(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-18
(45)【発行日】2024-12-26
(54)【発明の名称】塗装装置、カートリッジ、塗装ガン本体及び混合液の噴射方法
(51)【国際特許分類】
B05B 7/32 20060101AFI20241219BHJP
B05B 3/10 20060101ALI20241219BHJP
B05B 5/04 20060101ALI20241219BHJP
B05B 12/00 20180101ALI20241219BHJP
B05D 1/02 20060101ALI20241219BHJP
B05D 3/00 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
B05B7/32
B05B3/10 B
B05B5/04 A
B05B12/00 A
B05D1/02 Z
B05D3/00 B
(21)【出願番号】P 2021068467
(22)【出願日】2021-04-14
【審査請求日】2023-10-20
(73)【特許権者】
【識別番号】521431099
【氏名又は名称】カワサキモータース株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【氏名又は名称】有田 貴弘
(74)【代理人】
【識別番号】100117662
【氏名又は名称】竹下 明男
(74)【代理人】
【識別番号】100156177
【氏名又は名称】池見 智治
(72)【発明者】
【氏名】中川 文寛
【審査官】吉田 昌弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-144388(JP,A)
【文献】国際公開第2013/161404(WO,A1)
【文献】特開2000-126654(JP,A)
【文献】特開2002-119895(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05B 7/32
B05B 3/10
B05B 5/04
B05B 12/00
B05D 1/02
B05D 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
噴射口が設けられた塗装ガン本体と、前記塗装ガン本体に着脱可能に装着されて、第1塗装液を収容するカートリッジとを含む塗装ガンと、
前記塗装ガンが装着されて、前記塗装ガンを予め定められた塗装位置に移動させる搬送体と、
前記搬送体に設けられて、前記塗装ガンから離れた位置に配置される塗装液供給源と前記塗装ガンとを接続して、前記塗装液供給源から供給される第2塗装液を流通可能な中継管と、
を備え、
前記カートリッジは、収容する前記第1塗装液を導出する導出管を有し、
前記塗装ガンには、前記中継管及び前記導出管の下流側で、前記カートリッジに収容される前記第1塗装液と、前記塗装液供給源から供給される前記第2塗装液とを混合させる混合空間が形成され、
前記カートリッジには、塗装対象の塗装態様の変化に応じた前記第1塗装液が収容され、
前記塗装対象の塗装態様が変化しても共通して使用される前記第2塗装液が前記中継管を介して供給される、塗装装置。
【請求項2】
噴射口が設けられた塗装ガン本体と、前記塗装ガン本体に着脱可能に装着されて、第1塗装液を収容するカートリッジとを含む塗装ガンと、
前記塗装ガンが装着されて、前記塗装ガンを予め定められた塗装位置に移動させる搬送体と、
前記搬送体に設けられて、前記塗装ガンから離れた位置に配置される塗装液供給源と前記塗装ガンとを接続して、前記塗装液供給源から供給される第2塗装液を流通可能な中継管と、
を備え、
前記カートリッジは、収容する前記第1塗装液を導出する導出管を有し、
前記塗装ガンには、前記中継管及び前記導出管の下流側で、前記カートリッジに収容される前記第1塗装液と、前記塗装液供給源から供給される前記第2塗装液とを混合させる混合空間が形成され、
前記カートリッジは前記第1塗装液として主剤を収容し、
前記第2塗装液として硬化剤が前記中継管を介して供給され、
前記主剤は、塗装対象物の表面を着色するための顔料又は染料を含む液を含み、
前記硬化剤は、前記主剤と混ざった状態で、混合液を硬化させる、塗装装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の塗装装置であって、
前記塗装ガンには、前記第1塗装液を前記カートリッジ外に送出するための外部流体が供給される外部流体連結部が設けられる、塗装装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1つに記載の塗装装置であって、
前記塗装ガン本体に、
前記混合空間と、
前記塗装液供給源から前記中継管を介して供給される第2塗装液を前記混合空間に向けて導く第2塗装液用流路と、
が設けられる、塗装装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1つに記載の塗装装置であって、
前記カートリッジは、
前記第1塗装液を収容する容器本体を有し、
前記カートリッジが前記塗装ガン本体に装着された状態で、前記導出管は、前記容器本体内の前記第1塗装液を前記混合空間に向けて導く、塗装装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか1つに記載の塗装装置であって、
前記塗装ガン本体に、前記第1塗装液が流れる流路の少なくとも一部を洗浄する洗浄液が流れる洗浄液流路が形成されている、塗装装置。
【請求項7】
噴射口が設けられた塗装ガン本体と、前記塗装ガン本体に着脱可能に装着されて、第1塗装液を収容するカートリッジとを含む塗装ガンと、
前記塗装ガンが装着されて、前記塗装ガンを予め定められた塗装位置に移動させる搬送体と、
前記搬送体に設けられて、前記塗装ガンから離れた位置に配置される塗装液供給源と前記塗装ガンとを接続して、前記塗装液供給源から供給される第2塗装液を流通可能な中継管と、
を備え、
前記カートリッジは、収容する前記第1塗装液を導出する導出管を有し、
前記塗装ガンには、前記中継管及び前記導出管の下流側で、前記カートリッジに収容される前記第1塗装液と、前記塗装液供給源から供給される前記第2塗装液とを混合させる混合空間が形成され、
前記カートリッジが、
前記第1塗装液を収容する容器本体を含み、
前記カートリッジに、
前記第1塗装液と前記第2塗装液とを混合する前記混合空間と、
前記塗装液供給源から前記中継管を介して供給される前記第2塗装液を前記混合空間に向けて導く第2塗装液用流路とが形成され、
前記導出管は、前記容器本体内の前記第1塗装液を前記混合空間に向けて導き、
前記カートリッジが前記塗装ガン本体に装着された状態で、前記混合空間で混合された前記第1塗装液と前記第2塗装液とが前記噴射口に供給される、塗装装置。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか1つに記載の塗装装置であって、
前記塗装ガンは、前記噴射口が形成されたベルカップを備える、塗装装置。
【請求項9】
噴射口が設けられた塗装ガン本体に着脱可能に装着されるカートリッジであって、
第1塗装液を収容する容器本体と、
前記容器本体内の前記第1塗装液を導出する導出管と、
を備え、
前記カートリッジに、
前記第1塗装液と第2塗装液とを混合する混合空間と
前記カートリッジ外から供給される前記第2塗装液を前記混合空間に向けて導く第2塗装液用流路とが形成されており、
前記導出管は、前記容器本体内の前記第1塗装液を前記混合空間に向けて導く、カートリッジ。
【請求項10】
塗装液の噴射口が形成された噴射部と、
第1塗装液が収容されたカートリッジを着脱可能に装着可能なカートリッジ装着部と、
外部からの第2塗装液を供給する中継管が接続される中継管接続部と、
