IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 戸田建設株式会社の特許一覧 ▶ 東海プラネット株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-交差点通行システム 図1
  • 特許-交差点通行システム 図2
  • 特許-交差点通行システム 図3
  • 特許-交差点通行システム 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-18
(45)【発行日】2024-12-26
(54)【発明の名称】交差点通行システム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/07 20060101AFI20241219BHJP
【FI】
G08G1/07 P
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021062801
(22)【出願日】2021-04-01
(65)【公開番号】P2022158114
(43)【公開日】2022-10-17
【審査請求日】2024-03-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000166432
【氏名又は名称】戸田建設株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】505011512
【氏名又は名称】東海プラネット株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085394
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 哲夫
(74)【代理人】
【識別番号】100165456
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 佑子
(72)【発明者】
【氏名】請川 誠
(72)【発明者】
【氏名】戸田 一生
(72)【発明者】
【氏名】尾花 敬治
(72)【発明者】
【氏名】西脇 明彦
(72)【発明者】
【氏名】林 秀太郎
(72)【発明者】
【氏名】大塚 賢文
(72)【発明者】
【氏名】菅野 靖幸
(72)【発明者】
【氏名】原田 和男
【審査官】池田 匡利
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-109677(JP,A)
【文献】特開平05-108999(JP,A)
【文献】特開2000-030188(JP,A)
【文献】特開2014-089491(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
主に歩行者及び一般車両が通行する一般道路と、主に工事車両が通行する工事道路と、の交差点に設置される交差点通行システムであって、
前記一般道路の一方側から前記交差点に向かって移動する前記歩行者又は前記一般車両から視認可能に設置され、前記交差点への進入を許容する進入許容表示状態と前記交差点への進入を禁止する進入禁止表示状態とに切換えられる一般道路用第1信号機と、
前記一般道路の他方側から前記交差点に向かって移動する前記歩行者又は前記一般車両から視認可能に設置され、前記交差点への進入を許容する進入許容表示状態と前記交差点への進入を禁止する進入禁止表示状態とに切換えられる一般道路用第2信号機と、
前記工事道路の一方側から前記交差点に向かって移動する前記工事車両から視認可能に設置され、前記交差点への進入を許容する進入許容表示状態と前記交差点への進入を禁止する進入禁止表示状態とに切換えられる工事道路用第1信号機と、
前記工事道路の他方側から前記交差点に向かって移動する前記工事車両から視認可能に設置され、前記交差点への進入を許容する進入許容表示状態と前記交差点への進入を禁止する進入禁止表示状態とに切換えられる工事道路用第2信号機と、
前記交差点と前記一般道路の一方側との境界部に設置され、前記交差点への進入を許容する開状態と前記交差点への進入を禁止する閉状態とに切換えられる一般道路用第1遮断機と、
前記交差点と前記一般道路の他方側との境界部に設置され、前記交差点への進入を許容する開状態と前記交差点への進入を禁止する閉状態とに切換えられる一般道路用第2遮断機と、
