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特許7606778電動フォイル装置及びその電源コードユニット
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  • 特許-電動フォイル装置及びその電源コードユニット 図1
  • 特許-電動フォイル装置及びその電源コードユニット 図2
  • 特許-電動フォイル装置及びその電源コードユニット 図3
  • 特許-電動フォイル装置及びその電源コードユニット 図4
  • 特許-電動フォイル装置及びその電源コードユニット 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-18
(45)【発行日】2024-12-26
(54)【発明の名称】電動フォイル装置及びその電源コードユニット
(51)【国際特許分類】
   B63B 32/40 20200101AFI20241219BHJP
【FI】
B63B32/40
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2023189164
(22)【出願日】2023-11-06
【審査請求日】2023-11-06
(73)【特許権者】
【識別番号】523419129
【氏名又は名称】今井 譽
(74)【代理人】
【識別番号】110000198
【氏名又は名称】弁理士法人湘洋特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】今井 譽
【審査官】福田 信成
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-111857(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第110182331(CN,A)
【文献】特開2012-232403(JP,A)
【文献】特開2008-174209(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B63B 32/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フォイルサーフボードと、電力ボックスと、電源コードと、ボディ装着物と、安全紐とを備えた電動フォイル装置であって、
前記フォイルサーフボードは、フォイルボードと、推進装置を備え、
前記電力ボックスは、電池及び電気コントローラーを収納し、
前記電源コードは、前記電力ボックスと前記推進装置との間に連結され
前記ボディ装着物は、操作者の身体に装着され、
前記安全紐は、前記ボディ装着物と前記フォイルサーフボードの操作者が乗る前記フォイルボードとの間に連結されており、
前記電力ボックスと前記ボディ装着物とを結合して一つにすることで、操作者は身体に装着して携帯することができ、前記電池と前記電気コントローラーとは電気的に接続し、前記電池の電力と前記電気コントローラーの信号は、前記電源コードを通して前記推進装置に伝送されており、
前記電源コードは螺旋巻き部と直線部とを有しており、前記螺旋巻き部は、螺旋状に巻かれて連続する複数の螺旋環によって構成されて長さを有しており、前記電源コードの前記螺旋巻き部は、力を受けると長さを伸ばし、力を受けない時は巻かれた状態の前記螺旋環に戻り、長さを短くし、
前記安全紐の一端は、前記螺旋巻き部の各前記螺旋環に挿入された後、前記ボディ装着物に連結され、
前記電源コードの前記螺旋巻き部を伸ばした後の長さに直線部の長さを加えた長さは、前記安全紐の長さより長くなる
ことを特徴とする電動フォイル装置。
【請求項2】
前記電力ボックスの外側に設けた第一電力接続部は、前記電池及び前記電気コントローラーに電気的に接続し、前記電源コードの一末端に設けた第二電力接続部は、前記第一電力接続部に接続することを特徴とする請求項1に記載の電動フォイル装置。
【請求項3】
前記フォイルサーフボードは、フォイルボード底面にはマストを連結し、前記マストの上端と前記フォイルボード底面とを結合固定して一つにし、前記マストの底端は連結棒に連結し、前記連結棒の前端には前ウィングを設け、前記連結棒の後端には後ウィングを設けており、前記推進装置は前記マスト上に結合しており、フォイルボード上表面及び前記フォイルボード底面には間隔をあけた複数の結束台を設けて、前記電源コードの前記直線部を前記結束台上に固定しており、前記安全紐と前記電源コードの前記直線部の二者は複数の結束バンドによって結合されることを特徴とする請求項1に記載の電動フォイル装置。
【請求項4】
