(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-18
(45)【発行日】2024-12-26
(54)【発明の名称】受信装置及び送受信システム
(51)【国際特許分類】
H04B 1/16 20060101AFI20241219BHJP
H03L 7/08 20060101ALI20241219BHJP
H03L 7/085 20060101ALI20241219BHJP
H03M 1/82 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
H04B1/16 Z
H03L7/08 107
H03L7/085
H03M1/82
(21)【出願番号】P 2024011164
(22)【出願日】2024-01-29
【審査請求日】2024-10-18
(73)【特許権者】
【識別番号】399011195
【氏名又は名称】ザインエレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100110582
【氏名又は名称】柴田 昌聰
(72)【発明者】
【氏名】久保 俊一
【審査官】川口 貴裕
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第5991346(US,A)
【文献】国際公開第2011/118370(WO,A1)
【文献】特開2005-348156(JP,A)
【文献】特開2012-028943(JP,A)
【文献】特開2013-191956(JP,A)
【文献】特開2002-100988(JP,A)
【文献】特開2006-180093(JP,A)
【文献】特開平04-207801(JP,A)
【文献】特開2010-050546(JP,A)
【文献】特開2015-156641(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 1/16
H03L 7/08
H03L 7/085
H03M 1/82
H03M 1/12 - 1/64
H04L 27/14 - 27/156
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力端子に接続された第1A/D変換器と、
前記入力端子に接続された第2A/D変換器と、
前記第1A/D変換器の第1出力端子、及び、前記第2A/D変換器の第2出力端子に接続される入力端子を有する位相検出器と、
前記位相検出器の出力端子に接続されたループフィルタと、
前記ループフィルタの出力端子に接続された入力端子を有する電圧制御発振器と、
を備え、
前記第1A/D変換器の第1サンプリングクロック信号、及び、前記第2A/D変換器の第2サンプリングクロック信号は、前記電圧制御発振器の出力信号から生成され、π/2の位相差を有する、
受信装置。
【請求項2】
前記受信装置の受信信号は、搬送波周波数f
RFの搬送波信号を、基準周波数f
Sのベースバンド信号により変調した信号であり、Nを自然数として、
f
RF=N×f
S、
の関係を満たしている、
請求項1に記載の受信装置。
【請求項3】
前記第1A/D変換器の後段に設けられた第1デシメーションフィルタと、
前記第2A/D変換器の後段に設けられた第2デシメーションフィルタと、
を備える、
請求項2に記載の受信装置。
【請求項4】
前記第1デシメーションフィルタの後段に設けられ、入力信号のエラーレートを検出し、検出されたエラーレートが最も小さいサンプリングタイミングにおいてサンプリング動作をするように、前記第1デシメーションフィルタに指示する第1パターンチェッカと、
前記第2デシメーションフィルタの後段に設けられ、入力信号のエラーレートを検出し、検出されたエラーレートが最も小さいサンプリングタイミングにおいてサンプリング動作をするように、前記第2デシメーションフィルタに指示する第2パターンチェッカと、
を備える請求項3に記載の受信装置。
【請求項5】
前記第1A/D変換器の後段に設けられ、1ビットに相当する期間内における連続するサンプリングされたn個のデータにおいて、これらのデータの示す複数の値のうち、最も数が多い値を選択する第1最頻値選択回路と、
前記第2A/D変換器の後段に設けられ、1ビットに相当する期間内における連続するサンプリングされたn個のデータにおいて、これらのデータの示す複数の値のうち、最も数が多い値を選択する第2最頻値選択回路と、
を備える請求項2に記載の受信装置。
【請求項6】
前記第1A/D変換器と前記第1デシメーションフィルタとの間に設けられた第1波形整形回路と、
前記第2A/D変換器と前記第2デシメーションフィルタとの間に設けられた第2波形整形回路と、
を備える、
請求項3に記載の受信装置。
【請求項7】
前記第1A/D変換器及び前記第2A/D変換器の入力端子の前段に、前記受信装置が受信する高周波信号と第1ローカル信号が入力される第1スーパーヘテロダイン回路を備え、
前記第1ローカル信号は、前記電圧制御発振器の出力信号から生成され、M
1を自然数として、この出力信号の周波数のM
1倍の周波数を有する、
請求項2に記載の受信装置。
【請求項8】
前記第1スーパーヘテロダイン回路の前段に、前記受信装置が受信する高周波信号と第2ローカル信号が入力される第2スーパーヘテロダイン回路を備え、
前記第2ローカル信号は、前記電圧制御発振器の出力信号から生成され、M
2を自然数として、この出力信号の周波数のM
2倍の周波数を有する、
請求項7に記載の受信装置。
【請求項9】
前記受信装置の前記受信信号は、前記搬送波信号を前記ベースバンド信号で位相偏移変調して生成されている、
請求項2に記載の受信装置。
【請求項10】
前記受信装置の前記受信信号は、前記搬送波信号を前記ベースバンド信号で、直交位相振幅変調(QAM)して生成されている、
請求項2に記載の受信装置。
【請求項11】
前記位相検出器は、
前記第1A/D変換器から出力された第1デジタル値と、前記第2A/D変換器から出力された第2デジタル値とが入力され、第1デジタル値と前記第2デジタル値の示す信号の位相差に相関したデジタル値を出力するマルチプレクサを有している、
請求項1に記載の受信装置。
【請求項12】
前記位相検出器の前記出力端子と、前記電圧制御発振器の前記入力端子との間に設けられたD/A変換器を更に備える、
請求項11に記載の受信装置。
【請求項13】
前記ループフィルタは、
D/A変換器の出力端子に接続された第1端を有する抵抗器と、
前記抵抗器の第2端と固定電位との間に接続された第1キャパシタと、
前記抵抗器の前記第1端と固定電位との間に接続された第2キャパシタと、
前記抵抗器の前記第1端と前記D/A変換器の出力端子との間の経路に対して並列に接続された第3キャパシタと、
を含む、
請求項12に記載の受信装置。
【請求項14】
前記第1A/D変換器及び前記第2A/D変換器の入力端子に入力される受信信号は、
定期的にプリアンブル・パターンを含んでおり、前記プリアンブル・パターンを受信した場合、受信したプリアンブル・パターンを基準として、前記第1サンプリングクロック信号及び前記第2サンプリングクロック信号の位相を補正する、
請求項1に記載の受信装置。
【請求項15】
送信装置から無線で送信された信号を受信し、前記入力端子に入力するアンテナを備える、
請求項1に記載の受信装置。
【請求項16】
送信装置から有線で送信された信号を受信し、前記入力端子に入力する、
請求項1に記載の受信装置。
【請求項17】
請求項1~請求項16のいずれか一項に記載の受信装置と、
前記受信装置の受信信号を送信信号として送信する送信装置と、
を備えた送受信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、受信装置及び送受信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
電気通信技術における送信装置は、変調回路を備えている。デジタル通信における変調回路には、高周波帯域の搬送波信号と、送りたいデジタル情報(0,1)を含んだ低周波帯域のベースバンド信号が入力される。変調回路は、ベースバンド信号によって、搬送波信号を変調する。搬送波信号の周波数帯域は、ベースバンド信号の周波数帯域よりも高く、伝搬に適している。ベースバンド信号は、情報信号であり、オーディオ信号、ビデオ信号、又は、コンピューターからのビットストリームなどである。受信装置は、送信装置から送信された信号を復調する復調回路を備えている。
【0003】
特許文献1に記載の受信装置の復調回路は、受信信号と、ローカル信号を乗算するミキサを備えている。ローカル信号は、電圧制御発振器(VCO)から出力される。ローカル信号の周波数は、搬送波信号の周波数と同一となるように設定される。ミキサの出力信号は、2つに分岐された後、2個のフィルタを介して、2個のA/D変換器(アナログデジタル変換器(ADC))に入力され、ベースバンド信号の復調が行われる。2つのADCの出力信号は、コスタスループ(Costas Loop)に入力され、VCOの出力信号の周波数を調整している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の受信装置は、ミキサを用いて復調を行う構造を有しており、回路規模が大きく、消費電力が高いという課題がある。回路規模を小さくして消費電力を低下可能な受信装置及び送受信システムが期待される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の受信装置は、入力端子に接続された第1A/D変換器と、前記入力端子に接続された第2A/D変換器と、前記第1A/D変換器の第1出力端子、及び、前記第2A/D変換器の第2出力端子に接続される入力端子を有する位相検出器と、前記位相検出器の出力端子に接続されたループフィルタと、前記ループフィルタの出力端子に接続された入力端子を有する電圧制御発振器と、を備え、前記第1A/D変換器の第1サンプリングクロック信号、及び、前記第2A/D変換器の第2サンプリングクロック信号は、前記電圧制御発振器の出力信号から生成され、π/2の位相差を有する。この受信装置は、ミキサの代わりに、A/D変換器を用いて、復調を実現しており、回路規模を小さくして消費電力を低下させることが可能となる。
【発明の効果】
【0007】
