(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-18
(45)【発行日】2024-12-26
(54)【発明の名称】エンドブロック、舗装システム、および施工方法
(51)【国際特許分類】
E01C 5/02 20060101AFI20241219BHJP
E01C 5/06 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
E01C5/02
E01C5/06
(21)【出願番号】P 2020140946
(22)【出願日】2020-08-24
【審査請求日】2022-05-09
(73)【特許権者】
【識別番号】300082335
【氏名又は名称】太平洋プレコン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114258
【氏名又は名称】福地 武雄
(74)【代理人】
【識別番号】100125391
【氏名又は名称】白川 洋一
(74)【代理人】
【識別番号】100208605
【氏名又は名称】早川 龍一
(72)【発明者】
【氏名】岩本 力
(72)【発明者】
【氏名】柳沼 宏始
(72)【発明者】
【氏名】住岡 雅之
【審査官】吉田 英一
(56)【参考文献】
【文献】特開昭61-102904(JP,A)
【文献】特開2020-029731(JP,A)
【文献】米国特許第06263633(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01C 5/02
E01C 5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブロック舗装に使用されるエンドブロックであって、
前記エンドブロックの厚さは、60mm以上150mm以下であり、
前記エンドブロックの路面を形成する面は、直線状の第1の辺と、前記第1の辺とそれぞれ隣接する第2の辺および第3の辺と、前記第2の辺または前記第3の辺とそれぞれ隣接する第4の辺および第5の辺の5辺で形成され、
前記第2の辺から第5の辺は、それぞれ自分自身および他の辺と噛み合う波型の辺で形成され、
1の前記エンドブロックの前記第2の辺と他の前記エンドブロックの前記第3の辺とを噛み合わせると、1の前記エンドブロックの前記第1の辺と他の前記エンドブロックの前記第1の辺は一直線上に並び、
1の前記エンドブロックの前記第4の辺と他の前記エンドブロックの前記第5の辺とを噛み合わせると、1の前記エンドブロックの前記第1の辺と他の前記エンドブロックの前記第1の辺は、それぞれ互いに垂直な二直線上に並び、
前記第2の辺から第5の辺は、前記第1の辺の一方の端部から前記第2の辺、前記第4の辺、前記第5の辺、および前記第3の辺を経由し前記第1の辺の他方の端部に達する前記各辺の形状について、前記エンドブロックの内部から見た凹凸のパターンが同一であ
り、
前記第2の辺から第5の辺は、直線および曲線で構成された波型の辺であることを特徴とするエンドブロック。
【請求項2】
舗装用ブロックを使用する舗装システムであって、
路床上に形成された下層路盤と、
前記下層路盤上に形成された上層路盤と、
前記上層路盤上に形成された敷砂層と、
前記敷砂層上に形成され、複数の舗装用ブロックおよび隣接する前記舗装用ブロックの間隙に充填された目地砂からなるブロック層と、を備え、
前記舗装用ブロックは、請求項1に記載の前記エンドブロックと、前記エンドブロックの波型の辺と噛み合う波型の辺を有する1種類以上の波形ブロックと、からなることを特徴とする舗装システム。
【請求項3】
舗装用ブロックを使用する舗装システムの施工方法であって、
路床上に下層路盤を形成する工程と、
前記下層路盤上に上層路盤を形成する工程と、
前記上層路盤上に敷砂層を形成する工程と、
前記敷砂層上に、複数の舗装用ブロックを敷設する工程と、
隣接する前記舗装用ブロックの間隙に目地砂を充填し、前記複数の舗装用ブロックおよびその間隙に充填された前記目地砂からなるブロック層を形成する工程と、
前記ブロック層の上から転圧する工程と、を含み、
前記舗装用ブロックは、請求項1に記載の前記エンドブロックと、前記エンドブロックの波型の辺と噛み合う波型の辺を有する1種類以上の波形ブロックと、からなることを特徴とする舗装システムの施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンドブロック、これを使用する舗装システム、および施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
