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特許7606772プラズマ及びヒドロキシルラジカルを生成するための殺菌装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-18
(45)【発行日】2024-12-26
(54)【発明の名称】プラズマ及びヒドロキシルラジカルを生成するための殺菌装置
(51)【国際特許分類】
   A61L 2/14 20060101AFI20241219BHJP
   H05H 1/46 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
A61L2/14
H05H1/46 B
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2022573771
(86)(22)【出願日】2021-05-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-11
(86)【国際出願番号】 EP2021064411
(87)【国際公開番号】W WO2021244981
(87)【国際公開日】2021-12-09
【審査請求日】2024-04-09
(31)【優先権主張番号】2008156.8
(32)【優先日】2020-06-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】512008495
【氏名又は名称】クレオ・メディカル・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】CREO MEDICAL LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハンコック,クリストファー・ポール
(72)【発明者】
【氏名】ウルリヒ,ジョージ・クリスチャン
(72)【発明者】
【氏名】ウェッブ,デイビッド・エドワード
【審査官】田村 惠里加
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2009/060214(WO,A1)
【文献】特表平11-506677(JP,A)
【文献】特開2009-110802(JP,A)
【文献】特開2006-059798(JP,A)
【文献】特開2007-268252(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L 2/14
H05H 1/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
殺菌装置であって、
マイクロ波エネルギーを生成するように配設されたマイクロ波源と、
水ミストの流れを生成するように配設されたミスト発生器と、
ガス供給源と、
前記ミスト発生器から前記水ミストの流れを受け取るように接続されたマニフォールドと、
前記マニフォールドに接続された複数のプラズマアプリケータと、を含み、
各プラズマアプリケータは、前記マイクロ波源からマイクロ波エネルギー、及び前記ガス供給源からガスの流れを受け取るように接続され、
各プラズマアプリケータは、その遠位端においてプラズマをストライクするように構成され、
前記複数のプラズマアプリケータの前記遠位端は、前記マニフォールドによって画定されるプラズマ生成領域内に配置され、
前記マニフォールドは、前記水ミストの流れを、前記プラズマ生成領域を通してその出口に導くように構成されている、前記殺菌装置。
【請求項2】
前記マニフォールドの入口から前記その出口までの前記水ミストの流れ方向は、前記マニフォールドの中に受け取られる前記水ミストの流れの方向と位置合わせされる、請求項1に記載の殺菌装置。
【請求項3】
各プラズマアプリケータは、前記プラズマ生成領域を通る前記水ミストの流れに対して横方向に延びる、請求項1または2に記載の殺菌装置。
【請求項4】
前記複数のプラズマアプリケータは、前記プラズマ生成領域の対向する側面で互いに向き合う1つ以上のプラズマアプリケータ対を含む、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の殺菌装置。
【請求項5】
各プラズマアプリケータは、
伝導性チューブと、
前記伝導性チューブの長手軸に沿って延びる細長い伝導性部材と、を含み、
前記伝導性チューブと細長い伝導性部材とによって、前記プラズマアプリケータの近位端に第1の同軸伝送線及び前記プラズマアプリケータの遠位端に第2の同軸伝送線とがもたらされ、
前記第1の同軸伝送線は4分の1波長インピーダンス変成器として構成される、請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の殺菌装置。
【請求項6】
前記第2の同軸伝送線は、前記第1の同軸伝送線よりも高いインピーダンスを伴って構成される、請求項5に記載の殺菌装置。
【請求項7】
各プラズマアプリケータが受け取る前記ガスの流れは、前記伝導性チューブと細長い伝導性部材との間を通る、請求項5または6に記載の殺菌装置。
