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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-18
(45)【発行日】2024-12-26
(54)【発明の名称】制汗または消臭組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/46 20060101AFI20241219BHJP
   A61K 8/02 20060101ALI20241219BHJP
   A61K 8/33 20060101ALI20241219BHJP
   A61Q 13/00 20060101ALI20241219BHJP
   A61Q 15/00 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
A61K8/46
A61K8/02
A61K8/33
A61Q13/00 101
A61Q15/00
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019510783
(86)(22)【出願日】2017-08-25
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-09-05
(86)【国際出願番号】 EP2017071460
(87)【国際公開番号】W WO2018037121
(87)【国際公開日】2018-03-01
【審査請求日】2020-07-07
【審判番号】
【審判請求日】2022-12-09
(31)【優先権主張番号】16185738.8
(32)【優先日】2016-08-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】390009287
【氏名又は名称】フイルメニツヒ ソシエテ アノニム
【氏名又は名称原語表記】Firmenich SA
【住所又は居所原語表記】7,Rue de la Bergere,1242 Satigny,Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】アルノー ストリュイゥ
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル ライヒリン
【合議体】
【審判長】阪野 誠司
【審判官】瀬良 聡機
【審判官】齊藤 真由美
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0217015(US,A1)
【文献】特表2005-511710(JP,A)
【文献】特開平10-95752(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K8/00-8/99
A61Q1/00-90/00
CAPLUS/REGISTRY STN
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a.担体と、
b.以下iおよびii:
i.式
【化1】
[式中、
波線は、式(I)における硫黄原子と式(P-1)で示されるPとの結合を示し
【化2】
式中、波線は、上記で示した意味を有し、点線は、単結合または二重結合を表し、Rは、水素原子またはメチル基を表す〕の基を、それらの異性体のいずれか1つの形態で表したものであり、
Rは、10~14個の炭素原子を有する直鎖アルキル基である]の少なくとも1つのβ-チオカルボニル誘導体プロフレグランスおよび
ii.遊離香料
を含む付香組成
を含む組成物において、
前記式(I)の少なくとも1つのβ-チオカルボニル誘導体プロフレグランスは、該組成物の全重量に対して1.2~10重量%の量で存在し、かつ
前記遊離香料は、該組成物の全重量に対して0.0001~6重量%の量で存在し
前記遊離香料は、1-(オクタヒドロ-2,3,8,8-テトラメチル-2-ナフタレニル)-1-エタノン、ジプロピレングリコール、2,4-ジメチル-3-シクロヘキセン-1-カルバルデヒド、ドデカヒドロ-3a,6,6,9a-テトラメチルナフト[2,1-b]フラン、リナロール、クマリン、(Z)-3-ヘキセン-1-オール、アミルアリルグリコラート、2-t-ブチル-1-シクロヘキシルアセタート、酢酸スチラリル、3-(4-t-ブチルフェニル)-2-メチルプロパナール、1,4-ジオキサ-5,17-シクロヘプタデカンジオン、クリスタルモス(cristalmoss)、γ-ウンデカラクトン、(Z)-ヘキサ-3-エン-1-イルアセタート、ネオ(テトラヒドロ-2-イソブチル-4-メチル-4(2H)-ピラノール)、α-ダマスコン、酢酸ベンジル、エチルバニリン、2-メチル吉草酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、C 10 アルデヒド、ローズオキシド、ヘキシルシンナムアルデヒド、サリチル酸ヘキシル、(1’R,E)-2-エチル-4-(2’,2’,3’-トリメチル-3’-シクロペンテン-1’-イル)-2-ブテン-1-オールおよびそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの付香成分を含む、組成物。
【請求項2】
前記遊離香料は、前記組成物の全重量に対して0.0001~0.4重量%の量で存在する、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
前記式(I)のβ-チオカルボニルプロフレグランス誘導体は、3-(ドデシルチオ)-1-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-3-エン-1-イル)ブタン-1-オン、3-(ドデシルチオ)-1-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)ブタン-1-オンおよびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1記載の組成物。
【請求項4】
ボディスプレー、スティックおよびエアゾールからなる群から選択される制汗または消臭製品として配合される、請求項1記載の組成物。
【請求項5】
前記組成物の全重量に対して95重量%未満の水を含む、請求項1記載の組成物。
【請求項6】
水を含まない、請求項1記載の組成物。
【請求項7】
前記担体は、エタノール、水、界面活性剤およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1記載の組成物。
【請求項8】
体臭の処置、マスキング、除去、予防または低減を必要とする対象物の体臭を処置、マスキング、除去、予防または低減するための方法であって、請求項1記載の組成物を該対象物の皮膚に施与することを含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2016年8月25日に出願された欧州特許出願第16185738.8号の優先権を主張し、その全内容を、本明細書の一部を構成するものとして援用する。
【0002】
発明の分野
本開示は、香料の分野に関する。特に本開示は、香料を含む消臭または制汗組成物であって、該香料は、プロフレグランスおよび遊離香料を含む組成物を提供する。該組成物を含む分注装置も、本発明の対象である。
【0003】
背景
香料産業が直面する問題の1つは、その揮発性ゆえ、発香性化合物によって提供される嗅覚上の有益性が比較的急速に失われてしまうことにある。香料産業では、ある期間にわたって同時にいくつかのフレグランスの混合物の付香効果を延長または増強し得る組成物または添加剤に対して特に関心が寄せられている。揮発性が高すぎるかもしくはそれ自体では残留性に乏しいか、または最終用途の表面上に少量しか付着しない標準的な香料原材料の長期持続性を得ることが特に望ましい。この課題に対しては、香料を含む送達システム、例えば香料を含むカプセルを使用して、制御された方法でフレグランスを放出するという対処がなされてきた。
【0004】
