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  • 特許-温泉水の供給システム 図1
  • 特許-温泉水の供給システム 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-18
(45)【発行日】2024-12-26
(54)【発明の名称】温泉水の供給システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20241219BHJP
【FI】
G06Q50/10
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2019206763
(22)【出願日】2019-11-15
(65)【公開番号】P2021081825
(43)【公開日】2021-05-27
【審査請求日】2022-05-25
【審判番号】
【審判請求日】2024-05-23
(73)【特許権者】
【識別番号】512023683
【氏名又は名称】株式会社ヒューマンウェア
(74)【代理人】
【識別番号】100081949
【弁理士】
【氏名又は名称】神保 欣正
(72)【発明者】
【氏名】山下 憲男
(72)【発明者】
【氏名】石田 貴朗
【合議体】
【審判長】梶尾 誠哉
【審判官】間野 裕一
【審判官】伏本 正典
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-25120(JP,A)
【文献】特許第6499812(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
温泉水を予め各購買者の購買量に応じて小分けしてタンクに貯留するとともに、温泉水を貯留した上記タンクを車両に搭載して購買者宅まで運搬するに際し、
運搬中のタンク内に貯留された温泉水の温度、重量または体積をセンサにより検出し、これをインターネットを介して接続した管理センターの温泉水管理サーバに送信して、温泉水のデータ管理を行うとともに、
購買者が運搬中の温泉水の温度、重量または体積をインターネットを介して管理センターの温泉水管理サーバに接続した購買者端末により閲覧することを可能とした温泉水の購買システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は温泉水をその採取地と離れた場所に存する購買者の使用地点に供給するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
地中から湧出する温水である温泉水は、含まれている成分が相まって疲労回復や美容効果の他医療効果もあるといわれている。
【0003】
そのため、入浴に際し温泉水を使用することが希求されているが、温泉水の入浴には温泉地にある宿泊施設や公衆浴場に足を運ばなければならなかった。この場合、温泉の給水管を自宅まで敷設する手段も想定できるが、それが可能な地域は距離的な制限があり、また、自宅の配管において温泉スケールが析出して定期的なメンテナンスが必要な問題があった。
【0004】
前記の問題を解消する手段として、温泉水を市中に設置した貯留タンクに貯留し、貯留タンク内の温泉水を量り売りすること(特許文献1)や、温泉水の貯留タンクとそれに連通された浴槽を搭載した車両を用意し、上記車両が需要者の自の使用地点近くまで移動してそこで入浴すること(特許文献2)が提案されていた。
【0005】
また、温泉の採取地から離れた場所にある宿泊施設や公衆浴場にタンクローリーで温泉水を運搬することも公知であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開平10-228581
【文献】実用新案登録公報第3072479号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前者の公知発明においては、量り売りされた温泉水は購買者において持参したタンクに貯留して購買者の自宅などの使用地点まで運搬することになるが、重量が嵩むタンクを運搬する手段が必要になる問題があった。また、温泉水は購買者はポリタンクで運ぶことが一般的であり運搬中に極端に冷めてしまい、入浴に際しては加熱する必要があり、この場合、浴槽に併設される循環式の湯沸器を使用すると温泉スケールが析出して湯沸器を傷める問題を生じる。
【0008】
また、前者の公知発明においては、自宅の風呂でなくあくまでも車両内で入浴するので寛いで入浴ができず、特に温泉の医療効果を求める高齢者は身体が不自由な場合が多く、自宅の風呂以外での入浴が困難があった。
【0009】
一方、タンクローリーで温泉を運搬することは宿泊施設や公衆浴場向けであり、個人の購買者には馴染まなかった。そして、この場合、途中で温泉水に湯を足して薄められてしまってもそれを知る手段がなかった。
【0010】
