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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-18
(45)【発行日】2024-12-26
(54)【発明の名称】美容器具
(51)【国際特許分類】
   A61H 7/00 20060101AFI20241219BHJP
【FI】
A61H7/00 300G
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021080457
(22)【出願日】2021-05-11
(65)【公開番号】P2022174573
(43)【公開日】2022-11-24
【審査請求日】2024-03-07
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000001959
【氏名又は名称】株式会社 資生堂
(74)【代理人】
【識別番号】110004381
【氏名又は名称】弁理士法人ITOH
(72)【発明者】
【氏名】李 駿騁
(72)【発明者】
【氏名】青木 基治
(72)【発明者】
【氏名】上和野 大輔
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼田 素樹
【審査官】山田 裕介
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-073500(JP,A)
【文献】特開2001-132605(JP,A)
【文献】特開昭60-249957(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61H 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動源により駆動される環状のカム溝を有する円盤状カムと、
前記カム溝に係合する複数のカムフォロアと、
前記カムフォロアの移動に基づき肌面に対して平行、且つ前記肌面上で任意の点を中心に放射方向に往復移動する複数の接触子と、を有し、
前記各接触子における肌に接触する面は、平面であり、同一平面上に配置され、同一平面内で移動可能であり、
前記各接触子における肌に接触する面の平面視形状は、0.1mm~7.0mmの直径を有する円形である、美容器具。
【請求項2】
前記環状のカム溝は、半径方向に振幅する波形状である、請求項1に記載の美容器具。
【請求項3】
前記環状のカム溝は、複数本形成され、複数の前記環状のカム溝のそれぞれに対応する前記複数のカムフォロアを有する、請求項1又は2に記載の美容器具。
【請求項4】
前記複数の接触子は、前記円盤状カムの中心を挟んで対に配置され、少なくとも1対の前記接触子を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の美容器具。
【請求項5】
前記複数の接触子それぞれに着脱可能な複数のアタッチメントを有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の美容器具。
【請求項6】
駆動源により駆動される第1回転軸と、
前記第1回転軸に接続された第1伝動歯車と、
前記第1伝動歯車と噛合し、前記第1回転軸と交差する第2回転軸に接続された第2伝動歯車と、を有し、
前記円盤状カムは、前記第2回転軸の駆動に基づいて回転する、請求項1~5のいずれか一項に記載の美容器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、美容器具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、肌に対して、マッサージを行う種々の美容器具が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1に、突起を頭皮に押し当てて、頭皮を指先で行うようにマッサージする電動式ブラシ装置が開示されている。特許文献1に開示の電動式ブラシ装置は、ブラシを上下動させる駆動部と、この駆動部によって動作するブラシ部とを有し、このブラシ部が、可撓性を有する材質から成る基板と、この基板の表面に突出して設けられた複数の突起とで構成されている。ブラシ部が上下動して、ブラシ部の基板が、下に撓んだ湾曲凸状態と上に撓んだ湾曲凹状態との間で変形を繰り返すことで、突起が肌に刺激を与えマッサージを行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2011-198号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示された構成において、頭皮をマッサージする際、使用者は、装置本体を把持し、突起の先端部を頭皮に押し当てて手で保持する。この構成によると、ブラシ部が上下動するために、ブラシ部の突起の先端部を押し付けて肌から離脱しないようにする必要がある。また、使用者の押し当てる力(荷重)の方向や大きさによって、頭皮と突起との密着度合が変わったり、突起が頭皮から離脱してしまい、安定したマッサージ効果が得られない場合が生じる。
