(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-18
(45)【発行日】2024-12-26
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理システム、情報処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
E04G 21/12 20060101AFI20241219BHJP
G06Q 50/08 20120101ALI20241219BHJP
【FI】
E04G21/12 105Z
E04G21/12 ESW
G06Q50/08
(21)【出願番号】P 2020145989
(22)【出願日】2020-08-31
【審査請求日】2023-08-17
(73)【特許権者】
【識別番号】396025447
【氏名又は名称】株式会社建設システム
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】立川 預嗣也
(72)【発明者】
【氏名】森田 真司
【審査官】吉村 庄太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-318257(JP,A)
【文献】特開2016-108846(JP,A)
【文献】特開平09-006834(JP,A)
【文献】特開2019-207530(JP,A)
【文献】特開2011-253484(JP,A)
【文献】特開2013-125383(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G 21/12
G06Q 50/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄筋コンクリート構造を有する構造物に係る配筋図の解析処理を行う情報処理装置であって、
少なくとも前記配筋図を含むデータを取得するデータ取得手段と、
前記データ取得手段から取得した前記配筋図のデータを処理し、少なくとも前記配筋図に記された鉄筋の配置に係る情報を解析する、配筋図解析手段と、
を有
し、
前記配筋図解析手段は、
前記配筋図に記された図形部分を一以上抽出する、図形抽出部と、
前記図形部分から、少なくとも鉄筋番号を含む鉄筋情報を抽出する、鉄筋情報抽出部と、
前記鉄筋情報によって特定される前記図形部分の鉄筋を示す線分を抽出するとともに、前記抽出された鉄筋情報と前記抽出された線分とを関連付ける、鉄筋線分関連付け部と、を備え、
前記鉄筋線分関連付け部は、前記鉄筋番号を示す図形に隣接する線分を検索し、当該鉄筋番号を示す図形に矢印形状の要素が存在する場合に、当該矢印形状が示す線分を前記鉄筋番号によって特定される鉄筋と判定して抽出するとともに前記鉄筋情報と関連付ける、
ことを特徴とする、情報処理装置。
【請求項2】
前記配筋図解析手段は、
前記図形部分に示された鉄筋の長さを、前記配筋図のデータに基づいて算出する鉄筋長算出部をさらに備える、
ことを特徴とする、請求項
1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
鉄筋コンクリート構造を有する構造物に係る配筋図の解析処理を行う情報処理装置であって、
少なくとも前記配筋図を含むデータを取得するデータ取得手段と、
前記データ取得手段から取得した前記配筋図のデータを処理し、少なくとも前記配筋図に記された鉄筋の配置に係る情報を解析する、配筋図解析手段と、
を有し、
前記配筋図解析手段は、
前記配筋図に記された図形部分を一以上抽出する、図形抽出部と、
前記図形部分から、少なくとも鉄筋番号を含む鉄筋情報を抽出する、鉄筋情報抽出部と、
前記鉄筋情報によって特定される前記図形部分の鉄筋を示す線分を抽出するとともに、前記抽出された鉄筋情報と前記抽出された線分とを関連付ける、鉄筋線分関連付け部と、
前記図形部分の鉄筋を示す線分が平行に複数存在する場合に、当該平行な複数の線分の間隔によって示される鉄筋の配置間隔に係る情報を算出する、鉄筋配置間隔算出部
と、を備える、
ことを特徴とする
、情報処理装置。
【請求項4】
前記鉄筋配置間隔算出部は、
前記図形部分において、前記平行な複数の線分の延長線上に寸法線があるか否かを検索し、寸法線を検出した場合には、当該寸法線に記された寸法値を抽出するとともに、該抽出した寸法値に基づいて、前記鉄筋の配置間隔に係る情報を算出する、
ことを特徴とする、請求項
3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記図形抽出部が抽出する図形部分には鉄筋の加工図が含まれ、
前記配筋図解析手段は、
前記図形抽出部が前記加工図を抽出した場合に、前記加工図に記された鉄筋番号に係る鉄筋の形状を前記加工図に記された形状として特定し、前記鉄筋情報と関連付ける、鉄筋形状特定部をさらに備える、
ことを特徴とする、請求項
1から
4のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記図形抽出部によって抽出された、複数の前記図形部分の情報、及び、前記鉄筋形状特定部によって特定された鉄筋形状の情報、に基づいて、前記複数の図形部分によって示される鉄筋構造の3次元モデルを生成する、3次元モデル生成手段、
をさらに有する、請求項
5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記データ取得手段が取得するデータには、鉄筋質量表が含まれており、
前記鉄筋質量表を解析して、前記鉄筋質量表の情報を取得する、鉄筋質量表解析手段をさらに有する、
ことを特徴とする、請求項1から
6のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
請求項1から
7のいずれか一項に記載の情報処理装置と、表示手段と、ユーザーからの入力を受け付ける入力手段と、を有する情報処理システム。
【請求項9】
情報処理装置を用いて鉄筋コンクリート構造を有する構造物に係る配筋図の解析を行う情報処理方法であって、
前記配筋図を含むデータを取得するデータ取得ステップと、
