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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-18
(45)【発行日】2024-12-26
(54)【発明の名称】冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
   F25D 23/00 20060101AFI20241219BHJP
   F25D 29/00 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
F25D23/00 307
F25D29/00 Z
F25D23/00 301Q
F25D23/00 301R
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021069544
(22)【出願日】2021-04-16
(65)【公開番号】P2022164204
(43)【公開日】2022-10-27
【審査請求日】2023-12-11
(73)【特許権者】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100205785
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼橋 史生
(74)【代理人】
【識別番号】100203297
【弁理士】
【氏名又は名称】橋口 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100135301
【弁理士】
【氏名又は名称】梶井 良訓
(72)【発明者】
【氏名】松山 健一
【審査官】森山 拓哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-280815(JP,A)
【文献】特開2005-098559(JP,A)
【文献】特開2017-133800(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 23/00
F25D 29/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯蔵室を含む筐体と、前記筐体の開口側に開閉可能に取り付けられた複数の扉と、前記貯蔵室を冷却する冷却機構と、を備える冷蔵庫であって、
前記冷蔵庫の状態履歴情報を含む所定の情報を記憶し、前記冷却機構に電力を供給する第1電源基板と、
前記筐体から音声を出力する音声出力機構と、
情報を表示する表示機構と、
前記第1電源基板とは別に設けられる第2電源基板と、
を備え、
前記音声出力機構は、
音声出力部と、
前記所定の情報に対応した音情報を記憶し、前記音声出力部を制御する第1制御基板と、
を有し、
前記表示機構は、
表示装置と、
前記表示装置を制御する第2制御基板と、
を有し、
前記第2電源基板は、前記音声出力機構に電力を供給し、
前記第1制御基板は、前記第1電源基板から前記所定の情報を取得し、前記所定の情報に基づいた前記音情報を前記音声出力部から出力させ、
前記第1電源基板、前記第2電源基板、前記第1制御基板及び前記第2制御基板は、前記筐体の天井部に設けられ、前記第1制御基板及び前記第2制御基板は、前記第1電源基板及び前記第2電源基板よりも前記筐体の正面側に配置されているとともに、前記冷蔵庫の幅方向両側に互いに離れて配置されている、
冷蔵庫。
【請求項2】
貯蔵室を含む筐体と、前記筐体の開口側に開閉可能に取り付けられた複数の扉と、前記貯蔵室を冷却する冷却機構と、を備える冷蔵庫であって、
前記冷蔵庫の状態履歴情報を含む所定の情報を記憶し、前記冷却機構に電力を供給する第1電源基板と、
前記筐体から音声を出力する音声出力機構と、
情報を表示する表示機構と、
前記第1電源基板とは別に設けられる第2電源基板と、
を備え、
前記音声出力機構は、
音声出力部と、
前記音声出力部を制御する第1制御基板と、
を有し、
前記表示機構は
表示装置と、
前記所定の情報に対応した画像情報を記憶し、前記表示装置を制御する第2制御基板と、
を有し、
前記第2電源基板は、前記表示機構に電力を供給し、
前記第2制御基板は、前記第1電源基板から前記所定の情報を取得し、前記所定の情報に基づいた前記画像情報を前記表示装置に表示させ、
前記第1電源基板、前記第2電源基板、前記第1制御基板及び前記第2制御基板は、前記筐体の天井部に設けられ、前記第1制御基板及び前記第2制御基板は、前記第1電源基板及び前記第2電源基板よりも前記筐体の正面側に配置されているとともに、前記冷蔵庫の幅方向両側に互いに離れて配置されている、
冷蔵庫。
【請求項3】
複数の前記扉のうち、前記筐体の最上部に位置する左右一対の前記扉における一方の前記扉の扉回転支持部側に前記第1制御基板が配置され、他方の前記扉の扉回転支持部側に前記第2制御基板が配置されている、
請求項1又は2に記載の冷蔵庫。
【請求項4】
外部ネットワークを通じてサーバ装置と通信可能な通信モジュールを備え、
前記第2制御基板は、前記通信モジュールから離れた位置に配置される、
請求項1から3のいずれか1項に記載の冷蔵庫。
【請求項5】
複数の前記扉のうち、前記筐体の最上部に位置する左右一対の前記扉における一方の前記扉の扉回転支持部側に前記第2制御基板が配置され、
他方の前記扉の扉回転支持部側に前記通信モジュールが配置されている、
請求項に記載の冷蔵庫。
【請求項6】
前記第1電源基板及び前記第2電源基板は、同一の金属製収容部内に収容されている、
請求項1から5のいずれか1項に記載の冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
冷蔵庫としての主機能(冷却機能)に加えて、副機能を得るためにディスプレイやスピーカユニットを備えた冷蔵庫が知られている。このような冷蔵庫では、ディスプレイ及び/又はスピーカユニットを通じて、冷蔵庫の情報をユーザへと通知することが可能である。
【0003】
上記のような冷蔵庫では、1つの電源基板で冷蔵庫の主機能を担う機器(冷却ユニット)の他に、副機能を担う各機器(例えば、ディスプレイ、スピーカなど)まで動作させるには電流容量が足りないという問題があった。
