(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-18
(45)【発行日】2024-12-26
(54)【発明の名称】便座装置
(51)【国際特許分類】
A47K 17/00 20060101AFI20241219BHJP
A47K 13/30 20060101ALI20241219BHJP
E03D 9/00 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
A47K17/00
A47K13/30 A
E03D9/00 Z
(21)【出願番号】P 2021089013
(22)【出願日】2021-05-27
【審査請求日】2024-03-08
(31)【優先権主張番号】P 2020202841
(32)【優先日】2020-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(72)【発明者】
【氏名】金子 義行
(72)【発明者】
【氏名】松田 泰宏
【審査官】亀谷 英樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-069321(JP,A)
【文献】特開平06-304091(JP,A)
【文献】特開2002-177168(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2021/0013883(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 13/00-17/02
E03D 9/00-9/16
G01V 3/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
便座と、
前記便座への人体の着座に応じて静電容量が変化する検知電極と、
前記検知電極と電気的に接続される入力端子を有し、前記検知電極の前記静電容量を検出する静電容量検出手段と、
前記静電容量検出手段の検知結果に基づいて、前記人体の着座の有無を判定する制御部と、
前記入力端子における過電圧を検知する過電圧検知手段と、
を備え、
前記過電圧検知手段が前記過電圧を検知すると、前記静電容量検出手段は、前記静電容量の検出を一時停止した後に再開
し、
前記静電容量検出手段は、
前記検知電極から放電される電荷を蓄える積分手段と、
所定電圧と接続された第1スイッチと、
前記入力端子及び前記積分手段と接続された第2スイッチと、
を有し、前記第1スイッチがオンであり前記第2スイッチがオフであり前記検知電極を前記所定電圧に充電する第1状態と、前記第1スイッチがオフであり前記第2スイッチがオンであり前記検知電極を放電する第2状態と、を交互に繰り返すスイッチング動作を実行し、
前記積分手段は、前記スイッチング動作によって繰り返される前記第2状態において前記検知電極から放電される電荷を蓄え、
前記制御部は、前記積分手段に蓄積された電荷に応じて前記人体の着座の有無を判定し、
前記過電圧検知手段が前記過電圧を検知すると、前記静電容量検出手段は、前記スイッチング動作を一時停止して、前記第1スイッチ及び前記第2スイッチを前記第1状態とした後、前記スイッチング動作を再開することを特徴とする便座装置。
【請求項2】
前記過電圧検知手段が前記過電圧を検知した場合に、前記第1状態を所定時間継続させるオフディレイ手段をさらに備えたことを特徴とする請求項
1記載の便座装置。
【請求項3】
前記検知電極は、前記便座の裏面に設けられ、前記便座を温めるヒータよりも大きい面積を有し、前記ヒータの熱を前記便座に拡散させることを特徴とする請求項1
または2に記載の便座装置。
【請求項4】
前記静電容量検出手段は、前記第1状態と前記第2状態とを繰り返す前記スイッチング動作の周波数を、互いに異なる複数の周波数に変更可能であり、前記スイッチング動作の周波数を変更する際に、前記第1状態及び前記第2状態の一方の時間を可変とし、前記第1状態及び前記第2状態の他方の時間を固定とすることを特徴とする、請求項
1または
2に記載の便座装置。
【請求項5】
前記一方は、前記第1状態であり、
前記他方は、前記第2状態であることを特徴とする、請求項
4記載の便座装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の態様は、一般的に、便座装置に関する。
【背景技術】
【0002】
人体の有無にともなう静電容量の変化により、人体の検知を行う静電容量式の人体検知センサがある。このような静電容量式の人体検知センサを便座装置に用いることが提案されている。例えば、特許文献1の便座用着座検出装置においては、便座に設けられたヒータ線に併設される伝熱性導電体(アルミニウム箔)を電極とし、静電容量の変化を検知することにより、便座への人体着座を検出する。
静電容量式のセンサを備えた便座装置においては、ノイズによって、人体の誤検知が生じる恐れがある。例えば、便座装置の電源ラインなどのノイズに起因して、人体の検知精度が低下することがあり得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、かかる課題の認識に基づいてなされたものであり、ノイズによって人体の誤検知が生じることを抑制できる便座装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の発明は、便座と、前記便座への人体の着座に応じて静電容量が変化する検知電極と、前記検知電極と電気的に接続される入力端子を有し、前記検知電極の前記静電容量を検出する静電容量検出手段と、前記静電容量検出手段の検知結果に基づいて、前記人体の着座の有無を判定する制御部と、前記入力端子における過電圧を検知する過電圧検知手段と、を備え、前記過電圧検知手段が前記過電圧を検知すると、前記静電容量検出手段は、前記静電容量の検出を一時停止した後に再開することを特徴とする便座装置である。
【0006】
この便座装置によれば、例えば電源などのノイズによって入力端子に過電圧が生じた場合でも、静電容量検出手段が静電容量の検出を一時停止することにより、ノイズによって誤検知が生じることを抑制できる。
【0007】
第2の発明は、第1の発明において、前記静電容量検出手段は、前記検知電極から放電される電荷を蓄える積分手段と、所定電圧と接続された第1スイッチと、前記入力端子及び前記積分手段と接続された第2スイッチと、を有し、前記第1スイッチがオンであり前記第2スイッチがオフであり前記検知電極を前記所定電圧に充電する第1状態と、前記第1スイッチがオフであり前記第2スイッチがオンであり前記検知電極を放電する第2状態と、を交互に繰り返すスイッチング動作を実行し、前記積分手段は、前記スイッチング動作によって繰り返される前記第2状態において前記検知電極から放電される電荷を蓄え、前記制御部は、前記積分手段に蓄積された電荷に応じて前記人体の着座の有無を判定し、前記過電圧検知手段が前記過電圧を検知すると、前記静電容量検出手段は、前記スイッチング動作を一時停止して、前記第1スイッチ及び前記第2スイッチを前記第1状態とした後、前記スイッチング動作を再開することを特徴とする便座装置である。
【0008】
この便座装置によれば、例えば電源などのノイズによって入力端子に過電圧が生じた場合に、静電容量検出手段がスイッチング動作を一時停止して、第1状態となる。これにより、積分手段の積分(電荷の蓄積)が中断されるため、ノイズに起因して積分値に大きな誤差が生じることを抑制することができる。したがって、ノイズによって誤検知が生じることを抑制できる。
【0009】
第3の発明は、第2の発明において、前記過電圧検知手段が前記過電圧を検知した場合に、前記第1状態を所定時間継続させるオフディレイ手段をさらに備えたことを特徴とする便座装置である。
【0010】
この便座装置によれば、第1状態が継続されることで、積分手段の積分の中断が継続されるため、ノイズによって誤検知が生じることをより抑制することができる。
例えば、便座装置の回路に容量成分や誘導成分が含まれることなどに起因して、入力端子にノイズが生じた状態が継続する場合がある。すなわち、便座装置の回路には容量成分や誘導成分があるため、印加された過電圧が一瞬であっても、ノイズによる電位変動は直ちにゼロにはならず、収束までにある程度の時間を要する。このような場合でも、オフディレイ手段によって第1状態を所定時間継続することにより、積分手段の積分の中断が継続されるため、ノイズによる電位変動が収束するまでの時間が確保され、積分値にノイズに起因した大きな誤差が生じることを抑制することができる。したがって、ノイズによって誤検知が生じることをより抑制できる。
【0011】
第4の発明は、第1~第3のいずれか1つの発明において、前記検知電極は、前記便座の裏面に設けられ、前記便座を温めるヒータよりも大きい面積を有し、前記ヒータの熱を前記便座に拡散させることを特徴とする便座装置である。
【0012】
この便座装置によれば、検知電極の面積が大きいことにより、着座検出範囲が広くなり、着座位置による誤検知を抑制することができる。一方、検知電極が大きい場合には、検知電極の静電容量が大きいために、充放電時間が長くなり、静電容量の検出の時間が長くなる。このため、静電容量の検出中に、ノイズ(例えば短周期で発生する電源ラインのノイズなど)によって、入力端子に過電圧が生じる頻度が高くなる。このような場合でも、静電容量検出手段が静電容量の検出を一時停止することにより、ノイズによって誤検知が生じることを抑制できる。したがって、着座検出範囲を広くしつつ、ノイズによる誤検知を抑制することができる。
【0013】
第5の発明は、第2または第3の発明において、前記静電容量検出手段は、前記第1状態と前記第2状態とを繰り返す前記スイッチング動作の周波数を、互いに異なる複数の周波数に変更可能であり、前記スイッチング動作の周波数を変更する際に、前記第1状態及び前記第2状態の一方の時間を可変とし、前記第1状態及び前記第2状態の他方の時間を固定とすることを特徴とする便座装置である。
【0014】
この便座装置によれば、スイッチング動作の周波数を変更することにより、特定の周波数のノイズによって静電容量の検知結果に生じる誤差を小さくすることができる。一方、スイッチング動作において第1状態と第2状態とを切り替えると、この切り替え動作が引き金となって、検知電極の電位が振動する現象が発生することがある。ここで、スイッチング動作の周波数を変更すると、検知電極の電位の振動が静電容量の検知結果に与える影響が変化し、その結果、人体の有無の誤検知が生じる恐れがある。これに対して、スイッチング動作の周波数を変更する際、第1状態及び第2状態の他方の時間を固定とすることにより、検知電極の電位の振動の影響の、周波数の変更による変化を低減することができる。これにより、誤検知が生じることを抑制できる。
【0015】
第6の発明は、第5の発明において、前記一方は、前記第1状態であり、前記他方は、前記第2状態であることを特徴とする、便座装置である。
【0016】
第1状態においては、第1状態の終了時の検知電極の電圧が、静電容量検出手段の検知結果に影響を与える。例えば、第1状態の途中に検知電極にノイズが生じても、検知結果への実質的な影響はない。したがって、この便座装置によれば、第1状態の時間を長くして第1状態の途中に検知電極にノイズが入る可能性が高まっても、ノイズ耐性の低下を抑制することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の態様によれば、ノイズによって人体の誤検知が生じることを抑制できる便座装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は、実施形態に係る便座装置が設けられたトイレ装置を例示する斜視図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る便座装置が備える人体検知センサの一例を模式的に表すブロック図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る便座の一部を模式的に表す断面図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る便座を模式的に表す平面図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る便座の一部を模式的に表す部分断面図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係る便座装置を模式的に表すブロック図である。
