(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-18
(45)【発行日】2024-12-26
(54)【発明の名称】テーブル
(51)【国際特許分類】
A47B 7/00 20060101AFI20241219BHJP
A47B 13/02 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
A47B7/00 A
A47B13/02
(21)【出願番号】P 2020181153
(22)【出願日】2020-10-29
【審査請求日】2023-09-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000000561
【氏名又は名称】株式会社オカムラ
(74)【代理人】
【識別番号】100098729
【氏名又は名称】重信 和男
(74)【代理人】
【氏名又は名称】溝渕 良一
(74)【代理人】
【識別番号】100204467
【氏名又は名称】石川 好文
(74)【代理人】
【識別番号】100148161
【氏名又は名称】秋庭 英樹
(74)【代理人】
【氏名又は名称】堅田 多恵子
(74)【代理人】
【識別番号】100195833
【氏名又は名称】林 道広
(72)【発明者】
【氏名】中村 里奈
(72)【発明者】
【氏名】白井 信人
(72)【発明者】
【氏名】山田 優
【審査官】七字 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0351537(US,A1)
【文献】実開昭62-145527(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 7/00
A47B 13/00-13/16
A47B 96/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のテーブルの天板の側縁部同士を突き合わせることで天面を拡張できるテーブルであって、
前記天板の下面側には、磁着部が配設されており、
脚部と基部とからなる脚の磁着部を有する一部が、隣接するテーブルの天板の下方に進入可能となっており、
前記天板の下面側の磁着部と、隣接する前記テーブルの前記脚の磁着部とが磁気吸着されて複数のテーブル同士を位置決めできる
ものであり、
前記脚の基部は、前記天板の下面にL字状の固定面で固定されており、該脚の基部に前記天板の下面側の磁着部が設けられていることを特徴とするテーブル。
【請求項2】
複数のテーブルの天板の側縁部同士を突き合わせることで天面を拡張できるテーブルであって、
前記天板の下面側には、磁着部が配設されており、
脚部と基部とからなる脚の磁着部を有する一部が、隣接するテーブルの天板の下方に進入可能となっており、
前記天板の下面側の磁着部と、隣接する前記テーブルの前記脚の磁着部とが磁気吸着されて複数のテーブル同士を位置決めできる
ものであり、
前記天板の下面側の磁着部には、前記脚の磁着部を案内できる凹部が形成されていることを特徴とするテーブル。
【請求項3】
前記天板の下面側の磁着部は磁石を具備し、前記脚の磁着部は前記磁石に磁気吸引される強磁性体を具備していることを特徴とする請求項1
または2に記載の
テーブル。
【請求項4】
前記天板は、対をなす一方の対向する辺と、該一方の対向する辺に交差する他方の対向する辺とから構成され、
前記
脚は、前記一方の対向する辺の一端側にそれぞれ設けられているとともに、他方の対向する辺の他端側の一辺に対で設けられていることを特徴とする請求項1
または2に記載のテーブル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、学校やオフィスなどで複数台用いられるテーブルに関する。
【0002】
学校やオフィスなどで用いられるテーブルにおいて、グループワーク等の大きな載置面が必要となる際には、複数のテーブルを並べて配置し、それぞれの天板の側縁部同士を突き合わせて利用する態様が従来から知られている。そして、このような利用態様において、それぞれの天板の側縁部同士が当接した状態を保持できるようにするため、隣接する天板の下面側にそれぞれ凹部を設け、これらの凹部にコ字状の磁着部材の両端をそれぞれ嵌入することで、天板同士を位置決めさせるものが知られている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
