クォータピラー3の後側面33(隆起面)には、ベルトアンカ53の調整部53Aよりも車両下方側に第1傾斜部33Bが形成されているので、シートベルト51を装着する際に、該シートベルト51とクォータピラー3の後側面33とが干渉してシートベルト51を伸縮させ難くなるのを抑制することができる。
【0040】
これについて
図7の概念図を参照しながら説明すると、
図7の左側に示すように、クォータピラー3の後側面33が車両上下方向に真っ直ぐ延びていると仮定した場合のシートベルト51とクォータピラー3との接触部分(斜線部)をXとする。また、
図7の右側に示すように、クォータピラー3の後側面33に第1傾斜部33B(車両下方に向かうに従い車両後方に延びる部分)が形成されている場合のシートベルト51とクォータピラー3との接触部分(斜線部)をYとする。これら接触部分X,Yを比較すると、クォータピラー3の後側面33に第1傾斜部33Bを形成することで、シートベルト51とクォータピラー3との接触面積を小さくできることが分かる(X>Y)。シートベルト51とクォータピラー3との接触面積が小さくなれば、シートベルト51を伸縮させる際に生じる抵抗力が減少するので、シートベルト51を伸縮させやすくなる。
【0041】
なお、上記のようなシートベルト51とクォータピラー3との干渉は、ベルトアンカ53がサイドインナパネル2の内側面2Aにおけるクォータピラー3と車両後方側で隣接する位置に設けられる場合に発生するものであり、従来の構造のようにピラーの車室内側面にベルトアンカが設けられる場合に上記干渉は発生し得ない。つまり、本実施形態のようなサイドインナパネル2上でのベルトアンカ53の配置において、クォータピラー3に第1傾斜部33Bを形成することは特に有効である。
【0042】
また、本実施形態による車両側部1の構造では、リトラクタ収容部材6によってサイドインナパネル2との間にリトラクタ52を収容するための空間が形成されているので、上述した従来の構造のようにピラー内部にリトラクタの収容空間を設ける必要がない。これにより、クォータピラー3の車室内側への膨出量を低減できるので、車室内の荷物収容空間を車幅方向に広げることが可能になるとともに、リトラクタ52の交換や着脱を容易に行うこともできる。本実施形態のようにリトラクタ52およびベルトアンカ53をサイドインナパネル2に配置するようにすれば、シートベルト装置5の設置位置を調整しやすくなり、設計の自由度を高めることができる。
【0043】
また、本実施形態による車両側部1の構造では、リトラクタ52の収容空間Sを区画しているサイドインナパネル2の外壁部2Cに挿通部8が形成されていることにより、リトラクタ52の収容空間Sの車室内側への飛び出しが抑えられている。すなわち、リトラクタ52は、シートベルト51が支持軸に何重にも巻かれているため、ベルトアンカ53と比べて車幅方向の寸法が大きくなりやすい。このため、リトラクタ52とベルトアンカ53とをサイドインナパネル2の同一平面(内側面2A)に固定すると、リトラクタ52がベルトアンカ53よりも車幅方向内側に飛び出してしまうことになる。そこで、本実施形態では、挿通部8を介してリトラクタ52の一部をベルトアンカ53よりも車幅方向外側に配置することで、リトラクタ52が車幅方向外側に突出する分(
図5のα)だけ、リトラクタ52の収容空間Sの車室内側への飛び出しを抑えている。これにより、リトラクタ52の収容空間Sが車室内の荷
物収容空間を狭めてしまうことを抑制できるので、より多くの荷物を収容することができる。
【0044】
また、本実施形態による車両側部1の構造では、クォータピラー3の後側面33(隆起面)に第2傾斜部33Cが形成されており、サイドインナパネル2の外壁部2Cに設けられる挿通部8の車両前後方向の一端部分が、クォータピラー3の第2傾斜部33Cに位置していることによって、リトラクタ52の収容空間Sの車両後方側に荷物を配置するための空間を確保しやすくなるという効果が得られる。
【0045】
