(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-18
(45)【発行日】2024-12-26
(54)【発明の名称】ポリイミド複合材を成形するための新規アミド酸オリゴマーの製造方法
(51)【国際特許分類】
C08G 73/10 20060101AFI20241219BHJP
C08F 299/02 20060101ALI20241219BHJP
C08J 5/24 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
C08G73/10
C08F299/02
C08J5/24 CFG
(21)【出願番号】P 2021515517
(86)(22)【出願日】2019-10-02
(86)【国際出願番号】 US2019054286
(87)【国際公開番号】W WO2020072639
(87)【国際公開日】2020-04-09
【審査請求日】2022-09-26
(32)【優先日】2018-10-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518156602
【氏名又は名称】カネカ アメリカズ ホールディング,インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【氏名又は名称】松島 鉄男
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100180231
【氏名又は名称】水島 亜希子
(74)【代理人】
【氏名又は名称】有原 幸一
(72)【発明者】
【氏名】宮内 雅彦
【審査官】藤井 明子
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-001791(JP,A)
【文献】米国特許第05138028(US,A)
【文献】国際公開第2010/027020(WO,A1)
【文献】特表2014-509674(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 73/00-73/26
C08F 299/02
C08J 5/04-5/10、5/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アミド酸オリゴマー溶液を製造する方法であって、
芳香族ジアミンおよび芳香族テトラカルボン酸化合物を溶媒に溶解させて混合物を形成するステップであって、前記溶媒が150℃未満の沸点を有するステップと、
前記混合物を5℃~60℃の範囲の温度で1時間~24時間にわたり撹拌して反応溶液を形成するステップと、
前記反応溶液に不飽和酸無水物を添加するステップと、
前記反応溶液を5℃~60℃の範囲の温度で1分~180分間にわたり撹拌してアミド酸オリゴマー溶液を形成するステップであって、前記アミド酸オリゴマー溶液が前記溶媒中にアミド酸オリゴマーを有するものであるステップと
を含み、
前記溶媒が、
2-メトキシエタノール、2-エトキシエタノール、2-メトキシプロパノール、もしくはその混合物からなる群から選択される修飾アルコール溶媒、または
1,3-ジオキソラン、2-メチル-1,3-ジオキソラン、テトラヒドロフラン(THF)、1,3-ジオキサン、1,4-ジオキサンおよびその混合物からなる群から選択される環状エーテルと、メタノール、エタノール、プロパノールおよびその混合物からなる群から選択されるアルコールとの混合溶媒である、方法。
【請求項2】
アミド酸オリゴマー粉末を製造する方法であって、
請求項1に記載のアミド酸オリゴマー溶液を加熱して前記溶媒を除去するステップと、
残存するアミド酸オリゴマーを破砕してアミド酸オリゴマー粉末を形成するステップと
を含む方法。
【請求項3】
イミドオリゴマー粉末を製造する方法であって、
請求項1に記載のアミド酸オリゴマー溶液または請求項2に記載のアミド酸オリゴマー粉末を、アミド酸オリゴマーがイミドオリゴマーに変換される温度で熱処理してイミドオリゴマー粉末を形成するステップを含む方法。
【請求項4】
硬化イミド樹脂を製造する方法であって、
請求項1に記載のアミド酸オリゴマー溶液、請求項2に記載のアミド酸オリゴマー粉末、または請求項3に記載のイミドオリゴマー粉末を、300℃より高い温度で熱処理するステップを含む方法。
【請求項5】
前記イミドオリゴマーが一般式(5)
【化1】
一般式(5)
によって表わされ、式中、
R
1およびR
2はそれぞれ、水素原子またはフェニル基を表わし、R
1またはR
2の少なくとも1つはフェニル基であり、
R
3およびR
4もまたそれぞれ、水素原子またはフェニル基を表わし、R
3およびR
4の少なくとも1つはフェニル基であり、
l≦m≦20である請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記イミドオリゴマーが一般式(6)
【化2】
一般式(6)
によって表わされ、式中、
R
1およびR
2はそれぞれ、二価の芳香族ジアミン残基を表わし、
R
5およびR
6はそれぞれ、水素原子またはフェニル基を表わし、R
5およびR
6の1つはフェニル基であり、
mおよびnは、m≧1、n≧0、l≦m+n≦20、および0.05≦m/(m+n)≦1の関係を満たし、
mおよびnによって形成される繰り返し単位は、ブロックで又はランダムに配置されてもよい請求項3に記載の方法。
【請求項7】
プリプレグを製造する方法であって、
請求項1に記載のアミド酸オリゴマー溶液を繊維に含浸させてプリプレグを形成するステップを含む方法。
【請求項8】
前記プリプレグを熱処理して前記アミド酸オリゴマーをイミドオリゴマーに変換するステップを更に含む請求項7に記載の方法。
【請求項9】
複数のプリプレグ、複数のイミドプリプレグ、またはプリプレグとイミドプリプレグの組み合わせのうちの少なくとも1つを積層し、その積層物を熱硬化する、繊維強化複合材料を製造する方法であって、
プリプレグが、請求項1に記載のアミド酸オリゴマー溶液を含浸させた繊維を含み、
イミドプリプレグが、前記プリプレグを加熱して前記アミド酸オリゴマーをイミドオリゴマーに変換したものである、方法。
【請求項10】
前記アミド酸オリゴマーが一般式(1)
【化3】
一般式(1)
によって表わされ、式中、
R
1およびR
2はそれぞれ、二価の芳香族ジアミン残基を表わし、
R
3およびR
4はそれぞれ、四価の芳香族テトラカルボン酸残基を表わし、
R
3およびR
4に結合した2個のアミド基は、トランスまたはシスのいずれかの位置に存在し、
R
5およびR
6はそれぞれ、水素原子またはフェニル基を表わし、R
5またはR
6の少なくとも1つはフェニル基であり、
mおよびnは、m≧1、n≧0、l≦m+n≦20、および0.05≦m/(m+n)≦1の関係を満たし、
mおよびnによって形成される繰り返し単位は、ブロックで又はランダムに配置されてもよく、
R
3およびR
4によって表わされる四価の芳香族テトラカルボン酸残基に結合した2個のアミド結合は、前記残基のどちらかの側の2個のアミド結合が、互いに対して前記残基のメタ位に、および/または互いに対して前記残基のパラ位に、位置するように配向することができる請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記アミド酸オリゴマーが一般式(2)
【化4】
一般式(2)
によって表わされ、式中、
R
1およびR
2はそれぞれ、二価の芳香族ジアミン残基を表わし、
R
3およびR
4はそれぞれ、四価の芳香族テトラカルボン酸残基を表わし、
R
3およびR
4に結合した2個のアミド基は、トランスまたはシスのいずれかの位置に存在し、
R
5およびR
6はそれぞれ、水素原子またはフェニル基を表わし、R
5またはR
6の少なくとも1つはフェニル基であり、
mおよびnは、m≧1、n≧0、l≦m+n≦20、および0.05≦m/(m+n)≦1の関係を満たし、
mおよびnによって形成される繰り返し単位は、ブロックで又はランダムに配置されてもよく、
R
3およびR
4によって表わされる四価の芳香族テトラカルボン酸残基に結合した2個のアミド結合は、前記残基のどちらかの側の2個のアミド結合が、互いに対して前記残基のメタ位に、および/または互いに対して前記残基のパラ位に、位置するように配向することができる請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記アミド酸オリゴマーが一般式(3)
【化5】
一般式(3)
によって表わされ、式中、
R
1およびR
2はそれぞれ、二価の芳香族ジアミン残基を表わし、R
5およびR
6はそれぞれ、水素原子またはフェニル基を表わし、R
5またはR
6の少なくとも1つはフェニル基であり、mおよびnは、m≧1、n≧0、l≦m+n≦20、および0.05≦m/(m+n)≦1の関係を満たし、mおよびnによって形成される繰り返し単位は、ブロックで又はランダムに配置されてもよい請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記アミド酸オリゴマーが一般式(4)
【化6】
一般式(4)
によって表わされ、式中、
R
1およびR
2はそれぞれ、二価の芳香族ジアミン残基を表わし、
R
3およびR
4はそれぞれ、四価の芳香族テトラカルボン酸残基を表わし、
R
3およびR
4に結合した2個のアミド基は、トランスまたはシスのいずれかの位置に存在し、
R
5およびR
6はそれぞれ、水素原子またはフェニル基を表わし、R
5またはR
6の少なくとも1つはフェニル基であり、
mおよびnは、m≧1、n≧0、l≦m+n≦20、および0.05≦m/(m+n)≦1の関係を満たし、
mおよびnによって形成される繰り返し単位は、ブロックで又はランダムに配置されてもよく、
R
3およびR
4によって表わされる四価の芳香族テトラカルボン酸残基に結合した2個のアミド結合は、前記残基のどちらかの側の2個のアミド結合が、互いに対して前記残基のメタ位に、および/または互いに対して前記残基のパラ位に、位置するように配向することができる請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記芳香族ジアミンが、2-フェニル-4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、1,4-ジアミノベンゼン、1,3-ジアミノベンゼン、1,2-ジアミノベンゼン、2,6-ジエチル-l,3-ジアミノベンゼン、4,6-ジエチル-2-メチル-1,3-ジアミノベンゼン、3,5-ジエチルトルエン-2,6-ジアミン、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル(4,4’-ODA)、3,4’-ジアミノジフェニルエーテル(3,4’-ODA)、3,3’-ジアミノジフェニルエーテル、3,3’-ジアミノベンゾフェノン、4,4’-ジアミノベンゾフェノン、3,3’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、ビス(2,6-ジエチル-4-アミノフェニル)メタン、4,4’-メチレン-ビス(2,6-ジエチルアニリン)、ビス(2-エチル-6-メチル-4-アミノフェニル)メタン、4,4’-メチレン-ビス(2-エチル-6-メチルアニリン)、2,2-ビス(3-アミノフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-アミノフェニル)プロパン、l,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、l,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン、l,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、l,4-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン、ベンジジン、3,3’-ジメチルベンジジン、2,2-ビス(4-アミノフェノキシ)プロパン、2,2-ビス(3-アミノフェノキシ)プロパン、2,2-ビス[4’-(4”-アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、9,9-ビス(4-アミノフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-(4-アミノフェノキシ)フェニル)フルオレンおよびその混合物からなる群から選択される請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記芳香族テトラカルボン酸化合物が、1,2,4,5-ベンゼンテトラカルボン酸、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸、ビス(3,4-カルボキシフェニル)エーテル、1,2,4,5-ベンゼンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4-カルボキシフェニル)エーテル二無水物およびその混合物からなる群から選択される請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記不飽和酸無水物が、4-(2-フェニルエチニル)フタル酸無水物、ナジック酸無水物、無水フタル酸、2-メチルフタル酸無水物、およびその混合物からなる群から選択される請求項1に記載の方法。
