(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-18
(45)【発行日】2024-12-26
(54)【発明の名称】通信環境情報提供システム、通信環境情報提供方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
H04W 16/18 20090101AFI20241219BHJP
H04B 17/391 20150101ALI20241219BHJP
H04W 4/024 20180101ALI20241219BHJP
【FI】
H04W16/18 110
H04B17/391
H04W4/024
(21)【出願番号】P 2020172807
(22)【出願日】2020-10-13
【審査請求日】2023-10-12
(31)【優先権主張番号】P 2020010818
(32)【優先日】2020-01-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】303046244
【氏名又は名称】旭化成ホームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100189337
【氏名又は名称】宮本 龍
(72)【発明者】
【氏名】藤川 無学
(72)【発明者】
【氏名】鷹田 良樹
【審査官】中村 信也
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第09131403(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0303138(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0312774(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0123906(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 17/391
H04B 7/24-7/26
H04W 4/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも建物内の無線通信環境を示す情報を提供する通信環境情報提供システムであって、
前記建物内に配置された送信機器によって送信される電波の受信に適している受信推奨エリアを示す情報を取得する受信推奨エリア情報取得部と、
前記建物内の間取りを示す情報
と、前記送信機器によって送信される電波の受信を妨害する設備である受信妨害設備の個体情報が含まれる情報である前記建物の仕様を示す情報とを取得する間取り情報取得部と、
前記間取り情報取得部によって取得された前記建物の仕様を示す情報に基づいて、前記送信機器によって送信される電波の受信が妨害される受信妨害エリアを推定するものであって、前記間取り情報取得部によって取得された前記受信妨害設備の個体情報に基づいて、前記受信妨害エリアの大きさおよび形状を設定する受信妨害エリア推定部と、
前記受信妨害エリア推定部によって推定された前記受信妨害エリアを示す情報を取得する受信妨害エリア情報取得部と、
前記間取り情報取得部によって取得された前記間取りを示す情報と、前記受信推奨エリア情報取得部によって取得された前記受信推奨エリアを示す情報と
、前記受信妨害エリア情報取得部によって取得された前記受信妨害エリアを示す情報とに基づいて、前記間取りと前記受信推奨エリアと
前記受信妨害エリアとを重ね合わせて出力する出力部とを備える
通信環境情報提供システム。
【請求項2】
前記出力部は、前記間取りと前記受信推奨エリアとを重ね合わせた平面図を出力する、
請求項1に記載の通信環境情報提供システム。
【請求項3】
前記出力部は、前記間取りの鉛直断面を示すものと前記受信推奨エリアとを重ね合わせた鉛直断面図を出力する、
請求項1に記載の通信環境情報提供システム。
【請求項4】
前記出力部は、前記間取りを3次元化したものと前記受信推奨エリアとを重ね合わせた3次元モデルを出力する、
請求項1に記載の通信環境情報提供システム。
【請求項5】
前記間取り情報取得部は、前記間取りを示す情報を取得すると共に、前記建物内に配置される前記送信機器に関する情報を取得し、
前記間取り情報取得部によって取得された前記送信機器に関する情報に基づいて、前記受信推奨エリアを推定する受信推奨エリア推定部を備え、
前記受信推奨エリア情報取得部は、前記受信推奨エリア推定部によって推定された前記受信推奨エリアを示す情報を取得する、
請求項1に記載の通信環境情報提供システム。
【請求項6】
前記間取り情報取得部によって取得される前記送信機器に関する情報には、前記送信機器の設置位置および個体情報が含まれ、
前記受信推奨エリア推定部は、前記間取り情報取得部によって取得された前記送信機器の設置位置および個体情報に基づいて、前記受信推奨エリアの位置および大きさを設定する、
請求項
5に記載の通信環境情報提供システム。
【請求項7】
前記間取り情報取得部は、前記間取りを示す情報を取得すると共に、前記建物の壁および床における電波の透過率および反射率を示す情報を取得し、
前記間取り情報取得部によって取得された前記建物の壁および床における電波の
透過率および反射率を示す情報に基づいて、前記受信推奨エリアを推定する受信推奨エリア推定部を備え、
前記受信推奨エリア情報取得部は、前記受信推奨エリア推定部によって推定された前記受信推奨エリアを示す情報を取得する、
請求項1に記載の通信環境情報提供システム。
【請求項8】
前記送信機器によって送信された電波を受信する受信機器に関する情報を取得する受信機器情報取得部を備え、
前記出力部は、前記間取り情報取得部によって取得された前記間取りを示す情報と、前記受信推奨エリア情報取得部によって取得された前記受信推奨エリアを示す情報と、前記受信機器情報取得部によって取得された前記受信機器に関する情報とに基づいて、前記間取りと前記受信推奨エリアと前記受信機器の位置とを重ね合わせて出力する、
請求項1に記載の通信環境情報提供システム。
【請求項9】
前記受信機器には、前記建物の利用者によって携帯される携帯端末装置が含まれ、
前記出力部は、前記受信推奨エリアとして、前記携帯端末装置が位置し得る高さ方向位置における受信推奨エリアを出力する、
請求項
8に記載の通信環境情報提供システム。
【請求項10】
前記受信機器には、前記建物の内部または外部
の固定された場所に配置されたIoT機器が含まれる、
請求項
8に記載の通信環境情報提供システム。
【請求項11】
前記出力部によって出力される前記受信妨害エリアと前記受信推奨エリアとが重複しているか否かを判定する判定部を備える、
請求項
1に記載の通信環境情報提供システム。
【請求項12】
前記受信妨害エリアと前記受信推奨エリアとが重複しているか否かの前記判定部による判定結果を提示する判定結果提示部を備える、
請求項
11に記載の通信環境情報提供システム。
【請求項13】
前記判定結果提示部は、前記判定結果として、前記受信妨害エリアと前記受信推奨エリアとが重複している箇所である重複箇所を非重複箇所よりも目立つように出力する、
請求項
12に記載の通信環境情報提供システム。
【請求項14】
前記判定結果提示部は、ハイライトまたはハッチングの処理を行って前記重複箇所を表示する、
請求項
13に記載の通信環境情報提供システム。
【請求項15】
前記受信妨害エリアと前記受信推奨エリアとが重複していると前記判定部によって判定された場合に、
前記出力部または前記判定結果提示部は、前記受信推奨エリアのうちの前記受信妨害エリアと重複している箇所を除く部分を真の受信推奨エリアとして表示する、
請求項
12に記載の通信環境情報提供システム。
【請求項16】
前記出力部または前記判定結果提示部は、前記真の受信推奨エリアを2次元表示する、
請求項
15に記載の通信環境情報提供システム。
【請求項17】
前記出力部または前記判定結果提示部は、前記真の受信推奨エリアを3次元表示する、
請求項
15に記載の通信環境情報提供システム。
【請求項18】
前記出力部または前記判定結果提示部は、前記真の受信推奨エリアを仮想オブジェクトとして表示する、
請求項
15に記載の通信環境情報提供システム。
【請求項19】
前記出力部または前記判定結果提示部は、前記真の受信推奨エリアであるか否かを示す情報を、前記建物の実空間内の各位置に提示する、
請求項
15に記載の通信環境情報提供システム。
【請求項20】
前記出力部によって出力される前記間取りと前記受信妨害エリアの大きさおよび形状と、前記受信推奨エリアの大きさとに基づいて、前記送信機器の推奨設置位置を算出する推奨設置位置算出部を備える、
請求項
1に記載の通信環境情報提供システム。
【請求項21】
少なくとも建物内の無線通信環境を示す情報を提供する通信環境情報提供システムであって、
前記建物内に配置された送信機器によって送信される電波の受信が妨害される受信妨害エリアを示す情報を取得する受信妨害エリア情報取得部と、
前記建物内の間取りを示す情報を取得する間取り情報取得部と、
前記建物内に配置された送信機器によって送信される電波の受信に適している受信推奨エリアを示す情報を取得する受信推奨エリア情報取得部と、
前記間取り情報取得部によって取得された前記間取りを示す情報と、前記受信推奨エリア情報取得部によって取得された前記受信推奨エリアを示す情報と、前記受信妨害エリア情報取得部によって取得された前記受信妨害エリアを示す情報とに基づいて、前記間取りと前記受信推奨エリアと前記受信妨害エリアとを重ね合わせて出力する出力部と、