【請求項8】
各プラズマアプリケータは、前記ガスの流れを前記伝導性チューブと前記細長い伝導性部材との間のスペースに送出するように構成されたガス入口チューブを含み、前記ガス入口チューブは前記伝導性チューブの前記長手軸に対して横方向に延びる、請求項7に記載の殺菌装置。
【請求項9】
各プラズマアプリケータは、前記マイクロ波源から前記マイクロ波エネルギーを伝える同軸ケーブルに接続するように構成された近位コネクタを含み、前記近位コネクタは、前記同軸ケーブルの内部導体を前記細長い伝導性部材に電気的に接続し、前記同軸ケーブルの外部導体を前記伝導性チューブに電気的に接続するように構成されている、請求項5~8のいずれか1項に記載の殺菌装置。
【請求項10】
前記マイクロ波源はマグネトロンを含む、請求項1~請求項9のいずれか1項に記載の殺菌装置。
【請求項11】
前記ミスト発生器は超音波噴霧装置を含む、請求項1~請求項10のいずれか1項に記載の殺菌装置。
【請求項12】
複数のミスト発生器が含まれ、前記マニフォールドは複数の入口ポートを含み、各入口ポートは、対応するミスト発生器に接続可能である、請求項1~請求項11のいずれか1項に記載の殺菌装置。
【請求項13】
前記ガス供給源は、前記ミスト発生器にガス流を送出するように接続され、前記ガス流は、前記ミスト発生器によって形成された水ミストを運んで前記水ミストの流れを形成する、請求項1~請求項12のいずれか1項に記載の殺菌装置。
【請求項14】
前記ガスはアルゴン、窒素、または二酸化炭素である、請求項1~請求項13のいずれか1項に記載の殺菌装置。
【請求項15】
前記マニフォールドの前記出口は、殺菌すべきスペースを画定するエンクロージャに結合可能である、請求項1~請求項14のいずれか1項に記載の殺菌装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人体、医療器具、または病院用ベッドスペース上などの臨床用途に適した殺菌システムに関する。たとえば、本発明によって、ヒトもしくは動物生体系及び/または周囲環境に関係付けられる特定の細菌及び/またはウィルスを殺すかまたは処理するために用いることができるシステムが提供され得る。本発明は、密閉スペースまたは部分的に密閉スペースの殺菌または汚染除去に特に有用である。
【背景技術】
【0002】
細菌は、ほとんどどこにでも見られ、多数で存在し、急速に分割及び増殖することができる単細胞生物である。ほとんどの細菌は無害であるが、3つの有害なグループが存在する。すなわち、球菌、らせん菌、及び桿菌である。球菌細菌は円形細胞であり、らせん菌細菌はコイル状細胞であり、桿菌細菌は棒状体である。有害な細菌は、破傷風及び腸チフスなどの疾患の原因になる。
【0003】
ウィルスは、他の細胞を支配することによってのみ生存及び増殖することができ、すなわち自力で生存することはできない。ウィルスは、風邪、流感、おたふく風邪、AIDSなどの疾患の原因となる。ウィルスは、人と人との接触を通して、または感染者からの呼吸器飛沫または他のウィルスを運ぶ体液によって汚染された領域との接触を通して、移り得る。
【0004】
真菌胞子及び原生動物と言われる極めて小さい生物によって病気が生じる可能性がある。
【0005】
殺菌は、すべての形態の生物、特に微生物を殺すかまたは除去する行為またはプロセスである。プラズマ殺菌のプロセスの間に、活性剤が生成される。これらの活性剤は、高強度の紫外光子及びフリーラジカルであり、化学的に不対な電子を伴う原子または原子の集まりである。プラズマ殺菌の魅力的な特徴は、比較的低い温度(たとえば、体温)で殺菌を実現できることである。プラズマ殺菌には、作業者及び患者にとって安全であるという利点もある。
【0006】
プラズマは通常、帯電した電子及びイオンならびに化学活性種(たとえば、オゾン、亜酸化窒素、及びヒドロキシルラジカル)を含んでいる。ヒドロキシルラジカルは、オゾンよりも空気中の汚染物質を酸化させるときにはるかに効果的で、塩素よりも数倍、殺菌性及び殺真菌性であり、そのため、細菌またはウィルスを殺すための、及び密閉スペース内に収容された物体(たとえば、病院環境に関連する物体または物品)の効果的な汚染除去を行うための、非常に興味深い候補である。
【0007】
水(たとえば、ミストまたは霧内の液滴)の「巨大分子」内に保持されるOHラジカルは数秒間安定であり、それらは、同等の濃度において従来の消毒剤よりも1000倍効果的である。
【0008】
Bai et al、タイトル「Experimental studies on elimination of microbial contamination by hydroxyl radicals produced by strong ionisation discharge」(Plasma Science and Technology、第10巻、第4号、2008年8月)による論文では、強電離放電によって生成されるOHラジカルを用いて微生物汚染を除去することが検討されている。この研究では、大腸菌及び枯草菌に対する殺菌効果が考慮されている。濃度が10cfu/ml(cfu=コロニー形成単位)の細菌懸濁液を調製し、マイクロピペットを用いて、流体の形の10μlの細菌を12mm×12mmの殺菌したステンレス鋼プレート上に移した。細菌流体をプレート上に均等に広げて、90分間乾燥させた。次にプレートを、殺菌したガラス皿内に入れて、一定濃度のOHラジカルをプレート上にスプレーした。この実験的な研究からの結果は以下の通りであった。
