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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-18
(45)【発行日】2024-12-26
(54)【発明の名称】ソファー
(51)【国際特許分類】
   A47C 17/02 20060101AFI20241219BHJP
   A47C 17/86 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
A47C17/02 Z
A47C17/86
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020162783
(22)【出願日】2020-09-29
(65)【公開番号】P2022055383
(43)【公開日】2022-04-08
【審査請求日】2023-09-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000152228
【氏名又は名称】株式会社内田洋行
(74)【代理人】
【識別番号】100107113
【弁理士】
【氏名又は名称】大木 健一
(72)【発明者】
【氏名】藤森 泰司
(72)【発明者】
【氏名】安川 流加
(72)【発明者】
【氏名】岡本 安都夫
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 治宣
(72)【発明者】
【氏名】松井 香代子
(72)【発明者】
【氏名】秋田 美紀
【審査官】齊藤 公志郎
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-037896(JP,A)
【文献】米国特許第06796614(US,B1)
【文献】米国特許第09066594(US,B1)
【文献】実公昭40-20690(JP,Y1)
【文献】実開昭49-24520(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47C 11/00-02
A47C 17/00-86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数人分の着座用の座面領域を有する座部に、一人分の背中に接する背面領域を有する背もたれ部を複数配列してなるソファーにおいて、
複数の前記背もたれ部は、それぞれ、板状であり、かつ、互いに交差する背面領域と取付領域とに分けられ、
複数の前記背もたれ部は、それぞれ、前記取付領域の部分で前記座部に固定されて立設されるとともに、前記背面領域の端が略一直線に並ぶように配列され、
隣接する2つの前記背面領域の側面同士が連結部材により連結され
隣接する2つの前記背面領域の対向する縁には、それぞれ同じ位置に括れ部が設けられ、配列状態において前記括れ部同士により開口が形成され、
前記連結部材は、表面及び裏面から前記開口の周囲を挟むことにより隣接する前記背もたれ部の側面同士を連結するように構成されていることを特徴とするソファー。
【請求項2】
前記座面領域の縁のうちで前記背もたれ部が設けられていない部分に、板状であり、かつ、互いに交差する背面領域と取付領域とに分けて作成される肘掛け部を立設することを特徴とする請求項1記載のソファー。
【請求項3】
さらに、前記座部の前記座面領域に載置される座クッションと、前記背もたれ部の前記背面領域に載置される背クッションとを備え、
前記背クッションには帯状部材が設けられており、前記帯状部材は前記座クッションと前記背もたれ部により挟持されるように構成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のソファー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一人分の背もたれ部を複数備えるソファーに関し、特に、複数の背もたれ部の配列を揃えて美観を向上させることのできるものに関する。
【背景技術】
【0002】
背もたれがあり、クッションの利いた長椅子であるソファーにはさまざまなものがある。三人がけの大きくゆったりしたもの、肘掛けがあり革製で高級感のあるもののほか、一人がけから三人がけなどさまざまなバリエーションを実現できる組み替え式のものがある(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実用新案登録3206400号公報
【文献】特開2017-47115号公報
【文献】実用新案登録3220172号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ソファーは、特許文献にも記載のように背もたれ部が厚く立派なものが多い。他方、軽量化や省スペースなどの観点から背もたれ部を薄板で製作することがある。また、バリエーション展開を考えると組立式とし、背もたれ部などの取り付けの有無を選択できるようにすることが考えられる。
【0005】
