(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-18
(45)【発行日】2024-12-26
(54)【発明の名称】衛生洗浄装置
(51)【国際特許分類】
E03D 9/08 20060101AFI20241219BHJP
【FI】
E03D9/08 F
(21)【出願番号】P 2020060978
(22)【出願日】2020-03-30
【審査請求日】2023-01-04
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】岸野 竜馬
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 佑司
【審査官】鈴木 智之
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-172976(JP,A)
【文献】特開2007-270490(JP,A)
【文献】特開2012-067543(JP,A)
【文献】特開2018-028193(JP,A)
【文献】特開2013-072241(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03D 9/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吐水口を有し、本体部に対して進退可能に設けられる1つ以上のノズルと、
前記ノズルの上方から洗浄水を前記ノズルに対して流れに直交する断面が線状となるように吐水する線状吐水部を有する洗浄ユニットと、
を備え、
前記線状吐水部は、
前記洗浄水を拡散かつ整流する湾曲面を有し、
前記湾曲面は、前記ノズルの後退方向に向けて傾斜し、
前記洗浄ユニットは、前記湾曲面に向けて開口する吐水孔を有し、
前記湾曲面は、前記吐水孔と空間を空けて配置され、
前記空間の下方の一部は略長方形状に開口し、
前記洗浄水を前記吐水孔から吐水して前記湾曲面に対して衝突させて前記略長方形状の開口から前記ノズルの後退方向に向けて前記洗浄水を吐水する、衛生洗浄装置。
【請求項2】
前記線状吐水部は、前記ノズルの幅方向の長さの少なくとも半分以上に対し、前記洗浄水を直接吐水する、請求項1に記載の衛生洗浄装置。
【請求項3】
前記線状吐水部は、単一の流路に設けられる単一の吐水孔から吐水される前記洗浄水を、前記ノズルに対して吐水する、請求項1
又は2に記載の衛生洗浄装置。
【請求項4】
前記洗浄ユニットは、前記ノズルを挿通可能な枠状体を有し、
前記線状吐水部と前記ノズルとの間隔は、前記枠状体と前記ノズルとの間隔よりも広い、請求項1から
3のいずれかに記載の衛生洗浄装置。
【請求項5】
前記線状吐水部は、前記本体部の内部に配置される、請求項1から
4のいずれかに記載の衛生洗浄装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、衛生洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、便器に着座した人体を洗浄する衛生洗浄装置において、洗浄ノズルを洗浄するノズル洗浄手段を設けたものが開示されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1によれば、ノズル洗浄手段は洗浄ノズルに向けて水を吐水する複数の吐水口を有することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の衛生洗浄装置における洗浄部は、複数の吐水口を有する。このため、吐水口から吐水された水が直接当たる箇所と、間接的に水が伝う箇所とで洗浄力にムラが生じる恐れがある。上記に加えて、単一の流路から複数の吐水口に対して水が供給されるため、吐水口から吐水される水の勢いの差によっても、洗浄力にムラが生じる恐れがある。更に、最も汚れが付着する頻度の高いノズルの中心軸上に吐水口が配置されていないので、洗浄力が不足する恐れもある。
【0005】
本開示は、強力に、かつムラなくノズルの洗浄を行える、衛生洗浄装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、吐水口を有し、本体部に対して進退可能に設けられる1つ以上のノズルと、前記ノズルの上方から洗浄水を前記ノズルに対して線状に吐水する線状吐水部を有する洗浄ユニットと、を備える衛生洗浄装置衛生洗浄装置に関する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本開示の一実施形態に係る便器装置の斜視図である。
