(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-18
(45)【発行日】2024-12-26
(54)【発明の名称】空調用部品セット、空調用部品、空調システム及び建築物
(51)【国際特許分類】
F24F 3/044 20060101AFI20241219BHJP
【FI】
F24F3/044
(21)【出願番号】P 2024163199
(22)【出願日】2024-09-20
【審査請求日】2024-10-11
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】524352139
【氏名又は名称】加藤 正勝
(74)【代理人】
【識別番号】100164688
【氏名又は名称】金川 良樹
(72)【発明者】
【氏名】加藤 正勝
【審査官】佐藤 正浩
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2009/020173(WO,A1)
【文献】特開2023-095403(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 3/044
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空調機とともに使用される空調用部品セットであって、
吸込み用ダクトと接続される少なくとも1つの吸込み用ダクト接続口と、前記吸込み用ダクト接続口から流入した空気を流出させる流出用開口と、を有し、前記流出用開口を前記空調機の吸込み口に向い合せる状態で、前記吸込み口を覆うように配置される第1接続ボックスを備える第1空調用部品と、
吹出し用ダクトと接続される少なくとも1つの吹出し用ダクト接続口と、前記空調機の吹出し口から流出する空気を受け入れる受入れ開口と、を有し、前記受入れ開口を前記空調機の吹出し口に向い合せる状態で、前記吹出し口を覆うように配置される第2接続ボックスを備える第2空調用部品と、を備え、
前記第2接続ボックスは、一対の側板部と、前記一対の側板部の間に設けられる前板部とを含み、
前記一対の側板部にはそれぞれ、前記前板部側に向かって凹む切欠きが設けられ、前記切欠きの間に前記受入れ開口が形成され、
前記切欠きは、前記吹出し口に対して一方側に位置する前記空調機の前面及び前記吹出し口に対して他方側に位置する前記空調機の下面に沿うように形成されている、空調用部品セット。
【請求項2】
前記側板部は、前記前板部に対して着脱自在に取り付けられている、請求項1に記載の空調用部品セット。
【請求項3】
前記第2接続ボックスは、前記一対の側板部の間に設けられ、且つ前記一対の側板部の下部及び前記前板部の下部に接続される底板部をさらに含み、
前記底板部は平板状であり、前記底板部に近い方の前記切欠きの端から前記底板部側に延びる前記側板部における辺と直交する、請求項1に記載の空調用部品セット。
【請求項4】
前記前板部は、平板状の第1部分と、前記第1部分から前記切欠きに近づく側に折れ曲がる平板状の第2部分とを含み、
前記第2部分に、前記吹出し用ダクト接続口が設けられる、請求項1に記載の空調用部品セット。
【請求項5】
前記第2空調用部品は、前記吹出し用ダクト接続口に接続されるテーパ状且つ筒状のコネクタ部をさらに備え、
前記吹出し用ダクト接続口は、前記コネクタ部を介して前記吹出し用ダクトと接続される、請求項1に記載の空調用部品セット。
【請求項6】
空調機とともに使用される空調用部品であって、
吹出し用ダクトと接続される少なくとも1つの吹出し用ダクト接続口と、前記空調機の吹出し口から流出する空気を受け入れる受入れ開口と、を有し、前記受入れ開口を前記空調機の吹出し口に向い合せる状態で、前記吹出し口を覆うように配置される接続ボックスを備え、
前記接続ボックスは、一対の側板部と、前記一対の側板部の間に設けられる前板部とを含み、
前記一対の側板部にはそれぞれ、前記前板部側に向かって凹む切欠きが設けられ、前記切欠きの間に前記受入れ開口が形成され、
前記切欠きは、前記吹出し口に対して一方側に位置する前記空調機の前面及び前記吹出し口に対して他方側に位置する前記空調機の下面に沿うように形成されている、空調用部品。
【請求項7】
上部に吸込み口を有し、下部の前側に吹出し口を有し、背面を壁に向けて設置される空調機と、
