(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-18
(45)【発行日】2024-12-26
(54)【発明の名称】駆動力伝達機構および画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 21/16 20060101AFI20241219BHJP
G03G 21/18 20060101ALI20241219BHJP
F16D 1/02 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
G03G21/16 147
G03G21/18 160
F16D1/02 230
(21)【出願番号】P 2020185528
(22)【出願日】2020-11-06
【審査請求日】2023-09-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100168217
【氏名又は名称】大村 和史
(72)【発明者】
【氏名】岡本 昌太郎
【審査官】山下 清隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-298804(JP,A)
【文献】特開2019-120363(JP,A)
【文献】特開2015-067418(JP,A)
【文献】特開2014-206770(JP,A)
【文献】特開2011-059338(JP,A)
【文献】特開2013-122537(JP,A)
【文献】特開2020-020909(JP,A)
【文献】特開2019-117407(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0080936(US,A1)
【文献】中国実用新案第202394037(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/16
G03G 21/18
G03G 15/00
F16D 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1回転体が有する従動側カップリング部と第2回転体が有する駆動側カップリング部とを嵌合させて前記第2回転体の回転力を前記第1回転体に伝達する駆動力伝達機構であって、
前記従動側カップリング部は、
円筒状の受容部、および、
前記受容部の内周面に周方向に所定間隔で設けられ、前記受容部の回転軸線を通る面と平行な当接面を有する複数の第1係合部を備え、
前記駆動側カップリング部は、
前記受容部に挿入される円筒状または円柱状の胴部、
前記胴部の外周面に周方向に所定間隔で設けられ、前記複数の第1係合部と係合する複数の第2係合部を備え、
前記複数の第2係合部のそれぞれは、対応する前記第1係合部の前記当接面との当接部位に、前記胴部の回転方向の下流側から上流側に向かって当該胴部の回転軸線から遠ざかるように傾斜する第1傾斜面を有
し、
前記第2回転体は、
基端部が回転支軸によって回転可能に支持される回転軸部、および
前記回転軸部の基端部に形成されるギヤ部を備え、
前記駆動側カップリング部は、前記回転軸部の先端部に形成され、
前記第2回転体は、前記駆動側カップリング部が前記回転軸部の基端部を支点として首振り可能に設けられる、駆動力伝達機構。
【請求項2】
前記胴部は、前記複数の第2係合部の間の外周面に、当該胴部の基端側から先端側に向かって当該胴部の回転軸線に近づくように傾斜する第2傾斜面を有する、請求項1記載の駆動力伝達機構。
【請求項3】
前記第2回転体の前記ギヤ部を覆うように設けられるホルダをさらに備え、
前記ギヤ部は、前記ホルダと当接することで前記駆動側カップリング部の首振り角度を規制する角度規制部を有する、請求項
1または2記載の駆動力伝達機構。
【請求項4】
前記複数の第2係合部のそれぞれは、前記胴部の回転方向の下流側から上流側に向かって当該胴部の基端部側に近づくように傾斜する第3傾斜面を先端部に有する、請求項1から
3のいずれかに記載の駆動力伝達機構。
【請求項5】
請求項1から
4のいずれかに記載の駆動力伝達機構を備える、画像形成装置。
【請求項6】
装置本体と、前記装置本体に着脱可能な着脱ユニットとを備え、
前記第1回転体が前記着脱ユニットに設けられ、前記第2回転体が前記装置本体に設けられる、請求項
5記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記着脱ユニットは、前記第1回転体が設けられる位置とは異なる位置に、前記装置本体に対する位置決め部を有する、請求項
6記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は駆動力伝達機構および画像形成装置に関し、特にたとえば、第2回転体が有する駆動側カップリング部と第1回転体が有する従動側カップリング部とを嵌合させて第2回転体の回転力を第1回転体に伝達する、駆動力伝達機構および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種の駆動力伝達機構を備える画像形成装置の一例が特許文献1に開示される。特許文献1の技術では、装置本体側の動力伝達軸(第2回転体)の先端部(駆動側カップリング部)に駆動突起が設けられ、現像ローラの駆動軸の先端部に軸継ぎ手(第1回転体)が設けられる。この軸継ぎ手は、駆動側カップリング部と嵌め合わされる第2係合部(従動側カップリング部)を有しており、第2係合部には、動力伝達軸の駆動突起を収容する係合溝と、駆動突起を係合溝へ案内する傾斜面とが形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
