(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-18
(45)【発行日】2024-12-26
(54)【発明の名称】タイムスタディシステム、情報処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G16H 10/00 20180101AFI20241219BHJP
G06Q 10/063 20230101ALI20241219BHJP
【FI】
G16H10/00
G06Q10/063
(21)【出願番号】P 2024026050
(22)【出願日】2024-02-22
【審査請求日】2024-11-01
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】523353498
【氏名又は名称】株式会社最中屋
(74)【代理人】
【識別番号】110004093
【氏名又は名称】弁理士法人アクセル特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】結城 崇
(72)【発明者】
【氏名】秋葉 美央
(72)【発明者】
【氏名】片岡 眞一郎
【審査官】中野 修平
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-040734(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイムスタディシステムであって、
少なくとも1つ以上の制御部を有し、
前記制御部は、
少なくとも1人以上の作業者が実行した作業の種類ごとの作業にかかった時間を含む作業時間情報を取得し、
作業の種類ごとの前記作業時間情報
と、参照情報と、に基づき前記作業の種類ごとに作業の短縮に繋がるツール又はサービスを選択し、
選択したツール又はサービスの情報を出力
し、
前記作業時間情報には、作業の種類ごとの作業時間及び作業回数が含まれ、
前記参照情報は、作業の種類ごとの作業時間の閾値と、作業の種類ごとの作業回数の閾値と、前記作業時間情報で示される作業にかかっている時間が前記作業時間の閾値を超えていた場合又は前記作業時間情報で示される作業の回数が前記作業回数の閾値を超えていた場合のツール又はサービスと、が対応付けられた情報である、
タイムスタディシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のタイムスタディシステムにおいて、
前記制御部は、
少なくとも1人以上の作業者が実行した作業の種類ごとの作業を開始した開始時刻情報及び前記作業を終了した終了時刻情報を受け取り、
作業の種類ごとに前記開始時刻情報及び前記終了時刻情報に基づいて前記作業時間情報を算出する、
タイムスタディシステム。
【請求項3】
請求項
1に記載のタイムスタディシステムにおいて、
前記作業時間の閾値及び前記作業回数の閾値は固定値である、
タイムスタディシステム。
【請求項4】
請求項
1に記載のタイムスタディシステムにおいて、
前記制御部は、
前記作業者が作業を行う施設の規模を示す情報に基づき前記作業時間の閾値又は前記作業回数の閾値を変更し、
前記施設の規模を示す情報には、少なくとも、前記施設に入居している入居者の人数、前記施設で働いている作業者の人数、前記施設の広さを示す広さ情報、前記施設のフロア数を示すフロア情報、前記施設のユニット数を示すユニット情報のうち1つ以上の情報が含まれる、
タイムスタディシステム。
【請求項5】
請求項
1に記載のタイムスタディシステムにおいて、
前記制御部は、
前記作業は介護サービスの提供に係る作業であり、
前記作業者が作業を行う対象者の状態に基づき前記閾値を変更する、
タイムスタディシステム。
【請求項6】
請求項
1に記載のタイムスタディシステムにおいて、
前記制御部は、
導入済みのツール又はサービスの情報である導入済み情報を取得し、
作業の種類ごとの前記作業時間情報と、前記参照情報と、前記導入済み情報と、に基づき、まだ導入されていないツール又はサービススであり、かつ、前記作業の種類ごとに作業の短縮に繋がるツール又はサービスを選択する、
タイムスタディシステム。
【請求項7】
請求項1に記載のタイムスタディシステムにおいて、
前記制御部が作業の種類ごとの前記作業時間情報に基づきツールを選択した場合、
前記ツールには、少なくとも、見守り機器、インカム、チャットツール、掃除ロボ、福祉用具、エアマット、電動ベッド、シャワー入浴装置、介護リフト、又は介護記録ソフトが含まれる、
タイムスタディシステム。
【請求項8】
請求項2に記載のタイムスタディシステムにおいて、
前記制御部は、
前記開始時刻情報及び前記終了時刻情報を前記作業者の携帯端末装置より受け取る、
タイムスタディシステム。