【請求項17】
アミド酸オリゴマー粉末を製造する方法であって、請求項1に記
載のアミド酸オリゴマー溶液から前記溶媒を除去し、アミド酸オリゴマーを粉砕してアミド酸オリゴマー粉末を形成する、方法。
【請求項18】
イミドオリゴマー粉末を製造する方法であって、請求項17に記載のアミド酸オリゴマー粉末を熱処理する、方法。
【請求項19】
硬化イミド樹脂を製造する方法であって、請求項17に記載のアミド酸オリゴマー粉末を熱処理する、方法。
【請求項20】
硬化イミド樹脂を製造する方法であって、請求項18に記載のイミドオリゴマー粉末を熱処理する、方法。
【請求項21】
請求項
17に記載のアミド酸オリゴマー粉末が、25℃~250℃の温度範囲にわたって10
4Pa・秒より高い複素粘度を有する、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、その開示が引用することにより本明細書の記載の一部をなすものとする、2018年10月2日に出願された、NOVEL AMIDE ACID OLIGOMER PROCESS FOR MOLDING POLYIMIDE COMPOSITESと題する米国特許仮出願第62/740,149号の出願日の利益を主張する。
【0002】
本発明は、アミド酸オリゴマー(AAO)溶液と、AAO溶液、粉末、AAO溶液プリプレグ、AAO乾燥プリプレグ、及びイミドプリプレグを製造する方法と、AAO溶液から調製される高温耐性および優れた機械的性質を有する繊維強化ポリイミド複合材とに関する。
【背景技術】
【0003】
ポリイミド複合材用の従来のプリプレグは、典型的にはガンマ-ブチロラクトン(「g-BL」、沸点:約204℃)、ジメチルアセトアミド(「DMAc」、沸点:約165℃)、およびN-メチル-2-ピロリドン(「NMP」、沸点:約202℃)またはジアミンを含む高極性高沸点溶媒を含み、これら溶媒は有毒の可能性が考えられている。
【0004】
炭素繊維(CF)強化ポリイミド複合材は、例えば航空宇宙エンジン構成要素などの高温用途でチタン合金の代わりの軽量材料として使用されている。最近の30年にわたって、多くの熱硬化性ポリイミドが、航空宇宙用途のための先進複合材料のマトリックス樹脂として使用されるために開発されている。しかしながら、実用化は、ポリイミド複合材の高温耐久性および高い機械的性質の両方を確保する難しさにより、航空機において非常に限定されている。
【0005】
図1に示すように、ピロメリト酸二無水物(「PMDA」)、2-フェニル-4,4’-ジアミノジフェニルエーテル(「ph-ODA」)およびフェニルエチニルフタル酸無水物(「PEPA」)に由来するフェニルエチニルを末端基とするイミドオリゴマーの高濃度NMP溶液(30重量%)が、米国特許出願第13/062,132号および米国特許第8,846,532号(以下、「Miyauchiら」と称する)において開示されている。イミドオリゴマー溶液は、NMP溶媒中約200℃でモノマーの溶液イミド化法を使用して対応するアミド酸オリゴマーを形成することによって合成された。水への再沈、メタノール洗浄および真空乾燥によって調製された後のイミドオリゴマー粉末は、250℃より高温で非常に良好な溶融流動性を示し、続いて約370℃でホットプレス機を1時間使用してイミドオリゴマーのPEPA末端基の架橋および鎖延長により、硬化ポリイミド樹脂に成功裡に変換された。硬化イミド樹脂は、340℃を超えるTg、および15%を超える優れた破断時の伸びを示した。
【0006】
さらに、Miyauchiらは、イミドオリゴマーのNMP溶液および炭素繊維で構成されるウェットプリプレグ(NMP溶液プリプレグ)をイミドオリゴマーのNMP溶液を含む浸漬プロセスによる炭素繊維の含浸によって成功裡に調製した。しかし、複合材パネルを製造するための成形時に、特に30を超える層を有する積層プリプレグからNMP溶媒を完全に除去することは非常に困難である。これは、NMP溶媒が、イミドオリゴマー中のイミド基と高極性を有するNMP溶媒分子との間に非常に高沸点で非常に強い分子間相互作用を有するからである。その結果、成形された複合材パネル中に残存するNMP溶媒は、成形された複合材の耐熱性および機械的特性を、ポリイミドマトリックス樹脂の可塑化および軟化によって低下させる。
【0007】
アミド酸オリゴマーのNMP溶液および含浸によって調製された炭素繊維で構成されるウェットプリプレグは、米国特許第6,281,323号に開示されている。しかし、また積層プリプレグからNMP溶媒を完全に除去することは非常に困難である。さらにアミド酸オリゴマーのイミド化反応によって発生した水副生物は、プリプレグ中のNMP溶媒に容易に吸収され、続いてNMP溶媒との良好な相溶性を有するプリプレグ中に残存する。プリプレグ中の水副生物は、高温で蒸発した後に複合材中にボイドを発生させる原因になった。欠陥として複合材中に含まれる空隙は、一般に、機械的性質の低減を引き起こす。
【0008】
これらの問題を解決するために、上記のMiyauchiらは、原料(「モノマー」)および150℃未満の沸点を有する溶媒を使用して複合材パネルを成形する代替プロセスを開発した。モノマー反応体(「PMR」)のインサイチュー重合法を使用してPMDAジエステル、PEPAモノエステル、ph-ODAによって調製されたワニス、および1,4-ジオキサン(沸点:101℃)またはアルコール(
図2)を含む溶媒は、米国特許第10,047,246号のウェットプリプレグ用のモノマー溶液として開示されている。その結果、複合材パネルはまた、残存溶媒を含まないモノマー溶液プリプレグを使用して、成功裡に成形された。さらに、その内容が本明細書の記載の一部をなすものとする、2018年5月21日に出願された米国特許仮出願第62/674,298号の優先権を主張する、2019年5月21日に出願された国際出願PCT/US2019/33300号は、モノマー、アルコール溶媒および繊維(PMRプリプレグ)で構成されるプリプレグを使用して成形された織物複合材を対象とし、これは-54から232℃の間の温度範囲で熱サイクルした後、2000回後に有意な内部損傷を示さなかった。しかしながら、発明された他のPMRプリプレグはこれまでのところ、内部のモノマー、特に恐らく変異原性またはアレルゲンを有するジアミンの存在により有害物質と一般に見なされている。したがって、いかなるモノマーも含まない代替プリプレグを開発する必要がある。さらに、複合材の成形プロセスで低沸点を有するプリプレグ溶媒が、完全に除去されるように、使用される必要がある。またPMRプリプレグ中で使用される、メタノール(約65℃の低沸点を有する)およびエタノール(約78℃の低沸点を有する)溶媒は、保管の間に冷凍庫中であっても、それらの低沸点および高い蒸気圧により容易に蒸発する。その結果、PMRプリプレグの粘着性およびドレープ性は、溶媒の蒸発によって容易に低下した。さらに、部分的にまたは完全に乾燥したPMRプリプレグをレイアップし、特に複雑形状を有する複合材を成形することは極めて困難である。
【発明の概要】
【0009】
これらの問題を解決するために、本発明は、アミド酸オリゴマー(「AAO」)、ならびに特定の修飾アルコール溶媒または有機溶媒およびアルコールで構成される混合溶媒を含む代替の低毒性プリプレグを提供する。これらの溶媒は150℃未満(
図3)の沸点を有する。本発明者らは、得られたAAO粉末の全量について、ゲル浸透クロマトグラフィーによって検出される約5%未満の残存モノマーの限定量が、AAO溶液および本発明のプリプレグに含まれることを発見した。さらに、本発明者らは、本発明のAAO溶液が以下の恩恵のいくつかを有することを知った。第一に、発明のAAO製造方法を使用して調製される硬化イミド樹脂は、従来の方法と比較して高い破断時の伸びを示した。第二に、本発明のAAOプリプレグは、より良好な長期貯蔵安定性を有し、プリプレグの接着性または粘着性を維持してレイアップのために相互に緊密に付着する。この恩恵によってまた、メタノール、エタノールおよびプロパノールなどの純粋なアルコールのみを使用する従来のPMRプリプレグと比較して成形プロセス前にプリプレグ間の空気を除去しつつ使用者がより容易にAAOプリプレグをレイアップできるようになる。第三に、低沸点溶媒は、複合材成形中の積層AAOプリプレグから、PMRプリプレグと同様に容易に除去することができるが、それはNMP溶液プリプレグよりはるかに容易である。最後に、発明のAAOプリプレグによって製造される、成形されたポリイミド複合材は、プリプレグのタイプにかかわらず先に公知の方法に匹敵する高い短ビーム剪断強さを示した。
【0010】
本開示は、芳香族ジアミンおよび芳香族テトラカルボン酸化合物を150℃未満の沸点を有する溶媒に溶解させて混合物を形成するステップと、約5℃~約60℃の範囲の温度で約1時間~約24時間にわたり混合物を撹拌して反応溶液を形成するステップと、不飽和酸無水物を反応溶液に添加するステップと、約5℃~約60℃の範囲の温度で約1分~約180分間にわたり反応溶液を撹拌して、溶媒中にアミド酸オリゴマーを有するアミド酸オリゴマー溶液を形成するステップとを含む方法を記載する。また、本開示は、アミド酸オリゴマー溶液から溶媒を除去しアミド酸オリゴマーを粉砕してアミド酸オリゴマー粉末を形成することによって調製されるアミド酸オリゴマー粉末を記載する。
【0011】
また、本開示は、イミドオリゴマー粉末であって、アミド酸オリゴマー粉末を熱処理することによって調製されたイミドオリゴマー粉末を記載する。
【0012】
また、本開示は、硬化イミド樹脂であって、アミド酸オリゴマー粉末を熱処理することによって調製された硬化イミド樹脂を記載する。
【0013】
また、本開示は、硬化イミド樹脂であって、イミドオリゴマー粉末を熱処理することによって調製された硬化イミド樹脂を記載する。
【0014】
また、本開示は、アミド酸オリゴマー粉末であって、約25℃~約250℃の温度範囲にわたって104Pa・秒より高い複素粘度を有するアミド酸オリゴマー粉末を記載する。
【0015】
また、本開示は、複数のプリプレグ、複数のイミドプリプレグ、またはプリプレグおよびイミドプリプレグの組み合わせの少なくとも1つを積層し、積層物を熱硬化させることによって調製された繊維強化複合材料を記載し、プリプレグは、アミド酸オリゴマー溶液を含浸させた繊維を含み、イミドプリプレグは、プリプレグを加熱してアミド酸オリゴマーをイミドオリゴマーに変換することにより調製される。