前記空調機に対して配置される請求項1に記載の空調用部品セットと、を備える、空調システム。
【請求項8】
請求項7に記載の空調システムを備える、建築物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空調用部品セット、空調用部品、空調システム及び建築物に関する。
【背景技術】
【0002】
全館空調と呼ばれる空調方式が従前より知られている。全館空調では、例えば1つの空調機から複数の部屋に空気を分配する。これにより、例えば電力コストを抑えつつ、各部屋の環境を所望の状態に維持することを図る。
【0003】
全館空調に関連する技術としては、例えば特許文献1の技術を挙げることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
現在、住宅向けの一般的な全館空調では、汎用品ではない大型で且つ特殊形状の専用の空調機が用いられている。
【0006】
しかしながら、このような専用の空調機は大型であることから、例えば導入先となる住宅の設計自由度に制約を与える。また、設置作業に手間がかかる。また、空調機の費用が高額になる。そのため、このような現状の住宅向けの全館空調は、消費者が手軽に導入できるものではない。
【0007】
また、上述のような大型の空調機は出力が大きく、住宅の構造によってはオーバースペックになる。そのため、必ずしも電力コストを抑えて運転できているとは言えず、運転効率についても検討の余地がある。
【0008】
以上のような現在の状況に鑑みて、本件発明者は、空調機自体の導入コストを抑えつつ、手軽且つ効率的に複数の空間を空調する手法について鋭意検討した。
【0009】
本発明は、以上の背景から創案されたものであり、複数の空間を手軽且つ効率的に空調することができる空調用部品セット、空調用部品、空調システム及び建築物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、以下の態様に関する。
【0011】
<1> 空調機とともに使用される空調用部品セットであって、
吸込み用ダクトと接続される少なくとも1つの吸込み用ダクト接続口と、前記吸込み用ダクト接続口から流入した空気を流出させる流出用開口と、を有し、前記流出用開口を前記空調機の吸込み口に向い合せる状態で、前記吸込み口を覆うように配置される第1接続ボックスを備える第1空調用部品と、
吹出し用ダクトと接続される少なくとも1つの吹出し用ダクト接続口と、前記空調機の吹出し口から流出する空気を受け入れる受入れ開口と、を有し、前記受入れ開口を前記空調機の吹出し口に向い合せる状態で、前記吹出し口を覆うように配置される第2接続ボックスを備える第2空調用部品と、を備え、
前記第2接続ボックスは、一対の側板部と、前記一対の側板部の間に設けられる前板部とを含み、
前記一対の側板部にはそれぞれ、前記前板部側に向かって凹む切欠きが設けられ、前記切欠きの間に前記受入れ開口が形成され、
前記切欠きは、前記吹出し口に対して一方側に位置する前記空調機の前面及び前記吹出し口に対して他方側に位置する前記空調機の下面に沿うように形成されている、空調用部品セット。
【0012】
<2> 前記側板部は、前記前板部に対して着脱自在に取り付けられている、<1>に記載の空調用部品セット。
【0013】
<3> 前記第2接続ボックスは、前記一対の側板部の間に設けられ、且つ前記一対の側板部の下部及び前記前板部の下部に接続される底板部をさらに含み、
前記底板部は平板状であり、前記底板部に近い方の前記切欠きの端から前記底板部側に延びる前記側板部における辺と直交する、<1>又は<2>に記載の空調用部品セット。
【0014】
<4> 前記前板部は、平板状の第1部分と、前記第1部分から前記切欠きに近づく側に折れ曲がる平板状の第2部分とを含み、
前記第2部分に、前記吹出し用ダクト接続口が設けられる、<1>~<3>のいずれかに記載の空調用部品セット。
【0015】
<5> 前記第2空調用部品は、前記吹出し用ダクト接続口に接続されるテーパ状且つ筒状のコネクタ部をさらに備え、
前記吹出し用ダクト接続口は、前記コネクタ部を介して前記吹出し用ダクトと接続される、<1>~<4>のいずれかに記載の空調用部品セット。
【0016】
<6> 空調機とともに使用される空調用部品であって、