【請求項9】
請求項1に記載のタイムスタディシステムにおいて、
前記制御部は、
選択したツール又はサービスの情報を前記作業者の携帯端末装置又は前記作業者が所属する事業所の端末装置に送信する、
タイムスタディシステム。
【請求項10】
請求項1に記載のタイムスタディシステムにおいて、
前記作業時間情報には作業の回数の情報も含まれる、
タイムスタディシステム。
【請求項11】
タイムスタディシステムが実行する情報処理方法であって、
少なくとも1人以上の作業者が実行した作業の種類ごとの作業にかかった時間を含む作業時間情報を取得し、
作業の種類ごとの前記作業時間情報
と、参照情報と、に基づき前記作業の種類ごとに作業の短縮に繋がるツール又はサービスを選択し、
選択したツール又はサービスの情報を出力
し、
前記作業時間情報には、作業の種類ごとの作業時間及び作業回数が含まれ、
前記参照情報は、作業の種類ごとの作業時間の閾値と、作業の種類ごとの作業回数の閾値と、前記作業時間情報で示される作業にかかっている時間が前記作業時間の閾値を超えていた場合又は前記作業時間情報で示される作業の回数が前記作業回数の閾値を超えていた場合のツール又はサービスと、が対応付けられた情報である、
情報処理方法。
【請求項12】
プログラムであって、
コンピュータを、
請求項1から請求項11までの何れか1項に記載のタイムスタディシステムとして機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイムスタディシステム、情報処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の
図10ではタイムスタディによる業務分析を行うことが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
複数の業務それぞれにおいてどれだけ時間がかかっているかの情報を取得できたとしてもその情報を有効に活用できていない問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様によれば、タイムスタディシステムが提供される。このタイムスタディシステムは、少なくとも1つ以上の制御部を有する。制御部は、少なくとも1人以上の作業者が実行した作業の種類ごとの作業にかかった時間を示す作業時間情報を取得する。作業の種類ごとの作業時間情報に基づき作業の種類ごとに作業の短縮に繋がるツール又はサービスを選択する。選択したツール又はサービスの情報を出力する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1は、情報処理システムのシステム構成の一例を示す図である。
【
図2】
図2は、サーバー装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、クライアント装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、情報処理システムにおける情報処理の一例を示すシーケンス図である。
【
図5】
図5は、参照テーブルの一例を示す図である。
【
図6】
図6は、変形例1の情報処理システムにおける情報処理の一例を示すシーケンス図である。
【
図7】
図7は、変形例2の情報処理システムにおける情報処理の一例を示すシーケンス図である。
【
図8】
図8は、施設規模に応じて閾値を変更した一例を示す図である。
【
図9】
図9は、変化例3の情報処理システムにおける情報処理の一例を示すシーケンス図である。
【
図10】
図10は、介護度に応じて閾値を変更した一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を用いて実施形態について説明する。以下に示す実施形態(以下に示す変形例も含む。以下において同様である。)中で示した各種特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。
【0008】
<実施形態1>
1.システム構成
図1は、情報処理システム1000のシステム構成の一例を示す図である。
図1に示されるように、情報処理システム1000は、システム構成として、少なくとも、サーバー装置100と、クライアント装置110と、クライアント装置120と、を含む。情報処理システム1000は、タイムスタディシステムの一例である。タイムスタディシステムとは、作業にかかった時間を計測し、作業を成し遂げるのにかかる時間を決定するシステムのことである。
サーバー装置100と、クライアント装置110と、クライアント装置120と、はネットワーク150を介して通信可能に接続されている。ネットワーク150には、有線LAN及び無線LANが含まれる。情報処理システム1000は、いわゆるSaaS(Software as a Service)の情報処理システムである。
