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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-18
(45)【発行日】2024-12-26
(54)【発明の名称】誘導発熱ローラ装置
(51)【国際特許分類】
   H05B 6/14 20060101AFI20241219BHJP
   H05B 6/06 20060101ALI20241219BHJP
   H05B 6/42 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
H05B6/14
H05B6/06 351
H05B6/42
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021025406
(22)【出願日】2021-02-19
(65)【公開番号】P2022127326
(43)【公開日】2022-08-31
【審査請求日】2024-01-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000110158
【氏名又は名称】トクデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121441
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 竜平
(74)【代理人】
【識別番号】100154704
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 真大
(74)【代理人】
【識別番号】100129702
【弁理士】
【氏名又は名称】上村 喜永
(74)【代理人】
【識別番号】100206151
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 惇志
(74)【代理人】
【識別番号】100218187
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 治子
(72)【発明者】
【氏名】北野 孝次
【審査官】河野 俊二
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-306587(JP,A)
【文献】特開2011-108399(JP,A)
【文献】特開2009-283159(JP,A)
【文献】米国特許第04775773(US,A)
【文献】中国実用新案第212463555(CN,U)
【文献】実開昭62-178494(JP,U)
【文献】特開2004-165173(JP,A)
【文献】特開平08-069869(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 6/14
H05B 6/06
H05B 6/42
F16C 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状の被加熱物を熱処理するものであり、
中空円筒状のローラ本体と、
前記ローラ本体の中空内に軸方向に沿って設けられた複数の誘導コイルと、
前記複数の誘導コイルそれぞれに供給する電力を個別に制御する電源回路と、
前記ローラ本体に冷媒を供給して前記ローラ本体を冷却する冷却機構と
負荷熱量に応じて前記冷却機構による冷媒の供給量を制御する冷却機構制御部とを備え
前記電源回路は、前記ローラ本体の温度が所定の温度になるとともに、前記被加熱物が所定の厚さ分布となるように、前記複数の誘導コイルそれぞれに供給する電力を個別に制御するものであり、
前記冷却機構制御部は、前記ローラ本体の軸方向における所望の変形代を得るための負荷熱量が、前記被加熱物が前記ローラ本体から奪う負荷熱量よりも大きい場合に、それら負荷熱量の差分である不足した負荷熱量に基づいて前記冷媒の供給量を制御する、誘導発熱ローラ装置。
【請求項2】
中空円筒状のローラ本体と、
前記ローラ本体の中空内に軸方向に沿って設けられた複数の誘導コイルと、
前記複数の誘導コイルそれぞれに供給する電力を個別に制御する電源回路と、
前記ローラ本体に冷媒を供給して前記ローラ本体を冷却する冷却機構とを備え、
前記冷却機構は、前記ローラ本体の内面において前記複数の誘導コイルに対向する部分それぞれに個別に冷媒を供給するものである、誘導発熱ローラ装置。
【請求項3】
前記ローラ本体の側周壁に気液二相の熱媒体が封入されるジャケット室が形成されている、請求項1又は2に記載の誘導発熱ローラ装置。
【請求項4】
前記冷却機構は、前記ローラ本体の中空内に冷媒を供給するものである、請求項1乃至の何れか一項に記載の誘導発熱ローラ装置。
【請求項5】
前記冷却機構は、前記ローラ本体の側周壁において前記ジャケット室よりも径方向内側に形成された冷媒流通路に冷媒を供給するものである、請求項に記載の誘導発熱ローラ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、誘導発熱ローラ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えばシート状の被加熱物の圧延プロセス等においては、一対の誘導発熱ローラ装置が用いられており、各誘導発熱ローラ装置のローラ本体は、荷重により撓んでしまう。このローラ本体の撓みによって、シート状の被加熱物の均一な圧延加工を行うことが難しい。