駆動側カップリング部と従動側カップリング部と接続する際に、駆動側カップリング部の軸中心と従動側カップリング部の軸中心とが必ずしも一致するとは限らず、部材の寸法誤差などにより、互いの軸中心がずれた状態で接続される場合がある。特に、複数の軸を同時に位置決めしないといけない場合、1つの軸を主として位置決めすると、それに付随する他の軸は、カップリング部どうしの軸中心がずれ易い。
【0005】
特許文献1の技術では、駆動側カップリング部(延いては装置本体側の動力伝達軸)の軸中心と従動側カップリング部(延いては現像ローラの駆動軸)の軸中心とがずれていた場合でも、動力伝達軸の回転力を現像ローラの駆動軸に伝えることはできるが、互いの軸中心を合わせる(調芯する)ことができない。このため、これらの軸中心が一致しないことに起因する回転むら(回転速度の変動)が現像ローラの駆動軸に発生してしまう恐れがある。
【0006】
それゆえに、この発明の主たる目的は、新規な、駆動力伝達機構および画像形成装置を提供することである。
【0007】
この発明の他の目的は、従動側の部材である第1回転体に生じる回転むらを低減できる、駆動力伝達機構および画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の発明は、第1回転体が有する従動側カップリング部と第2回転体が有する駆動側カップリング部とを嵌合させて第2回転体の回転力を第1回転体に伝達する駆動力伝達機構であって、従動側カップリング部は、円筒状の受容部、および受容部の内周面に周方向に所定間隔で設けられ、受容部の回転軸線を通る面と平行な当接面を有する複数の第1係合部を備え、駆動側カップリング部は、受容部に挿入される円筒状または円柱状の胴部、胴部の外周面に周方向に所定間隔で設けられ、複数の第1係合部と係合する複数の第2係合部を備え、複数の第2係合部のそれぞれは、対応する第1係合部の当接面との当接部位に、胴部の回転方向の下流側から上流側に向かって当該胴部の回転軸線から遠ざかるように傾斜する第1傾斜面を有し、第2回転体は、基端部が回転支軸によって回転可能に支持される回転軸部、および回転軸部の基端部に形成されるギヤ部を備え、駆動側カップリング部は、回転軸部の先端部に形成され、第2回転体は、駆動側カップリング部が回転軸部の基端部を支点として首振り可能に設けられる、駆動力伝達機構である。
【0009】
第1の発明によれば、従動側カップリング部の軸中心と駆動側カップリング部の軸中心とがずれていた場合でも、第1傾斜面によって従動側カップリング部と駆動側カップリング部とが自動調芯(芯合わせ)されるので、第1回転体に生じる回転むらを低減ないし防止することができる。
【0010】
第2の発明は、第1の発明に従属し、胴部は、複数の第2係合部の間の外周面に、当該胴部の基端側から先端側に向かって当該胴部の回転軸線に近づくように傾斜する第2傾斜面を有する。
【0012】
第3の発明は、第1または第2の発明に従属し、第2回転体のギヤ部を覆うように設けられるホルダをさらに備え、ギヤ部は、ホルダと当接することで駆動側カップリング部の首振り角度を規制する角度規制部を有する。
【0013】
第4の発明は、第1から第3のいずれかの発明に従属し、複数の第2係合部のそれぞれは、胴部の回転方向の下流側から上流側に向かって当該胴部の基端部側に近づくように傾斜する第3傾斜面を先端部に有する。
【0014】
第5の発明は、第1から第4のいずれかの発明に係る駆動力伝達機構を備える、画像形成装置である。
【0015】
第6の発明は、第5の発明に従属し、装置本体と、装置本体に着脱可能な着脱ユニットとを備え、第1回転体が着脱ユニットに設けられ、第2回転体が装置本体に設けられる。
【0016】
第7の発明は、第6の発明に従属し、着脱ユニットは、第1回転体が設けられる位置とは異なる位置に、装置本体に対する位置決め部を有する。
【発明の効果】
【0017】
この発明によれば、従動側カップリング部の軸中心と駆動側カップリング部の軸中心とがずれていた場合でも、第1傾斜面によって従動側カップリング部と駆動側カップリング部とが自動調芯されるので、第1回転体に生じる回転むらを低減ないし防止することができる。
【0018】
この発明の上述の目的、その他の目的、特徴および利点は、図面を参照して行う後述の実施例の詳細な説明から一層明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】この発明の第1実施例の画像形成装置の内部構造を示す概略断面図である。
【
図2】装置本体にプロセスユニットを装着するときの様子を示す図解図である。
【
図3】プロセスユニットの後端部を示す斜視図である。
【
図4】プロセスユニットの後端部を示す断面図である。
【
図5】プロセスユニットが備えるスクリューカップリング(第1回転体)を示す背面図である。
【
図6】
図5のVI-VI線で切断したスクリューカップリングの断面を示す断面図である。
【
図7】装置本体が備えるプロセスユニット駆動装置を示す斜視図である。
【
図8】プロセスユニット駆動装置を示す断面図である。
【
図9】スクリュー駆動ギヤ(第2回転体)を示す斜視図である。
【
図12】
図11のXII-XII線で切断したスクリュー駆動ギヤの断面を示す断面図である。
【
図13】プロセスユニット駆動装置のスクリュー駆動ギヤ周辺部分を拡大して示す断面図である。
【
図14】プロセスユニット駆動装置とプロセスユニットとを連結した状態を示す図解図である。
【
図15】従動側カップリング部と駆動側カップリング部とが自動調芯されるときの動作を模式的に示す図解図である。