【0009】
クライアント装置110及びクライアント装置120は、ウェブブラウザを有し、ウェブブラウザを介してサーバー装置100に接続し、画面をウェブブラウザに表示したり、操作者の操作を受け付けたりする。
【0010】
クライアント装置110は、作業者が作業の時間を計測する際に使用する装置である。クライアント装置110のより具体的な例としては、スマートフォンやタブレット型コンピュータがある。クライアント装置110は、携帯端末装置の一例である。
【0011】
クライアント装置120は、作業者が所属する事業所の担当者が使用する装置である。クライアント装置120のより具体的な例としては、PC(Personal Computer)がある。クライアント装置120は、作業者が所属する事業所の端末装置の一例である。
【0012】
サーバー装置100は、以下に示す実施形態の主な処理を実行する。
図1では簡略化のためクライアント装置110は1台しか図示していないが、情報処理システム1000には、事業所の作業者の数だけクライアント装置110が含まれる。
【0013】
ここで、特許請求の範囲に記載の情報処理システムは、複数の装置で構成されてもよいし、一つの装置で構成されてもよい。特許請求の範囲に記載の情報処理システムが一つの装置で構成される場合、その装置の一例はサーバー装置100である。特許請求の範囲に記載の情報処理システムが複数の装置で構成される場合、複数の装置の一例は、サーバー装置100の機能を提供するクラウドシステム、又はサーバー装置100及び少なくとも1つ以上のクライアント装置110である。クラウドシステムは、例えば複数のサーバー装置から構成される。
【0014】
2.ハードウェア構成
(1)サーバー装置100のハードウェア構成
図2は、サーバー装置100のハードウェア構成の一例を示す図である。サーバー装置100は、ハードウェア構成として、制御部210と、記憶部220と、通信部230と、を含む。制御部210は、CPU(Central Processing Unit)等であって、サーバー装置100の全体を制御する。
【0015】
記憶部220は、HDD(Hard Disk Drive)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、SSD(Solid State Drive)の何れか、又はこれらの任意の組み合わせであって、プログラム及び制御部210がプログラムに基づき処理を実行する際に利用するデータ(例えば、計測された時間情報、参照情報等)を記憶する。
【0016】
制御部210が、記憶部220に記憶されているプログラムを読み出し、読み出したプログラムに基づき、処理を実行することによって、サーバー装置100の処理及びサーバー装置100の機能が実現される。記憶部220は、記憶媒体の一例である。なお、実施形態1では制御部210がプログラムに基づき処理を実行する際に利用するデータは記憶部220に記憶されるものとして説明するが、サーバー装置100と通信可能な他の装置の記憶部等に記憶されていてもよい。すなわち、データは、制御部210が参照及び/又は取得可能であればどの装置の記憶部に記憶されていてもよい。
【0017】
通信部230は、サーバー装置100をネットワーク150に接続し、他の装置との通信を司る。
なお、サーバー装置100を構成する各ハードウェア構成は1つに限られず、必要に応じて2以上存在してもよい。また
図2に示した構成以外のハードウェアを有していてもよい。以下に示すクライアント装置においても同様である。
【0018】
(2)クライアント装置110のハードウェア構成
図3は、クライアント装置110のハードウェア構成の一例を示す図である。クライアント装置110は、ハードウェア構成として、制御部310と、記憶部320と、入出力部330と、通信部340と、を含む。
【0019】
制御部310は、CPU等であって、クライアント装置110の全体を制御する。
記憶部320は、ROM、RAM、SSDの何れか、又はこれらの任意の組み合わせであって、プログラム、制御部310がプログラムに基づき処理を実行する際に利用するデータ等を記憶させる。制御部310が、記憶部320に記憶されているプログラムを読み出し、読み出したプログラムに基づき、処理を実行することによって、クライアント装置110の機能等が実現される。
【0020】
入出力部330は、タッチパネルディスプレイ等であって、操作者の操作に基づき操作情報等を入力したり、情報を表示したりする。
通信部340は、クライアント装置110を、基地局等を介してネットワーク150に接続し、他の装置との通信を司る。
【0021】