カプセル化システムの代替策の1つとして、前駆体化合物が挙げられる。これはプロフレグランスとしても知られており、施与の間またはその後に、(放出トリガーとしてO、光、酵素、水(pH)または温度を用いて)化学反応によって活性材料を放出する。プロフレグランスの一例は、国際公開第03/049666号(WO 03/049666)に記載されているβ-チオカルボニルプロフレグランス誘導体である。プロフレグランスの使用の利点は、水性ホームケア製品において、より具体的には洗剤や柔軟剤といった洗濯用製品において大いに実証されており、香料の放出特性が向上してきた。
【0005】
しかし消臭組成物については、満足のいく制汗/水分防止性および/または悪臭防止性が提供されないことが多い。したがって、許容可能な悪臭および制汗/水分防止性を示す安定な消臭組成物が依然として求められている。
【0006】
本開示は、液体担体と香料とβ-チオカルボニルプロフレグランスとを含む制汗または消臭組成物により上記課題の解決手段を提供するものである。
【0007】
概要
本明細書に提示される一態様は、
a.担体と、
b.以下iおよびii:
i.式
【化1】
[式中、
波線は、前記Pと硫黄原子との結合の位置を示し、
Pは、式(P-1)~(P-9)
【化2】
〔式中、波線は、上記で示した意味を有し、点線は、単結合または二重結合を表し、Rは、水素原子またはメチル基を表し;R10は、水素原子、ヒドロキシ基、メトキシ基またはC~Cの直鎖もしくは分岐鎖アルキル基を表す〕の基を、それらの異性体のいずれか1つの形態で表したものであり、
Rは、8~15個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖アルキル基であって、硫黄原子に直接結合していないカルボキシル官能基を含んでもよい基を表す]の少なくとも1つのβ-チオカルボニル誘導体プロフレグランスおよび
ii.遊離香料
を含む付香組成物と
を含む組成物において、
前記式(I)の少なくとも1つのβ-チオカルボニル誘導体プロフレグランスは、該組成物の全重量に対して0.001~10重量%の量で存在し、かつ
前記遊離香料は、該組成物の全重量に対して0.0001~6重量%の量で存在する組成物を提供する。
【0008】
一態様において、該組成物はさらに、カプセル化された香料を含む。
【0009】
一態様において、該組成物はさらに、制汗活性剤を含む。
【0010】
一態様において、式(I)の少なくとも1つのβ-チオカルボニル誘導体プロフレグランスは、該組成物の全重量に対して0.001~7重量%の量で存在する。
【0011】
一態様において、式(I)の少なくとも1つのβ-チオカルボニル誘導体プロフレグランスは、該組成物の全重量に対して0.001~5重量%の量で存在する。
【0012】
一態様において、遊離香料は、該組成物の全重量に対して0.0001~1重量%の量で存在する。
【0013】
一態様において、式(I)のβ-チオカルボニルプロフレグランス誘導体は、Pが式(P-1)、(P-2)、(P-5)および(P-6)からなる群から選択される基である誘導体である。
【0014】
一態様において、式(I)のβ-チオカルボニルプロフレグランス誘導体は、3-(ドデシルチオ)-1-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-3-エン-1-イル)ブタン-1-オン、3-(ドデシルチオ)-1-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)ブタン-1-オン、4-(ドデシルチオ)-4-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)ブタン-2-オンおよびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0015】
一態様において、該組成物は、ボディスプレー配合物、固体配合物、ロールオン配合物およびエアゾール配合物からなる群から選択される制汗または消臭製品として配合される。
【0016】
一態様において、該組成物は、該組成物の全重量に対して95重量%未満の水を含む。
【0017】
一態様において、該組成物は、水を含まない。
【0018】
一態様において、液体担体は、エタノール、水、界面活性剤およびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0019】
一態様において、遊離香料は、ゲラニオール、シトロネロール、ジヒドロミルセノール、ヒドロキシシトロネラール、3-メチル-5-シクロペンタデセン-1-オン、シクロペンタデカノン、(1S,1’R)-[1-(3’,3’-ジメチル-1’-シクロヘキシル)エトキシカルボニル]メチルプロパノアート、ペンタデセノリド、7-メチル-2H,4H-1,5-ベンゾジオキセピン-3-オン、インドール、イソラルダイン(isoraldeine)、1-(5,5-ジメチルシクロヘキサ-1-エン-1-イル)ペンタ-4-エン-1-オン、サリチル酸アミル、ジヒドロジャスモン酸メチル、サリチル酸シクロヘキシルおよびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0020】
一態様において、遊離香料は、1-(オクタヒドロ-2,3,8,8-テトラメチル-2-ナフタレニル)-1-エタノン;ジプロピレングリコール、2,4-ジメチル-3-シクロヘキセン-1-カルバルデヒド、ドデカヒドロ-3a,6,6,9a-テトラメチルナフト[2,1-b]フラン;リナロール、クマリン、(Z)-3-ヘキセン-1-オール、アミルアリルグリコラート、2-t-ブチル-1-シクロヘキシルアセタート;酢酸スチラリル、3-(4-t-ブチルフェニル)-2-メチルプロパナール、1,4-ジオキサ-5,17-シクロヘプタデカンジオン、クリスタルモス(cristalmoss)、γ-ウンデカラクトン、(Z)-ヘキサ-3-エン-1-イルアセタート、ネオ(テトラヒドロ-2-イソブチル-4-メチル-4(2H)-ピラノール;)、α-ダマスコン、酢酸ベンジル、エチルバニリン、2-メチル吉草酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、C10アルデヒド、ローズオキシド、ヘキシルシンナムアルデヒド、サリチル酸ヘキシル、(1’R,E)-2-エチル-4-(2’,2’,3’-トリメチル-3’-シクロペンテン-1’-イル)-2-ブテン-1-オールおよびそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの付香成分を含む。
【0021】
本明細書に提示される一態様は、体臭の処置、マスキング、除去、予防または低減を必要とする対象物の体臭を処置、マスキング、除去、予防または低減するための方法であって、本明細書に提示されるいくつかの態様による組成物を該対象物の皮膚に施与することを含む方法を提供する。
【0022】
一態様において、該方法によってさらに、発汗の処置、除去、予防または低減を必要とする対象物の発汗が処置、除去、予防または低減される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、対照配合物と比較した、本明細書に提示されるいくつかの態様によるスプレー消臭配合物の平均知覚強度を示す。
図2図2は、示された時点での、対照配合物と比較した、皮膚に施与した後の、本明細書に提示されるいくつかの態様によるスプレー消臭配合物の平均知覚強度を示す。
図3図3は、示された時点での、対照配合物と比較した、皮膚に施与した後の、本明細書に提示されるいくつかの態様によるスプレー消臭配合物の平均知覚強度を示す。
図4図4は、示された時点での、対照配合物と比較した、皮膚に施与した後の、本明細書に提示されるいくつかの態様によるスプレー消臭配合物の平均知覚強度を示す。
図5図5は、示された時点での、対照配合物と比較した、皮膚に施与した後の、本明細書に提示されるいくつかの態様によるスプレー消臭配合物の平均知覚強度を示す。
図6図6は、示された時点での、対照配合物と比較した、皮膚に施与した後の、本明細書に提示されるいくつかの態様によるスプレー消臭配合物の平均知覚強度を示す。