また、冷蔵室を冷却する冷却ユニットと、上記ディスプレイ及びスピーカのそれぞれに、同一の電源基板から電力が供給される構成の場合、電源基板が故障した際に、上記ディスプレイ及びスピーカの動作が停止することに加えて、冷却ユニットの動作まで停止してしまう。この場合、ユーザの利便性が低下してしまうことが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-132550号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、ユーザの利便性の向上を図ることができる冷蔵庫を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の冷蔵庫は、貯蔵室を含む筐体と、前記筐体の開口側に開閉可能に取り付けられた複数の扉と、前記貯蔵室を冷却する冷却機構と、を持つ。前記冷蔵庫の状態履歴情報を含む所定の情報を記憶し、前記冷却機構に電力を供給する第1電源基板と、前記筐体から音声を出力する音声出力機構と、情報を表示する表示機構と、前記第1電源基板とは別に設けられる第2電源基板と、を持つ。前記音声出力機構は、音声出力部と、前記所定の情報に対応した音情報を記憶し、前記音声出力部を制御する第1制御基板と、を有する。前記表示機構は、表示装置と、前記表示装置を制御する第2制御基板と、を有する。前記第2電源基板は、前記音声出力機構に電力を供給する。前記第1制御基板は、前記第1電源基板から前記所定の情報を取得し、前記所定の情報に基づいた前記音情報を前記音声出力部から出力させる。前記第1電源基板、前記第2電源基板、前記第1制御基板及び前記第2制御基板は、前記筐体の天井部に設けられ、前記第1制御基板及び前記第2制御基板は、前記第1電源基板及び前記第2電源基板よりも前記筐体の正面側に配置されているとともに、前記冷蔵庫の幅方向両側に互いに離れて配置されている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、第1実施形態の冷蔵庫を示す斜視図。
図2図2は、図1中に示された冷蔵庫1のF2-F2線に沿う断面図。
図3図3は、図1中に示された冷蔵庫1のF3-F3線に沿う断面図。
図4図4は、第1実施形態の冷蔵庫の天井部の構成を示す図。
図5図5は、第1実施形態の冷蔵庫の電気的構成の一例について示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施形態の冷蔵庫を、図面を参照して説明する。以下の説明では、同一または類似の機能を有する構成に同一の符号を付す。そして、それら構成の重複する説明は省略する場合がある。本明細書では、冷蔵庫の正面に立つユーザから冷蔵庫を見た方向を基準に、左右を定義している。また、冷蔵庫から見て冷蔵庫の正面に立つユーザに近い側を「前方」、遠い側を「後方」と定義している。また、冷蔵庫1を図1の姿勢で床面に設置した場合における重力方向に対する上下方向を、冷蔵庫1の上下方向とする。また、図1の冷蔵庫1を前側から見た場合における左右方向を、冷蔵庫1の左右方向とする。
【0009】
[1.冷蔵庫の全体構成]
図1は、第1実施形態の冷蔵庫を示す斜視図である。図2は、図1中に示された冷蔵庫1のF2-F2線に沿う断面図である。図3は、図1中に示された冷蔵庫1のF3-F3線に沿う断面図である。図4は、第1実施形態の冷蔵庫の天井部の構成を示す図である。
図1から図4を参照し、本願発明における第1実施形態の冷蔵庫1について説明する。
まず、冷蔵庫1の全体構成について説明する。
【0010】
図1は、冷蔵庫1を示す斜視図である。
冷蔵庫1は、例えば、前面が開口した縦長矩形箱状の冷蔵庫本体MB内に、複数の貯蔵室11を有して構成されている。
【0011】
冷蔵庫本体MBは、前面が開口した筐体10と、筐体10の開口側に開閉可能に取り付けられた複数の扉20と、を主体として構成されている。
【0012】
筐体10は、冷却ユニット(冷却機構)30(図2及び図3参照)、扉開放装置41、操作部42、庫内カメラ53(図2及び図3参照)、外部接続端子54、有線無線通信モジュール(通信モジュール)61、ディスプレイユニット(表示機構)51、スピーカユニット(音声出力機構)52、第1電源基板70、及び第2電源基板80を備えている。
【0013】
(筐体)
筐体10は、上壁(天井部)10a、下壁10b、左右の側壁10c,10d、および後壁10eを有する。上壁10aおよび下壁10bは、略水平な面であって互いに対向している。左右の側壁10c,10dは、下壁10bの左右の端部から上方に起立し、上壁10aの左右の端部に繋がっている。後壁10eは、下壁10bの後端部から上方に起立し、上壁10aの後端部に繋がっている。
【0014】
筐体10は、筐体10の内面を形成する内箱10iと、内箱10iの外側に位置して筐体10の外面を形成する外箱10jと、内箱10iと外箱10jとの間に設けられた発泡ウレタンのような発泡断熱材10kとを含み、断熱性を有する(図2及び図3参照)。
【0015】
複数の貯蔵室11は、例えば、冷蔵室11A、チルド室11Aa(図2及び図3参照)、野菜室11B、製氷室11C、小冷凍室11D、および主冷凍室11Eを含む。本実施形態では、最上部に冷蔵室11Aが配置され、冷蔵室11Aの下方に野菜室11Bが配置され、野菜室11Bの下方に製氷室11Cおよび小冷凍室11Dが配置され、製氷室11Cおよび小冷凍室11Dの下方に主冷凍室11Eが配置されている。ただし、貯蔵室11の配置は、上記例に限定されない。筐体10は、各貯蔵室11の前面側に、各貯蔵室11に対して食材の出し入れを可能にする開口を有する。
【0016】
複数の扉20は、貯蔵室11を開閉可能に閉じる。複数の扉20は、例えば、冷蔵室11Aの開口を閉じる左右の冷蔵室扉20Aa,20Ab、野菜室11Bの開口を閉じる野菜室扉20B、製氷室11Cの開口を閉じる製氷室扉20C、小冷凍室11Dの開口を閉じる小冷凍室扉20D、および主冷凍室11Eの開口を閉じる主冷凍室扉20Eを含む。
【0017】
(冷却ユニット)
冷却ユニット30は、圧縮器31、冷蔵用冷却器32、冷蔵用ファン33、冷凍用冷却器34、および冷凍用ファン35を含む。
圧縮器31は、冷媒を圧縮し、圧縮した冷媒を、凝縮器およびキャピラリチューブなどを介して冷蔵用冷却器32および冷凍用冷却器34に供給する。
【0018】
冷蔵用冷却器32は、冷蔵室11Aの後方に設けられた第1ダクト空間D1に配置され、圧縮器31から供給される冷媒を用いて第1ダクト空間D1を流れる空気を冷却する。
【0019】
冷蔵用ファン33は、冷蔵用冷却器32により冷却された空気(冷気)を、冷蔵温度帯室(冷蔵室11A、チルド室11Aa、および野菜室11B)と第1ダクト空間D1とで循環させる。これにより、冷蔵室11A、チルド室11Aa、および野菜室11Bが冷却される。
【0020】
冷凍用冷却器34は、主冷凍室11Eの後方に設けられた第2ダクト空間D2に配置され、圧縮器31から供給される冷媒を用いて第2ダクト空間D2を流れる空気を冷却する。
【0021】