前記交差点と前記工事道路の一方側との境界部に設置され、前記交差点への進入を許容する開状態と前記交差点への進入を禁止する閉状態とに切換えられる工事道路用第1遮断機と、
前記交差点と前記工事道路の他方側との境界部に設置され、前記交差点への進入を許容する開状態と前記交差点への進入を禁止する閉状態とに切換えられる工事道路用第2遮断機と、
前記交差点内及び前記一般道路の一方側を撮影し、撮影画像内の前記歩行者及び前記一般車両を認識する第1撮影認識装置と、
前記交差点内及び前記一般道路の他方側を撮影し、撮影画像内の前記歩行者及び前記一般車両を認識する第2撮影認識装置と、
前記工事道路用第1信号機による一時停止位置で前記工事車両を検出する第1工事車両検出センサと、
前記工事道路用第2信号機による一時停止位置で前記工事車両を検出する第2工事車両検出センサと、
前記第1撮影認識装置、前記第2撮影認識装置、前記第1工事車両検出センサ及び前記第2工事車両検出センサの認識・検出状態に基づいて、前記一般道路用第1信号機、前記一般道路用第2信号機、前記工事道路用第1信号機、前記工事道路用第2信号機、前記一般道路用第1遮断機、前記一般道路用第2遮断機、前記工事道路用第1遮断機及び前記工事道路用第2遮断機を制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、
前記一般道路用第1信号機及び前記一般道路用第2信号機を進入許容表示状態、前記工事道路用第1信号機及び前記工事道路用第2信号機を進入禁止表示状態、前記一般道路用第1遮断機及び前記一般道路用第2遮断機を開状態、前記工事道路用第1遮断機及び前記工事道路用第2遮断機を閉状態に制御して前記一般道路から前記交差点への進入を許容する一般道路進入許容状態と、
前記一般道路用第1信号機及び前記一般道路用第2信号機を進入禁止表示状態、前記工事道路用第1信号機及び前記工事道路用第2信号機を進入許容表示状態、前記一般道路用第1遮断機及び前記一般道路用第2遮断機を閉状態、前記工事道路用第1遮断機及び前記工事道路用第2遮断機を開状態に制御して前記工事道路から前記交差点への進入を許容する工事道路進入許容状態と、を現出させることを特徴とする交差点通行システム。
【請求項2】
前記制御装置は、
前記第1撮影認識装置及び前記第2撮影認識装置が前記歩行者及び前記一般車両を認識せず、かつ前記第1工事車両検出センサ及び前記第2工事車両検出センサが前記工事車両を検出していないとき、前記一般道路進入許容状態を維持し、
前記一般道路進入許容状態で、前記第1撮影認識装置及び前記第2撮影認識装置が前記歩行者及び前記一般車両を認識せず、かつ前記第1工事車両検出センサ又は前記第2工事車両検出センサが前記工事車両を検出したとき、所定時間経過後に前記一般道路進入許状態から前記工事道路進入許容状態に切換え、
前記工事道路進入許容状態に切換えてから所定時間経過後、又は前記工事道路進入許容状態で前記第1工事車両検出センサ及び前記第2工事車両検出センサが前記工事車両を検出しなくなってから所定時間経過後に前記工事道路進入許容状態から前記一般道路進入許容状態に切換え、
前記工事道路進入許容状態で、前記第1撮影認識装置又は前記第2撮影認識装置が前記歩行者又は前記一般車両を認識したとき、前記第1工事車両検出センサ及び前記第2工事車両検出センサの検出状態にかかわらず、所定時間経過後に前記工事道路進入許容状態から前記一般道路進入許容状態に切換えることを特徴とする請求項1に記載の交差点通行システム。
【請求項3】
前記交差点の近傍には、前記一般道路用第1遮断機、前記一般道路用第2遮断機、前記工事道路用第1遮断機及び前記工事道路用第2遮断機のうち少なくともいずれか1つを強制的に開閉操作可能な遮断機強制開閉操作具が設けられることを特徴とする請求項1又は2に記載の交差点通行システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に歩行者及び一般車両が通行する一般道路と、主に工事車両が通行する工事道路と、の交差点に設置される交差点通行システムに関する。
【背景技術】
【0002】
大規模な工事現場では、主に工事車両が通行する工事道路を整備する場合がある。このような工事道路を一般道路(主に歩行者及び一般車両が通行する道路)と交差させる場合、その交差点には、通常、交差点の通行を誘導する交通誘導員が配置されるが、工事現場の場所によっては交通誘導員の確保が難しかったり、人件費が嵩んだり、といった課題がある。