【0009】
1. OHラジカルを用いて、細胞に対する不可逆的損傷を引き起こして、それらを最終的に死滅させることができる。
【0010】
2. 微生物を除去するための閾値ポテンシャルは、国内外で用いられている消毒剤の1万分の1である。
【0011】
3. OHによる生化学的反応はフリーラジカル反応であり、微生物を除去するための生化学的反応時間が約1秒であるため、微生物汚染を迅速に除去する必要性を満たし、致死時間は、現在の国内外の消毒剤に対するそれの約1000分の1である。
【0012】
4. OHの致死密度は、他の消毒剤に対するスプレー密度の約1000分の1である。これは、大きなスペース(たとえば、ベッドスペース領域)で微生物汚染を効率的かつ迅速に除去するのに有用である。
【0013】
5. OHミストまたは霧粒は、細菌をCO、HO及び微量無機塩類に酸化させる。残りのOHもHO及びOに分解するため、この方法は、汚染することなく微生物汚染を除去する。
【0014】
WO2009/060214では、ヒドロキシルラジカルを生成及び放出するように制御可能に配設された殺菌装置を開示している。装置は、ヒドロキシルラジカル生成領域内でRFまたはマイクロ波エネルギー、ガス、及び水ミストを受け取るアプリケータを含んでいる。ヒドロキシルラジカル生成領域におけるインピーダンスは、電離放電の形成を促進するように高く制御され、その結果、水ミストが存在するときにヒドロキシルラジカルが生成される。アプリケータは同軸アセンブリまたは導波管であってもよい。動的調整メカニズム(たとえば、アプリケータ内に組み込まれている)が、ヒドロキシルラジカル生成領域におけるインピーダンスを制御する場合がある。ミスト、ガス、及び/またはエネルギーに対する送出手段を互いに一体化することができる。
【0015】
WO2019/175063では、熱または非熱プラズマを用いて外科スコープ装置を殺菌または消毒する殺菌装置を開示している。一例では、同軸伝送線の遠位端にプラズマ生成領域が形成される。同軸伝送線は、プラズマをストライクして維持するためにRFまたはマイクロ波エネルギーを伝える。ガス通路が同軸伝送線の外側表面の周りに形成される。ガス通路は、同軸伝送線の遠位端上に取り付けられた円筒電極内のノッチを通してプラズマ生成領域と流体連絡している。いくつかの例では、水が、同軸伝送線の内部導体内に形成された通路を通り、そこから、プラズマが物体上を通る前に、物体の表面上にスプレーされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
概略的には、本発明によって、密閉スペースを殺菌するためのヒドロキシルラジカルの生成に適した殺菌装置であって、装置がエンクロージャのサイズに容易にスケール変更できるように、エネルギー、ガス、及び水ミスト供給が組み合わされた殺菌装置が提供される。詳細には、殺菌装置によって、ヒドロキシルラジカルを形成するために水ミストの流れが導かれるときに通る環状プラズマアークを形成するように、複数のプラズマアプリケータがプラズマ生成領域の周りにマウントされ得るマニフォールドが提供される。
【課題を解決するための手段】
【0017】
一態様によれば、本発明によって、殺菌装置であって、マイクロ波エネルギーを生成するように配設されたマイクロ波源と、水ミストの流れを生成するように配設されたミスト発生器と、ガス供給源と、ミスト発生器から水ミストの流れを受け取るように接続されたマニフォールドと、マニフォールドに接続された複数のプラズマアプリケータと、を含み、各プラズマアプリケータは、マイクロ波源からマイクロ波エネルギー、及びガス供給源からガスの流れを受け取るように接続され、各プラズマアプリケータは、その遠位端においてプラズマをストライクするように構成され、複数のプラズマアプリケータの遠位端は、マニフォールドによって画定されるプラズマ生成領域内に配置され、マニフォールドは、水ミストの流れを、プラズマ生成領域を通してその出口に導くように構成されている、殺菌装置が提供される。使用時には、マニフォールドは、複数のプラズマアプリケータを用いて形成されたプラズマが存在するプラズマ生成領域を通して導かれる水ミストの流れを受け取る。プラズマ生成に対するメカニズムは、水ミスト送出とは独立している。これは、プラズマアプリケータが、ミストの流れに対応するように適応する必要はないことを意味する。また、装置は、プラズマ生成領域のサイズ(プラズマアプリケータの数によって制御される)及び水ミストの流量(体積/秒)の両方に関してスケール変更可能とすることができる。マニフォールドは、複数のミスト発生器からの水ミスト入力を互いに結合し、ならびに複数のプラズマアプリケータを受け入れるように適応させてもよい。