冷凍用ファン35は、冷凍用冷却器34により冷却された空気(冷気)を、冷凍温度帯室(製氷室11C、小冷凍室11D、および主冷凍室11E)と第2ダクト空間D2とで循環させる。これにより、製氷室11C、小冷凍室11D、および主冷凍室11Eが冷却される。
【0022】
なお、本明細書でいう「冷却ユニット」とは、上記構成に限定されず、除霜用のヒータや、結露防止用のヒータなどの加熱装置も含み得る。
【0023】
図1に戻り、残りの構成について説明する。
(扉開放装置)
扉開放装置41は、冷蔵室扉20Aa,20Abを自動で開放させる装置である。例えば、扉開放装置41は、第1扉開放装置41Aと、第2扉開放装置41Bとを有する。
【0024】
第1扉開放装置41Aは、筐体10の最上位に位置する左右一対の扉のうち、左側冷蔵室扉20Aaの後方に配置されている。第1扉開放装置41Aは、電磁石が励磁されることで前方に押し出されるプランジャ41P(図2及び図3参照)を有する。第1扉開放装置41Aは、後述する第1電源基板70の制御部73(図5参照)によって制御され、プランジャ41Pを前方に押し出すことで左側冷蔵室扉20Aaを強制的に開く。
【0025】
第2扉開放装置41Bは、筐体10の最上位に位置する左右一対の扉のうち、右側冷蔵室扉20Abの後方に配置されている。第2扉開放装置41Bは、電磁石が励磁されることで前方に押し出されるプランジャ41P(図1及び図4参照)を有する。第2扉開放装置41Bは、第1電源基板70の制御部73によって制御され、プランジャ41Pを前方に押し出すことで右側冷蔵室扉20Abを強制的に開く。
ただし、扉開放装置41の方式は、上記例に限定されない。
【0026】
(操作部)
操作部42は、扉開放装置41を動作させるユーザの操作を受け付ける。
例えば、操作部42は、第1扉開放装置41Aを動作させるユーザの操作を受け付ける第1操作部42Aと、第2扉開放装置41Bを動作させるユーザの操作を受け付ける第2操作部42Bとを有する。
【0027】
第1操作部42Aは、左側冷蔵室扉20Aaに設けられ、左側冷蔵室扉20Aaの表面に触れるユーザのタッチ操作を検出可能なセンサを有する。第1操作部42Aがユーザの操作を受け付けた場合、第1電源基板70の制御部73は、第1扉開放装置41Aを動作させる。
【0028】
第2操作部42Bは、右側冷蔵室扉20Abに設けられ、右側冷蔵室扉20Abの表面に触れるユーザのタッチ操作を検出可能なセンサを有する。第2操作部42Bがユーザの操作を受け付けた場合、第1電源基板70の制御部73は、第2扉開放装置41Bを動作させる。
【0029】
第1操作部42Aまたは第2操作部42Bに設けられるセンサは、例えば、静電容量の変化を検出することで、扉20の表面に触れるユーザのタッチ操作を検出する。ただし、第1操作部42Aまたは第2操作部42Bに設けられるセンサは、扉20の表面に手を近付けるだけのユーザの操作を検出可能なセンサでもよい。
【0030】
(庫内カメラ)
庫内カメラ53は、冷蔵室11A、チルド室11Aa,野菜室11B、小冷凍室11D,主冷凍室11Eのうち1つ以上である貯蔵室11に設けられている(図2及び図3参照)。庫内カメラ53は、カメラ本体53aと、カメラ制御部53bとを有する。
カメラ本体53aは、貯蔵室11に収容された貯蔵物(食材)の画像を撮影する。
カメラ制御部53bは、カメラ本体53aを制御する。例えば、カメラ制御部53bは、所定の周期でカメラ本体53aを動作させ、貯蔵室11内の様子を撮影させる。カメラ制御部53bは、カメラ本体53aにおいて撮影した画像データを制御部73に送信する。
【0031】
(外部接続端子)
外部接続端子54は、図1に示すように、例えば右側冷蔵室扉20Abに設けられている。外部接続端子54は、例えば、USB(Universal Serial Bus)の規格に準拠した雌型コネクタである。冷蔵庫1のユーザは、外部接続端子54に充電ケーブルを接続することで、端末装置TDまたは別の装置を充電することができる。
【0032】
ここで、端末装置TDは、冷蔵庫1のユーザが所有する端末装置であり、スマートフォンまたはタブレット端末などである。
端末装置TDは、外部のネットワークNWを介してサーバ装置SDと通信可能である。端末装置TDでは、所定のアプリケーションプログラム(例えば、冷蔵庫1の遠隔操作用のプログラム)が事前にインストールされており、このプログラムが端末装置に搭載されたプロセッサにより実行されることで、所定の機能が実現される。例えば、端末装置TDは、冷蔵庫1に関する所定の情報(状態履歴情報I1、故障時用情報I2、在庫情報I3など)を受信した場合、受信した上記所定の情報(状態履歴情報I1、故障時用情報I2、在庫情報I3など)をサーバ装置SDに転送する。
【0033】
(有線無線通信モジュール)
有線無線通信モジュール61は、図1に示すように、冷蔵庫1と同じ住居に設置されたルータRと、無線または有線で通信可能である。有線無線通信モジュール61は、ルータR、不図示のモデム、およびインターネットなどの外部のネットワークNWを介して、外部のサーバ装置SD(例えばクラウドサーバ)と通信可能である。有線無線通信モジュール61は、冷蔵庫1の状態を示す情報をサーバ装置SDに送信する。また、有線無線通信モジュール61は、冷蔵庫1に対する遠隔操作の制御信号をサーバ装置SDから受信する。有線無線通信モジュール61は、後述するスピーカユニット52に接続され、例えば筐体10の天井部(上壁10a)に設けられている。
【0034】
(ディスプレイユニット)
ディスプレイユニット51は、情報を表示するものであって、図1に示すように、例えば、表示制御基板(第2制御基板)51A及び表示装置51Bを有する。
表示装置51Bは、表示パネル51a及びタッチセンサ51bを有する。表示装置51Bは、例えば、右側冷蔵室扉20Abに設けられている。
【0035】
表示パネル51aは、有機EL(Organic Electro Luminescence)ディスプレイ、マイクロLED(Light Emitting Diode)ディスプレイ、または、液晶ディスプレイなどである。表示パネル51aは、画像や映像が表示される表示画面51aaを有する。
【0036】
表示画面51aaには、例えば、レシピや調理手順、食材管理(冷蔵庫の在庫管理)、冷蔵庫1の設定状態(例えば設定温度)、音楽(例えばライブ映像)、または天気予報などに関する画像または映像が表示される。
【0037】
タッチセンサ51bは、表示画面51aaに重ねて設けられている。タッチセンサ51bは、例えば静電容量式のセンサであり、表示画面51aaに対するユーザの入力操作を受け付け可能である。
【0038】