このような磁着部材を利用する構成にあっては、天板の側縁部である辺同士を幅方向に亘って位置合わせを正確に行った後に、磁着部材の両端を隣接する天板の凹部にそれぞれ嵌入させる動作が必要となり、天板同士を連結する作業が煩雑で手間を要していた。そこで、隣接する天板の側縁部に磁石を配設することで、それぞれの天板の側縁部同士が当接した状態を保持できるようにしたものがある(例えば特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実開昭62-145527号公報(第1頁、第3図)
【文献】登録実用新案第3000573号公報(第2頁、第1図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献2では、磁石の磁気吸引によって隣接する天板同士を連結する構成を用いることで、天板の側縁部同士の位置合わせと天板同士を連結する作業を同時に完了することができるため、作業性に優れる。複数のテーブルの天板を連結することで構成された大きな天面には、天板の側縁部同士の繋ぎ目の上方にも物品が載置される場合があるが、特許文献2にあっては、天板の側面に磁石が配設されるため、この繋ぎ目の上方では物品と磁石が近接し、物品に対して磁力が影響しやすい。特に、物品が磁気カードや精密機器である場合には、磁力によってこれらの故障の原因となってしまう虞があった。
【0006】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、磁気吸着により位置決めできるテーブルにおいて、天板上に載置した物品への磁力の影響が小さいテーブルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本発明のテーブルは、
複数のテーブルの天板の側縁部同士を突き合わせることで天面を拡張できるテーブルであって、
前記天板の下面側には、磁着部が配設されており、
脚部と基部とからなる脚の磁着部を有する一部が、隣接するテーブルの天板の下方に進入可能となっており、
前記天板の下面側の磁着部と、隣接する前記テーブルの前記脚の磁着部とが磁気吸着されて複数のテーブル同士を位置決めできるものであり、
前記脚の基部は、前記天板の下面にL字状の固定面で固定されており、該脚の基部に前記天板の下面側の磁着部が設けられていることを特徴としている。
また、本発明のテーブルは、複数のテーブルの天板の側縁部同士を突き合わせることで天面を拡張できるテーブルであって、
前記天板の下面側には、磁着部が配設されており、
脚部と基部とからなる脚の磁着部を有する一部が、隣接するテーブルの天板の下方に進入可能となっており、
前記天板の下面側の磁着部と、隣接する前記テーブルの前記脚の磁着部とが磁気吸着されて複数のテーブル同士を位置決めできるものであり、
前記天板の下面側の磁着部には、前記脚の磁着部を案内できる凹部が形成されていることを特徴としている。
この特徴によれば、天板の下面側の磁着部と隣接するテーブルの脚の磁着部とが当該テーブルの天板の下方にて磁気吸着されることで、複数のテーブル同士を位置決めできるため、複数の天板の側縁部同士を突き合わせて拡張された天面に載置した物品への磁力の影響を極めて小さくできる。
【0008】
前記天板の下面側の磁着部は、前記脚の基部に設けられていることを特徴としている。
この特徴によれば、脚を構成する基部を用いて天板の下面側の磁着部を設けているので、同じ脚に天板の下面側の磁着部と脚の磁着部が設けられ、簡素な構成で複数のテーブルを位置決めする位置決め構造を形成できる。
【0009】
前記脚の基部は、前記天板の下面にL字状の固定面で固定されていることを特徴としている。
この特徴によれば、脚の磁着部と天板の下面側の磁着部に、他のテーブルの対応する部材がそれぞれ繰り返し当接される際における外力に対して高い耐久性をもたせることができる。
【0010】
前記天板の下面側の磁着部には、前記脚の磁着部を案内できる凹部が形成されていることを特徴としている。
