(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-18
(45)【発行日】2024-12-26
(54)【発明の名称】医薬品容器を検査するための装置
(51)【国際特許分類】
B65G 47/86 20060101AFI20241219BHJP
【FI】
B65G47/86 H
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020121142
(22)【出願日】2020-07-15
【審査請求日】2023-03-20
(32)【優先日】2019-09-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】323001797
【氏名又は名称】ショット ファーマ シュヴァイツ アー・ゲー
【氏名又は名称原語表記】SCHOTT Pharma Schweiz AG
【住所又は居所原語表記】St. Josefen-Strasse 20, 9000 St. Gallen, Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(74)【代理人】
【識別番号】100210099
【氏名又は名称】遠藤 太介
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス プフィスター
【審査官】板澤 敏明
(56)【参考文献】
【文献】特開昭50-072783(JP,A)
【文献】特開昭58-019543(JP,A)
【文献】実開昭62-124925(JP,U)
【文献】米国特許第04378493(US,A)
【文献】特開2000-214104(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 47/86
G01N 21/84-21/958
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス製またはポリマー製の医薬品円筒容器(4)を検査するための装置であって、前記装置は、処理デバイス(1)および摩擦ホイール(2)を備え、
前記処理デバイス(1)は、前記容器(4)をその側面で保持するための少なくとも1つの保持手段(3)を備え、前記保持手段(3)は、前記容器(4)を支持するための少なくとも第1の支持ホイール(5)および第2の支持ホイール(6)を備え、
前記処理デバイス(1)は、前記容器(4)を最初に第1の移送位置(9)から検査区域(10)に移送でき、次に前記検査区域(10)から第2の移送位置(11)に移送できるように移動可能であり、
前記保持手段(3)および/または前記摩擦ホイール(2)は、前記容器(4)が、前記第1および第2の支持ホイール(5,6)の回転および/または前記摩擦ホイール(2)の回転により、前記容器(4)の長手方向軸線(24)を中心として回転可能となるように、前記検査区域(10)内の前記容器(4)を前記摩擦ホイール(2)に接触させるために前後に移動可能であり、
前記容器(4)は、前記処理デバイス(1)のクロック周波数と同期して搬送デバイス(12)によって供給可能であ
り、
前記装置は、搬送デバイス(12)、第1の移送デバイス(13)および第2の移送デバイス(14)をさらに備え、
前記搬送デバイス(12)は、前記容器(4)を前記第1の移送デバイス(13)に搬送し、前記容器(4)を前記第2の移送デバイス(14)から受けるように構成されており、
前記第1の移送デバイス(13)は、前記容器(4)を前記搬送デバイス(12)から取り、それを前記第1の移送位置(9)に移送するように構成されており、前記第1の移送デバイス(13)は、前記容器(4)を、その側面で保持するための少なくとも1つの保持機構(15)を備え、前記第1の移送デバイス(13)は、前記容器(4)を前記保持機構(15)によって保持されているときに前記第1の移送位置(9)に持ってくるように、回転可能であり、
前記第2の移送デバイス(14)は、前記容器(4)を前記処理デバイス(1)から受けるように構成されており、前記第2の移送デバイス(14)は、前記容器(4)を、その側面で保持するための少なくとも1つの保持機構(18)を備え、前記第2の移送デバイス(14)は、前記容器(4)が、その側面で前記搬送デバイス(12)上に位置決めされるように、前記容器(4)を前記第2の移送位置(11)から前記搬送デバイス(12)に移送できるように、回転可能であり、