【0003】
そこで、信号機で交差点の通行を誘導する交差点通行システムを導入し、交差点の誘導を無人化、又は交通誘導員の人数を削減することが提案される。この場合、常時は歩行者や一般車両に通行権を与えるように信号機を制御し、交差点に向かって工事車両が進行してきたとき、車両検出センサ(感知器)の検出信号に応じて工事道路側に通行権を与えるように信号機を切換えることが望ましい(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特公昭58-44480号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、一般道路と工事道路の交差点で一般道路優先の感応式信号機制御を行った場合、車両検出センサが工事車両を検出してから工事道路側の信号機が進入許容表示状態に切り換わるまでの切換準備期間や、工事車両が通過してから一般道路側の信号機が進入許容表示状態に切り換わるまでの切換準備期間において、信号機の切り換わりを待たずに歩行者、一般車両及び工事車両が交差点に進入する虞があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、請求項1の発明は、主に歩行者及び一般車両が通行する一般道路と、主に工事車両が通行する工事道路と、の交差点に設置される交差点通行システムであって、前記一般道路の一方側から前記交差点に向かって移動する前記歩行者又は前記一般車両から視認可能に設置され、前記交差点への進入を許容する進入許容表示状態と前記交差点への進入を禁止する進入禁止表示状態とに切換えられる一般道路用第1信号機と、前記一般道路の他方側から前記交差点に向かって移動する前記歩行者又は前記一般車両から視認可能に設置され、前記交差点への進入を許容する進入許容表示状態と前記交差点への進入を禁止する進入禁止表示状態とに切換えられる一般道路用第2信号機と、前記工事道路の一方側から前記交差点に向かって移動する前記工事車両から視認可能に設置され、前記交差点への進入を許容する進入許容表示状態と前記交差点への進入を禁止する進入禁止表示状態とに切換えられる工事道路用第1信号機と、前記工事道路の他方側から前記交差点に向かって移動する前記工事車両から視認可能に設置され、前記交差点への進入を許容する進入許容表示状態と前記交差点への進入を禁止する進入禁止表示状態とに切換えられる工事道路用第2信号機と、前記交差点と前記一般道路の一方側との境界部に設置され、前記交差点への進入を許容する開状態と前記交差点への進入を禁止する閉状態とに切換えられる一般道路用第1遮断機と、前記交差点と前記一般道路の他方側との境界部に設置され、前記交差点への進入を許容する開状態と前記交差点への進入を禁止する閉状態とに切換えられる一般道路用第2遮断機と、前記交差点と前記工事道路の一方側との境界部に設置され、前記交差点への進入を許容する開状態と前記交差点への進入を禁止する閉状態とに切換えられる工事道路用第1遮断機と、前記交差点と前記工事道路の他方側との境界部に設置され、前記交差点への進入を許容する開状態と前記交差点への進入を禁止する閉状態とに切換えられる工事道路用第2遮断機と、前記交差点内及び前記一般道路の一方側を撮影し、撮影画像内の前記歩行者及び前記一般車両を認識する第1撮影認識装置と、前記交差点内及び前記一般道路の他方側を撮影し、撮影画像内の前記歩行者及び前記一般車両を認識する第2撮影認識装置と、前記工事道路用第1信号機による一時停止位置で前記工事車両を検出する第1工事車両検出センサと、前記工事道路用第2信号機による一時停止位置で前記工事車両を検出する第2工事車両検出センサと、前記第1撮影認識装置、前記第2撮影認識装置、前記第1工事車両検出センサ及び前記第2工事車両検出センサの認識・検出状態に基づいて、前記一般道路用第1信号機、前記一般道路用第2信号機、前記工事道路用第1信号機、前記工事道路用第2信号機、前記一般道路用第1遮断機、前記一般道路用第2遮断機、前記工事道路用第1遮断機及び前記工事道路用第2遮断機を制御する制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記一般道路用第1信号機及び前記一般道路用第2信号機を進入許容表示状態、前記工事道路用第1信号機及び前記工事道路用第2信号機を進入禁止表示状態、前記一般道路用第1遮断機及び前記一般道路用第2遮断機を開状態、前記工事道路用第1遮断機及び前記工事道路用第2遮断機を閉状態に制御して前記一般道路から前記交差点への進入を許容する一般道路進入許容状態と、前記一般道路用第1信号機及び前記一般道路用第2信号機を進入禁止表示状態、前記工事道路用第1信号機及び前記工事道路用第2信号機を進入許容表示状態、前記一般道路用第1遮断機及び前記一般道路用第2遮断機を閉状態、前記工事道路用第1遮断機及び前記工事道路用第2遮断機を開状態に制御して前記工事道路から前記交差点への進入を許容する工事道路進入許容状態と、を現出させることを特徴とする。
