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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-18
(45)【発行日】2024-12-26
(54)【発明の名称】電池パック
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/6556 20140101AFI20241219BHJP
   H01M 50/213 20210101ALI20241219BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20241219BHJP
   H01M 10/6235 20140101ALI20241219BHJP
   H01M 10/643 20140101ALI20241219BHJP
   H01M 10/6563 20140101ALI20241219BHJP
【FI】
H01M10/6556
H01M50/213
H01M10/613
H01M10/6235
H01M10/643
H01M10/6563
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021048522
(22)【出願日】2021-03-23
(65)【公開番号】P2022147329
(43)【公開日】2022-10-06
【審査請求日】2023-12-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000137292
【氏名又は名称】株式会社マキタ
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田賀 秀行
【審査官】山口 大
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-288744(JP,A)
【文献】特開2003-109674(JP,A)
【文献】特開2014-203600(JP,A)
【文献】特開2000-280759(JP,A)
【文献】特表2019-516211(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/6556
H01M 50/213
H01M 10/613
H01M 10/6235
H01M 10/643
H01M 10/6563
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池パックであって、
複数の電池セルと、
前記複数の電池セルを保持するセルホルダと、
前記セルホルダを収容するケーシングを備えており、
前記複数の電池セルは、略円柱形状を有しており、前後方向に長手方向を有しており、左右方向および上下方向に並んで配置されており、
前記セルホルダは、
前記前後方向に直交する第1方向において前記複数の電池セルに対向する面に形成されており、前記セルホルダの外部から内部に空気が流入する内側給気用開口と、
前記前後方向において前記複数の電池セルに対向する面に形成されており、前記セルホルダの内部から外部に空気が流出する内側排気用開口を有しており、
前記ケーシングは、
前記ケーシングの外部から内部に空気が流入する外側給気用開口と、
前記セルホルダの前記内側排気用開口に対向する面に形成されており、前記ケーシングの内部から外部に空気が流出する外側排気用開口を有している、電池パック。
【請求項2】
前記ケーシングの前記外側給気用開口が、前記セルホルダの前記内側給気用開口に対向する面に形成されている、請求項1の電池パック。
【請求項3】
前記第1方向に関して、前記セルホルダの前記内側給気用開口が、前記セルホルダの一方の端面と、前記セルホルダの他方の端面に形成されている、請求項1または2の電池パック。
【請求項4】
前記第1方向に並んだ前記複数の電池セルの個数が、前記前後方向および前記第1方向に直交する第2方向に並んだ前記複数の電池セルの個数よりも多い、請求項3の電池パック。
【請求項5】
前記セルホルダの前記内側排気用開口が、前記複数の電池セルのうち前記第1方向における両端から1列目の電池セルと2列目の電池セルの間の空間に対向する箇所には形成されていない、請求項4の電池パック。
【請求項6】
前記セルホルダの、前記内側排気用開口が形成された面の反対側の面において、前記内側排気用開口に対応する位置には、空気が通過する開口が形成されていない、請求項1から5の何れか一項の電池パック。
【請求項7】
前記セルホルダの、前記内側排気用開口が形成された面の反対側の面には、空気が通過する開口が形成されていない、請求項6の電池パック。
【請求項8】
前記複数の電池セルが、正方格子状に配置されている、請求項1から7の何れか一項の電池パック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示する技術は、電池パックに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、電池パックが開示されている。前記電池パックは、複数の電池セルと、前記複数の電池セルを保持するセルホルダと、前記セルホルダを収容するケーシングを備えている。前記複数の電池セルは、略円柱形状を有しており、前後方向に長手方向を有しており、左右方向および上下方向に並んで配置されている。前記セルホルダは、前記セルホルダの外部から内部に空気が流入する内側給気用開口と、前記セルホルダの内部から外部に空気が流出する内側排気用開口を有している。前記ケーシングは、前記ケーシングの外部から内部に空気が流入する外側給気用開口と、前記ケーシングの内部から外部に空気が流出する外側排気用開口を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-188300号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