この効果について簡単に説明すると、板金をプレス等で屈曲させて略ハット状のクォータピラー3を形成する場合、板金の屈曲点に応力が集中して板金に亀裂等が入りやすくなる。これを防止するためにはクォータピラー3の車室内側面31に対して後側面33(隆起面)を傾斜させるのがよい。しかし、後側面33を傾斜させると、その傾斜方向に対応した車両後方側にリトラクタ52をずらして配置する必要があり、リトラクタ収容部材6の車両後方側に荷物を配置する空間を確保し難くなる。
【0046】
そこで、本実施形態では、サイドインナパネル2の外壁部2Cに設けられる挿通部8の車両前後方向の一端部分が、クォータピラー3の第2傾斜部33Cに位置する構造とすることで、クォータピラー3の第2傾斜部33Cとリトラクタ52の一部とが車両前後方向に重ねて配置されるようにしている。これにより、クォータピラー3の第2傾斜部33Cとリトラクタ52との重なり分(
図5のβ)だけ、リトラクタ52をクォータピラー3の側に近づけて配置できるので、リトラクタ収容部材6の車両後方側に荷物を配置する空間を確保しやすくなって更に多くの荷物を収容することができる。
【0047】
なお、本実施形態では、クォータピラー3の第2傾斜部33Cに位置する挿通部8の一端部分のうち、リトラクタ52が配置されない空間(
図5のγ)が確保されている。換言すると、クォータピラー3の第2傾斜部33Cにおける挿通部8の開口端とリトラクタ52との間に隙間が設けられている。この隙間は、挿通部8にリトラクタ52の一部を挿通する際に、これら各部材の寸法の公差や誤差を考慮した上で挿通部8の開口端とリトラクタ52との干渉を防止可能にする空間として設定されている、また、上記隙間は、挿通部8にリトラクタ52を挿通する際の位置調整用の空間としても利用することができる。
【0048】
加えて、本実施形態による車両側部1の構造では、リトラクタ収容部材6の内壁部6Aおよび側壁部6Bを樹脂材料により一体成形することで、リトラクタ収容部材6の車両後方側に荷物を配置する空間をより確保しやすくしている。すなわち、上述した従来の構造と同様にして、クォータピラー3の内部にリトラクタ52を配置すべく、クォータピラー3の下部を構成する板金を車両後方に延ばしてリトラクタ52の収容空間Sを形成することを想定すると、前述した板金の屈曲点の応力集中による亀裂等を避けるために、複数の板金を溶接してリトラクタ52の収容空間Sを形成してもよいが、溶接工程が必要になり、手間がかかる。一方、本実施形態のようにクォータピラー3とは別体でリトラクタ収容部材6を設け、リトラクタ収容部材6の内壁部6Aと側壁部6Bを樹脂で一体成形する場合、溶融した樹脂を金型に流し込んで固化させればよいので、リトラクタ収容部材6の成形が容易であるとともに、内壁部6Aと側壁部6Bのなす角度を調整しやすくなる。
【0049】
このとき、内壁部6Aと側壁部6Bのなす角度が急峻になるように設定すれば、リトラクタ収容部材6の車両後方側に荷物を配置するためのより広い空間を確保することができるので、荷物の収容性を高めることが可能になる。或いは、側壁部6Bの傾斜を利用して、車幅方向で、リトラクタ52と側壁部6Bとを重ねて配置すれば(
図5の一点鎖線で囲んだ部分Lを参照)、リトラクタ収容空間Sの車両前後方向の寸法を短くすることができ、リトラクタ収容部材6の車両後方側の荷物収容空間を広げることが可能になる。
【0050】
また、本実施形態による車両側部1の構造では、リトラクタ収容部材6が、傾斜した側壁部6Bからサイドインナパネル2の外壁部2Cに向かって延びるインナパネル固定部6Dを有している。このように、インナパネル固定部6Dがリトラクタ収容部材6の側壁部6Bに設けられていることにより、インナパネル固定部6Dがリトラクタ収容部材6の内壁部6Aに設けられている場合と比べて、インナパネル固定部6Dの車幅方向の寸法を短くして剛性を高めつつ、リトラクタ52の収容空間Sを小さくしやすくなる。すなわち、内壁部6Aの側にインナパネル固定部6Dを設けると、リトラクタ52およびシートベルト51と干渉しない位置にインナパネル固定部6Dを配置することが必要になり、リトラクタ52の収容空間Sが大きくなる可能性があるが、側壁部6Bの側にインナパネル固定部6Dを設けることで、これを避けることができる。
