(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-18
(45)【発行日】2024-12-26
(54)【発明の名称】バードストライク防止のフレキシブルな光学薄膜及びその製造方法、ならびに応用
(51)【国際特許分類】
B32B 27/00 20060101AFI20241219BHJP
G02B 5/26 20060101ALI20241219BHJP
G02B 1/14 20150101ALI20241219BHJP
B32B 27/18 20060101ALN20241219BHJP
【FI】
B32B27/00 N
B32B27/00 A
G02B5/26
G02B1/14
B32B27/18 Z
(21)【出願番号】P 2022566446
(86)(22)【出願日】2022-03-03
(86)【国際出願番号】 CN2022079114
(87)【国際公開番号】W WO2023035561
(87)【国際公開日】2023-03-16
【審査請求日】2022-10-28
(31)【優先権主張番号】202111052092.4
(32)【優先日】2021-09-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】522423662
【氏名又は名称】上海納琳威科技股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100148633
【氏名又は名称】桜田 圭
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【氏名又は名称】美恵 英樹
(72)【発明者】
【氏名】肖 琳
(72)【発明者】
【氏名】周 奕杰
【審査官】松岡 美和
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0003208(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2021-0044338(KR,A)
【文献】特表2020-534233(JP,A)
【文献】中国実用新案第207483659(CN,U)
【文献】特開2012-018228(JP,A)
【文献】特表2011-525154(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-2147380(KR,B1)
【文献】中国特許出願公開第108873534(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第109143711(CN,A)
【文献】中国実用新案第209784577(CN,U)
【文献】特開2016-161917(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 7/023
B32B 27/00
B32B 27/18
G02B 1/14
G02B 5/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バードストライク防止のフレキシブルな光学薄膜であって、
1)保護層、
2)反射層、
3)基材層、
4)接着剤層、及び、
5)離型層、
を順次含み、
前記反射層を調製する塗料は
、
重合性液晶材料
と、キラル剤
と、光開始剤
と、溶媒
と、を含み、
重合性液晶材料、キラル剤、光開始剤及び溶媒の重量比が、(10~30):(0.5~10):(0.2~2):(50~100)であり、
前記重合性液晶材料は、式Iの化合物、式IIの化合物又はこれらの組み合わせから成る群から選択され、
式I
【化1】
式II
【化2】
ここで、Rは独立に、(CH2=CH)-COO-(CH2)
m-、ハロゲン、C1-C10アルキル、ハロゲン化C1-C10アルキルから成る群から選択され、
mは、0、1、2、3、4、5から成る群から選択され、
前記反射層の厚さは、3~7μmであり、
前記反射層は多層の重合性コレステリック液晶塗膜であり、
前記基材層は柔軟な透明プラスチックフィルムであり、
保護層、反射層及び基材層の合計厚さは、20~120μmであ
り、
まず、重合性液晶材料(二官能性、RはCH3)、キラル剤、光開始剤(1173)及びトルエンが20:41.2:0.8:78の重量比で混合され、高速分散されて得られた透明塗布液が塗布、乾燥、固化され、
次に、重合性液晶材料(二官能性、RはF元素)、キラル剤、光開始剤(1173)及びトルエンが20:15.6:0.8:78の重量比で混合され、高速分散されて得られた透明塗布液が塗布、乾燥、固化され、多層重合性コレステリック液晶塗膜が得られる、
ことを特徴とする、薄膜。
【請求項2】
Rは独立に、ハロゲン、C1-C6アルキルから成る群から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の薄膜。
【請求項3】
Rは独立に、
フッ素、メチルから成る群から選択さ
れる、
請求項2に記載の薄膜。
【請求項4】
可視光線に対する前記光学薄膜の透過率
の、紫外線に対する前記光学薄膜の透過率
に対する比は、1.0~4.0であり、及び/又は、
紫外線に対する前記光学薄膜の反射率
の、可視光線に対する前記光学薄膜の反射率
に対する比は、1.0~10.0である、
ことを特徴とする、請求項1に記載の薄膜。
【請求項5】
請求項1に記載の薄膜の製造方法であって、以下の工程:
1)反射層調製用の透明塗料(前記塗料は重合性液晶材料、キラル剤、光開始剤及び溶
媒を含み、前記塗料の各成分が混合されてから高速分散を経た後で前記反射層を塗布・調製するために用いられる)を用意する工程、