セルホルダの内部を流れる空気は、複数の電池セルを冷却しながら流れていくので、内側給気用開口に近い位置では冷却風の温度が低いものの、内側排気用開口に近い位置では冷却風の温度が高くなる。このため、内側給気用開口の近くに配置された電池セルは十分に冷却されて低温となるものの、内側排気用開口の近くに配置された電池セルは冷却が不十分で高温となり、電池セル間で温度差が生じるおそれがある。本明細書では、電池パックを冷却する際に、電池セル間で温度差が生じてしまうことを抑制することが可能な技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書が開示する電池パックは、複数の電池セルと、前記複数の電池セルを保持するセルホルダと、前記セルホルダを収容するケーシングを備えていてもよい。前記複数の電池セルは、略円柱形状を有していてもよく、前後方向に長手方向を有していてもよく、左右方向および上下方向に並んで配置されていてもよい。前記セルホルダは、前記前後方向に直交する第1方向において前記複数の電池セルに対向する面に形成されており、前記セルホルダの外部から内部に空気が流入する内側給気用開口と、前記前後方向において前記複数の電池セルに対向する面に形成されており、前記セルホルダの内部から外部に空気が流出する内側排気用開口を有していてもよい。前記ケーシングは、前記ケーシングの外部から内部に空気が流入する外側給気用開口と、前記セルホルダの前記内側排気用開口に対向する面に形成されており、前記ケーシングの内部から外部に空気が流出する外側排気用開口を有していてもよい。
【0006】
上記の構成によれば、外側給気用開口を介してケーシングの内部へ流入した空気は、ケーシングとセルホルダの間の空間を流れて、内側給気用開口を介してセルホルダの内部へ流入する。セルホルダの内部へ流入した空気は、複数の電池セルの間の空間を流れて、内側排気用開口を介してセルホルダの外部へ流出し、ケーシングとセルホルダの間の空間を流れて、外側排気用開口を介してケーシングの外部へ流出する。上記の構成では、セルホルダの内側給気用開口が、前後方向に直交する第1方向において複数の電池セルに対向する面に形成されているので、内側給気用開口の近くでは、複数の電池セルの長手方向に直交する方向に沿って冷却風が流れる。また、上記の構成では、セルホルダの内側排気用開口が、前後方向において複数の電池セルに対向する面に形成されているので、内側排気用開口の近くでは、複数の電池セルの長手方向に沿って冷却風が流れる。このため、内側給気用開口の近くに配置された電池セルでは、冷却風の温度は低いものの、冷却風との接触面積が小さくなる。これに対して、内側排気用開口の近くに配置された電池セルでは、冷却風の温度は高いものの、冷却風との接触面積が大きくなる。このような構成とすることによって、内側給気用開口の近くに配置された電池セルと、内側排気用開口の近くに配置された電池セルを、均等に冷却することができる。電池パックを冷却する際に、複数の電池セルの間で温度差が生じてしまうことを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施例に係る電池パック2を前方下方右方から見た斜視図である。
図2】実施例に係る電池パック2を後方上方左方から見た斜視図である。
図3】実施例に係る電池パック2の給気用開口40および排気用開口42の近傍を前方左方上方から見た斜視断面図である。
図4】実施例に係る電池パック2の電池セルユニット14を前方下方右方から見た斜視図である。
図5】実施例に係る電池パック2の電池セル48とセルホルダ50を前方下方右方から見た斜視図である。
図6】実施例に係る電池パック2の電池セル48とセルホルダ50を後方上方左方から見た斜視図である。
図7】実施例に係る電池パック2の電気系統を模式的に示す図である。
図8】実施例に係る電池パック2の横断面図である。
図9】実施例に係る電池パック2の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の代表的かつ非限定的な具体例について、図面を参照して以下に詳細に説明する。この詳細な説明は、本発明の好ましい例を実施するための詳細を当業者に示すことを単純に意図しており、本発明の範囲を限定することを意図したものではない。また、開示された追加的な特徴ならびに発明は、さらに改善された電池パックを提供するために、他の特徴や発明とは別に、又は共に用いることができる。
【0009】
また、以下の詳細な説明で開示される特徴や工程の組み合わせは、最も広い意味において本発明を実施する際に必須のものではなく、特に本発明の代表的な具体例を説明するためにのみ記載されるものである。さらに、以下の代表的な具体例の様々な特徴、ならびに、特許請求の範囲に記載されるものの様々な特徴は、本発明の追加的かつ有用な実施形態を提供するにあたって、ここに記載される具体例のとおりに、あるいは列挙された順番のとおりに組合せなければならないものではない。
【0010】
本明細書及び/又は特許請求の範囲に記載された全ての特徴は、実施例及び/又は特許請求の範囲に記載された特徴の構成とは別に、出願当初の開示ならびに特許請求の範囲に記載された特定事項に対する限定として、個別に、かつ互いに独立して開示されることを意図するものである。さらに、全ての数値範囲及びグループ又は集団に関する記載は、出願当初の開示ならびに特許請求の範囲に記載された特定事項に対する限定として、それらの中間の構成を開示する意図を持ってなされている。
【0011】
1つまたはそれ以上の実施形態において、電池パックは、複数の電池セルと、前記複数の電池セルを保持するセルホルダと、前記セルホルダを収容するケーシングを備えていてもよい。前記複数の電池セルは、略円柱形状を有していてもよく、前後方向に長手方向を有していてもよく、左右方向および上下方向に並んで配置されていてもよい。前記セルホルダは、前記前後方向に直交する第1方向において前記複数の電池セルに対向する面に形成されており、前記セルホルダの外部から内部に空気が流入する内側給気用開口と、前記前後方向において前記複数の電池セルに対向する面に形成されており、前記セルホルダの内部から外部に空気が流出する内側排気用開口を有していてもよい。前記ケーシングは、前記ケーシングの外部から内部に空気が流入する外側給気用開口と、前記セルホルダの前記内側排気用開口に対向する面に形成されており、前記ケーシングの内部から外部に空気が流出する外側排気用開口を有していてもよい。
【0012】
上記の構成によれば、外側給気用開口を介してケーシングの内部へ流入した空気は、ケーシングとセルホルダの間の空間を流れて、内側給気用開口を介してセルホルダの内部へ流入する。セルホルダの内部へ流入した空気は、複数の電池セルの間の空間を流れて、内側排気用開口を介してセルホルダの外部へ流出し、ケーシングとセルホルダの間の空間を流れて、外側排気用開口を介してケーシングの外部へ流出する。上記の構成では、セルホルダの内側給気用開口が、前後方向に直交する第1方向において複数の電池セルに対向する面に形成されているので、内側給気用開口の近くでは、複数の電池セルの長手方向に直交する方向に沿って冷却風が流れる。また、上記の構成では、セルホルダの内側排気用開口が、前後方向において複数の電池セルに対向する面に形成されているので、内側排気用開口の近くでは、複数の電池セルの長手方向に沿って冷却風が流れる。このため、内側給気用開口の近くに配置された電池セルでは、冷却風の温度は低いものの、冷却風との接触面積が小さくなる。これに対して、内側排気用開口の近くに配置された電池セルでは、冷却風の温度は高いものの、冷却風との接触面積が大きくなる。このような構成とすることによって、内側給気用開口の近くに配置された電池セルと、内側排気用開口の近くに配置された電池セルを、均等に冷却することができる。電池パックを冷却する際に、複数の電池セルの間で温度差が生じてしまうことを抑制することができる。