図7図7は、示された時点での、対照配合物と比較した、皮膚に施与した後の、本明細書に提示されるいくつかの態様によるスプレー消臭配合物の平均知覚強度を示す。
図8図8は、示された時点での、対照配合物と比較した、皮膚に施与した後の、本明細書に提示されるいくつかの態様によるスプレー消臭配合物の平均知覚強度を示す。
図9図9は、対照配合物と比較した、皮膚に施与した後の、本明細書に提示されるいくつかの態様によるスプレー消臭配合物の強制的な選択の質問の結果を示す。
【0024】
詳細な説明
以下の説明において、実施可能な特定の実施形態を参照するが、これは例示として示されるものである。これらの実施形態は、当業者が本明細書に記載の発明を実施できるように詳細に説明されており、他の実施形態を利用してもよく、また本明細書に提示される態様の範囲から逸脱することなく形式的な変更を加えてよいものと理解されるべきである。したがって、例示的な実施形態の以下の説明は、限定的な意味で解釈されるべきではなく、本明細書に提示される様々な態様の範囲は、添付の特許請求の範囲によって定められる。
【0025】
要約書は、米国特許法施行規則第1.72条第(b)項に準拠し、読者が技術的開示の本質および要旨を速やかに確認できるように提供されるものである。要約書は、請求項の範囲または意味を解釈または限定するために使用されるのではないという理解のもとに提出される。
【0026】
本明細書に提示されるいくつかの態様は、
a.担体と、
b.以下iおよびii:
i.式
【化3】
[式中、
波線は、前記Pと硫黄原子との結合の位置を示し、
Pは、式(P-1)~(P-9)
【化4】
〔式中、波線は、上記で示した意味を有し、点線は、単結合または二重結合を表し、Rは、水素原子またはメチル基を表し;R10は、水素原子、ヒドロキシ基、メトキシ基またはC~Cの直鎖もしくは分岐鎖アルキル基を表す〕の基を、それらの異性体のいずれか1つの形態で表したものであり、
Rは、8~15個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖アルキル基であって、硫黄原子に直接結合していないカルボキシル官能基を含んでもよい基を表す]の少なくとも1つのβ-チオカルボニル誘導体プロフレグランスおよび
ii.遊離香料
を含む付香組成物と
を含む組成物において、
前記式(I)の少なくとも1つのβ-チオカルボニル誘導体プロフレグランスは、該組成物の全重量に対して0.001~10重量%の量で存在し、かつ
前記遊離香料は、該組成物の全重量に対して0.0001~6重量%の量で存在する組成物を提供する。
【0027】
いくつかの態様において、式(I)のβ-チオカルボニル誘導体プロフレグランスは、Pが上記で定義した式(P-1)、(P-2)、(P-5)または(P-6)の基である誘導体である。いくつかの態様において、Pは、式(P-1)または(P-2)の基であってよく、前記式中、Rは、水素原子を表す。
【0028】
いくつかの態様において、Rは、8~15個の炭素原子を有する直鎖アルキル基であって、硫黄原子に直接結合していないカルボキシル官能基を含んでもよい基を表す。いくつかの態様において、Rは、10~14個の炭素原子を有する直鎖アルキル基であってよい。いくつかの態様において、Rは、n-ドデシル基である。いくつかの態様において、Rは、2~4個の炭素原子を有する直鎖アルキル基であってよい。
【0029】
式(I)のβ-チオカルボニルプロフレグランス誘導体の非限定的な例としては、以下のものが挙げられる:3-(ドデシルチオ)-1-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-3-エン-1-イル)ブタン-1-オン(δ-ダマスコンに由来、Haloscent(登録商標)D(商標および供給元:Firmenich SA)としても知られており、本明細書でもそのように称される)または3-(ドデシルチオ)-1-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)ブタン-1-オン(α-ダマスコンに由来)または4-(ドデシルチオ)-4-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)ブタン-2-オン(イオノンに由来、Haloscent(登録商標)I(商標および供給元:Firmenich SA)としても知られており、本明細書でもそのように称される)、それらの混合物。
【0030】
本開示での使用に適した式(I)のβ-チオカルボニルプロフレグランス誘導体のもう1つの例としては、国際特許出願公開第2013/139766号(WO 2013/139766)に開示されたβ-チオカルボニルプロフレグランス誘導体が挙げられる。
【0031】
本開示での使用に適した式(I)のβ-チオカルボニルプロフレグランス誘導体のもう1つの例としては、国際特許出願公開第2013/032885号(WO 2013/032885)に開示されたβ-チオカルボニルプロフレグランス誘導体が挙げられる。
【0032】
特定の理論への限定を意図するものではないが、例2を参照すると、式(I)の少なくとも1つのβ-チオカルボニル誘導体プロフレグランスを添加することによって、制汗および/または消臭製品の性能を向上させることができる。
【0033】
制汗および/または消臭製品の性能の向上は、例えば、体臭の除去、フレッシュ感の向上、皮膚刺激の低減、香料のフレグランスの知覚強度の増大、香料のフレグランスの知覚期間の延長またはそれらのいずれかの組合せであってよい。
【0034】
特定の理論への限定を意図するものではないが、体臭の除去は、発汗の予防、低減または抑制によるものであってよい。あるいは体臭の除去は、体臭の発生に関与する細菌の増殖の抑制によるものであってよい。
【0035】
いくつかの態様において、式(I)の少なくとも1つのβ-チオカルボニル誘導体プロフレグランスは、該組成物の全重量に対して0.001~10重量%の量で存在する。
【0036】
いくつかの態様において、式(I)の少なくとも1つのβ-チオカルボニル誘導体プロフレグランスは、該組成物の全重量に対して0.001重量%、または0.0015重量%、または0.002重量%、または0.0025重量%、または0.003重量%、または0.0035重量%、または0.004重量%、または0.0045重量%、または0.005重量%、または0.0055重量%、または0.006重量%、または0.0065重量%、または0.007重量%、または0.0075重量%、または0.008重量%、または0.0085重量%、または0.009重量%、または0.0095重量%、または0.01重量%、または0.015重量%、または0.02重量%、または0.025重量%、または0.03重量%、または0.035重量%、または0.04重量%、または0.045重量%、または0.05重量%、または0.055重量%、または0.06重量%、または0.065重量%、または0.07重量%、または0.075重量%、または0.08重量%、または0.085重量%、または0.09重量%、または0.095重量%、または0.1重量%、または0.15重量%、または0.2重量%、または0.25重量%、または0.3重量%、または0.35重量%、または0.4重量%、または0.45重量%、または0.5重量%、または0.55重量%、または0.6重量%、または0.65重量%、または0.7重量%、または0.75重量%、または0.8重量%、または0.95重量%、または1.0重量%、または1.5重量%、または2.0重量%、または2.5重量%、または3.0重量%、または3.5重量%、または4.0重量%、または4.5重量%、または5.0重量%、または5.5重量%、または6.0重量%、または6.5重量%、または7.0重量%、または7.5重量%、または8.0重量%、または8.5重量%、または9.0重量%、または10重量%存在する。
【0037】
いくつかの態様において、式(I)の少なくとも1つのβ-チオカルボニル誘導体プロフレグランスは、組成物の全重量に対して0.001~7重量%の量で存在する。