【
図2】本開示の一実施形態に係る衛生洗浄装置の斜視図である。
【
図3】本開示の一実施形態に係る洗浄ユニット付近の斜視図である。
【
図4】本開示の一実施形態に係る洗浄ユニットの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1に示すように、本実施形態に係る衛生洗浄装置10は、便器装置100に取り付けられる。
図1に示すように、便器装置100は、便器11と、便座12と、便蓋13と、機能部14と、操作パネル15と、を有する。以下本明細書の説明では、便器装置100の便座12に着座した便器装置100のユーザから視た場合の前方向を前方、後ろ方向を後方と定義する。便器11の床側端部から便座12に向かう垂直方向を上方、その反対方向を下方と定義する。
【0009】
便器11は上部が開口した凹部を有する洋式便器である。便座12は、便器11の開口部に沿って取り付けられる略環状の座面である。便蓋13は、便座12の開口を覆う、開閉可能な蓋である。機能部14は、便器11の上方後部に配置され、便器装置100の各種機能を実行する制御部が設けられる部分である。機能部14には、便座12及び便蓋13とともに、衛生洗浄装置10が取り付けられる。
【0010】
操作パネル15は、機能部14から延出して便座12の機能部14側の側部に配置される。操作パネル15は、便器11の洗浄動作の実行、衛生洗浄装置10における洗浄動作の実行、衛生洗浄装置10の洗浄動作の各種操作モードの選択等を行えるように構成される。
【0011】
<衛生洗浄装置>
衛生洗浄装置10は、便座12の開口部における後方側、かつ機能部14の前方側部に配置される。衛生洗浄装置10は、
図2に示すように、洗浄ユニット1と、第1ノズル51及び第2ノズル52からなるノズル5と、本体部としてのハウジング6と、ノズル駆動機構7と、給水ポンプ8と、を有する。
【0012】
洗浄ユニット1は、ノズル5に対して洗浄水を吐水することで、ノズル5を洗浄する。洗浄ユニット1は、例えば、ハウジング6に対して進出し吐水が行われた後のノズル5がハウジング6に対して進出及び後退する際に、ノズル5に洗浄水を吐水して洗浄する。洗浄ユニット1は、ノズル5を挿通可能な開口を有する枠状体であり、洗浄ユニット1の後端部はハウジング6に当接して固定される。洗浄ユニット1の構成は後段で詳述する。
【0013】
第1ノズル51は、例えば、肛門洗浄用のノズルである。第2ノズル52は、例えば、ビデ用のノズルである。第1ノズル51及び第2ノズル52は、左右に一対並んで配置される。第1ノズル51及び第2ノズル52は、互いに平行、かつ後方から前方に向かうに従って下方に傾斜して配置され、ハウジング6に対して進退可能に設けられる。ハウジング6にはシャッター(図示省略)が設けられる。第1ノズル51及び第2ノズル52がハウジング6に対して進退する際には、上記シャッターが開閉される。
【0014】
第1ノズル51及び第2ノズル52は、傾斜方向を長手方向として、長尺に形成される。本実施形態において、第1ノズル51及び第2ノズル52は、円柱状に形成される。しかし、これに限定されない。第1ノズル51及び第2ノズル52は、例えば、金属材料、樹脂材料、セラミック材料等で形成される。第1ノズル51及び第2ノズル52の下面には、各ノズルを進退させるための複数の歯が並んで形成される。
【0015】
第1ノズル51及び第2ノズル52は、
図3に示すように、それぞれ吐水口51a及び吐水口52aを有する。吐水口51a及び吐水口52aは、それぞれ第1ノズル51及び第2ノズル52の先端側の上面に1つ以上形成される。
【0016】
第1ノズル51及び第2ノズル52には、それぞれ給水ホース53が接続される。給水ホース53には、給水ポンプ8が接続され、給水源(図示省略)から洗浄水が供給される。吐水口51a及び吐水口52aは、給水ホース53を介して供給された洗浄水を吐水する。
【0017】
