(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-18
(45)【発行日】2024-12-26
(54)【発明の名称】チェックリスト管理システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/08 20120101AFI20241219BHJP
【FI】
G06Q50/08
(21)【出願番号】P 2020138541
(22)【出願日】2020-08-19
【審査請求日】2023-07-31
(31)【優先権主張番号】P 2020065157
(32)【優先日】2020-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】511300145
【氏名又は名称】株式会社穴吹カレッジサービス
(74)【代理人】
【識別番号】110003801
【氏名又は名称】KEY弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100149870
【氏名又は名称】芦北 智晴
(72)【発明者】
【氏名】鹿庭 大樹
(72)【発明者】
【氏名】尾本 昭宣
【審査官】佐藤 光起
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-015603(JP,A)
【文献】特開2019-046014(JP,A)
【文献】特開2006-285825(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
工事に関する情報を管理する管理サーバ装置と、前記管理サーバ装置にネットワークを介して接続されるクライアント装置と、を備えるチェックリスト管理システムであって、
チェック項目を含むチェックリスト情報を前記管理サーバ装置に登録するチェックリスト情報登録手段と、
第1の利用者がログインした前記クライアント装置において、前記管理サーバ装置に登録された前記チェックリスト情報の前記チェック項目を表示するチェック項目表示手段と、
前記第1の利用者がログインした前記クライアント装置において、前記チェック項目に対する「指摘コメント」の入力を受け付けて、前記管理サーバ装置に保存する指摘コメント保存手段と、
第2の利用者がログインした前記クライアント装置において、前記管理サーバ装置に保存された前記「指摘コメント」を表示する指摘コメント表示手段と、
前記第2の利用者がログインした前記クライアント装置において、前記「指摘コメント」に対する「対応コメント」の入力を受け付けて、前記管理サーバ装置に保存する対応コメント保存手段と、
前記管理サーバ装置に保存された前記「指摘コメント」から単語(以下「第1の単語」という。)を抽出し、前記管理サーバ装置に保存された前記「対応コメント」から単語(以下「第2の単語」という。)を抽出し、前記「指摘コメント」および前記「対応コメント」に対応するチェック項目から単語(以下「第3の単語」という。)を抽出し、抽出した第1~第3の単語を含む「チェック内容タグ」を生成するチェック内容タグ生成手段と、
前記チェック内容タグ生成手段が生成した前記「チェック内容タグ」と、前記チェック内容タグ生成手段が抽出した前記第1の単語を含む前記「指摘コメント」と、前記チェック内容タグ生成手段が抽出した前記第2の単語を含む前記「対応コメント」とを互いに関連付けて構成した「データベース」を生成するデータベース生成手段と、
前記チェック項目表示手段が前記チェック項目を表示する際、当該チェック項目から単語(以下「第4の単語」という。)を抽出して、前記「チェック内容タグ」に含まれる単語と照合する照合手段と、
を備え、
前記チェック項目表示手段は、前記照合手段が、前記第4の単語が前記「チェック内容タグ」に含まれる何れかの単語と一致すると判断した場合、前記「データベース」
内の当該「チェック内容タグ」に関連付けられた「指摘コメント」および「対応コメント」を
、前記クライアント装置において表示し、又はその表示をするための指示を受け付ける表示受付部を
前記クライアント装置において表示する、
ことを特徴とするチェックリスト管理システム。
【請求項2】
請求項1に記載のチェックリスト管理システムにおいて、
前記チェックリスト情報には、前記チェック項目のほか、当該チェック項目が属する工程名が含まれており、
前記データベース生成手段は、前記「データベース」として、前記「チェック内容タグ」と、前記第1の単語を含む前記「指摘コメント」と、前記第2の単語を含む前記「対応コメント」と、前記工程名とを互いに関連付けて構成したものを生成し、
前記照合手段は、前記チェック項目表示手段が前記チェック項目を表示する際、当該チェック項目から第4の単語を抽出して、当該チェック項目が属する工程名に関連付けられた「チェック内容タグ」に含まれる単語と照合する、
ことを特徴とするチェックリスト管理システム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のチェックリスト管理システムにおいて、
1又は複数の単語を含む「指摘コメント分類タグ」と、分類ポイントとを対応付けた「
指摘コメント・分類ポイント情報」を前記管理サーバ装置に登録する指摘コメント・分類ポイント情報登録手段と、
前記チェック内容タグ生成手段が抽出した前記第1の単語が、前記「指摘コメント分類タグ」に含まれる単語の何れかと一致する場合、当該「指摘コメント分類タグ」に対応付けられた分類ポイントに基づいて「
危険レベル」を決定する第1種レベル決定手段と、
1又は複数の単語を含む「対応コメントの分類タグ」と、分類ポイントとを対応付けた「対応コメント・分類ポイント情報」を前記管理サーバ装置に登録する対応コメント・分類ポイント情報登録手段と、
前記チェック内容タグ生成手段が抽出した前記第2の単語が、前記「対応コメントの分類タグ」に含まれる単語の何れかと一致する場合、当該「対応コメントの分類タグ」に対応付けられた分類ポイントに基づいて「
品質レベル」を決定する第2種レベル決定手段と、
を更に備え、
前記データベース生成手段は、前記「データベース」として、前記「チェック内容タグ」、前記「指摘コメント」および前記「対応コメント」に対して、前記第1種レベル決定手段が決定した
危険レベルと、前記第2種レベル
決定手段が決定した
品質レベルを更に関連付けて構成したものを生成し、
前記チェック項目表示手段は、前記照合手段が、前記第4の単語が前記「チェック内容タグ」に含まれる何れかの単語と一致すると判断した場合、前記「データベース」において当該「チェック内容タグ」に関連付けられた「指摘コメント」および「対応コメント」のうち、
危険レベルおよび/又は
品質レベルが所定の閾値を超えるもののみを表示し、又はその表示をするための指示を受け付ける表示受付部を表示する、
ことを特徴とするチェックリスト管理システム。
【請求項4】
請求項3に記載のチェックリスト管理システムにおいて、
前記指摘コメント保存手段により前記「指摘コメント」が前記管理サーバ装置に保存された後、前記対応コメント保存手段により前記「対応コメント」が前記管理サーバ装置に保存されるまでの対応時間を検出する対応時間検出手段を更に備え、
前記第2種レベル決定手段は、前記チェック内容タグ生成手段が抽出した前記第2の単語が、前記「対応コメントの分類タグ」に含まれる単語の何れかと一致する場合、当該「対応コメントの分類タグ」に対応付けられたポイントと、前記対応時間検出手段が検出した前記対応時間とに基づいて前記「
品質レベル」を決定する、
ことを特徴とするチェックリスト管理システム。
【請求項5】
工事に関する情報を管理する管理サーバ装置と、前記管理サーバ装置にネットワークを介して接続されるクライアント装置と、を備えるチェックリスト管理システムであって、
チェック項目を含むチェックリスト情報を前記管理サーバ装置に登録するチェックリスト情報登録手段と、
第1の利用者がログインした前記クライアント装置において、前記管理サーバ装置に登録された前記チェックリスト情報の前記チェック項目を表示するチェック項目表示手段と、
前記第1の利用者がログインした前記クライアント装置において、前記チェック項目に対する「指摘コメント」の入力を受け付けて、前記管理サーバ装置に保存する指摘コメント保存手段と、
第2の利用者がログインした前記クライアント装置において、前記管理サーバ装置に保存された前記「指摘コメント」を表示する指摘コメント表示手段と、
前記管理サーバ装置に保存された前記「指摘コメント」から単語(以下「第1の単語」という。)を抽出し、前記「指摘コメント」に対応するチェック項目からも単語(以下「第3の単語」という。)を抽出し、抽出した第1および第3の単語を含む「チェック内容タグ」を生成するチェック内容タグ生成手段と、