吹出し用ダクトと接続される少なくとも1つの吹出し用ダクト接続口と、前記空調機の吹出し口から流出する空気を受け入れる受入れ開口と、を有し、前記受入れ開口を前記空調機の吹出し口に向い合せる状態で、前記吹出し口を覆うように配置される接続ボックスを備え、
前記接続ボックスは、一対の側板部と、前記一対の側板部の間に設けられる前板部とを含み、
前記一対の側板部にはそれぞれ、前記前板部側に向かって凹む切欠きが設けられ、前記切欠きの間に前記受入れ開口が形成され、
前記切欠きは、前記吹出し口に対して一方側に位置する前記空調機の前面及び前記吹出し口に対して他方側に位置する前記空調機の下面に沿うように形成されている、空調用部品。
【0017】
<7> 上部に吸込み口を有し、下部の前側に吹出し口を有し、背面を壁に向けて設置される空調機と、
前記空調機に対して配置される<1>に記載の空調用部品セットと、を備える、空調システム。
【0018】
<8> 上記<7>に記載の空調システムを備える、建築物。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、複数の空間を手軽且つ効率的に空調することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】第1の実施の形態に係る空調用部品セットの斜視図である。
【
図2】
図1に示す空調用部品セットを構成する第1空調用部品を示す図であり、(A)は分解斜視図であり、(B)は縦断面図である。
【
図3】
図1に示す空調用部品セットを構成する第2空調用部品を示す図であり、(A)は斜視図であり、(B)は分解斜視図である。
【
図4】
図1に示す空調用部品セットの使用方法を説明する図である。
【
図5】
図1に示す空調用部品セットを利用する空調システムを説明する図である。
【
図6】
図5に示す空調システムが設置された建築物(住宅)の一例を示す図である。
【
図7】第2空調用部品の構成部材の一部を変更する様子を示す図である。
【
図9】第2の実施の形態に係る空調用部品セットの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、各実施の形態について説明する。
【0022】
<<第1の実施の形態>>
図1は、第1の実施の形態に係る空調用部品セット1の斜視図である。空調用部品セット1は、第1空調用部品10と、第2空調用部品20と、を備える。空調用部品セット1は、空調機とともに使用される。詳細は後述するが、第1空調用部品10は空調機の吸込み口側に配置され、第2空調用部品20は空調機の吹出し口側に配置される。
【0023】
図2(A)は、第1空調用部品10の分解斜視図であり、
図2(B)は、
図2(A)のb-b線に沿う第1空調用部品10の縦断面図である。
【0024】
図1及び
図2を参照し、第1空調用部品10は、第1接続ボックス11と、吸込み用コネクタ部12と、を備える。第1空調用部品10は、図示しない吸込み用ダクトからの空気を空調機の吸込み口に供給するために使用される。
【0025】
第1接続ボックス11は、図示しない吸込み用ダクトと接続される少なくとも1つ(本例では3つ)の吸込み用ダクト接続口11Aと、吸込み用ダクト接続口11Aから流入した空気を流出させる流出用開口11Bと、を有する。
【0026】
第1接続ボックス11は、図示の例では直方体状である。吸込み用ダクト接続口11Aは、直方体状の第1接続ボックス11の長手方向に延びる一つの面(
図1における上面)に形成されている。流出用開口11Bは、吸込み用ダクト接続口11Aが形成される第1接続ボックス11の面の反対側の面(
図1における下面)に形成されている。
【0027】
図示の例では、流出用開口11Bが第1接続ボックス11の下面の略全域に形成され、これにより、第1接続ボックス11は、一端が開放した直方体状の箱型をなす。ただし、第1接続ボックス11の形状、吸込み用ダクト接続口11A及び流出用開口11Bの数や、形成位置及び範囲は特に限られるものではない。
【0028】
また本実施の形態では、第1接続ボックス11が木製の板材で形成される。ただし、第1接続ボックス11の材質は特に限られず、第1接続ボックス11は、樹脂材料等から形成されてもよい。
【0029】
吸込み用コネクタ部12は、吸込み用ダクト接続口11Aのそれぞれに接続されている。吸込み用コネクタ部12における吸込み用ダクト接続口11A側の端部とは反対側の端部には、吸込み用ダクトが接続される。これにより、第1接続ボックス11は、吸込み用ダクトを流通する空気を吸込み用コネクタ部12及び吸込み用ダクト接続口11Aを介して、内部に流入させることができる。