【
図7】
図7(a)~
図7(d)は、実施形態に係る検知回路の動作の一例を模式的に表すグラフである。
【
図8】
図8(a)~
図8(c)は、実施形態に係る検知回路の動作の一例を模式的に表すグラフである。
【
図9】
図9は、参考例に係る人体検知センサを表す模式的ブロック図である。
【
図10】
図10(a)~
図10(d)は、参考例に係る検知回路の動作の一例を模式的に表すグラフ図である。
【
図11】
図11(a)~
図11(c)は、参考例に係る検知回路の動作の一例を模式的に表すグラフ図である。
【
図12】
図12は、実施形態に係る人体検知センサの具体例を模式的に表すブロック図である。
【
図13】
図13(a)~
図13(g)は、実施形態に係る検知回路の動作の一例を模式的に表すグラフである。
【
図14】
図14(a)~
図14(f)は、実施形態に係る検知回路の動作の一例を模式的に表すグラフである。
【
図15】実施形態に係る別の便座装置を模式的に表すブロック図である。
【
図16】
図16(a)及び
図16(b)は、実施形態に係るスイッチング動作を模式的に表すグラフである。
【
図17】
図17(a)及び
図17(b)は、実施形態に係るスイッチング動作を模式的に表すグラフである。
【
図18】
図18(a)及び
図18(b)は、検知回路の動作の一例を模式的に表すグラフである。
【
図19】
図19(a)及び
図19(b)は、検知回路の動作の一例を模式的に表すグラフである。
【
図20】
図20(a)及び
図20(b)は、検知回路の別の動作の一例を模式的に表すグラフである。
【
図21】
図21(a)及び
図21(b)は、放電時間が終了するタイミングを説明するグラフ図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1は、実施形態に係る便座装置が設けられたトイレ装置を例示する斜視図である。
図1に表したように、トイレ装置100は、実施形態に係る便座装置110と、洋式腰掛便器(以下説明の便宜上、単に「便器」と称する)104と、を有する。便座装置110は、便器104の上に設けられている。便座装置110は、本体部112と、便座114と、便蓋116と、を有する。
【0020】
便器104は、下方に向けて窪んだボウル部104aを有する。便器104は、ボウル部104aにおいて使用者の尿や便などの排泄物を受ける。便座装置110の本体部112は、便器104のボウル部104aよりも後方の上部に設けられる。本体部112は、便座114及び便蓋116を開閉可能に軸支している。
【0021】
便座114は、開口部114aを有する。便座114は、ボウル部104aの外縁を囲むように便器104の上に設けられ、開口部114aを介してボウル部104aを露呈させる。これにより、使用者は、便座114に座った状態でボウル部104aに排泄を行うことができる。この例では、貫通孔状の開口部114aが形成された、いわゆるO型の便座114を示している。便座114は、O型に限ることなく、U字型などでもよい。
【0022】
便座装置110は、便座114の着座面を温める暖房機能を有する。また、便座装置110は、便座114に座った使用者の「おしり」などの局部を洗浄する衛生洗浄機能を有する。便座装置110は、換言すれば、衛生洗浄装置である。但し、便座装置110は、必ずしも衛生洗浄機能や暖房機能を有しなくてもよい。便座装置110は、例えば、暖房機能のみを有する暖房便座装置でもよい。
【0023】
便座装置110は、人体局部の洗浄を行うためのノズル120を有する。ノズル120は、本体部112に設けられ、本体部112内に収納された位置と、本体部112からボウル部104a内に進出した位置と、に進退移動する。なお、
図1では、ノズル120がボウル部104a内に進出した状態を表している。
【0024】
本体部112は、リモコンなどの操作部106と通信可能に構成されている。本体部112と操作部106との間の通信は、有線通信でもよいし、無線通信でもよい。本体部112は、例えば、操作部106からの操作指示の入力に応じてノズル120をボウル部104a内に進出させる。
【0025】
ノズル120は、人体局部に向けて水を吐出し、人体局部の洗浄を行う。ノズル120の先端部には、ビデ洗浄吐水口120a及びおしり洗浄吐水口120bが設けられている。ノズル120は、その先端に設けられたビデ洗浄吐水口120aから水を噴射して、便座114に座った女性の女性局部を洗浄することができる。あるいは、ノズル120は、その先端に設けられたおしり洗浄吐水口120bから水を噴射して、便座114に座った使用者の「おしり」を洗浄することができる。
【0026】
図2は、実施形態に係る便座装置が備える人体検知センサの一例を模式的に表すブロック図である。
便座装置110は、人体検知センサ10を有する。人体検知センサ10は、検知電極12と、検知回路14と、制御部16と、を有する。
【0027】
人体検知センサ10は、人体の有無を判定する。人体検知センサ10は、例えば、使用者の便座114への着座の有無を検知可能な着座検知センサである。便座装置110は、人体検知センサ10の人体(着座)の有無の判定結果に基づいて、便座装置110の機能を制御することができる。例えば、制御部16は、人体検知センサ10の判定結果に基づいて、洗浄機能(ノズル120の進退やノズル120の吐止水)を制御したり、暖房機能をオンオフしたりできる。
【0028】
検知電極12は、人体の有無に応じて静電容量が変化する。例えば、検知電極12は、便座114に取り付けられており、便座114への人体の着座に応じて静電容量が変化する。検知電極12は、人体が着座している状態において、人体と静電結合する。これにより、検知電極12は、人体が着座していない状態よりも人体が着座している状態において静電容量が大きくなる。すなわち、検知電極12は、
図2に表したように、例えば人体を介して共通電位GNDに繋がり、人体の有無に応じて変化する静電容量C1(コンデンサ)を形成する。静電容量C1は、人体が近接している状態(着座している状態)と、近接していない状態(着座していない状態)と、によって変化する。このため、例えば、パルス信号を検知電極12に送信した場合に、検知電極12に流れる電流は、人体が着座していない状態よりも人体が着座している状態において大きくなる。この例において、人体検知センサ10は、人体の有無にともなう静電容量の変化を1つの電極で検知する、いわゆる自己容量型の静電容量式の人体検知センサである。
【0029】
検知回路14は、静電容量検出手段17と、過電圧検知手段11と、オフディレイ手段19と、を有する。
【0030】
静電容量検出手段17は、検知電極12と電気的に接続される入力端子15を有する。
静電容量検出手段17は、入力端子15を介して信号を検知電極12に送信することにより、検知電極12の静電容量の変化を検知する。例えば、静電容量検出手段17は、所定数のパルスのパルス信号を、入力端子15を介して検知電極12に送信する。そして、静電容量検出手段17は、各パルスを検知電極12に印加した際に検知電極12に蓄積された電荷を、入力端子15を介して検知するとともに、各パルスの印加毎の電荷を積分する。静電容量検出手段17は、この電荷の積分値により、検知電極12の静電容量の変化を検知する。
【0031】
なお、入力端子15とは、必ずしも金具などの接続部材に限らず、検知電極12と静電容量検出手段17の内部とを電気的に接続する導体(例えば配線など)の少なくとも一部でも良い。
【0032】
制御部16は、静電容量検出手段17による静電容量の検知を制御する。また、制御部16は、静電容量検出手段17の検知結果、すなわち検知電極12の静電容量に基づいて、人体の着座の有無を判定する。自己容量型のセンサでは、前述のように、人体が着座していない状態よりも人体が着座している状態において検知電極12の静電容量が大きくなる。この場合、制御部16は、例えば、静電容量検出手段17によって検知された電荷の積分値が閾値を超えた場合に、人体が着座していると判定し、静電容量検出手段17によって検知された電荷の積分値が閾値を超えない場合に、人体が着座していないと判定する。制御部16には、例えばマイコンなどの回路を用いることができる。
【0033】
過電圧検知手段11は、静電容量検出手段17の入力端子15と電気的に接続されている。過電圧検知手段11には、入力端子15の電圧が入力される。これにより、過電圧検知手段11は、入力端子15における過電圧を検知する。言い換えると、過電圧検知手段11は、入力端子15の電圧が、所定の電圧に達したか否かを検知する。また、過電圧検知手段11は、オフディレイ手段19を介して、静電容量検出手段17と電気的に接続されている。
【0034】
過電圧検知手段11において過電圧が検知されると、過電圧が検知されたことに対応する信号がオフディレイ手段19を介して静電容量検出手段17に入力される。すると、静電容量検出手段17は、検知電極12の静電容量の検出を一時停止し、その後に検知電極12の静電容量の検出を再開する。
【0035】
例えば、検知回路14には、電気的なノイズが生じることがある。ノイズに起因して入力端子15に過電圧が生じることがある。後述するように、このようなノイズとしては、例えば人体検知センサ10の電源ラインに生じたノイズが想定される。ただし、実施形態におけるノイズとは、必ずしも電源ラインからのノイズには限らない。入力端子15にノイズ(過電圧)が生じて、ノイズに起因した電流が入力端子15から静電容量検出手段17に流れると、静電容量検出手段17の検知結果(すなわち積分値)に大きな誤差が生じる恐れがある。そのため、ノイズによって人体の誤検知が生じる恐れがある。すなわち、過電圧とは、人体の誤検知が生じるほどに過大な電圧という意味であり、プラス側だけでなくマイナス側の電圧変動も過電圧となる。仮に具体的な数値を挙げれば、プラス50V以上、マイナス50V以下、のいずれも、過電圧検知手段11は過電圧として検知する。
【0036】
これに対して、検知回路14においては、上述したように、過電圧検知手段11が過電圧を検知すると、静電容量検出手段17は、静電容量の検出を一時停止した後に再開する。これにより、例えば電源などのノイズによって入力端子に過電圧が生じた場合でも、静電容量検出手段が静電容量の検出を一時停止することにより、ノイズによって誤検知が生じることを抑制できる。
【0037】
なお、検知電極12の静電容量の検出では、静電容量C1に蓄積された電荷が、入力端子15を介して静電容量検出手段17の電荷量計測部(例えば後述の積分手段)に入力される。例えば、後述するように、静電容量検出手段17には、スイッチが設けられる。周期的にスイッチをオンオフさせることにより、検知電極12へのパルス信号の送信と、各パルスの印加毎の電荷の積分と、が周期的に繰り返される。この場合、検知電極12の静電容量の検出の一時停止とは、例えば周期的なスイッチのオンオフを一時停止することに対応する。また、検知電極12の静電容量の検出の再開は、周期的なスイッチのオンオフを再開することに対応する。
【0038】
オフディレイ手段19は、過電圧検知手段11及び静電容量検出手段17と電気的に接続されている。オフディレイ手段19は、静電容量検出手段17に静電容量の検出を一時停止した状態を所定時間継続させるための回路である。オフディレイ手段19は、過電圧検知手段11から過電圧が検知されたことに対応する信号を受信すると、静電容量検出手段17に信号を送信する。静電容量検出手段17は、オフディレイ手段19からの信号に応じて、静電容量の検出を一時停止した状態を所定時間継続する。オフディレイ手段19の出力によって、静電容量の検出が一時停止する時間の長さを調節することができる。
【0039】
例えば、検知回路14に生じたノイズによって、入力端子15に生じるノイズが継続する場合がある。このような場合でも、オフディレイ手段19によって、静電容量の検出を一時停止した状態を継続させることで、静電容量検出手段17の検知結果へのノイズの影響を抑制することができる。なお、実施形態においてオフディレイ手段19は必ずしも設けられなくてもよい。
【0040】
以下、便座装置110及び人体検知センサ10の具体例について、検知電極12が、便座に設けられたヒータの熱を拡散するための熱拡散シートである場合を例に挙げて説明する。