前記第1の移送デバイス(13)および前記第2の移送デバイス(14)は、第1の軸線(21)に沿って前後に移動可能であり、かつ/または、
前記第1の移送デバイス(13)は、第2の軸線(22)に沿って前後に移動可能であり、かつ/または、
前記第2の移送デバイス(14)は、第3の軸線(23)に沿って前後に移動可能である、
装置。
【請求項2】
前記第1の支持ホイール(5)の回転軸線(25)と前記容器(4)の前記長手方向軸線(24)とは、第1の平面(26)を規定しており、前記第2の支持ホイール(6)の回転軸線(27)と前記容器(4)の前記長手方向軸線(24)とは、第2の平面(28)を規定しており、前記第1の平面(26)と前記第2の平面(28)は、45°~120°未満の角度で交差している、
請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記処理デバイス(1)は、3つの保持手段(3)を備え、前記保持手段(3)は、互いに120°の角度を成して円上に配置されている、
請求項1または2記載の装置。
【請求項4】
前記装置は、前記容器(4)を前記第1の移送位置(9)に搬送し、前記容器(4)を前記処理デバイス(1)から前記第2の移送位置(11)にて受けるための搬送デバイス(12)をさらに備える、
請求項1から3までのいずれか1項記載の装置。
【請求項5】
前記第1の移送デバイス(13)は、3つの保持機構(15)を備え、前記保持機構(15)は、互いに120°の角度を成して円上に配置されている、
請求項1から4までのいずれか1項記載の装置。
【請求項6】
前記第2の移送デバイス(14)は、3つの保持機構(18)を備え、前記保持機構(18)は、互いに120°の角度を成して円上に配置されている、
請求項1から5までのいずれか1項記載の装置。
【請求項7】
前記第1の移送デバイス(13)の前記保持機構(15)および/または前記第2の移送デバイス(14)の前記保持機構(18)および/または前記処理デバイス(1)の前記保持手段(3)は、吸引要素(7,16,19)を備える、
請求項1から6までのいずれか1項記載の装置。
【請求項8】
前記第1および第2の支持ホイール(5,6)の少なくとも前記容器(4)に接触している表面および/または前記第1の移送デバイス(13)の前記保持機構(15)の少なくとも前記容器(4)に接触している表面および/または前記第2の移送デバイス(14)の前記保持機構(18)の少なくとも前記容器(4)に接触している表面および/または前記摩擦ホイール(2)の前記容器(4)に接触している表面は、ポリマーまたは鋼を含む、
請求項1から7までのいずれか1項記載の装置。
【請求項9】
前記保持手段(3)または前記処理デバイス(1)は、前記検査区域(10)内の前記容器(4)を前記摩擦ホイール(2)に接触させるために第1の軸線(21)に沿って前後に移動可能である、
請求項1から8までのいずれか1項記載の装置。
【請求項10】
前記第1の軸線(21)と前記第2の軸線(22)とは、30°~60°の角度で交差しており、かつ/または、
前記第1の軸線(21)と前記第3の軸線(23)とは、30°~60°の角度で交差している、
請求項1から9までのいずれか1項記載の装置。
【請求項11】
少なくとも1つの駆動手段は、前記第1の移送デバイス(13)および/または前記第2の移送デバイス(14)および/または前記処理デバイス(1)を、前記第1の軸線(21)に沿ってかつ/または前記第2の軸線(22)に沿ってかつ/または前記第3の軸線(23)に沿って移動させるように配置されている、
請求項1から10までのいずれか1項記載の装置。
【請求項12】
前記搬送デバイス(12)は、コンベヤベルトである、
請求項1から11までのいずれか1項記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラス製またはポリマー製の医薬品容器を検査するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
品質保証のために、完成した医薬品容器またはその中間製品を製造工程中に検査することが一般的である。欠陥が検出された場合、製品または中間製品をさらなる工程から排除することができる。