【0030】
第1接続ボックス11は、吸込み用ダクト接続口11Aから内部に流入させた空気を、流出用開口11Bから流出させる。詳細は後述するが、第1接続ボックス11は、流出用開口11Bを空調機の吸込み口に向い合せる状態で、空調機の吸込み口を覆うように配置される。これにより、第1空調用部品10は、吸込み用ダクトを流通する空気を集約させて、第1接続ボックス11から空調機の吸込み口に案内できる。
【0031】
図3(A)は、第2空調用部品20の斜視図であり、
図3(B)は、第2空調用部品20の分解斜視図である。
【0032】
第2空調用部品20は、第2接続ボックス21を備える。第2空調用部品20は、空調機からの空調された空気を受け入れて、所望の空間に供給するために使用される。
【0033】
第2接続ボックス21は、図示しない吹出し用ダクトと接続される少なくとも1つ(本例では2つ)の吹出し用ダクト接続口21Aと、空調機の吹出し口から流出する空気を受け入れる受入れ開口21Bと、を有する。
【0034】
第2接続ボックス21は、一対の側板部22と、一対の側板部22の間に設けられる前板部23と、一対の側板部22の下部及び前板部23の下部に接続される底板部24と、一対の側板部22の上部及び前板部23の上部に接続される上板部25と、を含む。
【0035】
一対の側板部22にはそれぞれ、前板部23側に向かって凹む切欠き22nが設けられている。そして、一対の側板部22の切欠き22nの間に、上述の空気の受入れ開口21Bが形成されている。すなわち、一対の側板部22の切欠き22nの間は閉鎖されず、第2接続ボックス21は切欠き22nの間から開放する。そして、この開放部分により、受入れ開口21Bが形成されている。
【0036】
本実施の形態における空調用部品セット1は、上下に延びる壁に設置され、上部に吸込み口を有するとともに、下部の前側に吹出し口を有する、家庭用として広く流通している形態の空調機に適用されるように構成されている。ここで、切欠き22nは、このような空調機の前面及び下面に沿うべく、L字状、台形状又は弧状等に形成されている。詳しくは後述するが、切欠き22nは、上述のような空調機の吹出し口に対して一方側に位置する空調機の前面及び吹出し口に対して他方側に位置する空調機の下面に沿うようにL字状、台形状又は弧状等に形成されている。
【0037】
吹出し用ダクト接続口21Aは、前板部23に形成されている。本実施の形態では、前板部23が、平板状の第1部分23Aと、上下方向に沿わせた状態の第1部分23Aの下部から切欠き22nに近づく側に折れ曲がる平板状の第2部分23Bと、を含む。詳しくは、第2部分23Bに、吹出し用ダクト接続口21Aが設けられる。第2接続ボックス21は、前板部23の第1部分23Aが空調機の前面に沿うように配置される。この場合、第2部分23Bは、空調機の吹出し口と対面するように位置し得る。
【0038】
また
図3(B)に示すように、本実施の形態では側板部22が前板部23に対して着脱自在に取り付けられている。これにより、側板部22を空調機の機種ごとの形状に応じて変更することで、種々の空調機に対して適正に第2空調用部品20を取り付けられるようになる。
【0039】
また、本実施の形態では底板部24が平板状である。そして、底板部24は、底板部24に近い方の切欠き22nの端から底板部24側に延びる側板部22における辺と直交するように構成されている。この場合、切欠き22nの端から底板部24側に延びる側板部22における辺を空調機が取り付けられた壁に接触させながら、底板部24を壁に対する法線方向に延ばすことが可能となる。この場合、第2接続ボックス21の荷重を底板部24を介して支持し易くなり、設置時の安定性を向上させることができる。
【0040】
なお、本実施の形態では切欠き22nの端から底板部24側に延びる一対の側板部22における辺の間は何ら部材を設けられることなく開放するが、板材を設けて閉塞してもよい。
【0041】
第2接続ボックス21は、受入れ開口21Bから内部に流入させた空調機からの空気を、吹出し用ダクト接続口21Aから流出させることができる。詳細は後述するが、第2接続ボックス21は、受入れ開口21Bを空調機の吹出し口に向い合せる状態で、吹出し口を覆うように配置される。これにより、第2空調用部品20は、空調機からの空気を、吹出し用ダクト接続口21Aから吹出し用ダクトに流入させて、所望の箇所に空気を供給できる。