前記データ取得ステップで取得した前記配筋図のデータを処理し、少なくとも前記配筋図に記された鉄筋の配置に係る情報を解析する、配筋図解析ステップと
、を含
み、
前記配筋図解析ステップには、
前記配筋図に記された図形部分を一以上抽出する、図形抽出ステップと、
前記抽出した図形部分から、少なくとも鉄筋番号を含む鉄筋情報を抽出する、鉄筋情報抽出ステップと、
前記鉄筋情報によって特定される前記図形部分の鉄筋を示す線分を抽出するとともに、前記抽出された鉄筋情報と前記抽出された線分とを関連付ける、鉄筋線分関連付けステップと、がさらに含まれ、
前記鉄筋線分関連付けステップでは、前記鉄筋番号を示す図形に隣接する線分を検索し、当該鉄筋番号を示す図形に矢印形状の要素が存在する場合に、当該矢印形状が示す線分を前記鉄筋番号によって特定される鉄筋と判定して抽出するとともに前記鉄筋情報と関連付ける、
情報処理方法。
【請求項10】
情報処理装置を用いて鉄筋コンクリート構造を有する構造物に係る配筋図の解析を行う情報処理方法であって、
前記配筋図を含むデータを取得するデータ取得ステップと、
前記データ取得ステップで取得した前記配筋図のデータを処理し、少なくとも前記配筋図に記された鉄筋の配置に係る情報を解析する、配筋図解析ステップと、を含み、
前記配筋図解析ステップには、
前記配筋図に記された図形部分を一以上抽出する、図形抽出ステップと、
前記抽出した図形部分から、少なくとも鉄筋番号を含む鉄筋情報を抽出する、鉄筋情報抽出ステップと、
前記鉄筋情報によって特定される前記図形部分の鉄筋を示す線分を抽出するとともに、前記抽出された鉄筋情報と前記抽出された線分とを関連付ける、鉄筋線分関連付けステップと、
前記抽出した図形部分に示された鉄筋の長さを、前記配筋図のデータに基づいて算出する鉄筋長算出ステップと、
前記抽出した図形部分の鉄筋を示す線分が平行に複数存在する場合に、当該平行な複数の線分の間隔によって示される鉄筋の配置間隔に係る情報を算出する、鉄筋配置間隔算出ステップと、が
さらに含まれる
、
情報処理方法。
【請求項11】
前記図形抽出ステップで抽出する図形部分には鉄筋の加工図が含まれ、
前記配筋図解析ステップは、
前記図形抽出ステップで前記加工図を抽出した場合に、前記加工図に記された鉄筋番号に係る鉄筋の形状を前記加工図に記された形状として特定し、前記鉄筋情報と関連付ける、鉄筋形状特定ステップをさらに含む、
ことを特徴とする、請求項
9または10に記載の情報処理方法。
【請求項12】
前記図形抽出ステップで抽出した複数の前記図形部分の情報、及び、前記鉄筋形状特定ステップで特定した鉄筋形状の情報、に基づいて、複数の前記図形部分によって示される鉄筋構造の3次元モデルを生成する、3次元モデル生成ステップ、をさらに含む、
ことを特徴とする、請求項1
1に記載の情報処理方法。
【請求項13】
前記データ取得ステップにおいて取得するデータには、鉄筋質量表が含まれており、
前記鉄筋質量表を解析して、前記鉄筋質量表の情報を取得する、鉄筋質量表解析ステップをさらに含む、ことを特徴とする、請求項
9から1
2のいずれか一項に記載の情報処理方法。
【請求項14】
請求項
9から1
3のいずれか一項に記載の情報処理方法の各ステップを、情報処理装置に実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄筋コンクリート構造を有する構造物に係る配筋図の解析処理に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄筋コンクリート(Reinforced Concrete、以下RCともいう)構造物の建設工事において、正しい種類の鉄筋が、正しい間隔で、正確な本数配置されることは、コンクリートの耐久性および強度を確保する上で、最も重要な要素の1つである。
【0003】
このため、建設工事においては、工事の現地状況を踏まえて、設計図書の記載に誤りがないかを施工者が確認する設計照査や、設計図面で指示された種類の鉄筋が正しい本数、正しい間隔で配置されていることを検査する配筋検査が行われる。
【0004】
設計照査では、鉄筋の径、間隔、継ぎ手方法や継ぎ手位置鉄筋の加工形状、寸法、かぶり厚等を示す設計図書が設計計算書の結果を正しく反映しているかを確認するため、設計図面に示された鉄筋1本1本に対して、径、間隔、加工形状等を確認し、図面の整合性を確認しなければならない。
【0005】
また、配筋検査においては、検査の際、その検査対象箇所に、どのような種類の鉄筋が、何本、どのような間隔で配置されているのかを、設計図面を紐解き、配筋図から1本1本拾い出し検査書類にまとめる準備が必要となる。RC構造物の建設工事では、鉄筋の組み立てとコンクリートの打設を段階的に繰り返して施工するため、その都度当該作業を行わねばならず、その負担は軽視できるものではない。
【0006】
このような配筋検査を支援する方法として、例えば、撮影装置から取得した画像に基づいて鉄筋の情報を取得することにより、配筋検査を支援するシステムなどが提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2等)。しかしながら、これらの方法では、設計照査の効率化を支援することはできず、配筋検査に対しても、配筋図等の設計図面を紐解いて配筋検査の準備を行うことの支援にはならないという問題がある。
【0007】
一方、近年では、調査・設計段階から3次元モデルを導入し、施工、維持管理の各段階での3次元モデルへと連携、発展させることで、建設生産システムの業務効率化や高度化を目指した、CIM(Construction Information Modeling / Management)、BIM(Building Information Modeling)、が推進されている。
【0008】
しかしながら、土木工事は、予め定められた配筋のパターンを各箇所に配置していく建築工事と異なり、一品受注生産で現地合わせが必要という特性がある。即ち、設計条件や現地の状況により構造物の形状が異なることから、1本1本の鉄筋を図面で指定された不定の間隔で配置する必要がある。このため、土木の鉄筋工事は、非常にシステム化が難しい領域であるとされており、人力での作業が重視され、RC構造物の3次元モデル化は十分に進んでいない。
【0009】