【0038】
いくつかの態様において、式(I)の少なくとも1つのβ-チオカルボニル誘導体プロフレグランスは、該組成物の全重量に対して0.001~5重量%の量で存在する。
【0039】
いくつかの態様において、式(I)の少なくとも1つのβ-チオカルボニル誘導体プロフレグランスは、該組成物の全重量に対して0.001~0.1重量%の量で存在する。
【0040】
いくつかの態様において、式(I)の少なくとも1つのβ-チオカルボニル誘導体プロフレグランスは、該組成物の全重量に対して0.001~0.02重量%の量で存在する。
【0041】
遊離香料:本明細書において使用する場合に、「香料」または「遊離香料」または「カプセル化された香料」なる用語は、付香調製物または組成物において快楽的効果を付与するために使用される付香成分の化合物または混合物を指す。すなわち、付香性であると考えられるべきこのような付香成分は、単に匂いを有しているものとしてではなく、組成物の匂いをポジティブにまたは心地よいように付与または変更できるものとして、当業者には認識されるはずである。
【0042】
本明細書で使用する場合に、「付香成分」なる用語は、匂いの付与または調整を主な目的として使用される化合物を意味する。すなわち、付香性であると考えられるべきこのような成分は、単に匂いを有しているものとしてではなく、少なくとも組成物の匂いをポジティブにまたは心地よいように付与または変更できるものとして、当業者には認識されるはずである。本開示において、香料のアコードには、付香成分と、該付香成分の送達を一緒に改善、増強または変更する例えば香料前駆体、エマルションまたは分散液といった物質との組合せ、ならびに匂いを変更または付与するという有益性以外の、例えば長期持続性、ブルーミング、悪臭中和作用、抗微生物作用、微生物安定性、昆虫防除性といったさらなる有益性を付与する組合せも含まれる。
【0043】
付香成分の性質および種類については、本明細書ではより詳細な説明は保証されないが、いずれにせよすべてのものを余すことなく詳細に記載できるものではなく、当業者であれば、自身の一般知識に基づき、また用途および所望の感覚受容作用に応じて、それらを選択することができるであろう。一般的に言えば、これらの付香成分は、アルコール類、アルデヒド類、ケトン類、エステル類、エーテル類、アセタート類、ニトリル類、テルペノイド類、含窒素または含硫黄複素環式化合物および精油といった様々な化学種に属し、また該付香補助成分は、天然由来のものであっても合成由来のものであってもよい。こうした補助成分の多くは、いずれにせよ、S.Arctanderによる著作Perfume and Flavor Chemicals, 1969, Montclair, New Jersey, USAもしくはその最新版のような参考文献、または類似の性質の他の論文、および香料分野の多数の特許文献に列記されている。またこうした成分は、様々な種類の付香化合物を制御された様式で放出することが知られている化合物であってもよいことも理解される。
【0044】
付香成分を、香料産業で現在使用されている溶媒に溶解させてもよい。いくつかの実施形態において、溶媒は、アルコールではない。このような溶媒の例は、フタル酸ジエチル、ミリスチン酸イソプロピル、Abalyn(登録商標)(ロジン樹脂、Eastmanより入手可能)、安息香酸ベンジル、クエン酸エチル、リモネン類もしくは他のテルペン類またはイソパラフィン類である。いくつかの態様において、溶媒は、例えばAbalyn(登録商標)や安息香酸ベンジルのように、非常に疎水性が高くかつ高立体障害性である。
【0045】
上記態様のいずれか1つによれば、遊離香料は、組成物の全重量に対して0.0001~10重量%の量で存在する。いくつかの態様において、遊離香料は、組成物の全重量に対して0.0001~9重量%の量で存在する。いくつかの態様において、遊離香料は、組成物の全重量に対して0.0001~8重量%の量で存在する。いくつかの態様において、遊離香料は、組成物の全重量に対して0.0001~7重量%の量で存在する。いくつかの態様において、遊離香料は、組成物の全重量に対して0.0001~6重量%の量で存在する。いくつかの態様において、遊離香料は、組成物の全重量に対して0.0001~5重量%の量で存在する。いくつかの態様において、遊離香料は、組成物の全重量に対して0.0001~4重量%の量で存在する。いくつかの態様において、遊離香料は、組成物の全重量に対して0.0001~3重量%の量で存在する。いくつかの態様において、遊離香料は、組成物の全重量に対して0.0001~2重量%の量で存在する。いくつかの態様において、遊離香料は、組成物の全重量に対して0.0001~1重量%の量で存在する。
【0046】
いくつかの態様において、遊離香料は、組成物の全重量に対して0.0001~0.4重量%の量で存在する。
【0047】
いくつかの態様において、遊離香料は、組成物の全重量に対して0.0001重量%、または0.00015重量%、または0.0002重量%、または0.00025重量%、または0.0003重量%、または0.00035重量%、または0.0004重量%、または0.00045重量%、または0.0005重量%、または0.00055重量%、または0.0006重量%、または0.00065重量%、または0.0007重量%、または0.00075重量%、または0.0008重量%、または0.00085重量%、または0.0009重量%、または0.00095重量%、または0.001重量%、または0.0015重量%、または0.002重量%、または0.0025重量%、または0.003重量%、または0.0035重量%、または0.004重量%、または0.0045重量%、または0.005重量%、または0.0055重量%、または0.006重量%、または0.0065重量%、または0.007重量%、または0.0075重量%、または0.008重量%、または0.0085重量%、または0.009重量%、または0.0095重量%、または0.01重量%、または0.015重量%、または0.02重量%、または0.025重量%、または0.03重量%、または0.035重量%、または0.04重量%、または0.045重量%、または0.05重量%、または0.055重量%、または0.06重量%、または0.065重量%、または0.07重量%、または0.075重量%、または0.08重量%、または0.085重量%、または0.09重量%、または0.095重量%、または0.1重量%、または0.15重量%、または0.2重量%、または0.25重量%、または0.3重量%、または0.35重量%、または0.4重量%、または0.45重量%、または0.5重量%、または0.55重量%、または0.6重量%、または0.65重量%、または0.7重量%、または0.75重量%、または0.8重量%、または0.95重量%、または1.0重量%、または1.1重量%、または1.15重量%、または1.2重量%、または1.25重量%、または1.3重量%、または1.35重量%、または1.4重量%、または1.45重量%、または1.5重量%、または1.55重量%、または1.6重量%、または1.65重量%、または1.7重量%、または1.75重量%、または1.8重量%、または1.95重量%、または2.0重量%、または2.1重量%、または2.15重量%、または2.2重量%、または2.25重量%、または2.3重量%、または2.35重量%、または2.4重量%、または2.45重量%、または2.5重量%、または2.55重量%、または2.6重量%、または2.65重量%、または2.7重量%、または2.75重量%、または2.8重量%、または2.95重量%、または3.0重量%、または3.1重量%、または3.15重量%、または3.2重量%、または3.25重量%、または3.3重量%、または3.35重量%、または3.4重量%、または3.45重量%、または3.5重量%、または3.55重量%、または3.6重量%、または3.65重量%、または3.7重量%、または3.75重量%、または3.8重量%、または3.95重量%、または4.0重量%、または4.1重量%、または4.15重量%、または4.2重量%、または4.25重量%、または4.3重量%、または4.35重量%、または4.4重量%、または4.45重量%、または4.5重量%、または4.55重量%、または4.6重量%、または4.65重量%、または4.7重量%、または4.75重量%、または4.8重量%、または4.95重量%、または5.0重量%、または5.1重量%、または5.15重量%、または5.2重量%、または5.25重量%、または5.3重量%、または5.35重量%、または5.4重量%、または5.45重量%、または5.5重量%、または5.55重量%、または5.6重量%、または5.65重量%、または5.7重量%、または5.75重量%、または5.8重量%、または5.95重量%、または6.0重量%存在する。