【0013】
1つまたはそれ以上の実施形態において、前記ケーシングの前記外側給気用開口が、前記セルホルダの前記内側給気用開口に対向する面に形成されていてもよい。
【0014】
上記の構成によれば、冷却風が流れる際の流路抵抗を低減することができ、冷却風の風量を多くすることができる。
【0015】
1つまたはそれ以上の実施形態において、前記第1方向に関して、前記セルホルダの前記内側給気用開口が、前記セルホルダの一方の端面と、前記セルホルダの他方の端面に形成されていてもよい。
【0016】
複数の電池セルが上下方向および左右方向に並んで配置されている場合、中央近傍の電池セルは熱がこもって高温になりやすく、外縁近傍の電池セルは熱がこもらずに低温になりやすい。このため、セルホルダの第1方向における両端面近傍に配置された電池セルは、他の電池セルに比べて低温になりやすい。上記の構成によれば、セルホルダの第1方向における両端面に内側給気用開口が形成されているので、低温になりやすい電池セルの冷却風との接触面積を小さくすることができる。このような構成とすることによって、電池パックを冷却する際に、複数の電池セルの間で温度差が生じてしまうことを抑制することができる。
【0017】
1つまたはそれ以上の実施形態において、前記第1方向に並んだ前記複数の電池セルの個数が、前記前後方向および前記第1方向に直交する第2方向に並んだ前記複数の電池セルの個数よりも多くてもよい。
【0018】
上記の構成によれば、第1方向の両端面に形成された給気用開口から流入する空気によって、多くの電池セルを冷却することができる。
【0019】
1つまたはそれ以上の実施形態において、前記セルホルダの前記内側排気用開口は、前記複数の電池セルのうち前記第1方向における両端から1列目の電池セルと2列目の電池セルの間の空間に対向する箇所には形成されていなくてもよい。
【0020】
上記の構成によれば、第1方向における両端に配置された電池セル、すなわち内側給気用開口の近くに配置された電池セルに関して、その電池セルの長手方向に沿って冷却風が流れることを抑制することができる。電池パックを冷却する際に、複数の電池セルの間で温度差が生じてしまうことを抑制することができる。
【0021】
1つまたはそれ以上の実施形態において、前記セルホルダの、前記内側排気用開口が形成された面の反対側の面において、前記内側排気用開口に対応する位置には、空気が通過する開口が形成されていなくてもよい。
【0022】
セルホルダの内側排気用開口が形成された面の反対側の面において、内側排気用開口に対応する位置に開口が形成されていると、その開口から内側排気用開口に向けて多くの冷却風が流れてしまい、他の内側給気用開口から内側排気用開口に向けて冷却風が流れにくくなってしまう。上記の構成によれば、それぞれの内側給気用開口から内側排気用開口に向けて十分な冷却風を流すことができる。
【0023】
1つまたはそれ以上の実施形態において、前記セルホルダの、前記内側排気用開口が形成された面の反対側の面には、空気が通過する開口が形成されていなくてもよい。
【0024】
セルホルダの内側排気用開口が形成された面の反対側の面に開口が形成されていると、その開口から内側排気用開口に向けて多くの冷却風が流れてしまい、セルホルダの他の面に形成された内側給気用開口から内側排気用開口に向けて冷却風が流れにくくなってしまう。上記の構成によれば、それぞれの内側給気用開口から内側排気用開口に向けて十分な冷却風を流すことができる。
【0025】
1つまたはそれ以上の実施形態において、前記複数の電池セルは、正方格子状に配置されていてもよい。
【0026】
複数の電池セルが三角格子状に配置されている場合、電池セルの間の空間が狭いため、冷却風が流れる際の流路抵抗が大きくなり、冷却風の風量が少なくなってしまう。上記のように、複数の電池セルを正方格子状に配置することによって、電池セルの間の空間を広くして、冷却風が流れる際の流路抵抗を小さくすることができ、冷却風の風量を多くすることができる。
【0027】
(実施例)
図1図2に示す電池パック2は、電気機器(図示せず)に着脱可能である。電気機器は、電池パック2から放電される電力を利用して動作することができる。電気機器は、例えば、ドライバやドリル等の、モータを動力源とする電動工具であってもよいし、草刈機やブロワ等の、モータを動力源とする電動作業機であってもよい。あるいは、電気機器は、ライトやラジオ、スピーカ等の、モータを備えていない電気機器であってもよい。また、電池パック2は、充電器(図示せず)に着脱可能である。充電器は、電池パック2を充電することができる。
【0028】
電池パック2は、本体部4と、右支持部6と、左支持部8と、把持部10を備えている。本体部4は、略直方体形状を有している。本体部4は、前面4aと、後面4bと、右面4cと、左面4dと、上面4eと、下面4fを備えている。本体部4の上下方向の寸法は、本体部4の前後方向の寸法よりも大きい。本体部4の左右方向の寸法は、本体部4の上下方向の寸法よりも大きい。本体部4の上下方向の寸法は、例えば、150.0mm-250.0mmの範囲内であって、より具体的には171.5mmである。本体部4の前後方向の寸法は、例えば、70.0mm-120.0mmの範囲内であって、より具体的には90.0mmである。本体部4の左右方向の寸法は、例えば、170.0mm-210.0mmの範囲内であって、より具体的には190.0mmである。なお、上記の本体部4の寸法は、あくまでも例示であって、本体部4の寸法はより小さくてもよいし、より大きくてもよい。右支持部6は、本体部4の上面4eの右端近傍から上方に向けて突出している。左支持部8は、本体部4の上面4eの左端近傍から上方に向けて突出している。把持部10は、左右方向に延びており、右支持部6の左面の上端近傍と、左支持部8の右面の上端近傍を接続している。ユーザは、把持部10を把持することによって電池パック2を持ち運ぶことができる。なお、電池パック2は、右支持部6、左支持部8、把持部10を備えていなくてもよい。電池パック2の重量は、例えば、1.0kg-4.0kgの範囲内であって、より具体的には2.2kgである。電池パック2の定格電圧は、例えば、36V-108Vの範囲内であって、より具体的には57.6Vである。電池パック2の定格容量は、例えば、3.0Ah-12.0Ahの範囲内であって、より具体的には4.0Ahである。なお、上記の電池パック2の重量、定格電圧、定格容量は、あくまでも例示であって、電池パック2の重量、定格電圧、定格容量は、より小さくてもよいし、より大きくてもよい。