前記チェック内容タグ生成手段が生成した前記「チェック内容タグ」と、前記チェック内容タグ生成手段が抽出した前記第1の単語を含む前記「指摘コメント」とを互いに関連付けて構成した「データベース」を生成するデータベース生成手段と、
前記チェック項目表示手段が前記チェック項目を表示する際、当該チェック項目から単語(以下「第4の単語」という。)を抽出して、前記「チェック内容タグ」に含まれる単語と照合する照合手段と、
を備え、
前記チェック項目表示手段は、前記照合手段が、前記第4の単語が前記「チェック内容タグ」に含まれる何れかの単語と一致すると判断した場合、前記「データベース」
内の当該「チェック内容タグ」に関連付けられた「指摘コメント」を
、前記クライアント装置において表示し、又はその表示をするための指示を受け付ける表示受付部を
前記クライアント装置において表示する、
ことを特徴とするチェックリスト管理システム。
【請求項6】
請求項5に記載のチェックリスト管理システムにおいて、
前記チェックリスト情報には、前記チェック項目のほか、当該チェック項目が属する工程名が含まれており、
前記データベース生成手段は、前記「データベース」として、前記「チェック内容タグ」と、前記第1の単語を含む前記「指摘コメント」と、前記工程名とを互いに関連付けて構成したものを生成し、
前記照合手段は、前記チェック項目表示手段が前記チェック項目を表示する際、当該チェック項目から第4の単語を抽出して、当該チェック項目が属する工程名に関連付けられた「チェック内容タグ」に含まれる単語と照合する、
ことを特徴とするチェックリスト管理システム。
【請求項7】
請求項5又は6に記載のチェックリスト管理システムにおいて、
1又は複数の単語を含む「指摘コメント分類タグ」と、ポイントとを対応付けた「指摘コメント・ポイント情報」を前記管理サーバ装置に登録する指摘コメント・ポイント情報登録手段と、
前記チェック内容タグ生成手段が抽出した前記第1の単語が、何れかの前記「指摘コメント分類タグ」に含まれる単語の何れかと一致する場合、当該「指摘コメント分類タグ」に対応付けられたポイントに基づいて「
危険レベル」を決定する第1種レベル決定手段と、
を更に備え、
前記データベース生成手段は、前記「データベース」として、前記「チェック内容タグ」および前記「指摘コメント」に対して、前記第1種レベル決定手段が決定した
危険レベルを更に関連付けて構成したものを生成し、
前記チェック項目表示手段は、前記照合手段が、前記第4の単語が前記「チェック内容タグ」に含まれる何れかの単語と一致すると判断した場合、前記「データベース」において当該「チェック内容タグ」に関連付けられた「指摘コメント」のうち、
危険レベルが所定の閾値を超えるもののみを表示し、又はその表示をするための指示を受け付ける表示受付部を表示する、
ことを特徴とするチェックリスト管理システム。
【請求項8】
請求項1~7の何れか1項に記載のチェックリスト管理システムにおいて、
前記チェック項目表示手段は、前記照合手段が前記チェック項目から抽出された単語が、複数の「チェック内容タグ」に含まれることを検出した場合、検出件数を表示する、ことを特徴とするチェックリスト管理システム。
【請求項9】
請求項1~4の何れか1項に記載のチェックリスト管理システムにおいて、
前記チェックリスト情報登録手段が前記管理サーバ装置に登録するチェックリスト情報
には、会社識別情報が更に含まれ、
利用者識別情報と、会社識別情報とを対応付けて前記管理サーバ装置に登録する利用者登録手段を更に備え、
前記データベース生成手段は、前記「データベース」として、前記「チェック内容タグ」と、前記「指摘コメント」と、前記「対応コメント」と、前記「指摘コメント」もしくは前記「対応コメント」を入力したユーザの会社識別情報とを互いに関連付けたものを生成し、
前記チェック項目表示手段は、前記照合手段が、前記第4の単語が前記「チェック内容タグ」に含まれる何れかの単語と一致すると判断した場合、前記「データベース」において当該「チェック内容タグ」および前記第1の利用者に対応付けられた会社識別情報の両方と関連付けられた「指摘コメント」および「対応コメント」を表示し、又はその表示をするための指示を受け付ける表示受付部を表示する、ことを特徴とするチェックリスト管理システム。
【請求項10】
請求項9に記載のチェックリスト管理システムにおいて、
「自社表示」または「全社表示」の何れかを選択を受ける表示選択受付手段を備え、
前記チェック項目表示手段は、
前記表示選択受付手段が「自社表示」の選択を受け付けた場合、前記「チェック内容タグ」および前記会社識別情報の両方と関連付けられた「指摘コメント」および「対応コメント」を表示し、又はその表示をするための指示を受け付ける表示受付部を表示し、
前記表示選択受付手段が「全社表示」の選択を受け付けた場合、前記会社識別情報に関わりなく、前記「チェック内容タグ」と関連付けられた「指摘コメント」および「対応コメント」を表示し、又はその表示をするための指示を受け付ける表示受付部を表示する、
ことを特徴とするチェックリスト管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種工事(例えば、建物の建設工事)のチェックリストに関する情報を管理するチェックリスト管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
建物の建設工事などでは、各工事(各工程)が設計図面、工事仕様書等に従って行われているか否かをチェック(確認、検査等)する際に、チェックリスト(チェックシート)が用いられる。
【0003】
例えば特許文献1に開示されたシステムでは、チェックシートを起票するチェックシート起票者と、起票されたチェックシートを確認ないし承認するチェックシート承認者とが存在する。チェックシート起票者(例えば、施工現場の作業責任者(7))は、携帯端末等を使用して管理サーバ(2)にログインし、その携帯端末等に表示されるチェックシートの各チェック項目に合否等の情報を入力する。全ての項目に合格を入力できれば、そのチェックシートを起票することができる。
【0004】
チェックシート承認者は、携帯端末等を使用して管理サーバ(2)にログインし、チェックシート起票者によって起票されたチェックシートをその携帯端末等に表示することができる。そして、起票されたチェックシートの何れかのチェック項目について、現場で工事の不具合を発見した場合、当該チェック項目について問題があることを指摘する「指摘コメント」を入力することができる。そして、チェック項目に対して「指摘コメント」を入力した情報を指示書として管理サーバ(2)にアップロードする。
【0005】
指示書が管理サーバ(2)にアップロードされると(以下「指摘事項の発生」ともいう。)、管理サーバ(2)にログインしたチェックシート起票者や関係者の携帯端末等にその旨が通知され、「指摘コメント」を含んだ指示書が表示される。チェックシート起票者は、「指摘コメント」に従って、現場で不具合箇所を修理した後、指示書において「指摘コメント」に対する「対応コメント」を入力する。そして、不具合が解消した現場の証拠写真とともに、「対応コメント」を入力した指示書を管理サーバ(2)にアップロードする。
【0006】
「対応コメント」が入力された指示書が管理サーバ(2)にアップロードされると(以下「指摘事項に対する対応完了」ともいう。)、管理サーバ(2)にログインしたチェックシート承認者の携帯端末等にその旨が通知され、「指摘コメント」および「対応コメント」を含んだ指示書が表示され、チェックシート承認者によって確認ないし承認処理がなされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
一般に、チェックリストには、不具合等の見落としの可能性の高いチェック項目と、その可能性の低いチェック項目が混在している。そのため、チェックリストに基づいて検査、確認等をする者に対して、何らかの方法で、不具合等の見落としの可能性の高い項目について情報を与えることができれば、チェック漏れやチェックミスが少なくなり、出戻り業務を削減することができる。
【0009】
