(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-18
(45)【発行日】2024-12-26
(54)【発明の名称】孔あけ加工用当て板
(51)【国際特許分類】
B26F 1/16 20060101AFI20241219BHJP
B23B 41/00 20060101ALI20241219BHJP
H05K 3/00 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
B26F1/16
B23B41/00 D
H05K3/00 K
(21)【出願番号】P 2020204131
(22)【出願日】2020-12-09
【審査請求日】2023-11-24
(73)【特許権者】
【識別番号】594156709
【氏名又は名称】大智化学産業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】511069932
【氏名又は名称】昭北ラミネート工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002136
【氏名又は名称】弁理士法人たかはし国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森俊史
(72)【発明者】
【氏名】渡邊陽介
(72)【発明者】
【氏名】三塚知治
【審査官】豊島 唯
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/208912(WO,A1)
【文献】特開2005-153103(JP,A)
【文献】特開2010-260166(JP,A)
【文献】特開2020-107710(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B26F 1/16
B23B 41/00
H05K 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属板の少なくとも片方の表面に下塗り層を介して潤滑層が形成されている孔あけ加工用当て板であって、該潤滑層が、カーボネート構造を有
し、更に、ポリオール化合物に由来する部分に芳香族炭化水素基を有するポリウレタン樹脂、
ポリエチレングリコール、乳化安定剤、浸透剤及びアミノ酸を含有することを特徴とする孔あけ加工用当て板
(ただし、該潤滑層が固体潤滑剤を含む場合を除く)。
【請求項2】
前記潤滑層における前記ポリウレタン樹脂の含有率が10質量%以上50質量%以下である請求項1に記載の孔あけ加工用当て板。
【請求項3】
前記下塗り層の主成分となる化合物が、重合度が200以上1000以下、ケン化度が15%以上95%以下のポリ酢酸ビニルの部分ケン化物である請求項1又は請求項2に記載の孔あけ加工用当て板。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3の何れかの請求項に記載の孔あけ加工用当て板の潤滑層を形成するための塗布液であって、カーボネート構造を有し、更に、ポリオール化合物に由来する部分に芳香族炭化水素基を有するポリウレタン樹脂、ポリエチレングリコール、乳化安定剤、浸透剤、アミノ酸、水及びメタノールを含有することを特徴とする塗布液。
【請求項5】
プリント基板の上に、請求項1ないし請求項
3の何れかの請求項に記載の孔あけ加工用当て板を配置した状態で、ドリルを用いて、該孔あけ加工用当て板の上方から、該孔あけ加工用当て板及び該プリント基板に孔径0.05mm以上0.12mm以下の孔を形成することを特徴とする孔あけ加工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント配線板等の孔あけ加工等の際に使用される孔あけ加工用当て板に関する。
【背景技術】
【0002】
通信機器、バッテリー、OA機器、家電製品等の機器には、プリント基板(以下、単に「基板」という場合がある。)が使用されており、近年、基板の需要が大幅に増加している。
【0003】
基板には、スルーホール(孔)を設ける必要があり、ドリルを使用した孔あけ加工が行われる。この際、基板上の傷やバリの発生を防止するために、アルミニウム等の孔あけ加工用当て板が使用される。生産性の点から、数枚の基板を重ねた上で、その上に、孔あけ加工用当て板(以下、単に「当て板」という場合がある。)を載せた状態で、全ての基板に一挙に孔あけ加工が行われるのが通常である。
この際、アルミニウム等の当て板の表面に、潤滑層を形成することで、ドリルの折損を防止したり、孔の内壁を整えたり、孔の位置精度を向上させたりすることが行われている。
【0004】
当て板の表面の潤滑層については、種々の提案がなされている。例えば、特許文献1には、分子量10000以上のポリエチレングリコール20~90重量%と水溶性滑剤80~10重量%との混合物にて形成した水溶性滑剤シートが開示されている。特許文献2には、ポリエーテルエステル20~90重量%と水溶性滑剤80~10重量%との混合物で形成された水溶性滑剤シートが開示されている。特許文献3には、変性ポリアミドからなるマトリックス樹脂及び無機系粉末充填剤で構成される潤滑性樹脂組成物が開示されている。