【0041】
図3は、実施形態に係る便座の一部を模式的に表す断面図である。
図3は、
図1のA1-A2線断面を模式的に表す。
図3に表したように、便座114は、内部空間SPを有する。換言すれば、便座114は、中空状である。便座114は、例えば、上板130と下板132とを有し、上板130と下板132とを接合することにより、上板130と下板132との間に内部空間SPを形成する。上板130は、使用者が着座する着座面130aと、下板132と対向する内表面130bと、を有する。内表面130bは、換言すれば、内部空間SP内において着座面130aと反対側を向く面(便座114の裏面)である。上板130と下板132との接合は、接着剤を用いた接着でもよいし、振動溶着などを用いた溶着などでもよい。但し、便座114の構成は、上記に限ることなく、少なくとも内部空間SPと着座面130aと内表面130bとを有する任意の構成でよい。
【0042】
図4は、実施形態に係る便座を模式的に表す平面図である。
図5は、実施形態に係る便座の一部を模式的に表す部分断面図である。
図4及び
図5に表したように、ヒータ204は、内部空間SPに設けられ、外部からの交流電圧の印加により、内表面130bを介して着座面130aを内側から温める。ヒータ204は、電流を流すことによって発熱する。ヒータ204は、例えば、電熱線である。
【0043】
検知電極12は、内表面130bに設けられる。検知電極12は、例えば、シート状である。ヒータ204は、例えば、コード状である。検知電極12の面積は、ヒータ204の面積よりも大きい。これにより、検知電極12は、ヒータ204の熱を内表面130bに拡散させる。このように、検知電極12は、内表面130bに設けられ、便座114への着座の有無に応じて静電容量を変化させるとともに、ヒータ204よりも大きい面積を有し、ヒータ204の熱を内表面130bに拡散させる。すなわち、検知電極12は、便座114への着座の有無を検知する電極として機能するとともに、ヒータ204の熱を内表面130bに拡散させる熱拡散シートとしても機能する。
【0044】
検知電極12とヒータ204との間には、第1接着剤240が設けられている。第1接着剤240は、検知電極12とヒータ204とを接合する。
【0045】
検知電極12と、上板130の内表面130bと、の間には、第2接着剤242が設けられている。第2接着剤242は、検知電極12と、上板130の内表面130bと、を接合する。これにより、検知電極12は、上板130の内表面130bに設けられる。
【0046】
検知電極12は、導体である。検知電極12は、例えば、金属箔である。金属箔の熱伝導率は、一般的に樹脂製である上板130の熱伝導率よりも高い。検知電極12としては、例えばアルミニウム箔や銅箔などが挙げられる。
【0047】
図4に表したように、ヒータ204は、検知電極12において蛇行し、検知電極12の略全体(全周)にわたって配置される。また、検知電極12は、上板130の内表面130bの略全体(全周)にわたって設けられている。ヒータ204は、上板130の内表面130bの下において蛇行し、内表面130bの略全体にわたって配置される。このように、コード状のヒータ204は、曲げながら内表面130bに設けられる。なお、ヒータ204は、コード状に限ることなく、シート状などでもよい。ヒータ204の構成は、着座面130aを内側から温めることができる任意の構成でよい。
【0048】
図6は、実施形態に係る便座装置を模式的に表すブロック図である。
図6に表したように、便座装置110は、電源回路18(スイッチング電源回路)を有する。電源回路18は、コイル38及び電源端子30を介して交流電源PSと電気的に接続されている。電源回路18は、交流電源PSから供給される交流電力を直流電力に変換し、変換後の直流電力を検知回路14及び制御部16に供給する。検知回路14及び制御部16は、電源回路18からの直流電力の供給に基づいて動作する。交流電源PSは、例えば、AC100V(実効値)の商用電源である。電源端子30は、例えば、コンセントプラグである。電源回路18は、例えば絶縁型AC/DCコンバータである。電源端子30の接地側30aと非接地側30bとの間には、バリスタ60が設けられている。電源端子30の接地側30aと共通電位GNDとの間には、バリスタ61が設けられている。
【0049】
電源回路18は、例えば、整流回路31と、平滑コンデンサ32と、変換回路33と、を有する。整流回路31は、交流電源PSから供給された交流電圧を整流し、脈流の整流電圧に変換する。整流回路31は、例えば、ダイオードブリッジを用いた全波整流器であり、交流電圧を全波整流した整流電圧に変換する。整流回路31は、例えば、半波整流器などでもよい。
【0050】
平滑コンデンサ32は、整流回路31によって整流された整流電圧を平滑化し、整流電圧を直流電圧に変換する。
【0051】
変換回路33は、平滑コンデンサ32によって変換された直流電圧を検知回路14及び制御部16に対応した直流電力に変換する。変換回路33は、いわゆるDC-DCコンバータである。変換回路33は、例えば、100Vの直流電圧を5V~24V程度の直流電圧に変換する。変換回路33は、換言すれば、降圧コンバータである。変換回路33は、変換後の直流電力を検知回路14及び制御部16に供給する。これにより、検知回路14及び制御部16が、変換回路33(電源回路18)からの直流電力の供給に応じて動作可能となる。
【0052】
変換回路33は、一次側(交流電源PS側)と二次側(負荷側)とを電気的に絶縁するトランス34を有する。変換回路33は、換言すれば、入力側と出力側とを電気的に絶縁する。変換回路33は、例えば、絶縁型の変換器である。変換回路33は、例えば、フライバックコンバータである。但し、変換回路33は、必ずしも絶縁型の変換器でなくてもよい。電源回路18の構成は、交流電力を検知回路14及び制御部16に応じた直流電力に変換可能な任意の構成でよい。
【0053】
コイル38は、例えば、コモンモードノイズを抑制するためのコモンモードチョークコイルである。コイル38の端部38aは、整流回路31の一方の入力端子と電気的に接続される。コイル38の端部38bは、整流回路31の他方の入力端子と電気的に接続される。また、コイル38の端部38cは、バリスタ61を介して共通電位GNDに接続される。また、コイル38の端部38dは、電源端子30の非接地側30bと電気的に接続される。共通電位GNDは、例えば、大地の電位(いわゆるアース)である。共通電位GNDは、例えば、装置の導電性のフレーム又はシャーシなどの電位(いわゆるフレームグラウンドやシャーシグラウンド)などでもよい。
【0054】
電源回路18は、コンデンサ37をさらに有する。コンデンサ37は、変換回路33の一次側の共通電位GNDと二次側の共通電位GNDとの間に設けられる。コンデンサ37は、変換回路33の電圧変換動作によって二次側のGNDに乗るノイズを抑制する。
【0055】
便座装置110は、便座114を温めるヒータ204を有する。ヒータ204は、電源端子30と接続されている。これにより、ヒータ204には、交流電源PSから供給された交流電圧が印加される。また、ヒータ204と電源端子30との間には、ヒータ204への交流電圧の印加及び印加の停止を切り替えるためのスイッチング素子220が設けられている。スイッチング素子220には、例えばフォトトライアックを用いることができる。スイッチング素子220は、制御部16と接続されている。制御部16は、スイッチング素子220のオン・オフの切り替えを制御する。換言すれば、制御部16は、ヒータ204への通電(交流電圧の印加及び印加の停止)を制御する。
【0056】
制御部16は、例えば、便座114の着座面130aの温度が、操作部106の操作などによって設定された所定の設定温度となるように、ヒータ204への通電を制御する。また、制御部16は、例えば、検知回路14によって着座が検知されていない場合には、便座114の着座面130aの温度を設定温度よりも低くする。そして、制御部16は、検知回路14によって着座が検知された場合に、便座114の着座面130aの温度を設定温度まで昇温する。これにより、不使用時における不要な電力の消費を抑え、便座装置110の消費電力を抑えることができる。
【0057】
制御部16は、例えば、交流電圧の複数の半波を1単位とするパターン制御方式によってヒータ204への通電を制御する。制御部16は、例えば、ゼロクロス点の検出結果に応じてヒータ204への通電及び通電の停止を切り替える。制御部202は、例えば、着座面130aの温度を上昇させる場合などに、通電する半波の数を増やし、着座面130aの温度を保温する場合や下げる場合などに、通電する半波の数を減らす。これにより、着座面130aの温度を所望の温度に制御することができる。
【0058】
この例では、検知電極12には、
図4及び
図5に関して説明した熱拡散シートが用いられている。便座114に設けられた熱拡散シート(検知電極12)と人体HBとによって静電容量C1が形成される。静電容量検出手段17は、静電容量C1を検出する。
【0059】
静電容量検出手段17は、例えば、スイッチ部20と、電荷量計測部22と、保護抵抗42と、バリスタ44と、を有する。スイッチ部20は、例えばパルス出力部として機能する。すなわち、スイッチ部20は、制御部16からの入力に基づいて、検知電極12にパルス信号を送信する。電荷量計測部22は、スイッチ部20から検知電極12にパルス信号を送信した際の検知電極12の電荷量を基に、検知電極12の静電容量を計測する。計測された静電容量は、制御部16に入力される。例えば、電荷の積分値が、検知電極12の静電容量として制御部16に入力される。
【0060】
スイッチ部20は、第1スイッチ71と、第2スイッチ72と、インバータ回路73と、OR回路74と、を有する。OR回路74の入力側の一方は、制御部16と接続されている。OR回路の出力側は、第1スイッチ71と接続されているとともに、インバータ回路73を介して第2スイッチ72と接続されている。第1スイッチ71の一端は、所定電圧(電源電圧VCC)と接続され、第1スイッチ71の他端は、第2スイッチ72の一端と接続されている。第2スイッチ72の他端は、電荷量計測部22(積分手段52)と接続されている。
【0061】
電荷量計測部22は、積分手段52(コンデンサ)と、トランジスタ54と、抵抗55と、抵抗56と、を有する。積分手段52の一端は、第2スイッチ72と接続され、積分手段52の他端は、二次側の共通電位GNDと接続されている。トランジスタ54のベースは、抵抗55を介して制御部16と接続されるとともに、抵抗56を介して二次側の共通電位GNDと接続されている。トランジスタ54のエミッタは、二次側の共通電位GNDと接続されている。トランジスタ54のコレクタは、制御部16と接続されるとともに、第2スイッチ72と積分手段52との間に接続されている。
【0062】
保護抵抗42の一端は、第1スイッチ71と第2スイッチ72との間に接続されている。保護抵抗42の他端は、入力端子15に接続される。言い換えれば、第1スイッチ71及び第2スイッチ72は、保護抵抗42を介して、入力端子15と電気的に接続されている。第1スイッチ71及び第2スイッチ72には、例えばアナログスイッチなどを用いることができる。但し、第1スイッチ71及び第2スイッチ72は、これに限らず、導通と非導通とを切り替えることができる任意の構成を用いることができる。保護抵抗42は、電子部品から構成される静電容量検出手段17を、外部から入ってくる電気的なストレスから保護する部品である。バリスタ44は、二次側の共通電位GNDと入力端子15との間に接続され、静電容量検出手段17を過電圧などによる部品破壊から保護する。
過電圧検知手段11及びオフディレイ手段19の具体例の一例については、
図12に関して後述する。
【0063】
次に、
図7及び
図8を参照して、ノイズが生じていない場合、すなわち入力端子15に過電圧が生じていない場合の静電容量検出手段17の動作の一例について説明する。
【0064】
図7(a)~
図7(d)及び
図8(a)~
図8(c)は、実施形態に係る検知回路の動作の一例を模式的に表すグラフである。これらの図において、縦軸は信号(電圧)を表し、横軸は、時間を表す。
図8(a)、
図8(b)、
図8(c)は、それぞれ、
図7(b)、
図7(c)、
図7(d)の一部を拡大して表している。
【0065】