【0018】
マニフォールドは、1つ以上の入口から出口への流体流れ導管として働く中空ボディを含んでもよい。たとえば、マニフォールドは、その入口から出口への水ミストの流れ方向を画定してもよい。流れ方向を、マニフォールド内に受け取られる水ミストの流れの方向と位置合わせしてもよい。すなわち、水ミストはマニフォールドを通って進むときに実質的に偏向されない。これは、所与の水ミスト流量に対して大きな殺菌範囲を得るのに好都合であり得る。
【0019】
マニフォールドは、マイクロ波エネルギーの送出と干渉しないように、電気絶縁材料から形成(たとえば、鋳造)してもよい。
【0020】
各プラズマアプリケータは、プラズマ生成領域を通る水ミストの流れに対して横方向に延びてもよい。たとえば、マニフォールドは、プラズマアプリケータを受け入れる複数の横ポート(すなわち、その側面におけるポート)を含んでもよい。こうして、この配列によって、プラズマ生成領域内にエネルギーが注入される方向は水ミストの流れと直交してもよい。
【0021】
複数のプラズマアプリケータは、プラズマ生成領域の対向する側面で互いに向き合う1つ以上のプラズマアプリケータ対を含んでもよい。プラズマ生成領域は、1つ以上のプラズマアプリケータ対間のスペースを含むかまたはこれらからなっていてもよい。複数のプラズマアプリケータを、それらの対応するプラズマアークを結合させてリングを形成するように、プラズマ生成領域の周りに配設してもよい。
【0022】
各プラズマアプリケータを、マイクロ波エネルギーのみを用いてプラズマをストライクするように構成してもよい。しかし、他の実施形態では、装置は、プラズマをストライクするためにRFエネルギーのパルスを供給するように配設されたRF源を含んでいてもよい。マイクロ波エネルギーを用いてそれを維持する。RFストライク及びマイクロ波維持のセットアップの例が、WO2019/175063に与えられている。
【0023】
マイクロ波エネルギーのみを用いてプラズマをストライクすることができる配列では、各プラズマアプリケータは、伝導性チューブと、伝導性チューブの長手軸に沿って延びる細長い伝導性部材と、を含んでいてもよい。伝導性チューブと細長い伝導性部材とによって、プラズマアプリケータの近位端に第1の同軸伝送線及びプラズマアプリケータの遠位端に第2の同軸伝送線がもたらされてもよい。第1の同軸伝送線を4分の1波長インピーダンス変成器として構成してもよい。4分の1波長インピーダンス変成は、(たとえば、プラズマアプリケータに供給する同軸ケーブルの)第1のインピーダンスを、第2のインピーダンス(たとえば、第2の同軸伝送線のインピーダンス)に変成するように動作してもよい。第2の同軸伝送線を、第1の同軸伝送線よりも高いインピーダンスを伴って構成してもよい。第1及び第2の同軸伝送線のインピーダンスを、構造のジオメトリ(たとえば、細長い伝導性部材の直径と伝導性チューブの内径との相対サイズ)によって決定してもよい。第2の同軸伝送線のインピーダンスは、プラズマアプリケータを通って流れるガス内でプラズマをストライクするのに適したその遠位端における電界を設定するように選択してもよい。各プラズマアプリケータが受け取ったガスの流れは、伝導性チューブと細長い伝導性部材との間を通ってもよい。ここは、第1及び第2の同軸伝送線の誘電(絶縁)材料としても働く。
【0024】
絶縁材料のスリーブ(たとえば、石英など)を、伝導性チューブの遠位端に取り付けてもよい。スリーブは、第2の同軸伝送線の遠位端において電界をフォーカスするのを助ける場合があり、その結果、所望の場所におけるプラズマストライクが促進される。
【0025】
各プラズマアプリケータは、ガスの流れを伝導性チューブと細長い伝導性部材との間のスペースに送出するように構成されたガス入口チューブを含んでいてもよい。ガス入口チューブは、伝導性チューブの長手軸に対して横方向に延びてもよい。
【0026】
各プラズマアプリケータは、マイクロ波源からマイクロ波エネルギーを伝える同軸ケーブルに接続するように構成された近位コネクタを含んでいてもよい。近位コネクタは、同軸ケーブルの内部導体を細長い伝導性部材に電気的に接続し、同軸ケーブルの外部導体を伝導性チューブに電気的に接続するように構成してもよい。こうして、マイクロ波エネルギーを伝導性チューブの長手軸に沿って送出してもよく、その結果、効率的な結合が助けられ得る。一方で、ガス入口チューブを長手軸に対して横方向に配設してもよい。これは、マイクロ波エネルギーの送出と干渉しないため。好都合であり得る。
【0027】
マイクロ波源は、プラズマのストライクに適したパワーを有するマイクロ波エネルギーを生成することができる発生器であってもよい。一例では、マイクロ波源はマグネトロンを含む。マイクロ波源はさらに、複数のプラズマアプリケータに接続する1つ以上の同軸ケーブルにマグネトロンからのエネルギーを結合する導波管同軸アダプタを含んでもよい。他の例では、マイクロ波源は発振器と電力増幅器とを含んでもよい。
【0028】