本発明は、かかる課題に鑑みて創案されたものであり、チェックリストの各チェック項目に関連する過去の指摘事例を効率的に収集し、チェックリストに基づいて検査、確認等をする者に収集した過去の指摘事例を知らせることができるチェックリスト管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1態様に係るチェックリスト管理システムは、工事に関する情報を管理する管理サーバ装置と、前記管理サーバ装置にネットワークを介して接続されるクライアント装置と、を備える。さらに、チェック項目を含むチェックリスト情報を前記管理サーバ装置に登録するチェックリスト情報登録手段と、第1の利用者がログインした前記クライアント装置において、前記管理サーバ装置に登録された前記チェックリスト情報の前記チェック項目を表示するチェック項目表示手段と、前記第1の利用者がログインした前記クライアント装置において、前記チェック項目に対する「指摘コメント」の入力を受け付けて、前記管理サーバ装置に保存する指摘コメント保存手段と、第2の利用者がログインした前記クライアント装置において、前記管理サーバ装置に保存された前記「指摘コメント」を表示する指摘コメント表示手段と、前記第2の利用者がログインした前記クライアント装置において、前記「指摘コメント」に対する「対応コメント」の入力を受け付けて、前記管理サーバ装置に保存する対応コメント保存手段と、前記管理サーバ装置に保存された前記「指摘コメント」から単語(以下「第1の単語」という。)を抽出し、前記管理サーバ装置に保存された前記「対応コメント」から単語(以下「第2の単語」という。)を抽出し、前記「指摘コメント」および前記「対応コメント」に対応するチェック項目から単語(以下「第3の単語」という。)を抽出し、抽出した第1~第3の単語を含む「チェック内容タグ」を生成するチェック内容タグ生成手段と、前記チェック内容タグ生成手段が生成した前記「チェック内容タグ」と、前記チェック内容タグ生成手段が抽出した前記第1の単語を含む前記「指摘コメント」と、前記チェック内容タグ生成手段が抽出した前記第2の単語を含む前記「対応コメント」とを互いに関連付けて構成した「データベース」を生成するデータベース生成手段と、前記チェック項目表示手段が前記チェック項目を表示する際、当該チェック項目から単語(以下「第4の単語」という。)を抽出して、前記「チェック内容タグ」に含まれる単語と照合する照合手段と、を備える。前記チェック項目表示手段は、前記照合手段が、前記第4の単語が前記「チェック内容タグ」に含まれる何れかの単語と一致すると判断した場合、前記「データベース」において当該「チェック内容タグ」に関連付けられた「指摘コメント」および「対応コメント」を表示し、又はその表示をするための指示を受け付ける表示受付部を表示する。
【0011】
本発明の第2態様に係るチェックリスト管理システムは、第1態様に係るチェックリスト管理システムにおいて、前記チェックリスト情報には、前記チェック項目のほか、当該チェック項目が属する工程名が含まれている。前記データベース生成手段は、前記「データベース」として、前記「チェック内容タグ」と、前記第1の単語を含む前記「指摘コメント」と、前記第2の単語を含む前記「対応コメント」と、前記工程名とを互いに関連付けて構成したものを生成する。前記照合手段は、前記チェック項目表示手段が前記チェック項目を表示する際、当該チェック項目から第4の単語を抽出して、当該チェック項目が属する工程名に関連付けられた「チェック内容タグ」に含まれる単語と照合する。
【0012】
本発明の第3態様に係るチェックリスト管理システムは、第1態様又は第2態様に係るチェックリスト管理システムにおいて、1又は複数の単語を含む「指摘コメント分類タグ」と、分類ポイントとを対応付けた「指摘コメント・分類ポイント情報」を前記管理サーバ装置に登録する指摘コメント・分類ポイント情報登録手段と、前記チェック内容タグ生成手段が抽出した前記第1の単語が、前記「指摘コメント分類タグ」に含まれる単語の何れかと一致する場合、当該「指摘コメント分類タグ」に対応付けられた分類ポイントに基づいて「第1種レベル」を決定する第1種レベル決定手段と、1又は複数の単語を含む「対応コメントの分類タグ」と、分類ポイントとを対応付けた「対応コメント・分類ポイント情報」を前記管理サーバ装置に登録する対応コメント・分類ポイント情報登録手段と、前記チェック内容タグ生成手段が抽出した前記第2の単語が、前記「対応コメントの分類タグ」に含まれる単語の何れかと一致する場合、当該「対応コメントの分類タグ」に対応付けられた分類ポイントに基づいて「第2種レベル」を決定する第2種レベル決定手段と、を更に備える。前記データベース生成手段は、前記「データベース」として、前記「チェック内容タグ」、前記「指摘コメント」および前記「対応コメント」に対して、前記第1種レベル決定手段が決定した第1種レベルと、前記第2種レベル決定した第2種レベルを更に関連付けて構成したものを生成する。前記チェック項目表示手段は、前記照合手段が、前記第4の単語が前記「チェック内容タグ」に含まれる何れかの単語と一致すると判断した場合、前記「データベース」において当該「チェック内容タグ」に関連付けられた「指摘コメント」および「対応コメント」のうち、第1種レベルおよび/又は第2種レベルが所定の閾値を超えるもののみを表示し、又はその表示をするための指示を受け付ける表示受付部を表示する。
【0013】
本発明の第4態様に係るチェックリスト管理システムは、第3態様に係るチェックリスト管理システムにおいて、前記指摘コメント保存手段により前記「指摘コメント」が前記管理サーバ装置に保存された後、前記対応コメント保存手段により前記「対応コメント」が前記管理サーバ装置に保存されるまでの対応時間を検出する対応時間検出手段を更に備える。前記第2種レベル決定手段は、前記チェック内容タグ生成手段が抽出した前記第2の単語が、前記「対応コメントの分類タグ」に含まれる単語の何れかと一致する場合、当該「対応コメントの分類タグ」に対応付けられたポイントと、前記対応時間検出手段が検出した前記対応時間とに基づいて前記「第2種レベル」を決定する。
【0014】
本発明の第5態様に係るチェックリスト管理システムは、 工事に関する情報を管理する管理サーバ装置と、前記管理サーバ装置にネットワークを介して接続されるクライアント装置と、を備える。さらに、チェック項目を含むチェックリスト情報を前記管理サーバ装置に登録するチェックリスト情報登録手段と、第1の利用者がログインした前記クライアント装置において、前記管理サーバ装置に登録された前記チェックリスト情報の前記チェック項目を表示するチェック項目表示手段と、前記第1の利用者がログインした前記クライアント装置において、前記チェック項目に対する「指摘コメント」の入力を受け付けて、前記管理サーバ装置に保存する指摘コメント保存手段と、第2の利用者がログインした前記クライアント装置において、前記管理サーバ装置に保存された前記「指摘コメント」を表示する指摘コメント表示手段と、前記管理サーバ装置に保存された前記「指摘コメント」から単語(以下「第1の単語」という。)を抽出し、前記「指摘コメント」に対応するチェック項目からも単語(以下「第3の単語」という。)を抽出し、抽出した第1および第3の単語を含む「チェック内容タグ」を生成するチェック内容タグ生成手段と、
前記チェック内容タグ生成手段が生成した前記「チェック内容タグ」と、前記チェック内容タグ生成手段が抽出した前記第1の単語を含む前記「指摘コメント」とを互いに関連付けて構成した「データベース」を生成するデータベース生成手段と、前記チェック項目表示手段が前記チェック項目を表示する際、当該チェック項目から単語(以下「第4の単語」という。)を抽出して、前記「チェック内容タグ」に含まれる単語と照合する照合手段と、を備える。前記チェック項目表示手段は、前記照合手段が、前記第4の単語が前記「チェック内容タグ」に含まれる何れかの単語と一致すると判断した場合、前記「データベース」において当該「チェック内容タグ」に関連付けられた「指摘コメント」を表示し、又はその表示をするための指示を受け付ける表示受付部を表示する。
【0015】
本発明の第6態様に係るチェックリスト管理システムは、第5態様に係るチェックリスト管理システムにおいて、前記チェックリスト情報には、前記チェック項目のほか、当該チェック項目が属する工程名が含まれている。前記データベース生成手段は、前記「データベース」として、前記「チェック内容タグ」と、前記第1の単語を含む前記「指摘コメント」と、前記工程名とを互いに関連付けて構成したものを生成する。前記照合手段は、前記チェック項目表示手段が前記チェック項目を表示する際、当該チェック項目から第4の単語を抽出して、当該チェック項目が属する工程名に関連付けられた「チェック内容タグ」に含まれる単語と照合する。
【0016】
本発明の第7態様に係るチェックリスト管理システムは、第5態様又は第6態様に係るチェックリスト管理システムにおいて、1又は複数の単語を含む「指摘コメント分類タグ」と、ポイントとを対応付けた「指摘コメント・ポイント情報」を前記管理サーバ装置に登録する指摘コメント・ポイント情報登録手段と、前記チェック内容タグ生成手段が抽出した前記第1の単語が、何れかの前記「指摘コメント分類タグ」に含まれる単語の何れかと一致する場合、当該「指摘コメント分類タグ」に対応付けられたポイントに基づいて「第1種レベル」を決定する第1種レベル決定手段と、を更に備える。前記データベース生成手段は、前記「データベース」として、前記「チェック内容タグ」および前記「指摘コメント」に対して、前記第1種レベル決定手段が決定した第1種レベルを更に関連付けて構成したものを生成する。前記チェック項目表示手段は、前記照合手段が、前記第4の単語が前記「チェック内容タグ」に含まれる何れかの単語と一致すると判断した場合、前記「データベース」において当該「チェック内容タグ」に関連付けられた「指摘コメント」のうち、第1種レベルが所定の閾値を超えるもののみを表示し、又はその表示をするための指示を受け付ける表示受付部を表示する。