前記出力部によって出力される前記間取りと前記受信妨害エリアの大きさおよび形状と、前記受信推奨エリアの大きさとに基づいて、前記送信機器の推奨設置位置を算出する推奨設置位置算出部とを備える、
通信環境情報提供システム。
【請求項22】
少なくとも建物内の無線通信環境を示す情報を提供する通信環境情報提供方法であって、
コンピュータが、前記建物内に配置された送信機器によって送信される電波の受信に適している受信推奨エリアを示す情報を取得する受信推奨エリア情報取得ステップと、
前記建物内の間取りを示す情報
と、前記送信機器によって送信される電波の受信を妨害する設備である受信妨害設備の個体情報が含まれる情報である前記建物の仕様を示す情報とを取得する間取り情報取得ステップと、
コンピュータが、前記間取り情報取得ステップにおいて取得された前記建物の仕様を示す情報に基づいて、前記送信機器によって送信される電波の受信が妨害される受信妨害エリアを推定するステップであって、前記間取り情報取得ステップにおいて取得された前記受信妨害設備の個体情報に基づいて、前記受信妨害エリアの大きさおよび形状を設定する受信妨害エリア推定ステップと、
コンピュータが、前記受信妨害エリア推定ステップにおいて推定された前記受信妨害エリアを示す情報を取得する受信妨害エリア情報取得ステップと、
コンピュータが、前記建物内に配置された送信機器によって送信される電波の受信に適している受信推奨エリアを示す情報を取得する受信推奨エリア情報取得ステップと、
コンピュータが、前記間取り情報取得ステップにおいて取得された前記間取りを示す情報と、前記受信推奨エリア情報取得ステップにおいて取得された前記受信推奨エリアを示す情報と
、前記受信妨害エリア情報取得ステップにおいて取得された前記受信妨害エリアを示す情報とに基づいて、前記間取りと前記受信推奨エリアと
前記受信妨害エリアとを重ね合わせて出力する出力ステップとを備える、
通信環境情報提供方法。
【請求項23】
少なくとも建物内の無線通信環境を示す情報を提供するために、コンピュータに、
前記建物内に配置された送信機器によって送信される電波の受信に適している受信推奨エリアを示す情報を取得する受信推奨エリア情報取得ステップと、
前記建物内の間取りを示す情報
と、前記送信機器によって送信される電波の受信を妨害する設備である受信妨害設備の個体情報が含まれる情報である前記建物の仕様を示す情報とを取得する間取り情報取得ステップと、
前記間取り情報取得ステップにおいて取得された前記建物の仕様を示す情報に基づいて、前記送信機器によって送信される電波の受信が妨害される受信妨害エリアを推定するステップであって、前記間取り情報取得ステップにおいて取得された前記受信妨害設備の個体情報に基づいて、前記受信妨害エリアの大きさおよび形状を設定する受信妨害エリア推定ステップと、
前記受信妨害エリア推定ステップにおいて推定された前記受信妨害エリアを示す情報を取得する受信妨害エリア情報取得ステップと、
前記建物内に配置された送信機器によって送信される電波の受信に適している受信推奨エリアを示す情報を取得する受信推奨エリア情報取得ステップと、
前記間取り情報取得ステップにおいて取得された前記間取りを示す情報と、前記受信推奨エリア情報取得ステップにおいて取得された前記受信推奨エリアを示す情報と
、前記受信妨害エリア情報取得ステップにおいて取得された前記受信妨害エリアを示す情報とに基づいて、前記間取りと前記受信推奨エリアと
前記受信妨害エリアとを重ね合わせて出力する出力ステップと
を実行させるためのプログラム。
【請求項24】
少なくとも建物内の無線通信環境を示す情報を提供する通信環境情報提供方法であって、
コンピュータが、前記建物内に配置された送信機器によって送信される電波の受信が妨害される受信妨害エリアを示す情報を取得する受信妨害エリア情報取得ステップと、
コンピュータが、前記建物内の間取りを示す情報を取得する間取り情報取得ステップと、
コンピュータが、前記建物内に配置された送信機器によって送信される電波の受信に適している受信推奨エリアを示す情報を取得する受信推奨エリア情報取得ステップと、
コンピュータが、前記間取り情報取得ステップにおいて取得された前記間取りを示す情報と、前記受信推奨エリア情報取得ステップにおいて取得された前記受信推奨エリアを示す情報と
、前記受信妨害エリア情報取得ステップにおいて取得された前記受信妨害エリアを示す情報とに基づいて、前記間取りと前記受信推奨エリアと
前記受信妨害エリアとを重ね合わせて出力する出力ステップと、
コンピュータが、前記出力ステップにおいて出力される前記間取りと前記受信妨害エリアの大きさおよび形状と、前記受信推奨エリアの大きさとに基づいて、前記送信機器の推奨設置位置を算出する推奨設置位置算出ステップとを備える、
通信環境情報提供方法。
【請求項25】
少なくとも建物内の無線通信環境を示す情報を提供するために、コンピュータに、
前記建物内に配置された送信機器によって送信される電波の受信が妨害される受信妨害エリアを示す情報を取得する受信妨害エリア情報取得ステップと、
前記建物内の間取りを示す情報を取得する間取り情報取得ステップと、
前記建物内に配置された送信機器によって送信される電波の受信に適している受信推奨エリアを示す情報を取得する受信推奨エリア情報取得ステップと、
前記間取り情報取得ステップにおいて取得された前記間取りを示す情報と、前記受信推奨エリア情報取得ステップにおいて取得された前記受信推奨エリアを示す情報と
、前記受信妨害エリア情報取得ステップにおいて取得された前記受信妨害エリアを示す情報とに基づいて、前記間取りと前記受信推奨エリアと
前記受信妨害エリアとを重ね合わせて出力する出力ステップと、
前記出力ステップにおいて出力される前記間取りと前記受信妨害エリアの大きさおよび形状と、前記受信推奨エリアの大きさとに基づいて、前記送信機器の推奨設置位置を算出する推奨設置位置算出ステップと、
を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信環境情報提供システム、通信環境情報提供方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、無線送信装置の位置を推定する位置推定システムが記載されている。特許文献1に記載された位置推定システムは、例えば展示会場等において使用される。特許文献1に記載された位置推定システムでは、第1無線受信部と第2無線受信部とで規定され屋内を複数の領域に分けた複数のセルが記憶されている。
ところで、特許文献1に記載された技術では、管理サーバが、複数のRFタグから送信された信号の受信状況を示すデータを無線受信装置から受信して、その信号の受信状況を示すデータからRFタグの位置を推定するものの、例えば展示会場内において、RFタグによって送信される信号の受信に適している受信推奨エリアを示す情報が用いられない。
そのため、特許文献1に記載された技術によっては、例えば展示会場内のどこが、RFタグによって送信される信号の受信に適した位置であるかを容易に把握することができない。
【0003】
特許文献2には、家庭用電気機器から出るノイズ等によって無線通信が妨害される旨が記載されている。特許文献2に記載された技術では、センタ装置において妨害電波の発信元が予め予測される。また、特許文献2に記載された技術では、妨害電波受信情報に基づき、地図ソフトウエアによる子機および親機の設置区域の地図表示に重ねて、妨害電波を受信した子機および親機の位置が、色分けなど他の子機と異なる態様で表示される。特許文献2に記載された妨害電波マップでは、妨害電波の存在領域が円によって示される。
ところで、特許文献2に記載された技術では、妨害電波の存在領域を示す妨害電波マップが用いられるものの、送信機器によって送信される電波の受信に適している受信推奨エリアを示す情報が用いられない。
そのため、特許文献2に記載された技術によっては、例えば建物内のどこが、送信機器によって送信される信号の受信に適した位置であるかを容易に把握することができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-070541号公報
【文献】特開2008-092169号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した問題点に鑑み、本発明は、建物内のどこが、送信機器によって送信される電波の受信に適した位置であるかを容易に把握することができる通信環境情報提供システム、通信環境情報提供方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、少なくとも建物内の無線通信環境を示す情報を提供する通信環境情報提供システムであって、前記建物内に配置された送信機器によって送信される電波の受信に適している受信推奨エリアを示す情報を取得する受信推奨エリア情報取得部と、前記建物内の間取りを示す情報と、前記送信機器によって送信される電波の受信を妨害する設備である受信妨害設備の個体情報が含まれる情報である前記建物の仕様を示す情報とを取得する間取り情報取得部と、前記間取り情報取得部によって取得された前記建物の仕様を示す情報に基づいて、前記送信機器によって送信される電波の受信が妨害される受信妨害エリアを推定するものであって、前記間取り情報取得部によって取得された前記受信妨害設備の個体情報に基づいて、前記受信妨害エリアの大きさおよび形状を設定する受信妨害エリア推定部と、前記受信妨害エリア推定部によって推定された前記受信妨害エリアを示す情報を取得する受信妨害エリア情報取得部と、前記間取り情報取得部によって取得された前記間取りを示す情報と、前記受信推奨エリア情報取得部によって取得された前記受信推奨エリアを示す情報と、前記受信妨害エリア情報取得部によって取得された前記受信妨害エリアを示す情報とに基づいて、前記間取りと前記受信推奨エリアと前記受信妨害エリアとを重ね合わせて出力する出力部とを備える通信環境情報提供システムである。