道路や駐車場などで用いられる舗装構造のうち、ブロック系舗装では、舗装材にコンクリート平板やインターロッキングブロックなどのブロックが用いられる。ブロック系舗装の中でも、特に、表層にインターロッキングブロックを用いる舗装構造は、インターロッキングブロックの形状、寸法、敷設パタ-ン、色調および表面の質感などを適宜選択することによって、耐久性、安全性、快適性および景観性に優れた舗装を実現することが可能となる。また、インターロッキングブロックを用いた舗装構造では、車両等の輪荷重が作用した際、インターロッキングブロック間の目地に充填した砂(目地砂)によって、インターロッキングブロック相互の噛み合わせ効果が発揮される。この噛み合わせ効果によって荷重を分散させることができる。
【0003】
特許文献1には、下層路盤と、上層路盤と、敷砂層と、厚さが100mm以上150mm以下の複数の舗装用ブロックと目地砂からなるブロック層と、端部拘束ブロックと、を備え、舗装用ブロックは、第1の波形ブロックとエンドブロックと第2のブロックと、からなり、第1の波形ブロックの配置はへリンボンボンド45°であり、エンドブロックの路面を形成する面は、第1の波形ブロックまたは第2のブロックの路面を形成する面の波形の辺と隣接する少なくとも2辺が波形の辺と噛み合うように形成されている、重交通エリアまたは重荷重エリアに適用可能な舗装システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
引用文献1では、舗装用ブロックの敷設パターンをへリンボンボンド45°とするため、舗装システムの端部に端部拘束ブロックおよびエンドブロックを使用している。
図1は、従来のエンドブロックの路面を形成する面の例を示す平面図である。また、
図2は、従来の波型ブロック用のエンドブロック110を使用してへリンボンボンド45°の敷設パターンで敷設した例を示す平面図である。
図1に示される、従来の波型ブロック用のエンドブロック110は、エンドブロック110同士を横に配置したときに直線状の辺が接するだけであり、ずれやすかったが、端部拘束ブロック27を先に設置して、その後エンドブロック110および波型ブロックを設置する工程で敷設されていたため、エンドブロック110同士を横に配置したときの直線状の辺が接することによるずれやすさは問題とはなっていなかった。
【0006】
また、
図2に示されるように、従来の波型ブロック用のエンドブロック110を使用すると、角部には必ず特殊な形状のブロック(例えば、
図2に示される特殊形状ブロック111、112)が必要となり、施工現場でブロックの切断をする必要があったが、特許文献1記載の技術は、このような点を考慮していない。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、施工が容易で施工時にずれにくく、角部において通常の施工に用いる波型のブロックを切断しないでそのまま用いることができ、施工後のブロック舗装全体の強度も強くなるエンドブロック、このエンドブロックを使用する舗装システム、および施工方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)上記の目的を達成するために、本発明は、以下のような手段を講じた。すなわち、本発明のエンドブロックは、ブロック舗装に使用されるエンドブロックであって、前記エンドブロックの厚さは、60mm以上150mm以下であり、前記エンドブロックの路面を形成する面は、直線状の第1の辺と、前記第1の辺とそれぞれ隣接する第2の辺および第3の辺と、前記第2の辺または前記第3の辺とそれぞれ隣接する第4の辺および第5の辺の5辺で形成され、前記第2の辺から第5の辺は、それぞれ自分自身および他の辺と噛み合う波型の辺で形成され、1の前記エンドブロックの前記第2の辺と他の前記エンドブロックの前記第3の辺とを噛み合わせると、1の前記エンドブロックの前記第1の辺と他の前記エンドブロックの前記第1の辺は一直線上に並び、1の前記エンドブロックの前記第4の辺と他の前記エンドブロックの前記第5の辺とを噛み合わせると、1の前記エンドブロックの前記第1の辺と他の前記エンドブロックの前記第1の辺は、それぞれ互いに垂直な二直線上に並ぶことを特徴とする。
【0009】