【0017】
本発明の第8態様に係るチェックリスト管理システムは、第1態様~第7態様の何れか1の態様に係るチェックリスト管理システムにおいて、前記チェック項目表示手段は、前記照合手段が前記チェック項目から抽出された単語が、複数の「チェック内容タグ」に含まれることを検出した場合、当該検出件数を表示する。
【0018】
本発明の第9態様に係るチェックリスト管理システムは、第1態様~第4態様の何れか1の態様に係るチェックリスト管理システムにおいて、前記チェックリスト情報登録手段が前記管理サーバ装置に登録するチェックリスト情報には、会社識別情報が更に含まれ、利用者識別情報と、会社識別情報とを対応付けて前記管理サーバ装置に登録する利用者登録手段を更に備える。前記データベース生成手段は、前記「データベース」として、前記「チェック内容タグ」と、前記「指摘コメント」と、前記「対応コメント」と、前記「指摘コメント」もしくは前記「対応コメント」を入力したユーザの会社識別情報とを互いに関連付けたものを生成する。前記チェック項目表示手段は、前記照合手段が、前記第4の単語が前記「チェック内容タグ」に含まれる何れかの単語と一致すると判断した場合、前記「データベース」において当該「チェック内容タグ」および前記第1の利用者に対応付けられた会社識別情報の両方と関連付けられた「指摘コメント」および「対応コメント」を表示し、又はその表示をするための指示を受け付ける表示受付部を表示する。
【0019】
本発明の第10態様に係るチェックリスト管理システムは、第9態様に係るチェックリスト管理システムにおいて、「自社表示」または「全社表示」の何れかを選択を受ける表示選択受付手段を備える。前記チェック項目表示手段は、前記表示選択受付手段が「自社表示」の選択を受け付けた場合、前記「チェック内容タグ」および前記会社識別情報の両方と関連付けられた「指摘コメント」および「対応コメント」を表示し、又はその表示をするための指示を受け付ける表示受付部を表示する。前記チェック項目表示手段は、前記表示選択受付手段が「全社表示」の選択を受け付けた場合、前記会社識別情報に関わりなく、前記「チェック内容タグ」と関連付けられた「指摘コメント」および「対応コメント」を表示し、又はその表示をするための指示を受け付ける表示受付部を表示する。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、チェックリストの各チェック項目に関する過去の指摘事例を効率的に収集し、その内容をチェックリストの確認者、承認者等に知らせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】チェックリスト管理システムの構成例を示す図である。
【
図2B】指摘コメント記入画面の一例を示す図である。
【
図2D】対応コメント入力シートの一例を示す図である。
【
図3】チェック内容タグ生成機能を実行する際の処理を示すフローチャートである。
【
図4】第1の分類ポイントテーブルの一例を示す図である。
【
図5】第2の分類ポイントテーブルの一例を示す図である。
【
図7】データベースを生成するために実行される処理動作を示すフローチャートである。
【
図8】データベースを生成するために実行される処理動作を示すフローチャートである。
【
図9】工程ポイントテーブルの一例を示す図である。
【
図11】対応時間ポイントテーブルの一例を示す図である。
【
図12】品質レベルテーブルの一例を示す図である。
【
図13】過去の指摘事例があることを知らせる表示を含むチェックシートの一例を示す図である。
【
図14】過去の指摘事例を示す指摘事例シートの一例を示す図である。
【
図15】チェック項目表示機能によってチェックシートを表示させる場合に実行される処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態に係るチェックリスト管理システムについて、図面を参照しつつ説明する。
【0023】
図1に示すように、本発明の実施形態に係るチェックリスト管理システム1は、データセンタ2等に設置された管理サーバ装置3と、この管理サーバ装置3にインターネット等のネットワーク4を介して接続されるクライアント装置5とで主に構成される。本実施形態では、管理サーバ装置3に、複数の会社(又は複数の部署)のクライアント装置5が接続可能になっている。
【0024】
管理サーバ装置3は、例えば、コンピュータに所定のプログラムが組み込まれたものからなり、そのプログラムの実行により後述するサービスを提供するサーバとして機能する。
【0025】
クライアント装置5は、例えば、パーソナルコンピュータ、携帯端末装置(携帯電話機、スマートフォン等)などで構成される。クライアント装置5には、ブラウザが組み込まれており、ブラウザを通じて管理サーバ装置3が提供するサービスを受ける。なお、ブラウザの代わりに所定の専用ソフトウエアをクライアント装置5にインストールしておき、その専用ソフトウエアの実行により管理サーバ装置3が提供するサービスを受けるようにしたクライアント装置5であってもよい。
【0026】
チェックリスト管理システム1は、工事のチェックリストに関する情報を管理する「チェックリスト管理機能」を備えている。チェックリスト管理システム1は、「チェックリスト管理機能」のほか、「工事案件登録機能」、「利用者情報登録機能」、「アクセス制御機能」なども備えている。なお、本実施形態では、工事の例として建物の建設工事を挙げる。
【0027】
「工事案件登録機能」は、所定の権限を有する者(例えばシステム管理者)が管理サーバ装置3において、あるいは、管理サーバ装置3に対してログインして接続されたクライアント装置5において、所定の入力操作を行うことにより物件ごとに各種の工事情報(具体的には、工事名、物件名、物件所在地、担当者、担当業者、工事記録書の要否等)を管理サーバ装置3に登録する機能である。
【0028】
「利用者情報登録機能」は、所定の権限を有する者(例えばシステム管理者)が管理サーバ装置3において、あるいは、管理サーバ装置3に対してログインして接続されたクライアント装置5において、所定の入力操作を行うことにより、利用者識別情報(利用者の氏名・名称、ID等)、利用者の役職、および利用者の所属(部署名、会社名、業者名等)を管理サーバ装置3に登録する機能である。ここに挙げた利用者に関する情報は、例示に過ぎず、チェックリスト管理システム1の運用形態、運用会社の事情等に応じて適宜変更される。
【0029】
「アクセス制御機能」は、各利用者がアクセスできる情報(チェックリスト等)を制限する機能である。
【0030】
「チェックリスト管理機能」は、工事のチェックリストに関するチェックリスト情報を管理する機能である。「チェックリスト管理機能」は、「チェックリスト情報登録機能」、「チェック項目表示機能」、「指摘機能」、「指摘後対応機能」、「チェック内容タグ生成機能」、「データベース生成機能」などを含む。以下に、各機能について詳細に説明する。
【0031】
「チェックリスト情報登録機能」は、チェックリスト情報を管理サーバ装置3に登録する機能である。チェックリスト情報は、会社や部署を識別するための情報と、工程名と、チェック項目とを含んでいる。この「チェックリスト情報登録機能」により、例えば、会社ごと又は会社の部署ごとに工程名とチェック項目の内容を登録することができる。具体的には、管理サーバ装置3にログインしたクライアント装置5において、所定操作を行うことで、工程名と、その工程名に関するチェックリスト(1又は複数のチェック項目)を管理サーバ装置3に登録する。
【0032】
工程名として、「塗装」、「設備」、「防水」、「足場仮設」、「外壁」、「屋根」などを例示することができる。本実施形態では、「塗装」に関するチェック項目として、「色むらはないか確認しましたか?」、「計画通りの色で塗装されていますか?」などを例示する。また、「足場仮設」に関するチェック項目として、「ベースジャッキに緩みはなく、敷板に確実に釘止めされていますか?」、「ベースジャッキ高さは30cm以下で設置されていますか?」、「安全帯は装着しましたか?」などを例示することもできる。
【0033】
「チェック項目表示機能」は、利用者(本実施形態では、例えば、現場責任者、検査に関する有資格者等を想定している。以下この利用者を「第1の利用者」という。)がログインして管理サーバ装置3に接続されたクライアント装置5において、管理サーバ装置3に予め登録されたチェックリスト情報のチェック項目を表示する機能である。本実施形態では、「チェック項目表示機能」により、例えば、