【0042】
図4は、空調用部品セット1の使用方法を説明する図である。
図4に示す空調機40は、家庭用として広く流通している形態の空調機である。空調機40は直方体状であり、長手方向を水平方向に沿わせる状態で、上下に延びる壁に背面を向けて設置されている。空調機40は、上部に吸込み口41を有するとともに、下部の前側(前側下部又は前側下角部)に吹出し口42を有している。
【0043】
第1空調用部品10は、空調機40の上方に配置され、第2空調用部品20は、空調機40の下方に配置される。そして、
図4(A)及び(B)を併せて参照し、第1空調用部品10の第1接続ボックス11は、流出用開口11Bを空調機40の吸込み口41に向い合せる状態で、空調機40の吸込み口41を覆うように配置される。これにより、第1空調用部品10は空調機40に対して取り付けられる。そして、第1空調用部品10は吸込み用ダクトを流通する空気を集約させて、第1接続ボックス11から空調機40の吸込み口41に案内することができる。
【0044】
また、第2空調用部品20の第2接続ボックス21は、受入れ開口21Bを空調機40の吹出し口42に向い合せる状態で、吹出し口42を覆うように配置される。ここで、切欠き22nを、空調機40の吹出し口42に対して一方側に位置する空調機40の前面及び吹出し口42に対して他方側に位置する空調機40の下面に沿わせるようにする。これにより、第2空調用部品20は空調機40に対して取り付けられる。そして、第2空調用部品20は、空調機40からの空気を、吹出し用ダクト接続口21Aから吹出し用ダクトに流入させて、所望の箇所(複数の部屋等)に空気を供給できる。
【0045】
図5は、空調用部品セット1を利用する空調システム50を説明する図である。空調システム50は、
図4(B)に示すように空調用部品セット1を設置した状態から、吸込み用ダクト51、吹出し用ダクト52等を接続することにより構成される。
【0046】
図5に示す例では、1つの吸込み用ダクト51が第1接続ボックス11の吸込み用コネクタ部12に接続されている。吸込み用ダクト51の吸込み用コネクタ部12に接続される端部とは反対側の端部は、換気装置付き全熱交換器53に接続されている。また、2つの吹出し用ダクト52が、第2接続ボックス21の2つの吹出し用ダクト接続口21Aのそれぞれに接続されている。そして、2つの吹出し用ダクト52はそれぞれ途中で分岐し、
図5の例では、2つの吹出し用ダクト52のうちの一方から部屋A,Bに空調機40からの空気が流入するようになっている。また、2つの吹出し用ダクト52のうちの他方から部屋C,Dに空調機40からの空気が流入するようになっている。
【0047】
一方で、部屋A~Dの空気は、換気装置付き全熱交換器53に流れるようになっている。ここで、換気装置付き全熱交換器53は、室外から吸込み用ダクト51に向けて流れる空気と、部屋A~Dから流入する空気とを熱交換させるように構成されている。この場合、吸込み用ダクト51から第1空調用部品10を介して空調機40に流入する空気は、室温に近くなる。これにより、空調機40の目標温度に向けた温度制御にかかるエネルギーが抑制され得る。換気装置付き全熱交換器53には、フィルタが内蔵されており、室外から空調機40に流入する空気は浄化される。また、換気装置付き全熱交換器53で室外からの空気と熱交換した室内からの空気は、室外に排出される。
【0048】
図5の例では、壁に設置された受け部30に第2接続ボックス21の底板部24が接し、第2接続ボックス21の荷重が受け部30により支持されている。なお、図示しないが、第2接続ボックス21は前側(壁から離れる側)に脱落しないようにバンド状の部材等でも支持される。第1接続ボックス11は、空調機40の上面に固定されてもよい。
【0049】
図6は、
図5に示す空調システム50が設置された建築物60(住宅)の一例を示す図である。
図6の例では、屋根裏部屋に、空調機40、第1空調用部品10、第2空調用部品20、及び換気装置付き全熱交換器53が設置されている。
【0050】