エンドブロックがこのような形状に形成されることで、一直線および垂直な二直線を容易に形成することができ、噛み合わせた辺が波型の辺同士でずれにくいため、ブロック舗装の施工が容易となる。また、波型の辺同士が噛み合っているため、施工後のブロック舗装全体の強度も強くなる。また、エンドブロック同士で形成した角部の隙間には、通常の施工に用いる同一の波型の4辺を有する波型ブロックを切断しないでそのまま用いることができる。また、エンドブロックの波型の辺と噛み合う辺を有する波型ブロックを使用することで、ヘリンボンボンド45°など様々な敷設パターンのブロック舗装の施工が容易となる。
【0010】
(2)また、本発明のエンドブロックにおいて、前記第2の辺から第5の辺は、直線および曲線で構成された波型の辺であることを特徴とする。
【0011】
このように、波型の辺が直線および曲線で構成されることで、波型の辺が直線のみまたは曲線のみで構成されている場合と比較して、辺を噛み合わせたときのずれにくさ、および施工後のブロック舗装全体の強度がより強くなる。
【0012】
(3)また、本発明の舗装用ブロックを使用する舗装システムは、舗装用ブロックを使用する舗装システムであって、路床上に形成された下層路盤と、前記下層路盤上に形成された上層路盤と、前記上層路盤上に形成された敷砂層と、前記敷砂層上に形成され、複数の舗装用ブロックおよび隣接する前記舗装用ブロックの間隙に充填された目地砂からなるブロック層と、を備え、前記舗装用ブロックは、上記(1)または(2)に記載の前記エンドブロックと、前記エンドブロックの波型の辺と噛み合う波型の辺を有する1種類以上の波形ブロックと、からなることを特徴とする。
【0013】
このように、本発明のエンドブロックを使用することで、一直線および垂直な二直線を容易に形成することができ、噛み合わせた辺が波型の辺同士でずれにくいため、ブロック舗装の施工が容易となる。また、波型の辺同士が噛み合っているため、施工後のブロック舗装の強度も強くなる。また、エンドブロック同士で形成した角部の隙間には、通常の施工に用いる同一の波型の4辺を有する波型ブロックを切断しないでそのまま用いることができる。また、エンドブロックの波型の辺と噛み合う辺を有する波型ブロックを使用することで、ヘリンボンボンド45°など様々な敷設パターンのブロック舗装の施工が容易となる。
【0014】
(4)また、本発明の施工方法は、舗装用ブロックを使用する舗装システムの施工方法であって、路床上に下層路盤を形成する工程と、前記下層路盤上に上層路盤を形成する工程と、前記上層路盤上に敷砂層を形成する工程と、前記敷砂層上に、複数の舗装用ブロックを敷設する工程と、隣接する前記舗装用ブロックの間隙に目地砂を充填し、前記複数の舗装用ブロックおよびその間隙に充填された前記目地砂からなるブロック層を形成する工程と、前記ブロック層の上から転圧する工程と、を含み、前記舗装用ブロックは、上記(1)または(2)に記載の前記エンドブロックと、前記エンドブロックの波型の辺と噛み合う波型の辺を有する1種類以上の波形ブロックと、からなることを特徴とする。
【0015】
このように、本発明のエンドブロックを使用することで、一直線および垂直な二直線を容易に形成することができ、噛み合わせた辺が波型の辺同士でずれにくいため、ブロック舗装の施工が容易となる。また、波型の辺同士が噛み合っているため、施工後のブロック舗装の強度も強くなる。また、エンドブロック同士で形成した角部の隙間には、通常の施工に用いる同一の波型の4辺を有する波型ブロックを切断しないでそのまま用いることができる。また、エンドブロックの波型の辺と噛み合う辺を有する波型ブロックを使用することで、ヘリンボンボンド45°など様々な敷設パターンのブロック舗装の施工が容易となる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、一直線および垂直な二直線を容易に形成することができ、ブロック舗装の施工が容易となる。また、波型の辺同士が噛み合っているため、施工後のブロック舗装の強度も強くなる。また、エンドブロック同士で形成した角部の隙間には、通常の施工に用いる同一の波型の4辺を有する波型ブロックを切断しないでそのまま用いることができる。また、エンドブロックの波型の辺と噛み合う辺を有する波型ブロックを使用することで、ヘリンボンボンド45°など様々な敷設パターンのブロック舗装の施工が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】従来のエンドブロックの路面を形成する面の例を示す平面図である。
【
図2】従来のエンドブロックを使用してへリンボンボンド45°の敷設パターンで敷設した例を示す平面図である。
【
図3】本実施形態に係るエンドブロックの路面を形成する面の例を示す平面図である。
【