前記第1塗装液を前記カートリッジ外に送出するための外部流体が供給される外部流体連結部と、
を備える塗装ガン本体。
【請求項11】
噴射口が設けられた噴射ガン本体と、前記噴射ガン本体に着脱可能に装着されて、第1処理液を収容するカートリッジとを含む噴射ガンと、噴射ガンから離れた位置に配置されて第2処理液を前記噴射ガン本体に供給する処理液供給源と、
前記処理液供給源と前記噴射ガンとを接続して、前記処理液供給源から供給される前記第2処理液を流通可能な中継管と、を備える処理液噴射システムにおける混合液の噴射方法であって、
前記カートリッジに収容される前記第1処理液を導出する導出管の下流側で、前記第1処理液と、前記処理液供給源から供給される前記第2処理液とを混合させた混合液を噴射し、
前記カートリッジには、塗装対象の塗装態様の変化に応じた前記第1処理液が収容され、
前記塗装対象の塗装態様が変化しても共通して使用される前記第2処理液を前記中継管を介して供給する、混合液の噴射方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この開示は、複数の処理液を混合して噴射する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、複数の燃料タンクより供給される塗料を、塗料ガン内に設けられた塗料混合部で混合して、塗装ガンから噴射する塗装装置を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のような塗装装置において、塗装対象や使用する塗装液の種類を踏まえて、より塗装液のロスを少なくすることが求められる。
【0005】
そこで、本開示は、複数の処理液を混合して噴射する装置において、処理液のロスを少なくすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この塗装装置は、噴射口が設けられた塗装ガン本体と、前記塗装ガン本体に着脱可能に装着されて、第1塗装液を収容するカートリッジとを含む塗装ガンと、前記塗装ガンが装着されて、前記塗装ガンを予め定められた塗装位置に移動させる搬送体と、前記搬送体に設けられて、前記塗装ガンから離れた位置に配置される塗装液供給源と前記塗装ガンとを接続して、前記塗装液供給源から供給される第2塗装液を流通可能な中継管と、を備え、前記カートリッジは、収容する前記第1塗装液を導出する導出管を有し、前記塗装ガンには、前記中継管及び前記導出管の下流側で、前記カートリッジに収容される前記第1塗装液と、前記塗装液供給源から供給される前記第2塗装液とを混合させる混合空間が形成される、塗装装置である。
【0007】
この塗装装置によると、異なる塗装液が収容されるカートリッジを用意した上で、カートリッジを交換することで、塗装ガン本体から噴射される混合塗装液を塗装態様に応じて容易に異ならせることができる。また、第1塗装液が流通する経路長を短くできることと塗装ガンで液が混合されることとによって、カートリッジ交換を行う際に、交換前の第1塗装液が流通していた領域を少なくすることができ、カートリッジ交換に伴う、交換前の第1塗装液の洗浄領域を少なくすることができる。これによって、洗浄工程を少なくしたり、カートリッジ交換後の混合塗料が質的に安定するまでの時間を低減したりすることができる。また、塗装液のロスを少なくすることもできる。
【0008】
また、噴射口が設けられた塗装ガン本体に着脱可能に装着されるカートリッジは、第1塗装液を収容する容器本体と、前記容器本体内の前記第1塗装液を導出する導出管と、を備え、前記カートリッジに、前記第1塗装液と前記第2塗装液とを混合する混合空間と、前記カートリッジ外から供給される前記第2塗装液を前記混合空間に向けて導く第2塗装液用流路とが形成されており、前記導出管は、前記容器本体内の前記第1塗装液を前記混合空間に向けて導く、カートリッジである。
【0009】
このカートリッジによると、異なる塗装液が収容されるカートリッジを用意した上で、塗装ガン本体にタイするカートリッジを交換することで、塗装ガン本体から噴射される混合塗装液を塗装態様に応じて容易に異ならせることができる。また、第1塗装液が流通する経路長を短くできることと塗装ガンで液が混合されることとによって、カートリッジ交換を行う際に、交換前の第1塗装液が流通していた領域を少なくすることができ、カートリッジ交換に伴う、交換前の第1塗装液の洗浄領域を少なくすることができる。これによって、洗浄工程を少なくしたり、カートリッジ交換後の混合塗料が質的に安定するまでの時間を低減したりすることができる。また、塗装液のロスを少なくすることもできる。
【0010】
また、塗装ガン本体は、塗装液の噴射口が形成された噴射部と、第1塗装液が収容されたカートリッジを着脱可能に装着可能なカートリッジ装着部と、外部からの第2塗装液を供給する中継管が接続される中継管接続部と、を備える。
【0011】
この塗装ガン本体によると、異なる塗装液が収容されるカートリッジを用意した上で、カートリッジを交換することで、塗装ガン本体から噴射される混合塗装液の成分を容易に異ならせることができる。また、第1塗装液が流通する経路長を短くできることによって、カートリッジ交換を行う際に、交換前の第1塗装液が流通していた領域を少なくすることができ、カートリッジ交換に伴う、交換前の第1塗装液の洗浄領域を少なくすることができる。これによって、洗浄工程を少なくしたり、カートリッジ交換後の混合塗料が質的に安定するまでの時間を低減したりすることができる。また、塗装液のロスを少なくすることもできる。
【0012】
また、混合液の噴射方法は、噴射口が設けられた噴射ガン本体と、前記噴射ガン本体に着脱可能に装着されて、第1処理液を収容するカートリッジとを含む噴射ガンと、噴射ガンから離れた位置に配置されて第2処理液を噴射ガン本体に供給する処理液供給源と、を備える処理液噴射システムにおける混合液の噴射方法であって、前記カートリッジに収容される前記第1処理液を導出する導出管の下流側で、前記第1処理液と、前記処理液供給源から供給される前記第2処理液とを混合させた混合液を噴射する、混合液の噴射方法である。
【0013】
この混合液の噴射方法によると、異なる第1処理液が収容されるカートリッジを用意した上で、カートリッジを交換することで、噴射ガン本体から噴射される混合液を容易に異ならせることができる。また、混合されるべき2つの液のうちで、カートリッジに収容される第1処理液は、カートリッジから噴射ガン本体に供給することができ、第1処理液が流通する経路長を短くできる。また、カートリッジ内の第1処理液は、導出管の下流側で第2処理液と混合されて、噴射口から噴射される。第1処理液が流通する経路長が短いことと導出管の下流側で液が混合されることとによって、カートリッジ交換を行う際に、交換前の第1処理液が流通していた領域を少なくすることができ、カートリッジ交換に伴う、交換前の第1処理液の洗浄領域を少なくすることができる。これによって、洗浄工程を少なくしたり、カートリッジ交換後の混合液が質的に安定するまでの時間を低減したりすることができる。また、処理液のロスを少なくすることもできる。
【発明の効果】
【0014】
複数の処理液を混合して噴射する装置において、処理液のロスを少なくできる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】第1実施形態に係る塗装装置を示す説明図である。
【
図2】第1実施形態に係る塗装ガン本体を示す断面図である。
【
図3】第1実施形態に係るカートリッジを示す断面図である。
【
図4】第2実施形態に係る塗装ガンを示す断面図である。
【
図5】第3実施形態に係る塗装ガンを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
{第1実施形態}
以下、第1実施形態に係る塗装装置について説明する。