ミスト発生器は、水滴または水蒸気のミストを生成するための任意の好適な手段を含んでいてもよい。たとえば、ミスト発生器は、超音波振動を水供給源に印加して細かい水滴を生成する超音波噴霧装置であってもよい。別の例では、ミスト発生器は水を加熱して水蒸気を生成するように動作してもよい。
【0029】
装置は複数のミスト発生器を含んでいてもよく、マニフォールドは複数の入口ポートを含み、各入口ポートは、対応するミスト発生器に接続可能である。こうして、装置は、所望の数のミスト発生器入力を受け取るようにマニフォールドを適応させることによってスケール変更可能であってもよい。
【0030】
ガス供給源を、そのミスト発生器または各ミスト発生器にガス流を送出するように接続してもよい。ガス流は、ミスト発生器によって形成された水ミストを運んで水ミストの流れを形成してもよい。このようにして、ミストの流量が制御可能であってもよい。これは特に、複数のミスト発生器があるときに望ましい場合がある。たとえば、マニフォールド内で均一な流れが受け取られることを確実にするために、各ミスト発生器に対するガス流量を独立に制御できることが有用であり得る。
【0031】
好ましくは、ガス供給源はアルゴンガスの供給源である。しかし、任意の他の好適なガスを選択してもよい。たとえば、二酸化炭素、ヘリウム、窒素、空気とこれらのガスのうちのいずれか1つとの混合物(たとえば、10%空気/90%ヘリウム)である。
【0032】
殺菌装置を、エンクロージャとともに用いるように構成してもよい。たとえば、マニフォールドの出口はエンクロージャ(たとえば、ボックス、部屋、車両など)に結合可能であってもよい。エンクロージャは、殺菌すべきスペースを画定してもよい。装置をエンクロージャのサイズに合わせてスケール変更してもよい。たとえば、ミスト発生器の数、ガスの流量、及びプラズマアプリケータの数、及びすべての要因を、エンクロージャに応じて適応させることができる。複数の個別のコンポーネントからの入力を結合することができるマニフォールドを設けることによって、本発明の装置は、種々の環境に適応する能力を促進する。
【0033】
本明細書では、用語「内部」は、同軸ケーブル、プローブ先端、及び/またはアプリケータの中心(たとえば、軸)に半径方向により近いことを意味する。用語「外部」は、同軸ケーブル、プローブ先端、及び/またはアプリケータの中心(軸)から半径方向により遠いことを意味する。
【0034】
用語「伝導性」はここでは、文脈上別の意味が示される場合を除き、電気伝導性を意味するために用いる。
【0035】
本明細書では、用語「近位」及び「遠位」は、アプリケータの端部を指す。使用時、近位端は、RF及び/またはマイクロ波エネルギーを供給するための発生器により近く、一方で遠位端は発生器からより遠い。
【0036】
本明細書では、「マイクロ波」を、周波数範囲400MHz~100GHzを示すために、しかし好ましくは範囲1GHz~60GHzを示すために広く用いてもよい。検討されている特定の周波数は、915MHz、2.45GHz、3.3GHz、5.8GHz、10GHz、14.5GHz、及び25GHzである。これに対し、本明細書では「高周波」または「RF」を用いて、少なくとも3桁低い周波数範囲、たとえば、最大で300MHz、好ましくは10kHz~1MHz、及び最も好ましくは400kHzを示す。マイクロ波周波数を、送出されるマイクロ波エネルギーが最適化できるように調整してもよい。たとえば、プローブ先端を特定の周波数(たとえば、900MHz)で動作するようにデザインしてもよいが、使用時に最も効率的な周波数は異なり得る(たとえば、866MHz)。
【0037】
次に、本発明の特徴について、以下に示す本発明の例の詳細な説明において添付図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】本発明の実施形態による殺菌装置の概略図である。
図2図1の殺菌装置と共に用いるのに適した供給マニフォールドの概略平面図である。
図3図2の供給マニフォールドの概略正面図である。
図4図1の殺菌装置と共に用いるのに適したプラズマアプリケータの概略側面図である。
図5図4のプラズマアプリケータの概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
本発明は、水ミストの存在下でプラズマを形成することによって生成されるヒドロキシルラジカルを用いて殺菌を行うためのデバイスに関する。
【0040】
図1は、本発明の実施形態である殺菌装置100の概略図である。殺菌装置100は、マイクロ波源102、ミスト発生器104、及びガス供給源106のそれぞれからの供給物を結合して、殺菌すべきエンクロージャ110内へのヒドロキシルラジカルの流れ108を生成するように動作する。
【0041】
マイクロ波源102は、マイクロ波エネルギー(すなわち、400MHz~100GHzの範囲、好ましくは1GHz~60GHzの範囲の周波数を有する電磁エネルギー)を出力するための任意の好適なマイクロ波発生器であってもよい。たとえば、2.45GHzの周波数を有するマイクロ波エネルギーを出力するように配設されたマグネトロンであってもよい。他の実施形態では、マイクロ波源は発振器及び電力増幅器を含んでいてもよい。マイクロ波源102を、200W以上、好ましくは500W以上、たとえば800Wなどのパワーを有するマイクロ波エネルギーを出力するように構成してもよい。