【
図16】この発明の第2実施例である画像形成装置が備えるスクリュー駆動ギヤを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
[第1実施例]
図1を参照して、この発明の一実施例である画像形成装置10は、複写機能、プリンタ機能、スキャナ機能およびファクシミリ機能などを有する複合機(MFP:Multifunction Peripheral)であって、電子写真方式によって用紙(記録媒体)に多色または単色の画像を形成する。詳細は後述するように、画像形成装置10は、第1回転体の一例であるスクリューカップリング88と第2回転体の一例であるスクリュー駆動ギヤ108とで構成される駆動力伝達機構200(
図14参照)を備え、この駆動力伝達機構200を介して、プロセスユニット駆動装置100(
図7参照)からの駆動力をクリーナユニット38の搬送スクリュー84に伝達する。
【0021】
先ず、画像形成装置10の基本構成について概略的に説明する。なお、この第1実施例では、画像形成装置10を操作するユーザの立ち位置に対向する面、つまり操作パネル28が設けられる側の面を前面(正面)として画像形成装置10およびその構成部材の前後方向(奥行方向)を規定する。また、画像形成装置10およびその構成部材の左右方向(横方向)は、画像形成装置10を正面から見た状態を基準として規定する。
【0022】
図1および
図2に示すように、画像形成装置10は、画像形成部30等を備える装置本体12、およびその上方に配置される画像読取装置14を含む。
【0023】
画像読取装置14は、透明材によって形成される原稿載置台16を備える。原稿載置台16の上方には、ヒンジ等を介して原稿押えカバー18が開閉自在に取り付けられる。この原稿押えカバー18には、原稿載置トレイ20に載置された原稿を画像読取位置22に対して1枚ずつ自動的に給紙するADF(自動原稿送り装置)24が設けられる。また、原稿載置台16の前面側には、ユーザによる印刷指示等の入力操作を受け付ける操作パネル28が設けられる。この操作パネル28には、ディスプレイおよび操作ボタン等が適宜設けられる。
【0024】
また、画像読取装置14には、光源、複数のミラー、結像レンズおよびラインセンサ等を備える画像読取部26が内蔵される。画像読取部26は、原稿表面を光源によって露光し、原稿表面から反射した反射光を複数のミラーによって結像レンズに導く。そして、結像レンズによって反射光をラインセンサの受光素子に結像させる。ラインセンサでは、受光素子に結像した反射光の輝度や色度が検出され、原稿表面の画像に基づく画像データが生成される。ラインセンサとしては、CCD(Charge Coupled Device)やCIS(Contact Image Sensor)等が用いられる。
【0025】
装置本体12には、CPUやメモリ等を含む制御部(図示せず)および画像形成部30等が内蔵される。制御部は、操作パネル28への入力操作などに応じて、画像形成装置10の各部位に制御信号を送信し、画像形成装置10に種々の動作を実行させる。
【0026】
画像形成部30は、露光ユニット32、現像器34、感光体ドラム36、クリーナユニット38、帯電器40、中間転写ベルトユニット42、転写ローラ44および定着ユニット46等を備え、給紙トレイ48または手差し給紙トレイ50から搬送される用紙上に画像を形成し、画像形成済みの用紙を排紙トレイ52に排出する。用紙上に画像を形成するための画像データとしては、画像読取部26で読み取った画像データまたは外部コンピュータから送信された画像データ等が利用される。
【0027】
なお、画像形成装置10において扱われる画像データは、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)およびイエロー(Y)の4色のカラー画像に応じたものである。このため、現像器34、感光体ドラム36、クリーナユニット38および帯電器40のそれぞれは、各色に応じた4種類の潜像を形成するように4個ずつ設けられ、これらによって4つの画像ステーションが構成される。また、感光体ドラム36、クリーナユニット38および帯電器40は、ユニット化されており、これらによって着脱ユニットの一例であるプロセスユニット70が構成される。つまり、画像形成部30には、感光体ドラム36、クリーナユニット38および帯電器40等を備える4つのプロセスユニット70が設けられている。プロセスユニット70のそれぞれは、装置本体12の前面側から個別に着脱することが可能である。
【0028】
また、装置本体12には、その背面側にプロセスユニット駆動装置100が固定的に設けられる。装置本体12にプロセスユニット70を装着すると、プロセスユニット70とプロセスユニット駆動装置100とが連結され、各感光体ドラム36および搬送スクリュー84等は、プロセスユニット駆動装置100から回転駆動力を受けて回転駆動される。プロセスユニット70およびプロセスユニット駆動装置100の具体的構成については後述する。
【0029】
感光体ドラム36は、導電性を有する円筒状の基体74の表面に感光層が形成された像担持体であり、帯電器40は、この感光体ドラム36の表面を所定の電位に帯電させる部材である。また、露光ユニット32は、レーザ出射部および反射ミラー等を備えたレーザスキャニングユニット(LSU)として構成され、帯電された感光体ドラム36の表面を露光することによって、画像データに応じた静電潜像を感光体ドラム36の表面に形成する。現像器34は、感光体ドラム36の表面に形成された静電潜像を4色(YMCK)のトナーによって顕像化するものである。また、クリーナユニット38は、クリーニングブレード(図示せず)および搬送スクリュー84などを備え、現像および画像転写後における感光体ドラム36の表面に残留したトナー等の異物を除去して廃トナーボックス(図示せず)に送り込む。
