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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-18
(45)【発行日】2024-12-26
(54)【発明の名称】ざ瘡の処置のためのアンモニア酸化細菌
(51)【国際特許分類】
   A61K 35/74 20150101AFI20241219BHJP
   A61K 8/02 20060101ALI20241219BHJP
   A61K 8/99 20170101ALI20241219BHJP
   A61K 9/12 20060101ALI20241219BHJP
   A61P 17/10 20060101ALI20241219BHJP
   A61P 31/04 20060101ALI20241219BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20241219BHJP
   A61K 33/02 20060101ALN20241219BHJP
【FI】
A61K35/74 A
A61K8/02
A61K8/99
A61K9/12
A61P17/10
A61P31/04
A61Q19/00
A61K33/02
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2017568354
(86)(22)【出願日】2016-07-01
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2018-08-30
(86)【国際出願番号】 US2016040756
(87)【国際公開番号】W WO2017004557
(87)【国際公開日】2017-01-05
【審査請求日】2019-07-01
【審判番号】
【審判請求日】2022-07-01
(31)【優先権主張番号】14/882,284
(32)【優先日】2015-10-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/188,343
(32)【優先日】2015-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/189,105
(32)【優先日】2015-07-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516216874
【氏名又は名称】エーオーバイオーム, エルエルシー.
【氏名又は名称原語表記】AOBiome, LLC.
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ウィットロック, デイビッド アール.
(72)【発明者】
【氏名】ジャーマズ, スピロス
(72)【発明者】
【氏名】ワイス, ラリー
【合議体】
【審判長】松波 由美子
【審判官】井上 典之
【審判官】岡山 太一郎
(56)【参考文献】
【文献】特表2005-515218(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0134951(US,A1)
【文献】特表2013-545813(JP,A)
【文献】特表2004-506028(JP,A)
【文献】特表2007-508247(JP,A)
【文献】特表2017-519486(JP,A)
【文献】特許第7088986(JP,B2)
【文献】特表2018-522878(JP,A)
【文献】GRYLLOS,I.et al.,”Ammonia-oxidizing bacteria for the generation and delivery of acidified nitrite and nitric oxide in vivo”,Nitric Oxide,2014,Vol.42,p.124,P129,https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S1089860314003693
【文献】廣田隆一ほか,「アンモニア酸化細菌の分子生物学」,Journal of Environmental Biotechnology(環境バイオテクノロジー学会誌),2002,Vol.2,No.2,p.135-143,https://www.jseb.jp/wordpress/wp-content/uploads/02-02-135.PDF
【文献】山本勇,「脱窒を担う細菌と遺伝子群 環境浄化への利用に向けて」,化学と生物,2000,Vol.38,No.5,p.301-308,https://www.jstage.jst.go.jp/article/kagakutoseibutsu1962/38/5/38_5_301/_pdf/-char/ja
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 35/00- 35/768
A61K 9/00- 9/72
A61K 47/00- 47/69
A61P 1/00- 43/00
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00- 90/00
CAPLUS/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象におけるざ瘡の炎症性病変または非炎症性病変を処置するための組成物であって、前記組成物は、ATCC受託番号PTA-121157を有するNitrosomonas eutropha(N.eutropha)D23細菌を含み、前記組成物は、スプレー、エアロゾルまたはミストとして、ざ瘡の炎症性病変または非炎症性病変を処置するのに有効な量で前記対象の皮膚に投与されるものであることを特徴とする、組成物。
【請求項2】
前記炎症性病変が、丘疹、膿疱、または嚢胞/結節を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記非炎症性病変が、開放面皰、または閉鎖面皰を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記組成物が、紅斑、浮腫、落屑、刺痛感、灼熱感、およびそう痒感のうちの1つまたは複数の処置または改善のためである、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記組成物が、脂性の外観、毛穴の外観、つや、しみ、皮膚の色調の均一性、視覚的滑らかさ、および触覚的滑らかさのうちの1つまたは複数の処置または改善のためである、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記組成物が、緩衝溶液を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記緩衝溶液が、リン酸二ナトリウムおよび塩化マグネシウムからなる、水性緩衝溶液である、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
前記組成物が、前記対象の顔、首、頭皮、頭、肩、腕、脚、脇、胴体、足、膝、足首、または臀部のうちのいずれか1つまたは複数に適用される、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記組成物が、添加剤をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
前記組成物が、7日間から28日間適用される、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
前記組成物が、前記対象に
以下:
局所レチノイド、アゼライン酸、サリチル酸、局所抗微小生物薬、経口抗生物質、過酸化ベンゾイル、経口抗アンドロゲン、経口イソトレチノイン、およびそれらの組合せ
からなる群から選択されるざ瘡処置で投与されることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
前記組成物が、アンモニアまたはアンモニウムを亜硝酸塩に1分当たり少なくとも50マイクロモルの亜硝酸塩の速度で変換することができる、N.eutropha)D23細菌を含む、請求項1に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2015年4月15日に出願された国際特許出願番号第PCT/US2015/025909の一部継続出願であり、この国際特許出願は、2014年4月15日に出願されたギリシャ特許出願番号第20140100217号、2014年5月22日に出願された米国仮出願番号第62/002084号、2014年6月16日に出願された米国仮出願番号第62/012811号、2014年9月22日に出願された米国仮出願番号第62/053588号、および2015年3月13日に出願されたギリシャ特許出願番号第20150100115号に基づく優先権を主張しており、これら出願の内容はそれらの全体が参考として本明細書中に援用される。本出願はまた、2015年7月2日に出願された米国仮出願番号第62/188343号および2015年7月6日に出願された米国仮出願番号第62/189105号に基づく優先権を主張している。
【背景技術】
【0002】
背景
有益細菌は、病原性細菌の増殖を抑制するために使用することができる。細菌および他の微生物は、環境中に遍在する。病原性細菌の発見および疾患の病原菌説は、健康および疾患状態に対して多大な影響を与えている。細菌は、すべての生き物の環境の通常の一部である。腸において、これらの細菌は、通常の条件下で病原性でなく、実際には、通常の腸の内容物を、疾患を引き起こす生物にとってあまり適していないものにすることによって健康を改善する。疾患予防は、以下の多くの方式で実行される:栄養素を消費して、病原体のためにあまり残さないこと;病原体にとって適していないpHおよび酸素圧等の条件を生成すること;病原体に対して毒性の化合物を生成すること;これらの微生物が病原体を食物として消費すること;病原体が利用可能な状態にある物理的空間を減らすこと;ならびに特異的結合部位を占有して、病原体が利用可能なままの結合部位を少なくすること。これらの望ましい細菌の存在は、疾患状態の予防において有用と見られている。
【0003】
例えば、皮膚状態、例えば、ざ瘡、例えば、尋常性ざ瘡の処置に関して、病原性細菌の増殖を抑制することができる改善された有益細菌が、当技術分野で必要とされている。
【0004】
ざ瘡は、最も一般的な皮膚疾患および皮膚科医診察の報告された原因の第1位であり、米国の皮膚科医の患者数のうちの約4分の1を占める。伝統的には些細な「通常の」状態と考えられていたが、ざ瘡は、近年、慢性疾患であり、てんかん、喘息、糖尿病または関節炎を有する患者によって報告されたものと同程度の社会的、心理的および感情的機能障害により、個人の生活の質に重大な影響を及ぼし得る慢性疾患であると医学的に再定義されている。米国だけで、ほぼ4000から5000万人がざ瘡に罹患しており、20~25%が中等度から重度のざ瘡を患っている。上位10位の銘柄のざ瘡治療薬の米国売上高のランレートは$30億であり、内訳は全身レチノイドで$15億、経口抗生物質で$7億、局所抗生物質で$6億および局所レチノイドで$2.4億である。世界的には、ざ瘡の有病率は、青年のうちのほぼ80%および若年成人のうちの50%である。処方薬および市販薬への相当な支出にもかかわらず、処置がわずかに有効であること(局所抗生物質、局所レチノイド、収斂剤)および/または深刻なリスクを伴うこと(経口レチノイド)により、ざ瘡は、重大な満たされていない医学的必要性を有する領域のままである。炎症性および非炎症性ざ瘡病変を予防および処置するための安全かつ有効な製品に対する必要性に加えて、過剰な皮脂産生を標的とする局所療法に対する実質的な満たされていない必要性および商機が存在する。
【表1】
【0005】
理想的な標的製品は、以下の特性:自己投与されること(例えば、毎日1回、例えば、毎日2回);無臭であり、無色であり、目に見えないこと;日光に対する感受性の増加を伴わないこと;安全であり、摂取/吸入された場合に非毒性であり、皮膚、隣接する粘膜および眼における忍容性が良好であること;抗生物質耐性を助長するリスクなしに処置および維持療法の両方に適当であること;ならびに局部的に作用して、(優先度順に):病変の頻度を低減すること(抗生物質、抗炎症薬);病変の持続期間を低減すること(改善された治癒);病変の炎症を低減すること(抗炎症薬);異常な色素沈着および瘢痕を潜在的に予防または低減すること(改善された治癒);損傷を受けた皮膚の治癒を早めること(改善された治癒);過剰な皮脂の産生を低減すること;および病原性細菌の存在を減少させること(抗生物質)のうちの1つまたは複数を有し得る。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【文献】Global Data;AcneAcademy、2010年
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
要旨
本開示は、対象の皮膚障害、例えば、ざ瘡、例えば、尋常性ざ瘡を処置する方法を提供する。この方法は、対象の表面に、アンモニア酸化細菌、例えば、アンモニア酸化細菌を含む調製物を投与すること、例えば、適用すること、例えば、局所投与することを含む。
【0008】
一部の実施形態では、投与、例えば、適用の量および頻度は、対象の表面上の病原性細菌、例えば、Propionibacterium acnesの量または濃度を低減するのに十分である。一部の事例では、この量は、アンモニア酸化細菌の治療有効用量である。一部の事例では、皮膚障害は、ざ瘡、例えば、尋常性ざ瘡である。
【0009】
一部の実施形態では、投与することは、炎症性病変、例えば、丘疹、膿疱、嚢胞/結節の処置を提供する。一部の実施形態では、投与することは、非炎症性病変、例えば、開放面皰、閉鎖面皰の処置を提供する。一部の実施形態では、投与することは、炎症後色素沈着亢進/炎症後紅斑(PIH/PIE)病変の処置または改善を提供する。一部の実施形態では、投与することは、紅斑、浮腫、落屑、刺痛感、灼熱感、およびそう痒感のうちの1つまたは複数の処置または改善を提供する。一部の実施形態では、投与することは、脂性の外観、毛穴の外観、つや、しみ、皮膚の色調の均一性、視覚的滑らかさ、および触覚的滑らかさのうちの1つまたは複数の処置または改善を提供する。一部の実施形態では、投与することは、セブメーター測定値の処置または改善を提供する。
【0010】
一部の実施形態では、投与することは、対象をアンモニア酸化細菌で前処置することを含む。一部の実施形態では、局所投与することは、皮膚障害の発症前に局所投与することを含む。一部の実施形態では、局所投与することは、対象に、有効用量のアンモニア酸化細菌を局所投与することを含む。一部の事例では、有効用量は、約0.1×10、0.2×10、0.3×10、0.4×10、0.5×10、0.6×10、0.7×10、0.8×10、0.9×10、1.0×10、1.2×10、1.4×10、1.5×10、1.6×10、1.8×10、2.0×10、2.2×10、2.4×10、2.6×10、2.8×10、3.0×10、3.2×10、3.4×10、3.6×10、3.8×10、4.0×10、4.2×10、4.4×10、4.6×10、4.8×10、5.0×10、5.5×10、6.0×10、6.5×10、7.0×10、7.5×10、8.0×10、8.5×10、9.0×10、9.5×10、10.0×10、12×10、14×10、16×10、18×10、20×10、25×10、30×10、40×10、50×10CFUである。
【0011】
一部の実施形態では、皮膚障害は、対象の標的部位にあり、1種または複数の望ましくない細菌、例えば、病原性細菌を含む。一部の事例では、標的部位は、Propionibacterium acnesを含む。
【0012】
一部の実施形態では、方法は、対象が皮膚障害の処置を必要としているか否かを決定すること、例えば、対象がざ瘡、例えば、尋常性ざ瘡の処置を必要としているか否かを決定することをさらに含む。一部の実施形態では、方法は、皮膚障害の処置を必要とする対象を選択することをさらに含む。
【0013】
一部の実施形態では、アンモニア酸化細菌、例えば、アンモニア酸化細菌を含む調製物は、エアロゾル、スプレーまたはミストであることが可能であり得る形態、すなわち、ミストの形態であってもよい。一部の実施形態では、アンモニア酸化細菌、例えば、調製物は、例えば、水性媒体中のエアロゾルまたはミストとして適用されてもよい。一部の実施形態では、アンモニア酸化細菌、例えば、アンモニア酸化細菌の調製物は、緩衝溶液、例えば、水性緩衝溶液中のアンモニア酸化細菌であってもよい。一部の事例では、緩衝溶液、例えば、水性緩衝溶液は、水中のリン酸二ナトリウムおよび塩化マグネシウム、例えば、50mM NaHPOおよび2mM MgClを含む。一部の事例では、緩衝溶液、例えば、水性緩衝溶液は、水中のリン酸二ナトリウムおよび塩化マグネシウム、例えば、50mM NaHPOおよび2mM MgClから本質的になる。一部の事例では、緩衝溶液、例えば、水性緩衝溶液は、水中のリン酸二ナトリウムおよび塩化マグネシウム、例えば、50mM NaHPOおよび2mM MgClからなる。
【0014】
一部の実施形態では、方法は、対象が、対象の表面上の病原性細菌、例えば、Propionibacterium acnesの量または濃度の低減を必要としていることに基づいて、対象を選択することをさらに含む。一部の実施形態では、アンモニア酸化細菌は、自己投与される。
【0015】
一部の実施形態では、アンモニア酸化細菌は、対象の顔、首、および頭皮のうちのいずれか1つまたは複数に適用される。
【0016】
一部の実施形態では、調製物は、アンモニア、アンモニウム塩、および尿素のうちの少なくとも1つを含む。一部の事例では、調製物は、制御放出性材料、例えば、遅延放出性材料を含む。一部の事例では、アンモニア酸化細菌の調製物は、添加剤、例えば、薬学的に許容される添加剤または化粧品として許容される添加剤のうちの1つをさらに含む。一部の事例では、添加剤、例えば、薬学的に許容される添加剤および化粧品として許容される添加剤のうちの1つは、界面活性剤である。一部の事例では、調製物は、他の生物を実質的に含有しない。一部の事例では、調製物は、粉末、化粧品、クリーム、スティック、エアロゾル、例えば、ミスト、膏薬、ワイプ、または包帯中に配置される。一部の事例では、調製物は、粉末、化粧品、クリーム、スティック、エアロゾル、例えば、ミスト、膏薬、ワイプ、または包帯として提供される。一部の事例では、調製物は、保湿剤、脱臭剤、芳香剤、着色料、昆虫忌避剤、クレンジング剤、またはUVブロック剤を含む。一部の事例では、添加剤、例えば、薬学的に許容される添加剤または化粧品として許容される添加剤は、抗接着剤、結合剤、コーティング剤、崩壊剤、フィラー、香料、着色剤、滑沢剤、流動促進剤、吸着剤、保存剤、または甘味剤を含む。
【0017】
一部の事例では、アンモニア酸化細菌を含む調製物は、約10から約1014CFU/Lを含む。一部の事例では、アンモニア酸化細菌を含む調製物は、約10から約1014CFU/mLを含む。一部の事例では、調製物は、約1×10CFU/Lから約10×10CFU/Lの間を含む。一部の事例では、調製物は、約1×10CFU/mLから約10×10CFU/mLの間を含む。
【0018】
一部の実施形態では、アンモニア酸化細菌を含む調製物は、約50ミリグラム(mg)から約1000mgの間のアンモニア酸化細菌を含む。一部の事例では、添加剤、例えば、薬学的に許容される添加剤または化粧品として許容される添加剤に対するアンモニア酸化細菌の質量比は、1リットル当たり約0.1グラムから約1グラムの範囲である。
【0019】
一部の実施形態では、アンモニア酸化細菌は、Nitrosomonas、Nitrosococcus、Nitrosospira、Nitrosocystis、Nitrosolobus、Nitrosovibrio、およびそれらの組合せからなる群から選択される。一部の事例では、アンモニア酸化細菌は、Nitrosomonas eutropha(N.eutropha)である。一部の事例では、アンモニア酸化細菌は、ATCC受託番号PTA-121157を有するN.eutropha D23である。
【0020】
一部の実施形態では、調製物は、Lactobacillus、Streptococcus、Bifidobacter、およびそれらの組合せからなる群から選択される生物を含む。
【0021】
一部の実施形態では、化粧製品を送達するための、方法が提供される。一部の実施形態では、治療製品を送達するための、方法が提供される。
【0022】
一部の実施形態では、調製物は、容器中に提供され、調製物および容器は、約50、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、1500、または2000グラム未満の重量を有する。
【0023】
一部の実施形態では、調製物は、1日当たり約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、または24回適用される。一部の事例では、調製物は、1日当たり1回適用される。一部の事例では、調製物は、1日当たり2回適用される。
【0024】
一部の実施形態では、調製物は、約1~3、3~5、5~7、7~9、5~10、10~14、12~18、12~21、21~28、28~35、35~42、42~49、49~56、46~63、63~70、70~77、77~84、または84~91日間適用される。一部の事例では、調製物は、約7日間適用される。一部の事例では、調製物は、約14日間適用される。一部の事例では、調製物は、約21日間適用される。一部の事例では、調製物は、約28日間適用される。
【0025】
一部の実施形態では、方法は、皮膚の表面から試料を入手することをさらに含む。一部の事例では、方法は、試料中の細菌のDNAを単離することをさらに含む。一部の事例では、方法は、試料中の細菌のDNAを配列決定することをさらに含む。一部の事例では、細菌は、Propionibacterium acnesである。
【0026】
一部の実施形態では、アンモニア酸化細菌を投与することは、Propionibacterium acnesの減少を提供する。一部の事例では、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、または28日後に、Propionibacterium acnesが減少する、例えば、Propionibacterium acnesの濃度が減少する。
【0027】
一部の実施形態では、方法は、シャンプー、コンディショナー、および洗浄剤、例えば、顔用洗浄剤のうちの1つまたは複数を投与すること、例えば、自己投与することをさらに含む。ある特定の事例では、シャンプー、コンディショナー、および顔用洗浄剤のうちのいずれか1つまたは複数は、1日当たり1回適用される。ある特定の事例では、使用されたシャンプーは、ロット293178であった。ある特定の事例では、使用された洗浄剤は、ロット293162であった。ある特定の事例では、シャンプー、コンディショナー、および石鹸のうちの少なくとも1つが、アンモニア酸化細菌の投与を中止することに続いて使用された。ある特定の事例では、シャンプー、コンディショナー、および石鹸のうちの少なくとも1つが、アンモニア酸化細菌の調製物の中止に続いて使用された。
【0028】
一部の実施形態では、対象は、処置を始める前、例えば、アンモニア酸化細菌を投与する前に評価された。一部の実施形態では、対象は、処置を始めてから、例えば、アンモニア酸化細菌を投与してから1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42日;または7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52週間;または2、3年、4、もしくは5年後に評価された。
【0029】
一部の実施形態では、アンモニア酸化細菌、例えば、アンモニア酸化細菌の調製物を投与することは、以下:病変の炎症を低減すること、病変の頻度を低減すること、および病原性細菌、例えば、Propionibacterium acnesの存在を減少させることのうちの1つまたは複数を提供する。一部の事例では、調製物を投与することは、病変の炎症の低減を提供する。一部の事例では、調製物を投与することは、成人における病変の炎症の低減を提供する。一部の事例では、調製物を投与することは、病変の頻度の低減を提供する。一部の事例では、調製物を投与することは、病原性細菌、例えば、Propionibacterium acnesの存在の減少を提供する。一部の事例では、調製物を投与することは、Skindex16生活の質調査によって測定される対象の疾患についての対象の感情的アセスメントの改善を提供する。一部の事例では、調製物を投与することは、以下:対象における皮膚状態の痛み、対象における皮膚状態の持続/再発症、および対象における皮膚状態の外観のうちの1つまたは複数の改善を提供する。一部の事例では、調製物を投与することは、臨床評定に従って、以下:視覚的および触覚的滑らかさ、ならびにしみについての評定スコアのうちの1つまたは複数の改善(減少)を提供する。
【0030】
一部の実施形態では、対象は、女性である。他の実施形態では、対象は、男性である。一部の事例では、対象は、以下の民族/人種:アジア系、黒人もしくはアフリカ系アメリカ人、ヒスパニック系もしくはラテン系、白人、または多民族系のうちの1つである。一部の事例では、対象は、以下の皮膚タイプ:普通肌、脂性肌、および混合肌のうちの少なくとも1つを有すると特徴付けられる。一部の事例では、対象は、以下のFitzpatrick皮膚タイプ:I、II、III、IV、Vのうちの1つを有すると特徴付けられる。一部の事例では、ざ瘡は、思春期ざ瘡として特徴付けられる。一部の事例では、ざ瘡は、成人ざ瘡として特徴付けられる。一部の事例では、対象の年齢は、約12~15歳、16~18歳、19~28歳の間、または28歳を超える。
【0031】
一部の実施形態では、以下:局所レチノイド、アゼライン酸(azaelaic acid)、サリチル酸、局所抗微小生物薬、経口抗生物質、過酸化ベンゾイル、経口抗アンドロゲン、経口イソトレチノイン、およびそれらの組合せからなる群から選択されるざ瘡処置が、対象に投与される。一部の実施形態では、ざ瘡処置は、アンモニア酸化細菌の投与を開始する前にある期間投与される。一部の実施形態では、ざ瘡処置は、アンモニア酸化細菌の投与期間中を通じて継続される。一部の実施形態では、ざ瘡処置は、アンモニア酸化細菌の投与を開始する前にある期間投与され、アンモニア酸化細菌の投与の開始前に停止される。一部の実施形態では、ざ瘡処置は、アンモニア酸化細菌の投与中に停止される。一部の実施形態では、ざ瘡処置は、アンモニア酸化細菌の投与中を通じて継続される。一部の実施形態では、ざ瘡処置は、アンモニア酸化細菌の投与を停止することに続いて開始される。
【0032】
一部の実施形態では、投与は、対象が洗浄を行うか、またはシャワーを浴びる30、60、90、120、150、180分前に行われる。
【0033】
一部の実施形態では、皮膚状態、例えば、ざ瘡、例えば、尋常性ざ瘡を処置するための、上記、または本開示のいずれかの部分に記載のアンモニア酸化細菌を含む調製物が提供される。
【0034】
本開示は、先述の態様および/または実施形態のうちのいずれか1つまたは複数のすべての組合せ、ならびに詳細な説明および実施例に記述された実施形態のうちのいずれか1つまたは複数との組合せを企図している。
本発明の実施形態の例として、以下の項目が挙げられる。
(項目1)
対象の皮膚障害、例えば、ざ瘡、例えば、尋常性ざ瘡を処置する方法であって、
前記対象の表面に、アンモニア酸化細菌、例えば、アンモニア酸化細菌を含む調製物を投与すること、例えば、適用すること、例えば、局所投与すること
を含む方法。
(項目2)
投与、例えば、適用の量および頻度が、前記対象の前記表面上の病原性細菌、例えば、Propionibacterium acnesの量または濃度を低減するのに十分である、項目1に記載の方法。
(項目3)
前記量が、アンモニア酸化細菌の治療有効用量である、項目2に記載の方法。
(項目4)
前記皮膚障害が、ざ瘡、例えば、尋常性ざ瘡である、項目1に記載の方法。
(項目5)
投与することが、炎症性病変、例えば、丘疹、膿疱、嚢胞/結節の処置を提供する、項目4に記載の方法。
(項目6)
投与することが、非炎症性病変、例えば、開放面皰、閉鎖面皰の処置を提供する、項目5に記載の方法。
(項目7)
投与することが、炎症後色素沈着亢進/炎症後紅斑(PIH/PIE)病変の処置または改善を提供する、項目5に記載の方法。
(項目8)
投与することが、紅斑、浮腫、落屑、刺痛感、灼熱感、およびそう痒感のうちの1つまたは複数の処置または改善を提供する、項目5に記載の方法。
(項目9)
投与することが、脂性の外観、毛穴の外観、つや、しみ、皮膚の色調の均一性、視覚的滑らかさ、および触覚的滑らかさのうちの1つまたは複数の処置または改善を提供する、項目5に記載の方法。
(項目10)
投与することが、セブメーター測定値の処置または改善を提供する、項目5に記載の方法。
(項目11)
投与することが、前記対象をアンモニア酸化細菌で前処置することを含む、項目1に記載の方法。
(項目12)
局所投与することが、前記皮膚障害の発症前に局所投与することを含む、項目1に記載の方法。
(項目13)
局所投与することが、前記対象に、有効用量のアンモニア酸化細菌を局所投与することを含む、項目1に記載の方法。
(項目14)
前記有効用量が、約0.1×10 、0.2×10 、0.3×10 、0.4×10 、0.5×10 、0.6×10 、0.7×10 、0.8×10 、0.9×10 、1.0×10 、1.2×10 、1.4×10 、1.5×10 、1.6×10 、1.8×10 、2.0×10 、2.2×10 、2.4×10 、2.6×10 、2.8×10 、3.0×10 、3.2×10 、3.4×10 、3.6×10 、3.8×10 、4.0×10 、4.2×10 、4.4×10 、4.6×10 、4.8×10 、5.0×10 、5.5×10 、6.0×10 、6.5×10 、7.0×10 、7.5×10 、8.0×10 、8.5×10 、9.0×10 、9.5×10 、10.0×10 、12×10 、14×10 、16×10 、18×10 、20×10 、25×10 、30×10 、40×10 、50×10 CFUである、項目13に記載の方法。
(項目15)
前記皮膚障害が、前記対象の標的部位にあり、1種または複数の望ましくない細菌、例えば、病原性細菌を含む、項目1に記載の方法。
(項目16)
前記標的部位が、Propionibacterium acnesを含む、項目15に記載の方法。
(項目17)
前記対象が前記皮膚障害の処置を必要としているか否かを決定すること、例えば、前記対象がざ瘡、例えば、尋常性ざ瘡の処置を必要としているか否かを決定することをさらに含む、項目1に記載の方法。
(項目18)
前記皮膚障害の処置を必要とする前記対象を選択することをさらに含む、項目17に記載の方法。
(項目19)
前記アンモニア酸化細菌、例えば、アンモニア酸化細菌を含む調製物が、エアロゾル、スプレーまたはミストであることが可能であり得る形態、すなわち、ミストの形態であり得る、項目1に記載の方法。
(項目20)
前記アンモニア酸化細菌、例えば、調製物が、例えば、水性媒体中のエアロゾルまたはミストとして適用される、項目19に記載の方法。
(項目21)
前記アンモニア酸化細菌、例えば、アンモニア酸化細菌の調製物が、緩衝溶液、例えば、水性緩衝溶液中のアンモニア酸化細菌であってもよい、項目20に記載の方法。
(項目22)
前記緩衝溶液、例えば、水性緩衝溶液が、水中のリン酸二ナトリウムおよび塩化マグネシウム、例えば、50mM Na HPO および2mM MgCl を含む、項目21に記載の方法。
(項目23)
前記緩衝溶液、例えば、水性緩衝溶液が、水中のリン酸二ナトリウムおよび塩化マグネシウム、例えば、50mM Na HPO および2mM MgCl から本質的になる、項目21に記載の方法。
(項目24)
前記緩衝溶液、例えば、水性緩衝溶液が、水中のリン酸二ナトリウムおよび塩化マグネシウム、例えば、50mM Na HPO および2mM MgCl からなる、項目21に記載の方法。
(項目25)
前記対象が、前記対象の前記表面上の病原性細菌、例えば、Propionibacterium acnesの量または濃度の低減を必要としていることに基づいて、前記対象を選択することをさらに含む、項目1に記載の方法。
(項目26)
前記アンモニア酸化細菌が、自己投与される、項目1に記載の方法。
(項目27)
前記アンモニア酸化細菌が、前記対象の顔、首、および頭皮のうちのいずれか1つまたは複数に適用される、項目1に記載の方法。
(項目28)
前記調製物が、アンモニア、アンモニウム塩、および尿素のうちの少なくとも1つを含む、項目1に記載の方法。
(項目29)
前記調製物が、制御放出性材料、例えば、遅延放出性材料を含む、項目1に記載の方法。
(項目30)
アンモニア酸化細菌の前記調製物が、添加剤、例えば、薬学的に許容される添加剤または化粧品として許容される添加剤のうちの1つをさらに含む、項目1に記載の方法。
(項目31)
前記添加剤、例えば、前記薬学的に許容される添加剤および前記化粧品として許容される添加剤のうちの1つが、界面活性剤である、項目30に記載の方法。
(項目32)
前記調製物が、他の生物を実質的に含有しない、項目1に記載の方法。
(項目33)
前記調製物が、粉末、化粧品、クリーム、スティック、エアロゾル、例えば、ミスト、膏薬、ワイプ、または包帯中に配置される、項目1に記載の方法。
(項目34)
前記調製物が、粉末、化粧品、クリーム、スティック、エアロゾル、例えば、ミスト、膏薬、ワイプ、または包帯として提供される、項目1に記載の方法。
(項目35)
前記調製物が、保湿剤、脱臭剤、芳香剤、着色料、昆虫忌避剤、クレンジング剤、またはUVブロック剤を含む、項目1に記載の方法。
(項目36)
前記添加剤、例えば、前記薬学的に許容される添加剤または前記化粧品として許容される添加剤が、抗接着剤、結合剤、コーティング剤、崩壊剤、フィラー、香料、着色剤、滑沢剤、流動促進剤、吸着剤、保存剤、または甘味剤を含む、項目30に記載の方法。
(項目37)
アンモニア酸化細菌を含む前記調製物が、約10 から約10 14 CFU/Lのアンモニア酸化細菌を含む、項目1に記載の方法。
(項目38)
アンモニア酸化細菌を含む前記調製物が、約1×10 CFU/mLから約10×10 CFU/mLの間のアンモニア酸化細菌を含む、項目1に記載の方法。
(項目39)
アンモニア酸化細菌を含む前記調製物が、約50ミリグラム(mg)から約1000mgの間のアンモニア酸化細菌を含む、項目1に記載の方法。
(項目40)
前記添加剤、例えば、前記薬学的に許容される添加剤または前記化粧品として許容される添加剤に対するアンモニア酸化細菌の質量比が、1リットル当たり約0.1グラムから約1グラムの範囲である、項目30に記載の方法。
(項目41)
前記アンモニア酸化細菌が、Nitrosomonas、Nitrosococcus、Nitrosospira、Nitrosocystis、Nitrosolobus、Nitrosovibrio、およびそれらの組合せからなる群から選択される、項目1に記載の方法。
(項目42)
前記アンモニア酸化細菌が、Nitrosomonas eutropha(N.eutropha)である、項目41に記載の方法。
(項目43)
前記アンモニア酸化細菌が、ATCC受託番号PTA-121157を有するN.eutropha D23である、項目42に記載の方法。
(項目44)
前記調製物が、Lactobacillus、Streptococcus、Bifidobacter、およびそれらの組合せからなる群から選択される生物を含む、項目1に記載の方法。
(項目45)
化粧製品を送達するための、項目1に記載の方法。
(項目46)
治療製品を送達するための、項目1に記載の方法。
(項目47)
前記調製物が、容器中に提供され、前記調製物および前記容器が、約50、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、1500、または2000グラム未満の重量を有する、項目1に記載の方法。
(項目48)
前記調製物が、1日当たり約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、または24回適用される、項目1に記載の方法。
(項目49)
前記調製物が、1日当たり1回適用される、項目48に記載の方法。
(項目50)
前記調製物が、1日当たり2回適用される、項目49に記載の方法。
(項目51)
前記調製物が、約1~3、3~5、5~7、7~9、5~10、10~14、12~18、12~21、21~28、28~35、35~42、42~49、49~56、46~63、63~70、70~77、77~84、または84~91日間適用される、項目1に記載の方法。
(項目52)
前記調製物が、約7日間適用される、項目51に記載の方法。
(項目53)
前記調製物が、約14日間適用される、項目51に記載の方法。
(項目54)
前記調製物が、約21日間適用される、項目51に記載の方法。
(項目55)
前記調製物が、約28日間適用される、項目51に記載の方法。
(項目56)
前記皮膚の表面から試料を入手することをさらに含む、項目1に記載の方法。
(項目57)
前記試料中の細菌のDNAを単離することをさらに含む、項目56に記載の方法。
(項目58)
前記試料中の細菌のDNAを配列決定することをさらに含む、項目57に記載の方法。
(項目59)
前記細菌が、Propionibacterium acnesである、項目58に記載の方法。
(項目60)
前記アンモニア酸化細菌を投与することが、Propionibacterium acnesの減少を提供する、項目1に記載の方法。
(項目61)
約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、または28日後に、前記Propionibacterium acnesが減少する、例えば、Propionibacterium acnesの濃度が減少する、項目60に記載の方法。
(項目62)
シャンプー、コンディショナー、および洗浄剤、例えば、顔用洗浄剤のうちの1つまたは複数を投与すること、例えば、自己投与することをさらに含む、項目1に記載の方法。
(項目63)
シャンプー、コンディショナー、および顔用洗浄剤のうちのいずれか1つまたは複数が、1日当たり1回適用される、項目62に記載の方法。
(項目64)
使用された前記シャンプーが、ロット293178であった、項目62に記載の方法。
(項目65)
使用された前記洗浄剤が、ロット293162であった、項目62に記載の方法。
(項目66)
シャンプー、コンディショナー、および石鹸のうちの少なくとも1つが、前記アンモニア酸化細菌の投与を中止することに続いて使用された、項目62に記載の方法。
(項目67)
前記シャンプー、コンディショナー、および石鹸のうちの少なくとも1つが、アンモニア酸化細菌の前記調製物の中止に続いて使用された、項目62に記載の方法。
(項目68)
前記対象が、処置を始める前、例えば、前記アンモニア酸化細菌を投与する前に評価された、項目1に記載の方法。
(項目69)
前記対象が、処置を始めてから、例えば、前記アンモニア酸化細菌を投与してから1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42日;または7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52週間;または2、3年、4、もしくは5年後に評価された、項目1に記載の方法。
(項目70)
前記調製物を投与することが、以下:病変の炎症を低減すること、病変の頻度を低減すること、および病原性細菌、例えば、Propionibacterium acnesの存在を減少させることのうちの1つまたは複数を提供する、項目1に記載の方法。
(項目71)
前記調製物を投与することが、病変の炎症の低減を提供する、項目70に記載の方法。
(項目72)
前記調製物を投与することが、成人における病変の炎症の低減を提供する、項目71に記載の方法。
(項目73)
前記調製物を投与することが、病変の頻度の低減を提供する、項目70に記載の方法。
(項目74)
前記調製物を投与することが、病原性細菌、例えば、Propionibacterium acnesの存在の減少を提供する、項目70に記載の方法。
(項目75)
