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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-18
(45)【発行日】2024-12-26
(54)【発明の名称】センサ固定構造
(51)【国際特許分類】
   G01D 5/12 20060101AFI20241219BHJP
   B62K 23/04 20060101ALI20241219BHJP
   B62J 45/40 20200101ALI20241219BHJP
【FI】
G01D5/12 Q
B62K23/04
B62J45/40
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021089050
(22)【出願日】2021-05-27
(65)【公開番号】P2022181858
(43)【公開日】2022-12-08
【審査請求日】2024-02-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000222934
【氏名又は名称】東洋電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125254
【弁理士】
【氏名又は名称】別役 重尚
(74)【代理人】
【識別番号】100118278
【弁理士】
【氏名又は名称】村松 聡
(72)【発明者】
【氏名】岸 昇示
(72)【発明者】
【氏名】大谷 貴之
(72)【発明者】
【氏名】村田 敏一
【審査官】平野 真樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-066195(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0182514(US,A1)
【文献】実開昭58-047115(JP,U)
【文献】特開2015-090279(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D 5/00-5/252,5/39-5/62
G01B 7/00-7/34
B62K 21/00-23/08
B62J 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体と、
前記支持体に対して互いに異なる方向から配置され、変位部材の変位を検出するための複数のセンサと、
前記複数のセンサを一括して前記支持体に固定する拘束部材と、を有し、
前記センサは、本体部および被係合部を含み、
前記拘束部材によって前記センサが前記支持体に固定された状態では、前記拘束部材からの拘束力によって前記本体部と前記支持体の少なくとも一部とが当接する、センサ固定構造。
【請求項2】
前記支持体に対する前記本体部の当接方向において、前記本体部と前記支持体との当接位置に対して、前記拘束部材と接触する前記本体部の位置よりも前記拘束部材と接触する前記支持体の位置の方が近い、請求項に記載のセンサ固定構造。
【請求項3】
前記支持体は係合部を含み、
前記係合部と前記被係合部とが係合することで、前記センサは前記支持体に仮装着される、請求項に記載のセンサ固定構造。
【請求項4】
前記センサが前記支持体に仮装着された状態では、前記係合部は、前記支持体に対する前記本体部の当接方向への前記センサの変位を許容すると共に、前記当接方向と直交する方向への前記センサの変位を規制する、請求項に記載のセンサ固定構造。
【請求項5】
前記センサが前記支持体に仮装着された状態では、前記センサは前記支持体に対して、前記支持体に対する前記本体部の当接方向に変位可能である、請求項に記載のセンサ固定構造。
【請求項6】
前記変位部材は回転部材であり、前記センサは前記変位部材の回転変位を検出する、請求項1乃至のいずれか1項に記載のセンサ固定構造。
【請求項7】
前記センサは、前記回転部材の回転中心を中心とする円周方向における互いに異なる位置に配置される、請求項に記載のセンサ固定構造。
【請求項8】
前記拘束部材は、前記回転部材の回転中心を中心として配置される環状部材である、請求項に記載のセンサ固定構造。
【請求項9】
前記変位部材は、二輪車のハンドルのスロットル操作によって回動し、
前記センサは、スロットル開度を検出する、請求項に記載のセンサ固定構造。
【請求項10】