薄い板状の背もたれ部を後付で複数取り付ける場合、背もたれ部を完全に同一の寸法及び形状で製造することは実際上難しいため、それらの上端が一列に揃わないことがある。特許文献2、3のように背もたれ部が厚い場合は数ミリ程度ずれてもさほど目立たないが、薄い板状の背もたれ部の場合は数ミリの誤差でも肉眼で配列の乱れを認識でき、製品品質を損なうおそれがある(図13参照、背もたれ部の食い違いが認識できる)。前述のように背もたれ部の製作誤差を完全に無くすことは困難であり、また工作精度を上げることはコストアップにつながる。
【0006】
この発明は、上記問題点を解決するためになされたもので、バリエーション展開を容易にしつつ、複数の背もたれ部の配列を揃えて美観を向上させることのできるソファーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、複数人分の着座用の座面領域を有する座部に、一人分の背中に接する背面領域を有する背もたれ部を複数配列してなるソファーにおいて、
複数の前記背もたれ部は、それぞれ、板状であり、かつ、互いに交差する背面領域と取付領域とに分けられ、
複数の前記背もたれ部は、それぞれ、前記取付領域の部分で前記座部に固定されて立設されるとともに、前記背面領域の端が略一直線に並ぶように配列され、
隣接する2つの前記背面領域の側面同士が連結部材により連結されていることを特徴とするものである。
【0008】
隣接する2つの前記背面領域の対向する縁には、それぞれ同じ位置に括れ部が設けられ、配列状態において前記括れ部同士により開口が形成され、
前記連結部材は、表面及び裏面から前記開口の周囲を挟むことにより隣接する前記背もたれ部の側面同士を連結するように構成してもよい。
【0009】
前記座面領域の縁のうちで前記背もたれ部が設けられていない部分に、板状であり、かつ、互いに交差する背面領域と取付領域とに分けて作成される肘掛け部を立設するようにしてもよい。
【0010】
さらに、前記座部の前記座面領域に載置される座クッションと、前記背もたれ部の前記背面領域に載置される背クッションとを備え、
前記背クッションには帯状部材が設けられており、前記帯状部材は前記座クッションと前記背もたれ部により挟持されるように構成してもよい。
【発明の効果】
【0011】
本願発明によれば、隣接する2つの前記背面領域の側面同士を連結部材で連結するので、複数の背もたれ部の配列を揃えて美観を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本件ソファーの斜視図である。
図2】上から順に、本件ソファーの平面図、正面図及び底面図である。
図3】上は本件ソファーの背面図、下左は左側面図、下右は右側面図である。
図4】クッションを外した本件ソファーの斜視図である。
図5】上から順に、クッションを外した本件ソファーの平面図、正面図及び底面図である。
図6】上はクッションを外した本件ソファーの背面図、下左は左側面図、下右は右側面図である。
図7】本件ソファーのバリエーション展開の説明図である。
図8】(a)は背もたれ部に取り付けた状態の連結部材の斜視図、(b)はその分解斜視図である。
図9】上は背もたれ部の連結部材の取り付け部分の拡大図、下は当該部分に連結部材を取り付けた状態の拡大図である。
図10図9のA-A矢視断面図である。
図11図9のB-B矢視断面図である。
図12図10のC-C矢視断面図である。
図13】背もたれクッションの背面を示す図(写真)、連結部材は取り付けていない。
図14】背もたれクッションの取付状態を示す図(写真)、連結部材は取り付けていない。
図15】背もたれクッションの取付状態を示す断面図(陰線表示)である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
発明の実施の形態について、図面を参照して説明を加える。
【0014】
図1乃至図6は本件ソファーを示す図である。ソファーのクッションは脱着自在であり、図1乃至図3はクッションを載置又は取り付けた状態を示し、図4乃至図6はクッションを外した状態を示す。クッションの有無を除き図1乃至図3図4乃至図6と同じである。図1乃至図6は三人掛けのハイバックソファーを示すが、本件ソファーは一人掛けや二人掛けのソファーにも適用できる(図7参照)。
【0015】
図1乃至図6に示すように、本件ソファーは複数人分の着座用の座面領域を有する座部1に、それぞれ一人分の背中に接する背面領域を有する複数(3つ)背もたれ部2と、肘掛け部3とを設けたものである。背もたれ部2及び肘掛け部3は組み立ての際に取捨選択が可能であり、必要に応じて一部又は全部の背もたれ部2や肘掛け部3を取り付けないようにすることもできる(図7参照)。
【0016】
座部1の下面(裏面)には2本の角パイプからなるフレーム11が取り付けられている。2本の角パイプの両端には約90度に交差する短い2本の角パイプがそれぞれ接続されている。短い角パイプの先にはそれぞれ脚部4が取り付けられている。
【0017】
座部1の上には座クッションC1が載置され、背もたれ部2及び肘掛け部3の正面側には背もたれクッションC2及び肘掛けクッションC3が載置される(図1乃至図3)。
【0018】
背もたれ部2は、それぞれ、例えば合板のような板状部材を90度程度(図の例では約80度)曲げることで背面領域(長い部分)2aと取付領域(短い部分)2bとに分けて作成される。言い換えれば、背面領域2aと取付領域2bは交差するように作成される。背もたれ部2は、取付領域2bの部分で座部1に固定されて立設される(図5参照、符号12は取付穴を示す)。3つの背もたれ部2は、それらの背面領域2aの上端が略一直線に並ぶように配列される(図5の平面図及び正面図参照)。