前記調製物を投与することが、Skindex16生活の質調査によって測定される前記対象の疾患についての前記対象の感情的アセスメントの改善を提供する、項目1に記載の方法。
(項目76)
前記調製物を投与することが、以下:前記対象における皮膚状態の痛み、前記対象における皮膚状態の持続/再発症、および前記対象における皮膚状態の外観のうちの1つまたは複数の改善を提供する、項目1に記載の方法。
(項目77)
前記調製物を投与することが、臨床評定に従って、以下:視覚的および触覚的滑らかさ、ならびにしみについての評定スコアのうちの1つまたは複数の改善(減少)を提供する、項目1に記載の方法。
(項目78)
前記対象が、女性である、項目1に記載の方法。
(項目79)
前記対象が、男性である、項目1に記載の方法。
(項目80)
前記対象が、以下の民族/人種:アジア系、黒人もしくはアフリカ系アメリカ人、ヒスパニック系もしくはラテン系、白人、または多民族系のうちの1つとして特徴付けられる、項目1に記載の方法。
(項目81)
前記対象が、以下の皮膚タイプ:普通肌、脂性肌、および混合肌のうちの少なくとも1つを有すると特徴付けられる、項目1に記載の方法。
(項目82)
前記対象が、以下のFitzpatrick皮膚タイプ:I、II、III、IV、Vのうちの1つを有すると特徴付けられる、項目1に記載の方法。
(項目83)
前記ざ瘡のタイプが、思春期ざ瘡である、項目1に記載の方法。
(項目84)
前記ざ瘡のタイプが、成人ざ瘡である、項目1に記載の方法。
(項目85)
前記対象の年齢が、約12~15歳、16~18歳、19~28歳の間、または28歳を超える、項目1に記載の方法。
(項目86)
以下:
局所レチノイド、アゼライン酸、サリチル酸、局所抗微小生物薬、経口抗生物質、過酸化ベンゾイル、経口抗アンドロゲン、経口イソトレチノイン、およびそれらの組合せ
からなる群から選択されるざ瘡処置が、前記対象に投与される、項目1に記載の方法。
(項目87)
前記ざ瘡処置が、前記アンモニア酸化細菌の投与を開始する前にある期間投与される、項目86に記載の方法。
(項目88)
前記ざ瘡処置が、前記アンモニア酸化細菌の投与期間中を通じて継続される、項目86に記載の方法。
(項目89)
前記ざ瘡処置が、アンモニア酸化細菌の投与を開始する前にある期間投与され、前記アンモニア酸化細菌の投与の開始前に停止される、項目86に記載の方法。
(項目90)
前記ざ瘡処置が、前記アンモニア酸化細菌の前記投与中に停止される、項目86に記載の方法。
(項目91)
前記ざ瘡処置が、前記アンモニア酸化細菌の投与中を通じて継続される、項目86に記載の方法。
(項目92)
前記ざ瘡処置が、アンモニア酸化細菌の投与を停止することに続いて開始される、項目86に記載の方法。
(項目93)
投与が、前記対象が洗浄を行うまたはシャワーを浴びる30、60、90、120、150、180分前に行われる、項目1に記載の方法。
(項目94)
皮膚状態、例えば、ざ瘡、例えば、尋常性ざ瘡を処置するための、項目1から93のいずれか一項に記載のアンモニア酸化細菌を含む調製物。
(項目95)
皮膚状態、例えば、ざ瘡、例えば、尋常性ざ瘡を処置するための、アンモニア酸化細菌を含む調製物。
(項目96)
前記アンモニア酸化細菌が、緩衝溶液、例えば、水性緩衝溶液中にある、項目95に記載の調製物。
(項目97)
前記緩衝溶液、例えば、水性緩衝溶液が、水中のリン酸二ナトリウムおよび塩化マグネシウム、例えば、50mM Na HPO および2mM MgCl を含む、項目96に記載の調製物。
(項目98)
前記緩衝溶液、例えば、水性緩衝溶液が、水中のリン酸二ナトリウムおよび塩化マグネシウム、例えば、50mM Na HPO および2mM MgCl から本質的になる、項目96に記載の調製物。
(項目99)
前記緩衝溶液、例えば、水性緩衝溶液が、水中のリン酸二ナトリウムおよび塩化マグネシウム、例えば、50mM Na HPO および2mM MgCl からなる、項目96に記載の調製物。
(項目100)
アンモニア、アンモニウム塩、および尿素のうちの少なくとも1つを含む、項目95に記載の調製物。
(項目101)
制御放出性材料、例えば、遅延放出性材料を含む、項目95に記載の調製物。
(項目102)
アンモニア酸化細菌の前記調製物が、添加剤、例えば、薬学的に許容される添加剤または化粧品として許容される添加剤のうちの1つをさらに含む、項目95に記載の調製物。
(項目103)
前記添加剤、例えば、前記薬学的に許容される添加剤および前記化粧品として許容される添加剤のうちの1つが、界面活性剤である、項目102に記載の調製物。
(項目104)
他の生物を実質的に含有しない、項目95に記載の調製物。
(項目105)
粉末、化粧品、クリーム、スティック、エアロゾル、例えば、ミスト、膏薬、ワイプ、または包帯中に配置される、項目95に記載の調製物。
(項目106)
粉末、化粧品、クリーム、スティック、エアロゾル、例えば、ミスト、膏薬、ワイプ、または包帯として提供される、項目95に記載の調製物。
(項目107)
保湿剤、脱臭剤、芳香剤、着色料、昆虫忌避剤、クレンジング剤、またはUVブロック剤を含む、項目95に記載の調製物。
(項目108)
前記添加剤、例えば、前記薬学的に許容される添加剤または前記化粧品として許容される添加剤が、抗接着剤、結合剤、コーティング剤、崩壊剤、フィラー、香料、着色剤、滑沢剤、流動促進剤、吸着剤、保存剤、または甘味剤を含む、項目102に記載の調製物。
(項目109)
アンモニア酸化細菌を含む前記調製物が、約10 から約10 14 CFU/Lのアンモニア酸化細菌を含む、項目95に記載の調製物。
(項目110)
アンモニア酸化細菌を含む前記調製物が、約1×10 CFU/mLから約10×10 CFU/mLの間のアンモニア酸化細菌を含む、項目95に記載の調製物。
(項目111)
アンモニア酸化細菌を含む前記調製物が、約50ミリグラム(mg)から約1000mgの間のアンモニア酸化細菌を含む、項目95に記載の調製物。
(項目112)
前記添加剤、例えば、前記薬学的に許容される添加剤または前記化粧品として許容される添加剤に対するアンモニア酸化細菌の質量比が、1リットル当たり約0.1グラムから約1グラムの範囲である、項目102に記載の調製物。
(項目113)
前記アンモニア酸化細菌が、Nitrosomonas、Nitrosococcus、Nitrosospira、Nitrosocystis、Nitrosolobus、Nitrosovibrio、およびそれらの組合せからなる群から選択される、項目95に記載の調製物。
(項目114)
前記アンモニア酸化細菌が、Nitrosomonas eutropha(N.eutropha)である、項目113に記載の調製物。
(項目115)
前記アンモニア酸化細菌が、ATCC受託番号PTA-121157を有するN.eutropha D23である、項目114に記載の調製物。
(項目116)
Lactobacillus、Streptococcus、Bifidobacter、およびそれらの組合せからなる群から選択される生物を含む、項目115に記載の調製物。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1図1は、アンモニア酸化細菌(AO+Mist)を使用した4週目におけるIGAの改善を示すグラフである。平均変化(%)は、AO+Mistおよびプラセボにおける改善の報告および悪化の報告に対してプロットされる。
図2図2Aは、アンモニア酸化細菌(AO+Mist)を使用した4週目における皮膚状態の持続の改善を示すグラフである。平均変化(%)は、AO+Mistおよびプラセボにおける改善の報告および悪化の報告に対してプロットされる。図2Bは、アンモニア酸化細菌(AO+Mist)を使用した4週目における皮膚状態の外観の改善を示すグラフである。平均変化(%)は、AO+Mistおよびプラセボにおける改善の報告および悪化の報告に対してプロットされる。
図3図3Aは、アンモニア酸化細菌(AO+Mist)を使用した2、4、および6週目における皮膚状態の持続の改善を示すグラフである。ベースラインからの改善百分率(%)は、AO+Mistおよびプラセボの週に対してプロットされる。図3Bは、アンモニア酸化細菌(AO+Mist)を使用した2、4、および6週目における皮膚状態の外観の改善を示すグラフである。ベースラインからの改善百分率(%)は、AO+Mistおよびプラセボの週に対してプロットされる。
図4図4は、炎症性病変の低減を示すグラフである。平均変化(%)は、アンモニア酸化細菌(AO+Mist)およびプラセボに関して全ての試験対象および成人試験対象に対してプロットされる。
【発明を実施するための形態】
【0036】
詳細な説明
本開示は、皮膚状態、例えば、ざ瘡、例えば、尋常性ざ瘡を処置する方法を提供する。方法は、対象に、アンモニア酸化細菌、例えば、アンモニア酸化細菌を含む調製物を投与することを含む。
【0037】
皮膚状態、例えば、ざ瘡、例えば、尋常性ざ瘡の処置において使用するための、アンモニア酸化細菌を含む、それから本質的になる、またはそれからなる、例えば、非天然生成物、天然生成物、および強化天然生成物を含む、調製物、組成物、および配合物が企図される。アンモニア酸化細菌、例えば、アンモニア酸化細菌を含む調製物を含む、対象における皮膚状態、例えば、尋常性ざ瘡、例えば、ざ瘡の処置において使用するための組成物が企図される。
【0038】
Nitrosomonas属のアンモニア酸化細菌(AOB)は、エネルギー源としてアンモニアのみから亜硝酸塩および一酸化窒素を生じさせることができる特有の能力を有するグラム陰性の偏性独立栄養細菌である。それらは、土壌および水環境中の両方に広く存在し、環境硝化プロセスの不可欠な構成成分である。血管拡張、皮膚の炎症および創傷治癒等のいくつかの生理学的機能の重要な構成成分としてのヒト皮膚上での亜硝酸塩および一酸化窒素の役割に起因して、これらの細菌は、健康なおよび免疫病理学的な皮膚状態の両方について有益な特性を有し得る。これらの細菌は、増殖が遅く、有機炭素源上で増殖することができず、石鹸および抗生物質に対して感受性であり得、かつ動物またはヒトにおけるいかなる疾患または感染にも一切関連していないことから、ヒトにおける使用に安全である。
【0039】
アンモニア酸化細菌は、アンモニアから亜硝酸塩への変換のみからエネルギーを生じさせる特有の能力を有する遍在するグラム陰性の偏性化学合成無機独立栄養細菌である。
【0040】
一部の実施形態では、アンモニア酸化細菌は、以下の反応を触媒する。
【0041】
中性pHでは、中性pH条件付近でアンモニウムから生じるアンモニアが初期反応の基質である。アンモニアから亜硝酸塩への変換は、以下の通り、それぞれアンモニアモノオキシゲナーゼ(Amo)およびヒドロキシルアミンオキシドレダクターゼ(Hao)によって触媒される2つのステップで起こる:
NH+2H+2e-+O→NHOH+HO (A)
NHOH+HO→NO +4e-+5H (B)
【0042】
一部の事例では、反応Bは、以下の通り、低pHで亜硝酸(HNO)形成を示すと報告される:
NHOH+HO→HNO+4e-+4H
【0043】
ある特定の実施形態では、NH およびNHは、本開示を通じて交換可能に使用され得る。
【0044】
本開示は、
・病変の炎症(例えば、成人における)を低減すること、
・病変の頻度を低減すること、および
・病原性細菌の存在を減少させること
が可能である、アンモニア酸化細菌、例えば、アンモニア酸化細菌を含む調製物を提供する。
【0045】
アンモニア酸化細菌、例えば、アンモニア酸化細菌を含む調製物はまた、
・病変の持続期間を低減すること、
・異常な色素沈着および瘢痕を予防または低減すること、
・損傷を受けた皮膚の治癒期間を短縮すること、ならびに
・過剰な皮脂(例えば、皮脂腺の脂性分泌物)の産生を低減すること
が可能である。
【0046】
本開示は、皮膚状態、例えば、ざ瘡、例えば、尋常性ざ瘡の処置において使用するための、アンモニア酸化細菌を含む調製物であって、以下:自己投与されること(例えば、毎日1~2回)、無臭であること、無色であること、目に見えないこと、日光に対する感受性の増加を伴わないこと、安全であること、非毒性であること、皮膚(例えば、隣接する粘膜および眼)における忍容性が良好であること、12歳未満の小児に適当であること、ならびに抗生物質耐性を助長するリスクなしに処置および維持療法の両方に適当であることのうちの1つまたは複数であり得る調製物を提供する。
【0047】
アンモニア酸化細菌、例えば、N.eutropha、例えば、「D23」と言及され、「B244」または「AOB D23-100」としても公知であるN.eutrophaは、上記の特性のうちのいくつかを有し得る。
1.定義
【0048】
アンモニア酸化細菌とは、アンモニアまたはアンモニウムを亜硝酸塩へとある速度、例えば、実質的速度、例えば、予め決定された速度で酸化することができる細菌を指す。速度、例えば、予め決定された速度とは、1分当たり少なくとも50、75、125、または150マイクロモルのNO 、例えば、約100~150、75~175、75~125、100~125、125~150、または125~175マイクロモル/分、例えば、1分当たり約125マイクロモルのNO の速度での、アンモニウムイオン(NH )(例えば、約200mMの)から亜硝酸塩(NO )への変換を指し得る。複数の実施形態では、速度、例えば、予め決定された速度とは、例えば、約0.5のODを有する連続培養物について、1ml当たり1分当たり少なくとも50、75、125、または150ナノモルのNO 、例えば、約100~150、75~175、75~125、100~125、125~150、または125~175ナノモル/分/ml、例えば、1ml当たり1分当たり約125ナノモルのNO の速度での、アンモニウムイオン(NH )(例えば、約200mMの)から亜硝酸塩(NO )への変換を指し得る。
【0049】
アンモニア酸化細菌の例は、Nitrosomonas eutropha株、例えば、D23およびC91、ならびにNitrosomonas属、Nitrosococcus属、Nitrosospira属、Nitrosocystis属、Nitrosolobus属、およびNitrosovibrio属の他の細菌を含む。D23 Nitrosomonas eutropha株とは、AOB D23-100と指定され、2014年4月8日にAmerican Tissue Culture Collection(ATCC)(10801 University Blvd.、Manassas、VA、米国)に寄託され、受託番号PTA-121157を有する株を指す。受託番号PTA-121157の核酸配列、例えば、ゲノム配列は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。ある特定の実施形態では、N.eutrophaは、2015年4月15日出願のPCT出願第PCT/US2015/025909号に記載された株であり、この文献は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。「AOB D23-100」はまた、本開示を通じてD23またはB244と言及される場合がある。
【0050】
2015年4月15日出願のPCT出願第PCT/US2015/025909号に開示されたいずれの核酸配列およびアミノ酸配列も、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。2015年4月15日出願のPCT出願第PCT/US2015/025909号に開示された任意のアンモニア酸化細菌は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0051】
最適化Nitrosomonas eutropha(N.eutropha)とは、その用語が本明細書で使用されるとき、最適化増殖速度;最適化NH 酸化速度;または最適化NH 耐性を有するN.eutrophaを指す。一実施形態では、これは、少なくとも1つのヌクレオチド、例えば、アンモニアモノオキシゲナーゼ、ヒドロキシルアミンオキシドレダクターゼ、シトクロムc554、およびシトクロムc552から選択される遺伝子中のヌクレオチドが、天然に存在するN.eutrophaと相違する。この相違は、例えば、N.eutrophaの自発的に発生する突然変異、誘導された突然変異、または指向された遺伝子工学の選択により発生し得る。一実施形態では、これは、自然界に一緒に存在しない対立遺伝子の集合を有するという点で、天然に存在するN.eutrophaと相違する。これらの相違は、皮膚障害の処置または予防、低亜硝酸塩レベルと関連する疾患または状態の処置または予防、体臭の処置または予防、対象に一酸化窒素を供給する処置、および微小生物の増殖を阻害する処置のうちの1つまたは複数を提供し得る。
【0052】
本明細書で使用されるとき、「純粋培養の」とは、他の生物を実質的に含有しない生物を含む組成物を指す。例えば、アンモニア酸化細菌の純粋培養物は、アンモニア酸化細菌以外の生物を実質的に含有しない培養物である。例えば、N.eutrophaの純粋培養物は、N.eutropha以外の生物を実質的に含有しない培養物である。一部の実施形態では、「実質的に含有しない」とは、他の生物を検出するために使用される方法、例えば、培養物をプレーティングし、コロニー形態を検査すること、または16S RNA等の保存遺伝子についてのPCRによって検出不能であることを指示する。純粋培養組成物は、生物でない要素を含んでもよく、例えば、栄養素または添加剤を含んでもよい。本明細書で論じられたアンモニア酸化細菌の任意の実施形態、調製物、組成物、または配合物は、任意選択で純粋培養のアンモニア酸化細菌を含むか、それから本質的になるか、またはそれからなってもよい。
【0053】
本開示を通じて、配合物とは、組成物または調製物を指し得る。
【0054】
本明細書で使用されるとき、「独立栄養生物」、例えば、独立栄養細菌とは、栄養素源として無機材料を使用し、エネルギー源として光合成または化学合成を使用することによって自己栄養供給可能な任意の生物である。独立栄養細菌は、二酸化炭素ならびに他の供給源、アンモニアの亜硝酸塩への酸化、硫化水素の酸化、およびFe2+のFe3+への酸化に由来するATPから有機化合物を合成し得る。本開示の独立栄養細菌は、感染を引き起こすことができない。
【0055】
本明細書で使用される「組み合わせて」投与されるとは、対象の障害罹患の過程で、2つの(またはそれよりも多い)異なる処置が対象に送達されること、例えば、対象が障害と診断された後、かつ障害が治癒または排除される前に、2つまたはそれよりも多い処置が送達されることを意味する。一部の実施形態では、1つの処置の送達は、第2の処置の送達が始まるときに依然として行われており、その結果、重複が存在する。これは、「同時」または「併用」または「並行送達」と本明細書で言及されることがある。他の実施形態では、1つの処置の送達は、その他の処置の送達が始まる前に終了する。これは、「順次」または「逐次送達」と本明細書で言及されることがある。いずれかの場合の複数の実施形態では、処置は、組み合わせた投与のためにより有効である。例えば、第2の処置は、第2の処置を第1の処置の非存在下で投与した場合に見られるよりも大きな程度まで、より有効であり、例えば、より少ない第2の処置で同等の効果が見られるかもしくは第2の処置が、症状を低減するか、または第1の処置で類似の状況が見られる。一部の実施形態では、送達は、症状、または障害に関係する他のパラメーターの低減が、その他の処置の非存在下で送達された1つの処置で観察されるものを超えるようなものである。2つの処置の効果は、一部相加的であるか、完全に相加的であるか、または相加的を超えるもの(すなわち、相乗的)であってもよい。送達は、送達された第1の処置の効果が、第2の処置が送達されるときに依然として検出可能であるようなものであってもよい。一部の実施形態では、1つまたは複数の処置は、患者が障害と診断される前に送達されてもよい。
【0056】
完全N.europaea培地とは、Ensignら、「In vitro activation of ammonia monooxygenase from Nitrosomonas europaea by copper.」、J Bacteriol.、1993年4月;175巻(7号):1971~80頁に記載されたN.europaea増殖培地を指す。
【0057】
「培養する」とは、ある量の所望の細菌をその増殖を促進する、すなわち、細胞分裂を促進する条件下に置くプロセスを指す。条件は、特定された培養培地、設定された温度範囲、および/または撹拌速度を伴い得る。細菌は、液体培養でまたはプレート、例えば、寒天プレート上で培養することができる。
【0058】
本明細書で使用される「単離された」という用語は、その元のまたは自生の環境(例えば、それが天然に存在する場合は天然環境)から取り出された材料を指す。例えば、生きている動物中に存在する天然に存在するポリヌクレオチドまたはポリペプチドは、単離されていないが、ヒトの介入によって自然系における共存材料の一部またはすべてから分離された同じポリヌクレオチドまたはポリペプチドは、単離されている。そのようなポリヌクレオチドは、ベクターの一部であってもよく、および/またはそのようなポリヌクレオチドもしくはポリペプチドは、組成物の一部であってもよく、そのようなベクターまたは組成物がそれが自然界に見出される環境の一部でないという点で、依然として単離されている。
【0059】
「核酸」、「核酸配列」、「ヌクレオチド配列」、または「ポリヌクレオチド配列」、および「ポリヌクレオチド」という用語は、交換可能に使用される。それらは、任意の長さのヌクレオチド、例えば、デオキシリボヌクレオチドもしくはリボヌクレオチド、またはそれらの類似体のポリマー形態を指す。ポリヌクレオチドは、一本鎖または二本鎖のいずれであってもよく、一本鎖の場合、コード鎖であっても非コード(アンチセンス)鎖であってもよい。ポリヌクレオチドは、修飾ヌクレオチド、例えばメチル化ヌクレオチドおよびヌクレオチド類似体を含んでもよい。ヌクレオチドの配列は、非ヌクレオチド構成成分で中断されていてもよい。ポリヌクレオチドは、重合後に、例えば標識用構成成分とのコンジュゲートによってさらに修飾されていてもよい。核酸は、組換えポリヌクレオチド、または自然界に存在しないかもしくは非天然編成で別のポリヌクレオチドと連結されているゲノム、cDNA、半合成、もしくは合成起源のポリヌクレオチドであってもよい。
【0060】
本明細書で使用されるとき、「最適化増殖速度」という用語は、以下のうちの1つまたは複数を指す:本明細書の実施例2に記載されたバッチ条件下で培養された場合の、約4、5、6、7、8、9、もしくは10時間未満の倍加時間;本明細書の実施例2に記載されたケモスタット条件下で増殖させた場合の、約16、18、20、22、24、もしくは26時間未満の倍加時間;または約1日もしくは2日にわたる約0.15のOD600から少なくとも約0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、もしくは0.8までの増殖。一実施形態では、最適化増殖速度は、天然に存在するN.eutrophaの倍加時間よりも少なくとも10、20、30、40、または50%短い倍加時間を有する速度である。
【0061】
本明細書で使用されるとき、「最適化NH 酸化速度」とは、1分当たり少なくとも約50、75、125、または150マイクロモルの、NHまたはNH からNO への変換の速度を指す。例として、速度は、1分当たり少なくとも約50、75、125、または150マイクロモルの、NH (例えば、約200mMの)からNO への変換であってもよい。一実施形態では、最適化NH 酸化速度は、NHまたはNH が、天然に存在するN.eutrophaで見られるよりも少なくとも10、20、30、40、または50%急速に、NO へと変換される速度である。
【0062】
本明細書におけるアミノ酸配列(例えば、N.eutropha D23によって発現されるタンパク質)に対するアミノ酸配列同一性パーセント(%)は、配列をアラインメントし、必要であればギャップを導入して最大の配列同一性パーセントを達成した後の、天然に存在するN.eutropha配列またはN.eutropha D23配列であり得る参照配列中のアミノ酸残基と同一である候補配列中のアミノ酸残基の百分率として定義され、いかなる保存的置換も配列同一性の一部として考慮しない。アミノ酸配列同一性パーセントを決定する目的のアラインメントは、当業者の手段の範囲内にある様々な方式で、例として、公的に入手可能なコンピューターソフトウェア、例えばBLAST、ALIGNまたはMegalign(DNASTAR)ソフトウェアを使用して達成することができる。当業者は、比較される配列の全長にわたって最大限のアラインメントを達成するのに必要とされる任意のアルゴリズムを含む、アラインメントを測定するための適切なパラメーターを決定することができる。例として、WU-BLAST-2ソフトウェアを使用して、アミノ酸配列同一性を決定してもよい(Altschulら、Methods in Enzymology、266巻、460~480頁(1996年);http://blast.wustl/edu/blast/README.html)。WU-BLAST-2は、いくつかの検索パラメーターを使用し、それらのほとんどは、初期値に設定される。調整可能なパラメーターは、以下の値で設定される:オーバーラップスパン=1、オーバーラップフラクション=0.125、ワールド閾値(T)=I1。HSPスコア(S)およびHSP S2パラメーターは、動的値であり、特定の配列の組成に応じてプログラム自体によって確立されるが、最小値は、適宜調整してもよい。
【0063】
アミノ酸置換は、1個のアミノ酸を類似した構造的および/または化学的特性を有する別のアミノ酸で置き換えること、例えばロイシンのセリンでの置き換え、すなわち、保存的アミノ酸置き換えの結果であり得る。典型的であるが非限定的な保存的置換は、脂肪族アミノ酸Ala、Val、LeuおよびIleの中の相互の置き換え;ヒドロキシ残基を含有するSerおよびThrの交換、酸性残基AspおよびGluの交換、アミド含有残基AsnとGlnとの間の交換、塩基性残基LysおよびArgの交換、芳香族残基PheおよびTyrの交換、ならびに小型アミノ酸Ala、Ser、Thr、MetおよびGlyの交換である。追加の保存的置換は、あるアミノ酸の類似した空間または立体配置を有する別のアミノ酸による置き換え、例えば、AsnとAsp、またはGlnとGluの交換を含む。アミノ酸置換はまた、1個のアミノ酸を類似していない構造的および/または化学的特性を有する別のアミノ酸で置き換えること、すなわち、非保存的アミノ酸置き換えの結果であり得る。挿入または欠失は、任意選択で、1から5個のアミノ酸の範囲であってもよい。許容される変異は、配列中にアミノ酸の挿入、欠失または置換を系統的に作製し、得られた変異体を例えば、尿素またはアンモニアの代謝についてのin vivoまたはin vitroアッセイにおける活性について試験することによって決定され得る。
【0064】
本明細書における核酸配列(例えば、N.eutropha D23ゲノムおよびその部分)に対する配列同一性パーセント(%)は、配列をアラインメントし、必要であればギャップを導入して最大の配列同一性パーセントを達成した後の、天然に存在するN.eutropha配列またはN.eutropha D23配列であり得る参照配列中のヌクレオチドと同一である候補配列中のヌクレオチドの百分率として定義される。ヌクレオチド配列同一性パーセントを決定する目的のアラインメントは、当業者の手段の範囲内にある様々な方式で、例として、公的に入手可能なコンピューターソフトウェア、例えばBLASTを使用して達成することができる。当業者は、比較される配列の全長にわたって最大限のアラインメントを達成するのに必要とされる任意のアルゴリズムを含む、アラインメントを測定するための適切なパラメーターを決定することができる。
【0065】
「ポリペプチド」、「ペプチド」および「タンパク質」(一本鎖の場合)という用語は、アミノ酸ポリマーを指すために本明細書で交換可能に使用される。ポリマーは、直鎖状であっても分岐状であってもよく、修飾アミノ酸を含んでもよく、非アミノ酸で中断されていてもよい。これらの用語はまた、修飾されているアミノ酸ポリマー;例えば、ジスルフィド結合形成、グリコシル化、脂質化、アセチル化、リン酸化、または他の任意のマニピュレーション、例えば標識用構成成分とのコンジュゲートを包含する。ポリペプチドは、天然源から単離されてもよく、組換え技法によって真核生物もしくは原核生物宿主から生成されてもよく、または合成手順の生成物であってもよい。
【0066】
本明細書で使用されるとき、「最適化NH 耐性」とは、50、75、100、125、150、175、200、225、250、275、または300mM超のNHまたはNH の条件において、少なくとも約24時間または48時間増殖する能力を指す。一実施形態では、最適化NH 耐性とは、選択された濃度のNHまたはNH の存在下で、天然に存在するN.eutrophaが増殖できるよりも少なくとも10、20、30、40、もしくは50%急速に、または少なくとも10、20、30、40、もしくは50%長く増殖する能力を指す。
【0067】
核酸またはタンパク質配列間の比較に関して本明細書で使用されるとき、「類似した」とは、相同性を有することを意味する。類似した遺伝子またはタンパク質は、例えば、置換(保存的もしくは非保存的置換等)、挿入(例えば、少なくとも1、2、3、4、5、10、15、20、25、30個のアミノ酸、および例えば、最大で2、3、4、5、10、15、20、25、30、もしくは50個のアミノ酸、またはそれらの任意の正の組合せ、または前記アミノ酸をコードするのに必要な数のヌクレオチドの)、または欠失(例えば、少なくとも1、2、3、4、5、10、15、20、25、30個のアミノ酸、および例えば、最大で2、3、4、5、10、15、20、25、30、もしくは50個のアミノ酸、またはそれらの任意の正の組合せ、または前記アミノ酸をコードするのに必要な数のヌクレオチドの)、またはそれらの任意の組合せを含んでもよい。置換、挿入、および欠失はそれぞれ、タンパク質または遺伝子のN末端、C末端、または中央領域に位置し得る。複数の実施形態では、保存的置換は、置換された位置における電荷および/または極性および/またはおおよそのサイズおよび/または形状を変更しない置換である。
【0068】
本明細書で使用されるとき、「対象」とは、動物、哺乳動物、ヒト、非ヒト動物、家畜動物、または伴侶動物を含んでもよい。「対象」という用語は、ヒトおよび非ヒト動物、例えば、脊椎動物、大型動物、および霊長類を含むことを意図している。ある特定の実施形態では、対象は、哺乳動物対象であり、特定の実施形態では、対象は、ヒト対象である。ヒトでの適用は明確に予想されているが、例えば、非ヒト動物での獣医学的適用もまた、本明細書で想定されている。本開示の「非ヒト動物」という用語は、すべての脊椎動物、例えば、非哺乳動物(鳥類、例えば、ニワトリ;両生類;爬虫類等)ならびに哺乳動物、例えば非ヒト霊長類、家畜化された、および農業上有用な動物、例えば、中でもヒツジ、イヌ、ネコ、ウシ、ブタ、ラットを含む。
【0069】
本明細書で使用されるとき、「トランスジェニック」とは、1つまたは複数の外因性DNA部分を含むことを意味する。外因性DNAは、別の生物、例えば、別の細菌、バクテリオファージ、動物、または植物に由来する。
【0070】
本明細書で使用されるとき、「疾患または状態の処置」とは、同様であるが無処置の患者と比較して、その疾患または状態の少なくとも1つの症状の重症度または頻度を低減することを指す。処置はまた、同様であるが無処置の患者と比較して、疾患または状態の進行を止めること、遅らせること、または逆転させることを指し得る。処置は、疾患および/または1つもしくは複数の症状の根本的原因に対処することを含んでもよい。
【0071】
本明細書で使用されるとき、「治療有効量」とは、疾患もしくは状態の進展を予防する、もしくはその退行を引き起こすのに十分な、または疾患もしくは状態の症状を緩和することができる、または所望の結果を達成することができる用量を指す。治療有効用量は、例えば、細菌の数もしくは生存細菌の数(例えば、CFU単位)または細菌の質量(例えば、ミリグラム、グラム、もしくはキログラム単位)、または細菌の体積(例えば、mm単位)として測定することができる。
【0072】
本明細書で使用されるとき、「生存度」という用語は、アンモニア、アンモニウム、または尿素を亜硝酸塩へと予め決定された速度で酸化する独立栄養細菌の、例えば、アンモニア酸化細菌の能力を指す。一部の実施形態では、速度とは、1分当たり少なくとも50、75、125、または150マイクロモルのNO 、例えば、約100~150、75~175、75~125、100~125、125~150、または125~175マイクロモル/分、例えば、1分当たり約125マイクロモルのNO の速度での、アンモニウムイオン(NH )(例えば、約200mMの)から亜硝酸塩(NO )への変換を指す。
【0073】
本明細書で言及される「増殖培地」または「AOB培地」は、以下の表2または表3の構成成分を含む:
【表2】
【表3-1】
【表3-2】
各溶液をオートクレーブ処理し、室温で貯蔵する。
【0074】
一部の実施形態では、本開示に最適な状態は、少なくとも約7.6のpH、アンモニア、微量鉱物、酸素および二酸化炭素によって特徴付けられる、増殖、例えば、最大限の増殖の状態である。別の状態は、約7.4またはそれ未満のpHによって特徴付けられ、二酸化炭素の非存在によって特徴付けられ得る。低二酸化炭素条件下で、アンモニア酸化細菌、例えば、N. eutrophaは、アンモニアを亜硝酸塩へと酸化し続け、ATPを生じさせるが、二酸化炭素を欠く場合、例えば、固定し、タンパク質を生じさせるための十分な二酸化炭素を欠く場合、代わりに、ポリホスフェートを生じさせ、これをエネルギー貯蔵媒体として使用する。これは、アンモニア酸化細菌が、ある期間、例えば、予め決定された期間、例えば、少なくとも1、2、3、4、5、6、7日間、1、2、3、4週間、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12か月間、1、2、3、4、または5年間「貯蔵状態」のままであることを可能とし得る。一部の実施形態では、アンモニア酸化細菌は、少なくとも約6か月から約1年間貯蔵状態のままであってもよい。
【0075】
本明細書で使用されるとき、「増殖状態」とは、少なくとも約7.6のpHを有し得る状態または環境、例えば、培地、例えば、培養培地、例えば、増殖培地における独立栄養細菌、例えば、アンモニア酸化細菌を指す。アンモニア、アンモニウムイオン、および尿素のうちの少なくとも1つのレベルは、約1マイクロモル濃度から1000ミリモル濃度の間であってもよい。微量材料のレベルは、約0.01マイクロモル濃度の鉄から200マイクロモル濃度の鉄の間である。酸素のレベルは、約5%から100%の間の酸素飽和度(例えば、培地の)である。二酸化炭素のレベルは、約20ppmから10%の間の飽和度(例えば、培地の)である。ある特定の態様では、アンモニア、アンモニウムイオン、および尿素のうちの少なくとも1つのレベルは、約10マイクロモル濃度から100ミリモル濃度の間であってもよい。微量材料のレベルは、約0.1マイクロモル濃度の鉄から20マイクロモル濃度の鉄の間である。酸素のレベルは、約5%から100%の間の酸素飽和度である。二酸化炭素のレベルは、約200ppmから5%の間の飽和度(例えば、培地の)である。
【0076】
本明細書で使用されるとき、「ポリホスフェート負荷状態」とは、約7.4またはそれ未満のpHを有し得る状態または環境、例えば、培地、例えば、培養培地、例えば、増殖培地における独立栄養細菌、例えば、アンモニア酸化細菌を指す。アンモニア、アンモニウムイオン、および尿素のうちの少なくとも1つのレベルは、約1マイクロモル濃度から2000ミリモル濃度の間である。微量材料のレベルは、0.01マイクロモル濃度の鉄から200マイクロモル濃度の鉄の間である。酸素のレベルは、約0%から100%の間のO飽和度(例えば、培地の)である。二酸化炭素のレベルは、約0から400ppmの間/それ未満であり、ホスフェートレベルは、約1マイクロモル濃度超である。ある特定の態様では、アンモニア、アンモニウムイオン、および尿素のうちの少なくとも1つのレベルは、約10マイクロモル濃度から200ミリモル濃度の間である。微量材料のレベルは、0.1マイクロモル濃度の鉄から20マイクロモル濃度の鉄の間である。酸素のレベルは、約5%から100%の間のO飽和度である。二酸化炭素のレベルは、約0から200ppmの間/それ未満であり、ホスフェートレベルは、約10マイクロモル濃度超である。
【0077】
ポリホスフェート負荷状態は、ある期間、例えば、予め決定された期間誘導され得る。予め決定された期間は、アンモニア酸化細菌中の十分なポリホスフェート蓄積を可能とする期間であってもよい。この予め決定された期間は、アンモニア酸化細菌が長期間貯蔵されることを可能とするように、十分なポリホスフェート負荷を提供するのに適当な期間である。予め決定された期間は、アンモニア酸化細菌の倍加時間の約0.2~10倍、0.3~5倍、0.5~3倍、0.5~1.5倍、または0.5から1倍の期間に少なくとも一部基づいてもよい。予め決定された期間は、アンモニア酸化細菌の約1倍加時間の期間に少なくとも一部基づいてもよい。一部の実施形態では、予め決定された期間は、約8時間から12時間の間である。一部の実施形態では、予め決定された期間は、約10時間である。一部の実施形態では、予め決定された期間は、約24時間である。
【0078】
ポリホスフェート負荷状態の目的は、ATPを生成することができるように、AOBに十分なアンモニア、アンモニウムイオン、および/または尿素、ならびにOを提供するが、それらがそのATPを使用してCOを固定することができず、代わりに、そのATPを使用して細菌によって貯蔵され得るポリホスフェートを生じさせるように、それらにCOおよびカーボネートを与えないことであり得る。
【0079】
本明細書で使用されるとき、「貯蔵状態」という用語は、約7.4またはそれ未満のpHを有する状態または環境、例えば、培地、例えば、培養培地、例えば、増殖培地における独立栄養細菌、例えば、アンモニア酸化細菌を指す(一部の実施形態では、pHは、7.6またはそれ未満であってもよい)。アンモニア、アンモニウムイオン、および尿素のうちの少なくとも1つのレベルは、約1から1000マイクロモル濃度の間である。微量材料のレベルは、約0.1から100マイクロモル濃度の間である。酸素のレベルは、約0から100%の間の飽和度(例えば、培地の)である。二酸化炭素のレベルは、約0から800ppmの間である。ある特定の態様では、アンモニア、アンモニウムイオン、および尿素のうちの少なくとも1つのレベルは、約10から100マイクロモル濃度の間である。微量材料のレベルは、約1から10マイクロモル濃度の間である。酸素のレベルは、約0から100%の間の飽和度(例えば、培地の)である。二酸化炭素のレベルは、約0から400ppmの間である。
【0080】
AOBは、本開示の一部の実施形態に従って、増殖状態中にAOBバイオマスを生じさせ、その後、AOBをポリホスフェート負荷状態に曝露し、その後、培地を除去し、AOBを緩衝液、例えば、貯蔵緩衝液に再懸濁する(すなわち、貯蔵状態)ことによって生成される。
【0081】
アンモニア酸化細菌は、ある期間、例えば、予め決定された期間、例えば、少なくとも1、2、3、4、5、6、7日間、1、2、3、4週間、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12か月間、1、2、3、4、または5年間「貯蔵状態」のままであってもよい。一部の実施形態では、アンモニア酸化細菌は、少なくとも約6か月から約1年間貯蔵状態のままであってもよい。再生時に、アンモニア酸化細菌の生存性は、貯蔵前の、例えば、増殖状態の)アンモニア酸化細菌の場合の生存性の少なくとも約50%、60%、70%、80%、90%、または100%である。一部の実施形態では、アンモニア酸化細菌の調製物は、選択された条件での貯蔵時に、NH を酸化する能力の10%、20%、30%、40%、50%、60%、または70%以下が失われるように調製され得る。
【0082】