【0029】
電池パック2は、ケーシング12と、ケーシング12の内部に収容された電池セルユニット14(図3参照)を備えている。ケーシング12は、前ケーシング12aと、後ケーシング12bを備えている。前ケーシング12aは、本体部4、右支持部6、左支持部8、把持部10の前半分の外形形状を規定している。後ケーシング12bは、本体部4、右支持部6、左支持部8、把持部10の後半分の外形形状を規定している。
【0030】
図2に示すように、本体部4の上面4eの前端近傍には、残量表示インジケータ16と、残量表示ボタン18が設けられている。残量表示インジケータ16は、電池パック2の電池残量を表示する。残量表示ボタン18は、残量表示インジケータ16による電池残量の表示をユーザがオン操作するためのボタンである。残量表示インジケータ16は、残量表示ボタン18にオン操作がなされると点灯し、所定時間が経過すると自動的に消灯する。前後方向に関して、残量表示インジケータ16と残量表示ボタン18は、把持部10よりも前方に配置されている。左右方向に関して、残量表示インジケータ16と残量表示ボタン18は、右支持部6よりも左方に配置されており、左支持部8よりも右方に配置されている。図3に示すように、ケーシング12の内部であって、残量表示インジケータ16および残量表示ボタン18の下方には、表示回路基板17が収容されている。表示回路基板17は、前ケーシング12aに保持されている。表示回路基板17は、残量表示ボタン18に対するユーザからの操作を検出する表示スイッチ17a(図7参照)や、残量表示インジケータ16を点灯/消灯するための複数のLED17b(図7参照)等を備えている。
【0031】
図1に示すように、本体部4の左右方向の中央近傍の前下部には、端子インターフェース(以下、IFとも表記する)部20が形成されている。端子IF部20は、左右方向に並んで配置された複数の端子収容部22を備えている。それぞれの端子収容部22の下面には、端子用開口24が形成されている。端子用開口24は、前後方向に長手方向を有するスリット状の貫通孔である。それぞれの端子収容部22には、電池側端子54(図4参照)が収容されている。電池パック2を電気機器や充電器に取り付ける際には、電気機器や充電器の機器側端子(図示せず)が端子用開口24を通過して端子収容部22に入り込む。これによって、電気機器や充電器の機器側端子が電池側端子54と機械的に接触して電気的に接続する。
【0032】
本体部4の右面4cには、右面4cの下端から上方に延びる第1案内溝26と第2案内溝28が形成されている。図2に示すように、本体部4の左面4dには、左面4dの下端から上方に延びる第1案内溝30と第2案内溝32が形成されている。電池パック2が電気機器や充電器に取り付けられる際には、第1案内溝26,30および第2案内溝28,32に電気機器や充電器に設けられた案内リブ(図示せず)が入り込むことで、電池パック2が電気機器や充電器に対して位置決めされるとともに、電池パック2の電気機器や充電器に対する移動方向が規定される。また、図1に示すように、本体部4の前面4aには、フック係合溝34が形成されている。電池パック2が電気機器に取り付けられる際には、電気機器に設けられたフック(図示せず)がフック係合溝34に係合することで、電池パック2が電気機器に対して固定される。
【0033】
本体部4の右面4cには、複数の給気用開口36が形成されている。図2に示すように、本体部4の左面4dには、複数の給気用開口38が形成されている。図1に示すように、本体部4の前面4aには、複数の給気用開口40が形成されている。図2に示すように、本体部4の後面4bには、複数の排気用開口42が形成されている。
【0034】
図3に示すように、本体部4の前面4aの複数の給気用開口40のそれぞれには、リブ44が設けられている。リブ44は、給気用開口40の下方の縁から後方に向けて突出した後、後方上方に向けて屈曲する底板部44aと、給気用開口40の左右の縁から後方に向けて突出しており、底板部44aの左右の端部と接続する側板部44bを備えている。給気用開口40にリブ44を設けることで、把持部10を把持したユーザから給気用開口40を介して本体部4の内部が視認されることを抑制することができる。また、給気用開口40にリブ44を設けることで、給気用開口40を介して本体部4の外部から内部へ水や異物が侵入することを抑制することができる。
【0035】
本体部4の後面4bの複数の排気用開口42のそれぞれには、リブ46が設けられている。リブ46は、排気用開口42の下方の縁から前方に向けて突出した後、前方上方に向けて屈曲する底板部46aと、排気用開口42の左右の縁から前方に向けて突出しており、底板部46aの左右の端部と接続する側板部46bを備えている。排気用開口42にリブ46を設けることで、把持部10を把持したユーザから排気用開口42を介して本体部4の内部が視認されることを抑制することができる。また、排気用開口42にリブ46を設けることで、排気用開口42を介して本体部4の外部から内部へ水や異物が侵入することを抑制することができる。
【0036】
図4に示すように、電池セルユニット14は、複数の電池セル48と、複数の電池セル48を保持する樹脂製のセルホルダ50と、セルホルダ50の下方でセルホルダ50に保持された制御回路基板52を備えている。制御回路基板52の下面には、電池側端子54が設けられている。
【0037】
複数の電池セル48のそれぞれは、例えばリチウムイオン電池セルである。複数の電池セル48のそれぞれは、略円柱形状を有しており、長手方向が前後方向に沿うように配置されている。複数の電池セル48のそれぞれの形状は、例えば、18650型であって、直径が18mm、長手方向の寸法が65mmである。複数の電池セル48は、上下方向に4段に配置されている。複数の電池セル48は、左右方向に8列に配置されている。複数の電池セル48は、矩形格子状に配置されており、例えば正方格子状に配置されている。上下方向で同じ段に配置された電池セル48同士は、上下方向の位置が互いに略等しく、左右方向に間隔をあけて配置されている。左右方向で同じ列に配置された電池セル48同士は、左右方向の位置が互いに略等しく、上下方向に間隔をあけて配置されている。図5図6に示すように、複数の電池セル48のそれぞれは、前端および後端の一方に正極48aを有しており、前端および後端の他方に負極48bを有している。複数の電池セル48のそれぞれの正極48aと負極48bには、金属製のリード板56(図4参照)が取り付けられている。図4に示すように、一部のリード板56は、制御回路基板52に直接差し込まれることで制御回路基板52に電気的に接続しており、残りのリード板56は、リード線58を介して制御回路基板52に電気的に接続している。