【0030】
中間転写ベルトユニット42は、中間転写ベルト54、駆動ローラ56、従動ローラ58および4つの中間転写ローラ60等を備え、感光体ドラム36の上方に配置される。中間転写ベルト54は、各感光体ドラム36に接触するように設けられており、中間転写ローラ60を用いて、各感光体ドラム36に形成された各色のトナー像を中間転写ベルト54に順次重ねて転写することによって、中間転写ベルト54上に多色のトナー像が形成される。また、駆動ローラ56の近傍には、転写ローラ44が配置されており、中間転写ベルト54と転写ローラ44との間のニップ域を用紙が通過することによって、中間転写ベルト54に形成されたトナー像が用紙に転写される。
【0031】
定着ユニット46は、ヒートローラ62および加圧ローラ64を備え、転写ローラ44の上方に配置される。ヒートローラ62は、所定の定着温度となるように設定されており、ヒートローラ62と加圧ローラ64との間のニップ域を用紙が通過することによって、用紙に転写されたトナー像が溶融、混合および圧接されて、用紙に対してトナー像が熱定着される。
【0032】
このような装置本体12内には、給紙トレイ48または手差し給紙トレイ50からの用紙をレジストローラ68、転写ローラ44および定着ユニット46を経由させて排紙トレイ52に送るための第1用紙搬送路L1が形成される。また、用紙に対して両面印刷を行う際に、片面印刷が終了して定着ユニット46を通過した後の用紙を、転写ローラ44の用紙搬送方向の上流側において第1用紙搬送路L1に戻すための第2用紙搬送路L2が形成される。この第1用紙搬送路L1および第2用紙搬送路L2には、用紙に補助的に推進力を与えるための複数の搬送ローラ66が適宜設けられる。
【0033】
装置本体12において片面印刷(画像形成)を行う際には、給紙トレイ48または手差し給紙トレイ50によって用紙が1枚ずつ第1用紙搬送路L1に導かれ、搬送ローラ66によってレジストローラ68まで搬送される。そして、レジストローラ68によって、用紙の先端と中間転写ベルト54上の画像情報の先端とが整合するタイミングで転写ローラ44に搬送され、用紙上にトナー像が転写される。その後、定着ユニット46を通過することによって用紙上の未定着トナーが熱で溶融して固着され、排紙トレイ52上に用紙が排出される。
【0034】
一方、両面印刷を行う際には、片面印刷が終了して定着ユニット46を通過した用紙の後端部が排紙トレイ52近傍の搬送ローラ66まで到達したとき、この搬送ローラ66を逆回転させることによって、用紙が逆走して第2用紙搬送路L2に導かれる。第2用紙搬送路L2に導かれた用紙は、第2用紙搬送路L2を搬送されて、レジストローラ68の用紙搬送方向の上流側において第1用紙搬送路L1に導かれる。この時点で用紙の表裏は反転されるので、その後、転写ローラ44および定着ユニット46を用紙が通過することによって、用紙の裏面に印刷が行われる。
【0035】
次に、
図2~
図4を参照して、プロセスユニット70の構成について説明する。
図2~
図4に示すように、プロセスユニット70は、感光体ドラム36、クリーナユニット38および帯電器40などを備え、これらはプロセスユニットフレーム72によって所定の配置態様で一体的に保持される。プロセスユニット70は、装置本体12のフロント側から着脱可能であり、装置本体12の奥行方向(前後方向)に摺動させることによって、装置本体12に装着されたり、装置本体12から離脱されたりする。
【0036】
感光体ドラム36は、表面に感光層が形成された円筒状の基体74と、基体74の軸中心を貫通するように設けられる金属製のドラム軸76とを備える。ドラム軸76の両端部は、プロセスユニットフレーム72に設けられる第1ベアリング78によって回転可能に支持され、基体74はこのドラム軸76の回転に伴って回転する。
【0037】
また、ドラム軸76の後側先端部には、外歯を有する感光体カップリング80が設けられる。感光体カップリング80は、後述するプロセスユニット駆動装置100のドラム駆動ギヤ106が有する駆動カップリング124と着脱可能に嵌合(連結)されて、ドラム駆動ギヤ106の回転駆動力を感光体ドラム36に伝達する。さらに、ドラム軸76の後側端部には、第1ベアリング78と感光体カップリング80との間において、第2ベアリング82が設けられる。第2ベアリング82は、装置本体12に対してプロセスユニット70を装着したときに、後述するプロセスユニット駆動装置100のサポートホルダ110に形成されるドラム位置決め部130に嵌め込まれて、ドラム位置決め部130と共にプロセスユニット70の位置決め(感光体ドラム36の芯出し)に利用される。
【0038】
クリーナユニット38は、クリーニングブレード、およびクリーニングブレードによって感光体ドラム36の表面から除去された異物を廃トナーボックスに送り込む搬送スクリュー84等を備える。搬送スクリュー84のスクリュー軸84aの両端部は、プロセスユニットフレーム72に設けられる第3ベアリング86によって回転可能に支持される。また、スクリュー軸84aの後側先端部には、スクリューカップリング88が設けられる。このスクリューカップリング88と後述するスクリュー駆動ギヤ108とで駆動力伝達機構200が構成される。
【0039】
図5および
