(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-18
(45)【発行日】2024-12-26
(54)【発明の名称】防火スクリーン
(51)【国際特許分類】
E06B 9/17 20060101AFI20241219BHJP
E06B 9/13 20060101ALI20241219BHJP
E06B 5/16 20060101ALI20241219BHJP
E06B 9/84 20060101ALI20241219BHJP
A62C 2/10 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
E06B9/17 M
E06B9/13 C
E06B5/16
E06B9/84 B
E06B9/13 B
A62C2/10
(21)【出願番号】P 2020101685
(22)【出願日】2020-06-11
【審査請求日】2023-05-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000222325
【氏名又は名称】東洋シヤッター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101948
【氏名又は名称】柳澤 正夫
(72)【発明者】
【氏名】諸留 充
(72)【発明者】
【氏名】石田 忠司
【審査官】鈴木 智之
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-188148(JP,A)
【文献】特開2000-064744(JP,A)
【文献】特開2005-155200(JP,A)
【文献】特開2001-129109(JP,A)
【文献】特開平09-313632(JP,A)
【文献】実開平02-020698(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 9/00,9/02,9/06-9/18,
9/40-9/50,9/56-9/92
E06B 5/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
不燃性の柔軟材料で構成され開口を閉塞すべく連設される複数の本体スクリーンと、隣接する前記本体スクリーンの間を塞ぐサブスクリーンと、それぞれの前記本体スクリーンに対応して該本体スクリーンの下端に設けられた座板と、隣接する座板を連結する連結手段を有
し、前記連結手段は、断面が略コ字型形状であり、それぞれの前記座板には、障害物を検知すると電気的に開閉を行う障害物検知手段が設けられており、隣接する座板に設けられている障害物検知手段の間で電気的に接続されるとともに、該電気的な接続部が前記連結手段のコ字型形状の内側に収容されることを特徴とする防火スクリーン。
【請求項2】
前記連結手段は、前記サブスクリーンの幅よりも広い範囲で前記座板を連結することを特徴とする請求項
1に記載の防火スクリーン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防火スクリーンに関するものであり、特に複数のスクリーンを連接する防火スクリーンに関するものである。
【背景技術】
【0002】
建物などには火災時などの非常時に区画を閉鎖するために、防火シャッターや防火(防煙)スクリーンが設置されている。特に、防火(防煙)スクリーンは耐火クロスなどを用いて製造されており、軽量であり設置コストが安いことが特徴である。
【0003】
大開口を区画閉鎖する場合、1枚のスクリーンでは大きさに限りがあることから、複数のスクリーンを連設することにより実現している。また、搬入や施工に制限がある場合などにおいても、複数のスクリーンを設ける場合もある。
【0004】
複数のスクリーンを連設する場合には、それぞれの本体スクリーンを巻き上げるドラムを連結して設置する。また、各本体スクリーンの間には隙間が生じるため、その隙間を覆うサブスクリーンを設置する。その後、各本体スクリーン及びサブスクリーンの下部に座板を設置して各スクリーンと座板を一体化する。
【0005】
このとき、各スクリーンは連結された巻き取りドラムにそれぞれ巻かれているが、閉鎖時に隙間が生じないようにするためにスクリーン下部に設置された座板は一体的にすることが望ましい。座板を一体的にするためには、長尺物の座板を使用することになる。そのため、従来は例えば特許文献1に記載されているように、複数のスクリーンに共通した長尺の座板を用いている。この長尺の座板によりスクリーンを一体的に上下動させ、また各スクリーンのバタツキなども抑えている。しかし、スクリーンのウエイトとなる座板は重量があり、しかも一体化された座板は長尺であることから、搬入に支障が生じたり、搬入経路が制限され、また施工の際に扱いにくいなどの問題があった。