第2空調用部品20に接続された2つの吹出し用ダクト52のうちの一方は、1階まで延びて分岐し、1階の複数の部屋に空気を供給するように構成される。2つの吹出し用ダクト52のうちの他方は、2階の複数の部屋に空気を供給するように分岐している。また、二点鎖線で示すラインは、室内の複数の部屋から換気装置付き全熱交換器53に空気を引き込むダクトラインを示している。なお、空調システム50は種々の建築物に適用することができ、
図6の態様は一例に過ぎない。
【0051】
以上に説明した第1の実施の形態に係る空調用部品セット1は、吸込み用ダクトと接続される少なくとも1つの吸込み用ダクト接続口11Aと、吸込み用ダクト接続口11Aから流入した空気を流出させる流出用開口11Bと、を有し、流出用開口11Bを空調機の吸込み口に向い合せる状態で、当該吸込み口を覆うように配置される第1接続ボックス11を備える第1空調用部品10と、吹出し用ダクトと接続される少なくとも1つの吹出し用ダクト接続口21Aと、空調機の吹出し口から流出する空気を受け入れる受入れ開口21Bと、を有し、受入れ開口21Bを空調機の吹出し口に向い合せる状態で、当該吹出し口を覆うように配置される第2接続ボックス21を備える第2空調用部品20と、を備える。そして、第2接続ボックス21は、一対の側板部22と、一対の側板部22の間に設けられる前板部23とを含み、一対の側板部22にはそれぞれ、前板部23側に向かって凹む切欠き22nが設けられ、切欠き22nの間に受入れ開口21Bが形成される。そして、切欠き22nは、空調機の吹出し口に対して一方側に位置する空調機の前面及び吹出し口に対して他方側に位置する空調機の下面に沿うように形成される。
【0052】
このような空調用部品セット1によれば、先ず、第1空調用部品10によって、空調機に所望の状態の空気を集約させて流入させることが可能となる。特に、室内の空気等の制御目標温度に近い温度の空気又はこのような温度に調整された空気を、第1空調用部品10によって集約させて空調機に流入させることで温度制御にかかるエネルギー消費量が抑制され得る。また、第2空調用部品20によって、温度制御等の空調が所望される空間に、効率的に空気を供給することができる。そして、とりわけ、第2空調用部品20の第2接続ボックス21に家庭用の空調機の前面及び下面に沿うように形成された切欠き22nが設けられる。そして、切欠き22nを空調機に沿わせるようにして第2空調用部品20を設置することで、特に大きな手間を発生させずに、空調機からの空気を不所望な箇所に流動させることなく、所望の箇所に供給することが可能となる。
よって、本実施の形態に係る空調用部品セット1は、複数の空間を手軽且つ効率的に空調することができる。
【0053】
また、本実施の形態では、側板部22が、前板部23に対して着脱自在に取り付けられている。これにより、側板部22を空調機の機種ごとの形状に応じて変更することで、種々の空調機に対して適正に第2空調用部品20を取り付けることが可能となる。
【0054】
図7は、第2空調用部品20の構成部材の一部である側板部22を変更する様子を示す図である。例えば、
図7(A)に示すように、空調機40’の前側下角部が丸みを帯びている場合には、円弧上の切欠き22n’を有する側板部22’を使用することで、空調機の形状に第2空調用部品20を適合させることができる。また、
図7(B)に示すように、空調機40’’の奥行寸法が大きくなる場合においても、幅広の切欠き22n’’及びサイズを有する側板部22’’を使用することで、空調機の形状に第2空調用部品20を適合させることができる。
【0055】
また、本実施の形態では、第2接続ボックス21の底板部24が平板状であり、底板部24は、底板部24に近い方の切欠き22nの端から底板部24側に延びる側板部22における辺と直交する。この場合、切欠き22nの端から底板部24側に延びる側板部22における辺を空調機が取り付けられた壁に接触させながら、底板部24を壁に対する法線方向に延ばすことが可能となる。この場合、第2接続ボックス21の荷重を底板部24から支持し易くなり、設置時の安定性を向上させることができる。すなわち、
図5に示したような受け部30を用いて、安定的に第2接続ボックス21を支持できる。
【0056】
また、本実施の形態では、前板部23が、平板状の第1部分23Aと、第1部分23Aから切欠き22nに近づく側に折れ曲がる平板状の第2部分23Bとを含み、第2部分23Bに、吹出し用ダクト接続口21Aが設けられる。この場合、第2接続ボックス21を、前板部23の第1部分23Aが空調機の前面に沿うように配置することにより、第2部分23Bを、空調機の吹出し口と対面させることができる。この場合、圧損を抑制して、空気を流動させることができ、効率の向上を図ることができる。