この特徴によれば、脚の磁着部が凹部内に案内されて入り込むことで、脚の磁着部と天板の下面側の磁着部との位置合わせを簡便に行うことができる。
【0011】
前記天板の下面側の磁着部は磁石を具備し、前記脚の磁着部は前記磁石に磁気吸引される強磁性体を具備していることを特徴としている。
この特徴によれば、単体でテーブルを利用する際において天板の側縁部より外方に磁石が張り出さず、天板に載置した物品への磁力の影響を極めて小さくできる。
【0012】
前記天板は、対をなす一方の対向する辺と、該一方の対向する辺に交差する他方の対向する辺とから構成され、
前記脚は、前記一方の対向する辺の一端側にそれぞれ設けられているとともに、他方の対向する辺の他端側の一辺に対で設けられていることを特徴としている。
この特徴によれば、上方のテーブルの脚部と下方のテーブルの脚部とを前後方向にずらすことで、互いの脚部が干渉せず、複数のテーブルのスタッキングが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施例におけるテーブルを示す斜視図である。
【
図3】脚の磁着部と天板の下面側の磁着部を示す分解斜視図である。
【
図4】磁着部材を幅方向の中央で切断した断面図である。
【
図6】複数のテーブルをスタッキングした様子を示す斜視図である。
【
図7】隣接するテーブル同士の位置決め構造を示す平面図である。
【
図8】隣接するテーブル同士の位置決め構造を示す正面図である。
【
図9】4つのテーブルを位置決めした様子を示す平面図である。
【
図10】変形例における隣接するテーブル同士の位置決め構造を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明に係るテーブルを実施するための形態を実施例に基づいて以下に説明する。
【実施例】
【0015】
実施例に係るテーブルにつき、
図1から
図9を参照して説明する。本実施例におけるテーブル1は、学校やオフィスなどで利用され、
図1のように、複数のテーブル1,1,…の天板2の側縁部20同士を突き合わせることで載置面を拡張して利用できるとともに、
図6のように、複数のテーブル1,1,…を上下にスタッキングすることができるテーブルである。
【0016】
図1に示されるように、テーブル1は、樹脂製の板材からなる天板2と、天板2の4隅近傍に配設されて天板2を支持する脚3(3A~3D)とにより構成されている。天板2は、側縁部20である対をなす一方の対向する辺20A,20Bと、この一方の対向する辺に交差する側縁部20である他方の対向する辺20C,20Dと、を有する矩形状に形成されている。
【0017】
一方の対向する辺20A,20Bは互いに平行かつ同寸である。他方の対向する辺20C,20Dは一方の対向する辺20A,20Bに対してそれぞれ直交し、互いに平行かつ同寸に形成され、一方の対向する辺20A,20Bに比べて長寸となっている。
【0018】
図2に示されるように、脚3は、天板2に固定されるブラケット(基部)4と、円筒状の脚部材(脚部・脚の磁着体)5と、を備えて構成されており、脚部材5の下端にはキャスタ7(
図1参照)が取り付けられている。ブラケット4は、アルミダイキャストにより平面視L字形状に形成されており、L字形状の一方の自由端の先端部4aは平面視において丸みを帯びた形状となっている(
図3,7参照)。
【0019】
図3に示されるように、ブラケット4の先端部4aの下部には、係合部8が形成されている。係合部8は、ブラケット4の先端部4aの上部を残して先端方向と下方向に開放され、半円状の奥面9aを有して形成される係合凹部9と、ブラケット4の先端部4aにおいてブラケット4の下面4bより下方に突出する突出部10と、から構成されている。係合凹部9の天井面9bはブラケット4の下面4bに対して平行に形成されている。
【0020】
突出部10は、係合凹部9と同心小径の円柱部10aと円柱部10aの外周面から径方向に沿って放射状に延びる複数本の突片10bとにより構成されており、先端側の突片10bの外縁部10cは係合凹部9の奥面9aと面一に連続している。
【0021】