本願発明は以上の従来技術の問題点に鑑みて創作されたものであり、温泉水をその採取地と離れた場所に存する購買者の使用地点に容易に供給可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
すなわち、本願発明の温泉水の供給システムは、
温泉水を採取して購買者の所在地まで車両により運搬する手段と、
温泉水を小分けしてタンクに貯留する手段と、
購買者の所在地において、温泉水を貯留した上記タンクを車両から購買者の使用地点まで運搬する手段と、
温泉水を貯留した上記タンクから温泉水を購買者の使用地点の浴槽ヘ給湯する手段を有することを特徴とする。
【0012】
なお、ここに「購買者の所在地」とは購買者が温泉の給湯を希望する浴槽が存する建物の付近の例えば公道、駐車場、停車スペースなどを指す。また、「購買者の使用地点」とは温泉の給湯を希望する浴槽が存する例えば戸建て住宅、集合住宅中の各戸、医療施設、介護施設、保養施設や宿泊施設中の客室などを指す。
【0013】
また、請求項2記載の発明は前記の温泉水の供給システムにおいて、運搬される温泉水に関し、断熱または加温、または断熱および加温手段を設けたことを特徴とする。
【0014】
また、請求項3記載の発明は前記の温泉水の供給システムにおいて、温泉水は採取地において予め各購買者の購買量に応じて小分けしてタンクに貯留され、上記タンクを購買者の所在地まで車両により運搬するとともに、車両から購買者の使用地点まで運搬することを特徴とする。
【0015】
また、請求項4記載の発明は前記の温泉水の供給システムにおいて、キャリーカートをもってタンクを車両から購買者の使用地点まで運搬する手段としたことを特徴とする。
【0016】
また、請求項5記載の発明は前記の温泉水の供給システムにおいて、運搬中の温泉水に関する情報をネットワークを介して購買者が閲覧することを可能としたことを特徴とする。
【0017】
また、請求項6記載の発明は前記の温泉水の供給システムにおいて、温泉水に関する情報には温泉水の重量または体積が含まれることを特徴とする。
【0018】
また、請求項7記載の発明は前記の温泉水の供給システムにおいて、温泉水に関する情報には温泉水の温度が含まれることを特徴とする。
【0019】
また、請求項8記載の発明は前記の温泉水の供給システムにおいて、温泉水に関する情報には温泉水の現在位置が含まれることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本願発明の温泉水の供給システムにおいては、採取された温泉水は購買者の所在地まで車両により運搬された後、小分けしてタンクに貯留された状態で購買者の使用地点まで運搬され、購買者の使用地点において上記タンクから温泉水を購買者の使用地点の浴槽ヘ給湯するので、購買者は自宅にいながらにして自宅の浴槽で温泉浴を楽しむことができる。
【0021】
また、請求項2記載の発明のように運搬される温泉水に関し、断熱または加温、または断熱および加温手段を設けた場合は、購買者は入浴に際しては加熱する必要がなく、温泉スケールが析出して浴槽に併設される循環式の湯沸器を傷めることがない。
【0022】
また、請求項3記載の発明のように、温泉水を採取地において予め各購買者の購買量に応じて小分けしてタンクに貯留し、上記タンクを購買者の所在地まで車両により運搬するとともに、車両から購買者の使用地点まで運搬する場合は、購買者は採取地の段階で自分専用の温泉水を確保することができる。
【0023】
前記の場合、請求項5記載の発明のように、運搬中の温泉水に関する情報をネットワークを介して購買者が閲覧することを可能とすれば、購買者は自分専用の温泉水の情報をトラッキングすることができ安心して温泉水を購入することができる。
【0024】
すなわち、請求項6記載の発明のように、温泉水に関する情報に温泉水の重量または体積を含む場合は、仮に温泉水に湯を足して薄めるよう不正を行った場合は購買者においてそれを発見することが可能となる。
【0025】
また、請求項7記載の発明のように、温泉水に関する情報には温泉水の温度が含ませたり、請求項8記載の発明のように、温泉水に関する情報に温泉水の現在位置を含ませた場合は重量または体積の把握と相まって前記の不正をより発見しやすくなる。また、温泉水到着時間を温泉水の到着時温度とともに予想して購買者に知らせることができる。
【0026】
また、請求項4記載の発明のようにキャリーカートをもってタンクを車両から購買者の使用地点まで運搬すれば、購買者の使用地点が一戸建ての場合の他、集合住宅や医療施設、介護施設、保養施設であっても容易に運搬することができる。
【0027】
以上のように本願発明によれば、温泉水をその採取地と離れた場所に存する購買者の使用地点に容易に供給可能となるので、購買者は自宅にいながらにして自宅の浴槽で温泉浴を楽しむことができ、一般人はもちろん、特に高齢者や身体が不自由な者に有用である。
【0028】