本開示の受信装置及び送受信システムは、回路規模を小さくして消費電力を低下可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、送受信システムのブロック図である。
【
図2】
図2は、受信信号(Rx)(
図2(a))、IチャネルのA/D変換データ(
図2(b))、QチャネルのA/D変換データ(
図2(c))、Iチャネルのベースバンド信号のデータ(
図2(d))、Qチャネルのベースバンド信号のデータ(
図2(e))、を示すタイミングチャートである。
【
図4】
図4は、入力値とA/D変換後のデジタル値(3ビット)の関係を示す図表である。
【
図6】
図6は、入力値とA/D変換後のデジタル値(5ビット)の関係を示す図表である。
【
図7】
図7は、受信装置におけるD/A変換器及びループフィルタのブロック図である。
【
図9】
図9は、送受信システムのブロック図である。
【
図15】
図15は、最頻値選択回路の動作の論理を説明する図である。
【
図21】
図21は、受信信号の時間的な構成を示す図であり、
図21(a)は信号の構造を示す図である、
図21(b)は周波数の構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して種々の例示的実施形態について詳細に説明する。なお、各図面において同一又は相当の部分に対しては同一の符号を附することとし、重複する説明は省略する。
【0010】
【0011】
送受信システム100は、受信装置RXと、受信装置RXの受信信号を送信信号として送信する送信装置TXとを備えている。
【0012】
送信装置TXは、ベースバンド信号発生器21と、基準クロック発生器22と、変調回路23と、搬送波信号発生器24、送信アンプ25と、送信アンテナ20を備えている。
【0013】
ベースバンド信号発生器21は、入力信号の含む情報信号を処理して、ベースバンド信号を出力する。入力信号は、バイナリーデータであり、QPSK(四位相偏移変調)を行う場合、ベースバンド信号発生器21は、基準クロック発生器22から出力される基準クロック信号に同期にして、Iチャネル用のベースバンド信号と、Qチャネル用のベースバンド信号を生成する。変調回路23には、Iチャネル及びQチャネルのベースバンド信号が入力される。変調回路23に入力されるベースバンド信号は、基準周波数(fS)を有している。
【0014】
ベースバンド信号発生器21は、入力信号を符号化するエンコーダ、エラー訂正符号を追加する回路、入力信号のシリアライズを行い、Iチャネル及びQチャネルの信号を生成する信号生成器などを含むことができる。
【0015】
基準クロック発生器22は、ベースバンド信号発生器21内の処理を行うためのクロック信号を発生して、ベースバンド信号発生器21に供給する。なお、ベースバンド信号発生器21が、クロック信号発生器を内蔵していてもよい。
【0016】
変調回路23は、ベースバンド信号発生器21から出力されたIチャネルのベースバンド信号が入力される第1入力端子と、Qチャネルのベースバンド信号が入力される第2入力端子と、搬送波信号fRFが入力される第3入力端子とを備えている。変調回路23は、搬送波周波数(fRF)を有する搬送波信号fRFをベースバンド信号により変調し、変調された搬送波信号を送信信号(変調波)として出力する出力端子を備えている。なお、簡単のため、信号fの周波数を(f)と表記する。
【0017】
変調回路23から出力される送信信号の成分は、信号空間ダイヤグラム(Constellationdiagram)上にプロットすることができる。信号空間ダイヤグラムの横軸は、同相(In-phase:I)軸であり、縦軸は直角位相(Quadrature:Q)軸である。信号空間ダイヤグラムにおける原点からの距離は振幅を示し、角度は位相を示している。すなわち、I軸上の0°における信号と、Q軸上の90°における信号とは、90°(=π/2)だけ位相がずれている。例えば、QPSKの場合は、信号空間ダイヤグラム上の原点を中心とした円上において、45°の信号が「11」を示し、135°の信号が「10」を示し、225°の信号が「00」を示し、315°の信号が「01」を示すことができる。
【0018】
QPSKの変調を行う場合、Iチャネル用のベースバンド信号により、搬送波信号fRFが変調されると共に、Qチャネル用のベースバンド信号により、搬送波信号fRFが変調され、これらの搬送波信号fRFが加算されて、後段の送信アンプ25に入力される。
【0019】
搬送波信号発生器24は、搬送波信号fRFを発生する。搬送波信号fRFの周波数帯域は、ベースバンド信号の周波数帯域よりも高く、信号の伝搬特性に優れている。搬送波信号発生器24は、発振器を内蔵していてもよいが、外部の発振器からの参照クロック信号に同期して、搬送波信号fRFを発生してもよい。
【0020】
送信アンプ25は、変調回路23から出力された送信信号を増幅して、送信アンテナ20に伝達する。送信アンプ25は、設計された周波数帯域の送信信号を透過させるバンドパスフィルタの機能を有してもよく、また、送信中に減衰する高周波成分の強度を増加させるイコライザを備えていてもよい。
【0021】
送信アンテナ20は、変調された搬送波信号(送信信号)を送信する。送受信システム100が無線通信システムの場合は、送信装置TXは送信アンテナ20を備えており、受信装置RXは受信アンテナ10を備えている。送受信システム100が、導電ケーブル又は光ケーブルを使用した有線通信を行う場合は、これらの装置はアンテナを備える必要はない。光ケーブルを用いた通信を行う場合、送信アンテナ20に代えて、送信アンプ25の出力信号を光信号に変換する発光ダイオード又はレーザダイオードを用い、受信アンテナ10に代えて、光検出器を用いる。詳説すれば、受信装置RXは、送信装置TXから無線で送信された信号を受信し、受信装置の入力端子に入力するアンテナ(10)を備える。または、受信装置RXは、送信装置TXから有線で送信された信号を受信し、受信装置の入力端子に入力する構成としてもよい。また、有線通信を行う場合、シングルエンド又は差動ライン等を用いることにより、通信を行うことができる。
【0022】
なお、変調回路23における変調方式として、QAM(直交振幅変調)を採用することもできる。QAMは、搬送波信号の少なくとも2つの位相と、少なくとも2つの振幅を変調する。変調する振幅レベル数が4段階の場合、変調回路は4段階の振幅レベル変換回路(デジタルアナログ変換器)を内蔵することができる。QAMの場合は、位相(信号空間ダイヤグラム上の角度)だけでなく、振幅(信号空間ダイヤグラム上の距離)も変更するので、信号空間ダイヤグラム上の複数の座標位置(例:16QAM、64QAM)上に、変調後の搬送波信号の状態を設定することができる。
【0023】
なお、変調回路23における変調方式として、位相変調を伴う他の変調方式を採用することも可能である。変調回路23における変調方式として、BPSK(二位相偏移変調)を採用する場合は、信号空間ダイヤグラム上の原点を中心とした円上において、I軸上の0°の信号が「1」を示し、180°の信号が「0」を示すことができる。BPSKの場合、変調回路23に入力するベースバンド信号のチャネル数は1つでよい。変調方式としては、搬送波信号の位相を変調するPSK(位相偏移変調)の他、搬送波信号の周波数を変調するFSK(周波数偏移変調)、搬送波信号の振幅を変調するASK(振幅偏移変調)が知られている。
【0024】
受信装置RXは、第1A/D変換器1と、第2A/D変換器2と、位相検出器3と、D/A変換器4(デジタルアナログ変換器(DAC))と、ループフィルタ5と、電圧制御発振器6(VCO)と、π/2の位相シフタ7とを備えている。受信装置RXは、送信信号を受信信号として受信する受信アンテナ10と、受信アンテナ10の出力端子に接続された受信アンプ11を備えている。受信アンプ11から出力されたアナログの受信信号は、分岐され、それぞれ第1A/D変換器1及び第2A/D変換器2に入力される。
【0025】
第1A/D変換器1は、アナログ信号(受信信号)が入力される第1入力端子T11を備えている。第1A/D変換器1は、第1サンプリングクロック信号が入力される第2入力端子T12を備えている。第1A/D変換器1は、第1サンプリングクロック信号のタイミングに同期して、入力されたアナログ信号(電圧値)をデジタル信号に変換する。1つのアナログ値を、変換した後のデジタル信号のビット数の一例は、nビット(3≦n)である。例えば、電圧範囲がV1~V2の間のアナログ電圧VAが入力された場合、このアナログ電圧に対応するデジタル値DAを出力する。これらの変換は、例えば、判定閾値が異なる複数の比較器にアナログ電圧を入力し、各比較器のデジタル出力をパラレル信号で出力すれば実現することができる。デジタル信号の出力タイミングは、サンプリングクロック信号により調整することができる。
【0026】
第2A/D変換器2は、アナログ信号(受信信号)が入力される第1入力端子T21を備えている。第2A/D変換器2は、第2サンプリングクロック信号が入力される第2入力端子T22を備えている。第2A/D変換器2は、第2サンプリングクロック信号のタイミングに同期して、入力されたアナログ信号をデジタル信号に変換する。1つの値を変換した後のデジタル信号のビット数の一例は、nビット(3≦n)である。第2A/D変換器2の構造と作用は、第1A/D変換器1と同一である。
【0027】
第1A/D変換器1の第1サンプリングクロック信号、及び、第2A/D変換器2の第2サンプリングクロック信号は、電圧制御発振器6の出力信号から生成される。電圧制御発振器6の出力端子と、第2A/D変換器2の第2入力端子T22との間には、π/2の位相シフタ7が介在している。したがって、第1サンプリングクロック信号と、第2サンプリングクロック信号は、π/2の位相差を有している。位相変調方式として、QPSKを採用している場合、第1A/D変換器1の出力信号は、Iチャネルの信号に相当し、第2A/D変換器2の出力信号は、Qチャネルの信号に相当する。A/D変換後のデジタル信号は、第1A/D変換器1の出力端子に接続されたIチャネル用の第1出力端子OUT1から出力され、第2A/D変換器2の出力端子に接続されたQチャネル用の第2出力端子OUT2から出力される。Iチャネルのデジタル信号と、Qチャネルのデジタル信号は、後段の回路において、シリアル信号に変換することもできる。