図1は塗装装置20を示す説明図である。
【0017】
塗装装置20は、第1塗装液と第2塗装液との混合液を塗装対象物10に噴射することで、当該塗装対象物10を塗装するための装置である。塗装対象物10は、塗装ガン30と、搬送体80と、中継管90とを備える。塗装ガン30は、第1塗装液と第2塗装液とを混合し、塗装液としての混合液を噴射する。例えば、塗装対象物10の塗装態様は、各種塗装態様物に対する受注量又は生産計画等によって頻繁に変更され得る。本塗装装置10は、かかる受注量又は生産計画等の変更に応じて、塗装対象物10を塗装して、要請された塗装態様に応じた塗装物を製造する装置の一例である。
【0018】
搬送体80は、塗装装置20が塗装対象物10における塗装領域を向くように、塗装装置20を移動させる装置である。搬送体80は、例えば、複数のアーム部が関節を介して連結されたマニピュレータ又はマニピュレータを含む多関節ロボットである。アーム部の先端部に塗装ガン30が装着される。搬送体80の駆動によって、塗装ガン30が、塗装対象物10における塗装領域に応じて予め定められた塗装位置に向けて移動される。よって、塗装ガン30は、マニピュレータの先端部1に取付けられるエンドエフェクタとして機能することができる。
【0019】
搬送体80は、塗装ガン30を移動させることができる装置であればよく、多関節ロボットである必要は無い。本実施例では、燃料タンクなどの塗装対象面が曲面である。この場合、搬送体は、塗装ガンを直交する三次元座標上で移動可能に構成されるとともに、塗装ガンの姿勢を三軸まわりに変化させることができることが好ましい。例えば、搬送体80は、直交ロボットであってもよい。また、例えば、搬送体80は、一軸周り又は一軸方向にのみ、塗装ガン30を移動させる装置であってもよい。搬送体としては、既存のマニピュレータが用いられてもよい。
【0020】
塗装ガン30は、第1塗装液を収容するカートリッジ50を含み、第1塗装液は、当該カートリッジ50から供給される。カートリッジ50から第1塗装液の供給は、例えば、容器本体52内の収容された第1塗装液を、外部から供給された流体によって押出すことによってなされ得る。カートリッジ50が第1塗装液を供給する構成例が後により具体的に説明される。第2塗装液を収容する塗装液供給源60は、塗装ガン30から離れた固定位置に配置される。塗装液供給源60は、第2塗装液を収容するタンク62、タンク62内の第2塗装液を送出すポンプを含む。中継管90は、塗装液供給源60における第2塗装液の供給口及び塗装ガン30における中継管接続部34aに接続される。これにより、中継管90が塗装液供給源60と塗装ガン30とを接続する。タンク62内に収容された第2塗装液は、ポンプによって中継管90に圧送される。この第2塗装液は、中継管90内を流通して、塗装ガン30に供給される。カートリッジ20に収容される液の収容量は、タンクにおける液の収容量よりも小さく設定されてもよい。
【0021】
中継管90は、搬送体80に設けられる。例えば、中継管90の中間部は、搬送体80におけるアーム部に沿って支持されることによって、搬送体80に設けられる。中継管90は、例えば、アーム部の外側に管取付部98を介して取付けられる。管取付部98は、例えば、中継管90を保持する保持部と、アーム部にネジ止、嵌込構造等によって取付けられた取付部とを含む構造であってもよい。中継管90は、アーム部の外装内に通されていてもよい。中継管90は、塗装ガン30の移動に合せて、アーム部と共に移動する。搬送体80と塗装液供給源60とが離れている場合、中継管90は、それらの間に沿って配置される。中継管90は、例えば、樹脂製又は金属製の管である。中継管90の長さは、塗装ガン30と塗装液供給源60との距離に応じて設定され、例えば、10m以上20m以下である。
【0022】
塗装ガン30から供給される第1塗装液と、塗装液供給源60から中継管90を介して供給される第2塗装液とが、塗装ガン30で混合され、塗装対象物10に向けて噴射される。これにより、混合液が塗装対象物10に塗装される。
【0023】
塗装ガン30におけるカートリッジ50は、塗装ガン本体32に対して着脱可能に装着されている。このため、混合液に混合される第1塗装液の種類の変更が望まれる場合、装着済のカートリッジ50が変更すべき第1塗装液が収容されたカートリッジ50に交換されることによって、対応可能となる。これに対して、塗装液供給源60は、塗装ガン30から離れた位置に配置される。このため、塗装液供給源60については、塗装ガン本体32に装着されることによる制約、例えば、大きさ又は重さに関する制約が少なくなる。例えば、塗装液供給源60については、収容される第2塗装液の容量に関する制約を少なくすることができる。これにより、第2塗装液については、頻繁な補充等を行わなくても、液切れ無く供給を継続することができる。
【0024】
各部構成についてより具体的に説明する。
【0025】
図2は塗装ガン本体32を示す断面図である。
図3はカートリッジ50を示す断面図である。
【0026】
塗装ガン30は、塗装ガン本体32と、カートリッジ50とを備える。
【0027】
塗装ガン本体32には噴射口44hが設けられている。また、塗装ガン本体32には、第1塗装液Laと第2塗装液Lbとを混合する混合空間40Sが形成される。混合空間40Sは、第2塗装液Lbの流路において中継管90よりも下流側に設けられる。
【0028】
カートリッジ50は、塗装ガン本体32に着脱可能に装着される。カートリッジ50は、収容する第1塗装液Laを当該カートリッジ50の外に導出する導出管56を有する。上記混合空間40Sは、第1塗装液の流路において導出管56よりも下流側に設けられる。そして、中継管90及び導出管56の下流側の混合空間40Sで第1塗装液Laと第2塗装液Lbとが混合され、これにより得られた混合液が噴射口44hより噴射される。なお、カートリッジ50には、カートリッジ50が塗装ガン本体32に装着された状態で、導出管56からの塗装液の漏れを抑制する弁が設けられることが好ましい。
【0029】
第1塗装液Laは、どのような液であってもよい。第1塗装液Laの一例は、塗装態様物10の塗装態様の変化に応じた液であり、例えば、主剤と呼ばれる液である。塗装態様の変化は、塗装対象物の外観によって把握され得るため、第1塗装液Laは、塗装対象物10の外観に影響を与える因子となる液であると捉えられてもよい。より具体的には、第1塗装液は、例えば、表面を着色するための顔料又は染料を含む液、アルミフレーク、ガラス剤などの塗装膜中で光を反射させる光輝材料を含む液、着色剤が含まれるカラークリア塗装液、表面をつや消しするためのつや消し剤である。第1塗装液は、塗装対象物の表面の機能(紫外線吸収性、耐久性等)に影響を与える液であってもよい。第1塗装液は、塗装対象物10の表面に施すべき色(明度、彩度)、光沢度合の光反射の特殊効果、紫外線吸収性や耐久性などの所望する特殊機能等に応じて、適宜交換され得る。
【0030】
第2塗装液Lbは、どのような液であってもよい。第2塗装液Lbの一例は、塗装対象物10の塗装態様が変化しても第1塗装液Laよりも共通して使用される液であり、例えば、硬化剤と呼ばれる液である。硬化剤は、主剤と混ざった状態で、混合液を硬化させる因子であると捉えられてもよい。かかる硬化剤は、主剤と混じって当該主剤を塗装対象物10の表面に定着させる機能を有する。このため、主剤が交換されても、硬化剤は交換後の主剤と混合されて、当該交換後の主剤を塗装対象物10の表面に定着させる機能を発揮し続けることができる。このため、主剤の交換の有無に拘らず、硬化剤は交換されず、そのまま用いられ得る。なお、第2塗装液Lbの交換を否定するものでは無く、例えば、第1塗装液Laの交換又は塗装対象物10の変更等に伴って、第2塗装液Lbが交換されてもよい。第2塗装液は、第1塗装液よりも交換頻度が少ない液が選ばれることが好ましい。第2塗装液は複数の塗装対応で共通に用いられる液に設定されてもよい。