2)前記工程1)で得られた前記透明塗料を基材層に塗布し、乾燥処理を施して薄膜を得、次に得られた前記薄膜に硬化処理を施して、反射層付き基材層を得る工程、
3)前記工程2)で得られた前記反射層付き基材層の反射層に保護層を塗布し、保護層-反射層付き基材層を得る工程、
4)前記工程3)で得られた前記保護層-反射層付き基材層の基材層に接着剤層を塗布する工程、及び、
5)前記工程4)で得られた製品の前記接着剤層に離型層を貼り付けて光学薄膜を得る工程、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項6】
前記乾燥処理の処理温度は、50~300℃であり、及び/又は、
前記乾燥処理の処理時間は、15~200秒である、
ことを特徴とする、請求項
5に記載の方法。
【請求項7】
ビルディング、空港、交通用具から成る群から選択された物体の鳥衝突防止保護フィルムとして使用することを特徴とする、請求項1に記載の薄膜の用途。
【請求項8】
前記光学薄膜を前記物体に貼り付けることによって前記物体及び/又は鳥類の保護を実現することを特徴とする、請求項
7に記載の用途。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、材料の技術分野に関し、特に、バードストライク防止のフレキシブルな光学薄膜及びその製造方法、ならびに応用に関する。
【背景技術】
【0002】
アメリカ合衆国魚類野生生物局の統計・推定によると米国とヨーロッパでは、毎年10億羽近くの鳥がガラスカーテンウォールに衝突して死亡している。欧州動物保護協会は政府に対し、ガラスカーテンウォールにバードストライク防止機能を持たせることを義務化するよう呼びかける。現在、ドイツでは主に蜘蛛の巣のような構造を用いて鳥衝突を防止し、従来の方法は猛禽類の形のステッカー又は天敵動物のイラストを貼ることでガラスへの鳥類衝突を防止しているが、これらの対策は人々の美意識と広く普及を現実的に解決することは困難である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、バードストライク防止のフレキシブルな光学薄膜及びその製造方法、ならびに応用を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の第1の態様は、バードストライク防止のフレキシブルな光学薄膜を提供し、
1)保護層、
2)反射層、
3)基材層、
4)接着剤層、及び、
5)離型層、
を順次含む、上記薄膜。
【0005】
別の好ましい実施形態において、前記反射層を調製する塗料は、以下の成分を含み、
重合性液晶材料 10~30重量部、
キラル剤 0.5~10重量部、
光開始剤 0.2~2重量部、
溶媒 50~100重量部。
【0006】
別の好ましい実施形態において、前記重合性液晶材料は、式Iの化合物、式IIの化合物又はこれらの組み合わせから成る群から選択される。
【0007】
式I
【化1】
式II
【化2】
ここで、Rは独立に、(CH2=CH)-COO-(CH2)
m-、ハロゲン、C1-C10アルキル、ハロゲン化C1-C10アルキルから成る群から選択され、
mは、0、1、2、3、4、5から成る群から選択される。
【0008】
別の好ましい実施形態において、前記反射層の厚さは、1~10umである。
【0009】
別の好ましい実施形態において、保護層、反射層及び基材層の合計厚さは、20~120umである。
【0010】
別の好ましい実施形態において、可視光線に対する前記光学薄膜の透過率と紫外線に対する前記光学薄膜の透過率との比は、1.0~4.0であり、及び/又は、
紫外線に対する前記光学薄膜の反射率と可視光線に対する前記光学薄膜の反射率との比は、1.0~10.0である。
【0011】
本発明の第2の態様は、本発明の第1態様に記載の薄膜の製造方法を提供し、以下の工程:
1)反射層調製用の透明塗料(前記塗料は重合性液晶材料、キラル剤、光開始剤及び溶媒などの成分を含み、前記塗料の各成分が混合されてから高速分散を経た後で前記反射層を塗布・調製するために用いられる)を用意する工程、
2)工程1)で得られた透明塗料を基材層に塗布し、乾燥処理を施して薄膜を得、次に得られた薄膜に硬化処理を施して、反射層付き基材層を得る工程、
3)工程2)で得られた反射層付き基材層の反射層に保護層を塗布し、保護層-反射層付き基材層を得る工程、
4)工程3)で得られた保護層-反射層付き基材層の基材層に接着剤層を塗布する工程、及び、
5)工程4)で得られた製品の接着剤層に離型層を貼り付けて光学薄膜を得る工程、
を含む、上記方法。
【0012】
別の好ましい実施形態において、前記乾燥処理の処理温度は、50~300℃であり、及び/又は、
前記乾燥処理の処理時間は、15~200秒である。
【0013】
本発明の第3態様は、本発明の第1の態様に記載の薄膜の用途を提供し、ビルディング、空港、交通用具から成る群から選択された物体の鳥衝突防止保護フィルムとして使用する。
【0014】
別の好ましい実施形態において、前記光学薄膜を前記物体に貼り付けることによって前記物体及び/又は鳥類の保護を実現する。
【0015】
本発明の範囲内で、本発明の上記の各技術的特徴と、下記(例えば実施例)に具体的に記載された各技術的特徴とを互いに組み合わせることで、新規又は好ましい技術的特徴を形成できることを理解されたい。紙面の都合上、ここでは説明を省略する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の光学フィルムの構造の概略図である。
【
図2】本発明の実施例1で得られた光学薄膜の反射率/透過率スペクトルグラフである。
【
図3】本発明の実施例2で得られた光学薄膜の反射率/透過率スペクトルグラフである。