【0003】
この対策として、特許文献1に示すように、ローラ本体の中空内に軸方向に沿って複数の誘導コイルを設け、それら複数の誘導コイルを個別に電圧制御するものが考えられている。この誘導発熱ローラ装置は、複数の誘導コイルを個別に電圧制御することにより、ローラ本体の各誘導コイルに対向する部分の間で発熱差を与えて、所定の部位のみを局所的に熱膨張させて、ローラ本体の直径プロファイルを調整するものである。これにより、シート状の被加熱物の厚さ分布を均一にすることができる。
【0004】
しかしながら、この誘導発熱ローラ装置では、複数の誘導コイル全体として、シート状の被加熱物がローラ本体から奪う負荷熱量に見合った出力しかしていない。そのため、シート状の被加熱物の厚さ分布を均一にするための出力を複数の誘導コイルに与えることができない場合がある。例えば、低負荷熱量のシート材の加工時においては、複数の誘導コイル全体の出力が小さくなり、厚さ分布を均一にするための誘導コイル間の出力差を得ることができず、厚さ分布のばらつきを解消することができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】実開昭62-178494号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで本発明は、上記問題点を解決すべくなされたものであり、被加熱物がローラ本体から奪う負荷熱量に関わらず、ローラ本体の軸方向における所望の位置における熱膨張量を調整することをその主たる課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち本発明に係る誘導発熱ローラ装置は、中空円筒状のローラ本体と、前記ローラ本体の中空内に軸方向に沿って設けられた複数の誘導コイルと、前記複数の誘導コイルそれぞれに供給する電力を個別に制御する電源回路と、前記ローラ本体に冷媒を供給して前記ローラ本体を冷却する冷却機構とを備えることを特徴とする。
【0008】
このようなものであれば、電源回路により複数の誘導コイルそれぞれに供給する電力を個別に制御することで、ローラ本体の軸方向における所望の位置における熱膨張量を調整することができる。そして、本発明では、冷却機構によりローラ本体を冷却しているので、被加熱物がローラ本体から奪う負荷熱量が小さい場合であって、必要な負荷熱量を冷却機構により補うことができ、被加熱物がローラ本体から奪う負荷熱量に関わらず、ローラ本体の軸方向における所望の位置における熱膨張量を調整することができる。
【0009】
誘導発熱ローラ装置の具体的な実施の態様としては、シート状の被加熱物を熱処理するものであり、前記電源回路は、前記ローラ本体の温度が所定の温度になるとともに、前記被加熱物が所定の厚さ分布となるように、前記複数の誘導コイルそれぞれに供給する電力を個別に制御することが望ましい。
【0010】
ローラ本体の軸方向における所望の位置における熱膨張量を負荷熱量に応じて効率よく調整するためには、負荷熱量に応じて前記冷却機構による冷媒の供給量を制御する冷却機構制御部をさらに備えることが望ましい。
【0011】
本発明では、複数の誘導コイルの電力を個別に制御しているため、ローラ本体の内面では発熱量差による温度差が生じる。また、ローラ本体の外面では被加熱物の奪熱量差による温度差が生じる。
これらの温度差を解消してローラ本体の外面の温度を均一にするためには、前記ローラ本体の側周壁に気液二相の熱媒体が封入されるジャケット室が形成されていることが望ましい。
【0012】
冷却機構の具体的な実施の態様としては、前記冷却機構は、前記ローラ本体の中空内に冷媒を供給するものであることが望ましい。
この構成であれば、ローラ本体の内面と誘導コイルとの隙間に冷媒を流すだけでよく、冷却機構の構成を簡単にすることができる。
【0013】
前記冷却機構は、前記ローラ本体の側周壁において前記ジャケット室よりも内側に形成された冷媒流通路に冷媒を供給するものであることが望ましい。
この構成であれば、ローラ本体の側周壁を効率よく冷却することができる。
【0014】
前記冷却機構は、前記ローラ本体の内面において前記複数の誘導コイルに対向する部分それぞれに個別に冷媒を供給するものであることが望ましい。
この構成であれば、ローラ本体の内面における所定部位の局所的な低温化が可能となり、熱膨張による変形代の軸方向における相対差(熱膨張差)を最大化することができる。
【発明の効果】
【0015】
このように構成した本発明によれば、被加熱物がローラ本体から奪う負荷熱量に関わらず、ローラ本体の軸方向における所望の位置における熱膨張量を調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態の誘導発熱ローラ装置の構成を模式的に示す断面図である。
図2】同実施形態の冷媒の流れを示す部分拡大断面図である。
図3】同実施形態の冷却機構の作用を示す模式図である。