また、ゼネコン等の公共工事の受注者が仮に多くの労力をかけてCIMモデル等の3次元モデルを作成できたとしても、主に鉄筋工事を施工する鉄筋業者は中小零細企業が多いことなどから3次元モデルを確認・編集するツールである高額な3次元CAD(computer-aided design)等の普及が進んでおらず、2次元CAD図面が一般的に用いられているという実態がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】特開2020-16088号公報
【文献】特開2018-173277号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は上記の事情に鑑みて発明されたものであり、2次元で記された設計図面に基づく情報処理により、設計照査、配筋検査準備作業を効率的に行うことを可能にする技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、上述した課題を解決するために、以下の構成を採用する。すなわち、本発明に係る情報処理装置は、
鉄筋コンクリート構造を有する構造物に係る配筋図の解析処理を行う情報処理装置であって、
少なくとも前記配筋図を含むデータを取得するデータ取得手段と、
前記データ取得手段から取得した前記配筋図のデータを処理し、少なくとも前記配筋図に記された鉄筋の配置に係る情報を解析する、配筋図解析手段を有することを特徴とする。
【0013】
なお、ここでいう配筋図とは、鉄筋の配置、数量等を示す図面であり、平面図、正面図、側面図、断面図等から構成される図面を指す。このように構成される情報処理装置によれば、2次元の配筋図に記された鉄筋の配置に係る情報を解析することができるため、当該解析された情報を用いて設計照査、配筋検査準備を効率的に行うことができる。
【0014】
また、前記配筋図解析手段は、
前記配筋図に記された図形部分を一以上抽出する、図形抽出部と、
前記図形部分から、少なくとも鉄筋番号を含む鉄筋情報を抽出する、鉄筋情報抽出部と、
前記鉄筋情報によって特定される前記図形部分の鉄筋を示す線分を抽出するとともに、前記抽出された鉄筋情報と前記抽出された線分とを関連付ける、鉄筋線分関連付け部と、を備えるものであってもよい。また、前記図形部分に示された鉄筋の長さを、前記配筋図のデータに基づいて算出する鉄筋長算出部をさらに備えていてもよい。
【0015】
なお、ここでいう「図形部分」には、平面図、正面図、側面図、断面図等の図の他、図中の矢印、寸法を示す寸法値、寸法線、なども含まれる。また、「鉄筋番号」とは、鉄筋の種類、径(及び加工形状)に対して付された番号のことである。このような構成を備えることにより、配筋図に示された様々な鉄筋に係る情報を解析して取得することが可能になるため、設計照査、配筋検査準備をより効率的に行うことが可能になる。
【0016】
また、前記配筋図解析手段は、
前記図形部分の鉄筋を示す線分が平行に複数存在する場合に、当該平行な複数の線分の間隔によって示される鉄筋の配置間隔に係る情報を算出する、鉄筋配置間隔算出部をさらに備えていてもよい。
【0017】
また、前記鉄筋配置間隔算出部は、前記図形部分において、前記平行な複数の線分の延長線上に寸法線があるか否かを検索し、寸法線を検出した場合には、当該寸法線に記された寸法値を抽出するとともに、該抽出した寸法値に基づいて、前記鉄筋の配置間隔に係る
情報を算出するものであってもよい。
【0018】
このような構成を備えることにより、配筋図に示された鉄筋の配置間隔に係る寸法を解析して取得することができるため、設計照査、配筋検査準備をより効率的に行うことが可能になる。
【0019】
また、前記図形抽出部が抽出する図形部分には鉄筋の加工図が含まれ、
前記配筋図解析手段は、
前記図形抽出部が前記加工図を抽出した場合に、前記加工図に記された鉄筋番号に係る鉄筋の形状を前記加工図に記された形状として特定し、前記鉄筋情報と関連付ける、鉄筋形状特定部をさらに備えるものであってもよい。
【0020】
ここで、「加工図」とは鉄筋の加工形状を示す図面である。これによると、加工図に基づいて鉄筋の形状が特定され、配筋図に示された鉄筋構造をより正確に解析することが可能になる。
【0021】
また、前記情報処理装置は、前記図形抽出部によって抽出された、複数の前記図形部分の情報、及び、前記鉄筋形状特定部によって特定された鉄筋形状の情報、に基づいて、前記複数の図形部分によって示される鉄筋構造の3次元モデルを生成する、3次元モデル生成手段、をさらに有していてもよい。
【0022】
このような装置構成によれば、2次元情報で記された配筋図等のデータに基づいて、対象となる構造物の形状を3次元で立体的に表現した3次元モデルを生成することができ、調査・設計段階から構造物の3次元モデルを容易に導入することが可能になる。
【0023】
また、前記データ取得手段が取得するデータには、鉄筋質量表が含まれており、
前記鉄筋質量表を解析して、前記鉄筋質量表の情報を取得する、鉄筋質量表解析手段をさらに有するものであってもよい。このような構成によると、鉄筋質量表から鉄筋に係る詳細な情報を取得し、部分図面等から得た鉄筋の情報と照合することで、より正確な解析を行うことが可能になる。
【0024】
また、本発明は、前記の各情報処理装置と、表示手段と、ユーザーからの入力を受け付ける、入力手段と、を有する情報処理システムとしても捉えることができる。また、情報処理装置は表示手段と入力手段が一体となった筐体を有するものであってもよい。
【0025】
また、本発明は、情報処理装置を用いて鉄筋コンクリート構造を有する構造物に係る配筋図の解析を行う情報処理方法であって、
前記配筋図を含むデータを取得するデータ取得ステップと、
前記データ取得手段から取得した前記配筋図のデータを処理し、少なくとも前記配筋図に記された鉄筋の配置に係る情報を解析する、配筋図解析ステップと
を含む、情報処理方法としても捉えることができる。
【0026】
また、前記配筋図解析ステップには、
前記配筋図に記された図形部分を一以上抽出する、図形抽出ステップと、
前記抽出した図形部分から、少なくとも鉄筋番号を含む鉄筋情報を抽出する、鉄筋情報抽出ステップと、