【0048】
いくつかの態様において、遊離香料は、ゲラニオール、シトロネロール、ジヒドロミルセノール、ヒドロキシシトロネラール、3-メチル-5-シクロペンタデセン-1-オン、シクロペンタデカノン、(1S,1’R)-[1-(3’,3’-ジメチル-1’-シクロヘキシル)エトキシカルボニル]メチルプロパノアート、ペンタデセノリド、7-メチル-2H,4H-1,5-ベンゾジオキセピン-3-オン、インドール、イソラルダイン(isoraldeine)、1-(5,5-ジメチルシクロヘキサ-1-エン-1-イル)ペンタ-4-エン-1-オン、サリチル酸アミル、ジヒドロジャスモン酸メチル、サリチル酸シクロヘキシルおよびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0049】
いくつかの態様において、遊離香料は、ゲラニオール、シトロネロール、ジヒドロミルセノール、ヒドロキシシトロネラール、3-メチル-5-シクロペンタデセン-1-オン、シクロペンタデカノン、(1S,1’R)-[1-(3’,3’-ジメチル-1’-シクロヘキシル)エトキシカルボニル]メチルプロパノアート、ペンタデセノリド、7-メチル-2H,4H-1,5-ベンゾジオキセピン-3-オン、インドール、イソラルダイン(isoraldeine)、1-(5,5-ジメチルシクロヘキサ-1-エン-1-イル)ペンタ-4-エン-1-オン、サリチル酸アミル、ジヒドロジャスモン酸メチルおよびサリチル酸シクロヘキシルからなる群から選択される付香成分を、組成物の全重量に対して0.0001重量%~0.4重量%に含まれる量で含む。
【0050】
いくつかの態様において、遊離香料は、イソEスーパー(Iso E Super)(1-(オクタヒドロ-2,3,8,8-テトラメチル-2-ナフタレニル)-1-エタノン;供給元:International Flavors & Fragrances)、ジプロピレングリコール、2,4-ジメチル-3-シクロヘキセン-1-カルバルデヒド、Cetalox(登録商標)(ドデカヒドロ-3a,6,6,9a-テトラメチルナフト[2,1-b]フラン;商標および供給元:Firmenich SA)、リナロール、クマリン、(Z)-3-ヘキセン-1-オール、アミルアリルグリコラート、Verdox(登録商標)(2-t-ブチル-1-シクロヘキシルアセタート;商標および供給元:International Flavors & Fragrances)、酢酸スチラリル、Lilial(登録商標)(3-(4-t-ブチルフェニル)-2-メチルプロパナール;商標および供給元:Givaudan SA)、1,4-ジオキサ-5,17-シクロヘプタデカンジオン、クリスタルモス(cristalmoss)、γ-ウンデカラクトン、(Z)-ヘキサ-3-エン-1-イルアセタート、Florol(登録商標)neo(テトラヒドロ-2-イソブチル-4-メチル-4(2H)-ピラノール;商標および供給元:Firmenich SA)、α-ダマスコン、酢酸ベンジル、エチルバニリン、2-メチル吉草酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、C10アルデヒド、ローズオキシド、ヘキシルシンナムアルデヒド、サリチル酸ヘキシル、Dartanol(登録商標)((1’R,E)-2-エチル-4-(2’,2’,3’-トリメチル-3’-シクロペンテン-1’-イル)-2-ブテン-1-オール;商標および供給元:Firmenich SA)からなる群から選択される少なくとも1つの付香成分を含む。
【0051】
制汗または消臭製品:
本明細書に提示される組成物は、いずれの制汗または消臭製品に組み込むこともできる。例示的な製品としては、ワックスベースのスティック、石鹸ベースのスティック、圧縮粉末スティック、ロールオン懸濁液または溶液、エマルション、ゲル、クリーム、スクイーズスプレー、ポンプスプレー、エアゾールなどが挙げられる。各製品形態には、その独自の追加成分の選択物が含まれていてよく、該成分の一部は必須であり、一部は任意である。上記の各製品形態に典型的な種類の成分を、本明細書に提示される相応する組成物に組み込むことができる。
【0052】
本明細書で使用する場合に、「制汗または消臭製品」なる用語は、当技術分野における通常の意味、すなわち、皮膚に施与され、かつ体臭を低減または防止し得る組成物を指す。
【0053】
製品の種類に応じて、消臭または制汗製品は、所望の形態が得られるようにするための補助成分を含むことができる。適切な成分の非限定的な例としては、皮膚軟化剤、可溶化剤、消臭活性剤、酸化防止剤、防腐剤、担体、臭気捕捉剤、噴射剤、一次構造剤(primary structurant)、制汗活性剤、追加のシャシー成分、揮発性シリコーン溶媒、ゲル化剤、緩衝剤および残滓マスキング材料が挙げられる。当業者は、自身の一般的な知識に基づき、そして消臭または制汗組成物の目的の形態に応じて、それらを選択することができる。
【0054】
例えば、例示として、ロールオンタイプの消臭または制汗製品は、水、皮膚軟化剤、可溶化剤、消臭もしくは制汗活性剤、酸化防止剤、防腐剤またはそれらの組合せを含むことができ;透明ゲル製品または制汗製品は、水、皮膚軟化剤、可溶化剤、消臭もしくは制汗活性剤、酸化防止剤、防腐剤、エタノールまたはそれらの組合せを含むことができ;ボディスプレーは、担体、消臭もしくは制汗活性剤、臭気捕捉剤、噴射剤またはそれらの組合せを含むことができ;色がつかない(invisible)固形の消臭または制汗製品は、一次構造剤、消臭または制汗活性剤および追加のシャシー成分を含むことができ;軟固形の消臭または制汗製品は、揮発性シリコーン、消臭もしくは制汗活性剤、ゲル化剤、残滓マスキング材料またはそれらの組合せを含むことができ;エアゾールタイプの消臭または制汗製品は、担体、噴射剤またはそれらの組合せを含むことができる。
【0055】
消臭または制汗製品に適した皮膚軟化剤としては、これらに限定されるものではないが例えば、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール(例えばジプロピレングリコール、トリプロピレングリコールなど)、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ネオペンチルグリコールジヘプタノアート、PEG-4、PEG-8、1,2-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、ヘキシレングリコール、グリセリン、C~C20の1価アルコール、C~C40の2価または多価アルコール、多価および1価アルコールのアルキルエーテル、ジカプリリルカーボナート、ジカプリリルエーテル、ジエチルヘキシルシクロヘキサン、ジブチルアジパート、揮発性シリコーン皮膚軟化剤、例えばシクロペンタシロキサン、不揮発性シリコーン皮膚軟化剤、例えばジメチコン、鉱油、ポリデセン類、ワセリンならびにそれらの組合せが挙げられる。適切な皮膚軟化剤の一例には、PPG-15ステアリルエーテルが含まれる。適切な皮膚軟化剤の他の例としては、ジプロピレングリコールおよびプロピレングリコールが挙げられる。
【0056】
適切な消臭活性剤としては、例えば汗および/または発汗に伴う悪臭などの悪臭の予防または除去において知られているかあるいは有効なあらゆる該当材料を挙げることができる。適切な消臭活性剤は、抗菌剤(例えば殺菌剤、殺真菌剤)、悪臭吸収材料およびそれらの組合せからなる群から選択することができる。
