(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-18
(45)【発行日】2024-12-26
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、プログラム及びX線分析装置
(51)【国際特許分類】
G01N 23/20 20180101AFI20241219BHJP
G01N 23/201 20180101ALI20241219BHJP
G01N 23/207 20180101ALI20241219BHJP
【FI】
G01N23/20
G01N23/20 400
G01N23/201
G01N23/207
(21)【出願番号】P 2021203145
(22)【出願日】2021-12-15
【審査請求日】2023-12-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000250339
【氏名又は名称】株式会社リガク
(74)【代理人】
【識別番号】110002789
【氏名又は名称】弁理士法人IPX
(72)【発明者】
【氏名】姫田 章宏
(72)【発明者】
【氏名】太田 卓見
【審査官】右▲高▼ 孝幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-121613(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 23/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理装置であって、
制御部を有し、
前記制御部は、
薄膜からのX線の強度に関する入力プロファイル結果と、前記入力プロファイル結果の解析プロファイル結果と、をニューラルネットワークに入力することで、前記解析プロファイル結果を診断した診断結果を出力し、
前記ニューラルネットワークは、薄膜からのX線の強度に関する入力プロファイルデータと、前記入力プロファイルデータから得られる解析プロファイルデータと、を入力データとし、前記解析プロファイルデータを診断した診断データを出力データとする教師データを機械学習させたニューラルネットワークであ
り、
前記解析プロファイルデータには、最適な解析プロファイルデータである正解プロファイルデータ又は前記正解プロファイルデータではない偽解プロファイルデータが含まれる、
情報処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の情報処理装置において、
前記偽解プロファイルデータに対応する前記診断データには、偽解と診断した理由が含まれる、
情報処理装置。
【請求項3】
請求項2に記載の情報処理装置において、
前記偽解と診断した理由は、前記薄膜の構造、膜厚、粗さ、密度、状態、構成される元素、格子定数及びサイズ分布のうちいずれか1つ以上に関する理由である、
情報処理装置。
【請求項4】
請求項1から
請求項3までの何れか1つに記載の情報処理装置において、
複数の前記入力データには、同一の前記入力プロファイルデータが含まれ、
一の前記入力プロファイルデータには、前記正解プロファイルデータが対応付けられ、
他の前記入力プロファイルデータには、前記偽解プロファイルデータが対応付けられている、
情報処理装置。
【請求項5】
請求項1から
請求項4までの何れか1つに記載の情報処理装置において、
表示部を有し、
前記制御部は、
前記ニューラルネットワークに基づき、前記解析プロファイル結果が偽解であると診断した場合は、偽解と診断した理由を前記表示部に表示する、
情報処理装置。
【請求項6】
情報処理装置であって、
制御部と、記憶部と、を有し、
前記制御部は、
薄膜からのX線の強度に関する入力プロファイルデータと、前記入力プロファイルデータから得られる解析プロファイルデータと、を入力データとし、前記解析プロファイルデータを診断した診断データを出力データとする教師データを機械学習させたニューラルネットワークを生成し、前記ニューラルネットワークのデータを前記記憶部に記憶
し、
前記解析プロファイルデータには、最適な解析プロファイルデータである正解プロファイルデータ又は前記正解プロファイルデータではない偽解プロファイルデータが含まれる、
情報処理装置。
【請求項7】
情報処理装置であって、
制御部と、記憶部と、を有し、
前記制御部は、
薄膜からのX線の強度に関する入力プロファイルデータと、前記入力プロファイルデータから得られる解析プロファイルデータと、を入力データとし、前記解析プロファイルデータを診断した診断データを出力データとする教師データを機械学習させたニューラルネットワークを生成し、前記ニューラルネットワークのデータを前記記憶部に記憶し、
前記解析プロファイルデータには、最適な解析プロファイルデータである正解プロファイルデータと、前記正解プロファイルデータではない偽解プロファイルデータと、が含まれ、
前記制御部は、
前記偽解プロファイルデータに対して、前記診断データとして、偽解と診断した理由の入力を受け付ける、
情報処理装置。
【請求項8】
情報処理装置が実行する情報処理方法であって、
薄膜からのX線の強度に関する入力プロファイル結果と、前記入力プロファイル結果の解析プロファイル結果と、をニューラルネットワークに入力することで、前記解析プロファイル結果を診断した診断結果を出力させ、
前記ニューラルネットワークは、薄膜からのX線の強度に関する入力プロファイルデータと、前記入力プロファイルデータから得られる解析プロファイルデータと、を入力データとし、前記解析プロファイルデータを診断した診断データを出力データとする教師データを機械学習させたニューラルネットワークであ
り、