図2に示すように、クライアント装置5の表示部にチェック項目61を含んだチェックシート6(チェックリスト)を表示させることができる。
【0034】
クライアント装置5の表示部に表示されたチェックシート6上で、第1の利用者が所定操作を行うと、例えば
図2Aに示すような、チェック項目61に対するチェック情報(合否判定情報)を入力するためのチェック入力画面6Aがクライアント装置5の表示部に表示される。本実施形態では、
図2に示すチェックシート6に表示された入力用アイコン62がタップされると、チェック入力画面6Aが表示される。チェック入力画面6Aには、合否判定を受け付けるために合格ボタン71および不合格ボタン72が表示される。第1の利用者は、チェック項目61について合格している(問題無い)と判定すると、合格ボタン71を押し、合格していない(不具合等がある)と判定すると、不合格ボタン72を押す。第1の利用者が不合格ボタン72を押すと、例えば
図2Bに示すような、指摘コメント記入画面6Bが当該クライアント装置5の表示部に表示される。
【0035】
「指摘機能」は、「指摘コメント保存機能」、「指摘コメント表示機能」等で構成されている。
【0036】
「指摘コメント保存機能」は、第1の利用者がチェックシート6のチェック項目61に関して不具合等を発見した場合に、そのチェック項目61に対する「指摘コメント」の入力をクライアント装置5において受け付ける。受け付けた「指摘コメント」はクライアント装置5から管理サーバ装置3に送信され管理サーバ装置3において保存される。「指摘コメント保存機能」は、利用者情報登録機能により、所定の権限が登録された利用者(本実施形態では第1の利用者)のみが利用できる。
【0037】
第1の利用者が「指摘コメント保存機能」を利用する場合、前述した指摘コメント記入画面6B(
図2B参照)を使用する。指摘コメント記入画面6Bには、指摘コメント記入欄73および所定のボタン70(本実施形態では「更新ボタン」)が設けられている。第1の利用者が指摘コメント記入欄73に、テキストデータを記入し、ボタン70を押すことで、そのテキストデータが「指摘コメント」として、クライアント装置5に受け付けられる。そして、「指摘コメント」の対象となったチェック項目61および工程名と共に「指摘コメント」としてのテキストデータがクライアント装置5から管理サーバ装置3に送信され管理サーバ装置3にそれらの情報が保存される。
【0038】
「指摘コメント」には、写真を添付することができる。
図2Bに例示する指摘コメント記入画面6Bでは、指摘コメント記入画面6Bに、カメラアイコン74、ホルダーアイコン75が表示される。カメラアイコン74をタップ(本実施形態では選択操作の一例として「タップ」を挙げる)すると、クライアント装置5(スマートフォン等)のカメラが起動する。そして、ユーザが起動したカメラを用いて写真撮影をすると、撮影した写真が「指摘コメント」に添付される。また、ホルダーアイコン75をタップすると、クライアント装置5(スマートフォン等)内に格納されている画像ファイルを参照して、「指摘コメント」に添付することができる。なお、「指摘コメント」に添付される写真は、
図2Bに示す指摘コメント記入画面6Bの所定の場所76に表示される。
【0039】
「指摘コメント」が管理サーバ装置3に保存されると、管理サーバ装置3は、当該「指摘コメント」に対応するチェック項目61の工程(施工)に関与した利用者(本実施形態では、例えば、工事責任者、施工業者等を想定している。以下この利用者を「第2の利用者」という。)に対してその旨の通知を行う。例えば、第2の利用者がログインして管理サーバ装置3に接続されたクライアント装置5に表示されるホーム画面において、自分宛の「指摘コメント」がある旨の表示がなされる。なお、各種チェック項目61の工程(施工)に関与した第2の利用者は、「利用者情報登録機能」により予め管理サーバ装置3に登録されている。
【0040】
「指摘コメント表示機能」は、第2の利用者がログインして管理サーバ装置3に接続されたクライアント装置5において所定操作を行うことで、管理サーバ装置3に保存された「指摘コメント」をクライアント装置5の表示部に表示する機能である。
【0041】
本実施形態では、第2の利用者がログインして管理サーバ装置3に接続されたクライアント装置5において所定操作を行うことにより、
図2Cに示すような指示書6Cをクライアント装置5の表示部に表示させる。指示書6Cには、管理サーバ装置3に保存された当該第2の利用者に対する「指摘コメント」81が表示される。
【0042】
「指摘後対応機能」は、「指摘コメント表示機能」によりクライアント装置5に表示された「指摘コメント」に対する「対応コメント」の入力を受け付け、受け付けた「対応コメント」を管理サーバ装置3に保存する機能である。
【0043】
本実施形態では、クライアント装置5に表示された指示書6C(
図2C参照)において、例えば第2の利用者が「指摘コメント」81をタップすることにより、
図2Dに示すような対応コメント入力シート6Dがクライアント装置5の表示部に表示される。この対応コメント入力シート6Dには、指摘コメント表示欄83と、対応コメント記入欄84とが設けられている。指摘コメント表示欄83には、指摘コメント81と、指摘コメントに添付された写真82とが表示される。対応コメント記入欄84は、第2の利用者が所定操作をすることで、「指摘コメント」に対する「対応コメント」を記入することができる。
図2Dに示す対応コメント入力シート6Dは、対応コメント記入欄84に「対応コメント」が記入された状態を示している。第2の利用者が対応コメント記入欄84に、テキストデータを記入し、対応コメント入力シート6Dに設けられた所定のボタン85(本実施形態では「決定ボタン」)を押すことで、記入されたテキストデータが「対応コメント」として、クライアント装置5に受け付けられ、
図2Eに示すような指示書6Eが再度表示される。
図2Eに示す指示書6Eは、「再検査依頼」ボタン86と、対応コメントが記入済であることを示す所定色のマーク87(本実施形態では青色の長方形)を表示する。そして、「再検査依頼」ボタン86がタップされると、「対応コメント」とともに、「対応コメント」に対応する(の対象となった)「指摘コメント」、チェック項目61および工程名がクライアント装置5から管理サーバ装置3に送信され管理サーバ装置3にそれらの情報が保存される。
【0044】
「対応コメント」には、写真を添付することができるようになっている。
図2Dに示す例では、対応コメント入力シート6Dに、カメラアイコン74、ホルダーアイコン75が表示される。なお、カメラアイコン74、ホルダーアイコン75は、
図2Bの指摘コメント記入画面6Bに表示されるものと同じものであるため、詳細な説明は省略する。
【0045】
「チェック内容タグ生成機能」は、管理サーバ装置3が自身に保存した「指摘コメント」から単語(以下「第1の単語」という。)を抽出し、自身に保存された「対応コメント」から単語(以下「第2の単語」という。)を抽出し、さらに、第1の単語および第2の単語を抽出した「指摘コメント」および「対応コメント」に対応するチェック項目から単語(以下「第3の単語」という。)を抽出し、それら第1~第3の単語を含む「チェック内容タグ」を生成する機能である。なお、本実施形態では、「第1の単語」「第2の単語」を抽出した後、「分類タグ検索」を行うことにより、「分類タグ」において「第1の単語」「第2の単語」に紐づけされた他の単語も「チェック内容タグ」に含められる。
【0046】
図3に「チェック内容タグ生成機能」を実行する際の処理フローの例を示す。
【0047】
図3に示す例では、第1のユーザが、「塗装」工程に関するチェックシート6において「色ムラはないか?」というチェック項目61(
図2および
図2Aを参照)に対して(
図3:C1)、「指摘コメント保存機能」により「キズがあります。」という指摘コメントを入力している(
図3:A1)。既述したように、入力された指摘コメントは管理サーバ装置3に保存される。
【0048】
管理サーバ装置3は、保存した「指摘コメント」の単語分析を行い、「キズ」という単語(第1の単語)を抽出する(
図3:A2)。具体的には、形態素解析により「キズがあります。」という文章から名詞(単語)である「キズ」を抽出する。管理サーバ装置3は、さらに、抽出した単語(キズ)を含む「指摘コメントの分類タグ」を後述する分類ポイントテーブル8(
図4参照)において検索し、当該単語を含む「指摘コメントの分類タグ」であって、かつ、同じ工程名(本実施形態では「塗装」)が対応付けられたものに含まれる他の単語(
図4に示す例では「欠損」)を「キズ」と紐付ける(
図3:A3)。
【0049】