【0042】
ミスト発生器104は、1つ以上の超音波噴霧装置を含んでいてもよい。超音波噴霧装置では、水滴の細かいミストが、液体水(たとえば、蒸留水)を貯蔵する容器に超音波エネルギーを印加することによって得られる。代替的に、ミスト発生器104は、貯蔵された水に熱を加えることによって水蒸気(蒸気)を生成するためのデバイスを含んでいてもよい。
【0043】
ガス供給源106は、加圧された不活性ガス(たとえば、アルゴン、窒素、二酸化炭素など)のキャニスタを含んでいてもよい。代替的に、殺菌装置は、プラズマがストライクされるガス媒体として空気を用いて動作してもよい。この例では、ガス供給源は、導くことができるガス流を生成するためのファンまたは他の手段を含んでもよい。
【0044】
この例では、ガス供給源106は、ミスト発生器104に第1のガス流を供給する第1の接続部112を有している。第1のガス流は、ミスト発生器104からミストまたは水蒸気を運んで、それを、ミスト導管114を通してエンクロージャ110に向けて運ぶ。複数のミスト発生器104がある場合、第1の接続部112は複数の分岐を有していてもよく、複数のミスト導管114があってもよい。
【0045】
エンクロージャ110は、殺菌を必要とする任意のスペースであってもよい。ボックスもしくは部屋(たとえば、手術室または病院のスイート)または車内(たとえば、救急車など)であってもよい。装置からエンクロージャ110内への流量はたとえば、密閉体積内でのヒドロキシルラジカルの広がりを促進するために調整可能であってもよい。
【0046】
殺菌装置100はさらに、マイクロ波エネルギー、ミスト、及びガスを結合してヒドロキシルラジカルの流れ108を生成するように構成されたマニフォールド116を含んでいる。この実施形態では、マニフォールド116は、後でより詳細に説明する方法でプラズマ生成領域124として動作する内部体積を画定する。マニフォールド116は、ミスト導管114に接続された複数の近位入口ポート118と、ヒドロキシルラジカルの流れ108がエンクロージャ110内に進むときに通る出口ポート120とを含んでいる。入口ポート118はプラズマ生成領域124内に供給する。出口ポート120はプラズマ生成領域124の出口開口部である。ミスト導管114からのミストの流れがマニフォールド116に入る方向が、ヒドロキシルラジカルの流れ108がマニフォールド116から出る方向と位置合わせされている(たとえば、平行である)という意味で、入口ポート118は出口ポート120と位置合わせされていてもよい。
【0047】
マニフォールド116はさらに、プラズマ生成領域124のいずれの側にも配置された複数の横ポート122を含んでいる。この例では、マニフォールド116の対向する側面に配設された一対の横ポート122がある。各横ポート122は、プラズマアプリケータ126を受け入れるように構成されている。各プラズマアプリケータ126は、マイクロ波源102から、たとえば、対応する同軸ケーブル128などを介して、マイクロ波エネルギーを受け取るように接続されている。図4及び5を参照してより詳細に後述するように、各プラズマアプリケータ126は、マニフォールド116を通って流れるガス内でプラズマをストライクすることができるその遠位端において電界を形成するように構成されている。各プラズマアプリケータ126は、その遠位端がプラズマ生成領域124内にあるように、その対応する横ポート122を通って延びている。
【0048】
この例では、ガス供給源106はさらに、各プラズマアプリケータ126に別個のガス供給源を与える第2の接続部130を含んでいる。複数のプラズマアプリケータ126がある場合、第2の接続部130は複数の分岐を含んでいてもよい。この配列により、ガスは、ミスト導管114及びプラズマアプリケータ126の両方からプラズマ生成領域124に入る。
【0049】
使用時、ガスは、第1の接続部112及び第2の接続部130の両方を通って供給される。ミストが、ミスト発生器104によって形成されて、第1の接続部112からのガス中で運ばれる。するとすぐ、ミスト導管114を通ってマニフォールド116内に流れる。一方で、ガスが第2の接続部130からプラズマアプリケータ126を通って流れて、プラズマ生成領域124に入る。マイクロ波源102から供給されたマイクロ波エネルギーは、プラズマ生成領域124内で電界を形成して、ガス中でプラズマをストライクする。プラズマアプリケータ126は、出口ポート120において環状プラズマアークが見えるように、プラズマ生成領域124の周りに配置してもよい。
【0050】