【0031】
塗装ガン本体32についてより具体的に説明すると、塗装ガン本体32は、本体部34と、第2塗装液用管38と、混合部40と、噴射部44とを備える。
【0032】
本体部34は、例えば、1方向に長い形状、例えば、円柱状に形成される。本体部34の外周りの一部から突出する取付部が搬送体80に取付けられる。
【0033】
本体部34内にその中心軸方向に沿って延びる貫通孔が形成される。貫通孔の長手方向一端部は、貫通孔の長手方向中間部よりも大きい。貫通孔の長手方向他端部は、貫通孔の長手方向中間部よりも狭い。
【0034】
貫通孔の長手方向中間部に支持筒部35が取付けられる。支持筒部35の一端部は、貫通孔の長手方向一端部側に延出している。支持筒部35の一端部と、貫通孔の長手方向一端部側内周面との間に隙間が設けられる。この隙間に回転駆動部47が設けられる。回転駆動部47は、例えば、エアモータ又は電気モータであり、支持筒部35の一端部又は本体部34に回転止された状態で取付けられる。この回転駆動部47によって、本体部34の一端側に噴射部44が回転駆動可能に支持される。
【0035】
噴射部44は、混合液の噴射口44hが形成された部分である。本実施形態では、噴射部44がベルカップである例が説明される。ベルカップ44は、混合液が滞留する滞留空間を形成するとともに、滞留空間に滞留する混合液を回転による遠心力によって、径方向外側に吐出する。より具体的には、ベルカップ44は、カップ部45と、噴射壁部46とを含む。カップ部45は、底から開口縁に向けて徐々に広がる内周面を有している。カップ部45の底には、貫通孔が形成されている。噴射壁部46は、カップ部45の開口を閉じる位置に設けられた板状部材である。カップ部45と噴射壁部46との環状連結部分に、噴射口44hが形成される。例えば、複数の噴射口44hが環状連結部分に沿って間隔をあけて並ぶように形成される。支持筒部35の先端側外方かつ本体部34の一端部内において、ベルカップ44が上記回転駆動部47によって回転駆動可能に支持されている。この状態で、カップ部45の底の開口は、本体部34内の軸方向中間部の空間につながっている。
【0036】
第2塗装液用管38は、塗装液供給源60から中継管90を介して供給される第2塗装液Lbを混合部40内の混合空間40Sに向けて導く。本実施形態では、第2塗装液用管38は、筒状(円筒状)に形成されている。第2塗装液用管38は、本体部34の底の中央部からカップ部45の底の開口に向けて延在するように設けられている。第2塗装液用管38の先端部は、カップ部45の底の開口よりも本体部34の軸方向中央寄りに位置している。この第2塗装液用管38内に第2塗装液用流路38Rが形成される。第2塗装液用管38の先端部に混合部40が設けられている。
【0037】
本体部34には、中継管90の一端部が連結される中継管接続部34aが設けられる。中継管接続部34aは、例えば、管継手である。本体部34に、中継管接続部34aから第2塗装液用管38内に達する流路34bが形成される。流路34bは、本体部34内に取回された管であってもよいし、本体部34に孔を形成することによって形成されてもよい。塗装液供給源60から供給される第2塗装液Lbは、中継管90、中継管接続部34a及び流路34bを介して第2塗装液用管38内の第2塗装液用流路38R内に導かれる。第2塗装液Lbは、第2塗装液用流路38Rによって混合部40に向けて導かれる。
【0038】
なお、本実施形態では、カートリッジ50に導出管56が設けられている。本体部34の貫通孔の他端部は、当該導出管56を挿入可能な程度の大きさに形成されている。本体部34の貫通孔の他端部内周面と導出管56の外周面との間には液漏を防ぐシール部品(例えばゴムリング)が設けられていてもよい。導出管56は、第2塗装液用管38内を通って第2塗装液用管38の先端側に達する。この状態で、第2塗装液用管38は、導出管56の周りを、間隔をあけて囲った状態となる。本実施形態では、導出管56の先端部は、第2塗装液用管38の先端側よりも突出しているが、これは必須ではない。第2塗装液Lbは、第2塗装液用管38の内周面と導出管56との間の筒状空間を通って第2塗装液用管38の先端側に導かれる。
【0039】
混合部40は、第1塗装液Laと第2塗装液Lbとを混合する混合空間40Sを形成する部分である。本実施形態では、混合部40は、第2塗装液用管38の先端部に連なっている。混合部40は、軸方向両端が開口する筒状に形成される。混合部40の基端部は、第2塗装液用管38の先端部に外嵌め可能な環状に形成されている。第2塗装液用管38の先端側開口及び導出管56の先端側開口は、混合部40内の混合空間40S内に位置している。混合部40の先端部は、第2塗装液用管38の先端部からその軸方向外側に延びる。このため、混合部40は、第2塗装液用管38の先端側開口及び導出管56の先端側開口の延長上の外周を囲っている。導出管56を通過した第1塗装液La及び第2塗装液用管38を通過した第2塗装液Lbは、混合部40内の混合空間40Sで合流して混合される。
【0040】
また、混合部40は、先端側(塗装液の流れ方向下流側)に進むにつれて徐々に狭まる縮径部分を有する。この縮径部分の先端部に同じ太さ部分が連続する出口部分が設けられる。出口部分の開口面積は、混合対象となる流体が流れる流路(導出管56内の流路及び第2塗装液用流路38R)の開口総面積よりも小さいことが好ましい。
【0041】
このように、複数の塗装液La、Lbがそれぞれ流れる複数の流路(導出管56内の流路及び第2塗装液用流路38R)を有し、前記複数の流路が先端側に開口する供給管部(導出管56及び第2塗装液用管38)と、複数の流路を流れる塗装液La、Lbが内部空間に供給されるように供給管部の出口部分に連なり、開口面積が複数の流路の開口総面積よりも小さくなるように、内部空間が出口側に進むにつれて狭まる縮径部分を有する混合部40とを備える塗装液混合装置を用いることによって、複数の塗装液La、Lbは、混合部470の内部空間において、流速を増しつつ、互いに混じり合う方向に案内される。このように各塗装液La、Lbを偏向させることにより複数種の塗装液La、Lbを混合することができる。このように混合部40内を流れる塗装液を偏向させて混合することで、撹拌用の邪魔板を設ける場合と比較して、塗装液La、Lbの流速が極小となる領域を防ぐことができる。これによって混合部40内における塗装液La、Lvの詰まりを防ぐことができる。また、混合部40を噴射部の一例であるベルカップ44に近づけることができ、また、混合液が流れる箇所を少なくすることができる。これにより、混合部40の構成を簡易化できると共に洗浄が容易となる。
【0042】
出口部分は、ベルカップ44のカップ部45の底の開口を通って、ベルカップ44内の滞留空間内に達している。このため、混合空間40S内で混合された液は、混合部40の先端側開口からベルカップ44内の滞留空間内に噴射される。混合部40から噴射された混合液は、ベルカップ44内の滞留空間において噴射方向下流側にある噴射壁部46の内面に衝突する。ベルカップ44が高速回転することによって、ベルカップ44の内面に付着した滞留空間内の混合液は、ベルカップ44とともに回転しつつ、遠心力によって径方向外側に移動する。混合部は、ベルカップ44の内面を伝って、遠心力によって噴射口44hからベルカップ44の外に噴射される。
【0043】
塗装ガン本体32は、カートリッジ50を着脱可能に装着可能なカートリッジ装着部48が設けられる。カートリッジ装着部48は、例えば、カートリッジ50を嵌込可能な凹部48aを含む。カートリッジ装着部48は、カートリッジ50の脱落を抑制するロック構造を有していてもよい。ロック構造は、例えば、変位可能なロック部が塗装ガン本体32に設けられると共に、当該ロック部が引っ掛り可能なロック受部がカートリッジ50に設けられ、カートリッジ50がカートリッジ装着部48に装着された状態で、ロック部が変位操作されることによって当該ロック部がロック受部に引っ掛る構成であってもよい。ロック部がカートリッジ50に設けられ、ロック受部が塗装ガン本体に設けられてもよい。また、ネジによってカートリッジ50が塗装ガン30に装着された状態に保たれてもよい。