【
図4】本発明の実施例3で得られた光学薄膜の反射率/透過率スペクトルグラフである。
【
図5】本発明の実施例4で得られた光学薄膜の反射率/透過率スペクトルグラフである。
【
図6】本発明の実施例5で得られた光学薄膜の反射率/透過率スペクトルグラフである。
【
図7】本発明の実施例6で得られた光学薄膜の反射率/透過率スペクトルグラフである。
【
図8】本発明の実施例7で得られた光学薄膜の反射率/透過率スペクトルグラフである。
【
図9】本発明の実施例8で得られた光学薄膜の反射率/透過率スペクトルグラフである。
【
図10】本発明の実施例9で得られた光学薄膜の反射率/透過率スペクトルグラフである。
【
図11】本発明の実施例10で得られた光学薄膜の反射率/透過率スペクトルグラフである。
【
図12】本発明の実施例11で得られた光学薄膜の反射率/透過率スペクトルグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明者らは、長期にわたる綿密な研究の後、薄膜の成分、構造及び調製プロセスなどを最適化することにより、優れた可視光線透過性、紫外線反射性を備える光学薄膜(すなわち、バードストライク防止のフレキシブルな光学薄膜)及びその製造方法を得、優れた光学選択性を備える前記光学薄膜を建物、交通用具に応用した場合、人間は視認できず、鳥類が視認できるという効果を奏することができることで、人間の美意識に影響を及ぼさず、鳥衝突を防止し、広く普及する効果を奏し、人間と鳥類の調和のとれた共存にとって深い意味を持つ。これに基づき、本発明者らは本発明を完成するに至った。
【0018】
(光学薄膜)
研究によると、一部の動物は紫外線又は人間には見えない色を見ることができるため、人間とは全く異なる視覚を持っていることがわかった。例えば鳥類は紫外線を見ることができるため、クジャクは人間が見るクジャクの羽広げ時虹のような緑色と青色ではなく、より明るい羽の色で配偶者を認識する。
【0019】
現在、透明な光学薄膜を用いて鳥が建物に衝突するのを防止するという報告はほとんどない。本発明は、人間と鳥類の視覚の違いから始まり、人間の目には見えず、鳥類の目には見える光学薄膜を製造し、ガラスビルへの鳥衝突防止の従来課題を解決し、ビルディングの美観に影響を与えず、使い勝手である。
【0020】
鳥類がビルディングに衝突するのを防止すると共に、人間と鳥類が共生する生活環境を作り出すため、本発明は、鳥類が様々な建物、交通用具の鳥衝突防止に応用する方法を提供する。前記方法は、具体的に人間には敏感に感じせず、鳥には敏感に感じる可視光線透明・紫外線反射フィルムに関する。前記可視光線透明・紫外線反射フィルムは、製造プロセスが簡単で、生産効率が高く、コストが低く、使い勝手などの利点を有する。
【0021】
本発明は、バードストライク防止のフレキシブルな光学薄膜の製造方法及びその応用を開示し、光学薄膜分野に関し、特に、可視光線透明・紫外線反射光学薄膜の製造方法に関する。この種の光学薄膜は、少なくとも基材層、可視光線透明・紫外線反射層、保護層、接着剤層及び離型層を含む。前記可視光線透明・紫外線反射層は、主に一層又は多層の液晶塗膜を指し、具体的に重合性コレステリック液晶塗膜を指し、該塗膜は人間が視認できず、鳥類が視認できるという効果を奏することができるため、人間の視覚に影響を与えることなく、鳥が様々な建物、交通用具などの物体に衝突するのを防止する。本発明のバードストライク防止のフレキシブルな光学薄膜の製造プロセスが簡単で、生産効率も高く、人間が物体を観察する際の視覚効果を妨げず、ビルディング、空港、交通用具(自動車、飛行機、高速鉄道など)で鳥衝突を防止するために広く応用できる。
【0022】
具体的に、本発明は可視光線透明・紫外線反射の光学薄膜を提供し、
1)保護層、
2)反射層、
3)基材層、
4)接着剤層、及び、
5)離型層、
を順次含む、上記薄膜。
【0023】
別の好ましい実施形態において、前記反射層を調製する塗料は、以下の成分を含み、
重合性液晶材料 10~30重量部(好ましくは15~25重量部、より好ましくは20重量部である)、
キラル剤 0.5~10重量部(好ましくは1~9重量部、より好ましくは1.2~7.8重量部である)、
光開始剤 0.2~2重量部(好ましくは0.5~1.5重量部、より好ましくは0.8~1重量部である)、
溶媒 50~100重量部(好ましくは60~85重量部、より好ましくは70~80重量部である)。
【0024】
別の好ましい実施形態において、前記反射層は、重合性コレステリック液晶塗膜である。
【0025】
別の好ましい実施形態において、前記重合性液晶材料は、主に剛直なベンゼン環及び柔軟なアクリル酸セグメントから構成され、二官能、単官能又は多官能であり得る。
【0026】
別の好ましい実施形態において、前記重合性液晶材料は、式Iの化合物、式IIの化合物又はこれらの組み合わせから成る群から選択される。
【0027】
式I
【化3】
式II
【化4】
ここで、Rは独立に、(CH2=CH)-COO-(CH2)
m-、ハロゲン、C1-C10アルキル、ハロゲン化C1-C10アルキルから成る群から選択され、
mは、0、1、2、3、4、5から成る群から選択される。
【0028】
別の好ましい実施形態において、Rは、ハロゲン、C1~C6アルキルから成る群から選択される。
【0029】
別の好ましい実施形態において、Rは、フッ素、メチルから成る群から選択される。
【0030】
本発明において、重合性液晶材料について、二官能とは重合性液晶材料の主鎖の両末端がアクリレート基であることを意味し、単官能とは重合性液晶材料の主鎖の1つの末端がアクリレート基であることを意味し、多官能とは重合性液晶材料の主鎖の2つ以上の末端がアクリル二重結合官能基であることを意味する。