【0038】
図5図6に示すように、セルホルダ50は、略直方体形状を有している。セルホルダ50は、前面50aと、後面50bと、右面50cと、左面50dと、上面50eと、下面50fを備えている。セルホルダ50は、前セルホルダ60と、後セルホルダ62を備えている。前セルホルダ60は、複数の電池セル48の前端を保持している。後セルホルダ62は、複数の電池セル48の後端を保持している。
【0039】
図5に示すように、セルホルダ50の右面50cには、複数の給気用開口64が形成されている。本実施例では、セルホルダ50の右面50cに2つの給気用開口64が形成されており、1つの給気用開口64は、セルホルダ50の内部の上から1段目の電池セル48と上から2段目の電池セル48の間の空間に対向して配置されており、もう1つの給気用開口64は、セルホルダ50の内部の下から1段目の電池セル48と下から2段目の電池セル48の間の空間に対向して配置されている。
【0040】
図6に示すように、セルホルダ50の左面50dには、複数の給気用開口66が形成されている。本実施例では、セルホルダ50の左面50dに2つの給気用開口66が形成されており、1つの給気用開口66は、セルホルダ50の内部の上から1段目の電池セル48と上から2段目の電池セル48の間の空間に対向して配置されており、もう1つの給気用開口66は、セルホルダ50の内部の下から1段目の電池セル48と下から2段目の電池セル48の間の空間に対向して配置されている。
【0041】
セルホルダ50の上面50eには、複数の給気用開口68が形成されている。本実施例では、セルホルダ50の上面50eに2つの給気用開口68が形成されており、1つの給気用開口68は、セルホルダ50の内部の右から3列目の電池セル48と右から4列目の電池セル48の間の空間に対向して配置されており、もう1つの給気用開口68は、セルホルダ50の内部の左から3列目の電池セル48と左から4列目の電池セル48の間の空間に対向して配置されている。
【0042】
図5に示すように、セルホルダ50の下面50fには、複数の給気用開口70が形成されている。本実施例では、セルホルダ50の下面50fに2つの給気用開口70が形成されており、1つの給気用開口70は、セルホルダ50の内部の右から3列目の電池セル48と右から4列目の電池セル48の間の空間に対向して配置されており、もう1つの給気用開口70は、セルホルダ50の内部の左から3列目の電池セル48と左から4列目の電池セル48の間の空間に対向して配置されている。
【0043】
複数の給気用開口64,66,68,70のそれぞれは、前セルホルダ60と、後セルホルダ62に跨って形成されている。複数の給気用開口64,66,68,70のそれぞれは、前後方向に長手方向を有する長孔形状を有している。複数の給気用開口64,66,68,70のそれぞれの前端は、例えば、複数の電池セル48の前端から、複数の電池セル48の前後方向の長さの1/4の長さだけ後方の位置に配置されている。複数の給気用開口64,66,68,70のそれぞれの後端は、例えば、複数の電池セル48の後端から、複数の電池セル48の前後方向の長さの1/4の長さだけ前方の位置に配置されている。
【0044】
図6に示すように、セルホルダ50の後面50bには、複数の電極用開口72と、複数の排気用開口74が形成されている。複数の電極用開口72は、複数の電池セル48の後端に対応して配置されており、複数の電池セル48の正極48aまたは負極48bが露出している。リード板56(図4参照)は、セルホルダ50の後面50bの後方に配置されており、電極用開口72を介して電池セル48の正極48aまたは負極48bに当接している。複数の排気用開口74は、4つの電極用開口72に囲まれた位置に配置されている。すなわち、複数の排気用開口74は、セルホルダ50の内部の4つの電池セル48に囲まれた空間に対向して配置されている。なお、右から1列目の電池セル48と右から2列目の電池セル48の間では、セルホルダ50の後面50bに対応する排気用開口74は形成されていない。また、左から1列目の電池セル48と左から2列目の電池セル48の間でも、セルホルダ50の後面50bに対応する排気用開口74は形成されていない。さらに、上から2段目の電池セル48と上から3段目(すなわち下から2段目)の電池セル48の間では、右から3列目の電池セル48と右から4列目の電池セル48の間と、左から3列目の電池セル48と左から4列目の電池セル48の間に、対応する排気用開口74が形成されているものの、それ以外の位置には排気用開口74は形成されていない。
【0045】
図5に示すように、セルホルダ50の前面50aには、複数の電極用開口76が形成されている。複数の電極用開口76は、複数の電池セル48の前端に対応して配置されており、複数の電池セル48の正極48aまたは負極48bが露出している。リード板56(図4参照)は、セルホルダ50の前面50aの前方に配置されており、電極用開口76を介して電池セル48の正極48aまたは負極48bに当接している。なお、セルホルダ50の後面50bとは異なり、セルホルダ50の前面50aには、電極用開口76以外の開口は形成されていない。
【0046】
図4に示すように、電池側端子54は、電源端子78と、信号端子80を備えている。電源端子78は、正極電源端子78aと、正極電源端子78aよりも右方に配置された負極電源端子78bを備えている。信号端子80は、正極電源端子78aと負極電源端子78bの間に配置されている。信号端子80は、正極電源端子78aの右方に隣接して配置された充放電制御端子80aと、正極電源端子78aの右方に隣接しており、充放電制御端子80aの後方に配置された信号受信端子80bと、充放電制御端子80aの右方に隣接して配置された過放電出力端子80cと、信号受信端子80bの右方に隣接しており、過放電出力端子80cの後方に配置された信号送信端子80dと、過放電出力端子80cの右方に隣接して配置された接続検出端子80eと、信号送信端子80dの右方に隣接しており、接続検出端子80eの後方に配置された操作入力端子80fを備えている。
【0047】
正極電源端子78aと負極電源端子78bは、母材がCu合金であり、下地めっきとしてCuめっきが施されており、その上からSnめっきが施されている。なお、Snめっきの代わりに、Niなどの卑金属に属する純金属のめっきが施されていてもよいし、AuなどのAg以外の貴金属に属する純金属のめっきが施されていてもよい。あるいは、Agを含まない合金のめっきが施されていてもよい。
【0048】