【0005】
しかし、これらの潤滑層は、当て板との密着性が十分ではなく、そのため、潤滑層が基板から部分的に剥離して、厚さに不均一が生じたり、孔あけ加工時に凹凸が発生し、ドリル折損や孔の位置精度が低下したりする、といった問題を生じていた。
【0006】
特許文献4に記載の発明では、かかる当て板と潤滑層との密着性に起因する問題を解決すべく、特定のポリ酢酸ビニルの部分ケン化物からなる下塗り層を介して潤滑層を当て板の上に形成しており、異常の少ない潤滑層を得ている。
【0007】
また、特許文献5には、脂環式ジイソシアネート由来の構成単位と脂肪族ポリオール由来の構成単位とを有する共重合体であるポリウレタン樹脂と、水溶性樹脂とを、特定の比率で含む潤滑層を、金属箔の上に接着層(下塗り層)を介在させることなく形成した当て板が開示されている。特許文献5においては、接着層(下塗り層)を設けないことにより、潤滑効果の低下に伴う、孔位置精度や内壁粗さの悪化の問題を解決したとされている。
【0008】
近年、機器の高性能化に伴い、プリント基板における配線パターンの微細化、高密度化、多層化が進行し、孔径の小さいスルーホールを設ける需要が増大している。孔径の小さいスルーホールを設けるためには、径の小さいドリルを使用する必要があるところ、ドリル径が小さい場合、ドリルの折損や孔位置精度の低下等の問題が発生しやすくなる。
【0009】
このため、基板に孔径の小さいスルーホールを設ける加工を精度良く行うことのできる技術の開発が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】特開平4-092494号公報
【文献】特開平6-344297号公報
【文献】特開2001-146600号公報
【文献】特許第4793358号公報
【文献】国際公開第2017/155060号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は上記背景技術に鑑みてなされたものであり、その課題は、径が小さなドリルを使用して基板に孔径の小さいスルーホールを設ける場合であっても、ドリルの折損が発生しにくく、また、高い孔位置精度で孔開け加工を行うことのできる当て板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者は、上記の課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、潤滑層に、特定のポリウレタン樹脂を含有させることにより、径が小さなドリルを使用した場合であっても、ドリルの折損が発生しにくく、また、高い孔位置精度で孔開け加工を行うことができることを見出して、本発明を完成するに至った。
【0013】
すなわち、本発明は、金属板の少なくとも片方の表面に下塗り層を介して潤滑層が形成されている孔あけ加工用当て板であって、該潤滑層が、カーボネート構造を有するポリウレタン樹脂を含有することを特徴とする孔あけ加工用当て板を提供するものである。
【0014】
また、本発明は、プリント基板の上に、前記の孔あけ加工用当て板を配置した状態で、ドリルを用いて、該孔あけ加工用当て板の上方から、該孔あけ加工用当て板及び該プリント基板に孔径0.05mm以上0.12mm以下の孔を形成することを特徴とする孔あけ加工方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明の孔あけ加工用当て板によれば、プリント基板の孔あけ加工の際に、径が小さなドリルを使用して基板に孔径の小さいスルーホールを設ける場合であっても、ドリルの折損が発生しにくく、また、高い孔位置精度で孔開け加工を行うことができる。その結果、孔あけ加工の生産性や歩留まりが向上する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の孔あけ加工用当て板の構造を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、任意に変形して実施することができる。
【0018】
本発明の孔あけ加工用当て板は、プリント基板にスルーホールを設けるためのドリルを使用した孔あけ加工の際に使用されるものである。
【0019】
図1に、本発明の孔あけ加工用当て板1の構造を示す。本発明の当て板1は、金属板2の少なくとも片方の表面に下塗り層3を介して潤滑層4が形成されている。
図1は、金属板2の片方の表面にのみ、下塗り層3、潤滑層4が形成されている例である。
【0020】
本発明の当て板1を使用する際には、プリント基板(図示せず)の上に、当て板1を配置した状態で、ドリル(図示せず)を用いて、当て板1の上方から(すなわち、
図1において、潤滑層4の側から)、当て板1及びプリント基板に孔を形成する。
【0021】
孔あけ加工を行う際に、ドリルが折損したり、孔の位置のずれが生じたりする不具合が発生する場合があり、かかる不具合は、ドリルの径が小さい場合に(言い換えれば、プリント基板に形成する孔の孔径が小さい場合に)発生しやすくなる。