図7(a)に表したように、人体HBの着座の検知に際して、まず制御部16は、トランジスタ54のベース側に、Hiの信号を入力する。すなわち、トランジスタ54のベース側の信号S3をHiとする。これにより、トランジスタ54がオンとなり、積分手段52が放電され、
図7(d)に表したように積分手段52の信号S2が二次側の共通電位GNDにリセットされる。
【0066】
その後、
図7(b)に表したように、制御部16は、スイッチ部20にHiの信号とLoの信号とを周期的に交互に入力する。すなわち、スイッチ部20の入力側の信号S1を、周期的に交互にHi及びLoとする。なお、入力端子15の過電圧が検知されていない場合には、OR回路74の出力信号S6は、信号S1がHiのときはHiであり、信号S1がLoのときはLoである。
【0067】
第1スイッチ71及び第2スイッチ72は、それぞれ、Hiの信号が入力されるとオン、Loの信号が入力されるとオフとなる。すなわち、第1スイッチ71は、信号S1がHiのときオンであり、信号S1がLoのときオフとなる。逆に、第2スイッチ72は、信号S1がHiのときオフであり、信号S1がLoのときオンとなる。このようにして、静電容量検出手段17は、制御部16からの入力に応じて、第1スイッチ71がオンで第2スイッチ72がオフの第1状態と、第1スイッチ71がオフで第2スイッチ72がオンの第2状態と、を周期的に交互に繰り返すスイッチング動作を実行する。
【0068】
第1状態においては、検知電極12は、入力端子15、保護抵抗42、第1スイッチ71を介して、電源電圧VCCと導通する。これにより、検知電極12の静電容量C1に電荷が蓄積される。このように、第1状態は、検知電極12の静電容量C1に電荷を蓄積させる状態である。
図7(c)及び
図8(b)は、入力端子15の信号S100であり、検知電極12の電位に対応する。例えば、
図8(b)に示すように、時刻T1、T3、T5、T7の直前において、信号S100は、所定電圧(この例では電源電圧VCC)となっている。言い換えれば、第1状態は、検知電極12の静電容量C1を所定電圧に充電する状態である。
【0069】
一方、第2状態においては、検知電極12は、入力端子15、保護抵抗42、第2スイッチ72を介して、積分手段52と導通する。これにより、静電容量C1に蓄積された電荷が、積分手段52に入力される。このように、第2状態は、検知電極12の静電容量C1に蓄積された電荷を積分手段52へ出力させる状態である。そのため、例えば
図8(b)に示すように、信号S100は、時刻T1と時刻T2との間、時刻T3と時刻T4との間、時刻T5と時刻T6との間において、所定電位から低下している。言い換えれば、第2状態は、検知電極12の静電容量C1を放電する状態である。
【0070】
このように、所定の周波数でスイッチ部20の第1状態と第2状態とを切り替えるスイッチング動作により、所定電圧に応じたパルス信号が検知電極12に入力されるとともに、静電容量C1に蓄積された電荷が、積分手段52に入力される。なお、パルス信号の周波数は、信号S1の周波数に応じて変更することができる。また、信号S100は、静電容量C1や保護抵抗42などのCR回路による遅延によって、信号S1に比べて、なまった波形となっている。
【0071】
積分手段52は、上記のスイッチング動作によって繰り返される第2状態において、検知電極12の静電容量C1から放電される電荷を蓄える。そのため、例えば
図8(c)に表したように、積分手段52の出力である信号S2は、第1状態と第2状態との切り替え回数、すなわち「積分回数」に比例して増大する。例えば、時刻T1、T3、T5における信号レベルのように、静電容量検出手段17が第2状態となるたびに、信号S2が所定値ずつ増大する。
【0072】
電気回路にはホワイトノイズと呼ばれるランダムノイズが発生するが、積分回数が増えるほど、ランダムノイズが平均化され、積分回路50の出力は安定する。つまり、積分回数が増えるほど、信号量が増えノイズが減少するので、検知回路14としては、高S/Nの動作となる。
【0073】
このようにして、積分手段52は、スイッチング動作に応じて所定の周波数で入力される静電容量C1の電荷を積分し、積分値を検知結果として制御部16に出力する。制御部16は、積分値をA/D変換し、人体HBの着座の有無の判定を行う。人体HBが有る状態(検知電極12に人体が近接している状態)の静電容量C1は、人体HBが無い状態(検知電極12に人体が近接していない状態)の静電容量C1よりも大きくなる。従って、第1状態と第2状態との切り替えを所定の周期で所定の回数行い、上記のように静電容量C1の電荷を積分した場合、人体HBが有る状態の積分値(変化量)は、人体HBが無い状態の積分値よりも大きくなる。
【0074】
制御部16は、積分手段52に蓄積された電荷(積分値をA/D変換した結果)に応じて、人体HBの着座の有無を判定する。より具体的には、例えば、制御部16は、積分手段52をリセットした後の信号S2(この例では二次側の共通電位GND)を基準値とし、第1状態と第2状態との切り替えを所定の回数行った後の、信号S2の基準値からの変化量を積分値(静電容量の検知結果)として扱う。制御部16は、この積分値に基づいて、人体HBの着座の有無を判定する。なお、第1状態と第2状態との切替の回数(パルス数)は、例えば1000回程度である。
【0075】
静電容量検出手段17は、
図7(a)~
図7(d)に示した動作を、所定の周期で繰り返し実行する。これにより、制御部16が、人体HBの着座の有無を所定の周期で繰り返し判定することとなり、結果として、着座検知を連続的に行うことができる。
【0076】
次に、ノイズと誤検知の例について説明する。
本願発明者は、従来の静電容量式の着座センサにおいて、検出電極の面積を大きくすると、ノイズの影響が大きくなり、着座状態の誤検知がより生じやすくなる恐れがあることを見出した。
【0077】
上述したように、検知電極12として、ヒータよりも面積の大きい熱拡散シートを用いる方法がある。熱拡散シートは、便座内のヒータと熱的に強く結合する。熱拡散シートには、ヒータの発熱を便座全体に略均等に広げる役割がある。そのため、熱拡散シートは、便座内の、使用者が着座する可能性がある部分に広範囲に設けられる。よって、熱拡散シートを検出電極とすれば、使用者が着座する場所によって着座を見逃すことを抑制できる。また、熱拡散シートとは別に検出電極を設ける必要もないため、熱拡散シートを検出電極とすることは好適である。
【0078】
しかし、熱拡散シートは、ヒータと熱的に強く結合するため、熱拡散シートとヒータとの静電的な結合も強い。そのため、ヒータから熱拡散シートへ、つまり、ヒータから検出電極へ、ノイズが入る恐れがある。このノイズとしては、例えば、ヒータと直結する商用電源からのノイズが挙げられる。
【0079】
また、熱拡散シートの面積は、例えば便座の着座面積と同程度に大きい。熱拡散シートの面積が大きいため、検出容量が大きくなる。本願発明者の実験によれば、例えば、ヒータと熱拡散シートの結合容量は300pF程度であり、これが非着座中でも定常的に検出される。更に、使用者が着座すると、人体によって100pF程度が検出容量に加わり、検出容量は、計400pF程度となる。但し、これは使用者が単に便座に着座しただけの場合であり、使用者が素足で床に足を付ける、手で周囲の金属に触れる等の行為があれば、人体と大地間の電気的結合が強まり、更に検出容量は増加する。よって、静電容量検出回路には、最大で数百pFの静電容量の検出が可能な性能が求められる場合がある。
【0080】
そして、大容量の静電検出には、測定時間の制約が生じる。その例について説明する。まず、検出容量が大きいのは検出電極の面積が広いためであり、その結果、検出電極には外来ノイズが入り易い。そこで、静電容量検出回路の入力保護手段として、検出電極と直列に保護用の抵抗を付けること考えられる。また、静電容量検出には、幾つかの方式があるが、上述したように、検出電極に交流パルスを印加し、その際に流出または流入する電荷量を測定する方法がある。例えば、検出電極の面積が広くて検出容量が大きく、そこに保護抵抗を付けると、検出容量と保護抵抗の掛け算で決まる時定数が大きくなる。例えば、前述の交流パルスのパルス幅は、この時定数を考慮した十分な時間とする。
【0081】
試算してみると、検出容量を400pF、保護抵抗を10kΩとすると、時定数は4μsとなる。CR過渡現象を考慮すると、例えば、時定数の5倍で最終値の99%程度まで充放電できるので、交流パルスのHi/Lo時間を、それぞれ20μsとすれば、交流パルスの周期は40μs、周波数は25kHzとなる。また、交流パルスの出力と電量荷の測定とを繰り返し行うことで、静電容量測定の精度を向上させることが考えられる。例えば、1回の容量測定に1000回の交流パルスを出力すると、測定時間は40μs×1000回=40msとなる。
【0082】
なお、一般的な静電容量センサとしては、例えば指先によるタッチ操作を検出するものが挙げられる。この場合、検出容量は例えば1pF程度なので、同様の考えで計算すれば、測定時間は0.1msとなる。このように、便座の熱拡散シートを検出電極とする静電容量式の着座センサにおいては、一般的な静電容量センサに比較して、測定時間が桁違いに長くなる場合がある。
【0083】
前述の「商用電源からのノイズ」の例を挙げる。電力制御の代表的な方法として「位相制御」がある。これは、交流電源の波形に対し、任意の位相でスイッチ素子のサイリスタをオフからオン、オンからオフと制御して負荷を任意の時間だけ導通させる。この制御は、交流電源の半波ごとに行なわれる。この際、急峻な電流変動があり、電源ラインに高周波の短時間のクリックノイズが発生する。つまり、電源波形の半波ごとに、サイリスタのターンオン時のノイズが重畳される。商用電源の周波数が50Hzであれば、10msごとにノイズが発生する。
【0084】
前述の静電容量の測定時間は40msであったため、同じ電源ラインに位相制御を行う機器が繋がっていれば、1回の測定中に複数回のノイズが入ることになる。ノイズ電圧は、例えば1kVという高電圧もあり、測定中にこのような電圧が静電容量検出回路に入ると、測定結果が大きく変動し、着座状態を誤検出する恐れがある。
【0085】
例えば、このような誤検出を抑制するための手段として、前述の「指先のタッチ操作を検出する静電容量センサ」と同等のものを便座の一部に貼り付け、指先程度の狭い範囲で着座検出を行う方法も考えられる。この場合には、検出容量が例えば1pF程度と小さいため、測定時間が短くなり、10ms程度の周期で発生するノイズを避けて、着座検出することができる。例えば、あるノイズと次のノイズの間の時間で容量検出を終えることが可能である。ただし、検出面積が小さいため、検出範囲が狭い部分に限定される。そのため、使用者の着座位置によっては、誤検出が生じる恐れがある。
【0086】
また、誤検出を抑制するための別の手段として、測定中にノイズが検出された場合には、そのときの1回分の測定データを破棄するという方法も考えられる。しかし、測定時間が長い場合や、ノイズが短周期で生じる場合には、1回の測定時間においてノイズが発生する頻度が高いため、ほとんどの測定データを破棄してしまうことになり、着座検知を行えなくなってしまう。
【0087】
以上説明したように、熱拡散シートを有する便座において、便座の熱拡散シートを検出電極として利用すれば、新たに検出電極を設けることなく、着座検出範囲を広くすることができ、着座位置による誤検知を抑制することができる。一方で、検出面積(電極)を大きくすると、検出容量が増えて検出電極への充放電時間が長くなり、測定時間が長くなる。測定時間が長くなると、測定結果に対するノイズの影響が大きくなる可能性がある。例えば、短周期で生じる電源ノイズ(例えば位相制御によって電源周波数の2倍の周波数で生じるノイズ)の影響を避けることが、困難となる。そのため、便座の着座検出面積を広くしつつも、ノイズによる誤検知を抑制することが望まれる。
【0088】
例えば、
図6に表した矢印AR1のように、電源端子30から、ヒータ204と検知電極12との間の静電容量C2を経由して、入力端子15にノイズが伝達される。さらに、
図6に表した矢印AR2のように、ノイズは、入力端子15から静電容量検出手段17を経由して二次側の共通電位GNDに伝達され、電源回路18のコンデンサ37を経由して一次側の共通電位GNDに伝達され、コイル38を経由して、大地の電位へ抜ける。例えば、検知電極12から入ったノイズの大地までの経路上には、コンデンサ37やコイル38があり、着座検知に影響を与える可能性がある。