前記拘束部材は、熱収縮チューブである、請求項1乃至のいずれか1項に記載のセンサ固定構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、変位部材の変位を検出するためのセンサを固定するセンサ固定構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、変位部材の変位を検出するセンサを支持体に配置したセンサ固定構造が知られている。例えば、特許文献1では、パッケージ化されたセンサを支持体の設置部に設置し、クリップ部材を装着すると、クリップ部材に設けられた押圧部がセンサに設けられた突起を押圧し、センサが支持体に位置決め固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-138300号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、固定したいセンサが複数ある場合には装着作業が繁雑となる。例えば、特許文献1の手法で2つのセンサを固定したとすると、クリップ部材がセンサごとに必要となり、センサを1つずつクリップ部材で固定することになるため、作業性が低下する。特に、2つのセンサの配置位置や向きが互いに異なっている場合は、取り付け作業が一層容易でなくなる。
【0005】
本技術は、複数のセンサの取り付け作業を容易にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために本技術のセンサ固定構造は、支持体と、前記支持体に対して互いに異なる方向から配置され、変位部材の変位を検出するための複数のセンサと、前記複数のセンサを一括して前記支持体に固定する拘束部材と、を有し、前記センサは、本体部および被係合部を含み、前記拘束部材によって前記センサが前記支持体に固定された状態では、前記拘束部材からの拘束力によって前記本体部と前記支持体の少なくとも一部とが当接する。
【発明の効果】
【0007】
本技術によれば、複数のセンサの取り付け作業を容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】スロットルグリップ装置の斜視図である。
図2】センサユニットの斜視図である。
図3】+Z側から見たセンサユニットの要部の図である。
図4図3のA-A線に沿う断面図である。
図5図3のB-B線に沿う断面図である。
図6】1組の係合部および被係合部の係合状態を示す拡大図である。
図7】第1変形例の仮装着構造を有するセンサユニットを+Y側から見た模式図である。
図8】第2変形例の仮装着構造を有するセンサユニットを+Y側から見た模式図である。
図9】第2変形例の仮装着構造を有するセンサホルダの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本技術の実施の形態を説明する。
【0010】
(第1の実施の形態)
図1は、本技術の一実施の形態に係るスロットルグリップ装置の斜視図である。このスロットルグリップ装置に、本技術に係るセンサ固定構造が適用される。このスロットルグリップ装置は、一例として自動二輪車のハンドルバー11の右方に延出した部分に取り付けられる。このスロットルグリップ装置が適用される車体18として自動二輪車を例示するが、これに限定されず、バータイプのハンドルを備える3輪や4輪のバギーのほか、スノーモービル等の各種の車体に本技術を適用可能である。
【0011】
図1に示すように、ハンドルバー11の方向については、ハンドルバー11の先端側を+Y側、車体中央側を-Y側とする。スロットルグリップ装置は、グリップ部14およびグリップエンド13を備える。グリップ部14はハンドルバー11の先端部を含む領域に配置される。グリップ部14はゴム材等で構成され、グリップエンド13は金属等で構成される。ハンドルスイッチケース15は、グリップ部14に対して、ハンドルバー11の車体中央側(先端側とは反対側;-Y側)に隣接して配置されている。スロットルグリップ装置は、アクセルポジションセンサ本体(不図示)およびカプラ(図2も参照)を含むアクセルポジションセンサユニット20を備える。このセンサユニット20は接続端子部21を備える。
【0012】
図1に示すように、ハンドルバー11は円筒状であり、ハンドルバー11には穴11hが形成されている。穴11hは、ハンドルスイッチケース15内において開口している。車体18から延びたハーネス17の先端に車体側の電気的接続部である車体側カプラ16が取り付けられている。穴11hにセンサユニット20の接続端子部21が位置する状態で且つ、ハンドルスイッチケース15を取り外した状態で、作業者は、穴11hを介してセンサユニット20の接続端子部21に車体側カプラ16を接続可能である。接続端子部21と車体側カプラ16とを結合することで、アクセルポジションセンサ本体と車体18とが電気的に接続される。
【0013】
図2は、センサユニット20の斜視図である。センサユニット20はセンサホルダ22を有し、接続端子部21はセンサホルダ22に設けられている。後述するように、センサユニット20にはセンサ30(図3参照)と拘束部材27とが装着される。以降、各部の方向を、図2等に示したX、Y、Z座標軸を基準として呼称する。