表示制御基板51Aは、筐体10の天井部(上壁10a)に設けられている。表示制御基板51Aは、タッチセンサ51bからの情報に基づいて表示パネル51aを制御する。例えば、表示制御基板51Aは、タッチセンサ51bに対するユーザの操作に基づき、表示パネル51aの表示画面51aaに表示させる内容を切り替える。
【0039】
(スピーカユニット)
スピーカユニット52は、筐体10から音声を出力するものであって、スピーカ制御基板(第1制御基板)52A、スピーカ(音声出力部)52B、及びマイク52Cを有する。本実施形態のスピーカユニット52は、マイク52Cを搭載した音声対話機能を有するスマートスピーカである。
【0040】
スピーカユニット52は、図1に示すように、例えば、筐体10の上壁10aに配置されている。スピーカユニット52は、同じく上壁10aに設けられた第1電源基板70及び第2電源基板80よりも前方に配置されている。スピーカユニット52のうち、スピーカ制御基板52A及びスピーカ52Bは、例えば、筐体10の上壁10aの前方側における幅方向左側(左側ヒンジ6A側)に配置されている。マイク52Cは、筐体10の上壁10aの前方側における幅方向中央に配置されている。
【0041】
スピーカ制御基板52Aは、スピーカ52Bから出力させる音楽及び/又は音声を制御する。スピーカ制御基板52Aは、第2電源基板80から供給された電力を、スピーカ52B、無線通信モジュール52b及びマイク12に供給する。また、スピーカ制御基板52Aは、任意のタイミングでのスピーカユニット52に対するユーザの発話(音声操作)に基づいて制御部52eを制御し、スピーカ制御基板52Aの記憶部52dに記憶されている所定の情報(故障時用情報I2及び/又は在庫情報I3など)をスピーカ52Bから音声で出力可能であってもよい。スピーカ制御基板52Aについては詳しく後述する。
【0042】
(第1電源基板)
第1電源基板70は、外部の商用電源PS(図4及び図5)から電力が供給され、冷蔵庫1の冷却運転に必要な電力を供給する電源基板である。例えば、第1電源基板70は、冷却ユニット30、扉開放装置41、操作部42、有線無線通信モジュール61、ディスプレイユニット51、庫内カメラ53、および外部接続端子54に電力を供給する。第1電源基板70は、図1に示すように、例えば筐体10の上壁10aに設けられている。第1電源基板70については詳しく後述する。
【0043】
(第2電源基板)
第2電源基板80は、ディスプレイユニット51及びスピーカユニット52の主電源として機能する電源基板である。第2電源基板80は、第1電源基板70を通じて外部の商用電源PSから電力が供給され、ディスプレイユニット51及びスピーカユニット52に電力をそれぞれ供給する。本実施形態では、スピーカユニット52を介して、有線無線通信モジュール61に電力が供給される構成となっている。
【0044】
第2電源基板80は、図1に示すように、例えば、筐体10の上壁10aに設けられている。第2電源基板80は、第1電源基板70とは別に設けられ、第1電源基板70とは独立して配置されている。本実施形態では、第2電源基板80は、第1電源基板70よりも後方に配置されている。第2電源基板80については詳しく後述する。
【0045】
[2.第1電源基板、第2電源基板の機能構成]
次に、第1電源基板70、及び第2電源基板80の機能構成について説明する。
【0046】
[2.1 第1電源基板]
図5は、第1実施形態の冷蔵庫の電気的構成の一例について示すブロック図である。
図5に示すように、第1電源基板70には、上述した構成の他に、扉開閉スイッチSWと、温度センサTSとが接続されている。
【0047】
扉開閉スイッチSWは、図1に示した左側冷蔵室扉20Aa及び右側冷蔵室扉20Abの開閉を検出する冷蔵室扉開閉スイッチ、野菜室扉20Bの開閉を検出する野菜室扉開閉スイッチ、製氷室扉20Cの開閉を検出する製氷室扉開閉スイッチ、小冷凍室扉20Dの開閉を検出する小冷凍室扉開閉スイッチ、および主冷凍室扉20Eの開閉を検出する主冷凍室扉開閉スイッチを含む。
【0048】
温度センサTSは、冷蔵室11Aの温度を検出する冷蔵室温度センサ、野菜室11Bの温度を検出する野菜室温度センサ、主冷凍室11Eの温度を検出する主冷凍室温度センサ、冷蔵用冷却器32の温度を検出する冷蔵用冷却器温度センサ、冷凍用冷却器34の温度を検出する冷凍用冷却器温度センサ、および冷蔵庫1の外部の温度(室温)を検出する周囲温度センサを含む。
【0049】
第1電源基板70は、図2及び図3に示すように、回路基板70aと、回路基板70aに実装された複数の電気部品70b(マイクロコントローラなどの集積回路部品や、スイッチング素子やダイオードなど)を有する。第1電源基板70では、図2及び図3に示す回路基板70aと複数の電気部品70bにより、図5に示す電源回路(電力供給部)71、電流検出部72、制御部73、および記憶部74が実現される。
【0050】
電源回路71は、AC-DCコンバータやスイッチング回路などを含み、冷蔵庫1の主機能に関連する部品(例えば、貯蔵室11の冷却に関連する部品)に対して電力を供給する。本実施形態では、電源回路71は、電源コード7を介して、外部の商用電源PS(例えば交流100V)に接続され、当該商用電源PSから供給された電力を所望の電力(例えば所望の電圧の直流電力)に変換して、変換した電力を電力供給の対象となる各機器に対して電力を供給する。
【0051】
電力供給の対象となる各機器としては、図2及び図3に示す冷却ユニット30(例えば、圧縮器31、冷蔵用ファン33、冷凍用ファン35)、扉開放装置41、及び有線無線通信モジュール61が挙げられる。これにより、冷却ユニット30、扉開放装置41、操作部42、庫内カメラ53、および外部接続端子54が動作可能になる。
【0052】
電流検出部72は、電流検出回路を含み、冷蔵庫1が有する電気部品に流れる電流の電流値を検出する。電気部品は、例えば、圧縮器31、冷蔵用ファン33、冷凍用ファン35、製氷皿モータ、給水モータ、またはヒータなどである。
【0053】
記憶部74には、図5に示すような冷蔵庫1の情報(状態履歴情報I1、故障時用情報I2、在庫情報I3など)、有線無線通信モジュール61を介して外部のサーバ装置SDから取得した所定の情報(画像又は映信号、音声又は音楽データ)などが記憶される。
【0054】
「状態履歴情報I1」としては、扉開閉スイッチSWの検出結果、温度センサSTの検出結果、電流検出部72の検出結果、有線無線通信モジュール61を介して受信した遠隔操作の制御信号、及び冷蔵庫1の運転制御モードの履歴など、を示す情報が含まれる。
【0055】
「故障時用情報I2」としては、冷蔵庫1の故障時の対応マニュアルである故障時用情報I2が含まれる。故障時用情報I2は、故障が疑われた場合の確認内容、異常発生個所の特定方法、または製造メーカのサポートセンター(サービスセンター)の連絡先などを含む情報である。