【0051】
また、本実施形態による車両側部1の構造では、リトラクタ収容部材6の内壁部6Aに形成されているピラー固定部6Cが、クォータピラー3に形成されている窪み部33Dに固定されることにより、リトラクタ収容部材6の内壁部6Aが、クォータピラー3の車室内側面31よりも車室内側に飛び出し難くしている。本実施形態では、
図5に示したようにクォータピラー3の車室内側面31とリトラクタ収容部材6の内壁部6Aの車室内側の面との間に段差がない状態になっている。このため、クォータピラー3の車室内側面31およびリトラクタ収容部材6の内壁部6Aに隣接して荷物を配置することができ、荷物収容空間に荷物を一層効率的に配置することが可能である。このように配置された荷物は、クォータピラー3の車室内側面31およびリトラクタ収容部材6の内壁部6Aに面接触しやすくなるので、積荷の安定性を更に高めることができる。加えて、クォータピラー3の窪み部33Dがサイドインナパネル2の外壁部2Cと略平行な固定面を有するようにすれば、リトラクタ収容部材6のピラー固定部6Cをクォータピラー3の窪み部33Dに固定しやすくなる。
【0052】
以上、本発明の実施形態について述べたが、本発明は既述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づいて各種の変形および変更が可能である。例えば、既述の実施形態では、ベルトアンカ53がクォータピラー3の車両後方側に配置される一例を示したが、
図8に示すように、ピラー3’の車両前方側にベルトアンカ53を配置するようにしてもよい。
【0053】
図8の変形例では、既述の実施形態と同様なベルトアンカ53がサイドインナパネル2の内側面2Aにおけるピラー3’と車両前方で隣接する位置に設けられている。また、ベルトアンカ53に対応させてリトラクタ収容部材6もピラー3’の車両前方側に配置されている。ベルトアンカ53(およびリトラクタ52)がピラー3’の車両前方側に配置されている場合、シートベルト51がピラー3’に当接することはないため、既述の実施形態における第1傾斜部33Bに相当する構成をピラー3’の前側面32’に形成する必要はない。
図8の変形例では、ピラー3’の前側面32’が車両上下方向に直線的に延びている。
【0054】
また、既述の実施形態では、ベルトアンカ53がサイドインナパネル2の内側面2Aに配置される場合を説明したが、リトラクタ収容部材6によってサイドインナパネル2との間にリトラクタ52を収容するための空間が形成されていれば、ベルトアンカ53をクォータピラー3の車室内側面やルーフサイドパネル7、図示しないルーフパネルなどに設けるようにしてもよい。
【0055】
さらに、既述の実施形態では、リトラクタ収容部材6によってサイドインナパネル2との間にリトラクタ52を収容するための空間が形成される場合を説明したが、ベルトアンカ53がサイドインナパネル2のクォータピラー3と車両前後方向で隣接する位置に設けられていれば、リトラクタ52をクォータピラー3の内部に配置するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0056】
1…車両側部
2…サイドインナパネル
2A…内側面
2B…凸部
2C…外壁部
3…クォータピラー
31…車室内側面
32…前側面
33…後側面
33A…凹部
33B…第1傾斜部
33C…第2傾斜部
33D…窪み部
4…リヤドア開口部
5…シートベルト装置
51…シートベルト
52…リトラクタ
53…ベルトアンカ
53A…調整部
53B…基部
6…リトラクタ収容部材
6A…内壁部
6B…側壁部
6C…ピラー固定部
6D…インナパネル固定部
7…ルーフサイドパネル
8…挿通部
9…サイドアウタパネル
10…クォータピラーアウタ
11…クリップ
12…ウィンドウ用開口部
S…リトラクタの収容空間