【0016】
また、本開示は、プリプレグであって、アミド酸オリゴマー溶液を含浸させた繊維を含むプリプレグを記載する。
【0017】
また、本開示は、イミドプリプレグであって、アミド酸オリゴマー溶液を含浸させてから、熱処理してアミド酸オリゴマーをイミドオリゴマーに変換した繊維を含むイミドプリプレグを記載する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】N-メチルピロリドン溶媒を使用する溶液イミド化法による、イミドオリゴマーの従来の合成経路の反応スキームを示す図である。
【
図2】アルコール溶媒を使用するモノマー反応体のインサイチュー重合(PMR)法による、イミドオリゴマーの従来の合成経路の反応スキームを示す図である。
【
図3】本開示に係るアミド酸オリゴマー(AAO)法を使用してイミドオリゴマーを合成する反応スキームを示す図である。
【
図4A】本開示に係る一般式(5)[式中、m=0である]によって表わされたイミドオリゴマーのゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)チャートを示す図である。
【
図4B】一般式(1)、(2)、(3)または(4)[式中、R
1およびR
2はそれぞれ独立して2-フェニル-4,4-ジアミノジフェニルエーテル残基であり、R
3およびR
4はそれぞれ独立して1,2,4,5-ベンゼンテトラカルボン酸二無水物残基であり、本開示によると平均でm=6およびn=0である]によって表わされたアミド酸オリゴマーのGPCチャートを示す図である。
【
図5】PMR法による繊維の含浸前のモノマー混合物粉末、および本開示に係るAAO法によって調製されたAAO粉末の溶融粘度データを示すグラフである。
【
図6】本開示に係る硬化イミド樹脂の典型的な示差走査熱量測定法の溶融粘度データを示すグラフである。
【
図7】本開示に係る硬化イミド樹脂の典型的な示差走査熱量測定法のデータを示すグラフである。
【
図8】本開示に係る硬化イミド樹脂の典型的な動的機械分析(DMA)データを示すグラフである。
【
図9】複合材成形用のバッグシステムの断面構造を示す図である。
【
図10】本開示に従ってホットプレス機を使用して、複合材を成形するための硬化サイクルを示すグラフである。
【
図11】本開示に係る成形複合材パネルの写真である。
【
図12】本開示に係る成形複合材パネルの断面の光学顕微鏡によって捕捉された写真である。
【
図13】本開示に係る複合材パネルの典型的な動的機械的(DMA)データを示すグラフである。
【
図14A】本開示に係る一般式(5)[式中、平均でm=6である]によって表わされたAAO(実施例1)、PMR(比較例2)およびNMP法をそれぞれ使用して調製されたイミドオリゴマーのGPCチャートを示す図である。
【
図14B】本開示に係る一般式(5)[式中、平均でm=6である]によって表わされたAAO(実施例1)、PMR(比較例2)およびNMP法をそれぞれ使用して調製されたイミドオリゴマーのGPCチャート示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明は、低沸点溶媒を使用するAAO溶液と、AAO溶液、AAO粉末、AAO溶液プリプレグ、AAO乾燥プリプレグ、イミドオリゴマー、硬化イミド樹脂、及びイミドプリプレグを製造する方法と、それから調製された高温耐性を有する繊維強化ポリイミド複合材とを対象とする。本明細書に開示される溶液および方法は、有利には、プリプレグの調製において、繊維へのモノマー残留物の限定された量の含浸を含む。これらの方法によって、また、正味の硬化樹脂は、従来の方法と比較してガラス転移温度(「Tg」)を犠牲にせずに、大きい変形を有することができる。さらに、繊維強化ポリイミド複合材は、室温で高い短ビーム剪断(「SBS」)強さを示した。
【0020】
AAO溶液を含浸したプリプレグは、従来のモノマーを含浸したプリプレグの毒性問題を解決するために開発された。AAO法(
図3)およびPMR法(
図2)はどちらもph-ODAを使用すると認めることができるが、AAO法を使用すると、ph-ODAは溶媒中の重合によって予めAAOに組み入れられ、次いで繊維にAAO溶液を含浸させてAAOプリプレグを製造する。プリプレグ中のAAOは加熱によってイミドオリゴマーに変換することができる。対照的に、PMR法については、モノマー(ph-ODAを含む)をすべて含む溶液は、繊維に含浸させ、次いで、プリプレグ中のモノマーはすべて加熱によってAAO経由でイミドオリゴマーに変換することができる。一般に、PMR法の加熱プロセス中に中間のAAOのみを分離するのは、モノマーからのAAOの形成およびAAOのイミド化の相対的反応により、難しい。
【0021】
ポリアミド酸およびAAOは、一般にg-BL、DMAcおよびNMPなどの高極性有機溶媒に容易に溶解される。しかし、ポリアミド酸およびAAOは、一般にメタノール、エタノールおよびプロパノールなどのアルコール溶媒に不溶性である。本明細書に記載されるAAO法に関連する利点は、150℃未満の沸点を有する修飾アルコール溶媒または150℃未満の沸点を有する、環状エーテル溶媒およびアルコールで構成される混合溶媒中で芳香族ジアミン、および芳香族テトラカルボン酸二無水物、および不飽和酸無水物を撹拌することによって、本明細書において発明のAAO溶液を調製することができることである。さらに、上記の150℃未満の沸点を有するこれらの溶媒は、容易に除去して乾燥したAAO粉末を製造することができる。固体状態のAAOでは加水分解があまり生じないので、乾燥したAAO粉末はAAO溶液より良好な貯蔵安定性を有する。またプリプレグを形成する繊維に含浸させるためにAAO溶液で使用される、上記の150℃未満の沸点を有するこれらの溶媒は、乾燥したAAOプリプレグを製造するために、複合材成形中にプリプレグを加熱、または真空中でプリプレグを加熱することにより容易に除去することができる。また、AAOプリプレグ中で使用される上記の、150℃未満の沸点を有するこれらの溶媒は、ボイドの少ない複合材を成形するために、プリプレグを加熱、または真空中でプリプレグを加熱することにより容易に除去することができる。
【0022】
本開示のプリプレグの製造で使用される乾燥したAAO粉末は、150℃未満の温度で溶融流動性が少なく、PMR法によって製造される従来のプリプレグと比較して複合材成形中で樹脂が流れ出るのを抑制する能力を提供する。AAO粉末の複素粘度(η*)は、約25℃~約150℃の温度範囲にわたって約103~約106Pa・秒の範囲であってもよい。一部の実施形態において、AAO粉末の複素粘度は、約25℃~約150℃の温度範囲にわたって約104Pa・秒より高い場合もある。一部の実施形態において、複素粘度は、約25℃~約150℃の温度範囲にわたって約104~約106Pa・秒の範囲であってもよい。その結果、プリプレグ中の望ましい樹脂と繊維の比は、樹脂消失をせずに得られた複合材中で維持し、良好な熱的および機械的性質をもたらすことができる。本方法によって提供される別の利点は、正味の硬化樹脂の高い破断時の伸びであり、炭素繊維補強した高分子複合材により良好な耐衝撃性をもたらす。
【0023】
本方法は、また複合材を成形する前にレイアップ用のAAOプリプレグのより良好な粘着性を提供する。成形されたポリイミド複合材は、また先の方法を使用して調製された複合材と同様に高い短ビーム剪断強さ(SBS)を示す。
【0024】
上記の問題を解決するために鋭意検討した結果、発明者らは、アミド酸オリゴマーおよび特定の修飾アルコール溶媒、またはAAO法によって調製された有機溶媒およびアルコールで構成される混合溶媒を含浸させたプリプレグが、当業界で未解決のニーズを解決するために使用することができることを見いだした。
【0025】
[アミド酸オリゴマー]
一部の実施形態において、アミド酸オリゴマーは以下に示される一般式(1)
【化1】
一般式(1)
[式中、R
1およびR
2はそれぞれ、二価の芳香族ジアミン残基を表わし、R
3およびR
4はそれぞれ、四価の芳香族テトラカルボン酸残基を表わし、R
3およびR
4に結合した2個のアミド基はトランスまたはシスのいずれかの位置に存在し、R
5およびR
6はそれぞれ、水素原子またはフェニル基を表わし、R
5またはR
6の少なくとも1つはフェニル基であり、mおよびnは以下の関係:m≧1、n≧0、l≦m+n≦20、および0.05≦m/(m+n)≦1を満たし、mおよびnによって形成される繰り返し単位は、ブロックで又はランダムに配置されてもよい]
によって表わされる。R
3およびR
4によって表わされる四価の芳香族テトラカルボン酸残基に結合した2個のアミド結合は、合成されたAAO中で残基のどちらかの側の2個のアミド結合が、互いに対して残基のメタ位に、および/または互いに対して残基のパラ位に位置するように配向することができる。例えば、以下に説明される一般式(3)において、n-基およびm-基中の1,2,4,5-ベンゼンテトラカルボン酸残基に結合した2個のアミド結合は、互いに対してメタ位に位置する。
【0026】
一部の実施形態において、アミド酸オリゴマーは以下に示される一般式(2)
【化2】
一般式(2)
[式中、R
1およびR
2はそれぞれ、二価の芳香族ジアミン残基を表わし、R
3およびR
4はそれぞれ、四価の芳香族テトラカルボン酸残基を表わし、R
3およびR
4に結合した2個のアミド基はトランスまたはシスのいずれかの位置に存在し、R
5およびR
6はそれぞれ、水素原子またはフェニル基を表わし、R
5またはR
6の少なくとも1つはフェニル基であり、mおよびnは以下の関係:m≧1、n≧0、l≦m+n≦20、および0.05≦m/(m+n)≦1を満たし、mおよびnによって形成される繰り返し単位は、ブロックで又はランダムに配置されてもよい]
によって表わされる。R
3およびR
4によって表わされる四価の芳香族テトラカルボン酸残基に結合した2個のアミド結合は、合成されたAAO中で残基のどちらかの側の2個のアミド結合が、互いに対して残基のメタ位に、および/または互いに対して残基のパラ位に位置するように配向することができる。例えば、以下に説明される一般式(3)において、n-基およびm-基中の1,2,4,5-ベンゼンテトラカルボン酸残基に結合した2個のアミド結合は、互いに対してメタ位に位置する。
【0027】
一部の実施形態において、アミド酸オリゴマーは以下に示される一般式(3)
【化3】
一般式(3)
[式中、R
1およびR
2はそれぞれ、二価の芳香族ジアミン残基を表わし、R
5およびR
6はそれぞれ、水素原子またはフェニル基を表わし、R
5またはR
6の少なくとも1つはフェニル基であり、mおよびnは以下の関係:m≧1、n≧0、l≦m+n≦20、および0.05≦m/(m+n)≦1を満たし、mおよびnによって形成される繰り返し単位は、ブロックで又はランダムに配置されてもよい]
によって表わされる。n-基および/またはm-基中の、1,2,4,5-ベンゼンテトラカルボン酸残基に結合した2個のアミド結合は、合成されたAAOにおいて互いに対してメタ位または互いに対してパラ位に位置することができる。
【0028】
一部の実施形態において、アミド酸オリゴマーは以下に示される一般式(4)
【化4】
一般式(4)
[式中、R
1およびR
2はそれぞれ、二価の芳香族ジアミン残基を表わし、R
3およびR
4はそれぞれ、四価の芳香族テトラカルボン酸残基を表わし、R
3およびR
4に結合した2個のアミド基はトランスまたはシスのいずれかの位置に存在し、R
5およびR
6はそれぞれ、水素原子またはフェニル基を表わし、R
5またはR
6の少なくとも1つはフェニル基であり、mおよびnは以下の関係:m≧1、n≧0、l≦m+n≦20、および0.05≦m/(m+n)≦1を満たし、mおよびnによって形成される繰り返し単位は、ブロックで又はランダムに配置されてもよい]