第1ノズル51及び第2ノズル52は、ノズル駆動機構7によって、それぞれ個別にハウジング6に対して進出される。この際に、洗浄ユニット1により、第1ノズル51及び第2ノズル52に対する洗浄が行われる。次に、第1ノズル51及び第2ノズル52は、所定の位置まで進出された状態で、吐水口51a及び吐水口52aから洗浄水を吐水する動作を行う。上記動作の終了後に、第1ノズル51及び第2ノズル52は、ノズル駆動機構7によって、ハウジング6に対して後退される。この際に、洗浄ユニット1により、第1ノズル51及び第2ノズル52に対する洗浄が行われる。その後、第1ノズル51及び第2ノズル52はハウジング6の内部に収容される。
【0018】
第1ノズル51の先端部は、
図5に示すように、第1ノズル51がハウジング6内に収容された状態で、洗浄ユニット1の前方側端部よりも後方側に配置される。第2ノズル52の先端部についても同様である。
【0019】
ハウジング6は、衛生洗浄装置10の本体部である。ハウジング6は、ノズル5を進退可能に収容する。ハウジング6は、上方ハウジング61と、下方ハウジング62と、を有する。上方ハウジング61と、下方ハウジング62との間には、ノズル5を収容可能な空間が形成される。該空間に不使用時のノズル5が収容される。ハウジング6の上面はノズルカバー63で被覆される。
【0020】
ノズル駆動機構7は、モータと、ピニオン(いずれも図示省略)と、を有する。モータは、制御部(図示省略)からの駆動信号により駆動する。上記ピニオンは、ノズル5の下面に形成された複数の歯と噛合う複数の歯を有する円盤状部材であり、上記モータが駆動することで回転する。上記ピニオンが回転することで、ノズル5がハウジング6に対して進退する動作が行われる。
【0021】
給水ポンプ8は、給水ホース53を介してノズル5と接続され、給水源(図示せず)からノズル5への給水を行う。給水ポンプ8の種類は、特に限定されない。給水ポンプ8は、例えばギアポンプである。ギアポンプは、モータにより歯車が回転されることで、洗浄水をノズル5に給水する。給水ポンプ8からノズル5に対して給水される水の温度や強さは、制御部(図示せず)により制御可能である。
【0022】
<洗浄ユニット>
洗浄ユニット1は、
図3及び
図4に示すように、第1吐水部3と、第1線状吐水部41及び第2線状吐水部42からなる線状吐水部4と、を有する。第1吐水部3は、洗浄水を吐水する吐水孔34a及び吐水孔34bを有する。本実施形態において、洗浄ユニット1は、第1吐水部3以外に第2吐水部2を更に有する。洗浄ユニット1は、例えば樹脂により形成される。
【0023】
第1吐水部3及び第2吐水部2は、第1ノズル51及び第2ノズル52を挿通可能な開口を有する枠状体である。第1吐水部3から供給される洗浄水は、それぞれ第1線状吐水部41及び第2線状吐水部42を介して第1ノズル51及び第2ノズル52に対して吐水される。上記吐水される洗浄水は、第1ノズル51及び第2ノズル52の上方である直上から、直接第1ノズル51及び第2ノズル52に当たるように吐水される。本明細書において、第1ノズル51の直上とは、正面視で第1ノズル51の中心軸から垂直上方に延びる線上に位置することを意味する。第2ノズル52に関しても同様である。
【0024】
第2吐水部2における、第1ノズル51及び第2ノズル52を挿通可能な開口は、第1ノズル51及び第2ノズル52を挿通させた状態で、第1ノズル51及び第2ノズル52との間に十分な空隙を有する。例えば、
図4に示すように、第1ノズル51は、第2吐水部2に挿通された状態で、側方に間隔L3を有し、上方に間隔L4を有する。上記間隔L3及びL4は、例えば4mm~5mm程度であってもよい。間隔L3及び間隔L4により、第1ノズル51及び第2ノズル52と、枠状体としての第2吐水部2との間には、ノズル洗浄室が形成される。上記ノズル洗浄室は、第1ノズル51及び第2ノズル52に対して洗浄水が吐水される空間である。
【0025】
第1ノズル51及び第2ノズル52に厚みのある汚れが付着した場合、上記間隔L3及びL4が小さい場合、洗浄ユニット1に上記汚れが付着する恐れがある。本実施形態に係る洗浄ユニット1は、枠状体としての第2吐水部2と、第1ノズル51及び第2ノズル52との間に十分な空隙を有するため、洗浄ユニット1に対する汚れの付着を抑制できる。
【0026】
第1線状吐水部41及び第2線状吐水部42と、第1ノズル51及び第2ノズル52との間隔である間隔L5は、