【0057】
抗菌剤には、セチルトリメチルアンモニウムブロミド、セチルピリジニウムクロリド、塩化ベンゼトニウム、ジイソブチルフェノキシエトキシエチルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、N-ラウリルサルコシンナトリウム、N-パルメチルサルコシンナトリウム、ラウロイルサルコシン、N-ミリストイルグリシン、N-ラウリルサルコシンカリウム、トリメチルアンモニウムクロリド、ナトリウムアルミニウムクロロヒドロキシラクタート、トリエチルシトラート、トリセチルメチルアンモニウムクロリド、2,4,4’-トリクロロ-2’-ヒドロキシジフェニルエーテル(トリクロサン)、3,4,4’-トリクロロカルバニリド(トリクロカルバン)、ジアミノアルキルアミド、例えばL-リシンヘキサデシルアミド、クエン酸、サリチル酸およびピロクトースの重金属塩、特に亜鉛塩およびそれらの酸、ピリチオンの重金属塩、特に亜鉛ピリチオン、フェノール硫酸亜鉛、ファルネソール、ならびにそれらの組合せが含まれ得る。
【0058】
本明細書における使用に適した臭気捕捉剤としては例えば、可溶化された、水溶性の、非錯化シクロデキストリンが挙げられる。本明細書で使用する場合に、「シクロデキストリン」なる用語には、公知のシクロデキストリンのいずれも包含され、例えばα-シクロデキストリン、β-シクロデキストリン、γ-シクロデキストリンおよび/もしくはそれらの誘導体ならびに/またはそれらの混合物といったグルコース単位を6~12個含む非置換のシクロデキストリンなどが包含される。
【0059】
適切な可溶化剤は、例えば無発泡性または低発泡性の界面活性剤などの界面活性剤であってよい。適切な界面活性剤は、非イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、双性イオン性界面活性剤およびそれらの混合物である。適切な可溶化剤としては、例えばセテアリルアルコールのポリエチレングリコールエーテル、水添ヒマシ油、例えばポリオキシエチレン水添ヒマシ油、ポリオキシエチレン2ステアリルエーテル、ポリオキシエチレン20ステアリルエーテルおよびそれらの組合せが挙げられる。
【0060】
適切な防腐剤としては、有機硫黄化合物、ハロゲン化化合物、環状有機窒素化合物、低分子量アルデヒド類、パラベン類、プロパンジオール材料、イソチアゾリノン類、四級化合物、ベンゾアート類、低分子量アルコール類、デヒドロ酢酸、フェニルおよびフェノキシ化合物またはそれらの混合物が挙げられる。
【0061】
市販の防腐剤の非限定的な例としては、例えば5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン約77%と2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン約23%との混合物、Rohm and Haas Co.よりKathan(登録商標)CGの商品名で1.5%水溶液として入手可能な広範な防腐剤;5-ブロモ-5-ニトロ-1,3-ジオキサン(HenkelよりBronidox L(登録商標)の商品名で入手可能);2-ブロモ-2-ニトロプロパン-1,3-ジオール(InolexよりBronopol(登録商標)の商品名で入手可能);1,1’-ヘキサメチレンビス(5-(p-クロロフェニル)ビグアニド)(一般にクロロヘキシジンとして知られている)および例えば酢酸およびジグルコン酸とのその塩;1,3-ビス(ヒドロキシメチル)-5,5-ジメチル-2,4-イミダゾリジンジオンと3-ブチル-2-ヨードプロピニルカルバマートとの95:5の混合物(LonzaよりGlydant Plus(登録商標)の商品名で入手可能);N-[1,3-ビス(ヒドロキシメチル)2,5-ジオキソ-4-イミダゾリジニル]-N,N’-ビス(ヒドロキシメチル)尿素(一般にジアゾリジニル尿素として知られており、Sutton Laboratories, Inc.よりGermall(登録商標)IIの商品名で入手可能);N,N”-メチレンビス{N’-[l-(ヒドロキシメチル)-2,5-ジオキソ-4-イミダゾリジニル]尿素}(一般にイミダゾリジニル尿素として知られており、例えば3V-SigmaよりAbiol(登録商標)の商品名で、InduchemよりUnicide U-13(登録商標)の商品名で、Sutton Laboratories, Inc.よりGerman 115(登録商標)の商品名で入手可能);ポリメトキシ二環式オキサゾリジン(Hills AmericaよりNuosept(登録商標)Cの商品名で入手可能);ホルムアルデヒド;グルタルアルデヒド;ポリアミノプロピルビグアニド(ICI Americas, Inc.よりCosmocil CQ(登録商標)の商品名で、またはBrooks, Inc.よりMikrokill(登録商標)の商品名で入手可能);デヒドロ酢酸;およびベンゾイソチアゾリノン(Rohm and Hass CorporationよりKoralone(登録商標)B-119の商品名で入手可能)が挙げられる。
【0062】
防腐剤の好適な濃度は、組成物の約0.0001~約0.5重量%、あるいは約0.0002~約0.2重量%、あるいは約0.0003~約0.1重量%の範囲であることができる。
【0063】
適切な担体としては、例えば水、アルコールまたはそれらの組合せが挙げられる。有用なアルコールとしては、例えばC~Cアルコールが挙げられる。いくつかの態様において、アルコールはエタノールである。
【0064】
噴射剤のいくつかの例としては、例えば圧縮空気、窒素、不活性ガス、二酸化炭素およびそれらの混合物が挙げられる。噴射剤として、例えばガス状炭化水素も挙げられ、例えばプロパン、n-ブタン、イソブテン、シクロプロパンおよびそれらの混合物;例えば、A-46(イソブタン、ブタンおよびプロパンの混合物)、A-31(イソブタン)、A-17(n-ブタン)、A-108(プロパン)、AP70(プロパン、イソブタンおよびn-ブタンの混合物)、AP40(プロパン、イソブテンおよびn-ブタンの混合物)、AP30(プロパン、イソブタンおよびn-ブタンの混合物)も挙げられる。噴射剤のいくつかの非限定的な例としては、例えば1,1-ジフルオロエタン、1,1,1,2,2-ペンタフルオロエタン、1,1,1,2-テトラフルオロエタン、1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパン、trans-1,3,3,3-テトラフルオロプロパ-1-エン、ジメチルエーテル、ジクロロジフルオロメタン(噴射剤12)、1,1-ジクロロ-1,1,2,2-テトラフルオロエタン(噴射剤114)、1-クロロ-1,1-ジフルオロ-2,2-トリフルオロエタン(噴射剤115)、1-クロロ-1,1-ジフルオロエチレン(噴射剤142B)、1,1-ジフルオロエタン(噴射剤152A)、モノクロロジフルオロメタンおよびそれらの混合物が挙げられる。
【0065】
本明細書で使用する場合の「一次構造剤」なる用語は、組成物に懸濁性、ゲル化性、粘性、凝固性および/もしくは増粘性を付与することが知られているかもしくはこうした付与に有効であるか、または最終製品形態に構造を付与する、いずれの材料をも意味する。これらの一次構造剤としては、例えばゲル化剤、およびポリマー性もしくは非ポリマー性または無機の増粘剤または粘度増加剤が挙げられる。そのような材料は、典型的には周囲条件下で固体であり、有機固体、結晶性もしくは他のゲル化剤、無機粒子、例えばクレーもしくはシリカまたはそれらの組合せが挙げられる。適切な一次構造剤の非限定的な例としては、例えばステアリルアルコールおよび他の脂肪アルコール;水添キャスターワックス(例えばCastorwax MP80、Castor Waxなど);炭化水素ロウ、例えばパラフィンロウ、ミツロウ、カルナウバ、キャンデリラ、鯨ロウ、オゾケライト、セレシン、ベイズベリー、合成ワックス、例えばフィッシャートロプシュワックスおよび微晶質ワックス;200~1000ダルトンの分子量を有するポリエチレン;固体トリグリセリド類;ベヘニルアルコールまたはそれらの組合せが挙げられる。