また、請求項2の発明は、請求項1に記載の交差点通行システムであって、前記制御装置は、前記第1撮影認識装置及び前記第2撮影認識装置が前記歩行者及び前記一般車両を認識せず、かつ前記第1工事車両検出センサ又は前記第2工事車両検出センサが前記工事車両を検出していないとき、前記一般道路進入許容状態を維持し、前記一般道路進入許容状態で、前記第1撮影認識装置及び前記第2撮影認識装置が前記歩行者及び前記一般車両を認識せず、かつ前記第1工事車両検出センサ又は前記第2工事車両検出センサが前記工事車両を検出したとき、所定時間経過後に前記一般道路進入許状態から前記工事道路進入許容状態に切換え、前記工事道路進入許容状態に切換えてから所定時間経過後、又は前記工事道路進入許容状態で前記第1工事車両検出センサ及び前記第2工事車両検出センサが前記工事車両を検出しなくなってから所定時間経過後に前記工事道路進入許容状態から前記一般道路進入許容状態に切換え、前記工事道路進入許容状態で、前記第1撮影認識装置又は前記第2撮影認識装置が前記歩行者又は前記一般車両を認識したとき、前記第1工事車両検出センサ及び前記第2工事車両検出センサの検出状態にかかわらず、所定時間経過後に前記工事道路進入許容状態から前記一般道路進入許容状態に切換えることを特徴とする。
また、請求項3の発明は、請求項1又は2に記載の交差点通行システムであって、前記交差点の近傍には、前記一般道路用第1遮断機、前記一般道路用第2遮断機、前記工事道路用第1遮断機及び前記工事道路用第2遮断機のうち少なくともいずれか1つを強制的に開閉操作可能な遮断機強制開閉操作具が設けられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
請求項1の発明によれば、信号機だけでなく、遮断機を併設したので、工事車両検出センサが工事車両を検出してから工事道路側の信号機が進入許容表示状態に切り換わるまでの切換準備期間や、工事車両が通過してから一般道路側の信号機が進入許容表示状態に切り換わるまでの切換準備期間においても、歩行者、一般車両及び工事車両の交差点への進入を遮断機で規制できる。また、交差点内及び一般道路を撮影し、撮影画像内の歩行者及び一般車両を認識する第1及び第2撮影認識装置を備えるので、制御装置は、歩行者及び一般車両を認識しつつ信号機及び遮断機を適切に制御することができる。
また、請求項2の発明によれば、制御装置は、第1撮影認識装置及び第2撮影認識装置が歩行者及び一般車両を認識せず、かつ第1工事車両検出センサ及び第2工事車両検出センサが工事車両を検出していないとき、一般道路進入許容状態を維持するので、一般道路優先の感応式信号機制御及び遮断機制御によって、歩行者及び一般車両の待ち時間を削減できる。また、制御装置は、一般道路進入許容状態で、第1撮影認識装置及び第2撮影認識装置が歩行者及び一般車両を認識せず、かつ第1工事車両検出センサ又は第2工事車両検出センサが工事車両を検出したとき、所定時間経過後に一般道路進入許状態から工事道路進入許容状態に切換えるので、歩行者及び一般車両がいない状態では、工事車両を速やかに通過させることができる。また、制御装置は、工事道路進入許容状態に切換えてから所定時間経過後、又は工事道路進入許容状態で第1工事車両検出センサ及び第2工事車両検出センサが工事車両を検出しなくなってから所定時間経過後に工事道路進入許容状態から一般道路進入許容状態に切換えるので、工事道路進入許容状態が長時間維持されることを防止し、歩行者及び一般車両の待ち時間を削減できる。また、制御装置は、工事道路進入許容状態で、第1撮影認識装置又は第2撮影認識装置が歩行者又は一般車両を認識したとき、第1工事車両検出センサ及び第2工事車両検出センサの検出状態にかかわらず、所定時間経過後に工事道路進入許容状態から一般道路進入許容状態に切換えるので、工事車両が連なっているような状態であっても、一般道路進入許容状態に切換えて歩行者及び一般車両の通行を優先させることができる。