水分が多い環境下で電池パック2を使用すると、正極電源端子78aの表面の金属がイオン化して、制御回路基板52上を負極電源端子78bに向けて移動し、負極電源端子78bの表面で再び金属として析出する。このような現象をイオンマイグレーションという。負極電源端子78bで析出した金属が制御回路基板52上で成長すると、制御回路基板52上で短絡を生じるおそれがある。イオンマイグレーションは、Agで最も起こりやすい。また、イオンマイグレーションは、大きな電圧が印加される場合に生じやすく、小さな電圧が印加される場合に生じにくいので、電源端子78で起こりやすく、信号端子80では起こりにくい。このため、上記のように、正極電源端子78aと負極電源端子78bにAg以外の純金属またはAgを含まない合金のめっきを施すことによって、イオンマイグレーションにより短絡が生じてしまうことを抑制することができる。特に、正極電源端子78aの表面にAg以外の純金属またはAgを含まない合金のめっきを施すことによって、正極電源端子78aの表面におけるAgのイオン化を抑制することができ、イオンマイグレーションにより短絡が生じることを抑制することができる。なお、上記のAg以外の純金属またはAgを含まない合金は、Ag,Pb以外の純金属またはAg,Pbを含まない合金であってもよいし、Ag,Pb,Cu以外の純金属またはAg,Pb,Cuを含まない合金であってもよい。
【0049】
充放電制御端子80aと、信号受信端子80bと、過放電出力端子80cと、信号送信端子80dと、接続検出端子80eと、操作入力端子80fは、母材がCu合金であり、下地めっきとしてCuめっきが施されており、その上からAgめっきが施されている。なお、Agめっきの代わりに、Auなどの貴金属に属する純金属または貴金属の合金のめっきが施されていてもよい。
【0050】
電池パック2が電気機器や充電器に取り付けられた状態では、電池側端子54は、電気機器や充電器の機器側端子と当接した状態で維持される。この状態で、微小な振動が電池側端子54に繰り返し作用すると、電池側端子54の表面において部分的に摩耗が進行していき、電池側端子54の表面の金属の摩耗粉が酸化して、電池側端子54の表面に堆積していく。このような現象をフレッティングコロージョンという。電池側端子54の表面に酸化した摩耗粉が堆積していくと、電池側端子54の導通不良を生じるおそれがある。一般に、貴金属は酸化しづらいため、フレッティングコロージョンによる導通不良は生じにくい。逆に、卑金属は酸化しやすいため、フレッティングコロージョンによる導通不良が生じやすい。また、フレッティングコロージョンによる導通不良は、大きな電圧が印加される場合に生じにくく、小さな電圧が印加される場合に生じやすいので、電源端子78では起こりにくく、信号端子80では起こりやすい。このため、上記のように、充放電制御端子80aと、信号受信端子80bと、過放電出力端子80cと、信号送信端子80dと、接続検出端子80eと、操作入力端子80fに、貴金属に属する純金属または貴金属の合金のめっきを施すことによって、フレッティングコロージョンにより導通不良が生じることを抑制することができる。
【0051】
制御回路基板52には、複数の貫通孔82が形成されている。本実施例では、制御回路基板52には、4つの貫通孔82が形成されている。1つの貫通孔82は、正極電源端子78aと充放電制御端子80aの間、および正極電源端子78aと信号受信端子80bの間を前後方向に延びている。もう1つの貫通孔82は、充放電制御端子80aと過放電出力端子80cの間、および信号受信端子80bと信号送信端子80dの間を前後方向に延びている。さらにもう1つの貫通孔82は、過放電出力端子80cと接続検出端子80eの間、および信号送信端子80dと操作入力端子80fの間を前後方向に延びている。さらにもう1つの貫通孔82は、接続検出端子80eと負極電源端子78bの間、および操作入力端子80fと負極電源端子78bの間を前後方向に延びている。制御回路基板52に複数の貫通孔82が形成されていることで、制御回路基板52の表面に水等の導電性物質が付着した場合であっても、電源端子78の間、信号端子80の間、および電源端子78と信号端子80の間で短絡が生じることを抑制することができる。
【0052】
図7に示すように、複数の電池セル48は、正極電源端子78aと負極電源端子78bの間に電気的に接続されている。制御回路基板52は、MPU(Micro Processing Unit)84と、電源回路86と、AFE(Analog Front End)88と、温度検出部90と、電流検出部92と、充放電制御部94と、信号通信部96と、過放電出力部98と、操作入力部100と、接続検出部102を備えている。MPU84は、電池パック2の動作を制御する。MPU84は、表示回路基板17の表示スイッチ17aおよびLED17bに電気的に接続されている。電源回路86は、複数の電池セル48からの直流電力を、MPU84の動作に適した電圧まで降圧して、MPU84に供給する。電流検出部92は、複数の電池セル48を流れる電流を検出して、AFE88に出力する。AFE88は、複数の電池セル48のそれぞれの電圧および電流検出部92で検出された電流を、MPU84で認識可能となるように増幅して、MPU84に出力する。温度検出部90は、セルホルダ50に設けられたサーミスタ(図示せず)によって複数の電池セル48の温度を検出して、MPU84に出力する。充放電制御部94は、MPU84と充放電制御端子80aの間を電気的に接続している。充放電制御部94は、電池パック2の状態が正常である場合には、充放電制御端子80aに充放電許可信号を出力し、電池パック2の状態が異常である場合には、充放電制御端子80aに充放電禁止信号を出力する。信号通信部96は、MPU84と信号受信端子80bの間、およびMPU84と信号送信端子80dの間を電気的に接続している。信号通信部96は、シリアル通信により信号受信端子80bで受信される信号をMPU84に入力するとともに、MPU84から出力される信号をシリアル通信による信号送信端子80dで送信する。過放電出力部98は、MPU84と過放電出力端子80cの間を電気的に接続している。過放電出力部98は、複数の電池セル48が過放電となった場合に、過放電であることを通知する信号を過放電出力端子80cに出力する。操作入力部100は、MPU84と操作入力端子80fの間を電気的に接続している。操作入力部100は、電池パック2が取り付けられた電気機器において、電気機器の操作スイッチがユーザによりオン操作された時に電気機器から送信される操作入力信号を操作入力端子80fで受信して、MPU84に入力する。接続検出部102は、MPU84と接続検出端子80eの間を電気的に接続している。接続検出部102は、電池パック2が電気機器または充電器に電気的に接続された場合に、接続検出信号をMPU84に入力する。なお、図7に示す構成はあくまでも例示であって、特に、信号端子80および/または信号端子80に接続する構成要素は、上記以外の種類のものであってもよく、上記以外の個数であってもよい。