前記解析プロファイルデータには、最適な解析プロファイルデータである正解プロファイルデータ又は前記正解プロファイルデータではない偽解プロファイルデータが含まれる、
情報処理方法。
【請求項9】
プログラムであって、
コンピュータを、請求項1から
請求項7までの何れか1項に記載の情報処理装置の制御部として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、反射率測定、ロッキングカーブ測定、GI-SAXS(Grazing incidence Small-angle X-ray Scattering)測定等により薄膜を分析する際、機械学習を用いて薄膜に関するパラメータの妥当性を診断する情報処理装置、情報処理方法、プログラム及びX線分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
X線分析装置を用いた薄膜の分析では、薄膜からのX線強度を表すプロファイル結果を取得し、薄膜の構造モデルから生成されるプロファイルとのフィッティングを行い、薄膜に関するパラメータを決定する。例えば、反射率測定では、X線強度は薄膜からの反射強度であり、パラメータは薄膜の膜厚、密度、粗さ等である。ロッキングカーブ測定では、X線強度は薄膜からの回折強度であり、パラメータは薄膜の格子定数、膜厚、組成等である。GI-SAXSでは、X線強度は薄膜からの散乱強度であり、パラメータは薄膜の空隙径、粒径等のサイズ分布である。また、これらの解析では、薄膜の構造モデルのパラメータを、評価値を目安に最適化することによって、解析結果の妥当性を判断している。
【0003】
特許文献1には、X線回折による分析において、X線分析の熟練者でなくとも、簡単な操作により、薄膜の膜厚や組成を解析できる技術が開示されている。解析の評価値にはR値が用いられており、R値を小さくするように薄膜のパラメータを最適化する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような手法により取得したデータが正確であるか否かについては、R値だけを用いて判定することは難しく、依然としてX線分析の熟練者が確認する必要があり、X線分析の熟練者でなくとも、取得したデータが正確であるか否かを確かめられる技術が求められていた。
【0006】
本発明の一つは、このような問題を解決するためになされたもので、反射率測定、ロッキングカーブ測定、GI-SAXS測定等の測定結果を薄膜構造解析したデータから、薄膜に関するパラメータの妥当性を診断するX線分析装置等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によれば、情報処理装置が提供される。この情報処理装置は、制御部を有する。制御部は、薄膜からのX線の強度に関する入力プロファイル結果と、入力プロファイル結果の解析プロファイル結果と、をニューラルネットワークに入力することで、解析プロファイル結果を診断した診断結果を出力する。ニューラルネットワークは、薄膜からのX線の強度に関する入力プロファイルデータと、入力プロファイルデータから得られる解析プロファイルデータと、を入力データとし、解析プロファイルデータを診断した診断データを出力データとする教師データを機械学習させたニューラルネットワークである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、測定プロファイルを説明する図である。
【
図2】
図2は、測定シミュレーションプロファイルを説明する図である。
【
図3】
図3は、解析プロファイルを説明する図である。
【
図4】
図4は、マインドマップの一例を示す図である。
【
図5】
図5は、情報処理システムのシステム構成の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、クライアントコンピュータのハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図7】
図7は、サーバコンピュータのハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図8】
図8は、クライアントコンピュータの機能構成の一例を示す図である。
【
図9】
図9は、サーバコンピュータの機能構成の一例を示す図である。
【
図10】
図10は、学習までの情報処理の一例を示すアクティビティ図である。
【
図11】
図11は、診断までの情報処理の一例を示すアクティビティ図である。
【
図12】
図12は、ニューラルネットワークを用いた学習時における情報処理の一例を示す図である。
【
図13】
図13は、学習済みニューラルネットワークを用いた診断時における情報処理の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を用いて本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態中で示した各種特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。
【0010】
[定義]
本実施形態に登場するソフトウェアを実現するためのプログラムは、コンピュータが読み取り可能な非一時的な記録媒体(Non-Transitory Computer-Readable Medium)として提供されてもよいし、外部のサーバからダウンロード可能に提供されてもよいし、外部のコンピュータで当該プログラムを起動させてクライアント端末でその機能を実現(いわゆるクラウドコンピューティング)するように提供されてもよい。
【0011】