アンモニア酸化細菌を貯蔵状態(またはポリホスフェート負荷状態)から再生させるのに要する時間は、予め決定された期間であってもよい。例えば、予め決定された期間は、約75時間未満、または約72時間未満であってもよい。予め決定された期間は、アンモニア酸化細菌の倍加時間の約0.2~10倍、0.3~5倍、0.5~3倍、0.5~1.5倍、または0.5から1倍の期間に少なくとも一部基づいてもよい。予め決定された期間は、アンモニア酸化細菌の約1倍加時間の期間に少なくとも一部基づいてもよい。予め決定された期間は、約8時間から12時間の間であってもよい。予め決定された期間は、約10時間であってもよい。予め決定された時間は、約75時間、72時間、70時間、68時間、65時間、60時間、55時間、50時間、45時間、40時間、35時間、30時間、25時間、20時間、15時間、10時間、5時間、4時間、3時間、2時間、または1時間未満であってもよい。予め決定された期間は、約5分から5時間の間であってもよい。予め決定された期間は、約5~10分、10~15分、15~20分、20~25分、25~30分、30~45分、45~60分、60分~1.5時間、1.5時間~2時間、2時間~2.5時間、2.5時間~3時間、3時間~3.5時間、3.5時間~4時間、4時間~4.5時間、4.5時間~5時間であってもよい。一部の実施形態では、予め決定された期間は、約2時間であってもよい。予め決定された期間は、例えば、アンモニア酸化細菌の再生を達成する、例えば、貯蔵前の(例えば、増殖状態の)細菌の生存性と比較したアンモニア酸化細菌の生存性、例えば、少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、97%、98%、99%、または100%の生存性を達成するのに要し得る時間であってもよい。
【0083】
本明細書で使用される「活性化」は、独立栄養細菌、例えば、アンモニア酸化細菌に対して使用される。活性化とは、アンモニア酸化細菌を潜在的により活性な状態、例えば、増殖状態に置き得る任意の作用を指す。活性化は、アンモニア、アンモニウムイオン、および尿素のうちの少なくとも1つから亜硝酸塩、一酸化窒素、または一酸化窒素前駆体への変換を何らかの形で支援する、独立栄養細菌、例えば、アンモニア酸化細菌の刺激に関係し得る。活性化は、例えば、独立栄養細菌、例えば、アンモニア酸化細菌が他の既存細菌と競合することを可能とするように、細菌コロニーの確立を助けることに関係し得る。活性化は、独立栄養細菌、例えば、アンモニア酸化細菌の持続性および/または増殖に有利に働き得る環境を提供することに関係し得る。活性化は、環境または表面への独立栄養細菌、例えば、アンモニア酸化細菌の利用可能性を加速させることに関係し得る。「活性化」は、アンモニア酸化細菌が「活性化された」または「増殖状態」となることを提供し得る。「活性化」は、活性化剤の使用により起こり得る。アンモニア酸化細菌は、活性化剤と接触して、「活性化された」または「増殖」状態のアンモニア酸化細菌となり得る。これは、容器、送達デバイス、もしくは送達システム内もしくはその外側で、例えば、第1のチャンバー、第2のチャンバー、混合チャンバー、第3のもしくは追加のチャンバー内で、またはそれらの組合せで行われてもよい。活性化剤は、アンモニア、アンモニウムイオン、または尿素のうちの少なくとも1つであってもよい。活性化剤は、アンモニウム塩、例えば、塩化アンモニウムまたは硫酸アンモニウムであってもよい。活性化剤、例えば、アンモニウム塩、例えば、塩化アンモニウムまたは硫酸アンモニウムの濃度は、約10マイクロモル濃度から約100ミリモル濃度の範囲であってもよい。ある特定の態様では、活性化剤、例えば、アンモニウム塩、例えば、塩化アンモニウムまたは硫酸アンモニウムの濃度は、約0.5mMから約50mMの範囲であってもよい。活性化剤は、溶液、懸濁液、粉末、例えば、結晶形態、培地、緩衝液中にあってもよく、または活性化剤を維持するための適当な担体中に配置されるかもしくはそれとして提供されてもよい。アンモニア酸化細菌は、AOBを所望の状態、例えば、貯蔵状態で維持するための任意の適当な形態、例えば、水性懸濁液、ゲル、または粉末形態であってもよい。アンモニア、アンモニウムイオン、または尿素のうちの少なくとも1つは、アンモニア酸化細菌の増殖を促進する培地または緩衝液、例えば、AOB培地または増殖培地中にあってもよい。徐放性、または制御放出性尿素を、活性化剤として使用してもよい。
【0084】
本明細書で使用される「動作」とは、何らかの作用が起こされていること、例えば、プロセスが開始されていることまたは何らかの物が発動されていることを意味する。一部の実施形態では、動作とは、容器のバリアを破ること、または容器の1つもしくは複数の内容物の移動、例えば、容器の1つもしくは複数の内容物の容器の外側への、例えば、表面もしくは環境への送達の始まりを指し得る。
【0085】
本明細書で使用される「バリア」とは、例えば、容器の第1のチャンバーと第2のチャンバーとの間の通過を妨げるかまたは分離を維持するのに役立ち得る任意の構造または構成を意味し得る。バリアは、バルブ、例えば、チェックバルブ、濾過材料、フィルム、ワックス、脂質、ポリマー、または制御放出性材料、例えば、遅延放出性材料の形態であってもよい。バリアは、容器の動作時に、第1のチャンバーからの内容物の第2のチャンバーへの通過、第2のチャンバーからの内容物の第1のチャンバーへの通過、または両方を可能とし得る材料であってもよい。バリアは、動作時に、例えば、バリアを突き通す、穿刺する、突き刺す、穿孔する、貫通する、引き裂く、開放するまたはちぎることにより破壊されてもよい。バリアは、バルブ、例えば、チェックバルブ、容器の1つもしくは複数の内容物との接触時に分解しない場合がある可撓性もしくは非可撓性材料、または容器の1つもしくは複数の内容物との接触時に分解し得る可撓性もしくは非可撓性材料、濾過材料の形態であってもよい。バリアは、その目的に適当な任意の材料、例えば、通過を妨げるまたは分離を維持するのに役立ち得る材料、例えば、ポリマー材料または金属材料から作製されてもよい。
【0086】
「マイクロバイオーム」とは、対象の表面上で、例えば、腸、口、皮膚、および/または対象中の他の場所において生存する集団、例えば、1種または複数の微生物を指す。集団は、対象の生命を支持することに関して、1つまたは複数の有益な機能および/または利益を有し得る。
【0087】
「バイオームに無害である」とは、対象のマイクロバイオームの最小限の撹乱を可能とし得る何らかの物、例えば、製品、例えば、化粧製品、例えば、完成化粧製品を指す。例えば、バイオームに無害であるとは、対象に適用され得る製品であって、適用時点のマイクロバイオームが維持され、最小限に撹乱され、および/または製品の適用後のある期間後にそのマイクロバイオームに戻ることができることを可能とし得る、製品を指す。複数の実施形態では、バイオームに無害であるとは、製品が対象のアンモニア酸化細菌の最小限の撹乱を可能とし得るという点で、アンモニア酸化細菌に無害であることを指し得る。
【0088】
複数の実施形態では、「バイオームに無害である」は、「バイオームに適合する」と言及される場合がある。
【0089】
「天然生成物」とは、少なくとも一部天然由来であり得る生成物であるかまたはそれを含んでもよい。これは、生きている生物によって生成された任意の物であるかまたは任意の物を含んでもよく、生物自体を含んでもよい。天然生成物は、生物全体、および生物の一部(例えば、植物の葉)、生物由来のエキス、生物由来の有機化合物、生物由来の精製有機化合物を含んでもよい。天然生成物は、一次代謝産物(アミノ酸、炭水化物、および核酸)ならびに二次代謝産物(限られた範囲の種において見出される有機化合物、例えば、ポリケチド、脂肪酸、テルペノイド、ステロイド、フェニルプロパノイド、アルカロイド、特殊アミノ酸およびペプチド、特殊炭水化物)を含む、見出された有機物質および細胞であるかまたはそれを含んでもよい。天然生成物は、ポリマー有機材料、例えばセルロース、リグニン、およびタンパク質であるかまたはそれを含んでもよい。
【0090】
天然生成物は、商業目的の製品であるかまたはそれを含んでもよく、天然源から生成された化粧品、栄養補助食品、および食品を指し得る。天然生成物は、例えば、疾患または状態の処置において、治療上有益であり得る薬理学的または生物学的活性を有し得る。天然生成物は、伝統薬、美容術目的のトリートメント、およびスパトリートメント中に含まれ得る。本明細書で言及される天然生成物は、1種または複数の他の構成成分、例えば、添加剤を含む調製物または配合物に組み込まれる天然生成物として記載された構成成分のうちのいずれか1種または複数を含んでもよい。天然生成物と言及される調製物または配合物は、本明細書に定義された天然生成物と、1種または複数の追加の構成成分または成分とを含んでもよい。本開示を通じて論じられた組成物、調製物、または配合物のいずれかは、1種または複数の天然生成物であるかまたはそれを含んでもよい。
【0091】
一部の実施形態では、天然生成物または強化天然生成物は、泥、水、食物由来の生成物、植物由来の生成物、エキス、および油のうちの少なくとも1つを含んでもよい。天然生成物または強化天然生成物は、スパトリートメント(spa treatment)において使用されてもよい。
【0092】
一部の実施形態では、天然生成物または強化天然生成物は、粉末、クリーム、ローション、ラップ、スクラブ、アイマスク、フェイシャルマスク、ボディマスク、エアロゾル、例えば、ミスト、スプレー、膏薬、ワイプ、スティック、包帯、または浸液のうちの少なくとも1つに組み込まれてもよい。
【0093】
一部の実施形態では、天然生成物または強化天然生成物は、ベビー製品、例えば、ベビーシャンプー、ベビーローション、ベビーオイル、ベビーパウダー、ベビークリーム;浴用調製物、例えば、バスオイル、タブレット、ソルト、バブルバス、バスカプセル;アイメークアップ用調製物、例えば、アイブローペンシル、アイライナー、アイシャドー、アイローション、アイメークアップリムーバー、マスカラ;香料調製物、例えば、コロン、オードトワレ、香水、パウダー(ダスティングおよびタルカム)、サシェ;毛髪用調製物、例えば、毛髪コンディショナー、ヘアスプレー、ヘアストレート剤、パーマネントウェーブ剤、リンス、シャンプー、トニック、調髪料、整髪補助剤、ウェーブセット剤;毛髪着色用調製物、例えば、毛髪染料およびヘアカラー、染毛剤、着色用ヘアリンス、着色用ヘアシャンプー、着色ヘアライトナー、ヘアブリーチ;メークアップ用調製物、例えば、フェースパウダー、ファンデーション、レッグおよびボディペイント、口紅、メークアップベース、頬紅、メークアップ定着剤;マニキュア用調製物、例えば、ベースコートおよびアンダーコート、キューティクル軟化剤、ネイルクリームおよびローション、ネイルエクステンダー、ネイルポリッシュおよびエナメル、ネイルポリッシュおよびエナメルリムーバー;口腔衛生製品、例えば、歯磨剤、マウスウォッシュおよびブレスフレッシュナー;浴用石鹸および洗剤、デオドラント、ビデ、女性用衛生デオドラント;シェービング用調製物、例えば、アフターシェーブローション、髭軟化剤、タルカム、プレシェーブローション、シェービングクリーム、シェービングソープ;スキンケア用調製物、例えば、クレンジング、脱毛剤、顔および首、身体および手、足用パウダーおよびスプレー、保湿料、夜用調製物、ペーストマスク、スキンフレッシュナー;ならびに日焼け用調製物、例えば、ジェル、クリーム、およびリキッド、および屋内タンニング用調製物のうちの少なくとも1つとして提供されてもよく、またはその中に配置されてもよい。
【0094】
本明細書で使用されるとき、「存在」または「レベル」とは、構成成分、例えば、アンモニア酸化細菌、アンモニア、アンモニウムイオン、尿素、亜硝酸塩、または一酸化窒素のうちのいずれか1つまたは複数の定性的または定量的量を指し得る。存在またはレベルは、ゼロ値または構成成分が存在しないことを含んでもよい。
【0095】
本明細書で使用されるとき、「界面活性剤」という用語は、2種の液体の間または液体と固体との間の表面張力、または界面張力を低下させ得る化合物を含む。界面活性剤は、洗剤、湿潤化剤、乳化剤、起泡剤、および分散剤として作用し得る。界面活性剤は、以下のうちの1種または複数を、単独で、または列記されたもの、もしくは他の界面活性剤もしくは界面活性剤様化合物と組み合わせて含んでもよい:コカミドプロピルベタイン(ColaTeric COAB)、ポリエチレンソルビトールエステル(例えば、Tween 80)、エトキシ化ラウリルアルコール(RhodaSurf 6 NAT)、ラウレス硫酸ナトリウム/ラウリルグルコシド/コカミドプロピルベタイン(Plantapon 611 L UP)、ラウレス硫酸ナトリウム(例えば、RhodaPex ESB 70 NAT)、アルキルポリグルコシド(例えば、Plantaren 2000 N UP)、ラウレス硫酸ナトリウム(Plantaren 200)、Dr.Bronnerのカスティール石鹸、Dr.Bronnerのベビー石鹸、ラウラミンオキシド(ColaLux Lo)、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、ポリスルホネートアルキルポリグルコシド(PolySufanate 160 P)、ラウリル硫酸ナトリウム(Stepanol-WA Extra K)、およびそれらの組合せ。Dr.Bronnerのカスティール石鹸およびベビー石鹸は、水、有機ヤシ油、水酸化カリウム、有機オリーブ油、有機フェアディールアサ油、有機ホホバ油、クエン酸、およびトコフェロールを含む。
【0096】
界面活性剤は、ヒドロキシプロピルスルホン酸ラウリルグルコシドナトリウム(Suga(登録商標)nate 160NC)、ラウラミドプロピルベタイン(Cola(登録商標)Teric LMB);コカミドプロピルヒドロキシスルタイン(Cola(登録商標)Teric CBS);ココアンホ二酢酸二ナトリウム(Cola(登録商標)Teric CDCX-LV);ヒドロキシプロピルリン酸ラウリルグルコシドナトリウム(Suga(登録商標)Fax D12)を含んでもよい。
【0097】
界面活性剤は、ラウロイルメチルイセチオン酸ナトリウム(Iselux(登録商標)LQ-CLR-SB);ココイルメチルタウリンナトリウム(Pureact WS Conc.);水(および)ラウロイルメチルイセチオン酸ナトリウム(および)コカミドプロピルベタイン(および)ココイルイセチオン酸ナトリウム(および)オレオイルメチルタウリンナトリウム(Iselux(登録商標)SFS-SB)を含んでもよい。
【0098】
他の界面活性剤が、本開示によって企図される。
2.アンモニア酸化細菌(AOB)、N.eutropha株D23および他のアンモニア酸化細菌
【0099】
本明細書で複数のAOBまたは1つのAOBと呼ばれる場合がある独立栄養アンモニア酸化細菌は、Alan B. HooperおよびA. Krummelらによって述べられた絶対独立栄養細菌である。Alan B. Hooper、Biochemical Basis of Obligate Autotrophy in Nitrosomonas europaea、Journal of Bacteriology、1969年2月、776~779頁。Antje Krummelら、Effect of Organic Matter on Growth and Cell Yield of Ammonia-Oxidizing Bacteria、Arch Microbiol(1982年)133巻:50~54頁。これらの細菌は、すべての代謝エネルギーをアンモニアから亜硝酸塩への酸化によってのみ得るが、その呼吸鎖内の中間生成物として一酸化窒素(NO)を有し、二酸化炭素を固定することによって事実上すべての炭素を得る。それらは、少数種の単純な分子以外の炭素源を利用することができない。
【0100】
アンモニア酸化細菌(AOB)は、環境中に広く見出され、アンモニア、酸素および微量金属の存在下で二酸化炭素を固定して繁殖する。AOBは、増殖が遅い場合があり、有毒レベルのアンモニアは、AOBが繁殖できる前に魚および他の生物を殺滅する場合があるが、アンモニアを無毒レベルに低減する。AOBの遅い増殖は、皮膚に適用された場合にAOBが生成するNOおよび亜硝酸塩の健康上の利益を遅らせる場合もある。
【0101】
増殖し、その目的のために貯蔵された十分な生きたAOBを、水槽(aquarium)、皮膚、またはプロセスに補充することが望ましい。AOBは胞子を形成しないので、乾燥状態で高い生存率を有して貯蔵することが困難であり、湿った状態での貯蔵は、AOBを代謝的に活性なままにする。
【0102】
廃水処理のためにAOBを貯蔵している間の硝化能の減衰は、例えば(Munz G、Lubello C、Oleszkiewicz JA. Modeling the decay of ammonium oxidizing bacteria. Water Res. 2011年1月;45巻(2号):557~64頁、Oi:10.1016/j.watres.2010.09.022)として研究されている。
【0103】
Nitrosomonasの増殖、長期貯蔵、および活性回復は、Cassidyら(US5,314,542)によって論じられており、そこで彼らは、Nitrosomonasを増殖させること、有毒な老廃物を除去すること、適切な塩分の無菌水中で最大1年の期間貯蔵すること、その後緩衝液(CaCO)および200ppmのアンモニウムを添加することによって復元するが、その復元は72時間かかることを開示している。
【0104】
絶対独立栄養生物として、AOBは、アンモニアから亜硝酸塩への酸化によって発生したエネルギーおよび還元当量を使用してCOを固定することによってタンパク質を合成する。増殖は、アンモニア、酸素、無機質および二酸化炭素を要求する。
【0105】
Nitrosomonasは、K.R. TerryおよびA. B. Hooperによる「Polyphosphate and Orthophosphate Content of Nitrosomonas europaea as a Function of Growth」、Journal of Bacteriology、1970年7月、199~206頁、103巻、I号によると、いくつかの代謝状態で存在してもよい。
【0106】
本開示において考慮されるAOBは、野生型AOBに対して突然変異を含んでもよい。これらの突然変異は、例えば自然発生する、ランダム突然変異誘発によって導入される、または標的突然変異誘発によって導入される場合がある。例として、AOBは、野生型AOBが典型的に含む1つまたは複数の遺伝子または調節DNA配列を欠如する場合がある。AOBは、配列決定された株または野生型株に対して点突然変異、置換、挿入、欠失、および/または再編成も含んでもよい。AOBは、最適化AOBの精製調製物であってもよい。
【0107】
ある特定の実施形態では、AOBはトランスジェニックである。例として、野生型アンモニア酸化細菌が欠如する1つもしくは複数の遺伝子または調節DNA配列を含んでもよい。より詳細には、アンモニア酸化細菌は、例として、レポーター遺伝子、選択マーカー、酵素をコードする遺伝子、またはプロモーター(誘導性もしくは抑制性プロモーターを含む)を含んでもよい。一部の実施形態では、付加遺伝子または調節DNA配列は、細菌染色体に組み入れられ;一部の実施形態では、付加遺伝子または調節DNA配列はプラスミド上に位置している。
【0108】
一部の実施形態では、AOBは、天然に存在する細菌と少なくとも1つのヌクレオチドが異なる。例として、AOBは、関連する経路、例えば、アンモニア代謝経路、尿素代謝経路、または一酸化窒素もしくは一酸化窒素前駆体を生成するための経路の部分である遺伝子またはタンパク質が天然に存在する細菌と異なってもよい。より詳細には、AOBは、例えば、経路のエレメントのレベルまたは活性を増加させることによってその経路の活性を上昇させる突然変異を含んでもよい。
【0109】
上述の突然変異は、任意の適当な技法を使用して導入することができる。所与の位置に突然変異を導入するための多数の方法が公知である。例として、部位指向性突然変異誘発、オリゴヌクレオチド指向性突然変異誘発、または部位特異的突然変異誘発を使用することができる。特異的突然変異誘発プロトコールの非限定的な例は、例えば、Mutagenesis、13.1~13.105頁(SambrookおよびRussell編、Molecular Cloning A Laboratory Manual、3巻、第3版、2001年)に記載されている。加えて、商業的供給業者から入手可能な十分に特徴付けられた突然変異誘発プロトコールの非限定的な例は、Altered Sites(登録商標)II in vitro Mutagenesis Systems(Promega Corp.、Madison、Wis.);Erase-a-Base(登録商標)System(Promega、Madison、Wis.);GeneTailor(商標)Site-Directed Mutagenesis System(Invitrogen,Inc.、Carlsbad、Calif.);QuikChange(登録商標)II Site-Directed Mutagenesis Kits(Stratagene、La Jolla、Calif.);およびTransformer(商標)Site-Directed Mutagenesis Kit(BD-Clontech、Mountain View、Calif.)を含むがこれらに限定されない。
【0110】
本開示のある特定の実施形態では、アンモニア酸化細菌は、純粋培養であってもよい。アンモニア酸化細菌の調製物(配合物または組成物)は、純粋培養のアンモニア酸化細菌を含むか、それから本質的になるか、またはそれからなってもよい。
【0111】
本開示のアンモニア酸化細菌は、Nitrosomonas、Nitrosococcus、Nitrosospira、Nitrosocystis、Nitrosolobus、Nitrosovibrio、およびそれらの組合せからなる群から選択される属由来であってもよい。
【0112】
本開示は、とりわけ、対象、例えば、ヒト対象の表面上での一酸化窒素および一酸化窒素前駆体の生成を増加させることができる、アンモニア酸化細菌の特有の、例えば、最適化株であるN.eutropha株D23を提供する。本開示はまた、細菌および細菌を含む物品を使用する方法を提供する。
【0113】
複数の実施形態では、アンモニア酸化細菌、例えば、N.eutrophaは、天然に存在しない。例として、これは、選択の期間中に望ましい突然変異を蓄積していてもよい。他の実施形態では、望ましい突然変異は、実験者によって導入されてもよい。一部の実施形態では、N.eutrophaは、精製調製物であってもよく、最適化N.eutrophaであってもよい。
【0114】
好ましい実施形態では、N.eutropha株は、独立栄養であり、そのため感染を引き起こすことができない。好ましい株は、尿素およびアンモニアを利用し、その結果、細菌による吸収および利用の前に、汗中の尿素の加水分解が必要とならない。また、低pHで増殖するために、細菌は、NH イオンまたは尿素を吸収し得る。選択された株はまた、対象、例えば、ヒトの外表皮膚上で生存可能であり、かつそこでの条件に耐えるべきである。
【0115】
本開示はN.eutropha株D23に詳細に言及しているが、以下:N.eutrophaの1つまたは複数の他の株、Nitrosomonasの1つまたは複数の他の種、および1種または複数の他のアンモニア酸化細菌のうちの1つまたは複数を用いた調製物、方法、組成物、処置、着用可能な物品、および衣料品が使用され得る。
【0116】
ある特定の実施形態では、N.eutrophaは、受託番号PTA-121157で、2014年4月8日にAmerican Tissue Culture Collection(ATCC)に寄託され、AOB D23-100と指定される株(25個のバイアル)である。D23 Nitrosomonas eutropha株とは、AOB D23-100と指定され、2014年4月8日にAmerican Tissue Culture Collection(ATCC)(10801 University Blvd.、Manassas、VA、米国)に寄託され、受託番号PTA-121157を有する株を指す。受託番号PTA-121157の核酸配列、例えば、ゲノム配列は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。ある特定の実施形態では、N.eutrophaは、2015年4月15日出願のPCT出願第PCT/US2015/025909号に記載された株であり、この文献は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0117】
ある特定の実施形態では、上述の配列特徴を有する細菌は、(1)倍加時間によって測定される最適化増殖速度、(2)OD600によって測定される最適化増殖速度、(3)最適化NH 酸化速度、(4)最適化NH 耐性、および(4)最適化NO 耐性のうちの1つまたは複数を有する。これらの特性の詳細な部分組合せを次段落に特定する。
【0118】
一部の実施形態では、本明細書に記載されたアンモニア酸化細菌、例えば、N.eutrophaは、以下:(1)倍加時間によって測定される最適化増殖速度、(2)OD600によって測定される最適化増殖速度、(3)最適化NH 酸化速度、(4)最適化NH 耐性、および(4)最適化NO 耐性のうちの1つまたは複数を有する。例として、細菌は、本段落の最初にある一覧から特性(1)および(2);(2)および(3);(3)および(4);または(4)および(5)を有してもよい。別の例として、細菌は、本段落の最初にある一覧から特性(1)、(2)、および(3);(1)、(2)、および(4);(1)、(2)、および(5);(1)、(3)、および(4);(1)、(3)、および(5);(1)、(4)、および(5);(2)、(3)、および(4);(2)、(3)、および(5)、または(3)、(4)、および(5)を有してもよい。さらなる例として、細菌は、本段落の最初にある一覧から特性(1)、(2)、(3)、および(4);(1)、(2)、(3)、および(5);(1)、(2)、(4)、および(5);(1)、(3)、(4)、および(5);または(2)、(3)、(4)、および(5)を有してもよい。一部の実施形態では、細菌は、本段落の最初にある一覧から特性(1)、(2)、(3)、(4)、および(5)を有する。
【0119】
本開示はまた、以下:(1)倍加時間によって測定される最適化増殖速度、(2)OD600によって測定される最適化増殖速度、(3)最適化NH 酸化速度、(4)最適化NH 耐性、および(4)最適化NO 耐性のうちの1つまたは複数を有するアンモニア酸化細菌、例えば、N.eutrophaの純粋培養組成物を提供する。例として、細菌組成物は、本段落の最初にある一覧から特性(1)および(2);(2)および(3);(3)および(4);または(4)および(5)を有してもよい。別の例として、細菌組成物は、本段落の最初にある一覧から特性(1)、(2)、および(3);(1)、(2)、および(4);(1)、(2)、および(5);(1)、(3)、および(4);(1)、(3)、および(5);(1)、(4)、および(5);(2)、(3)、および(4);(2)、(3)、および(5)、または(3)、(4)、および(5)を有してもよい。さらなる例として、細菌組成物は、本段落の最初にある一覧から特性(1)、(2)、(3)、および(4);(1)、(2)、(3)、および(5);(1)、(2)、(4)、および(5);(1)、(3)、(4)、および(5);または(2)、(3)、(4)、および(5)を有してもよい。一部の実施形態では、細菌組成物は、本段落の最初にある一覧から特性(1)、(2)、(3)、(4)、および(5)を有する。
【0120】
受託番号PTA-121157で、2014年4月8日に25個のバイアルの形態でATCC特許寄託機関に寄託され、AOB D23-100と指定されるN.eutropha株D23は、配列番号1またはその相補体を有する環状ゲノムを含む。したがって、一部の実施形態では、本明細書に記載されたN.eutropha株は、2015年4月15日出願のPCT出願第PCT/US2015/025909号の配列番号1、またはその相補体に類似した核酸配列、例えば、ゲノムを含む。
【0121】
ある特定の実施形態では、N.eutropha株は、本明細書に記載された低ストリンジェンシー、中ストリンジェンシー、高ストリンジェンシー、もしくは非常に高いストリンジェンシー、または他のハイブリダイゼーション条件下で、2015年4月15日出願のPCT出願第PCT/US2015/025909号の配列番号1、または受託番号PTA-121157で、2014年4月8日に25個のバイアルの形態でATCC特許寄託機関に寄託され、AOB D23-100と指定されるD23株のゲノム、またはそれらの相補体にハイブリダイズする核酸配列、例えば、ゲノムを含む。
【0122】
本明細書で使用されるとき、「低ストリンジェンシー、中ストリンジェンシー、高ストリンジェンシー、または非常に高いストリンジェンシーの条件下でハイブリダイズする」という用語は、ハイブリダイゼーションおよび洗浄の条件を説明する。ハイブリダイゼーション反応を実施するための指針は、Current Protocols in Molecular Biology、John Wiley & Sons、N.Y.(1989年)、6.3.1~6.3.6頁に見出すことができ、この文献は、参照により組み込まれる。水性および非水性方法がその参考文献に記載されており、いずれも使用することができる。本明細書で言及される具体的なハイブリダイゼーション条件は、以下の通りである:1)低ストリンジェンシーハイブリダイゼーション条件は、約45℃で6×塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)中であり、続いて、少なくとも50℃で0.2×SSC、0.1%SDS中で2回洗浄する(低ストリンジェンシー条件については、洗浄の温度は55℃まで高めることができる);2)中ストリンジェンシーハイブリダイゼーション条件は、約45℃で6×SSC中であり、続いて、60℃で0.2×SSC、0.1%SDS中で1回または複数回洗浄する;3)高ストリンジェンシーハイブリダイゼーション条件は、約45℃で6×SSC中であり、続いて、65℃で0.2×SSC、0.1%SDS中で1回または複数回洗浄する;4)非常に高いストリンジェンシーのハイブリダイゼーション条件は、65℃で0.5Mリン酸ナトリウム、7%SDSであり、続いて、65℃で0.2×SSC、1%SDSで1回または複数回洗浄する。非常に高いストリンジェンシーの条件(4)が適当な条件であり、別段の規定がない限り、使用すべき条件である。
【0123】
D23株は、自然の生成物であるとは思われておらず、むしろ、実験室における長期間の培養および選択中にある特定の突然変異および特徴を獲得している。例として、D23は、約200または250mM超のNH の条件において、24時間超の間増殖する能力を有する。
【0124】
一部の実施形態では、本明細書に開示されたN.eutrophaは、シデロフォアの存在量において、天然に存在する細菌と相違する。例として、N.eutrophaは、N.eutropha C91と比較して、上昇したまたは低減したシデロフォアレベルを有してもよい。一般に、シデロフォアは、細菌がその環境から鉄を捕捉することを助ける分泌された鉄キレート化合物である。シデロフォアはペプチドである場合もあり、有機小分子である場合もある。
【0125】
本開示で企図されるAOB、例えば、N.eutrophaは、野生型N.eutrophaおよび/または本明細書に開示されたN.eutropha配列に対する突然変異を含んでもよい。これらの突然変異は、例えば、自発的に生じるか、ランダム突然変異誘発によって導入されるか、または標的突然変異誘発によって導入されてもよい。例として、アンモニア酸化細菌、例えば、N.eutrophaは、野生型N.eutrophaが典型的に含む1つまたは複数の遺伝子または調節DNA配列を欠いていてもよい。アンモニア酸化細菌、例えば、N.eutrophaはまた、配列決定された株または野生型株に対する点突然変異、置換、挿入、欠失、および/または再編成を含んでもよい。アンモニア酸化細菌、例えば、N.eutrophaは、最適化アンモニア酸化細菌、例えば、N.eutrophaの精製調製物であってもよい。
【0126】
ある特定の実施形態では、アンモニア酸化細菌、例えば、N.eutrophaは、トランスジェニックである。例として、これは、野生型N.eutropha D23が欠いている1つまたは複数の遺伝子または調節DNA配列を含んでもよい。より詳細には、アンモニア酸化細菌、例えば、N.eutrophaは、例として、レポーター遺伝子、選択マーカー、酵素をコードする遺伝子、またはプロモーター(誘導性もしくは抑制性プロモーターを含む)を含んでもよい。一部の実施形態では、追加の遺伝子または調節DNA配列は、細菌染色体に取り込まれ、一部の実施形態では、追加の遺伝子または調節DNA配列は、プラスミド、例として、N.eutropha N91に見出されるプラスミドに関係するプラスミド上にある。
【0127】
一部の好ましい実施形態では、アンモニア酸化細菌、例えば、N.eutrophaは、少なくとも1つのヌクレオチドが、天然に存在する細菌と相違する。例として、アンモニア酸化細菌、例えば、N.eutrophaは、関連経路、例えば、アンモニア代謝経路、尿素代謝経路、または一酸化窒素もしくは一酸化窒素前駆体を生成するための経路の一部である遺伝子またはタンパク質が、天然に存在する細菌と異なってもよい。より詳細には、アンモニア酸化細菌、例えば、N.eutrophaは、経路の活性を、例えば、その経路の要素のレベルまたは活性を高めることによって上昇させる突然変異を含んでもよい。
【0128】
上記突然変異は、任意の適切な技法を使用して導入することができる。所与の位置に突然変異を導入するための多数の方法が公知である。例として、部位特異的突然変異誘発、オリゴヌクレオチド特異的突然変異誘発、または部位特異的突然変異誘発を使用することができる。特異的突然変異誘発プロトコールの非限定的な例は、例えばMutagenesis、13.1~13.105頁(SambrookおよびRussell編、Molecular Cloning A Laboratory Manual、3巻、第3増補版、2001年)に記載されている。加えて、販売業者から入手可能な、よく特徴付けられた突然変異誘発プロトコールの非限定的な例には、非限定的に、Altered Sites(登録商標)II in vitro突然変異誘発システム(Promega Corp.、Madison、Wis.);Erase-a-Base(登録商標)システム(Promega、Madison、Wis.);GeneTailor(商標)部位特異的突然変異誘発システム(Invitrogen,Inc.、Carlsbad、Calif.);QuikChange(商標)II部位特異的突然変異誘発キット(Stratagene、La Jolla、Calif.);およびTransformer(商標)部位特異的突然変異誘発キット(BD-Clontech、Mountain View、Calif.)が含まれる。
【0129】
一部の実施形態では、アンモニア酸化細菌の調製物は、状態または疾患を少なくとも部分的に処置するためのアンモニア酸化細菌の濃度または量を含んでもよい。アンモニア酸化細菌の調製物は、表面、例えば、皮膚表面の細菌の量、濃度もしくは比率または細菌の属を変化させる、例えば、低減または増加させるためのアンモニア酸化細菌の濃度または量を含んでもよい。細菌は、非病原性もしくは病原性、または潜在的に病原性であってもよい。
【0130】
一部の実施形態では、アンモニア酸化細菌の調製物は、約10から約1014CFU/Lの間を含んでもよい。調製物は、少なくとも10、10、1010、1011、2×1011、5×1011、1012、2×1012、5×1012、1013、2×1013、5×1013、もしくは1014、または約10~10、10~1010、1010~1011、1011~1012、1012~1013、もしくは1013~1014CFU/Lを含んでもよい。
【0131】
ある特定の態様では、調製物は、約1×10CFU/Lから約10×10CFU/Lの間を含んでもよい。ある特定の態様では、調製物は、約1×10CFUから約10×10CFUの間を含んでもよい。ある特定の態様では、調製物は、約1×10CFU/mLから10×10CFU/mLを含んでもよい。ある特定の態様では、調製物は、約1×10CFU/mLを含んでもよい。
【0132】
一部の実施形態では、アンモニア酸化細菌の調製物は、約0.1ミリグラム(mg)から約1000mgの間のアンモニア酸化細菌を含んでもよい。ある特定の態様では、調製物は、約50mgから約1000mgの間のアンモニア酸化細菌を含んでもよい。調製物は、約0.1~0.5mg、0.2~0.7mg、0.5~1.0mg、0.5~2mg、0.5~5mg、2.5~5mg、2.5~7.0mg、5.0~10mg、7.5~15mg、10~15mg、15~20mg、15~25mg、20~30mg、25~50mg、25~75mg、50~75mg、50~100mg、75~100mg、100~200mg、200~300mg、300~400mg、400~500mg、500~600mg、600~700mg、700~800mg、800~900mg、900~1000mg、100~250mg、250~500mg、100~500mg、500~750mg、750~1000mg、または500~1000mgの間を含んでもよい。
【0133】
一部の実施形態では、アンモニア酸化細菌の調製物は、添加剤、例えば、薬学的に許容される添加剤または化粧品として許容される添加剤に対するアンモニア酸化細菌の質量比を約0.1グラム/リットルから約1グラム/リットルの範囲で含んでもよい。調製物は、添加剤に対するアンモニア酸化細菌の質量比を約0.1~0.2、0.2~0.3、0.1~0.5、0.2~0.7、0.5~1.0、または0.7~1.0グラム/リットルの範囲で含んでもよい。
【0134】
一部の実施形態では、アンモニア酸化細菌の調製物は、本明細書に記載された用量を有するアンモニア酸化細菌を、アンモニア、例えば、約0.01mMから約100mMの間のアンモニア濃度と組み合わせて含んでもよい。例えば、アンモニア濃度は、約0.01、0.05、0.1、0.2、0.4、0.5、0.6、0.8、1.0、1.2、1.4、1.6、1.8、2.0、2.2、2.4、2.5、2.6、2.8、3.0、3.2、3.4、3.6、3.8、4.0、4.2、4.4、4.5、4.6、4.8、5.0、5.2、5.4、5.6、5.8、6.0、6.2、6.4、6.6、6.8、7.0、7.2、7.4、7.6、7.8、8.0、8.2、8.4、8.6、8.8、10.0、15.0、20.0、25.0、30.0、35.0、40.0、45.0、50.0、55.0、60.0、65.0、70.0、75.0、80.0、85.0、90.0、95.0、100.0mMであってもよい。
【0135】
一部の実施形態では、アンモニア酸化細菌の調製物は、リン酸二ナトリウムおよび塩化マグネシウム、例えば、50mM NaHPOおよび2mM MgClを含む、それから本質的になる、またはそれからなる水性緩衝溶液中のアンモニア酸化細菌を含むか、それから本質的になるか、またはそれからなってもよい。ある特定の態様では、調製物は、水中の約1×10CFU/mL、50mM NaHPO、および2mM MgClを含んでもよい。
【0136】
一部の実施形態では、アンモニア酸化細菌の調製物は、アンモニア酸化細菌の前活性化を提供する構成成分を含んでもよい。例えば、前活性化は、アンモニア酸化細菌およびアンモニアを有する調製物を有することを伴い得る。
【0137】
一部の実施形態では、アンモニア酸化細菌の調製物は、対象への送達時の活性化、例えば、共活性化を提供する形態であってもよい。これは、アンモニア酸化細菌の送達の前またはそれと同時に対象上に存在する利用するアンモニアへのアンモニア酸化細菌の送達を提供する。例えば、アンモニアは、対象自身のアンモニア源に由来するか、またはアンモニア酸化細菌の前もしくはそれと同時に適用されてもよい。アンモニアは、別個の容器中に提供されてもよく、または対象に自然に由来してもよい。
【0138】
調製物は、約0.1から約100液量オンス、約0.2から約50液量オンス、約0.5から約25液量オンス、約1.0から約10液量オンス、約2.0から約7液量オンス、約3から約5液量オンスの間の体積を含んでもよい。一部の実施形態では、調製物は、約3.4液量オンスの体積を含んでもよい。
【0139】
調製物は、約0.1から約100液量オンス、約0.2から約50液量オンス、約0.5から約25液量オンス、約1.0から約10液量オンス、約2.0から約7液量オンス、約3から約5液量オンスの間を含有するように構築された容器中に提供されてもよい。一部の実施形態では、調製物は、約3.4液量オンスを含有するように構築された容器である。容器は、1チャンバー式容器、または本明細書に開示された他の任意の容器であってもよい。
【0140】