【0057】
ここで、
図8は、第1の実施の形態の変形例を示す図である。上述の実施の形態では、切欠き22nを空調機に直接的に接触させることを想定している。これに対して、
図8(A)に示す変形例では、側板部22の切欠き22nに、切欠き22nの形状に沿った弧状の弾性部材26を設ける。そして、第2接続ボックス21を、弾性部材26を介して空調機に接触させるようにする。この場合、空調機と第2接続ボックス21との間の気密性を向上させ、運転の効率の向上を図れるとともに、切欠き22nの形状を変更することなく、第2接続ボックス21を空調機の形状に適合させることができる。弾性部材26は、合成ゴム、エラストマー、ウレタン、発砲スチロール等でもよい。
【0058】
図8(B)は、
図8(A)よりも厚さの大きい弾性部材26が側板部22に設けられている。この場合、弾性部材26を、発砲スチロールカッター等を用いて切断することで、容易に空調機の形状を合わせた切欠き部分を側板部22において形成できる。弾性部材26の厚さは特に限られないが、例えば3cm以上にすることで、空調機の種々の形状に合致する切欠き部分を弾性部材26から容易に形成することが可能となる。
【0059】
<<第2の実施の形態>>
図9は、第2の実施の形態に係る空調用部品セット2の斜視図である。以下、第2の実施の形態について説明する。本実施の形態における第1の実施の形態と同様の構成要素は、同一の符号を付けて、重複する説明は省略する。
【0060】
図9に示すように、第2の実施の形態では、第2空調用部品20が、第2接続ボックス21の吹出し用ダクト接続口21Aに接続されるテーパ状且つ筒状のコネクタ部28をさらに備えている。コネクタ部28は吹出し用ダクト接続口21Aから離れる方向に先細りとなる。吹出し用ダクト接続口21Aは、コネクタ部28を介して吹出し用ダクトと接続される。
【0061】
以上のような第2の実施の形態によれば、第2接続ボックス21から吹出し用ダクトに空気が流れ易くなる。これにより、圧損を抑制して空気を流動させることができ、効率の向上を図ることができる。
【0062】
上述の各実施の形態及びその変形例は本発明を具現化するための一例を示したものであり、その他の様々な形態で本発明を実施することが可能である。例えば、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の変形、置換、省略又はこれらの組み合わせが可能である。そのような変形、置換、省略などを行った形態も、本発明の範囲に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0063】
1…空調用部品セット
10…第1空調用部品
11…第1接続ボックス
11A…吸込み用ダクト接続口
11B…流出用開口
12…吸込み用コネクタ
20…第2空調用部品
21…第2接続ボックス
21A…吹出し用ダクト接続口
21B…受入れ開口
22…側板部
22n…切欠き
23…前板部
24…底板部
25…上板部
26…弾性部材
28…コネクタ部
30…受け部
40…空調機
41…吸込み口
42…吹出し口
50…空調システム
51…吸込み用ダクト
52…吹出し用ダクト
53…換気装置付き全熱交換器
60…建築物
【要約】
【課題】複数の空間を手軽且つ効率的に空調する。
【解決手段】一実施の形態に係る空調用部品セット1は、吸込み用ダクトと接続される吸込み用ダクト接続口11Aと、吸込み用ダクト接続口11Aから流入した空気を流出させる流出用開口11Bと、を有し、流出用開口11Bを空調機の吸込み口に向い合せる状態で、当該吸込み口を覆うように配置される第1接続ボックス11を備える第1空調用部品10と、吹出し用ダクトと接続される吹出し用ダクト接続口21Aと、空調機の吹出し口から流出する空気を受け入れる受入れ開口21Bと、を有し、受入れ開口21Bを空調機の吹出し口に向い合せる状態で、当該吹出し口を覆うように配置される第2接続ボックス21を備える第2空調用部品20と、を備える。第2接続ボックス21には、空調機の前面及び空調機の下面に沿うように形成された切欠き22nが設けられる。
【選択図】
図3