前記鉄筋情報によって特定される前記図形部分の鉄筋を示す線分を抽出するとともに、前記抽出された鉄筋情報と前記抽出された線分とを関連付ける、鉄筋線分関連付けステップと、
前記抽出した図形部分に示された鉄筋の長さを、前記配筋図のデータに基づいて算出す
る鉄筋長算出ステップと、
前記抽出した図形部分の鉄筋を示す線分が平行に複数存在する場合に、当該平行な複数の線分の間隔によって示される鉄筋の配置間隔に係る情報を算出する、鉄筋配置間隔算出ステップと、が含まれていてもよい。
【0027】
また、前記図形抽出ステップで抽出する図形部分には鉄筋の加工図が含まれ、
前記配筋図解析ステップは、
前記図形抽出ステップで前記加工図を抽出した場合に、前記加工図に記された鉄筋番号に係る鉄筋の形状を前記加工図に記された形状として特定し、前記鉄筋情報と関連付ける、鉄筋形状特定ステップをさらに含むものであってもよい。
【0028】
また、前記情報処理方法は、前記図形抽出ステップで抽出した複数の前記図形部分の情報、及び、前記鉄筋形状特定ステップで特定した鉄筋形状の情報、に基づいて、複数の前記図形部分によって示される鉄筋構造の3次元モデルを生成する、3次元モデル生成ステップ、をさらに含んでいてもよい。
【0029】
また、前記データ取得ステップにおいて取得するデータには、鉄筋質量表が含まれており、前記情報処理方法は、前記鉄筋質量表を解析して、前記鉄筋質量表の情報を取得する、鉄筋質量表解析ステップをさらに含むものであってもよい。
【0030】
また、本発明は、上記の各ステップを情報処理装置に実行させるためのプログラム、そのようなプログラムを非一時的に記録したコンピュータ読取可能な記録媒体として捉えることもできる。
【0031】
また、上記構成及び処理の各々は技術的な矛盾が生じない限り、互いに組み合わせて本発明を構成することができる。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、2次元で記された設計図面に基づく情報処理により、設計照査、配筋検査準備作業を効率的に行うこと可能にする技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】
図1は、実施形態1に係る配筋図解析装置の概略構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、実施形態1に係る配筋図解析装置の解析対象となる配筋図データの第1の説明図である。
【
図3】
図3は、実施形態1に係る配筋図解析装置の解析対象となる配筋図データの第2の説明図である。
【
図4】
図4Aは、実施形態1に係る配筋図解析装置の解析対象となる図面に対する解析処理を示す第1の説明図である。
図4Bは、実施形態1に係る配筋図解析装置1の解析対象となる図面に対する解析処理を示す第2の説明図である。
【
図5】
図5は、実施形態1に係る配筋図解析装置を用いて配筋検査準備のための情報を取得する処理の流れを示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、実施形態1に係る配筋図解析装置の解析処理中に行われるユーザー操作について説明する第1の図である。
【
図7】
図7は、実施形態1に係る配筋図解析装置が出力する画面表示を説明する図である。
【
図8】
図8は、実施形態2に係る配筋図解析装置の概略構成を示すブロック図である。
【
図9】
図9は、実施形態2に係る配筋図解析装置が作成する加工図テーブルの一例を示す図である。
【
図10】
図10は、実施形態2に係る配筋図解析装置が作成する加工図鉄筋情報テーブルの一例を示す図である。
【
図11】
図11は、実施形態2に係る配筋図解析装置が作成する鉄筋質量表テーブルの一例を示す図である。
【
図12】
図12は、実施形態2に係る配筋図解析装置による設計照査支援の処理の流れを示すフローチャートである。
【
図13】
図13は、実施形態2に係る配筋図解析装置による3次元モデル生成処理について説明する図である。
【
図14】
図14Aは、実施形態2に係る配筋図解析装置による、設計照査支援について説明する第1の図である。
図14Bは、実施形態2に係る配筋図解析装置による、設計照査支援について説明する第2の図である。
【
図15】
図15は、実施形態2に係る配筋図解析装置による3次元モデル合成の処理の流れを示すフローチャートである。
【
図16】
図16は、実施形態2に係る配筋図解析装置による3次元モデル合成の処理について説明する図である。
【
図17】
図17は、実施形態2の変形例に係る配筋図解析装置による、鉄筋質量表情報の編集画面の一例を示す図である。
【
図18】
図18Aは、実施形態2の変形例に係る配筋図解析装置の3次元モデル生成処理の際の表示画面の一例を示す第1の図である。
図18Bは、実施形態2の変形例に係る配筋図解析装置の3次元モデル生成処理の際の表示画面の一例を示す第2の図である。
【
図19】
図19は、実施形態3に係る配筋図解析システムの全体の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の具体的な実施形態について図面を参照して説明する。ただし、この実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0035】
<実施形態1>
(装置構成)
まず、
図1から
図7に基づいて、本実施形態に係る配筋図解析装置1について、説明する。配筋図解析装置1は、一般的なコンピュータにより構成される。即ち、配筋図解析装置1、読み込み専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)等の主記憶部、EPROM、ハードディスクドライブ(HDD)、リムーバブルメディア等の補助記憶部を有するコンピュータである。なお、配筋図解析装置1は、単一のコンピュータで構成されてもよいし、互いに連携する複数台のコンピュータによって構成されてもよい。また、配筋図解析装置1の機能の一部をネットワーク上のサーバ(クラウドサーバなど)により実現してもよい。
【0036】
図1は、配筋図解析装置1の概略を示すブロック図である。配筋図解析装置1は、例えば2次元CADなどの形式で表されたRC構造物の配筋図を含むデータを解析し、これによって得られた鉄筋に係る情報をユーザーに提供する。具体的には、