一部の実施形態では、アンモニア酸化細菌の調製物は、増殖状態であってもよい。増殖状態は、アンモニア酸化細菌を、増殖を促進できる環境に曝露することによって提供され得る。増殖状態は、状態、例えば、アンモニウムイオン(NH )を亜硝酸塩(NO )に変換するためにアンモニア酸化細菌の即時入手を可能にする環境にあるアンモニア酸化細菌であってもよい。増殖状態は、約7.6よりも大きいpHを有する環境中にアンモニア酸化細菌を提供することを含んでもよい。増殖状態は、また、第1節に記載されたアンモニア、アンモニウム塩、および/または尿素、微量無機質ならびに十分な酸素および二酸化炭素を有する環境中にアンモニア酸化細菌を提供することを含んでもよい。
【0141】
一部の実施形態では、アンモニア酸化細菌の調製物は、ポリホスフェート負荷状態であってもよく、状態または環境、例えば、培地、例えば、培養培地、例えば、増殖培地は、約7.4未満のpHを有してもよい。アンモニア、アンモニウムイオン、および尿素のうちの少なくとも1つのレベルは、約10マイクロモル濃度と200ミリモル濃度の間であってもよい。微量材料のレベルは、0.1マイクロモル濃度の鉄と20マイクロモル濃度の鉄の間であってもよい。酸素のレベルは、約5%と100%酸素飽和の間であってもよい。二酸化炭素のレベルが、約0と200ppmの間/それ未満で、ホスフェートのレベルが、約10マイクロモル濃度を超えてもよい。ポリホスフェート負荷状態の目的は、ATPを生成できるようにAOBにアンモニアおよび酸素を提供するが、AOBがそのATPを使用して二酸化炭素を固定することができない代わりに、貯蔵され得るポリホスフェートを発生させるためにそのATPを使用するように、AOBに二酸化炭素および炭酸塩を与えないことである。
【0142】
一部の実施形態では、アンモニア酸化細菌の調製物は、貯蔵状態であってもよい。貯蔵状態は、後に復元するために貯蔵することができる環境中のアンモニア酸化細菌として定義されてもよい。貯蔵状態は、状態、例えば、復元された後に、例えば、増殖状態を予め決定された期間促進する環境中に置かれた後に、アンモニア酸化細菌の入手を可能にする環境中のアンモニア酸化細菌であってもよい。
【0143】
貯蔵状態は、約7.4未満のpHを有する環境中にアンモニア酸化細菌を提供することを含んでもよい。貯蔵状態はまた、上記の第1節に記載された通り、アンモニア、アンモニア塩、および/または尿素、微量鉱物、酸素、ならびに低濃度の二酸化炭素を有する環境中にアンモニア酸化細菌を提供することを含んでもよい。
【0144】
貯蔵は、4℃で最大数ヶ月間貯蔵することによっても達成され得る。貯蔵緩衝液は、一部の実施形態では、50mM NaHPO~2mM MgCl(pH7.6)を含んでもよい。
【0145】
一部の実施形態では、アンモニア酸化細菌は低温貯蔵されてもよい。アンモニア酸化細菌の対数増殖中期培養物1.25mlを2ml凍結チューブおよび無菌80%グリセロール0.75mlに添加することができる。チューブを静かに振盪し、室温で15分間インキュベートして、細胞による凍結保護剤の取込みを可能にすることができる。凍結および貯蔵のためにチューブを-80℃冷凍庫内で直接貯蔵することができる。
【0146】
培養物の蘇生のために、凍結ストックを氷上で10~20分間解凍し、次に8,000×gにて4℃で3分間遠心分離することができる。AOB培地2ml中で懸濁することによってペレットを洗浄し、続いて8,000×gにて4℃で3分間もう一度遠心分離して、凍結保護剤の潜在的毒性を低減することができる。ペレットをAOB培地2ml中に再懸濁し、50mM NH を含有するAOB培地50ml中に蒔き、200rpmで振盪することによって30℃の暗条件でインキュベートすることができる。
【0147】
一部の実施形態では、アンモニア酸化細菌の調製物は、貯蔵状態のアンモニア酸化細菌および/またはポリホスフェート負荷状態のアンモニア酸化細菌および/または増殖状態のアンモニア酸化細菌を含んでもよい。
【0148】
理論に縛られることを望むものではないが、十分な酸素およびアンモニアを有する低二酸化炭素の状態または環境にアンモニア酸化細菌を維持することによって、アンモニア酸化細菌は、ポリホスフェートを予め決定された期間、例えば、約1倍加時間の期間、例えば、約8~12時間、例えば、約10時間蓄積することができる。アンモニア酸化細菌は、その貯蔵生存率、貯蔵時間を伸ばすのに十分なポリホスフェートを蓄積し、その復元を加速し得る。これは、緩衝液およびアンモニアの添加を伴ってまたは伴わずに起こり得る。
【0149】
十分な貯蔵ポリホスフェートの存在は、アンモニアおよび酸素の非存在下であっても代謝活性を維持し、さもなければ致死的であろう傷害から生き残るためのATP資源をアンモニア酸化細菌に与えることができる。
【0150】
アンモニアがATPを発生する酸化プロセスは、2つのステップを有する。第1のステップは、アンモニアモノオキシゲナーゼ(Amo)によるアンモニアからヒドロキシルアミンへの酸化であり、ヒドロキシルアミンオキシドレダクターゼ(Hao)によるヒドロキシルアミンから亜硝酸塩への変換が続く。第2のステップ(ヒドロキシルアミンから亜硝酸塩への変換)からの電子は、第1のステップ(アンモニアからヒドロキシルアミンへの酸化)に動力を与えるために使用される。
【0151】
アンモニア酸化細菌が、Amo用の電子を発生するためのヒドロキシルアミンを有さないならば、ヒドロキシルアミンはHaoにとって利用不可能である。例えば、アセチレンは、アンモニアから亜硝酸塩への酸化における第1のステップである、アンモニアからヒドロキシルアミンへの酸化に重要な酵素を不可逆的に阻害する。AOBがアセチレンに曝露された後、Amoは不可逆的に阻害されるので、ヒドロキシルアミンを発生できる前に新しい酵素が合成されなければならない。通常の共同体バイオフィルムの生息場所では、AOBはヒドロキシルアミンを他のAOB(阻害剤への異なる感受性を有するなお異なる株)と分け合い、他のAOBから受領することができ、それでバイオフィルムは、個別の生物よりもアセチレンなどの阻害剤に対する耐性が大きい傾向にある。AOBは、ヒドロキシルアミンの非存在下であっても、貯蔵されたポリホスフェートを使用して新しいAmoを合成することができる。
【0152】
本明細書で論じられるアンモニア酸化細菌の任意の実施形態、調製物、組成物、または製剤は、任意選択で、純粋培養アンモニア酸化細菌を含む、それから本質的になる、またはそれからなる場合がある。
3.アンモニア酸化細菌を含む組成物;N.eutropha、例えば、D23 N.eutrophaを含む組成物
【0153】
本開示は、とりわけ、アンモニア酸化細菌、例えば、アンモニア酸化細菌の調製物、またはアンモニア酸化細菌の精製調製物、例えば、天然生成物、または強化天然生成物を含む組成物を提供する。
【0154】
本開示全体にわたる本明細書に開示された組成物は、皮膚状態、例えば、ざ瘡、例えば、尋常性ざ瘡の処置に使用するために提供され得る。
【0155】
アンモニア酸化細菌、例えば、アンモニア酸化細菌の調製物、またはアンモニア酸化細菌の精製調製物を含む組成物は、化粧製品または治療製品中に提供され得る。調製物は、とりわけ、アンモニア、アンモニウム塩、および尿素のうちの少なくとも1つを含んでもよい。アンモニア酸化細菌は、本明細書に開示された任意のアンモニア酸化細菌、またはアンモニア酸化細菌の組合せであってもよい。
【0156】
本開示は、とりわけ、N.eutropha、例えば、最適化N.eutrophaの精製調製物を含む組成物を提供する。一部の実施形態では、組成物中のN.eutrophaは、最適化増殖速度、最適化NH 酸化速度、および最適化NH 耐性から選択される少なくとも1つの特性を有する。
【0157】
一部の態様では、本開示は、規定された数の種を有する組成物を提供する。例として、本開示は、N.eutrophaおよび他の1種類の生物を有し、その他の種類の生物を有さない組成物を提供する。他の例では、組成物は、N.eutrophaおよび他の2、3、4、5、6、7、8、9、または10種類の生物を有し、その他の種類の生物を有さない。この組成物中の他の種類の生物は、例として、アンモニア酸化細菌などの細菌であってもよい。この目的のための適当なアンモニア酸化細菌には、属Nitrosomonas、Nitrosococcus、Nitrosospira、Nitrosocystis、Nitrosolobus、またはNitrosovibrioのものが含まれる。
【0158】
一部の実施形態では、アンモニア酸化細菌、例えば、N.eutrophaを含む組成物は、アンモニア酸化細菌、例えば、N.eutrophaの生存性を支持する条件を提供する。例として、組成物は、アンモニア酸化細菌、例えば、N.eutrophaの増殖および代謝を促進する場合があり、または生きたアンモニア酸化細菌、例えば、N.eutrophaを回収することができる休眠状態(例えば、凍結すること)を促進する場合がある。組成物が増殖または代謝を促進する場合、それは、水および/またはアンモニア酸化細菌、例えば、N.eutrophaが消費する、例えば、アンモニウム、アンモニア、尿素、酸素、二酸化炭素、もしくは微量無機質としての栄養分を含有してもよい。
【0159】
一部の実施形態では、アンモニア酸化細菌以外の1つまたは複数の他の生物は、アンモニア酸化細菌の調製物中に含まれ得る。例えば、Lactobacillus、Streptococcus、Bifidobacter、およびその組合せからなる群から選択される属の生物が、アンモニア酸化細菌の調製物中に提供され得る。一部の実施形態では、調製物は、他の生物を実質的に含有しない場合がある。
【0160】
アンモニア酸化細菌の調製物は、約10から約1014CFU/Lの間を含んでもよい。調製物は、少なくとも約10、10、1010、1011、2×1011、5×1011、1012、2×1012、5×1012、1013、2×1013、5×1013、もしくは1014;または約10~10、10~1010、1010~1011、1011~1012、1012~1013、もしくは1013~1014CFU/Lを含んでもよい。他の調製物は、約2×10、4×10、または8×10CFU/Lを含んでもよい。
【0161】
アンモニア酸化細菌の調製物は、約10から約1014CFU/mlの間を含んでもよい。調製物は、少なくとも約10、10、1010、1011、2×1011、5×1011、1012、2×1012、5×1012、1013、2×1013、5×1013、もしくは1014;または約10~10、10~1010,1010~1011、1011~1012、1012~1013、もしくは1013~1014CFU/mlを含んでもよい。他の調製物は、約2×10、4×10、または8×10CFU/mLを含んでもよい。
【0162】
一部の実施形態では、調製物は、約1×10から約10×10CFU/Lの間を含んでもよい。一部の実施形態では、調製物は、約3×1010CFU、例えば、1日当たり3×1010CFUを含んでもよい。一部の実施形態では、調製物は、約1×10から約10×10CFU、例えば、1日当たり約1×10から約10×10CFUを含んでもよい。
【0163】
一部の実施形態ではアンモニア酸化細菌の調製物は、約0.1ミリグラム(mg)と約1000mgの間のアンモニア酸化細菌を含んでもよい。ある特定の態様では、調製物は、約50mgと約1000mgの間のアンモニア酸化細菌を含んでもよい。調製物は、約0.1~0.5mg、0.2~0.7mg、0.5~1.0mg、0.5~2mg、0.5~5mg、2.5~5mg、2.5~7.0mg、5.0~10mg、7.5~15mg、10~15mg、15~20mg、15~25mg、20~30mg、25~50mg、25~75mg、50~75mg、50~100mg、75~100mg、100~200mg、200~300mg、300~400mg、400~500mg、500~600mg、600~700mg、700~800mg、800~900mg、900~1000mg、100~250mg、250~500mg、100~500mg、500~750mg、750~1000mg、または500~1000mgの間を含んでもよい。
【0164】
一部の実施形態では、アンモニア酸化細菌の調製物は、添加剤、例えば、薬学的に許容される添加剤または化粧品として許容される添加剤に対するアンモニア酸化細菌の質量比を約0.1グラム/リットルから約1グラム/リットルの範囲で含んでもよい。調製物は、添加剤に対するアンモニア酸化細菌の質量比を約0.1~0.2、0.2~0.3、0.1~0.5、0.2~0.7、0.5~1.0、または0.7~1.0グラム/リットルの範囲で含んでもよい。
【0165】
一部の実施形態では、アンモニア酸化細菌の調製物は、リン酸二ナトリウムおよび塩化マグネシウム、例えば、50mM NaHPOおよび2mM MgClを含む、それから本質的になる、またはそれからなる水性緩衝溶液中のアンモニア酸化細菌であってもよい。アンモニア酸化細菌は、本明細書に開示された任意の濃度、例えば、1×10CFU/mlであってもよい。調製物は、例えば、約0.1と約100液量オンスの間、約0.2と約50液量オンスの間、約0.5と約25液量オンスの間、約1.0と約10液量オンスの間、約2.0と約7液量オンスの間、約3と約5液量オンスの間の予め決定された体積の緩衝液中に提供され得る。一部の実施形態では、調製物は、容器中に提供され得る。調製物は、約3.4液量オンス、または本明細書に開示された任意の他の体積を含有するように構築された容器中に提供されてもよい。調製物は、エアロゾル、スプレーまたはミストにすることが可能であり得る形態、すなわちミストの形態、例えば、AO+Mist製品の状態であってもよい。
【0166】
有利には、製剤は、AOB、例えば、N.eutrophaの生存性、例えば、代謝活性を促進するpHを有してもよい。尿素は、アンモニアに加水分解され、pHを7から8に上昇させる。AOBは、このpH範囲で非常に活動性であり、NH3がアンモニウムに変換し、利用不能になる約6にpHを低下させる。より低いpHレベル、例えば、約pH4も許容される。
【0167】
アンモニア酸化細菌、例えば、N.eutrophaは、1つまたは複数の薬学的にまたは化粧品として許容される添加剤と組み合わせることができる。一部の実施形態では、「薬学的に許容される添加剤」は、薬学的に許容される材料、組成物、またはビヒクル、例えば、液体または固体のフィラー、希釈剤、溶媒、または封入材料を指す。一部の実施形態では、各添加剤は、医薬製剤の他の成分と適合性であり、かつヒトおよび動物の組織または臓器と接触した使用に、過度の毒性、刺激、アレルギー反応、免疫原性、または他の問題もしくは合併症なしに、合理的な利益/リスク比に見合って適しているという意味で「薬学的に許容される」。Remington: The Science and Practice of Pharmacy、21版;Lippincott Williams & Wilkins: Philadelphia、Pa.、2005年;Handbook of Pharmaceutical Excipients、6版;Roweら編; The Pharmaceutical Pressおよびthe American Pharmaceutical Association:2009年;Handbook of Pharmaceutical Additives、3版;AshおよびAsh編;Gower Publishing Company:2007年;Pharmaceutical Preformulation and Formulation、2版;Gibson編;CRC Press LLC: Boca Raton、Fla.、2009年を参照されたい。
【0168】
一部の実施形態では、化粧品として許容される添加剤は、化粧品として許容される材料、組成物、またはビヒクル、例えば、液体もしくは固体のフィラー、希釈剤、溶媒、もしくは封入材料を表す。一部の実施形態では、各添加剤は、化粧品製剤の他の成分と適合性であり、かつヒトおよび動物の組織または臓器と接触した使用に、過度の毒性、刺激、アレルギー反応、免疫原性、または他の問題もしくは合併症なしに、合理的な利益/危険比に見合って適しているという意味で化粧品として許容される。
【0169】
活性成分、例えば、アンモニア酸化細菌、例えば、N.eutrophaが単独で投与されることが可能ではあるものの、多くの実施形態では、それは、医薬製剤もしくは組成物中に存在する。したがって、本開示は、アンモニア酸化細菌および薬学的に許容される添加剤または化粧品として許容される添加剤を含む医薬製剤(調製物もしくは組成物)または化粧品製剤(調製物もしくは組成物)を提供する。医薬組成物および化粧品組成物は、下記のような製剤の形態を採り得る。
【0170】
本明細書に記載された医薬製剤および化粧品製剤(例えば、調製物または組成物)には、経口(例えば、消化管内に沈着させることによる、またはそのため)、非経口(皮下、皮内、筋肉内、静脈内、および関節内を含む)、吸入(定量、加圧エアロゾル、ネブライザーまたは吹入器の様々なタイプを用いて発生し得る微粒子ダストまたはミストを含み、鼻腔内(経鼻)または経肺(肺)を含む)、腎臓および局所(皮膚、経皮、経粘膜、頬側、舌下、および眼内を含む)投与に適したものが含まれる場合があるが、とはいえ、最も適切な経路は、例えば、レシピエントの状態および障害に依存し得る。
【0171】
製剤(例えば、調製物または組成物)は、単位剤形として好都合に提示することができ、薬学または化粧学の技術分野において公知の方法のいずれかによって調製することができる。典型的には、方法は、活性成分(例えば、アンモニア酸化細菌、例えば、N.eutropha)を1つまたは複数の補助成分を含む医薬担体または化粧用担体に付随させるステップを含む。一般に、製剤は、活性成分を液体担体もしくは微粉化固体担体またはその両方に均一および密接に付随させ、次に必要ならば、製品を所望の製剤に形作ることによって調製される。
【0172】
製剤は、それぞれが予め決定された量の例えば、N.eutrophaを含有するカプセル剤、カシェ剤もしくは錠剤などの別個のユニットとして、粉末もしくは顆粒として;水性液体もしくは非性液体中の溶液もしくは懸濁液として;または水中油型液体エマルションもしくは油中水型液体エマルションとして提示され得る。活性成分は、ボーラス、舐剤またはペースト剤としても提示され得る。様々な薬学的に許容される担体およびその製剤は、標準的な製剤専門書、例えばE. W. MartinによるRemington's Pharmaceutical Sciencesに記載されている。Wang, Y. J.およびHanson, M. A.、Journal of Parenteral Science and Technology、Technical Report10号、増補42:2S、1988年も参照されたい。
【0173】
アンモニア酸化細菌、例えば、N.eutropha組成物は、例えば、即時放出または延長放出に適した形態で投与することができる。持続放出システムの適切な例には、適切なポリマー材料、例えば、成形品の形態の半透性ポリマーマトリックス、例えば、フィルム、もしくはマイクロカプセル;適切な疎水性材料、例えば、許容される油中のエマルションとして;またはイオン交換樹脂が含まれる。持続放出システムは、経口;直腸;非経口;嚢内;膣内;腹腔内;局所、例えば、粉末、軟膏、ゲル、滴剤または経皮パッチとして;頬側に;またはスプレーとして投与することができる。
【0174】
投与用調製物は、アンモニア酸化細菌、例えば、N.eutrophaの制御放出を与えるように適切に製剤化することができる。例えば、医薬組成物は、生分解性ポリマー、多糖ゼリー化および/もしくは生体接着性ポリマー、または両親媒性ポリマーのうちの1つまたは複数を含む粒子の形態であってもよい。これらの組成物は、活性物質の制御放出を可能にするある特定の生体適合性特徴を示す。米国特許第5,700,486号を参照されたい。
【0175】
例示的な組成物は、例えば、かさ増しのための結晶セルロース、懸濁化剤としてのアルギン酸もしくはアルギン酸ナトリウム、粘度増強剤としてのメチルセルロース、リン酸二カルシウム、デンプン、ステアリン酸マグネシウムおよび/もしくはラクトースならびに/または他の添加剤、結合剤、増量剤、崩壊剤、希釈剤および滑沢剤、マンニトール、ラクトース、スクロースおよび/もしくはシクロデキストリンを含有し得る懸濁液を含んでもよい。そのような製剤に、セルロース(アビセル)またはポリエチレングリコール(PEG)などの高分子量添加剤も含まれ得る。そのような製剤は、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、カルボキシメチルセルロースナトリウム(SCMC)、無水マレイン酸コポリマー(例えば、Gantrez)などの粘膜接着を助けるための添加剤、およびポリアクリル酸コポリマー(例えば、Carbopol 934)などの放出を制御するための薬剤も含むことができる。製作および使用を容易にするために滑沢剤、流動促進剤、香料、着色剤および安定化剤が添加されてもよい。界面活性剤は、双性イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、または陰イオン性界面活性剤であってもよい。
【0176】
本開示の実施形態で使用され得る界面活性剤などの添加剤には、コカミドプロピルベタイン(ColaTeric COAB)、ポリエチレンソルビトールエステル(例えば、Tween 80)、エトキシル化ラウリルアルコール(RhodaSurf 6 NAT)、ラウレス硫酸ナトリウム/ラウリルグルコシド/コカミドプロピルベタイン(Plantapon 611 L UP)、ラウレス硫酸ナトリウム(例えば、RhodaPex ESB 70 NAT)、アルキルポリグルコシド(例えば、Plantaren 2000 N UP)、ラウレス硫酸ナトリウム(Plantaren 200)、Dr.Bronnerのカスチール石鹸、Dr.Bronnerのカスチールベビー石鹸、ラウラミンオキシド(ColaLux Lo)、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、ポリスルホン酸アルキルポリグルコシド(PolySufanate 160 P)、ラウリル硫酸ナトリウム(Stepanol-WA Extra K)およびその組合せのうち1つまたは複数が含まれる場合がある。Dr.Bronnerのカスチール石鹸およびDr.Bronnerのベビー石鹸は、水、有機ココナツ油、水酸化カリウム、有機オリーブ油、公正取引有機大麻油、有機ホホバ油、クエン酸、およびトコフェロールを含む。
【0177】
一部の実施形態では、界面活性剤は、亜硝酸塩生成を起こさせる量のアンモニア酸化細菌とともに使用され得る。一部の実施形態では、調製物は、約0.0001%未満から約10%の界面活性剤を有し得る。一部の実施形態では、調製物は、約0.1%と約10%の間の界面活性剤を有し得る。一部の実施形態では、使用される界面活性剤の濃度は、約0.0001%と約10%の間であってもよい。一部の実施形態では、調製物は、界面活性剤を実質的に含有しない場合がある。
【0178】
一部の実施形態では、製剤、例えば、調製物は、アンモニア酸化細菌の有効性を増強するまたはアンモニア酸化細菌の生存性を維持もしくは増強する、または処置もしくは適応を増強することができる他の構成成分を含んでもよい。
【0179】
一部の実施形態では、キレート剤が調製物中に含まれ得る。キレート剤は、別の化合物、例えば、金属と結合し得る化合物であってもよい。キレート剤は、望まれない化合物を環境から除去する助けを提供する場合があり、または特定の化合物と環境、例えば、アンモニア酸化細菌、例えば、アンモニア酸化細菌の調製物、例えば、添加剤との接触を低減または排除するために保護様式で作用する場合がある。一部の実施形態では、調製物は、キレート剤を実質的に含有しない場合がある。
【0180】
製剤は、また、抗酸化剤、緩衝剤、望ましくない細菌の増殖を防ぐ静菌薬、溶質、ならびに懸濁化剤および増粘剤を含んでもよい水性および非水性無菌懸濁液を含有してもよい。製剤は、単位用量または複数回用量の容器、例えば、密封されたアンプルおよびバイアル中に提示されてもよく、使用直前に無菌液体担体、例えば、食塩水または注射用水の添加だけを要するフリーズドライ(凍結乾燥)状態で貯蔵されてもよい。即時溶液および懸濁液は、前記の種類の粉末、顆粒および錠剤から調製されてもよい。例示的な組成物は、例えば、マンニトール、1,3-ブタンジオール、水、リンゲル液、および等張塩化ナトリウム溶液などの適切な無毒の薬学的に許容される希釈剤もしくは溶媒、または合成モノグリセリドもしくはジグリセリドを含む他の適切な分散剤もしくは湿潤剤および懸濁化剤、ならびにオレイン酸、またはクレモフォール(Cremaphor)を含む脂肪酸を含有し得る溶液または懸濁剤を含む。水性担体は、例えば、pH約3.0から約8.0、pH約3.5から約7.4、例えば、3.5から6.0、例えば、3.5から約5.0の等張緩衝溶液であってもよい。有用な緩衝液には、クエン酸ナトリウム-クエン酸およびリン酸ナトリウム-リン酸、および酢酸ナトリウム/酢酸緩衝液が含まれる。一部の実施形態では、組成物は、酸化剤を含まない。
【0181】
含まれる可能性がある添加剤は、例として、ヒト血清アルブミンまたは血漿調製物などのタンパク質である。所望であれば、医薬組成物は、また、湿潤剤または乳化剤、保存剤、およびpH緩衝剤などのような少量の無毒の補助物質、例えば、酢酸ナトリウムまたはソルビタンモノラウレートを含有してもよい。一部の実施形態では、添加剤、例えば、薬学的に許容される添加剤または化粧品として許容される添加剤は、抗接着剤、結合剤、コーティング剤、崩壊剤、フィラー、香料、着色剤、滑沢剤、流動促進剤、吸着剤、保存剤、または甘味剤を含んでもよい。一部の実施形態では、調製物は、添加剤を実質的に含有しない場合がある。
【0182】
一部の実施形態では、調製物は、本開示に列記された化合物または物質のうちの1つまたは複数を実質的に含有しない場合がある。
【0183】
エアロゾル投与のための例示的な組成物には、例えば、ベンジルアルコールもしくは他の適切な保存剤、バイオアベイラビリティーを増強するための吸収促進剤、および/または他の可溶化剤もしくは分散剤を含有し得る食塩水中の溶液が含まれる。好都合には、エアロゾル投与用の組成物において、アンモニア酸化細菌、例えば、N.eutrophaが、ポンプからのエアロゾルスプレー提示の形態で送達される。他の実施形態では、アンモニア酸化細菌、例えば、N.eutrophaのエアロゾル投与用の組成物は、適切な噴射剤、例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素、窒素、または他の適切な気体を使用して加圧パックまたはネブライザーからのエアロゾルスプレー提示の形態で送達される。加圧エアロゾルの場合、投薬単位は、一定量を送達するためのバルブを提供することによって決定することができる。例えば、ゼラチンのカプセル剤およびカートリッジを、N.eutrophaと適切な粉末基剤、例えば、ラクトースまたはデンプンとの粉末混合物を含有するように製剤化することができる。ある特定の実施形態では、N.eutrophaは、定量バルブからアクチュエーターとしても公知のエアロゾルアダプターを経由してエアロゾルとして投与される。任意選択で、安定剤も含まれ、かつ/または肺深部送達用の多孔性粒子が含まれる(例えば、米国特許第6,447,743号参照)。組成物または調製物は、エアロゾル化、スプレー化またはミスト化することが可能であり得る形態、すなわちミストの形態であってもよい。アンモニア酸化細菌の調製物は、リン酸二ナトリウムおよび塩化マグネシウム、例えば、50mM NaHPOおよび2mM MgClを含む、それから本質的になる、またはそれからなる水性緩衝溶液中のアンモニア酸化細菌であり得、これは、本開示全体にわたりAO+Mistと称され得る。AO+Mist調製物は、50mM NaHPOおよび2mM MgClの水性緩衝溶液中にアンモニア酸化細菌を1×10CFU/mLの濃度で含む。
【0184】
製剤は、カカオ脂、合成グリセリドエステルまたはポリエチレングリコールなどの担体を用いて提示されてもよい。そのような担体は、典型的には常温で固体であるが、体温で液化および/または溶解してアンモニア酸化細菌、例えば、N.eutrophaを放出する。
【0185】
例示的な局所投与用組成物は、プラスチベース(ポリエチレンでゲル化した鉱物油)などの局所用担体を含む。一部の態様では、組成物および/または添加剤は、液体、固体、またはゲルのうちの1つまたは複数の形態であってもよい。例えば、懸濁液は、非限定的に、水、食塩水、リン酸緩衝食塩水、アンモニア酸化貯蔵緩衝液、または例えば、NaHPOおよびMgCl、例えば、50mM NaHPOおよび2mM MgClを含む水性緩衝溶液を含んでもよい。
【0186】
ゲル製剤は、非限定的に、寒天、シリカ、ポリアクリル酸(例えば、Carbopol(登録商標))、カルボキシメチルセルロース、デンプン、グアーガム、アルギネートまたはキトサンを含んでもよい。
【0187】
一部の実施形態では、製剤に、非限定的に塩化アンモニウムまたは硫酸アンモニウムを含むアンモニア源が補充されてもよい。
【0188】
一部の実施形態では、アンモニア酸化細菌組成物、例えば、N.eutropha組成物は、皮膚へのNOの浸透を改善するように製剤化される。KYゼリーまたは様々なヘアジェルなどのゲル形成材料は、周囲空気へのNO喪失への拡散バリアを提示するので、皮膚のNO吸収を改善する。皮膚におけるNOレベルは、一般的に20nM/Lを大きくは超えない。それは、そのレベルがGCを活性化し、局所血管拡張および過剰なNOの酸化的破壊を引き起こすからである。
【0189】
特に上に言及された成分に加えて、本明細書に記載された製剤は、問題となる製剤の種類に関して当技術分野において従来的な他の薬剤を含んでもよいことを理解すべきである。
【0190】
製剤、例えば、調製物、例えば、組成物は、容器の内容物を含むまたは含まずに約50、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、1500、または2000グラム未満であり得る重量を有する、容器、デリバリーシステム、または送達デバイス中に提供され得る。
【0191】
適切な単位投薬製剤は、アンモニア酸化細菌、例えば、N.eutrophaの本明細書前記の有効用量またはその適切な画分を含有する単位投薬製剤である。
【0192】
アンモニア酸化細菌、例えば、N.eutrophaの治療有効量は、単一パルス用量として、ボーラス用量として、または時間をかけて投与されるパルス用量として投与され得る。したがって、パルス用量では、アンモニア酸化細菌、例えば、N.eutrophaのボーラス投与が提供され、アンモニア酸化細菌、例えば、N.eutrophaが対象に投与される期間が続き、第2のボーラス投与が続く。具体的で非限定的な例では、パルス用量は、1日のクールの間、1週間のクールの間、または1ヶ月のクールの間に投与される。
【0193】
アンモニア酸化細菌、例えば、N.eutrophaの治療有効量は、エアロゾルもしくはミストの形態で単回スプレーもしくはポンプとして、または多回スプレーもしくはポンプとして投与され得る。単回投与では、1つまたは複数回のスプレーまたはポンプを作動させることができる。治療有効量は、1つもしくは複数の日のクールの間、1つもしくは複数の週のクールの間、1つもしくは複数の月のクールの間、またはそれよりも長い単回投与、または多回投与の結果であり得る。
【0194】
治療有効量は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、50、52週間でのざ瘡数、PIH/PIE病変評定、SkinDex16データ、改変グリフィス10点尺度、忍容性評価、セブメーター測定(値)、および治験医師による包括的ざ瘡(Investigator's Global Acne)(IGA)スケールのうちの任意の1つまたは複数を改善するのに十分な量であり得る。
【0195】
一部の実施形態では、アンモニア酸化細菌の調製物、例えば、製剤、例えば、組成物は、予め決定された日数の間適用することができる。これは、例えば、少なくとも部分的に、状態または疾患の重症度、処置に対する応答、適用される投薬量および用量頻度に基づいてもよい。例えば、調製物は、約1~3、3~5、5~7、7~9、5~10、10~14、12~18、12~21、21~28、28~35、35~42、42~49、49~56、46~63、63~70、70~77、77~84、84~91日間、約1ヶ月間、約2ヶ月間、約3ヶ月間適用されてもよい。一部の実施形態では、アンモニア酸化細菌は、不定期間、例えば、1年より長い、5年より長い、10年より長い、15年より長い、30年より長い、50年より長い、75年より長い間投与される。ある特定の態様では、調製物は、約16日間適用されてもよい。ある特定の態様では、調製物は、約4週間適用されてもよい。
【0196】
一部の実施形態では、アンモニア酸化細菌の調製物、例えば、製剤、例えば、組成物は、1日当たり予め決定された回数適用されてもよい。これは、例えば、少なくとも部分的に、状態または疾患の重症度、処置に対する応答、適用される投薬量および用量頻度に基づいてもよい。例えば、調製物は、1日当たり1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24回適用されてもよい。
【0197】
一部の実施形態では、調製物は、1日当たり1回適用されてもよい。他の実施形態では、調製物は、1日当たり2回適用されてもよい。一部の実施形態では、調製物は、ある特定の日数の間第1の予め決定された量、およびある特定の後続の日数の間、第2の予め決定された量で適用されてもよい。一部の実施形態では、調製物は、約16日間適用されてもよい。ある特定の局面では、調製物は、約4週間適用されてもよい。
消費者製品
【0198】
アンモニア酸化細菌、例えば、N.eutrophaは、多様な消費者製品に付随する場合があり、そのような製品の例は後述されるが、本開示全体にわたり開示される製剤、組成物、または調製物からなってもよい。一部の実施形態では、製品に付随するアンモニア酸化細菌、例えば、N.eutrophaは、製品と混和され、例えば、製品全体に均一に広げられ、一部の実施形態では、製品に付随するアンモニア酸化細菌、例えば、N.eutrophaは、製品上に積層される。
【0199】
一部の実施形態では、アンモニア酸化細菌、例えば、N.eutrophaは粉末に付随する。粉末は、典型的には相互に付着していない小型粒子状固体であって、傾けたときに自由に流れることができる小型粒子状固体である。消費者の使用のための例示的な粉末には、タルカム粉末および一部の化粧品(例えば、パウダーファンデーション)が含まれる。
【0200】
一部の実施形態では、アンモニア酸化細菌は化粧品に付随する。化粧品は、人間の外見を変化させることを意図する、局所適用用物質、例えば、リキッドファンデーション、パウダーファンデーション、紅、または口紅であってもよく、調製物と称され得る。化粧品は、食品医薬品局の規制、例えば、連邦規則集第21編第720.4条に列挙される任意の物質であってもよい。
【0201】
調製物、例えば、化粧品は、ベビー製品、例えば、ベビーシャンプー、ベビーローション、ベビーオイル、ベビーパウダー、ベビークリーム;浴用調製物、例えば、バスオイル、タブレット、ソルト、バブルバス、バスカプセル;アイメークアップ用調製物、例えば、アイブローペンシル、アイライナー、アイシャドー、アイローション、アイメイクリムーバー、マスカラ;香料調製物、例えば、コロン、オードトワレ、香水、パウダー(ダスティングおよびタルカム)、サシェ;毛髪用調製物、例えば、毛髪コンディショナー、ヘアスプレー、ヘアストレート剤、パーマネントウェーブ剤、リンス、シャンプー、トニック、調髪料、整髪補助剤、ウェーブセット剤;毛髪着色用調製物、例えば、毛髪染料およびヘアカラー、染毛剤、着色用ヘアリンス、着色用ヘアシャンプー、着色ヘアライトナー、ヘアブリーチ;メークアップ用調製物、例えば、フェ-スパウダー、ファンデーション、レッグおよびボディペイント、口紅、メークアップベース、頬紅、メークアップ定着剤;マニキュア用調製物、例えば、ベースコートおよびアンダーコート、キューティクル軟化剤、ネイルクリームおよびローション、ネイルエクステンダー、ネイルポリッシュおよびエナメル、ネイルポリッシュおよびエナメルリムーバー;口腔衛生製品、例えば、歯磨剤、マウスウォッシュおよびブレスフレッシュナー;浴用石鹸および洗剤、デオドラント、ビデ、女性用衛生デオドラント;シェービング用調製物、例えば、アフターシェーブローション、髭軟化剤、タルカム、プレシェーブローション、シェービングクリーム、シェービングソープ;スキンケア用調製物、例えば、クレンジング、脱毛剤、顔および首、身体および手、足用パウダーおよびスプレー、保湿料、夜用調製物、ペーストマスク、スキンフレッシュナー;ならびに日焼け用調製物、例えば、ジェル、クリーム、およびリキッド、および屋内タンニング用調製物のうちの少なくとも1つであってもよい。
【0202】
一部の実施形態では、本明細書に記載された製剤、組成物、または調製物は、ベビー製品、例えば、ベビーシャンプー、ベビーローション、ベビーオイル、ベビーパウダー、ベビークリーム;浴用調製物、例えば、バスオイル、タブレット、ソルト、バブルバス、バスカプセル;パウダー(ダスティングおよびタルカム)、サシェ;毛髪用調製物、例えば、毛髪コンディショナー、リンス、シャンプー、トニック、フェ-スパウダー、キューティクル軟化剤、ネイルクリームおよびローション、口腔衛生製品、マウスウォッシュ、浴用石鹸、ビデ、女性用衛生デオドラント;シェービング用調製物、例えば、アフターシェーブローション、スキンケア用調製物、例えば、クレンジング、顔および首、身体および手、足用パウダーおよびスプレー、保湿料、夜用調製物、ペーストマスク、スキンフレッシュナー;ならびに日焼け用調製物、例えば、ジェル、クリーム、およびリキッドのうちの少なくとも1つを含む、それとして提供されるか、またはその中に配置されてもよい。
【0203】
一部の実施形態では、アンモニア酸化細菌、例えば、N.eutrophaは、化粧品に付随する。化粧品は、人間の外見を変化させることを意図する局所適用用物質、例えば、リキッドファンデーション、パウダーファンデーション、紅、または口紅であってもよい。他の構成成分は、化粧品製剤分野の当業者によって選択されるような医薬製剤、例えば、調製物、または化粧調製物例えば、水、鉱物油、着色剤、香水、アロエ、グリセリン、塩化ナトリウム、重炭酸ナトリウム、pH緩衝剤、UVブロック剤、シリコーン油、天然油、ビタミンE、薬草濃縮物、乳酸、クエン酸、タルク、粘土、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化亜鉛、デンプン、尿素、およびエリソルビン酸、または本明細書に開示された添加剤を含む、当業者に公知の任意の他の添加剤などに添加されてもよい。
【0204】
一部の実施形態では、調製物は、粉末、化粧品、クリーム、スティック、エアロゾル、例えば、ミスト、膏薬、ワイプ、もしくは包帯中に配置されるか、またはそれとして提供されてもよい。
【0205】
一部の実施形態では、アンモニア酸化細菌、例えば、N.eutrophaは、クリームに付随する。クリームは、増粘剤を含む流体の場合があり、一般的にそれを皮膚上に均一に広げることを可能にする稠性を有する。例示的なクリームには、保湿ローション、フェースクリーム、およびボディローションが含まれる。
【0206】
一部の実施形態では、アンモニア酸化細菌、例えば、N.eutrophaは、スティックに付随する。スティックは、典型的には、表面と接触して置かれたときにスティックの内容物の一部を表面に移行させる固体である。例示的なスティックには、デオドラントスティック、口紅、スティック形態のリップバーム、および日焼け止めアプリケータースティックが含まれる。
【0207】
一部の実施形態では、アンモニア酸化細菌、例えば、N.eutrophaは、エアロゾルに付随する。エアロゾルは、典型的には、空気などの気体中の微細固体粒子または微細液滴のコロイドである。エアロゾルは、加圧化のベッセル中にN.eutropha(および任意選択で担体)を入れ、次にバルブを開放して内容物を放出させることによって創出することができる。容器は、N.eutrophaの生存能と適合性の圧力レベルだけをかけるように設計することができる。例として、高圧は、短時間だけかけられる場合があり、かつ/または圧力は、生存能の損なわないように十分低い場合がある。消費者がエアロゾルを使用する例には、日焼け止め、デオドラント、香水、ヘアスプレー、および昆虫忌避剤が含まれる。エアロゾルはミストとも称され得る。
【0208】