【0028】
位相検出器3は、第1A/D変換器1及び第2A/D変換器2におけるサンプリングクロック信号のタイミングを、正しいタイミングに補正するために用いられている。QPSK変調の場合、搬送波信号に対して、ベースバンド信号により、4つの位相シフト(例:45°、135°、225°、315°)の変調を加えている。位相検出器3は、第1A/D変換器1の出力信号と、第2A/D変換器2の出力信号の位相差を検出して出力し、これを平滑化して、位相差が小さくなるように、サンプリングタイミングを決定する電圧制御発振器6の発振周波数を制御している。この制御により、ミキサを備えることなく、A/D変換器が受信信号の復調が可能となる。
【0029】
詳説すれば、受信装置に入力された変調信号(受信信号)に、位相と周波数を同期させることができ、QPSK変調信号から、ベースバンド信号を復調することができる。
【0030】
搬送波信号fRFを変調した受信信号は、tを時間の関数として、受信信号RF(t)=I(t)sin(ωt)+Q(t)sin(ω/4+ωt)で表すことができる。I(t)は送信機のベースバンド信号発生器で発生されたIチャネルの信号、Q(t)は送信機のベースバンド信号発生器で発生されたQチャネルの信号、ωは角周波数である。位相検出器3を使用して、受信信号RF(t)のサンプリングされる位相を、RF(t)信号に対して45°と90°に、合わせることで、以下のように受信信号RF(t)を離散化することができる。Nは、N1、N2、N3、・・・NXのように離散化した値を示す自然数、fSはベースバンド信号の周波数である。なお、sin(45°)=0.7である。
【0031】
すなわち、RF(N/fS)=I(N/fS)×0.7+Q(N/fs)×0.7である。第1A/D変換器1によりI(N/fs)のサンプリングを行い、第2A/D変換器2により、Q(N/fs)のサンプリングを行うことにより、Iチャネル及びQチャネルのベースバンド信号を復元することができる。I(N/fs)は、I(t)を離散化した関数を示しており、Q(N/fs)は、Q(t)を離散化した関数を示している。離散化はt=N/fs、N=N1、N2、N3・・・NX(自然数)で行われている。
【0032】
位相差情報を有するデジタル信号は、単独でも平滑化すると、位相差を示す信号を生成することができるので、D/A変換器4を省略することも可能であるが、本例では、位相検出器3の後段にD/A変換器4を備えている。すなわち、この受信装置は、位相検出器3の出力端子と、電圧制御発振器6の入力端子との間に設けられたD/A変換器4を更に備えている。D/A変換器4は、位相差を有するデジタル信号をアナログ信号に変換し、後段のアナログ入力が行われる電圧制御発振器6が安定して動作するようにしている。
【0033】
ループフィルタ5は、位相検出器3又はD/A変換器4から出力された信号を平滑化する。ループフィルタ5は、ローパスフィルタの機能も有している。ループフィルタ5の出力レベルが大きくなれば、位相差が拡大している。
【0034】
電圧制御発振器6は、ループフィルタ5の出力レベルが大きくなり、検出した位相差が拡大した場合、本例では発振周波数を増加させる。電圧制御発振器6から出力されるサンプリングクロック信号fRF’は、サンプリング周波数(fRF’)を有する。
【0035】
サンプリング周波数(fRF’)は、搬送波信号fRFの搬送波周波数(fRF)の自然数倍に一致させる。Iチャネル又はQチャネルのA/D変換器の数が1個の場合、搬送波周波数(fRF)とサンプリング周波数(fRF’)を一致させる。1つのチャネルにおけるA/D変換器をN個並列に接続した場合、1個のA/D変換器に入力されるサンプリング周波数(fRF’)を、搬送波周波数(fRF)に一致させる。第1A/D変換器1には、サンプリング周波数(fRF’)の第1サンプリングクロック信号fRF’が与えられ、第2A/D変換器2には、第1サンプリングクロック信号に対してπ/2の位相差(遅延)を有する第2サンプリングクロック信号fRF’が与えられる。
【0036】
以上、説明したように、受信装置RXは、入力端子に接続された第1A/D変換器1と、入力端子に接続された第2A/D変換器2と、第1A/D変換器1の第1出力端子、及び、第2A/D変換器2の第2出力端子に接続される入力端子を有する位相検出器3と、位相検出器3の出力端子に接続されたループフィルタ5と、ループフィルタ5の出力端子に接続された入力端子を有する電圧制御発振器6とを備えている。第1A/D変換器1の第1サンプリングクロック信号、及び、第2A/D変換器2の第2サンプリングクロック信号は、電圧制御発振器6の出力信号から生成され、π/2の位相差を有する。
【0037】
この受信装置は、ミキサの代わりに、A/D変換器を用いて、復調を実現しており、回路規模を小さくして消費電力を低下させることができる。例えば、この受信装置において、100Gpsのサンプリング周波数を有するA/D変換器を用いた場合、1W以下の消費電力の受信装置を構成することができる。一方で、従来の受信装置において、0.052Gbps~3.2Gbpsのサンプリング周波数を有するチップ(AD6676(アナログデバイセス社製)、AD6688(アナログデバイセス社製)、HSP50210(ルネサスエレクトロニクス製))を用いて、同等の処理を行う場合、デジタル信号プロセッサ等の部品の点数が多くなり、40W~500Wの消費電力が必要となると考えられる。逆に言えば、本開示の受信装置は、従来よりも部品点数が少なく、回路規模を小さくすることができる。
【0038】
図2は、受信信号(Rx)(
図2(a))、IチャネルのA/D変換データ(
図2(b))、QチャネルのA/D変換データ(
図2(c))、Iチャネルのベースバンド信号のデータ(
図2(d))、Qチャネルのベースバンド信号のデータ(
図2(e))を示すタイミングチャートである。
【0039】
受信信号(Rx)は、送信装置において、搬送波信号を変調して生成されたものであるが(
図2(a))、変調方式はQPSKである。A/D変換器においては、1ビットのベースバンド信号に対して、複数回のサンプリングを行っている(オーバーサンプリング)。
図2(a)の縦軸は振幅(Amplitude)を示しており、横軸は時間(ps)を示している。
【0040】
第1A/D変換器1(Iチャネル)におけるサンプリングのタイミングは、
図2(a)及び
図2(b)に示すように、1ビット内において、搬送波信号のSI0、SI1、SI2、SI3の4か所の位相の位置である。オーバーサンプリングされているデータは、適当に間引いて出力することができ、出力周波数を低下させることができる。
【0041】
第2A/D変換器2(Qチャネル)におけるサンプリングのタイミングは、
図2(a)及び
図2(c)に示すように、1ビット内において、搬送波信号のSQ0、SQ1、SQ2、SQ3の4か所の位相の位置である。オーバーサンプリングされているデータは、適当に間引いて出力することができ、出力周波数を低下させることができる。
【0042】
例えば、N=4の場合、各チャネルにおける1つのUI(ユニットインターバル)に対して、4点のサンプリングポイントを設定する。すなわち、サンプリングタイミングの位相は、SI0=45°、SQ0=135°、SI1=45°、SQ1=135°、SI2=45°、SQ2=135°、SI3=45°、SQ3=135°である。
図2(a)は、これらの位相関係を示している。サンプリングタイミングSI0と、サンプリングタイミングSI1には、360°の位相差(1周期の位相差)がある。位相が225°及び315°のデータを省くことで、サンプリング数を減らすことができ、消費電力を低減することができる。
【0043】
N=4の場合、上記のサンプリングを行った後、サンプリングされた値をデシメーションフィルタ(
図11参照)に入力し、各チャネルにおいて、サンプリングされた複数の値から、1つのデータI(N/fs)と、Q(N/fs)を取り出すことができる。
【0044】
なお、N=2の場合、各チャネルにおける1つのUIに対して、2点のサンプリングポイントを設定する。すなわち、サンプリングタイミングの位相は、SI0=45°、SQ0=135°、SI1=45°、SQ1=135°である。この場合も、N=4の場合と同様に、サンプリングを行った後、サンプリングされた値をデシメーションフィルタ(
図11参照)に入力し、各チャネルにおいて、サンプリングされた複数の値から、1つのデータI(N/fs)と、Q(N/fs)を取り出すことができる。
【0045】
同様に、N=8の場合、各チャネルにおける1つのUIに対して、8点のサンプリングポイントを設定する。Iチャネルにおける各サンプリングポイントの位相をSI0,SI1,SI2,SI3,SI4,SI5,SI6,SI7とし、Qチャネルにおける各サンプリングポイントの位相をSQ0,SQ1,SQ2,SQ3,SQ4,SQ5,SQ6,SQ7とすることができる。Iチャネルにおけるサンプリングポイントの位相を45°とし、Qチャネルにおけるサンプリングポイントの位相を135°とすることができる。この場合も、N=4の場合と同様に、サンプリングを行った後、サンプリングされた値をデシメーションフィルタ(
図11参照)に入力し、各チャネルにおいて、サンプリングされた複数の値から、1つのデータI(N/fs)と、Q(N/fs)を取り出すことができる。
【0046】
一方、搬送波信号の位相が45°、135°、225°、315°の時にサンプリングを行うと、サンプリング数が増加するので、位相の制御精度を向上させることができるという利点はある。この手法は、データのエラーレートを低減させることができ、ひずみの大きい入力に対処することができる。
図2(a)の例では、位相が45°、135°でサンプリングしているが、さらに225°、315°においてA/D変換用のサンプリングを行うことができる。例えば、なお、N=4の場合、各チャネルにおける1つのUIに対して、4点のサンプリングポイント(45°、135°、225°、315°)を設定する。Iチャネルにおける各サンプリングポイントの位相をSI0,SI1,SI2,SI3,SI4,SI5,SI6,SI7とし、Qチャネルにおける各サンプリングポイントの位相をSQ0,SQ1,SQ2,SQ3,SQ4,SQ5,SQ6,SQ7とすることができる。
【0047】