【0089】
ノイズが着座検知に与える影響の一例について、
図9、
図10(a)~
図10(d)及び
図11(a)~
図11(c)を参照して説明する。
図9は、参考例に係る便座装置を表す模式的ブロック図である。
図9は、参考例の便座装置に設けられた人体検知センサ910を表す。参考例の人体検知センサ910おいては、過電圧検知手段及びオフディレイ手段が設けられていない。また、OR回路74も設けられていない。これ以外については、参考例の便座装置の構成は、
図6等に関して説明した便座装置と同様である。参考例においても、検知電極には、ヒータの熱拡散シートが用いられている。
【0090】
図10(a)~
図10(d)、
図11(a)~
図11(c)は、参考例に係る検知回路の動作の一例を模式的に表すグラフ図である。これらの図は、
図9に表した人体検知センサ910による着座検知において、入力端子に過電圧が生じた場合を表す。これらの図において、縦軸は信号(電圧)を表し、横軸は、時間を表す。
図11(a)、
図11(b)、
図11(c)は、それぞれ、
図10(b)、
図10(c)、
図10(d)の一部を拡大して表している。
【0091】
図10(b)に表したように、2つのスイッチを交互にオンオフさせることで、検出容量にパルス信号を送信する。これに伴い、
図10(c)に表した入力端子の波形のように、検出容量の充放電が繰り返され、
図10(d)に表したように、積分手段の出力電位が上昇する。
【0092】
積分動作の途中において、ノイズが発生し、
図10(c)に表したように入力端子の電圧が大きく変動する場合がある。例えば、
図11(b)に表した時刻T15と時刻T17との間のように、入力端子が、保護抵抗及び第2スイッチを介して積分手段と導通している状態(第2状態)において、入力端子の電圧に大きく振動するノイズが生じる。入力端子において過電圧(ノイズ)が生じているときに静電容量検出手段が第2状態であると、ノイズに起因した電荷が積分手段に蓄積されてしまい、その電荷が検出結果(積分値)の誤差となる。そのため、人体の誤検知が生じる恐れがある。
【0093】
例えば、瞬間的なノイズ(例えば
図11(b)の時刻T16における1パルス)の波高値は、1kV程度、パルス幅は1μs程度である。波高値は、入力端子のバリスタで一定の電圧まで抑えられ得る。それでも、バリスタの選定次第だが、波高値は、数十V程度以上になることがある。瞬間的なノイズは、ヒータから熱拡散シートへ、容量結合を介して入る。つまり、入力端子におけるノイズは、コンデンサ経由のAC信号となるので、ノイズはプラスにもマイナスにも入る。
【0094】
瞬間的なノイズのエネルギーは便座装置の回路を通って大地へ抜ける。その際、便座装置の電源回路のコンデンサの容量成分やコイルの誘導成分により、入力端子の電圧が振動する。例えば、
図11(b)の時刻T16と時刻T17との間のように、波形を詳細に観察すると、瞬間的なノイズが入った後、時間遅れで検出回路のある二次側が変動する。二次回路は、バルブやノズルなどの負荷(図示せず)等により、大地と抵抗成分の結合を持つので、振動は減衰して消失する。便座装置の状態によるが、その時間は例えば数μsから数十μs程度である。この時間は瞬間的なノイズが印加される時間(例えば1μs程度)より長い。そのため、入力端子に接続されたバリスタによってノイズ電圧が比較的抑えられていても、
図10(d)及び
図11(c)に表したように、検出結果(積分値)における誤差は、振動する電圧と時間との積に対応するため、大きくなる。
【0095】
以上説明したように、瞬間的なノイズであっても、ノイズ電圧が大きいと、積分値の誤差は大きくなる。さらに、ノイズ電圧が極端に大きくなくても、電圧が減衰するまでの時間が長いと、積分される誤差は大きくなってしまう。
【0096】
これに対して、実施形態においては、上述したように、過電圧検知手段11が設けられている。過電圧検知手段11が過電圧を検知すると、静電容量検出手段17は、静電容量の検出を一時停止した後に再開する。これにより、便座の着座検出面積を広くしつつも、ノイズによる誤検知を抑制することができる。
図12、
図13(a)~(g)及び
図14(a)~(f)を参照して、過電圧検知手段11、オフディレイ手段19及び検出動作の一例について説明する。
【0097】
図12は、実施形態に係る人体検知センサの具体例を模式的に表すブロック図である。
図12に表した検知回路14は、
図6に関して説明した人体検知センサ10の検知回路14の一例である。
図12に表したように、過電圧検知手段11は、ダイオード80、89と、ツェナーダイオード81、82と、トランジスタ83、84と、抵抗85、86、87、88と、を有する。
【0098】
ダイオード80のアノード側は入力端子15と電気的に接続され、ダイオード80のカソード側は、ツェナーダイオード81のカソード側と電気的に接続されている。ツェナーダイオード81のアノード側は、抵抗87を介してトランジスタ84のベースと電気的に接続されている。トランジスタ84において、エミッタは、二次側の共通電位GNDに接続され、エミッタとベースとの間に抵抗88が接続されている。トランジスタ84のコレクタは、オフディレイ手段19と電気的に接続されている。
【0099】
ダイオード89のカソード側は入力端子15と電気的に接続され、ダイオード89のアノード側は、ツェナーダイオード82のアノード側と電気的に接続されている。ツェナーダイオード82のカソード側は、抵抗86を介して、トランジスタ83のベースと電気的に接続されている。トランジスタ83において、エミッタは、電源電圧VCCに接続され、エミッタとベースとの間に抵抗85が接続されている。トランジスタ83のコレクタは、抵抗87を介して、トランジスタ84のベースと電気的に接続されている。
【0100】
オフディレイ手段19は、抵抗91とコンデンサ93とインバータ回路95とを有する。抵抗91の一端は、電源電圧VCCと電気的に接続され、抵抗91の他端は、コンデンサ93を介して二次側の共通電位GNDに接続されている。トランジスタ84のコレクタは、抵抗91とコンデンサ93との間に電気的に接続されている。これにより、抵抗91とコンデンサ93との間に、過電圧検知手段11の出力信号が入力される。インバータ回路95の入力側は、抵抗91とコンデンサ93との間に電気的に接続され、インバータ回路95の出力側は、OR回路74の入力側と電気的に接続されている。
【0101】
例えば、ツェナーダイオード81のツェナー電圧Vz1、ツェナーダイオード82のツェナー電圧Vz2は、それぞれ、バリスタ44の保護電圧Vpよりも小さい値を選定する。なお、実施形態においてバリスタ44や保護抵抗42は、必ずしも設けられなくてもよく、必要に応じて設けられる。
【0102】
図13(a)~
図13(g)及び
図14(a)~
図14(f)は、実施形態に係る検知回路の動作の一例を模式的に表すグラフである。これらの図は、
図12に表した人体検知センサ10による着座検知において、入力端子15に過電圧(ノイズ)が生じた場合を表す。これらの図において、縦軸は信号(電圧)を表し、横軸は、時間を表す。
図14(a)、
図14(b)、
図14(c)、
図14(d)、
図14(e)、
図14(f)は、それぞれ、
図13(b)、
図13(c)、
図13(d)、
図13(e)、
図13(f)、
図13(g)の一部を拡大して表している。
【0103】
図13(a)に表したように、人体HBの着座の検知に際して、まず制御部16は、トランジスタ54のベース側の信号S3をHiとする。これにより、積分手段52の信号がリセットされる。その後、
図13(b)に表したように、第1状態と第2状態とを周期的に交互に繰り返すスイッチング動作が行われる。すると、静電容量C1の充電と放電とが交互に繰り返され、
図13(c)に表したように、入力端子15の波形が振動する。これに伴い、積分手段には、静電容量C1から放電された電荷が積分され、
図13(g)に表したように、信号S2の基準値からの変化が大きくなる。
【0104】
このような積分動作において、
図13(c)に表したように、入力端子の電圧が大きく変動する場合がある。例えば、
図14(b)に表したように、時刻T26において、入力端子15に瞬間的なノイズが入る。そして、時刻T26と時刻T27との間のように、入力端子15のノイズは、振動しながら減衰する。
【0105】
例えば、入力端子15にプラスの過電圧が生じた場合、
図13(d)及び
図14(c)に表したように、トランジスタ84のベース側の信号S4がLoからHiとなる。例えば、信号S4にパルスが生じる。このようにして、過電圧検知手段11は、入力端子15の過電圧を検知する。過電圧検知手段11における過電圧検知は、過電圧がツェナーダイオードのツェナー電圧を越えると動作する。より具体的には、プラスの過電圧の場合は、入力端子15の電圧が所定値(Vf1+Vz1+Vbe1)を超えた場合に、過電圧が検知される。ここで、Vf1はダイオード80の順方向電圧であり、Vz1はツェナーダイオード81のツェナー電圧であり、Vbe1はトランジスタ84のベースエミッタ間電圧である。マイナスの過電圧の場合は、入力端子15の電圧が所定値(VCC-Vbe2-Vz2-Vf2)を下回った場合に、過電圧が検知される。ここで、VCCは電源電圧であり、Vbe2はトランジスタ83のベースエミッタ間電圧であり、Vz2はツェナーダイオード82のツェナー電圧であり、Vf2はダイオード89の順方向電圧である。なお、過電圧検知手段11において検出する所定値(過電圧)は、ノイズが検知結果に与える誤差の大きさを考慮して、誤検知が抑制できるように適宜定めればよい。
【0106】
過電圧検知手段11においてプラスまたはマイナスの過電圧が検知されると、オフディレイ手段19のコンデンサ93が放電される。これにより、インバータ回路95の入力側の電圧が変動し、
図13(e)及び
図14(d)に表したように、インバータ回路95の出力側の信号S5がLoからHiとなる。例えば、信号S5にパルスが生じる。このパルスの幅は、コンデンサ93や抵抗91によるCR時定数に対応する。
【0107】
オフディレイ手段19の出力、すなわち信号S5は、OR回路74に入力される。そのため、OR回路74の出力(信号S6)は、信号S5がHiの場合、制御部16からの入力(信号S1)によらず、Hiとなる。これにより、静電容量検出手段17は、第1スイッチ71がオンで第2スイッチ72がオフの第1状態となる。言い換えれば、過電圧が検知されると、静電容量検出手段17は、強制的に第1状態とされる。
【0108】
この第1状態は、信号S5がHiである間、継続する。第1状態においては、第2スイッチ72がオフであるため、積分手段52に電荷が積分されず、入力端子15のノイズも積分されない。そのため、例えば
図14(f)に示したように、時刻T26から時刻T27の間において、信号S2は、変化しない。
【0109】
また、第1スイッチ71がオンであるため、入力端子15が電源電圧VCCと繋がるので、インピーダンスの低い電源へノイズが逃げやすくなる。つまり、ノイズを積分しないためには、過電圧が検知されると第2スイッチ72を強制的にオフするだけでも良く、そのような制御を行った場合は、第1スイッチ71及び第2スイッチ72の両方がオフになる状態(言わば、第3状態)が起こり得るが、両方がオフの場合に比べて、第1状態では第1スイッチ71がオンであることにより、ノイズが早く減衰しやすくなる。
【0110】
その後、信号S5がHiから再びLoとなると、OR回路74の出力(信号S6)は、信号S1に応じて、再びHiとLoとを周期的に繰り返すこととなる。すなわち、静電容量検出手段17は、制御部16からの入力に基づいたスイッチング動作を再開する。
【0111】
このように、実施形態においては、入力端子15にノイズが入った瞬間と、その直後の所定時間、積分動作を休止する。この所定時間は、例えば信号S5のパルスの幅によって調節することができる。
図14(c)及び
図14(d)に表したように、信号S5のパルスは、信号S4のパルスよりも長い。例えば、信号S5のパルス幅は、
図14(b)の時刻T26以降において入力端子15のノイズが振動しながら減衰して小さくなるまでの間、信号S5がHiとなるように、定められる。例えば、信号S5のパルス幅は、10μs以上100μs以下である。
【0112】