【0007】
本発明の一態様の通信環境情報提供システムでは、前記出力部は、前記間取りと前記受信推奨エリアとを重ね合わせた平面図を出力してもよい。
【0008】
本発明の一態様の通信環境情報提供システムでは、前記出力部は、前記間取りの鉛直断面を示すものと前記受信推奨エリアとを重ね合わせた鉛直断面図を出力してもよい。
【0009】
本発明の一態様の通信環境情報提供システムでは、前記出力部は、前記間取りを3次元化したものと前記受信推奨エリアとを重ね合わせた3次元モデルを出力してもよい。
【0013】
本発明の一態様の通信環境情報提供システムでは、前記間取り情報取得部は、前記間取りを示す情報を取得すると共に、前記建物内に配置される前記送信機器に関する情報を取得し、前記間取り情報取得部によって取得された前記送信機器に関する情報に基づいて、前記受信推奨エリアを推定する受信推奨エリア推定部を備え、前記受信推奨エリア情報取得部は、前記受信推奨エリア推定部によって推定された前記受信推奨エリアを示す情報を取得してもよい。
【0014】
本発明の一態様の通信環境情報提供システムでは、前記間取り情報取得部によって取得される前記送信機器に関する情報には、前記送信機器の設置位置および個体情報が含まれ、前記受信推奨エリア推定部は、前記間取り情報取得部によって取得された前記送信機器の設置位置および個体情報に基づいて、前記受信推奨エリアの位置および大きさを設定してもよい。
【0015】
本発明の一態様の通信環境情報提供システムでは、前記間取り情報取得部は、前記間取りを示す情報を取得すると共に、前記建物の壁および床における電波の透過率および反射率を示す情報を取得し、前記間取り情報取得部によって取得された前記建物の壁および床における電波の透過率および反射率を示す情報に基づいて、前記受信推奨エリアを推定する受信推奨エリア推定部を備え、前記受信推奨エリア情報取得部は、前記受信推奨エリア推定部によって推定された前記受信推奨エリアを示す情報を取得してもよい。
【0016】
本発明の一態様の通信環境情報提供システムは、前記送信機器によって送信された電波を受信する受信機器に関する情報を取得する受信機器情報取得部を備え、前記出力部は、前記間取り情報取得部によって取得された前記間取りを示す情報と、前記受信推奨エリア情報取得部によって取得された前記受信推奨エリアを示す情報と、前記受信機器情報取得部によって取得された前記受信機器に関する情報とに基づいて、前記間取りと前記受信推奨エリアと前記受信機器の位置とを重ね合わせて出力してもよい。
【0017】
本発明の一態様の通信環境情報提供システムでは、前記受信機器には、前記建物の利用者によって携帯される携帯端末装置が含まれ、前記出力部は、前記受信推奨エリアとして、前記携帯端末装置が位置し得る高さ方向位置における受信推奨エリアを出力してもよい。
【0018】
本発明の一態様の通信環境情報提供システムでは、前記受信機器には、前記建物の内部または外部の固定された場所に配置されたIoT機器が含まれてもよい。
【0019】
本発明の一態様の通信環境情報提供システムは、前記出力部によって出力される前記受信妨害エリアと前記受信推奨エリアとが重複しているか否かを判定する判定部を備えてもよい。
【0020】
本発明の一態様の通信環境情報提供システムは、前記受信妨害エリアと前記受信推奨エリアとが重複しているか否かの前記判定部による判定結果を提示する判定結果提示部を備えてもよい。
【0021】
本発明の一態様の通信環境情報提供システムでは、前記判定結果提示部は、前記判定結果として、前記受信妨害エリアと前記受信推奨エリアとが重複している箇所である重複箇所を非重複箇所よりも目立つように出力してもよい。
【0022】
本発明の一態様の通信環境情報提供システムでは、前記判定結果提示部は、ハイライトまたはハッチングの処理を行って前記重複箇所を表示してもよい。
【0023】
本発明の一態様の通信環境情報提供システムでは、前記受信妨害エリアと前記受信推奨エリアとが重複していると前記判定部によって判定された場合に、前記出力部または前記判定結果提示部は、前記受信推奨エリアのうちの前記受信妨害エリアと重複している箇所を除く部分を真の受信推奨エリアとして表示してもよい。
【0024】
本発明の一態様の通信環境情報提供システムでは、前記出力部または前記判定結果提示部は、前記真の受信推奨エリアを2次元表示してもよい。
【0025】
本発明の一態様の通信環境情報提供システムでは、前記出力部または前記判定結果提示部は、前記真の受信推奨エリアを3次元表示してもよい。
【0026】
本発明の一態様の通信環境情報提供システムでは、前記出力部または前記判定結果提示部は、前記真の受信推奨エリアを仮想オブジェクトとして表示してもよい。
【0027】
本発明の一態様の通信環境情報提供システムでは、前記出力部または前記判定結果提示部は、前記真の受信推奨エリアであるか否かを示す情報を、前記建物の実空間内の各位置に提示してもよい。
【0028】
本発明の一態様の通信環境情報提供システムは、前記出力部によって出力される前記間取りと前記受信妨害エリアの大きさおよび形状と、前記受信推奨エリアの大きさとに基づいて、前記送信機器の推奨設置位置を算出する推奨設置位置算出部を備えてもよい。
【0029】
本発明の一態様は、少なくとも建物内の無線通信環境を示す情報を提供する通信環境情報提供方法であって、コンピュータが、前記建物内に配置された送信機器によって送信される電波の受信に適している受信推奨エリアを示す情報を取得する受信推奨エリア情報取得ステップと、前記建物内の間取りを示す情報と、前記送信機器によって送信される電波の受信を妨害する設備である受信妨害設備の個体情報が含まれる情報である前記建物の仕様を示す情報とを取得する間取り情報取得ステップと、コンピュータが、前記間取り情報取得ステップにおいて取得された前記建物の仕様を示す情報に基づいて、前記送信機器によって送信される電波の受信が妨害される受信妨害エリアを推定するステップであって、前記間取り情報取得ステップにおいて取得された前記受信妨害設備の個体情報に基づいて、前記受信妨害エリアの大きさおよび形状を設定する受信妨害エリア推定ステップと、コンピュータが、前記受信妨害エリア推定ステップにおいて推定された前記受信妨害エリアを示す情報を取得する受信妨害エリア情報取得ステップと、コンピュータが、前記建物内に配置された送信機器によって送信される電波の受信に適している受信推奨エリアを示す情報を取得する受信推奨エリア情報取得ステップと、コンピュータが、前記間取り情報取得ステップにおいて取得された前記間取りを示す情報と、前記受信推奨エリア情報取得ステップにおいて取得された前記受信推奨エリアを示す情報と、前記受信妨害エリア情報取得ステップにおいて取得された前記受信妨害エリアを示す情報とに基づいて、前記間取りと前記受信推奨エリアと前記受信妨害エリアとを重ね合わせて出力する出力ステップとを備える、通信環境情報提供方法である。
【0030】
本発明の一態様は、少なくとも建物内の無線通信環境を示す情報を提供するために、コンピュータに、前記建物内に配置された送信機器によって送信される電波の受信に適している受信推奨エリアを示す情報を取得する受信推奨エリア情報取得ステップと、前記建物内の間取りを示す情報と、前記送信機器によって送信される電波の受信を妨害する設備である受信妨害設備の個体情報が含まれる情報である前記建物の仕様を示す情報とを取得する間取り情報取得ステップと、前記間取り情報取得ステップにおいて取得された前記建物の仕様を示す情報に基づいて、前記送信機器によって送信される電波の受信が妨害される受信妨害エリアを推定するステップであって、前記間取り情報取得ステップにおいて取得された前記受信妨害設備の個体情報に基づいて、前記受信妨害エリアの大きさおよび形状を設定する受信妨害エリア推定ステップと、前記受信妨害エリア推定ステップにおいて推定された前記受信妨害エリアを示す情報を取得する受信妨害エリア情報取得ステップと、前記建物内に配置された送信機器によって送信される電波の受信に適している受信推奨エリアを示す情報を取得する受信推奨エリア情報取得ステップと、前記間取り情報取得ステップにおいて取得された前記間取りを示す情報と、前記受信推奨エリア情報取得ステップにおいて取得された前記受信推奨エリアを示す情報と、前記受信妨害エリア情報取得ステップにおいて取得された前記受信妨害エリアを示す情報とに基づいて、前記間取りと前記受信推奨エリアと前記受信妨害エリアとを重ね合わせて出力する出力ステップとを実行させるためのプログラムである。