クライアント装置120のハードウェア構成もクライアント装置110のハードウェア構成と略同一であるクライアント装置120の制御部がクライアント装置120の記憶部に記憶されているプログラムに基づき処理を実行することによってクライアント装置120の機能が実現される。
【0022】
3.情報処理
以下、実施形態1に係る情報処理を説明する。
(1)処理の概要
制御部210は、少なくとも1人以上の作業者が実行した作業の種類ごとの作業にかかった時間を含む作業時間情報を取得する。制御部210は、作業の種類ごとの作業時間情報に基づき作業の種類ごとに作業の短縮に繋がるツール又はサービスを選択する。制御部210は、選択したツール又はサービスの情報を出力する。
このような処理を実行することによって、複数の業務それぞれにおいてどれだけ時間がかかっているかの情報に基づき複数の業務それぞれの作業の短縮に繋がるツール又はサービスの情報を選択し、出力することができる。
【0023】
(2)処理の詳細
【0024】
クライアント装置110の制御部310は、作業者の操作に応じて、サーバー装置100に表示要求を送信し、所定の画面を入出力部330に表示させる。作業者は、作業を開始する際に、所定の画面においてこれから行う作業の種類を選択すると共に、開始ボタンを選択する。実施形態1では特に言及しない限り、作業として、介護施設における介護サービスの提供に係る作業を例に説明を行う。但し、このことは実施形態1を限定するものではない。作業は、医療機関における医療サービスの提供に係る作業、宿泊施設における宿泊に伴うサービスの提供に係る作業、ビルにおけるビル管理に係る作業等であってもよい。すなわち、1つのサービスに複数の作業が含まれ、作業ごとの時間から作業の短縮に繋がるツールやサービスを選択することができればどのような作業及びサービスであってもよい。
【0025】
図4は、情報処理システム1000における情報処理の一例を示すシーケンス図である。
シーケンスSQ401において、制御部310は、画面を介した作業の選択操作に基づき、選択された作業を識別する識別情報を受け取ると共に、開始ボタンの選択操作に基づき、時間の計測を開始する。介護サービスの提供に係る作業としては例えば、体位交換、夜間巡回、実施記録、申し送り、掃除、体操レクリエーション等、様々な作業がある。制御部310は、画面を介した終了ボタンの選択操作に基づき、時間の計測を終了する。
【0026】
シーケンスSQ402において、制御部310は、作業を識別する識別情報と、開始ボタンが選択された時間を示す作業開始時刻情報と、終了ボタンが選択された時間を示す作業終了時刻情報と、を計測時間情報として、サーバー装置100に送信する。
他の例として、制御部310は、開始ボタンが選択された時間を示す作業開始時刻情報と、終了ボタンが選択された時間を示す作業終了時刻情報と、から作業時間を求め、求めた作業時間と、作業を識別する識別情報と、をサーバー装置100に送信するようにしてもよい。
但し、以下では説明の簡略化のため、制御部310は、作業を識別する識別情報と、開始ボタンが選択された時間を示す作業開始時刻情報と、終了ボタンが選択された時間を示す作業終了時刻情報と、を計測時間情報として、サーバー装置100に送信するものとして説明を行う。すなわち、制御部210は、開始時刻情報及び作業終了時刻情報を作業者のクライアント装置110より受け取る。
【0027】
また、制御部310は、複数の作業それぞれの計測時間情報を記憶部320等に蓄積し、1日に1回等、所定のタイミングでそれまで記憶部320等に蓄積していた複数の作業それぞれの計測時間情報をまとめてサーバー装置100に送信するようにしてもよい。
但し、以下では説明の簡略化のため、制御部310は、終了ボタンが選択されるたびに、作業を識別する識別情報と、開始ボタンが選択された時間を示す作業開始時刻情報と、終了ボタンが選択された時間を示す作業終了時刻情報と、を計測時間情報として、サーバー装置100に送信するものとして説明を行う。
【0028】
計測情報を受信すると、シーケンスSQ403において、制御部210は、記憶部220等に計測情報を記憶する。
情報処理システム1000は、シーケンスSQ401からシーケンスSQ403までの処理を繰り返す。例えば、介護施設では3ヶ月に1度、1週間、作業者皆で作業の時間を計測する上述した操作を繰り返す。介護施設での作業者が10人の場合、70人日分の情報が記憶部220等に蓄積される。
【0029】