【0056】
「在庫情報I3」としては、少なくとも、冷蔵庫1内に貯蔵されている食材・食品の在庫情報が含まれる。在庫情報I3には、例えば、ディスプレイユニット51のタッチセンサ51bを通じて入力された情報及び/又は庫内カメラ53の画像に基づいて制御部73により在庫と判定された情報や、冷蔵庫1に貯蔵された各食材の在庫量、購入日、消費期限又は賞味期限などの情報も含まれる。
【0057】
制御部73は、冷蔵庫1の主制御部を構成する。
制御部73は、操作部42の検出結果、扉開閉スイッチSWの検出結果、温度センサSTの検出結果、電流検出部72の検出結果、有線無線通信モジュール61を介して受信した遠隔操作の制御信号、及び予め設定された制御アルゴリズムなどに基づき、冷却ユニット30(例えば、圧縮器31、冷蔵用ファン33、冷凍用ファン35)、及び扉開放装置41を制御する。
【0058】
例えば、制御部73は、扉開閉スイッチSWの検出結果の履歴から、冷蔵庫1における複数の扉20の開閉状態を判断する。また、制御部73は、温度センサTSの検出結果の履歴から、複数の貯蔵室11の各温調ダイヤル設定状態を判断する。ここで、冷蔵庫1の運転制御モードとしては、自動扉のオン/オフ、製氷のオン/オフ、解凍モード、氷結晶チルド、自動節電、ECOなどが挙げられる。さらに、制御部73は、電流検出部72の検出結果の履歴から、電気部品に流れる電流の電流値を検出して動作状態を判断する。加えて、制御部73は、上記した冷蔵庫1の運転制御モードの履歴から、現状の設定モードに応じた処理を判断する。
【0059】
制御部73は、庫内カメラ53から取得した画像及び/又は映像信号に基づいて、記憶部74に記憶された在庫情報I3を随時更新することが可能である。
【0060】
また、制御部73は、不図示の伝送手段を介して、スピーカユニット52及びディスプレイユニット51と通信可能であり、記憶部74に記憶された状態履歴情報I1、故障時用情報I2、及び在庫情報I3に基づいて、スピーカユニット52及び/又はディスプレイユニット51の制御が可能である。例えば、制御部73は、記憶部74に記憶された状態履歴情報I1、故障時用情報I2及び在庫情報I3を、スピーカユニット52及び/又はディスプレイユニット51に送信する。
【0061】
第1電源基板70と、スピーカユニット52及びディスプレイユニット51それぞれとの通信方式としては、UART(Universal Asynchronous Receiver-Transceiver:非同期シリアル通信用送受信回路)等の通信インターフェースを使う方法がある。
【0062】
これにより、第1電源基板70の制御部73が、記憶部74に格納されている所定の情報(状態履歴情報I1、故障時用情報I2、在庫情報I3など)を、UART通信により、スピーカ制御基板52A及び/又は表示制御基板51Aに送信する。
【0063】
本実施形態では、スピーカユニット52に有線無線通信モジュール61が接続されている。このため、第1電源基板70の制御部73は、スピーカユニット52の制御部52eを介して有線無線通信モジュール61の制御が可能である。例えば、制御部73は、外部の端末装置TDに対して、記憶部74に記憶されている所定の情報(状態履歴情報I1、故障時用情報I2、在庫情報I3など)の信号を、有線無線通信モジュール61を介して送信する。これにより、ユーザは、冷蔵庫1における必要な情報を外出先でも知ることができる。
【0064】
なお、スピーカユニット52に有線無線通信モジュール61が接続されている構成に限られず、例えば、第1電源基板70に有線無線通信モジュール61が直接接続されていてもよい。
【0065】
制御部73は、例えば、外部のサーバ装置SDに対して、ディスプレイユニット51において表示する画像又は映像を要求する信号を、有線無線通信モジュール61を介して送信する。また、制御部73は、例えば、ディスプレイユニット51において表示する画像及び/又は映像データを、有線無線通信モジュール61を介して外部のサーバ装置SDから取得する。制御部73は、取得した画像及び/又は映像データをディスプレイユニット51に送信する。
【0066】
制御部73は、例えば、外部のサーバ装置SDに対して、スピーカユニット52において発信する音声及び/又は音楽データを要求する信号を、有線無線通信モジュール61を介して送信する。また、制御部73は、例えば、スピーカユニット52において表示する音声及び/又は音楽データを、有線無線通信モジュール61を介して外部のサーバ装置SDから取得する。第1電源基板70の制御部73は、取得した音声及び/又は音楽データをスピーカユニット52に送信する。
【0067】
[2.2 第2電源基板]
第2電源基板80は、図2に示す回路基板80aと、回路基板80aに実装された複数の電気部品80b(マイクロコントローラなどの集積回路部品や、スイッチング素子やトランス、ダイオードなど)とを有する。第2電源基板80では、図2に示した回路基板80a及び複数の電気部品80bにより、電源回路81、電流検出部82及び電源制御部83が実現される。
【0068】
電源回路81は、AC-DCコンバータやスイッチング回路などを含み、冷蔵庫1に設けられたスピーカユニット52及びディスプレイユニット51に対して電力を供給する。本実施形態において、電源回路81は、電源ケーブル8を介して第1電源基板70と接続され、外部の商用電源PS(例えば、交流100V)から第1電源基板70を通じて供給された電力を所望の電力(例えば所望の電圧の直流電力)に変換し、変換した電力を、電源ケーブル13を介してスピーカユニット52及びディスプレイユニット51に供給する。これにより、スピーカユニット52及びディスプレイユニット51が動作可能になる。
【0069】
電流検出部82は、電流検出回路を含み、スピーカユニット52及びディスプレイユニット51に流れる電流の電流値を検出する。電流検出部82は、スピーカユニット52及びディスプレイユニット51の状態を検出する。
【0070】
電源制御部83は、スピーカユニット52及びディスプレイユニット51に異常が生じた場合に、スピーカユニット52及びディスプレイユニット51への電力の供給を少なくとも一時的に停止させる。例えば、電源制御部83は、スピーカユニット52及びディスプレイユニット51からエラー信号を受信した場合に、スピーカユニット52及びディスプレイユニット51に異常が生じたと判定し、第2電源基板80からスピーカユニット52及びディスプレイユニット51への電力の供給を一時的に停止させる。
【0071】