なお、上記第1の分類ポイントテーブル8は、予め管理サーバ装置3に登録されており、工程欄、グループ欄、指摘コメントの分類タグ欄、分類ポイント欄を有する。各欄の情報は、ユーザが設定する。工程欄には、「塗装」、「設備」等の工程名が設定される。グループ欄には、危険レベル(第1種レベル)又は品質レベル(第2種レベル)が設定される。グループ欄に危険レベルを設定した場合、指摘コメントの分類タグ欄には、比較的危険度の高い指摘コメントに含まれることが予想されるキーワードが設定される。このキーワードは、ユーザの過去の経験等に基づいて決定される。また、グループ欄に品質レベルを設定した場合、指摘コメントの分類タグ欄には、比較的品質を大きく左右する可能性の高い指摘コメントに含まれることが予想されるキーワードが設定される。このキーワードも、ユーザの過去の経験等に基づいて決定される。分類ポイント欄には、工程名、グループ、指摘コメントの分類タグの内容に応じてユーザが決定したポイントが設定される。通常の運用では、危険レベルが高い程、分類ポイントに大きな値が設定される。本実施形態では、分類ポイントは0~10の範囲で設定される。なお、分類ポイントについては後に詳述する。
【0050】
前記A1の後、第2のユーザは、指摘された不具合を補修した後、「指摘後対応機能」により、「キズがあります。」という指摘コメントに対する「対応コメント」として「見落としがありました。」をクライアント装置5において入力している(
図3:B1)。入力された対応コメントは、管理サーバ装置3に保存される。
【0051】
管理サーバ装置3は、保存した「対応コメント」の単語分析を行い、「見落とし」という単語を抽出する(
図3:B2)。具体的には、形態素解析により「見落としがありました。」という文章から名詞(単語)である「見落とし」を抽出する。管理サーバ装置3は、さらに、抽出した単語(見落とし)を含む「対応コメントの分類タグ」を後述する第2の分類ポイントテーブル11(
図5参照)において検索し、当該単語を含む「対応コメントの分類タグ」であり、かつ、同じ工程名(本実施形態では塗装)が対応付けられたものに含まれる他の単語を「見落とし」と紐付ける(
図3:B3)。但し、
図5に示す例のように、「見落とし」を含む「対応コメントの分類タグ」の中に「見落とし」以外の単語が含まれていない場合は、上記紐づけは行われない。
【0052】
なお、上記第2の分類ポイントテーブル11は、予め管理サーバ装置3に登録されており、工程欄、グループ欄、対応コメントの分類タグ欄、分類ポイント欄を有する。各欄の情報は、ユーザが設定する。工程欄には、「塗装」、「設備」等の工程名が設定される。グループ欄には、危険レベル又は品質レベルが設定される。グループ欄に危険レベルを設定した場合、対応コメントの分類タグ欄には、比較的危険度の高い指摘コメントに含まれることが予想されるキーワードが設定される。このキーワードは、ユーザの過去の経験等に基づいて決定される。また、グループ欄に品質レベルを設定した場合、対応コメントの分類タグ欄には、比較的品質を大きく左右する可能性の高い指摘コメントに含まれることが予想されるキーワードが設定される。このキーワードも、ユーザの過去の経験等に基づいて決定される。分類ポイント欄には、工程名、グループ、指摘コメントの分類タグの内容に応じてユーザが決定したポイントが設定される。通常の運用では、危険レベルが高い程、分類ポイントに大きな値が設定される。本実施形態では、分類ポイントは0~10の範囲で設定される。なお、分類ポイントについては後に詳述する。
【0053】
また、管理サーバ装置3は、第1の単語「キズ」および第2の単語「見落とし」を抽出した「指摘コメント」および「対応コメント」の対象となったチェック項目である「色ムラはないか?」の内容から「色ムラ」という第3の単語を抽出する(
図3:C2)。そして管理サーバ装置3は、抽出した第1~第3の単語である「キズ」、「見落とし」および「色ムラ」ならびに、第1および第2の単語に紐づけられた単語(「欠損」)を含む「チェック内容タグ」を生成する(
図3:ABC)。本実施形態では、「色ムラ」「欠損」「キズ」「見落とし」を含む「チェック内容タグ」が生成される。
【0054】
その後、管理サーバ装置3は、「チェック内容タグ生成機能」により生成した「チェック内容タグ」と、第1の単語を含む「指摘コメント」と、第2の単語を含む「対応コメント」と、その他の情報(本実施形態では、会社識別情報、工程名、チェック項目の内容、対応時間、危険レベルおよび品質レベル)とを互いに関連付けて構成したデータベース20を生成する(この生成機能を「データベース生成機能」ともいう。)。
【0055】
図6に生成されるデータベース20の一例を示す。本実施形態に係るデータベース20は、会社識別情報を格納する「会社コード」欄、工程名を格納する「工程」欄、チェック項目の内容を格納する「チェック項目の内容」欄、チェック内容タグを格納する「チェック内容タグ」欄、指摘コメントを格納する「指摘コメント」欄、対応コメントを格納する「対応コメント」欄、後述する対応時間を格納する「対応時間」欄、後述する危険レベルを格納する「危険レベル」欄、後述する品質レベルを格納する「品質レベル」欄を含んでいる。
【0056】
管理サーバ装置3は、データベース生成機能を実行する毎に、上記各欄の情報を有するレコードを生成し、順次既存のデータベース20に生成したレコードを追加する。
【0057】
以下、「データベース」を生成するために、チェックリスト管理システム1において実行される処理動作を
図7および
図8のフローチャートに基づいて説明する。
【0058】
先ず、「指摘機能」により、第1の利用者のクライアント装置5において、チェック項目61に対する「指摘コメント」が入力され、その「指摘コメント」がクライアント装置5から管理サーバ装置3に送信され保存される(ステップS1)。
【0059】
次に、「指摘後対応機能」により、第2の利用者がログインしたクライアント装置5において、管理サーバ装置3に保存された前記「指摘コメント」が表示され、第2の利用者が指摘された不具合を修理等したのち、クライアント装置5において、「指摘コメント」に対する「対応コメント」の入力を行う。そして、入力された「対応コメント」が管理サーバ装置3に保存される(S2)。
【0060】
次に、管理サーバ装置3は、クライアント装置5から受信した「指摘コメント」の単語分析を実行する。具体的には、形態素解析により「指摘コメント」から名詞(単語)を抽出する(ステップS3)。
【0061】
次に、管理サーバ装置3は、ステップS3で抽出した単語と、第1の分類ポイントテーブル8(
図4参照)とから分類ポイントを決定する(ステップS4)。具体的には、第1の分類ポイントテーブル8において、「工程名」欄に設定された情報がS1におけるチェック項目61の属する工程名と一致し、「グループ」欄に設定された情報が「危険レベル」であり、「指摘コメントの分類タグ」欄にステップS3で抽出した単語が含まれるレコードを検索し、そのレコードの「分類ポイント」欄に登録された数値を分類ポイントとする。例えば、管理サーバ装置3は、S1におけるチェック項目61の属する工程名が「塗装」でありS3で抽出した単語が「色ムラ」である場合は、「グループ」欄が危険レベルであるレコード(
図4において1行目のレコード)の「分類ポイント」欄に登録された数値「2」を分類ポイントとする。
【0062】
次に、管理サーバ装置3は、「指摘コメント」の重み算出を行う(ステップS5)。具体的には、ステップS4で決定した分類ポイントに工程ポイントを乗じた値を「指摘コメント」の重み(a)とする。工程ポイントは、
図9に示す工程ポイントテーブル9に基づいて決定する。工程ポイントテーブル9は、予め管理サーバ装置3に登録されており、各欄の情報はユーザが設定する。工程ポイントテーブル9は、工程名欄および工程ポイント欄を有する。工程名欄には、「塗装」、「設備」、「電気工事」「鉄筋工事」等の工程名が設定される。工程ポイント欄には、工程名に応じてユーザが決定したポイントが設定される。通常の運用では、危険レベルが高い程、工程ポイントに大きな値が設定される。本実施形態では、工程ポイントは0~10の範囲で設定される。
【0063】
次に、管理サーバ装置3は、クライアント装置5から受信した「対応コメント」の単語分析を実行する。具体的には、形態素解析により「対応コメント」から名詞(単語)を抽出する(ステップS6)。
【0064】
次に、管理サーバ装置3は、ステップS6で抽出した単語と、第2の分類ポイントテーブル11(
図5参照)とから分類ポイントを決定する(ステップS7)。具体的には、第2の分類ポイントテーブル11において、「工程名」欄に設定された情報がS1におけるチェック項目61の属する工程名と一致し、「グループ」欄に設定された情報が「危険レベル」であり、「対応コメントの分類タグ」欄にステップS6で抽出した単語が含まれるレコードを検索し、そのレコードの「分類ポイント」欄に登録された数値を分類ポイントとする。例えば、管理サーバ装置3は、S1におけるチェック項目61の属する工程名が「塗装」でありS6で抽出した単語が「見落とし」である場合は、「グループ」欄が危険レベルであるレコード(