一部の実施形態では、アンモニア酸化細菌、例えば、N.eutrophaは膏薬に付随する。膏薬は、皮膚を保護するまたは治癒を促進することを意図された液体またはクリーム様稠性を有する局所適用薬剤であり得る。膏薬の例には、熱傷軟膏および皮膚モイスチャライザーが含まれる。
【0209】
一部の実施形態では、アンモニア酸化細菌、例えば、N.eutrophaは、ワイプに付随する。ワイプは、皮膚に液体またはクリームを局所適用するために適切な柔軟材料であってもよい。ワイプは、例えば、紙ベースまたは布ベースであってもよい。例示的なワイプには、ティシューおよびウェットワイプが含まれる。
【0210】
アンモニア酸化細菌、例えば、N.eutrophaを含む組成物は、また、保湿剤、脱臭剤、芳香剤、着色料、昆虫忌避剤、クレンジング剤、またはUVブロック剤のうちの1つまたは複数を含んでもよい。
【0211】
例として、保湿剤は、皮膚乾燥を低減するまたは予防する薬剤であり得る。例示的な保湿剤には、保水剤(例えば、尿素、グリセリン、アルファヒドロキシ酸およびジメチコン)ならびに軟化薬(例えば、ラノリン、鉱物油およびペトロラタム)が含まれる。例えば、アンモニア酸化細菌、例えば、N.eutropha含有クリーム、バーム、ローション、または日焼け止め中に保湿剤が含まれる場合がある。
【0212】
脱臭剤は、望まれない臭気を低減する薬剤であり得る。脱臭剤は、臭気を直接中和する、発汗を防ぐ、または臭気生成細菌の増殖を防ぐことによって機能し得る。例示的な脱臭剤には、アルミニウム塩(例えば、塩化アルミニウムまたはアルミニウムクロロヒドレート)、シクロメチコン、タルク、ふくらし粉、精油、無機質塩、ホップ、およびマンサクが含まれる。脱臭剤は、典型的にはスプレーまたはスティックデオドラント中に存在し、一部の石鹸および衣類にも見られる可能性がある。
【0213】
昆虫忌避剤は、昆虫および他の節足動物が表面に留まるのを妨げる、表面(例えば、皮膚)に適用することができる薬剤であり得る。昆虫忌避剤には、ディート(N,N-ジエチル-m-トルアミド)、p-メンタン-3,8-ジオール(PMD)、イカリジン、ネペタラクトン、シトロネラ油、ニーム油、ヤチヤナギ、ジメチルカルベート、トリシクロデセニルアリルエーテル、およびIR3535(3-[N-ブチル-N-アセチル]-アミノプロピオン酸エチルエステル)が含まれる。
【0214】
クレンジング剤は、皮膚のような表面から汚損または望まれない細菌を除去する薬剤であり得る。例示的なクレンジング剤には、固形石鹸、液体石鹸、およびシャンプーが含まれる。
【0215】
UVブロック剤は、表面が受ける紫外線の量を低減するために表面に適用することができる薬剤であり得る。UVブロック剤は、UV-Aおよび/またはUV-B光線をブロックすることができる。UVブロック剤は、UVを吸収、反射、または散乱することによって機能することができる。例示的なUVブロック剤には、吸収体、例えば、ホモサレート、オクチサレート(オクチルサリチレートとも呼ばれる)、オクチノキセート(オクチルメトキシシンナメートまたはOMCとも呼ばれる)、オクトクリレン、オキシベンゾン、およびアボベンゾン、ならびに反射材(例えば、二酸化チタンおよび酸化亜鉛)が含まれる。UVブロック剤は、典型的には日焼け止め中に存在し、皮膚クリームおよび一部の化粧品中に見出すこともできる。
【0216】
一部の実施形態では、アンモニア酸化細菌、例えば、N.eutrophaは、コンディショナーに付随する。コンディショナーは、一般的に、毛髪に適用してその外見、強度、または扱いやすさを改善することができる、クリーム様稠性を有する物質を表す。
【0217】
一部の実施形態では、アンモニア酸化細菌、例えば、N.eutrophaは布に付随する。布は、一般的に衣類に仕立てるために適切な、例えば、着用者による毎日の動作に耐えるのに十分な材料強度を有する、柔軟な材料を表す。布は、繊維状、織物、またはニットであり得、天然材料または合成材料からできている可能性がある。例示的な布材料には、綿、亜麻、毛、ラミー、絹、デニム、革、ナイロン、ポリエステル、およびスパンデックス、ならびにそれらの混紡が含まれる。
【0218】
一部の実施形態では、アンモニア酸化細菌、例えば、N.eutrophaは、糸に付随する。糸は、一般的に、ニッティングまたは製織に適切な、長く細い紡績柔軟な材料を指す。糸は、例えば、毛、綿、ポリエステル、およびそれらの混紡でできている可能性がある。
【0219】
一部の実施形態では、アンモニア酸化細菌、例えば、N.eutrophaはスレッドに付随する。スレッドは、一般的に、縫い物に適切な、長く細い紡績柔軟な材料を表す。スレッドは、一般的に、糸よりも細い直径を有する。スレッドは、例えば、綿、ポリエステル、ナイロン、絹、およびそれらの混紡からできている可能性がある。
【0220】
例えば、靴、靴の中敷き、パジャマ、スニーカー、ベルト、帽子、シャツ、下着、スポーツウエア、ヘルメット、タオル、手袋、靴下、包帯および類似物などの衣料品も、アンモニア酸化細菌、例えば、N.eutrophaで処理される場合がある。シーツ、枕、枕カバー、および毛布を含む寝具もアンモニア酸化細菌、例えば、N.eutrophaで処理される場合がある。一部の実施形態では、ある期間洗浄することができない皮膚領域も、アンモニア酸化細菌、例えば、N.eutrophaと接触される場合がある。例えば、傷害を負った手足を治癒プロセスの間に固定する整形外科用ギプスに囲まれた皮膚、および縫合された創傷などの、適正な治癒のために乾燥したままでなければならない傷害付近の領域は、アンモニア酸化細菌、例えば、N.eutrophaとの接触から利益を得る場合がある。
【0221】
一部の態様では、本開示は、本明細書に記載されたN.eutropha株を含む装着品を提供する。装着品は、歩行を妨げない方法で使用者の身体に密接に付随することができる軽量品であってもよい。装着品の例には、腕時計、リストバンド、ヘッドバンド、ヘアゴム、ヘアネット、シャワーキャップ、帽子、ヘアピース、ならびに宝飾品が含まれる。本明細書に記載されたアンモニア酸化細菌、例えば、N.eutropha株を含む装着品は、例えば、皮膚障害の処置もしくは予防、低亜硝酸塩レベルと関連する疾患もしくは状態の処置もしくは予防、体臭の処置もしくは予防、対象に一酸化窒素を供給するための処置、または微小生物の増殖を阻害するための処置のうちの1つまたは複数を提供する濃度で提供されてもよい。
【0222】
一部の実施形態では、アンモニア酸化細菌、例えば、N.eutrophaは、毛髪と接触するように意図された製品、例えば、ブラシ、櫛、シャンプー、コンディショナー、ヘッドバンド、ヘアゴム、ヘアネット、シャワーキャップ、帽子、およびヘアピースに付随する。皮膚表面から離れて毛髪上で形成された一酸化窒素は、帽子、スカーフまたはフェイスマスクの中に捕捉され、吸入空気に方向付けられてもよい。
【0223】
おむつなどの、ヒト対象の表面と接触している物品には、アンモニア酸化細菌、例えば、N.eutrophaが付随する場合がある。おむつは、失禁した個体によって生成された尿および便を保持および含有するように設計されているので、尿および便中の尿素は、皮膚および糞便性細菌によって加水分解されて、刺激性でおむつかぶれを引き起こすおそれがある遊離アンモニアを形成する可能性がある。アンモニア酸化細菌、例えば、N.eutrophaなどの尿素を亜硝酸塩またはナイトレートに代謝する細菌の組込みは、遊離アンモニアの放出を回避することができ、亜硝酸塩および最終的にNOを放出する場合があり、NOは、小児および失禁する成人の両方のための健康な皮膚の維持を助ける場合がある。おむつ内での一酸化窒素の放出は、ヒトの便中に存在する疾患起炎生物にも抗微小生物効果を有し得る。この効果は、使い捨ておむつが廃棄物として廃棄後であっても持続することができ、汚れた使い捨ておむつとの接触による疾患伝染の発生率を低減し得る。
【0224】
一部の実施形態では、アンモニア酸化細菌、例えば、N.eutrophaを含む製品は、包装されている。包装は、製品を圧縮するまたはそれを損傷、汚損、または劣化から保護するように役立ち得る。包装は、例えば、プラスチック、紙、厚紙、または木材を含む場合がある。一部の実施形態では、包装は、細菌不透過性である。一部の実施形態では、包装は、酸素および/または二酸化炭素透過性である。
4.アンモニア酸化細菌、例えば、N.eutrophaを用いた処置方法
【0225】
本開示は、アンモニア酸化細菌、例えば、N.eutrophaを使用して疾患および状態を処置する様々な方法を提供する。疾患および状態を処置するために使用され得るアンモニア酸化細菌、例えば、N.eutrophaには、すべてのアンモニア酸化細菌、例えば、本出願に記載されたN.eutropha組成物、例えば、最適化アンモニア酸化細菌、例えば、N.eutropha、例としてD23株の精製調製物が含まれる。
【0226】
皮膚の状態、例えば、ざ瘡、例えば、尋常性ざ瘡を処置するために投与されるアンモニア酸化細菌は、Nitrosomonas、Nitrosococcus、Nitrosospira、Nitrosocystis、Nitrosolobus、Nitrosovibrio、およびその組合せからなる群から選択され得る。ある特定の態様では、アンモニア酸化細菌は、Nitrosomonas eutropha(N.eutropha)であってもよい。ある特定の態様では、アンモニア酸化細菌は、ATCC受託番号PTA-121157を有するN.eutropha D23である。
【0227】
方法は、治療製品または化粧製品を投与または送達するために提供され得る。
【0228】
アンモニア酸化細菌、例えば、N.eutrophaは、ざ瘡、酒さ、湿疹、または乾癬などの皮膚状態を処置するために使用され得る。
【0229】
ある特定の実施形態では、本開示は、皮膚状態または疾患を処置する(例えば、対象の皮膚上での微小生物の増殖を阻害する)ためのアンモニア酸化細菌、例えば、(1)最適化増殖速度、(2)最適化NH 酸化速度、(3)最適化NH耐性、(4)最適化NH 耐性、および(5)最適化NO 耐性のうちの1つまたは複数を有するN.eutrophaの任意選択で純粋培養の組成物の使用を提供する。例として、純粋培養N.eutropha組成物は、この節の始めの列記から(1)および(2);(2)および(3);(3)および(4);または(4)および(5)の特性を有し得る。別の例として、純粋培養N.eutropha組成物は、この節の始めの列記から(1)、(2)、および(3);(1)、(2)、および(4);(1)、(2)、および(5);(1)、(3)、および(4);(1)、(3)、および(5);(1)、(4)、および(5);(2)、(3)、および(4);(2)、(3)、および(5)、または(3)、(4)、および(5)の特性を有し得る。さらなる例として、任意選択で純粋培養のN.eutropha組成物は、この節の始めの列記から(1)、(2)、(3)、および(4);(1)、(2)、(3)、および(5);(1)、(2)、(4)、および(5);(1)、(3)、(4)、および(5);または(2)、(3)、(4)、および(5)の特性を有し得る。一部の実施形態では、純粋培養N.eutropha組成物は、この節の始めの列記から(1)、(2)、(3)、(4)、および(5)の特性を有する。
【0230】
アンモニア酸化細菌は、皮膚状態、例えば、ざ瘡、例えば、尋常性ざ瘡を処置するために使用され得る。
【0231】
一部の実施形態では、アンモニア酸化細菌、例えば、N.eutropha、例えば、任意選択で純粋培養のN.eutropha(例えば、D23株)が対象を処置するために使用される。対象には、動物、哺乳動物、ヒト、非ヒト動物、家畜動物、または伴侶動物が含まれてもよい。
【0232】
対象は、女性または男性であってもよい。対象は、以下の民族性/人種:アジア系、黒人またはアフリカ系アメリカ人、ヒスパニックまたはラテンアメリカ系、白人、または多民族系のうちの1つであってもよい。対象は、以下の皮膚タイプ:普通肌、脂性肌、および組合せ肌のうちの少なくとも1つを有すると特徴付けることができる。対象は、以下のフィッツパトリック皮膚タイプ:I、II、III、IV、Vのうちの1つを有すると特徴付けることができる。対象のざ瘡のタイプは、思春期ざ瘡または成人ざ瘡のうちの1つであってもよい。対象の年齢は、約12~15、16~18、19~28の間、または28より高くてもよい。
【0233】
成人ざ瘡は、年齢19歳、またはそれより高い対象のざ瘡を表す。思春期ざ瘡は、19歳未満の対象のざ瘡を表す。
【0234】
一部の実施形態では、対象の皮膚障害、例えば、ざ瘡、例えば、尋常性ざ瘡を処置する方法であって、アンモニア酸化細菌、例えば、アンモニア酸化細菌を含む調製物を対象の表面に投与する、例えば、適用する、例えば、局所投与することを含む方法が提供される。
【0235】
投与、例えば、適用の量および/または頻度は、対象の表面での病原性細菌、例えば、Propionibacterium acnesの量または濃度を低減するのに十分であり得る。量は、アンモニア酸化細菌の治療有効用量であってもよい。
【0236】
投与、例えば、投与することは、炎症性病変の処置を提供し得る。炎症性病変は、丘疹、膿疱、および嚢腫/結節のうちの任意の1つまたは複数の形態であってもよい。
【0237】
丘疹および膿疱は、炎症を起こした孔によって引き起こされる吹き出物と説明することができる。丘疹は、皮膚に出現する小さな隆起であって、典型的にはざらざらした手触りを有し、触ると硬い。丘疹は、毛包壁が破れて陥没すると起こり得る。膿疱は、黄色がかった液状の膿が溜まっている場合があることを除き、丘疹と類似している。白血球が丘疹の皮膚表面に上昇して膿疱を形成する。
【0238】
封鎖された毛穴は、より大きな炎症を起こし、より大きくなり、皮膚により深く浸透して結節および嚢腫をもたらす場合がある。嚢腫は、典型的には皮膚表面下に形成し、白血球、油分および流体の構築物が構築を開始し、嚢腫、または膿が溜まった領域の出現を引き起こす。結節は硬く、毛包の底部が破れると形成するおそれがあり、そのことで毛包が崩壊するおそれがある。これにより、結節と呼ばれる皮膚表面の痛みのある大型の隆起が生成し得る。結節は、皮膚の深層に及ぶ場合がある。
【0239】
投与、例えば、投与することは、非炎症性病変の処置を提供し得る。非炎症性病変は、面皰、例えば、開放面皰および/または閉鎖面皰であってもよい。
【0240】
閉鎖面皰または白ニキビは、小型のふさがった毛包であり、その内容物は皮膚に露出していない。開放面皰または黒ニキビは、毛包内の残骸を酸化させて黒い着色をもたらす、皮膚への開大を有する小さな毛包である。
【0241】
投与、例えば、投与することは、炎症後色素沈着亢進/炎症後紅斑(PIH/PIE)病変の処置または改善を提供し得る。色素沈着亢進は、皮膚における色素、例えば、メラニンの過剰生成によって引き起こされる皮膚領域の黒ずみによって特徴付けられる。炎症後は、任意のタイプの皮膚炎、例えば、ざ瘡関連皮膚炎に続く局所皮膚紅斑を表し、瘢痕を招き得る紅斑を含む。
【0242】
投与、例えば、投与することは、紅斑、浮腫、鱗屑、ピリピリ感、灼熱感、および痒みのうちの1つまたは複数の処置または改善を提供し得る。紅斑は、毛細血管の拡張を引き起こす傷害または刺激の結果としての皮膚の表在性発赤、典型的には斑状のものを表し得る。浮腫は、対象の腔または組織内に集まった過剰の水性流体によって特徴付けられる状態、例えば、腫脹を表し得る。
【0243】
投与、例えば、投与することは、脂性の外観、毛穴の外観、つや、しみ、皮膚の色調の均一性、視覚的滑らかさ、および触覚的滑らかさのうちの1つまたは複数の処置または改善を提供し得る。
【0244】
投与、例えば、投与することは、セブメーター測定値における処置または改善を提供し得る。皮脂は、脂腺からの脂性分泌物である。皮脂は、例えば、対象の任意の身体領域上に見出される場合がある。
投与は、以下:病変の炎症を低減すること、病変の頻度を低減すること、および病原性細菌、例えば、Propionibacterium acnesの存在を減少させることのうちの1つまたは複数を提供し得る。
【0245】
投与は、病原性細菌、例えば、Propionibacterium acnesの存在の減少を提供し得る。投与は、Skindex16生活の質調査によって測定されるような、対象による対象の疾患の感情的アセスメントの改善を提供し得る。投与は、以下:対象における皮膚状態の痛み、対象における皮膚状態の持続/再発症、および対象における皮膚状態の外観のうちの1つまたは複数の改善を提供し得る。投与は、臨床評定により、以下:視覚的および触覚的滑らかさ、ならびにしみについての評定スコアのうちの1つまたは複数において改善(減少)を提供し得る。
【0246】
アンモニア酸化細菌、例えば、アンモニア酸化細菌の調製物の投与、例えば、投与することは、対象をアンモニア酸化細菌で前処置することを含んでもよい。例えば、前処置することは、ざ瘡またはざ瘡関連大発生の前、例えば、ざ瘡関連症状または状態の出現前のアンモニア酸化細菌の投与を伴い得る。投与は、皮膚障害、例えば、ざ瘡、例えば、尋常性ざ瘡が起こる前に局所投与することを含んでもよい。
【0247】
投与、例えば、局所投与することは、対象にアンモニア酸化細菌の有効用量を局所投与することを含んでもよい。有効用量は、約0.1×10、0.2×10、0.3×10、0.4×10、0.5×10、0.6×10、0.7×10、0.8×10、0.9×10、1.0×10、1.2×10、1.4×10、1.5×10、1.6×10、1.8×10、2.0×10、2.2×10、2.4×10、2.6×10、2.8×10、3.0×10、3.2×10、3.4×10、3.6×10、3.8×10、4.0×10、4.2×10、4.4×10、4.6×10、4.8×10、5.0×10、5.5×10、6.0×10、6.5×10、7.0×10、7.5×10、8.0×10、8.5×10、9.0×10、9.5×10、10.0×10、12×10、14×10、16×10、18×10、20×10、25×10、30×10、40×10、および50×10CFUのうちの任意の1つまたは複数であってもよい。
【0248】
有効用量は、また、アンモニア、例えば、約0.01mMから約100mMの間のアンモニア濃度と組み合わせて本明細書に記載された用量を有するアンモニア酸化細菌含んでもよい。例えば、アンモニア濃度は、約0.01、0.05、0.1、0.2、0.4、0.5、0.6、0.8、1.0、1.2、1.4、1.6、1.8、2.0、2.2、2.4、2.5、2.6、2.8、3.0、3.2、3.4、3.6、3.8、4.0、4.2、4.4、4.5、4.6、4.8、5.0、5.2、5.4、5.6、5.8、6.0、6.2、6.4、6.6、6.8、7.0、7.2、7.4、7.6、7.8、8.0、8.2、8.4、8.6、8.8、10.0、15.0、20.0、25.0、30.0、35.0、40.0、45.0、50.0、55.0、60.0、65.0、70.0、75.0、80.0、85.0、90.0、95.0、または100.0mMであってもよい。
【0249】
皮膚障害、例えば、ざ瘡、例えば、尋常性ざ瘡は、1つまたは複数の望ましくない細菌、例えば、病原性細菌を含む場合がある対象の標的部位に存在し得る。標的部位は、Propionibacterium acnesを含んでもよい。
【0250】
処置方法は、対象が皮膚障害の処置を必要としているかどうかを決定することをさらに含んでもよい。これは、対象がざ瘡、例えば、尋常性ざ瘡の処置を必要としているかどうかを決定することを伴い得る。方法は、皮膚障害の処置を必要とする対象を選択することをさらに含んでもよい。
【0251】
ある特定の実施形態では、方法は、対象が対象の表面の病原性細菌、例えば、Propionibacterium acnesの量または濃度を低減する必要があることに基づき対象を選択することを含んでもよい。
【0252】
投与は、対象によるアンモニア酸化細菌の自己投与を含んでもよい。投与は、対象ではない者によるアンモニア酸化細菌の投与を含んでもよい。アンモニア酸化細菌は、対象の身体の任意の部分、例えば、頭、肩、腕、脚、脇、胴体、足、膝、足首、または臀部に投与される、例えば、適用される場合がある。ある特定の態様では、アンモニア酸化細菌は、対象の顔、首、および頭皮のうちの任意の1つまたは複数に適用されてもよい。
【0253】
一部の実施形態では、投与は、アンモニア酸化細菌、例えば、アンモニア酸化細菌の調製物を適切な回数投与、例えば、適用して、本明細書に記載された測定技法のうちの任意の1つまたは複数の改善によって説明されるような、ざ瘡の有効な処置を提供することを含んでもよい。例えば、投与は、1日当たり約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、または24回起こり得る。投与は、アンモニア酸化細菌、例えば、アンモニア酸化細菌の調製物を1日当たり1回投与すること、例えば、適用することを含んでもよい。投与は、アンモニア酸化細菌、例えば、アンモニア酸化細菌の調製物を1日当たり2回投与すること、例えば、適用することを含んでもよい。
【0254】
一部の実施形態では、調製物の投与は、例えば、アンモニア酸化細菌、例えば、アンモニア酸化細菌の調製物を適切な期間投与、例えば、適用して、本明細書に記載された測定技法のうちの任意の1つまたは複数の改善によって説明されるような、ざ瘡の有効な処置を提供することを含んでもよい。調製物の投与は、アンモニア酸化細菌、例えば、アンモニア酸化細菌の調製物を、約1~3、3~5、5~7、7~9、5~10、10~14、12~18、12~21、21~28、28~35、35~42、42~49、49~56、46~63、63~70、70~77、77~84、または84~91日間投与する、例えば、適用することを含んでもよい。例えば、調製物は、約7日間適用されてもよい。例えば、調製物は、約14日間適用されてもよい。例えば、調製物は、約21日間適用されてもよい。例えば、調製物は、約28日間適用されてもよい。
【0255】
アンモニア酸化細菌、例えば、アンモニア酸化細菌の調製物は、エアロゾル化、スプレー化またはミスト化することが可能であり得る形態、例えば、培地、すなわちミストの形態であってもよい。アンモニア酸化細菌、例えば、アンモニア酸化細菌の調製物は、エアロゾルまたはミストとして投与する、例えば、適用する、例えば、局所適用することができる。エアロゾルまたはミストは、水性培地を含んでもよい。アンモニア酸化細菌の調製物は、アンモニア酸化細菌の生存性を維持または促進する調製物中にあってもよい。調製物は、緩衝溶液、例えば、水性緩衝溶液中にあってもよい。緩衝溶液、例えば、水性緩衝溶液。水性緩衝液は、リン酸二ナトリウムおよび塩化マグネシウムを含んでもよい。水性緩衝液は、水中の50mM NaHPOおよび2mM MgClを含んでもよい。アンモニア酸化細菌の濃度は、任意の濃度の本明細書開示のAOBであってもよい。ある特定の態様では、水性緩衝液は、水中に50mM NaHPOおよび2mM MgClを含む場合があり、アンモニア酸化細菌、例えば、1×10CFU/mLの濃度のD23 N.eutrophaをさらに含む場合がある。
【0256】
アンモニア酸化細菌の添加前の水性緩衝溶液は、水中のリン酸二ナトリウムおよび塩化マグネシウム、例えば、50mM NaHPOおよび2mM MgClを含む、それから本質的になる、またはそれからなってもよい。
【0257】
一部の実施形態では、調製物は、アンモニア、アンモニウム塩、および尿素のうちの少なくとも1つを含んでもよい。調製物は、制御放出性材料を含んでもよい。例えば、制御放出性材料は、徐放性材料であってもよい。アンモニア酸化細菌の調製物は、添加剤を含んでもよい。添加剤は、本開示全体にわたり開示されるような薬学的に許容される添加剤または化粧品として許容される添加剤であってもよい。添加剤は、界面活性剤、例えば、本開示全体にわたり開示される界面活性剤であってもよい。一部の実施形態では、添加剤、例えば、薬学的に許容される添加剤または化粧品として許容される添加剤は、抗接着剤、結合剤、コーティング剤、崩壊剤、フィラー、香料、着色剤、滑沢剤、流動促進剤、吸着剤、保存剤、または甘味剤を含む。
【0258】
調製物は、他の生物を実質的に含有しない場合がある。調製物は、第2の生物、例えば、Lactobacillus、Streptococcus、Bifidobacter、およびその組合せからなる群から選択される生物を含んでもよい。
【0259】
一部の実施形態では、皮膚状態、例えば、ざ瘡、例えば、尋常性ざ瘡の処置用の調製物は、粉末、化粧品、クリーム、スティック、エアロゾル、例えば、ミスト、軟膏、ワイプ、または包帯中に配置されるか、またはそれとして提供されてもよい。一部の実施形態では、皮膚状態、例えば、ざ瘡、例えば、尋常性ざ瘡の処置用の調製物は、保湿剤、脱臭剤、芳香剤、着色料、昆虫忌避剤、クレンジング剤、またはUV-ブロック剤を含んでもよい。
【0260】
一部の実施形態では、皮膚状態、例えば、ざ瘡、例えば、尋常性ざ瘡の処置用の調製物は、約10から約1014CFU/mLのアンモニア酸化細菌濃度を有するアンモニア酸化細菌を含んでもよい。ある特定の態様では、調製物は、約1×10CFU/mLから約10×10CFU/mLの間のアンモニア酸化細菌を含んでもよい。一部の実施形態では、調製物は、アンモニア酸化細菌約50ミリグラム(mg)と約1000mgの間のアンモニア酸化細菌を含んでもよい。一部の実施形態では、添加剤、例えば、薬学的に許容される添加剤または化粧品として許容される添加剤に対するアンモニア酸化細菌の質量比は、約0.1グラムから約1グラム/リットルの範囲である。
【0261】
ざ瘡を処置するために使用され得るアンモニア酸化細菌の調製物は、容器中に提供されてもよく、調製物および容器は、約50、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、1500、または2000グラム未満の重量を有する。
【0262】
方法は、皮膚表面から試料を得ることをさらに含んでもよい。試料は、アンモニア酸化細菌の投与前の任意の時間、またはアンモニア酸化細菌の投与後の任意の時間に採取され得る。例えば、試料は、投与の約1分、5分、10、15、20、25、30、45、60、90、120分前、または投与の3時間、4、5、6、7、8、12、18、24時間前、または投与の1週間、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12週間前に採取され得る。代替的または追加的に、試料は、投与の約1分、5分、10、15、20、25、30、45、60、90、120分後、または投与の3時間、4、5、6、7、8、12、18、24時間後、または投与の1週間、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12週間後に採取され得る。
【0263】
方法は、試料中の細菌のDNAを単離することをさらに含んでもよい。細菌は、Propionibacterium acnesであってもよい。アンモニア酸化細菌の投与は、Propionibacterium acnesの減少を提供する。Propionibacterium acnesの減少は、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、35、42、49、56、63、70、77、84、91、98、105日後、またはそれより長い日数後に起こり得る。
【0264】
本明細書に記載された化粧製品、例えば、マイクロバイオームに適合する化粧製品、例えば、シャンプー、コンディショナー、および洗浄剤の使用は、皮膚状態、例えば、ざ瘡、例えば、尋常性ざ瘡の処置とともに使用され得る。これらの化粧製品は、アンモニア酸化細菌の投与とともに使用され得る。例えば、アンモニア酸化細菌を対象に投与する処置期間にわたり、化粧製品が使用され得る。化粧製品は、アンモニア酸化細菌を対象に投与することによる皮膚状態の処置の開始前の期間に使用され得る。化粧製品は、アンモニア酸化細菌を対象に投与することによる皮膚状態の処置の開始後の期間に使用され得る。化粧製品は、アンモニア酸化細菌を対象に投与することによる皮膚状態の処置の中止後の期間に使用され得る。
【0265】
一部の実施形態では、対象は、1つまたは複数の化粧製品を適用し、アンモニア酸化細菌の投与前にある期間待機する場合がある。他の実施形態では、対象は、アンモニア酸化細菌を投与し、1つまたは複数の化粧製品を適用する前にある期間待機する場合がある。
【0266】
対象が待機し得る期間は、1つまたは複数の化粧製品を適用した後で、かつアンモニア酸化細菌の投与前に、約1分、5分、10、15、20、25、30、45、60、90、120分、または3時間、4、5、6、7、8、12、18、24時間であってもよい。
【0267】
対象が待機し得る期間は、アンモニア酸化細菌を投与した後で、かつ1つまたは複数の化粧製品を適用する前に、約1分、5分、10、15、20、25、30、45、60、90、120分、または3時間、4、5、6、7、8、12、18、24時間であってもよい。
【0268】
対象は、処置、例えば、アンモニア酸化細菌の投与を開始する前に評価され得る。対象は、処置を開始した後、例えば、第1の投与、例えば、アンモニア酸化細菌の適用の後に評価され得る。
【0269】
対象は、処置、例えば、アンモニア酸化細菌の投与を開始する1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42日;または7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52週間;または2、3年、4、もしくは5年前に評価され得る。
【0270】
対象は、処置、例えば、第1の投与、例えば、アンモニア酸化細菌の適用を開始した1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42日;または7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52週間;または2、3年、4、もしくは5年後に評価され得る。
【0271】
投与は、対象が洗浄を行う、入浴する、またはシャワーを浴びる前または後の期間に起こり得る。例えば、投与は、対象が洗浄を行う、入浴する、またはシャワーを浴びる30、60、90、120、150、180分前または後の時間に起こり得る。
【0272】
一部の実施形態では、アンモニア酸化細菌、例えば、N.eutropha、例えば、任意選択で純粋培養の本明細書に記載されたN.eutropha(例えば、本開示全体にわたり記載されるN.eutropha、例えば、D23株)が、他の生物の増殖を阻害するために使用される。例として、N.eutropha D23は、ヒト皮膚の長期定着のために十分に適合しており、一部の実施形態では、それは、皮膚上の望ましくない他の細菌を駆逐する。望ましくない皮膚細菌には、例えば、創傷感染する、疾患の危険性もしくは重症度を上げる、または臭気を生成する可能性があるものが含まれる。ある特定の望ましくない皮膚細菌には、S.aureus、P.aeruginosa、S.pyogenes、およびA.baumanniiが含まれる。本明細書に記載されたN.eutrophaは、例えば、乏しい栄養分を消費する、または他の生物に有害な副生成物を発生することによって、例えば、皮膚のpHを望ましくない生物の増殖の助けとならないレベルに変化させることによって、他の生物を駆逐し得る。
【0273】
したがって、本開示は、とりわけ、対象の皮膚上での微小生物の増殖を阻害する方法であって、それを必要とするヒトに本明細書に記載されたようなアンモニア酸化細菌、例えば、N.eutropha、例えば、任意選択で純粋培養の本明細書に記載されたN.eutropha(例えば、D23株)の有効用量を局所投与することを含む方法を提供する。同様に、本開示は、対象の皮膚上での微小生物の増殖を阻害することに使用するための、アンモニア酸化細菌、例えば、N.eutropha、例えば、任意選択で純粋培養の本明細書に記載されたN.eutrophaを提供する。同じように、本開示は、対象の皮膚上での微小生物の増殖を阻害するための医薬の製造におけるアンモニア酸化細菌、例えば、N.eutropha、例えば、任意選択で純粋培養の本明細書に記載されたN.eutrophaの使用を提供する。
【0274】
したがって、本開示は、とりわけ、皮膚状態、例えば、ざ瘡、例えば、尋常性ざ瘡を処置する方法であって、それを必要とするヒトにアンモニア酸化細菌、例えば、N.eutropha、例えば、任意選択で純粋培養の本明細書に記載されたN.eutropha(例えば、D23株)の有効用量を局所投与することを含む方法を提供する。同様に、本開示は、対象の皮膚上の皮膚状態、例えば、ざ瘡、例えば、尋常性ざ瘡の処置に使用するためのアンモニア酸化細菌、例えば、N.eutropha、例えば、任意選択で純粋培養の本明細書に記載されたN.eutropha(例えば、D23株)を提供する。同じように、本開示は、対象の皮膚上の皮膚状態、例えば、ざ瘡、例えば、尋常性ざ瘡を処置するための医薬の製造におけるアンモニア酸化細菌、例えば、N.eutropha、例えば、任意選択で純粋培養の本明細書に記載されたN.eutrophaの使用を提供する。
【0275】
本開示は、一酸化窒素を対象に供給する方法であって、アンモニア酸化細菌、例えば、N.eutropha、例えば、任意選択で純粋培養の本明細書に記載されたN.eutropha(例えば、D23株)の有効用量を対象のすぐ近くに位置させることを含む方法も提供する。同様に、本開示は、一酸化窒素を対象に供給するのに使用するためのアンモニア酸化細菌、例えば、N.eutropha、例えば、任意選択で純粋培養の本明細書に記載されたN.eutropha(例えば、D23株)を提供する。同じように、本開示は、対象のすぐ近くの位置に適切な医薬または組成物の製造におけるアンモニア酸化細菌、例えば、N.eutropha、例えば、任意選択で純粋培養の本明細書に記載されたN.eutropha(例えば、D23株)の使用を提供する。
【0276】
本開示は、体臭を低減する方法であって、それを必要とする対象に、アンモニア酸化細菌、例えば、N.eutropha、例えば、任意選択で純粋培養の本明細書に記載されたN.eutropha(例えば、D23株)の有効用量を局所投与することを含む方法も提供する。同様に、本開示は、対象における体臭の低減に使用するためのアンモニア酸化細菌、例えば、N.eutropha、例えば、任意選択で純粋培養の本明細書に記載されたN.eutropha(例えば、D23株)を提供する。同じように、本開示は、体臭を低減するための医薬または組成物の製造におけるアンモニア酸化細菌、例えば、N.eutropha、例えば、任意選択で純粋培養の本明細書に記載されたN.eutropha(例えば、D23株)の使用を提供する。
【0277】
本開示は、低亜硝酸塩レベルと関連する疾患を処置または予防する方法であって、それを必要とする対象にアンモニア酸化細菌、例えば、N.eutropha、例えば、任意選択で純粋培養の本明細書に記載されたN.eutropha(例えば、D23株)の治療有効用量を局所投与することを含む方法も提供する。同様に、本開示は、低亜硝酸塩レベルと関連する疾患の処置に使用するための、アンモニア酸化細菌、例えば、N.eutropha、例えば、任意選択で純粋培養の本明細書に記載されたN.eutropha(例えば、D23株)の局所製剤を提供する。同じように、本開示は、低亜硝酸塩レベルと関連する疾患を処置するための局所医薬の製造におけるアンモニア酸化細菌、例えば、N.eutropha、例えば、任意選択で純粋培養の本明細書に記載されたN.eutropha(例えば、D23株)の使用を提供する。
【0278】
本開示は、皮膚障害または皮膚感染を処置または予防する方法であって、それを必要とする対象にアンモニア酸化細菌、例えば、N.eutropha、例えば、任意選択で純粋培養の本明細書に記載されたN.eutropha(例えば、D23株)の治療有効用量を局所投与することを含む方法も提供する。同様に、本開示は、対象における皮膚障害の処置に使用するためのアンモニア酸化細菌、例えば、N.eutropha、例えば、任意選択で純粋培養の本明細書に記載されたN.eutropha(例えば、D23株)を提供する。同じように、本開示は、皮膚障害を処置するための医薬の製造におけるアンモニア酸化細菌、例えば、N.eutropha、例えば、任意選択で純粋培養の本明細書に記載されたN.eutropha(例えば、D23株)の使用を提供する。複数の実施形態では、皮膚障害は、ざ瘡、酒さ、湿疹、乾癬、または蕁麻疹であり;皮膚感染は膿痂疹である。
【0279】
理論に縛られることを望むものではないが、任意選択で純粋培養の本明細書に記載されたN.eutropha細菌(例えば、D23株)の治療有効用量を用いたざ瘡の処置は、NO発生による炎症の下方調節;ならびに/または尋常性ざ瘡と関連するPropionibacterium acnesの拡大および繁殖を、酸性化亜硝酸塩およびNO生成により限定および/もしくは阻害することを伴い得ることが提唱されている。
【0280】
例として、本開示は、状態または疾患を処置する(例えば、対象の皮膚上での微小生物の増殖を阻害する)ためのアンモニア酸化細菌の組成物の使用を提供する。複数の実施形態では、アンモニア酸化細菌は、例えば、慢性的な創傷、ざ瘡、酒さ、湿疹、乾癬、蕁麻疹、または皮膚感染症を処置するために使用され得る。
【0281】
本開示のシステムおよび方法は、皮膚障害を処置もしくは予防する、低亜硝酸塩レベルと関連する疾患もしくは状態を処置もしくは予防する、体臭を処置もしくは予防する、対象に一酸化窒素を供給するために処置する、または微小生物の増殖を阻害するために処置するために有用であるべき内容物を提供するか、またはそれを含有してもよい。
【0282】
本開示のシステムおよび方法は、環境、例えば、対象の表面から望ましくない細菌の量を低減することを提供し得る。
【0283】
本開示のシステムおよび方法は、ざ瘡、湿疹、乾癬、蕁麻疹、酒さ、皮膚感染および創傷、例えば、感染した創傷のうちの少なくとも1つの処置に有用であるべき内容物を提供する、またはそれを含有し得る。
【0284】
一部の実施形態では、アンモニア酸化細菌は、対象を処置するために使用され得る。対象には、動物、哺乳動物、ヒト、非ヒト動物、家畜動物、または伴侶動物が含まれ得る。
【0285】
一部の実施形態では、本明細書に記載されたアンモニア酸化細菌は、他の生物の増殖を阻害するように使用される。例として、アンモニア酸化細菌は、ヒト皮膚の長期定着のために十分に適合している場合があり、一部の実施形態では、それは、皮膚上の望ましくない他の細菌を駆逐する。望ましくない皮膚細菌には、例えば、創傷感染する、疾患の危険性もしくは重症度を上げる、または臭気を生成する可能性があるものが含まれる。望ましくない細菌は、病原性細菌と称され得る。ある特定の望ましくない皮膚細菌には、Staphylococcus aureus(S.aureus)、例えば、メチシリン耐性Staphylococcus aureus、Pseudomonas aeruginosa(P.aeruginosa)、Streptococcus pyogenes(S.pyogenes)、Acinetobacter baumannii(A.baumannii)、Propionibacterium、およびStenotrophomonasが含まれる。本明細書に記載されたアンモニア酸化細菌は、例えば、乏しい栄養分を消費する、または他の生物に有害な副生成物を発生する、例えば、皮膚のpHを望ましくない生物の増殖の助けとならないレベルに変化させることによって、他の生物を駆逐し得る。
【0286】
したがって、本開示は、とりわけ、対象の皮膚上での微小生物の増殖を阻害する方法であって、それを必要とするヒトに本明細書に記載されたアンモニア酸化細菌の有効用量を局所投与することを含む方法を提供する。同様に、本開示は、対象の皮膚上での微小生物の増殖を阻害することに使用するための、本明細書に記載されたアンモニア酸化細菌を提供する。同じように、本開示は、対象の皮膚上での微小生物の増殖を阻害するための医薬の製造におけるアンモニア酸化細菌の使用を提供する。
【0287】
本開示は、とりわけ、環境、例えば、表面、例えば、対象の表面における皮膚マイクロバイオームの組成を変化させる、例えば、皮膚マイクロバイオームの組成をモジュレートする、例えば、皮膚マイクロバイオームの比率をモジュレートするまたは変化させる方法を提供する。方法は、アンモニア酸化細菌を含む調製物を、環境、例えば、表面、例えば、対象の表面に投与する、例えば、適用することを含んでもよい。一部の実施形態では、投与、例えば、適用の量および頻度は、皮膚表面での病原性細菌の比率を低減するために十分であり得る。一部の実施形態では、対象は、対象が皮膚表面での病原性細菌の比率を低減する必要があることに基づき選択され得る。
【0288】