【0006】
また、座板には障害物を検知するための検知手段が設けられており、スクリーン降下時に座板下面で障害物を検知すると停止するように構成されている。座板の開口幅方向のいずれの場所で障害物を検知した場合でもスクリーンの降下を停止させなければならず、降下の停止には制御盤やドラムに対して障害物を検知した旨を伝達してブレーキをかける必要がある。そのため、従来の防火スクリーンの座板は、例えば特許文献2に記載されているようなテープスイッチを座板の開口幅方向の全幅に後付けし、座板のいずれの場所で障害物を検知した場合でもスクリーンの降下を停止できるようにしている。しかし、現場で座板を組み立て、その下部に長尺のテープスイッチを取り付ける施工となるため、施工者によるバラツキが出るなど、品質上、問題があった。また、現場での施工に時間を要していた。
【0007】
一方、耐火クロス製ではなく金属製の重量シャッターであるが、特許文献3に記載されている防火シャッターでは、重量シャッターに障害物検知機能を持たせるため、座板を交換する際に障害物検知機能を有する座板を分割して搬入し、連結板で連結固定する構成が記載されている。この場合、重量シャッターのスラットは開口幅あるいはガイドレール幅の一体物であることから、防火スクリーンのように座板で複数を一体にまとめるような強度は求められない。また、スラットはスクリーンに比べて剛性があるため、座板を分割したとしても強度上はほとんど問題はない。そのため、連結部をつなぐ役割程度の部材を使用している。
【0008】
さらに特許文献3では、分割された座板を連結する際に、各座板に設けられている障害物検知装置を作動ワイヤでつなぎ、作動ワイヤによって障害物を検知したことを制御盤に伝達している。作動ワイヤは、1本の長いワイヤを貫通させて各障害物検知装置に固定する場合と、短いワイヤをつないでゆく例が記載されている。しかし、検知ワイヤの張り具合が障害物の検知に影響してしまうことから、現場におけるワイヤの張架は難易度が高く、またバラツキが大きな作業となってしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特許第4712441号公報
【文献】特開2007-056449号公報
【文献】特開2014-025286号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたもので、資材の搬入及び施工性の向上及び時間の短縮を図りつつ、複数のスクリーンの座板を一体化する強度を確保し、さらに品質のバラツキを低減した防火スクリーンを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本願請求項1に記載の発明は、不燃性の柔軟材料で構成され開口を閉塞すべく連設される複数の本体スクリーンと、隣接する前記本体スクリーンの間を塞ぐサブスクリーンと、それぞれの前記本体スクリーンに対応して該本体スクリーンの下端に設けられた座板と、隣接する座板を連結する連結手段を有し、前記連結手段は、断面が略コ字型形状であり、それぞれの前記座板には、障害物を検知すると電気的に開閉を行う障害物検知手段が設けられており、隣接する座板に設けられている障害物検知手段の間で電気的に接続されるとともに、該電気的な接続部が前記連結手段のコ字型形状の内側に収容されることを特徴とする防火スクリーンである。
【0012】
本願請求項2に記載の発明は、本願請求項1に記載の発明における前記連結手段は、前記サブスクリーンの幅よりも広い範囲で前記座板を連結することを特徴とする防火スクリーンである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、複数の本体スクリーンを連設する防火スクリーンにおいて、資材の搬入及び施工性の向上及び時間の短縮を図りつつ、複数のスクリーンを一体化する強度を確保することができる。
【0016】
また、障害物検知機能を持たせる場合でも、検知部分を工場で施工しておくことができ、施工性を向上させるとともに、品質のバラツキを低減することができる。さらに、各座板の接続部分での電気的な接続も連結手段によって保護されるので、この部分での外因性の劣化などを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図2】本発明の実施の一形態における座板付近の一例を示す拡大断面図である。
【
図3】本発明の実施の一形態における障害物検知手段が設けられている場合の座板連結部付近の一例を示す拡大概略図(上面図、正面図)である。
【