電源制御部83は、電流検出部82により検出される電流値(または電圧値や温度値など)を監視し、スピーカユニット52及びディスプレイユニット51に流れる電流の電流値(または電圧値や温度値など)が、スピーカユニット52及びディスプレイユニット51に対して予め設定された閾値を超えた場合、スピーカユニット52及びディスプレイユニット51に異常が生じたと判定し、スピーカユニット52及びディスプレイユニット51への電力の供給を少なくとも一時的に停止させる。
【0072】
[3.スピーカ制御基板、表示制御基板の機能構成]
次に、スピーカ制御基板52A、表示制御基板51Aの機能構成について主に図5を参照して説明する。
【0073】
[3.1 スピーカユニット制御基板の機能構成]
スピーカ制御基板52Aは、図2に示す回路基板90aと、回路基板90aに実装された複数の電気部品90bとを有する。図2に示した回路基板90aと複数の電気部品90bとにより、図5に示す制御部52e及び記憶部52dが実現される。
【0074】
制御部52eは、スピーカ52B、マイク52C及び有線無線通信モジュール61を制御する。制御部52eは、第2電源基板80から供給された電力を、スピーカ52B、マイク52C及び有線無線通信モジュール61に供給する。これにより、スピーカ52B、マイク52C及び有線無線通信モジュール61が動作可能になる。
【0075】
本実施形態におけるスピーカユニット52は、第1電源基板70と通信可能である。スピーカユニット52と第1電源基板70との通信方式としては、UART(Universal Asynchronous Receiver-Transceiver:非同期シリアル通信用送受信回路)等の通信インターフェースを使う方法がある。
【0076】
これにより、スピーカユニット52は、第1電源基板70の記憶部74に格納されている冷蔵庫1に関する所定の情報(状態履歴情報I1、故障時用情報I2、在庫情報I3など)を、UART通信により取得可能となる。制御部52eは、第1電源基板70から取得した情報を記憶部52dに格納する。記憶部52dには、冷蔵庫1に関する所定の情報(状態履歴情報I1、故障時用情報I2、在庫情報I3など)に対応した音声及び/又は音楽データが予め記憶されている。
【0077】
制御部52eは、例えば、第1電源基板70から取得した冷蔵庫1における所定の情報(状態履歴情報I1、故障時用情報I2、在庫情報I3など)に対応した音声及び/又は音楽データを再生し、再生した音声及び/又は音楽をスピーカ52Bから冷蔵庫1の外部へ出力する。
【0078】
スピーカ52Bからは、例えば、「扉が開いています」、「冷蔵室を強モードに変更しました」、「一気製氷モードに設定しました」などの音声が通知される。これにより、冷蔵庫1の周囲にいるユーザは、冷蔵庫1の表示画面51aaを見なくても、冷蔵庫1における必要な情報を耳にし、知り得ることができる。
【0079】
また、制御部52eは、例えば、マイク52Cを通じて入力されたユーザからの発話に基づいて、所定の処理を実行することが可能である。例えば、制御部52eは、マイク52Cを通じて入力された情報を記憶部52dに格納する。記憶部52dには、ユーザからの発話などに対応した音声及び/又は音楽データが予め記憶されている。制御部52eは、例えば、マイク52Cを通じて取得したユーザからの発話内容に対応した音声及び/又は音楽を、スピーカ52Bを通じてユーザへ向けて出力する。これにより、ユーザは冷蔵庫1との対話が可能になる。
【0080】
また、制御部52eは、例えば、記憶部52dに記憶されている冷蔵庫1の所定の情報(状態履歴情報I1、故障時用情報I2、在庫情報I3など)に基づく音声及び/又は音楽データを、有線無線通信モジュール61を通じて端末装置TD(図1)へと送信する。これにより、ユーザは、冷蔵庫1における必要な情報を手元の端末装置TDにおいて確認することができる。
【0081】
また、制御部52eは、有線無線通信モジュール61を通じて端末装置TDから受信した制御信号に基づいて記憶部52dに記憶された音声及び/又は音楽データを再生し、再生した音声及び/又は音楽をスピーカ52Bから冷蔵庫1の外部へ出力する。これにより、冷蔵庫1における必要な情報をユーザへ通知するだけでなく、ユーザが選択した音声及び/又は音楽を、所望のタイミングでユーザへ通知・提供することが可能である。
【0082】
[3.2 表示制御基板の機能構成]
表示制御基板51Aは、図3に示す回路基板91aと、回路基板91aに実装された複数の電気部品91bとを有する。図2に示した回路基板91aと複数の電気部品91bとにより、制御部51e及び記憶部51dが実現される。
【0083】
制御部51eは、表示装置51Bを制御する。制御部51eは、第2電源基板80から供給された電力を表示装置51Bに供給する。これにより、表示装置51Bが動作可能になる。
【0084】
制御部51eは、例えば、上述したスピーカ制御基板52Aにおける制御部52eが有線無線通信モジュール61を介して外部のサーバ装置SDから取得した画像または映像信号に基づいて、ディスプレイユニット51に表示する。
【0085】
本実施形態におけるディスプレイユニット51は、第1電源基板70と通信可能である。ディスプレイユニット51と第1電源基板70との通信方式としては、UART(Universal Asynchronous Receiver-Transceiver:非同期シリアル通信用送受信回路)等の通信インターフェースを使う方法がある。
【0086】
これにより、ディスプレイユニット51は、第1電源基板70の記憶部74に格納されている冷蔵庫1に関する所定の情報(状態履歴情報I1、故障時用情報I2、在庫情報I3など)を、UART通信により取得可能となる。制御部51eは、第1電源基板70から取得した情報を記憶部51dに格納する。記憶部51dには、冷蔵庫1に関する所定の情報(状態履歴情報I1、故障時用情報I2、在庫情報I3など)に対応した画像及び/又は映像信号が予め記憶されている。
【0087】
制御部51eは、例えば、第1電源基板70から取得した冷蔵庫1における所定の情報(状態履歴情報I1、故障時用情報I2、在庫情報I3など)に対応した画像及び/又は映像データを表示装置51Bに表示する。表示装置51Bには、例えば、「扉が開いています」、「冷蔵室を強モードに変更しました」、「一気製氷モードに設定しました」などの通知が表示される。これにより、制御部51eは、上記通知が解除されるまで表示することが可能である。ユーザは、冷蔵庫1の表示画面51aaを見るだけで、冷蔵庫1における必要な情報を知り得ることができる。
【0088】