図2は、本発明の実施形態において用いることができるマニフォールド116の概略平面図である。説明済みの特徴部には同じ参照番号を付して、その説明は繰り返さない。この例では、4つのミスト導管114が、漏斗要素136の近位側において受け入れられている。漏斗要素136は、各ミスト導管114からの流れを結合して単一チューブ138内に入れるように作用する。単一チューブ138は、漏斗要素136の遠位側から延びている。プラズマ生成領域124はチューブ138内に形成される。エンクロージャ(図示せず)に至る出口ポート120は、チューブ138の遠位端にある。
【0051】
同様に、プラズマアプリケータ126がプラズマ生成領域124内に延びるときに通る横ポート122は、チューブ138の側面内に形成されている。各プラズマアプリケータ126は、同軸ケーブル128に接続可能である近位コネクタ134を含んでいる。前述したように、各プラズマアプリケータ126は、ガス入口チューブ132を通って入る専用のガス供給源を有している。ガス入口チューブ132は、プラズマアプリケータ126がプラズマ生成領域124内に延びる方向に対して横方向に延びている。図2では、ガス入口チューブ132の方向はページに向かっている。
【0052】
図3に、図2に示すマニフォールド116の正面図を示す。説明済みの特徴部には同じ参照番号を付して、その説明は繰り返さない。この例では、プラズマ生成領域124の各側面に2つのプラズマアプリケータ126があり、順に重ねて配置されている。この図では、チューブ138内に延びるプラズマアプリケータ126の部分は出口ポートを通して見えている。対向するプラズマアプリケータ126は、距離w(この例では3mmである)だけ離間に配置されている。しかし距離は、供給されるガス流量及びマイクロ波エネルギーレベルの組み合わせによって形成されるプラズマアークのサイズに適したスケールに選択してもよい。動作時に形成されるプラズマリングを点線140によって概略的に示す。ミスト導管からのミストの流れがプラズマリングを通過してその周りを通り、その結果、ガス流内にヒドロキシルラジカルが形成されて殺菌を促進することがわかり得る。
【0053】
図4は、前述した装置内で用いることができるプラズマアプリケータ200の側面図である。プラズマアプリケータ200は概ね細長い円柱状部材で、伝導性チューブ206(たとえば、銅など)によって規定される。伝導性チューブ206の近位端にコネクタ204が取り付けられて、同軸ケーブル202を受け入れるようになっている。したがって、同軸ケーブル202に沿って伝えられるマイクロ波エネルギーを、伝導性チューブ206の長手軸に沿った方向で伝導性チューブ206内に送出することができる。伝導性チューブ206はその遠位端において開いている。ガス供給チューブ210が、伝導性チューブ206のその近位端に向かう側に取り付けられている。ガス供給チューブ210は、伝導性チューブ206の内部体積内に進む流路を画定する。流路は、伝導性チューブ206の軸に対して角度が付いている。この例では、流路はその軸に対して横方向に配置されている。ガス供給チューブ210を通って送出されたガスは、伝導性チューブ206を通って流れて、その遠位端において出る。石英管208が伝導性チューブ206と同軸にその遠位端において取り付けられている。石英管208は、伝導性チューブ108の遠位端を越えて突出して、その遠位長さに沿って伝導性チューブの内側表面とオーバーラップしている(図5に示す)。
【0054】
図5は、図4に示すプラズマアプリケータ200を通る概略断面図である。プラズマアプリケータ200は、内部体積を通って伝導性チューブ260と同軸に延びる細長い伝導性部材212を含んでいる。細長い伝導性部材212の近位端は、同軸ケーブル202の内部導体に接続されている。細長い伝導性部材212は、直径が異なる近位部分214及び遠位部分216を有している。この例では、近位部分214の直径aは、遠位部分216の直径cよりも大きい。遠位部分216は遠位先端部218(この例では丸みを帯びている)で終了する。伝導性チューブ206とともに、近位部分214及び遠位部分216は第1の同軸伝送線及び第2の同軸伝送線をそれぞれ規定する。
【0055】
プラズマアプリケータ200は、その遠位先端部におけるインピーダンスを増加させて、送出されたマイクロ波エネルギーによるプラズマストライクを促進するために配設された4分の1波長変成器を含んでいる。4分の1波長変成器は、前述のように規定した第1の同軸伝送線によって(すなわち、伝導性チューブ206と細長い伝導性部材212の近位部分214とによって)設けてもよい。
【0056】
次に4分の1波長変成器の動作について説明する。同軸ケーブル202は任意の従来タイプであってもよく、図5ではインピーダンスZ(50Ωであってもよい)を有すると示している。同軸ケーブルの外部導体が、伝導性チューブ206(その長さに沿って均一な内径bを有する)に電気的に接続されている。同軸ケーブル202の内部導体は、細長い伝導性部材212に電気的に接続されている。
【0057】
第1の同軸伝送線のインピーダンス
【0058】
【数1】
【0059】
は以下のように表すことができる。
【0060】
【数2】
【0061】
第2の同軸伝送線のインピーダンス
【0062】
【数3】
【0063】
は以下のように表すことができる。