【0006】
上記の点に鑑みて、本発明の一態様は、肌に接触する接触子が肌から離脱することなく、安定して肌を伸展することができる美容器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る美容器具は、駆動源により駆動される環状のカム溝を有する円盤状カムと、前記カム溝に係合する複数のカムフォロアと、前記カムフォロアの移動に基づき肌面に対して平行、且つ前記肌面上で任意の点を中心に放射方向に往復移動する複数の接触子と、を有し、前記各接触子における肌に接触する面は、平面であり、同一平面上に配置され、同一平面内で移動可能であり、前記各接触子における肌に接触する面の平面視形状は、0.1mm~7.0mmの直径を有する円形である。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様に係る美容器具は、肌に接触する接触子が肌から離脱することなく、安定して肌を伸展することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第一実施形態による美容器具の平面図である。
図2図1のI-I断面図である。
図3図1のII-II部分断面図である。
図4】第一実施形態による美容器具の底面図である。
図5】第一実施形態による美容器具の正面図である。
図6】第二実施形態による美容器具の平面図である。
図7図6のIII-III断面図である。
図8】第二実施形態による美容器具の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下の説明において、理解を容易にするため、図における各部材の縮尺は実際とは異なる場合がある。
【0011】
なお、本明細書では、3軸方向(X軸方向、Y軸方向、Z軸方向)の3次元直交座標系を用いて説明する場合がある。その場合は、駆動源5の第1回転軸50の軸線に平行な方向をZ軸方向とし、前記軸線に直交する面において、互いに直交する2つの方向のうち一方をX軸方向とし、他方をY軸方向とする。
【0012】
<第一実施形態>
本発明の一実施形態による美容器具について説明する。図1は、第一実施形態による美容器具1の平面図であり、図2は、図1のI-I断面図であり、図3は、図1のII-II部分断面図である。図4は、第一実施形態による美容器具1の底面図である。図5は、第一実施形態による美容器具1の正面図である。
【0013】
図1~5に示すように、美容器具1は、駆動源5により駆動されるカム溝21を有する円盤状カム2と、カムフォロア31a、31b、31c、31dと、カムフォロア31a、31b、31c、31dと連動して往復移動する接触子3a、3b、3c、3dとを備えている。
【0014】
図1及び図2に示すように、駆動源5は、基板8の一の面に固定され、円盤状カム2は、基板8の他の面に固定されている。円盤状カム2の大きさは、特に限定されないが、直径20.0mm~25.0mmとすることができる。駆動源5により駆動される第1回転軸50と円盤状カム2の第2回転軸20とは、交差するように配置されている。なお、本実施形態では、第1回転軸50と第2回転軸20が、90度に交差するように配置されている例を示したが、交差の角度は任意の角度とすることができる。また、美容器具1は、少なくとも、駆動源5が固定されている、基板8の一の面側を覆う(図示しない)ケースを備えていてもよい。
【0015】
さらに美容器具1は、第1伝動歯車6と第2伝動歯車7とを備えている。図2及び図4に示すように、第1伝動歯車6は、基板8の一の面側において、駆動源5により駆動される第1回転軸50に接続されている。つまり、第1伝動歯車6の回転軸は、駆動源5の第1回転軸50と同軸である。第2伝動歯車7は、基板8の一の面側において、円盤状カム2の第2回転軸20に接続されている。つまり、第2伝動歯車7の回転軸は、円盤状カム2の第2回転軸20と同軸である。第1伝動歯車6と第2伝動歯車7とは、噛合するように交差して配置されており、駆動源5により駆動される第1回転軸50の駆動が、第1伝動歯車6から第2伝動歯車7に伝わり、第2伝動歯車7の第2回転軸20の駆動に基づいて円盤状カム2が回転する。図2に示す交差する第1伝動歯車6と第2伝動歯車7とは、いわゆるフェース歯車であるが、第1伝動歯車6と第2伝動歯車7を、かさ歯車としても良い。
【0016】
また、本実施の形態では、第1回転軸50と第2回転軸20とは軸が交差(直交)する態様を説明しているが、第1回転軸50と第2回転軸20とは交差せずに平行な軸とし、平歯車で回転を伝達する構成とすることもできる。さらに、例えば、減速機構を備えた駆動源とすることで、第1回転軸50と第2回転軸20とを直結する配置とすることもできる。