図6に示すように、スクリューカップリング88は、第1回転体の一例であって、一方端側(前端側)に設けられるスクリュー軸取付部90と、他端側(後端側)に設けられる従動側カップリング部92とを有する。スクリューカップリング88は、スクリュー軸取付部90にスクリュー軸84aの後側先端部が嵌め入れられることで、スクリュー軸84aに対して同軸であってかつ回転不可に取り付けられる。
【0040】
また、従動側カップリング部92は、プロセスユニット駆動装置100が備えるスクリュー駆動ギヤ108の駆動側カップリング部144と着脱可能に嵌合(連結)されて、スクリュー駆動ギヤ108の回転駆動力をスクリューカップリング88および搬送スクリュー84に伝達する。
【0041】
具体的には、従動側カップリング部92は、円筒状の受容部94を備える。受容部94の内周面には、周方向に所定間隔で設けられ、軸方向に沿って延びる突条である複数の第1係合部96が形成される。第1係合部96の数は、たとえば3つ以上6つ以下が好ましく、この第1実施例では、4つの第1係合部96が90度間隔で受容部94の内周面に形成される。各第1係合部96の当接面96a(駆動側カップリング部144の第2係合部148と当接する回転方向上流側の面)は、受容部94の回転軸線X(つまりスクリューカップリング88の回転軸線)を通る面と平行、つまり受容部94の回転方向に対して直交するように形成される。受容部94の回転軸線Xから当接面96aの内側縁96bまでの距離R1は、たとえば3.0mmである。つまり、各当接面96aの内側縁96bを結ぶ仮想円の直径は、6.0mmである。
【0042】
また、各第1係合部96の先端部には、受容部94の回転方向の上流側から下流側に向かって徐々に受容部94の基端部側に近づくように傾斜する傾斜面96cが形成される。従動側カップリング部92と駆動側カップリング部144とを嵌め合わせる際には、この傾斜面96cによって、駆動側カップリング部144の第2係合部148が第1係合部96間の溝部に案内される。
【0043】
続いて、
図7および
図8を参照して、プロセスユニット駆動装置100の構成について説明する。
図7および
図8に示すように、プロセスユニット駆動装置100は、駆動装置フレーム102、駆動モータ104、ドラム駆動ギヤ106、スクリュー駆動ギヤ108およびサポートホルダ110等を備える。プロセスユニット駆動装置100は、装置本体12の後側の側壁に対して固定的に設けられ、各感光体ドラム36および各搬送スクリュー84に対して回転駆動力を与える。このため、ドラム駆動ギヤ106、スクリュー駆動ギヤ108およびサポートホルダ110のそれぞれは、4つのプロセスユニット70に対応するように4つずつ設けられ、駆動装置フレーム102によって所定の配置態様で保持される。ただし、
図7ではそのうちの3つを示している。
【0044】
駆動装置フレーム102は、たとえば金属製であって、後側に配置される外側板102aと、外側板102aの前側に所定間隔を開けて配置される内側板102bとを含む。外側板102aの背面には、駆動モータ104が設けられる。駆動モータ104のモータ軸は、外側板102aから前側に突出するように設けられる。また、図示は省略するが、外側板102aには、ドラム駆動ギヤ106を回転可能に支持するギヤ支軸が設けられる。
【0045】
また、ドラム駆動ギヤ106は、ボス部120、第1ギヤ部122および駆動カップリング124等を含み、これらは合成樹脂によって一体成形される。ボス部120は、略円筒状に形成され、その基端部(後端部)には、円盤状の第1ギヤ部122が形成される。また、ボス部120の先端部(前端部)には、内歯を有する駆動カップリング124が形成される。つまり、ドラム駆動ギヤ106の先端部分には、駆動カップリング124が一体的に形成されている。駆動カップリング124は、上述のように、感光体ドラム36のドラム軸76に取り付けられる感光体カップリング80と着脱可能に嵌合される。また、ドラム駆動ギヤ106のボス部120には、後側に向かって開口する軸穴126が形成される。この軸穴126に対して外側板102aに設けられるギヤ支軸が挿入されることによって、ギヤ支軸に対してドラム駆動ギヤ106が回転可能に支持される。
【0046】
ドラム駆動ギヤ106の第1ギヤ部122およびアイドルギヤ(図示せず)等のギヤ列は、外側板102aと内側板102bとの間に収容される。駆動モータ104からの回転駆動力は、モータ軸から適宜のアイドルギヤを介してドラム駆動ギヤ106に伝達され、このドラム駆動ギヤ106からカップリング部(駆動カップリング124および感光体カップリング80)を介して感光体ドラム36のドラム軸76に伝達される。
【0047】
また、ドラム駆動ギヤ106のボス部120の外周面には、内側板102bよりも前側の位置において、第2ギヤ部128が設けられる。第2ギヤ部128は、スクリュー駆動ギヤ108のギヤ部142と噛み合わされ、ドラム駆動ギヤ106の回転駆動力をスクリュー駆動ギヤ108に伝達する。つまり、駆動モータ104からの回転駆動力は、ドラム駆動ギヤ106からスクリュー駆動ギヤ108にも伝達される。スクリュー駆動ギヤ108は、駆動モータ104からの回転駆動力を搬送スクリュー84に伝達するための部材であって、回転軸部140、ギヤ部142および駆動側カップリング部144などを備える。スクリュー駆動ギヤ108の具体的な構成および支持構造については、後述する。
【0048】
また、サポートホルダ110は、ドラム駆動ギヤ106の内側板102bからの突出部分およびスクリュー駆動ギヤ108の先端部(駆動側カップリング部144)を除く部分を覆うように、内側板102bに対して固定される。サポートホルダ110は、装置本体12対してプロセスユニット70を位置決めするための合成樹脂製の保持部材であって、ドラム駆動ギヤ106の軸中心と同心である円筒状のドラム位置決め部130を有している。そして、サポートホルダ110は、このドラム位置決め部130において、感光体ドラム36のドラム軸76の後側端部を、第2ベアリング82を介して回転可能に支持する(