例えば、SI0=45°、SQ0=135°、SI1=225°、SQ1=315°、S2=45°、SQ2=135°、SI3=225°、SQ3=315°、SI4=45°SQ4=135°、SI5=225°、SQ5=315°、S6=45°、SQ6=135°、SI7=225°、SQ7=315°として、サンプリングを行ってもよい。
【0048】
当該4点のサンプリングにおいて、N=8の場合、各チャネルにおける1つのUIに対して、4点のサンプリングポイント(45°、135°、225°、315°)を設定する。Iチャネルにおける各サンプリングポイントの位相をSI0,SI1,SI2,SI3,SI4,SI5,SI6,SI7,SI8,SI9,SI10,SI11,SI12,SI13,SI14,SI15とし、Qチャネルにおける各サンプリングポイントの位相をSQ0,SQ1,SQ2,SQ3,SQ4,SQ5,SQ6,SQ7,SQ8,SQ9,SQ10,SQ11,SQ12,SQ13,SQ14,SQ15とすることができる。
【0049】
当該4点のサンプリングにおいて、N=2の場合、各チャネルにおける1つのUIに対して、4点のサンプリングポイント(45°、135°、225°、315°)を設定する。Iチャネルにおける各サンプリングポイントの位相をSI0,SI1,SI2,SI3とし、Qチャネルにおける各サンプリングポイントの位相をSQ0,SQ1,SQ2,SQ3とすることができる。
【0050】
いずれのサンプリングの場合も、サンプリングを行った後、サンプリングされた値をデシメーションフィルタ(
図11参照)に入力し、各チャネルにおいて、サンプリングされた複数の値から、1つのデータI(N/fs)と、Q(N/fs)を取り出すことができる。
【0051】
振幅(Amplitude)は、0点を基準にして、正方向及び負方向に振れている。0点からの一番離れた位置のそれぞれの変換後のデータポイントをSI2(又はSQ2)とすると、同一の1ビット内のこれらの間の時間の間隔Ts(
図2(d)、
図2(e))は、Nを自然数として、搬送周波数(f
RF)の周期(T
RF)のN倍(Nは自然数)である。時間間隔T
S内の振幅レベルによって、ベースバンド信号(BB)のデータを再現することができる。
【0052】
【0053】
受信装置RXは、3ビットのA/D変換器を用い、デジタル信号出力の加減算を行うことにより、第1及び第2のA/D変換器の出力信号の位相差を検出している。第1A/D変換器1は、入力信号のレベルに応じた3ビット(DOI2,DOI1,DOI0)の信号を出力する。各ビット信号(DOI2,DOI1,DOI0)は、0又は1を示す。最上位のビット(DOI2)は、数値の符号を示している。第2A/D変換器2は、入力信号のレベルに応じた3ビット(DOQ2,DOQ1,DOQ0)の信号を出力する。各ビット信号(DOQ2,DOQ1,DOQ0)は、0又は1を示す。最上位のビット(DOQ2)は、数値の符号を示している。なお、A/D変換器の前段にサンプル&ホールド回路を配置してもよい。
【0054】
位相検出器3は、第1XOR回路31と、第2XOR回路32と、マルチプレクサ33を備えている。XORは、排他的論理和の意味である。詳説すれば、位相検出器3には、第1A/D変換器1から出力された第1デジタル値と、第2A/D変換器2から出力された第2デジタル値とが入力され、第1デジタル値と第2デジタル値の示す信号の位相差に相関したデジタル値を出力するマルチプレクサ33を有している。マルチプレクサ33は、Iチャネルの3ビットと、Qチャネルの3ビットとが入力される減算器である。マルチプレクサ33におけるIチャネルの入力信号の符号をマイナス(-)とし、Qチャネルの入力信号の符号をプラス(+)としている。この構成によれば、デジタル処理による比較であるため、出力の遅延が生じにくいという利点がある。
【0055】
詳説すれば、本例の受信装置は、A/D変換器の最上位のビットが、正負を表すコーディングであり、位相検出器3は、コスタスループの演算を、デジタル回路(2つのXOR回路と加算器)を使って実現している。A/D変換器のコーディングも簡略化されている。このデジタル回路は、50個のゲート回路を用いることで、実現することもできる。アナログ回路を使って、位相検出器を含むループを実現する場合、比較器を用いる構造が考えられるが、この場合、比較器の遅延を補償する必要がある。本例では、デジタル回路により位相検出器を構成しているので、このような遅延補償機構が要らなくなり、位相比較の精度が向上する。また、アナログ回路で実現する場合、その比較器には高い利得が必要となり、周波数帯域も高くする必要がある。本例のデジタル回路は、最上位のビットの0,1を判定するのみで、アナログ回路で実現されているコンパレータを実現することができる。例えば、最上位ビットが「1」の場合+1、「0」の場合-1として扱い、後段の掛け算回路(最上位ビットの反転)へ入力される。したがって、比較器が不要になり設計難易度を低下し、消費電力を削減することができる。
【0056】
図4は、A/D変換器への入力値(Val.)とA/D変換後のデジタル値(3ビット)の関係を示す図表である。
【0057】
入力信号の値(Val.)に応じて、デジタル値が決定されている。入力信号の値の単位は、例えば、ボルトであり、入力信号が-3.5V~+3.5V程度の振幅を有する例が示されている。
【0058】
例えば、
図3の受信装置において、A/D変換器1に、2.5Vの電圧が入力され、第2A/D変換器2に、―1.5Vの電圧が入力されたと仮定する。この場合、第1A/D変換器1は、(0,1,0)を出力し、第2A/D変換器2は、(1,0,1)を出力する。第1XOR回路31には(0,1)が入力されるので「1」を出力し、第2XOR回路32には(1,0)が入力されるので「1」を出力する。マルチプレクサ33のマイナス用加算端子には(1,1,0)が入力され、プラス用の加算端子には(1,0,1)が入力される。これらの値の加算値は-1である。
【0059】
したがって、D/A変換器4は、当該加算値に相当する電圧を位相差として出力する。IチャネルとQチャネルの位相差が無くなるようにA/D変換におけるサンプリングができた場合、変調されたベースバンド信号が復元できるという条件が満たされていることを意味する。
【0060】
図3の受信装置の受信信号は、送信装置において送信信号として生成されたものであるが、この受信信号は、搬送波信号f
RFをベースバンド信号f
Sで位相偏移変調(PSK)して生成されたものとすることができる。ベースバンド信号f
Sは、非ゼロ復帰(NRZ)の信号であり、位相検出器3は、位相偏移変調された受信信号に対応した位相検出器である。すなわち、
図3に示す位相検出器3は、QPSK変調された受信信号の復調に用いることができる。
【0061】
受信装置RXの受信信号は、送信装置において送信信号として生成されたものであるが、この受信信号は、搬送波信号f
RFをベースバンド信号f
Sで、直交位相振幅変調(QAM)して生成したものとすることもできる。また、ベースバンド信号f
Sは、nを4以上の整数として、nレベルでパルス振幅変調(PAM)して生成してもよい(PAM4)。この場合、直交位相振幅変調(QAM)された受信信号を、上述のA/D変換器と位相検出器を用いて復調することになる。この場合、位相検出器3の構造は、その前段にデータの選択器を配置すれば、QAMの場合でも動作させることができる(
図19参照)。すなわち、位相検出器3は、QAM及びPAM4の変調が行われた受信信号の位相差を検出することもできる。
【0062】
【0063】
受信装置RXは、5ビットのA/D変換器を用い、デジタル信号出力の加減算を行うことにより、第1及び第2のA/D変換器の位相差を検出している。第1A/D変換器1は、入力信号のレベルに応じた5ビット(DOI4,DOI3,DOI2,DOI1,DOI0)の信号を出力する。各ビット信号(DOI4,DOI3,DOI2,DOI1,DOI0)は、0又は1を示す。最上位のビット(DOI4)は、数値の符号を示している。第2A/D変換器2は、入力信号のレベルに応じた5ビット(DOQ4,DOQ3,DOQ2,DOQ1,DOQ0)の信号を出力する。各ビット信号(DOQ4,DOQ3,DOQ2,DOQ1,DOQ0)は、0又は1を示す。最上位のビット(DOQ4)は、数値の符号を示している。なお、A/D変換器の前段にサンプル&ホールド回路を配置してもよい。本例の受信装置RXは、上述の3ビットの受信装置を5ビットに変更したものであり、この点を除いて、構造及び作用は上述のものと同一である。
【0064】
図6は、A/D変換器への入力値(Val.)とA/D変換後のデジタル値(5ビット)の関係を示す図表である。
【0065】
入力信号の値(Val.)に応じて、デジタル値が決定されている。入力信号の値の単位は、例えば、ボルトであり、入力信号が-15.5V~+15.5V程度の振幅を有する例が示されている。5ビットの場合の受信装置の動作は、3ビットの場合の受信装置の動作と同様である。
【0066】
図7は、受信装置におけるD/A変換器及びループフィルタのブロック図である。
【0067】
上述の位相検出器3の後段に配置されるD/A変換器4及びループフィルタ5の具体例が示されている。D/A変換器4は、位相検出器3の出力信号が入力されるデコーダ40と、デコーダ40に接続された複数の第1機能回路B1を備えている。個々の第1機能回路B1は、デコーダ40の出力信号が入力される第1チャージポンプ41と、第2チャージポンプ42を備えている。これらのチャージポンプは直列に接続されており、接続点(節点)は、電圧制御発振器6の入力端子(節点VC)に接続されている。第1チャージポンプ41の入力端子は、反転出力をする第1アンプ43及び第3キャパシタ53を介して、電圧制御発振器6の入力端子に接続されている。第2チャージポンプ42の入力端子は、第2アンプ44及び第4キャパシタ54を介して、電圧制御発振器6の入力端子に接続されている。
【0068】
ループフィルタ5は、D/A変換器4の出力端子に接続された第1端(節点VC)を有する抵抗器55と、抵抗器55の第2端と固定電位(グランド電位など)との間に接続された第1キャパシタ51と、抵抗器55の第1端と固定電位(グランド電位など)との間に接続された第2キャパシタ52とを備えている。ループフィルタ5の節点VCと、個々の第1機能回路B1との間には、それぞれ第2機能回路B2が接続されている。
【0069】