【0017】
なお、基板8の他の面に傾斜面が形成されているが、これは肌面などには凹凸があるので、例えば、接触子3a、3b、3c、3dが凹面上に位置する際に基板8の一部が凹面に近接する凸面と接触しそうな場合でも傾斜面により接触を回避することが可能となりうる。
【0018】
円盤状カム2は、第2回転軸20に固着されており、両者が一体的に回転する。円盤状カム2の一の面には、環状のカム溝21が形成されており、カム溝21は、半径方向に振幅する波形状を有している。本実施形態では、波形状の1本のカム溝21を示しているが、カム溝21の形状や本数は、これに限られない。
【0019】
接触子3a、3b、3c、3dは、使用者の肌に接触して施術するための部材である。接触子3a、3b、3c、3dは、図1に示すように、同一平面上に、円盤状カム2の中心(第2回転軸20)を挟んで対に配置されている。これにより、使用者の肌と面で接触することができる。また、図2及び図3に示すように、接触子3a、3b、3c、3dは、カム溝21と係合するカムフォロア31a、31b、31c、31dを有している。本実施形態では、カムフォロア31a、31b、31c、31dは、接触子3a、3b、3c、3dと一体に形成されているが、別体に形成されていてもよい。接触子3a、3b、3c、3dは、円盤状カム2の回転に伴い、第2回転軸20と直交する移動方向L1、L2、L3、L4に往復移動可能、且つ回転不能に支持されている。図1では、L1とL3とはZ軸方向に、L2とL4とはX軸方向に往復移動する場合を示す。
【0020】
この構成により、接触子3a、3b、3c、3dは、使用者の肌面に対して平行、且つ肌面上での任意の点を中心に放射方向(円盤状カム2の半径方向)に往復移動する。なお、接触子は、少なくとも1対(2個)備えていることが好ましく、2対(4個)備えていることがより好ましい。また、複数本形成されたカム溝のそれぞれに対応する複数のカムフォロアを有していてもよい。例えば、肌面との接点を、4個を超える6個あるいは8個に増す場合には、環状のカム溝を二重にして接触子の数を増やすことが好ましい。
【0021】
さらに、接触子3a、3b、3c、3dは、使用者の肌に接触する第1面S1、第2面S2、第3面S3、第4面S4を有している。第1面S1、第2面S2、第3面S3、第4面S4は、使用者の肌面に対し摩擦力が大きい表面を有することが好ましい。第1面S1、第2面S2、第3面S3、第4面S4は、例えば、シリコンゴム、ゲルパッド等の材料により形成することができる。また、粘着剤層を有していてもよい。これにより、施術の際、第1面S1、第2面S2、第3面S3、第4面S4は、使用者の肌に対して平行に往復運動しても、肌に接触した状態を維持することができる。さらに、第1面S1、第2面S2、第3面S3、第4面S4は、可撓性の材料であると好ましい。また、第1面S1、第2面S2、第3面S3、第4面S4上に突起、例えば、半球体状の複数の小突起を設けてもよい。また、本実施形態では、第1面S1、第2面S2、第3面S3、第4面S4は、平面視円形の形状であるが、矩形、長楕円形等、任意の形状とすることができる。また、前述の第1面S1、第2面S2、第3面S3、第4面S4の材料、形状等は、それぞれ異なっていてもよい。さらに、施術する部位、肌の状況等に応じて、肌に接触する面が所望の形状、材質を有する、他の接触子に交換してもよく、これにより、より安定して肌を伸展することができる。
【0022】
第1面S1、第2面S2、第3面S3、第4面S4の大きさは、特に限定されないが、平面視形状が円形の場合、直径1.0mm~7.0mmとすることができ、好ましくは直径1.5mm~5.0mmとすることができる。
【0023】
駆動源5は、第1回転軸50を駆動することで、第1伝動歯車6及び第2伝動歯車7を介して、第2回転軸20に固着された円盤状カム2を回転駆動させる。駆動源5は、例えば、電動モーターであってよい。駆動源5の回転数は、施術する肌面の箇所や状況に応じて任意に設定することができるのが好ましく、例えば、20~60rpmとすることができる。また、駆動源5は、電源供給源、例えば、充電式電池、乾電池あるいは商用電源に接続されている。
【0024】
カバー9は、円盤状カム2を覆う円形の形状を有しており、基板8に嵌合している。カバー9は、接触子3a、3b、3c、3dに対応する位置に、接触子の移動方向L1、L2、L3、L4に沿って細長形状の挿通孔9a、9b、9c、9dが形成されている。図2に示すように、それぞれの挿通孔には、接触子3a、3b、3c、3dが挿通され、挿通孔9a、9b、9c、9d内で移動可能に固定されている。また、図3に示すように、挿通孔9a、9b、9c、9dにより、接触子3a、3b、3c、3dは、円盤状カム2の回転方向Rへの移動が規制されている。図1、3に示すように、カムフォロア31a、31b、31c、31dは、カム溝21の底面(カム溝21のY軸方向の端面)とカバー9とにより保持されている。