【0022】
本発明の当て板1によれば、ドリルの径が小さい場合に、特に、かかる不具合を防止しやすい。具体的には、本発明の孔あけ加工用当て板1は、プリント基板に孔径0.05mm以上0.12mm以下の孔を形成するのに(0.05mm以上0.12mm以下の径のドリルを使用して孔あけ加工を行うのに)適している。ただし、前記孔径の範囲外の孔を形成する孔あけ加工に当て板1を使用する場合が、本発明の範囲外となるものではない。
【0023】
金属板2に関して、特に限定はないが、柔らかく孔あけ加工に適する点や、低コストである点から、軟質アルミニウム板、半硬質アルミニウム板、硬質アルミニウム板等のアルミニウム板が好ましい(なお、本明細書において、「金属板」には「金属箔」が含まれ、「アルミニウム板」には「アルミニウム箔」が含まれる)。
アルミニウム板は、純アルミニウムで構成されていてもよいし、アルミニウム合金で構成されていてもよい。
【0024】
金属板2の厚さは、30μm以上であることが好ましく、50μm以上であることが特に好ましい。また、500μm以下であることが好ましく、300μm以下であることが特に好ましい。
上記下限以上であると、バリ発生を防止できる。また、上記上限以下であると、製造時に発生する切り粉の排出性が良好となる。
【0025】
下塗り層3は、金属板2と潤滑層4との密着性を向上させる(潤滑層4を金属板2から剥離しにくくさせる)役割を果たす。潤滑層4が金属板2から剥離しにくくなることにより、孔の位置のずれ、ドリルの折損等の不具合を防止しやすくなる。
【0026】
下塗り層3の主成分となる化合物(以下、「下塗り層用化合物」という場合がある。)の例としては、ポリ酢酸ビニルの部分ケン化物、酢酸ビニル・塩化ビニル共重合体、酢酸ビニル・塩化ビニル共重合体の部分ケン化物、酢酸ビニル・塩化ビニル・(無水)マレイン酸共重合体、酢酸ビニル・塩化ビニル・(無水)マレイン酸共重合体の部分ケン化物が例示できる。
なお、「(無水)マレイン酸」とは、「マレイン酸及び/又は無水マレイン酸」を示す。
これらの下塗り層用化合物は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0027】
上記した下塗り層用化合物のうち、「ポリ酢酸ビニルの部分ケン化物」、「酢酸ビニル・塩化ビニル共重合体の部分ケン化物」、「酢酸ビニル・塩化ビニル・(無水)マレイン酸共重合体の部分ケン化物」とは、それぞれ、「ポリ酢酸ビニル」、「酢酸ビニル・塩化ビニル共重合体」、「酢酸ビニル・塩化ビニル・(無水)マレイン酸共重合体」における酢酸ビニル構造単位の一部が、加水分解によりビニルアルコール構造単位に変換された構造の化合物をいう。
【0028】
これらの化合物におけるケン化度は、15%以上であることが好ましく、20%以上であることがより好ましく、30%以上であることが特に好ましい。また、95%以下であることが好ましく、80%以下であることがより好ましく、60%以下であることが特に好ましい。
なお、「ケン化度」とは、[ビニルアルコール構造単位の数/(酢酸ビニル構造単位の数+ビニルアルコール構造単位の数)]×100で表される。
ケン化度が上記範囲内であると、金属板2と潤滑層4との密着性が良好となりやすい。
【0029】
下塗り層用化合物の重合度は、200以上であることが好ましく、250以上であることがより好ましく、300以上であることが特に好ましい。また、1000以下であることが好ましく、900以下であることがより好ましく、700以下であることが特に好ましい。
上記範囲内であると、金属板2と潤滑層4との密着性が良好となりやすい。
【0030】
下塗り層3は、上記した下塗り層用化合物の他に、ポリアクリル酸誘導体、セルロース誘導体等を含有していてもよい。
【0031】
潤滑層4は、孔あけ加工の際に、ドリルが当て板表面で横滑りして、孔の位置がずれたり、摩擦によりドリルが折損したりするのを防止したりする役割を果たす。
【0032】
本発明の孔あけ加工用当て板1の潤滑層4は、カーボネート構造を有するポリウレタン樹脂を含有する。
【0033】
「ポリウレタン樹脂」とは、ウレタン結合(-NH-C(=O)-O-)を有する樹脂をいい、通常、2個以上のイソシアネート基(-N=C=O)を有する化合物(ポリイソシアネート化合物)と2個以上のヒドロキシ基(-OH)を有する化合物(ポリオール化合物)とが重縮合反応することにより生成される。
【0034】
本発明の当て板1の潤滑層4に含有されるポリウレタン樹脂は、カーボネート構造(-O-C(=O)-O-)を有している。通常、カーボネート構造は、ポリウレタン樹脂のうち、ポリオール化合物に由来する部分に含まれている。
すなわち、「カーボネート構造を有するポリオール化合物」と「ポリイソシアネート化合物」とを反応させることにより、「カーボネート構造を有するポリウレタン樹脂」が生成する。
【0035】
カーボネート構造を有するポリオール化合物としては、例えば、下記式(1)で表されるカーボネート構造を有するジオール化合物が挙げられる。
【0036】
【0037】
式(1)において、R1は2価の炭化水素基であり、nは任意の自然数である。