また、請求項3の発明によれば、交差点の近傍には、一般道路用第1遮断機、一般道路用第2遮断機、工事道路用第1遮断機及び工事道路用第2遮断機のうち少なくともいずれか1つを強制的に開閉操作可能な遮断機強制開閉操作具が設けられるので、システム異常などの異常事態でも、強制的な遮断機の開閉操作に基づいて交差点の通行を許容することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態に係る交差点通行システムの全体構成を示す概略平面図である。
図2】交差点通行システムの制御構成を示すブロック図である。
図3】交差点通行システムの動作ルールを示す説明図である。
図4】交差点通行システムの動作タイミングを示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[交差点通行システムの全体構成]
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。図1及び図2において、1は交差点通行システムであって、該交差点通行システム1は、主に歩行者H及び一般車両V1が通行する一般道路R1と、主に工事車両V2が通行する工事道路R2と、の交差点Cに設置される。なお、図面では、歩行者を人、一般道路を一般道、工事道路を工事用道路と記載する場合がある。
【0010】
交差点通行システム1は、一般道路用第1信号機2、一般道路用第2信号機3、工事道路用第1信号機4、工事道路用第2信号機5、第1メッセージ表示器6、第2メッセージ表示器7、一般道路用第1遮断機8、一般道路用第2遮断機9、工事道路用第1遮断機10、工事道路用第2遮断機11、第1遮断機強制開閉操作具12、第2遮断機強制開閉操作具13、第1撮影認識装置14、第2撮影認識装置15、第1工事車両検出センサ16、第2工事車両検出センサ17及び制御装置18を備える。なお、図面では、メッセージ表示器を表示機器、遮断機をゲート、撮影認識装置をカメラと記載する場合がある。
【0011】
図2に示すように、本実施形態では、配線を容易にするために、交差点通行システム1の構成要素を2つのグループA、Bに分け、各グループの構成要素をそれぞれ別々の現場制御盤19、20に接続するとともに、現場制御盤19、20同士を通信可能に接続している。制御装置18は、現場制御盤19、20のいずれかによって構成されてもよいし、両現場制御盤19、20によって構成されてもよい。
【0012】
[交差点通行システムの各部の構成]
(信号機)
一般道路用第1信号機2は、一般道路R1の一方側から交差点Cに向かって移動する歩行者H又は一般車両V1から視認可能に設置され、交差点Cへの進入を許容する進入許容表示状態と交差点Cへの進入を禁止する進入禁止表示状態とに切換えられる。一般道路用第2信号機3は、一般道路R1の他方側から交差点Cに向かって移動する歩行者H又は一般車両V1から視認可能に設置され、交差点Cへの進入を許容する進入許容表示状態と交差点Cへの進入を禁止する進入禁止表示状態とに切換えられる。
【0013】
工事道路用第1信号機4は、工事道路R2の一方側から交差点Cに向かって移動する工事車両V2から視認可能に設置され、交差点Cへの進入を許容する進入許容表示状態と交差点Cへの進入を禁止する進入禁止表示状態とに切換えられる。工事道路用第2信号機5は、工事道路R2の他方側から交差点Cに向かって移動する工事車両V2から視認可能に設置され、交差点Cへの進入を許容する進入許容表示状態と交差点Cへの進入を禁止する進入禁止表示状態とに切換えられる。
【0014】
本実施形態の信号機2~5は、それぞれ、緑色発光表示部、黄色発光表示部及び赤色発光表示部を備え、進入許容表示状態では緑色発光表示部を点灯させ、進入禁止表示状態では赤色発光表示部を点灯させる。また、進入許容表示状態から進入禁止表示状態に移行する際には、黄色発光表示部の所定時間の点灯期間を経由する一方、進入禁止表示状態から進入許容表示状態に移行する際には、黄色発光表示部の点灯期間を経由しない。
【0015】
(メッセージ表示器)
第1メッセージ表示器6は、一般道路R1の一方側から交差点Cに向かって移動する歩行者H又は一般車両V1から視認可能に設置され、第2メッセージ表示器7は、一般道路R1の他方側から交差点Cに向かって移動する歩行者H又は一般車両V1から視認可能に設置される。