【0025】
この構造により、例えばカバー9を外して、接触子3a、3b、3c、3dを交換したり、後述するような円盤状カム2と接触子3a、3b、3c、3dを一緒に交換して、接触子の個数を変更し、異なる伸展パターンとなるように変更することができる。
【0026】
次に、接触子3a、3b、3c、3dの動き(カム溝21の形状)について説明する。
【0027】
カム溝21は、例えば、円盤状カム2に円周に沿った環状であり、円盤状カム2の第1の直径と当該第1の直径と直交する第2の直径上に、円周側に向かって膨出した凸部211、212、213、214が等間隔に4つ設けられた波形状を有している。この形状により、接触子3a、3b、3c、3dを使用者の肌面に対して平行、且つ肌面上で任意の点を中心に4方向(放射方向)に往復移動させることができる。よって、肌に接触する接触子3a、3b、3c、3dが肌から離脱することなく、安定して肌を伸展することができる。また、4方向で放射状に伸縮させることができるので、放射方向に2次元的な伸展と伸展開放(収縮)を繰り返す刺激を肌に与えることができる。
【0028】
なお、本実施形態では、4方向に伸展と収縮を繰り返す場合の例を示したが、例えば、凸部の数や位置を変更することによって、伸展と収縮の方向を選択することができる。
【0029】
接触子3a、3b、3c、3dは、例えば、円盤状カム2の第1の直径上に、第2回転軸20を挟んで接触子3aと3cとが位置し、当該第1の直径と直交する第2の直径上に、接触子3bと3dとが第2回転軸20を挟んで位置するように配置される。各接触子3a、3b、3c、3dのカムフォロア31a、31b、31c、31dも同様の配置で、カム溝21に係合されている。円盤状カム2が回転することにより、カムフォロア31a、31b、31c、31dが移動し、カムフォロア31a、31b、31c、31dの移動に基づき、接触子3a、3b、3c、3dは、それぞれ移動方向L1、L2、L3、L4に移動可能となる。つまり、接触子3a、3b、3c、3dは、使用者の肌面に対して平行、且つ肌面上で任意の点を中心に4方向(放射方向)に往復移動可能となる。具体的には、接触子3a及び3cはZ軸方向において、接触子3b及び3dはX軸方向において、一斉に、互いに離れる方向、又は互いに近づく方向に同一平面上で移動可能となる。よって、図5に示すように、接触子3a、3b、3c、3dを使用者の肌に接触させることにより、肌面Tに接触した状態で、肌に接触する接触子3a、3b、3c、3dが肌から離脱することなく、安定して肌を伸展させることができる。さらに、使用者の肌面上の任意の点を中心に、肌面の2次元的な伸展と収縮(摘まみ)を繰り返す刺激を与えることができる。なお、図5においては、接触子3aは紙面に対して垂直方向(紙面に対し手前方向と裏側方向)、接触子3b及び3dは紙面に対して左右方向に移動する。
【0030】
また、接触子3a、3b、3c、3dはいずれも肌面に沿って移動させることができるので、美容器具1を肌面に対して静止させた状態で保持し、円盤状カム2を回転させることにより、肌面に伸展と収縮(摘まみ)を繰り返す刺激を与えることができる。
【0031】
なお、本実施形態の場合、カム溝21とカムフォロア31a、31b、31c、31dの接触は模式的にスベリ接触としているが、スベリ接触の場合はカム溝21表面とカム溝21と接触するカムフォロア31a、31b、31c、31dの面とは、摩擦係数を小さくすることでスベリ接触が可能となる。また、カム溝21とカムフォロア31a、31b、31c、31dとの摩擦を小さくするために、転がり摩擦とする、あるいはカムフォロア31a、31b、31c、31dをベアリングで構成することも可能である。
【0032】
カム溝21の形状は、本実施形態で例示した形状、本数に限らず、意図する刺激に応じて適宜変更することができ、簡易な構成で伸展方法(リズム、パターン)を制御することができる。例えば、伸展の範囲を広くする場合は、波形状の振幅を大きくし、伸展の範囲を小さくする場合は、振幅を小さくすることができる。そのために、例えば、所望のカム溝を形成した円盤状カムと、当該カム溝に複数のカムフォロアが挿入された状態で組み付けられた複数の接触子とをセットとし、カバー9を外して、円盤状カムと接触子とのセットを交換する。これにより、伸展方法が異なる美容器具1を提供することができる。
【0033】
また、カム溝21は、図1の場合は円形溝上に、円周側に向かって膨出した凸部211、212、213、214が等間隔に4つ設けられた波形状を有しているが、例えば、カム溝の基本形を楕円溝とすることもできる。この楕円溝の場合では、第2回転軸20の中心に対し例えば、90°間隔で4個のカムフォロア31a、31b、31c、31dを挿入させると、円盤状カム2が回転することで、4個の接触子のうちの一対の接触子がカム溝に対して相対的に楕円の長軸方向から短軸方向に移動する場合は摘まみ動作となり、他の一対が相対的に短軸方向から長軸方向に移動する場合は伸展動作となる。よって、摘まみ動作方向に直交する方向は伸展動作となり、肌面に伸展と収縮とを同時に与えることができる。