また、温泉水は小分けしてタンクに貯留された状態で購買者の使用地点まで運搬されるので自宅の他、他人に贈答品として送ることもできる。さらに、宿泊施設や保養施設においても全館の温泉施設を備えずに、温泉浴を希望する宿泊客の部屋だけに個別に温泉を用意することが可能となる。また、医療施設、介護施設においては温泉の医療効果を受けさせたい者のために一時的な温泉浴を実施することが可能となる。
【0029】
さらに、本願発明においては採取元から敷設した給水管により温泉を購買者の使用地点に給水するのではなく、あくまで小分けしてタンクに貯留された状態で給水するので、温泉の採取元が固定されない。そのため、家庭に応じては季節や気分に応じて各地の温泉を楽しむことができ、また、医療施設、介護施設において温泉の医療効果を受けさせる場合は対象者の体質や症状に応じて採取元を選択することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本願発明の温泉水の供給システムのブロック図。
図2】同上、温泉水を採取して購買者の所在地まで運搬する車両の側面図。
図3】同上、温泉水を貯留したタンクを車両から購買者の使用地点まで運搬するキャリーカートの側面図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、本願発明の具体的実施例を添付図面に基づいて説明する。図1は本願発明の温泉水の供給システムのブロック図である。図中符号1は供給システムのサービスを実行するための管理センターである。
【0032】
前記管理管理センターはインターネットNに接続されるものであり、例えば以下の要素を含む。
(1) 顧客からの温泉水の購買申し込み、
代金の決済、
配達伝票発行指示、
などを行う決済管理サーバ。
(2) 顧客の住所、氏名、連絡先、年令、健康状態、特定の物質に対するアレルギーの有無、
などの顧客情報を収録した顧客データベース。
(3) 温泉採取地への採取指示を行う採取作業サーバ。
(4) 運搬業者への運搬指示を行う運搬作業サーバ。。
(5) 運搬中の温泉水の、
現在位置、
重量または体積、
温度、
到着予想時間、
到着時予想温度、
などの温泉水のデータ管理を行う温泉水管理サーバ。
(6) 購買を予約した温泉水の、
採取過程、
運搬過程、
現在データ、
などの購買者へのオンデマンドでの通知を行う通知サーバ。
【0033】
図中符号2は温泉水の供給事業者の前記管理センタN上の操作のためのパソコンなどの事業者端末、図中符号4は管理センタNにアクセスした購買者がブラウザ上で温泉水の購買予約、決済、運搬中の温泉水の状況をトラッキングするためのスマートフォンなどの携帯端末からなる購買者端末、図中符号3は運搬中の温泉水の状況を温泉水管理サーバに送信するためのスマートホンなどの携帯端末からなる運搬者端末であり、それぞれがインターネットNを通じて管理センター1に接続される。
【0034】
本願発明においては、
(1) 一定量採取した温泉水を購買者の所在地まで運搬する途上で小分けしてタンクに貯留する場合と、
(2) 採取地において温泉水を予め各購買者の購買量に応じて小分けしてタンクに貯留する場合の、
2つの方策を想定しているが、最終的には温泉水は小分けしてタンクに貯留された状態で車両で運搬される。
【0035】
図中符号11は温泉水を小分けして貯留した前記のタンクである。この実施例においてはこのタンク11は温泉水を保温するための断熱構造を備え、また、一定温度を保つための電気ヒータなどの加熱装置を設けているがこれに限らないことはもちろんである。
【0036】
一方、この実施例においては前記タンク11に、
現在位置を検出するためのGPS装置、
貯留された温泉水の重量または体積を検出するセンサS1、
貯留された温泉水の温度を検出するセンサS2、
を設けている。これらのセンサにより検出されたデータは、センサに接続されたブルーツースやWi-Fiなどの無線通信モジュールを介して運搬作業者が持つ運搬者端末3に送信され、運搬者端末から管理管理センター1の温泉水管理サーバに送信される。なお、ここではタンク11内の水位により温泉水の体積を検出している。
【0037】
前記の温泉水を小分けして貯留したタンク11は購買者の所在地まで車両10により運搬された後、車両から下ろして購買者の使用地点Hまで運搬され、タンクから浴槽Bヘ給湯する。給湯手段としてはタンク11から延長したホースを介してポンプにより温泉水を浴槽B内に圧送することなどが想定できる。
【0038】
図中符号12はタンク11を車両10から購買者の使用地点まで運搬する手段として採用した車輪付きのキャリーカートである。このキャリーカート12には電動アシスト装置やブレーキ機構、ポンプの電源を設けてもよい。
【符号の説明】
【0039】
N インターネット
H 購買者の使用地点
B 浴槽
S1 センサ
S2 センサ
1 管理センター
2 事業者端末
3 運搬者端末
4 購買者端末
10 車両
11 タンク
12 キャリーカート
図1
図2
図3