【0038】
R1は、脂肪族炭化水素基であってもよいし、脂環式炭化水素基であってもよいし、芳香族炭化水素基であってもよい。
また、R1が脂肪族炭化水素基の場合、直鎖状であってもよいし、分岐を有していてもよい。R1が脂肪族炭化水素基や脂環式炭化水素基の場合、飽和であってもよいし、不飽和であってもよい。
【0039】
R1の炭素数は、2以上であることが好ましく、3以上であることがより好ましく、4以上であることが特に好ましい。また、40以下であることが好ましく、30以下であることがより好ましく、20以下であることが特に好ましい。
【0040】
式(1)で表されるカーボネート構造を有するジオール化合物は、例えば、(A)下記式(2)で表されるジオールモノマーと炭酸エステルとのエステル交換反応による方法、(B)下記式(2)で表されるジオールモノマーをアルカリの存在下でホスゲンと反応させる方法、等により得ることができる。
【0041】
【0042】
上記(A)の方法は、例えば、溶融重合法によって行うことができ、炭酸エステルとしては、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジフェニルカーボネート、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等が使用できる。
【0043】
式(2)で表されるジオールモノマーの具体例としては、1,2-エタンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、1,11-ウンデカンジオール、1,12-ドデカンジオール、1,2-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、1,4-ペンタンジオール、2-メチル-1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5-ヘキサンジオール、2-メチル-1,5-ペンタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2-メチル-1,8-オクタンジオール等の脂肪族ジオールモノマー;1,3-シクロペンタンジオール、1,3-シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジオール、1,3-シクロヘキサンジメタノール、1,4-シクロヘキサンジメタノール等の脂環式ジオールモノマー;カテコール、ヒドロキノン、レゾルシノール、1,3-ベンゼンジメタノール、1,4-ベンゼンジメタノール、ビスフェノールA、ビスフェノールB、ビスフェノールAP、ビスフェノールC、ビスフェノールZ等の芳香族ジオールモノマー;が例示できる。
【0044】
本発明の当て板1の潤滑層4に含有される「カーボネート構造を有するポリウレタン樹脂」は、前記した「カーボネート構造を有するポリオール化合物」と、ポリイソシアネート化合物とを反応させることにより生成させることができる。
この際に、「カーボネート構造を有するポリオール化合物」は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0045】
また、「カーボネート構造を有するポリウレタン樹脂」を生成させる際に反応させるポリオール化合物は、全てが「カーボネート構造を有するポリオール化合物」でなくてもよく、「カーボネート構造を有するポリオール化合物」と「カーボネート構造を有しないポリオール化合物」とを併用してもよい。言い換えれば、「カーボネート構造を有するポリウレタン樹脂」は、「カーボネート構造を有するポリオール化合物」に由来するポリオール単位(a)と、「カーボネート構造を有しないポリオール化合物」に由来するポリオール単位(b)を有していてもよい。
この場合、全ポリオール単位中、ポリオール単位(a)の比率が、10モル%以上であることが好ましく、20モル%以上であることがより好ましく、30モル%以上であることが特に好ましい。また、99モル%以下であることが好ましく、90モル%以下であることがより好ましく、80モル%以下であることが特に好ましい。
【0046】
カーボネート構造を有しないポリオール化合物としては、ジオールモノマー、ポリエーテルポリオール類、ポリエステルポリオール類等を適宜使用することができる。
【0047】
ジオールモノマーとしては、前記したジオールモノマーが挙げられる。
【0048】
ポリエーテルポリオール類としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、テトラヒドロフラン等の重合体又は共重合体等が挙げられる。
【0049】