図3に示されるように、ブラケット4の上部にはL字状の突出部43が形成されている。突出部43は水平方向に同じ厚みで形成されており、突出部43の上面43aは、ブラケット4の係合部8を備える先端部4aの上面4dよりも突出部43の厚み分、上方に位置している。ブラケット4は、突出部43の上面43aが天板2の下面2bに当接した状態で天板2に固定されている。つまり、ブラケット4の係合部8を備える先端部の上面4dは天板2の下面2bから下方に離間している(
図8参照)。
【0022】
図2及び
図3に示されるように、ブラケット4には、上下に貫通する複数の貫通孔25A~25Dが形成されており、ブラケット4の下方から貫通孔25A~25Dに挿通されるネジ31によって天板2にブラケット4が固定されている。
【0023】
これら貫通孔25A~25Dは突出部43の範囲に配置されている。詳しくは、L字状の突出部43を構成する互いに直交する長尺片44,45の各先端部に貫通孔25A,25Bが形成され、長尺片44,45が互いに直交する角部に貫通孔25Cが形成され、ブラケット4の係合部8を備えない側の杆部41に沿う長尺片45の中央部に貫通孔25Dが形成されている。貫通孔25Aと貫通孔25Cとは、ブラケット4の係合部8を備える側の杆部40の幅方向の中央にて長手方向に重なる位置に配設されている。貫通孔25Dは、ブラケット4の係合部8を備えない側の一方の杆部41の幅方向において、他方の杆部40寄りに配設されている。
【0024】
脚部材5は、鉄などの強磁性体の特性を有する金属により円筒状に形成されて一方の磁着部を構成している。脚部材5の上端部には、所定の上下寸法に亘って上方向に開放される切欠部5aが形成されている。言い換えると切欠部5aが形成されることにより、脚部材5の上端部は所定の上下寸法に亘って断面視で半円状となっている。
【0025】
脚部材5の上端面5bと切欠部5aの底面5cとの離間寸法は、ブラケット4に形成された係合凹部9の天井面9bとブラケット4の下面4bとの離間寸法と同寸法であり、
図2に示されるように、脚部材5をブラケット4に取り付けた状態において、脚部材5の上端面5bがブラケット4の係合凹部9の天井面9bに、脚部材5の切欠部5aの底面5cがブラケット4の下面4bに、それぞれ当接する。また、脚部材5の切欠部5aの側面5dがブラケット4の係合凹部9の側面9cにそれぞれ当接するようになっている。更に、ブラケット4に形成された突出部10が脚部材5の切欠部5aより下方において脚部材5の中空部に挿嵌され、放射状に延びる4本の突片10bが脚部材5の内周面5eに圧接されることで、ブラケット4の係合部8に対して脚部材5が固定される構造になっている。
【0026】
図2,3を参照し、ブラケット4における係合部8を先端部4aに備える杆部40の根元側、詳しくは、L字状のブラケット4の外側に面する杆部40の根元側の側面4cに磁着部6が設けられている。杆部40の根元側には、側面4cと下面4bとに開口する取付凹部42が形成されており、取付凹部42に別体の磁着部6(天板の下面側の磁着部)が取り付けられて、ブラケット4の側面4cから外方に突出している。
【0027】
詳しくは、磁着部6の磁着ケース11は、合成樹脂により形成されており、ブラケット4の取付凹部42内に挿嵌される固定部11aと、固定部11aの幅寸法よりも大きい本体部11bとを備えている。固定部11aは、上下に貫通する貫通孔12を備え、この貫通孔12に相通されるネジ30がブラケット4の取付凹部42の上面に形成されたネジ穴(図示せず)に螺合されることにより、磁着ケース11がブラケット4に対して固定される。
【0028】
図3及び
図4に示されるように、磁着ケース11の本体部11bの幅方向の中央部には、上方に開口し厚み方向に凹む中央凹部13が形成されており、この中央凹部13にネオジム磁石である磁石14が内蔵されている。磁石14は、後述する凹部18の開口方向に向けて一方の磁極が位置するように配置されている。
【0029】
図4に示されるように、磁石14は中央凹部13の深さ寸法よりも厚みが小さく形成されており、中央凹部13内における底面13a上に載置されている。中央凹部13の上部には、樹脂製のキャップ15が嵌入されている。キャップ15の厚み寸法は中央凹部13の深さと磁石14の厚みの差分と等しく、磁石14の上方向への移動を規制している。
【0030】
また、