図4に示すように、間隔L4よりも広い。ここで、間隔L4は、第1ノズル51及び第2ノズル52と、上記ノズル洗浄室との間隔である。これにより、第1線状吐水部41及び第2線状吐水部42から吐水される洗浄水を拡散させて、第1ノズル51及び第2ノズル52の広い範囲に対して直接吐水することができ、吐水孔の数を比較的少なくすることができる。
【0027】
第1吐水部3は、
図3及び
図4に示すように、第1線状吐水部41に対して洗浄水を供給する第1給水口32と、第2線状吐水部42に対して洗浄水を供給する第2給水口31と、を有する。本実施形態において、第1吐水部3は、第2吐水部2に対して洗浄水を供給する第3給水口33を更に有する。
【0028】
第1給水口32は、給水源(図示せず)に接続され、洗浄水が流入する給水口である。第1給水口32は、
図4及び
図5に示すように、流入側から第2給水口31側に向けて延びる直線状の流路32aと連続する。流路32aは、前方側に向けて延びる直線状の流路からなる吐水孔34aと連続する。流路32aと、吐水孔34aとは、第1吐水部3の内部で連続し、他の流路への分岐箇所を有しない。即ち、第1給水口32、流路32a及び吐水孔34aは単一の流路であり、第1給水口32に流入した洗浄水は、全て単一の吐水孔34aから直線状に吐水される。
【0029】
吐水孔34aは、後述する第1線状吐水部41の湾曲面41aに向けて開口する。吐水孔34aの開口部は、第1ノズル51の直上に設けられる。
【0030】
吐水孔34a及び流路32aは円状の流路断面を有し、吐水孔34aの流路断面積は、流路32aの流路断面積よりも小さい。このため、第1給水口32に流入した洗浄水は、流路32aから吐水孔34aに流入する際に勢いが強められ、吐水孔34aから湾曲面41aに向けて吐水される。
【0031】
第2給水口31は、第1給水口32と同様の構成を有し、第2給水口31に流入した洗浄水は、単一の流路を通じ、単一の吐水孔34bから第2線状吐水部42の湾曲面に向けて吐水される。吐水孔34bの開口部は、第2ノズル52の直上に設けられる。
【0032】
線状吐水部4は、ノズル5毎に設けられる単一の線状吐水部である。線状吐水部4は、単一の流路に設けられた単一の吐水孔から吐水される洗浄水を、ノズル5に対して吐水する。これにより、ノズル5の洗浄をムラなく行うことができる。線状吐水部4は、ノズル5の上方である直上から洗浄水をノズル5に対して線状に吐水する。線状吐水部4は、上記直上以外に、斜め上方等から線状に吐水を行ってもよい。上記線状とは、直線状及び曲線状の概念を含む。本実施形態において、線状吐水部4は、第1ノズル51及び第2ノズル52にそれぞれ対応して設けられる第1線状吐水部41及び第2線状吐水部42からなる。
【0033】
線状吐水部4は、本体部としてのハウジング6の内部に配置されることが好ましい。これにより、線状吐水部4を、例えばハウジング6のシャッター等に配置した場合と比較して、洗浄水が飛び散り難い。
【0034】
第1線状吐水部41及び第2線状吐水部42は、
図4に示すように、それぞれ第1ノズル51及び第2ノズル52の上方に配置される。以下、
図5を用いて第1線状吐水部41の構成の詳細について説明する。
図5は、
図4におけるA-A断面図であり、該断面は、第1ノズル51の中心軸を含み、垂直上下方向に延びる断面である。第2線状吐水部42についても、以下に説明する第1線状吐水部41と同様の構成及び効果を有する。
【0035】
第1線状吐水部41は、吐水孔34aの開口部に対向して配置される湾曲面41aを有する。湾曲面41aは、
図5に示すように、吐水孔34aの開口部を被覆するように、一定の空間を空けて配置される。上記一定の空間は、上方及び側方が閉塞し、下方の一部が略長方形状に開口している。
【0036】
湾曲面41aに対し、
図5に示すように、吐水孔34aから線状に吐水される洗浄水が衝突する。該洗浄水は、湾曲面41aの下方に開口する開口部から、第1ノズル51に向けて吐水される。上記構成により、洗浄水は拡散かつ整流され、第1ノズル51の直上から線状に吐水される。上記構成を有する第1線状吐水部41は、第1ノズル51に対応して設けられる単一の線状吐水部である。単一の線状吐水部で洗浄を行うことで、第1ノズル51に対する洗浄をムラなく行うことができる。第2線状吐水部42は、第1線状吐水部41と同様の構成を有し、第2ノズル52に対応して設けられる単一の線状吐水部である。吐水孔34bから前方側に吐水される洗浄水は、第2ノズル52に向けて吐水される。第2線状吐水部42により、洗浄水は第2ノズル52の直上から線状に吐水される。