前記安全紐の一末端には第一結合部品を備え、他の末端には第二結合部品を備え、前記ボディ装着物には第四結合部品及び第三結合部品を備え、前記安全紐の前記第一結合部品は前記ボディ装着物の前記第三結合部品上に連結し、前記安全紐の前記第二結合部品は前記フォイルサーフボード上に連結し、前記ボディ装着物と前記電力ボックスとの二者は、前記第四結合部品によって結合されて一つになることを特徴とする請求項1に記載の電動フォイル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水上活動器具に関し、特に電池及び電気コントローラーを独立させ、操作者が携帯できる電動フォイル装置及びその電源コードユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1及び特許文献2を参照されたい(以下、従来技術と略す)。この二つの発明特許出願案はいずれも水上電動装置、もしくは電動フォイル装置と呼ばれるものである。二つの発明特許出願案はいずれも電池によって電力を電気コントローラー(ESC)及び推進装置(PROPULSION UNIT)に供給して使用するものである。周知の通り、電動フォイル装置の使用は、操作者の両足に身体の重心をかけることで電動フォイルの前進やターンをコントロールしている。電池及び電気コントローラー(ESC)はフォイルボード中に取り付けるが、フォイルボードの厚みを厚くしてこそ電池及び電気コントローラー(ESC)をその内部に収納することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】中国特許出願案第202011415925.4号明細書
【文献】米国特許出願案第17/920,662号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述した二つの出願案は、フォイルボード自体の重量を大幅に増加するものであり、さらに電池、電気コントローラー(ESC)、マスト、推進装置(PROPULSION UNIT)、前ウィング、後ウィング等の重量を加えると、電動フォイル装置全体の重量は非常に重くなり、電動フォイル装置を操作する際の細やかな動きに影響を及ぼしている。また、電池及び電気コントローラー(ESC)を長さが非常に長いフォイルボード中に取り付ける際には精度の高い防水技術が必要であり、この点は関連業者にとり解決が必要とされ、改善が待たれるものである。
【0005】
上述のような多くの欠点に鑑み、本発明者は、向上に向上を積み上げる精神に基づいて、心を尽くして研究を続け、サンプル作製での試験を重ね、絶え間ない改善を経て、ついに次の発明目的を達成すべく本発明を生み出した。
【0006】
本発明の主な目的は、電池及び電気コントローラーを電力ボックス内に収納することで独立した構造を形成し、操作者は身体に装着して携帯できるため、電動フォイル装置の全体重量を大幅に減少し、電動フォイル装置の操作の機敏性を高めることができる電動フォイル装置及びその電源コードユニットを提供することにある。
【0007】
本発明の次の目的は、身体に装着して携帯する電力ボックスと推進装置間には、螺旋巻き部を備えた電源コードを電気的に接続し、螺旋巻き部が力を受けた時には長さを伸ばし、力を受けない時には元の状態に戻るという特性をもたせることにより、電源コードと電力ボックスもしくは推進装置との連結箇所の脱落を防ぎ、電力ボックス内の電池の電力及び電気コントローラーの信号を継続的に推進装置に伝送することができる電動フォイル装置及びその電源コードユニットを提供することにある。
【0008】
本発明のもう一つの目的は、電力ボックスと推進装置との間に連結した電源コードが螺旋巻き部を有しており、螺旋巻き部に一端を通す安全紐は螺旋巻き部内に動きが制限され、並びに結束バンドの使用によって、操作者、フォイルボード間の安全紐と電源コードが一つとなるようにきちんと結合されている故に、本発明の電動フォイル装置の操作時には、電源コードと安全紐に妨げられない電動フォイル装置及びその電源コードユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した発明の目的を達成するために提供する本発明の電動フォイル装置は、推進装置を備えるフォイルサーフボードと、電池及び電気コントローラーを収納する電力ボックスと、電力ボックスと推進装置との間に連結される電源コードと、操作者の身体に装着されるボディ装着物と、ボディ装着物とフォイルサーフボードとの間に連結される安全紐とを備える。電力ボックスとボディ装着物とを結合して一つにすることで、操作者は身体に装着して携帯することができる。電池の電力と電気コントローラーの信号は、電源コードを通して推進装置に伝送される。電源コードは螺旋巻き部と直線部とを有しており、螺旋巻き部は、螺旋状に巻かれて連続する複数の螺旋環によって構成されて長さを有しており、螺旋巻き部は力を受けると長さを伸ばし、力を受けない時は巻かれた状態の螺旋環に戻り、長さを短くする。安全紐の一端は、螺旋巻き部の各螺旋環に挿入された後、ボディ装着物に連結される。電源コードの螺旋巻き部を伸ばした後の長さに直線部の長さを加えた長さは、安全紐の長さより長くなる。
【0010】