図3を参照し、本体部11bの中央凹部13の幅方向両側には、上方に開口し厚み方向に凹む中空部16,16がそれぞれ形成されている。中空部16,16の幅方向の中央には内面の前後端部に亘り連続する薄板の隔壁17,17を備えている。これによれば、中空部16,16が形成されている本体部11bの幅方向両側は、当該箇所の前方からの外力に対して、隔壁17,17により形状安定性を図りながら、積極的に弾性変形を許容する緩衝手段として機能する。
【0031】
また、本体部11bの正面側には、その中央側に向けて固定部11a側に凹む凹部18が形成されている。凹部18は、本体部11bの幅方向の両端側から中央側に向けて漸次開口幅が狭まる形状であり、その幅方向中央に円弧状の奥端部18aを備えている。この奥端部18aの背部には、中央凹部13及び磁石14が位置している。
【0032】
図5は、説明の便宜上、天板2を破線にて示している。
図5に示されるように、天板2の下方には、一方の対向する辺20A,20Bの一端側の近傍にそれぞれ1つずつ脚3C,3Dが配置され、他方の対向する辺20C,20Dにおける他端側の辺20Cの両端側に対で脚3A,3Bが配置されている。以降、脚3A,3Bが対で配置される辺20Cを天板2における前方側とし、その前後左右を基準に説明する。
【0033】
各脚3の脚部材5はその先端が天板2の各辺20から40mm外方に突出した位置に配置されており、磁着部6の凹部18は奥端部18aが各辺20から40mm内方に後退した位置に配置されている。脚部材5の直径は30mmであり、脚部材5はその全体が天板2の辺20の外方に位置する。
【0034】
前方側の辺20Cの左側に配置された脚3Aは、脚部材5が当該辺20Cから突出し、磁着部6が左側の辺20Aに凹部18の開口が向くように配設されている。また、左側の辺20Aの後方側に配置された脚3Cは、脚部材5が当該辺20Aから突出し、磁着部6が後方側の辺20Dに凹部18の開口が向くように配設される。これら天板2における左側に配置される脚3Aと脚3Cは同形状である。
【0035】
前方側の辺20Cの右側に配置された脚3Bは、脚部材5が当該辺20Cから突出し、磁着部6が右側の辺20Bに凹部18の開口が向くように配設される。また、右側の辺20Bの後方側に配置された脚3Dは、脚部材5が当該辺20Bから突出し、磁着部6が後方側の辺20Dに凹部18の開口が向くように配設される。これら天板2における右側に配置される脚3Bと脚3Dは同形状である。すなわち、天板2の左右に配置される脚3Aと脚3Cと、脚3Bと脚3Dはそれぞれ左右対称形状である。
【0036】
図5に示されるように、一方の対向する辺20A,20Bの一端側にてそれぞれ脚部材5,5が天板2の外方に突出して設けられているとともに、他方の対向する辺20C,20Dのうちの辺20Cに対で脚部材5,5が天板2の外方に突出して設けられている。そのため、
図6に示されるように、上方のテーブル1の脚部材5,5,…と下方のテーブル1の脚部材5,5,…とを前後方向にずらすことで、互いの脚部材5,5,…が干渉せず、複数のテーブル1,1,…のスタッキングが可能となっている。
【0037】
次いで、
図7から
図9を用いて、複数のテーブル1,1,…の天板2の側縁部である辺20同士を突き合わせることで載置面を拡張して利用する態様について説明する。
図7及び
図8に示されるように、隣接するテーブル1を位置決めする際には、隣接する一方のテーブル1の脚部材5が突出する辺20と、隣接する他方のテーブル1’の磁着部6’の凹部18’が開口する辺20’とを突き合わせる。
【0038】
これにより、一方のテーブル1の辺20から外方に突出したブラケット4の先端部4a及び脚部材5が、他方のテーブル1’の辺20’の下方に進入し、ブラケット4の先端部4aが他方のテーブル1’の辺20’から内方に後退して配置された磁着部6’の凹部18’の奥端部18aに当接する。この当接状態において、脚部材5が磁着部6’に内蔵された磁石14に磁気吸引され、天板2,2’の側縁部である辺20,20’同士が位置決めされる。すなわち、磁気吸引によりこれら隣接するテーブル1,1’同士が連結される。
【0039】