図5において2行目のレコード)の「分類ポイント」欄に登録された数値「2」を分類ポイントとする。
【0065】
次に、管理サーバ装置3は、「対応コメント」の重み算出を行う(ステップS8)。具体的には、ステップS7で決定した分類ポイントに工程ポイントを乗じた値を「対応コメント」の重み(b)とする。工程ポイントは、
図9に示した工程ポイントテーブル9に基づいて決定する。
【0066】
なお、上記ステップS3~ステップS5と、上記ステップS6~ステップS8とは互いに順序が入れ替わってもよい。すなわち、ステップS6~ステップS8を実行した後、ステップS3~ステップS5を実行してもよい。
【0067】
次に、管理サーバ装置3は、「指摘コメント」の重み(a)と「対応コメント」の重み(b)の和(c)を算出し(ステップS9)、和(c)から危険度を算出する(ステップS10)。具体的には、
図10に示す危険度テーブル12に基づいて決定する。危険度テーブル12は、予め管理サーバ装置3に登録されており、「計算結果」欄および「危険度」欄を有する。「計算結果」欄には、範囲を持ったポイントが登録されている。「危険度」欄には、危険度1~危険度5が登録されている。通常の運用では、危険度は、計算結果の値が大きいほど、高くなるように設定される。算出される危険度は、「計算結果」欄に設定された情報のうち、S9で算出した和(c)があてはまるものに対応付けられた危険度となる。例えば、
図10の例では、S9で算出した和が「25」の場合、危険度3となる。
【0068】
以上の処理により、危険度(危険レベル)の算出フローが終了する。次いで、品質レベルの算出フローが実行される。以下、品質レベルの算出フローについて説明する。
【0069】
先ず、管理サーバ装置3は、クライアント装置5から受信した「指摘コメント」の単語分析を実行する。具体的には、形態素解析により「指摘コメント」から名詞(単語)を抽出する(ステップS21)。なお、管理サーバ装置3は、本ステップで名詞(単語)を抽出する代わりに、S3で抽出した名詞(単語)を本ステップで抽出したものとして用いてもよい。
【0070】
次に、管理サーバ装置3は、ステップS21で抽出した単語と、第1の分類ポイントテーブル8(
図4参照)とから分類ポイントを決定する(ステップS22)。具体的には、第1の分類ポイントテーブル8において、「工程名」欄に設定された情報がS1におけるチェック項目61の属する工程名と一致し、「グループ」欄に設定された情報が「品質レベル」であり、「指摘コメントの分類タグ」欄にステップS21で抽出した単語が含まれるレコードを検索し、そのレコードの「分類ポイント」欄に登録された数値を分類ポイントとする。例えば、管理サーバ装置3は、S1におけるチェック項目61の属する工程名が「塗装」でありS21で抽出した単語が「色ムラ」である場合は、「グループ」欄が品質レベルであるレコード(
図4において5行目のレコード)の「分類ポイント」欄に登録された数値「2」を分類ポイントとする。
【0071】
次に、管理サーバ装置3は、「指摘コメント」の重み算出を行う(ステップS23)。具体的には、ステップS22で決定した分類ポイントに工程ポイントを乗じた値を「指摘コメント」の重み(a’)とする。工程ポイントは、
図9に示した工程ポイントテーブル9に基づいて決定する。
【0072】
次に、管理サーバ装置3は、クライアント装置5から受信した「対応コメント」の単語分析を実行する。具体的には、形態素解析により「対応コメント」から名詞(単語)を抽出する(ステップS24)。なお、管理サーバ装置3は、本ステップで名詞(単語)を抽出する代わりに、S6で抽出した名詞(単語)を本ステップで抽出したものとして用いてもよい。
【0073】
次に、管理サーバ装置3は、ステップS24で抽出した単語と、第2の分類ポイントテーブル11(
図5参照)とから分類ポイントを決定する(ステップS25)。具体的には、第2の分類ポイントテーブル11において、「工程名」欄に設定された情報がS1におけるチェック項目61の属する工程名と一致し、「グループ」欄に設定された情報が「品質レベル」であり、「対応コメントの分類タグ」欄にステップS24で抽出した単語が含まれるレコードを検索し、そのレコードの「分類ポイント」欄に登録された数値を分類ポイントとする。例えば、管理サーバ装置3は、S1におけるチェック項目61の属する工程名が「塗装」でありS24で抽出した単語が「見落とし」である場合は、「グループ」欄が品質レベルであるレコード(
図5において6行目のレコード)の「分類ポイント」欄に登録された数値「2」を分類ポイントとする。
【0074】
次に、管理サーバ装置3は、「対応コメント」の重み算出を行う(ステップS26)。具体的には、ステップS25で決定した分類ポイントに工程ポイントを乗じた値を「対応コメント」の重み(b’)とする。工程ポイントは、
図9に示した工程ポイントテーブル9に基づいて決定する。
【0075】
なお、上記ステップS21~ステップS23と、上記ステップS24~ステップS26とは互いに順序が入れ替わってもよい。すなわち、ステップS24~ステップS26を実行した後、ステップS21~ステップS23を実行してもよい。
【0076】
次に、管理サーバ装置3は、「指摘コメント」の重み(a’)と「対応コメント」の重み(b’)の和に後述する対応時間ポイントを乗じて値(c’)を算出する(ステップS27)。対応時間ポイントは、対応時間と
図11に示す対応時間ポイントテーブル17とに基づいて決定される。対応時間は、例えば、「指摘コメント」が管理サーバ装置3に保存されてから「対応コメント」が管理サーバ装置3に保存されるまでの時間である。対応時間ポイントテーブル17は、「対応時間」欄と「対応時間ポイント」欄を有する。「対応時間」欄には、範囲を持った対応時間が登録されている。「対応時間」欄には、対応時間ポイントが登録されている。通常の運用では、対応時間ポイントは、対応時間が長くなるほど、大きくなるように設定される。例えば対応時間が250分の場合、
図11に示す対応時間ポイントテーブル17に基づいて決定される対応時間ポイントは、「2」となる。
【0077】
次に、管理サーバ装置3は、値(c’)から品質レベルを算出する(ステップS28)。具体的には、
図12に示す品質レベルテーブル18に基づいて決定する。品質レベルテーブル18は、予め管理サーバ装置3に登録されており、「計算結果」欄および「品質レベル」欄を有する。「計算結果」欄には、範囲を持ったポイントが登録されている。「品質レベル」欄には、品質レベル1~品質レベル5が登録されている。通常の運用では、品質レベルは、計算結果の値が大きいほど、大きくなるように設定される。算出される品質レベルは、「計算結果」欄に設定された情報のうち、S27で算出した和(c’)があてはまるものに対応付けられた品質レベルとなる。例えば、
図12の例では、S27で算出した和が「35」の場合、品質レベル4となる。
【0078】
最後に、管理サーバ装置3は、ステップS10で算出した危険度(危険レベル)、ステップS28で算出した品質レベル、前記「チェック内容タグ」、会社識別情報、工程名、対応時間、指摘コメントおよび対応コメントを互いに関連付けて構成したデータベース20を生成保存する(ステップS29)。別の言い方をすれば、指摘コメントおよび対応コメントの過去事例等が各種情報と関連付けられたデータベース20として管理サーバ装置3内に蓄積される。
【0079】
次に「チェック項目表示機能」についてさらに詳しく説明する。「チェック項目表示機能」は、既述したようにチェックシート6を表示させる機能のほか、チェックシート6(チェック項目61)を表示させる際に、過去の指摘事例を表示させる過去事例表示機能を含んでいる。具体的には、例えば
図13に示すように、チェックシート6を表示させる際に、過去の指摘事例が登録されているチェック項目61を表示させると、過去の指摘事例があることを知らせる表示23と、過去の指摘事例の件数を知らせる表示24が画面に現れる。
図13に示す例では、過去の指摘事例の件数を、自社の指摘事例の件数を示す「自○件」と、他社の指摘事例の件数を示す「他○件」とが表示される。そして、ユーザが表示24をタップすると、例えば
図14に示すように、過去の指摘事例を示す指摘事例シート25が表示される。指摘事例シート25には、チェック項目の内容26と、各指摘事例の内容27とが表示される。指摘事例の内容27には、危険度28、品質レベル29(工事の質のレベル)、指摘コメント30、対応コメント31が表示される。また、「指摘機能」により、指摘コメント30とともに、写真が添付されていた場合には、写真32も表示される。
【0080】
つぎに、「チェック項目表示機能」によって、第1の利用者又は第2の利用者が管理サーバ装置3にログインしたクライアント装置5にチェックリスト情報を含むチェックシートを表示させる場合について