図4】本実施形態に係るエンドブロックを組み合わせて一直線を形成したときの例を示す平面図である。
【
図5】本実施形態に係るエンドブロックを組み合わせて垂直な二直線を形成したときの例を示す平面図である。
【
図6】本実施形態に係るエンドブロックを組み合わせて角部を形成したときに、角部に波型ブロック配置したときの例を示す平面図である。
【
図7】(a)および(b)は、それぞれ
図2のエンドブロックと共に使用される波形ブロックの路面を形成する面の例を示す平面図である。
【
図8】へリンボンボンド45°の敷設パターンで敷設した例を示す平面図である。
【
図9】
図7と同一形状のブロックを使用して異なる敷設パターンで敷設した例を示す平面図である。
【
図10】
図7と同一形状のブロックを使用して異なる敷設パターンで敷設した例を示す平面図である。
【
図11】(a)は本実施形態に係るエンドブロック、(b)および(c)はそれぞれ(a)のエンドブロックと共に使用される波形ブロックの路面を形成する面の例を示す平面図である。
【
図12】(a)は本実施形態に係るエンドブロック、(b)および(c)はそれぞれ(a)のエンドブロックと共に使用される波形ブロックの路面を形成する面の例を示す平面図である。
【
図13】本実施形態に係るエンドブロックを使用する舗装システムの概略構成の例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明者らは、波型ブロックと共に使用されるエンドブロックにおいて、エンドブロック同士が接する辺を波型ブロックの波型の辺と接する辺と同一の形状および長さにすることで、施工が容易で施工時にずれにくく、角部において通常の施工に用いる波型のブロックを切断しないでそのまま用いることができ、施工現場が正方形や長方形の場合、周囲4辺にエンドブロックを配置する額縁施工が可能となり、施工後のブロック舗装全体の強度が向上することを見出し、本発明をするに至った。
【0019】
すなわち、本発明は、ブロック舗装に使用されるエンドブロックであって、前記エンドブロックの厚さは、60mm以上150mm以下であり、前記エンドブロックの路面を形成する面は、直線状の第1の辺と、前記第1の辺とそれぞれ隣接する第2の辺および第3の辺と、前記第2の辺または前記第3の辺とそれぞれ隣接する第4の辺および第5の辺の5辺で形成され、前記第2の辺から第5の辺は、それぞれ自分自身および他の辺と噛み合う波型の辺で形成され、1の前記エンドブロックの前記第2の辺と他の前記エンドブロックの前記第3の辺とを噛み合わせると、1の前記エンドブロックの前記第1の辺と他の前記エンドブロックの前記第1の辺は一直線上に並び、1の前記エンドブロックの前記第4の辺と他の前記エンドブロックの前記第5の辺とを噛み合わせると、1の前記エンドブロックの前記第1の辺と他の前記エンドブロックの前記第1の辺は、それぞれ互いに垂直な二直線上に並ぶことを特徴とする。
【0020】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては同一の参照番号を付し、重複する説明は省略する。なお、構成図において、各構成要素の大きさは概念的に表したものであり、必ずしも実際の寸法比率を表すものではない。
【0021】
本明細書において、舗装用ブロックとは、コンクリート製のインターロッキングブロック、または天然石を所定の形状に切断等加工したブロック(以下、単に天然石という)をいう。舗装用ブロックとしてインターロッキングブロックを使用する場合、舗装用ブロックの形状や性質を均一に保つことができ、コスト面に優れている点で好ましい。舗装用ブロックとして天然石を使用する場合、耐摩耗性に優れている点で好ましい。
【0022】
また、本明細書において、重交通エリアとは、車両制限令による輪荷重5t以下の大型車両が250台以上/日・方向、通行する道路や駐車場等をいう。また、重荷重エリアとは、輪荷重が5tを超える荷役車両(トップリフター、フォークリフト等)が通行する港湾区域や貨物ヤード内の道路、駐車場、コンテナ置場等をいう。
【0023】
[エンドブロックの構成]
図3は、本実施形態に係るエンドブロックの路面を形成する面の例を示す平面図である。本発明のエンドブロック10の路面を形成する面は、直線状の第1の辺1と、第1の辺1とそれぞれ隣接する第2の辺2および第3の辺3と、第2の辺2または第3の辺3とそれぞれ隣接する第4の辺4および第5の辺5の5辺で形成される。また、第2の辺2から第5の辺5は、それぞれ自分自身および他の辺と噛み合う波型の辺で形成される。
【0024】