【0037】
湾曲面41aは、湾曲する壁面である。具体的には、
図5に示すように、湾曲面41aは上面と側面とからなり、上面は吐水孔34aの延びる方向に対して前方に傾斜するように延出する。側面は緩やかな円弧状に湾曲して上面と連続し、上面の延出方向に対して略垂直下方に延びる。これにより、湾曲面41aに衝突する洗浄水は好ましく拡散され、かつ拡散された後も流れが乱れにくい。湾曲面41aは、第1ノズル51の後退方向に向けて傾斜し、ハウジング6に収容された状態の第1ノズル51の先端面の方向に向けて延出する。これにより、第1線状吐水部41は、常に第1ノズル51の後退方向に向けて洗浄水を吐水する。従って、第1線状吐水部41は、第1ノズル51が進退するハウジング6の開口とは反対方向に洗浄水を吐水するため、洗浄水がハウジング6の外で飛び散り難い。上記に加えて、第1線状吐水部41は、ハウジング6に収容された状態の第1ノズル51の先端面に対して洗浄水を吐水できる。従って、第1線状吐水部41は、第1ノズル51の上面だけでなく、先端面に対しても洗浄水を吐水して洗浄することができる。湾曲面41aの延出方向は上記に限定されない。例えば、湾曲面41aの延出方向を変更可能な構造にすることもできる。
【0038】
第1線状吐水部41は、単一の流路に設けられる単一の吐水孔34aから吐水される洗浄水を拡散かつ整流し、第1ノズル51に対して吐水する。これにより、第1ノズル51の洗浄を均一かつ強力に行うことができる。上記拡散吐水を行うことで、吐水孔の孔径を比較的大きくすることができ、異物等の詰まりを抑制できる。
【0039】
図4に示すように、第2線状吐水部42から吐水される洗浄水の、第2ノズル52に直接当たる範囲の幅L1は、第2ノズル52の幅方向の長さL2の少なくとも半分以上の長さである。同様に、第1線状吐水部41から吐水される洗浄水の、第1ノズル51に直接当たる範囲の幅も、第1ノズル51の幅方向の長さの少なくとも半分以上の長さである。これにより、ノズル5の上面の汚れが付着しやすい箇所をムラなく洗浄できる。幅L1は、幅L2以上の長さであることが好ましい。
【0040】
第1線状吐水部41は、単一の湾曲面41aによる簡易な構成を有する。上記に加えて、洗浄水を吐水する吐水孔34aと、洗浄水を拡散かつ分散させる第1線状吐水部41とを、別体として構成した。これにより、吐水性能の調整が容易となり、例えば樹脂等の素材により第1線状吐水部41を形成した場合であっても、吐水性能を安定化できる。上記に加えて、ノズル5の太さが異なるような製品に対して、部品の共通化を図ることができる。第2線状吐水部42についても同様である。
【0041】
第1線状吐水部41及び第2線状吐水部42から吐水される洗浄水の、第1ノズル51及び第2ノズル52に直接当たる範囲の幅、吐水角度等は、容易に調整可能である。例えば、吐水孔34aの流路長さ、径の大きさ、湾曲面の形状等を変更することで、容易に上記調整が可能である。
【0042】
本実施形態に係る洗浄ユニット1は、第2吐水部2を有する。第2吐水部2は、第1吐水部3の後方側に当接して設けられる。
図5に示すように、第2吐水部2と第1吐水部3とは、複数箇所で当接するように組み合わされて配置され、内部に流路21が形成される。第2吐水部2は、第1ノズル51及び第2ノズル52の径方向の周囲に設けられる複数の吐水孔22aを有する。複数の吐水孔22aから吐水される洗浄水により、第1ノズル51及び第2ノズル52は径方向全体に対して洗浄水が直接吐水されて洗浄される。
【0043】
流路21は、第1吐水部3の第3給水口33から流入した洗浄水が流通する流路である。流路21は、
図3及び
図4に示すように、第1ノズル51及び第2ノズル52の径方向の周囲を囲む流路である。流路21は、
図5に示すように、第1吐水部3及び第2吐水部2の一部で構成される。
【0044】
吐水孔22aは、
図4に示すように、第1ノズル51及び第2ノズル52の周囲に、略均等の間隔をおいて複数配置される。吐水孔22aは、第1ノズル51の下面側、及び一方の側面側である第1給水口32側にも配置される。同様に、吐水孔22aは、第2ノズル52の下面側、及び一方の側面である第2給水口31側にも配置される。