【0019】
図7は、本件ソファーのバリエーション展開の説明図である。座部1は、一人用の小さなもの、二人用の中程度のもの、三人用の大きなものが用意されている。座クッションC1も同様である。それぞれの座部1に対して任意の数の背もたれ部2と肘掛け部3を取り付けることができる。背もたれのない背無、肘掛けのない肘無し、肘掛けが無くしかもクッションが少なく座部1の一部がテーブル状になっている肘無付き、肘掛けが片方にある片肘、テーブル状で肘掛けのある片肘付き、肘掛け付きで片側に背もたれ部が取り付けられていないカウチ、などのバリエーションがある。中間の背もたれ部を取り付けないことでソーシャルディスタンス(着座者の間隔を開けること)を促すようにもできる。
【0020】
本件ソファーの背もたれ部2は、軽量化のために合板を曲げて作成した木製であるが、その他、樹脂で成型品として作成した合成樹脂製、あるいは、金属板を曲げて作成した金属製とすることも可能である。背もたれ部2は曲がった板状であるので、いずれの製法においても多少の歪みが生じ、その左右で角度が揃わないことがある。このため一般的には、背もたれ部2を座部1に取り付けただけではそれらの上端が略一直線に並ぶようにはならない。配列に乱れがあると美観を損なうおそれがある。
【0021】
配列の乱れを無くすために、本件ソファーでは、連結部材5により隣接する背もたれ部2同士、具体的には背面領域2aの対向する側面同士を、その面を緩み無く挟み込むように連結している。連結部材5自体もガタがないように構成されている。連結部材5は、隣接する背面領域2aの側面に多少の食い違いが生じていても、背面領域2aの側面を挟み込むことでそれを修正している。
【0022】
図8乃至図12を参照して連結部材5について説明を加える。
連結部材5は、例えば樹脂で成型品として作成した合成樹脂製の連結部材前面部51と連結部材背面部52とからなる(図8参照)。連結部材前面部51は、図示しない止めねじあるいはボルトの貫通孔51a、連結部材背面部52と係合する突起部51b、突起部51bよりも広くその部分で背もたれ部2を押さえる前面鍔部51cとを備える。連結部材背面部52は、図示しない止めねじあるいはボルトの貫通孔52a、連結部材前面部51の突起部51bを受け入れる凹部52b、背もたれ部2の括れ部21に係合する括れ部係合部52d、括れ部係合部52dよりも広くその部分で背もたれ部2を押さえる背面鍔部52cとを備える。前面鍔部51cと背面鍔部52cで隣接する背面領域2aの側面を挟み込む(図10図11参照)。
【0023】
背もたれ部2の背面領域2aの縁には括れ部21が設けられている(図9の上図参照)。括れ部21はいずれも同じ位置に設けられている。背もたれ部2を取り付け配列した状態において隣接する2つの背面領域2aの括れ部21により、開口(貫通孔)Hが形成される。この開口Hに連結部材5が嵌め込まれる(図9の下図参照)。これにより背もたれ部2同士が連結され、3つの背もたれ部2が略一直線に並ぶようになる(図5の平面図、図11参照)。
【0024】
括れ部係合部52dの外周は、背面領域2aの括れ部21により形成される開口Hの形状に対応している(図12参照)。裏面から連結部材背面部52を開口Hに挿入し、正面から連結部材前面部51を挿入し、その突起部51bを連結部材背面部52の凹部52bに嵌入する(図11参照)。貫通孔51a、52aに図示しない止めネジやボルトを入れて締め付けることにより連結部材5は背もたれ部2を挟み込む。
【0025】
上記構成により、連結部材5は、連結部材前面部51により表面から、連結部材背面部52により裏面から、背面領域2aの括れ部21により形成される開口Hの周囲を挟むことにより、隣接する背もたれ部2の側面同士を連結し、背もたれ部2が略一直線に並ぶようになる。
【0026】
本件ソファーのクッションはいずれも脱着可能である。背もたれクッションC2については、意図しない脱落を避けるための部材が設けられている。図13乃至図15を参照して説明を加える。
【0027】
背もたれクッションC2には帯状部材6が取り付けられている(図13参照)。帯状部材6は例えば布製である。その先端部61は、帯状部材6の部分よりも厚くなっている。先端部61が背もたれ部2と座クッションC1の間に挟まり(図14及び図15参照)、背もたれクッションC2が外れにくくなる。
【0028】
本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0029】
1 座部
11 フレーム
12 取付穴
2 背もたれ部
2a 背もたれ部の背面領域
2b 背もたれ部の取付領域
21 括れ部
3 肘掛け部
3a 肘掛け部の背面領域
3b 肘掛け部の取付領域
4 脚部
5 連結部材
51 連結部材前面部
51a貫通孔
51b突起部
51c前面鍔部
52 連結部材背面部
52a貫通孔
52b凹部
52c背面鍔部
52d括れ部係合部
6 帯状部材
61 先端部
C1 座クッション
C2 背もたれクッション(背クッション)
C3 肘掛けクッション
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図15