電源回路の容量成分や誘導成分によりノイズが減衰振動する場合であっても、オフディレイ手段19により、ノイズが小さくなるまで積分動作の再開を待つことができる。例えば、スイッチング動作の一時停止によって、第1状態の継続時間は、スイッチング動作による周期的な第1状態の継続時間よりも長くなる。すなわち、例えば、
図14(e)の例では、時刻T26から時刻T28までの第1状態の継続時間は、時刻T24から時刻T25までの第1状態の継続時間よりも長い。実施形態においては、ノイズが入った瞬間、及び、その後の電圧の揺れに対し、積分を中断するので、ノイズが積分されて大きな誤差が生じることを抑制することができる。
【0113】
なお、このとき、ノイズと信号S1のタイミング次第では、本来の信号(静電容量C1の電荷)が積分されなくなる。その場合、1回のスイッチング動作分の積分値(静電容量C1の1回の充放電による信号S2の変化量)が誤差になるが、1回の測定静電容量で例えば1000回のスイッチング動作で積分するなら、その影響は0.1%に過ぎない。
図9の参考例に係る人体検知センサでは、ノイズによる誤差は数%になる場合もあるため、実施形態のように積分動作を中断してノイズを積分しないことにより、大きな誤差が生じることを抑制することができる。したがって、ノイズによって人体の誤検知が生じることを抑制することができる。
【0114】
以上説明したように、実施形態においては、過電圧検知手段11が入力端子15における過電圧を検知すると、静電容量検出手段17は、第1状態と第2状態とを交互に繰り返すスイッチング動作を一時停止して、第1スイッチ71及び第2スイッチ72を第1状態とする。その後、静電容量検出手段17は、スイッチング動作を再開する。
このような構成によれば、例えば電源などのノイズによって入力端子15に過電圧が生じた場合に、静電容量検出手段17がスイッチング動作を一時停止して、第1状態となることで、積分手段の積分(電荷の蓄積)が中断されるため、ノイズに起因して積分値に大きな誤差が生じることを抑制することができる。したがって、ノイズによって誤検知が生じることを抑制できる。
【0115】
また、オフディレイ手段19は、過電圧検知手段11が過電圧を検知した場合に、静電容量検出手段17に第1状態を所定時間継続させる。
このような構成によれば、第1状態が継続されることで、積分手段の積分の中断が継続されるため、ノイズによって誤検知が生じることをより抑制することができる。
例えば、過電圧(ノイズ)の印加によって、便座装置の回路の基準電圧(二次GND)に電位変動が発生することがある。このとき、例えば、便座装置の回路に容量成分や誘導成分が含まれることなどに起因して、入力端子に電位変動が生じた状態が継続する場合がある。この電位変動によって静電容量検出に大きな誤差が生じる恐れがある。すなわち、便座装置の回路には容量成分や誘導成分があるため、印加された過電圧が一瞬であっても、ノイズによる電位変動は直ちにゼロにはならず、収束までにある程度の時間を要する。これに対して、実施形態によれば、オフディレイ手段によって第1状態を所定時間継続することにより、積分手段の積分の中断が継続されるため、ノイズによる電位変動が収束するまでの時間が確保され、積分値にノイズに起因した大きな誤差が生じることを抑制することができる。したがって、ノイズによって誤検知が生じることをより抑制できる。
【0116】
また、既に述べたとおり、熱拡散シートを検知電極12に用いた場合は、検知電極12の面積が大きいことにより、着座検出範囲が広くなり、着座位置による誤検知を抑制することができる。一方、検知電極12が大きい場合には、検知電極12の静電容量が大きいために、充放電時間が長くなり、静電容量の検出の時間が長くなる。このため、静電容量の検出中に、ノイズ(例えば短周期で発生する電源ラインのノイズなど)によって、入力端子15に過電圧が生じる頻度が高くなる。このような場合でも、静電容量検出手段17が静電容量の検出を一時停止することにより、ノイズによって誤検知が生じることを抑制できる。したがって、着座検出範囲を広くしつつ、ノイズによる誤検知を抑制することができる。
【0117】
なお、実施形態において過電圧検出手段が検知するノイズは、必ずしも上述したような電源からのノイズによるものに限らず、入力端子15に過電圧が生じるものであればよい。
【0118】
また、検知電極12は、ヒータ204の熱拡散シートに限らず、熱拡散シートとは別に設けられていてもよい。熱拡散シートは、例えば便座114の内表面130bの略全体にわたって配置された金属泊であり、ヒータ204の熱を内表面130bに拡散させる。この場合にも、例えば便座114の内表面130bに、検知電極12を配置することができる。例えば、検知電極12は、熱拡散シートの上に重ねてもよいし、熱拡散シートの下に重ねてもよい。いずれの配置においても、金属である熱拡散シートは人体と静電結合し、検知電極12とも静電結合するので、検知電極12から熱拡散シートを経由して人体との静電容量を測定することが可能となる。或いは、熱拡散シートの、検知電極12と重なる部分のみを切り欠いて、熱拡散シートの静電的な影響を除いてもよい。この場合、検知電極12の面積は、熱拡散シート250の面積よりも小さくてもよい。また、検知電極12の配置は、必ずしも内表面130bでなくてもよい。検知電極12の配置は、便座114に着座した人体を適切に検知することができる任意の位置でよい。
【0119】
また、実施形態に係る人体検知センサは、上述したような自己容量型に限らず、相互容量型であってもよい。相互容量型の静電容量式センサにおいては、検知電極が送信電極と受信電極とを有する。検知回路は、送信電極及び受信電極と電気的に接続される。人体の有無により、検知電極の周囲における電界が変化するため、所定の周波数のパルス信号を送信電極に送信したときの、受信電極の受信電荷量が変化する。検知回路は、受信電極の受信電荷量を検知電極の静電容量として計測する。静電容量の変化により、人体の有無を判定できる。
【0120】
図15は、実施形態に係る別の便座装置を模式的に表すブロック図である。
図15に表した便座装置111は、前述の検知回路14の代わりに検知回路14bを有する。便座装置111は、後述するように、検知回路14bの静電容量検出手段17bによるスイッチング動作、および、制御部16の動作において、前述の便座装置110と異なる。これ以外については、便座装置111の構成の説明には便座装置110と同様の説明を適用することができる。
【0121】
検知回路14bには、過電圧検知手段11及びオフディレイ手段19が設けられていない。また、検知回路14bは、静電容量検出手段17の代わりに静電容量検出手段17bを有する。静電容量検出手段17bには、静電容量検出手段17と比べて、OR回路74が設けられていない。静電容量検出手段17bにおいては、信号S1がスイッチ71及びインバータ回路73の入力信号となる。これ以外については、検知回路14bの構成の説明には、検知回路14と同様の説明を適用することができる。
【0122】
すなわち、便座装置111は、便座114、検知電極12、静電容量検出手段17b、及び制御部16、を有する。検知電極12は、便座114への人体の着座に応じて静電容量C1が変化する。静電容量検出手段17bは、検知電極12と電気的に接続されており、検知電極12の静電容量C1の変化を検出する。制御部16は、静電容量検出手段の検知結果(積分値)に基づいて、人体の着座の有無を判定する。なお、検知回路14bにおいても、検知回路14と同様に、過電圧検知手段11、オフディレイ手段19及びOR回路74が設けられ、静電容量の検出の一時停止や再開が行われてもよい。
【0123】
静電容量検出手段17bは、第1スイッチ71、第2スイッチ72、及び積分手段52を有する。前述したように、第1、2スイッチ71、72は、例えばトランジスタなどのの素子を含むアナログスイッチである。第1スイッチ71は、所定電圧(電源電圧VCC)と検知電極12とを接続する。第1スイッチ71をオンとすることで、所定電圧と検知電極12とが導通し、第1スイッチ71をオフとすると、所定電圧と検知電極12とが非導通となる。第2スイッチ72は、積分手段52と検知電極12とを接続する。第2スイッチ72をオンとすることで、積分手段52と検知電極12とが導通し、第2スイッチ72をオフとすること、積分手段52と検知電極12とが非導通となる。
【0124】
静電容量検出手段17bは、スイッチング動作によって、検知電極12の静電容量C1の変化を検出する。スイッチング動作は、第1状態(充電)と第2状態(放電)とを所定の周波数で交互に繰り返して、所定の周波数のパルス信号を検知電極12に送信する動作である。前述したように、第1状態では、第1スイッチ71がオン、第2スイッチ72がオフである。第1状態は、検知電極12にパルス信号を送信して検知電極12を所定電圧にし、検出容量(静電容量C1及び静電容量C2)を充電する。第2状態では、第1スイッチ71がオフ、第2スイッチ72がオンである。第2状態は、の検出容量を放電する。積分手段52は、検知電極12から放電される電荷を蓄える。
【0125】
静電容量検出手段17bは、第1状態と第2状態とを繰り返すスイッチング動作の周波数を互いに異なる複数の周波数に変更可能である。言い換えれば、静電容量検出手段17bは、周波数の異なる複数のパルス信号を検知電極12に送信可能である。なお、スイッチング動作の周波数、すなわちパルス信号の周波数は、信号S1の周波数であり、制御部16によって制御される。
【0126】
例えば、静電容量検出手段17bは、スイッチング動作の周波数を、第1周波数と、第1周波数とは異なる第2周波数と、に切り替え可能である。言い換えれば、スイッチング動作には、第1周波数の第1スイッチング動作と、第2周波数の第2スイッチング動作と、がある。第1スイッチング動作は、第1周波数の信号S1により、第1周波数で第1状態と第2状態とを繰り返し、第1周波数でパルス信号を送信する。第1スイッチング動作は、第1状態及び第2状態を第1周波数で所定回数繰り返し、すなわち所定数のパルス信号を第1周波数で送信し、静電容量C1の変化を検出する。同様に、第2スイッチング動作は、第1状態及び第2状態を第2周波数で所定回数繰り返し、すなわち所定数のパルス信号を第2周波数で送信し、静電容量C1の変化を検出する。なお、信号S1の周波数が異なる場合でも、繰り返しの所定回数が同じであれば、積分手段52に蓄積される電荷は等しくなる。すなわち、信号S1の周波数を変化させても、静電容量の検出結果に対し、原理的には影響は無い。
【0127】
例えば、静電容量検出手段17bは、スイッチング動作の周波数を所定のタイミングまたはランダムなタイミングで変更する。例えば、静電容量検出手段17bは、第1スイッチング動作と第2スイッチング動作とを交互に繰り返してもよい。ただし、これに限らず、スイッチング動作の周波数は、適宜のタイミングで変更することができる。また、スイッチング動作の周波数は、第1周波数及び第2周波数の2つの周波数だけでなく、3つ以上でもよい。
【0128】
図16(a)、
図16(b)、
図17(a)及び
図17(b)は、実施形態に係るスイッチング動作を模式的に表すグラフである。
これらの図において、縦軸は信号(電圧)を表し、横軸は、時間を表す。
図16(a)及び
図16(b)は、静電容量検出手段17bによる、第1周波数の第1スイッチング動作を例示する。
図17(a)及び
図17(b)は、静電容量検出手段17bによる、第2周波数の第2スイッチング動作を例示する。
【0129】
図16(a)は、第1周波数の信号S1を表し、
図16(b)は、
図16(a)のように信号S1が変化したときの信号S100を表す。同様に、
図17(a)は、第2周波数の信号S1を表し、
図17(b)は、
図17(a)のように信号S1が変化したときの信号S100を表す。信号S1がHiのとき、静電容量検出手段17bは、第1状態(充電)であり、信号S1がLoのとき、静電容量検出手段17bは、第2状態(放電)である。
【0130】
図16(b)及び
図17(b)において、実線の波形は、後述する減衰振動が生じた場合の波形であり、点線の波形は、その減衰振動がないと仮定した場合の波形である。すなわち、点線の波形は、実線の波形から後述する減衰振動の影響を取り除いた波形であり、例えば設計上の理想の波形に相当する。なお、前述した実施形態に係る便座装置110及び参考例に係る便座装置に関する説明やグラフ(例えば
図8(b)、
図11(b)、