【0003】
独国特許出願公開第102011113670号明細書から、シートガラスを検査するための装置が知られている。さらに、独国特許出願公開第102016114190号明細書は、透明体を光学的に試験するための方法およびデバイスを記載している。
【0004】
特に、シリンジ、カープル、バイアルなどの医薬品容器は、厳しい品質基準を満たさなければならない。例えば、これらの容器が、ふくらみ、へこみ、傷、粒子の付着、泡または異物の混入のような欠陥を含むことを避けなければならない。医薬品容器は量産品であるので、検査は、可能な限り高速で行われなければならない。短時間で欠陥を確実に検出する下で、損傷しやすい医薬品容器の検査に使用される装置が、容器に欠陥を生じさせないことが保証されなければならない。
【0005】
医薬品容器を検査するための既知の装置は、高速の非破壊検査に関する上述の要件を満たさない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本明細書に記載される本発明は、ガラス製またはポリマー製の医薬品容器を検査するための装置を、高速の非破壊検査が実現されるように向上させるとともにさらに発展させる課題に対処する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施形態では、本発明は、ガラス製またはポリマー製の医薬品円筒容器を検査するための装置であって、装置が、処理デバイスおよび摩擦ホイールを備え、前記処理デバイスが、前記容器をその側面で保持するための少なくとも1つの保持手段を備え、前記保持手段が、前記容器を支持するための少なくとも第1の支持ホイールおよび第2の支持ホイールを備え、前記処理デバイスが、前記容器を最初に第1の移送位置から検査区域に移送でき、次に前記検査区域から第2の移送位置に移送できるように移動可能であり、前記保持手段および/または前記摩擦ホイールは、前記容器が、前記第1および第2の支持ホイールの回転および/または前記摩擦ホイールの回転により、前記容器の長手方向軸線を中心として回転可能となるように、前記検査区域内の前記容器を前記摩擦ホイールに接触させるために前後に移動可能である、装置を提供する。
【0008】
利点の1つは、回転可能な保持手段が容器の高速運動をもたらすことである。摩擦ホイールおよび/または支持ホイールによって容器をその長手方向軸線を中心として回転させることができるので、容器本体の全体を適切な検出器で検査することが可能となる。それゆえ、欠陥の効果的な検出を実現することができる。特に、容器をその長手方向軸線を中心として回転させることができるように容器が摩擦ホイールに接触しているときに、任意の手順および/または任意のデバイスによって検査区域にある容器を検査できる点が指摘される。
【0009】
本発明者らは、驚くことに2つの異なる運動のみによって高い検査速度を実現できることを見出した。第1の運動、すなわち、容器を検査区域にまたは検査区域から持ってくる処理デバイスの運動により、医薬品円筒容器が、検査区域に、よって摩擦ホイールの近くに持ってこられる。第2の運動、すなわち、前記保持手段および/または前記摩擦ホイールが、前記検査区域内の前記容器を前記摩擦ホイールに接触させるために前後に移動する運動により、保持手段の2つのホイールと既に接触している医薬品円筒容器が、摩擦ホイールに接触することになる。これらの2つの運動を行うことのみにより、容器を損傷させることも、振動を生じさせることもなく、医薬品円筒容器を摩擦ホイールと非常に滑らかに接触させることが可能となる。対照的に、1つの運動のみが適用される場合、医薬品円筒容器は、摩擦ホイールに接触するときに振動しており、よって、損傷が生じる場合があり、加えて、容器の位置決めと測定との間に、容器の振動を停止させるためにいくらかの時間が経過しなければならない。よって、請求項1記載の装置がこれらの2つの運動を行うので、それは、毎分60個の容器を超える、毎分80個以上の容器でさえある、高クロック周波数を実現するのに適している。
【0010】
容器を検査区域に持ってくる、および、検査区域から持ってくるための処理デバイスの運動は、特に限定されない。それは、例えば、ロボットアームの複雑な運動、線形運動、または回転などの任意の運動とすることができる。前記容器を最初に第1の移送位置から検査区域に移送でき、次に前記検査区域から第2の移送位置に移送できるように、処理デバイスが回転可能である場合、軸線を中心とする回転が非常に精確な運動であるので、装置の速度をさらに高めることができる。