【0031】
別の好ましい実施形態において、前記重合性液晶材料は、実施例1~11で使用した具体的な重合性液晶材料である。
【0032】
本発明において、前記キラル剤のトルク値(HTP、単位μm-1)>10で、好ましくは>30、より好ましくは>50で、好適には50~100である。
【0033】
本発明において、前記キラル剤は、左旋性又は右旋性を有し、キラル剤1、キラル剤2、キラル剤3、キラル剤4、キラル剤5、又はこれらの組み合わせ、或いはその他のキラル構造を有する材料から成る群から選択される。
【0034】
【0035】
別の好ましい実施形態において、前記光開始剤は一般的な種類の光開始剤であり、好適には1173、184、907、369、651、819、TPO、又はこれらの組み合わせから成る群から選択される。
【0036】
【0037】
別の好ましい実施形態において、前記溶媒は一般的に使用される有機溶媒であり、好適にはエステル類の溶媒(如酢酸エチル、酢酸ブチル)、ベンゼン類の溶媒(例:トルエン、キシレン)、ケトン類の溶媒(アセトン、ブタノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン)、又はこれらの組み合わせから成る群から選択される。
【0038】
別の好ましい実施形態において、前記反射層の厚さは、1~10um、好ましくは2~8um、より好ましくは3~7umである。
【0039】
別の好ましい実施形態において、前記反射層は、一層又は多層(例:2、3、4層)構造である。
【0040】
別の好ましい実施形態において、前記反射層は、主に人間の目の中に可視光線が透明し、紫外線が反射し、好適には鳥類が敏感に感じるUVA(320~420nm)波長域で、より好適には350~380nm波長域である。
【0041】
別の好ましい実施形態において、前記基材層は、柔軟な透明プラスチックフィルムであり、好適にはPE、PET、PP、PMMA、EVA、PVC、PU、TPU、PIなどの材料から選択される柔軟な透明フィルムであり、好適には一般的に使用されるPET、PE、TPUなどのプラスチックフィルムで、より好適には高精細かつ高透明性のPET基材であり、光学ヘイズ値は2.0%未満、好適には1.0%で、透過率が88%を超え、好適には90%を超える。
【0042】
別の好ましい実施形態において、前記基材層の厚さは、10~200um、好ましくは20~150um、より好ましくは30~100umである。
【0043】
別の好ましい実施形態において、前記保護層は、UV樹脂、熱硬化性樹脂、又はこれらの組み合わせから成る群から選択される。
【0044】
別の好ましい実施形態において、前記保護層は、硬化層で、好適にはUV硬化層、熱硬化層(有機ケイ素塗膜、2成分ポリウレタン塗膜)から成る群から選択され、好適にはUV硬化層である。
【0045】
別の好ましい実施形態において、前記保護層の厚さは、0.1~10umで、好ましくは0.5~5um、より好ましくは0.8~3.0umである。
【0046】
別の好ましい実施形態において、前記保護層の硬度は、4~6Hである。
【0047】
別の好ましい実施形態において、前記接着剤層は、従来のアクリル感圧接着剤、ポリウレタン接着剤である。
【0048】
別の好ましい実施形態において、前記離型層は、従来のPET又はPE離型フィルムである。
【0049】
別の好ましい実施形態において、保護層、反射層及び基材層の合計厚さは、20~120um、好ましくは30~100um、より好ましくは40~80umである。
【0050】
別の好ましい実施形態において、前記光学薄膜の可視光線透過率は80%を超え、好適には85%を超える。
【0051】
別の好ましい実施形態において、前記光学薄膜の紫外反射率は、10%を超え、好適には30%を超え、より好適には60%を超える。
【0052】
別の好ましい実施形態において、可視光線(波長は400~760nm)に対する前記光学薄膜の透過率/反射率の比は、3~10、好ましくは5~8.5、より好ましくは6.5~8である。
【0053】
別の好ましい実施形態において、紫外線(波長は320~420nm)に対する前記光学薄膜の透過率/反射率の比は、0.1~100、好ましくは0.2~10、より好ましくは0.3~3である。
【0054】
別の好ましい実施形態において、可視光線(波長は400~760nm)に対する前記光学薄膜の透過率と紫外線(波長は320~420nm)に対する前記光学薄膜の透過率の比値は、1~4、好ましくは1.2~3.8、より好ましくは1.4~3.7である。
【0055】
別の好ましい実施形態において、紫外線(波長は320~420nm)に対する前記光学薄膜の反射率と可視光線(波長は400~760nm)に対する前記光学薄膜の反射率の比は、1~10、好ましくは2~8、より好ましくは3~7である。
【0056】
別の好ましい実施形態において、前記光学薄膜は、優れた光学選択性を備え、選択的に可視光線を透過し、紫外線を反射することができ、人間の目には無色透明に見えることを実現する。
【0057】
別の好ましい実施形態において、前記光学薄膜のヘイズ値≦1.5%、好ましくは≦1.3%、より好ましくは≦1.1%である。
【0058】
(製造方法)
本発明の光学薄膜の製造は、この分野における従来の方法を介して製造することができ、使用される原料は商業的に入手することができる。
【0059】
典型的に、本発明の光学薄膜は、次の工程によって製造され、
1)反射層調製用の透明塗料(前記塗料は重合性液晶材料、キラル剤、光開始剤及び溶媒などの成分を含み、前記塗料の各成分が混合されてから高速分散を経た後で前記反射層を塗布・調製するために用いられる)を用意する工程、