図14参照)。これによって、感光体ドラム36(延いてはプロセスユニット70全体)が位置決めされ、ドラム駆動ギヤ106と感光体ドラム36のドラム軸76とが適切に芯出しされる。したがって、ドラム駆動ギヤ106の回転をドラム軸76にスムーズに伝達でき、感光体ドラム36を高精度で回転駆動させることができる。
【0049】
一方、スクリューカップリング88とスクリュー駆動ギヤ108とは、装置本体12対するプロセスユニット70の位置決め部である第2ベアリング82およびドラム位置決め部130から離れた位置において連結される。すなわち、プロセスユニット70は、スクリューカップリング88が設けられる位置とは異なる位置に、装置本体12に対する位置決め部である第2ベアリング82を有している。このため、スクリューカップリング88の軸中心とスクリュー駆動ギヤ108の軸中心とを一致させることは、加工誤差や組立誤差などの製造誤差(寸法公差)があることから困難であり、互いのカップリング部(従動側カップリング部92および駆動側カップリング部144)どうしの軸中心にずれが生じ易い。
【0050】
そこで、この第1実施例では、スクリュー駆動ギヤ108に第1傾斜面148aを形成することで、従動側カップリング部92と駆動側カップリング部144とが互いの軸中心がずれた状態で接続された場合でも、スクリュー駆動ギヤ108の回転に伴って従動側カップリング部92と駆動側カップリング部144とが自動調芯(芯合わせ)されるようにした。以下、具体的に説明する。
【0051】
図9~
図12に示すように、スクリュー駆動ギヤ108は、第2回転体の一例であって、スクリューカップリング88(延いては搬送スクリュー84)に回転駆動力を伝達する部材である。スクリュー駆動ギヤ108は、回転軸部140、ギヤ部142および駆動側カップリング部144などを備え、これらは合成樹脂によって一体成形される。
【0052】
回転軸部140は、略円筒状に形成され、その基端部(後端部)には、円盤状のギヤ部142が形成される。なお、図示は省略しているが、ギヤ部142の外周面には外歯が形成されている。また、回転軸部140の先端部(前端部)には、駆動側カップリング部144が形成される。つまり、回転軸部140の先端部には、駆動側カップリング部144が一体的に形成されている。駆動側カップリング部144は、上述のように、搬送スクリュー84のスクリュー軸84aに取り付けられたスクリューカップリング88と着脱可能に嵌合される。
【0053】
駆動側カップリング部144は、従動側カップリング部92の受容部94に挿入される円筒状の胴部146を備える。ただし、胴部146は、円柱状に形成されてもよい。胴部146の外周面には、従動側カップリング部92が有する第1係合部96と係合する複数の第2係合部148が形成される。第2係合部148は、胴部146の軸方向に沿って延びる突条であって、胴部146の周方向に所定間隔で設けられる。第2係合部148の数は、たとえば3つ以上6つ以下が好ましく、この第1実施例では、4つの第2係合部148が90度間隔で胴部146の外周面に形成される。なお、第2係合部148の数は、第1係合部96の数よりも少なくすることも可能である。
【0054】
複数の第2係合部148のそれぞれには、胴部146の回転方向における下流側の面の根元部分、つまり対応する第1係合部96の当接面96a(具体的にはその内側縁96b)との当接部位に第1傾斜面148aが形成される。第1傾斜面148aは、胴部146の回転方向の下流側から上流側に向かって徐々に、胴部146の回転軸線から遠ざかる(つまり径大となる)ように直線状に傾斜している。胴部146の接線方向に対する第1傾斜面148aの傾斜角度は、たとえば30度~60度に設定され、この第1実施例では45度である。
【0055】
また、胴部146は、基端側(後端側)から先端側(前端側)に向かって徐々に径小となる先細り形状を有する。すなわち、胴部146は、複数の第2係合部148の間の外周面に、基端側から先端側に向かって徐々に胴部146の回転軸線に近づく(つまり径小となる)ように傾斜する第2傾斜面146aを有する。なお、第1傾斜面148aも、この第2傾斜面146aに沿って傾いて形成される。
【0056】
胴部146の基端部の外径は、たとえば7mmであり、胴部146の先端部の外径は、たとえば5mmである。また、第1傾斜面148aの後端の最大径(つまり回転方向上流側の側縁の径)は、たとえば8mmであり、第1傾斜面148aの前端の最大径は、たとえば6mmである。ここで、従動側カップリング部92と駆動側カップリング部144とを嵌め合わせた際には、駆動側カップリング部144の胴部146の軸方向中央部分に従動側カップリング部92の先端が位置する(
図14参照)。したがって、従動側カップリング部92が有する第1係合部96の当接面96aの内側縁96bは、駆動側カップリング部144の胴部146の外周面よりも径方向外側であって、かつ第2係合部148の第1傾斜面148aの回転方向上流側の側縁よりも径方向内側に位置する。そして、第1係合部96は、この内側縁96bにおいて第2係合部148の第1傾斜面148aに対して点接触する。
【0057】