によって表わされる。R
3およびR
4によって表わされる四価の芳香族テトラカルボン酸残基に結合した2個のアミド結合は、合成されたAAO中で残基のどちらかの側の2個のアミド結合が、互いに対して残基のメタ位に、および/または互いに対して残基のパラ位に位置するように配向することができる。例えば、上に説明される一般式(3)において、n-基およびm-基中の1,2,4,5-ベンゼンテトラカルボン酸残基に結合した2個のアミド結合は、互いに対してメタ位に位置する。
【0029】
一部の実施形態において、上記の一般式(1)、(2)、(3)または(4)中の芳香族ジアミン残基は、芳香族ジアミン中の2個のアミノ基間に存在する芳香族有機基である。上記の一般式(1)、(2)、(3)または(4)中の芳香族テトラカルボン酸残基は、芳香族テトラカルボン酸の4個のカルボニル基に囲まれるように存在する芳香族有機基である。芳香族有機基は芳香環含有有機基である。芳香族有機基は、好ましくは4~30個の炭素原子を有する有機基、より好ましくは4~18個の炭素原子を有する有機基、なおより好ましくは4~12個の炭素原子を有する有機基である。さらに、芳香族有機基は、好ましくは6~30個の炭素原子を有する炭化水素基、より好ましくは6~18個の炭素原子を有する炭化水素基、なおより好ましくは6~12個の炭素原子を有する炭化水素基である。
【0030】
R5およびR6はそれぞれ別々に水素原子またはフェニル基を表わし、R5およびR6の少なくとも1つはフェニル基である。それは、好ましくは、l≦m+n≦20の関係を満たし、標準温度(およそ23℃)で固体(粉状)である、主鎖中にイミド結合、および1個または2個の末端(好都合には2個の末端)に4-(2-フェニルエチニル)フタル酸無水物に由来する1個または2個の追加の重合性不飽和末端基を有するイミドオリゴマーである。
【0031】
[アミド酸オリゴマー溶液を製造する方法]
アミド酸オリゴマー溶液を製造する方法は、溶媒に芳香族ジアミンおよび芳香族テトラカルボン酸二無水物化合物を溶解させて混合物を形成するステップを含む。溶媒は約150℃未満の沸点を有する。混合物は、約5℃~約60℃の範囲の温度で撹拌される。混合物は約1時間~約24時間撹拌されて反応溶液を形成する。不飽和酸無水物は反応溶液に添加され、その後、反応溶液は約5℃~約60℃の範囲の温度で約1分~約180分間撹拌されて、溶媒中にアミド酸オリゴマーを含むアミド酸オリゴマー溶液を形成する。
【0032】
一部の実施形態において、芳香族テトラカルボン酸化合物は、1,2,4,5-ベンゼンテトラカルボン酸、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸、ビス(3,4-カルボキシフェニル)エーテル、またはそれらの少なくとも2つの組み合わせから選択され、特に、それは、より好ましくは1,2,4,5-ベンゼンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物またはビス(3,4-カルボキシフェニル)エーテル二無水物である。
【0033】
一部の実施形態において、1種または複数のテトラカルボン酸二無水物と、2-フェニル-4,4’-ジアミノジフェニルエーテルを含む芳香族ジアミンと、不飽和末端基を形成する不飽和酸無水物、例えば、4-(2-フェニルエチニル)フタル酸無水物との、アミド酸オリゴマーを合成するための反応において、無水物基の合計量および第一級アミノ基の合計量は、溶媒の存在下でほとんど同じである。そのため、上記の一般式(1)、(2)および(4)において、R3およびR4の四価の芳香族テトラカルボン酸残基はそれぞれ独立して、上記の様々なテトラカルボン酸化合物に由来する群から選択され、互いに同じでも異なっていてもよい。m>1かつn>1を満たす場合、R3およびR4は互いに同じでも異なっていてもよい。
【0034】
一部の実施形態において、1,2,4,5-ベンゼンテトラカルボン酸は、1,2,4,5-ベンゼンテトラカルボン酸,1,2,4,5-ベンゼンテトラカルボン酸二無水物(PMDA)または1,2,4,5-ベンゼンテトラカルボン酸エステルまたは塩などのその酸誘導体、特に、1,2,4,5-ベンゼンテトラカルボン酸二無水物は最も好都合である。R3およびR4が1,2,4,5-ベンゼンテトラカルボン酸残基であるアミド酸オリゴマーは、上記の一般式(3)によって表わされる。
【0035】
代替として、または1,2,4,5-ベンゼンテトラカルボン酸残基と組み合わせて、R3およびR4の四価の芳香族テトラカルボン酸残基は、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(s-BPDA)残基またはビス(3,4-カルボキシフェニル)エーテル(s-ODPA)残基、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(BTDA)残基、2,3,3’,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(a-BPDA)残基、2,2’,3,3’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(i-BPDA)残基、または2,2-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)メタン二無水物残基を含むことができる。
【0036】
一部の実施形態において、芳香族ジアミンは、2-フェニル-4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、1,4-ジアミノベンゼン、1,3-ジアミノベンゼン、1,2-ジアミノベンゼン、2,6-ジエチル-l,3-ジアミノベンゼン、4,6-ジエチル-2-メチル-1,3-ジアミノベンゼン、3,5-ジエチルトルエン-2,6-ジアミン、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル(4,4’-ODA)、3,4’-ジアミノジフェニルエーテル(3,4’-ODA)、3,3’-ジアミノジフェニルエーテル、3,3’-ジアミノベンゾフェノン、4,4’-ジアミノベンゾフェノン、3,3’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、ビス(2,6-ジエチル-4-アミノフェニル)メタン、4,4’-メチレン-ビス(2,6-ジエチルアニリン)、ビス(2-エチル-6-メチル-4-アミノフェニル)メタン、4,4’-メチレン-ビス(2-エチル-6-メチルアニリン)、2,2-ビス(3-アミノフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-アミノフェニル)プロパン、l,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、l,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン、l,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、l,4-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン、ベンジジン、3,3’-ジメチルベンジジン、2,2-ビス(4-アミノフェノキシ)プロパン、2,2-ビス(3-アミノフェノキシ)プロパン、2,2-ビス[4’-(4”-アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、9,9-ビス(4-アミノフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-(4-アミノフェノキシ)フェニルフルオレンなどの1種または複数を含むことができ、これらの化合物は、単独で又は2種以上の組み合わせにおいて使用されてもよい。特に、芳香族ジアミン化合物は、最も好ましくは9,9-ビス(4-アミノフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-(4-アミノフェノキシ)フェニル)フルオレンまたは1,3-ジアミノベンゼンである。
【0037】
実施形態において、芳香族ジアミンは2-フェニル-4,4’-ジアミノジフェニルエーテルである。一般式(1)、(2)、(3)および(4)によって表わされるアミド酸オリゴマーにおいて、R1およびR2は、2-フェニル-4,4’-ジアミノジフェニルエーテルの残基であってもよい。代替として、または2-フェニル-4,4’-ジアミノジフェニルエーテル残基と組み合わせて、二価の芳香族ジアミン残基は、上に列挙された芳香族ジアミン化合物のうちのいずれかの残基を含むことができる。
【0038】
本明細書において記載のジアミンは、好ましくはより高い機械的強度を必要とする用途のために共重合され、コポリマーのジアミンの量は、ジアミンの合計量に対して好ましくは0~50mol%、より好ましくは0~25mol%、なおより好ましくは0~10mol%である。例えば、一般式(1)において、用途がより高い機械的強度を必要とする場合、0.05≦m/(m+n)≦lが好ましく、より好ましくは0.75≦m/(m+n)<l、なおより好ましくは0.90≦m/(m+n)<l、最も好ましくは0.90≦m/(m+n)<0.95である。一態様において、共重合用のジアミンは、9,9-ビス(4-アミノフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-(4-アミノフェノキシ)フェニル)フルオレンまたは1,3-ジアミノベンゼンである。
【0039】
有利なことに、上記芳香族ジアミンとの共重合によって製造されたアミド酸オリゴマーから得られるイミドオリゴマーおよびその硬化樹脂は、熱的物性に優れている。当然のことながら、本発明において、芳香族ジアミンは、特定の所望の用途に基づいて共重合しないで使用されてもよい。
【0040】
本発明において、末端修飾(例えばアミド酸オリゴマーの末端封鎖)のために使用される不飽和酸無水物は、好ましくは4-(2-フェニルエチニル)フタル酸無水物である。4-(2-フェニルエチニル)フタル酸無水物は、芳香族テトラカルボン酸の合計量に対して好ましくは5~200mol%、特に5~150mol%の範囲の量で使用される。この4-(2-フェニルエチニル)フタル酸無水物は、結果として得られる硬化イミド樹脂または繊維強化複合材の優れた熱的および機械的特性を達成するために、単独で、またはナジック酸無水物、無水フタル酸、および2-メチルフタル酸無水物などの他の末端封鎖と組み合わせて使用されてもよい。
【0041】
使用するための溶媒の例は、これらに限定されないが、2-メトキシエタノール(沸点=125℃)、2-エトキシエタノール(沸点=135℃)、2-メトキシプロパノール(沸点=102℃)、1,3-ジオキソラン(沸点=75℃)、および2-メチル-1,3-ジオキソラン(沸点=83℃、THF(沸点=66℃)、1,3-ジオキサン(沸点=105℃)、1,4-ジオキサン(沸点=101℃)などの修飾アルコールを含む。これらの溶媒は、単独で又はそれらのうちの2つまたは3つの組み合わせで、またはアルコール、例えばメタノール、エタノールおよびプロパノールと組み合わせて使用される。
【0042】
本発明に係る末端修飾アミド酸オリゴマーを製造する方法は、例えば、芳香族テトラカルボン酸化合物(一部の実施形態において、芳香族テトラカルボン酸二無水物)、2-フェニル-4,4’-ジアミノジフェニルエーテルを含む芳香族ジアミンおよび(2-フェニルエチニル)フタル酸無水物を、すべての成分中の酸無水基の合計量(隣接するジカルボン酸基の場合には、2モルのカルボキシル基当たり酸無水物基1モルがあると見なされる。)と、アミノ基の合計量がほとんど同じである各量で、以下に記載の有機溶媒中、およそ100℃以下、特に80℃以下の反応温度で重合することによってアミド酸結合含有オリゴマーの調製により調製される。