第2機能回路B2は、抵抗器55の第1端(節点VC)と第1機能回路B1における第1アンプ43の出力端子との間に接続された第3キャパシタ53と、抵抗器55の第1端(節点VC)と第1機能回路B1における第2アンプ44の出力端子との間に接続された第4キャパシタ54を含んでいる。この構造のループフィルタ5は、広帯域の特性を有することができ、デジタル回路及びアナログ回路の双方に対応することができる。
【0070】
詳説すれば、D/A変換器4の前段のマルチプレクサ33のデジタル出力は、Nビット(N=3)の処理を行う場合、+3、+2、+1、0、―1、―2、―3を示す信号である。これらの±3の値を処理するため、D/A変換器4は、並列接続された第1機能回路B1を3個備えており、ループフィルタ5は、並列接続された第2機能回路B2を3個備えている。D/A変換器4は、第1機能回路B1の前段にデコーダ40を含んでいる。
【0071】
マルチプレクサ33のデジタル出力が、3を示す場合、第1番目(DAC0)の第1機能回路B1、第2番目(DAC1)の第1機能回路B1、及び、第3番目(DAC2)の第1機能回路B1において、第2チャージポンプ42を動作させ、第2アンプ44を動作させるような制御出力(例:(第2チャージポンプON,第2チャージポンプON,第2チャージポンプON))を出力するように、デコーダ40は動作する。
【0072】
マルチプレクサ33のデジタル出力が、2を示す場合、第1番目(DAC0)の第1機能回路B1、及び、第2番目(DAC1)の第1機能回路B1において、第2チャージポンプ42を動作させ、第2アンプ44を動作させ、第3番目(DAC2)の第1機能回路B1においては、チャージポンプ及びアンプを動作させない制御出力(例:(第2チャージポンプON,第2チャージポンプON,0))を出力するように、デコーダ40は動作する。
【0073】
マルチプレクサ33のデジタル出力が、1を示す場合、第1番目(DAC0)の第1機能回路B1において、第2チャージポンプ42を動作させ、第2アンプ44を動作させ、第2番目(DAC1)及び第3番目(DAC2)の第1機能回路B1においては、チャージポンプ及びアンプを動作させない制御出力(例:(第2チャージポンプON,0,0))を出力するように、デコーダ40は動作する。
【0074】
マルチプレクサ33のデジタル出力が、0を示す場合、全てのチャージポンプ及びアンプを動作させない制御出力(例:(0,0,0))を出力するように、デコーダ40は動作する。
【0075】
マルチプレクサ33のデジタル出力が、-1を示す場合、第1番目(DAC0)の第1機能回路B1において、第1チャージポンプ41を動作させ、第1アンプ43を動作させ、第2番目(DAC1)及び第3番目(DAC2)の第1機能回路B1においては、チャージポンプ及びアンプを動作させない制御出力(例:(第1チャージポンプON,0,0))を出力するように、デコーダ40は動作する。
【0076】
マルチプレクサ33のデジタル出力が、-2を示す場合、第1番目(DAC0)の第1機能回路B1、及び、第2番目(DAC1)の第1機能回路B1において、第1チャージポンプ41を動作させ、第1アンプ43を動作させ、第3番目(DAC2)の第1機能回路B1においては、チャージポンプ及びアンプを動作させない制御出力(例:(第1チャージポンプON,第1チャージポンプON,0))を出力するように、デコーダ40は動作する。
【0077】
マルチプレクサ33のデジタル出力が、3を示す場合、第1番目(DAC0)の第1機能回路B1、第2番目(DAC1)の第1機能回路B1、及び、第3番目(DAC2)の第1機能回路B1において、第1チャージポンプ41を動作させ、第1アンプ43を動作させるような制御出力(例:(第1チャージポンプON,第1チャージポンプON,第1チャージポンプON))を出力するように、デコーダ40は動作する。
【0078】
なお、Nビットの処理を行う場合、第1機能回路と第2機能回路の数は、それぞれN個となり、それぞれの回路が並列に接続される。なお、第1チャージポンプ41は、デコーダ40の出力に連動して電流の引き込みを行い、第2チャージポンプ42は、デコーダ40の出力に連動して電流の放出を行う。第1機能回路B1の出力電流は、ループフィルタ5に入力される。チャージポンプ電流に従って、抵抗器55によって、節点VCに電圧が発生する。第1番目(DAC0)~第3番目(DAC2)の第1機能回路B1が動作することで、ループフィルタ5へ流れ込む電流が増減し、抵抗器55による電圧が、マルチプレクサ33の出力値に従って変化する。
【0079】
第1アンプ43は、第3キャパシタ53に接続されており、第2アンプ44は、第4キャパシタ54に接続されている。例えば、マルチプレクサ33の出力が1の時、第1番目(DAC0)の第1機能回路B1が動作し、第4キャパシタ54と第2キャパシタ52の容量比の分だけ電圧が、節点VCに発生する。なお、第1アンプ43は反転回路、第2アンプ44はバッファ回路であり、マルチプレクサ33の出力に応じて、(第4キャパシタ54の容量/第2キャパシタ52の容量×電源電圧)×並列接続数Nの電圧を節点VCに与える。
【0080】
【0081】
受信装置RXは、
図7に示した受信装置に第1位相補間器71及び第2位相補間器72を加えたものである。第2位相補間器72は、π/2の位相シフタの機能も有している。また、電圧制御発振器6の出力端子には、周波数を低下させるダウンコンバータ73が接続されている。ダウンコンバータ73は、例えば、入力された信号周波数を、その1/4に周波数を低下させる。電圧制御発振器6の出力信号周波数の一例は、20GHzである。ダウンコンバータ73の出力信号の周波数の一例は、5GHzである。ダウンコンバータ73の出力信号は、それぞれ第1位相補間器71及び第2位相補間器72を介して、第1A/D変換器1及び第2A/D変換器2のサンプリングクロック信号入力端子に入力される。
【0082】
A/D変換器への入力信号(受信信号又はその中間周波数の信号)の周波数の一例は、20GHzである。第1A/D変換器1及び第2A/D変換器2のサンプリングクロック信号は、5GHzに設定することができる。第1A/D変換器1の数は、複数とすることができ、複数の第1A/D変換器1は並列に接続することができる。第1A/D変換器1の数を8個とし、8相の入力信号を変換することもできる。同様に、第2A/D変換器2の数は、複数とすることができ、複数の第2A/D変換器2は並列に接続することができる。第2A/D変換器2の数を8個とし、8相の入力信号を変換することもできる。なお、A/D変換器の前段には、パワースプリッタを配置することもできる。
【0083】
それぞれのA/D変換器の後段には、アライナを配置することができる。アライナの出力は、3ビット×8個とすることができる。8個のそれぞれの並列経路に対して、複数(例:8個)の位相検出器3を配置することができる。
【0084】
【0085】
受信装置RXの受信信号は、搬送波周波数(fRF)の搬送波信号fRFを、ベースバンド周波数(fS)のベースバンド信号fSにより変調した信号であり、Nを自然数として、fRF=N×fS、の関係を満たしている。これらの関係を満たすクロック生成方法は複数ある。例えば、送信装置TXにおいて、基準クロック発生器22及び搬送波信号発生器24に、参照クロック信号frefを入力する。基準クロック発生器22の発生する基準周波数をベースバンド周波数(fS)とすると、搬送波信号発生器24は、参照クロック信号fref(∝fS)の周波数をN倍にした搬送波信号fRFを出力する。本例では、基準周波数(fS)は、変調回路23に入力されるベースバンド周波数(fS)であり、これは変調回路23に入力されるベースバンド信号のデータレートに比例するものとする。
【0086】
この構造を用いた場合、受信装置RXの第1A/D変換器1のサンプリングクロック信号のタイミングが、上述の4つの位相(
図2の位相(SI0、SI1、SI2、SI3))に一致する。また、第2A/D変換器2のサンプリングクロック信号のタイミングが、上述の4つの位相(
図2の位相(SQ0、SQ1、SQ2、SQ3))に一致する。搬送波信号f
RFの周波数(f
RF)と、サンプリングクロック信号の周波数(f
RF
‘)は同一とすることができる。この構成の場合、CDR(クロックアンドリカバリ)回路のような回路をA/D変換器の後段に設けなくても、当該条件を満たす信号を送信すれば、復調を行うことができる。
【0087】
【0088】
QPSK変調の場合、ビデオ信号などの入力信号は、ベースバンド信号発生器21において、基準クロック発生器22から出力されるベースバンド信号fSに同期してサンプリングされ、NRZ(非ゼロ復帰)のデジタル信号として、2つのチャネルから出力される。Iチャネルの第1出力信号I(t)と、Qチャネルの第2出力信号Q(t)は、共に変調回路23に入力される。
【0089】
ベースバンド信号発生器21は、入力信号を符号化するエンコーダ、エラー訂正符号を追加する回路、入力信号のシリアライズを行い、Iチャネル及びQチャネルの信号を生成する信号生成器などを含むことができる。
【0090】
変調回路23には、Iチャネルにおいては、第1出力信号I(t)と共に搬送波信号fRFが入力される。Qチャネルにおいては、第2出力信号Q(t)と共に搬送波信号fRFが入力される。搬送波信号fRFは、参照クロック信号frefから出力された周波数のN倍の搬送周波数(fRF)を出力する。参照クロック信号frefは、基準クロック発生器22に入力されているが、参照クロック信号frefの周波数が、基準クロック信号fSの周波数と等しい場合、搬送波周波数fRF=N×fSとなる。第1出力信号I(t)と搬送波信号fRFは、第1変調部231(乗算器)に入力される。第2出力信号Q(t)と搬送波信号fRFは、第2変調部232(乗算器)に入力される。第1変調部231及び第2変調部232の出力信号は、加算器233に入力され、これらの合成信号が出力される。
【0091】
第2変調部232に入力される搬送波信号fRFの位相は、π/2の位相シフタ234により、第1変調部231に入力される搬送波信号fRFの位相からπ/2だけシフトしており、加算器233において直交変調が行われる。加算器233の出力信号は、送信アンプ25を介して、送信アンテナ20に入力される。
【0092】
