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  • 特許-見守りシステムと見守り方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-18
(45)【発行日】2024-12-26
(54)【発明の名称】見守りシステムと見守り方法
(51)【国際特許分類】
   H04M 11/00 20060101AFI20241219BHJP
   G06Q 50/10 20120101ALI20241219BHJP
【FI】
H04M11/00 301
G06Q50/10
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021088391
(22)【出願日】2021-05-26
(65)【公開番号】P2022181448
(43)【公開日】2022-12-08
【審査請求日】2024-01-18
(73)【特許権者】
【識別番号】506054578
【氏名又は名称】株式会社アイテム
(74)【代理人】
【識別番号】100086830
【弁理士】
【氏名又は名称】塩入 明
(74)【代理人】
【識別番号】100096046
【弁理士】
【氏名又は名称】塩入 みか
(72)【発明者】
【氏名】安川 正勝
【審査官】吉村 伊佐雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-340021(JP,A)
【文献】特開2019-194803(JP,A)
【文献】特開2014-026640(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0149619(US,A1)
【文献】特開2017-102636(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q10/00-10/10
30/00-30/08
50/00-99/00
G08B19/00-31/00
G16H10/00-80/00
G16Z99/00
H04M3/00
3/16-3/20
3/38-3/58
7/00-7/16
11/00-11/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
見守る人の通信端末と見守られる人の通信端末の対を複数対と、クラウドサーバとを備える、見守りシステムであって、
見守る人の通信端末からクラウドサーバへ設定データを送信して、クラウドサーバ側が設定データを記憶し、
設定データによって指定された時刻に定期的に、見守られる人の通信端末に、調子が良いことを表すアイコンと調子が良くないことを表すアイコンの、2つのアイコンが表示されるようにし、
前記2つのアイコンの内で、見守られる人の通信端末上でタップされたアイコンを、応答として、見守られる人の通信端末から、見守る人の通信端末側とクラウドサーバ側へ送信すると共に、
クラウドサーバは、見守られる人の通信端末からの応答を複数の対に渡って積算すると共に、積算した応答の数に応じて見守りシステムから社会への寄付額を算出するように構成されている、見守りシステム。
【請求項2】
クラウドサーバは、積算した応答の数あるいは見守りシステムから社会への寄付額を、見守られる人の通信端末に表示させるように構成されている、請求項1の見守りシステム。
【請求項3】
見守る人の通信端末と見守られる人の通信端末の対を複数対と、クラウドサーバとを用いる、見守り方法であって、
見守る人の通信端末からクラウドサーバへ設定データを送信して、クラウドサーバ側が設定データを記憶し、
設定データによって指定された時刻に定期的に、見守られる人の通信端末に、調子が良いことを表すアイコンと調子が良くないことを表すアイコンの、2つのアイコンが表示されるようにし、
前記2つのアイコンの内で、見守られる人の通信端末上でタップされたアイコンを、応答として、見守られる人の通信端末から、見守る人の通信端末側とクラウドサーバ側へ送信すると共に、
クラウドサーバは、見守られる人の通信端末からの応答を複数の対に渡って積算すると共に、積算した応答の数に応じて見守りシステムから社会への寄付額を算出する、見守り方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、高齢者などへ家族などから見守りを行うシステムと方法に関する。
【背景技術】
【0002】
スマートフォンなどを用いた見守りシステム(特許文献1:特許6362183等)が提案されている。家族などからの設定に従い、定期的にクラウドサーバから高齢者などのスマートフォンへ呼び掛けを送信する。呼び掛けに対する高齢者などからの応答を家族に転送すると、家族は見守りたい高齢者の状態を定期的に確認することができる。また応答が繰り返し行われない場合、家族などは安否の確認が必要なことを知ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許6362183