【0011】
前記検査区域内での保持手段の運動は、特に限定されない。それは、処理デバイス全体と一緒であるか、または、保持手段のみが、例えば上下に移動するが、残りの処理デバイスが移動しないかのいずれかとすることができる。好ましくは、保持手段または前記処理デバイスは、前記検査区域内の前記容器を前記摩擦ホイールに接触させるために第1の軸線に沿って前後に移動可能である。これにより、振動をさらに抑えることができ、損傷をさらに防ぐことができる。このことは、検査速度を高める。
【0012】
好ましい実施形態では、処理デバイスは、前記容器を最初に第1の移送位置から検査区域に移送でき、次に前記検査区域から第2の移送位置に移送できるように回転可能である。加えてまたは代わりに、前記摩擦ホイール、前記保持手段および/または前記処理デバイス、好ましくは、前記処理デバイスは、前記検査区域内の前記容器を前記摩擦ホイールに接触させるために第1の軸線に沿って前後に移動可能である。
【0013】
概して、2つの運動は、概ね連続的に、連続的に、または同時に実行することができる。好ましい実施形態では、第1の移送位置から検査区域への前記処理デバイスの運動、すなわち「第1の運動」と、容器を摩擦ホイールに接触させるための保持手段および/または摩擦ホイールの運動、すなわち「第2の運動」とが、概ね連続的にまたは連続的に、より好ましくは連続的に実行される。
【0014】
用語「医薬品容器」は、特に特許請求の範囲では、好ましくは本明細書では、医療品を保管するために使用される容器を指す。医薬品容器は、シリンジ、バイアル、アンプル、カートリッジ、または任意の特殊な管物品とすることができる。本発明による装置によって検査される容器の直径は、4mm~80mm、好ましくは6mm~50mmの範囲であってよい。
【0015】
用語「長手方向軸線」は、特に特許請求の範囲では、好ましくは本明細書では、容器の底面から上面に通る線、特に回転軸線を指す。
【0016】
用語「検査区域」は、特に特許請求の範囲では、好ましくは本明細書では、容器が検査されるときに位置決めされる位置を取り囲んでいる区域を指す。
【0017】
本明細書では、医薬品円筒容器の側面は、容器の円筒部分の外面である。好ましくは、医薬品円筒容器の基面および上面と装置とが接触しない。検査中に容器をその側面を支持ホイール上に水平に置くことにより、容器の少なくともほぼ全体に光を当てることが可能となる。それゆえ、測定中に容器がその側面のみで保持手段および摩擦ホイールによって保持されている場合、医薬品円筒容器を少なくともほぼ陰影なしに検査することが可能となる。測定中に容器がその側面のみで保持手段および摩擦ホイールによって保持されている場合、容器の上部分および/または底部分を検査できる可能さえある。
【0018】
特に特許請求の範囲では、好ましくは本明細書では、第1の移送位置と第2の移送位置を同一の位置、または異なる位置とし得ることに留意されたい。
【0019】
表現「円筒容器」は、特に特許請求の範囲では、好ましくは本明細書では、少なくとも円筒部を備える容器を指す。例えば非円筒端部を備える、シリンジ、カープル、またはアンプルのような容器は、したがって円筒容器である。さらに、円筒容器の側面は、滑らかである必要はない。側面は、溝、隆起、しわ、または任意の他の構造を備えることができる。さらに、側面は、波状面を有することができる。
【0020】
本明細書では、前記第1の支持ホイールの回転軸線と前記容器の前記長手方向軸線とが第1の平面を規定し、前記第2の支持ホイールの回転軸線と前記容器の前記長手方向軸線とが第2の平面を規定する。当業者は、第1の平面と第2の平面が任意の角度で交差できることを理解するであろう。好ましい実施形態によれば、前記第1の平面と前記第2の平面は、45°~120°未満、好ましくは50°~90°、より好ましくは60°~80°、より好ましくは65°~75°の範囲にある角度で、最も好ましくは約70°の角度で交差する。45°未満の角度では、検査するには容器が振動しすぎる。さらに、容器が検査中に支持ホイールから落下するリスクがある。