本開示は、試料を皮膚表面から入手すること、および試料中の細菌のDNAを単離することをさらに提供し得る。対象の試料中の細菌の量または比率を決定または監視するために、試料中の細菌のDNAの配列決定を行うこともできる。
【0289】
本開示は、表面での非病原細菌の比率を増加させることも提供し得る。一部の実施形態では、非病原細菌は、共生非病原細菌であってもよい。一部の実施形態では、非病原細菌は、Staphylococcus属であってもよい。一部の実施形態では、非病原細菌は、Staphylococcus epidermidisであってもよい。一部の実施形態では、比率が増加される非病原細菌は、Staphylococcus epidermidisを少なくとも約10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%含むStaphylococcus属であってもよい。
【0290】
非病原細菌の比率の増加は、予め決定された期間で、例えば、1日、2日、3日、4日、5日、1週間、2週間、3週間、もしくは4週間未満で、または1~3、3~5、5~7、7~9、5~10、10~14、12~18、12~21、21~28、28~35、35~42、42~49、49~56、46~63、63~70、70~77、77~84、84~91日未満で起こり得る。
【0291】
Staphylococcus細菌、例えば、Staphylococcus epidermidisの比率の増加は、約3週間未満、例えば、約16日、例えば、約2週間内で観察され得る。
【0292】
本開示は、表面での病原性細菌、例えば、潜在的な病原性細菌、例えば、疾患関連細菌の比率を減少させることを提供し得る。一部の実施形態では、病原性細菌は、Propionibacteriumであってもよい。一部の実施形態では、病原性細菌は、Stenotrophomonasであってもよい。
【0293】
病原性細菌の比率の減少は、予め決定された期間で、例えば、1日、2日、3日、4日、5日、1週間、2週間、3週間、もしくは4週間未満で、または1~3、3~5、5~7、7~9、5~10、10~14、12~18、12~21、21~28、28~35、35~42、42~49、49~56、46~63、63~70、70~77、77~84、84~91日未満で起こり得る。
【0294】
Propionibacterium細菌および/またはStenotrophomonasの比率の減少は、約3週間未満、例えば、約16日、例えば、約2週間内で観察され得る。
【0295】
本開示は、一酸化窒素を対象に供給する方法であって、本明細書に記載されたアンモニア酸化細菌の有効用量を対象のすぐ近くに位置させることを含む方法も提供する。同様に、本開示は、一酸化窒素を対象に供給するのに使用するための、本明細書に記載されたアンモニア酸化細菌を提供する。同じように、本開示は、対象のすぐ近くの位置に適切な医薬または組成物の製造における使用を提供する。
【0296】
本開示は、体臭を低減する方法であって、それを必要とする対象に本明細書に記載されたアンモニア酸化細菌の有効用量を局所投与することを含む方法も提供する。同様に、本開示は、対象における体臭の低減に使用するための本明細書に記載されたアンモニア酸化細菌を提供する。同じように、本開示は、体臭を低減するための医薬または組成物の製造における本明細書に記載されたアンモニア酸化細菌の使用を提供する。
【0297】
本開示は、低亜硝酸塩レベルと関連する疾患を処置または予防する方法であって、それを必要とする対象に本明細書に記載されたアンモニア酸化細菌の治療有効用量を局所投与することを含む方法も提供する。同様に、本開示は、低亜硝酸塩レベルと関連する疾患の処置に使用するための、本明細書に記載されたアンモニア酸化細菌の局所製剤を提供する。同じように、本開示は、低亜硝酸塩レベルと関連する疾患を処置するための局所医薬の製造における本明細書に記載されたアンモニア酸化細菌の使用を提供する。
【0298】
本開示は、皮膚障害または皮膚感染症を処置または予防する方法であって、それを必要とする対象に本明細書に記載されたアンモニア酸化細菌の治療有効用量を局所投与することを含む方法も提供する。同様に、本開示は、対象における皮膚障害の処置に使用するための本明細書に記載されたアンモニア酸化細菌を提供する。同じように、本開示は、皮膚障害を処置するための医薬の製造における本明細書に記載されたアンモニア酸化細菌の使用を提供する。複数の実施形態では、皮膚障害は、ざ瘡、酒さ、湿疹、乾癬、または蕁麻疹であり;皮膚感染症は膿痂疹である。
【0299】
理論に縛られることを望むものではないが、アンモニア酸化細菌、例えば、任意選択で純粋培養の本明細書に記載されたN.eutropha細菌(例えば、D23株)の治療有効用量を用いた酒さの処置が、NO発生による下方調節を伴い得ることが提唱されている。これは、ヒトカテリシジンペプチドLL-37がその前駆体であるプロペプチドhCAP18から形成するのを低減し得るカザール型KLK5/KLK7阻害剤の発現により得る。
【0300】
理論に縛られることを望むものではないが、アンモニア酸化細菌、例えば、任意選択で純粋培養の本明細書に記載されたN.eutropha細菌(例えば、D23株)の治療有効用量を用いた湿疹および/またはアトピー性皮膚炎の処置が、NO発生により炎症を下方調節すること;ならびに/またはアトピー性皮膚炎における非常に高い定着速度および皮膚負荷量と関連することの多いS.aureusおよび他の皮膚病原体の拡大および繁殖を、酸性化亜硝酸塩およびNO生成により限定および/もしくは阻害すると提唱されている。
【0301】
理論に縛られることを望むものではないが、アンモニア酸化細菌、例えば、任意選択で純粋培養の本明細書に記載されたN.eutropha細菌(例えば、D23株)の治療有効用量を用いた乾癬の処置が、NO発生およびヒトカテリシジンペプチドLL-37の形成低減による炎症の下方調節を伴い得ることが提唱されている。
【0302】
理論に縛られることを望むものではないが、アンモニア酸化細菌、例えば、任意選択で純粋培養の本明細書に記載されたN.eutropha細菌(例えば、D23株)の治療有効用量を用いた乾癬の処置が、NO発生による炎症の下方調節を伴い得ることが提唱されている。
【0303】
理論に縛られることを望むものではないが、アンモニア酸化細菌、例えば、任意選択で純粋培養の本明細書に記載されたN.eutropha細菌(例えば、D23株)の治療有効用量を用いた膿痂疹または他の皮膚および軟組織感染症の処置が、S.aureusおよびS.pyogenesの拡大および繁殖を限定および/または阻害することを伴い得ることが提唱されている。
【0304】
本開示は、創傷治癒を促進する方法であって、アンモニア酸化細菌、例えば、任意選択で純粋培養の本明細書に記載されたN.eutropha細菌(例えば、D23株)の有効用量を創傷に投与することを含む方法も提供する。同様に、本開示は、創傷の処置に使用するためのアンモニア酸化細菌、例えば、任意選択で純粋培養の本明細書に記載されたN.eutropha(例えば、D23株)を提供する。同じように、本開示は、創傷を処置するための医薬または組成物の製造におけるアンモニア酸化細菌、例えば、任意選択で純粋培養の本明細書に記載されたN.eutropha(例えば、D23株)の使用を提供する。
【0305】
アンモニア酸化細菌、例えば、任意選択で純粋培養の本明細書に記載されたN.eutropha(例えば、D23株)は、低下した治癒能を有する患者、例えば、糖尿病患者における創傷治癒を促進するために使用されてもよい。
【0306】
一部の実施形態では、本開示は、疾患または障害、例えば、皮膚障害を予防するためにアンモニア酸化細菌、例えば、任意選択で純粋培養の本明細書に記載されたN.eutropha(例えば、D23株)を使用する方法を提供する。ある特定の実施形態では、予防は、対象が疾患を発症する危険性を類似の未処置対象と比較して低減することを意味する。危険性をゼロに低減する必要はない。
【0307】
一部の実施形態では、本開示は、N.eutrophaを含む包帯を創傷に適用することによって創傷を処置する方法を提供する。そのような包帯を作製する方法も提供される。包帯は、例えば、創傷近くの未損傷の皮膚に包帯を固定するための接着部分および創傷を覆うまたはそれと重ね合わせるための柔らかく柔軟な部分を含んでもよい。一部の実施形態では、包帯は、N.eutropha以外の生物を含有しない。包帯は、包帯が創傷に適用された場合に酸素および二酸化炭素のような気体をN.eutrophaに到達させる透過性材料からできている場合がある。ある特定の実施形態では、包帯は、アンモニウム、アンモニア、尿素、または微量無機質などの、N.eutropha用の栄養分を含む。ある特定の実施形態では、包帯は、N.eutrophaが耐性である抗生物質を含む。抗生物質耐性は、1つもしくは複数の内因性耐性遺伝子または1つもしくは複数の導入遺伝子に起因し得る。
【0308】
一部の実施形態では、アンモニア酸化細菌、例えば、N.eutrophaは、1回の適用当たり約10~10CFU、10~1010CFU、1010~1011CFU、または1011~1012CFUの用量で投与される。一部の実施形態では、アンモニア酸化細菌、例えば、N.eutrophaは、用量約1010~1011CFU、例えば、約1×1010~5×1010、1×1010~3×1010、または1×1010~2×1010CFUの用量で局所投与される。一部の実施形態では、アンモニア酸化細菌、例えば、N.eutrophaは、約2×10、4×10または8×10CFUの用量で局所投与される。
【0309】
一部の実施形態では、アンモニア酸化細菌、例えば、N.eutrophaは、1用量当たり約1~2、2~5、5~10、10~15、12~18、15~20、20~25、または25~50mlの体積で投与される。一部の実施形態では、溶液は、約10~10、10~1010、または1010~1011CFU/mlの濃度である。一部の実施形態では、アンモニア酸化細菌、例えば、N.eutrophaは、1日当たり15ml用量2回として投与され、各用量は10CFU/mlの濃度である。一部の実施形態では、アンモニア酸化細菌、例えば、N.eutrophaは、2×10、4×10または8×10CFU/Lの濃度で投与される。一部の実施形態では、アンモニア酸化細菌、例えば、N.eutrophaは、2×10、4×10または8×10CFU/mLの濃度で投与される。
【0310】
一部の実施形態では、アンモニア酸化細菌の調製物は、アンモニア、例えば、約0.01mMから約100mMの間のアンモニア濃度と組み合わせて本明細書に記載された用量を有するアンモニア酸化細菌を含んでもよい。例えば、アンモニア濃度は、約0.01、0.05、0.1、0.2、0.4、0.5、0.6、0.8、1.0、1.2、1.4、1.6、1.8、2.0、2.2、2.4、2.5、2.6、2.8、3.0、3.2、3.4、3.6、3.8、4.0、4.2、4.4、4.5、4.6、4.8、5.0、5.2、5.4、5.6、5.8、6.0、6.2、6.4、6.6、6.8、7.0、7.2、7.4、7.6、7.8、8.0、8.2、8.4、8.6、8.8、10.0、15.0、20.0、25.0、30.0、35.0、40.0、45.0、50.0、55.0、60.0、65.0、70.0、75.0、80.0、85.0、90.0、95.0、または100.0mMであってもよい。
【0311】
一部の実施形態では、アンモニア酸化細菌、例えば、N.eutrophaは、1日当たり1、2、3、または4回投与される。一部の実施形態では、アンモニア酸化細菌、例えば、N.eutrophaは、1週間当たり1、2、3、4、5、または6回投与される。一部の実施形態では、アンモニア酸化細菌、例えば、N.eutrophaは、入浴のすぐ後に投与される。一部の実施形態では、アンモニア酸化細菌、例えば、N.eutrophaは、就寝のすぐ前に投与される。
【0312】
ある特定の態様では、本開示は、アンモニア酸化細菌、例えば、N.eutrophaおよび第2の治療薬を含む組合せ療法を提供する。例として、本開示は、2つの(またはそれより多い)治療法の物理的混合を提供する。他の実施形態では、2つの(またはそれより多い)治療法は、別々の製剤として組み合わせて投与される。第2の治療法は、例えば、関連する疾患または障害を処置する医薬品薬剤、外科手術、または任意の他の医学アプローチであってもよい。以下の節に、慢性的な創傷、ざ瘡、酒さ、湿疹、および乾癬が可能な組合せ療法を記載する。
【0313】
慢性的な傷を処置することが可能な組合せ療法において、第2の治療法は、例えば、抗生物質(例えば、局所または全身、および殺菌または静菌的)、例えば、ペニシリン、セファロスポリン、ポリミキシン、リファマイシン、リピアルマイシン、キノロン、スルホンアミド、マクロライド、リンコサミド、テトラサイクリン、環状リポペプチド、グリシルサイクリン、オキサゾリジノン、およびリピアルマイシン;アンジオテンシン、アンジオテンシン類似体;デブリードマン;ドレナージ;創傷洗浄;陰圧創傷療法;熱適用;動脈血行再建;高圧酸素療法;抗酸化剤、例えば、アスコルビン酸、グルタチオン、リポ酸、カロテン、α-トコフェロール、もしくはユビキノール;低レベルレーザー療法;腓腹筋後退術;増殖因子、例えば、血管内皮増殖因子、インスリン様増殖因子1~2、血小板由来増殖因子、形質転換増殖因子-β、もしくは上皮増殖因子;自己血小板の適用、例えば、血管内皮増殖因子、インスリン様増殖因子1~2、血小板由来増殖因子、形質転換増殖因子-β、もしくは上皮増殖因子などの1つもしくは複数の増殖因子を分泌するもの;培養角化細胞の移植;同種移植;コラーゲン、例としてコラーゲンを含む被覆材;またはSLPIなどのプロテアーゼ阻害剤を含んでもよい。組合せ療法は、上記処置のうちの1つまたは複数を含んでもよい。
【0314】
ざ瘡を処置することが可能な組合せ療法において、第2の治療法は、例えば、投薬(例えば、全身もしくは局所)、例えば、過酸化ベンゾイル、抗生物質(エリスロマイシン、クリンダマイシン、もしくはテトラサイクリンなど)、サリチル酸、ホルモン(例えば、プロゲスチン、例えば、デソゲストレル、ノルゲスチメートもしくはドロスピレノンを含む)、レチノイド、例えば、トレチノイン、アダパレン、タザロテン、またはイソトレチノインを含んでもよい。第2の治療法は、面皰抽出、コルチコステロイド注射、または外科的切開などの手技であってもよい。組合せ療法は、上記処置のうちの1つまたは複数を含んでもよい。組合せ療法は、上記表1に記載される治療法のうち1つまたは複数、例えば、局所レチノイド、アゼライン酸、サリチル酸、局所抗微小生物薬、経口抗生物質、過酸化ベンゾイル、経口抗アンドロゲン、経口イソトレチノイン、およびその組合せからなる群から選択されるざ瘡の処置を含んでもよい。
【0315】
例として、本開示は、2つの(またはそれより多い)治療法の物理的混合を提供する。他の実施形態では、2つの(またはそれより多い)治療法は、別々の製剤として組み合わせて投与される。これらの治療法は、「同時」または「併用」または「同時発生的送達」として投与され得る。他の実施形態では、一方の処置の送達は、他方の処置の送達が開始する前に終了する。これは、時に本明細書において「連続」または「逐次送達」と称される。処置または治療法の開始は、対象が皮膚状態または障害を有すると診断される前または後に開始し得る。アンモニア酸化細菌を用いた処置の開始は、別の処置に対して不十分な応答があった場合に開始することができる。方法は、アンモニア酸化細菌の投与を開始するとともに、他方の処置の使用を中止すること、および/または他方の処置の使用を継続することを含んでもよい。
【0316】
治療法、例えば、上の表1に列記された処置などのざ瘡の処置は、アンモニア酸化細菌の投与を始める前の期間に投与され得る。治療法、例えば、上の表1に列記された処置などのざ瘡の処置は、アンモニア酸化細菌の投与期間全体にわたり継続され得る。ある特定の実施形態では、治療法、例えば、上の表1に列記された処置などのざ瘡の処置は、アンモニア酸化細菌の投与の間に停止され得る。治療法、例えば、上の表1に列記された処置などのざ瘡の処置は、アンモニア酸化細菌の投与全体にわたり継続され得る。治療法、例えば、上の表1に列記された処置などのざ瘡の処置は、アンモニア酸化細菌の投与を停止することに続いて始めることができる。
【0317】
酒さを処置することが可能な組合せ療法では、第2の治療法は、例えば、抗生物質、例えば、経口テトラサイクリン抗生物質、例えば、テトラサイクリン、ドキシサイクリン、もしくはミノサイクリン、またはメトロニダゾールなどの局所抗生物質;アゼライン酸;アルファ-ヒドロキシ酸;イソトレチノインが処方される可能性がある;ビャクダン油;クロニジン;ナドロールおよびプロプラノロールなどのベータ-遮断薬;抗ヒスタミン薬(ロラタジンなど);ミルタザピン;任意選択で相互に組み合わせたメチルスルホニルメタンもしくはシルマリン;皮膚科学的血管レーザーもしくはCOレーザーなどのレーザー;または高強度パルス光、低レベル光療法もしくは光若返りなどの光療法を含んでもよい。組合せ療法は、上記処置のうちの1つまたは複数を含んでもよい。
【0318】
湿疹を処置することが可能な組合せ療法では、第2の治療法は、例えば、ヒドロコルチゾンもしくはプロピオン酸クロベタゾールなどのコルチコステロイド注射、免疫抑制剤(局所もしくは全身)、例えば、ピメクロリムス、タクロリムス、シクロスポリン、アザチオプリンもしくはメトトレキサート、または紫外線を用いるなどの光療法を含んでもよい。組合せ療法は、上記処置のうちの1つまたは複数を含んでもよい。
【0319】
乾癬を処置することが可能な組合せ療法では、第2の治療法は、例えば、デスオキシメタゾンなどのコルチコステロイド注射;レチノイド;コールタール;ビタミンDもしくはその類似体、例えば、パリカルシトールもしくはカルシポトリオール;モイスチャライザーおよび軟化薬、例えば、鉱物油、ワセリン、カルシポトリオール、デクバール(decubal)、もしくはココナツ油;ジトラノール;またはフルオシノニドを含んでもよい。組合せ療法は、上記処置のうちの1つまたは複数を含んでもよい。
【0320】
理論に縛られることを望むものではないが、本明細書に記載されたアンモニア酸化細菌の治療有効用量を用いた乾癬の処置が、NO発生およびヒトカテリシジンペプチドLL-37の形成における低減による炎症の下方調節を伴い得ることが提唱されている。
【0321】
理論に縛られることを望むものではないが、本明細書に記載されたアンモニア酸化細菌の治療有効用量を用いた乾癬の処置が、NO発生による炎症の下方調節を伴い得ることが提唱されている。
【0322】
理論に縛られることを望むものではないが、本明細書に記載されたアンモニア酸化細菌の治療有効用量を用いた膿痂疹または他の皮膚および軟組織感染症の処置が、Staphylococcus aureus(S.aureus)、例えば、メチシリン耐性Staphylococcus aureus、Pseudomonas aeruginosa(P.aeruginosa)、Streptococcus pyogenes(S.pyogenes)、Acinetobacter baumannii(A.baumannii)、Propionibacterium、およびStenotrophomonasの拡大および繁殖を限定および/または阻害することを伴い得ることが提唱されている。
【0323】
本開示は、創傷治癒を促進する方法であって、本明細書に記載されたアンモニア酸化細菌の有効用量を創傷に投与することを含む方法も提供する。同様に、本開示は、創傷の処置に使用するための本明細書に記載されたアンモニア酸化細菌を提供する。同じように、本開示は、創傷を処置するための医薬または組成物の製造における本明細書に記載されたアンモニア酸化細菌の使用を提供する。
【0324】
一部の実施形態では、本開示は、疾患または障害、例えば、皮膚障害を予防するために本明細書に記載されたアンモニア酸化細菌を使用する方法を提供する。ある特定の実施形態では、予防は、対象が疾患を発症する危険性を類似の未処置対象と比較して低減することを意味する。危険性は、ゼロに低減する必要はない。
【0325】
宇宙飛行士、潜水艦乗組員、軍事行動中の軍人、僻地の民間作業員、難民、寝たきりの個体およびその他多くなどの低減した入浴頻度を有する個体は、皮膚上のアンモニア酸化細菌を維持することによって、より健康な皮膚を維持し得る。寝たきりの個体に関して、一部の実施形態では、アンモニア酸化細菌は不十分な循環を強化することによって褥瘡の頻度または重症度を低減する。
【0326】
多くの現代の変性疾患がNO種の欠如によって引き起こされ得ること、および外部皮膚上のアンモニア酸化細菌が拡散によってNO種を供給できること、および皮膚へのアンモニア酸化細菌の適用が長期にわたる医学的状態を回復させることが認識されている。ある特定の実施形態では、特に、外部皮膚からアンモニア酸化細菌を除去する陰イオン洗剤を用いた現代の入浴習慣を埋め合わせるために、アンモニア酸化細菌が対象に適用される。
【0327】
局所適用の適切な一方法は、十分なアンモニア酸化細菌を適用し、次に発汗を誘発するために十分な衣類を着用することである。しかし、多くの人々は、アンモニア酸化細菌の恩恵を得るのと同時に、現在の入浴習慣を維持したいと思っており、その場合、細菌の培養物を、その細菌がNOを生成するのに十分な基質とともに適用することができる。ヒトの汗の無機組成に近い栄養溶液をこの目的のために使用することができる。ヒトの汗に近い培地に適応した細菌を使用すると、その細菌が適用された場合に適応する時間が最小限になる。汗は皮膚表面に排出された後に蒸発するので、より高いイオン強度を有する培養培地を使用することが望ましい。ヒトの汗の約2倍の濃度が適切であるが、他の状態も考慮される。アンモニア酸化細菌の栄養必要物には、典型的にはNHまたは尿素、O、CO、および無機質が入っている。一部の実施形態では、基質は、鉄、銅、亜鉛、コバルト、モリブデン、マンガン、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、塩化物、リン酸塩、硫酸塩、またはそれらの任意の組合せを含む微量無機質を含む。
【0328】
一部の実施形態では、本開示は、アンモニア酸化細菌を含む包帯を創傷に適用することによって創傷を処置する方法を提供する。そのような包帯を作製する方法も提供される。包帯は、例えば、創傷近くの未損傷の皮膚に包帯を固定するための接着部分および創傷を覆うまたはそれと重ね合わせるための柔らかく柔軟な部分を含んでもよい。一部の実施形態では、包帯は、アンモニア酸化細菌以外の生物を含有しない。包帯は、包帯が創傷に適用された場合に酸素および二酸化炭素のような気体をアンモニア酸化細菌に到達させる透過性材料からできている場合がある。ある特定の実施形態では、包帯は、アンモニウム、アンモニア、尿素、または微量無機質などの、アンモニア酸化細菌用の栄養分を含む。ある特定の実施形態では、包帯は、アンモニア酸化細菌が耐性である抗生物質を含む。抗生物質耐性は、1つもしくは複数の内因性耐性遺伝子または1つもしくは複数の導入遺伝子に起因し得る。
【0329】
一部の実施形態では、アンモニア酸化細菌、例えば、アンモニア酸化細菌の調製物は、1回の適用当たりまたは1日当たり約10~10CFU、10~1010CFU、1010~1011CFU、または1011~1012CFUの用量で投与される。一部の実施形態では、アンモニア酸化細菌は、約10~1010CFU、例えば、約1×10~5×10、1×10~3×10、または1×10~10×10CFUの用量で局所投与される。
【0330】
一部の実施形態では、アンモニア酸化細菌は、1用量当たり約1~2、2~5、5~10、10~15、12~18、15~20、20~25、または25~50mlの体積で投与される。一部の実施形態では、溶液は、約10~10、10~1010、または1010~1011CFU/mlの濃度である。一部の実施形態では、アンモニア酸化細菌は、1日当たり15ml用量2回として投与され、各用量は10CFU/mlの濃度である。
【0331】
一部の実施形態では、アンモニア酸化細菌は、1日当たり1、2、3、または4回投与される。一部の実施形態では、アンモニア酸化細菌は、1週間当たり1、2、3、4、5、または6回投与される。一部の実施形態では、アンモニア酸化細菌は、入浴のすぐ後に投与される。一部の実施形態では、アンモニア酸化細菌は、就寝のすぐ前に投与される。
【0332】
一部の実施形態では、アンモニア酸化細菌は、約1~3、3~5、5~7、7~9、5~10、10~14、12~18、12~21、21~28、28~35、35~42、42~49、49~56、46~63、63~70、70~77、77~84、84~91日間、例えば、約1ヶ月間、約2ヶ月間、約3ヶ月間投与される。一部の実施形態では、アンモニア酸化細菌は、不定期間、例えば、1年より長い、5年より長い、10年より長い、15年より長い、30年より長い、50年より長い、75年より長い間投与される。
5.アンモニア酸化細菌の投与を伴う、マイクロバイオーム適合性化粧品、例えば、洗浄剤、シャンプー、および/またはコンディショナーの使用
【0333】
本開示のシステムおよび方法は、とりわけ、化粧製品、例えば、「バイオームに無害である」または「バイオームに適合する」と見なされ得る完成化粧製品を提供する。本開示のシステムおよび方法は、細菌、例えば、非病原細菌、例えば、アンモニア酸化細菌と組み合わせて使用することができる化粧製品、例えば、完成化粧製品の使用を提供する場合があり、それは、対象に適用されるべき調製物または組成物の形態で使用される場合がある。表4は、その1つまたは複数が調製物または組成物中に提供することができ、バイオームに無害なまたはバイオーム適合性の製品を提供することができる構成成分の列記を提供する。
【表4-1】
【表4-2】
【表4-3】
【0334】
本開示とともに使用され得る化粧製品は、ベビー製品、例えば、ベビーシャンプー、ベビーローション、ベビーオイル、ベビーパウダー、ベビークリーム;浴用調製物、例えば、バスオイル、タブレット、ソルト、バブルバス、バスカプセル;アイメークアップ用調製物、例えば、アイブローペンシル、アイライナー、アイシャドー、アイローション、アイメークアップリムーバー、マスカラ;香料調製物、例えば、コロン、オードトワレ、香水、パウダー(ダスティングおよびタルカム)、サシェ;毛髪用調製物、例えば、毛髪コンディショナー、ヘアスプレー、ヘアストレート剤、パーマネントウェーブ剤、リンス、シャンプー、トニック、調髪料、整髪補助剤、ウェーブセット剤;毛髪着色用調製物、例えば、毛髪染料およびヘアカラー、染毛剤、着色用ヘアリンス、着色用ヘアシャンプー、着色ヘアライトナー、ヘアブリーチ;メークアップ用調製物、例えば、フェ-スパウダー、ファンデーション、レッグおよびボディペイント、口紅、メークアップベース、頬紅、メークアップ定着剤;マニキュア用調製物、例えば、ベースコートおよびアンダーコート、キューティクル軟化剤、ネイルクリームおよびローション、ネイルエクステンダー、ネイルポリッシュおよびエナメル、ネイルポリッシュおよびエナメルリムーバー;口腔衛生製品、例えば、歯磨剤、マウスウォッシュおよびブレスフレッシュナー;浴用石鹸、例えば、起泡性身体洗浄剤、および洗剤、デオドラント、ビデ、女性用衛生デオドラント;シェービング用調製物、例えば、アフターシェーブローション、髭軟化剤、タルカム、プレシェーブローション、シェービングクリーム、シェービングソープ;スキンケア用調製物、例えば、クレンジング、脱毛剤、顔および首、身体および手、足用パウダーおよびスプレー、保湿料、夜用調製物、ペーストマスク、スキンフレッシュナー;ならびに日焼け用調製物、例えば、ジェル、クリーム、リキッド、および屋内タンニング用調製物のうちの任意の1つまたは複数であるか、またはそれを含むか、またはその中に配置されてもよい。
【0335】
化粧製品は、本明細書に開示された成分、例えば、表4に開示された成分のうちの任意の1つまたは複数を含んでもよい。
【0336】
化粧製品または完成化粧製品は、下の表5に示されるような以下:
【表5】
の組成を含む、それから本質的になる、またはそれからなってもよい。
【0337】
製品は、例えば、シャンプー用、例えば、ボディウォッシュ用の化粧製品として使用され得る。製品は、100%にするための水を含む。一部の実施形態では、化粧製品、例えば、シャンプーは、クエン酸を含有する場合または含有しない場合があり、pH安定化が要求されるまたは望まれる場合にクエン酸が必要であり得る。
【0338】
化粧製品または完成化粧製品は、下の表6に示されるような以下の組成:
【表6】
を含む、それから本質的になる、またはそれからなってもよい。
【0339】
製品は、例えば、洗浄剤用、例えば、身体、手、または顔用の化粧製品として使用され得る。製品は、100%にするための水を含む。一部の実施形態では、化粧製品、例えば、洗浄剤は、クエン酸を含有する場合または含有しない場合があり、pH安定化が要求されるまたは望まれる場合にクエン酸が必要であり得る。
【0340】
他の加水分解タンパク質が使用される場合があり、それには、非限定的に、コメ、ダイズ、バオバブ、およびエンバクが含まれ得る。他の香料代替物を考慮することができる。
【0341】
完成化粧製品は、本明細書に記載された1つもしくは複数、またはすべての特性を有し得る。
【0342】
下の表7に示されるような以下:
【表7】
を含む、それから本質的になる、またはそれからなってもよい毛髪および/または皮膚コンディショナーを含む他の製品が考慮される。
【0343】
製品は、100%にするための水を含む。一部の実施形態では、化粧製品、例えば、コンディショナーは、クエン酸を含有する場合または含有しない場合があり、pH安定化が要求されるまたは望まれる場合にクエン酸が必要であり得る。
6.治療的利益のメカニズム
【0344】
理論に縛られることを望むものではないが、以下のメカニズムのうちの1つまたは複数が、本明細書において論じられる疾患および状態の処置におけるアンモニア酸化細菌、例えば、N.eutrophaの有益効果を引き起こす元となると考えられている。追加的なメカニズム上の詳細は、国際出願WO/2005/030147に見出され、国際出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれている。
【0345】
これらの細菌の有益な面を理解するために、血管新生を理解することが助けになる。数百ミクロンの外気内の体細胞を除くすべての体細胞は、すべての代謝性酸素を血液供給から受領する。酸素は、肺の中の血液によって吸収され、赤血球によって酸化ヘモグロビンとして末梢組織に運ばれ、そこで二酸化炭素と交換され、二酸化炭素が運び戻されて肺から呼出される。酸素は、赤血球から血漿を通過して、内皮を通過して、および様々な組織を通過して、酸素を消費する細胞内のミトコンドリアに到達するまで拡散しなければならない。ヒトの身体は、血液約5リットルを含有するので、循環システムの体積は身体の体積と比較して小さい。酸素は、能動輸送されない。酸素は、空気から赤血球に、赤血球から細胞に、および細胞から酸素が消費されるチトクロームオキシダーゼに濃度勾配を下って受動拡散する。消費部位での酸素濃度は、体内で最低であり、Oの流動は、拡散抵抗および濃度勾配によって決定される。すべての末梢組織への十分な酸素供給を達成することは、毛細血管のサイズおよび場所の絶妙な制御を要する。毛細血管の間隔が増加するならば、同じ流動の酸素を達成することは、より大きな濃度差、したがってチトクロームオキシダーゼでのより低いO濃度を要するであろう。毛細血管の間により多くの細胞があると、Oの需要はより大きくなるであろう。毛細血管の間隔が減少するならば、臓器の代謝機能を果たす細胞に利用可能な空間は、より小さいであろう。
【0346】
ある特定の態様では、アンモニア酸化細菌からのNOは、外皮によって容易に吸収され、外皮がヘモグロビンを含有しないので、S-ニトロソチオールに変換されることが認識されている。M. Stuckerらは、「The cutaneous uptake of atmospheric oxygen contributes significantly to the oxygen supply of human dermis and epidermis.(Journal of Physiology(2002年)、538.3巻、985~994頁)に、外部皮膚がその酸素のすべてを外気から受領することを示した。外部皮膚は本質的に赤血球を含有しないことを見ることができるので、このことは、難なく分かる。これらの層は生きており、ただ酸素ではない血中の他の栄養分を実際に必要とするので、これらの層を通した血漿の循環がある。形成されたS-ニトロソチオールは安定であり、身体にくまなく拡散することができ、真正NOの大量供給源およびタンパク質のチオールをトランスニトロソ化するためのNO供給源を構成する。
【0347】
一部の態様では、毛細血管の希薄化は、NOが不十分なレベルであることの最初の徴候の1つであってもよい。F. T. Tarekらは、疎な毛細血管、すなわち毛細血管の希薄化が、本態性高血圧症の人々に通常見られることを示した(Structural Skin Capillary Rarefaction in Essential Hypertension. Hypertension.1999年;33巻:998~1001頁。
【0348】
非常に多数の状態が、ますます疎になりつつある毛細血管の密度と関連する。高血圧がその1つであり、研究者らは、疎な毛細血管が本態性高血圧症を有する人々の小児にも、および糖尿病の人々にも見られることを報告した。糖尿病の重大な合併症は、高血圧症、糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症、および糖尿病性神経障害である。R. Candidoらは、最後の2つの状態が、観察される症状の前の患部への血流低減によって特徴付けられることを見出した(Haemodynamics in microvascular complications in type 1 diabetes. Diabetes Metab Res Rev 2002年;18巻:286~304頁)。A Philipらが「Effect of Weight Loss on Muscle Fiber Type, Fiber Size, Capillarity, and Succinate Dehydrogenase Activity in Humans. The Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism、84巻11号4185~4190頁、1999年に示したように、低減した毛細血管密度は、肥満と関連し、単なる体重減少が毛細血管密度を増加させる。
【0349】
研究者らは、原発性レイノー現象(PRP)において、爪郭毛細血管が正常な対照よりも疎(わずかに)であり、全身硬化症(SSc)に進行した患者よりも密であることを示した。M. Bukhari、Increased Nailfold Capillary Dimensions In Primary Raynaud's Phenomenon And Systemic Sclerosis. British Journal of Rheumatology、24巻35号:1127~1131頁、1996年。彼らは、毛細血管密度が35ループ/mm(正常対照)から33(PRP)、17(SSc)へと減少したことを見出した。毛細血管先端(capillary limb)の間の平均距離は、対照、PRPおよびSScについてそれぞれ18μ、18μ、および30μであった。
【0350】
ある特定の態様では、身体が「低酸素」を感知するために通常使用するメカニズムは、毛細血管密度を調節する身体システムに影響し得ることが認識されている。本発明のこの態様によると、「低酸素」の重大な構成成分は、O2レベルの減少ではなく、むしろNOレベルの増加によって感知される。NOの基礎レベルの低下は、この「低酸素」の感知を妨げるので、「低酸素」によって調節される多数の身体機能に影響する。例えば、貧血は、通例、「不十分なヘモグロビン」として定義され、不十分なヘモグロビンの1つの結果が「低酸素」であり、それは「不十分な酸素」として定義される。一部の態様によると、これらの一般的な定義は、両方の状態の一酸化窒素によって仲介される態様を説明しない。
【0351】
急性等容量性貧血は、休息時に忍容性良好である。ヘマトクリットの2/3の低減は、静脈還流PvO2に最小限の効果を有し、全身にわたるO圧または送達のいずれの低減も示さない。Weiskopfら、Human cardiovascular and metabolic response to acute、severe isovolemic anemia.JAMA 1998年、279巻3号、217~221頁。50%の低減(140から70g Hb/L)で、平均PvO2(32人を超える対象)は、約77%(飽和)から約74%に減少した。血液のO容量の低減は、血管拡張および頻脈によって代償され、心拍は63から85bpmに増加する。代償が有効であることは、難なく分かるが、そのメカニズムは分からない。典型的な説明は、「低酸素」センサーが「低酸素」を検出し、血管拡張および頻脈で代償したというものである。しかし、「低酸素」を検出することはできなかった。血中ラクテート(嫌気呼吸のマーカー)に0.77から0.62mM/Lへのわずかな減少があったが、これは、より少ない嫌気呼吸およびあまり「低酸素」でないことを示している。静脈性還流PvO2の3%低減は、高度300メートル(典型的には頻脈を生成しない)に上ることによって得るであろう「低酸素」と同じレベルである。静脈性還流中のO濃度が同じままであり、O消費量が同じままであるので、O濃度が低減している場所が体内のどこにもない。等容量性貧血時の代償は、O感知が原因では起こり得ない。
【0352】
したがって、急性等容量性貧血において観察される血管拡張は、血管壁でのNO濃度の増加が原因であり得る。NOは、ずり応力および他の要因に応答した血管の拡張を媒介する。NOの生成速度は不変であり、分解速度と等しくあり続けるので、NO代謝物のレベルに変化は観察されないであろう。metHbの置換で「低酸素」の代償は観察されないのは、metHbがHbとちょうど同じようにNOと結合することから、Hbが取り除かれた場合に起こるようなNO濃度の増加が、metHbの置換では起こらないと理解することができる。
【0353】
一酸化窒素は、多数の代謝経路で役割を果たす。基礎レベルのNOが緊張阻害応答を発揮すること、およびこの基礎レベルの低減が、それらの経路の脱阻害に繋がることが示唆されている。Zanzingerらは、NOが交感神経系の基礎緊張を阻害し、興奮性反射を弱めることが示されたと報告した。(Inhibition of basal and reflex-mediated sympathetic activity in the RVLM by nitric oxide. Am. J. Physiol. 268巻(Regulatory Integrative Comp. Physiol. 37巻):R958~R962頁、1995年)。
【0354】
一部の態様では、NOの大量供給源の一構成成分は、アンモニア酸化細菌によって外部皮膚上で生成されたNOから赤血球不含の皮膚で生成される低分子量S-ニトロソチオールであると認識されている。これらの低分子量S-ニトロソチオールは、長期安定であり、血漿中を自由に拡散および循環することができる。様々な酵素が様々なS-ニトロソチオールからNOを切断して、酵素側にNOを遊離させることができる。正常な生理機能の破壊をもたらすのは、皮膚上のAOBからNOのこの大量供給源の喪失である。毛細血管から遠く離れてNOを発生させるためにS-ニトロソチオールを使用することの身体への利点は、S-ニトロソチオールからのNO生成にOを要さないことである。一酸化窒素シンターゼ(NOS)からのNO生成は、実際にOを要する。バックグラウンドのS-ニトロソチオールが十分であると、無酸素領域内であってもNOが発生する可能性がある。NOは、システイン残基のチオールまたはヘム中の鉄などの別の分子と結び付いたときにだけ効果を発揮するので、遊離NOも不必要であり、したがって、S-ニトロソチオールおよびトランスニトロソ化酵素が存在するならば、遊離NOの非存在下であってもトランスニトロソ化反応によってNOの効果が媒介され得る。
【0355】
Frankらは、増加した一酸化窒素によって誘導されるVEGF上昇によって、正常な創傷治癒を伴う血管新生が、部分的に生成することを示した。(Nitric oxide triggers enhanced induction of vascular endothelial growth factor expression in cultured keratinocytes (HaCaT) and during cutaneous wound repair. FASEB J. 13巻、2002~2014頁(1999年))。