図1に示すように、制御部110、入力手段120(例えば、キーボード、マウス、タッチパネル、記憶媒体読取装置など)、液晶ディスプレイなどの表示手段を含む出力手段130、記憶手段140(例えば、ハードディスクドライブ、フラッシュメモリなど)、通信手段150(例えば、LANインターフェースボード、無線通信回路など)、を含んで構成される。
【0037】
制御部110は、配筋図解析装置1の制御を司る手段であり、例えばCPU(Cent
ral Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)などのプロセッサである。そして、配筋図の解析に係る機能モジュールとして、後述の、データ取得部111、図形抽出部112、鉄筋情報抽出部113、鉄筋線分関連付け部114、鉄筋長算出部115、鉄筋配置間隔算出部116、配筋検査支援部1111を備えている。
【0038】
記憶手段140には、図示しないが、読み込み専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)等の主記憶部と、EPROM、ハードディスクドライブ(HDD)、リムーバブルメディア等の補助記憶部とが含まれている。補助記憶部には、配筋図解析のための情報(例えば、配筋図から取得したデータ、予め登録されているデータなどの、データテーブル、各種閾値など)、オペレーティングシステム(OS)、各種プログラムなどが格納されている。そして、該格納されたプログラムを主記憶部の作業領域にロードして実行し、プログラムの実行を通じて各構成部等が制御されることによって、後述するような所定の目的を果たす機能部を実現することができる。
【0039】
次に、制御部110が備える各機能モジュールについて説明する。データ取得部111は、入力手段120又は通信手段150を介して、RC構造物に係る2次元で表現されたCADなどの配筋図のデータを取得する。
図2、
図3に、データ取得部111が取得する配筋図データの一例を示す。
図2、
図3に示すように、配筋図データには、配筋断面
図D、加工
図K、鉄筋質量表Sなどが含まれる。
【0040】
図形抽出部112は、データ取得部111が取得した2次元の配筋図のデータから、図面上に記載された図形部分を抽出する。なお、ここでいう「図形部分」には、平面図、正面図、側面図、断面図等の図の他、図中の矢印、寸法を示す寸法値、寸法線、なども含まれる。
【0041】
図形部分の抽出は、例えば、取得した図面のデータに対して適切なサイズの網目状罫線(メッシュ)を設定し、当該メッシュのマス内に図形要素(線分、テキスト情報等)が含まれるマス同士が隣接している領域の面積が所定値以上であれば、当該領域を図形として抽出するようにしてもよい。
図4に、図形部分抽出のイメージ図を示す。
図4Aが、対象となる図面にメッシュを設定した状態を示す図であり、
図4Bは、図形部分として抽出される箇所をハッチングで示した図である。
図4Bに示すように、図形要素を含むマスが2~3か所隣接していたとしても、当該領域は図形部分としては抽出されない。
【0042】
また、例えば公共工事の図面については、図面を構成するレイヤーの名称に一定のルールが定められているため、レイヤーの名称を図形部分抽出の判断に含めるようにしてもよい。具体的には、例えば表題欄など、抽出する必要のないレイヤーは事前に対象範囲から外しておくことで誤検出を抑止し、図形部分の抽出精度を向上させることができる。
【0043】
鉄筋情報抽出部113は、図形抽出部112が抽出した図形部分から、少なくとも鉄筋番号を含む鉄筋情報を抽出する。なお、ここでいう「鉄筋番号」とは、鉄筋の種類、径(及び加工形状)に対して付された番号のことである。
【0044】
鉄筋番号は配筋図において、円の中(はみ出る部分がある場合も含む)に記載されるため、鉄筋番号を含む鉄筋情報の抽出は、図面内の円の図形要素を検索することによって行なうようにしてもよい。即ち、円の図形要素の中にテキスト情報がある場合に、当該テキスト情報で示される番号を鉄筋番号として認識・抽出する。なお、鉄筋番号は作図者の好み等により、同じ文字要素で作図されている場合もあれば、別々の文字要素で作図されている場合もある。例えば、1つの文字として作図されるケース、文字が分割されているケース、数字が上下に分かれて記載されるケース、一部の文字が円からはみ出ているケース
、縦書きされているケース、などが存在する。このため、円に重なる文字はすべて鉄筋番号として、その配置関係から鉄筋番号を読み解くようにするとよい。
【0045】
また、鉄筋番号とともに、鉄筋の本数、径、長さ、が隣接して記されている場合もあるため、この場合、鉄筋情報抽出部113は、当該情報を図形部分から抽出するとともに鉄筋番号と紐付ける。具体的には、鉄筋番号を示す図形に隣接している文字を検索し、鉄筋番号(の文字)の回転角度の垂直方向の文字列の情報を抽出するとともに、抽出された文字のパターンを解析し、本数、径、長さ、の内、記載されている情報を鉄筋番号と紐づける。
【0046】
鉄筋線分関連付け部114は、図形部分から、鉄筋情報抽出部113が抽出した鉄筋情報によって特定される鉄筋を示す線分を抽出するとともに、当該線分と鉄筋情報とを関連付ける。具体的には、例えば、鉄筋番号を表す図形に隣接する線分を検索し、当該線分に重なる矢印形状の要素が存在する場合に、当該矢印の頂点に接する線分を、鉄筋情報(鉄筋番号)によって特定される鉄筋と判定して抽出するとともに、鉄筋情報と関連付けるようにしてもよい。なお、ここでいう矢印には様々な形状があり、斜めの一本の線分で表現されるものも含まれる。
【0047】
鉄筋長算出部115は、図形部分に示された鉄筋の長さを、前記配筋図のデータに基づいて算出する。具体的には、鉄筋を示す線分の寸法を示す寸法値が記載されている場合には、当該寸法値によって、鉄筋の長さを算出してもよい。また、線分の長さを直接示す寸法値が記載されていない場合であっても、他の構造物(鉄筋を含む)の寸法値を用いて、対象となる鉄筋の長さを算出するようにしてもよい。
【0048】