ポリエステルポリオール類としては、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ペンタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、1,4-ブチレンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール等の飽和又は不飽和の低分子ジオール類と、アジピン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、マレイン酸、フマル酸、コハク酸、シュウ酸、マロン酸、グルタル酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸等のジカルボン酸類又はこれらの無水物を、脱水縮合して得られるもの等が挙げられる。
【0050】
上記した「カーボネート構造を有しないポリオール化合物」は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0051】
「カーボネート構造を有するポリウレタン樹脂」を生成させる際に反応させるポリイソシアネート化合物としては、ブタン-1,4-ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート;シクロヘキサン-1,4-ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアナートメチル、ビス(4-イソシアネートシクロヘキシル)メタン、1,3-ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンジイソシアネート等の脂環式ジイソシアネート;ジフェニルジイソシアネート、1,5-ナフチレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、4,4’-ベンジルイソシアネート、ジアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、テトラアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、1,3-フェニレンジイソシアネート、1,4-フェニレンジイソシアネート、トリフェニルジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート;等が例示できる。
【0052】
これらのポリイソシアネート化合物は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0053】
本発明の孔あけ加工用当て板1の潤滑層4は、前記した「カーボネート構造を有するポリウレタン樹脂」の他に、「カーボネート構造を有しないポリウレタン樹脂」を含有していてもよい。すなわち、潤滑層4は、「カーボネート構造を有するポリウレタン樹脂」と「カーボネート構造を有しないポリウレタン樹脂」の両方を含有していてもよい。
「カーボネート構造を有しないポリウレタン樹脂」は、前記した「カーボネート構造を有しないポリオール化合物」と、ポリイソシアネート化合物とを反応させることにより生成させることができる。
【0054】
潤滑層4は、「カーボネート構造を有するポリウレタン樹脂」と「カーボネート構造を有しないポリウレタン樹脂」の両方を含有していてもよい。
この場合、全ポリウレタン樹脂中、「カーボネート構造を有するポリウレタン樹脂」の含有比率は、10質量%以上であることが好ましく、20質量%以上であることがより好ましく、30質量%以上であることが特に好ましい。また、99質量%以下であることが好ましく、90質量%以下であることがより好ましく、80質量%以下であることが特に好ましい。
【0055】
潤滑層4における「カーボネート構造を有するポリウレタン樹脂」の含有率(2種以上を併用する場合は合計含有率)は、5質量%以上であることが好ましく、7質量%以上であることがより好ましく、10質量%以上であることが特に好ましい。また、70質量%以下であることが好ましく、60質量%以下であることがより好ましく、50質量%以下であることが特に好ましい。
上記範囲内であると、ドリルの折損が発生しにくく、また、孔位置精度が良好となりやすい。
【0056】
本発明の孔あけ加工用当て板1の潤滑層4は、通常、前記した「カーボネート構造を有するポリウレタン樹脂」や「カーボネート構造を有しないポリウレタン樹脂」以外に、水溶性樹脂を含有する。
【0057】
かかる水溶性樹脂としては、ポリアルキレンオキサイド、ポリアルキレンオキサイド誘導体、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリアクリル酸ソーダ、セルロース誘導体、水溶性ポリエステル等が例示できる。
【0058】
ポリアルキレンオキサイドとしては、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリブチレンオキサイド、ポリエチレンオキサイドポリプロピレンオキサイド共重合体、ポリプロピレンオキサイドポリブチレンオキサイド共重合体等が例示できる。
このうち、水溶性、潤滑層の安定性、潤滑性能の観点から、ポリエチレンオキサイド又はポリエチレンオキサイドポリプロピレンオキサイド共重合体が好ましい。
【0059】
ポリアルキレンオキサイドの数平均分子量は、1000以上であることが好ましく、5000以上であることがより好ましく、10000以上であることが特に好ましい。また、300000以下であることが好ましく、200000以下であることがより好ましく、100000以下であることが特に好ましい。