波型の辺が噛み合うとは、1の舗装用ブロックの波型の辺の凹凸と他の舗装用ブロックの波型の辺の凹凸が略同一の形状であり、目地砂の幅を略均一にした状態で1の舗装用ブロックの波型の辺と他の舗装用ブロックの波型の辺とを隣接させて配置可能であることをいう。この場合、一方の波型の辺の部分と他方の波型の辺の部分または全体とが噛み合っていてもよい。エンドブロック10の第2の辺2から第5の辺5は、それぞれ辺の全体同士で噛み合っている。
【0025】
図4は、本実施形態に係るエンドブロックを組み合わせて一直線を形成したときの例を示す平面図である。
図4に示されるように、本実施形態に係るエンドブロック10は、1のエンドブロック10aの第2の辺と他のエンドブロック10bの第3の辺とを噛み合わせると、1のエンドブロック10aの第1の辺と他のエンドブロック10bの第1の辺が一直線上に並ぶ。エンドブロック10がこのような形状に形成されることで、一直線を容易に形成することができ、噛み合わせた辺が波型の辺同士でずれにくいため、ブロック舗装の施工が容易となる。また、波型の辺同士が噛み合っているため、施工後のブロック舗装全体の強度も強くなる。
【0026】
図5は、本実施形態に係るエンドブロックを組み合わせて垂直な二直線を形成したときの例を示す平面図である。
図5に示されるように、本実施形態に係るエンドブロック10は、1のエンドブロック10aの第4の辺と他のエンドブロック10bの第5の辺とを噛み合わせると、1のエンドブロック10aの第1の辺と他のエンドブロック10bの第1の辺が、それぞれ互いに垂直な二直線上に並ぶ。エンドブロック10がこのような形状に形成されることで、垂直な二直線を容易に形成することができ、噛み合わせた辺が波型の辺同士でずれにくいため、ブロック舗装の施工が容易となる。また、波型の辺同士が噛み合っているため、施工後のブロック舗装全体の強度も強くなる。
【0027】
図1および
図2に示されるように、従来のエンドブロック110は通常、ブロック舗装の端部で直線状の辺を有する端部拘束ブロック27に接する位置に配置されていた。端部拘束ブロック27が設置される地中の構造は、エンドブロックや波型ブロック等の他のブロックが設置される地中の構造と異なるため、ブロック舗装の端部において端部拘束ブロック27を必須とすると、施工の工程が複雑となり工数も多くなっていた。しかし、従来の波型ブロック用のエンドブロック110は、エンドブロック110同士を横に配置したときに直線状の辺が接するだけであり、ずれやすかったため、端部拘束ブロック27を先に設置して、その後エンドブロック110および波型ブロックを設置することが通常であり、端部拘束ブロックが必須であった。
【0028】
本発明のエンドブロック10は、エンドブロック10同士を隣接して配置したときに波型の辺が噛み合うのでずれにくく、端部拘束ブロックを使用しないでも一直線または垂直な二直線を形成することができるので、端部拘束ブロックを設置せずにエンドブロック10および波型ブロックを設置できる。よって、エンドブロック10は、端部拘束ブロックの代わりに使用することができる。
【0029】
例えば、歩道にブロック舗装をする場合、端部拘束ブロックを使用しないでもエンドブロック10および波型ブロックの波型の辺が噛み合うことにより、十分な強度を保つことができる。また、例えば、端部拘束ブロックを使用する場合も、エンドブロック10の波型の辺が噛み合うことにより、従来の波型ブロック用のエンドブロックを使用したときよりも舗装全体の強度は強くなる。なお、車道にブロック舗装をする場合、端部拘束ブロックを使用して強度をより強くすることが好ましい。
【0030】
図6は、本実施形態に係るエンドブロックを組み合わせて角部を形成したときに、角部に波型ブロック配置したときの例を示す平面図である。
図6に示されるように、エンドブロック10a、10b同士で形成した角部の隙間には、通常の施工に用いる同一の波型の4辺を有する第1の波型ブロック11aを切断しないでそのまま用いることができる。
【0031】
図7(a)および(b)は、それぞれ
図3のエンドブロックと共に使用される波形ブロックの路面を形成する面の例を示す平面図である。
図3に示されるエンドブロック10は、
図7に示されるような波型ブロック11(第1の波型ブロック11a、第2の波型ブロック11b)と共に用いられることで、様々な敷設パターンが可能となる。
図3に示されるエンドブロック10と共に用いられる、