【0356】
NOは、発がんに役割を有するが、これは、本明細書に記載された細菌が、がんの処置および予防方法に使用され得ることを示している。ある特定の態様によると、低酸素時におけるNOの存在は、細胞がDNAのコピーを誤る危険性がより大きい低酸素ストレス下にある間に細胞が分裂するのを防ぐことができると認識されている。関連する一細胞機能は、細胞周期の調節である。これは、細胞がDNAをどのように、いつ複製し、重複した染色体に集合させ、分裂するかを制御する調節プログラムである。細胞周期の調節は極めて複雑であり、完全には理解されていない。しかし、その周期の通り道に沿って多数のポイントがあることが公知であり、細胞分裂のための条件が改善されるまで、そのポイントで細胞周期を停止し、分裂を止めることができる。p53腫瘍抑制タンパク質は、細胞周期の調節における重要なタンパク質であり、DNA損傷を含む多様な細胞ストレスシグナルから細胞停止とアポトーシスとの両方を開始するのに役立ち、Ashcroftらが、「Stress Signals Utilize Multiple Pathways To Stabilize p53.」(Molecular And Cellular Biology、2000年5月、3224~3233頁)に報告したように、p53はヒトのがんの半数超で突然変異している。低酸素はp53の蓄積を開始し、細胞周期を調節するのに低酸素が重用であるものの、低酸素単独ではp53 mRNAエフェクタータンパク質の下流の発現を誘導することができず、それで細胞周期の停止を引き起こすことができない。Godaらは、低酸素が細胞停止を誘導するには、低酸素誘導因子-1(HIF-1α)を要すると報告した。(Hypoxia-Inducible Factor 1α Is Essential for Cell Cycle Arrest during Hypoxia. Molecular And Cellular Biology、2003年1月、359~369頁)。Brittaらは、NOがHIF-1αについての主要刺激の1つであると報告した。(Accumulation of HIF-1a under the influence of nitric oxide. Blood、2001年2月15日、97巻4号)。対照的に、NOは転写活性なp53の蓄積を実際に引き起こし、細胞周期の停止を実際に引き起こし、アポトーシスを実際に引き起こす。Wangら、 P53 Activation By Nitric Oxide Involves Down-Regulation Of Mdm2. THE JOURNAL OF BIOLOGICAL CHEMISTRY、277巻18号、5月3日発行、15697~15702頁、2002年。
【0357】
本発明のある特定の態様では、細胞の低酸素死に繋がる毛細血管希薄化を予防することによる細胞壊死の予防が、自己免疫障害を予防し得ると認識されている。細胞が慢性的な低酸素に曝露されると、活性酸素種(ROS)の生成が増加し、細胞の代謝機構に対する、および最終的に細胞のDNAに対する損傷が増加する。代謝能の減少は、ROSが原因の、および外因性発がん物質の曝露が原因の損傷を修復する能力を減少させる。時間とともに、損傷は蓄積し、3つの事象、すなわち細胞ががん予防遺伝子の欠失を受ける、細胞ががん性になる、および細胞が壊死により死滅する、または細胞がアポトーシスにより死滅する機会が増加する。細胞が壊死またはアポトーシスのいずれかにより死滅した場合、細胞残骸がその部位から取り除かれなければならない。死滅した細胞は、樹状細胞およびマクロファージを含む免疫細胞によって貪食される。これらの細胞が身体を貪食すると、その身体は様々なタンパク質分解酵素によって消化されて抗原断片となり、次にこれらの抗原は主要組織適合遺伝子複合体(MHC1、MHC2)に付着し、抗原-MHC複合体が細胞表面に移動し、そこで複合体はT細胞と相互作用して、T細胞を様々な方法で活性化することができる。どのような細胞傷害でも、免疫システムを様々な方法で刺激するアジュバントを放出する。一般に、壊死を受ける細胞は、アポトーシスを受ける細胞よりも大きい免疫応答を刺激する。したがって、死滅細胞および瀕死細胞への免疫細胞の慢性曝露は、自己免疫障害に繋がる可能性がある。
【0358】
ある特定の態様では、低い基礎NOは線維性肥大症に繋がることが認識されている。死滅細胞が取り除かれた後、新しい細胞を支持するために十分なOがないので、新しい細胞は容易にその代わりとなることができない。そのような新しい細胞はいずれも同じ運命に遭遇する。その間隙は空いたままになる可能性があり、その場合、臓器は萎縮し、毛細血管はより接近し、新しい細胞は、現在欠落している細胞によって以前に生成されたVEGFを今や欠乏しているので、毛細血管が切断され、低酸素帯が再び形成される(reform)。これは、患部組織の全般的な萎縮を招くおそれがある。線維症を支持する組織では、相対的に不活性なコラーゲン線維がこの間隙を埋める可能性がある。問題となる特定の臓器に関して身体の代謝要求は低減していないので、その臓器は、より大きく成長しようとする場合があるが、今や顕著な線維含量を有する。このことは、心臓および肝臓などの線維性肥大症を招くおそれがある。脳などの一部の臓器は、神経および血管の三次元結合性が重要であるので、大きくも小さくもなることができず、非対称的に萎縮している脳に連続的および同時にマッピングすることができない。間隙を何かで埋めなければならず、β-アミロイドが(それほど不活性でない)間隙充填物質であってもよい。腎臓は、腎被膜のため大きく成長することができず、それで生存細胞数がより小さくなり、それらの細胞は線維性組織に置き換わる。死滅細胞が取り除かれ、組織が萎縮し、NO/Oの比が再び下がり、毛細血管は、再びより疎になる。これは、末期腎疾患、うっ血性心不全/心肥大、原発性胆汁性肝硬変、アルツハイマー病、アテローム動脈硬化症、炎症性腸疾患、肥厚性瘢痕形成、ならびに毛細血管希薄化が同様に観察される、レイノー現象から始まり全身性硬化症および原発性シェーグレン症候群に終わる多発性結合組織病の悪循環を作るおそれがある。Ferriniらは、L-NAMEを用いたNOSの慢性阻害による基礎NOレベルの低減が、心臓および腎臓の全身性線維症に繋がることを示した。(Antifibrotic Role of Inducible Nitric Oxide Synthase. Nitric Oxide: Biology and Chemistry、6巻3号、283~294頁(2002年))。低い基礎NOが線維性肥大症に繋がるおそれがある。
【0359】
ある特定の態様では、毛細血管希薄化は、対象がその食欲を制御する能力に影響すると認識されている。毛細血管希薄化は、高齢のヒトおよび動物の脳内に観察される。毛細血管希薄化は、インスリン様増殖因子-1を含む循環増殖因子における低下と関連する。成体の脳における神経発生は、血管新生と協調する。脳は、多数の恒常性機能を調節するので、脳のエレメントを制御するための毛細血管の間の拡散長の増加は、これらの種の不適当な血中濃度として「解釈される」おそれがある。脳内のグルコースの流動は、正常な代謝の必要度に極めて近く、その場合、グルコースの流動は、グルコースの消費よりも50から75%だけ大きく、血液脳関門を貫通するグルコース輸送体は、飽和性で、立体特異性であり、エネルギー勾配またはイオン勾配と無関係である。食欲の調節の大部分は、脳によって媒介され、毛細血管希薄化は、「栄養分」(または「栄養分」と比例するマーカー化合物)の十分な血中濃度を不十分と解釈させるおそれがある。これが、肥満の一原因であり得る。
【0360】
ある特定の態様によると、毛細血管希薄化は、非インスリン依存型糖尿病の原因であり得ると認識されている。非インスリン依存型糖尿病(NIDDM)は、メタボリックシンドロームまたは2型糖尿病としても公知であり、インスリン抵抗性によって特徴付けられる。インスリンに対する身体の感受性は低減し、インスリンのレベルは増加する。NIDDMを有する人々は、高い血中グルコース、高い血中トリグリセリドを有し、典型的には肥満、高血圧症であり、典型的には重大な内臓脂肪を有する。
【0361】
原因として毛細血管希薄化を指摘することができる他の症状が、NIDDMに付随する。NIDDMを有するおよび有さない、肥満(BMI 29)および痩せ(BMI 24(各10人)の男性40人の試験において、Konradらは、休息時の血中ラクテートレベルが、それぞれNIDDMを有さない痩せた男性、NIDDMを有さない肥満男性、NIDDMを有する痩せた男性、NIDDMを有する肥満男性について1.78、2.26、2.42、および2.76(mM/L)であったと報告している。(A-Lipoic acid treatment decreases serum lactate and pyruvate concentrations and improves glucose effectiveness in lean and obese patients with type 2 diabetes. Diabetes Care 22巻:280~287頁、1999年)。ラクテートは嫌気的解糖の尺度である。Oが酸化的リン酸化によりATPを発生するのに不十分な場合、細胞は嫌気的解糖によりATPを生成することができる。嫌気的解糖の生成物のうちの1つは、ラクテートであり、ラクテートは細胞から搬出されなければならず、さもなければpHが低下して機能が損なわれる。血中ラクテートは、通常、運動試験において測定され、増加は、最大酸化的作業を行うことができる作業負荷を示す。休息時のより高いラクテートレベルは、休息時に嫌気的解糖が増加していることを示し、それは、毛細血管希薄化と一致する。
【0362】
原発性胆汁性肝硬変は、レイノー現象、掻痒、乾燥症候群、骨粗鬆症、門脈圧亢進症、神経障害、および膵機能不全と関連し、肝臓異常は、リウマチ性疾患と関連する。上昇した肝臓酵素は、肝炎の症状であり、上昇した肝臓酵素は、「無症候性」原発性胆汁性肝硬変の初期症状として観察される。したがって、本明細書に記載された細菌は、肝炎を処置するために使用され得る。
【0363】
Torreらは、アルツハイマー病(AD)が、低灌流に続発性の神経変性を有する微小血管障害であり、不十分な一酸化窒素に部分的に起因すると報告した。(Review: Evidence that Alzheimer's disease is a microvascular disorder: the role of constitutive nitric oxide、Brain Research Reviews 34巻(2000年)119~136頁)。したがって、本明細書に記載された細菌は、ADを処置するために使用され得る。
【0364】
高血圧と関連する健康上の有害作用も、低い基礎NOの結果であり得る。血管拡張に対する応答減少も、低い基礎NOと一致する。NOは、供給源からセンサー部位に拡散する拡散性分子であり、NOはセンサー部位でシグナル伝達効果を有する。低NOレベルの場合、それぞれのNO供給源は、ある特定の強度である特定の距離離れて同等のNOシグナルを発生するためにより多くのNOを生成しなければならない。NOは三次元的に拡散し、拡散範囲内の全体積は、適当なシグナルをセンサーの場所で与えるレベルまで増大しなければならない。この結果として、供給源で、および供給源とセンサーの間で、より高いNOレベルが生じる可能性がある。そのとき、低すぎるNOバックグラウンドが原因で、供給源の近くの上昇したNOの有害局所作用が生じるおそれがある。このシナリオが実際に起こる何らかの証拠がある。Henningssonらは、ラット膵島において、L-NAMEを用いたNOSの阻害がiNOSの誘導により総NO生成を増加させると報告した。(Chronic blockade of NO synthase paradoxically increases islet NO production and modulates islet hormone release. Am J Physiol Endocrinol Metab 279巻:E95~E107、2000年)。NOS活性を増加させることによってNOを増加させることは、ある限度までだけならば、うまくいく。NOSが活性化しているが、十分なテトラヒドロビオプテリン(BH4)またはL-アルギニンを供給されていない場合、NOSは、「脱共役状態」になり、NOの代わりにスーパーオキシド(O2-)を発生する。次に、このO はNOを破壊するおそれがある。BH4またはL-アルギニンの供給を超える速度でNOを生成させる試みは、それよりむしろ、NOレベルを減少させ得る。これは、低NOレベルがNOSの刺激によって悪化され、脱共役したNOSが、アテローム動脈硬化症、末期腎疾患、アルツハイマー、および糖尿病で観察されるような局所活性酸素種(ROS)損傷を引き起こす、かなりのO を発生する正のフィードバックを招き得る。
【0365】
本明細書に記載された細菌は、加齢の徴候を遅らせるためにも使用され得る。カロリー制限は生涯期間を延ばし、Holloszyは、食物摂取量を自由摂取対照の70%に制限することが、非運動ラットにおける寿命を858日から1,051日に、ほぼ25%伸ばすと報告した(Mortality rate and longevity of food restricted exercising male rats: a reevaluation. J. Appl. Physiol. 82巻(2号):399~403頁、1997年)。カロリー制限と長い寿命の間の連鎖は十分に確立しているが、原因となるメカニズムは確立していない。Lopez-Torresらは、ラットにおける肝臓ミトコンドリア酵素の検査が、カロリー制限と関連する複合体Iの活性低減のせいでH生成に低減を示すことを報告した。(Influence Of Aging And Long-Term Caloric Restriction On Oxygen Radical Generation And Oxidative DNA Damage In Rat Liver Mitochondria. Free Radical Biology & Medicine32巻9号882~8899頁、2002年)。Hは、呼吸の間にミトコンドリアによって生成される主要なROSであるO の不均化によって生成される。O の主供給源は、Kusharevaらおよびその他によって、スクシネート還元部位である複合体IIIからの電子の逆流によりNAD/NADH酸化還元対を触媒する複合体Iであると示唆されている。Beckmanによって提唱された加齢のフリーラジカル理論は、フリーラジカルの細胞DNA、抗酸化物質システムおよびDNA修復システムへの損傷が年齢とともに蓄積し、重大なシステムが修復の範囲を超えて損傷されると、死が訪れると仮定している(The Free Radical Theory of Aging Matures. Physiol. Rev.78巻:547~581頁、1998年)。
【0366】
追加的なメカニズムとして、Vasaらによって、NOがテロメラーゼを活性化し、内皮細胞の老化を遅らせることが実証されている。(Nitric Oxide Activates Telomerase and Delays Endothelial Cell Senescence. Circ Res.2000年;87巻:540~542頁)。低い基礎NOは、チトクロームオキシダーゼの脱抑制によって基礎代謝速度を増加させる。増加した基礎代謝は、細胞のターンオーバーおよび増殖速度も増加させる。慢性低酸素を誘導することによる毛細血管希薄化は、フリーラジカル損傷を増加させる場合があり、細胞のターンオーバーも増加させる場合があり、それで両方のメカニズムによって加齢を加速させる。
【0367】
一部の態様では、独立栄養アンモニア酸化細菌は、アレルギーおよび自己免疫障害に対する保護的態様を生成し得ると認識されている。最も公知の自己免疫疾患は、おそらく、免疫システムによる膵臓内のインスリン生成細胞の破壊に起因する1型糖尿病である。不育症も自己免疫障害と関連し、不育症では、陽性の自己免疫抗体の数が不育の回数と正の相関関係にあった。全身性硬化症、原発性胆汁性肝硬変、自己免疫性肝炎、および様々なリウマチ障害は自己免疫障害の他の例である。AOBの適用は、WO/2005/030147に記載されるようにアレルギー、枯草熱を低減することが観察された。
【0368】
AOBがアレルギーおよび自己免疫障害にその保護効果を発揮し得る一メカニズムは、一酸化窒素の生成により、主としてNF-КBの調節阻害ならびに免疫細胞の活性化および炎症反応の誘導の防止による。NF-КBは、遺伝子発現を上方調節する転写因子であり、サイトカイン、ケモカイン、および様々な接着因子の放出を引き起こす遺伝子を含むこれらの遺伝子の多くは、炎症および免疫応答と関連する。これらの様々な免疫因子は、それらが放出された部位への免疫細胞の遊走を引き起こし、炎症応答を招く。構成性NO生成は、IКBα(NF-КB抑制因子)の分解を防止することによってIКBαを安定化することによりNF-КBを阻害することが示されている。
【0369】
NO供与体の投与は、ラットにおける実験的アレルギー性脳脊髄炎の発症を予防することがXuらによって示されている。(SIN-1、a Nitric Oxide Donor, Ameliorates Experimental Allergic Encephalomyelitis in Lewis Rats in the Incipient Phase: The Importance of the Time Window. The Journal of Immunology、2001年、166巻:5810~5816頁)。この研究では、NO供与体を投与することが、中枢神経系へのマクロファージ浸潤を低減し、血中単核細胞の繁殖を低減し、血中単核細胞のアポトーシスを増加させたことが実証された。これらの結果のすべては、誘導される自己免疫応答の程度および重症度を低減させることが予期される。
【0370】
不十分な基礎一酸化窒素の結果として脳内の新しい連絡が不十分に形成されるというメカニズムにより、低い基礎NOは、自閉症に繋がり得る。理論に縛られることを望むものではないが、一部の実施形態では、神経連絡の形成は、NOによってモジュレートされる。これらの場合、NO拡散の範囲を低下させる任意の状態は、連絡を行うことができる脳のエレメントのボリュームサイズを減少させるおそれがある。低い基礎NOレベルの状態で発達した脳は、NOの有効範囲が低減しているせいで、より小さい体積のエレメントとして配列され得る。
【0371】
増加した音高識別、腸障害、免疫システムの機能不全、低減した脳血流、増加した脳グルコース消費、増加した血漿ラクテート、愛着障害、およびハミングを含む、自閉症の個体において現れる追加的な症状も、原因として低NOを指摘することができる。これらの症状のそれぞれは、低い基礎NOレベルに原因があるとすることができる。
【0372】
Takashi Ohnishiらは、自閉症の個体が減少した血流を示すと報告している。Takashi Ohnishiら、Abnormal regional cerebral blood flow in childhood autism. Brain (2000年)、123巻、1838~1844頁。J. M. Rumseyらは、自閉症の個体が増加したグルコース消費を有すると報告している。Rumsey JM、Duara R、Grady C、Rapoport JL、Margolin RA、Rapoport SI、Cutler NR. Brain metabolism in autism. Resting cerebral glucose utilization rates as measured with positron emission tomography. Arch Gen Psychiatry、1985年5月;42巻(5号):448~55頁(要約)。D. C. Chuganiは、自閉症の個体が、増加した血漿ラクテートレベルを有すると報告している。Chugani DCら、Evidence of altered energy metabolism in autistic children. Prog Neuropsychopharmacol Biol Psychiatry.1999年5月;23巻(4号):635~41頁。これらの作用の発生は、脳内の毛細血管希薄化の結果の場合があり、毛細血管希薄化は血流およびO供給を低減するおそれがあり、その結果、脳の代謝負荷の一部が酸化的リン酸化の代わりに解糖によって生成されるおそれがある。
【0373】
一酸化窒素は、B. A. Klyachkoらによって、イオンチャネルのcGMP修飾による過分極後に増加させることによりニューロンの興奮性を増加させることが実証されている。Vitaly A. Klyachkoら、cGMP-mediated facilitation in nerve terminals by enhancement of the spike after hyperpolarization. Neuron、31巻、1015~1025頁、2001年9月27日。C. Sandieらは、NOSの阻害が驚愕を低減することを示している。Carmen Sandiら、Decreased spontaneous motor activity and startle response in nitric oxide synthase inhibitor-treated rats. European journal of pharmacology 277巻(1995年)89~97頁。注意欠陥多動障害(ADHD)は、自然発症高血圧ラット(SHR)およびナポリ高興奮性(NHE)ラットを使用してモデル化されている。これらのモデルの両方は、Raffaele Aspideらによって、急性NOS阻害の期間中に増加した注意欠陥を示すことが示されている。Raffaele Aspideら、Non-selective attention and nitric oxide in putative animal models of attention-deficit hyperactivity disorder. Behavioral Brain Research 95巻(1998年)123~133頁。したがって、本明細書における細菌は、ADHDの処置に使用され得る。
【0374】
NOSの阻害は、M. R. Dzoljicによって睡眠を阻害することも示されている。M. R. Dzoljic、R. de Vries、R. van Leeuwen. Sleep and nitric oxide: effects of 7-nitro indazole, inhibitor of brain nitric oxide synthase. Brain Research 718巻(1996年)145~150頁。G. Zoccoliは、NOSが阻害されると、急速眼球運動および脳循環における睡眠-覚醒差を含む、睡眠中に見られるいくつかの生理作用が変化することを報告している。G. Zoccoliら、Nitric oxide inhibition abolishes sleep-wake differences in cerebral circulation. Am. J. Physiol. Heart Circ Physiol 280巻:H2598~2606頁、2001年。NO供与体は、L. Kapasらによってノンレム睡眠を促進することが示されている、しかし、これらの増加は、NO供与体の持続よりもずっと長く持続したので、おそらくリバウンド効果を示唆している。Levente Kapasら、Nitric oxide donors SIN-1 and SNAP promote nonrapid-eye-movement sleep in rats. Brain Research Bullitin、41巻5号、293~298頁、1996年。M. Rosariaらによると、中枢NOは、陰茎勃起およびあくびの両方を助長する。Maria Rosaria MelisおよびAntonio Argiolas. Role of central nitric oxide in the control of penile erection and yawning. Prog Neuro-Psychopharmacol & Biol. Phychiat. 1997年、21巻、899~922頁。P. Taniらは、アスペルガーを有する成人において不眠症が頻繁な所見であることを報告している。Pekka Taniら、Insomnia is a frequent finding in adults with Asperger's syndrome. BMC Psychiatry 2003年、3巻:12頁。Y. Hoshinoも、自閉症児における睡眠障害を観察している。Hoshino Y、Watanabe H、Yashima Y、Kaneko M、Kumashiro H. An investigation on sleep disturbance of autistic children. Folia Psychiatr Neurol Jpn. 1984年;38巻(1号):45~51頁(要約)。K. A. Schreckらは、睡眠障害の重症度が自閉症症状の重症度と相関関係にあることを観察している。Schreck KAら、Sleep problems as possible predictors of intensified symptoms of autism. Res Dev Disabil. 2004年1~2月;25巻(1号):57~66頁(要約)。したがって、本明細書における細菌は、不眠症の処置に使用され得る。
【0375】
W. D. Ratnasooriyaらは、雄性ラットにおいてNOSの阻害が性交前活動を低減し、性欲を低減し、受胎能を低減すると報告した。W. D. Ratnasooriyaら、Reduction in libido and fertility of male rats by administration of the nitric oxide (NO) synthase inhibitor N-nitro-L-arginine methyl ester. International journal of andrology、23巻:187~191頁(2000年)。
【0376】
ATP枯渇および最終的な臓器不全によって特徴付けられるいくつかの外見的に異なる障害が、基礎一酸化窒素の全体的欠乏によって引き起こされるニトロペニア(nitropenia)によって実際に「引き起こされる」ことがあってもよい。これが心臓で起こる場合、その結果は拡張型心筋症である。これが脳で起こる場合、その結果は白質高信号域、アルツハイマー、血管性うつ状態、血管性認知症、パーキンソン病、およびレビー小体型認知症である。これが腎臓で起こる場合、その結果は末期腎疾患であり、これが肝臓で起こる場合、その結果は原発性胆汁性肝硬変である。これが筋肉で起こる場合、その成り行きは、線維筋痛症、湾岸戦争症候群、または慢性疲労症候群である。これが腸で起こる場合、その成り行きは、虚血性腸疾患である。これが膵臓で起こる場合、その成り行きは、最初の2型糖尿病、それに続く慢性膵炎、それに続く膵臓の自己免疫攻撃(または膵臓がん)、それに続く1型糖尿病である。これが結合組織で起こる場合、その成り行きは全身性硬化症である。
【0377】
末期腎疾患の残存腎臓モデルにおいて、腎臓の一部が(外科的にまたは毒素を用いてのいずれかで)除去され、それにより残部への代謝負荷が増加する。スーパーオキシドが発生してNOを減少させ、腎臓ミトコンドリアへのO拡散を増加させる。慢性的な過負荷は、進行性の腎臓毛細血管希薄化および進行性の腎不全を招く。急性腎不全において、人々に透析を受けさせることで、腎臓に「休息」を与えることができ、腎臓を回復させる。横紋筋融解(血流中にミオグロビンを放出する筋肉損傷)によって誘導される急性腎不全において、腎臓損傷は、虚血性損傷によって特徴付けられる。ミオグロビンは、ちょうどヘモグロビンが行うようにNOを捕捉し、腎臓に血管収縮を引き起こし、虚血に繋がる。ミオグロビンは、局所ニトロペニアおよびさらなるATP枯渇に繋がる事象のカスケードも誘導する。
【0378】
一部の態様では、低NOレベルは、低減したミトコンドリア新生に繋がる。低減したミトコンドリア密度で同じATPを生成することは、O消費の増加、または加速した基礎代謝速度を招く。加速した基礎代謝速度は、鎌状赤血球貧血、うっ血性心不全、糖尿病、肝硬変、クローン病、筋萎縮性側索硬化症、肥満、末期腎疾患、アルツハイマー、および慢性閉塞性肺疾患を含むいくつかの状態で観察される。
【0379】
いくらか増加したO消費が生産的に使用され得るものの、これらの状態の多くにおいて脱共役タンパク質も上方調節される。これは、増加した代謝速度の少なくとも一部が非効率性によるものであることを示している。脱共役タンパク質が上方調節されることが公知の状態には、肥満および糖尿病が含まれる。
【0380】
を消費してより低いO濃度にするミトコンドリアがより少ないと、O勾配が推進するOの拡散がより大きくなり、O拡散の経路長が増加する可能性があり、毛細血管希薄化を招き、これは、拡張型心筋症、高血圧、2型糖尿病、および腎性高血圧で観察される。
【0381】
Cu2+またはセルロプラスミン(CP)(成人血清中に0.38g/L存在し、0.32% Cuであり、血清中の銅の94%を含有する主要Cu含有血清タンパク質)のいずれかとしての銅は、NOおよびチオール含有基(RSH)からのS-NO-チオールの形成を触媒する。血漿のCu含量は可変性であり、感染状態で増加する。Bergerらは、熱傷創滲出液のCuおよびZn含量が、皮膚の1/3に熱傷を負った患者でかなりのものであり、正常な身体のCu含量の20から40%およびZn含量の5から10%を7日で失うと報告した。(Cutaneous copper and zinc losses in burns. Burns. 1992年10月;18巻(5号):373~80頁)。患者の皮膚にAOBが定着していたならば、AOBが必要とする尿素ならびにFe、Cu、およびZnを含有する創傷滲出液はNOおよび亜硝酸塩に変換され、代謝的に困難に見舞われた創傷において資源(OおよびL-アルギニンなど)を消費することなく、iNOSによるNOの局所生成を大きく補充する。創傷表面でのAOBによるNOおよび亜硝酸塩の高い生成は、特に、破傷風、ガス壊疽、およびボツリヌス症を引き起こすClostridiumなどの嫌気性細菌による感染を阻害すると予期される。
【0382】
本発明の実施は、特に示さない限り、当業者の技能の範囲内の免疫学、分子生物学、および組換えDNA技法の従来方法を採用する場合がある。そのような技法は、文献に十分に説明されている。例えばSambrookら、Molecular Cloning: A Laboratory Manual(最新版);およびCurrent Protocols in Molecular Biology(F. M.Ausubelら編、最新版)を参照されたい。
7.アンモニア酸化細菌を用いた皮膚マイクロバイオームの調整
【0383】
本開示は、皮膚マイクロバイオーム、例えば、ヒト皮膚マイクロバイオームを変化させるためのシステムおよび方法を提供する。システムおよび方法は、例えば、皮膚に関係する感染症または状態、例えば、皮膚感染症および/または皮膚状態の処置を提供し得る。
【0384】
Nitrosomonas属のアンモニア酸化細菌(AOB)は、エネルギー源としてアンモニアのみから亜硝酸塩および一酸化窒素を発生する独特な能力を有するグラム陰性絶対独立栄養細菌である。AOBは、土壌および水環境の両方に広く存在し、環境硝化プロセスの不可欠な構成成分である。血管拡張、皮膚炎および創傷治癒などのいくつかの生理機能の重要な構成成分としてヒト皮膚に及ぼす亜硝酸塩および一酸化窒素の役割のせいで、これらの細菌は、健康な皮膚状態および免疫病理学的皮膚状態の両方に関して有益な特性を有し得る。これらの細菌は、低増殖性であり、有機炭素源で増殖することができず、石鹸および抗生物質に感受性であり得、動物またはヒトにおけるいかなる疾患または感染症にも関連したことがないので、ヒトにおける使用に安全であり得る。
【0385】
対象、例えば、ヒト対象へのアンモニア酸化細菌の局所適用は、皮膚マイクロバイオームにおける予想外の変化をもたらす可能性があり、より詳細には、それは、通常の共生非病原種の比率増加および潜在的病原生物、病原生物、または疾患起炎生物の比率低減をもたらす可能性がある。
【実施例
【0386】
(実施例1)
アンモニア酸化細菌を用いたヒト皮膚に対する研究:化粧品の効果、安全性、検出、および皮膚メタゲノミクス
24名のヒトボランティアを対象とし、AOB対プラセボ対照を4:1に無作為化した盲検化プラセボ対照研究を実施した。対象は、Nitrosomonas懸濁液(10CFU/ml、1日2回、1日当たりの総量3×1010CFU)を自身の顔および頭皮に1日2回で1週間塗布し、塗布後、さらに2週間追跡した。ボランティアは、AOBを塗布する1週間ならびに塗布後の週の毛髪用製品の使用を控え、次いで3週目にいつものシャンプーの使用に戻るように指示された。頭皮スワブを、ベースライン対照として0日目に、かつ1、3、8、14、および21日目に得、AOBの存在の有無をPCRおよび16S rRNA塩基配列分析によってアセスメントした。
【0387】
重篤な有害事象は、1週間のAOBの塗布には全く付随せず、製品は安全であると考えられた。7日の塗布期間後に記入された自己アセスメント報告書によって示されるように、AOB使用者によって、皮膚の状態および質における明らかな改善が報告された。皮膚試料のAOB特異的PCR分析を使用すると、塗布期間中のAOB使用者の83~100%に細菌が存在することを実証できたが、プラセボ対照試料ではAOBが全く検出されなかった。全ての対象は、研究開始前に得たベースラインスワブからAOBが認められず、石鹸および他の市販製品に対するこれらの細菌の予測感受性と一致する。16S rRNA遺伝子を増幅し、試料の一部を塩基配列決定すると、対応する試料にAOBの存在が確認され、かつAOBの局所塗布によって皮膚マイクロバイオームがモジュレートされるという潜在的傾向が示唆された。要約すると、生存AOB系製品は安全であり、かつヒト皮膚に対する、亜硝酸塩および一酸化窒素の新規の自己調節性局所送達剤として大いに有望であり得る。
【0388】
下記の表8に示す通り、Nitrosomonas(AOB)の割合は、0日目対8日目で比較すると増加した。他の細菌、すなわちPropionibacterium、Enterobacter、およびCitrobacterの割合は、0日目対8日目で比較すると減少した。表8で示されるp値によって、0日目と8日目との間の最も有意な変化が、Nitrosomonas(AOB)、続いてPropionibacteriumで観察されたことが実証される。EnterobacterおよびCitrobacterもまた、0日目と8日目との間に変化を示したが、それほどではない。
【表8】
【0389】
(実施例2)
ざ瘡になりがちな対象における油性肌、顔の毛穴、他の美容的パラメーターの外観を改善する化粧製品の性能および忍容性を評価するための、プラセボ対照二重盲検無作為化多部位化粧品の試用
第2b相研究:
【0390】
AO+Mist(D23 N.eutropha調製物)処置によって、(成人コホートの)Skindex治験責任医師の全般的アセスメントと炎症性病変計数の両方で強力な有効性シグナルが実証された。
【0391】
実施例2の検定で使用されるAO+Mist調製物は、50mM NaHPOおよび2mM MgClの水性緩衝液中に1×10CFU/mLの濃度でアンモニア酸化細菌を含んでいる。
【0392】
4週間(2週間の処置、2週間のウォッシュアウト)の中で、尋常性ざ瘡を呈する成人(年齢18+)36名に、B244(D23 N.eutropha)の無作為化(1:1:1:1)二重盲検化プラセボ対照用量範囲探索(2、4、8×10CFU)研究を行った。研究は80%の検出力で、2週目におけるIGA(%対象の改善)の30%の正味の改善率を検出する(プールB244対プラセボ)。研究はまた80%の検出力で、プール処置群とプラセボとの間における、ベースラインからの病変計数の平均変化の30%の差(p<0.05)を検出する。
【0393】
処置プロトコールの概要は以下の通りである。アンモニア酸化細菌を、対象の顔、首、および頭皮へ合計4週間投与した。4週間後、アンモニア酸化細菌の塗布を1週間中止した。バイオーム適合性シャンプーおよびコンディショナーを合計5週間使用した。臨床評価を、ベースライン(0時間目)、4週目、および5週目で実施した。
目的
【0394】
この4週間の多部位二重盲検無作為化プラセボ対照化粧品の試用を実施し、軽度~中等度のざ瘡になりがちな皮膚を有する12~45歳の男女によって使用したときの、AO+Mist mistの皮膚外観に対する総合的な化粧品効果および忍容性をアセスメントした。
要約
【0395】
合計83名の対象が研究を終了し、対象42名がAO+Mist(Nitrosomonas eutropha調製物)を、かつ対象41名がプラセボを使用した。研究過程中、所定の無作為化に従って、対象をAO+Mist(Nitrosomonas eutropha調製物)またはプラセボの使用に割り付けた。試験物質を、1日2回指示通りに、対象の毛髪、頭皮、および顔に塗布した。対象は、支持材として(「バイオーム適合性」)標準の石鹸およびシャンプー、すなわちシャンプー(Lot 293178;表5において「好ましい濃度」のままで示される)および洗浄剤(Lot 293162;表6において「好ましい濃度」のままで示される)を研究過程にわたって1日1回使用した。4週間の使用期間後、対象は試験物質の使用を中止し(同時に支持材を使用したままで)、1週間の退行期間に参加した。臨床評価を、来院1回目(ベースライン)、来院2回目(4週目)、および来院3回目(5週目)に実施した。対象は、(特に指示がない限り)各時点で以下の手順に参加した。
・ざ瘡の臨床評定
【0396】
熟練した臨床評定者(clinical grader)が、研究後のざ瘡状態に関する対象のVISIAおよび自撮り写真をそれぞれ評価した。
・ざ瘡計数
【0397】
熟練した臨床評定者が、各対象の額、左頬、顎、および右頬の炎症性病変(丘疹、膿疱、および嚢胞/小結節)および非炎症性病変(開放および閉鎖面皰)を(個別に)計数した。
・治験責任医師の全般的改善アセスメント(IGIA)
【0398】
治験責任医師または被指名者が、4週目および5週目に顔の全般的ざ瘡アセスメントを行った。IGAの説明は、U.S.Food and Drug Administration、例えば、http://www.fda.gov/downloads/Drugs/.../Guidances/UCM071292.pdf:Guidance for Industry;Acne Vulgaris:Develping Drugs for Treatment(U.S.Department of Health and Human Services;Food and Drug Administration;Center for Drug Evaluation and Research(CDER);2005年9月、Clinical/Medicalで見ることができる。
・PIH/PIE病変評定
【0399】
炎症後高色素沈着/炎症後紅斑(PIH/PIE)病変を対象ごとに選択し、熟練した臨床評定者が、選択されたPIH/PIE病変に色の濃さおよびサイズについて評定した。
・画像化手順
【0400】
各対象の顔(右側面、左側面、および中央面)のデジタル画像を、Canon Mark II 5DデジタルSLRカメラ(キャノン株式会社、東京、日本)を備えたVISIA CR photo-station(Canfield Imaging Systems、フェアフィールド、ニュージャージー州)を使用し、標準1および2、交差偏光、平行偏光、ならびにUV-NFの照明条件を使用し、撮影した。交差偏光照明を使用したデジタル画像で毛穴を分析した。
・調査および自撮り写真
【0401】
対象は、自身のスマートフォンを使用して、標準の自撮り写真(「セルフィー」)を週に1回撮影し、質問票に記入した。
・忍容性評価
【0402】
熟練した臨床評定者が、客観的刺激パラメーター(紅斑、浮腫、および落屑)に関して各対象の顔全体を評価し、かつ対象が主観的刺激パラメーター(刺痛感、灼熱感、および掻痒感)の程度を報告した。
・美容的有効性パラメーターの臨床評定
【0403】
熟練した臨床評定者が、油性の外観(てかりおよび感触)、毛穴の外観、つや、しみ、皮膚の色合い(色)の均質性、視覚的な滑らかさ、および触覚的な滑らかさに関して各対象の顔を評価した。
・セブメーター測定
【0404】
セブメーター SM 815(Courage+Khazaka、ドイツ)で額を3回測定し、光度測定法を使用して皮膚の皮脂量を測定した。