所定の期間(上述した例では1週間)経過したと判定すると、シーケンスSQ404において、制御部210は、記憶部220等に蓄積されている計測時間情報に基づき、作業の種類ごとの作業者全員分の1日当たりの作業時間を算出する。制御部210は、算出した作業時間を作業者の人数で割って作業時間の平均を求める。また、制御部210は、記憶部220等に蓄積されている計測時間情報に基づき、作業の種類ごとの1日当たりの作業の平均の回数を求める。シーケンスSQ404の処理は、制御部210が少なくとも1人以上の作業者が実行した作業の種類ごとの作業を開始した開始時刻情報及び作業を終了した作業終了時刻情報を受け取り、作業の種類ごとに開始時刻情報及び終了時刻情報に基づいて作業にかかっている時間を示す作業時間情報を算出する処理の一例である。
制御部210が、求めた平均の作業時間及び平均の作業の回数は作業時間情報に含まれる情報である。
【0030】
シーケンスSQ405において、制御部210は、求めた作業の種類ごとの平均の作業時間と、平均の作業回数と、参照テーブルと、に基づいて、作業の種類ごとの作業の短縮に繋がるツール又はサービスを選択する。参照テーブルは、作業の種類ごとの作業時間の閾値(時間閾値)と、作業回数の閾値(回数閾値)と、作業時間が時間閾値を超えていた又は作業回数が回数閾値場合のツール又はサービスと、が対応付けられたテーブルである。
【0031】
図5は、参照テーブルの一例を示す図である。
図5に示されるように、参照テーブルは、項目として、作業の種類と、時間閾値と、回数閾値と、ツール又はサービスと、を含む。作業の種類には、作業の種類が格納されている。作業の種類の例としては、体位交換、夜間巡回、実施記録、申し送り、掃除、体操レクリエーション等、である。時間閾値には、作業の種類ごとの予め設定された作業時間の閾値が格納されている。回数閾値には、作業の種類ごとの予め設定された作業回数の閾値が格納されている。実施形態1の時間閾値及び回数閾値は固定値である。ツール又はサービスには、作業の種類ごとの作業の短縮に繋がるツール又はサービスが格納されている。作業の短縮に繋がるツールとしては、例えば、見守り機器、インカム(インターコミュニケーション)、チャットツール、掃除ロボット、福祉用具、エアマット、電動ベッド、シャワー入浴装置、介護リフト、介護記録ソフト等が含まれる。見守り機器とは、介護施設の利用者の部屋及び/又はベッド等にセンサ、カメラ等を設置し、人工知能等を用いて利用者の異常及び予兆を検知するシステムである。福祉用具とは、日常生活に支障のある障害者や要介護者・要支援者の生活の便宜を図るための用具、及び機能訓練のための用具のことである。義肢や車椅子等の補装具と呼ばれる機能補助用具も福祉用具に含まれる。
【0032】
シーケンスSQ405の処理は、制御部210が、作業の種類ごとの作業時間情報と、参照情報と、に基づき作業の種類ごとに作業の短縮に繋がるツール又はサービスを選択する処理の一例である。参照情報は、作業の種類ごとの作業時間の閾値と、作業の種類ごとの作業回数の閾値と、作業時間情報で示される作業にかかっている時間が作業時間の閾値を超えていた場合又は作業時間情報で示される作業の回数が作業回数の閾値を超えていた場合のツール又はサービスと、が対応付けられた情報である。すなわち、参照テーブルは、参照情報の一例である。
【0033】
例えば、体位交換の平均の作業時間が閾値の60分を超えている場合、制御部210は、体位交換の短縮に繋がるツールとしてエアマットを選択する。同様に、体操レクリエーションの平均の作業時間が閾値の60分を超えている場合、制御部210は、体操レクリエーションの短縮に繋がるサービスとして体操サービス(外注)を選択する。又は夜間巡回の回数が閾値の8回を超えている場合、制御部210は、夜間巡回の短縮に繋がるツールとして見守り機器を選択する。
他の例として、制御部210は、該当する作業の作業時間が作業時間の閾値を超え、かつ、該当する作業の作業回数が作業回数の閾値を超えていた場合に、該当する作業の短縮に繋がるツール、又はサービスを選択するようにしてもよい。
例えば、制御部210は、時間閾値、又は回数閾値を超えていた場合に、ツール又はサービスを選択する動作モードで動作するか、時間閾値、及び回数閾値を超えていた場合に、ツール又はサービスを選択する動作モードで動作するか、記憶部220等に記憶されている設定ファイルの設定に基づいて動作モードを切り替えるようにしてもよい。制御部210は、他の装置からの制御信号等に基づき、設定ファイルの設定を変更することができる。
【0034】
シーケンスSQ406において、制御部210は、シーケンスSQ405で選択したツール又はサービスの情報を含む画面を生成する。制御部210は、作業の短縮に繋がるツール又はサービスを含む画面にアクセス可能な情報(例えば、URL(Uniform Resource Locator))等をクライアント装置120に送信する。
画面へのアクセス要求を受信すると、シーケンスSQ407において、制御部210は、画面をクライアント装置120に送信する。
シーケンスSQ407の処理は、制御部210が、選択したツール又はサービスの情報を作業者が所属する事業所の端末装置に送信する処理の一例である。