【0045】
吐水孔22aは、
図5に示すように、前方側に向けて延びる直線状の流路である。複数の吐水孔22aは、第2吐水部2の内部で流路21と連続する。即ち、流路21は複数の分岐箇所により複数の吐水孔22aと連続する。第3給水口33から流入した洗浄水は、流路21を介し、複数の吐水孔22aから前方に向けて吐水される。
【0046】
吐水孔22aは円状の流路断面を有し、吐水孔22aの流路断面積は、流路21の流路断面積よりも小さい。このため、第3給水口33に流入した洗浄水は、流路21から吐水孔22aに流入する際に勢いが強められ、吐水孔22aから前方に向けて吐水される。
【0047】
複数の吐水孔22aの開口部に対向して、
図5に示すように、第1吐水部3の壁面35a及び壁面35bが配置される。壁面35aは、第1ノズル51の上方に配置される吐水孔22aに対向して設けられる。壁面35aは、吐水孔22aの開口部を被覆するように、一定の空間を空けて配置される。上記一定の空間は、上方が閉塞し、下方が開口する。壁面35bも同様に、第1ノズル51の下方に配置される吐水孔22aの開口部を被覆するよう、一定の空間を空けて配置される。上記一定の空間は、下方が閉塞し、上方が開口する。
【0048】
第1ノズル51の上方に配置される吐水孔22aから、前方に向けて吐水された洗浄水は、
図5に矢印で示すように、壁面35aに衝突して下方へと吐水され、第1ノズル51の上面に対して吐水される。第1ノズル51の下方に配置される吐水孔22aから吐水される洗浄水は、壁面35bに衝突して上方へと吐水され、第1ノズル51の下面に対して吐水される。壁面35aは、上面と側面とからなり、上面は吐水孔22aの延びる方向と略平行な面である。側面は緩やかな円弧状に湾曲して上面と連続し、略垂直下方に延びる。壁面35bは、壁面35aと上下対称の構成であり、下面と側面とからなる。これにより、壁面35a及び壁面35bに衝突する洗浄水は好ましく拡散される。上記拡散吐水を行うことで、吐水孔22aの孔径を比較的大きくすることができ、異物等の詰まりを抑制できる。
【0049】
壁面35a、及び壁面35bは、第1ノズル51及び第2ノズル52を取り囲む、連続する壁面である。即ち、第1吐水部3は、第1ノズル51及び第2ノズル52の周囲に配置される複数の吐水孔に対向する壁面を有する。上記壁面は、第1ノズル51及び第2ノズル52の方向に向けて開口する。従って、複数の吐水孔22aから前方に向けて吐水された洗浄水は、上記壁面に衝突し、第1ノズル51及び第2ノズル52の方向に向けて吐水される。これにより、第1ノズル51及び第2ノズル52の少なくとも一方の側面を含む、径方向全体に対して洗浄水が直接吐水される。上記構成により、第1ノズル51及び第2ノズル52の側面や下面に汚れが付着している場合であっても、上記汚れを洗浄でき、洗浄ユニット1に上記汚れが付着する事態を抑制できる。
【0050】
本開示は上記実施形態に限定されるものではなく、変形、改良等は本開示に含まれる。上記実施形態に係る洗浄ユニット1を、複数のノズルである第1ノズル51及び第2ノズル52を共に洗浄可能な単一の洗浄ユニット1として説明した。上記に限定されない。洗浄ユニット1は、衛生洗浄装置10が単一のノズルを有する場合、単一の洗浄ノズルを洗浄可能であってもよい。上記に加え、洗浄ユニット1は、衛生洗浄装置10が複数のノズルを有する場合、複数のノズル毎に複数設けられてもよい。
【0051】
本実施形態に係る第1吐水部3及び第2吐水部2は、
図2、
図3及び
図4において、第1ノズル51及び第2ノズル52の上下左右を取り囲む枠状体として示した。上記に限定されない。枠状体としての第1吐水部3及び第2吐水部2は、第1ノズル51及び第2ノズル52の下方以外を取り囲む枠状体であってもよい。即ち、第1ノズル51及び第2ノズル52の下面と対向する箇所を有していなくてもよい。
【0052】
上記実施形態に係る洗浄ユニット1は、第2吐水部2及び、単一の流路に設けられ洗浄水を吐水する複数の吐水孔22aを有するものとして説明した。上記に限定されない。洗浄ユニット1は、第2吐水部2及び、複数の吐水孔22aを有していなくてもよい。
【符号の説明】
【0053】
10 衛生洗浄装置、1 洗浄ユニット、4 線状吐水部、34a、34b 吐水孔、41a 湾曲面、5 ノズル、6 ハウジング(本体部)