【0044】
カートリッジ50は、容器本体52と、導出管56とを備える。
【0045】
容器本体52内に第1塗装液Laを収容可能な空間が形成される。カートリッジ50は、塗装ガン本体32に装着された状態で、搬送体80によって移動されるため、塗装液供給源60よりも大きさ及び重さに関する制約が大きくなる可能性がある。このため、例えば、カートリッジ50における液の収容可能量は、塗装液供給源60のタンク62における液の収容可能量よりも小さく設定される。容器本体52の一端部から導出管56が突出している。導出管56内には、第1塗装液Laを外部に導く流路が形成される。導出管56の基端側開口は、容器本体52内の空間につながっている。このため、容器本体52内の第1塗装液Laは、導出管56内を通って外部に導出され得る。
【0046】
容器本体52内の第1塗装液Laは、導出管56を通って外部に送出される。第1塗装液Laを送出すための構成として、例えば、容器本体52に次の構成が組込まれる。容器本体52内に当該容器本体52内の空間を仕切った状態で容器本体52内を往復移動可能なピストン状部材54が設けられる。
【0047】
第1塗装液Laは、容器本体52内の空間であってピストン状部材54によって仕切られる一方側の空間内に収容される。容器本体52に、容器本体52内の空間であってピストン状部材54によって仕切られる他方側の空間に達する流体路55が形成される。流体路55の一方側開口は、塗装ガン本体32に面しており、流体路55の他方側開口は容器本体52内の空間に面している。塗装ガン本体32に、外部流体連結部34cが設けられる。また、塗装ガン本体32に、外部流体連結部34cから流体路55の一方側開口に面する部分に向う外部流体流路34dが形成される。
【0048】
第1塗装液Laを送出すための外部流体として空気又は液体が用いられる。図示省略の外部流体供給源は、外部流体収容タンクとポンプ等を含んでおり、当該外部流体供給源から延出する外部流体管が上記外部流体連結部34cに連結される。外部流体供給源から供給される外部流体が、外部流体管、外部流体連結部34c、外部流体流路34d、流体路55を介して、容器本体52内の空間であってピストン状部材54によって仕切られる他方側の空間に送出される。外部流体供給源から外部流体を容器本体52内に送出すことによって、ピストン状部材54が押されて移動し、これにより、ピストン状部材54が容器本体52内の第1塗装液Laを、導出管56を介して外部に送出すことができる。
【0049】
容器本体52において第1塗装液Laを送出す構成は上記例に限られない。例えば、容器本体52内に気体が圧縮状態で封入されており、当該気体の圧力によって第1塗装液Laが導出管56を介して外部に送出されてもよい。
【0050】
この塗装装置20及び塗装ガン本体32によると、塗装処理が行われるにあたって、異なる第1塗装液Laが収容されたカートリッジ50が複数準備される。そして、塗装対象物10における塗装態様に応じたカートリッジ50を、塗装ガン本体32に装着する。この状態で、カートリッジ50から供給される第1塗装液Laと、塗装液供給源60から供給される第2塗装液Lbとが、塗装ガン本体32内の混合空間40Sで混合される。混合された液(混合塗装液)は、ベルカップ44の噴射口44hから噴射される。これにより、塗装対象物10の表面に混合塗装液が供給され、塗装処理が行われる。塗装対象物10における塗装態様を異ならせる場合、装着されていたカートリッジ50を、変更後の塗装態様に応じた他のカートリッジ50に交換する。そして、交換後のカートリッジ50から供給される第1塗装液Laと、塗装液供給源60から供給される第2塗装液Lbとを、塗装ガン本体32内の混合空間40Sで混合し、上記と同様に塗装処理を行うことができる。このように、カートリッジ50を交換することによって、塗装ガン本体32から噴射される混合塗装液を、塗装態様に応じて容易に異ならせることができる。
【0051】
また、カートリッジ50に収容される第1塗装液Laについては、中継管90を経ずに塗装ガン本体32に供給することができるため、第1塗装液Laが流れる経路長を短くできる。また、カートリッジ50内の第1塗装液Laは、塗装ガン30に設けられた混合空間40Sにおいて第2塗装液Lbと混合されて、噴射口44hから噴射される。従って、混合塗装液が流れる経路長についても短くできる。このように、第1塗装液Laが流れる経路長が短いことと塗装ガン30において第1塗装液Laと第2塗装液Lbとが混合されることとが相俟って、カートリッジ50交換を行う際に、交換前の第1塗装液Laが流通していた領域が少なくなる。これにより、カートリッジ50交換に伴う、交換前の第1塗装液Laの洗浄領域が少なくなる。これによって、カートリッジ50交換時における、洗浄工程を少なくしたり、カートリッジ50交換後に混合塗装液が質的に安定するまでの時間を低減したりすることができる。また、第1塗装液Laのロスを少なくすることもできる。
【0052】
例えば、塗装ガンとは別場所で第1塗装液と第2塗装液とを混合して塗装ガンに供給する場合を想定する。この場合、第1塗装液Laを交換する毎に、外部の混合塗装液供給源のタンク交換又は洗浄、中継ホースの洗浄等を行うこととなり、そのための作業、及び、洗浄のための液の消費も大きくなる。本塗装装置20では、カートリッジ50の交換時に、タンク62の交換又は洗浄、中継管90の洗浄等を行わなくてもよい。
【0053】
また、例えば、塗装ガン本体に装着されるカートリッジに、第1塗装液と第2塗装液との混合塗装液を収容し、当該カートリッジから混合塗装液を供給する場合を想定する。この場合、混合塗装液は、第1塗装液Laよりもカートリッジ内で固化し易い可能性がある。このため、上記カートリッジ50を例として考えると、カートリッジ50内でピストン状部材54が動かなくなってしまう可能性がある。また、塗装ガン本体に装着されるカートリッジについては、大きさ、重さ上の制約があり、従って、カートリッジ内に収容可能な混合塗装液の量についても制約がある。このため、カートリッジから混合塗装液を供給すると、液切れし易くなる可能性がある。
【0054】
これに対し、本塗装装置20では、例えば、カートリッジ50内には固化し難い第1塗装液Laを収容し、塗装液供給源60から固化し易い第2塗装液Lbを供給することが出来、これにより、カートリッジ50内における第1塗装液Laの固化を抑制できる。また、塗装液供給源60については、塗装ガン30から離れた位置に配置されるため、第2塗装液Lbの収容量に関する制約は少ない。そして、カートリッジ50から供給される第1塗装液Laと、塗装液供給源60から供給される第2塗装液Lbとを、塗装ガン30で混合して噴射するため、カートリッジから混合塗装液を供給する場合と比較して、第1塗装液La及び第2塗装液Lbの液切れが生じ難くなる。これにより、第1塗装液Laを変更した複数の混合塗装液を噴射する塗装作業を効率的に実施できる。
【0055】
この点からすると、塗装対象物10の塗装態様の変化に応じた第1塗装液Laがカートリッジ50に収容され、塗装対象物10の塗装態様が変化しても共通して使用される第2塗装液Lbが中継管90を介して供給されるとよい。これにより、カートリッジ50に第2塗装液Lb又は混合塗装液が収容される場合と比較して、カートリッジ50の交換回数が抑えられる。また、塗装対象物10の塗装態様が変化しても共通して使用される第2塗装液Lbについては、中継管90を介して供給されるところ、中継管90については洗浄液の入替えが不要となる。
【0056】