45°以上の角度では、落下のリスクが非常に低いが、支持ホイールによって遮られている容器の表面が最大となり、容器の検出可能区域も最大となる。120°を超える角度では、支持ホイールによって遮られている容器の表面が、容器の高速検査がほぼ不可能となるほど非常に大きい。50°~90°の角度では、支持ホイール上に位置している容器の振動が起きるが、容器の回転が、十分な検査を可能にするのに十分に滑らかである。60°~80°の範囲では、容器の検出可能表面が十分に大きく、容器の振動が、異なる種類の欠陥のすべてが短時間に検出可能となるほど十分に小さい。65°~75°の範囲の角度では、振動をほぼ無視でき、検出可能表面が、依然として容器の非常に小さな欠陥が最短時間で検出可能となるほど十分に大きい。特に、約70°、すなわち70°±1°の角度では、最短時間で、例えば、毎分60個の容器を超えるクロック周波数で、容器の検査が最高のクオリティで可能となり、毎分80個以上の容器でさえも可能となる。システムの安定性をさらに高めるために、摩擦ホイールの回転軸線と第1の支持ホイールの回転軸線との間の距離と、摩擦ホイールの回転軸線と第2の支持ホイールの回転軸線との間の距離とが等しいことが好ましい。摩擦ホイールが支持ホイールに対してセンタリングされて配置されることがさらに好ましい。容器の長手方向軸線が容器の直径に依存するので、支持ホイールの位置を変更できることが好ましい。これにより、検査される容器の直径に応じて上述の角度が上述の範囲内にあるように、支持ホイールを位置決めすることができる。さらに好ましい実施形態では、支持ホイールおよび/または摩擦ホイールは、異なる直径の容器を検査するべきときに、異なる直径の支持ホイールおよび/または摩擦ホイールを配置できるように交換可能である。当業者にとっては、支持された容器を検査位置に配置するように支持ホイールが位置決めされるときに、支持ホイールと摩擦ホイールの距離が、検査される容器の直径を規定することは自明である。
【0021】
好ましい実施形態によれば、処理デバイスは、3つの保持手段を備え、前記保持手段は、互いに120°の角度を成して円上に配置される。3つの保持手段を120°内の角度で配置することには、保持手段の1つを移送位置に、別の1つを検査区域に、別の1つを第2の移送位置に同時に配置できるという利点がある。それゆえ、高いクロック周波数を実現することができる。
【0022】
好ましい実施形態では、装置は、前記容器を前記第1の移送位置に搬送し、前記容器を前記処理デバイスから前記第2の移送位置にて受けるための搬送デバイスを備える。搬送デバイスを設けることには、処理デバイスのクロック周波数と同期して容器を供給できるという利点がある。
【0023】
好ましい実施形態では、装置は、搬送デバイス、第1の移送デバイスおよび第2の移送デバイスをさらに備える。前記搬送デバイスは、前記容器を前記第1の移送デバイスに搬送し、前記容器を前記第2の移送デバイスから受けるように構成される。さらに、前記第1の移送デバイスは、前記容器を前記搬送デバイスから取り、それを前記第1の移送位置に移送するように構成され、前記第1の移送デバイスは、前記容器を保持するための少なくとも1つの保持機構を備える。好ましくは、前記容器は、その側面で保持され、前記第1の移送デバイスは、前記容器を、前記第1の保持機構によって保持しているときに、前記第1の移送位置に持ってくるように回転可能である。加えて、前記第2の移送デバイスは、前記容器を前記処理デバイスから受けるように構成され、前記第2の移送デバイスは、前記容器を保持するための少なくとも1つの保持機構を備える。好ましくは、前記容器は、その側面で保持され、前記第2の移送デバイスは、前記容器が、好ましくはその側面で、搬送デバイス上に位置決めされるように、前記容器を前記第2の移送位置から前記搬送デバイスに移送できるように回転可能である。この構成には、容器を非常に高速で供給でき、移送デバイスが回転可能であるため、容器を傷付けたり、損傷させたりすることが防止されるという利点がある。
【0024】
好ましい実施形態によれば、前記第1の移送デバイスは、3つの保持機構を備え、前記保持機構は、互いに120°の角度を成して円上に配置される。加えてまたは代わりに、前記第2の移送デバイスは、3つの保持機構を備えることができ、前記保持機構は、互いに120°の角度を成して円上に配置される。この構成は、輸送速度が高く、かつ装置がコンパクトに構成されるので有利である。