本発明の一態様は、少なくとも建物内の無線通信環境を示す情報を提供する通信環境情報提供方法であって、コンピュータが、前記建物内に配置された送信機器によって送信される電波の受信が妨害される受信妨害エリアを示す情報を取得する受信妨害エリア情報取得ステップと、コンピュータが、前記建物内の間取りを示す情報を取得する間取り情報取得ステップと、コンピュータが、前記建物内に配置された送信機器によって送信される電波の受信に適している受信推奨エリアを示す情報を取得する受信推奨エリア情報取得ステップと、コンピュータが、前記間取り情報取得ステップにおいて取得された前記間取りを示す情報と、前記受信推奨エリア情報取得ステップにおいて取得された前記受信推奨エリアを示す情報と、前記受信妨害エリア情報取得ステップにおいて取得された前記受信妨害エリアを示す情報とに基づいて、前記間取りと前記受信推奨エリアと前記受信妨害エリアとを重ね合わせて出力する出力ステップと、コンピュータが、前記出力ステップにおいて出力される前記間取りと前記受信妨害エリアの大きさおよび形状と、前記受信推奨エリアの大きさとに基づいて、前記送信機器の推奨設置位置を算出する推奨設置位置算出ステップとを備える、通信環境情報提供方法である。
本発明の一態様は、少なくとも建物内の無線通信環境を示す情報を提供するために、コンピュータに、前記建物内に配置された送信機器によって送信される電波の受信が妨害される受信妨害エリアを示す情報を取得する受信妨害エリア情報取得ステップと、前記建物内の間取りを示す情報を取得する間取り情報取得ステップと、前記建物内に配置された送信機器によって送信される電波の受信に適している受信推奨エリアを示す情報を取得する受信推奨エリア情報取得ステップと、前記間取り情報取得ステップにおいて取得された前記間取りを示す情報と、前記受信推奨エリア情報取得ステップにおいて取得された前記受信推奨エリアを示す情報と、前記受信妨害エリア情報取得ステップにおいて取得された前記受信妨害エリアを示す情報とに基づいて、前記間取りと前記受信推奨エリアと前記受信妨害エリアとを重ね合わせて出力する出力ステップと、前記出力ステップにおいて出力される前記間取りと前記受信妨害エリアの大きさおよび形状と、前記受信推奨エリアの大きさとに基づいて、前記送信機器の推奨設置位置を算出する推奨設置位置算出ステップと、を実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、建物内のどこが、送信機器によって送信される電波の受信に適した位置であるかを容易に把握することができる通信環境情報提供システム、通信環境情報提供方法およびプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】第1実施形態の通信環境情報提供システムの一例を示す図である。
【
図2】出力部による出力結果などの一例を示す図である。
【
図3】出力部による出力結果などの他の例を示す図である。
【
図4】出力部による出力結果の他の例を示す図である。
【
図5】出力部による出力結果の他の例を示す図である。
【
図6】出力部による出力結果の更に他の例を示す図である。
【
図7】受信妨害エリアと受信推奨エリアとが重複しているか否かの判定部による判定結果の一例を示す図である。
【
図8】第1実施形態の情報提供システムにおいて実行される処理の一例を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の通信環境情報提供システム、通信環境情報提供方法およびプログラムの実施形態について、添付図面を参照して説明する。
【0034】
<第1実施形態>
図1は第1実施形態の通信環境情報提供システム1の一例を示す図である。
図1に示す例では、通信環境情報提供システム1が、建物内の無線通信環境、および、建物の外部のうちの建物の近傍の無線通信環境を示す情報を、通信環境情報提供システム1の利用者に提供する。第1実施形態の通信環境情報提供システム1は、例えば建物の建築請負を行った会社のアフターサービス部門のオペレータによって利用される。
通信環境情報提供システム1は、例えば間取り情報取得部1Aと、受信妨害エリア情報取得部1Bと、受信推奨エリア情報取得部1Cと、出力部1Dと、受信妨害エリア推定部1Eと、受信推奨エリア推定部1Fと、受信機器情報取得部1Gと、判定部1Hと、判定結果提示部1Iと、推奨設置位置算出部1Jとを備えている。
間取り情報取得部1Aは、建物内の間取りFP(
図2(A)参照)を示す情報を取得する。間取り情報取得部1Aは、例えば建物の建築請負を行った会社のデータベース等から、建物内の間取りFPを示す情報を取得する。
受信妨害エリア情報取得部1Bは、建物内に配置された送信機器TE(
図2(B)参照)によって送信される電波の受信が妨害される受信妨害エリアFA1、FA2、FA3(
図2(B)参照)を示す情報を取得する。送信機器TEは、例えば無線インターネットルータなどのような電波を送信する機器である。
受信推奨エリア情報取得部1Cは、送信機器TEによって送信される電波の受信に適している受信推奨エリアRA(
図2(B)参照)を示す情報を取得する。
出力部1Dは、間取り情報取得部1Aによって取得された間取りFPを示す情報と、受信妨害エリア情報取得部1Bによって取得された受信妨害エリアFA1、FA2、FA3を示す情報と、受信推奨エリア情報取得部1Cによって取得された受信推奨エリアRAを示す情報とに基づいて、間取りFPと受信妨害エリアFA1、FA2、FA3と受信推奨エリアRAとを重ね合わせて出力する。
出力部1Dは、例えばディスプレイ(図示せず)に表示することによって、間取りFPと受信妨害エリアFA1、FA2、FA3と受信推奨エリアRAとを重ね合わせて出力する。
他の例では、出力部1Dが、例えば印刷などのように表示以外の手法によって、間取りFPと受信妨害エリアFA1、FA2、FA3と受信推奨エリアRAとを重ね合わせて出力してもよい。
また、他の例では、通信環境情報提供システム1が、受信妨害エリア情報取得部1Bを備えていなくてもよい。この例では、出力部1Dが、間取り情報取得部1Aによって取得された間取りFPを示す情報と、受信推奨エリア情報取得部1Cによって取得された受信推奨エリアRAを示す情報とに基づいて、間取りFPと受信推奨エリアRAとを重ね合わせて出力する。
【0035】
図2は出力部1Dによる出力結果などの一例を示す図である。詳細には、
図2(A)は間取り情報取得部1Aによって取得された建物内の間取りFPを示す情報に基づいて、建物内の間取りFPが出力された一例を示している。
図2(B)は間取り情報取得部1Aによって取得された間取りFPを示す情報と、受信妨害エリア情報取得部1Bによって取得された受信妨害エリアFA1、FA2、FA3を示す情報と、受信推奨エリア情報取得部1Cによって取得された受信推奨エリアRAを示す情報とに基づいて、間取りFPと受信妨害エリアFA1、FA2、FA3と受信推奨エリアRAとが、重ね合わせて出力された平面図の一例を示している。
図2に示す例では、キッチンのIHクッキングヒータ、電子レンジなどによって、受信妨害エリアFA1がキッチンなどに形成されている。また、ダイニングに設置された床暖房設備によって、受信妨害エリアFA2がダイニングなどに形成されている。更に、浴室および洗面所に設置されたユニットバスパックによって、受信妨害エリアFA3が浴室および洗面所に形成されている。
図2に示す例では、送信機器TEが、リビングに設置されている。それに伴い、送信機器TEによって送信される電波の受信に適している受信推奨エリアRAが、リビング、ダイニングなどに形成されている。
通信環境情報提供システム1の利用者は、
図2(B)に示す出力部1Dの出力結果を確認することによって、建物内のどこが、送信機器TEによって送信される電波の受信に適した位置であるか、および、送信機器TEによって送信される電波の受信に適さない位置であるかを容易に把握することができる。
【0036】
具体的には、通信環境情報提供システム1の利用者は、受信推奨エリアRAの範囲内であって、受信妨害エリアFA1、受信妨害エリアFA2および受信妨害エリアFA3のいずれとも重複していないリビングが、送信機器TEによって送信される電波の受信に最も適した位置である旨を把握することができる。
また、通信環境情報提供システム1の利用者は、ダイニングが、受信推奨エリアRAの範囲内であるものの、床暖房設備による受信妨害エリアFA2の範囲内でもあるため、送信機器TEによって送信される電波の受信が、床暖房設備によって妨害されるおそれがある旨を把握することができる。
更に、通信環境情報提供システム1の利用者は、キッチンが、受信推奨エリアRAの範囲外であって、IHクッキングヒータ、電子レンジなどによる受信妨害エリアFA1の範囲内であるため、キッチンは、送信機器TEによって送信される電波の受信に適さない位置である旨を把握することができる。
図2に示す例では、住宅市場、業界で取り扱われている間取り情報(図面)をそのまま利用することができ(つまり、相性が良く)、通信環境情報提供システム1の利用者も出力部1Dの出力結果を容易に理解することができ、通信環境情報提供システム1が利用しやすいと言える。
【0037】
図1に示す例では、出力部1Dが、受信妨害エリアFA1、FA2、FA3と受信推奨エリアRAとを建物の鉛直断面図に重ね合わせて出力することもできる。
【0038】
図3は出力部1Dによる出力結果などの他の例を示す図である。詳細には、
図3(A)は建物の鉛直断面図の一例を示している。
図3(B)は受信妨害エリアFA1、FA2、FA3と受信推奨エリアRAとが、建物の鉛直断面図(間取りFPの鉛直断面を示すもの)に重ね合わせて出力された鉛直断面図の一例を示している。
図3に示す例では、建物の2階のキッチンのIHクッキングヒータ、電子レンジなどによって、受信妨害エリアFA1がキッチンなどに形成されている。また、建物の2階のダイニングに設置された床暖房設備によって、受信妨害エリアFA2(送信機器TEによって送信される電波を遮断するエリア)がダイニングの床部分に形成されている。更に、建物の2階の浴室および洗面所に設置されたユニットバスパックによって、受信妨害エリアFA3が浴室および洗面所に形成されている。