【0016】
本実施形態のメッセージ表示器6、7は、多数の発光素子をマトリクス状に配列して構成される発光表示器であり、信号機2、3や遮断機8、9の動作状態に連動し、「進んでください」、「工事車両が通過中 停止してください」、「遮断機が上がります 進んでください」、「遮断機が下がります 止まってください」などのメッセージ表示を行う。
【0017】
(遮断機)
一般道路用第1遮断機8は、交差点Cと一般道路R1の一方側との境界部に設置され、交差点Cへの進入を許容する開状態と交差点Cへの進入を禁止する閉状態とに切換えられる。一般道路用第2遮断機9は、交差点Cと一般道路R1の他方側との境界部に設置され、交差点Cへの進入を許容する開状態と交差点Cへの進入を禁止する閉状態とに切換えられる。
【0018】
工事道路用第1遮断機10は、交差点Cと工事道路R2の一方側との境界部に設置され、交差点Cへの進入を許容する開状態と交差点Cへの進入を禁止する閉状態とに切換えられる。工事道路用第2遮断機11は、交差点Cと工事道路R2の他方側との境界部に設置され、交差点Cへの進入を許容する開状態と交差点Cへの進入を禁止する閉状態とに切換えられる。
【0019】
本実施形態の遮断機8~11は、踏切に設置される遮断機と同様に遮断棒を備え、遮断棒の一端側を回動支点とする上下動作に基づいて歩行者Hや車両V1、V2の進路を開閉する。
【0020】
(遮断機強制開閉操作具)
第1遮断機強制開閉操作具12と第2遮断機強制開閉操作具13は、交差点Cの対角位置に設置されており、異常発生時には、第1遮断機強制開閉操作具12や第2遮断機強制開閉操作具13の操作に応じて遮断機8~11を強制的に開閉操作することができる。なお、強制的な開閉操作の対象となる遮断機8~11は、任意に設定することができる。
【0021】
(撮影認識装置)
第1撮影認識装置14は、交差点C内及び一般道路R1の一方側を撮影し、撮影画像内の歩行者H及び一般車両V1を認識する。第2撮影認識装置15は、交差点C内及び一般道路R1の他方側を撮影し、撮影画像内の歩行者H及び一般車両V1を認識する。
【0022】
本実施形態の撮影認識装置14は、カメラと画像認識装置とを備える所謂AIカメラであり、例えば、第1撮影認識装置14は、交差点C内と一般道路R1の一方側10m程度を認識エリアS1として歩行者H及び一般車両V1の認識を行い、第2撮影認識装置15は、交差点C内と一般道路R1の他方側10m程度を認識エリアS2として歩行者H及び一般車両V1の認識を行う。なお、カメラは、赤外線感知カメラであり、夜間照明でも歩行者H及び一般車両V1を認識することができる。
【0023】
(工事車両検出センサ)
第1工事車両検出センサ16は、工事道路用第1信号機4による一時停止位置で工事車両V2を検出する。第2工事車両検出センサ17は、工事道路用第2信号機5による一時停止位置で工事車両V2を検出する。
【0024】
本実施形態の工事車両検出センサ16、17は、超音波センサであり、工事道路用第1信号機4による一時停止位置の上方、及び工事道路用第2信号機5による一時停止位置の上方に配置される。工事車両検出センサ16、17は、下方に向けて超音波を発射し、その反射波に基づいて工事車両V2の有無を検出する。
【0025】
(制御装置)
制御装置18は、第1遮断機強制開閉操作具12及び第2遮断機強制開閉操作具13の操作信号、第1撮影認識装置14及び第2撮影認識装置15の認識信号、第1工事車両検出センサ16及び第2工事車両検出センサ17の検出信号に基づいて、一般道路用第1信号機2、一般道路用第2信号機3、工事道路用第1信号機4、工事道路用第2信号機5、第1メッセージ表示器6、第2メッセージ表示器7、一般道路用第1遮断機8、一般道路用第2遮断機9、工事道路用第1遮断機10及び工事道路用第2遮断機11を制御する。
【0026】
制御装置18は、一般道路用第1信号機2及び一般道路用第2信号機3を進入許容表示状態、工事道路用第1信号機4及び工事道路用第2信号機5を進入禁止表示状態、一般道路用第1遮断機8及び一般道路用第2遮断機9を開状態、工事道路用第1遮断機10及び工事道路用第2遮断機11を閉状態に制御して一般道路R1から交差点Cへの進入を許容する一般道路進入許容状態と、一般道路用第1信号機2及び一般道路用第2信号機3を進入禁止表示状態、工事道路用第1信号機4及び工事道路用第2信号機5を進入許容表示状態、一般道路用第1遮断機8及び一般道路用第2遮断機9を閉状態、工事道路用第1遮断機10及び工事道路用第2遮断機11を開状態に制御して工事道路R2から交差点Cへの進入を許容する工事道路進入許容状態と、を現出させる。