図4】本発明の実施の一形態における障害物検知手段が設けられている場合の座板連結部付近の一例を示す拡大概略図(断面図)である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、本発明の実施の一形態を示す概略図であり、
図1(A)は正面図、
図1(B)はスクリーン部分の断面図である。図中、11-1,2は本体スクリーン、12-1,2は座板、13はサブスクリーン、14-1,2は本体シャフト、15は中間軸受け、16はサブシャフト、17は座板連結部、18は連結カバー、19は面ファスナ、20は気密材、21はガイドレールである。ここではスクリーンを降ろした状態を示している。
【0019】
この例では開口を2分割し、本体スクリーン11-1及び本体スクリーン11-2を連設することによって開口を閉鎖する。もちろん、開口を3分割以上に分割して本体スクリーンを連設し、開口を閉鎖してもよい。本体スクリーン11-1,2は耐火クロスなどの不燃性の柔軟材料で構成されており、防火性能を有している。本体スクリーン11-1,2のいずれか、あるいは両方には、避難口が設けられる場合もある。
【0020】
本体スクリーン11-1及び本体スクリーン11-2を連設した際に、その間の隙間が生じる。この隙間を閉塞するため、サブスクリーン13を設けている。このサブスクリーン13は、
図1(B)に模式的に示しているように、本体スクリーン11-1及び本体スクリーン11-2の両面にそれぞれ設けるとよい。このサブスクリーン13も耐火クロスなどの不燃性の柔軟材料で構成されており、防火性能を有している。この例では、本体スクリーン11-1とサブスクリーン13、及び本体スクリーン11-2とサブスクリーン13は複数の面ファスナ19によって着脱可能に接合される。この面ファスナ19によって閉鎖時の気密性を向上させている。なお、本体スクリーンとサブスクリーンは接合させなくてもよい。
【0021】
また、この例では本体スクリーン11-1,2の側端部には気密材20が設けられており、サブスクリーン13との接合により、さらに気密性を高めている。これら本体スクリーン11-1,2及びサブスクリーン13、及び座板12-1,2などにより開口を閉塞し、防火性能を発揮するとともに、形状によって防煙性能を発揮する。この気密材20についても設けずに構成してもよい。
【0022】
本体スクリーン11-1は本体シャフト14-1に、また本体スクリーン11-2は本体シャフト14-2に、それぞれ取り付けられている。本体シャフト14-1と本体シャフト14-2とは中間軸受け15で接続されており、図示しない駆動手段により一体的に回転駆動されて本体スクリーン11-1,2の上げ下ろしを行う。あるいは降下は自重により行い、巻き上げは手動で行う場合もある。
【0023】
また、サブスクリーン13はサブシャフト16に取り付けられている。図示されていないが、前面のサブスクリーン13は前面用のサブシャフト16に、背面のサブスクリーン13は背面用のサブシャフト16に、それぞれ取り付けられている。サブシャフト16も本体シャフト14-1,2と連動して回動し、サブスクリーン13の上げ下ろしを行う。
【0024】
通常時には本体スクリーン11-1は本体シャフト14-1に巻回されており、また本体スクリーン11-2は本体シャフト14-2に巻回されている。さらにサブスクリーン13はサブシャフト16に巻回されている。開口を遮蔽する際には、本体シャフト14-1,2が回動して本体スクリーン11-1,2が降ろされるとともに、サブシャフト16も回動してサブスクリーン13も降ろされる。その際に、本体スクリーン11-1,2とサブスクリーン13が面ファスナ19で接合される。もちろん、本体スクリーン11-1,2及びサブスクリーン13が降りている状態から、本体シャフト14-1,2及びサブシャフト16を回動させ、本体シャフト14-1に本体スクリーン11-1を、本体シャフト14-2に本体スクリーン11-2を、さらにサブシャフト16にサブスクリーン13をそれぞれ巻き取れば、開口部を開放することができる。なお、本体スクリーン11-1,2及びサブスクリーン13を巻き取る際には、面ファスナ19が外れることにより、それぞれが巻き取られることになる。
【0025】
本体スクリーン11-1,2の下端には、それぞれの本体スクリーン11-1,2に対応して座板12-1,2が設けられている。この座板12-1,2は軽量の本体スクリーン11-1,2及びサブスクリーン13のウエイトとして機能するとともに、降ろした状態で床面との間になるべく隙間が形成されないようにしている。なお、座板12-1には本体スクリーン11-1とともにサブスクリーン13の半分が、座板12-2には本体スクリーン11-2とともにサブスクリーン13の残り半分が、それぞれ挟持されている。本体スクリーン11-1,2及びサブスクリーン13の上げ下ろしの際には、座板12-1,2は開口部の左右に設けられているガイドレール21に沿って上下動する。