【0014】
図3は、+Z側から見たセンサユニット20の要部の図である。図4は、図3のA-A線に沿う断面図であり、ハンドルバー11の中心軸C1を含む平面による断面図である。
【0015】
図4に示すように、スロットルパイプ12は、中心軸C1の周りに、ハンドルバー11の外周面に沿って回動可能な状態でハンドルバー11に取り付けられる。スロットルパイプ12は略円筒状であり、運転手によるグリップ部14の回転操作(スロットル操作)に応じてハンドルバー11の中心軸C1の周りに回転する。
【0016】
シャフト10は中心軸C1に沿って延在する。磁石19は円筒形状であり、シャフト10に固定されている。シャフト10およびスロットルパイプ12は、ハンドルバー11と同軸に配置される。スロットルパイプ12、シャフト10および磁石19は、スロットル操作によって回転する変位部材(回転部材でもある)の例である。センサホルダ22は、ハンドルバー11に対して固定関係にあり、スロットルパイプ12と連動して回動しない。
【0017】
支持体としてのセンサホルダ22に2つのセンサ30が配置されている。センサ30は接続端子部21に電気的に接続される。センサ30は、センサホルダ22に対して互いに異なる方向から配置される。言い換えると、2つのセンサ30は、ハンドルバー11の中心軸C1(回転中心)を中心とする円周方向における互いに異なる位置に配置される。本実施の形態では、2つのセンサ30は+Z側と-Z側とに配置される。センサ30は、一例としてセンサIC等で構成される磁気センサである。
【0018】
磁石19においては、周方向、すなわちハンドルバー11の中心軸C1周りの回転方向に沿って複数の磁極が着磁されている。センサ30はホール素子を有し、自身を通過する磁力線の向きや強さを検知する。これにより、センサ30は、スロットルパイプ12の回転角を検出し、検出結果に基づく値を出力する。センサ30の検出結果である検出信号は、センサユニット20の接続端子部21に接続された車体側カプラ16を介して、車体18の制御部(図示せず)に供給される。これにより、スロットルパイプ12の回転位置が制御部によって把握され、スロットル開度が検出される。スロットル開度はスロットル制御等に利用される。
【0019】
拘束部材27は、複数の(2つの)センサ30を一括してセンサホルダ22に固定する部材である。拘束部材27は、一例として熱によって収縮する環状部材である熱収縮チューブである。図2では、装着前(収縮前)の拘束部材27が実線で示され、装着後(収縮後)の拘束部材27が仮想線で示されている。図3図4ではそれぞれ、拘束部材27の未装着状態、装着状態が示されている。作業者は、2つのセンサ30をセンサホルダ22の適切な位置に配置した状態で拘束部材27を被せる。その後、温風等によって拘束部材27を加熱すると拘束部材27が収縮する。これにより、接着剤等を用いることなく、2つのセンサ30が一括してセンサホルダ22に固定される。
【0020】
図5は、図3のB-B線に沿う断面図である。図5には、収縮前の拘束部材27も仮想線で併せて示されている。2つのセンサ30の構成および配置の態様は共通するので、主に代表して+Z側のセンサ30の構成および固定構造を説明する。
【0021】
図3に示すように、センサ30は、本体部31A、31Bおよび複数の被係合部32を含む。被係合部32は、+X方向と-X方向とに突出した突起部である。センサホルダ22には、4つの被係合部32に対応する切り欠き状の係合部25が形成されている。また、本体部31Aは、拘束面33および当接面34を含む(図5参照)。
【0022】
センサホルダ22の+Y側の端部における外面23は対向面23aを含む(図2図5参照)。センサホルダ22は設置面24を含む(図4図5参照)。設置面24は、中心軸C1に対して対向面23aよりも近い。
【0023】
図6は、1組の係合部25および被係合部32の係合状態を示す拡大図である。各組の係合部25と被係合部32との関係は共通する。係合部25は、+Y方向に突出する突部26を有する。係合部25と被係合部32とが係合することで、センサ30はセンサホルダ22に仮装着される。すなわち、係合部25と被係合部32とが係合状態となると、係合部25における+Y側の端面25aと突部26との間に被係合部32が嵌合され、Y方向における被係合部32の位置決めがなされる。
【0024】
また、係合部25における-X側の端面25bによって、被係合部32の-X側の先端の位置が規制される。一方、+X側においても、係合部25における+X側の端面によって被係合部32の+X側の先端の位置が規制される。これにより、X方向における被係合部32の位置決めがなされる。
【0025】