図14(b)など)においては、説明のため便宜上、この減衰振動を省略している。
【0131】
図16(a)に表したように、例えば、時刻T31において静電容量検出手段17bは、第2状態から第1状態に切り替わる。そして、時刻T31から時刻T32まで第1状態が継続する。時刻T32において静電容量検出手段17bは、第1状態から第2状態に切り替わる。そして、時刻T32から時刻T33まで第2状態が継続する。第1スイッチング動作では、時刻T31から時刻T33までと同様の動作が周期的に繰り返される。
【0132】
図17(a)に表したように、例えば、時刻T41において静電容量検出手段17bは、第2状態から第1状態に切り替わる。そして、時刻T41から時刻T42まで第1状態が継続する。時刻T42において静電容量検出手段17bは、第1状態から第2状態に切り替わる。そして、時刻T42から時刻T43まで第2状態が継続する。第2スイッチング動作では、時刻T41から時刻T43までと同様の動作が周期的に繰り返される。
【0133】
前述したように、第1周波数と第2周波数とは互いに異なる。すなわち、第1スイッチング動作の周期P1(例えば時刻T31から時刻T33まで)は、第2スイッチング動作の周期P2(例えば時刻T41から時刻T43まで)と異なる。周期P2は、周期P1よりも長い。
【0134】
静電容量検出手段17bは、スイッチング動作の周波数を変更する際に、第1状態及び第2状態の一方の時間を可変とし、第1状態及び第2状態の他方の時間を固定とする。すなわち、第1スイッチング動作における第1状態及び2状態の一方(以下「可変する側」と呼ぶ場合がある)の継続時間は、第2スイッチング動作における可変する側の継続時間と異なり、第1スイッチング動作における第1状態及び2状態の他方(以下「固定する側」と呼ぶ場合がある)の継続時間は、第2スイッチング動作におけるの固定する側の継続時間と同じである。
【0135】
例えば、この例では、第1状態(充電)の時間が可変であり、第2状態(放電)の時間が固定である。より具体的には、
図16(a)に表した第1スイッチング動作における第1状態の継続時間P11(例えば時刻T31から時刻T32まで)は、
図17(a)に表した第2スイッチング動作における第1状態の継続時間P21(例えば時刻T41から時刻T42まで)よりも短い。一方、
図16(a)に表した第1スイッチング動作における第2状態の継続時間P12(例えば時刻T32から時刻T33まで)は、
図17(a)に表した第2スイッチング動作における第2状態の継続時間P22(例えば時刻T42から時刻T43まで)と同じである。
【0136】
なお、実施形態においては、スイッチング動作の周波数を変更する際に、第1状態の時間を固定とし、第2状態の時間を可変としてもよい。また、時間を「固定」するとは、厳密に変化しないことだけでなく、ばらつき(例えば回路を構成する素子の経時的な特性変化などによるばらつき)の範囲で僅かに変化してもよい。
【0137】
スイッチング動作の周波数を変更することにより、特定の周波数のノイズによって静電容量の検知結果に生じる誤差を小さくすることができる。一方、例えば、
図16(b)及び
図17(b)に表したように、スイッチング動作において第1状態と第2状態とを切り替えると、検知電極の電位が振動することがある。例えば、後述するように、第1状態及び前記第2状態において検出容量を充放電する電流が流れる回路は、互いに直列に接続されたLCR(インダクタ、キャパシタ及び抵抗)を含む。そのため、第1状態と第2状態とを切り替えたときに、検知電極12の電位が、そのLCRに応じて減衰振動することがある。この減衰振動は、第1状態及び第2状態のいずれにおいても同様に発生する。ここで、スイッチング動作の周波数を変更すると、検知電極の電位の振動が静電容量の検知結果に与える影響が変化し、その結果、人体の有無の誤検知が生じる恐れがある。これに対して、スイッチング動作の周波数を変更する際、第1状態及び第2状態の他方の時間を固定とすることにより、検知電極の電位の振動の影響の、周波数の変更による変化を低減することができる。これにより、誤検知が生じることを抑制できる。このことについて、以下、具体例を参照して説明する。
【0138】
検知電極12は、その測定環境に存在するノイズの影響を受ける。一般的なノイズはホワイトノイズと呼ばれ、多くの周波数の成分が含まれるランダムノイズである。一定の周波数で充放電動作、すなわち積分動作を繰り返せば、ランダムノイズと積分動作のタイミングは様々となり特定のパターンに限定されないため、ノイズの影響は多数回の積分動作によって平均化され、最終的に(積分回数が多ければ)ノイズの影響は実質的にゼロになる。
【0139】
ところが、ノイズが特定の周波数を持つ場合がある。例えば、スイッチング電源やモーター、無線機器のように、動作に応じて特定の周波数のノイズを出すものがある。そのノイズ周波数と充放電の周波数とが同期する場合、つまり整数比の関係にある場合、充放電動作に対するノイズの影響が毎回同じ条件となり、充放電の繰り返しでノイズの影響が蓄積され、検知結果(積分値)に大きな誤差を与え、容量検出は誤検知となる。
【0140】
このような場合、充放電周波数(スイッチング動作の周波数)を変えて、充放電動作がノイズと同期しないようにする対策が考えられる。なお、充放電周波数を変える条件は、通常の測定段階で充放電周波数をランダムに変更する方法(周波数バースト)や、着座/非着座の判定が変わったときに、異なる充放電周波数で測定して結果を確認する、等の方法がある。
【0141】
一方、この例では、容量検出回路の充放電動作は、
図15の破線で表した経路DLで行われる。静電容量検出手段17bは二次側にあり、検知電極12はヒータ204と静電結合しており、すなわち人体が着座する前に、非着座状態で既に大きな静電容量C2があり、静電容量検出手段17bは、この静電容量C2に対して充放電する。充放電は電気的な動作なので閉回路を成すものであり、静電容量検出手段17bから検知電極12、ヒータ204、電源ライン30a(スイッチング素子220がオンの場合は30bも含む)、ラインフィルタのコイル38、一次-二次間のコンデンサ37を経由して二次GNDに戻る経路が充放電回路となる。
【0142】
この閉回路には、保護抵抗42、検知電極12とヒータ204との結合容量(静電容量C2)、コイル38、一次-二次間のコンデンサ37という電気的要素が直列に接続されている。ここで、一次-二次間のコンデンサ37は、静電容量C2に比較して十分に大きい(例えば10倍以上)ので、充放電経路の静電容量(直列容量)は、静電容量C2にほぼ等しくなる。つまり、一次-二次間のコンデンサ37はほぼ短絡とみなして除外してよい。すると、保護抵抗42のR、結合容量(静電容量C2)のC、ラインフィルタ(コイル38)のLが直列となり、LCR直列共振の減衰振動が発生する回路が構成される。充放電動作は、検知電極12に対し、充電時は電源電圧を、放電時は積分電圧を、交互にパルス出力する動作となるので、その電位変化を要因として、充放電動作の閉回路にLCR共振の減衰振動が発生する。そして、この振動は、静電容量検出手段の積分値の誤差要因となる。
【0143】
このように、充放電するときに検知電極12に電流を流す回路は、LCR直列回路を含む。すなわち、第1状態において検出容量を充電する電流、及び第2状態において検出容量から放電される電流が流れる回路は、互いに直列に接続されたインダクタ、キャパシタ及び抵抗を含む。そのため、第1状態から第2状態への切り替え、または、第2状態から第1状態への切り替えによって、検知電極12の電位に減衰振動が生じることがある。
【0144】
なお、実施形態において、検知電極12の充放電経路は、必ずしも
図15の例に限らない。充放電経路に接続されるLCRは、必ずしも、ラインフィルタのコイル38、検知電極12の結合容量(静電容量C2)及び保護抵抗42でなくてもよい。また、便座装置には、便座の暖房機能だけでなく、衛生洗浄機能等を有する場合があり、そのための電気的な負荷(モーター等)の要素が新たなLCR成分として加わる場合も有り得る。よって、検知電極12の充放電経路は、便座装置全体の抵抗成分と誘導成分と容量成分とを含み、充電時及び放電時の少なくともいずれかにおいて、検知電極12の電位が減衰振動するものである。
【0145】
このような電位の振動が誤差要因となる具体例について説明する。
静電容量の検出においては、検知電極12を一定の電圧Vで充電し、検知電極12が持つ静電容量C2に比例した電荷(Q=C×V)をため、これを放電して積分することで、電気信号に変換する。このため、例えば、充電電圧Vの部分が一定でなければ原理的に成り立たず、充電電圧Vの変動分は静電容量検出手段の検出誤差となる場合がある。LCRの減衰振動は、Q=C×VのVの部分を変化させるので、充電時、放電時共に静電容量の検出誤差の要因となる。
【0146】
図18(a)及び
図18(b)は、検知回路の動作の一例を模式的に表すグラフである。
図18(a)及び
図18(b)は、
図8(a)及び
図8(b)に示した波形においてLCRによる減衰振動が生じた場合の波形であり、時間軸をさらに拡大した図である。つまり、充放電時の波形は、実際には、このような波形となる場合がある。
【0147】
図18(a)に示したように、時刻T51において、静電容量検出手段は、第2状態から第1状態に切り替わる。時刻T51から時刻T52まで第1状態が継続する。時刻T52において、静電容量検出手段は、第1状態から第2状態に切り替わる。時刻T52から時刻T53まで第2状態が継続する。
【0148】
図18(b)において、充電終了時(例えば時刻T52)の電圧が、本来の充電電圧(電源電圧VCC)から減衰振動によってずれている場合、この電圧差ΔVが誤差要因となる。
図18(b)の場合、充電終了電圧が電源電圧VCCよりも低いので、検知電極12の充電電圧が低くなり、充電される電荷が減り、放電時に積分される電荷も減り、静電容量の検知結果は小さくなる。つまり、充電の終了時点の振動成分が検出誤差になる。
【0149】
同様に、放電時は振動成分が積分される。これは、積分中の面積IS(理想の波形に対する電圧差×時間)で影響する。設計上の理想の波形に対して面積ISの総和がゼロでなければ、誤差となる。以上のように、積分中の振動成分が(振動が無い場合の)理想値からの検出誤差となる。なお、理想の波形及び理想値とは、LCRによる減衰振動が無い場合の波形及び電圧値である。面積ISは、減衰振動がない場合の波形(破線)と、減衰振動がある場合の波形(実線)と、の差を時間で積分した積分値である。放電時の積分中においては、面積ISが誤差要因となる。つまり、放電期間中の振動成分の積分値が検出誤差になる。
【0150】
着座センサ(制御部16)は、検知電極12とヒータ204との間の静電容量C2に、検知電極12と人体HBとの間の静電容量C1が加わり、積分値が変化したときに着座有りと判定する。つまり、静電容量C2を基準に、検知容量が相対的に増加することが判別できれば良いので、検出誤差があったとしても、それが一定であれば、着座検知(着座判定)への影響を抑えることができる。そもそも、人体の着座検出という目的からすれば、静電容量C2自体が固定の検出誤差である。
【0151】
よって、充放電時間を固定とすれば、LCRによる減衰振動の影響が固定され、これを検知容量の固定のオフセット成分として扱うことで、着座判定を行うことができる。
【0152】
充放電時間が一定であればLCRによる減衰振動の影響を固定できるが、前述の特定の周波数のノイズの影響を回避するため、充放電時間、すなわち、充放電周波数を変更する場合がある。すると、LCRによる減衰振動の影響が変化し、静電容量の検知結果に差異が生じて、着座状態を誤検知する恐れがある。
【0153】
図19(a)及び
図19(b)は、検知回路の動作の一例を模式的に表すグラフである。
図19(a)及び
図19(b)は、
図18(a)及び
図18(b)において、充放電時間を短くした場合を表す。すなわち、
図19(a)及び
図19(b)は、例えばノイズ対策を目的として、充放電周波数(スイッチング動作の周波数)を高くした場合を表す。
【0154】
図19(a)に示したように、時刻T54において、静電容量検出手段は、第2状態から第1状態に切り替わる。時刻T54から時刻T55まで第1状態が継続する。時刻T55において、静電容量検出手段は、第1状態から第2状態に切り替わる。時刻T55から時刻T56まで第2状態が継続する。
【0155】
図18及び