【0026】
座板12-1と座板12-2は、座板連結部17において連結カバー18により連結し、一体化している。連結カバー18は、単に座板連結部17をカバーしているだけでなく、座板12-1,2を強固に連結して、本体スクリーン11-1,2及びサブスクリーン13が柔軟材料であるが故にかかるさまざまな力による座板連結部17での座屈を防いでいる。
【0027】
上述のように本体スクリーン11-1,2は、それぞれが独立して本体シャフト14-1,2に巻き取られ、また両面のサブスクリーン13もそれぞれ独立してサブシャフト16に巻き取られる。座板12-1,2は本体スクリーン11-1,2にそれぞれ対応して設けられているため、本体シャフト14-1,2を連動させても、それぞれのスクリーンの巻き上げ、巻き下ろしの際にはスクリーンの下端部において上下高さ方向に位置ズレが生じる。このような上下高さ位置のズレが生じると、巻き上げて上限位置(上部のケース内に座板を納める位置)に達した際にそれぞれの座板の巻き上がり高さに違いが生じ、一方の座板は巻き上がり過ぎ、また他方の座板は垂れ下がり過ぎ(上部のケース内に納まらない)となる場合がある。座板12-1,2を連結カバー18により強固に連結し、一体化することによって、少なくとも連結された座板12-1,2は巻き上げ、巻き下ろしの際に上下高さ方向の位置ズレが生じないようにしている。これにより、巻き上げた際の上限位置では上部のケースへの収納を正常に行い、また降ろした際には床面との間に隙間を生じないようにして防火防煙性能を得ている。もちろん、連結カバー18によって座板連結部17をカバーすることによって、座板連結部17においても隙間を生じないようにして防火防煙性能を得ている。
【0028】
また、スクリーンは気密性があって防火防煙性能を得ているが、そのために火災時などで閉鎖したスクリーンにより隔てられた区画に気圧差が生じると、その気圧差による力をスクリーンが受けることになる。各スクリーンは柔軟材料で形成されていることから、気圧差による力を受けると気圧の低い側に大きく膨らむ。そのため、座板に対しても気圧が高い側から低い側への力がかかるが、両端はガイドレール21により動きが制限されていることから、座板連結部17に強い力がかかる。さらに、各スクリーンにかかる力は一様であるとは限らず、座板12-1と座板12-2とがバラバラな挙動を示す。そのため、座板連結部17においては、連結カバー18によって強固に連結しておく必要がある。
【0029】
このように、柔軟材料で構成されるスクリーンが本体スクリーン11-1と本体スクリーン11-2に分割され、例えば座板の上下位置がずれたり、気圧差で前後方向に膨らむなど、様々な力が座板連結部17にかかる。そのため、座板連結部17においては連結カバー18によって座板12-1と座板12-2とを強固に連結している。例えば、連結カバー18は折り曲げ部を設けて剛性を高める形状であるとよい。さらに、例えば連結カバー18の断面形状を略コ字型形状に形成して、2カ所の折り曲げ部で剛性を高めるとよい。もちろん、このような形状に限られるものではなく、剛性を高めるための周知の様々な形状、手段を講じてよいことは言うまでもない。この連結カバー18を座板12-1,2の両側に設けて、各座板12-1,2と複数箇所でボルト締めなどにより固定するとよい。もちろん片側のみでも剛性に問題が無ければよいし、固定手段もボルト締めに限られるものではない。
【0030】
図2は、本発明の実施の一形態における座板付近の一例を示す拡大断面図である。図中、31は上枠座板、32は座板ウエイト、33は閉塞材である。上枠座板31の上部において、本体スクリーン11-1または本体スクリーン11-2や、その両側に設けられたサブスクリーン13、座板ウエイト32などを挟持している。また、上枠座板31の下端部には柔軟性を有する閉塞材33が設けられ、防火スクリーンを降ろした状態で床面との間に隙間が生じないようにしている。
【0031】
図2(A)にはサブスクリーン13が設けられていない部分の座板12-1,2の断面の一例を示している。
図2(A)に示すサブスクリーン13が設けられていない部分では、本体スクリーン11-1または本体スクリーン11-2とともに座板ウエイト32を上枠座板31により挟持し、ボルトなどによって固定されている。
【0032】
図2(B)にはサブスクリーン13及び連結カバー18が設けられた部分の座板12-1,2の断面の一例を示している。