図9は、4つのテーブル1A~1Dを、天板2の各角部を中心に連結した状態を示し、このように連結する場合、同姿勢のテーブル1Aとテーブル1Bと、前後反転させた同姿勢のテーブル1Cとテーブル1Dとを磁気吸引により連結状態として位置決めする。
【0040】
このように、隣接する一方のテーブル1の脚部材5と隣接する他方のテーブル1’の磁着部6’との磁気吸引によって、天板2の辺20,20(側縁部)同士の位置合わせと天板2,2’同士を位置決めする作業を同時に完了することができる。加えて、これら脚部材5と磁着部6’とは天板2の下方にて磁気吸引される構成であり、天板2の下方に配設された磁石14’の磁力が非磁性体である天板2の厚みによって減衰することによって、複数の天板2,2’の辺20,20同士を突き合わせて拡張された載置面に載置した物品への磁力の影響を極めて小さくできる。また、磁石14’を内蔵する磁着部6’は、天板2’の辺20から内方に後退して配置されているため、天板2,2’の側縁部同士の継ぎ目の上方に磁気カードやパソコンなどの精密機器が載置されていたとしても、これら物品への磁力の影響は極めて小さい。
【0041】
また、上述したように脚部材5はその全体が天板2の辺20の外方に位置しており、言い換えると天板2の辺20,20同士を突き合わせた状態において、脚部材5全体が他方のテーブル1’の天板2’の下方に位置することになる。そのため、他方のテーブル1’の磁着部6’に内蔵された磁石14’と近接することで磁気を帯びた脚部材5からの磁力が、拡張された載置面に載置した物品への影響にし難い。
【0042】
また、脚部材5を磁着部6の磁石と磁気吸引させ、磁着部6を天板2の下方に位置させた構成であることから、天板2の上方からは、複数のテーブル1を互いに位置決めする構造が判別されず、単体での使用時における美観に優れる。
【0043】
また、磁着部6が磁石14を具備し、脚部材5は磁石ではなく磁石14に磁気吸引される強磁性体としたことで、単体でテーブル1を利用する際においても天板2の辺(側縁部)20より外方に磁石が張り出さず、天板2に載置した物品への磁力の影響を極めて小さくできる。
【0044】
また、磁着部6は本体部11bの幅方向の両端側から中央側に向けて漸次開口幅が狭まる形状の凹部18を有していることから、脚部材5を備える脚3の先端が凹部18に誘導され、脚3と磁着部6との位置合わせを簡便に行うことができる。更に、脚3の先端が案内される凹部18の中央に位置する奥端部18aの後方に磁石14が配置されていることから、凹部18の表面形状により脚部材5が磁石14に案内され、確実にこれらを磁気吸引させることができる。
【0045】
また、脚3には、脚部材5が外方に突出する辺20に直交する別の辺20に向けて開口する凹部18を有する磁着部6が一体的に形成されている。これによれば、天板2の辺20より外方に突出する脚部材5から、天板2の下方で視認し難い磁着部6の位置を容易に把握することができる。また、同じ脚3に脚の磁着部である脚部材5と天板2の下面側の磁着部6とが設けられ、簡素な構成で複数のテーブル1を位置決めする位置決め構造を形成できる。
【0046】
また、脚3はL字状の突出部43の上面43a(固定面)で、天板2の下面2bにネジ31により固定されている。これによれば、固定面がL字状であることから、脚3の先端が他のテーブル1’の磁着部6’に当接する際、磁着部6に他のテーブル1’の脚3の先端が当接する際、いずれにおいても、その当接方向に平行に延びる長尺の固定面が用意されていることになり、脚3の先端と磁着部6に他のテーブル1’の磁着部6’と脚3の先端がそれぞれ繰り返し当接される際の衝撃等の外力に対する耐久性を高め、固定状態を維持することができる。
【0047】
また、固定面である突出部43の範囲に配置されネジ31が挿通される貫通孔25A~25Dのうち、貫通孔25Aと貫通孔25Cとは、ブラケット4の脚部材5を備える側の長尺片44の幅方向の中央にて長手方向に重なる位置に配設されており、脚部材5が他のテーブル1’の磁着部6’に当接する際にかかる外力に対する耐久性が高められている。そして、長尺片45には貫通孔25Bと貫通孔25Cと貫通孔25Dが配設されており、磁着部6に他のテーブル1’の脚部材5が当接する際にかかる外力に対する耐久性が高められている。このように、固定面であるL字状の突出部43の長尺片44,45の衝撃等の外力に対する耐久性を最小限の数のネジ31によって達成している。