【0043】
一実施形態において、本発明に係るアミド酸オリゴマーを製造する方法は、
i.2-フェニル-4,4’-ジアミノジフェニルエーテルを含む芳香族ジアミンを溶媒に溶解させて溶液を形成するステップと、
ii.l,2,4,5-ベンゼンテトラカルボン酸二無水物を含む芳香族テトラカルボン酸二無水物を溶液に添加して混合物を形成するステップと、
iii.混合物が均質になり、反応溶液を形成するまで、およそ5~60℃の反応温度で約1~24時間にわたり混合物を撹拌するステップと、
iv.4-(2-フェニルエチニル)フタル酸無水物を反応溶液に添加するステップと、
v.結果として得られた混合物をおよそ5~60℃の反応温度で約1~180分間にわたり撹拌してアミド酸オリゴマー溶液を形成するステップと
を含む。
【0044】
上記AAO溶液を調製する反応において、反応ステップのすべてまたは一部は、好ましくは窒素ガスまたはアルゴンガスなどの不活性ガス雰囲気の下で実行される。アミド酸オリゴマー溶液の固体含有率は、プリプレグが複合材に熱成形された後、良好な機械的性質を有する複合材を得るためには、好ましくは約15~約60重量%、より好ましくは約20~約60重量%、最も好ましくは約30~約60重量%の範囲にある。
【0045】
[アミド酸オリゴマー粉末およびそれを製造する方法]
乾燥したアミド酸オリゴマー粉末は、本明細書において記載されるように調製されるアミド酸オリゴマー溶液を使用して得ることができる。一部の実施形態において、アミド酸オリゴマー粉末を製造する方法は、アミド酸オリゴマー溶液をアルミトレーへ注ぐステップ、および大気中または真空中で20~60℃で60分~48時間空気循環オーブンまたは真空にそれを入れるステップを含む。アルミトレーから回収されたアミド酸オリゴマーは粉末形に破砕することができる。
【0046】
代替として、一部の実施形態において、アミド酸オリゴマー粉末は、アミド酸オリゴマーが溶解できない溶媒、例えば、水、アルコールまたはヘキサンなどの溶媒へアミド酸オリゴマー溶液を注いてアミド酸オリゴマーを析出させることによって調製することができる。アミド酸オリゴマーは、濾過し、乾燥し、粉末形に破砕することができる。
【0047】
アミド酸オリゴマーは、粉末として、または必要に応じて、溶媒に溶解させたままで溶液として、使用されてもよい。さらに、アミド酸性溶液は、そのまま直接に、または希釈もしくは濃縮した後、必要に応じて、アミドオリゴマーを含む液体組成物(ワニス)として使用されてもよい。
【0048】
本発明に従って調製されるアミド酸オリゴマーは、混合されて、種々の分子量を有するアミド酸オリゴマーを含んでいてもよい。代替として、本発明に係るアミドオリゴマーは、別のアミド酸と混合して使用されてもよい。
【0049】
[イミドオリゴマーおよび硬化フィルム]
イミドオリゴマー粉末は、アミド酸オリゴマー溶液またはアミド酸オリゴマー粉末を使用して得ることができる。一部の実施形態において、上で調製されたアミド酸オリゴマー溶液は、アルミトレーに注ぎ、空気循環オーブンに140~275℃で60分~48時間置き、溶媒および水(イミドオリゴマーに変換する、アミド酸オリゴマーのイミド化反応の副生物として発生する)を完全に除去する。無水酢酸とピリジン、および無水酢酸とトリエチルアミンなどの触媒の組み合わせを、また溶媒中のAAOのイミド化反応を化学的に加速するために使用することができる。より高い分子量成分を有するイミドオリゴマー混合物は、文献に報告されるように硬化樹脂に高い熱的老化安定性を提供するために使用されてもよい。(Kubota et al. High Performance Polymers, 2017, 30(3), 347-354.)。アミド酸オリゴマー粉末のイミド化は、固体状態での解離に対する反応性が低いために、平衡状態でのアミド酸オリゴマーからモノマーへの横断的反応を抑制することができると考えられる。
【0050】
一部の実施形態において、イミドオリゴマーの硬化イミド樹脂は、例えば、アミド酸オリゴマー溶液またはアミド酸オリゴマー粉末またはイミドオリゴマー粉末を基材に注型し、次いで、280~500℃の温度範囲で5~200分間にわたり加熱することによって調製することができる。本発明に係る修飾イミドオリゴマーの硬化イミド樹脂もまた、プレス成形の以下の例によって調製することができる。上で調製されたアミド酸オリゴマーまたはイミドオリゴマーは、金型などの型に充填し、圧縮成形し、続いて10~280℃の温度範囲で1~10kg/cm2および約1秒~360分間、好ましくは約10秒~3時間にわたり加熱し、中間成形体を280~500℃、約10分~360分間、好ましくは約30分~120分間、硬化させる。硬化イミド樹脂のTgは、好ましくは320℃以上である。フィルムの引張破断伸びは、好ましくは15%以上である。試験法は以下に記載される。
【0051】
[プリプレグ]
AAOプリプレグは、上記アミド酸オリゴマー溶液の繊維への含浸によって製造することができる。
【0052】
一部の実施形態において、20重量%以上の合計量のアミド酸オリゴマーを有するアミド酸オリゴマー溶液が調製される。必要ならば、アミド酸オリゴマー溶液(例えば、ワニス)は、適切に濃縮または希釈し、次いで、平面形状または繊維織物の一方向に配置された繊維へ含浸させて、ウェットプリプレグを得る。ウェットプリプレグは、加熱などの公知の方法によって少なくとも部分的に乾燥して、部分的に乾燥した、または完全に乾燥したプリプレグを得てもよい。本発明のAAOプリプレグは、ウェットAAOプリプレグ、部分的に乾燥したAAOプリプレグ、および/または乾燥したAAOプリプレグを含む。
【0053】
イミドプリプレグは、アミド酸オリゴマーをイミドオリゴマーに変換するのに十分な温度で、アミド酸オリゴマー含浸繊維を加熱することにより調製することができる。例示の温度範囲は約140℃~約275℃であってもよい。
【0054】
繊維強化複合材料は、アミド酸プリプレグ、イミドプリプレグまたはその組み合わせを積層または配置し、積層物を熱硬化して繊維強化複合材料を形成することができる。繊維強化複合材料が優れた機械的強度を示すためには、繊維強化複合材料中の硬化樹脂と繊維の間に釣り合いが取れなければならない。繊維に結合するアミド酸オリゴマーの量は、アミド酸オリゴマー溶液および炭素繊維で構成されるプリプレグの合計重量に対して、好ましくは10~60重量%、より好ましくは20~50重量%、さらにより好ましくは30~50重量%である。
【0055】
積層時に容易にプリプレグを扱い、プリプレグ中のAAO溶液が複合材料を成形するプロセスで流れ出るのを防止し、優れた機械的強度を示す繊維強化複合材料を製造するためには、繊維に結合する有機溶媒の量は、プリプレグの合計重量に対して好ましくは1~30重量%、より好ましくは5~25重量%、さらにより好ましくは5~20重量%である。
【0056】
本発明に使用される繊維の例は、炭素繊維、ガラス繊維、金属繊維およびセラミック繊維、ならびにポリアミド繊維などの合成有機繊維を含む。これらの繊維は、単一のタイプまたは2種以上のタイプの組み合わせとして使用されてもよい。特に、優れた機械的特性を達成するためには、炭素繊維が望ましい。炭素含有率が85~100重量%の範囲であり、少なくとも部分的に黒鉛型構造を有する連続繊維形である限り、任意のタイプの炭素繊維を使用することができる。炭素繊維の例は、ポリアクリロニトリル(PAN)系炭素繊維、レーヨン系炭素繊維、リグニン系炭素繊維、およびピッチ系炭素繊維を含む。それらの中で、PAN系炭素繊維およびピッチ系炭素繊維などの炭素繊維は、広く使用され、安価で、高い強度を有するので好ましい。典型的には、炭素繊維はサイズ処理にかけられている。そのような繊維は処理なしで使用されてもよく、または、必要なときにサイズ剤を除去するために有機溶媒などを用いて洗浄されてもよい。アミド酸オリゴマー中のカルボン酸などの幾つかの官能基は、素地の炭素繊維の官能基または炭素繊維のサイズ剤に共有結合を生じ、成形された複合材中の硬化イミド樹脂と炭素繊維との間に強力な界面の性質を設けて、優れた機械的強度を示すことができる。アミド酸オリゴマープリプレグを構成する繊維材は、UD(一方向)形、織布形(例えば、平織、サテン織り)およびニット形などの連続繊維の構造を有し、特定の形に限定されない。形は目的に依存して適切に選択することができる。形は、単一で、またはそれらの2種以上の組み合わせで使用されてもよい。
【0057】
複合構造を形成するために、複数のプリプレグプライが、「プリプレグレイアップ」を形成する積層配列でツールにレイアップされてもよい。レイアップ内のプリプレグプライは、互いに関して、例えば0°、±45°、90°などの選択される配向に配置されてもよい。プリプレグのレイアップ配列の名称において、織物の単層の配向したたて糸(Θたて糸)およびよこ糸(Θよこ糸)繊維の所定角度は、それぞれ(Θたて糸/Θよこ糸)として表わす。[(Θたて糸/Θよこ糸)]Nとして記載の織ってあるプリプレグの一方向のレイアップ配列の名称において、Nは、整数の積層プリプレグを表わす。[(Θたて糸/Θよこ糸)/(Θたて糸/Θよこ糸)/…]NSとして記載される準等方性レイアップ配列の名称において、Nは、ラミネート中に鏡面対称を有する積層された[(Θたて糸/Θよこ糸)/(Θたて糸/Θよこ糸)/…]に由来するプリプレグ群の数を表わす。Sは、「対称」の意味を表わす。プリプレグの各層の繊維方向は特定の配向に限定されず、結果として得られる複合材の優れた機械的特性を達成するために適切に選択することができる。本発明のAAOプリプレグのレイアップ配列は特定の形態に限定されず、目的に応じて適切に選択することができる。
【0058】
一部の実施形態において、例えば、以下のように、本発明の繊維強化複合材料を得ることができる。設定数のプリプレグは、カーボン繊維プリプレグの所定のレイアップ配列に合わせて積層される。プリプレグは、内部が減圧のプラスチックバッグ中で、またはバッグなしでオートクレーブ、ホットプレス、対流オーブンまたは同様の設備を単独でもしくは組み合わせて、80~500℃の温度、1~1,000kg/cm2の圧力で約10分~40時間使用し、熱硬化して繊維強化複合材料が得られる。離型フィルム、ブリーザー布、ブリーダー布およびカウルプレートもまた積層プリプレグと一緒に適切に使用することができる。対流オーブンまたは真空オーブンを上記の成形された複合材料に使用し、さらなる後硬化も適用して必要な場合に熱的および機械的特性を高めることができる。本発明において、プリプレグの使用に加えて、アミド酸ウェットプリプレグまたはアミド酸乾燥プリプレグを積層し、上記と同じように熱硬化させて繊維強化複合材料を得ることができる。
【0059】
上記のようにして得られる本発明の繊維強化複合材料は、好ましくは、320℃以上のガラス転移温度(Tg)を有する。測定は、下記の方法に従う。硬化イミド樹脂組成物またはアミド酸プリプレグのフィルム状成形品は、繊維強化複合材料と異種材料との間に挿入されてもよく、全体を加熱、溶融して統合し、繊維強化複合材料構造を得ることができる。ここで、異種材料は特定の材料に限定されず、当業界において一般に使用される任意の材料であってもよい。材料の例としては、ハニカム金属材料およびスポンジ状のコア材料が含まれる。
【0060】
[試験法]
本発明の実施形態による実施例は以下に記載されるが、しかし本発明がそれに限定されることは意図されない。下記の実施例に記載の特性は、下記の明示された試験条件の下で求めた。
【0061】