【0027】
なお、制御装置18は、一般道路進入許容状態から工事道路進入許容状態、又は工事道路進入許容状態から一般道路進入許容状態に切換える際には、所定時間(例えば、5秒間)にわたってすべての信号機2~5を赤色発光表示状態とする期間を経由させる。
【0028】
また、制御装置18は、緊急事態(例えば、交差点C内に車両V1、V2、歩行者Hが滞留している状態)が発生した場合に、所定の通信端末(例えば、現場管理者が所持する携帯端末)に緊急通報を行う通信手段を備えることが好ましい。
【0029】
[交差点通行システムの動作]
(基本動作)
制御装置18は、第1撮影認識装置14及び第2撮影認識装置15が歩行者H及び一般車両V1を認識せず、かつ第1工事車両検出センサ16及び第2工事車両検出センサ17が工事車両V2を検出していないとき、一般道路進入許容状態を維持する。このようにすると、一般道路優先の感応式信号機制御及び遮断機制御によって、歩行者H及び一般車両V1の待ち時間を削減できる。
【0030】
また、制御装置18は、一般道路進入許容状態で、第1撮影認識装置14及び第2撮影認識装置15が歩行者H及び一般車両V1を認識せず、かつ第1工事車両検出センサ16又は第2工事車両検出センサ17が工事車両V2を検出したとき、所定時間経過後(例えば、30秒後)に一般道路進入許状態から工事道路進入許容状態に切換える。このようにすると、歩行者H及び一般車両V1がいない状態では、工事車両V2を速やかに通過させることができる。
【0031】
また、制御装置18は、工事道路進入許容状態に切換えてから所定時間経過後(例えば、30秒後)、又は工事道路進入許容状態で第1工事車両検出センサ16及び第2工事車両検出センサ17が工事車両V2を検出しなくなってから所定時間経過後(例えば、30秒後)に工事道路進入許容状態から一般道路進入許容状態に切換える。このようにすると、工事道路進入許容状態が長時間維持されることを防止し、歩行者H及び一般車両V1の待ち時間を削減できる。
【0032】
また、制御装置18は、工事道路進入許容状態で、第1撮影認識装置14又は第2撮影認識装置15が歩行者H又は一般車両V1を認識したとき、第1工事車両検出センサ16及び第2工事車両検出センサ17の検出状態にかかわらず、所定時間経過後(例えば、30秒後)に工事道路進入許容状態から一般道路進入許容状態に切換える。このようにすると、工事車両V2が連なっているような状態であっても、一般道路進入許容状態に切換えて歩行者H及び一般車両V1の通行を優先させることができる。
【0033】
(動作ルール)
つぎに、上記のような制御を実現する交差点通行システム1の具体的な動作ルールについて、図3を参照して説明する。
【0034】
図3に示すように、第1動作ルールは、歩行者H、一般車両V1及び工事車両V2の検出がない初期状態の動作を規定しており、この状態では、一般道路進入許容状態を維持するとともに、メッセージ表示器6、7に「進んでください」と表示させる。
【0035】
第2動作ルールは、初期状態において、歩行者H又は一般車両V1を検出した場合の動作を規定しており、この場合は、一般道路進入許容状態を維持するとともに、メッセージ表示器6、7に「進んでください」と表示させる。
【0036】
第3動作ルールは、初期状態において、歩行者H又は一般車両V1を検出し、かつ工事車両V2を検出した場合の動作を規定しており、この場合は、一般道路進入許容状態を維持するとともに、メッセージ表示器6、7に「進んでください」と表示させる。
【0037】
第4動作ルールは、歩行者H及び一般車両V1を検出せず、かつ工事車両V2を検出した場合の動作を規定しており、この場合は、工事道路進入許容状態にするとともに、メッセージ表示器6、7に「工事車両通過中 停止してください」と表示させる。
【0038】
第5動作ルールは、工事道路進入許容状態で工事車両V2の通過を検出し、かつ通過後所定時間経過した場合の動作を規定しており、この場合は、所定時間経過後(例えば、30秒後)に一般道路進入許容状態に切換えるとともに、メッセージ表示器6、7に「遮断機が上がります 進んでください」と表示させる。
【0039】