本実施形態において「部」とは、例えば、広義の回路によって実施されるハードウェア資源と、これらのハードウェア資源によって具体的に実現されうるソフトウェアの情報処理とを合わせたものも含みうる。また、本実施形態においては様々な情報を取り扱うが、これら情報は、例えば電圧・電流を表す信号値の物理的な値、0又は1で構成される2進数のビット集合体としての信号値の高低、又は量子的な重ね合わせ(いわゆる量子ビット)によって表され、広義の回路上で通信・演算が実行されうる。
【0012】
広義の回路とは、回路(Circuit)、回路類(Circuitry)、プロセッサ(Processor)、及びメモリ(Memory)等を少なくとも適当に組み合わせることによって実現される回路である。すなわち、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等を含むものである。
【0013】
パラメータは、薄膜の膜厚、密度、粗さ、組成、格子定数及びサイズ分布のうち、1以上を有する情報である。より具体的には、反射率測定におけるパラメータには、薄膜の膜厚、密度及び粗さが含まれる。また、ロッキングカーブ測定におけるパラメータには、薄膜の膜厚、組成が含まれる。更に、GI-SAXS測定におけるパラメータには、薄膜の空隙径、粒径等のサイズ分布が含まれる。本明細書では、パラメータ結果及びパラメータデータの何れも含む概念として、パラメータという用語が用いられる。
【0014】
図1は、測定プロファイルを説明する図である。測定プロファイルは、X線分析装置で測定した薄膜のX線強度を表すデータである。測定プロファイルを解析することにより、薄膜のパラメータを取得することが可能である。
【0015】
図2は、測定シミュレーションプロファイルを説明する図である。測定シミュレーションプロファイルは、薄膜を形成するパラメータに基づいて設定される膜モデルについて、X線強度をシミュレーションし、ポアソン分布等の統計学又は確率論に従うノイズを付加することで生成される。
【0016】
図3は、解析プロファイルを説明する図である。解析プロファイルは、解析することで取得した薄膜のパラメータについて、プロファイルをシミュレーションすることによって得られる。より具体的な解析プロファイルの取得プロセスの一例として、測定プロファイル等の入力プロファイルについて、所定の計算式を適用することによって、いくつかのパターンの薄膜のパラメータが推定される。次に、一のパラメータについて、プロファイルをシミュレーションすることで解析プロファイルを取得することができる。このとき、解析プロファイルと、入力プロファイルと、の一致度等から、選択されたパラメータの妥当性が検証される。本明細書では、最も妥当性が高い解析プロファイルについては、正解プロファイルと称され、それ以外の解析プロファイルについては、偽解プロファイルと称される。
【0017】
本明細書では、測定プロファイル、測定シミュレーションプロファイル及び解析プロファイルの何れも含む概念として、プロファイルという用語が用いられる。また、測定プロファイル及び測定シミュレーションプロファイルを含む概念として入力プロファイルという用語が用いられる。更に、本明細書では、プロファイル結果及びプロファイルデータの何れも含む概念としても、プロファイルという用語が用いられる。
【0018】
図4は、X線解析における熟練者のマインドマップの一例を示す図である。
マインドマップは、熟練者のX線解析の思考を具体化したものである。
図4には、中心に入力プロファイルがあり、入力プロファイルに対する解析プロファイルの一致度合い毎に枝分かれしている。具体的には、入力プロファイルから、解析プロファイルが合理的に一致している場合と、似ているが一致しない場合と、全く一致しない場合と、で枝分かれしている。
合理的に一致している場合は、入力プロファイルと解析プロファイルが合理的に一致していることを示している。このときの解析プロファイルは、正解プロファイルである。
また、似ているが一致しない場合は、入力プロファイルと解析プロファイルとの間に、膜厚、密度、粗さ、物質等の不一致が生じていることを示しており、原因毎に更に枝分かれしている。全く一致しない場合は、設計した構造が誤っていたり、サンプルに異常が生じていたり、膜が厚すぎたり、測定時に何かしら問題が生じていたり等の原因が考えられることを示している。似ているが一致しない場合及び全く一致しない場合の解析プロファイルは、偽解プロファイルである。なお、物質とは、構成元素及びその構成元素の構造を指す。また、上記は、反射率測定のマインドマップを例に説明しているが、ロッキングカーブ測定及びGI-SAXS測定についても同様である。
【0019】
[実施形態1]
実施形態1では、サーバ側で、ニューラルネットワークの学習を行い、クライアント側で、その学習済みニューラルネットワークを用いて解析プロファイル結果の正しさを検証する場合について説明する。より具体的には、サービスを提供するサーバ側では、X線分析の熟練者が専門知識に基づいて、教師データの作成、ニューラルネットワークの設定、ニューラルネットワークへの学習等が行われ、サービスを享受するクライアント側では、サーバ側で設定した学習済みニューラルネットワークのデータを用いて、熟練者と同等の検証が行われる場合について説明する。
【0020】
1.システム構成
図5は、実施形態1に係る情報処理システム1000のシステム構成の一例を示す図である。