鉄筋配置間隔算出部116は、図形部分の鉄筋を示す線分が平行に複数存在する場合に、当該平行な複数の線分の間隔によって示される鉄筋の配置間隔に係る情報を算出する。具体的には、例えば、図形部分において平行な複数の線分の延長線上に寸法線があるか否かを検索し、寸法線を検出した場合には、当該寸法線に記された寸法値を抽出し、これに基づいて、鉄筋の配置間隔に係る情報を算出する。なお、寸法値と図面の配置から得られた値が異なる場合は、寸法値を正として鉄筋の配置を補正するようにしてもよい。
【0049】
配筋検査支援部1111は、解析した配筋図のデータに基づいて、配筋図のユーザーが指定した範囲の鉄筋に係る情報を表示する。
【0050】
(処理の流れ)
次に、配筋図解析装置1の使用方法の一例について説明する。上記のような配筋図解析装置1を用いることにより、配筋検査のための準備作業を効率的に行うことが可能になる。
図5は、配筋図解析装置1を用いて配筋検査準備のための情報を取得する処理の流れを示すフローチャートである。配筋図解析装置1は、例えば入力手段120を介したユーザーによる解析処理開始指示などをトリガーとして以下の処理を実行する。
【0051】
配筋図解析装置1は、まず、データ取得部111により、入力手段120、記憶手段140、通信手段150などを介して、RC構造物に係る配筋図のデータを取得する(S101)。次に、図形抽出部112により、ステップS101で取得したデータから、図形部分を一以上抽出する(S102)。さらに、鉄筋情報抽出部113により、ステップS102で抽出された図形部分から、少なくとも鉄筋番号を含む鉄筋情報を抽出する(S103)。次に、鉄筋線分関連付け部114により、ステップS103で抽出した鉄筋情報によって特定される鉄筋を示す線分を図形部分から抽出するとともに、当該線分と鉄筋情報とを関連付ける処理を行う(S104)。続けて、鉄筋長算出部115により、図形部分に示された鉄筋の長さを、ステップS101で取得したデータに基づいて算出する(S
105)。さらに、鉄筋配置間隔算出部116により、図形部分の平行な複数の線分の間隔によって示される鉄筋の配置間隔に係る情報を算出する(S106)。なお、これらの各ステップで抽出、算出されたデータは、記憶手段140に随時保存される。
【0052】
配筋図解析装置1は続けて、ユーザーから、検査範囲の選択指示を受け付ける(S107)。ユーザーは入力手段120を介して、検査範囲を選択する操作を行う。
図6に、表示画面に表示された配筋図に対して、ユーザーが検査範囲を選択する操作を行った状態の画面表示例を示す。
図6の、矩形の白抜き部分がユーザーの選択した範囲である。
【0053】
ステップS107でユーザーからの選択操作を受け付けると、配筋図解析装置1は配筋検査支援部1111により、ステップS102からステップS106で得た情報に基づいて、選択された範囲内に含まれる鉄筋の情報(配置間隔を含む)を、画面に表示する処理を行う。
図7に、指定された範囲の鉄筋情報が出力された状態の画面例を示す。ユーザーは、出力された結果を、検査簿等に出力する、クリップボードにコピーする、検査簿を管理する他のシステムに出力する等して、検査情報として利用することができる。
【0054】
以上のような構成の配筋図解析装置1によれば、2次元で記された設計図面に基づく情報処理により、配筋検査の準備作業を効率的に行うことが可能になる。なお、本実施形態においては、制御部110が、データ取得手段、配筋図解析手段、を兼ねる構成となっている。
【0055】
<実施形態2>
(装置構成)
次に、本発明の第2の実施形態に係る配筋図解析装置2について
図8から
図18を参照して説明する。
図8は、本実施形態に係る配筋図解析装置2の概略を示すブロック図である。なお、本実施形態に係る配筋図解析装置2は、実施形態1に係る配筋図解析装置1に対して多くの機能が付加されたものであるため、実施形態1と同様の構成、処理を示すものについては、同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0056】
図8に示すように、配筋図解析装置2は、鉄筋形状特定部117、鉄筋質量表解析部118、3次元モデル生成部119、設計照査支援部1112、3次元モデル合成部1113、の各機能モジュールを備える点において、配筋図解析装置1と異なっており、その他の点は、配筋図解析装置1と同様である。
【0057】
鉄筋形状特定部117は、図形抽出部112が加工図を抽出した場合に、該加工図に記された鉄筋番号に係る鉄筋の形状を加工図に記された形状として特定し、鉄筋情報と関連付け、記憶手段140にデータテーブルとして保存する。
図9に加工図テーブルとして保存されるデータテーブルの一例を、
図10に加工図鉄筋情報テーブルとして保存されるデータテーブルの一例を、それぞれ示す。
【0058】
鉄筋質量表解析部118は、データ取得部111が取得したデータから鉄筋質量表を検索するとともに解析し、当該鉄筋質量表の情報を取得する。具体的には、例えば、配筋図から輪郭が長方形である図形要素を検出し、当該長方形内に、記号、径、長さ、本数などの鉄筋質量表のタイトル文字が含まれるものを鉄筋質量表として抽出し、記憶手段140にデータテーブルとして保存する。
図11に鉄筋質量表テーブルとして保存されるデータテーブルの一例を示す。
【0059】
3次元モデル生成部119は、図形抽出部112によって抽出された複数の配筋断面図(図形部分)の情報、及び、鉄筋形状特定部117によって特定された鉄筋形状の情報、に基づいて、部位単位で3次元モデルを生成する。具体的には、複数の配筋断面図が示す
方向を特定し、配筋断面図に示されている鉄筋の3次元配置座標を算出し、各鉄筋の加工形状を適用することによって、3次元モデルを生成する。3次元モデル生成の詳細な方法は後に説明する。
【0060】
設計照査支援部1112は、鉄筋質量表解析部118が取得する鉄筋質量表情報と、鉄筋形状特定部117が取得する加工図情報又は3次元モデル生成部119が生成する3次元モデルから得られる鉄筋の情報とを比較し、表示装置に比較結果を出力する。ユーザーは当該比較結果を参照して、設計照査を行うことができる。
【0061】
3次元モデル合成部1113は、RC構造物の複数の部位の3次元モデルを合成するためのユーザーインターフェースを提供するとともに、ユーザーの指示に従って複数の部位の3次元モデルを合成し、一のRC構造物の3次元モデルを生成する。
【0062】