ガラス転移温度(Tg)の測定:フィルム状生成物について、動的粘弾性アナライザー(DMA、モデル:RSA-11、Rheometricによって製作)を1Hzの周波数で10℃/分の温度上昇率の測定に使用した。貯蔵弾性率曲線の低下前後の2本の正接線の交点をガラス転移温度と見なした。繊維強化複合材料について、動的粘弾性アナライザー(DMA、モデル:DMA-Q-800、TA instrumentsによって製作)を、0.1%の歪みの片持ち梁方式において1Hzの周波数で窒素流下、10℃/分の温度上昇率で測定に使用した。貯蔵弾性率曲線の低下前後の2本の正接線の交点をガラス転移温度と見なした。
【0062】
最小溶融粘度の測定:レオメーター(モデル:Discovery HR-2、TA instrumentsによって製作)を25mmの平行プレートを用いて5℃/分の温度上昇率で測定に使用した。
【0063】
弾性率測定、破断強さ測定、破断伸び測定:引張試験機(製品名:eXpert 4200、ADMETによって製作)を、1mm/分の引張速度で室温において測定に使用した。試験片は、25mmの長さ、5mmの幅、および80~120マイクロメーターの厚さを有するフィルム状形態を有していた。
【0064】
ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)測定:GPCシステム(製品名:Prominence、Shimadzu Corporationによって製作)を2本のGPCカラム(製品名:Phenogel 5μm 10E4 AおよびPhenogel(商標)5μm 100Å、Phenomenex,Incによって製作)を用いてNMP溶離液を使用して、分子量測定に使用した。TOSOH Corporationによって製作されたポリスチレン標準を使用して、相対的分子量を検定した。
【0065】
下式を使用して、複合材パネル中の繊維(Vf)の量の測定を実行した。
Vf=FAW x A / (10 x B x C)
[式中、
FAWは炭素繊維織物の繊維面積重量(g/m2)であり、
Aは、複合材パネル成形に積層されるプリプレグの数であり、
Bは、炭素繊維の密度(g/cm3)であり、
Cは、成形された繊維強化ポリイミド複合材(mm)の厚さである]
【0066】
ASTM-D2344に従ってInstron 8502/CN0269万能試験機および環境室を使用して、25℃および288℃で複合材料のSBS試験を実行した。すべての試験片の寸法の平均は、24.0mm(長さ)、9.0mm(幅)、および4.5mm(厚さ)である。試験片の合計数は6であった。クロスヘッド移動率の試験速度は1.0mmであった。スパン対測定厚さの比(span-to-measured thickness ratio)は4.0であった。
【0067】
ASTM D3039に従ってInstron 8502/CN0269万能試験機を使用して、25℃に複合材料の引張試験を実行した。すべての試験片の寸法の平均は、228.5mm(長さ)、25.5mm(幅)および3.1mm(厚さ)である。試験片の合計数は6であった。クロスヘッド移動率の試験速度は1.0mmであった。
【0068】
ASTM D7264に従ってInstron 8502/CN0269万能試験機を使用して、25℃で複合材料の曲げ試験を実行した。試験片の合計数は6であった。クロスヘッド移動率の試験速度は1.0mmであった。スパン対測定厚さの比は32.0であった。
【0069】
ASTM D6272に従ってInstron 8502/CN0269万能試験機および環境室を使用して25℃および288℃で複合材料の圧縮試験を実行した。試験片の合計数は6であった。クロスヘッド移動率の試験速度は1.0mmであった。
【0070】
Northrop Material Specification NAI-1504に従ってInstron 8502/CN0269万能試験機および環境室を使用して25℃および288℃で複合材料の有孔圧縮(OHC)試験を実行した。試験片の合計数は6であった。クロスヘッド移動率の試験速度は1.0mmであった。
【0071】
Instron 8502/CN0269万能試験機および環境室を使用して、25で複合材料の衝撃(CAI)試験の後の圧縮を実行した。ASTM D7136に従って衝撃試験を行なった。CAI試験はASTM D7137に従って行なった。試験片の合計数は6であった。クロスヘッド移動率の試験速度は1.0mmであった。
【実施例】
【0072】
[実施例1]
2-フェニル-4,4’-ジアミノジフェニルエーテル270.8g(980mmol)および2-メトキシエタノール973.0gを、温度計、撹拌子および窒素供給チューブを装備した2000mL三口フラスコに添加した。窒素流下で3時間2-フェニル-4,4’-ジアミノジフェニルエーテルを40℃で1.5時間溶媒に完全に溶解させた。溶液へ183.2g(840mmol)の1,2,4,5-ベンゼンテトラカルボン酸二無水物を添加し、窒素流下で室温において2-フェニル-4,4’-ジアミノジフェニルエーテルとの重合反応によって、45℃で6時間溶液に徐々に溶解させ、淡黄色に着色した透明なアミド酸オリゴマー溶液が得られた。次いで、反応溶液に69.5g(280mmol)の4-(2-フェニルエチニル)フタル酸無水物を添加し、窒素流下で約20℃~25℃の温度範囲で2時間末端修飾のために結果として得られた混合物を反応させた。フェニルエチニル基を末端基とするアミド酸オリゴマーの茶色の着色した透明溶液が得られた。溶液中のアミド酸オリゴマーの固体含有率は40重量%であった。閉じたバイアルに溶液を入れ、冷凍庫中で-18℃において少なくとも3か月間保管し、析出は発生しなかった。
【0073】
真空オーブン中のアルミトレーへアミド酸オリゴマー溶液を注いだ。真空中50℃で溶媒を除去してアミド酸オリゴマー形が得られた。アミド酸オリゴマー形は容易に破砕されて、アミド酸オリゴマー粉末が得られた。得られたアミド酸オリゴマーは一般式(1)、(2)、(3)または(4)[式中、R1およびR2はそれぞれ独立して、2-フェニル-4,4-ジアミノジフェニルエーテル残基であり、R3およびR4はそれぞれ独立して、1,2,4,5-ベンゼンテトラカルボン酸二無水物残基であり、平均でm=6およびn=0である]で表わされる。
【0074】
得られたアミド酸オリゴマー粉末のGPCデータは3.3~8.3 x 10
3の分子量範囲(256および365nmでUVによって検出されたピークトップ分子量)において多数のピークを示し、溶媒中で確実にAAOが合成されたことを示す。使用されたモノマー、および本発明の方法を使用して別に合成したn=0を有するアミド酸オリゴマーに由来するピークはGPCチャートで検出されなかった。(
図4Aおよび4Bを参照)。さらに、アミド酸オリゴマー粉末は室温~250℃の温度範囲で一定の溶融粘度を示した(
図5を参照)。対照的に、PMDAジエチルエステル(PMDA DEE)、2-Ph-ODAおよびPEPAモノエチルエステル(PEPA MEE)を溶解させたエタノール溶液の乾燥により得られた粉末(
図5を参照)は、2-ph-ODAおよびPEPA MEEなどのモノマーが130℃未満の低融点であり、アミド酸オリゴマーを形成するこれらのモノマー間の反応で副生物としてエタノールを生成するために、80~150℃の温度範囲で大きい粘度低下を示した。
【0075】
得られたアミド酸オリゴマー粉末をアルミトレーに添加し、対流オーブンに入れてイミド化のために250℃で1時間熱処理した。その結果として対応するイミドオリゴマー形の黄色に着色した形態が得られた。イミドオリゴマー形は容易に破砕されてイミドオリゴマー粉末が得られた。得られたイミドオリゴマーは、一般式(5)[式中、平均でm=6である]で表わされた。
【0076】
イミドオリゴマーは以下のように示される一般式(5)
【化5】
一般式(5)
[式中、R
1およびR
2はそれぞれ、水素原子またはフェニル基を表わし、R
1またはR
2の少なくとも1つはフェニル基であり、R
3およびR
4はまたそれぞれ、水素原子またはフェニル基を表わし、R
3およびR
4の少なくとも1つはフェニル基であり、l≦m≦20である]
によって表わされる。
【0077】
粉状のイミドオリゴマーの最低溶融粘度は、
図6で示すレオメーターで測定した場合、362℃で2592Pa・秒であった。
【0078】
ホットプレスを1時間使用することにより370℃で2枚のポリイミド膜間の粉状イミドオリゴマーを加熱することによって、フィルム型の硬化樹脂を成形した。成形された硬化樹脂(厚さ:100μm)は、354℃のTg(DMA、
図8を参照)を示した。硬化樹脂は、引張試験によって2.3GPaのモジュラス、125MPaの破断強さおよび32%の破断伸びを示した。
【0079】
カーボン繊維プリプレグシート(12インチx12インチ平方)を、上記のように調製した35重量%のアミド酸オリゴマー溶液および8ハーネスステイン(harness stain)炭素繊維織物(製品名THORNEL T650/35、Solvay Inc.によって製作)を使用して製造した。FAWは約373 g/m2であり、炭素繊維の密度は1.8g/cm3である。8ハーネスステイン織物の単層中のたて糸およびよこ糸繊維の各角度は、浸漬法によって0°および90°である。アミド酸オリゴマープリプレグは、複合材を成形する前にレイアップするのに非常に良好な粘着性およびドレープ性を有していた。アミド酸オリゴマープリプレグは、また複合材を成形する前に容易にレイアップするために、冷凍庫中で-18℃において保管後半年超にわたって良好な粘着性およびドレープ性を維持した。プリプレグ中の炭素繊維、アミド酸オリゴマーの重量および溶媒重量は、それぞれ平均で56重量%、26重量%および15重量%であった。
【0080】
調製した上記AAO溶液プリプレグの1つのプライから、対流オーブン中60℃で6時間溶媒を除去することにより、乾燥したAAOプリプレグを製造した。得られた乾燥AAOプリプレグは、約38重量%のAAO含有率、および62重量%の炭素繊維含有率を有していた。
【0081】
上記の調製された乾燥AAOプリプレグの1つのプライを対流オーブン中60℃で6時間加熱することにより、イミドオリゴマープリプレグを製造した。得られた乾燥AAOプリプレグは、約55体積%のAAO含有率および45体積%の炭素繊維含有率を有していた。
【0082】
調製したAAO溶液プリプレグを、
図9に示すように、配列して積層し、次いでポリイミドフィルム(Thermalimide、Airtech International Inc.によって製作)でできたバッグ中でポリテトラフルオロエチレン被覆ガラス繊維織物、不織布ポリエステルマットおよびガラス繊維織物、ならびにシーラントテープと共に配置した。
図9に示すように、ホットプレス機のステンレス鋼板間にAAO溶液プリプレグの配列を有するバッグを配置した。複合材成形の間にポリイミドバッグ中に真空を適用した。繊維強化ポリイミド複合材パネルは、
図10に示す成形条件に従ってバッグシステムの内部に真空を適用してホットプレス機の使用によって成功裡に成形した。AAO溶液プリプレグの積層配列を成形後の複合材パネルの試験標準に合わせて適用した(表1)。
図11および
図12に示すように機械的試験の試料を調製した後、表面の空隙およびボイドは、顕微鏡を使用する断面観察によって複合材中に見つからず、成形された複合材パネル中の炭素繊維のフィラメント間に硬化樹脂をよく含浸したことを示す。得られた繊維強化ポリイミド複合材は、45体積%の硬化樹脂オリゴマー含有量、および55体積%の炭素繊維含有率(Vf=55%)を有していた。また成形された複合材パネルは、367℃の高いDMA Tgを示した(
図13を参照)。さらに、繊維強化ポリイミド複合材は、より高い短ビーム剪断強さ(72MPa)を示した。
【0083】
【0084】
[実施例2]