なお、ベースバンド信号発生器21は、必要に応じて、データ変換を行う差動符号化器、ベースバンド信号の帯域の制限を行うフィルタを含んでもよい。また、入力信号をパラレルのデジタル信号に変換するシリアル/パラレル変換器の後段に差動符号化器を配置し、差動符号化器により、受信装置側において隣接するビット間の相対的な位相変化量にデータ変換を行ってもよい。なお、本例においては、ベースバンド信号発生器21は、NRZ信号のビットパターンを出力している。
【0093】
なお、QAM変調を行う場合、Iチャネルにおいてn段のレベルを有するアナログ信号を生成し、Qチャネルにおいてn段のレベルを有するアナログ信号を生成する。第1出力信号I(t)及び第2出力信号Q(t)は、PAMn(nは4以上の整数)とすることができる。この場合、n2QAM変調(例:16QAM)が行われることとなる。
【0094】
【0095】
本例では、
図9等に示した送受信システムにおいて、受信装置RXにおけるA/D変換器の後段に、デシメーションフィルタを配置している。すなわち、受信装置RXは、第1A/D変換器1の後段に設けられた第1デシメーションフィルタDF1と、第2A/D変換器2の後段に設けられた第2デシメーションフィルタDF2とを備えている。
【0096】
第1A/D変換器1及び第2A/D変換器2からは、オーバーサンプリングしたデジタル信号が出力されている。デシメーションフィルタは、オーバーサンプリングしたデジタル信号から周期的にデータを間引いて取り出している。第1デシメーションフィルタDF1は、第1A/D変換器1から出力されるオーバーサンプリングしたデジタル信号を周期的にサンプリングして出力している。第2デシメーションフィルタDF2は、第2A/D変換器2から出力されるオーバーサンプリングしたデジタル信号を周期的にサンプリングして出力している。第1デシメーションフィルタDF1からは、復調されたIチャネルのベースバンド信号が出力され、第2デシメーションフィルタDF2からは、復調されたQチャネルのベースバンド信号が出力される。
【0097】
この構造の場合、従来のCDR回路を用いる必要がないので、回路規模を小さくして、消費電力を低減させることができる。
【0098】
【0099】
本例では、
図11に示した送受信システムにおいて、受信装置RXにおけるデシメーションフィルタの後段にパターンチェッカを配置している。すなわち、受信装置RXは、第1パターンチェッカPC1と第2パターンチェッカPC2を備えている。
【0100】
第1パターンチェッカPC1は、第1デシメーションフィルタDF1の後段に設けられ、入力信号のエラーレートを検出し、検出されたエラーレートが最も小さいサンプリングタイミングにおいてサンプリング動作をするように、第1デシメーションフィルタDF1に指示を行う。この構造により、エラーレートが低減された復調を行うことができる。
【0101】
第2パターンチェッカPC2は、第2デシメーションフィルタDF2の後段に設けられ、入力信号のエラーレートを検出し、検出されたエラーレートが最も小さいサンプリングタイミングにおいてサンプリング動作をするように、第2デシメーションフィルタDF2に指示を行う。この構造により、エラーレートが低減された復調を行うことができる。
【0102】
【0103】
一例のパターンチェッカPCは、直列に接続された第1フリップフロップF1、第2フリップフロップF2、第3フリップフロップF3、第4フリップフロップF4、第5フリップフロップF5、第6フリップフロップF6、及び、第7フリップフロップF7を備えている。入力信号(Input)は、第1フリップフロップF1のD端子に入力され、Q端子から出力される。フリップフロップ群の出力は、最終段の第7フリップフロップF7から出力され、入力信号と共に、XOR回路81に入力される。XOR回路81の出力は、NOT回路82に入力され、出力端子からは出力信号(OUT)が出力される。各フリップフロップにはクロック信号CLKも入力される。入力信号がシリアル信号である場合は、このようなパターンチェッカを利用することができる。
【0104】
このパターンチェッカでは、特定のエラーパターンが入力された場合、それを検出する出力信号を出力することができる。エラーが検出された場合、検出結果をデシメーションフィルタにフィードバックして、デジメーションフィルタのサンプリングタイミングを変更し、エラー発生率が最小化するように、サンプリングタイミングを調整する。例えば、1UI内のサンプリング点数が4点の場合、エラー発生率が最も低いサンプリングデータ(SI0,SI1,SI2,SI3のいずれか1つ)と、エラー発生率が最も低いサンプリングデータ(SQ0,SQ1,SQ2,SQ3のいずれか1つ)を選択する。1UI内のサンプリング点数が8点の場合も同様に、Iチャネルのサンプリングデータ(SI0~SI7)のいずれか1つと、Qチャネルのサンプリングデータ(SQ0~SQ7)のいずれか1つを選択する。
【0105】
【0106】
本例では、
図9等に示した送受信システムにおいて、受信装置RXにおけるA/D変換器の後段に、最頻値選択回路を配置している。すなわち、受信装置RXは、第1最頻値選択回路MS1と、第2最頻値選択回路MS2を備えている。この構造の場合も、デシメーションフィルタを採用した場合と同様に、ベースバンド信号を復調することができる。
【0107】
第1最頻値選択回路MS1は、第1A/D変換器1の後段に設けられ、1ビットに相当する期間内における連続するサンプリングされたn個のデータにおいて、これらのデータの示す複数の値のうち、最も数が多い値を選択して出力する。
【0108】
第2最頻値選択回路MS2は、第2A/D変換器2の後段に設けられ、1ビットに相当する期間内における連続するサンプリングされたn個のデータにおいて、これらのデータの示す複数の値のうち、最も数が多い値を選択して出力する。
【0109】
図15は、最頻値選択回路の動作の論理を説明する図である。最頻値選択回路は、以下の論理演算を行う論理回路により構成される。
【0110】
1つのユニットインターバル(UI)内において、例えば、受信装置のIチャネルにおいてサンプリングされるベースバンド信号の値(BBI)が、(―1,3,3,3)であるとする(
図15の(a)の左端ブロック)。例えば、
図2の1ビット内においてオーバーサンプリングされる値(
図2(b))が、これらの値に相当する。この場合、0よりも大きな値を1とし、0以下の値を0として判別し、デジタル値のセットD(BBI)である(0,1,1,1)を作成する(
図15の(b))。このデジタル値のセットの中で、最も、頻度の高い数値は、「1」であるので、最頻値(mod(BBI))として、「1」を選択する(
図15の(c))。
【0111】
同様に、1つのユニットインターバル(UI)内において、例えば、受信装置のQチャネルにおいてサンプリングされるベースバンド信号の値(BBQ)が、(1,-3,-3,-3)であるとする(
図15の(d)の左端ブロック)。例えば、
図2の1ビット内においてオーバーサンプリングされる値(
図2(c))が、これらの値に相当する。この場合、0よりも大きな値を1とし、0以下の値を0として判別し、デジタル値のセットD(BBQ)である(1,0,0,0)を作成する(
図15の(e))。このデジタル値のセットの中で、最も、頻度の高い数値は、「0」であるので、最頻値(mod(BBQ))として、「0」を選択する(
図15の(f))。
【0112】
【0113】
本例では、
図11に示した送受信システムにおいて、受信装置RXにおけるA/D変換器の後段に波形整形回路を配置している。すなわち、受信装置RXは、第1波形整形回路WS1と、第2波形整形回路WS2を備えている。第1波形整形回路WS1は、第1A/D変換器1と第1デシメーションフィルタDF1との間に設けられている。第2波形整形回路WS2は、第2A/D変換器2と第2デシメーションフィルタDF2との間に設けられている。
【0114】
A/D変換器から出力されたデジタル信号の波形が、減衰し、歪んでいる場合は、波形整形回路により補正することができる。例えば、比較器を用いることにより、歪んだ波形を方形波に変換して整形することもできる。その他、FIR(有限インパルス応答)フィルタ、及び/又は、IIR(無限インパルス応答)フィルタを用いることにより、デジタル信号の波形を整形することができる。歪補正を行うその他のフィルタを用いることもできる。
【0115】
【0116】
本例では、
図11に示した送受信システムにおいて、受信装置RXにおけるA/D変換器の前段に、スーパーヘテロダイン回路を配置している。すなわち、受信装置RZは、第1ミキサMX1及び第1逓倍器MP1を含む第1スーパーヘテロダイン回路を備えている。第1スーパーヘテロダイン回路の第1ミキサMX1は、第1A/D変換器1及び第2A/D変換器2の入力端子の前段に設けられている。第1ミキサMX1には、受信装置RXが受信アンテナ10から受信する高周波信号と、第1逓倍器MP1から出力された第1ローカル信号f
1が入力される。第1ローカル信号f
1は、電圧制御発振器6の出力信号(f
RF’)を第1逓倍器MP1により逓倍することにより生成され、M
1を自然数として、この出力信号(f
RF’)の周波数のM
1倍の周波数(f
1=M
1×f
RF’)を有する。
【0117】
スーパーヘテロダイン回路を用いることにより、受信装置RXが受信アンテナ10から受信した高周波信号の周波数を低下させ、第1中間周波数(IF1)の信号を生成し、第1及び第2A/D変換器に入力する。周波数の低下により、A/D変換器におけるサンプリングクロック周波数を低下させることができる。なお、電圧制御発振器6の出力信号(fRF’)の周波数は、fRF’=N×fsを満たすことができる。
【0118】
【0119】
本例では、
図15に示した送受信システムにおいて、受信装置RXにおけるA/D変換器の前段に、複数のスーパーヘテロダイン回路を配置している。すなわち、受信装置RXは、第1スーパーヘテロダイン回路(第1ミキサMX1,第1逓倍器MP1)の前段に、受信装置RXが受信する高周波信号と第2ローカル信号f
2が入力される第2スーパーヘテロダイン回路を備えている。第2ローカル信号f
2は、電圧制御発振器6の出力信号(f
RF’)を第2逓倍器MP2により逓倍することにより生成され、M
2を自然数として、この出力信号(f
RF’)の周波数のM
2倍の周波数を有する。第2倍率M
2は、第1倍率M
1以上に設定することもできる。第2逓倍器MP2が、第1逓倍器MP1の出力周波数(f