【0035】
シーケンスSQ408において、制御部310は、URL等の情報に基づき画面にアクセスし、クライアント装置120のディスプレイ等に作業の短縮に繋がるツール又はサービスを含む画面を表示する。
このようにすることによって、作業者が所属する事業者の担当者はどのようなツール又はサービスを導入することによって作業が短縮されるのかひと目で把握することができる。
【0036】
他の例として、制御部210は、クライアント装置120と共に、又はクライアント装置120の替りにクライアント装置110に対して作業の短縮に繋がるツール又はサービスを含む画面にアクセス可能な情報を送信するようにしてもよい。画面へのアクセス要求を受信すると、制御部210は、画面をクライアント装置110に送信する。
このようにすることによって、作業者はどのようなツール又はサービスを導入することによって作業が短縮されるのかひと目で把握することができる。
【0037】
実施形態1の処理によれば、複数の業務それぞれにおいてどれだけ時間がかかっているかの情報に基づき複数の業務それぞれの作業の短縮に繋がるツール又はサービスの情報を選択し、出力することができる。
【0038】
(変形例1)
変形例1は実施形態1と異なる点について説明する。変形例1において実施形態1と同様の箇所は説明を省略する。変形例1は実施形態1と異なる実施形態ではなく実施形態1に含まれるものである。
【0039】
図6は、変形例1の情報処理システム1000における情報処理の一例を示すシーケンス図である。
図6において、
図4と同様の箇所には同様の符号を付して説明を省略する。
【0040】
シーケンスSQ601において、制御部210は、クライアント装置110の作業者が所属する事業所に導入済みのツール及びサービスの情報を記憶部220等より取得する。変形例1において事業所に導入済みのツール及びサービスの情報は、例えば、クライアント装置120等から取得され、記憶部220等に記憶されているものとする。
シーケンスSQ601の処理は、制御部210が、導入済みのツール又はサービスの情報である導入済み情報を取得する処理の一例である。
【0041】
なお、シーケンスSQ601の処理と、シーケンスSQ404の処理と、の順序は問わない。どちらが先であってもよいし、同時であってもよい。
【0042】
シーケンスSQ602において、制御部210は、求めた作業の種類ごとの平均の作業時間と、平均の作業回数と、参照テーブルと、導入済み情報と、に基づき、まだ導入されていないツール又はサービススであり、かつ、作業の種類ごとに作業の短縮に繋がるツール又はサービスを選択する。例えば、体位交換の平均の作業時間が閾値の60分を超えている場合、制御部210は、エアマットを体位交換の短縮に繋がる候補のツールとして選択するが、エアマットが事業所にすでに導入済みの場合は体位交換の短縮に繋がる最終的なツールとしては選択しない。一方、体操レクリエーションの平均の作業時間が閾値の60分を超えている場合、制御部210は、体操サービス(外注)を体操レクリエーションの短縮に繋がる候補のサービスとして選択し、体操サービス(外注)が事業所においてまだ導入されていない場合は体操レクリエーションの短縮に繋がる最終的なサービスとして選択する。
シーケンスSQ602の処理は、作業の種類ごとの作業時間情報と、参照情報と、導入済み情報と、に基づき、まだ導入されていないツール又はサービススであり、かつ、作業の種類ごとに作業の短縮に繋がるツール又はサービスを選択する処理の一例である。
【0043】
変形例1の処理によれば、まだ導入されておらず、かつ、作業の種類ごとに作業の短縮に繋がるツール又はサービスを選択し、出力することができる。
【0044】
(変形例2)
変形例2は実施形態1と異なる点について説明する。変形例2において実施形態1と同様の箇所は説明を省略する。変形例2は実施形態1と異なる実施形態ではなく実施形態1に含まれるものである。
【0045】
図7は、変形例2の情報処理システム1000における情報処理の一例を示すシーケンス図である。
図7において、
図4と同様の箇所には同様の符号を付して説明を省略する。
【0046】
シーケンスSQ701において、制御部210は、クライアント装置120から施設の規模を示す施設規模情報を受信する。施設規模情報には、少なくとも、施設に入居している入居者の人数、施設で働いている作業者の人数、施設の広さを示す広さ情報、施設のフロア数を示すフロア情報、施設のユニット数を示すユニット情報のうち1つ以上の情報が含まれる。ユニットは、フロアを所定の居室数で分割した、居室のグループである。1つのフロアには1又は複数のユニットが含まれる。1つのユニットには、1又は複数の居室が含まれる。
シーケンスSQ701の処理は、制御部210が、作業者が作業を行う施設の規模を示す情報に基づき閾値を変更する処理の一例である。