一方、係合部25に対して被係合部32は、Z方向には変位可能である。ただし、センサ30の本体部31Aの当接面34がセンサホルダ22の設置面24に当接することで、-Z方向における本体部31Aの位置が規制される。従って、センサ30が仮装着された状態では、係合部25は、本体部31Aが設置面24に当接しない範囲でZ方向へのセンサ30の変位を許容すると共に、Z方向と直交する方向へのセンサ30の変位を規制する。
【0026】
+Z側のセンサ30を組み付けるには、作業者は、被係合部32が係合部25に嵌まるようにセンサ30を+Z側から設置面24に配置する。係合部25に被係合部32が係合し、端面25aと突部26とに被係合部32が挟持された状態になると、センサ30はセンサホルダ22から容易には脱落しない仮装着状態となる。なお、-Z側のセンサ30については、+Z側のセンサ30とは組み付け方向が反対となるが、組み付けの基本的作業は同じである。
【0027】
このようにして2つのセンサ30を仮装着状態にした後、作業者は、2つのセンサ30を覆うように、センサホルダ22の+Y側の端部に拘束部材27を+Y側から被せる。その後、温風等によって拘束部材27を加熱すると拘束部材27が収縮する。これにより、2つのセンサ30が一括してセンサホルダ22に本装着状態、すなわち固定状態となる。まず、収縮した拘束部材27は、本体部31Aの拘束面33に接触することで、本体部31Aを-Z方向へ押圧する。従って、センサ30がセンサホルダ22に固定された状態では、拘束部材27からの拘束力によって本体部31Aの当接面34が設置面24と密着する。これにより、中心軸C1に直交する方向におけるセンサ30の位置が高い精度で定まる。本体部31Bにおいても本体部31Aと同様の作用が生じる。+Z側のセンサ30の密着方向(当接方向)は-Z方向であり、-Z側のセンサ30の密着方向は+Z方向である。
【0028】
本実施の形態によれば、センサホルダ22に対して互いに異なる方向から配置され、スロットルパイプ12の変位を検出するための複数のセンサ30が、拘束部材27によって一括してセンサホルダ22に固定される。従って、従来のようにセンサ30を熱硬化性樹脂などで固定する必要がない。よって、複数のセンサ30の取り付け作業を容易にすることができる。
【0029】
また、拘束部材27によってセンサ30がセンサホルダ22に固定された状態では、拘束部材27からの拘束力によって本体部31A、31Bとセンサホルダ22(設置面24)とが密着する。これにより、中心軸C1に直交する方向におけるセンサ30の位置決め精度・位置精度を高めることができる。仮に、従来のように、固定後のセンサとセンサを支持する支持体(センサホルダ22)との間に隙間があると位置決め精度が低くなる。しかし本実施の形態では、センサ30とセンサホルダ22とが密着するので高い位置決め精度が維持される。
【0030】
ところで、図5に示すように、収縮した拘束部材27は、本体部31Aの拘束面33に接触するが、センサホルダ22における対向面23aにも接触する。しかし、Z方向において、設置面24(本体部31Aとセンサホルダ22との当接位置)に対し、拘束部材27と接触する本体部31Aの位置(拘束面33)よりも、拘束部材27と接触するセンサホルダ22の位置(対向面23a)の方が距離H1だけ近い。言い換えると、対向面23aの方が拘束面33よりも距離H1だけ低くなっている。これにより、本体部31Aに対する-Z方向への必要な押圧力が確実に確保される。よって、本体部31Aの当接面34とセンサホルダ22の設置面24とを適切に当接させることができるので、確実な位置決めをしつつセンサ30をセンサホルダ22に安定して固定することができる。
【0031】
なお、センサ30の位置決めを行うことができる観点からは、拘束部材27からの拘束力によって本体部31A、31Bとセンサホルダ22の少なくとも一部とが当接する構成であってもよい。
【0032】
また、センサホルダ22の係合部25とセンサ30の被係合部32とが係合することで、センサ30がセンサホルダ22に仮装着されるので、複数のセンサ30の取り付け作業を容易にすることができる。異なる位置に複数のセンサが配置される構成で、仮に何らの工夫がない場合は、一部のセンサが固定前に脱落しやすくなるおそれがある。しかし本実施の形態では、端面25aと突部26とに被係合部32が嵌合挟持されることで、固定前にセンサ30が脱落しにくくなるので取り付け作業がやりやすくなる。
【0033】
また、センサ30がセンサホルダ22に仮装着された状態では、係合部25は、密着方向と平行な方向(Z方向)へのセンサ30の変位を許容すると共に、密着方向と直交する方向(X・Y方向)へのセンサ30の変位を規制する。従って、取り付け容易性を維持しつつ位置決め精度を高めることができる。
【0034】
次に、図7図9で、センサ30をセンサホルダ22に仮装着する構成の変形例を説明する。
【0035】