1)をM
2倍する構成であってもよい。受信装置RXは、n個(nは2以上)のスーパーヘテロダイン回路(第nミキサMXn,第n逓倍器MP
n)を備えることができる。
【0120】
複数のスーパーヘテロダイン回路を用いることにより、受信装置RXが受信アンテナ10から受信した高周波信号の周波数を低下させ、第n中間周波数(IFn)の信号を生成し、第1及び第2A/D変換器に入力する。周波数の低下により、A/D変換器におけるサンプリングクロック周波数を低下させることができる。なお、電圧制御発振器6の出力信号(fRF’)の周波数は、fRF’=N×fsを満たすことができる。
【0121】
【0122】
本例では、
図11の送受信システムにおいて、位相検出器3の前段に選択器DSを配置したものである。この受信装置は、QAM変調を行った受信信号を復号するために用いることができる。選択器DSには、第1A/D変換器1の出力信号と、第2A/D変換器2の出力信号が入力されている。選択器DSは、これらの出力信号のうち、信号空間ダイヤグラムにおける特定の成分を選択して、それぞれ出力する。特定の成分を有するIチャネル及びQチャネルの信号が、位相検出器3に入力される。この方式によれば、QAM変調の受信信号を変調することができる。
【0123】
【0124】
IチャネルとQチャネルの信号空間ダイヤグラムにおいて、Iチャネルの成分がIAからIBまで変化し、Qチャネルの成分がQAからQBまで変化した場合、これらを含む全体領域をR0とする。前述の選択器DSは、図中のR11,R12、R21、R22、R31、R32、R41、R42の特定領域内の信号成分のデータを選択して出力することができる各特定領域内には、オーバーサンプリングされたデータが、例えば8×8個、マトリックス状に位置している。A/D変換器の出力を、I軸とQ軸の信号空間ダイヤグラム内で表記した場合、上記特定領域の1つずつは、全体領域R0の16分の1の面積を有し、特定領域の合計面積は全体領域の2分の1の面積(8個の領域)を有する。選択器DSを用いて、特定領域内の信号を位相検出器に入力することで、QPSK用の位相検出器を16QAMで変調された受信信号の復調に用いることができる。なお、選択器DSは、特定領域以外のデータが入力された場合、0を出力することができる。この信号空間ダイヤグラムは、16分割されているが、分割される領域は任意に設定することができる。選択器DSは、フィルタを用いて構成することができる。
【0125】
なお、受信信号がBPSK変調されたものの場合、上述のQPSKの復調に用いた受信装置を用いて、これを復調することができる。このバイア、IチャネルとQチャネルのデータは、同じデータとなる。
【0126】
図21は、受信信号の時間的な構成を示す図であり、
図21(a)は信号の構造を示す図である、
図21(b)は周波数の構造を示す図である。
【0127】
図21(a)は、ベースバンド信号の構造を示している。ベースバンド信号は、時刻t1~t2の間において、プリアンブル・パターン(周波数学習用の信号)を送信し、時刻t2~t3の間において、ランダム(又は情報を有する)信号を送信する。ベースバンド信号は、ランダムな信号の送信が終了すると、時刻t3~t4の間において、再び、プリアンブルを送信する。プリアンブル・パターンの送信期間中の搬送波信号の周波数A(
図21(b))は、例えば、正弦波で50GHzであり、QPSKで変調したランダム信号の送信中の搬送波信号の周波数B(
図21(b))は、中心周波数50GHz、データレートは24.9Gbpsである。
【0128】
この受信装置では、前述の第1A/D変換器1及び第2A/D変換器2の入力端子に入力される受信信号は、定期的にプリアンブル・パターンを含んでおり、プリアンブル・パターンを受信した場合、受信したプリアンブル・パターンを基準として、第1サンプリングクロック信号、及び、第2サンプリングクロック信号の位相を補正することができる。例えば、プリアンブル・パターン検出回路を受信装置の内部に配置し(例えば、A/D変換器の後段位置に配置)、プリアンブル・パターンが入力されている期間内においては、位相を同期させる動作を行い、それ以外の期間内において送信データを復元する。ベースバンド信号の周波数(fs)と、ローカル信号(電圧制御発振器の出力する信号)の周波数(fRF’)が、整数倍になっていない場合、これらの周波数の余りの周波数分だけ位相がずれる。位相のずれが、ベースバンド信号の1bit分の長さの半分(0.5UI)を超えると、通信のエラー率が大きくなる。エラー率が大きくならないうちに、プリアンブル・パターンを使用して、位相を再同期させ、その後、受信信号を復元する。これにより、ベースバンド信号の周波数(fs)と、ローカル信号の周波数が整数倍になっていなくても、通信が可能になる。
【0129】
【0130】
この送受信システムにおける受信装置RXは、
図9に示した受信装置RXに、プリアンブル検出器PADを追加したものであり、前述のプリアンブル・パターンを検出することができる。プリアンブル検出器PADは、第1A/D変換器1及び第2A/D変換器2の後段に配置されている。プリアンブル検出器PADが、第1A/D変換器1及び第2A/D変換器2の出力信号内に、プリアンブル・パターンが含まれていると検出した場合、第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2をONさせ、位相検出器3を動作させる。なお、第1スイッチSW1は、第1A/D変換器1の出力端子と位相検出器3の第1入力端子との間に接続されている。また、第2スイッチSW2は、第2A/D変換器2の出力端子と位相検出器3の第2入力端子との間に接続されている。
【0131】
この送受信システムにおける送信装置TXは、
図10に示した送信装置TXにおけるベースバンド信号発生器21をプリアンブル発生機能付の信号発生器とし、出力信号にプリアンブル・パターンを含ませる構成としたものである。受信側の処理に着目するため、実験的に、送信装置TXのベースバンド信号発生器21は、第1ベースバンド信号発生器21Aと、第2ベースバンド信号発生器21Bと、プリアンブル発生器21Cとを備える構成とした。第1ベースバンド信号発生器21A及び第2ベースバンド信号発生器21Bは、ランダムもしくは画像やデジタルデータなどの情報信号を発生することができる。プリアンブル発生器21Cは、プリアンブル・パターンの信号を出力する。
【0132】
第3スイッチSW3を第1ベースバンド信号発生器21Aに接続することにより、第1ベースバンド信号発生器21Aからの出力信号は、Iチャネルの第1変調部231(乗算器)に入力される。第3スイッチSW3をプリアンブル発生器21Cに接続することにより、プリアンブル発生器21Cからの出力信号は、Iチャネルの第1変調部231(乗算器)に入力される。
【0133】
同様に、第4スイッチSW4を第2ベースバンド信号発生器21Bに接続することにより、第2ベースバンド信号発生器21Bからの出力信号は、Qチャネルの第2変調部232(乗算器)に入力される。第4スイッチSW4をプリアンブル発生器21Cに接続することにより、プリアンブル発生器21Cからの出力信号は、Qチャネルの第1変調部231(乗算器)に入力される。
【0134】
すなわち、定期的に第3スイッチSW3及び第4スイッチSW4の接続を切り替えて、プリアンブル発生器21Cに接続することにより、定期的にプリアンブル・パターンを送信信号内に含ませることができる。受信装置RXにおいて、プリアンブル・パターンを検出した場合、位相検出器3を用いたフィードバックループの動作を開始させることで、定期的に、A/D変換のサンプリングのタイミングを補正することができる。すなわち、受信装置RXにおけるサンプリングタイミングの位相が、基準値から閾値を越えてシフトする前に、ランダム信号のパターンからプリアンブル・パターンに切り替えることができる。
【0135】
【0136】
この送受信システムは、
図22に示した送信装置TXのプリアンブル発生器21Cを、第1プリアンブル発生器21C1と、第2プリアンブル発生器21C2に置換したものである。
【0137】
第3スイッチSW3を第1ベースバンド信号発生器21Aに接続することにより、第1ベースバンド信号発生器21Aからの出力信号は、Iチャネルの第1変調部231(乗算器)に入力される。第3スイッチSW3を第1プリアンブル発生器21C1に接続することにより、第1プリアンブル発生器21C1からの出力信号は、Iチャネルの第1変調部231(乗算器)に入力される。
【0138】
同様に、第4スイッチSW4を第2ベースバンド信号発生器21Bに接続することにより、第2ベースバンド信号発生器21Bからの出力信号は、Qチャネルの第2変調部232(乗算器)に入力される。第4スイッチSW4を第2プリアンブル発生器21C2に接続することにより、第2プリアンブル発生器21C2からの出力信号は、Qチャネルの第1変調部231(乗算器)に入力される。第1及び第2プリアンブル発生器が発生するプリアンブル・パターンは、同一とすることができるが、異ならせることも可能である。例えば、一方のプリアンブル・パターンが1を示すこととし、他方のプリアンブル・パターンが-1を示すような構成も可能である。
【0139】
図23の場合と同様に、定期的に第3スイッチSW3及び第4スイッチSW4の接続を切り替えて、第1プリアンブル発生器21C1及び第2プリアンブル発生器21C2に接続することにより、定期的にプリアンブル・パターンを送信信号内に含ませることができる。受信装置RXにおいて、プリアンブル・パターンを検出した場合、位相検出器3を用いたフィードバックループの動作を開始させることで、定期的に、A/D変換のサンプリングのタイミングを補正することができる。すなわち、受信装置RXにおけるサンプリングタイミングの位相が、基準値から閾値を越えてシフトする前に、ランダム信号のパターンからプリアンブル・パターンに切り替えることができる。
【0140】
なお、送信装置側において、受信装置から送信されてきた位相同期状態を検出し、同期の完了を確認してから、データを送信することとしてもよい。
【0141】