図3に示す例では、送信機器TEが、建物の2階のリビングに設置されている。それに伴い、送信機器TEによって送信される電波の受信に適している受信推奨エリアRAが、建物の2階のリビング、ダイニング、建物の1階の部屋などに形成されている。
通信環境情報提供システム1の利用者は、
図3(B)に示す出力部1Dの出力結果を確認することによって、建物内のどこが、送信機器TEによって送信される電波の受信に適した位置であるか、および、送信機器TEによって送信される電波の受信に適さない位置であるかを容易に把握することができる。
【0039】
具体的には、通信環境情報提供システム1の利用者は、受信推奨エリアRAの範囲内であって、受信妨害エリアFA1、受信妨害エリアFA2および受信妨害エリアFA3のいずれとも重複していない建物の2階のリビングが、送信機器TEによって送信される電波の受信に最も適した位置である旨を把握することができる。
また、通信環境情報提供システム1の利用者は、受信推奨エリアRAの範囲内であって、受信妨害エリアFA1、受信妨害エリアFA2および受信妨害エリアFA3のいずれとも重複していない建物の1階の部屋が、送信機器TEによって送信される電波の受信に適した位置である旨を把握することができる。一方で、送信機器TEによって送信される電波の一部が、建物の1階の部屋に到達することなく、建物の2階のリビングの床部分によって遮断される、または、反射するおそれがある旨を、通信環境情報提供システム1の利用者は把握することができる。
【0040】
更に、通信環境情報提供システム1の利用者は、建物の2階のダイニングが、受信推奨エリアRAの範囲内であるものの、床暖房設備による受信妨害エリアFA2の範囲の近傍に位置するため、送信機器TEによって送信される電波の受信が、床暖房設備の影響を受けるおそれがある旨を把握することができる。
また、通信環境情報提供システム1の利用者は、建物の2階のキッチンが、受信推奨エリアRAの範囲外であって、IHクッキングヒータ、電子レンジなどによる受信妨害エリアFA1の範囲内であるため、キッチンは、送信機器TEによって送信される電波の受信に適さない位置である旨を把握することができる。
図3に示す例では、建物の2階に設置された送信機器TEによって送信される電波の受信に適している受信推奨エリアRAが、建物の1階においてどのように広がっているかを容易に理解することができる。
図3に示す鉛直断面図は2次元なので、紙などに落とし込みやすく、現在の現場等でも参照しやすいと言える。
【0041】
図4は出力部1Dによる出力結果の他の例を示す図である。詳細には、
図4は、間取りFPを3次元化したものと受信推奨エリアRAとを重ね合わせて出力された3次元モデルの一例を示している。
図4に示す例では、送信機器TEが、リビングに設置されている。それに伴い、送信機器TEによって送信される電波の受信に適している受信推奨エリアRAが、リビング、ダイニングなどに形成されている。
通信環境情報提供システム1の利用者は、
図4に示す出力部1Dの出力結果(3次元モデル)を確認することによって、建物内のどこが、送信機器TEによって送信される電波の受信に適した位置であるかを容易に把握することができる。
図4に示すように、受信推奨エリアRAは、球体のように広がっており、電子端末等を利用すれば、断面、平面にも落とし込みができるため、最も汎用性が高いと言える。
【0042】
図1に示す例では、間取り情報取得部1Aが、建物内の間取りFPを示す情報を取得すると共に、例えば建物の建築請負を行った会社のデータベース等から、建物の仕様を示す情報を取得する。間取り情報取得部1Aによって取得される建物の仕様を示す情報には、送信機器TEによって送信される電波の受信を妨害する設備である受信妨害設備(例えば電子レンジ、IHクッキングヒータ、床暖房設備、ユニットバスパック、鉄製階段など)の個体情報が含まれる。
受信妨害エリア推定部1Eは、間取り情報取得部1Aによって取得された建物の仕様(例えば電子レンジが配置されるか否か、コンロがIHクッキングヒータであるか、あるいは、ガスコンロであるか、床暖房設備が存在するか否か、ユニットバスパックが存在するか否か、鉄製階段が存在するか否かなど)を示す情報に基づいて、受信妨害エリアFA1、FA2、FA3を推定する。詳細には、受信妨害エリア推定部1Eは、間取り情報取得部1Aによって取得された受信妨害設備の個体情報に基づいて、受信妨害エリアFA1、FA2、FA3の大きさおよび形状を設定する。
受信妨害エリア情報取得部1Bは、受信妨害エリア推定部1Eによって推定された受信妨害エリアFA1、FA2、FA3を示す情報を取得する。更に、出力部1Dは、間取り情報取得部1Aによって取得された間取りFPを示す情報と、受信妨害エリア情報取得部1Bによって取得された受信妨害エリアFA1、FA2、FA3を示す情報(つまり、受信妨害エリア推定部1Eによって推定された受信妨害エリアFA1、FA2、FA3を示す情報)と、受信推奨エリア情報取得部1Cによって取得された受信推奨エリアRAを示す情報とに基づいて、
図2(B)に示すように、間取りFPと受信妨害エリアFA1、FA2、FA3と受信推奨エリアRAとを重ね合わせて出力する。
【0043】
図1に示す例では、通信環境情報提供システム1が受信妨害エリア推定部1Eを備え、間取り情報取得部1Aが建物の仕様を示す情報を取得するが、他の例では、通信環境情報提供システム1が受信妨害エリア推定部1Eを備えておらず、間取り情報取得部1Aが建物の仕様を示す情報を取得しなくてもよい。
【0044】
図1に示す例では、間取り情報取得部1Aが、建物内の間取りFPを示す情報を取得すると共に、建物内に配置される送信機器TEに関する情報を取得する。間取り情報取得部1Aによって取得される送信機器TEに関する情報には、送信機器TEの設置位置および個体情報(電波強度、3次元出力特性など)が含まれる。建物内に配置される送信機器TEに関する情報は、例えば建物の建築請負を行った会社の営業担当者が、建物の利用者(建物の利用者には、例えば建物の居住者などが含まれる。)に対してヒヤリングを行うことによって得られ、例えば建物の建築請負を行った会社のデータベース等に記憶されている。
受信推奨エリア推定部1Fは、間取り情報取得部1Aによって取得された送信機器TEに関する情報に基づいて、受信推奨エリアRAを推定する。詳細には、受信推奨エリア推定部1Fは、間取り情報取得部1Aによって取得された送信機器TEの設置位置および個体情報に基づいて、受信推奨エリアRAの位置および大きさを設定する。
受信推奨エリア情報取得部1Cは、受信推奨エリア推定部1Fによって推定された受信推奨エリアRAを示す情報を取得する。更に、出力部1Dは、間取り情報取得部1Aによって取得された間取りFPを示す情報と、受信妨害エリア情報取得部1Bによって取得された受信妨害エリアFA1、FA2、FA3を示す情報と、受信推奨エリア情報取得部1Cによって取得された受信推奨エリアRAを示す情報(つまり、受信推奨エリア推定部1Fによって推定された受信推奨エリアRAを示す情報)とに基づいて、
図2(B)に示すように、間取りFPと受信妨害エリアFA1、FA2、FA3と受信推奨エリアRAとを重ね合わせて出力する。
【0045】
図1に示す例では、通信環境情報提供システム1が受信推奨エリア推定部1Fを備え、間取り情報取得部1Aが建物内に配置される送信機器TEに関する情報を取得するが、他の例では、通信環境情報提供システム1が受信推奨エリア推定部1Fを備えておらず、間取り情報取得部1Aが建物内に配置される送信機器TEに関する情報を取得しなくてもよい。
【0046】
図1に示す例では、間取り情報取得部1Aが、建物内の間取りFPを示す情報を取得すると共に、例えば建物の建築請負を行った会社のデータベース等から、建物の壁および床における電波の透過率および反射率を示す情報を取得する。
受信推奨エリア推定部1Fは、間取り情報取得部1Aによって取得された建物の壁および床における電波の
透過率および反射率を示す情報に基づいて、受信推奨エリアRAを推定する。詳細には、受信推奨エリア推定部1Fは、間取り情報取得部1Aによって取得された建物の壁および床における電波の透過率および反射率を示す情報に基づいて、受信推奨エリアRAの位置および大きさを設定する。
受信推奨エリア情報取得部1Cは、受信推奨エリア推定部1Fによって推定された受信推奨エリアRAを示す情報を取得する。更に、出力部1Dは、間取り情報取得部1Aによって取得された間取りFPを示す情報と、受信妨害エリア情報取得部1Bによって取得された受信妨害エリアFA1、FA2、FA3を示す情報と、受信推奨エリア情報取得部1Cによって取得された受信推奨エリアRAを示す情報(つまり、受信推奨エリア推定部1Fによって推定された受信推奨エリアRAを示す情報)とに基づいて、
図2(B)に示すように、間取りFPと受信妨害エリアFA1、FA2、FA3と受信推奨エリアRAとを重ね合わせて出力する。
他の例では、間取り情報取得部1Aが、建物の壁および床における電波の透過率および反射率を示す情報を取得しなくてもよい。
【0047】