例えば、頻繁な色変え作業を伴う塗装作業を想定する。この場合、カートリッジ50に主剤を収容し、塗装液供給源60に硬化剤を収容することで、主剤を収容するカートリッジ50は色変え作業毎に交換され、硬化剤を収容する塗装液供給源60については、色変え作業に関係無く継続して使用されるようにすることができる。これにより、色変え作業が発生しても、カートリッジ50内に残存する主剤が無駄になる程度であり、塗装液供給源から混合塗装液を供給する場合と比較して、主剤の残余液量の削減が可能となる。また、色変え作業のためのカートリッジ50の交換以外の手間、例えば、硬化剤切れに起因する塗装液供給源60の交換又は硬化剤補充作業をなるべく少なくすることができる。よって、主剤の残余液量の削減と、硬化剤の供給作業の手間削減との両立が図られる。
【0057】
また、塗装ガン本体32に、混合空間40Sと第2塗装液用流路38Rが設けられる。このため、噴射口44hの近くで第1塗装液Laと第2塗装液Lbとが混合される。これにより、予め2つの塗装液を混ぜてから塗装装置へ供給する場合と比べて、未使用の混合塗装液の廃棄量を抑制することができる。また、カートリッジに混合空間、第2塗装液用流路を設ける場合と比較して、カートリッジの構成を簡易化することができる。
【0058】
また、カートリッジ50に、第1塗装液Laを混合空間40Sに向けて導く導出管56が設けられる。このため、カートリッジ50の交換によって、第1塗装液Laを収容する容器本体52と、当該第1塗装液Laを導出する導出管56が交換される。よって、カートリッジ50を交換する際の塗装ガン本体32の洗浄作業が容易となる。
【0059】
また、噴射部44がベルカップ44であるため、霧化用のエア等がなくても、混合塗装液をベルカップ44の回転による遠心力によって霧化して噴射することができる。
【0060】
上記第1塗装液Laは、塗装のための液体ではなく、第1処理液であってもよい。第2塗装液Lbは、塗装のための液体ではなく、第2処理液であってもよい。この場合、塗装ガン本体32は噴射ガン本体32であり、塗装ガン30は噴射ガン30であり、カートリッジ50は第1処理液を収容するカートリッジ50であり、塗装液供給源60は第2処理液を収容する処理液供給源60であると把握されてもよい。また、これらの噴射ガン本体32、噴射ガン30、カートリッジ50及び処理液供給源60を備えるシステムが処理液噴射システムと把握されてもよい。この処理液噴射システムにおいて、カートリッジ50に収容される第1処理液Laを導出する導出管56の下流側で、第1処理液Laと、処理液供給源60から供給される第2処理液Lbとを混合させた混合液を噴射する、混合液の噴射方法を実行することができる。
【0061】
この混合液の噴射方法においても、上記と同様に、洗浄工程を少なくしたり、カートリッジ50交換後の混合液が質的に安定するまでの時間を低減したりすることができる。また、処理液のロスを少なくすることもできる。
【0062】
{第2実施形態}
第2実施形態に係る塗装装置について説明する。
図4は第2実施形態に係る塗装ガン130を示す断面図である。なお、本実施形態の説明において、第1実施形態で説明したものと同様構成要素については同一符号を付してその説明を省略する。
【0063】
第2実施形態に係る塗装ガン130では、第1実施形態に係る塗装ガン30において、洗浄液を流すための構成が追加されている。
【0064】
塗装ガン130は、洗浄液用管138を備える。洗浄液用管138には、洗浄液が流れる洗浄液流路138Rが形成される。洗浄液流路138Rを流れる洗浄液Lcは、第1塗装液Laが流れる流路の少なくとも一部を洗浄する。ここでは、第1塗装液Laは、導出管56を通って混合部140内の空間及びベルカップ44内空間を経て外部に噴出される。混合部140内の空間及びベルカップ44内の空間は、第1塗装液Laが流れる流路の一例である。洗浄液Lcは、洗浄液用管138内の洗浄液流路138Rから、混合部140内の空間及びベルカップ44内の空間を通り、それらの内面を洗浄する。
【0065】
より具体的には、洗浄液用管138は、筒状(円筒状)に形成されている。洗浄液用管138は、第2塗装液用管38の外周囲を、間隔をあけて囲った状態で、第2塗装液用管38の基端よりも中央寄りの部分から第2塗装液用管38の先端に向けて延在する。ここでは、洗浄液用管138の先端開口の位置は、第2塗装液用管38の先端開口の位置と一致している。洗浄液用管138の内周面と第2塗装液用管38の外周面との間に洗浄液流路138Rが形成される。
【0066】
混合部40に対応する混合部140の基端部は、混合部40における基端部よりも大きく開口している。この基端部と、混合部140における縮径部分とは段部を介して連なっている。洗浄液用管138の先端部は、混合部140の基端部に嵌め込まれる。第2塗装液用管38の開口部に、その周方向において間欠的に凹部38gが形成されていてもよい。
【0067】
洗浄液用管138内の洗浄液流路138Rを通った洗浄液流路138Rは、第2塗装液用管38の先端部と混合部140の段部との間を通って、混合部140の縮径部分内及びその先端部内に供給される。この際、洗浄液が第2塗装液用管38の開口部の凹部38gを通過することによって、洗浄液が混合部140の径方向内側に偏向され、混合部140の内周面が効果的に洗浄される。洗浄液は、混合部140からベルカップ44内に供給され、ベルカップ44内の面を洗浄して外部に排出される。
【0068】
なお、本体部34には、洗浄液供給用中継管190の一端部が連結される中継管接続部134eが設けられる。中継管接続部134eは、例えば、管継手である。本体部34に、中継管接続部134eから洗浄液用管138内に達する流路134fが形成される。流路134fは、本体部34内に取回された管であってもよいし、本体部34に孔を形成することによって形成されてもよい。洗浄液を収容するタンク及び洗浄液を送出すポンプ等を有する洗浄液供給源160が本塗装ガン130から離れた箇所に設けられる。洗浄液供給源160から供給される洗浄液は、洗浄液供給用中継管190、中継管接続部134e及び流路134fを介して洗浄液用管138内の洗浄液流路138R内に導かれる。
【0069】
本実施形態によると、カートリッジ50を交換する際、交換前の第1塗装液Laは、混合部140内及びベルカップ44内に付着している。洗浄液流路138Rを介して供給される洗浄液は、混合部140内及びベルカップ44内を洗浄し、交換前の第1塗装液Laを除去することができる。なお、交換前の第1塗装液Laを混合部140内に導いていた導出管56は、カートリッジ50と共に交換され得る。このため、カートリッジ50の交換時において、塗装ガン本体32を洗浄する作業を容易に実施できる。
【0070】
なお、本実施形態において、洗浄液流路138Rは、ベルカップ44内に向けて開口していてもよい。この場合、洗浄液は、主としベルカップ44を洗浄することができる。
【0071】
また、洗浄液が外部の洗浄液供給源160から供給されることは必須ではなく、塗装ガンに装着された洗浄液用カートリッジから洗浄液が供給されてもよい。
【0072】
{第3実施形態}
第3実施形態に係る塗装装置について説明する。
図5は第1実施形態に係る塗装ガン230を示す断面図である。なお、本実施形態の説明において、第1実施形態で説明したものと同様構成要素については同一符号を付してその説明を省略する。
【0073】
第3実施形態に係る塗装ガン230では、第1実施形態に係る塗装ガン30において、第2塗装液用管238と混合部40とが、塗装ガン本体232ではなく、カートリッジ250に設けられた構成とされている。
【0074】
すなわち、塗装ガン本体32に対応する塗装ガン本体232において、本体部34に対応する本体部234に貫通孔が形成されている。貫通孔の長手方向一端部は、貫通孔の長手方向中間部よりも大きい。貫通孔の長手方向中間部及び他端部は、貫通孔の長手方向一端部よりも大きい。本体部234において、第2塗装液用管38は省略されている。