2)工程1)で得られた透明塗料を基材層に塗布し、乾燥処理を施して薄膜を得、次に得られた薄膜に硬化処理を施して、反射層付き基材層を得る工程、
3)工程2)で得られた反射層付き基材層の反射層に保護層を塗布し、保護層-反射層付き基材層を得る工程、
4)工程3)で得られた保護層-反射層付き基材層の基材層に接着剤層を塗布する工程、
5)工程4)で得られた製品の接着剤層に離型層を貼り付けて光学薄膜を得る工程。
【0060】
別の好ましい実施形態において、工程1)では、前記高速分散の分散速度は、1000~2000rpm、好ましくは1200~1600rpmである。
【0061】
別の好ましい実施形態において、工程1)では、前記高速分散の分散時間は、5~60min、好ましくは15~40minである。
【0062】
別の好ましい実施形態において、工程2)の前に、工程1)で得られた透明塗料をろ過処理する工程をさらに含む。
【0063】
別の好ましい実施形態において、前記ろ過に用いられる濾紙は、ポリテトラフルオロエチレンである。
【0064】
別の好ましい実施形態において、前記乾燥処理の処理温度は、50~300℃、好ましくは80~200℃、より好ましくは90~110℃である。
【0065】
別の好ましい実施形態において、前記乾燥処理の処理時間は、15~200秒、好ましくは20~80秒、より好ましくは25~60秒、特に好ましくは25~40秒である。
【0066】
別の好ましい実施形態において、前記硬化処理は、キセノンランプを照射することによって行われ、キセノンランプの出力は0.8~4KW、好ましくは1~2KW、より好ましくは1.2~1.8KWであり、
照射時間は、5~30秒、好ましくは10~20秒である。
【0067】
別の好ましい実施形態において、工程3)では、前記保護層を塗布した後で硬化処理を施す。
【0068】
(応用)
本発明は、前記光学薄膜の用途も提供し、ビルディング、空港、交通用具から成る群から選択された物体の鳥衝突防止保護フィルムとして使用する。
【0069】
具体的には、前記光学薄膜をビルディング、空港、交通用具から成る群から選択された物体に貼り付けることによって、前記物体及び/又は鳥類の保護を実現する。
【0070】
別の好ましい実施形態において、前記交通用具は、自動車、飛行機、高速鉄道から成る群から選択される。
【0071】
従来技術と比較して、本発明は以下の主な利点を有し、
(1)前記光学薄膜は、優れた光学選択性を有し、可視光線を高効率で透過し、紫外線を高効率で反射又は遮断できることで、人間は視認できず、鳥類が視認できるという効果を奏し、
(2)前記光学薄膜を建物及び/又は交通用具に応用した場合、人間の美意識に影響を及ぼさず、鳥衝突を防止し、広く普及する効果を奏し、人間と鳥類の調和のとれた共存にとって深い意味を持ち、
(3)前記光学薄膜の製造方法は、製造プロセスが簡単で、生産効率が高く、コストが低く、使い勝手などの利点を有する。
【0072】
以下、具体的実施例を参照しつつ、本発明をさらに説明する。これらの実施例は、本発明を説明するためにのみ使用され、本発明の範囲を限定するものではないことを理解されたい。下記の実施例において具体的条件を明記していない実験方法は、通常、従来の条件或いはメーカーが推奨する条件に従う。特に断らない限り、パーセント及び部は、重量により計算する。
【0073】
特に他に定義がない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する分野の当業者が普通に理解するものと同じ意味を有する。本明細書に記載したものと類似又は同等な方法及び材料を、本発明の方法に使用できる。本明細書に記載される好ましい実施形態のための方法及び材料は、単なる例示である。
【0074】
(一般的な試験方法)
透過率及び反射率
日本Hitachi社製のUV-VIS-NIR分光光度計(型番U-4100、250~2500nm)で透過率及び反射率の試験を実施する。
【0075】
ヘイズ
英検達(YINGJIANDA)社製のポータブルヘイズメーターで薄膜のヘイズ値を表示する。
【0076】
(実施例1)(一層)
工程(1):可視光線透明・紫外線反射の透明塗料の調製
重合性液晶材料20部(二官能、RはF元素)、キラル剤15.6部、光開始剤(1173)0.8部、トルエン78部を取り、ステンレス容器内に入れ、回転数1500r/minの高速せん断分散機で、30分間予備分散を行い、透明な溶液を得た後ポリテトラフルオロエチレン濾紙でろ過し、透明塗布液を得、
工程(2):可視光線透明・紫外線反射のフレキシブルな光学薄膜の製造
上記で調合した溶液を20umの精密線材で50umのPETフィルム表面に塗布し、次に100℃のオーブンに入れて30秒焼き、溶媒を十分に揮発させた後、塗布されたPETフィルムを出力1.5KWのキセノンランプの下に置いて硬化させた場合、可視光線透明・紫外線反射の塗膜が得られ、最後に前記塗膜表面に一層のUV硬化層(ブランドUV935/硬度4H)を塗布し、その後硬化させて表面硬度4Hの保護層を得た。その後PETの反対側に取り付け用接着剤を塗布し、一層のPET離型保護フィルムを貼り付けた場合、可視光線透明・紫外線反射のPET光学薄膜が得られ、
工程(3):上記で製造した可視光線透明・紫外線反射のフィルムについて光学試験を行い、その光学スペクトルを
図2に示す。
【0077】
(実施例2)(一層、異なる反射波長)
工程(1):可視光線透明・紫外線反射の透明塗料の調製
重合性液晶材料20部(単官能、RはCH3)、キラル剤1 5.6部、光開始剤(1173)0.8部、酢酸ブチル78部を取り、ステンレス容器内に入れ、回転数1500r/minの高速せん断分散機で、30分間予備分散を行い、透明な溶液を得た後ポリテトラフルオロエチレン濾紙でろ過し、透明塗布液を得、