図19の例においては、充放電周波数が変化する際に、第1状態の時間(充電時間)及び第2状態の時間(放電時間)の両方が可変である。つまり、
図19(a)における充電時間(時刻T54から時刻T55まで)は、
図18(a)における充電時間(時刻T51から時刻T52まで)よりも短い。また、
図19(a)における放電時間(時刻T55から時刻T56まで)は、
図18(a)における放電時間(時刻T52から時刻T53まで)よりも短い。
【0156】
図19(b)に表したように、LCRによる減衰振動の途中で充放電の切り替えが行われるため、そのタイミングによって充電終了時の電圧、放電中の積分量が変化する。つまり、
図19(b)における充電終了時の電圧差ΔVは、
図18(b)における充電終了時の電圧差ΔVと異なり、
図19(b)における放電中の面積ISの総和は、
図18(b)における放電中の面積ISの総和と異なる。そのため、充放電周波数を変えただけで、静電容量の検知結果に差異が生じる。その結果、着座状態の誤検知が生じる恐れがある。
【0157】
そこで、影響があるのは減衰振動なので、減衰振動が収束するまで待って充放電動作を行う方法も考えられる。
図20(a)及び
図20(b)は、検知回路の別の動作の一例を模式的に表すグラフである。
図20(a)及び
図20(b)は、
図18(a)及び
図18(b)において、充放電時間を長くした場合を表す。
【0158】
図20(a)に示したように、時刻T57において、静電容量検出手段は、第2状態から第1状態に切り替わる。時刻T57から時刻T58まで第1状態が継続する。時刻T58において、静電容量検出手段は、第1状態から第2状態に切り替わる。時刻T58から時刻T59まで第2状態が継続する。
【0159】
図20(a)における充電時間(時刻T57から時刻T58まで)は、
図18(a)における充電時間よりも長い。そのため、
図20(b)における充電終了時の電圧差ΔVは、
図18(b)における充電終了時の電圧差ΔVよりも小さい。例えば、
図20(b)における充電終了時の電圧差ΔVは、振動が十分に減衰しており、実質的にゼロとみなせる。
また、
図20(a)における放電時間(時刻T58から時刻T59まで)は、
図18(a)における放電時間よりも長い。そのため、放電時間が終了するタイミング(時刻T59)で振動は十分に減衰しており、
図20(b)における放電中の面積ISの総和は、放電時間の影響を受けにくく、安定している。一方、
図18(b)における放電中の面積ISの総和は積分時間の影響を受けやすく、安定していない。よって、例えば、
図20(b)における放電中の面積ISの総和は、実質的に固定値とみなせるため、誤差はゼロとみなせる。
【0160】
このように、充放電時間を長くして減衰振動を収束させることで、減衰振動による誤差を抑えることができる。しかし、この例において、充放電周波数を変更するためには、充放電時間をさらに長くすることとなる。この場合、検知時間が長くなり、着座判定が遅れてしまう恐れがある。
【0161】
これに対して、実施形態においては、
図16(a)及び
図17(a)に関して上述したとおり、充放電周波数を変更する際、充電時間及び放電時間の一方を可変とし、他方を固定とする。言い換えれば、スイッチング動作の周波数を変更する際に、第1状態及び第2状態の一方の時間を可変とし、第1状態及び第2状態の他方の時間を固定とする。これにより、減衰振動の変化の影響をうける動作が、充電及び放電の一方だけになるので、減衰振動の影響を低減することができる。したがって、人体の誤検知が生じることをより抑制することができる。
【0162】
また、実施形態においては、
図16(a)及び
図17(a)に表したように、第1状態及び第2状態のうちの可変する側は、第1状態及び第2状態のうちの固定する側よりも長い。例えば、
図16(a)及び
図17(a)において、可変する側の時間は、第1状態と第2状態とを切り替えたときの検知電極12の電位の振動が減衰する時間以上である。一方、固定する側の時間は、第1状態と第2状態とを切り替えたときの検知電極12の電位の振動が減衰する時間よりも短い。なお、検知電極の電位の振動が減衰する時間とは、例えば、静電容量検出手段17bが固定する側から可変する側に切り替わったときの減衰振動の2周期以上、好ましくは3周期以上である。
【0163】
可変する側の時間を振動の減衰時間より長くすることにより、可変する側における検知電極12の電位の振動が、静電容量の検知結果に与える影響を小さくすることができる。そのため、検知電極12の電位の振動の影響の、充放電周波数の変更による変化を低減することができる。例えば、
図16(b)及び
図17(b)においては、充電時間が長く、充電終了時点(例えば時刻T32及び時刻T42)において振動はほぼ収束しており、充電電圧は安定している。電圧差ΔVは、充電終了時点において十分に小さい。このように、充電終了時点の振動成分が減衰していれば、充電時間を変えても誤差は小さい。
【0164】
一方、固定する側の時間は比較的短いため、固定する側における検知電極12の電位の振動は減衰しておらず、静電容量の検知結果に影響を与える。しかし、固定する側の時間は固定されているため、検知電極12の電位の振動による影響は、周波数の変更によって変化することはなく、一定値となる。例えば、
図16(b)及び
図17(b)においては、放電時間が短く固定なので、積分値が安定している。放電期間中の振動成分の積分値(面積IS)は、静電容量の検知結果の誤差になるが、放電時間が固定のため、その積分値(面積IS)が変化することが抑制されている。そのため、静電容量の検知結果に誤差があったとしても、充放電周波数に関係なく誤差成分が一定に保たれるため、着座の判定結果への影響を抑えることができる。
【0165】
また、固定する側の時間を短くすることで、1周期の時間が長くなることが抑制され、全体の検知時間が長くなることを抑制できる。充電時間を長くしても、全体の充放電時間を比較的短くすることができるため、着座センサの応答が遅くなることを抑制できる。
【0166】
また、既に述べたように、
図16(a)及び
図17(a)の例においては、固定する側は第1状態であり、可変する側は第2状態である。言い換えれば、可変する側の時間は充電時間であり、固定する側の時間は放電時間である。
【0167】
充電動作(第1状態)においては、充電終了時の電圧(静電容量に印加される最終電圧)が静電容量に充電される電荷に比例するので、充電終了時の電圧が、静電容量の検知結果に影響を与える。よって、例えば、充電途中でノイズを受けても、静電容量の検知結果に実質的な影響はない。このため、充電時間を長くして充電途中に検知電極にノイズが入る可能性が高まっても、ノイズ耐性が低下することがない。
一方、放電動作(第2状態)は、検知電極12に充電された電荷を放電して積分する動作になるため、放電動作中にノイズが入ると、ノイズも積分手段に入力され、それが積分されるので、ノイズは積分電圧の誤差として残ってしまい、静電容量の検知結果が変化する。よって、放電時間が長くなれば、それに応じてノイズ耐性が低下する。
以上の理由から、充放電時間を同じ(着座検知の反応時間を同じ)とした場合に、充電時間を長く、放電時間を短くする選択により、ノイズ耐性が向上する。
図16(a)及び
図17(a)においては、放電時間が充電時間よりも短いため、放電時間にノイズが入りにくい。
【0168】
図21(a)及び
図21(b)は、放電時間が終了するタイミングを説明するグラフ図である。
図21(a)及び
図21(b)は、
図18(a)及び
図18(b)と同様に充放電時の波形を示す。
図21(a)に示したように、静電容量検出手段は時刻T61からT62まで第1状態である。静電容量検出手段は時刻T62において第1状態から第2状態に切り替わる。
図21(b)に示す波形は、使用者が便座に着座していない非着座時の波形である。また、減衰振動の波形を説明するために、時刻T62の後、再び第2状態が第1状態に切り替わる波形ではなく、第2状態が続いた波形を便宜的に表している。
【0169】
第2状態の時間は、非着座時における、第1状態と第2状態とを切り替えたときの検知電極の電位の減衰振動の周期Pdの1/4であることが望ましい。すなわち、
図21(a)に示したように、時刻T62から1/4周期後の時刻T63において、静電容量検出手段は第2状態から第1状態に切り替わることが望ましい。
【0170】
LCRの共振周波数は、LとCで決まるので、LとCとの変動により変化する。L、C共に個体ばらつきや温度変化があり、充放電時間を生成する制御部(例えばマイコン)の動作周波数にも、ばらつきがあるので、放電時間を固定制御としても、積分結果は、ばらつきを含み、振動の影響を完全に回避することは不可能であり、振動の影響に対して、より安定する条件が好ましい。
【0171】
振動の周期Pdの1/4のタイミングは、検知電極12の電圧波形が下降から上昇に転じる、平坦な部分であり、振動波形の傾きが大きい部分に比較し、共振周波数の変化があっても、その影響は小さく抑えることができる。1/2周期、1周期のタイミングは、振動の傾きが大きいので、振動の条件変化の影響を受けやすく、静電容量の検知結果が不安定になりやすいので、1/4周期のタイミングと比べると適していない。振動周期Pdの1/4のタイミングにおいて、振動波形は平坦で、振動条件の変化に対して影響を受けにくい。
【0172】
なお、3/4周期の部分にも平坦な部分があるが、振動波形は上昇から下降に転じる部分であり、LC共振回路は、検知電極12の電圧を下げる側のエネルギーを持っている状態である。ここで放電から充電に切り替えると、検知電極12の電圧は上がる側の変化になるので、両者の極性が逆向きである。そのため、3/4周期のタイミングにおいては、1/4周期のタイミングと比べると、スムーズに充電に移行できないことがある。1/4周期のタイミングは、上記と逆であり、LC共振と充電動作と、共に検知電極12の電位を上げる側の動作なので、スムーズに充電に移行できる。
【0173】
ただし、実施形態において、第2状態の時間(放電終了のタイミング)は、必ずしも周期Pdの1/4に限定されず、任意のタイミングでよい。また、第2状態の時間が周期Pdの1/4であるとは、厳密に1/4であることだけでなく、例えば回路を構成する素子のばらつきの範囲を含むものでよい。
【0174】
以上、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、便座装置が備える各要素の形状、寸法、材質、配置、設置形態などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0175】
10 人体検知センサ、 11 過電圧検知手段、 12 検知電極、 14、14b 検知回路、 15 入力端子、 16 制御部、 17、17b 静電容量検出手段、 18 電源回路、 19 オフディレイ手段、 20 スイッチ部、 22 電荷量計測部、 30 電源端子、 31 整流回路、 32 平滑コンデンサ、 33 変換回路、 34 トランス、 37 コンデンサ、 38 コイル、 42 保護抵抗、 44 バリスタ、 50 積分回路、 52 積分手段、 54 トランジスタ、 55、56 抵抗、 60、61 バリスタ、 71 第1スイッチ、 72 第2スイッチ、 73 インバータ回路、 74 OR回路、 80 ダイオード、 81、82 ツェナーダイオード、 83、84 トランジスタ、 85~88 抵抗、 89 ダイオード、 91 抵抗、 93 コンデンサ、 95 インバータ回路、 100 トイレ装置、 104 便器、 104a ボウル部、 106 操作部、 110、111 便座装置、 112 本体部、 114 便座、 114a 開口部、 116 便蓋、 120 ノズル、 120a ビデ洗浄吐水口、 120b おしり洗浄吐水口、 130 上板、 130a 着座面、 130b 内表面、 132 下板、 202 制御部、 204 ヒータ、 220 スイッチング素子、 240、242 第1、第2接着剤、 250 熱拡散シート、 910 人体検知センサ、 ΔV 電圧差、 C1、C2 静電容量、 DL 経路、 HB 人体、 IS 面積、 P1、P2 周期、 P11、P12、P21、P22 継続時間、 Pd 周期、 PS 交流電源、 S1~S6、S100 信号、 SP 内部空間、 T31~T33、T41~T43、T51~T59、T61~T63 時刻、 VCC 電源電圧