図4】変形実施形態の冷媒の流れを示す部分拡大断面図である。
図5】変形実施形態の冷媒の流れを示す部分拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
<本発明の一実施形態>
以下に本発明に係る誘導発熱ローラ装置100の一実施形態について図面を参照して説明する。
【0018】
この誘導発熱ローラ装置100は、例えばプラスチックフィルム、紙、布、不織布、合成繊維、金属箔等のシート状の被加熱物の熱処理工程等において用いられるものである。例えば、誘導発熱ローラ装置100を2つ用いてシート状の被加熱物Wの圧延処理を行うことができる。
【0019】
本実施形態の誘導発熱ローラ装置100は、図1に示すように、回転自在に支持された中空円筒状のローラ本体2と、このローラ本体2の内部に設けられた誘導発熱機構3とを備えている。
【0020】
ローラ本体2の両端部には中空の駆動軸41を有するジャーナル4が設けられており、当該駆動軸41は、転がり軸受等の軸受8を介して機台9に回転自在に支持されている。なお、ジャーナル4は、駆動軸41と、ローラ本体2の軸方向端部に固定されるフランジ42とを有している。そして、ローラ本体2は、例えばモータ等の回転駆動機構(不図示)により外部から与えられる駆動力によって回転されるように構成されている。また、本実施形態のローラ本体2の側周壁には、気液二相の熱媒体が減圧封入されるジャケット室2Aが長手方向(回転軸方向)に沿って形成されている。このジャケット室2Aは、周方向に複数且つ等間隔に形成されている。
【0021】
誘導発熱機構3は、円筒形状をなす円筒状鉄心31と、当該円筒状鉄心31の外側周面に巻装された複数の誘導コイル32とを備えている。
【0022】
円筒状鉄心31の両端部は、支持軸33に支持されており、当該支持軸33は、それぞれ駆動軸41の内部に挿通されて、転がり軸受等の軸受10を介して駆動軸41に回転自在に支持されている。これにより、誘導発熱機構3は、回転するローラ本体2の内部において、機台9(固定側)に対して静止状態に保持される。
【0023】
また、複数の誘導コイル32は、ローラ本体2の軸方向に沿って設けられており、複数の誘導コイル32それぞれには外部リード線L1が接続されている。これら外部リード線L1には、商用周波数(50Hz又は60Hz)の交流電圧などを印加するための電源回路5が接続されている。電源回路5は、複数の誘導コイル32それぞれに供給する電力を個別に制御するものである。
【0024】
このような誘導発熱機構3により、誘導コイル32に交流電圧が印加されると交番磁束が発生し、その交番磁束はローラ本体2の側周壁を通過する。この通過によりローラ本体2に誘導電流が発生し、その誘導電流でローラ本体2はジュール発熱する。また、ジャケット室2Aにより、ローラ本体2の側周壁の回転軸方向の温度分布が均一となる。
【0025】
そして、電源回路5は、ローラ本体2の温度が所定の温度になるとともに、被加熱物Wが所定の厚さ分布となるように、複数の誘導コイル32それぞれに供給する電力を個別にフィードバック制御する。ここで、ローラ本体2の温度は、ローラ本体2の側周壁においてジャケット室2Aよりも径方向外側に設けられた温度センサ(不図示)により検出される。また、被加熱物Wの厚さ分布は、例えばレーザ変位計などを用いた複数の厚みセンサ(不図示)により検出される。
【0026】
しかして、本実施形態の誘導発熱ローラ装置100は、ローラ本体2に冷媒を供給してローラ本体2を冷却する冷却機構6をさらに備えている。
【0027】
冷却機構6は、被加熱物Wがローラ本体2から奪う負荷熱量に加えて、冷媒を用いてローラ本体2から負荷熱量を奪うものである。本実施形態の冷却機構6は、ローラ本体2の軸方向において所望の変形代(熱膨張差)を得るために不足した負荷熱量を奪うものである。ここで、「不足した負荷熱量」=「所望の変形代(熱膨張差)を得るための負荷熱量」-「被加熱物がローラ本体から奪う負荷熱量」である。
【0028】
具体的に冷却機構6は、ローラ本体2の中空内に冷媒を供給してローラ本体2の内面を冷却するものである。この冷却機構6は、例えばローラ本体2の一方のジャーナル4に形成された冷媒導入ポート(不図示)からローラ本体2の中空内に冷媒を供給し、他方のジャーナル4に形成された冷媒導出ポート(不図示)から冷媒を導出する。冷媒としては、所定温度に冷却された冷却ガスであっても良いし、液状又はミスト状の冷却液であっても良い。
【0029】
この冷却機構6により供給される冷媒量は、被加熱物Wがローラ本体2から奪う負荷熱量に応じて、冷却機構制御部7によって制御される。つまり、冷却機構制御部7は、「被加熱物がローラ本体から奪う負荷熱量」≧「所望の変形代を得るための負荷熱量」の場合は、冷媒量をゼロとしてローラ本体2に冷媒を供給しない。一方、冷却機構制御部7は、「所望の変形代を得るための負荷熱量」>「被加熱物がローラ本体から奪う負荷熱量」の場合は、「不足した負荷熱量」に基づく所定の冷媒量をローラ本体2に供給する。なお、冷却機構制御部7は、冷却機構6の冷媒供給路61に設けられた流量制御機器62を制御することによって冷媒量を制御する。ここで、被加熱物Wがローラ本体2から奪う負荷熱量は、ローラ本体2を所定の温度に制御するために必要な複数の誘導コイル32の電力(kW)から求まる。