図1に示す例では、受信機器情報取得部1Gが、送信機器TEによって送信された電波を受信する受信機器REに関する情報を取得する。受信機器REには、建物の利用者によって携帯される携帯端末装置が含まれる。受信機器REに関する情報には、例えば建物の利用者による受信機器RE(携帯端末装置)の使用位置に関する情報が含まれる。受信機器REに関する情報は、例えば建物の建築請負を行った会社の営業担当者が、建物の利用者に対してヒヤリングを行うことによって得られ、例えば建物の建築請負を行った会社のデータベース等に記憶されている。
出力部1Dは、間取り情報取得部1Aによって取得された建物内の間取りFPを示す情報と、受信妨害エリア情報取得部1Bによって取得された受信妨害エリアFA1、FA2、FA3を示す情報と、受信推奨エリア情報取得部1Cによって取得された受信推奨エリアRAを示す情報と、受信機器情報取得部1Gによって取得された受信機器RE(携帯端末装置)に関する情報とに基づいて、後述する
図5に示すように、間取りFPと受信妨害エリアFA1、FA2、FA3と受信推奨エリアRAと受信機器RE(携帯端末装置)の位置とを重ね合わせて出力する。詳細には、出力部1Dは、受信推奨エリアRAとして、携帯端末装置が位置し得る高さ方向位置における受信推奨エリアRAを出力する。
【0048】
図5は出力部1Dによる出力結果の他の例を示す図である。詳細には、
図5は間取り情報取得部1Aによって取得された間取りFPを示す情報と、受信妨害エリア情報取得部1Bによって取得された受信妨害エリアFA1、FA2、FA3を示す情報と、受信推奨エリア情報取得部1Cによって取得された受信推奨エリアRAを示す情報と、受信機器情報取得部1Gによって取得された受信機器RE(携帯端末装置)に関する情報とに基づいて、間取りFPと受信妨害エリアFA1、FA2、FA3と受信推奨エリアRAと受信機器RE(携帯端末装置)の位置とが、重ね合わせて出力された一例を示している。
図5に示す例では、建物の利用者が、送信機器TE(WiFiルータ)を使用し、キッチンで料理をしながら、キッチンに配置された受信機器RE(携帯端末装置)によって動画を閲覧しようとしている。一方で、受信機器RE(携帯端末装置)は、受信推奨エリアRAの範囲外であって、受信妨害エリアFA1の範囲内に位置する。そのため、建物の利用者から相談を受けたオペレータは、
図5に示す出力部1Dの出力結果を確認することによって、建物の利用者が希望している受信機器RE(携帯端末装置)の使用位置が、送信機器TE(WiFiルータ)によって送信される電波の受信に適さない位置である旨を容易に把握することができる。
【0049】
他の例では、送信機器TEによって送信された電波を受信する受信機器REに、建物の内部または外部(例えば建物の敷地内、建物の上空など)に配置されたIoT機器(ドローン、アイボ型番犬、防犯カメラ、ドアホンなど)が含まれる。受信機器REに関する情報には、例えば受信機器RE(IoT機器)の使用位置または設置位置に関する情報が含まれる。受信機器REに関する情報は、例えば建物の建築請負を行った会社の営業担当者が、建物の利用者に対してヒヤリングを行うことによって得られ、例えば建物の建築請負を行った会社のデータベース等に記憶されている。
出力部1Dは、間取り情報取得部1Aによって取得された建物内の間取りFPを示す情報と、受信妨害エリア情報取得部1Bによって取得された受信妨害エリアFA1、FA2、FA3を示す情報と、受信推奨エリア情報取得部1Cによって取得された受信推奨エリアRAを示す情報と、受信機器情報取得部1Gによって取得された受信機器RE(例えばドアホン)に関する情報とに基づいて、後述する
図6に示すように、間取りFPと受信妨害エリアFA1、FA2、FA3と受信推奨エリアRAと受信機器RE(ドアホン)の位置とを重ね合わせて出力する。
【0050】
図6は出力部1Dによる出力結果の更に他の例を示す図である。詳細には、
図6は間取り情報取得部1Aによって取得された間取りFPを示す情報と、受信妨害エリア情報取得部1Bによって取得された受信妨害エリアFA1、FA2、FA3を示す情報と、受信推奨エリア情報取得部1Cによって取得された受信推奨エリアRAを示す情報と、受信機器情報取得部1Gによって取得された受信機器RE(ドアホン)に関する情報とに基づいて、間取りFPと受信妨害エリアFA1、FA2、FA3と受信推奨エリアRAと受信機器RE(ドアホン)の位置とが、重ね合わせて出力された一例を示している。
図6に示す例では、受信機器RE(ドアホン)が、受信推奨エリアRAの範囲外に位置する。そのため、建物の利用者から相談を受けたオペレータは、
図6に示す出力部1Dの出力結果を確認することによって、受信機器RE(ドアホン)の位置が送信機器TEによって送信される電波の受信に適さない位置であって、受信機器RE(ドアホン)のために追加の送信機器(図示せず)を設置するか、あるいは、送信機器TEの位置を変更する必要がある旨を容易に把握することができる。
【0051】
図1に示す例では、通信環境情報提供システム1が受信機器情報取得部1Gを備えているが、他の例では、通信環境情報提供システム1が受信機器情報取得部1Gを備えていなくてもよい。
【0052】
図1に示す例では、判定部1Hが、出力部1Dによって出力される受信妨害エリアFA1、FA2、FA3と受信推奨エリアRAとが重複しているか否かを判定する。
判定結果提示部1Iは、受信妨害エリアFA1、FA2、FA3と受信推奨エリアRAとが重複しているか否かの判定部1Hによる判定結果を提示する。
【0053】
図7は受信妨害エリアFA1、FA2、FA3と受信推奨エリアRAとが重複しているか否かの判定部1Hによる判定結果の一例を示す図である。
図7に示す例では、受信妨害エリアFA1の一部と、受信推奨エリアRAとが重複している。また、受信妨害エリアFA2の一部と、受信推奨エリアRAとが重複している。
そのため、判定結果提示部1Iは、
図7に示すように、受信妨害エリアFA1の一部と受信推奨エリアRAとが重複している箇所(重複箇所)を、他の箇所(非重複箇所)よりも目立つように判定結果として出力(例えば表示、印刷など)する(例えばハッチング、ハイライトなどの処理を行って出力する)。
他の例では、通信環境情報提供システム1が、判定部1Hおよび判定結果提示部1Iを備えていなくてもよい。
【0054】
他の例では、受信妨害エリアFA1、FA2、FA3と受信推奨エリアRAとが重複していると判定部1Hによって判定された場合に、出力部1Dまたは判定結果提示部1Iは、受信推奨エリアRAのうちの受信妨害エリアFA1、FA2、FA3と重複している箇所を除く部分を真の受信推奨エリアとして表示してもよい。
例えば、出力部1Dまたは判定結果提示部1Iは、真の受信推奨エリアを2次元表示、3次元表示などによって表示する。あるいは、出力部1Dまたは判定結果提示部1Iは、VR(仮想現実)技術を用いることにより、真の受信推奨エリアを仮想オブジェクトとして表示してもよい。
例えば、出力部1Dまたは判定結果提示部1Iは、真の受信推奨エリアであるか否かを示す情報を、建物の実空間内の各位置に提示してもよい。具体的には、この例では、建物内の空間のうちの真の受信推奨エリアに相当する位置に例えばスマートフォンなどの端末装置がかざされると、端末装置は、端末装置の位置が真の受信推奨エリア内であることを示す情報を受信し、端末装置が真の受信推奨エリア内に位置する旨をディスプレイに表示する。一方、端末装置が、真の受信推奨エリアに相当しない位置にかざされると、端末装置は、端末装置の位置が真の受信推奨エリア外であることを示す情報を受信し、端末装置が真の受信推奨エリア外に位置する旨をディスプレイに表示する。
【0055】
図1に示す例では、推奨設置位置算出部1Jが、出力部1Dによって出力される間取りFPと受信妨害エリアFA1、FA2、FA3の大きさおよび形状と、受信推奨エリアRAの大きさとに基づいて、送信機器TEの推奨設置位置を算出する(つまり、送信機器TEの設置位置のシミュレーションを行う)。
図7に示す例では、推奨設置位置算出部1Jが、受信推奨エリアRAの範囲内のうちの、上述した重複箇所以外の位置を、送信機器TEの推奨設置位置として算出する。
他の例では、通信環境情報提供システム1が、推奨設置位置算出部1Jを備えていなくてもよい。
【0056】
例えば注文住宅などのような建物において、居住空間などの過ごしやすさなどは、事細かに設計されるが、インターネットや、無線環境が暮らしの中で密接になっている今日においても、快適なインターネット、あるいは、IoT環境は、適切に提供されているとは言い難い。
一方、第1実施形態の通信環境情報提供システム1を利用することによって、居住空間の設計と同時に、快適なIT、IoT環境を建物の利用者に提供することが可能になる。
建物が平面的に表現される
図2、
図3、
図5~
図7に示す例では、受信妨害エリアFA1、FA2、FA3の形状および受信推奨エリアRAの形状が円または楕円および矩形によって表現されるが、建物が斜視図などによって立体的に表現される
図4に示す例では、受信推奨エリアRAの形状が球によって表現されている。他の例では、受信妨害エリアFA1、FA2、FA3の形状および受信推奨エリアRAの形状が球または長球および直方体によって表現されてもよい。
【0057】
第1実施形態の通信環境情報提供システム1では、受信妨害エリア推定部1Eが受信妨害エリアFA1、FA2、FA3の大きさおよび形状を設定するために必要な情報、受信推奨エリア推定部1Fが受信推奨エリアRAの大きさを設定するために必要な情報などが、例えば建物の建築請負を行った会社のデータベース等に記憶されている。