【0064】
【数4】
【0065】
第1の同軸伝送線は長さLを有し、第2の同軸伝送線は長さLを有している。L及びLは両方とも、同軸ケーブル202が伝えるマイクロ波エネルギーの4分の1波長の奇数倍になるように配設されている。たとえば、マイクロ波エネルギーの周波数が2.45GHzである場合、L及びLは30.6mmであってもよく、したがってプラズマアプリケータ自体の全長は6~8cmとなる。
【0066】
結果として、第1の同軸伝送線及び第2の同軸伝送線の接合部のインピーダンスZは、以下のように表すことができる。
【0067】
【数5】
【0068】
そして、第2の同軸伝送線の遠位先端部218におけるインピーダンスZは、以下のように表すことができる。
【0069】
【数6】
【0070】
上式を代入して単純化することによって、Zを以下のように表すことができる。
【0071】
【数7】
【0072】
プラズマアプリケータ200の近位端における入力パワーがPの場合、第1及び第2の同軸伝送線に沿って生じるエネルギーの損失が最小限であると仮定して、遠位先端部における電圧V
を以下のように表してもよい。
【0073】
【数8】
【0074】
ここで、Mは、以下に等しい電圧増倍率である。
【0075】
【数9】
【0076】
一例では、プラズマアプリケータ200に対する寸法は以下のようであってもよい。a=6.5mm、b=12.5mm、c=1mm。この結果、電圧増倍率は3.862に等しい。Z=50Ωで、入力パワーP=250Wの場合、遠位先端部218における電圧は431.8Vとなる。したがって次のことが理解できる。すなわち、この構造は、伝導性チューブ206を通って運ばれるガスの電気的破壊を引き起こすほど十分に高い電界を、アプリケータの遠位端において発生させることができる電圧をもたらすのに効果的である。
【0077】
図5では、ガス供給チューブ210は、伝導性チューブ206の近位端から距離dに配置されている。距離dは、ガス供給チューブが、第1の同軸伝送線及び第2の同軸伝送線によるマイクロ波エネルギーの送信に影響しないことを確実にするように選択してもよい。一例では、距離dは15mmである。
【0078】
前述の説明、もしくは以下の請求項、もしくは添付図面で開示し、その具体的な形態でもしくは開示した機能を行うための手段の形で表した特徴、または開示した結果を得るための方法もしくはプロセスを、必要に応じて、別個に、またはこのような特徴の任意の組み合わせで、本発明をその多様な形態で実現するために利用してもよい。
【0079】
本発明を前述の典型的な実施形態と関連して説明してきたが、多くの等価な変更及び変形が、本開示が示されたときに当業者には明らかである。したがって、前述した本発明の典型的な実施形態は、例示的であって限定ではないと考えられる。説明した実施形態に対する種々の変更を、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく行ってもよい。
【0080】
わずかな疑いも避けるために、本明細書で示したどんな理論上の説明も、読者の理解を高めることを目的として与えている。発明者らは、これらの理論上の説明のいずれにも拘束されることを望まない。
【0081】
本明細書の全体にわたって、以下の請求項も含んで、文脈上他の意味に解すべき場合を除き、用語「有する(have)」、「含む(comprise)」、及び「含む(include)」、ならびに変形、たとえば「有する(having)」、「含む(comprises)」、「含む(including)」、及び「含む(compring)」は、提示した整数もしくはステップ、または整数もしくはステップのグループを含むことは意味するが、任意の他の整数もしくはステップ、または整数もしくはステップのグループを排除することは意味しないと理解される。
【0082】
本明細書及び添付の請求項で用いるように、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈上明らかに別の意味が示される場合を除き、複数の指示対象を含むことに注意しなければならない。範囲は、本明細書では、「約」ある特定の値から、及び/または「約」別の特定の値までとして表現され得る。このような範囲が表現されるとき、別の実施形態には、ある特定の値から及び/または他の特定の値までが含まれる。同様に、値が近似として表現されるとき、先行詞「約」を用いることによって、特定の値が別の実施形態を形成することを理解されたい。数値に対する用語「約」は任意的で、たとえば、+/-10%を意味する。
【0083】
用語「好ましい」及び「好ましくは」は、本明細書では、いくつかの状況の下で特定の利益を提供し得る本発明の実施形態に言及するために用いる。しかし当然のことながら、他の実施形態も同じまたは異なる状況の下で好ましい場合がある。したがって、1つ以上の好ましい実施形態の説明は、他の実施形態が有用でないことを意味も暗示もするものでなく、本開示の範囲からまたは特許請求の範囲から他の実施形態を除外することを意図するものではない。
図1
図2
図3
図4
図5