上述の設計による本発明の電動フォイル装置及びその電源コードユニットは、電池と電気コントローラーをフォイルサーフボードのフォイルボード内に収納しないことにより、フォイルボードの厚さを比較的薄くして重量を軽減できる。これにより、フォイルサーフボードの全体重量を大幅に軽減でき、操作の機敏性を大幅に向上する。また、電源コードの螺旋巻き部が力を受けた時は長さを伸ばす特性を有し、電源コードの螺旋巻き部を伸ばした後の長さに直線部の長さを加えた長さは安全紐の長さ以上になり、電源コードと電力ボックス或いは推進装置との間の連結箇所の脱落を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態による之電力ボックス、電源コード、安全紐を示した図である。
図2】本発明の実施形態による電力ボックスを示した図である。
図3】本発明の実施形態による使用状態を示した図である。
図4図3の一部拡大図である。
図5図3のもう一つの一部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
審査員の方々に本発明の特徴についてよりご理解とご賛同をいただくべく、下記に実施形態を示し、図面を組みあわせた説明を行う。
【0013】
図1から図5に示すとおり、本実施形態の電動フォイル装置100は、水翼艇50、一電力ボックス10、電源コード20、ボディ装着物40、安全紐30を含む。そのうち、
フォイルサーフボード50はフォイルボード51を備える。フォイルボード底面511にマスト52を連結し、マスト52の上端とフォイルボード底面511の二つは、固定台521によって結合固定され、しかも二者間には密封防水状態が形成されている。マスト52の底端には連結棒53が連結されている。連結棒53の前端には前ウィング54を設け、連結棒53の後端には後ウィング55が設けられている。マスト52上には推進装置60が結合されている。フォイルボード51の後側に近い箇所に固定部品512を設け、本実施形態においては、固定部品512はフォイルボード51にともに結合固定される環状紐である。
【0014】
電力ボックス10は、その内部に電池11及び電気コントローラー12を収納し、電池11、電気コントローラー12間は電気的に接続されている。外側面には第一電力接続部13を設け、第一電力接続部13は、電池11及び電気コントローラー12と電気的に接続し、電力ボックス10を閉じると密封防水状態が形成される。
【0015】
電源コード20は、螺旋巻き部21と直線部23とを有する。その末端に設けた第二電力接続部22は、電力ボックス10の第一電力接続部13に連結可能であり、第一電力接続部13と第二電力接続部22を接続すると密封防水状態が形成される。もう一つの末端は推進装置60に電気的に接続され、螺旋巻き部21は螺旋状に巻かれた連続する複数の螺旋環211によって構成されており、長さを有する。螺旋巻き部21は力を受けた時、引っ張られてその長さを伸ばし、力を受けない時は、長さが短くなって巻かれた状態の螺旋環211に戻る。螺旋巻き部21は、第二電力接続部22の端に近い箇所にあり、螺旋巻き部21のもう一端の電源コード20は、直線的に延伸され、任意に曲げることのできる直線部23である。直線部23、操作者間は余裕をもたせてあるため、操作者が姿勢を変えたときに、電源コード20に邪魔されることはない。直線部23の、フォイルボード51の後ろ側に近い箇所は、フォイルボード上表面513に密着しており、さらにフォイルボード底面511を曲がり、最後に固定台521内に挿入される。マスト52中と推進装置60は電気的に接続しており、電池11の電力及び電気コントローラー12の信号が推進装置60に送られると推進装置60が作動し、電動フォイル装置100を前進させる。電源コード20が固定台521に挿入される連結箇所は密封防水状態をなしている。フォイルボード上表面513及びフォイルボード底面511に沿って、間隔をあけた複数の結束台70が設けられており、電源コード20の直線部23を結束台70上に固定することができる。また、電源コード20の直線部23、固定部品512(環状紐)の二者は、結束バンド80によって一緒に結合される。
【0016】
ボディ装着物40は、操作者の身体に装着することができ、ボディ装着物40は、電力ボックス10を結合させたり分離させることができ、本実施形態において、ボディ装着物40はベルトである。ボディ装着物40(腰に巻くベルト)、電力ボックス10の二者は第四結合部品42で一緒に結合されており、本実施形態において、第四結合部品42はマジックテープ(登録商標、以下同じ)である。ボディ装着物40はさらに、第三結合部品41を備え、本実施形態において、第三結合部品41は環状部品である。
【0017】