図15のフローチャートに基づいて説明する。なお、ユーザは、予め、クライアント装置5において所定操作をすることで、「自社表示」および「全社表示」の何れかを選択し、選択結果を管理サーバ装置3に登録できるようになっている。
【0081】
先ず、第1の利用者又は第2の利用者が管理サーバ装置3にログインしたクライアント装置5に、チェックリスト情報を含むチェックシート6を表示させることに伴い(ステップS41)、管理サーバ装置3は、予めユーザが所定の設定画面において設定した全社対象/自社対象の設定にしたがって(ステップS42)、全社又は自社の過去事例を表示する。
【0082】
管理サーバ装置3は、設定が全社対象になっている場合、クライアント装置5で表示されるチェックリスト情報の各チェック項目の内容の単語分析を実行する(ステップS43)。具体的には、形態素解析によりチェック項目の内容(例えば「色ムラはないか?」)から名詞(単語)を抽出する。
【0083】
次に管理サーバ装置3は、データベース20(
図6参照)の「チェック内容タグ」のうち、S41のチェックリスト情報に含まれる工程名が関連付けられたものを検索し、検出した「チェック内容タグ」に含まれる単語と、ステップS43で抽出した単語と照合する(ステップS44)。照合の結果、ステップS43で抽出した単語と一致する単語を含む「チェック内容タグ」を検出した場合、データベース20上で当該「チェック内容タグ」に関連付けられた危険レベル、品質レベルを全社分取得する(S45)。
【0084】
次に、管理サーバ装置3は、取得した当該「チェック内容タグ」に関連付けられた上記危険レベル及び/又は品質レベルが閾値以上であるか否かを判定し(ステップS46)、閾値以上の危険レベル及び/又は品質レベルが関連付けられ、かつ、表示されているチェックシートと同じ工程名が関連付けられた「指摘コメント」および「対応コメント」(過去の指摘事例)がある場合は(ステップS46:以上)、その「指摘コメント」および「対応コメント」の件数(過去の指摘事例の件数)と、過去の指摘事例がある旨を表示する(ステップS47)。例えば
図13に示すように、過去の指摘事例がある旨の表示23をチェックシート6の所定部位に表示し、過去の指摘事例の件数の表示24をチェックシートの別の所定部位に表示する。なお、表示24には、過去の指摘事例のうち、自社の過去の指摘事例の件数と、他社の過去の指摘事例の件数とが別々に表示される。
図13に示す例では、「自○件」の○部分に自社の過去の指摘事例の件数が表示され、「他×件」の×部分に他社の過去の指摘事例の件数が表示される。
【0085】
上記過去の指摘事例の件数の表示24は、過去の指摘事例(過去の「指摘コメント」および「対応コメント」)を表示するための指示を受け付ける表示受付ボタン(表示受付部)としても機能する。すなわち、過去の指摘事例の件数の表示24をタップすると(ステップS48:はい)、例えば
図14に示すような、過去の指摘事例を示す指摘事例シート25が表示される。指摘事例シート25には、過去の指摘事例として、データベース20の同じレコードに格納されたチェック項目の内容26、危険レベル28、品質レベル29、指摘コメント30および対応コメント31が含まれている。
【0086】
一方、前記S46において、閾値以上の危険レベル又は品質レベルが付けられ、かつ、表示されているチェックシートと同じ工程名が関連付けられた「指摘コメント」および「対応コメント」(過去の指摘事例)がないと判定された場合は(ステップS46:未満)、過去の指摘事例がある旨の表示23および過去の指摘事例の件数の表示24は行われない(エンド)。
【0087】
また、前記S42において、設定が自社対象になっている場合(ステップS42:自社を対象)、管理サーバ装置3は、クライアント装置5で表示されるチェックリスト情報の各チェック項目の内容の単語分析を実行する(ステップS50)。具体的には、形態素解析によりチェック項目の内容(例えば「色ムラがないか確認しましたか?」)から名詞(単語)を抽出する。
【0088】
次に管理サーバ装置3は、データベース20(
図6参照)の「チェック内容タグ」のうち、S41のチェックリスト情報に含まれる工程名が関連付けられたものを検索し、検出した「チェック内容タグ」に含まれる単語と、ステップS50で抽出した単語と照合する(ステップS51)。照合の結果、ステップS50で抽出した単語と一致する単語を含む「チェック内容タグ」を検出した場合、データベース20上で当該「チェック内容タグ」に関連付けられた危険レベル、品質レベルを自社分だけ取得する(S52)。
【0089】
その後は、前記したステップS46乃至S49を実行することで、閾値以上の危険レベル又は品質レベルが付けられ、かつ、表示されているチェックシートと同じ工程名が関連付けられた「指摘コメント」および「対応コメント」(過去の指摘事例)がある場合は、その「指摘コメント」および「対応コメント」の件数(過去の指摘事例の件数)と、過去の指摘事例がある旨を表示する(ステップS47)。自社の過去の指摘事例のみを表示する。
【0090】
以上の説明から明らかなように本発明の実施形態に係るチェックリスト管理システム1によれば、以下の作用効果が奏される。
【0091】
(1) チェックリストの各チェック項目に関する過去の指摘事例(「指摘コメント」、「対応コメント」等)を効率的に収集し、チェックリストを表示する場合に、収集した過去の指摘事例を画面に表示させることができる。これにより、工事品質の向上、危険防止効果、出戻り業務の削減などが図られる。なお、「指摘コメント」は不具合等の問題点を示す情報となり、「対応コメント」は、なぜ問題が生じたか(職人が悪かったのか、認識が違ったのか)などの原因を示唆する情報となる。
【0092】
(2) 「チェックリスト情報登録機能」により、会社ごと(又は部署ごと)にチェックリストを作成する場合、同様の工事内容でもチェックリストのチェック項目の表現(単語)が会社間(部署間)で若干相違する場合がある。しかし、本実施形態によれば、「チェック内容タグ」に互いに関連性のある複数の単語が登録されるため、会社間(部署間)でチェック項目の単語や表現が若干相違していても、チェックリストの作成者、工事の検査者などがチェックリストを端末に表示させる際に、当該チェック項目と関連性の高い過去の指摘事例等を表示することができる。
【0093】
(3) 本実施形態では、過去の指摘事例等に対して品質レベル及び/又は危険レベルを紐づけすることにより、重みづけを行っているため、チェックリストをクライアント装置5に表示させる際に、比較的重要な過去の指摘事例等に絞り込んで表示させることができる。
【0094】
(4) 本実施形態では、「指摘コメント」が管理サーバ装置3に保存されてから「対応コメント」が管理サーバ装置3に保存されるまでの対応時間(修理に要する時間)を品質レベルの判定要素に含めている。対応時間が長くなるほど、不具合等の問題が重大であると考えることができるため、対応時間を品質レベルの判定要素に含めることで、不具合等の問題のレベルを的確に品質レベルに反映させることができる。
【0095】
(5) 本実施形態では、チェックシート6を表示する際に過去の指摘事例の件数を知らせる表示24が表示されるので、件数の多いチェック項目については特に注意を喚起することができる。
【0096】
<他の実施形態>
既述した実施形態では、チェックリストの作成者、工事の検査者などがチェックリストをクライアント装置5に表示させる際に、過去の指摘事例として、「指摘コメント」および「対応コメント」の両方を表示するようになっていたが、「指摘コメント」のみを表示するようにしてもよい。この場合も一定の作用効果が得られる。
【産業上の利用可能性】
【0097】
本発明は、例えば、建物の建設工事のチェックリストに関する情報を管理するための情報処理システムに適用することができる。
【符号の説明】
【0098】
1 チェックリスト管理システム
3 管理サーバ装置
4 ネットワーク
5 クライアント装置
6 チェックシート(チェックリスト)
6B 指摘コメント記入画面
6C 指示書
6D 対応コメント入力シート
6E 指示書
8 第1の分類ポイントテーブル(指摘コメント・分類ポイント情報)
9 工程ポイントテーブル
11 第2の分類ポイントテーブル(対応コメント・分類ポイント情報)
12 危険度テーブル
17 対応時間ポイントテーブル
18 品質レベルテーブル
20 データベース
23 過去の指摘事例がある旨の表示
24 過去の指摘事例の件数の表示(表示受付部)
25 指摘事例シート
26 チェック項目の内容
27 指摘事例の内容
28 危険度(第1種レベル)
29 品質レベル(第2種レベル)
30 指摘コメント
31 対応コメント
61 チェック項目
73 指摘コメント記入欄
81 指摘コメント
83 指摘コメント表示欄
84 対応コメント記入欄