【0066】
制汗活性剤としては例えば、収斂性金属塩、特にアルミニウム、ジルコニウムおよび亜鉛の無機および有機塩ならびにそれらの混合物を挙げることができる。さらにより具体的には、制汗活性剤は、塩化アルミニウム、クロルヒドロキシアルミニウム、アルミニウムクロロハイドレックス、アルミニウムクロロハイドレックスPG、アルミニウムクロロハイドレックスPEG、ジクロルヒドロキシアルミニウム、アルミニウムジクロロハイドレックスPG、アルミニウムジクロロハイドレックスPEG、セスキクロルヒドロキシアルミニウム、アルミニウムセスキクロロハイドレックスPG、アルミニウムセスキクロロハイドレックスPEG、硫酸アルミニウム、アルミニウムジルコニウムオクタクロロハイドレート、アルミニウムジルコニウムオクタクロロハイドレックスGLY、アルミニウムジルコニウムペンタクロロハイドレート、アルミニウムジルコニウムペンタクロロハイドレックスGLY、アルミニウムジルコニウムテトラクロロハイドレート、アルミニウムジルコニウムトリクロロハイドレート、アルミニウムジルコニウムテトラクロロハイドレートGLYおよびアルミニウムジルコニウムトリクロロハイドレートGLYからなる群から選択されてよい。
【0067】
シャシーの成分が付加的な構造剤である場合もあり、これは、例えばステアリルアルコールおよび他の脂肪アルコール;水添キャスターワックス(例えば、Castorwax MP80、Castor Waxなど);炭化水素系ロウ、例えばパラフィンロウ、ミツロウ、カルナウバ、キャンデリラ、鯨ロウ、オゾケライト、セレシン、ベイズベリー、合成ワックス、例えばフィッシャートロプシュワックスおよび微晶質ワックス;200~1000ダルトンの分子量を有するポリエチレン;および固体トリグリセリド類;ベヘニルアルコールまたはそれらの組合せ;不揮発性有機流体、例えば鉱油、PPG-14ブチルエーテル、ミリスチン酸イソプロピル、ワセリン、ステアリン酸ブチル、オクタン酸セチル、ミリスチン酸ブチル、ミリスチン酸ミリスチル、C12~15アルキルベンゾアート(例えば、Finsolv(登録商標))、オクチルドデカノール、イソステアリルイソステアラート、オクトドデシルベンゾアート、イソステアリルラクタート、イソステアリルパルミタートまたはイソブチルステアラート;クレー鉱物粉末、例えばタルク、マイカ、セリサイト、シリカ、ケイ酸マグネシウム、合成フルオロフロゴパイト、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ベントナイトおよびモンモリロナイト;パール顔料、例えばアルミナ、硫酸バリウム、二次リン酸カルシウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、微粉末状の酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、ヒドロキシアパタイト、酸化鉄、チタン酸鉄、ウルトラマリンブルー、プルシアンブルー、酸化クロム、水酸化クロム、酸化コバルト、チタン酸コバルト、酸化チタン被覆マイカ;有機粉末、例えばポリエステル、ポリエチレン、ポリスチレン、メチルメタクリラート樹脂、セルロース、12-ナイロン、6-ナイロン、スチレン-アクリル酸共重合体、ポリプロピレン、塩化ビニル重合体、テトラフルオロエチレン重合体、窒化ホウ素、魚鱗グアニン、レーキタール色素、レーキ天然色素;ならびにそれらの組合せであってよい。
【0068】
制汗組成物における使用に適した揮発性シリコーン溶媒としては、これらに限定されるものではないが例えば、シクロメチコン(Cyclomethicone)D-5;GE 7207およびGE 7158(General Electric Co.より市販);Dow Corning 344;Dow Corning 345;Dow Corning 200;およびDC1184(Dow Corning Corp.より市販);およびSWS-03314(SWS Siliconesより市販)といった溶媒が挙げられる。
【0069】
ゲル化剤材料は、約20~約60個の炭素原子を有する、もしくは約20~約40個の炭素原子を有する、飽和もしくは不飽和、置換もしくは非置換の脂肪アルコールまたはそれらの混合物を含むことができる。いくつかの実施形態において、ゲル化剤材料は、脂肪アルコールの組合せを含む。いくつかの実施形態において、脂肪アルコールゲル化剤は、約110℃未満、または約60℃~約110℃、または約100℃~110℃の融点を有する、飽和非置換1価アルコールまたはそれらの組合せであってよい。
【0070】
市販の制汗製品において使用するための脂肪アルコールゲル化剤の具体例としては、これらに限定されるものではないが例えば、Unilin(登録商標)425、Unilin(登録商標)350、Unilin(登録商標)550およびUnilin(登録商標)700(Petroliteより供給)が挙げられる。
【0071】
適切な緩衝剤は、アルカリ性であっても酸性であっても中性であってもよい。所望のpHを維持するために組成物または製品において緩衝剤を使用することができる。適切な緩衝剤としては例えば、塩酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムおよびそれらの組合せが挙げられる。
【0072】
制汗製品における使用に適した残滓マスキング材料の非限定的な例としては、ステアリン酸ブチル、アジピン酸ジイソプロピル、ワセリン、不揮発性シリコーン、オクチルドデカノール、フェニルトリメチコン、ミリスチン酸イソプロピル、C12~15エタノールベンゾアートおよびPPG-14ブチルエーテルが挙げられる。
【0073】
本明細書に開示される消臭または制汗製品は、例えば乳化剤、分散剤、抗菌剤、医薬または他の該当活性剤、界面活性剤などの他の任意成分を含んでもよい。
【0074】
成分の性質、量および種類については、本明細書ではより詳細な説明は保証されないが、いずれにせよすべてのものを余すことなく詳細に記載できるものではなく、当業者であれば、自身の一般知識に基づき、また用途に応じて、それらを選択することができる。
【0075】
いくつかの態様において、組成物は、該組成物の全重量に対して水を95重量%未満含む。いくつかの態様において、組成物は、該組成物の全重量に対して水を90重量%未満含む。いくつかの態様において、組成物は、該組成物の全重量に対して水を85重量%未満含む。いくつかの態様において、組成物は、該組成物の全重量に対して水を80重量%未満含む。いくつかの態様において、組成物は、該組成物の全重量に対して水を75重量%未満含む。いくつかの態様において、組成物は、該組成物の全重量に対して水を70重量%未満含む。いくつかの態様において、組成物は、該組成物の全重量に対して水を65重量%未満含む。いくつかの態様において、組成物は、該組成物の全重量に対して水を60重量%未満含む。いくつかの態様において、組成物は、該組成物の全重量に対して水を55重量%未満含む。いくつかの態様において、消臭または制汗組成物は、該組成物の全重量に対して水を50重量%未満または40重量%未満または30重量%未満または20重量%未満または10重量%未満含む。いくつかの態様において、組成物は、水を含まない。
【0076】
本発明は以下の例により最も良好に説明されるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0077】

例1:本明細書に提示されるいくつかの態様による消臭配合物の呈色についての評価
制汗スプレー配合物の調製:高速撹拌機を用いて、シリカ(表1)およびクオタニウム-18-ヘクトライト(表1)を、ミリスチン酸イソプロピル(表1)およびシクロメチコンの混合物(表1)に加えた。完全に膨潤したら、この混合物が均質になり塊状物がなくなるまで、撹拌しながらクロルヒドロキシアルミニウム(表1)を少量ずつ加えた。エアゾール缶に、懸濁液25%およびプロパン/ブタン75%(2.5バール)を充填した。
【0078】
【表1】