ポリアルキレンオキサイドは、分子量の異なるものを、複数併用してもよい。
【0060】
ポリアルキレンオキサイド誘導体としては、ポリオキシエチレンメチルエーテル、ポリオキシエチレンデシルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレンエーテル;ポリオキシエチレンやし油脂肪酸ソルビタン、モノパルミチン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、トリステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、イソステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノスオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン、トリオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン等のポリソルベート;等が例示できる。
【0061】
ポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、ポリグリセリンモノカプレート、ポリグリセリンモノミリステート、ポリグリセリンモノラウレート、ポリグリセリンモノステアレート、ポリグリセリンモノオレート等が挙げられる。
【0062】
ソルビタン脂肪酸エステルとしては、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンジステアレート、ソルビタントリステアレート、ソルビタントリベヘネート等が挙げられる。
【0063】
セルロース誘導体としては、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等が挙げられる。
【0064】
これらの水溶性樹脂は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0065】
潤滑層4における水溶性樹脂の含有率(2種以上を併用する場合は合計含有率)は、20質量%以上であることが好ましく、30質量%以上であることがより好ましく、50質量%以上であることが特に好ましい。また、95質量%以下であることが好ましく、90質量%以下であることがより好ましく、80質量%以下であることが特に好ましい。
上記範囲内であると、塗布が好適にでき、潤滑層が良質となり、孔あけ加工の際に不具合が発生しにくい。
【0066】
本発明の孔あけ加工用当て板1の潤滑層4は、乳化安定剤を含有していてもよい。「乳化安定剤」とは、液相の粘度を上げて粒子の分散を安定化させる、粒子と化学的に結合して粒子同士の凝集を防ぐ、等の作用を有する物質をいう。
乳化安定剤を潤滑層4に添加することにより、配合する水溶性樹脂の粒子の凝集を防ぐことができる。
【0067】
乳化安定剤の例としては、ポリビニルアルコール、イソブチレン無水マレイン酸共重合物、エチレンオキサイドプロピレンオキサイドブロック共重合体、エチレンオキサイドプロピレンオキサイドフェニル共重合体、プロピレングリコール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル等が挙げられる。
【0068】
これらの乳化安定剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0069】
潤滑層4における乳化安定剤の含有率(2種以上を併用する場合は合計含有率)は、0.01質量%以上であることが好ましく、0.03質量%以上であることがより好ましく、0.05質量%以上であることが特に好ましい。また、1質量%以下であることが好ましく、0.7質量%以下であることがより好ましく、0.5質量%以下であることが特に好ましい。
上記範囲内であると、粒子の凝集・沈降・ゲル化が発生しにくく、コスト面においても有利である。
【0070】
本発明の孔あけ加工用当て板1の潤滑層4は、浸透剤を含有していてもよい。「浸透剤」とは、液体の表面張力を低下させる作用を有する物質をいう。
浸透剤を潤滑層4に添加することにより、塗布液を塗布面に均一に塗り広げることができる。
【0071】
浸透剤の例としては、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンヘキシルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンデシルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンイソデシルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、パーフルオロアルキレン化合物、パーフルオロフェニル化合物、ポリオキシエチレンデシルエーテルポリオキシエチレンラウリルエーテル等が挙げられる。
【0072】