【0025】
好ましい実施形態では、搬送デバイスはコンベヤベルトである。コンベヤベルトには、容易に構成および制御できるという利点がある。さらに、コンベヤベルトには、容器を、その側面を横置きで移送することができ、これによって、容器の落下が防止されるという利点がある。
【0026】
好ましい実施形態によれば、前記第1の移送デバイスの前記保持機構および/または前記第2の移送デバイスの前記保持機構および/または前記処理デバイスの前記保持手段が、吸引要素を備える。それゆえ、保持機構に容器を吸引することによって容器を容易に持ち上げることができる。さらに、容器は、移送中に、すなわち、移送デバイスまたは処理デバイスが回転または移動しているときに、前記吸引要素によって確実に保持される。
【0027】
概して、前記ホイールの前記容器に接触している表面について、任意の種類の材料、例えばポリマー、金属およびセラミックを使用することができる。好ましい実施形態によれば、前記支持ホイールの少なくとも前記容器に接触している表面および/または前記第1の移送デバイスの前記保持機構の少なくとも前記容器に接触している表面および/または前記第2の移送デバイスの前記保持機構の少なくとも前記容器に接触している表面および/または前記摩擦ホイールの前記容器に接触している表面が、前記容器上の傷を避けるために、また容器のスリップなしの加速および滑らかな回転を確実にするために、ポリマー、例えばポリオキシメチレンもしくはポリアセタール、または鋼、例えばボールベアリング鋼を含む。これらの材料のうちの1つ、好ましくはポリオキシメチレンまたはポリアセタールを使用することは、容器の損傷が防止され、また容器のスリップなしの加速および滑らかな回転を確実にすることができるので、有利である。
【0028】
好ましい実施形態では、前記保持手段または前記処理デバイスは、前記検査区域内の前記容器を前記摩擦ホイールに接触させるために第1の軸線に沿って前後に移動可能である。第1の軸線の前後の処理デバイスの運動は、装置の他の部品の運動と容易に同期させることができる。さらに、第1の軸線に沿った前後の運動は、簡単な手段で実現することができるので、装置の故障リスクが少なくとも軽減される。処理デバイス全体が移動可能である場合、装置の構成がさらに簡素化される。
【0029】
さらに好ましい実施形態によれば、前記第1の移送デバイスおよび前記第2の移送デバイス、好ましくは、前記処理デバイス、前記第1の移送デバイスおよび前記第2の移送デバイスは、前記第1の軸線に沿って前後に移動可能である。これは、輸送速度を高めるために移送デバイスの運動と処理デバイスの移動とを同期させることができるので、有利である。
【0030】
好ましい実施形態では、前記第1の移送デバイスは、第2の軸線に沿って前後に移動可能であり、かつ/または前記第2の移送デバイスは、第3の軸線に沿って前後に移動可能である。加えて、前記第1の軸線と前記第2の軸線は、30°~60°、好ましくは40°~50°の範囲の角度で、より好ましくは45°の角度で交差し、かつ/または前記第1の軸線と前記第3の軸線は、30°~60°、好ましくは40°~50°の範囲の角度で、より好ましくは45°の角度で交差する。上述の角度が、2つの線が交差するときに形成される2つの角度のうちの小さい方であることに留意されたい。
【0031】
好ましい実施形態によれば、少なくとも1つの駆動手段、好ましくはカムギヤおよび/または電気モータが、前記第1の移送デバイスおよび/または前記第2の移送デバイスおよび/または前記処理デバイスを前記第1の軸線に沿ってかつ/または前記第2の軸線に沿ってかつ/または前記第3の軸線に沿って移動させるように配置される。第1の移送デバイスおよび/または第2の移送デバイスの各保持機構が、例えば電気モータによって、個々に移動可能となる可能性がある。さらに、処理デバイスの各保持手段が、例えば電気モータによって、個々に移動可能であってもよい。これには、他の部品を伴わずに単一の部品毎に制御可能であるという利点がある。さらに、少なくとも第1の移送デバイス、少なくとも第2の移送デバイス、または少なくとも処理デバイスが、別個の駆動手段によって移動可能であってもよい。それゆえ、装置は、より単純になる。好ましい実施形態では、第1の移送デバイス、第2の移送デバイスおよび処理デバイスは、例えば前記第1の軸線に沿って、同じ駆動手段によって移動可能である。このために、移送デバイスと処理デバイスは、単一の構造、例えばボードの上に配置されてもよい。この構造は、カムドライブおよび/または電気モータまたは任意の同様の構成によって移動可能であってもよい。