また、制御部51eは、表示装置51Bにおけるタッチセンサ51bに対するユーザの任意のタイミングでの操作に基づいて、記憶部51dに記憶されている、所定の情報(状態履歴情報I1、故障時用情報I2、在庫情報I3など)に対応する画像及び/又は映像信号を表示装置51Bの表示画面51aaに表示可能であり、表示パネル51aの表示画面51aaに表示させる内容を切り替えることができる。これにより、ユーザは知りたい情報を表示パネル51aを通じて知ることができる。
【0089】
なお、ディスプレイユニット51においては、例えば、マイク52Cを通じて入力されたユーザからの発話に基づいて、制御部51eが所定の表示を実行できるような機能を有していてもよい。
【0090】
[4.電源基板収容部、機能性ユニット収容部の構造]
次に、電源基板収容部、機能性ユニット収容部の構造について、主に図4を参照して説明する。
【0091】
[4.1 電源基板収容部]
本実施形態において、上述した第1電源基板70、および第2電源基板80は、図4に示すように、筐体10の天井部分に埋め込まれるようにして設置された電源基板収容部2内に収容される。電源基板収容部2は、筐体10の上壁10aのうち、冷蔵庫1の背面寄り(後壁10e側)に配置されている。
【0092】
電源基板収容部2は、上側が開口した矩形の容器形状をなし、第1電源基板70、および第2電源基板80を同一空間内に収容可能な大きさを有する。電源基板収容部2は、電源基板収容部用カバー部材2Aによって開口側が閉塞される。電源基板収容部用カバー部材2Aは、電源基板収容部2の開口側に着脱可能に設けられる。
【0093】
外部の商用電源PSと第1電源基板70とを接続する電源コード7と、第1電源基板70と第2電源基板80とを接続する電源ケーブル8とは、電源基板収容部2の内外において、冷蔵庫1の幅方向一方側(右側)に引き廻されている。
【0094】
第2電源基板80は、各電源ケーブル13及び各信号線14を介して、スピーカユニット52及びディスプレイユニット51とそれぞれ接続されている。第2電源基板80とディスプレイユニット51とを接続する電源ケーブル13及び信号線14は、電源基板収容部2の外側に引き出されて、例えば、冷蔵庫1の幅方向他方側(左側)に引き廻されている。また、第2電源基板80とスピーカユニット52とを接続する電源ケーブル13及び信号線14も、電源基板収容部2の外側に引き出されて、例えば、冷蔵庫1の幅方向他方側(左側)に引き廻されている。
【0095】
[4.2 機能性ユニット収容部]
上述したスピーカユニット52及びディスプレイユニット51は、筐体10の上壁10a上に設置された機能性ユニット収容部3内に収容される。機能性ユニット収容部3は、筐体10の上壁10aのうち、電源基板収容部2よりも冷蔵庫1の正面側(扉20側)に配置されている。
【0096】
機能性ユニット収容部3は、上壁10aの前端に沿って幅方向に長さを有し、冷蔵庫1(筐体10)の幅と同程度の幅寸法で形成されている。機能性ユニット収容部3は、上壁3dと、上壁3dの周縁から下方へ延びる4つの側壁3cと、上壁3dから下方へ凹む一対の第1収容凹部3A及び第2収容凹部3Bを有する。これら第1収容凹部3Aおよび第2収容凹部3Bは、上壁3d側に開口した平面視矩形の凹部形状をなす。第1収容凹部3Aおよび第2収容凹部3Bの平面視形状は矩形に限らない。第1収容凹部3Aの開口側はカバー部材3aによって閉塞され、第2収容凹部3Bの開口側はカバー部材3bによって閉塞される。
【0097】
第1収容凹部3Aは、上述のディスプレイユニット51を収容可能とする。第1収容凹部3Aは、冷蔵庫1の幅方向(機能性ユニット収容部3の長さ方向)一方側の右側冷蔵室扉20Ab(図1)寄りに形成される。
【0098】
第1収容凹部3Aには、ディスプレイユニット51のうち、表示制御基板51Aが収容される。表示制御基板51Aが収容された空間は、第1収容凹部3Aの開口側に配置されるカバー部材3aによって閉塞される。
【0099】
第2収容凹部3Bは、上述のスピーカユニット52及び有線無線通信モジュール61を収容可能とする。第2収容凹部3Bは、冷蔵庫1の幅方向(機能性ユニット収容部3の長さ方向)他方側の左側冷蔵室扉20Aa(図1)寄りに形成される。
【0100】
第2収容凹部3Bには、スピーカユニット52のうちの、スピーカ制御基板52A及びスピーカ52Bが収容されるとともに、有線無線通信モジュール61が収容される。スピーカ制御基板52A、スピーカ52B及び有線無線通信モジュール61が収容された空間は、第2収容凹部3Bの開口側に配置されるカバー部材3bによって閉塞される。
【0101】
本実施形態においては、ディスプレイユニット51と、スピーカユニット52及び有線無線通信モジュール61とが、冷蔵庫1の幅方向両側に離れて配置されている。特に、ディスプレイユニット51と有線無線通信モジュール61とを互いに離して配置することによって、互いの通信が干渉してノイズ等の影響が生じるのを抑制することができる。
【0102】
本実施形態の機能性ユニット収容部3は、第2収容凹部3Bに収容されたスピーカ52Bから出力された音声及び/又は音楽を、外部へ放音させるための放音孔群4を有する。放音孔群4は、複数の放音孔4aからなる。放音孔群4は、機能性ユニット収容部3の前壁3c1のうち、幅方向左側であって第2収容凹部3Bと対向する位置に形成される。各放音孔4aは、前壁3c1と第2収容凹部3Bの内壁に開口し、第2収容凹部3Bと外部空間とを連通させる。これにより、第1収容凹部3A内に収容されたスピーカ52Bから出力された音声及び/又は音楽を、放音孔群4を通じて外部(冷蔵庫1の正面側)へ放音させることができる。本実施形態では、スピーカ52Bが冷蔵庫1の上壁10aの内の前方側に配置されていることから、冷蔵庫1の正面側へ効率よく放音させることができる。
【0103】
スピーカユニット52のうち、第2収容凹部3Bに収容されないマイク52Cは、機能性ユニット収容部3のうち、第1収容凹部3A及び第2収容凹部3Bを除いた位置の内部空間Kに収容される。マイク52Cは、冷蔵庫1の幅方向中央であって、機能性ユニット収容部3の前壁3c1寄りに収容される。
【0104】
機能性ユニット収容部3は、ユーザの発話音を集音するための集音孔群5を有する。集音孔群5は、機能性ユニット収容部3の前壁3c1のうち、幅方向略中央に形成されている。これにより、冷蔵庫1の幅方向のどちら一方側にユーザが居たとしても、ユーザが発した音声を、マイク52Cを介して認識することが可能である。
【0105】
本実施形態の機能性ユニット収容部3は、幅方向両側に、左側冷蔵室扉20Aaを回転可能に支持する左側ヒンジ(扉回転支持部)6Aと、右側冷蔵室扉20Abを回転可能に支持する右側ヒンジ(扉回転支持部)6Bとをそれぞれ有している。これら左側ヒンジ6Aおよび右側ヒンジ6Bは、前壁3c1の左右両側から冷蔵庫1の前方へとそれぞれ突出して形成されている。