【0079】
消臭スプレー配合物の調製:表2の一連の記載による成分をすべて混合し、溶解させた。次いで、エアゾール缶に充填し、クリンチし、噴射剤を加えた(エアゾール充填:活性溶液40%、2.5バールのプロパン/ブタン60%)。
【0080】
【表2】
【0081】
a)消臭ロールオン配合物の調製
タービンで急速に撹拌しながらヒドロキシエチルセルロース(表3)を水(表3)中に少量ずつ散布することによって、部分Aを製造した。ヒドロキシエチルセルロースが完全に膨潤して透明なゲルが得られるまで撹拌を続けた。次に、全体が均質になるまで撹拌を続けながら、部分Aに少量ずつ部分B(表3)を注いだ。部分Cを加えた(表3)。
【0082】
【表3】
【0083】
消臭スティック配合物の調製:部分Aの各成分をすべて秤量し(表4)、70~75℃に加熱した。部分Aのうちセテアレス-25(表4)以外の成分を混合して加熱してから、セテアレス-25(表4)を加えた。セテアレス-25が溶解したら、ステアリン酸を加えた。トリクロサン(表4)を1,2-プロピレングリコール(表4)に溶解させることによって、部分Bを製造した。蒸発した水を加えた。ゆっくりと混合しながら、部分Aに部分Bを注いだ。貯蔵のため、プラスチック製袋をバケットに入れ、冷却後に封止した。約70℃でモールドに充填した。
【0084】
【表4】
【0085】
制汗スティック配合物の調製:部分Aの各成分をすべて秤量し(表5)、70~75℃に加熱してよく混合した。部分Bの成分を部分Aに分散させた。この混合物を混合し、65℃でスティック状にした。
【0086】
【表5】
【0087】
付香成分における呈色についての評価:点a)~e)の消臭または制汗配合物セットを準備した。付香成分(0.5重量% - 表6、7および8)を第1のセットaに加え、付香成分(0.5重量% - 表6、7および8)およびHaloscent(登録商標)D(0.5重量%)を第2のセットに加えた。これらの配合物をすべて、3℃および45℃で数週間置いた。すべての配合物を、付香成分を含まない消臭または制汗配合物と比較して評価した。各配合物の呈色を、最低2名のパネリストにより評価した。
【0088】
【表6】
【0089】
【表7】
【0090】
【表8】
【0091】
例2:本明細書に提示されるいくつかの態様によるスプレー消臭配合物についての官能評価
式(I)のβ-チオカルボニル誘導体プロフレグランス(HALOSCENT(登録商標)-Dとして市販)を示された量で含有するフレグランス配合物1か、または式(I)のβ-チオカルボニル誘導体プロフレグランス(HALOSCENT(登録商標)-Iとして市販)を含有するフレグランス配合物1のいずれかを含む試験配合物を、消臭スプレーとして配合した。
【0092】
これらの試験配合物各1gを、2~3年経過した別々の木綿のTシャツに施与した。並行して、フレグランス配合物を単独で含む(すなわち、式(I)のβ-チオカルボニル誘導体プロフレグランスを含まない)対照配合物を、同様に別々のTシャツに施与した。
【0093】
最低18名の熟練パネリストに対し、バイアスのない無作為化盲検法で、各サンプルの間に20秒間あけてスライドのフレグランス強度を評価するよう依頼した。
【0094】
パネリストに、フレグランス強度を0(知覚せず)から10(非常に強い匂い)まで評価するよう依頼した。評価結果を、Duncanの事後解析による分散分析(α=0.05)を用いて分析した。評価結果を図1に示す。図1には、示された時点での各サンプルの平均を示す。エラーバーは、95%信頼水準を示す。***=99.9%以上の信頼度で有意な差である。**=99%以上の信頼度で有意な差である。*=95%以上の信頼度で有意な差である。NS=有意差なし。
【0095】
図1を参照すると、式(I)のβ-チオカルボニル誘導体プロフレグランス(HALOSCENT(登録商標)-Iとして市販)3%か、または式(I)のβ-チオカルボニル誘導体プロフレグランス(HALOSCENT(登録商標)-Dとして市販)1.2%のいずれかを含有するフレグランス配合物1の知覚強度の著しい増加が、施与直後に認められた。
【0096】
【表9-1】
【0097】
【表9-2】
【0098】
【表9-3】
【0099】
例3:本明細書に提示されるいくつかの態様によるスプレー消臭配合物についての官能評価
式(I)のβ-チオカルボニル誘導体プロフレグランス(HALOSCENT(登録商標)-Dとして市販)を1.5%含有するフレグランス配合物1を含む試験配合物を生成した。この試験配合物各1gを、2~3年経過した別々の木綿のTシャツに施与した。並行して、フレグランス配合物1を単独で含む対照配合物を、同様に別々のTシャツに施与した。
【0100】
最低18名の熟練パネリストに対し、バイアスのない無作為化盲検法で、各サンプルの間に20秒間あけて、配合物のフレグランス強度および悪臭の知覚強度を評価するよう依頼した。
【0101】
実験の15分前に、汗をかいた体臭の溶液0.20gをTシャツに施与した。パネリストに、(i)フレグランス強度について0(知覚せず)から10(非常に強い匂い)まで評価するよう依頼し、かつ(ii)悪臭の知覚強度について0(知覚せず)から10(非常に強い匂い)まで評価するよう依頼した。評価結果を、Duncanの事後解析による分散分析(α=0.05)を用いて分析し、ここで、
【化5】
とした。
【0102】
結果を、以下の表10に示す。
【0103】
【表10】
【0104】
表10を参照すると、HALOSCENT(登録商標)-Dを1.5%含有するフレグランス配合物1を含む試験配合物によって、対照配合物と比較して、施与の48時間後に、悪臭の知覚強度がより高いパーセンテージで低減されることが実証された。しかし、他の試験時点では、試験配合物は、対照配合物と同様であるかまたはそれよりわずかに劣るという性能を示した。
【0105】
例4:本明細書に提示されるいくつかの態様によるスプレー消臭配合物についての官能評価 - 皮膚上での性能
式(I)のβ-チオカルボニル誘導体プロフレグランスを含有する試験配合物を、以下の表11に従って生成した。並行して、対照配合物も生成した。
【0106】
【表11-1】
【0107】
【表11-2】
【0108】
パネリスト(最低20名)に対し、提供された無香料のシャワージェルで双方の腋窩を洗浄し、消臭配合物を、腋窩から約15cm程度離して腋窩に直接2秒間吹き付けるよう依頼した(一方の腋窩には試験物、もう一方の腋窩には対照物)。パネリストに対し、図に示す時点でTシャツを通してフレグランス強度を評価するよう依頼した。さらにパネリストに対し、フレッシュ感および汗のマスキングについて評価するよう依頼した。
【0109】
評価結果を、Duncanの事後解析による分散分析(α=0.05)を用いて分析した。エラーバーは、95%の信頼水準を示す。***=99.9%以上の信頼度で有意な差である。**=99%以上の信頼度で有意な差である。*=95%以上の信頼度で有意な差である。NS=有意差なし。
【0110】
図2~9を参照すると、式(I)のβ-チオカルボニル誘導体プロフレグランスを含有する消臭配合物は、対照消臭配合物と同等かまたはそれよりも良好な性能を示した。しかし、何名かのパネリストは、試験配合物の方がよりフレッシュ感が強く、そして汗の悪臭をより良好にマスクしたと報告した(例えば図9参照)。
【0111】
【表12-1】
【0112】
【表12-2】
【0113】
【表13-1】
【0114】
【表13-2】
【0115】
【表13-3】
【0116】
【表14-1】
【0117】
【表14-2】
【0118】
【表15-1】
【0119】
【表15-2】
【0120】
本明細書を通して引用された刊行物については、その全内容を、本明細書の一部を構成するものとして援用する。本発明の様々な態様について、例および好ましい実施形態を参照して上記で説明したが、本発明の範囲は上記の説明によってではなく、特許法の原理の下で適切に解釈される以下の特許請求の範囲によって定められることが理解されよう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9