(設計照査支援のための解析処理)
次に、上記のような構成を有する配筋図解析装置2を用いて、設計照査支援のための処理を行う場合について説明する。
図12は、設計照査支援のための処理の流れを示すフローチャートである。
図12に示すように、ステップS101からステップS106までの処理は、実施形態1の場合と同様であるため、説明を省略する。
【0063】
配筋図解析装置2は、鉄筋形状特定部117により、加工図に記された鉄筋番号に係る鉄筋の形状を加工図に記された形状として特定し、鉄筋情報と関連付けて記憶手段140にデータテーブルとして保存する(S201)。次に、鉄筋質量表解析部118により、配筋図から鉄筋質量表を検索するとともに解析し、当該鉄筋質量表の情報を取得して記憶手段140にデータテーブルとして保存する(S202)。
【0064】
次に、配筋図解析装置2は、3次元モデル生成部119により、複数の配筋断面図によって示される部位の3次元モデルを生成し(S203)、記憶手段140に該3次元モデルを保存する(S204)。ここで、3次元モデル生成の具体的な例を説明する。
【0065】
まず、3次元モデル生成部119は、一の部位を示す複数の配筋断面図から、所定の面(例えば正面)を示す図を特定する。特定の方法は、ユーザーからの指示を受け付けるのでもよいし、所定のルールに従って、自動的に行うのであってもよい。次に特定された配筋断面図に図示された鉄筋番号を取得し、鉄筋長算出部115によって算出される当該鉄筋の長さを得る。そして、同じ部位を示す他の面の配筋断面図であって、先に特定された図面に記載された鉄筋番号と同じ鉄筋番号が示されている図形部分を検索し、当該図形部分の同じ鉄筋番号が付された鉄筋の長さを得る。そしてこれら両者の鉄筋長を比較し、同一の長さである場合には、先に特定された面を示す配筋断面図と、後に検索された配筋断面図とは、直角な方向に接する面の図であると判定し、3次元座標上に配置する。
【0066】
このようにして、全ての配筋断面図の方向を決定し、各鉄筋の3次元座標を求める。ここでは、複数の断面から得られる鉄筋の配置情報から、同一の鉄筋であると特定できた鉄筋についてのみ、3次元配置座標情報を持たせて鉄筋として認識する。
図13に、3次元に配置される3本の鉄筋と、正面(断面)図、平面(断面)図、側面(断面)図との関係を示す。
図13に例示するように、正面図鉄筋のX座標と平面図鉄筋のX座標が一致するか、正面図鉄筋のZ座標と側面図鉄筋のZ座標が一致するか、平面図鉄筋のY方向長さと側面図鉄筋のY方向長さが一致するかを確認して、同一の鉄筋であるか否かを判定する。
【0067】
さらに、3次元座標上に配置された鉄筋に対して、加工図に記載された形状を適用する処理を行う。断面図から鉄筋の情報を取得した場合には、複数の鉄筋が接した状態の形状なのか、1本の鉄筋が加工された形状なのか、判別不可能な場合がある。そのため、鉄筋
番号で紐づいた鉄筋の加工形状を適用することで、これらの差異を判別可能にする。
【0068】
なお、ここで生成される3次元モデルに、部材の情報(部材等の名称、形状、寸法、物性および物性値、数量、その他付与が可能な情報。以下、属性情報という。)を付与した、CIMモデルをさらに生成してもよい。
【0069】
設計照査支援のための処理の説明に戻ると、ステップS204で3次元モデルが保存された後は、配筋図解析装置2はユーザーからの照査用解析指示を待ち受ける状態となる。その後、ユーザーからの指示を受け付けると(S205)、設計照査支援部1112により、指示に従った解析を行い、その結果を画面に表示する(S206)。
【0070】
なお、照査用の解析は、鉄筋質量表の情報と、加工図情報から得た鉄筋の情報との比較を行う方法と、鉄筋質量表の情報とCIMモデルから抽出した鉄筋情報とを比較する方法の2通りがある。
図14に、これら2つの方法での解析結果表示画面例を示す。
図14Aが、加工情報から得た情報と比較したもの、
図14Bが、CIMモデルから抽出した鉄筋情報と比較したものである。表示された結果画面はプリントアウトして用いることもでき、ユーザーはこれらの出力された結果をもとに、照査を行うことができる。
【0071】
(3次元モデルの合成処理)
次に、配筋図解析装置2を用いて、生成された3次元モデルの合成を行う処理について説明する。
図15は、3次元モデルの合成のための処理の流れを示すフローチャートである。
図15に示すように、ステップS101からステップS204までの処理は、上述した処理と同様であるため、説明を省略する。
【0072】
配筋図解析装置2(3次元モデル合成部1113)は、複数の部位の3次元モデルが記憶手段140に保存されると、ユーザーの操作に従って、保存された部位毎の3次元モデルを表示するインターフェース(I/F)を画面に出力する(S301)。
図16に当該I/Fの画面例を示す。
図16に示すように、生成された部位毎のCIMモデルの一覧と、選択された部位のCIMモデルの詳細表示が表示される。ユーザーが合成する2つのCIMモデルを選択し、合成を指示ずるボタンを押下すると、3次元モデル合成部1113は合成指示を受け付け(S302)、合成された3次元モデルを生成する(S303)。
【0073】
以上説明したような配筋図解析装置2によれば、2次元で記された設計図面に基づく情報処理により、設計照査の作業を効率的に行うことが可能になる。また、2次元で記された設計図面から、対象となる構造物の3次元モデルを生成することができ、ユーザーはこれを、調査、設計、施工、維持・管理の各段階で活用することができる。なお、本実施形態においては、制御部110が、データ取得手段、配筋図解析手段に加え、鉄筋質量表解析手段、3次元モデル解析手段を兼ねる構成となっている。
【0074】
(変形例)
なお、上記の配筋図解析装置2において、配筋図から各種の情報を抽出する際に、ユーザーが確認・編集を行えるようになっていてもよい。具体的には、例えば、鉄筋質量表解析部118が、配筋図から鉄筋質量表を検索して情報を抽出する際には、鉄筋質量表と判定した図形部分の位置が正しいか(領域の不足又は過剰を含む)を、ユーザーが確認・修正できるように、確認画面を表示するようにしてもよい。また、取得した鉄筋質量表の(テキスト)情報を、編集可能な態様で表示する画面を表示するようにしてもよい。