【0053】
電池パック2が充電器に取り付けられる際には、複数の電池セル48への充電の際に、複数の電池セル48が過剰に高温となることを抑制するために、充電器に設けられた送風装置(図示せず)によって複数の電池セル48の冷却が行われる。本実施例の電池パック2では、充電器に設けられた送風装置によって、図2に示す本体部4の後面4bの排気用開口42を介して、ケーシング12の内部から外部へ空気が吸い出される。以下では、このように複数の電池パック2が冷却される際の、ケーシング12の内部での空気の流れについて説明する。
【0054】
図8に示すように、本体部4の後面4bの排気用開口42を介して、ケーシング12の内部から外部に空気が吸い出されると、本体部4の右面4cの給気用開口36と、本体部4の左面4dの給気用開口38と、本体部4の前面4aの給気用開口40を介して、ケーシング12の外部から内部に空気が流入する。また、図9に示すように、端子IF部20の端子用開口24を介しても、僅かではあるが、ケーシング12の外部から内部へ空気が流入する。
【0055】
給気用開口36から流入した空気の大部分は、セルホルダ50の右面50cの複数の給気用開口64を介して、セルホルダ50の内部へ流入する。給気用開口36から流入した空気の残りは、ケーシング12とセルホルダ50の間の空間を流れて、セルホルダ50の上面50eの複数の給気用開口68や、セルホルダ50の下面50fの複数の給気用開口70を介して、セルホルダ50の内部へ流入する。
【0056】
給気用開口38から流入した空気の大部分は、セルホルダ50の左面50dの複数の給気用開口66を介して、セルホルダ50の内部へ流入する。給気用開口38から流入した空気の残りは、ケーシング12とセルホルダ50の間の空間を流れて、セルホルダ50の上面50eの複数の給気用開口68や、セルホルダ50の下面50fの複数の給気用開口70を介して、セルホルダ50の内部へ流入する。
【0057】
図8に示すように、給気用開口40から流入した空気は、ケーシング12とセルホルダ50の間の空間を流れて、セルホルダ50の右面50cの複数の給気用開口64や、セルホルダ50の左面50dの複数の給気用開口66や、セルホルダ50の上面50eの複数の給気用開口68や、セルホルダ50の下面50fの複数の給気用開口70を介して、セルホルダ50の内部へ流入する。
【0058】
図9に示すように、端子用開口24から流入した空気は、制御回路基板52の貫通孔82を通過して、セルホルダ50の下面50fの複数の給気用開口70を介して、セルホルダ50の内部へ流入する。
【0059】
複数の給気用開口64からセルホルダ50の内部へ流入した空気は、上下方向に隣接する電池セル48の間の空間を右方から左方に向けて流れていく。複数の給気用開口66からセルホルダ50の内部へ流入した空気は、上下方向に隣接する電池セル48の間の空間を左方から右方に向けて流れていく。複数の給気用開口68からセルホルダ50の内部へ流入した空気は、左右方向に隣接する電池セル48の間の空間を上方から下方に向けて流れていく。複数の給気用開口70からセルホルダ50の内部へ流入した空気は、左右方向に隣接する電池セル48の間の空間を下方から上方に向けて流れていく。
【0060】
図8に示すように、セルホルダ50の後面50bの複数の排気用開口74が形成されている箇所では、電池セル48の長手方向に沿って、前方から後方へ向かう空気の流れが生じる。これによって、複数の給気用開口64,66,68,70からセルホルダ50の内部へ流入した空気は、複数の電池セル48の間の空間を左右方向または上下方向に流れた後、前方から後方へ流れて、複数の排気用開口74を介してセルホルダ50の外部へ流出する。複数の排気用開口74を介してセルホルダ50の外部へ流出した空気は、本体部4の後面4bの複数の排気用開口42を介してケーシング12の外部へ流出する。上記のような空気の流れによって、複数の電池セル48が冷却される。
【0061】
以上のように、1つまたはそれ以上の実施形態において、電池パック2は、複数の電池セル48と、複数の電池セル48を保持するセルホルダ50と、セルホルダ50を収容するケーシング12を備えている。複数の電池セル48は、略円柱形状を有しており、前後方向に長手方向を有しており、左右方向および上下方向に並んで配置されている。セルホルダ50は、左右方向または上下方向(前後方向に直交する第1方向の例)において複数の電池セル48に対向する面(例えば右面50c、左面50d、上面50e、下面50f)に形成されており、セルホルダ50の外部から内部に空気が流入する給気用開口64,66,68,70(内側給気用開口の例)と、前後方向において複数の電池セル48に対向する面(例えば後面50b)に形成されており、セルホルダ50の内部から外部に空気が流出する排気用開口74(内側排気用開口の例)を有している。ケーシング12は、ケーシング12の外部から内部に空気が流入する給気用開口36,38,40(外側給気用開口の例)と、セルホルダ50の排気用開口74に対向する面(例えば後面4b)に形成されており、ケーシング12の内部から外部に空気が流出する排気用開口42(外側排気用開口の例)を有している。
【0062】
上記の構成によれば、給気用開口36,38,40を介してケーシング12の内部へ流入した空気は、ケーシング12とセルホルダ50の間の空間を流れて、給気用開口64,66,68,70を介してセルホルダ50の内部へ流入する。セルホルダ50の内部へ流入した空気は、複数の電池セル48の間の空間を流れて、排気用開口74を介してセルホルダ50の外部へ流出し、ケーシング12とセルホルダ50の間の空間を流れて、排気用開口42を介してケーシング12の外部へ流出する。上記の構成では、セルホルダ50の給気用開口64,66,68,70が、左右方向または上下方向において複数の電池セル48に対向する面に形成されているので、給気用開口64,66,68,70の近くでは、複数の電池セル48の長手方向に直交する方向に沿って冷却風が流れる。また、上記の構成では、セルホルダ50の排気用開口74が、前後方向において複数の電池セル48に対向する面に形成されているので、排気用開口74の近くでは、複数の電池セル48の長手方向に沿って冷却風が流れる。このため、給気用開口64,66,68,70の近くに配置された電池セル48では、冷却風の温度は低いものの、冷却風との接触面積が小さくなる。これに対して、排気用開口74の近くに配置された電池セル48では、冷却風の温度は高いものの、冷却風との接触面積が大きくなる。このような構成とすることによって、給気用開口64,66,68,70の近くに配置された電池セル48と、排気用開口74の近くに配置された電池セル48を、均等に冷却することができる。電池パック2を冷却する際に、複数の電池セル48の間で温度差が生じてしまうことを抑制することができる。