図5に示されるように、情報処理システム1000には、クライアントコンピュータ100と、サーバコンピュータ200と、ネットワーク300と、X線分析装置400と、連絡部500と、が含まれる。クライアントコンピュータ100は、ネットワーク300を介して、サーバコンピュータ200と通信可能に構成される。また、クライアントコンピュータ100は、連絡部500を介して、X線分析装置400と通信可能に構成される。これにより、クライアントコンピュータ100は、サーバコンピュータ200及びX線分析装置400と相互に情報を送信又は受信する。なお、クライアントコンピュータ100及びサーバコンピュータ200は、情報処理装置の一例であり、膜構造解析が可能な装置であればよく、本実施形態に限定されるものではない。すなわち、クライアントコンピュータ100及びサーバコンピュータ200は、PC(Personal Computer)、タブレット型コンピュータ、スマートフォン等であってもよい。また、連絡部500は、有線又は無線接続の何れで構成されてもよい。
【0021】
2.ハードウェア構成
次に、クライアントコンピュータ100、サーバコンピュータ200及びX線分析装置400のハードウェア構成について説明する。
2.1.クライアントコンピュータ100のハードウェア構成
図6は、クライアントコンピュータ100のハードウェア構成の一例を示す図である。
図6に示されるように、クライアントコンピュータ100は、制御部110と、記憶部120と、通信部130と、入力部140と、出力部150と、を有し、これらの構成要素がクライアントコンピュータ100の内部において通信バスを介して電気的に接続されている。クライアントコンピュータ100は、実施形態に係る処理を実行する。
【0022】
制御部110は、クライアントコンピュータ100に関連する全体動作の処理及び制御を行う。制御部110は、例えば中央処理装置(Central Processing Unit:CPU)である。制御部110が、記憶部120に記憶された所定のプログラムを読み出し、プログラムに基づき処理を実行することによって、クライアントコンピュータ100に係る種々の機能、例えば、後述する
図8及び
図9に示される処理が実現される。なお、制御部110は単一であることに限定されず、機能ごとに複数の制御部110を有するように実施してもよい。またそれらの組合せであってもよい。
【0023】
記憶部120は、前述の記載により定義される様々な情報を記憶する。これは、例えば、制御部110によって実行されるクライアントコンピュータ100に係る種々のプログラム等を記憶するソリッドステートドライブ(Solid State Drive:SSD)等のストレージデバイスとして、プログラムの演算に係る一時的に必要な情報(引数、配列等)を記憶するランダムアクセスメモリ(Random Access Memory:RAM)等のメモリとして実施されうる。記憶部120は、制御部110によって実行されるクライアントコンピュータ100に係る種々のプログラム、変数及び制御部110がプログラムに基づき処理を実行する際に用いるデータ等を記憶している。記憶部120は、記憶媒体の一例である。
【0024】
通信部130は、USB、IEEE1394、Thunderbolt、有線LANネットワーク通信等といった有線型の通信手段が好ましいものの、無線LANネットワーク通信、LTE/3G/4G/5G等のモバイル通信、Bluetooth(登録商標)通信等を必要に応じて含めてもよい。すなわち、これら複数の通信手段の集合として実施することがより好ましい。すなわち、クライアントコンピュータ100は、通信部130を介して、外部から種々の情報を通信してもよい。
【0025】
入力部140は、クライアントコンピュータ100の筐体に含まれてもよいし、外付けされてもよい。例えば、入力部140は、出力部150と一体となってタッチパネルとして実施されてもよい。タッチパネルであれば、ユーザは、タップ操作、スワイプ操作等を入力することが可能である。もちろん、タッチパネルに代えて、スイッチボタン、マウス、QWERTYキーボード等を採用してもよい。すなわち、入力部140がユーザによってなされた操作に基づく入力を受け付ける。当該入力が命令信号として、通信バスを介して制御部110に転送され、制御部110が必要に応じて所定の制御又は演算を実行しうる。
【0026】
出力部150は、クライアントコンピュータ100の表示部として機能することが可能である。出力部150は、例えば、クライアントコンピュータ100の筐体に含まれてもよいし、外付けされてもよい。出力部150は、ユーザが操作可能なグラフィカルユーザインターフェース(Graphical User Interface:GUI)の画面を表示する。これは例えば、CRTディスプレイ、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ及びプラズマディスプレイ等の表示デバイスを、クライアントコンピュータ100の種類に応じて使い分けて実施することが好ましい。
【0027】
2.2.サーバコンピュータ200のハードウェア構成
図7は、サーバコンピュータ200のハードウェア構成の一例を示す図である。
図7に示されるように、サーバコンピュータ200は、制御部210と、記憶部220と、通信部230と、入力部240と、出力部250と、を有し、これらの構成要素がサーバコンピュータ200の内部において通信バスを介して電気的に接続されている。サーバコンピュータ200の各ハードウェア構成の詳細については、クライアントコンピュータ100を参照されたい。
【0028】
2.3.X線分析装置400のハードウェア構成
X線分析装置400は、X線源と、試料と、検出器とを有する。X線源からX線が照射され、試料からのX線を検出器が検出することで、測定プロファイルを取得する。X線分析装置400とクライアントコンピュータ100とは、連絡部500を介して、通信可能に構成されており、測定開始の指示、測定プロファイル等の情報の送受信を行う。
【0029】
3.機能構成
以下、クライアントコンピュータ100及びサーバコンピュータ200の機能構成について説明する。