図2(B)に示すサブスクリーン13及び連結カバー18が設けられた部分では、本体スクリーン11-1または本体スクリーン11-2の両側にサブスクリーン13、さらに座板ウエイト32が上枠座板31によって挟持されるとともに、上枠座板31の外側に連結カバー18が両側に配されて、ボルトなどによって固定されている。
【0033】
座板12-1,2の幅を一定にするため、
図2(B)に示すようにサブスクリーン13を挟持している部分は、その厚みの分だけ座板ウエイト32を設けず、代わりにサブスクリーン13を挟持させている。通常、座板ウエイト32は金属などにより構成されていることから、剛性を有する金属部分が減って柔軟な繊維材料が挟まることになる。そのため、座板12-1,2は、サブスクリーン13を挟持している部分の強度が他の部分よりも低下する。この強度が低下している部分に連結カバー18を設けることによって、上述のような座板連結部17における強度向上とともに、この部分での強度を向上させることができる。そのため、連結カバー18は、サブスクリーン13の幅よりも広い範囲で座板12-1,2を連結するとよい。また、サブスクリーン13を挟持している部分は座板ウェイト32が少なくなっている分だけ重量も低下しており、連結カバー18によってウエイトとしての重量を確保することもできる。
【0034】
座板12-1,2には、それぞれ障害物検知手段が設けられている場合がある。ここでは、障害物検知手段は障害物を検知すると電気的に開閉(On/Off)を行うものであり、この電気的な開閉に応じた電気信号を図示しない制御盤へ伝達する。例えば障害物検知手段で障害物を検知すると通電することで制御盤へ障害物がある旨を通知する。あるいは、障害物検知手段で障害物を検知すると通電を遮断することで制御盤へ障害物が存在する旨を通知する。いずれにしても、障害物検知手段が障害物を検知した旨の電気信号を図示しない制御盤へ伝達することになるが、そのための信号線が、それぞれの座板12-1,2内で配線されている。そして、座板連結部17では、座板12-1内の信号線と座板12-2内の信号線とを電気的に接続している。この信号線の接続部分を、連結カバー18で覆うことにより保護している。
【0035】
図3、
図4は、本発明の実施の一形態における障害物検知手段が設けられている場合の座板連結部付近の一例を示す拡大概略図であり、
図3(A)は上面図、
図3(B)は正面図、
図4は断面図である。図中、
図1及び
図2と同様の部分には同じ符号を付している。34は可動座板、35は感知ユニット、36は信号線、37は結線部である。座板に障害物検知手段が設けられている場合の座板連結部17付近の構成について、一例をさらに説明する。
【0036】
図2でも説明したように、上枠座板31は、上部において、本体スクリーン11-1または本体スクリーン11-2と、その両側に設けられたサブスクリーン13、座板ウエイト32などを挟持している。さらに座板連結部17においては、上枠座板31の外側に連結カバー18が両側に配されて、ボルトなどによって固定されている。上枠座板31の下端部には柔軟性を有する閉塞材33が設けられ、防火スクリーンを降ろした状態で床面との間に隙間が生じないようにしている。
【0037】
上枠座板31の下部内側には、可動座板34及び感知ユニット35が設けられている。可動座板34は上枠座板31に対して相対的に上下動可能に取り付けられている。また感知ユニット35は可動座板34の上下動によりスイッチが入切されるように構成されており、そのスイッチの入切が信号線36によって伝達される。感知ユニット35は、それぞれの座板12-1,2に複数個が設けられ、上枠座板31内でそれぞれ接続されている。もちろん、それぞれの座板に1個ずつでもよいし、複数の座板で感知ユニット35の個数が異なっていてもよいし、あるいは、複数の座板のうち感知ユニット35が設けられていない座板が存在していてもよい。
【0038】
例えば防火スクリーンを降下させている際に障害物が存在すると、まず可動座板34が障害物に当接して降下を停止し、さらに上枠座板31が降下することにより、停止している可動座板34が感知ユニット35のレバーを押してスイッチが切り替わり、信号線36を通じて制御盤などに信号が伝達される。このようにして、障害物の存在を制御盤などに通知することになる。
【0039】
それぞれの感知ユニット35からの信号線36は上枠座板31の内部に配線されており、その端部は上枠座板31の端部付近において上部へ取り出されている。施工の際には、座板12-1,2を突き合わせた座板連結部17において、上部へ取り出されている信号線36を隣接する座板の間で結線する(結線部37)。例えばコネクタなどで接続すればよい。結線後、この結線部37の外側に連結カバー18を取り付けてボルト締めする。例えば連結カバー18が略コ字型形状に形成されている場合、そのコ字型形状の内部に信号線の結線部37を収容することができる。これによって、連結カバー18は、座板12-1と座板12-2とを連結して座板を一体化し、また連結部を強固にするとともに、信号線36の結線部37を保護する機能を併せ持つことができる。