3.869g(14mmol)の2-フェニル-4,4’-ジアミノジフェニルエーテルおよび5.6gの1,3-ジオキソラン、ならびに5.6gのメタノールを温度計、撹拌子および窒素供給チューブを装備した50mL三口フラスコに添加した。2-フェニル-4,4’-ジアミノジフェニルエーテルを、窒素流下で室温において3時間、40℃で1.5時間、溶媒に完全に溶解させた。2.617g(12mmol)の1,2,4,5-ベンゼンテトラカルボン酸二無水物を溶液に添加した。次いで、窒素流下で室温において、45℃で6時間1,2,4,5-ベンゼンテトラカルボン酸二無水物を2-フェニル-4,4’-ジアミノジフェニルエーテルとの重合反応によって溶液に徐々に溶解させて淡黄色に着色した透明なアミド酸オリゴマー溶液が得られた。反応溶液に0.9929g(4mmol)の4-(2-フェニルエチニル)フタル酸無水物を添加した。次いで、窒素下で室温において2時間、末端修飾のために混合物を反応させた。フェニルエチニル基を末端基とするアミド酸オリゴマーの茶色に着色した透明溶液が得られた。溶液中のアミド酸オリゴマーの固体含有率は40重量%であった。閉じたバイアル中の溶液は、-18℃の冷凍庫中で析出も発生せずに、6か月間を超えて保管することができた。
【0085】
真空オーブン中のアルミトレーにアミド酸オリゴマー溶液を注いだ。真空中50℃で溶媒を除去してアミド酸オリゴマー形が得られた。アミド酸オリゴマー形は容易に破砕されて、アミド酸オリゴマー粉末が得られた。得られたアミド酸オリゴマーは一般式(1)、(2)、(3)または(4)[式中、R1およびR2はそれぞれ独立して、2-フェニル-4,4-ジアミノジフェニルエーテル残基であり、R3およびR4はそれぞれ独立して、1,2,4,5-ベンゼンテトラカルボン酸二無水物残基であり、平均でm=6およびn=0である]で表わされた。
【0086】
得られたアミド酸オリゴマー粉末をアルミトレーに添加し、対流オーブンに入れて イミド化のために250℃で1時間熱処理した。その結果として対応するイミドオリゴマー形の黄色に着色した形態が得られた。イミドオリゴマー形は容易に破砕されてイミドオリゴマー粉末が得られた。得られたイミドオリゴマーは、一般式(5)[式中、平均でm=6である]で表わされた。
【0087】
粉状のイミドオリゴマーの最低溶融粘度は、レオメーターで測定した場合、363℃で1915Pa・秒であった。
【0088】
ホットプレスを1時間使用することにより370℃で粉状イミドオリゴマーを加熱することによって成形したフィルム型の硬化樹脂(厚さ:100μm)は、347℃のTg(DMA)を示した。硬化樹脂は、引張試験によって2.9GPaのモジュラス、136MPaの破断強さおよび30%の破断伸びを示した。
【0089】
[実施例3]
3.731g(13.5mmol)の2-フェニル-4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、0.523g(1.5mmol)の9,9-ビス(4-アミノフェニル)フルオレン、11.75gの2-メトキシエタノールを、温度計、撹拌子および窒素供給チューブを装備した50mL三口フラスコに添加した。2-フェニル-4,4’-ジアミノジフェニルエーテルおよび9,9-ビス(4-アミノフェニル)フルオレンを、窒素流下で室温において3時間、40℃で1.5時間、溶媒に完全に溶解させた。2.617g(12mmol)の1,2,4,5-ベンゼンテトラカルボン酸二無水物を溶液へ添加した。次いで、窒素流下で室温において、45℃で6時間1,2,4,5-ベンゼンテトラカルボン酸二無水物を2-フェニル-4,4’-ジアミノジフェニルエーテルとの重合反応によって溶液に徐々に溶解させて淡黄色に着色した透明なアミド酸オリゴマー溶液が得られた。反応溶液に1.489g(6mmol)の4-(2-フェニルエチニル)フタル酸無水物を添加した。次いで、窒素流下で室温において2時間、末端修飾のために混合物を反応させた。フェニルエチニル基を末端基とするアミド酸オリゴマーの茶色に着色した透明溶液が得られた。溶液中のアミド酸オリゴマーの固体含有率は40重量%であった。閉じたバイアル中の溶液は、-18℃の冷凍庫中で析出も発生せずに、6か月間を超えて保管することができた。
【0090】
真空オーブン中のアルミトレーにアミド酸オリゴマー溶液を注いだ。真空中50℃で溶媒を除去してアミド酸オリゴマー形が得られた。アミド酸オリゴマー形は容易に破砕されて、アミド酸オリゴマー粉末が得られた。得られたアミド酸オリゴマーは一般式(1)、(2)、(3)または(4)[式中、R1は、2-フェニル-4,4’-ジアミノジフェニルエーテル残基、または9,9-ビス(4-アミノフェニル)フルオレン残基であり、R2は9,9-ビス(4-アミノフェニル)フルオレン残基を表わし、R3およびR4はそれぞれ独立して、1,2,4,5-ベンゼンテトラカルボン酸二無水物残基であり、平均でm=3.6およびn=0.4である]で表わされた。
【0091】
アルミトレーへ得られたアミド酸オリゴマー粉末を添加し、対流オーブンに入れてイミド化のために250℃で1時間熱処理した。その結果として対応するイミドオリゴマー形の黄色に着色した形態が得られた。アミドオリゴマー形は容易に破砕されてイミドオリゴマー粉末が得られた。得られたイミドオリゴマーは一般式(6)[式中、R2は9,9-ビス(4-アミノフェニル)フルオレン残基を表わし、平均でm=3.6およびn=0.4である]を表わされた。
【0092】
一般式(6)によって表わされるイミドオリゴマーは以下のように示される。
【化6】
一般式(6)
[式中、R
2は9,9-ビス(4-アミノフェニル)フルオレン残基を表わし、R
5およびR
6はそれぞれ、水素原子またはフェニル基を表わし、R
5およびR
6の1つはフェニル基であり、mおよびnは以下の関係:m≧1、n≧0、l≦m+n≦20、および0.05≦m/(m+n)≦1を満たし、mおよびnによって形成される繰り返し単位は、ブロックで又はランダムに配置されてもよい]
【0093】
粉状のイミドオリゴマーの最低溶融粘度は、レオメーターで測定した場合、355℃で698Pa・秒であった。
【0094】
得られたイミドオリゴマーのGPCデータは、
図14Aおよび
図14Bに示す。また、NMP溶液イミド化法(比較例2を参照)およびPMR法(比較例3を参照)を使用して得られた、イミドオリゴマー粉末は、
図6Aおよび
図6Bに示す。明らかに、この実験において得られたイミドオリゴマーは、従来の方法を使用して合成されたものと比較してより少数の低分子量成分を有することがわかった。
【0095】
ホットプレスを1時間使用することにより370℃で粉状イミドオリゴマーを加熱することによって成形したフィルム型の硬化樹脂(厚さ:100μm)は、373℃のTg(DMA)を示した。硬化樹脂は、引張試験によって2.0GPaのモジュラス、119MPaの破断強さおよび22%の破断伸びを示した。
【0096】
[比較例1]
100mL試料瓶に1.498g(6.0mmol)の4-(2-フェニルエチニル)フタル酸無水物および10.6gの2-メトキシエタノールを添加した。窒素を用いて容器をパージし密閉した。結果として得られた懸濁液を70℃で1時間撹拌して黄色に着色した透明溶液を得た。溶液に3.948g(18.0mmol)の1,2,4,5-ベンゼンテトラカルボン無水物を添加した。結果として得られた懸濁液を70℃で撹拌して黄色に着色した透明溶液を得た。結果として得られた懸濁液を80℃で6時間撹拌し、黄色に着色した透明溶液を得た。溶液へ5.835g(18.0mmol)の2-フェニル-4,4’-ジアミノジフェニルエーテルを添加した。70℃で結果として得られた懸濁液を撹拌して茶色に着色した透明溶液を得た。
【0097】
アルミトレーに得られた溶液を添加し、対流オーブンに入れてイミド化のために250℃で1時間熱処理した。その結果として対応するイミドオリゴマーの黄色に着色した形態が得られた。イミドオリゴマー形は容易に破砕されてイミドオリゴマー粉末が得られた。得られたイミドオリゴマーは、一般式(5)[式中、平均でm=6である]で表わされた。
【0098】
粉状のイミドオリゴマーの最低溶融粘度は、レオメーターで測定した場合、361℃で3048Pa・秒であった。
【0099】
ホットプレスを1時間使用することにより370℃で粉状イミドオリゴマーを加熱することによって成形したフィルム型の硬化樹脂(厚さ:100μm)は、344℃のTg(DMA)を示した。硬化樹脂は、引張試験によって2.5GPaのモジュラス、112MPaの破断強さおよび25%の破断伸びを示した。
【0100】
[比較例2]
100mL試料瓶へ2.247g(9.1mmol)の4-(2-フェニルエチニル)フタル酸無水物および10.0gのエタノールを添加した。窒素を用いて容器をパージし密閉した。1時間70℃で結果として得られた懸濁液を撹拌して黄色に着色した透明溶液を得た。溶液へ3.948g(18.1mmol)の1,2,4,5-ベンゼンテトラカルボン無水物を添加した。結果として得られた懸濁液を70℃で撹拌して黄色に着色した透明溶液を得た。結果として得られた懸濁液を80℃で6時間撹拌して黄色に着色した透明溶液を得た。5.627g(20.4mmol)の2-フェニル-4,4’-ジアミノジフェニルエーテルおよび0.788g(2.3mmol)の9,9-ビス(4-アミノフェニル)フルオレンを溶液に添加した。結果として得られた懸濁液を70℃で撹拌して、茶色に着色した透明溶液を得た。
【0101】
アルミトレーに得られたアミド酸オリゴマー粉末を添加し、対流オーブンに入れてイミド化のために250℃で1時間熱処理した。その結果として対応するイミドオリゴマーの黄色に着色した形態が得られた。イミドオリゴマー形は容易に破砕されてイミドオリゴマー粉末が得られた。得られたイミドオリゴマーは、一般式(6)[式中、R1は2-フェニル-4,4’-ジアミノジフェニルエーテル残基または9,9-ビス(4-アミノフェニル)フルオレン残基を表わし、R2は9,9-ビス(4-アミノフェニル)フルオレン残基を表わし、平均でm=3.6およびn=0.4である]によって表わされた。
【0102】
粉状のイミドオリゴマーの最低溶融粘度は、レオメーターで測定した場合、345℃で94Pa・秒であった。
図13Aおよび
図13Bに得られたイミドオリゴマーのGPCデータを示す。
【0103】
ホットプレスを1時間使用することにより370℃で粉状イミドオリゴマーを加熱することによって成形したフィルム型の硬化生成物(厚さ:100μm)は、357℃のTg(DMA)を示した。硬化樹脂は、引張試験によって3.2GPaのモジュラス、137MPaの破断強さおよび20%の破断伸びを示した。
【0104】
[比較例3]
220.79g(0.80mol)の2-フェニル-4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、30.95g(0.089mol)の9,9-ビス(4-アミノフェニル)フルオレンおよび860mLのN-メチル-2-ピロリドンを温度計、撹拌子および窒素供給チューブを装備した2000mL三口フラスコに入れ、溶解させ、155.04g(0.711mol)の1,2,4,5-ベンゼンテトラカルボン酸二無水物および33mLのN-メチル-2-ピロリドンをそれに添加し、窒素流下で、室温において2.5時間、60℃で1.5時間、加えて室温で1時間、重合反応において混合物を反応させてアミド酸オリゴマーが得られた。88.22g(0.355mmol)の4-(2-フェニルエチニル)フタル酸無水物を反応溶液に添加し、窒素流下で室温において12時間末端修飾のために混合物を反応させ、次いでイミド化のために5時間195℃で撹拌した。冷却した後、500mLのイオン交換水へ反応溶液の一部を注ぎ、濾過によって析出した粉末を集めた。80mLのメタノールを用いて粉末を30分間洗浄し、濾過し、濾過によって得られた粉末を1日の間、130℃において減圧下で乾燥して生成物を得た。得られたイミドオリゴマーは一般式(5)[式中、R1は2-フェニル-4,4’-ジアミノジフェニルエーテル残基または9,9-ビス(4-アミノフェニル)フルオレン残基を表わし、R2は9,9-ビス(4-アミノフェニル)フルオレン残基を表わし、平均でm=3.6およびn=0.4である]によって表わされた。
【0105】