3.1.クライアントコンピュータ100の機能構成
図8は、クライアントコンピュータ100の機能構成の一例を示す図である。
図8に示されるように、クライアントコンピュータ100は、入力処理部101と、出力処理部102と、シミュレーション部103と、薄膜構造解析部104と、推論部105と、を有する。
【0030】
入力処理部101は、クライアントコンピュータ100への信号の入力に関する処理を制御する。
【0031】
出力処理部102は、クライアントコンピュータ100からの信号の出力に関する処理を制御する。
【0032】
シミュレーション部103は、薄膜の物質及びパラメータを基に、シミュレーションを実行し、プロファイルを取得する。
【0033】
薄膜構造解析部104は、プロファイルから、パラメータを取得する。
【0034】
推論部105は、学習済みニューラルネットワークに解析プロファイル結果を入力することで、解析プロファイル結果の診断結果を推論する。
【0035】
3.2.サーバコンピュータ200の機能構成
図9は、サーバコンピュータ200の機能構成の一例を示す図である。
図9に示されるように、サーバコンピュータ200は、入力処理部201と、出力処理部202と、モデル設定部203と、シミュレーション部204と、薄膜構造解析部205と、学習部206と、を有する。
【0036】
モデル設定部203は、薄膜の各層毎のパラメータの設定に基づいて、薄膜のモデルを取得する。
【0037】
学習部206は、教師データを用いてニューラルネットワークに学習させる。
【0038】
サーバコンピュータ200の入力処理部201と、出力処理部202と、シミュレーション部204と、薄膜構造解析部205と、の詳細については、クライアントコンピュータ100の入力処理部101と、出力処理部102と、シミュレーション部103と、薄膜構造解析部104と、をそれぞれ参照されたい。
【0039】
4.情報処理方法
本節では、前述したクライアントコンピュータ100、サーバコンピュータ200及びX線分析装置400によって実行される情報処理の例について説明する。
【0040】
4.1.情報処理の概要
図10及び
図11を用いて、情報処理の概要を説明する。
図10は、学習までの情報処理の一例を示すアクティビティ図である。
【0041】
A101において、サーバコンピュータ200の入力処理部201は、入力部240を介して、入力プロファイルデータを取得する。このとき、入力処理部201は、正解プロファイルデータと1以上の偽解プロファイルデータを取得するために、複数の同一の入力プロファイルデータを予め取得する。入力プロファイルデータを取得する具体的な手段として、例えば、モデル設定部203は、薄膜の各層毎の物質及びパラメータの設定に基づいて、薄膜のモデルを取得する。そして、シミュレーション部204は、この薄膜のモデルの物質及びパラメータを基に測定シミュレーションプロファイルデータを作成してもよい。また、例えば、入力処理部201は、X線分析装置400から測定プロファイルデータを取得してもよい。更に、入力処理部201は、これらの測定シミュレーションプロファイルデータ又は測定プロファイルデータを複製することで、複数の同一の入力プロファイルデータを取得する。
【0042】
A102において、入力処理部201は、入力部240を介して、取得した入力プロファイルデータについてX線分析の指示を受け付ける。このとき、入力処理部201は、複数の同一の入力プロファイルデータについて、正解のパラメータと1以上の偽解のパラメータが取得できるように解析の設定の入力を受け付ける。
【0043】
A103において、薄膜構造解析部205は、入力プロファイルデータを解析することで、パラメータを取得する。すなわち、薄膜構造解析部205は、複数の同一の入力プロファイルデータについて、正解のパラメータと1以上の偽解のパラメータが取得できるように解析する。
【0044】
A104において、シミュレーション部204は、正解のパラメータと1以上の偽解のパラメータのそれぞれについて、プロファイルをシミュレーションすることで、複数の解析プロファイルデータを取得する。すなわち、複数の解析プロファイルデータには、最適な解析プロファイルデータである正解プロファイルデータと、正解プロファイルデータではない偽解プロファイルデータと、が含まれる。
【0045】
A105において、入力処理部201は、解析プロファイルを取得したと判定した場合、入力部240を介して、診断データとして、正解プロファイルデータに対して正解である旨の入力を、偽解プロファイルデータに対して偽解と診断した理由の入力をそれぞれ受け付ける。入力処理部201は、これらのデータの入力を受け付けるまで待機する。
【0046】
A106において、入力処理部201は、診断データの入力を受け付けたと判定した場合、処理をニューラルネットワークの設定に進める。具体的には、入力処理部201は、各層のニューロン数、中間層に含まれる層の枚数、層の種類、活性化関数等のニューラルネットワークの設定を受け付ける。
【0047】
A107において、入力処理部201は、入力部240を介して、学習の開始の指示を受け付ける。
【0048】
A108において、学習部206は、教師データを用いて、ニューラルネットワークに学習させる。すなわち、学習部206は、薄膜からのX線の強度に関する入力プロファイルデータと、入力プロファイルデータから得られる解析プロファイルデータと、を入力データとし、解析プロファイルデータを診断した診断データを出力データとする教師データを機械学習させたニューラルネットワークを生成する。学習部206は、学習済みニューラルネットワークから、最適化された重み及びバイアスに関するパラメータを取得する。本実施形態において、膜厚等の薄膜に関するパラメータと区別するために、このニューラルネットワークに関するパラメータを、NN(Neural Network)パラメータと称する。なお、本実施形態において、NNパラメータは、重み及びバイアス関する情報を含むものとして説明されているが、重み及びバイアスの他に各層のニューロン数、中間層に含まれる層の枚数、層の種類、活性化関数等の情報が含まれるものとして扱われてもよい。