工程(2):可視光線透明・紫外線反射のフレキシブルな光学薄膜の製造
上記で調合した溶液を20umの精密線材で50umのPETフィルム表面に塗布し、次に100℃のオーブンに入れて30秒焼き、溶媒を十分に揮発させた後、塗布されたPETフィルムを出力1.5KWのキセノンランプの下に置いて硬化させた場合、可視光線透明・紫外線反射の塗膜が得られ、最後に前記塗膜表面に一層のUV硬化層(ブランドUV935/硬度4H)を塗布し、その後硬化させて表面硬度4Hの保護層を得た。その後PETの反対側に取り付け用接着剤を塗布し、一層のPET離型保護フィルムを貼り付けた場合、可視光線透明・紫外線反射のPET光学薄膜が得られ、
工程(3):上記で製造した可視光線透明・紫外線反射のフィルムについて光学試験を行い、その光学スペクトルを
図3に示す。
【0078】
(実施例3)(一層、異なるキラル剤)
工程(1):可視光線透明・紫外線反射の透明塗料の調製
重合性液晶材料20部(単官能、RはCH3)、キラル剤2 4.3部、光開始剤(1173)0.8部、シクロヘキサノン78部を取り、ステンレス容器内に入れ、回転数1500r/minの高速せん断分散機で、30分間予備分散を行い、透明な溶液を得た後ポリテトラフルオロエチレン濾紙でろ過し、透明塗布液を得、
工程(2):可視光線透明・紫外線反射のフレキシブルな光学薄膜の製造
上記で調合した溶液を20umの精密線材で50umのPETフィルム表面に塗布し、次に100℃のオーブンに入れて30秒焼き、溶媒を十分に揮発させた後、塗布されたPETフィルムを出力1.5KWのキセノンランプの下に置いて硬化させた場合、可視光線透明・紫外線反射の塗膜が得られ、最後に前記塗膜表面に一層のUV硬化層(ブランドUV935/硬度4H)を塗布し、その後硬化させて表面硬度4Hの保護層を得た。その後PETの反対側に取り付け用接着剤を塗布し、一層のPET離型保護フィルムを貼り付けた場合、可視光線透明・紫外線反射のPET光学薄膜が得られ、
工程(3):上記で製造した可視光線透明・紫外線反射のフィルムについて光学試験を行い、その光学スペクトルを
図4に示す。
【0079】
(実施例4)(一層、異なるキラル剤)
工程(1):可視光線透明・紫外線反射の透明塗料の調製
重合性液晶材料20部(二官能、RはCH3)、キラル剤2 4.3部、光開始剤(1173)0.8部、トルエン39部、酢酸ブチル39部を取り、ステンレス容器内に入れ、回転数1500r/minの高速せん断分散機で、30分間予備分散を行い、透明な溶液を得た後ポリテトラフルオロエチレン濾紙でろ過し、透明塗布液を得、
工程(2):可視光線透明・紫外線反射のフレキシブルな光学薄膜の製造
上記で調合した溶液を20umの精密線材で50umのPETフィルム表面に塗布し、次に100℃のオーブンに入れて30秒焼き、溶媒を十分に揮発させた後、塗布されたPETフィルムを出力1.5KWのキセノンランプの下に置いて硬化させた場合、可視光線透明・紫外線反射の塗膜が得られ、最後に前記塗膜表面に一層のUV硬化層(ブランドUV935/硬度4H)を塗布し、その後硬化させて表面硬度4Hの保護層を得た。その後PETの反対側に取り付け用接着剤を塗布し、一層のPET離型保護フィルムを貼り付けた場合、可視光線透明・紫外線反射のPET光学薄膜が得られ、
工程(3):上記で製造した可視光線透明・紫外線反射のフィルムについて光学試験を行い、その光学スペクトルを
図5に示す。
【0080】
(実施例5)
工程(1):可視光線透明・紫外線反射の透明塗料の調製
重合性液晶材料20部(二官能、RはCH3)、キラル剤3 7.8部、光開始剤(1173)1.0部、トルエン78部を取り、ステンレス容器内に入れ、回転数1500r/minの高速せん断分散機で、30分間予備分散を行い、透明な溶液を得た後ポリテトラフルオロエチレン濾紙でろ過し、透明塗布液を得、
工程(2):可視光線透明・紫外線反射のフレキシブルな光学薄膜の製造
上記で調合した溶液を20umの精密線材で50umのPETフィルム表面に塗布し、次に100℃のオーブンに入れて30秒焼き、溶媒を十分に揮発させた後、塗布されたPETフィルムを出力1.5KWのキセノンランプの下に置いて硬化させた場合、可視光線透明・紫外線反射の塗膜が得られ、最後に前記塗膜表面に一層のUV硬化層(ブランドUV935/硬度4H)を塗布し、その後硬化させて表面硬度4Hの保護層を得た。その後PETの反対側に取り付け用接着剤を塗布し、一層のPET離型保護フィルムを貼り付けた場合、可視光線透明・紫外線反射のPET光学薄膜が得られ、
工程(3):上記で製造した可視光線透明・紫外線反射のフィルムについて光学試験を行い、その光学スペクトルを
図6に示す。
【0081】
(実施例6)
工程(1):可視光線透明・紫外線反射の透明塗料の調製
重合性液晶材料20部(単官能、RはCH3)、キラル剤3 7.8部、光開始剤(TPO)0.8部、シクロヘキサノン78部を取り、ステンレス容器内に入れ、回転数1500r/minの高速せん断分散機で、30分間予備分散を行い、透明な溶液を得た後ポリテトラフルオロエチレン濾紙でろ過し、透明塗布液を得、
工程(2):可視光線透明・紫外線反射のフレキシブルな光学薄膜の製造
上記で調合した溶液を20umの精密線材で50umのPETフィルム表面に塗布し、次に100℃のオーブンに入れて30秒焼き、溶媒を十分に揮発させた後、塗布されたPETフィルムを出力1.5KWのキセノンランプの下に置いて硬化させた場合、可視光線透明・紫外線反射の塗膜が得られ、最後に前記塗膜表面に一層のUV硬化層(ブランドUV935/硬度4H)を塗布し、その後硬化させて表面硬度4Hの保護層を得た。その後PETの反対側に取り付け用接着剤を塗布し、一層のPET離型保護フィルムを貼り付けた場合、可視光線透明・紫外線反射のPET光学薄膜が得られ、