また、第1実施形態の通信環境情報提供システム1では、受信妨害エリアFA1、FA2、FA3、受信推奨エリアRAなどを2次元で表現するための円、楕円、矩形等の情報、受信妨害エリアFA1、FA2、FA3、受信推奨エリアRAなどを3次元で表現するための球、長球、直方体等の情報などが、例えば建物の建築請負を行った会社のデータベース等に記憶されている。
【0058】
上述した例では、例えば建物の建築請負を行った会社の営業担当者が、建物の利用者に対してヒヤリングを行うことによって、建物内に配置される送信機器TE、受信機器RE(携帯端末装置、IoT機器など)に関する個体情報が得られ、その個体情報が、例えば建物の建築請負を行った会社のデータベース等に記憶されている。
他の例では、例えば建物の建築請負を行った会社の営業担当者が、建物の利用者に対してヒヤリングを行うことによって、建物内に配置される送信機器TE、受信機器RE(携帯端末装置、IoT機器など)に関する個体情報のみならず、建物の利用者の嗜好、希望など(例えば家具の位置の嗜好、希望など)に関する情報も得られ、それらの情報が、例えば建物の建築請負を行った会社のデータベース等に記憶されていてもよい。
また、家具の個体情報、窓、シャッターなどの仕様および個体情報が、例えば建物の建築請負を行った会社のデータベース等に記憶されていてもよい。
また、送信機器TEによって送信される電波の受信を妨害する設備である受信妨害設備(例えば電子レンジ、IHクッキングヒータ、床暖房設備、ユニットバスパック、鉄製階段など)の個体情報が、例えば建物の建築請負を行った会社のデータベース等に記憶されていてもよい。
【0059】
他の例では、第1実施形態の通信環境情報提供システム1の出力部1Dが、
図3に示す出力結果を出力する場合に、第1実施形態の通信環境情報提供システム1が、有線LANのインターフェースがある情報コンセントを、各階に少なくとも1つ配置するように動作し、有線LANのインターフェースに無線LAN基地局を配置するように動作してもよい。
また、他の例では、階段が鉄製階段である場合に、第1実施形態の通信環境情報提供システム1が、階段の下方位置ではない位置に、情報ボックスを配置するように動作してもよい。例えば建物が3階建てである場合に、第1実施形態の通信環境情報提供システム1が、情報ボックスを2階に配置するように動作してもよい。
【0060】
他の例では、各送信機器TEの電波強度、出力特性(指向性)を絶対値化したものが、例えば建物の建築請負を行った会社のデータベース等に記憶されていてもよい。
また、送信機器TEによって送信される電波が壁または床を透過することによって、電波強度がどの程度弱くなるかを示す情報が、例えば建物の建築請負を行った会社のデータベース等に記憶されていてもよい。
【0061】
図8は第1実施形態の通信環境情報提供システム1において実行される処理の一例を説明するためのフローチャートである。
図8に示す例では、ステップS11において、間取り情報取得部1Aが、建物内の間取りFPなどを示す情報を取得する。
次いで、ステップS12では、受信妨害エリア推定部1Eが、ステップS11において取得された建物の仕様を示す情報に基づいて、受信妨害エリアFA1、FA2、FA3を推定する。
次いで、ステップS13では、受信妨害エリア情報取得部1Bが、ステップS12において推定された受信妨害エリアFA1、FA2、FA3を示す情報を取得する。
また、ステップS14では、受信推奨エリア推定部1Fが、ステップS11において取得された送信機器TEに関する情報に基づいて、受信推奨エリアRAを推定する。
次いで、ステップS15では、受信推奨エリア情報取得部1Cが、ステップS14において推定された受信推奨エリアRAを示す情報を取得する。
【0062】
また、ステップS16では、受信機器情報取得部1Gが、送信機器TEによって送信された電波を受信する受信機器REに関する情報を取得する。
次いで、ステップS17では、出力部1Dが、ステップS11において取得された建物内の間取りFPを示す情報と、ステップS13において取得された受信妨害エリアFA1、FA2、FA3を示す情報と、ステップS15において取得された受信推奨エリアRAを示す情報と、ステップS16において取得された受信機器REに関する情報とに基づいて、間取りFPと受信妨害エリアFA1、FA2、FA3と受信推奨エリアRAと受信機器REの位置とを重ね合わせて出力する。
【0063】
また、ステップS18では、判定部1Hが、ステップS17において出力される受信妨害エリアFA1、FA2、FA3と受信推奨エリアRAとが重複しているか否かを判定する。
次いで、ステップS19では、判定結果提示部1Iが、受信妨害エリアFA1、FA2、FA3と受信推奨エリアRAとが重複しているか否かのステップS18における判定結果を提示する。
また、ステップS20では、推奨設置位置算出部1Jが、ステップS17において出力される間取りFPと受信妨害エリアFA1、FA2、FA3の大きさおよび形状と、受信推奨エリアRAの大きさとに基づいて、送信機器TEの推奨設置位置を算出する。
【0064】
<第2実施形態>
以下、本発明の通信環境情報提供システム、通信環境情報提供方法およびプログラムの第2実施形態について説明する。
第2実施形態の通信環境情報提供システム1は、後述する点を除き、上述した第1実施形態の通信環境情報提供システム1と同様に構成されている。従って、第2実施形態の通信環境情報提供システム1によれば、後述する点を除き、上述した第1実施形態の通信環境情報提供システム1と同様の効果を奏することができる。
【0065】
第2実施形態の通信環境情報提供システム1は、建物内の無線通信環境、および、建物の外部のうちの建物の近傍の無線通信環境を示す情報を、通信環境情報提供システム1の利用者に提供する。第2実施形態の通信環境情報提供システム1は、例えば新築または改築される建物の設計担当者によって利用される。
第2実施形態の通信環境情報提供システム1は、第1実施形態の通信環境情報提供システム1と同様に、例えば間取り情報取得部1Aと、受信妨害エリア情報取得部1Bと、受信推奨エリア情報取得部1Cと、出力部1Dと、受信妨害エリア推定部1Eと、受信推奨エリア推定部1Fと、受信機器情報取得部1Gと、判定部1Hと、判定結果提示部1Iと、推奨設置位置算出部1Jとを備えている。
間取り情報取得部1Aは、建物内の間取りFP(
図2(A)参照)を示す情報を取得する。間取り情報取得部1Aは、例えば新築または改築される建物の設計を行うCAD(computer-aided design)のデータベース等から、建物内の間取りFPを示す情報を取得する。
【0066】
第2実施形態の通信環境情報提供システム1の出力部1Dは、例えば
図2(B)に示すように、間取りFPと受信妨害エリアFA1、FA2、FA3と受信推奨エリアRAとが、重ね合わせて出力する。
第2実施形態の通信環境情報提供システム1の利用者(建物の設計担当者)は、
図2(B)に示す出力部1Dの出力結果を確認することによって、建物内のどこが、送信機器TEによって送信される電波の受信に適した位置になるか、および、送信機器TEによって送信される電波の受信に適さない位置になるかを容易に把握することができる。
【0067】
第2実施形態の通信環境情報提供システム1の出力部1Dは、例えば
図3(B)に示すように、受信妨害エリアFA1、FA2、FA3と受信推奨エリアRAとを建物の鉛直断面図に重ね合わせて出力することもできる。
第2実施形態の通信環境情報提供システム1の利用者(建物の設計担当者)は、
図3(B)に示す出力部1Dの出力結果を確認することによって、建物内のどこが、送信機器TEによって送信される電波の受信に適した位置になるか、および、送信機器TEによって送信される電波の受信に適さない位置になるかを容易に把握することができる。
また、第2実施形態の通信環境情報提供システム1の出力部1Dは、例えば
図4に示すように、間取りFPを3次元化したものと受信推奨エリアRAとを重ね合わせた3次元モデルを出力することもできる。
【0068】
第2実施形態の通信環境情報提供システム1の間取り情報取得部1Aは、建物内の間取りFPを示す情報を取得すると共に、例えば建物の設計を行うCADのデータベース等から、建物の仕様を示す情報を取得する。間取り情報取得部1Aによって取得される建物の仕様を示す情報には、送信機器TEによって送信される電波の受信を妨害する設備である受信妨害設備(例えば電子レンジ、IHクッキングヒータ、床暖房設備、ユニットバスパック、鉄製階段など)の個体情報が含まれる。
【0069】
第2実施形態の通信環境情報提供システム1の間取り情報取得部1Aは、建物内の間取りFPを示す情報を取得すると共に、建物内に配置される送信機器TEに関する情報を取得する。間取り情報取得部1Aによって取得される送信機器TEに関する情報には、送信機器TEの設置位置および個体情報(電波強度、出力特性など)が含まれる。建物内に配置される送信機器TEに関する情報は、例えば建物の建築請負を行った会社の営業担当者が、建物の利用者(建物の利用者には、例えば建物の居住者などが含まれる。)に対してヒヤリングを行うことによって得られ、例えば建物の設計を行うCADのデータベース等に記憶されている。
【0070】
第2実施形態の通信環境情報提供システム1の間取り情報取得部1Aは、建物内の間取りFPを示す情報を取得すると共に、例えば建物の設計を行うCADのデータベース等から、建物の壁および床における電波の透過率および反射率を示す情報を取得する。
【0071】