【0048】
また、
図8に示されるように、ブラケット4の上部に形成されたL字状の突出部43により、ブラケット4の係合部8を備える先端部の上面4dは天板2の下面2bから下方に離間している。そのため、天板2の下面2bとブラケット4の係合部8を備える先端部の上面4dとの間のクリアランスによって床の不陸を吸収することができ、テーブル1の天板2の下方に他のテーブル1’の脚3の先端(ブラケット4の先端部4a及び脚部材5’)を確実に挿入することができる。
【0049】
また、隣接するテーブル1,1’は、これらを突き合わせる辺20,20’の両端の2か所で磁着されるため、テーブル1,1’同士の相対的な傾動や相対移動などに対して位置決め状態を保持しやすい。
【0050】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0051】
例えば、前記実施例においては、隣接する天板2,2’の辺20,20’(側縁部)同士を突き合わせた際に磁着部6と脚3の先端(ブラケット4の先端部4a)とが当接する構成で説明したが、これに限らず、例えば隣接する天板の側縁部同士を突き合わせた状態において、磁着部に内蔵された磁石と脚部材とが引き合う状態でありながら、磁着部と脚体とが当接しない構成であってもよい。
【0052】
また、前記実施例において、磁着部6と脚部材5とは水平方向に磁気吸引される構成であるが、これに限らず、例えば
図10に示される変形例のように、脚部材5の上方に強磁性体50(脚の磁着部)を具備し、天板2の下面2bに磁着部140(天板の下面側の磁着部)を埋設させ、磁着部140にはいずれか一方の磁極が下方に位置するように磁石を内蔵した構成とし、これら強磁性体50と磁着部140とを上下方向に磁気吸引させるようにしてもよい。
【0053】
また、天板2は矩形に限らず、直線状の辺を複数有する多角形であれば三角形や八角形等でもよい。
【0054】
また、前記実施例において、磁着部6が磁石14を具備し、脚部材5は磁石14と磁気吸引さる強磁性体であるが、これに限らず、例えば脚部材5側に磁石を具備し磁着部6に強磁性体を具備する構成としてもよいし、脚部材5と磁着部6とにそれぞれ互いに引き合うように磁極を配した磁石を具備させた構成としてもよい。
【0055】
また、脚部材5と磁着部6とは別体に形成され、それぞれ天板2の下面2bに固定される構成であってもよい。
【0056】
また、磁着部6に内蔵された磁石14が辺20に対していずれか一方の磁極が向くように配置されていれば、磁着部6の凹部18を省略してもよい。
【0057】
また、磁着部6の磁石14と磁気吸引される対象として、脚部材5の実際に荷重を受ける円筒状の部分に限らず、円筒状の部材の上に別体の強磁性体を具備し、この強磁性体と磁石14とが磁気吸引される構成としてもよい。
【0058】
また、前記実施例では、スタッキングを可能とするために、実際に荷重を受ける脚部材5を天板2の側縁部よりも外方に突出させ、この脚部材5を磁着部として活用しているが、これに限らず、例えば実際に荷重を受ける脚部材に相当する部分は天板2の側縁部よりも外方に突出させず、それとは別に天板2の側縁部よりも外方に突出する脚を構成する部位を設け、この部位を磁着部とする構成としてもよい。
【0059】
また、脚3は、基部であるブラケット4と脚部である脚部材5とから構成される構成に限らず、例えば金属製の円筒部材を折り曲げてこれらを一体に形成してもよく、この場合には、天板2の下面2bに固定される部分を基部とし、基部から下方に延びる部分を脚部とする。
【符号の説明】
【0060】
1 テーブル
2 天板
3 脚
4 ブラケット(基部)
4a 先端部
4b 下面
4d 先端部上面
5 脚部材(脚部・脚の磁着部)
5a 切欠部
6 磁着部(天板の下面側の磁着部)
7 キャスタ
8 係合部
9 係合凹部
10 突出部
11 磁着部材
13 中央凹部
14 磁石
15 キャップ
16,16 中空部
18 凹部
18a 奥端部
20 辺(側縁部)
40,41 杆部
43 突出部
43a 上面
44,45 長尺片
50 強磁性体(脚の磁着部)
140 磁着部(天板の下面側の磁着部)