【0040】
また、それぞれの座板12-1,2に設けられた感知ユニット35からの信号線36が電気的に接続されているので、いずれの感知ユニット35で障害物を検知した場合でも、その検知信号は制御盤に伝達される。そのため、障害物の位置によらず、確実に障害物を検知して防火スクリーンの降下を停止させることができる。
【0041】
なお、各感知ユニット35は、通常時に通電がなく、障害物検知時に通電させる場合には、各感知ユニット35を電気的に並列に接続しておく。また、通常時に通電状態、障害物検知時に通電を停止する場合には、各感知ユニット35を電気的に直列に接続するとともに、片方の端部では信号線36をショートさせておけばよい。このように電気的な接続を行っておけば、いずれかの感知ユニット35で障害物を検知すれば、その信号を通知することができる。
【0042】
上述のような防火スクリーンを施工する際には、大開口を閉塞する場合であっても、幅方向は分割された長さ程度の資材を搬入すればよい。この例では2分割であることから、本体シャフト14-1,2及び本体スクリーン11-1,2、座板12-1,2は開口幅の半分以下の幅の部材を搬入するのみである。従って、長尺物の搬入が困難な現場であっても容易に搬入することができ、また、搬入経路も制約を受けにくいという利点がある。例えば従来のように開口幅に相当する長尺の座板を必要とする構成に比べて部材の搬入は非常に容易となる。
【0043】
搬入された本体シャフト14-1と本体シャフト14-2は中間軸受け15を介して連結して取り付け、それぞれに本体スクリーン11-1及び本体スクリーン11-2を取り付ける。また表面及び裏面用のサブシャフト16を取り付けて、このサブシャフト16にそれぞれサブスクリーン13を取り付ける。また、本体スクリーン11-1の下端部には、サブスクリーン13の下端部の半分とともに座板12-1を取り付ける。本体スクリーン11-2の下端部にも、サブスクリーン13の下端部の半分とともに座板12-2を取り付ける。
【0044】
この座板12-1,2には、工場であらかじめ障害物検知手段を組み込んでおく。例えば
図3,
図4に示したような、障害物検知手段が組み込まれた座板12-1,2を用いることができる。このような障害物検知手段を座板12-1,2に組み込む作業を現場で行うのは困難であり、従来のテープスイッチを用いる場合に比べて、より高機能の障害物検知手段を提供することができ、また、施工時の作業が少ないことから品質のバラツキを少なくすることができる。特に障害物検知手段による障害物の検知は安全性に直結する構成であることから、この品質を保証する効果は大きい。
【0045】
そして、座板12-1と座板12-2とを突き合わせ、その座板連結部17において、座板12-1の端部で取り出された信号線36と座板12-2の端部で取り出された信号線36とを接続する。障害物検知手段を連動させる構成としては、この例では電気的な結線作業のみであるから、従来の例えばワイヤによる接続などに比べて調整作業などが軽減でき、さらに確実な動作を保証することができる。
【0046】
そして、この信号線36の接続部37を覆うように、座板12-1と座板12-2とを連結カバー18によって連結、固定する。これにより、分割されている座板12-1,2は一体となり、十分な強度を得ることができる。それとともに、信号線の接続部分は連結カバー18によって保護され、信号線の損傷などを防止することができる。
【0047】
なお、座板に設ける障害物検知手段の一例を
図3,
図4に示したが、これに限らず、様々な周知の障害物検知手段を用いてよいことは言うまでもない。また、検知信号の伝達手段も信号線36によるものに限らず、光や赤外線、電波など、無線で行う構成であってもよく、その場合には信号線36を設けなくてもよい。この場合や、障害物検知手段が設けられていない場合などであっても、分割された座板の搬送及び搬入の容易性や、折り曲げ部を有する連結カバー18による座板の一体化及び強度向上の機能など、本発明によって得られる様々な効果を享受することができる。
【符号の説明】
【0048】
11-1,2…本体スクリーン、12-1,2…座板、13…サブスクリーン、14-1,2…本体シャフト、15…中間軸受け、16…サブシャフト、17…座板連結部、18…連結カバー、19…面ファスナ、20…気密材、21…ガイドレール、31…上枠座板、32…座板ウエイト、33…閉塞材、34…可動座板、35…感知ユニット、36…信号線、37…結線部。