図7(a)、(b)に示される第1の波型ブロック11a、第2の波型ブロック11bは例示であり、エンドブロック10は、他の辺の比を有する波型ブロックや間隙を埋めるためのブロックなどと共に用いられてもよい。また、施工される現場の形状や構造物に合わせて、切断されたブロックが使用されてもよい。
【0032】
図8は、へリンボンボンド45°の敷設パターンで敷設した例を示す平面図である。
図8は、
図3に示されるエンドブロック10および
図7(a)、(b)に示される第1の波型ブロック11a、第2の波型ブロック11bを使用した敷設パターンの例を示している。また、
図9および
図10は、それぞれ、
図8と同一形状のブロックを使用して異なる敷設パターンで敷設した例を示す平面図である。このように、本発明のエンドブロック10は、端部拘束ブロックを使用しない場合でも、様々な敷設パターンのブロック舗装を施工することが容易になる。また、
図8から
図10に示されるように、施工現場が正方形や長方形の場合、施工現場の周囲4辺に本発明のエンドブロック10を配置する額縁施工が可能となり、ブロック舗装全体の強度が向上する。額縁施工とは、本発明のエンドブロックを4辺に配置した敷設パターンの舗装システムをいう。なお、
図8から
図10は、目地砂を記載していない。
【0033】
エンドブロック10の波型の辺は、
図11(a)または
図12(a)のように、直線の折れ線のみや曲線のみで構成されていてもよいが、様々な方向から力が加わってもずれにくくするためには、直線と曲線との組み合わせで構成されていることが好ましい。波型の辺が直線および曲線で構成されることで、波型の辺が直線のみまたは曲線のみで構成されている場合と比較して、辺を噛み合わせたときのずれにくさがより強くなる。
図11(a)~(c)は、直線の折れ線のみで波型の辺が構成されたエンドブロック10、およびそれと同時に使用する波型ブロック11a、11bの路面を形成する面の例を示す模式図である。また、
図12(a)~(c)は、曲線のみで波型の辺が構成されたエンドブロック10、およびそれと同時に使用する波型ブロック11a、11bの路面を形成する面の例を示す模式図である。
【0034】
エンドブロックの厚さは、60mm以上150mm以下である。また、エンドブロックが重交通または重荷重エリアに使用される場合、80mm以上150mm以下であることが好ましい。
【0035】
このようなエンドブロック10により、一直線および垂直な二直線を容易に形成することができ、噛み合わせた辺が波型の辺同士でずれにくいため、ブロック舗装の施工が容易となる。また、波型の辺同士が噛み合っているため、施工後のブロック舗装全体の強度も強くなる。また、エンドブロック10同士で形成した角部の隙間には、通常の施工に用いる同一の波型の4辺を有する波型ブロックを切断しないでそのまま用いることができる。また、エンドブロック10の波型の辺と噛み合う辺を有する波型ブロックを使用することで、ヘリンボンボンド45°など様々な敷設パターンのブロック舗装の施工が容易となる。
【0036】
[舗装システムの構成]
図13は、本実施形態に係るエンドブロックを使用する舗装システムの概略構成を示す断面図である。本実施形態に係る舗装システム100は、路床13上に形成された下層路盤15と、下層路盤15上に形成された上層路盤17と、上層路盤17上に形成された敷砂層19と、敷砂層19上に敷設されたエンドブロック10を含む舗装用ブロック21および目地砂23からなるブロック層25と、から構成される。なお、
図13に示したブロック層25の端部の舗装用ブロック21を拘束する端部拘束ブロック27は、必要に応じて使用され、必須の構成ではない。
【0037】
下層路盤15は、路床13上に形成される。下層路盤15を構成する材料は、所定の支持力を確保できるものであればどのようなものであってもよいが、例えば、クラッシャラン、水硬性粒度調整スラグ(HMS)などを使用することができる。下層路盤15は、2以上の層を成していてもよい。下層路盤15の厚さは、100mm以上400mm以下であることが好ましい。
【0038】
上層路盤17は、下層路盤15上に形成される。上層路盤17を構成する材料は、所定の支持力を確保できるものであればどのようなものであってもよい。なお、舗装システム100が重交通、重荷重エリアに適用される場合の支持力は、小型FWDたわみ量試験から求められる面上変形係数が730MN/m2以上であることが好ましい。上層路盤17の厚さは、50mm以上350mm以下であることが好ましい。
【0039】