【0063】
1つまたはそれ以上の実施形態において、ケーシング12の給気用開口36,38は、セルホルダ50の給気用開口64,66に対向する面(例えば右面4c、左面4d)に形成されている。
【0064】
上記の構成によれば、冷却風が流れる際の流路抵抗を低減することができ、冷却風の風量を多くすることができる。
【0065】
1つまたはそれ以上の実施形態において、左右方向または前後方向に関して、セルホルダ50の給気用開口64,66,68,70は、セルホルダ50の一方の端面(例えば右面50cまたは上面50e)と、セルホルダ50の他方の端面(例えば左面50dまたは下面50f)に形成されている。
【0066】
複数の電池セル48が上下方向および左右方向に並んで配置されている場合、中央近傍の電池セル48は熱がこもって高温になりやすく、外縁近傍の電池セル48は熱がこもらずに低温になりやすい。このため、セルホルダ50の左右方向または上下方向における両端面近傍に配置された電池セル48は、他の電池セル48に比べて低温になりやすい。上記の構成によれば、セルホルダ50の左右方向または上下方向における両端面に給気用開口64,66,68,70が形成されているので、低温になりやすい電池セル48の冷却風との接触面積を小さくすることができる。このような構成とすることによって、電池パック2を冷却する際に、複数の電池セル48の間で温度差が生じてしまうことを抑制することができる。
【0067】
1つまたはそれ以上の実施形態において、第1方向(例えば左右方向)に並んだ複数の電池セル48の個数が、前後方向および第1方向に直交する第2方向(例えば上下方向)に並んだ複数の電池セル48の個数よりも多い。
【0068】
上記の構成によれば、第1方向(例えば左右方向)の両端面に形成された給気用開口64,66からセルホルダ50の内部に流入する空気によって、多くの電池セル48を冷却することができる。
【0069】
1つまたはそれ以上の実施形態において、セルホルダ50の排気用開口74は、複数の電池セル48のうち第1方向(例えば左右方向)における両端から1列目の電池セル48と2列目の電池セル48の間の空間に対向する箇所には形成されていない。
【0070】
上記の構成によれば、第1方向(例えば左右方向)における両端に配置された電池セル48、すなわち給気用開口64,66の近くに配置された電池セル48に関して、その電池セル48の長手方向に沿って冷却風が流れることを抑制することができる。電池パック2を冷却する際に、複数の電池セル48の間で温度差が生じてしまうことを抑制することができる。
【0071】
1つまたはそれ以上の実施形態において、セルホルダ50の、排気用開口74が形成された面(例えば後面50b)の反対側の面(例えば前面50a)において、排気用開口74に対応する位置には、空気が通過する開口が形成されていない。
【0072】
セルホルダ50の排気用開口74が形成された面(例えば後面50b)の反対側の面(例えば前面50a)において、排気用開口74に対応する位置に開口が形成されていると、その開口から排気用開口74に向けて多くの冷却風が流れてしまい、他の給気用開口64,66,68,70から排気用開口74に向けて冷却風が流れにくくなってしまう。上記の構成によれば、それぞれの給気用開口64,66,68,70から排気用開口74に向けて十分な冷却風を流すことができる。
【0073】
1つまたはそれ以上の実施形態において、セルホルダ50の、排気用開口74が形成された面(例えば後面50b)の反対側の面(例えば前面50a)には、空気が通過する開口が形成されていない。
【0074】
セルホルダ50の排気用開口74が形成された面(例えば後面50b)の反対側の面(例えば前面50a)に開口が形成されていると、その開口から排気用開口74に向けて多くの冷却風が流れてしまい、セルホルダ50の他の面(例えば右面50c、左面50d、上面50e、下面50f)に形成された給気用開口64,66,68,70から排気用開口74に向けて冷却風が流れにくくなってしまう。上記の構成によれば、それぞれの給気用開口64,66,68,70から排気用開口74に向けて十分な冷却風を流すことができる。
【0075】
1つまたはそれ以上の実施形態において、複数の電池セル48は、正方格子状に配置されている。
【0076】
複数の電池セル48が三角格子状に配置されている場合、電池セル48の間の空間が狭いため、冷却風が流れる際の流路抵抗が大きくなり、冷却風の風量が少なくなってしまう。上記のように、複数の電池セル48を正方格子状に配置することによって、電池セル48の間の空間を広くして、冷却風が流れる際の流路抵抗を小さくすることができ、冷却風の風量を多くすることができる。
【符号の説明】
【0077】
2 :電池パック
4 :本体部
4a :前面
4b :後面
4c :右面
4d :左面
4e :上面
4f :下面
6 :右支持部
8 :左支持部
10 :把持部
12 :ケーシング
12a :前ケーシング
12b :後ケーシング
14 :電池セルユニット
16 :残量表示インジケータ
17 :表示回路基板
17a :表示スイッチ
17b :LED
18 :残量表示ボタン
20 :端子IF部
22 :端子収容部
24 :端子用開口
26 :第1案内溝
28 :第2案内溝
30 :第1案内溝
32 :第2案内溝
34 :フック係合溝
36 :給気用開口
38 :給気用開口
40 :給気用開口
42 :排気用開口
44 :リブ
44a :底板部
44b :側板部
46 :リブ
46a :底板部
46b :側板部
48 :電池セル
48a :正極
48b :負極
50 :セルホルダ
50a :前面
50b :後面
50c :右面
50d :左面
50e :上面
50f :下面
52 :制御回路基板
54 :電池側端子
56 :リード板
58 :リード線
60 :前セルホルダ
62 :後セルホルダ
64 :給気用開口
66 :給気用開口
68 :給気用開口
70 :給気用開口
72 :電極用開口
74 :排気用開口
76 :電極用開口
78 :電源端子
78a :正極電源端子
78b :負極電源端子
80 :信号端子
80a :充放電制御端子
80b :信号受信端子
80c :過放電出力端子
80d :信号送信端子
80e :接続検出端子
80f :操作入力端子
82 :貫通孔
84 :MPU
86 :電源回路
90 :温度検出部
92 :電流検出部
94 :充放電制御部
96 :信号通信部
98 :過放電出力部
100 :操作入力部
102 :接続検出部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9