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この発明の課題は、家族などからの呼び掛けに応答することを、社会への貢献につなげることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明の見守りシステムは、見守る人の通信端末と見守られる人の通信端末の対を複数対と、クラウドサーバとを備える。この発明では、見守る人の通信端末からクラウドサーバへ設定データを送信して、クラウドサーバ側が設定データを記憶し、設定データによって指定された時刻に定期的に、見守られる人の通信端末に、調子が良いことを表すアイコンと調子が良くないことを表すアイコンの、2つのアイコンが表示されるようにする。 2つのアイコンの内で、見守られる人の通信端末上でタップされたアイコンを、応答として、見守られる人の通信端末から、見守る人の通信端末側とクラウドサーバ側へ送信すると共に、
クラウドサーバは、見守られる人の通信端末からの応答を複数の対に渡って積算すると共に、積算した応答の数に応じて見守りシステムから社会への寄付額を算出する。
【0006】
この発明の見守り方法は、見守る人の通信端末と見守られる人の通信端末の対を複数対と、クラウドサーバとを用いる。この発明では、見守る人の通信端末からクラウドサーバへ設定データを送信して、クラウドサーバ側が設定データを記憶し、設定データによって指定された時刻に定期的に、見守られる人の通信端末に、調子が良いことを表すアイコンと調子が良くないことを表すアイコンの、2つのアイコンを表示させる。
2つのアイコンの内で、見守られる人の通信端末上でタップされたアイコンを、応答として、見守られる人の通信端末から、見守る人の通信端末側とクラウドサーバ側へ送信する。
クラウドサーバは、見守られる人の通信端末からの応答を複数の対に渡って積算すると共に、積算した応答の数に応じて見守りシステムから社会への寄付額を算出する。
【0007】
この発明では、見守られる人の通信端末に、2種類のアイコンを表示させ、見守られる人がいずれかのアイコンにタップすると、タップしたアイコンを見守る人が知ることができる。このため簡単なやり取りで、アイコンによりグラフィカルに見守られる人に呼び掛け、状態を知らせてもらうことができる。見守られる人がタップしたアイコンはクラウドサーバ側に送信されるので、クラウドサーバによる安否確認へのサポートも可能になる。
【0008】
この発明では、見守られる人の通信端末からの応答を複数の対に渡って積算し、積算した応答の数に応じて見守りシステムから社会への寄付額を算出する。このようにして、見守る人からの(クラウドサーバを介する)呼び掛けに応答することを、社会貢献につなげる。このため、呼び掛けに応答することに積極的な意味を与え、見守られる人に呼び掛けに応答するよう動機付けることができる。社会貢献は、例えば子供食堂の運営資金の寄付で、NPO法人への寄付、災害支援資金の寄付などである。なお応答の数に応じて算出するとは、例えば応答数に比例して算出することであるが、具体的な算出方法は任意である。
【0009】
好ましくは、クラウドサーバは、積算した応答の数あるいは見守りシステムから社会への寄付額を、見守られる人の通信端末に表示させる。見守られる人は、自分の応答が社会に役立っていることを実感できる。
【0010】
この発明のクラウドサーバは1個のサーバに限らず、クラウド上に分散しているサーバなどでも良い。「見守られる人の通信端末に、調子が良いことを表すアイコンと調子が良くないことを表すアイコンの、2つのアイコンが表示されるように」するには、例えばクラウドサーバから2種類のアイコンを送信しても良い。あるいはまた、2種類のアイコンを見守られる人の通信端末に記憶させ、クラウドサーバあるいは見守る人の通信端末からの通知により、アイコンを表示するようにしても良い。「見守られる人の通信端末から、見守る人の通信端末側とクラウドサーバ側へ送信する」ことには、クラウドサーバへ送信し、クラウドサーバから見守る人の通信端末へ転送することも含んでいる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施例の見守りシステムの構成図
図2】実施例の見守りシステムで、クラウドサーバのアルゴリズムを示すフローチャート
図3】実施例での社会貢献の表示画面の模式図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に本発明を実施するための最適実施例を示す。
【実施例
【0013】
図1図3に実施例の見守りシステム1と見守り方法を示し、見守りシステム1に関する記載はそのまま見守り方法にも当てはまり、見守り方法に関する記載はそのまま見守りシステム1にも当てはまる。
【0014】
図1は見守りシステム1のシステム構成を示し、2は見守る人の通信端末で、具体的にはスマートフォンなどである。4は見守られる人の通信端末で、例えばスマートフォンである。なお見守られる人は独居あるいは夫婦の高齢者などで、見守る人はその家族などである。
【0015】
通信端末4は、会話機能もインターネットでの検索機能も持たない簡易な端末でも良い。具体的には、
・ 通信端末2あるいはクラウドサーバ10と通信できる通信機能を備え、
・ アイコン5,6と社会貢献実績を表示する画面を表示でき、
・ 見守られる人がどちらのアイコンにタップしたかを検出できる
ものであれば良い。
【0016】