上層路盤17を構成する材料は、セメント安定処理混合物、密粒度アスファルト混合物、大粒径アスファルト混合物、または高強度セメント安定処理混合物であることが好ましい。また、舗装システム100が重交通または重荷重エリアに適用される場合、上層路盤17を構成する材料は、十分な支持力を得るために、大粒径アスファルト混合物、または高強度セメント安定処理混合物であることが好ましい。大粒径アスファルト混合物とは、粗骨材の最大粒径を大きくする(25mm以上)ことで、良好な骨材の噛み合わせにより耐流動(わだち掘れ)、耐摩性に優れている混合物である。また、高強度セメント安定処理混合物とは、従来のセメント安定処理混合物(qu = 2.9MPa)よりも強度の高い(4.9MPa以上)混合物である。
【0040】
敷砂層19は、上層路盤17上に形成される。敷砂層19を構成する材料は、天然砂、焼砂、特殊材料でコーティングした砂などを使用することができる。敷砂層19を構成する材料は、アスファルトコーティングされた砂またはアスファルトコーティングされた砂がさらに油分でコーティングされた砂であることが好ましい。このような砂を使用することで、敷砂の細粒化と浸透水による支持力低下を防ぐことができる。敷砂層19の厚さは、10mm以上30mm以下であることが好ましい。
【0041】
敷砂層19に滞水すると支持力の低下、細粒化と変形の促進が起こることがあるため、路盤または敷砂層19は、排水機構を備えることが好ましい。排水機構は、路盤に排水孔を設置する、または、敷砂層19に不織布巻き導水管を設置して雨水マス等に排水孔を設けて繋いで排水処理する、などで対応できる。
図13は、不織布巻き導水管を設置した例を示す。排水機構は、施工性およびコスト面から、敷砂層19に不織布巻き導水管を設置することが好ましい。
【0042】
舗装用ブロック21は、エンドブロック10、および1種類以上の波型ブロック11からなる。舗装用ブロック21は、エンドブロック10および波型ブロック11以外に、間隙を埋めるためのブロックなどが含まれていてもよい。また、施工される現場の形状や構造物に合わせて、切断されたブロックが使用される場合、そのようなブロックも舗装用ブロック21に含まれる。
【0043】
舗装用ブロック21は、路面を形成する面と敷砂層19に接する面との間の厚さが60mm以上150mm以下である。また、厚さが60mmより小さいと、側面積が小さくなるため、荷重分散性能が低下して、水平移動しやすくなる場合がある。また、荷重に対する抵抗性や耐久性が低下して、欠けや割れが生じやすくなる場合がある。厚さが150mmより大きいと、製造コストや施工費、運賃等が上昇する。
【0044】
波型ブロック11の形状は、短辺が105mm以上120mm以下であることが好ましい。短辺が105mmより小さいと、段差や沈降が生じやすくなる場合がある。また、短辺が120mmより大きいと、荷重分散性能が低下し、車道に敷設した場合、その上を走行する車輪の径および車輪にかかる重量によっては、欠けや割れが生じやすくなることがある。
【0045】
第1の波型ブロック11aは、エンドブロック10の第4および第5の辺の波型の辺と同一の形状、同一の大きさの波型の辺を4辺を有する。
【0046】
第2の波型ブロック11bの各辺は、エンドブロック10の第4および第5の辺の波型の辺と同一の形状、同一の大きさの波型の辺を何倍かした形状である。よって、第2の波型ブロック11bの短辺と長辺の比は整数比である。短辺と長辺の比が整数比であることで、へリンボンボンド45°等、様々な敷設パターンのブロック舗装の敷設が可能となる。なお、短辺と長辺の比が整数比であるとは、短辺と長辺それぞれに目地幅を合わせた長さの比が整数比となることをいう。敷設の際に目地幅を調整することである程度調整ができるため、厳密な意味での整数比でなくてもよい。第2の波型ブロック11bの短辺と長辺は、同一の長さであってもよい。また、第2の波型ブロック11bの短辺と長辺の比は、1:2であることが好ましい。
【0047】
上記のような1種類以上の波型ブロック11、およびエンドブロック10によって、平面充填が可能となる。エンドブロック10は、ブロック舗装の端部または端部以外の部分の一部のみに使用されていてもよい。なお、エンドブロック10および第1の波型ブロック11aによって平面充填は可能であるので、第2の波型ブロック11bは使用しない舗装も本発明に含まれる。
【0048】
エンドブロック10、および波形ブロック11の側面は、平面または曲面からなり、路面を形成する面の波形の短辺同士、波形の長辺同士、および波形の短辺と波形の長辺の一部を噛み合わせたときに噛み合うように形成されていることが好ましい。
【0049】