また、複数の第2係合部148のそれぞれの先端部には、胴部146の回転方向の下流側から上流側に向かって徐々に、胴部146の基端部側に近づくように傾斜する第3傾斜面148bが形成される。従動側カップリング部92と駆動側カップリング部144とを嵌め合わせる際には、この第3傾斜面148bによって、駆動側カップリング部144の第2係合部148が第1係合部96間の溝部に案内される。
【0058】
さらに、スクリュー駆動ギヤ108の回転軸部140には、後側に向かって開口する円柱状の空間である軸穴140aが形成される。
図8および
図13に示すように、駆動装置フレーム102の内側板102bには、前側に突出する短円筒状の回転支軸132が設けられており、軸穴140aに対して回転支軸132が挿入されることによって、回転支軸132に対してスクリュー駆動ギヤ108が回転可能に支持される。
【0059】
ここで、軸穴140aの径は、回転支軸132の外径よりも僅かに小さく設定され、スクリュー駆動ギヤ108の軸穴140aと回転支軸132とは、回転支軸132の径方向に僅かなガタを持って摺接する。また、回転支軸132の軸方向長さは小さく設定されており、スクリュー駆動ギヤ108は、その基端部のみにおいて回転支軸132と摺接する。回転支軸132の軸方向長さ、つまり軸穴140aと回転支軸132との摺接部の軸方向長さは、たとえば3mm~8mmである。
【0060】
このように、スクリュー駆動ギヤ108の軸穴140aと回転支軸132との摺接部の軸方向長さを小さくすることによって、スクリュー駆動ギヤ108の回転精度を確保しつつ、回転支軸132に対してスクリュー駆動ギヤ108を揺動(傾動)させることが可能になる。つまり、スクリュー駆動ギヤ108は、基端部を支点として先端部(つまり駆動側カップリング部144)が旋回するように、回転支軸132を中心としてその全周に亘って首振り可能に設けられている。また、駆動側カップリング部144を含む回転軸部140の軸方向長さを大きくしておくことで、回転軸部140が弾性変形し易くなり、駆動側カップリング部144が首振りし易くなる。
【0061】
また、サポートホルダ110は、スクリュー駆動ギヤ108の先端部分の最大振れ幅(首振り角度)を規制(調整)する規制部材としても機能する。具体的には、スクリュー駆動ギヤ108のギヤ部142の前面(サポートホルダ110の背面と対向する面)には、円環突起状の角度規制部150が形成される。一方、サポートホルダ110の背面には、角度規制部150と対応する位置に、円環突起状の抑え部134が形成される。角度規制部150と抑え部134との間には、所定間隔の隙間が形成されており、スクリュー駆動ギヤ108は、角度規制部150が抑え部134に当接するまで傾斜可能である。回転軸部140に対するスクリュー駆動ギヤ108の傾斜可能な最大角度は、たとえば0.3度~1.0度に設定される。
【0062】
上述のような画像形成装置10において、
図14に示すように、装置本体12に対してプロセスユニット70を装着すると、プロセスユニット駆動装置100とプロセスユニット70とが連結される。すなわち、ドラム駆動ギヤ106の駆動カップリング124に対して感光体ドラム36の感光体カップリング80が嵌合されると共に、スクリュー駆動ギヤ108の駆動側カップリング部144に対してスクリューカップリング88の従動側カップリング部92が嵌合される(つまり駆動力伝達機構200が接続される)。そして、駆動モータ104からの回転駆動力が、ドラム駆動ギヤ106を介して感光体ドラム36のドラム軸76に伝達されると共に、スクリュー駆動ギヤ108を介して搬送スクリュー84のスクリュー軸84aに伝達されることによって、感光体ドラム36および搬送スクリュー84が所定方向に回転駆動される。
【0063】
ここで、スクリュー駆動ギヤ108の駆動側カップリング部144とスクリューカップリング88の従動側カップリング部92とを嵌合させる際に、第1係合部96の周方向位置と第2係合部148の周方向位置とが一致してしまった場合でも、第1係合部96の傾斜面96cおよび第2係合部148の第3傾斜面148bによって、駆動側カップリング部144の第2係合部148が第1係合部96間の溝部によって案内される。
【0064】
また、従動側カップリング部92と駆動側カップリング部144とが、互いの軸中心が大きくずれた状態で接続されようとしても、駆動側カップリング部144の胴部146が有する第2傾斜面146aに対して従動側カップリング部92の第1係合部96が摺動することによって、駆動側カップリング部144の軸中心が従動側カップリング部92の軸中心に近づく方向に駆動側カップリング部144が傾動する(首を振る)。これにより、従動側カップリング部92と駆動側カップリング部144との互いの軸中心のずれが、ある程度補正(調芯)される。
【0065】
さらに、従動側カップリング部92と駆動側カップリング部144とが、互いの軸中心がずれた状態で接続されても(つまり接続完了時に軸ずれが残っても)、駆動側カップリング部144の第2係合部148が有する第1傾斜面148aによって、駆動側カップリング部144が回転するに伴って従動側カップリング部92と駆動側カップリング部144とが自動調芯される。
【0066】
図15には、第1傾斜面148aによって従動側カップリング部92と駆動側カップリング部144とが自動調芯されるときの動作を模式的に示す。従動側カップリング部92と駆動側カップリング部144とが互いの軸中心がずれた状態で接続された場合、
図15(A)に示すように、駆動側カップリング部144の軸中心から最も近い位置にある従動側カップリング部92の第1係合部96の内側縁96bが、対応する駆動側カップリング部144の第2係合部148の第1傾斜面148aに対して当接点a1にて当接する。
【0067】