【0075】
また、本体部234において、第2塗装液Lbを流すための流路34bのうち中継管接続部34aとは反対側の開口は、カートリッジ250側に開口している。
【0076】
カートリッジ50に対応するカートリッジ250には、第2塗装液用管38に対応する第2塗装液用管238が設けられる。第2塗装液用管238は、導出管56を、間隔をあけて囲っている。第2塗装液用管238と導出管56との間に、第2塗装液用流路238Rが形成される。第2塗装液用管238の基端部は、容器本体52に埋ることで、当該容器本体52に支持されている。ここでは、導出管56の先端側開口は、第2塗装液用管238の先端側開口よりも出ているが、これは必須ではない。
【0077】
容器本体52に、上記流路34bのカートリッジ250側開口に対向する位置から第2塗装液用管238内の第2塗装液用流路238R内に達する内部中継路255が形成される。カートリッジ250を塗装ガン本体232に装着すると、流路34bと内部中継路255等が、管継手等を介して接続される。そして、塗装液供給源60から中継管90を介して供給される第2塗装液Lbが、流路34b及び内部中継路255を介して第2塗装液用流路238R内に供給される。
【0078】
混合部40は、第2塗装液用管238の先端部に連なっている。混合部40自体の構成は、第1実施形態で説明したものと同じであってもよい。このため、第1実施形態と同様に、導出管56を通過した第1塗装液La及び第2塗装液用管238を通過した第2塗装液Lbは、混合部40内の混合空間40Sで合流して混合される。
【0079】
カートリッジ250が塗装ガン本体232に装着された状態で、混合部40の先端部がベルカップ44の底の開口に挿入される。このため、混合部40において混合された液La、Lbは、ベルカップ44を経て噴射口44hに供給される。
【0080】
本第3実施形態によると、塗装ガン本体232からカートリッジ250を取外す際、混合部40も一緒に取外される。そして、別のカートリッジ250を塗装ガン本体232に装着して、次の塗装作業を行える。このため、作業性が向上する。
【0081】
取外されたカートリッジ250に設けられた混合部40は、第1実施形態のように、塗装ガン本体32に組込まれた混合部40よりも外側に露出している。このため、混合部40の洗浄作業を容易に行える。
【0082】
{変形例}
上記各実施形態において、上記ベルカップ44及び回転駆動部47が省略されてもよい。言い換えると、本実施形態で説明した塗装装置、カートリッジ、塗装ガン本体は、静電塗装以外の2液混合塗装装置に用いられてもよい。この場合、混合部40の先端部が本体部34の一端側に露出していてもよい。この場合、混合部40で混合された液が、混合部40の先端側開口を噴射口として噴射されてもよい。また、混合部40で混合された液が、噴射口を有する別のノズルによって噴射されてもよい。
【0083】
各実施形態において、混合部40によって混合された液が直接ベルカップ44内に導かれる必要は無い。例えば、混合部によって混合された液が別の管を介してベルカップ内に導かれてもよい。また、混合部40が上記構成であることは必須ではない。例えば、混合部は、流路内を流れる流体を撹拌する羽根等を有するスタティックミキサー等であってもよい。また、例えば、上記混合部40が省略され、導出管56及び第2塗装液用管38からの第1塗装液La及び第2塗装液Lbがベルカップ44内に供給され、ベルカップ44内の空間で混合されてもよい。この場合、ベルカップ44内の空間が混合空間である。
【0084】
また、上記各実施形態では、ガン本体にカートリッジが1つだけ装着される例が説明されたが、ガン本体に複数のカートリッジが着脱可能に装着され、複数のカートリッジから供給される複数の第1塗装液と、外部から供給される第2塗装液とが、塗装ガンにおいて混合されてもよい。
【0085】
上記各実施形態において、ガン本体に対するカートリッジの交換作業は人手によって行われてもよい。また、搬送体80の近くに、異なる第1塗装液Laを収容したカートリッジ50を複数セットしておき、ロボットにおけるツール交換システムと同様の構成を利用して、カートリッジ50の交換がなされてもよい。カートリッジからの液の供給は、シリンダによって押出す構成によってなされる必要は無い。例えば、ガン本体又はカートリッジに組込まれたポンプによってカートリッジ内の液体が供給されてもよい。
【0086】
また、上記第2実施形態及び第3実施形態で説明した塗装装置についても、第1実施形態において述べたように、処理液噴射システムとして利用でき、また、当該処理液噴射システムを利用した噴射方法を実現することができる。
【0087】
上記各実施形態及び各変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組合わせることができる。
【0088】
上記した説明は、すべての局面において、例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。
【0089】
本明細書及び図面は下記の各態様を開示する。
【0090】
第1の態様に係る塗装装置は、噴射口が設けられた塗装ガン本体と、前記塗装ガン本体に着脱可能に装着されて、第1塗装液を収容するカートリッジとを含む塗装ガンと、前記塗装ガンが装着されて、前記塗装ガンを予め定められた塗装位置に移動させる搬送体と、前記搬送体に設けられて、前記塗装ガンから離れた位置に配置される塗装液供給源と前記塗装ガンとを接続して、前記塗装液供給源から供給される第2塗装液を流通可能な中継管と、を備え、前記カートリッジは、収容する前記第1塗装液を導出する導出管を有し、前記塗装ガンには、前記中継管及び前記導出管の下流側で、前記カートリッジに収容される前記第1塗装液と、前記塗装液供給源から供給される前記第2塗装液とを混合させる混合空間が形成されるものである。
【0091】
この塗装装置によると、異なる塗装液が収容されるカートリッジを用意した上で、カートリッジを交換することで、塗装ガン本体から噴射される混合塗装液を塗装態様に応じて容易に異ならせることができる。また、混合されるべき2つの液のうちで、カートリッジに収容される第1塗装液を、中継管を経ずに塗装ガン本体に供給することができ、第1塗装液が流通する経路長を短くできる。また、カートリッジ内の第1塗装液は、塗装ガンに設けられた混合空間において第2塗装液と混合されて、噴射口から噴射される。第1塗装液が流通する経路長が短いことと塗装ガンで液が混合されることとによって、カートリッジ交換を行う際に、交換前の第1塗装液が流通していた領域を少なくすることができ、カートリッジ交換に伴う、交換前の第1塗装液の洗浄領域を少なくすることができる。これによって、洗浄工程を少なくしたり、カートリッジ交換後の混合塗料が質的に安定するまでの時間を低減したりすることができる。また、塗装液のロスを少なくすることもできる。
【0092】
第2の態様は、第1の態様に係る塗装装置であって、前記カートリッジには、塗装対象の塗装態様の変化に応じた前記第1塗装液が収容され、前記塗装対象の塗装態様が変化しても共通して使用される第2塗装液が前記中継管を介して供給されるものである。
【0093】
この場合、カートリッジには、噴射される混合塗装液ではなく、混合塗装液の一部である第1塗装液が収容されている。このため、カートリッジに混合塗装液を収容する場合と比較して、カートリッジの交換回数を抑えることができる。また、塗装対象の塗装態様が変化しても共通して使用される第2塗装液が中継管を介して供給されるため、中継管の洗浄、中継管における液の入替えが不要となる。
【0094】
第3の態様は、第1又は第2の態様に係る塗装装置であって、前記カートリッジは前記第1塗装液として主剤を収容し、前記第2塗装液として硬化剤が前記中継管を介して供給されるものである。