【0049】
A109において、出力処理部202は、ニューラルネットワークの設定、最適化したNNパラメータ等のニューラルネットワークのデータを記憶部220に記憶する。その後、出力処理部202は、ニューラルネットワークのデータを保存したこと及び学習が終了したことを出力部250に表示する。
【0050】
これにより、熟練者のマインドを学習させたニューラルネットワークを設定することができる。
【0051】
図11は、診断までの情報処理の一例を示すアクティビティ図である。
A201において、入力処理部101は、入力部140を介して、X線分析装置400によるX線分析測定の開始の指示を受け付ける。
A202において、出力処理部102は、通信部130及び連絡部500を介して、X線分析装置400に測定の開始の指示を送信する。
【0052】
A203において、X線分析装置400は、連絡部500を介して、クライアントコンピュータ100から測定の開始の指示を受信する。
A204において、X線分析装置400は、薄膜にX線を入射させ、薄膜から反射、回折又は散乱したX線から測定プロファイル結果を取得する。
A205において、X線分析装置400は、連絡部500を介して、取得した測定プロファイル結果をクライアントコンピュータ100に送信する。
【0053】
A206において、入力処理部101は、通信部130及び連絡部500を介して、X線分析装置400から測定プロファイル結果を受信する。
A207において、入力処理部101は、入力部140を介して、測定プロファイル結果の解析を受け付ける。
A208において、薄膜構造解析部104は、測定プロファイル結果を解析し、パラメータを予測する。その後、シミュレーション部103は、予測したパラメータを基に、プロファイルをシミュレーションし、解析プロファイル結果を取得する。
A209において、入力処理部101は、入力部140を介して、取得した解析プロファイル結果の診断の開始の指示を受け付ける。
A210において、診断の開始の指示を受け付けた場合、出力処理部102は、通信部130及びネットワーク300を介して、ニューラルネットワークのデータの要求をサーバコンピュータ200に送信する。
【0054】
A211において、サーバコンピュータ200の入力処理部201は、ネットワーク300及び通信部230を介して、要求を受信する。
A212において、出力処理部202は、通信部230及びネットワーク300を介して、ニューラルネットワークのデータを送信する。
【0055】
A213において、クライアントコンピュータ100の入力処理部101は、通信部130及びネットワーク300を介して、ニューラルネットワークのデータを受信する。
A214において、出力処理部102は、ニューラルネットワークのデータに基づいて、学習済みニューラルネットワークを設定する。
A215において、推論部105は、測定プロファイル結果及び測定プロファイル結果から取得した解析プロファイル結果を学習済みニューラルネットワークに入力することで、解析プロファイル結果の診断結果を取得する。すなわち、推論部105は、学習済みニューラルネットワークに基づき、解析プロファイル結果が偽解であるか否か診断する。
A216において、出力処理部102は、診断結果を出力部150に表示する。このとき、解析プロファイル結果が正解である場合には、出力処理部102は、正解である旨を出力部150に表示する。また、解析プロファイル結果が偽解である場合は、出力処理部102は、偽解と診断した理由を出力部150に表示する。
これにより、熟練者のマインドを学習させたニューラルネットワークを用いて、自己の解析結果の妥当性を検証することができる。
【0056】
図12は、ニューラルネットワークを用いた学習時における情報処理の一例を示す図である。
図12には、教師データ700、710、720及びニューラルネットワーク800が含まれる。教師データ700、710、720には、同一の入力プロファイルデータ701、711、721が含まれる。一の入力プロファイルデータ701には、正解プロファイルデータ702が対応付けられる。正解プロファイルデータ702に対応する診断データ703には、「正しく解析されています」等の正解と診断したコメントが含まれる。また、他の入力プロファイルデータ711、721には、偽解プロファイルデータ712、722が対応付けられている。偽解プロファイルデータ712、722に対応する診断データ713、723には、「層Aの膜厚が薄いことが示唆されます」、「層Aの密度が低いことが示唆されます」等の偽解と診断した理由に関するコメントが含まれる。ここで、偽解と診断した理由は、薄膜の構造、膜厚、粗さ、密度、状態、構成される元素、格子定数及びサイズ分布に関する理由である。ここで、構造の理由には、構造が正しくない、層が多い又は足りない等の理由が含まる。また、膜厚の理由には、膜厚が厚い又は薄い等の理由が含まれる。更に、粗さの理由には、粗さが大きい又は小さい等の理由が含まれる。また、密度の理由には、密度が大きい又は小さい等の理由が含まれる。更に、状態の理由には、試料が粗すぎる、試料が厚すぎる、試料が曲がっている、試料が整っていない等の理由が含まれる。また、構成される元素の理由には、元素が一致していない等の理由が含まれる。また、格子定数の理由には、格子定数が大きい又は小さい等の理由が含まれる。更に、サイズ分布の理由には、分布の形状が異なる等の理由が含まれる。また、偽解と診断した理由には、測定上の失敗に関する理由が含まれてもよい。なお、偽解と診断した理由は、これらの理由を任意に組み合わせて構成されてもよい。また、ニューラルネットワーク800には、入力層、中間層及び出力層が含まれる。