・マイクロバイオーム試料の収集
【0405】
マイクロバイオーム試料を、頸部の後ろ、右耳後ろ、および右頬から(各位置から1試料)収集した。
総合的結論
【0406】
この4週間の多部位二重盲検無作為化プラセボ対照化粧品の試用からの総合的な結果は、試験物質であるAO+Mist(Nitrosomonas eutropha調製物)の使用が軽度~中等度のざ瘡状態の対象に安全かつ効果的であると実証されたことを示す。成人における疾患の重症度および炎症性病変計数は、AO+Mist処置で改善されたことが示された。AO+Mist(Nitrosomonas eutropha調製物)の使用は、対象による忍容性が非常に良好であり、ベースラインスコアと比較したときに、4週目の紅斑、落屑、浮腫、灼熱感、刺痛感、および掻痒感に関する臨床評定スコアにおいて統計的に有意な増加(悪化)を伴わなかった。
【0407】
研究には標準FDA治験責任医師の全般的ざ瘡(IGA)スケールを使用し、完全な盲検化状態下でVISIA画像を使用してざ瘡状態をアセスメントした。AO+Mist(Nitrosomonas eutropha調製物)を使用した対象は、ベースラインスコアと比較したときに、4週目および5週目にIGAスコアにおいて統計的に有意な減少(改善)を示した。ベースラインからの変化に基づき試験物質間を比較することによって、4週目にざ瘡評定に関して、AO+Mist(Nitrosomonas eutropha調製物)に有利となる統計的に有意な差が示された。
【0408】
AO+ Mist(Nitrosomonas eutropha調製物)の使用に関するざ瘡計数の結果によって、ベースライン計数と比較したときに、4および5週目で丘疹および炎症性病変の計数に、かつ4週目で全般的な病変計数に統計的に有意な減少(改善)が示された。AO+Mist(Nitrosomonas eutropha調製物)とプラセボとの間に統計的に有意な差は観察されなかったが、図4に示す通り、データによって、AO+Mist(Nitrosomonas eutropha調製物)を使用した成人対象において炎症性病変計数がより大きくかつより持続的に低減することが示された。グラフに表示されるAO+Mistのバーは、(左から)1番目および(左から)3番目である。グラフに表示されるプラセボのバーは、(左から)2番目および(左から)4番目である。
【0409】
対象によって報告されたアウトカムを、Skindex16クオリティーオブライフ調査を使用して測定した。AO+Mistは、自身の疾患に関する対象の感情面のアセスメントを捉えた質問群での変化(改善)と関連していた。具体的には、皮膚状態に痛みがある(2週目)、皮膚状態が持続する/再発する(4週目)、皮膚状態に関して心配がある(5週目)、および皮膚状態の外観(2、4、および5週目)に、AO+Mist(Nitrosomonas eutropha調製物)に有利となる統計的に有意な改善が観察された。
【0410】
AO+Mist(Nitrosomonas eutropha調製物)の使用に関する臨床評定スコアの結果によって、ベースラインスコアと比較したときに、4週目および5週目で視覚的なかつ触覚的な滑らかさに関する、かつ5週目でしみに関する臨床評定スコアに統計的に有意な減少(改善)が示された。
試験物質の説明
【0411】
表9および表10は各試験物質および支持材の説明を示す。
【表9】
【表10】
【0412】
対象の内訳および人口統計
対象の内訳情報の要約としては表11が挙げられる。パープロトコール(PP)母集団に関する人口統計的情報を表12示す。適用可能なパラメーターに関しては、各カテゴリーにおける対象の数を、括弧内の全対象に対する百分率とともに挙げる。
【表11】
【表12】
手順および方法
【0413】
研究を開始する前に、適格性基準に関するIRB認可スクリプトを使用することによって、潜在的な対象を電話でスクリーニングした。普通、油性、および混合の皮膚タイプであることを自己診断した、年齢が12歳から45歳の間の思春期および成人の男性および女性が、診療所での適格性スクリーニングを予定した。対象候補は、各予定来院の少なくとも3時間前に全てのメークアップを落とすように指示された。
【0414】
来院1回目(ベースライン)に、18歳もしくはそれよりも年齢が高い対象候補、または18歳未満の任意の未成年対象の親/法的保護者は、研究の性質の説明を受け、任意の治験関連の質問に回答した後に、同意説明文書を読み、署名した。未成年対象候補はアセント文書を読み、署名した。この最初の書類に署名した対象候補に、スクリーニング番号を割り付け、以下の適格性基準に関して評価した。
・Fitzpatrick皮膚分類:タイプI~Vに認定
【0415】
Fitzpatrick皮膚分類は、日光曝露されない冬季後に日光曝露してから最初の30~45分に対する保護されていない皮膚の反応に基づいている。皮膚タイプのカテゴリーは表13の以下の通りである。
【表13】
・ざ瘡重症度スケールを組み合わせて軽度~中等度のざ瘡(認定のために最低限5~50カ所の炎症性病変および5~100カ所の炎症性病変)を臨床的に決定した。
・顔に、少なくとも1か所の標的PIH/PIE病変
【0416】
対象候補は、適格性および健康に関する質問に記入した。適格性要件に合格したスクリーニング済み対象が研究に登録され、対象番号が割り付けられた。対象は、以下の手順に参加した。
・美容的有効性パラメーターの臨床評定
【0417】
対象の顔全体を、治療内容を知らされていない熟練した臨床評定者によって、以下の数値定義による修正Griffithsの10ポイントスケールを使用して(皮膚状態の正確な説明を必要とする場合は、ハーフポイントスコアを割り付けて)、下記の美容的有効性パラメーターへの臨床評定を行った。
0=なし(可能な最善の状態)
1~3=軽度
4~6=中等度
7~9=重度(可能な最悪の状態)
【0418】
以下のパラメーター(表14)に、挙げられたスケールアンカーに従って評定を行った。
【表14】
・PIH/PIE病変評定
【0419】
治療内容を知らされていない熟練した臨床評定者が、各対象の顔における炎症後高色素沈着/炎症後紅斑(PIH/PIE)病変を選択し、以下の評定スケールを使用して色の濃さおよびサイズに関して病変の評定を行った。
色の濃さ
1 周囲の皮膚の色合い/色よりもわずかに明るい
2 周囲の皮膚の色合い/色と等しい(PIH/PIEは目視では認められない)
3 周囲の皮膚の色合い/色よりもわずかに濃い/赤い
4 周囲の皮膚の色合い/色よりも中等度に濃い/赤い
5 周囲の皮膚の色合い/色よりも著しく濃い/赤い
6 周囲の皮膚の色合い/色よりも極めて濃い/赤い
サイズ
0 目視では認められない
1 直径0.5mmまたはそれ未満
2 直径0.5mm超~1.5mm
3 直径1.5mm超~2.5mm
4 直径2.5mm超
・ざ瘡計数
【0420】
治療内容を知らされていない熟練した臨床評定者が、各対象の額、左頬、顎、および右頬(鼻の、下顎輪郭の下の、または眉毛を含む毛髪の生え際に沿った病変を除く)の、炎症性ざ瘡病変(丘疹、膿疱、および嚢胞/小結節)および非炎症性ざ瘡病変(開放面皰および閉鎖面皰)の数を個別に計数し、記録した。
・忍容性評価
【0421】
各対象の顔全体(化粧品処置領域)における客観的なかつ主観的な刺激の徴候および症状をアセスメントすることによって、局所的皮膚忍容性を評価した。
以下の刺激パラメーターを評価した。
- 客観的刺激(臨床評定):紅斑、浮腫、および落屑
- 主観的刺激(対象によってアセスメントされる):刺痛感、灼熱感、および掻痒感
【0422】
刺激評価の結果を、以下のスケールを使用して(臨床状態の詳細な説明を必要とする場合は、ハーフポイントスコアを用いて)記録した。
紅斑
0=なし 化粧品処置領域に紅斑がない
1=軽度 化粧品処置領域にわずかではあるがはっきりとした赤みがある
2=中等度 化粧品処置領域にはっきりとした赤みがある
3=重度 化粧品処置領域に顕著な赤みがある
浮腫
0=なし 化粧品処置領域に浮腫/腫脹がない
1=軽度 化粧品処置領域にわずかではあるがはっきりとした浮腫がある
2=中等度 化粧品処置領域にはっきりとした浮腫がある
3=重度 化粧品処置領域に顕著な浮腫がある
落屑
0=なし 化粧品処置領域に落屑がない
1=軽度 化粧品処置領域の限られた領域に、かろうじて認められる微細な落屑がある
2=中等度 化粧品処置領域の全ての領域に、全体に及ぶ微細な落屑がある
3=重度 化粧品処置領域の全ての領域にわたり、皮膚の落屑および剥離がある
刺痛感
0=なし 化粧品処置領域に刺痛感がない
1=軽度 化粧品処置領域にわずかに刺痛感覚があるが、実際は気にならない
2=中等度 化粧品処置領域にはっきりとした刺痛感があり、多少気になる
3=重度 化粧品処置領域に顕著な刺痛感覚があり、はっきりとした不快感が生じ、日中の活動および/または睡眠が中断されることがある
灼熱感
0=なし 化粧品処置領域に灼熱感がない
1=軽度 化粧品処置領域にわずかに灼熱感覚があるが、実際は気にならない
2=中等度 化粧品処置領域にはっきりとしたほてり感、灼熱感があり、多少気になる
3=重度 化粧品処置領域に焼けるような灼熱感覚があり、はっきりとした不快感が生じ、日中の活動および/または睡眠が中断されることがある
掻痒感
0=なし 化粧品処置領域に掻痒感がない
1=軽度 化粧品処置領域にわずかに掻痒感覚があるが、実際は気にならない
2=中等度 化粧品処置領域にはっきりとした掻痒感があり、多少気になる
3=重度 化粧品処置領域に顕著な掻痒感覚があり、はっきりとした不快感が生じ、日中の活動および/または睡眠が中断されることがある
【0423】
対象は、周囲の温度および湿度の状態に少なくとも15分間馴化してから、生体計測/画像化/マイクロバイオーム試料採取手順に参加した。研究過程中、適用可能な待合室/計測室を、温度68°F~75°Fおよび相対湿度範囲35%~65%で維持した。
【0424】
馴化した後、対象は、以下の手順に参加した。
・セブメーター測定
【0425】
セブメーター SM 815(Courage+Khazaka、ドイツ)で、額を3回測定し、光度測定法を使用して、水分と無関係に皮膚の皮脂量を測定した。sebutape、すなわち皮脂と接触したときに透明になる合成材料を通過した光透過度を測定する。セブメーター内のマイクロプロセッサによって、sebutapeの透明度に基づいた皮膚表面の量(μg皮脂/cm)が計算される。
・画像化手順
【0426】
画像化手順の前に、医療機関職員は、対象の顔が清潔でありメークアップされていないことおよび対象が写真撮影する領域(複数可)から装飾具を全て外したことを確認した。対象は、艶消しされた黒色または灰色のヘッドバンドが与えられ、毛髪が顔にかからないようにし、艶消しされた黒色のシャツまたは艶消しされた黒色もしくは灰色の布で対象の衣服を覆った。対象は、自身の眼を優しく閉じながら、中間的な笑顔ではない表情をとるように指示され、写真撮影ごとに慎重に位置を合わせた。
【0427】
Canon Mark II 5DデジタルSLRカメラ(キャノン株式会社、東京、日本)を備えたVISIA CR photo-station(Canfield Imaging Systems、フェアフィールド、ニュージャージー州)を使用し、標準照明1(可視)、標準照明2(可視/輝線)、交差偏光、平行偏光、およびUV-NFの照明条件下で、各対象の正面向き(中央面、右側面、および左側面像)の画像を撮影した。
・マイクロバイオーム手順
【0428】
マイクロバイオーム試料を、各対象の頸部の後ろ、右耳後ろ、および右頬から(各位置から1試料)収集した。スワブを滅菌包装から取り出し、スワブから離れた軸を持ち、約20回強く擦り、試料採取を行う領域の3インチ部分上で回転させた。次いで、スワブを(時点が標識された)試験管に入れ、軸を切り取り、試験管が閉じたことを確実にした。皮膚スワブを収集し、-80℃で凍結して、その後、DNA抽出およびマイクロバイオームプロファイリングを行った。
【0429】
対象は、自身のスマートフォンを使用して標準の自撮り写真(「セルフィー」)を週に1回撮影する方法および質問票に記入する方法を指示された。
【0430】
対象を、支持材のユニットに割り振り、研究期間中はシャンプー(Lot293178)を1日1回毛髪および頭皮に適用し、洗浄剤を(Lot293162)1日1回顔に使用するように指示した。対象を、所定の無作為化に従って、予め秤量されたユニットの試験物質、すなわちAO+Mist(Nitrosomonas eutropha調製物)またはプラセボに割り振った。
【0431】
対象には、以下の口頭および書面による使用説明が行われた。
使用説明
【0432】
試験物質は、洗浄後および就寝前に1日2回(朝夕毎に)、毛髪、頭皮、および顔に(少なくとも1回ごとに6ポンプ)塗布し、シャワーを浴びる直前に塗布しないこと。製品を塗布してから1時間はメークアップ(ファンデーション、アイシャドーなど)を一切せず、最低限の量を使用すること。
【0433】
対象は、書面による使用説明、研究説明、治験来院日のカレンダー、および製品を塗布した時間を記録するための日誌が与えられた。
【0434】
対象は2回目(4週目)の再診を受け、以下の手順に参加した。
- 医療機関職員は併用薬を記録し、対象に自身の健康状態の変化に関して質問した。該当する場合は、有害事象を記録した。
- 日誌を集め、コンプライアンスを審査し、診療所で保管した。新たな日誌を配布した。
- 試験物質ユニットを集め、目視で確認し、コンプライアンスのために秤量し、診療所で保管した。支持材を、コンプライアンスのために目視で確認し、対象に返却した。
- 対象は、ベースラインで記載されているように、以下の手順に参加した。
・美容的有効性パラメーターの臨床評定
・PIH/PIE病変評定
・ざ瘡計数
・忍容性評価
- 対象は、以下の手順に参加した。
・以下のスケールおよび数値定義を使用して、治験責任医師の全般的改善アセスメント(IGA)を実施した。
1=悪化
2=改善しない
3=軽度の改善
4=中等度の改善
5=著しい改善
- 対象は少なくとも15分間馴化させ、次いで、ベースラインで記載されているように、以下の手順に参加した。
・セブメーター測定
・画像化手順
・マイクロバイオーム試料採取
【0435】
4週間のアセスメントが終了した後に、対象は1週間の退行期間に参加し、試験物質の使用を中止した(支持材は依然しとして使用した)。対象は3回目(5週目)の再診を受け、以下の手順に参加した。
- 医療機関職員は併用薬を記録し、対象に自身の健康の状態の変化に関して質問した。該当する場合は、有害事象を記録した。
- 日誌を集め、コンプライアンスを審査し、診療所で保管した。
- 支持材ユニットを集め、コンプライアンスのために目視で確認し、診療所で保管した。
- 対象は、ベースラインおよび4週目に記載されているように、以下の手順に参加した。
・美容的有効性パラメーターの臨床評定
・PIH/PIE病変評定
・ざ瘡計数
・治験責任医師の全般的改善アセスメント
・忍容性評価
- 対象は少なくとも15分間馴化させ、次いで、ベースラインで記載されているように、以下の手順に参加した。
・セブメーター測定
・画像化手順
・マイクロバイオーム試料採取
5週目の研究手順が終了した後に、治療内容を知らされていない臨床評定者によって以下の手順を実施した。
・ざ瘡評定
【0436】
ざ瘡の臨床評定を、ベースライン、4週目、および5週目に診療所で撮影されたVISIA画像で、かつベースラインならびに1、2、3、4、および5週目に撮影された対象の自撮り写真から、改良されたGriffithsの10ポイントスケール(0=ざ瘡がない、9=重度のざ瘡)使用して実施し、対象のざ瘡そのものの任意の悪化をスクリーニングした。
【0437】
さらに、VISIA画像に、FDA IGAスケール(0~4)を使用し、ざ瘡に関する臨床評定を行った。
0=きれい 炎症性または非炎症性の病変はない
1=ほぼきれい 非炎症性病変は極めて少なく、1カ所以下の小さい炎症性病変を伴う
2=軽度 グレード1を超え、数か所の非炎症性病変があり、2、3カ所以下の炎症性病変(丘疹/膿疱のみ、結節性病変はない)を伴う
3=中等度 グレード2を超え、最大で多数の非炎症性病変があり、かつ数か所の炎症性病変を有し得る。ただし、1カ所以下の小さい結節性病変を有する
4=重篤 グレード3を超え、最大で多数の非炎症性病変および炎症性病変がある。ただし、2、3カ所以下の結節性病変がある
生物統計学およびデータ管理
【0438】
パープロトコール(PP)母集団は、全ての統計分析検定の主要母集団であった。PP母集団は、研究への参加に適格であると考えられかつプロトコールに従って研究を終了させた全ての対象を含んだ。終了させた対象のデータのみを分析した。AE、SAE、不遵守、または治験責任医師の裁量の場合に、対象を分析から除外された可能性がある。
【0439】
対象および時点ごとに3回のセブメーター測定値を平均してから、統計分析を行った。
【0440】
交差偏光照明条件を使用して撮影されたデジタル画像を、Stephens&Associatesによって開発されたMacroversion「Pore_20121207」を使用し、Image Pro Plus v7ソフトウェア(MediaCybernetics,Inc.、ロックビル、メリーランド州)を使用して、毛穴に関して分析した。頬の領域における目的の不揃いな形の領域を、分析用に選択した。毛穴分析によって、毛穴数(計数)、毛穴によって覆われた総面積、および毛穴の平均的深さの値が報告された。
【0441】
ざ瘡計数データを、以下のような評定位置ごとに、かつ合計4カ所に評定された領域(額、右頬、左頬、および顎)に関して分析した。
・丘疹、膿疱、嚢胞/小結節、開放面皰、および閉鎖面皰が別個にある
・炎症性ざ瘡病変(丘疹、膿疱、嚢胞/小結節の組合せ)および非炎症性ざ瘡病変(開放面皰および閉鎖面皰の組合せ)が別個にある
・全般的な病変(合計5タイプのざ瘡)がある
【0442】
美容的有効性評定データ、ざ瘡評定データ、PIH/PIE病変評定データ、ざ瘡計数、忍容性評価データ、セブメーター測定値、および毛穴画像分析パラメーターに関しては、観察患者数(N)、平均値、中央値、標準偏差(SD)、最小値(MIN)および最大値(MAX)を含む記述統計的な概要が全ての来院日で提供される。
【0443】
ベースラインからの変化(ベースライン後の値マイナスベースラインの値として定義される)の平均を、各適用可能なベースライン後の時点で推定した。ベースラインからの平均変化がゼロであるという帰無仮説を、4週目に推定し、美容的有効性評定パラメーター、ざ瘡評定、ざ瘡計数、毛穴数(計数)の画像分析、および忍容性評価に関してはWilcoxonの符号順位検定、ならびにセブメーター測定および毛穴の画像分析(毛穴によって覆われた総面積、および毛穴の平均的深さ)に関しては対応のあるt検定を使用して検定した。退行期間に関しては、Wilcoxonの符号順位検定を使用した治験責任医師の全般的改善アセスメントの検定を含む同様の分析を、4週目からの変化に関して5週目時点に実施した。
【0444】
ベースライン/4週目からの百分率平均変化、および改善または悪化を示す対象の百分率を以下の式を使用して計算した。
ベースラインからの百分率平均変化=(来院時平均スコア-ベースライン平均スコア)×100ベースライン平均スコア
対象の改善/悪化の百分率=(ベースラインから改善/悪化した対象の数)×100対象の総数
【0445】
ベースラインからの変化に関して、処置細胞間の比較を4週目に行った。ベースラインからの平均変化が2つの処置細胞間で等しいという帰無仮説を、全てのパラメーター(治験責任医師の全般的改善アセスメントを除く)に関して、各適用可能なベースライン後時点で、美容的有効性評定パラメーター、ざ瘡評定、ざ瘡計数、毛穴数(計数)の画像分析、および忍容性評価に関してはWilcoxonの順位和検定、ならびにセブメーター測定および毛穴の画像分析(覆われた総面積および毛穴の平均的深さ)に関しては2標本t検定を使用して検定した。
【0446】
退行期間に関しては、Wilcoxonの順位和検定を使用した治験責任医師の全般的改善アセスメントの検定を含む同様の分析を、4週目からの変化に関して5週目に実施した。
【0447】
総合的な統計結果ならびに年齢(12~15、16~18、19~28、29およびそれを超える)、性別(男性/女性)、成人ざ瘡(19歳およびそれを超える)および思春期ざ瘡(19歳未満)、ならびにFitzpatrick皮膚タイプ(III、IV、およびV[標本サイズが小さいために、IおよびIIの分析は行われなかった])によって層別された統計結果を、美容的有効性パラメーターの臨床評定、PIH/PIE病変評定、ざ瘡評定、ざ瘡計数、治験責任医師の全般的改善アセスメント、セブメーター測定、および毛穴サイズの画像分析に関して示す。さらに、処置による人口統計的集計を、年齢、性別、成人および思春期ざ瘡、ならびにFitzpatrick皮膚タイプに関して示す。
【0448】
ざ瘡評定に関しては、2種類のスケール(GriffithsのスケールおよびFDAスケール)を使用したスコアに関するSpearmanの順位相関係数を、適用可能な時点および処置ごとに計算した。
【0449】
相関係数は0に等しいという帰無仮説に関する統計的検定を行った。処置比較は行わなかった。同様の相関係数を、改良されたGriffithsのスコアに関して、VISIAおよびセルフィー画像から計算した。
【0450】
各対象による16個の質問に対する、ベースライン時ならびに2、4、および5週目の回答を含むSkinDexデータ、すなわち対象によって報告されたクオリティーオブライフをアセスメントするアウトカムを得た。計数および百分率を含む頻度表を、SkinDexデータに対して得た。年齢、性別、成人および思春期ざ瘡、ならびにFitzpatrickタイプによるデータの分析を含む臨床評定データに関しては、同様の分析を行った。
【0451】
Skindexに関する情報は、http://www.researchgate.net/publication/51646907_Using_the_Skindex-16_and_Common_Terminology_Criteria_for_Adverse_Events_to_assess_rash_symptoms_results_of_a_pooled-analysis_(N0993)で見られる。
【0452】
対象によって1、2、3、4、および5週目に回答された37個の質問に対する回答を含む調査を得た。
【0453】
1から19の質問に関して、回答は0(悪化)から6(改善)にまで及んだ。残りの質問に関しては、回答は-1(いいえ/変化がない)から1(はい/好ましい変化)にまで及んだ。
【0454】
各回答の選択肢を選択した対象の計数および百分率を含む頻度表を、調査データに対して得た。さらに、2項(符号)検定を実施し、各時点での質問ごとに、組み合わされた所定の有利な/肯定的な回答の割合が組み合わされた所定の不利な/否定的な回答と一致するかどうかを検定した。Fisherの正確確率検定を使用して、処置比較を実施した。質問1番~19番に関しては、検定する帰無仮説は、有利な/不利な/中間の回答の割合が処置間で等しいというものである。残りの質問に関しては、検定する帰無仮説は、肯定的な/否定的な回答の割合が処置間で等しいというものである。データの分析をまた、年齢、性別、成人および思春期ざ瘡、ならびにFitzpatrickタイプに従って実施した。
【0455】
全ての統計的検定は、有意水準アルファ=0.05で両側であった。p値は小数点第3位(0.000)まで報告する。多重検定補正は、研究において考慮しなかった。SASソフトウェアバージョン9.30シリーズ(SAS Statistical Institute)を使用して統計分析を実施した。
【0456】
臨床評定および生体計測を、Stephensエレクトリックデータキャプチャー(EDC)システムを使用して記録した。StephensEDCは、電子フォーマットで臨床データを収集するために考案されたコンピューター化システムである。EDCの3つの重要な態様は、データ入力のためのグラフィカルユーザーインタフェース、ユーザーデータをチェックするためのバリデーションコンポーネント、および収集されたデータを分析するためのレポーティングツールからなる。
結果
画像によるざ瘡の臨床評定
【0457】
AO+Mist(Nitrosomonas eutropha調製物)を使用した対象に関しては、ベースラインスコアと比較したときに、4および5週目でFDAスケールを使用し、かつ5週目でGriffithsのスケールを使用したところ、VISIA画像におけるざ瘡評定スコアに統計的に有意な減少(改善)があった。ざ瘡評定スコアに関するベースラインからの変化に基づき試験物質間で比較することによって、4週目のFDAスケールを使用したVISIA画像によるざ瘡評定に、AO+Mist(Nitrosomonas eutropha調製物)に有利となる統計的に有意な差が示された。
【0458】
画像による評定の結果から相関係数を分析することによって、ベースライン、4週目、および5週目のVISIA画像におけるざ瘡評定スコア間に統計的に有意な正の相関(相関係数は0.495~0.847の範囲である)が示され、自撮り写真は、臨床試用中の進行の文書化ための有望な試みであり得ることが示唆された。
ざ瘡計数
全対象
【0459】
AO+ Mist(Nitrosomonas eutropha調製物)を使用した対象は、ベースライン計数と比較したときに、4および5週目の丘疹および炎症性ざ瘡に関してならびに4週目の全般的な病変に関して、合計4カ所の評定された領域(額、左頬、顎、および右頬)の計数に統計的に有意な減少(改善)を有していた。プラセボを使用した対象は、ベースライン計数と比較したときに、4および5週目の開放面皰、閉鎖面皰、非炎症性ざ瘡、および全般的な病変に関してならびに4週目の丘疹および炎症性ざ瘡に関して、合計4カ所の評定された領域の計数に統計的に有意な減少(改善)を有していた。合計4カ所の評定された領域のざ瘡計数に関するベースラインからの変化に基づき試験物質間で比較することによって、4週目の閉鎖面皰に、プラセボに有利となる統計的に有意な差が示された。
成人ざ瘡の対象
【0460】
AO+Mist(Nitrosomonas eutropha調製物)を使用した対象は、ベースライン計数と比較したときに、4および5週目の丘疹、炎症性ざ瘡、および全般的な病変に関して合計4カ所の評定された領域(額、左頬、顎、および右頬)のざ瘡計数に統計的に有意な減少(改善)を有していた。プラセボを使用した対象は、ベースライン計数と比較したときに、4および5週目の閉鎖面皰、非炎症性ざ瘡、および全般的な病変に関してならびに5週目の開放面皰に関して、合計4カ所の評定された領域のざ瘡計数に統計的に有意な減少(改善)を有していた。合計4カ所の領域のざ瘡計数に関するベースラインからの変化に基づき試験物質間で比較することによって、4週目の丘疹に、AO+Mist(Nitrosomonas eutropha調製物)に有利となる、かつ5週目の非炎症性ざ瘡に、プラセボに有利となる統計的に有意な差が示された。
PIH/PIE病変評定
全対象
【0461】
AO+Mist(Nitrosomonas eutropha調製物)またはプラセボを使用した対象は、ベースラインスコアと比較したときに、4および5週目における病変1および病変2の色の濃さおよびサイズに関するPIH/PIE病変評定スコアに統計的に有意な減少(改善)を有していた。PIH/PIE病変評定スコアに関するベースラインからの変化に基づき試験物質間で比較することによって、4週目における病変1のサイズに、プラセボに有利となる統計的に有意な差が示された。
成人ざ瘡の対象
【0462】
AO+Mist(Nitrosomonas eutropha調製物)またはプラセボを使用した対象は、ベースラインスコアと比較したときに、4および5週目における病変1の色の濃さ、ならびに5週目における病変1のサイズ、ならびに4週目における病変1のサイズに関するPIH/PIE病変評定スコアに、プラセボにとって統計的に有意な減少(改善)を有していた。PIH/PIE評定スコアに関するベースラインからの変化に基づき試験物質間で比較することによって、統計的に有意な差は示されなかった。
SkinDex16
【0463】
AO+Mist(Nitrosomonas eutropha調製物)を使用した対象に関するSkinDex16データからの結果によって、ベースラインスコアと比較したときに、以下の問診および時点に関する回答スコアに統計的に有意な減少(改善)が示された。
- 自身の皮膚状態に関して心配がある-2週目
- 自身の皮膚状態の外観-2、4、および5週目
- 自身の皮膚状態に関して不満がある-2および4週目
- 自身の皮膚状態に関して恥ずかしく思う-2および5週目
- 自身の皮膚状態に関して悩んでいることがある-2および4週目
【0464】
プラセボを使用した対象に関する結果によって、ベースラインスコアと比較したときに、4週目の問診「皮膚状態が持続する/再発する」に関する回答スコアに統計的に有意な増加(悪化)が示された。このことを図2Aに示す。グラフに表示されるAO+Mistのバーは、(左から)1番目および(左から)3番目である。グラフに表示されるプラセボのバーは、(左から)2番目および(左から)4番目である。図3Aはまた、AO+Mistの使用で、2週目、4週目、および6週目における皮膚状態の持続が改善されたことを示す。AO+Mistデータを表示するラインは、プラセボデータを表示するラインよりも上に存在する。
【0465】
SkinDex回答スコアに関するベースラインからの変化に基づき試験物質間で比較することによって、以下の示された時点における問診に、AO+Mist(Nitrosomonas eutropha調製物)に有利となる統計的に有意な差が示された。
- 自身の皮膚状態に痛みがある-2週目
- 自身の皮膚状態が持続する/再発する-4週目
- 自身の皮膚状態に関して心配がある-5週目
- 自身の皮膚状態の外観-2、4、および5週目
忍容性評価
全ての対象および成人のざ瘡
【0466】
AO+Mist(Nitrosomonas eutropha調製物)またはプラセボを使用によって、ベースラインスコアと比較したときに4および5週目の、または5週目を4週目と比較したときに退行期間中の、紅斑、落屑、浮腫、灼熱感、刺痛感、および掻痒感に関する忍容性評価スコアに、任意の統計的に有意な増加(悪化)は生じなかった。
【0467】
忍容性評価スコアに関するベースラインからの変化に基づき試験物質間で比較することによって、4および5週目に統計的に有意な差は示されなかった。
・美容的有効性パラメーターの臨床評定
全対象
【0468】
試験物質であるAO+Mist(Nitrosomonas eutropha調製物)を4週間使用した対象は、ベースラインスコアと比較したときに、5週目(退行)のしみに関するかつ4および5週目(退行)の視覚的なかつ触覚的な滑らかさに関する臨床評定スコアに、統計的に有意な減少(改善)を有していた。
【0469】
プラセボを使用した対象は、ベースラインスコアと比較したときに、4週目の油性の外観(てかりおよび感触)に関する臨床評定スコアに統計的に有意な減少(改善)を有していた。臨床評定スコアに関するベースラインからの変化に基づき試験物質間で比較することによって、5週目のしみに、AO+Mist(Nitrosomonas eutropha調製物)に有利となる統計的に有意な差が示された。
成人ざ瘡の対象
【0470】
AO+Mist(Nitrosomonas eutropha調製物)を使用した対象は、ベースラインスコアと比較したときに、5週目のしみにかつ4週目の触覚的な滑らかさに関する臨床評定スコアに統計的に有意な減少(改善)を有していた。臨床評定スコアに関するベースラインからの変化に基づき試験物質間で比較することによって、5週目のしみ、および皮膚の色合い(色)の均質性に、AO+Mist(Nitrosomonas eutropha調製物)に有利となる統計的に有意な差が示された。
セブメーター測定
全ての対象および成人のざ瘡
【0471】
表15、16、および17は、セブメーター測定に関しており、AOBを塗布するとざ瘡患者の顔における皮脂レベルが低下することを示す。過剰な皮脂は、ざ瘡の一因となると考えられている。
【表15】
【表16】
【表17】
【0472】
毛穴の画像分析パラメーター
試験物質のいずれかに関するベースライン値と比較したときに、4週目の毛穴の数、毛穴によって覆われた総面積、および毛穴の平均的深さに関する画像分析データに、統計的に有意な変化はなかった。
【0473】
画像分析データ関するベースラインからの変化に基づき試験物質間で比較することによって、4週目の毛穴の平均的深さに、プラセボに有利となる統計的に有意な差が示された。
考察および結論
【0474】
この4週間の多部位二重盲検無作為化プラセボ対照化粧品の試用からの総合的な結果は、試験物質であるAO+Mist(Nitrosomonas eutropha調製物)の使用が軽度~中等度のざ瘡の処置に安全かつ効果的であると実証されたことを示す。疾患の重症度と、対象によって報告されたクオリティーオブライフと、炎症性病変計数の数との全てが4週間の処置の過程でAO+処置群において改善を示した。AO+処置は、成人ざ瘡状態に特に有益な効果を有すると思われた。
【0475】
研究には標準FDA治験責任医師の全般的ざ瘡(IGA)スケールを使用し、完全な盲検化状態下でVISIA画像を使用してざ瘡状態をアセスメントした。VISIA画像のざ瘡評定からの結果によって、AO+Mist(Nitrosomonas eutropha調製物)を使用した対象は、ベースラインスコアと比較したときに、4および5週目でFDAスケールを使用したIGAスコアに、かつ5週目でGriffithsのスケールを使用したスコアに、統計的に有意な減少(改善)を有していたことが示される。ベースラインからの変化に基づき試験物質間で比較することによって、4週目のFDAスケールを使用したざ瘡評定に、AO+Mist(Nitrosomonas eutropha調製物)に有利となる統計的に有意な差が示された。(図1を参照のこと)。
【0476】
ざ瘡計数の結果によって、AO+Mist(Nitrosomonas eutropha調製物)を使用すると、ベースライン計数と比較したときに、4および5週目の丘疹および炎症性病変の計数に、かつ4週目の全般的な病変計数に統計的に有意な減少(改善)が生じることが示された。AO+Mist(Nitrosomonas eutropha調製物)とプラセボとの間に統計的に有意な差は観察されなかったが、データによって、AO+Mist(Nitrosomonas eutropha調製物)を使用した成人対象においてざ瘡計数がより大きくかつより持続的に低減することが示された。
【0477】
研究の試験製品であるAO+Mistは生Nitrosomonas eutrophaを含み、汗中のアンモニアを酸性の亜硝酸塩および一酸化窒素に局所的に変換する。この機構は、局所的炎症を低減することによって、かつ病原性細菌の繁殖を低減することによって、ざ瘡の主な原因を潜在的に軽減することが期待される。比較的短い4週間で、丘疹および炎症性病変ならびにVISIAのIGA評定が低減することは、AO+Mistの予測される機構と一致する。図1は、プラセボと比較したときに、AO+Mistの使用によって4週目に改善されたIGAの結果を示す。グラフに表示されるAO+Mistのバーは、(左から)1番目および(左から)3番目である。グラフに表示されるプラセボのバーは、(左から)2番目および(左から)4番目である。
【0478】
前臨床研究では、高濃度のNitrosomonas eutrophaが、ざ瘡をもたらす生物であるPropionibacterium acneに対して抗微小生物効果を増強すること、および皮膚の治癒を加速することが示された。対象によって報告されたアウトカムを、Skindex16クオリティーオブライフ調査を使用して測定した。AO+Mistは、自身の疾患に関する対象の感情面のアセスメントを捉えた質問群での変化(改善)と関連していた。具体的には、皮膚状態に痛みがある(2週目)、皮膚状態が持続する/再発する(4週目)(図2Aを参照のこと)、皮膚状態に関して心配がある(5週目)、および皮膚状態の外観(2、4、および5週目)に、AO+Mist(Nitrosomonas eutropha調製物)に有利となる統計的に有意な改善が観察された。図2Bで認めることができるように、皮膚状態の外観は有意に改善された。グラフに表示されるAO+Mistのバーは、(左から)1番目および(左から)3番目である。グラフに表示されるプラセボのバーは、(左から)2番目および(左から)4番目である。図3Bはまた、AO+Mistの使用で、2週目、4週目、および6週目における皮膚状態の外観が改善されたことを示す。AO+Mistデータを表示するラインは、プラセボデータを表示するラインよりも上に存在する。
【0479】
AO+ Mist(Nitrosomonas eutropha調製物)の使用に関する臨床評定の結果によって、ベースラインスコアと比較したときに、4および5週目で視覚的なかつ触覚的な滑らかさに関する、かつベースラインスコアおよびプラセボと比較したときに、5週目でしみに関する臨床評定スコアに統計的に有意な減少(改善)が示された。
【0480】
試験物質であるAO+Mist(Nitrosomonas eutropha調製物)の使用は、対象による忍容性が非常に良好であり、ベースラインスコアと比較したときに、4週目の紅斑、落屑、浮腫、灼熱感、刺痛感、および掻痒感に関する臨床評定スコアにおいて統計的に有意な増加(悪化)を伴わなかった。
【0481】
AEの発生率は約2%であり、約3,000名のAO+Mistの使用者からの自発報告による発生率と一致する。この安全性忍容性プロファイルは、女性および青年を含む多数の母集団にとって魅力的なものとなり得る。
【0482】
本臨床試用は、試用の過程で顔のざ瘡状態を捉えるための自撮り写真(「セルフィー」)を使用した最初の臨床試用のうちの1つである。自撮り写真が臨床的アセスメントに十分な品質のものであるかどうかを決定するために、対象によって撮影された写真と診療所で撮影されたVISIA-CR画像とを、治療内容を知らされていない訓練を受けた評定者によって評価した。評定の結果による相関係数を分析することによって、4週目、および5週目の、(Griffithsのスケールを使用した)VISIA画像によるざ瘡評定スコアと(Griffithsのスケールを使用した)セルフィー画像によるざ瘡評定スコアとの間に統計的に有意な正の相関(相関係数は0.692~0.847の範囲である)が示され、対象による自撮り写真は、臨床試用中の進行の文書化のための有望な試みであり得ることが示唆された。
引用文献
1. U.S. Food and Drug Administration. Guidance for industry: acne vulgaris: developing drugs for treatment. September 2005. http://www.fda.gov.
2. Shai, A., Maibach, HI, Baran, R. Baran. Acne in Handbook of Cosmetic skin Care. Publisher Martin Duntiz Ltd., Chapter 9, 81-100, 2001.
3. Griffiths CE, Wang TS, Hamilton TA, Voorhees JJ, Ellis CN. A photonumeric scale for the assessment of cutaneous photodamage. Arch Dermatol. 1992;128(3):347-351.
4. Rizer, RL, Mills, OH, Trookman, NS. The assessment of acne: a re-evaluation of grading strategies. Scientific Poster, Annual Meeting of the Am. Acad. Dermatol (2001).
参照による組込み
【0483】
本明細書において挙げられるすべての刊行物および特許は、個々の刊行物または特許それぞれが具体的にかつ個々に示され参照によって組み込まれたように、参照によってその全体が組み込まれるものとする。
【0484】
本発明の特定の実施形態が考察されてきたが、上記の明細書は例示であり、制限するものではない。本発明の多くの変形は、本明細書および下記の特許請求の範囲を検討された場合に当業者には明らかになるであろう。本発明のすべての範囲は、均等物の全範囲とともに特許請求の範囲を、かつこのような変形とともに本明細書を参照することによって決定されるべきである。
【0485】
ある特定の実施形態は以下の特許請求の範囲内である。
図1
図2
図3
図4