【0095】
ここで、頻繁な色変え作業を伴う塗装作業を想定すると、主剤を収容するカートリッジは色変え作業毎に交換され、硬化剤を収容する塗装液供給源については色変え作業に関係なく継続して使用される。このため、色替えのためのカートリッジ交換以外の手間、例えば、硬化剤切れに起因する塗装液供給源の交換又は硬化剤補充作業をなるべく少なくすることができる。よって、主剤の残余液量の削減と、硬化剤の供給作業の手間削減を両立できる。
【0096】
第4の態様は、第1から第3のいずれか1つの態様に係る塗装装置であって、前記塗装ガン本体に、前記混合空間と、前記塗装液供給源から前記中継管を介して供給される第2塗装液を前記混合空間に向けて導く第2塗装液用流路と、が設けられるものである。
【0097】
この場合、予め2つの塗装液を混ぜてから塗装装置へ供給する場合と比べて、未使用の塗装液が発生した場合の廃棄量を抑制することができる。
【0098】
第5の態様は、第1から第4のいずれか1つの態様に係る塗装装置であって、前記カートリッジは、前記第1塗装液を収容する容器本体を有し、前記カートリッジが前記塗装ガン本体に装着された状態で、前記導出管は、前記容器本体内の前記第1塗装液を前記混合空間に向けて導くものである。
【0099】
これにより、カートリッジの容器本体と共に導出管を交換できるので、カートリッジを交換する際の塗装ガン本体の洗浄作業が容易となる。
【0100】
第6の態様は、第1から第5のいずれか1つの態様に係る塗装装置であって、前記塗装ガン本体に、前記第1塗装液が流れる流路の少なくとも一部を洗浄する洗浄液が流れる洗浄液流路が形成されているものである。
【0101】
このように、塗装ガン本体に、洗浄液流路が形成されていると、塗装ガンの洗浄作業が簡易となる。
【0102】
また、第7の態様に係る塗装装置は、第1から第3のいずれか1つの態様に係る塗装装置であって、前記カートリッジが、前記第1塗装液を収容する容器本体を含み、前記カートリッジに、前記第1塗装液と前記第2塗装液とを混合する前記混合空間と、前記塗装液供給源から前記中継管を介して供給される前記第2塗装液を前記混合空間に向けて導く第2塗装液用流路とが形成され、前記導出管は、前記容器本体内の前記第1塗装液を前記混合空間に向けて導き、前記カートリッジが前記塗装ガン本体に装着された状態で、前記混合空間で混合された前記第1塗装液と前記第2塗装液とが前記噴射口に供給されるものである。
【0103】
これにより、塗装ガン本体からカートリッジを取り外す際、混合空間を形成する部分も一緒に取り外すことができるため、作業性が向上する。
【0104】
第8の態様は、第1から第7のいずれか1つの態様に係る塗装装置であって、前記塗装ガンは、前記噴射口が形成されたベルカップを備える。
【0105】
これにより、混合された塗装液をベルカップによって霧化して噴射することができる。
【0106】
第9の態様は、噴射口が設けられた塗装ガン本体に着脱可能に装着されるカートリッジであって、第1塗装液を収容する容器本体と、前記容器本体内の前記第1塗装液を導出する導出管と、を備え、前記カートリッジに、前記第1塗装液と第2塗装液とを混合する混合空間と、前記カートリッジ外から供給される前記第2塗装液を前記混合空間に向けて導く第2塗装液用流路とが形成されており、前記導出管は、前記容器本体内の前記第1塗装液を前記混合空間に向けて導くものである。
【0107】
このカートリッジによると、異なる塗装液が収容されるカートリッジを用意した上で、カートリッジを交換することで、塗装ガン本体から噴射される混合塗装液を容易に異ならせることができる。また、混合されるべき2つの液のうちで、カートリッジに収容される第1塗装液は、中継管を経ずに塗装ガン本体に供給することができ、第1塗装液が流通する経路長を短くできる。また、カートリッジ内の第1塗装液は、カートリッジに設けられた混合空間において第2塗装液と混合されて、塗装ガン本体に供給される。第1塗装液が流通する経路長が短いことと塗装ガンで液が混合されることとによって、カートリッジ交換を行う際に、交換前の第1塗装液が流通していた領域を少なくすることができ、カートリッジ交換に伴う、交換前の第1塗装液の洗浄領域を少なくすることができる。これによって、洗浄工程を少なくしたり、カートリッジ交換後の混合塗料が質的に安定するまでの時間を低減したりすることができる。また、塗装液のロスを少なくすることもできる。
【0108】
第10の態様に係る塗装ガン本体は、塗装液の噴射口が形成された噴射部と、第1塗装液が収容されたカートリッジを着脱可能に装着可能なカートリッジ装着部と、外部からの第2塗装液を供給する中継管が接続される中継管接続部と、を備える。
【0109】
この塗装ガン本体によると、異なる塗装液が収容されるカートリッジを用意した上で、カートリッジを交換することで、塗装ガン本体から噴射される混合塗装液を容易に異ならせることができる。また、混合されるべき2つの液のうちで、カートリッジに収容される第1塗装液は、中継管を経ずに塗装ガン本体に供給することができ、第1塗装液が流通する経路長を短くできる。また、カートリッジ内の第1塗装液は、第2塗装液と混合されて、噴射口から噴射される。第1塗装液が流通する経路長が短いことと塗装ガンで液が混合されることとによって、カートリッジ交換を行う際に、交換前の第1塗装液が流通していた領域を少なくすることができ、カートリッジ交換に伴う、交換前の第1塗装液の洗浄領域を少なくすることができる。これによって、洗浄工程を少なくしたり、カートリッジ交換後の混合塗料が質的に安定するまでの時間を低減したりすることができる。また、塗装液のロスを少なくすることもできる。
【0110】
第11の態様は、噴射口が設けられた噴射ガン本体と、前記噴射ガン本体に着脱可能に装着されて、第1処理液を収容するカートリッジとを含む噴射ガンと、噴射ガンから離れた位置に配置されて第2処理液を前記噴射ガン本体に供給する処理液供給源と、を備える処理液噴射システムにおける混合液の噴射方法であって、前記カートリッジに収容される前記第1処理液を導出する導出管の下流側で、前記第1処理液と、前記処理液供給源から供給される前記第2処理液とを混合させた混合液を噴射する、混合液の噴射方法である。
【0111】
この混合液の噴射方法によると、異なる第1処理液が収容されるカートリッジを用意した上で、カートリッジを交換することで、噴射ガン本体から噴射される混合液を容易に異ならせることができる。また、混合されるべき2つの液のうちで、カートリッジに収容される第1処理液は、カートリッジから噴射ガン本体に供給することができ、第1処理液が流通する経路長を短くできる。また、カートリッジ内の第1処理液は、導出管の下流側で第2処理液と混合されて、噴射口から噴射される。第1処理液が流通する経路長が短いことと導出管の下流側で液が混合されることとによって、カートリッジ交換を行う際に、交換前の第1処理液が流通していた領域を少なくすることができ、カートリッジ交換に伴う、交換前の第1処理液の洗浄領域を少なくすることができる。これによって、洗浄工程を少なくしたり、カートリッジ交換後の混合液が質的に安定するまでの時間を低減したりすることができる。また、処理液のロスを少なくすることもできる。
【符号の説明】
【0112】
20 塗装装置
30、130、230 塗装ガン(噴射ガン)
32、232 塗装ガン本体(噴射ガン本体)
38、238 第2塗装液用管
38R、238E 第2塗装液用流路
40、40B、140 混合部
40S 混合空間
44 ベルカップ(噴射部)
44h 噴射口
48 カートリッジ装着部
50、250 カートリッジ
52 容器本体
56 導出管
60 塗装液供給源(処理液供給源)
80 搬送体
90 中継管
138 洗浄液用管
138R 洗浄液流路
La 第1塗装液(第1処理液)
Lb 第2塗装液(第2処理液)
Lc 洗浄液