【0034】
<第二実施形態>
図6は、第二実施形態による美容器具100の平面図であり、図7は、図6のIII-III断面図であり、図8は、第二実施形態による美容器具の正面図である。第二実施形態の美容器具100は、アタッチメント32a、32b、32c、32dを有している点で、第一実施形態の美容器具1と異なる。第二実施形態の美容器具100において、アタッチメント32a、32b、32c、32dを除く構成は、第一実施形態と同様である。
【0035】
図6図8に示すように、美容器具100は、接触子3a、3b、3c、3dのそれぞれに、着脱可能なアタッチメント32a、32b、32c、32dを有している。アタッチメント32a、32b、32c、32dは、円柱形状を有しており、底部に接触子3a、3b、3c、3dと嵌合する嵌合孔が形成されている。また、アタッチメント32a、32b、32c、32dは、上面に、使用者の肌に接触する第5面S5、第6面S6、第7面S7、第8面S8を有している。第5面S5、第6面S6、第7面S7、第8面S8は、平面視形状が円形であるが、これに限られず、矩形、長楕円形等、任意の形状とすることができる。第5面S5、第6面S6、第7面S7、第8面S8は、例えば、シリコンゴム、ゲルパッド等の材料により形成することができ、可撓性の材料であると好ましい。また、第5面S5、第6面S6、第7面S7、第8面S8は、粘着剤層を有していてもよい。これにより、施術の際、第5面S5、第6面S6、第7面S7、第8面S8は、使用者の肌に対して平行に往復運動しても、肌に接触した状態を維持することができる。また、第5面S5、第6面S6、第7面S7、第8面S8上に微小な突起、凹凸を設けてもよい。
【0036】
また、第5面S5、第6面S6、第7面S7、第8面S8のうちの、例えば第5面S5と第7面S7とを同じ材質あるいは粗面とし、第6面S6と第8面S8とを第5面S5と第7面S7とは異なる材質あるいは異なる粗面としてマッサージ効果を高めることもできる。
【0037】
なお、本実施形態では、接触子3a、3b、3c、3dの第1面S1、第2面S2、第3面S3、第4面S4は、使用者の肌に接触しないので、例えば、硬質の樹脂材料で形成してもよい。
【0038】
以上の構成により、第二実施形態による美容器具100においても、第一実施形態と同様の効果が得られる。さらに、施術する部位、肌の状況等に応じて、所望の形状、材質を有するアタッチメントを選択して、カバー9を外すことなく、簡単にアタッチメントを交換することができる。
【0039】
なお、第二実施形態のアタッチメント32a、32b、32c、32dは着脱自在な構成としているが、着脱自在ではなく分離不可な一体構造とすることもできる。
【0040】
本第二実施形態による美容器具100によれば、肌との接触面をより大きくすることができるので、肌に接触するアタッチメント32a、32b、32c、32dを介して、接触子3a、3b、3c、3dが肌から離脱することをより少なくすることができ、より安定して肌を伸展することができる。
【0041】
(美容方法)
次に、本発明の一実施形態による美容方法について説明する。
【0042】
本発明の一実施形態による美容方法は、肌面に対して摩擦力が大きく、前記肌面に対して平行に往復移動する接触子を同一平面上に点対称に複数配置し、前記接触子を前記肌面に接触させながら、前記接触子を放射方向に往復移動させることにより前記肌面の表面の2次元的な伸展と伸展開放を繰り返す。これにより、肌と接触する接触子が肌から離脱することなく、安定して肌を伸展することができる。
【0043】
以上の通り、実施形態を説明したが、上記実施形態は、例として提示したものであり、上記実施形態により本発明が限定されるものではない。上記実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の組み合わせ、省略、置き換え、変更などを行うことが可能である。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0044】
1、100 美容器具
2 円盤状カム
20 第2回転軸
21 カム溝
3a、3b、3c、3d 接触子
31a、31b、31c、31d カムフォロア
32a、32b、32c、32d アタッチメント
5 駆動源
50 第1回転軸
6 第1伝動歯車
7 第2伝動歯車
8 基板
9 カバー
9a、9b、9c、9d 挿通孔
L1、L2、L3、L4 移動方向
R 回転方向
S1 第1面
S2 第2面
S3 第3面
S4 第4面
S5 第5面
S6 第6面
S7 第7面
S8 第8面
T 肌面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8