【0047】
シーケンスSQ702において、制御部210は、受信した施設規模情報に基づき、参照テーブルに含まれる作業時間の閾値及び/又は作業回数の閾値を変更する。例えば、施設規模情報に含まれる施設の広さを示す情報によって示される広さが、基準の広さより広い場合、制御部210は、広さに応じて、所定の作業時間の閾値(例えば、夜間巡回の作業時間の閾値及び掃除の作業時間の閾値)が示す時間が長くなるように変更する。
図8は、施設規模に応じて閾値を変更した一例を示す図である。
図8の例では、夜間巡回の作業時間の閾値及び掃除の作業時間の閾値が示す時間が長くなるように変更されている。
一方、施設規模情報に含まれる施設の広さを示す情報によって示される広さが、基準の広さより狭い場合、制御部210は、広さに応じて、所定の作業時間の閾値(例えば、夜間巡回の作業時間の閾値及び掃除の作業時間の閾値)が示す時間が短くなるように変更する。
【0048】
変形例2によれば、施設の規模に応じた適切な作業時間の閾値及び/又は作業回数の閾値を設定、又は変更することができる。
なお、サーバー装置100は、施設規模情報をクライアント装置110から受け取るようにしてもよい。
【0049】
(変形例3)
変形例3は実施形態1と異なる点について説明する。変形例3において実施形態1と同様の箇所は説明を省略する。変形例3は実施形態1と異なる実施形態ではなく実施形態1に含まれるものである。
【0050】
図9は、変化例3の情報処理システム1000における情報処理の一例を示すシーケンス図である。
図8において、
図4と同様の箇所には同様の符号を付して説明を省略する。
【0051】
シーケンスSQ901において、制御部210は、クライアント装置120から施設の入居者及び/又は利用者それぞれの介護度を受信する。ここで介護度(要介護状態等区分ともいう)とは、要介護認定、要支援認定で判定される介護の必要性の程度等を示す値である。介護度は、施設の入居者及び/又は利用者の状態の一例である。状態の他の例としては、ADL(Activities of Daily Living)のレベル等がある。施設の入居者及び/又は利用者の状態は、アセスメントの結果に基づきクライアント装置120から取得することができる。施設の入居者及び/又は利用者の状態を示すものであれば、介護度やADLのレベルに限られない。ただし、以下では説明の簡略化のため、入居者及び/又は利用者の状態を示すものとして介護度を例に説明を行う。
【0052】
シーケンスSQ702において、制御部210は、受信した入居者及び/又は利用者それぞれの介護度に基づき、例えば入居者及び/又は利用者の平均の介護度を求める。制御部210は、求めた平均の介護度に基づき、参照テーブルに含まれる作業時間の閾値及び/又は作業回数の閾値を変更する。例えば、平均の介護度が基準の介護度より重い場合、制御部210は、介護度に応じて作業時間の閾値が示す時間が長くなるように変更する。
図10は、介護度に応じて閾値を変更した一例を示す図である。
図10の例では、すべての作業時間の閾値が示す時間が長くなるように変更されている。
一方、平均の介護度が基準の介護度より低い場合、制御部210は、介護度に応じて作業時間の閾値が示す時間が短くなるように変更する。
【0053】
変形例3によれば、入居者及び/又は利用者それぞれの介護度に応じた適切な作業時間の閾値及び/又は作業回数の閾値を設定、又は変更することができる。
なお、サーバー装置100は、介護度をクライアント装置110から受け取るようにしてもよい。
【0054】
<付記>
発明は、次に記載の各態様で提供されてもよい。
【0055】
(付記1)
タイムスタディシステムであって、
少なくとも1つ以上の制御部を有し、
前記制御部は、
少なくとも1人以上の作業者が実行した作業の種類ごとの作業にかかった時間を含む作業時間情報を取得し、
作業の種類ごとの前記作業時間情報に基づき前記作業の種類ごとに作業の短縮に繋がるツール又はサービスを選択し、
選択したツール又はサービスの情報を出力する、
タイムスタディシステム。
【0056】
(付記2)
付記1に記載のタイムスタディシステムにおいて、
前記制御部は、
少なくとも1人以上の作業者が実行した作業の種類ごとの作業を開始した開始時刻情報及び前記作業を終了した終了時刻情報を受け取り、
作業の種類ごとに前記開始時刻情報及び前記終了時刻情報に基づいて前記作業時間情報を算出する、
タイムスタディシステム。
【0057】
(付記3)
付記1に記載のタイムスタディシステムにおいて、
前記制御部は、
作業の種類ごとの前記作業時間情報と、参照情報と、に基づき前記作業の種類ごとに作業の短縮に繋がるツール又はサービスを選択し、
前記作業時間情報には、作業の種類ごとの作業時間及び作業回数が含まれ、