以上、説明したように、受信装置RXにおけるローカル信号の周波数(fRF’)が、N倍(1≦N)のベースバンド信号fSの周波数(=N×fS)に一致していない場合、これらの周波数の余りに相当する周波数(ΔfS)の周期で、これらの周波数の位相がずれていく。ベースバンド信号fSのシンボル幅から1UI(ユニットインターバル)以上、位相がずれた場合(周波数のずれferrが1UIを超えた場合)、復調ができなくなる。ベースバンド信号fSに含まれる情報として、定期的にプリアンブル・パターンを含ませることで、このプリアンブル・パターン信号に同期して、第1A/D変換器1及び第2A/D変換器2におけるサンプリングタイミングを補正し、データリカバリを行うことができる。
【0142】
以上、説明したように、上述の受信装置は、ミキサを用いることなく、A/D変換器を用いることで、受信信号を復元している。次に、A/D変換器の動作について、考察する。
【0143】
図24は、デジタル処理を行う場合の入力信号(
図24(a))、Iチャネルのベースバンド信号(離散値)(
図24(b))、Qチャネルのベースバンド信号(離散値)(
図24(c))、復元されたデータ(
図24(d))のタイミングチャートである。
【0144】
受信装置RXへの入力信号(Input)を、45°と90°でサンプリングして、A/D変換を行う(
図24(a))。A/D変換でサンプリングされたIチャネル及びQチャネルのベースバンド信号(BBI,BBQ)は、離散値である(
図24(b)及び
図24(c))。Qチャネルは、Iチャネルのローカル信号(LO=周波数(f
RF’))に対してπ/2を加えた位相を有する。なお、これらのタイミングチャートの縦軸は信号レベルを示している。(45°と90°)の値(DATA)は、(11)、(00)、(10)、(01)の値を取りうる(
図24(d))。これらの位相において、サンプリングを行うことで、ベースバンド信号を復元することができる。
【0145】
図24は、アナログ処理を行う場合の入力信号(
図24(e))、Iチャネルのベースバンド信号(連続値)(
図24(f))、Qチャネルのベースバンド信号(連続値)(
図24(g))、復元されたデータ(
図24(h))のタイミングチャートである。
【0146】
受信装置RXへの入力信号(Input)を、ローカル信号と共にミキサに入力する(
図24(e))。ミキサから出力されるIチャネル及びQチャネルのベースバンド信号(BBI,BBQ)は、連続値である(
図24(f)及び
図24(g))。これらのタイミングチャートの縦軸は信号レベルを示している。出力された連続値を後段の回路でサンプリングして、デジタル値(DATA)に変換する。この場合、デジタル値は、(11)、(00)、(10)、(01)の値を取りうる(
図24(h))。以上のように、デジタル処理は、アナログ処理と同様に、ベースバンド信号を復元することができる。
【0147】
受信装置RXへの入力信号(Input)を、ミキサに入れて復元を行った場合、Iチャネルのベースバンド信号(連続値)(
図24(a))は、1及び0の値をとある。Iチャネル及びQチャネルのベースバンド信号(BBI,BBQ)は、離散値である(
図24(b)及び
図24(c))。Qチャネルは、Iチャネルのローカル信号に対してπ/2を加えた位相を有する。なお、これらのタイミングチャートの縦軸は信号レベルを示している。(45°と90°)の値(DATA)は、(11)、(00)、(10)、(01)の値を取りうる(
図24(d))。これらの位相において、サンプリングを行うことで、ベースバンド信号を復元することができる。
【0148】
次に、受信信号を45°、135°、225°、315°の4つの位相のタイミングでサンプリングをした場合について、補足的に説明する。
【0149】
図25は、デジタル処理を行う場合の入力信号(
図25(a))、Iチャネルのベースバンド信号(離散値)(
図25(b))、Qチャネルのベースバンド信号(離散値)(
図25(c))、Iチャネルにおけるサンプリングデータ(
図25(b’))、Qチャネルにおけるサンプリングデータ(
図25(c’))、Iチャネルにおける復元されたベースバンド信号のデータ(
図25(d))、Qチャネルにおける復元されたベースバンド信号のデータ(
図25(e))を示すタイミングチャートである。
【0150】
入力信号(Input)は、A/D変換器によって、45°、135°、225°、315°の4つの位相のタイミングでサンプリングされる(
図25(a))。すなわち、Iチャネルの入力信号は、第1A/D変換器により、45°と225°の位相でサンプリングされ(
図25(b))、Qチャネルの入力信号は、第2A/D変換器により、135°と315°の位相でサンプリングされる(
図25(c))。矢印で示される215°と315°でサンプリングされた値は、反転され(
図25(b’)、
図25(c’))、Iチャネルのベースバンド信号に対応するサンプリングデータ(BBI)と、Qチャネルのベースバンド信号に対応するサンプリングデータ(BBQ)が得られる。これらの値をデシメーションフィルタを介して間引くことにより、Iチャネルのベースバンド信号(
図25(d))及びQチャネルのベースバンド信号(
図25(e))を得ることができる。
【0151】
図26は、各種信号のタイミングチャートを示している。
【0152】
これらのタイミングチャートの横軸は時間であり、縦軸は信号の振幅(Amplitude)を示している。受信装置RXにおける入力信号(Input)は、搬送波信号を変調したものであり、この信号の各位相(45°、135°、225°、315°)においてA/D変換のサンプリングが行われる(
図26(a))。
図26(a)は、受信装置への入力信号(
図26(a))を示している。
図26(b)は、Iチャネルにおいて位相45°でサンプリングしたAD変換後のデータを示している。
図26(c)は、Qチャネルにおいて位相135°でサンプリングしたAD変換後のデータを示している。
図26(d)は、Iチャネルにおいて位相225°でサンプリングしたAD変換後のデータを示している。
図26(e)は、Qチャネルにおいて位相315°でサンプリングしたAD変換後のデータを示している。なお、N=4の場合、受信信号における1UIの中に、SI0~SI7のデータが含まれ、SQ0~SQ7のデータが含まれる。Nの値に応じて、1UIに含まれるサンプリングのデータ数は異なる。
【0153】
図26(f)は、Iチャネルにおいてサンプリングした全体のデータを示している。なお、このデータは、45°と225°のサンプリングデータを含んでおり、また、225°のサンプリングデータは値を反転させている。
【0154】
図26(g)は、Qチャネルにおいてサンプリングした全体のデータを示している。なお、このデータは、135°と315°のサンプリングデータを含んでおり、また、315°のサンプリングデータは値を反転させている。
【0155】
図26(h)は、Iチャネルにおける復元されたベースバンド信号のデータを示している。
図26(i)は、Qチャネルにおける復元されたベースバンド信号のデータを示している。
【0156】
【0157】
上述の
図26(f)及び
図26(g)においては、225°と315°の位相における信号を反転した信号が示されている。これらの信号の値の反転を行うには、デシメーションフィルタへの前段に反転回路INVを配置する。例えば、上述の
図11等に示した受信装置RXは、第1A/D変換器1の後段に設けられた第1デシメーションフィルタDF1と、第2A/D変換器2の後段に設けられた第2デシメーションフィルタDF2とを備えている。それぞれのデシメーションフィルタは、45°及び135°の位相でサンプリングされた信号の入力端子(IN(45)、IN(135))と、225°及び315°の位相でサンプリングされた信号の入力端子(IN(225)、IN(315))を備えている。デシメーションフィルタ(DF)と、入力端子(IN(225)、IN(315))との間には、それぞれ反転回路INVが配置される。デシメーションフィルタ(DF)は、オーバーサンプリングされたデータの間引きを行って出力することができる。
【0158】
以上、種々の例示的実施形態について説明してきたが、上述した例示的実施形態に限定されることなく、様々な省略、置換、及び変更がなされてもよい。また、異なる実施形態における要素を組み合わせて他の実施形態を形成することが可能である。また、以上の説明から、本開示の種々の実施形態は、説明の目的本明細書において説明されており、本開示の範囲及び主旨から逸脱することなく種々の変更をなし得ることが、理解されるであろう。したがって、本明細書に開示した種々の実施形態は限定することを意図しておらず、真の範囲と主旨は、特許請求の範囲によって示される。
【符号の説明】
【0159】
10…受信アンテナ、11…受信アンプ、20…送信アンテナ、21…ベースバンド信号発生器、23…変調回路、24…搬送波信号発生器、25…送信アンプ、100…送受信システム、RX…受信装置、TX…送信装置、1…第1A/D変換器、2…第2A/D変換器、3…位相検出器、4…D/A変換器、5…ループフィルタ、6…電圧制御発振器、7…位相シフタ、31…第1XOR回路、32…第2XOR回路、33…マルチプレクサ、41…第1チャージポンプ、42…第2チャージポンプ、43…第1アンプ、44…第2アンプ、51…第1キャパシタ、52…第2キャパシタ、53…第3キャパシタ、54…第4キャパシタ、55…抵抗器、71…第1位相補間器、72…第2位相補間器、73…ダウンコンバータ、DF1…第1デシメーションフィルタ、DF2…第2デシメーションフィルタ、PC1…第1パターンチェッカ、PC2…第2パターンチェッカ、MS1…第1最頻値選択回路、MS2…第2最頻値選択回路、WS1…第1波形整形回路、WS2…第2波形整形回路。
【要約】
【課題】 回路規模を小さくして消費電力を低下可能な受信装置及び送受信システムを提供する。
【解決手段】
受信装置RXは、入力端子に接続された第1A/D変換器1と、入力端子に接続された第2A/D変換器2と、第1A/D変換器1の第1出力端子、及び、第2A/D変換器2の第2出力端子に接続される入力端子を有する位相検出器3と、前記位相検出器3の出力端子に接続されたループフィルタ5と、ループフィルタ5の出力端子に接続された入力端子を有する電圧制御発振器6とを備えている。第1A/D変換器1の第1サンプリングクロック信号、及び、第2A/D変換器2の第2サンプリングクロック信号は、電圧制御発振器6の出力信号から生成され、π/2の位相差を有する。
【選択図】
図1