【0032】
本発明が請求項1から15までのいずれか1項記載の装置と、少なくとも1つの医薬品円筒容器と、を備えるシステムにも関することに留意されたい。
【0033】
本発明の教示を有利な方法で設計し、さらに発展させるいくつかの方法がある。このために、一方では、特許請求項1に従属する特許請求項を、他方では、図面に示される本発明の実施形態の好ましい例の以下の説明を、参照されたい。図面を利用した本発明の好ましい実施形態の説明に関連して、概して好ましい実施形態および教示のさらなる発展が説明されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図4】一実施形態による装置の保持手段を概略側面図に示す。
【発明を実施するための形態】
【0035】
実施形態の以下の詳細な説明では、同じ参照数字が同様の構成要素を示す。より理解しやすくするために、図に示すすべての要素を常に参照数字とともに示すことはしない。
【0036】
図1は、一実施形態による装置の概略側面図を示す。装置は、処理デバイス1および摩擦ホイール2を備える。処理デバイス1は、ガラス製またはポリマー製の医薬品容器4を保持するための3つの保持手段3を備える。図示のように、容器4は、円形断面を有し、少なくともこの領域で円筒状に形成されている。保持手段3はそれぞれ、第1の支持ホイール5、第2の支持ホイール6および吸引要素7を備える。
【0037】
それゆえ、保持手段3は、容器4をその側面で保持するように構成される。さらに、矢印8で示すように、処理デバイス1は、容器4を最初に第1の移送位置9から検査区域10に移送でき、次に検査区域10から第2の移送位置11に移送できるように回転可能である。保持手段3または処理デバイス1および/または摩擦ホイール2は、検査区域10に位置している容器4を摩擦ホイール2に接触させるように、第1の軸線21の前後に移動可能である。摩擦ホイール2が容器4に接触しているときに、すなわち、検査位置にあるときに、容器4を、例えば摩擦ホイール2の回転により、容器の長手方向軸線24を中心として回転させることができる。したがって、容器4の表面全体を検査することができる。検査を完了した後に、処理デバイス1は、容器4を第2の移送位置11に移送するように、さらに回転させられる。
【0038】
図1は、3つの保持手段3が、互いに120°の角度を成して円上に配置されることをさらに示す。
【0039】
図2は、別の実施形態による装置の概略側面図を示す。装置は、
図1に関して説明したような処理デバイス1および摩擦ホイール2を備える。さらに、装置は、搬送デバイス12すなわちコンベヤベルト、第1の移送デバイス13および第2の移送デバイス14を備える。搬送デバイス12は、容器4を第1の移送デバイス13に移送し、さらに容器4を第2の移送デバイス14から受けるように構成される。
【0040】
第1の移送デバイス13は、容器4を搬送デバイス12から取り、それを第1の移送位置9に移送するように構成される。第1の移送デバイス13は、容器4を、好ましくはその側面で、保持するための3つの保持機構15を備える。容器4を確実に保持するために、各保持機構15は、容器4を確実に保持するための吸引要素16を備える。第1の移送デバイス13は、容器4を前記第1の移送位置9に移送できるように、矢印17Aで示すように回転可能である。
【0041】
第2の移送デバイス14は、容器4を処理デバイス1から受けるように構成される。さらに、第2の移送デバイス14は、容器4を、好ましくはその側面で、保持するための3つの保持機構18を備える。第2の移送デバイス14は、容器4を第2の移送位置11から搬送デバイス12に移送できるように、矢印17Bで示すように回転可能である。好ましくは、容器4は、その側面を搬送デバイス12上にして配置される。保持機構18はそれぞれ、容器4を確実に保持するための吸引要素19を備える。
【0042】
図2は、処理デバイス1、第1の移送デバイス13および第2の移送デバイス14が、すべてのデバイスが一緒に軸線21の前後に移動可能となるように、同じ構造20、例えばボードの上に配置されることをさらに示す。