これらの浸透剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0073】
潤滑層4における浸透剤の含有率(2種以上を併用する場合は合計含有率)は、0.01質量%以上であることが好ましく、0.03質量%以上であることがより好ましく、0.05質量%以上であることが特に好ましい。また、1質量%以下であることが好ましく、0.7質量%以下であることがより好ましく、0.5質量%以下であることが特に好ましい。
上記範囲内であると、塗布液を均一に塗り広げながら発泡性を抑えつつ、コスト面においても有利である。
【0074】
本発明の孔あけ加工用当て板1の潤滑層4は、結晶核剤を含有していてもよい。
結晶核剤を潤滑層4に添加することにより、結晶微細化による潤滑層4の割れを防止することができる。また、結晶核剤を添加することにより、潤滑層4を形成後、乾燥する際に、水溶性樹脂のべたつきによるブロッキング(タック)を防止することができる。
【0075】
結晶核剤の例としては、アミノ酸、脂肪酸エステル、アルカリ金属塩、ジカルボン酸等が挙げられる。
【0076】
アミノ酸の例としては、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、トレオニン、システイン、シスチン、メチオニン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、プロリン、アスパラギン、グルタミン、アスパラギン酸、グルタミン酸、リジン、ヒスチジン等が挙げられる。
このうち、ブロッキング防止や潤滑層の割れの防止の効果が高い点から、アスパラギン酸、アラニン、アルギニン、フェニルアラニン、グリシン、ロイシンが特に好ましい。
【0077】
脂肪酸エステルの例としては、ソルビタンステアレート、ポリオキシエチレンステアレート、ジアシルグリセロール、モノアシルグリセロール、トリアシルグリセロール等が挙げられる。
【0078】
アルカリ金属塩の例としては、硫酸ナトリウム、塩化ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、りん酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、硫酸カリウム、塩化カリウム、ケイ酸カリウム、りん酸カリウム、クエン酸カリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。
【0079】
ジカルボン酸の例としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸等が挙げられる。
【0080】
これらの結晶核剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0081】
潤滑層4における結晶核剤の含有率(2種以上を併用する場合は合計含有率)は、0.01質量%以上であることが好ましく、0.05質量%以上であることがより好ましく、0.1質量%以上であることが特に好ましい。また、5質量%以下であることが好ましく、3質量%以下であることがより好ましく、1質量%以下であることが特に好ましい。
上記範囲内であると、ブロッキング防止や潤滑層4の割れの防止の効果が十分に発揮されやすい。
【0082】
本発明の孔あけ加工用当て板1の潤滑層4は、耐水性付与剤を含有していてもよい。
耐水性付与剤は、潤滑層に適度な耐水性を与える。すなわち、耐水性付与剤は、空気中の水分により潤滑層4の成分が溶解し、金属板の表面から潤滑剤4が剥離するのを防止する。
【0083】
耐水性付与剤の例としては、変性ポリビニル、ポリエステル、ポリアミド、ロジン等が挙げられる。
【0084】
変性ポリビニルの例としては、スチレン-酢酸ビニル系ブロック共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合樹脂、メチルビニルエーテル・(無水)マレイン酸共重合物、アニオン変性ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルエチルエーテル、ポリビニルイソブチルエーテル、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルピロリドン酢酸ビニル、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。
【0085】
ポリエステルの例としては、ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂等が挙げられる。
ポリエステル樹脂は、ガラス転移点(Tg)が5~50℃程度のものが好ましい。
【0086】
ポリアミドの例としては、重合脂肪酸系ポリアミド、重合石油系ポリアミド等が挙げられる。
「重合脂肪酸系ポリアミド」とは、重合脂肪酸(不飽和脂肪酸の重合体)とジアミンとの縮合体をいい、不飽和脂肪酸の例としては、リノール酸;オレイン酸;リシノール酸;ひまし油、大豆油、亜麻仁油等に含有される不飽和脂肪酸;等が挙げられる。