【0057】
サーバコンピュータ200の学習部206は、薄膜からのX線の強度に関する入力プロファイルデータ701、711、721と、前記入力プロファイルデータ701、711、721から得られる正解プロファイルデータ702及び偽解プロファイルデータ712、722と、を入力データとし、正解プロファイルデータ702及び偽解プロファイルデータ712、722に対応する診断データ703、713、723を出力データとする教師データをニューラルネットワーク800に機械学習させる。
これにより、熟練者のマインドを学習させたニューラルネットワークを設定することができる。
【0058】
図13は、学習済みニューラルネットワーク810を用いた診断時における情報処理の一例を示す図である。
図13には、入力データ730及び学習済みニューラルネットワーク810が含まれる。学習済みニューラルネットワーク810は、薄膜からのX線の強度に関する入力プロファイルデータ701、711、721と、入力プロファイルデータ701、711、721から得られる正解プロファイルデータ702及び偽解プロファイルデータ712、722と、を入力データとし、正解プロファイルデータ702及び偽解プロファイルデータ712、722を診断した診断データ703、713、723を出力データとする教師データを機械学習させたニューラルネットワークである。
【0059】
クライアントコンピュータ100の推論部105は、薄膜からのX線の強度に関する入力プロファイル結果731と、入力プロファイル結果731の解析プロファイル結果732と、を学習済みニューラルネットワーク810に入力することで、「層Aの膜厚が薄いことが示唆されます」等のコメント733を出力する。コメント733は、診断結果の一例である。
これにより、熟練者のマインドを学習させたニューラルネットワークを用いて、自己の解析結果の妥当性を検証することができる。
【0060】
以上、実施形態1によれば、取得した解析プロファイルが正確であるか否かについては、X線分析の熟練者でなくとも、取得したデータが正確であるか否かを確かめることができる。また、クライアントコンピュータの制御部の処理負荷を下げつつ、取得したデータが正確であるか否かを確かめることができる。更に、クライアントコンピュータの制御部のキャッシュメモリの使用も少なくすることができる。また、種々の検証方法と比較して、大掛かりな装置又はコンピュータ等を必要としないため、安価に検証を実行することができる。
【0061】
[実施形態2]
次に、解析プロファイル結果の診断をサーバコンピュータで実行する場合について説明する。
【0062】
1.システム構成
実施形態2の情報処理システムは、実施形態1の構成と同様である。
【0063】
2.ハードウェア構成
実施形態2のクライアントコンピュータ、サーバコンピュータ及びX線分析装置の各ハードウェア構成については、実施形態1の構成と同様である。
【0064】
3.機能構成
実施形態2のクライアントコンピュータは、実施形態1と比較して、推論部を有さない。一方で、実施形態2のサーバコンピュータは、実施形態1と比較して、推論部を有する。
【0065】
4.情報処理方法
実施形態2では、解析プロファイル結果の診断がサーバコンピュータで実行される。
すなわち、実施形態2では、実施形態1と比較して、実施形態1のA209からA215までの処理が別の処理に置き換わる。
【0066】
具体的には、実施形態1のA208にて、クライアントコンピュータが解析プロファイル結果を取得した後に、クライアントコンピュータの入力処理部は、サーバコンピュータで解析結果を診断する指示を受け付けるまで待機する。
クライアントコンピュータの出力処理部は、サーバコンピュータで解析結果を診断する指示を受け付けたと判断した場合、通信部及びネットワークを介して、測定プロファイル結果と、解析プロファイル結果と、解析結果を診断する指示をサーバコンピュータに送信する。
【0067】
サーバコンピュータの入力処理部は、ネットワーク及び通信部を介して、測定プロファイル結果と、解析プロファイル結果と、解析結果を診断する指示を受信する。
サーバコンピュータの出力処理部は、解析結果を診断する指示を受信したと判定した場合、記憶部からNNパラメータ及びニューラルネットワークの設定を取得し、学習済みニューラルネットワークを設定する。
サーバコンピュータの推論部は、測定プロファイル結果及び測定プロファイル結果から取得した解析プロファイル結果を学習済みニューラルネットワークに入力することで、解析プロファイル結果の診断結果を取得する。
サーバコンピュータの出力処理部は、通信部及びネットワークを介して、診断結果をクライアントコンピュータに送信する。
【0068】
クライアントコンピュータの入力処理部は、診断結果を受信する。
最後に、クライアントコンピュータの出力処理部は、診断結果を受信したと判定した場合、出力部に診断結果を表示する。
以上、実施形態2によれば、外部のサーバによる機械学習のサービスを提供することができる。
【0069】
[実施形態3]
次に、解析プロファイル結果の診断を1台のコンピュータで実行する場合について説明する。
【0070】
1.システム構成
実施形態3の情報処理システムは、実施形態1と比較して、サーバコンピュータ及びネットワークを有さない構成である。また、実施形態3において、実施形態1のクライアントコンピュータ100に相当する構成は、コンピュータと称される。
【0071】
2.ハードウェア構成