第2実施形態の通信環境情報提供システム1の受信機器情報取得部1Gは、送信機器TEによって送信された電波を受信する受信機器REに関する情報を取得する。受信機器REには、建物の利用者によって携帯される携帯端末装置が含まれる。受信機器REに関する情報には、例えば建物の利用者による受信機器RE(携帯端末装置)の使用位置に関する情報が含まれる。受信機器REに関する情報は、例えば建物の建築請負を行った会社の営業担当者が、建物の利用者に対してヒヤリングを行うことによって得られ、例えば建物の設計を行うCADのデータベース等に記憶されている。
第2実施形態の通信環境情報提供システム1の出力部1Dは、間取り情報取得部1Aによって取得された建物内の間取りFPを示す情報と、受信妨害エリア情報取得部1Bによって取得された受信妨害エリアFA1、FA2、FA3を示す情報と、受信推奨エリア情報取得部1Cによって取得された受信推奨エリアRAを示す情報と、受信機器情報取得部1Gによって取得された受信機器RE(携帯端末装置)に関する情報とに基づいて、例えば
図5に示すように、間取りFPと受信妨害エリアFA1、FA2、FA3と受信推奨エリアRAと受信機器RE(携帯端末装置)の位置とを重ね合わせて出力する。
例えば新築または改築される建物の設計担当者は、
図5に示す出力部1Dの出力結果を確認することによって、建物の新築または改築依頼者が希望している受信機器RE(携帯端末装置)の使用位置が、送信機器TE(WiFiルータ)によって送信される電波の受信に適さない位置である旨を容易に把握することができる。
【0072】
第2実施形態の通信環境情報提供システム1の他の例では、送信機器TEによって送信された電波を受信する受信機器REに、建物の内部または外部に配置されたIoT機器(ドローン、アイボ型番犬、防犯カメラ、ドアホンなど)が含まれる。受信機器REに関する情報には、例えば受信機器RE(IoT機器)の使用位置または設置位置に関する情報が含まれる。受信機器REに関する情報は、例えば建物の建築請負を行った会社の営業担当者が、建物の利用者に対してヒヤリングを行うことによって得られ、例えば建物の設計を行うCADのデータベース等に記憶されている。
第2実施形態の通信環境情報提供システム1の出力部1Dは、間取り情報取得部1Aによって取得された建物内の間取りFPを示す情報と、受信妨害エリア情報取得部1Bによって取得された受信妨害エリアFA1、FA2、FA3を示す情報と、受信推奨エリア情報取得部1Cによって取得された受信推奨エリアRAを示す情報と、受信機器情報取得部1Gによって取得された受信機器RE(例えばドアホン)に関する情報とに基づいて、例えば
図6に示すように、間取りFPと受信妨害エリアFA1、FA2、FA3と受信推奨エリアRAと受信機器RE(ドアホン)の位置とを重ね合わせて出力する。
例えば新築または改築される建物の設計担当者は、
図6に示す出力部1Dの出力結果を確認することによって、受信機器RE(ドアホン)の位置が送信機器TEによって送信される電波の受信に適さない位置であって、受信機器RE(ドアホン)のために追加の送信機器(図示せず)を設置するか、あるいは、送信機器TEの位置を変更する必要がある旨を容易に把握することができる。
【0073】
例えば注文住宅などのような建物において、居住空間などの過ごしやすさなどは、事細かに設計されるが、インターネットや、無線環境が暮らしの中で密接になっている今日においても、快適なインターネット、あるいは、IoT環境は、適切に設計されているとは言い難い。
一方、第2実施形態の通信環境情報提供システム1を利用することによって、居住空間の設計と同時に、快適なIT、IoT環境を設計することが推奨になる。
【0074】
第2実施形態の通信環境情報提供システム1では、建物の形状、間取り、大きさ、仕様などを設計するためのCADのデータベース等に記憶されている情報が利用される。
建物の設計担当者は、第2実施形態の通信環境情報提供システム1と、CADとを利用することによって、建物を構成する構造体、設備機器、配線などの設計を容易に行うことができる。
また、建物の設計担当者は、
図2~
図7に示す出力部1Dの出力結果を確認することによって、情報機器および建物外からの通信配線等を引き込む集約ケースである情報ボックス(つまり、光終端末等の引き込みが行われる機器)の位置を容易に決定することができる。
詳細には、建物の設計担当者は、
図2~
図7に示す出力部1Dの出力結果を確認することによって、送信機器TE(例えば無線インターネットルータなど)の位置を容易に決定することができるのみならず、例えばHUB、アクセスポイントなどの通信機器の有線LAN部分の位置も容易に決定することができる。
また、建物の設計担当者は、
図2~
図7に示す出力部1Dの出力結果を確認することによって、無線インターネット等の環境に影響を与える、電子レンジ、IHクッキングヒータ、床暖房設備等の機器の位置も容易に決定することができる。
【0075】
第2実施形態の通信環境情報提供システム1では、受信妨害エリア推定部1Eが受信妨害エリアFA1、FA2、FA3の大きさおよび形状を設定するために必要な情報、受信推奨エリア推定部1Fが受信推奨エリアRAの大きさを設定するために必要な情報などが、例えばCADのデータベース等に記憶されている。
また、第2実施形態の通信環境情報提供システム1では、受信妨害エリアFA1、FA2、FA3、受信推奨エリアRAなどを2次元で表現するための円、楕円、矩形等の情報、受信妨害エリアFA1、FA2、FA3、受信推奨エリアRAなどを3次元で表現するための球、長球、直方体等の情報などが、例えばCADのデータベース等に記憶されている。
【0076】
上述した例では、例えば建物の建築請負を行った会社の営業担当者が、建物の利用者に対してヒヤリングを行うことによって、建物内に配置される送信機器TE、受信機器RE(携帯端末装置、IoT機器など)に関する個体情報が得られ、その個体情報が、例えば建物の設計を行うCADのデータベース等に記憶されている。
他の例では、例えば建物の建築請負を行った会社の営業担当者が、建物の利用者に対してヒヤリングを行うことによって、建物内に配置される送信機器TE、受信機器RE(携帯端末装置、IoT機器など)に関する個体情報のみならず、建物の利用者の嗜好、希望など(例えば家具の位置の嗜好、希望など)に関する情報も得られ、それらの情報が、例えば建物の設計を行うCADのデータベース等に記憶されていてもよい。
また、家具の個体情報、窓、シャッターなどの仕様および個体情報が、例えば建物の設計を行うCADのデータベース等に記憶されていてもよい。
建物の利用者の嗜好、希望などを通信環境の設計に反映するために、第2実施形態の通信環境情報提供システム1が、建物の利用者の嗜好、希望などを選択する機能を備えていてもよい。
また、送信機器TEによって送信される電波の受信を妨害する設備である受信妨害設備(例えば電子レンジ、IHクッキングヒータ、床暖房設備、ユニットバスパック、鉄製階段など)の個体情報が、例えば建物の設計を行うCADのデータベース等に記憶されていてもよい。
【0077】
他の例では、第2実施形態の通信環境情報提供システム1の出力部1Dが、
図3に示す出力結果を出力する場合に、第2実施形態の通信環境情報提供システム1あるいはCADが、有線LANのインターフェースがある情報コンセントを、各階に少なくとも1つ配置するように動作し、有線LANのインターフェースに無線LAN基地局を配置するように動作してもよい。
また、他の例では、階段が鉄製階段である場合に、第2実施形態の通信環境情報提供システム1あるいはCADが、階段の下方位置ではない位置に、情報ボックスを配置するように動作してもよい。例えば建物が3階建てである場合に、第2実施形態の通信環境情報提供システム1あるいはCADが、情報ボックスを2階に配置するように動作してもよい。
【0078】
他の例では、各送信機器TEの電波強度、出力特性(指向性)を絶対値化したものが、例えば建物の設計を行うCADのデータベース等に記憶されていてもよい。
また、送信機器TEによって送信される電波が壁または床を透過することによって、電波強度がどの程度弱くなるかを示す情報が、例えば建物の設計を行うCADのデータベース等に記憶されていてもよい。
【0079】
以上、本発明を実施するための形態について実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。上述した各実施形態および各例に記載の構成を適宜組み合わせてもよい。
【0080】
なお、上述した実施形態における通信環境情報提供システム1が備える各部の機能全体あるいはその一部は、これらの機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現しても良い。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶部のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでも良い。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
【符号の説明】
【0081】
1…通信環境情報提供システム、1A…間取り情報取得部、1B…受信妨害エリア情報取得部、1C…受信推奨エリア情報取得部、1D…出力部、1E…受信妨害エリア推定部、1F…受信推奨エリア推定部、1G…受信機器情報取得部、1H…判定部、1I…判定結果提示部、1J…推奨設置位置算出部、TE…送信機器、RE…受信機器、FP…間取り、FA1、FA2、FA3…受信妨害エリア、RA…受信推奨エリア