【0106】
左側ヒンジ6Aは、左側冷蔵室扉20Aaの外側端部の上方に位置し、左側冷蔵室扉20Aaの外側端部の下方に設けられたもう一つの左側ヒンジ(不図示)とともに、左側冷蔵室扉20Aaを回転可能に支持する。
右側ヒンジ6Bは、右側冷蔵室扉20Abの外側端部の上方に位置し、右側冷蔵室扉20Abの外側端部の下方に設けられたもう一つの右側ヒンジ(不図示)とともに、右側冷蔵室扉20Abを回転可能に支持する。
【0107】
本実施形態の機能性ユニット収容部3は、扉開放装置41を収容する機能をさらに有する。扉開放装置41は、機能性ユニット収容部3のうち、第1収容凹部3A、および第2収容凹部3Bを除いた位置の内部空間K内に収容され、上記マイク52Cの幅方向両側に位置されている。機能性ユニット収容部3の前壁3c1には、第1扉開放装置41A、および第2扉開放装置41Bの各プランジャ41Pを挿通させるための一対の挿通孔(不図示)が形成されている。
【0108】
このように、本実施形態の機能性ユニット収容部3は、ディスプレイユニット51の表示制御基板51A、スピーカユニット52、有線無線通信モジュール61及び扉開放装置41を同時に収容可能とされ、従来それぞれを個別に収容していた複数の収容部を一体化した構成をなす。本実施形態においては、左右の冷蔵室扉20Aa,20Abを回転可能に支持する左右のヒンジ6A,6Bをさらに有し、これらも一体化したことにより、冷蔵庫1の天井部(上壁10a)に設置する収容部の数を減らすことができるため、取付作業が容易になるとともに冷蔵庫1全体で統一感を出すことができる。
【0109】
本実施形態の機能性ユニット収容部3の高さは、図2及び図3に示すように、電源基板収容部2の高さを超えない寸法であることが好ましい。つまり、電源基板収容部用カバー部材2Aと、スピーカユニット収容部用のカバー部材3a,3bが同じ高さであることが好ましい。これにより、冷蔵庫1の高さ寸法を大きく変えることなく、冷蔵庫1の天井部に、ディスプレイユニット51の一部(表示制御基板51A)、スピーカユニット52を設置することができる。スピーカ52B及びマイク52Cは薄型であるが、屋内に設置された冷蔵庫1の周囲に居るユーザへ音を通知、もしくはユーザからの発話を認識するには十分な性能を有する。
【0110】
上述した電源基板収容部2、電源基板収容部用カバー部材2A、機能性ユニット収容部3、およびカバー部材3a、3bは、例えば、金属の板材や難燃性樹脂のように防水性、および難燃性を有する材料で構成されている。したがって、電源基板収容部2の内部空間は、水漏れや延焼が防止される領域となっている。このため、仮に、電源基板収容部2内に水が流入したとしても、その水が筐体10の内部に漏れ出ることが抑制される。また、仮に電源基板収容部2内で発火等が生じたとしても、その火が筐体10に延焼することが抑制される。
【0111】
なお、少なくとも、電源基板収容部2及び電源基板収容部用カバー部材2Aは、金属製や難燃性を有していることが好ましい。これにより、電源基板収容部2内に収容された第1電源基板70及び第2電源基板80の放熱性を高めることができるとともに、第1電源基板70及び第2電源基板80が他の機器にノイズの影響を与えてしまうのを防ぐことが可能である。
【0112】
以上説明した本実施形態の冷蔵庫1は、冷却ユニット30に主に電力を供給する第1電源基板70とは別に、ディスプレイユニット51及びスピーカユニット52に電力を供給する第2電源基板80を備えている。
このような構成によれば、主機能の機器に電力を供給する第1電源基板70と、副機能の機器に電力を供給する第2電源基板80とを独立に設けることで、ディスプレイユニット51及びスピーカユニット52を駆動するのに十分な電力を供給することが可能である。
【0113】
また、表示制御基板51Aやスピーカ制御基板52Aに故障が生じた場合でも、第1電源基板70の機能を維持することができる。そのため、例えば、表示制御基板51A及びスピーカ制御基板52Aに故障が生じた場合でも、冷蔵庫1の冷却機能を維持することができる。
【0114】
なお、有線無線通信モジュール61を第1電源基板70に接続した構成とすることで、有線無線通信モジュール61を通じて、第1電源基板70の記憶部74に記憶された情報(冷蔵庫1の故障時用情報I2や、在庫情報I3など)を、外部の端末装置TDの画面などにおいてユーザが知ることができる。あるいは、ユーザは、端末装置TDを操作することで、第1電源基板70の記憶部74に記憶されている所定の情報を確認することができる。
【0115】
また、表示制御基板51A/スピーカ制御基板52Aが故障した場合には、故障した表示制御基板51A/スピーカ制御基板52Aを交換するだけで済むため、手間とコストを削減できる。これにより、ユーザの利便性の向上を図ることができる。
【0116】
本発明の一実施形態を説明したが、上記実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。上記実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。上記実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【0117】
例えば、スピーカユニット52及び有線無線通信モジュール61は、左側ヒンジ6Aに配置されていてもよい。また、表示制御基板51Aは、右側ヒンジ6Bに配置されていてもよい。
【0118】
また、上記実施形態では、第2電源基板80からディスプレイユニット51へ電力を供給する電源ケーブル13及び信号線14は、同じ領域に引き廻されているが、これらを互いに離れた領域に引き廻すようにしてもよい。同じく、第2電源基板80からスピーカユニット52へ電力を供給する電源ケーブル13及び信号線14においても、同じ領域に引き廻すのではなく、これらを互いに離れた領域に引き廻すようにしてもよい。これにより、各信号線14に対するノイズの影響を少なくすることができる。
【符号の説明】
【0119】
1…冷蔵庫、6A…左側ヒンジ(扉回転支持部)、6B…右側ヒンジ(扉回転支持部)、3d,10a…上壁(天井部)、10…筐体、11…貯蔵室、30…冷却ユニット(冷却機構)、51…ディスプレイユニット(表示機構)、51A…表示制御基板(第2制御基板)、51B…表示装置、52…スピーカユニット(音声出力機構)、52A…スピーカ制御基板(第1制御基板)、52B…スピーカ(音声出力部)、61…有線無線通信モジュール(通信モジュール)、70…第1電源基板、80…第2電源基板、NW…ネットワーク、SD…サーバ装置
図1
図2
図3
図4
図5