舗装用ブロック21は、インターロッキングブロックまたは天然石のいずれか一方のみを使用してもよいし、インターロッキングブロックと天然石の両方を使用してもよい。例えば、波型ブロック11を天然石とし、エンドブロック10をインターロッキングブロックとしてもよい。
【0050】
目地砂23は、隣接する舗装用ブロック21の間隙に充填される。目地砂23は、天然砂、焼砂、特殊材料でコーティングした砂などを使用することができる。目地砂23は、アスファルトコーティングされた砂またはアスファルトコーティングされた砂がさらに油分でコーティングされた砂であることが好ましい。このような砂を使用することで、目地からの雨水浸透や目地砂の流失を防ぐことができる。目地幅は目地砂23の消失を防ぐために、2mm以上4mm以下であることが好ましい。
【0051】
ブロック層25は、敷砂層19上に形成され、複数の舗装用ブロック21および隣接する舗装用ブロック21の間隙に充填された目地砂23からなる。これにより、車両等の輪荷重が作用した際、舗装用ブロック21間の目地砂23によって、舗装用ブロック21相互の噛み合わせ効果が発揮され、荷重分散効果が生じる。
【0052】
端部拘束ブロック27は、下層路盤15上に下地を形成し、その上に形成する。下地は、モルタルであってもよいが、即時交通開放を可能とするため、砂で形成することが好ましい。下地を形成する砂は、敷砂層19または目地砂23を形成する砂と同一であってもよい。隣接する端部拘束ブロック27の目地も下地と同一の材料を使用してもよい。また、端部拘束ブロック27と他舗装との取り合い処理および舗装用ブロック21との目地は、貼付けタイプの成型目地材を適用することが好ましい。端部拘束ブロック27は、ブロック層25の端部の舗装用ブロック21を拘束する。端部拘束ブロック27は、短辺および厚さがそれぞれ、エンドブロック10の短辺および厚さの1.5倍以上であることが好ましく、長辺がエンドブロック10の短辺の3倍以上であることが好ましい。このようなサイズにすることで、目地砂と敷砂で施工でき、端部で力が加わっても割れにくい。端部拘束ブロック27同士の接続部分は、波形であることが好ましい。
【0053】
[舗装システムの施工方法]
次に、舗装システムの施工方法を説明する。まず、路床上に下層路盤を形成する。次に、端部拘束ブロックを設置する場合、端部拘束ブロックの設置場所の下層路盤上に下地を形成し、その上に端部拘束ブロックを形成する。次に、下層路盤上に上層路盤を形成する。端部拘束ブロックを設置した場合、端部拘束ブロックの設置場所以外の下層路盤上に上層路盤を形成する。次に、上層路盤上から転圧し、路盤が所定の支持力を有するかどうかを確認する。
【0054】
路盤が所定の支持力を有することが確認できたら、上層路盤上に敷砂層を形成する。敷砂層に不織布巻きの導水管を設ける場合は、ここで行なう。次に、敷砂層上に舗装用ブロックを配置する。舗装用ブロックの配置は、エンドブロックから行う。このようにすることで、端部拘束ブロックを設置しない場合でも直線の形成が容易になり、施工工程が簡略化される。そして、波型ブロックを配置する。次に、舗装用ブロック間の目地に、目地砂を充填する。そして、ブロック層上から転圧する。転圧は複数回行なう。転圧は、タイヤローラまたは振動ローラを用いて行なうことが好ましい。転圧はタイヤローラや振動ローラで行なうことで、よりブロック間の噛み合わせ効果が向上する。最後に、目地砂を再度充填する。このような方法により、舗装用ブロックを使用する舗装システムを施工できる。
【0055】
以上説明したように、本発明のエンドブロック、舗装システム、および施工方法によれば、一直線および垂直な二直線を容易に形成することができ、ブロック舗装の施工が容易となる。また、波型の辺同士が噛み合っているため、施工後のブロック舗装の強度も強くなる。また、エンドブロック同士で形成した角部の隙間には、通常の施工に用いる同一の波型の4辺を有する波型ブロックを切断しないでそのまま用いることができる。また、エンドブロックの波型の辺と噛み合う辺を有する波型ブロックを使用することで、ヘリンボンボンド45°など様々な敷設パターンのブロック舗装の施工が容易となる。
【符号の説明】
【0056】
1 第1の辺
2 第2の辺
3 第3の辺
4 第4の辺
5 第5の辺
10、10a、10b エンドブロック
11 波型ブロック
11a 第1の波型ブロック
11b 第2の波型ブロック
13 路床
15 下層路盤
17 上層路盤
19 敷砂層
21 舗装用ブロック
23 目地砂
25 ブロック層
27 端部拘束ブロック
100 舗装システム
110 従来のエンドブロック
111、112 特殊形状ブロック