「重合石油系ポリアミド」とは、エチレン、プロピレン、ブタジエン、スチレン等を原料とした、一般的なポリアミドである。
【0087】
ロジンの例としては、WWロジン、水添ロジン、ロジン変性フェノール樹脂、マレイン化ロジン、マレイン酸変性ロジン樹脂、エステルガム、硬化ロジン、ロジンアルカリ石鹸、アクリル化ロジン、重合ロジン等が挙げられる。
【0088】
これらの耐水性付与剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0089】
潤滑層4における耐水性付与剤の含有率(2種以上を併用する場合は合計含有率)は、0.01質量%以上であることが好ましく、0.03質量%以上であることがより好ましく、0.05質量%以上であることが特に好ましい。また、1質量%以下であることが好ましく、0.7質量%以下であることがより好ましく、0.5質量%以下であることが特に好ましい。
上記範囲内であると、耐水性付与の効果を十分に発揮しやすく、また、潤滑層4の剥離が発生しにくい。
【実施例】
【0090】
以下に、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限りこれらの実施例に限定されるものではない。
また、実施例及び比較例における薬品の詳細は、以下の通りである。
【0091】
「ポリウレタン樹脂A」
カーボネート構造を有し、更に、ポリオール化合物に由来する部分に芳香族炭化水素基を有するポリウレタン樹脂。
【0092】
「ポリウレタン樹脂B」
カーボネート構造を有しないポリウレタン樹脂。
【0093】
「ポリエチレングリコール」
数平均分子量1000以上50000未満のポリエチレングリコール。
【0094】
「ポリ酢酸ビニルの部分ケン化物」
重合度600、ケン化度45%であるポリ酢酸ビニルの部分ケン化物。
【0095】
実施例1
厚さ75μmのアルミニウム板の片方の表面に、ポリ酢酸ビニルの部分ケン化物を、膜厚が1.5μmとなるように塗布することで、下塗り層を形成した。
【0096】
次いで、下塗り層の上に、下記組成の塗布液1を塗布し、乾燥させることで、膜厚25μmの潤滑層を形成することにより、孔あけ加工用当て板を作製した。
【0097】
(塗布液1組成)
・ポリウレタン樹脂A 13.40質量部
・ポリエチレングリコール 33.00質量部
・乳化安定剤 0.10質量部
・浸透剤 0.05質量部
・水 47.80質量部
・アミノ酸 0.15質量部
・メタノール 4.50質量部
【0098】
[孔あけ加工]
厚さ0.8mmのプリント基板をサンプルとして使用した。プリント基板を4枚重ねた状態で、最も上のプリント基板の上に、作製したアルミニウムの当て板を、潤滑層が上を向くようにして載せた状態で、ドリルによる孔あけ加工を実施した。
ドリルの径は、0.2mm、0.12mm又は0.05mmのものを使用した。
【0099】
実施例2
実施例1において、潤滑層を形成する際に、塗布液1に代えて下記組成の塗布液2を使用した以外は、実施例1と同様にして孔あけ加工用当て板を作製し、ドリルによる孔あけ加工を実施した。
【0100】
(塗布液2組成)
・ポリウレタン樹脂A 13.40質量部
・ポリエチレングリコール 33.00質量部
・水 47.80質量部
・アミノ酸 0.15質量部
・メタノール 4.50質量部
【0101】
比較例1
実施例1において、潤滑層を形成する際に、塗布液1に代えて下記組成の塗布液3を使用した以外は、実施例1と同様にして孔あけ加工用当て板を作製し、ドリルによる孔あけ加工を実施した。
【0102】
(塗布液3組成)
・ポリウレタン樹脂B 13.40質量部
・ポリエチレングリコール 33.00質量部
・乳化安定剤 0.10質量部
・浸透剤 0.05質量部
・水 47.80質量部
・アミノ酸 0.15質量部
・メタノール 4.50質量部
【0103】
各実施例及び比較例において、以下に示す項目を評価した。結果を表1に示す。
【0104】
<折損>
ドリルの折損を、外観で確認し、以下の基準で評価した。
【0105】
○:全く折損を確認しなかった。
△:ほとんど折損を確認しなかった。
×:折損を確認した。
【0106】
<孔位置>
プリント基板の孔位置を、以下の基準で評価した。
【0107】
○:全て良品だった。
×:不良品が多かった。
【0108】
<安定性>
経時的な製品安定性を、以下の基準で評価した。
【0109】
○:潤滑層形成用の塗布液を4℃で保存した後、かきまぜた時に配合樹脂の凝集物が発生しなかった。
×:潤滑層形成用の塗布液を4℃で保存した後、かきまぜた時に配合樹脂の凝集物が発生した。
【0110】
【0111】
潤滑層4にカーボネート構造を有するポリウレタン樹脂を含有させた場合、ドリルの径が小さい場合であっても折損が発生しなかった。
【産業上の利用可能性】
【0112】
本発明の孔あけ加工用当て板は、孔径の小さいスルーホールをプリント基板に設けるのに適しているので、通信機器、バッテリー、OA機器、家電製品等に使用されるプリント基板の加工に広く利用されるものである。
【符号の説明】
【0113】
1 孔あけ加工用当て板
2 金属板
3 下塗り層
4 潤滑層