【0043】
加えて、第1の移送デバイス13は、第2の軸線22の前後に移動可能であり、第2の移送デバイス14は、第3の軸線23の前後に移動可能である。第1の軸線21と第2の軸線22は、約45°の角度で交差する。加えて、第1の軸線21および第3の軸線23は、約45°の角度で交差する。第1の移送デバイス13の保持機構15は、互いに120°の角度を成して円上に配置される。また、第2の移送デバイス14の保持機構18は、互いに120°の角度を成して円上に配置される。
【0044】
図3は、別の実施形態による装置の概略側面図を示す。装置は、処理デバイス1および摩擦ホイール2を備える。
図1および
図2の実施形態とは対照的に、この処理デバイス1は、2つの保持手段3のみを備える。保持手段3はそれぞれ、第1の支持ホイール5、第2の支持ホイール6および吸引要素7を備える。
【0045】
矢印8で示すように、処理デバイス1は、容器4を最初に第1の移送位置9から検査区域10に移送できるように回転可能である。容器4を摩擦ホイール2に接触させるために、保持手段3または処理デバイス1および/または摩擦ホイール2は、第1の軸線21の前後に移動可能である。容器4の検査を完了した後に、処理デバイス1は、容器を検査区域10から、第1の移送位置9と同一である第2の移送位置11に持ってくるように回転させられる。
【0046】
図1~
図3に示す実施形態では、保持手段3または処理デバイス1および/または摩擦ホイール2が、第1の軸線21に沿って移動可能であるものとして記載されるが、運動は、線形運動である必要はない。これらの構成要素が非線形運動を果たすことも可能である。
【0047】
図示の実施形態に限定しているとは考慮されずに、
図4は、第1の支持ホイール5と第2の支持ホイール6との相互配置を示す役割を果たす。
図4は、容器4が第1の支持ホイール5および第2の支持ホイール6によって支持されることを示す。図示のように、前記第1の支持ホイール5の回転軸線25と容器4の長手方向軸線24とが、第1の平面26を規定する。加えて、第2の支持ホイール6の回転軸線27と容器4の前記長手方向軸線24とが、第2の平面28を規定する。第1の平面26と前記第2の平面28とは、所定の角度29で交差する。好ましい実施形態によれば、角度29は、45°~120°未満、好ましくは50°~90°、より好ましくは60°~80°、より好ましくは65°~75°の角度にわたっていて、最も好ましくは約70°の角度である。当業者は、長手方向軸線24の位置が容器の直径に依存することを理解するであろう。それゆえ、装置が、異なる直径の容器に使用される場合、第1および第2の支持ホイール5,6の位置を適合させる必要がある。
【0048】
図1~
図3に記載される実施形態はすべて、角度29が上述の範囲内にあるように配置された第1の支持ホイール5および第2の支持ホイール6を有する保持手段3を備えてもよい。
【0049】
前述の詳細な説明および関連する図面に提示された教示の利益を有する、多くの変更および本明細書に挙げられた本発明の他の実施形態が、本発明に関連する当業者には思い当たるであろう。したがって、本発明が、開示される特定の実施形態に限定されないことと、変更および他の実施形態が、添付の特許請求の範囲に含まれることを意図していることと、を理解されたい。特定の用語が本明細書で用いられるが、それらは、一般的な意味および説明的な意味のみで使用され、限定のために使用されるものではない。
【符号の説明】
【0050】
1 処理デバイス
2 摩擦ホイール
3 保持手段
4 容器
5 第1の支持ホイール
6 第2の支持ホイール
7 吸引要素
8 矢印(処理デバイス)
9 第1の移送位置
10 検査区域
11 第2の移送位置
12 搬送デバイス
13 第1の移送デバイス
14 第2の移送デバイス
15 保持機構(第1の移送デバイス)
16 吸引要素(第1の移送デバイス)
17A 矢印(第1の移送デバイス)
17B 矢印(第2の移送デバイス)
18 保持機構(第2の移送デバイス)
19 吸引要素(第2の移送デバイス)
20 構造
21 第1の軸線
22 第2の軸線
23 第3の軸線
24 長手方向軸線
25 回転軸線
26 第1の平面
27 回転軸線
28 第2の平面
29 角度