工程(3):上記で製造した可視光線透明・紫外線反射のフィルムについて光学試験を行い、その光学スペクトルを
図7に示す。
【0082】
(実施例7)
工程(1):可視光線透明・紫外線反射の透明塗料の調製
重合性液晶材料20部(二官能、RはCH3)、キラル剤4 1.2部、光開始剤(184)0.8部、トルエン78部を取り、ステンレス容器内に入れ、回転数1500r/minの高速せん断分散機で、30分間予備分散を行い、透明な溶液を得た後ポリテトラフルオロエチレン濾紙でろ過し、透明塗布液を得、
工程(2):可視光線透明・紫外線反射のフレキシブルな光学薄膜の製造
上記で調合した溶液を20umの精密線材で50umのPETフィルム表面に塗布し、次に100℃のオーブンに入れて30秒焼き、溶媒を十分に揮発させた後、塗布されたPETフィルムを出力1.5KWのキセノンランプの下に置いて硬化させた場合、可視光線透明・紫外線反射の塗膜が得られ、最後に前記塗膜表面に一層のUV硬化層(ブランドUV935/硬度4H)を塗布し、その後硬化させて表面硬度4Hの保護層を得た。その後PETの反対側に取り付け用接着剤を塗布し、一層のPET離型保護フィルムを貼り付けた場合、可視光線透明・紫外線反射のPET光学薄膜が得られ、
工程(3):上記で製造した可視光線透明・紫外線反射のフィルムについて光学試験を行い、その光学スペクトルを
図8に示す。
【0083】
(実施例8)
工程(1):可視光線透明・紫外線反射の透明塗料の調製
重合性液晶材料20部(単官能と二官能の混合(混合比1:9)、RはCH3)、キラル剤4 1.2部、光開始剤(TPO)0.8部、トルエン78部を取り、ステンレス容器内に入れ、回転数1500r/minの高速せん断分散機で、30分間予備分散を行い、透明な溶液を得た後ポリテトラフルオロエチレン濾紙でろ過し、透明塗布液を得、
工程(2):可視光線透明・紫外線反射のフレキシブルな光学薄膜の製造
上記で調合した溶液を20umの精密線材で50umのPETフィルム表面に塗布し、次に100℃のオーブンに入れて30秒焼き、溶媒を十分に揮発させた後、塗布されたPETフィルムを出力1.5KWのキセノンランプの下に置いて硬化させた場合、可視光線透明・紫外線反射の塗膜が得られ、最後に前記塗膜表面に一層のUV硬化層(ブランドUV935/硬度4H)を塗布し、その後硬化させて表面硬度4Hの保護層を得た。その後PETの反対側に取り付け用接着剤を塗布し、一層のPET離型保護フィルムを貼り付けた場合、可視光線透明・紫外線反射のPET光学薄膜が得られ、
工程(3):上記で製造した可視光線透明・紫外線反射のフィルムについて光学試験を行い、その光学スペクトルを
図9に示す。
【0084】
(実施例9)
工程(1):可視光線透明・紫外線反射の透明塗料の調製
重合性液晶材料20部(二官能、RはCH3)、キラル剤4 1.2部、光開始剤(1173)0.8部、トルエン78部を取り、ステンレス容器内に入れ、回転数1500r/minの高速せん断分散機で、30分間予備分散を行い、透明な溶液を得た後ポリテトラフルオロエチレン濾紙でろ過し、透明塗布液を得、
工程(2):可視光線透明・紫外線反射のフレキシブルな光学薄膜の製造
上記で調合した溶液を20umの精密線材で50umのPETフィルム表面に塗布し、次に100℃のオーブンに入れて30秒焼き、溶媒を十分に揮発させた後、塗布されたPETフィルムを出力1.5KWのキセノンランプの下に置いて硬化させた場合、可視光線透明・紫外線反射の塗膜が得られ、最後に前記塗膜表面に一層のUV硬化層(ブランドUV935/硬度4H)を塗布し、その後硬化させて表面硬度4Hの保護層を得た。その後PETの反対側に取り付け用接着剤を塗布し、一層のPET離型保護フィルムを貼り付けた場合、可視光線透明・紫外線反射のPET光学薄膜が得られ、
工程(3):上記で製造した可視光線透明・紫外線反射のフィルムについて光学試験を行い、その光学スペクトルを
図10に示す。
【0085】
(実施例10)
工程(1):可視光線透明・紫外線反射の透明塗料の調製
重合性液晶材料20部(二官能、RはCH3)、キラル剤4 1.2部、光開始剤(1173)0.8部、トルエン78部を取り、ステンレス容器内に入れ、回転数1500r/minの高速せん断分散機で、30分間予備分散を行い、透明な溶液を得た後ポリテトラフルオロエチレン濾紙でろ過し、透明塗布液を得、
工程(2):可視光線透明・紫外線反射のフレキシブルな光学薄膜の製造
上記で調合した溶液を20umの精密線材で50umのPETフィルム表面に塗布し、次に100℃のオーブンに入れて30秒焼き、溶媒を十分に揮発させた後、塗布されたPETフィルムを出力1.5KWのキセノンランプの下に置いて硬化させた場合、可視光線透明・紫外線反射の塗膜が得られることから実施例1の塗膜に同じ方法によりもう一層を塗布することで、可視光線透明・紫外線反射の塗膜(反射層の合計厚さは6.6μm)が得られ、最後に前記塗膜表面に一層のUV硬化層(ブランドUV935/硬度4H)を塗布し、その後硬化させて表面硬度4Hの保護層を得た。その後PETの反対側に取り付け用接着剤を塗布し、一層のPET離型保護フィルムを貼り付けた場合、可視光線透明・紫外線反射のPET光学薄膜が得られ、
工程(3):上記で製造した可視光線透明・紫外線反射のフィルムについて光学試験を行い、その光学スペクトルを
図11に示す。
【0086】
(実施例11)
工程(1):可視光線透明・紫外線反射の透明塗料の調製