図17に、このような鉄筋質量表情報の編集画面の一例を示す。
【0075】
また、配筋断面図には、
図6に示すように、2層の断面を半面に分割して1つの断面図として表現することがあるが、このような2断面が1つにまとめられているような配筋断
面図から、3次元モデルを生成するための機能を備えるようにしてもよい。具体的には、このような半面2層の配筋断面図を分割したうえで反転複写し、全面1層の断面
図2つに置き換える処理を行うようにすることができる。
図18に、配筋断面図を分割、反転複写する際に表示される画面の一例を示す。
図18Aは、配筋断面図を分割する位置と向きを設定する画面の一例を示し、
図18Bは、断面図を分割、反転複写した結果を示す画面の一例を示している。このような処理を行うことで、2断面が1つにまとめられているような配筋断面図からでも、3次元モデルを生成することが可能になる。
【0076】
<実施形態3>
次に、
図19を参照して、本発明の第3の実施形態について説明する。
図19は、本実施形態に係る配筋図解析システム3の全体の構成を示すブロック図である。配筋図解析システム3は、センターサーバ20と、情報処理端末30とが、通信ネットワークNを介して接続される構成となっている。なお、通信ネットワークNには、例えば、インターネット等の世界規模の公衆通信網であるWAN(Wide Area Network)やその他の通信網が採用されてもよい。また、通信ネットワークNは、携帯電話等の電話通信網、Wi-Fi(登録商標)等の無線通信網を含んでもよい。
【0077】
センターサーバ20は、一般的なサーバコンピュータにより構成され、制御部210、記憶手段240、通信手段250を備えている。
【0078】
制御部210はセンターサーバ20の制御を司る手段であり、例えば、CPUなどによって構成される。また、制御部210は、データ取得部211、図形抽出部212、鉄筋情報抽出部213、鉄筋線分関連付け部214、鉄筋長算出部215、鉄筋配置間隔算出部216、配筋検査支援部2111の各機能部を備えている。
【0079】
記憶手段240は、上述したような、EPROM、HDDなどによって構成され、オペレーティングシステム(OS)、各種プログラム、各種テーブル、その他、通信ネットワークNを介して取得する各種データが格納される。
【0080】
通信手段250は、センターサーバ20を通信ネットワークNに接続するための通信手段であり、例えばLANインターフェースボードや、無線通信のための無線通信回路を含んで構成される。
【0081】
情報処理端末30は、一般的なコンピュータで構成され、入力手段301、通信手段302、出力手段303を備えている。情報処理端末30は、据え置き型の端末、可搬型の端末のいずれであっても構わない。
【0082】
入力手段301は、例えば、キーボード、マウス、タッチパネル、カメラ、マイクなど、外部からの情報入力を受け付ける手段である。また、通信手段302は、例えばLANインターフェースボードや、無線通信のための無線通信回路を含んで構成される。また、出力手段303は、液晶ディスプレイ、スピーカーなどを含んで構成される。
【0083】
本実施形態に係る配筋図解析システム3における、データ取得部211、図形抽出部212、鉄筋情報抽出部213、鉄筋線分関連付け部214、鉄筋長算出部215、鉄筋配置間隔算出部216、配筋検査支援部2111の各機能部は、実施形態1に係る配筋図解析装置1の機能部と概ね同様であるが、配筋図のデータ取得等の入力、及び、解析結果のアウトプット等の出力が、通信ネットワークNを経由して行われる点において異なっている。
【0084】
具体的には、例えば、情報処理端末30の入力手段301を介してユーザーから入力さ
れた配筋図のデータが通信ネットワークNを介してセンターサーバ20に送信されることによって、データ取得部211が配筋図データを取得する。即ち、本実施形態に係る配筋図解析システム3は、実施形態1に係る配筋図解析装置1を部分的にクラウド化したものである。
【0085】
本実施形態に係る配筋図解析システム3によって、配筋検査のための鉄筋の情報を出力しようとする場合は、ユーザーは情報処理端末30により、センターサーバ20にデータの送信、指示内容の入力を行う。
【0086】
このようにして、ユーザーの指示を受け付けた配筋検査支援部2111は、選択された範囲内に含まれる鉄筋の情報(配置間隔を含む)を、通信手段250、通信ネットワークNを介して情報処理端末30に送信し、ユーザーは情報処理端末30の出力手段303によって、鉄筋情報の確認を行う。
【0087】
このような構成を有する配筋図解析システム3であれば、システムの運用者がセンターサーバ20を設置することで、個別のユーザーは専用の端末(プログラム)を用意することなく、所望の配筋図の解析処理の結果を享受することが可能になる。
【0088】
<その他>
上記の各例の説明は、本発明を例示的に説明するものに過ぎず、本発明は上記の具体的な形態には限定されない。本発明は、その技術的思想の範囲内で種々の変形及び組み合わせが可能である。
【0089】
例えば、実施形態2に係る配筋図解析装置2の各機能部の一部又は全部を、実施形態3に係る配筋図解析システム3のようにクラウド化するのであってもよい。また、取得する配筋図のデータは、図形部分とテキスト部分を判別して読み取り可能なデータ形式であれば、必ずしもCAD図面に限られない。
【符号の説明】
【0090】
1、2・・・配筋図解析装置
3・・・配筋図解析システム
110、210・・・制御部
111、211・・・データ取得部
112、212・・・図形抽出部
113、213・・・鉄筋情報抽出部
114、214・・・鉄筋線分関連付け部
115、215・・・鉄筋長算出部
116、216・・・鉄筋配置間隔算出部
117・・・鉄筋形状特定部
118・・・鉄筋質量表解析部
119・・・3次元モデル生成部
120、301・・・入力手段
130、303・・・出力手段
140、240・・・記憶手段
150、240、302・・・通信手段
1111、2111・・・配筋検査支援部
1112・・・設計照査支援部
1113・・・3次元モデル合成部
D・・・配筋断面図
K・・・加工図
S・・・鉄筋質量表
N・・・通信ネットワーク