実施形態3のコンピュータ及びX線分析装置の各ハードウェア構成については、実施形態1のクライアントコンピュータ100及びX線分析装置400の構成と同様である。
【0072】
3.機能構成
実施形態3のコンピュータは、入力処理部と、出力処理部と、モデル設定部と、シミュレーション部と、薄膜構造解析部と、学習部と、推論部と、を有する。各機能構成の詳細については、実施形態1を参照されたい。
4.情報処理方法
実施形態3では、実施形態1と比較して、コンピュータ間での情報の送受信が行われず、全ての処理が1つのコンピュータで行われる。
すなわち、実施形態3では、A210からA213までの情報の送受信の処理が実行されない。また、A101からA109までの処理と、A201及びA202の処理と、A206からA209までの処理と、A214からA216までの処理と、が同一のコンピュータ上で実行される。
以上、実施形態3によれば、ネットワークに接続しなくても、取得したデータが正確であるか否かを確かめることができる。
【0073】
[その他]
実施形態1から実施形態3までにおいて、教師データを用いる教師あり学習について説明をしたが、変形例として、強化学習が実行されてもよい。具体的には、学習部は、新たに取得した測定プロファイル結果、解析プロファイル結果及び診断結果を基に、更にニューラルネットワークを最適化してもよい。
また、実施形態1から3までにおいて、CNN(Convolutional Neural Network)、RNN(Recurrent Neural Network)等の種々のニューラルネットワークが任意に適用されてもよい。
【0074】
次に記載の各態様で提供されてもよい。
前記情報処理装置において、前記解析プロファイルデータには、最適な解析プロファイルデータである正解プロファイルデータ又は前記正解プロファイルデータではない偽解プロファイルデータが含まれる、情報処理装置。
前記情報処理装置において、前記偽解プロファイルデータに対応する前記診断データには、偽解と診断した理由が含まれる、情報処理装置。
前記情報処理装置において、前記偽解と診断した理由は、前記薄膜の構造、膜厚、粗さ、密度、状態、構成される元素、格子定数及びサイズ分布のうちいずれか1つ以上に関する理由である、情報処理装置。
前記情報処理装置において、複数の前記入力データには、同一の前記入力プロファイルデータが含まれ、一の前記入力プロファイルデータには、前記正解プロファイルデータが対応付けられ、他の前記入力プロファイルデータには、前記偽解プロファイルデータが対応付けられている、情報処理装置。
前記情報処理装置において、表示部を有し、前記制御部は、前記ニューラルネットワークに基づき、前記解析プロファイル結果が偽解であると診断した場合は、偽解と診断した理由を前記表示部に表示する、情報処理装置。
情報処理装置であって、制御部と、記憶部と、を有し、前記制御部は、薄膜からのX線の強度に関する入力プロファイルデータと、前記入力プロファイルデータから得られる解析プロファイルデータと、を入力データとし、前記解析プロファイルデータを診断した診断データを出力データとする教師データを機械学習させたニューラルネットワークを生成し、前記ニューラルネットワークのデータを前記記憶部に記憶する、情報処理装置。
前記情報処理装置において、前記解析プロファイルデータには、最適な解析プロファイルデータである正解プロファイルデータと、前記正解プロファイルデータではない偽解プロファイルデータと、が含まれ、前記制御部は、前記偽解プロファイルデータに対して、前記診断データとして、偽解と診断した理由の入力を受け付ける、情報処理装置。
情報処理装置が実行する情報処理方法であって、薄膜からのX線の強度に関する入力プロファイル結果と、前記入力プロファイル結果の解析プロファイル結果と、をニューラルネットワークに入力することで、前記解析プロファイル結果を診断した診断結果を出力させ、前記ニューラルネットワークは、薄膜からのX線の強度に関する入力プロファイルデータと、前記入力プロファイルデータから得られる解析プロファイルデータと、を入力データとし、前記解析プロファイルデータを診断した診断データを出力データとする教師データを機械学習させたニューラルネットワークである、情報処理方法。
プログラムであって、コンピュータを、前記情報処理装置の制御部として機能させるためのプログラム。
X線分析装置であって、薄膜にX線を入射させ、前記薄膜から反射、回折又は散乱したX線から測定プロファイル結果を取得し、前記測定プロファイル結果を前記情報処理装置に送信するX線分析装置。
もちろん、この限りではない。
【0075】
最後に、本発明に係る種々の実施形態を説明したが、これらは、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。当該新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことが可能である。当該実施形態又はその変形は、発明の範囲又は要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0076】
100:クライアントコンピュータ
105:推論部
110:制御部
120:記憶部
150:出力部
200:サーバコンピュータ
202:出力処理部
206:学習部
210:制御部
220:記憶部
400:X線分析装置
701:入力プロファイルデータ
702:正解プロファイルデータ
703:解析データ
711:入力プロファイルデータ
712:偽解プロファイルデータ
713:解析データ
731:入力プロファイル結果
732:解析プロファイル結果
733:解析結果
800:ニューラルネットワーク
810:学習済みニューラルネットワーク