図7は、第1変形例の仮装着構造を有するセンサユニット20を+Y側から見た模式図である。センサホルダ22は、係合部25に代えて係合部28を有する。係合部28は、+Z側にテーパ面28aを有する。係合部28は、X方向に互いに向き合っている。X方向における係合部28の先端同士の間隔よりも、X方向における被係合部32の先端同士の距離の方が少し長い。なお、係合部28と被係合部32とは、Y方向における互いの位置が対応するように設けられればよく、Y方向における配置位置や数は問わない。+X側の被係合部32と-X側の被係合部32とは、Y方向における位置が同じでもよいし相違してもよい。
【0036】
作業者は、センサ30をセンサホルダ22に仮装着する際には、+Z側からセンサ30を設置面24に向けて押し込む。すると、係合部28および被係合部32の少なくとも一方が一時的に弾性変形することで、被係合部32が係合部28のテーパ面28aを乗り越えて係合部28の-Z側に潜り込む。これにより、図7に示すように、センサ30がセンサホルダ22に対して仮装着状態となる。
【0037】
なお、Z方向において、被係合部32の+Z側の面とセンサ30の本体部31Aの当接面34との距離は、係合部28と設置面24との間隔よりも短い。従って、仮装着状態においては、センサ30はセンサホルダ22に対してZ方向に変位可能であるので、取り付け容易性を維持しつつ位置決め精度を高めることができる。
【0038】
図8は、第2変形例の仮装着構造を有するセンサユニット20を+Y側から見た模式図である。図9は、第2変形例の仮装着構造を有するセンサホルダ22の斜視図である。
【0039】
図8図9に示すように、センサホルダ22は、係合部25に代えて係合部29を有する。2つの係合部29は、X方向に突出し、互いに向き合っている。係合部29と設置面24とにより、Z方向に窪む一対の溝部29aが形成される。一対の溝部29aはY方向に延在する。X方向における係合部29の先端同士の間隔よりも、X方向における被係合部32の先端同士の距離の方が長い。なお、+X側の被係合部32と-X側の被係合部32とは、Y方向における位置が同じでもよいし相違してもよい。また、Y方向における被係合部32の配置位置や数は問わない。
【0040】
作業者は、センサ30をセンサホルダ22に仮装着する際には、センサ30を、+Y側から設置面24上をスライドさせて挿入する。その際、作業者は、被係合部32が溝部29aと係合するようにセンサ30を挿入する。センサホルダ22には、センサ30と当接してセンサ30の-Y方向の位置を規制する規制面(図示せず)が設けられている。従って、センサ30が規制面と当接して-Y方向における位置決めがなされると、図8に示すように、センサ30がセンサホルダ22に対して仮装着状態となる。
【0041】
なお、Z方向において、被係合部32の+Z側の面とセンサ30の本体部31Aの当接面34との距離は、係合部29と設置面24との間隔よりも短い。従って、仮装着状態においては、センサ30はセンサホルダ22に対してZ方向に変位可能であるので、取り付け容易性を維持しつつ位置決め精度を高めることができる。
【0042】
以上、本技術をその好適な実施形態に基づいて詳述してきたが、本技術はこれら特定の実施形態に限られるものではなく、この技術の要旨を逸脱しない範囲の様々な形態も本技術に含まれる。
【0043】
例えば、本実施の形態および変形例において、一括して固定されるセンサの数は3個以上でもよい。また、3個以上のセンサを設ける場合、各センサは、中心軸C1を中心とする円周方向における互いに異なる位置に配置されてもよい。
【0044】
なお、センサ30によって変位を検出される変位部材は、センサ30に対して相対的に変位するものであればよい。従って、センサ30または変位部材のいずれかまたは双方が実際に変位する構成であってもよい。また、相対的な変位部材の変位態様は回転変位に限定されない。
【0045】
なお、拘束部材27は熱収縮チューブに限定されない。好ましくは、拘束部材27は、非磁性体、絶縁性および弾性を有するのがよく、さらには、センサ30やセンサホルダ22を全周に亘り覆うものであるのが望ましい。採用可能な拘束部材27の他の例として、ゴムチューブ、結束バンド(タイラップ)、絶縁テープ(ビニルテープ)などが挙げられる。また、複数のセンサ30の取り付け作業を容易にするという観点に限れば、拘束部材27は、複数のセンサ30を一括して支持体(センサホルダ22)に固定できればよく、拘束部材27の形状は環状部材に限定されない。
【符号の説明】
【0046】
12 スロットルパイプ、 22 センサホルダ、 25 係合部、 27 拘束部材、 30 センサ、 31A、31B 本体部、 32 被係合部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9