重合性液晶材料20部(二官能、RはCH3)、キラル剤4 1.2部、光開始剤(1173)0.8部、トルエン78部を取り、ステンレス容器内に入れ、回転数1500r/minの高速せん断分散機で、30分間予備分散を行い、透明な溶液を得た後ポリテトラフルオロエチレン濾紙でろ過し、透明塗布液を得、
工程(2):可視光線透明・紫外線反射のフレキシブルな光学薄膜の製造
上記で調合した溶液を20umの精密線材で50umのPETフィルム表面に塗布し、次に100℃のオーブンに入れて30秒焼き、溶媒を十分に揮発させた後、塗布されたPETフィルムを出力1.5KWのキセノンランプの下に置いて硬化させた場合、可視光線透明・紫外線反射の塗膜が得られ、そして、実施例1の塗膜にもう一層を塗布して、紫外線反射(反射層の合計厚さは6.8μm)を増加させ、最後に前記塗膜表面に一層のUV硬化層(ブランドUV935/硬度4H)を塗布し、その後硬化させて表面硬度4Hの保護層を得た。その後PETの反対側に取り付け用接着剤を塗布し、一層のPET離型保護フィルムを貼り付けた場合、可視光線透明・紫外線反射のPET光学薄膜が得られ、
工程(3):上記で製造した可視光線透明・紫外線反射のフィルムについて光学試験を行い、その光学スペクトルを
図12に示す。
【0087】
実施例1~11で得られた光学薄膜の性能パラメータを表3に示す。
【0088】
【0089】
要するに、本発明によって提供される可視光線透明・紫外線反射のフレキシブルな光学薄膜は、優れた光学選択性、簡単な製造方法、革新的な製造プロセス、後続加工容易性などの利点を有し、バードストライク防止薄膜の実際の応用のため新たな道を切り開く。
【0090】
(比較例1)
実施例1と同じであるが、相違点は、先に市販のポリイミド溶液を使用して一層の配向層を調製し、5umの線材で塗布し、その後120℃で60秒間乾燥させることである。反射層の調製プロセスが類似し、得られた光学薄膜の反射率及びヘイズ値は実施例よりも悪く、かつ薄膜の光学レベリング性も悪い。
【0091】
(比較例2)
実施例2と同じであるが、相違点は、先に市販のポリビニルアルコール溶液を使用して一層の配向層を調製し、5umの線材で塗布し、その後120℃で60秒間乾燥させることである。反射層の調製プロセスが類似し、得られた光学薄膜の反射率及びヘイズ値は実施例よりも悪く、かつ薄膜の光学レベリング性も悪い。
【0092】
比較例は、光学ヘイズ値が大きすぎるため、窓用フィルム使用の実際の要件を満たしていない。
【0093】
【0094】
本発明で言及される全ての文献は、各文献が参照により個別に組み込まれるように、参照により本出願に組み込まれる。なお、本発明の上述の教示内容を読んだ後、当業者は本発明に対して多種多様な変更又は修正を加えることができ、これらの均等物も本出願の添付の特許請求の範囲で限定される範囲内に網羅されることを理解されたい。
【0095】
(付記)
(付記1)
バードストライク防止のフレキシブルな光学薄膜であって、
1)保護層、
2)反射層、
3)基材層、
4)接着剤層、及び、
5)離型層、
を順次含むことを特徴とする、薄膜。
【0096】
(付記2)
前記反射層を調製する塗料は、以下の成分、
重合性液晶材料 10~30重量部、
キラル剤 0.5~10重量部、
光開始剤 0.2~2重量部、
溶媒 50~100重量部、
を含むことを特徴とする、付記1に記載の薄膜。
【0097】
(付記3)
前記重合性液晶材料は、式Iの化合物、式IIの化合物又はこれらの組み合わせから成る群から選択されることを特徴とし、
式I
【化5】
式II
【化6】
ここで、Rは独立に、(CH2=CH)-COO-(CH2)
m-、ハロゲン、C1-C10アルキル、ハロゲン化C1-C10アルキルから成る群から選択され、
mは、0、1、2、3、4、5から成る群から選択される、
付記2に記載の薄膜。
【0098】
(付記4)
前記反射層の厚さは、1~10umであることを特徴とする、付記1に記載の薄膜。
【0099】
(付記5)
保護層、反射層及び基材層の合計厚さは、20~120umであることを特徴とする、付記1に記載の薄膜。
【0100】
(付記6)
可視光線に対する前記光学薄膜の透過率と紫外線に対する前記光学薄膜の透過率との比は、1.0~4.0であり、及び/又は、
紫外線に対する前記光学薄膜の反射率と可視光線に対する前記光学薄膜の反射率との比は、1.0~10.0である、
ことを特徴とする、付記1に記載の薄膜。
【0101】
(付記7)
付記1に記載の薄膜の製造方法であって、以下の工程:
1)反射層調製用の透明塗料(前記塗料は重合性液晶材料、キラル剤、光開始剤及び溶媒などの成分を含み、前記塗料の各成分が混合されてから高速分散を経た後で前記反射層を塗布・調製するために用いられる)を用意する工程、
2)前記工程1)で得られた前記透明塗料を基材層に塗布し、乾燥処理を施して薄膜を得、次に得られた前記薄膜に硬化処理を施して、反射層付き基材層を得る工程、
3)前記工程2)で得られた前記反射層付き基材層の反射層に保護層を塗布し、保護層-反射層付き基材層を得る工程、
4)前記工程3)で得られた前記保護層-反射層付き基材層の基材層に接着剤層を塗布する工程、及び、
5)前記工程4)で得られた製品の前記接着剤層に離型層を貼り付けて光学薄膜を得る工程、
を含むことを特徴とする方法。
【0102】
(付記8)
前記乾燥処理の処理温度は、50~300℃であり、及び/又は、
前記乾燥処理の処理時間は、15~200秒である、
ことを特徴とする、付記7に記載の方法。
【0103】
(付記9)
ビルディング、空港、交通用具から成る群から選択された物体の鳥衝突防止保護フィルムとして使用することを特徴とする、付記1に記載の薄膜の用途。
【0104】
(付記10)
前記光学薄膜を前記物体に貼り付けることによって前記物体及び/又は鳥類の保護を実現することを特徴とする、付記9に記載の用途。