ここで、駆動側カップリング部144が回転すると、第1係合部96の内側縁96bが第1傾斜面148aに当接していることから、駆動側カップリング部144の回転力は、第1係合部96を回転方向(周方向)に押すだけでなく、第1係合部96を径方向外側に押す方向にも作用する。このため、駆動側カップリング部144には、その反力で従動側カップリング部92の径方向内側に向かう力が作用する。これにより、当接点a1にて当接したものが、
図15(B)に示すように、当接点a1よりも回転方向上流側(つまり径方向外側)の位置である当接点a2にて当接するようにスクリュー駆動ギヤ108が傾動する。つまり、スクリュー駆動ギヤ108が調芯される方向に首を振る。また、このスクリュー駆動ギヤ108の首振りに伴い、駆動側カップリング部144の軸中心から2番目に近い位置にある従動側カップリング部92の第1係合部96の内側縁96bが、対応する駆動側カップリング部144の第2係合部148の第1傾斜面148aに対して当接点b1にて当接する。
【0068】
その後、駆動側カップリング部144の回転が進むと、
図15(C)に示すように、当接点a2にて当接したものが当接点a3にて当接し、当接点b1にて当接したものが当接点b2にて当接するようにスクリュー駆動ギヤ108が傾動する。つまり、さらに調芯が進む方向にスクリュー駆動ギヤ108が首を振る。また、これに伴い、駆動側カップリング部144の軸中心から3番目に近い位置にある従動側カップリング部92の第1係合部96の内側縁96bが、対応する駆動側カップリング部144の第2係合部148の第1傾斜面148aに対して当接点c1にて当接する。
【0069】
そして、さらに駆動側カップリング部144の回転が進むと、
図15(D)に示すように、従動側カップリング部92の4つの第1係合部96の内側縁96bのそれぞれが、対応する駆動側カップリング部144の第2係合部148の第1傾斜面148aに対して当接点a4,b3,c2,d1にて当接する。すなわち、従動側カップリング部92の軸中心と駆動側カップリング部144の軸中心とが互いに一致するようになる。その後、スクリュー駆動ギヤ108が傾動状態を維持したまま回転することによって、回転むら(回転速度の変動)を生じることなく、搬送スクリュー84のスクリュー軸84aに対して回転駆動力が伝えられる。
【0070】
以上のように、この第1実施例によれば、駆動側カップリング部144の第2係合部148が第1傾斜面148aを有するので、従動側カップリング部92の軸中心と駆動側カップリング部144の軸中心とがずれていた場合でも、第1傾斜面148aによって従動側カップリング部92と駆動側カップリング部144とを自動調芯することができる。したがって、スクリューカップリング88に生じる回転むらを低減ないし防止することができ、スクリューカップリング88(延いては搬送スクリュー84のスクリュー軸84a)を円滑に回転させることができる。
【0071】
また、この第1実施例によれば、駆動側カップリング部144の胴部146が第2傾斜面146aを有するので、従動側カップリング部92と駆動側カップリング部144とをより適切に自動調芯することができる。
【0072】
[第2実施例]
次に、
図16を参照して、この発明の第2実施例である画像形成装置10について説明する。この第2実施例では、スクリュー駆動ギヤ108の構成が、上述の第1実施例と異なる。その他の部分については同様であるので、上述の第1実施例と重複する説明は、省略または簡略化する。
【0073】
簡単に説明すると、第2実施例では、スクリュー駆動ギヤ108の駆動側カップリング部144が備える胴部146は、外径がその軸方向全長に亘って同径とされる。つまり、胴部146に第2傾斜面146aは形成されない。
【0074】
この第2実施例においても、第1実施例と同様に、駆動側カップリング部144が第1傾斜面148aを有するので、従動側カップリング部92と駆動側カップリング部144とを自動調芯することができ、スクリューカップリング88に生じる回転むらを低減ないし防止することができる。
【0075】
なお、上述の各実施例では、画像形成装置10として、複写機、ファクシミリおよびプリンタ等を組み合わせた複合機を例示したが、画像形成装置10は、複写機、ファクシミリおよびプリンタ等のいずれか、またはこれらの少なくとも2つを組み合わせた複合機であってもよい。
【0076】
また、上述の各実施例では、駆動力伝達機構200をスクリューカップリング88およびスクリュー駆動ギヤ108に適用したが、駆動力伝達機構200は、画像形成装置10の他の動力伝達部に適用することもできるし、画像形成装置10以外の他の装置が備える動力伝達部に適用することもできる。
【0077】
また、上で挙げた具体的な数値および部品形状などは、いずれも単なる一例であり、製品の仕様などの必要に応じて適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0078】
10 …画像形成装置
12 …装置本体
14 …画像読取装置
26 …画像読取部
30 …画像形成部
36 …感光体ドラム
70 …プロセスユニット(着脱ユニット)
84 …搬送スクリュー
88 …スクリューカップリング(第1回転体)
92 …従動側カップリング部
94 …受容部
96 …第1係合部
100 …プロセスユニット駆動装置
108 …スクリュー駆動ギヤ(第2回転体)
110 …サポートホルダ
140 …回転軸部
142 …ギヤ部
144 …駆動側カップリング部
146 …胴部
146a …第2傾斜面
148 …第2係合部
148a …第1傾斜面
148b …第3傾斜面
150 …角度規制部
200 …駆動力伝達機構