前記参照情報は、作業の種類ごとの作業時間の閾値と、作業の種類ごとの作業回数の閾値と、前記作業時間情報で示される作業にかかっている時間が前記作業時間の閾値を超えていた場合又は前記作業時間情報で示される作業の回数が前記作業回数の閾値を超えていた場合のツール又はサービスと、が対応付けられた情報である、
タイムスタディシステム。
【0058】
(付記4)
付記3に記載のタイムスタディシステムにおいて、
前記作業時間の閾値及び前記作業回数の閾値は固定値である、
タイムスタディシステム。
【0059】
(付記5)
付記3に記載のタイムスタディシステムにおいて、
前記制御部は、
前記作業者が作業を行う施設の規模を示す情報に基づき前記作業時間の閾値又は前記作業回数の閾値を変更し、
前記施設の規模を示す情報には、少なくとも、前記施設に入居している入居者の人数、前記施設で働いている作業者の人数、前記施設の広さを示す広さ情報、前記施設のフロア数を示すフロア情報、前記施設のユニット数を示すユニット情報のうち1つ以上の情報が含まれる、
タイムスタディシステム。
【0060】
(付記6)
付記3に記載のタイムスタディシステムにおいて、
前記制御部は、
前記作業は介護サービスの提供に係る作業であり、
前記作業者が作業を行う対象者の状態に基づき前記閾値を変更する、
タイムスタディシステム。
【0061】
(付記7)
付記3に記載のタイムスタディシステムにおいて、
前記制御部は、
導入済みのツール又はサービスの情報である導入済み情報を取得し、
作業の種類ごとの前記作業時間情報と、前記参照情報と、前記導入済み情報と、に基づき、まだ導入されていないツール又はサービススであり、かつ、前記作業の種類ごとに作業の短縮に繋がるツール又はサービスを選択する、
タイムスタディシステム。
【0062】
(付記8)
付記1に記載のタイムスタディシステムにおいて、
前記制御部が作業の種類ごとの前記作業時間情報に基づきツールを選択した場合、
前記ツールには、少なくとも、見守り機器、インカム、チャットツール、掃除ロボ、福祉用具、エアマット、電動ベッド、シャワー入浴装置、介護リフト、又は介護記録ソフトが含まれる、
タイムスタディシステム。
【0063】
(付記9)
付記2に記載のタイムスタディシステムにおいて、
前記制御部は、
前記開始時刻情報及び前記終了時刻情報を前記作業者の携帯端末装置より受け取る、
タイムスタディシステム。
【0064】
(付記10)
付記1に記載のタイムスタディシステムにおいて、
前記制御部は、
選択したツール又はサービスの情報を前記作業者の携帯端末装置又は前記作業者が所属する事業所の端末装置に送信する、
タイムスタディシステム。
【0065】
(付記11)
付記1に記載のタイムスタディシステムにおいて、
前記作業時間情報には作業の回数の情報も含まれる、
タイムスタディシステム。
【0066】
(付記12)
タイムスタディシステムが実行する情報処理方法であって、
少なくとも1人以上の作業者が実行した作業の種類ごとの作業にかかった時間を含む作業時間情報を取得し、
作業の種類ごとの前記作業時間情報に基づき前記作業の種類ごとに作業の短縮に繋がるツール又はサービスを選択し、
選択したツール又はサービスの情報を出力する、
情報処理方法。
【0067】
(付記13)
プログラムであって、
コンピュータを、
付記1から付記11までの何れか1項に記載のタイムスタディシステムとして機能させるためのプログラム。
【0068】
上述した実施形態1及び複数の変形例は任意に組み合わせて実施されてもよい。
【0069】
最後に、本発明に係る種々の実施形態を説明したが、これらは、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0070】
100 :サーバー装置
110 :クライアント装置
120 :クライアント装置
150 :ネットワーク
210 :制御部
220 :記憶部
230 :通信部
310 :制御部
320 :記憶部
330 :入出力部
340 :通信部
1000 :情報処理システム
【要約】 (修正有)
【課題】タイムスタディによる業務分析を行うタイムスタディシステム、情報処理方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】情報処理システムにおける情報処理方法であって、サーバー装置少なくとも1つ以上の制御部を有する。制御部は、少なくとも1人以上の作業者が実行した作業の種類毎の作業にかかった時間を示す作業時間情報を取得するSQ402ことと、作業の種類毎の作業時間情報に基づき作業の種類毎に作業の短縮に繋がるツール又はサービスを選択することSQ405と、選択したツール又はサービスの情報を出力することSQ407と、を含む。
【選択図】
図4