見守りシステム1のクラウドサーバ10は、通信端末2からの設定に従い、所定の時刻に、調子が良いアイコン5と調子が良くないアイコン6の2種類のアイコンを、見守られる人の通信端末4へ送信する。見守られる人が、通信端末4の画面でアイコン5,6のいずれかにタップすると、タップされたアイコンの種類が通信端末2とクラウドサーバ10へ送信される。アイコン5,6を通信端末4に表示させることを呼び掛けといい、通信端末4の画面でアイコン5,6のいずれかにタップし、どちらのアイコンにタップしたかを送信することを応答という。
【0017】
この発明では、見守られる人の応答数を積算し、積算値に応じた社会貢献を行う。そして社会貢献の実績(寄付先と寄付額など)を、適宜のタイミングで通信端末4に表示する。例えば1週間毎に、見守られる人がアイコン5または6にタップした際に、社会貢献の実績を通信端末4の画面に表示する。
【0018】
見守られる人がマンション、賃貸住宅などに居住する場合、マンションなどの管理人の通信端末13もシステム1に含めることが好ましい。また見守られる人を担当するケアマネジャーが存在する場合、ケアマネジャーの通信端末14もシステムに含めることが好ましい。通信端末13,14に見守られる人の応答を通知するかなどは、通信端末2からクラウドサーバ10に対して設定する。
【0019】
クラウドサーバ10は、見守られる人の電話番号、通信端末4のメールアドレス、見守る人の通信端末2のメールアドレス、管理人などの通信端末13,14のメールアドレスなどの、関係者の個人情報を、メモリ11に記憶する。またメモリ11には、呼び掛けを行う時刻と頻度(例えば毎日1回か隔日か)、通信端末13,14へ通知するデータの種類(応答を毎回通知する~無応答が続くと通知するなど)の設定を記憶する。設定は見守る人と見守られる人の対毎に行い、見守りシステム1にはこのような対が多数含まれている。
【0020】
この発明では、見守られる人からの応答数に応じた社会貢献を行う。社会貢献は、子供食堂への寄付、交通遺児への奨学金、環境保全活動への寄付、被災地を支援するNPO法人への寄付などである。社会貢献の種類は1種類でも良いし、複数種類用意して、見守られる人あるいは見守る人が通信端末4,2から選択できるようにしても良い。また社会貢献先が複数ある場合、社会貢献先を見守られる人の通信端末4などと関連付けて、メモリ11に記憶する。カウンタ12は、見守られる人毎に(通信端末4毎に)応答の回数をカウントアップし、さらに見守られる人を問わず全ての通信端末4に渡って、所定期間内の応答総数を算出する。
【0021】
図2にクラウドサーバ10での処理を示す。設定時刻になると、クラウドサーバ10は見守られる人の通信端末4へ呼び掛けを行い、通信端末4の画面に調子が良いアイコン5と調子が良くないアイコン6とを表示させる(ステップ1,2)。見守られる人が何れかのアイコンにタップすると応答を受信し(ステップ3)、応答を見守る人の家族の通信端末2などに転送する(ステップ4)。
【0022】
クラウドサーバ10は、呼び掛けに対する応答の有無と応答の種類などをメモリ11に記憶させ、無応答が続いた、調子が良くないとの応答が続いたなどの場合、家族の通信端末2へ通知すると共に、設定に従い、管理人の通信端末13,ケアマネジャーの通信端末14などにも通知する。
【0023】
カウンタ12は、見守られる人毎に応答回数をカウントする(ステップ5)。そして毎月1回、3ヶ月に1回などの締め切りになると(ステップ6)、全通信端末4に対して見守られる人からの応答総数を算出し、応答総数に応じて、例えば応答総数に比例するように、社会貢献額(寄付額)を算出する(ステップ7)。社会貢献先が複数有る場合、社会貢献先毎に応答総数をカウントする。そして見守りシステム1の会費などから、例えば応答総数に比例した金額を社会貢献先に寄付する。なおここで応答総数とは、複数の人からの応答の総数のことである。社会貢献として寄付を行い、この他にボランティア労働の提供などを加えても良い。
【0024】
図3に、通信端末4への社会貢献の表示を模式的に示す。この図では、4月度にどの社会貢献先にどれだけの金額を寄付したかを表示している。見守られる人は、呼び掛けに応じることにより、社会貢献を行っていることを知ることができる。言い換えると、呼び掛けへの応答は安否確認だけではなく、持続可能な社会の実現に貢献していることを自覚できる。これによって見守られる人は、自尊心を高め、社会への参加意識を高めることができる。また呼び掛けに応答する動機付けにもなる。
【0025】
応答の数が重要である。例えば呼び掛けの回数をカウントしても、見守られる人が社会貢献活動に参加したことにはならない。また調子が良いアイコン5でも調子が良くないアイコン6でも、どちらの応答もカウントする。これにより、見守られる人に、呼び掛けに応答することが大事であると、応答に意味づけすることができる。
【0026】
この発明での例外処理を示す。社会貢献に参加しない、つまり応答数に応じた社会への寄付を行わないことを、端末2から設定することを認めても良い。この場合、社会貢献に参加する通信端末2,4の対とクラウドサーバ10とで、この発明のシステムを構成する。そして、社会貢献に参加しない通信端末2,4の対は、この発明のシステムに含まれない。
【符号の説明】
【0027】
1 見守りシステム
2 見守る人(家族)の通信端末
4 見守られる人の通信端末
5 調子が良いアイコン
6 調子が良くないアイコン
10 クラウドサーバ
11 メモリ
12 カウンタ
13 マンション管理人の通信端末
14 ケアマネジャーの通信端末
図1
図2
図3