第6動作ルールは、一般道路進入許容状態で、工事車両V2を検出する前から歩行者Hが遮断機8、9を無視して交差点C内に滞留している場合の動作を規定しており、この場合は、一般道路進入許容状態を維持するとともに、メッセージ表示器6、7に「進んでください」と表示させる。
【0040】
第7動作ルールは、工事道路進入許容状態で、歩行者Hが遮断機8、9を無視して交差点C内に進入している場合の動作を規定しており、この場合は、所定時間経過後(例えば、30秒後)に一般道路進入許容状態に切換えるとともに、メッセージ表示器6、7に「遮断機が上がります 進んでください」と表示させる。
【0041】
第8動作ルールは、一般道路進入許容状態で、検出動作不良(工事車両検出不良)が発生した場合の動作を規定しており、この場合は、一般道路進入許容状態を維持するとともに、メッセージ表示器6、7に「進んでください」と表示させる。
【0042】
第9動作ルールは、検出動作不良の発生時、遮断機強制開閉操作具12、13が操作された場合の動作を規定しており、この場合は、一般道路進入許容状態を維持するとともに、メッセージ表示器6、7に「進んでください」と表示させる。
【0043】
第10動作ルールは、検出動作不良(歩行者、一般車両検出不良)の発生時、工事車両V2を検出した場合の動作を規定しており、この場合は、所定時間経過後(例えば、30秒後)に工事道路進入許容状態に切換えるとともに、メッセージ表示器6、7に「遮断機が下がります 止まってください」と表示させる。
【0044】
第11動作ルールは、工事道路進入許容状態で、工事車両V2の交差点C内の滞留を検出した場合の動作を規定しており、この場合は、工事道路進入許容状態を維持するとともに、メッセージ表示器6、7に「工事車両通過中 停止してください」と表示させる。
【0045】
(動作タイミング)
つぎに、交差点通行システム1の基本動作の動作タイミングについて、図4を参照して説明する。
【0046】
図4に示すように、制御装置18は、一般道路通行許容状態で、歩行者H又は一般車両V1を検出している場合、工事車両V2を検出しても一般道路通行許容状態を維持するが、歩行者H及び一般車両V1の検出がなくなり、かつ工事車両V2を検出すると、一般道路閉鎖準備に入り、所定時間後(例えば、15秒後)に一般道路R1側の信号機2、3を緑色表示状態から黄色表示状態に切換え、さらに所定時間経過後(例えば、15秒後)に一般道路R1側の信号機2、3を黄色表示状態から赤色表示状態に切換えるとともに、一般道路R1側の遮断機8、9を開状態から閉状態に切換える。
【0047】
制御装置18は、一般道路R1側の遮断機8、9を開状態から閉状態に切換えてから所定時間後(例えば、5秒後)に工事道路通行許容状態に切換える。具体的には、工事道路R2側の信号機4、5を赤色表示状態から緑色表示状態に切換えるとともに、工事道路R2側の遮断機10、11を閉状態から開状態に切換える。
【0048】
制御装置18は、工事道路通行許容状態で、歩行者H又は一般車両V1を検出すると、工事道路閉鎖準備に入り、所定時間後(例えば、15秒後)に工事道路R2側の信号機4、5を緑色表示状態から黄色表示状態に切換え、さらに所定時間経過後(例えば、15秒後)に工事道路R2側の信号機4、5を黄色表示状態から赤色表示状態に切換えるとともに、工事道路R2側の遮断機10、11を開状態から閉状態に切換える。
【0049】
制御装置18は、工事道路R2側の遮断機10、11を開状態から閉状態に切換えてから所定時間後(例えば、5秒後)に一般道路通行許容状態に切換える。具体的には、一般道路R1側の信号機2、3を赤色表示状態から緑色表示状態に切換えるとともに、一般道路R1側の遮断機8、9を閉状態から開状態に切換える。以降はこのような動作が繰り返される。
【符号の説明】
【0050】
1 交差点通行システム
2 一般道路用第1信号機
3 一般道路用第2信号機
4 工事道路用第1信号機
5 工事道路用第2信号機
6 第1メッセージ表示器
7 第2メッセージ表示器
8 一般道路用第1遮断機
9 一般道路用第2遮断機
10 工事道路用第1遮断機
11 工事道路用第2遮断機
12 第1遮断機強制開閉操作具
13 第2遮断機強制開閉操作具
14 第1撮影認識装置
15 第2撮影認識装置
16 第1工事車両検出センサ
17 第2工事車両検出センサ
18 制御装置
19 現場制御盤
20 現場制御盤
H 歩行者
V1 一般車両
V2 工事車両
R1 一般道路
R2 工事道路
C 交差点
図1
図2
図3
図4