【0030】
次に、冷却機構6の作用を図3を参照して説明する。なお、図3は、説明の便宜上、第1~第5の誘導コイル32を用いた例を示している。
【0031】
(1)「被加熱物がローラ本体から奪う負荷熱量」≧「所望の変形代を得るための負荷熱量」の場合
電源回路5は、ローラ本体2の温度が200℃となるように複数の誘導コイル32に供給する電力を制御し、その時の被加熱物Wがローラ本体2から奪う負荷熱量が30kWであったとする。
【0032】
ここで、電源回路5は、熱処理後の被加熱物Wの厚さ分布が均一となるように、複数の誘導コイル32それぞれに供給する電力を個別に制御する。熱処理後の被加熱物Wの厚さ分布が均一とするためには、第1、第2、第4、第5の誘導コイル32の電力が5kWであり、第3の誘導コイル32の電力が10kWであるとする。厚さを均一にするためには、例えば第3の誘導コイルの電力と第2の誘導コイルの電力との差が5kW必要であり、所望の変形代を得るための負荷熱量は30kWとなる。
【0033】
(2)「所望の変形代を得るための負荷熱量」>「被加熱物がローラ本体から奪う負荷熱量」の場合
被加熱物がローラ本体2から奪う負荷熱量が10kWとなった場合でも、電源回路5は、ローラ本体2の温度が200℃となるように複数の誘導コイル32に供給する電力を制御する。
【0034】
電源回路5は、熱処理後の被加熱物Wの厚さ分布が均一となるように、複数の誘導コイル32それぞれに供給する電力を個別に制御するが、複数の誘導コイル32への合計電力10kWのため、第1、第2、第4、第5の誘導コイル32の電力が約1.6kWであり、第3の誘導コイル32の電力が約3.2kWとなってしまう。そうすると、例えば第3の誘導コイル32の電力と第2の誘導コイル32の電力との差が約1.6kWとなってしまい、厚さを均一にするために必要な5kWに満たない。
【0035】
この場合において、冷却機構6によりローラ本体2を冷却して、不足する負荷熱量20kWを補うことにより、電源回路5によって複数の誘導コイル32に30kWの電力を供給されることになる。そうすると、第1、第2、第4、第5の誘導コイル32の電力が5kWとなり、第3の誘導コイル32の電力が10kWとなるので、所望の変形代を得るための負荷熱量となる。その結果、熱処理後の被加熱物Wの厚さ分布が均一とすることができる。
【0036】
<本実施形態の効果>
このように構成した誘導発熱ローラ装置100によれば、電源回路5により複数の誘導コイル32それぞれに供給する電力を個別に制御することで、ローラ本体2の軸方向における所望の位置における熱膨張量を調整することができる。そして、本実施形態では、冷却機構6によりローラ本体2を冷却しているので、被加熱物Wがローラ本体2から奪う負荷熱量が小さい場合であっても、被加熱物Wの厚さ分布の均一化に必要な負荷熱量を冷却機構6により補うことができるので、被加熱物Wがローラ本体2から奪う負荷熱量に関わらず、ローラ本体2の軸方向における所望の位置における熱膨張量を調整することができる。さらに、本実施形態の誘導発熱ローラ装置100を用いてシート状の被加熱物Wの圧延処理を行う場合に、ニップ圧力を均一にすることができ、高品質なシート状製品を製造することが可能となる。
【0037】
<その他の変形実施形態>
例えば、図4に示すように、冷却機構6がローラ本体2の側周壁においてジャケット室2Aよりも径方向内側に形成された冷媒流通路21に冷媒を供給するものであっても良い。冷媒流通路21は、周方向に複数且つ等間隔に形成されている。冷却機構6は、冷媒流通路21に対して例えばローラ本体の一方のジャーナル4に形成された冷媒導入ポートから冷媒を供給し、他方のジャーナル4に形成された冷媒導出ポートから冷媒を導出する。
【0038】
また、図5に示すように、冷却機構6がローラ本体2の内面において複数の誘導コイル32に対向する部分それぞれに個別に冷媒を供給するものであることが望ましい。具体的に冷却機構6は、複数の冷媒供給口63を有しており、複数の冷媒供給口63それぞれから冷媒を供給する/供給しないを切り替えることができる。例えば、冷却機構6は、複数の冷媒供給口63それぞれが形成された複数の供給管64を有し、当該複数の供給管64それぞれに開閉弁(不図示)を設けることが考えられる。なお、冷媒供給口63の数は、誘導コイル32の数と同じであっても良いし、異なっていても良い。この構成であれば、ローラ本体2の内面における所定部位の局所的な低温化が可能となり、熱膨張による変形代の軸方向における相対差(熱膨張差)を最大化することができる。
【0039】
その他、本発明は前記実施形態に限られず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であるのは言うまでもない。
【符号の説明】
【0040】
100・・・誘導発熱ローラ装置
2 ・・・ローラ本体
2A ・・・ジャケット室
32 ・・・複数の誘導コイル
5 ・・・電源回路
6 ・・・冷却機構
7 ・・・冷却機構制御部
21 ・・・冷媒流通路
図1
図2
図3
図4
図5