安全紐30は、その末端に第一結合部品31を備え、他の末端には第二結合部品32を備える。本実施形態において、第一結合部品31はナスカンであり、第二結合部品32は強力マジックテープである。第一結合部品31の端は電源コード20の螺旋巻き部21の一端から挿入し、さらに螺旋巻き部21の他の一端から外側に貫通する。並びに、ボディ装着物40の第三結合部品41上に結合固定し、第二結合部品32は、フォイルボード51の固定部品512上に結合固定する。電源コード20の螺旋巻き部21を伸ばした後の長さに直線部23の長さを加えた長さは、安全紐30の長さより長くなる。安全紐30と電源コード20の直線部23との間は、間隔をあけて設置する複数の結束バンド80によって二者を結合して単一となるようにしてあるため、安全紐30と電源コード20の直線部23間は、からまって混乱することがない。安全紐30、操作者間には同様に余裕を持たせてあるため、操作者が姿勢を変えても安全紐30が邪魔になることはない。
【0018】
上述は、本発明の実施形態により提供される電動フォイル装置100の各構成要素及びその組立方式の紹介であった。続いて、それの使用における特徴を下記に紹介する。
【0019】
続いて、図1から図5に示すとおり、本実施形態の電動フォイル装置100は、電池11及び電気コントローラー12を電力ボックス10内に収納することで、電力ボックス10を独立した構造とする。操作者は身体に装着して携帯することができ、電力ボックス10と推進装置60との間にさらに電源コード20を接続し、電池11の電力及び電気コントローラー12の信号を推進装置60に送ることができる。よって、人々は本実施形態の電動フォイル装置100を用いて心ゆくまで水上活動を楽しむことができる。
【0020】
電池11及び電気コントローラー12は、フォイルボード51内に設置しなくてもよいため、フォイルボード51の厚さは比較的薄いものにして、フォイルボード51自体の重量を軽減することができる。従来技術と比較すると、本実施形態の電動フォイル装置100は、フォイルボード51自身の重量を軽減する一方で、電池11及び電気コントローラー12の重量をなくすことができる。したがって、本実施形態の電動フォイル装置100の全体重量を大幅に軽減するため、操作時の機敏性を大幅に向上させることができる。
【0021】
また、水上活動をする際、操作者がフォイルボード51から落下してしまうことは避けられないが、操作者が落下した時に、安全紐30の長さが螺旋巻き部21を伸ばした後の長さに直線部23の長さを加えた長さよりも短い故に、安全紐30と電源コード20が同時に引っ張られた時、安全紐30が引っ張られることが優先的に行われ、電源コード20が引っ張られることを防ぐことができ、同時に、フォイルボード51が操作者から遠く離れてしまうことを防ぐ。なお、単独で電源コード20が引っ張られると、力を受けた螺旋巻き部21が伸びて、電源コード20と電力ボックス10或いは推進装置60間の連結箇所の脱落を防ぐことができる。
【0022】
安全紐30の一端が電源コード20の螺旋巻き部21の螺旋環211に通され、安全紐の一端が螺旋巻き部21中に制限されており、安全紐30の他の一端と電源コード20の直線部23との二者は、複数の結束バンド80によって結合されて一つになっている。よって、電源コード20の直線部23と安全紐30とがからまって混乱することがない一方で、操作者が電源コード20と安全紐30とに動作を妨げられてしまうことを防ぐ。
【0023】
前述した本発明の電動フォイル装置及びその電源コードユニットは、一実施形態を示しただけであり、本発明の実施範囲を制限するものではない。よって、本技術分野に関連する技術者が本発明に基づいて行う変化はすべて本発明が含む保護範囲に属するものとする。
【符号の説明】
【0024】
100 電動フォイル装置
10 電力ボックス
11 電池
12 電気コントローラー
13 第一電力接続部
14 防塵キャップ
20 電源コード
21 螺旋巻き部
211 螺旋環
22 第二電力接続部
23 直線部
30 安全紐
31 第一結合部品
32 第二結合部品
40 ボディ装着物
41 第三結合部品
42 第四結合部品
50 フォイルサーフボード
51 フォイルボード
511 フォイルボード底面
512 固定部品
513 フォイルボード上表面
52 マスト
521 固定台
53 連結棒
54 前ウィング
55 後ウィング
60 推進装置
70 結束台
80 結束バンド
【要約】
【課題】 全体重量を大幅に減少させ、操作の機敏性を向上させる電動フォイル装置及びその電源コードユニットを提供する。
【解決手段】 推進装置を備えるフォイルサーフボードと、電池及び電気コントローラーを収納する電力ボックスと、電力ボックスと推進装置との間に連結される電源コードと、操作者の身体に装着されるボディ装着物と、ボディ装着物とフォイルサーフボードとの間に連結される安全紐とを備える。電力ボックスとボディ装着物とを結合して一つにすることで、操作者は身体に装着して携帯することができる。電池の電力と電気コントローラーの信号は、電源コードを通して推進装置に伝送される。電源コードは螺旋巻き部と直線部とを有しており、螺旋巻き部は、螺旋状に巻かれて連続する複数の螺旋環によって構成されて長さを有している。螺旋巻き部は力を受けると長さを伸ばし、力を受けない時は巻かれた状態の螺旋環に戻り、長さを短くする。
【選択図】 図3
図1
図2
図3
図4
図5