粉状のイミドオリゴマーの最低溶融粘度は、レオメーターで測定した場合、154Pa・秒(325℃)であった。
図13Aおよび
図13Bに得られたイミドオリゴマーのGPCデータを示す。
【0106】
ホットプレスを1時間用いて370℃で粉状イミドオリゴマーを加熱することによって成形したフィルム型の硬化樹脂(厚さ:100μm)は、356℃のTg(DMA)を示した。硬化樹脂は、引張試験によって3.0GPaのモジュラス、119MPaの破断強さおよび13%の破断伸びを示した。
【0107】
要約すると、本開示は、以下を含む方法を開示する。
芳香族ジアミンおよび芳香族テトラカルボン酸化合物を150℃未満の沸点を有する溶媒に溶解させて混合物を形成するステップと、約5℃~約60℃の範囲の温度で約1時間~約24時間混合物を撹拌して反応溶液を形成するステップと、不飽和酸無水物を反応溶液に添加するステップと、および約5℃~約60℃の範囲の温度で約1分~約180分間反応溶液を撹拌して溶媒中にアミド酸オリゴマーを有するアミド酸オリゴマー溶液を形成するステップとを含み、および/または
請求項1のアミド酸オリゴマー溶液を加熱して溶媒を除去するステップと、残存するアミド酸オリゴマーを破砕してアミド酸オリゴマー粉末を形成するステップとを含み、および/または
アミド酸オリゴマー溶液またはアミド酸オリゴマー粉末を、アミド酸オリゴマーをイミドオリゴマーに変換するのに十分な温度で熱処理して、イミドオリゴマー粉末を形成するステップを含み、および/または
アミド酸オリゴマー溶液、請求項2に記載のアミド酸オリゴマー粉末、または請求項3に記載のイミドオリゴマー粉末を、300℃より高い温度で熱処理して、硬化イミド樹脂を形成するステップを含み、および/または、
ここで、イミドオリゴマーは一般式(5)
【化7】
一般式(5)
[式中、R
1およびR
2はそれぞれ、水素原子またはフェニル基を表わし、R
1またはR
2の少なくとも1つはフェニル基であり、R
3およびR
4はまたそれぞれ、水素原子またはフェニル基を表わし、R
3およびR
4の少なくとも1つはフェニル基であり、l≦m≦20である]
によって表わされ、および/または
ここで、イミドオリゴマーは一般式(6)
【化8】
一般式(6)
[式中、R
1およびR
2はそれぞれ、二価の芳香族ジアミン残基を表わし、R
5およびR
6はそれぞれ、水素原子またはフェニル基を表わし、R
5およびR
6の1つはフェニル基であり、mおよびnは以下の関係:m≧1、n≧0、l≦m+n≦20、および0.05≦m/(m+n)≦1を満たし、mおよびnによって形成される繰り返し単位は、ブロックで又はランダムに配置されてもよい]
によって表わされ、および/または
繊維にアミド酸オリゴマー溶液を含浸させてプリプレグを形成するステップを含み、および/または
繊維を熱処理してアミド酸オリゴマーをイミドオリゴマーに変換するステップを含み、および/または
ここで、アミド酸オリゴマーは一般式(1)
【化9】
一般式(1)
[式中、R
1およびR
2はそれぞれ、二価の芳香族ジアミン残基を表わし、R
3およびR
4はそれぞれ、四価の芳香族テトラカルボン酸残基を表わし、R
3およびR
4に結合した2個のアミド基はトランスまたはシスのいずれかの位置に存在し、R
5およびR
6はそれぞれ、水素原子またはフェニル基を表わし、R
5またはR
6の少なくとも1つはフェニル基であり、mおよびnは以下の関係:m≧1、n≧0、l≦m+n≦20、および0.05≦m/(m+n)≦1を満たし、mおよびnによって形成される繰り返し単位は、ブロックでランダムに配置されてもよく、R
3およびR
4によって表わされる四価の芳香族テトラカルボン酸残基に結合した2個のアミド結合は、残基のどちらかの側の2個のアミド結合が、互いに対して残基のメタ位に、および/または互いに対して残基のパラ位に位置するように配向することができる]
によって表わされ、および/または、
ここで、アミド酸オリゴマーは一般式(2)
【化10】
一般式(2)
[式中、R
1およびR
2はそれぞれ、二価の芳香族ジアミン残基を表わし、R
3およびR
4はそれぞれ、四価の芳香族テトラカルボン酸残基を表わし、R
3およびR
4に結合した2個のアミド基はトランスまたはシスのいずれかの位置に存在し、R
5およびR
6はそれぞれ、水素原子またはフェニル基を表わし、R
5またはR
6の少なくとも1つはフェニル基であり、mおよびnは以下の関係:m≧1、n≧0、l≦m+n≦20、および0.05≦m/(m+n)≦1を満たし、mおよびnによって形成される繰り返し単位は、ブロックで又はランダムに配置されてもよく、R
3およびR
4によって表わされる四価の芳香族テトラカルボン酸残基に結合した2個のアミド結合は、残基のどちらかの側の2個のアミド結合が、互いに対して残基のメタ位に、および/または互いに対して残基のパラ位に位置するように配向することができる]
によって表わされ、および/または
ここで、アミド酸オリゴマーは一般式(3)
【化11】
一般式(3)
[式中、R
1およびR
2はそれぞれ二価の芳香族ジアミン残基を表わし、R
5およびR
6はそれぞれ、水素原子またはフェニル基を表わし、R
5またはR
6の少なくとも1つはフェニル基であり、mおよびnは以下の関係:m≧1、n≧0、l≦m+n≦20、および0.05≦m/(m+n)≦1を満たし、mおよびnによって形成される繰り返し単位は、ブロックで又はランダムに配置されてもよい]
によって表わされ、および/または
ここで、アミド酸オリゴマーは一般式(4)
【化12】
一般式(4)
[式中、R
1およびR
2はそれぞれ、二価の芳香族ジアミン残基を表わし、R
3およびR
4はそれぞれ、四価の芳香族テトラカルボン酸残基を表わし、R
3およびR
4に結合した2個のアミド基はトランスまたはシスのいずれかの位置に存在し、R
5およびR
6はそれぞれ、水素原子またはフェニル基を表わし、R
5またはR
6の少なくとも1つはフェニル基であり、mおよびnは以下の関係:m≧1、n≧0、l≦m+n≦20、および0.05≦m/(m+n)≦1を満たし、mおよびnによって形成される繰り返し単位は、ブロックで又はランダムに配置されてもよく、R
3およびR
4によって表わされる四価の芳香族テトラカルボン酸残基に結合した2個のアミド結合は、残基のどちらかの側の2個のアミド結合が、互いに対して残基のメタ位に、および/または互いに対して残基のパラ位に位置するように配向することができる]
によって表わされ、および/または、
ここで、溶媒は、2-メトキシエタノール、2-エトキシエタノール、2-メトキシプロパノールまたはその混合物からなる群から選択される少なくとも1種を含み、および/または、
ここで、溶媒は、1,3-ジオキソラン、2-メチル-1,3-ジオキソラン、テトラヒドロフラン(THF)、1,3-ジオキサン、1,4-ジオキサンおよびその混合物からなる群から選択される少なくとも1種と、メタノール、エタノール、プロパノールおよびその混合物からなる群から選択される少なくとも1種とを含み、および/または、
ここで、芳香族ジアミンは、2-フェニル-4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、1,4-ジアミノベンゼン、1,3-ジアミノベンゼン、1,2-ジアミノベンゼン、2,6-ジエチル-l,3-ジアミノベンゼン、4,6-ジエチル-2-メチル-1,3-ジアミノベンゼン、3,5-ジエチルトルエン-2,6-ジアミン、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル(4,4’-ODA)、3,4’-ジアミノジフェニルエーテル(3,4’-ODA)、3,3’-ジアミノジフェニルエーテル、3,3’-ジアミノベンゾフェノン、4,4’-ジアミノベンゾフェノン、3,3’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、ビス(2,6-ジエチル-4-アミノフェニル)メタン、4,4’-メチレン-ビス(2,6-ジエチルアニリン)、ビス(2-エチル-6-メチル-4-アミノフェニル)メタン、4,4’-メチレン-ビス(2-エチル-6-メチルアニリン)、2,2-ビス(3-アミノフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-アミノフェニル)プロパン、l,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、l,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン、l,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、l,4-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン、ベンジジン、3,3’-ジメチルベンジジン、2,2-ビス(4-アミノフェノキシ)プロパン、2,2-ビス(3-アミノフェノキシ)プロパン、2,2-ビス[4’-(4”-アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、9,9-ビス(4-アミノフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-(4-アミノフェノキシ)フェニル)フルオレン、およびその混合物からなる群から選択され、および/または、
ここで、芳香族テトラカルボン酸化合物は、1,2,4,5-ベンゼンテトラカルボン酸、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸、ビス(3,4-カルボキシフェニル)エーテル、1,2,4,5-ベンゼンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4-カルボキシフェニル)エーテル二無水物、およびその混合物からなる群から選択され、および/または
ここで、不飽和酸無水物は、4-(2-フェニルエチニル)フタル酸無水物、ナジック酸無水物、無水フタル酸、2-メチルフタル酸無水物およびその混合物からなる群から選択される。
【0108】
また、本開示は、アミド酸オリゴマー粉末であって、アミド酸オリゴマー溶液から溶媒を除去し、アミド酸オリゴマーを粉砕してアミド酸オリゴマー粉末を形成することによって調製されたアミド酸オリゴマー粉末を記載する。
【0109】
また、本開示は、イミドオリゴマー粉末であって、アミド酸オリゴマー粉末を熱処理することにより調製されたイミドオリゴマー粉末を記載する。
【0110】
また、本開示は、硬化イミド樹脂であって、アミド酸オリゴマー粉末を熱処理することにより調製された硬化イミド樹脂を記載する。
【0111】
また、本開示は、硬化イミド樹脂であって、イミドオリゴマー粉末を熱処理することによって調製された硬化イミド樹脂を記載する。
【0112】
また、本開示は、アミド酸オリゴマー粉末であって、約25℃~約250℃の温度範囲にわたって104Pa・秒より高い複素粘度を有するアミド酸オリゴマー粉末を記載する。
【0113】
また、本開示は、複数のプリプレグ、複数のイミドプリプレグ、またはプリプレグとイミドプリプレグの組み合わせのうちの少なくともの1つを積層し、積層物を熱硬化することによって調製された繊維強化複合材料を記載し、ここで、プリプレグは、アミド酸オリゴマー溶液を含浸させた繊維を含み、イミドプリプレグは、プリプレグを加熱してアミド酸オリゴマーをイミドオリゴマーに変換することにより調製される。
【0114】
また、本開示は、プリプレグであって、アミド酸オリゴマー溶液を含浸させた繊維を含むプリプレグを記載する。
【0115】
また、本開示は、イミドプリプレグであって、アミド酸オリゴマー溶液を含浸させてから、熱処理してアミド酸オリゴマーをイミドオリゴマーに変換した繊維を含むイミドプリプレグを記載する。
【0116】
本明細書の発明は特定の実施形態に関して記載されたが、これらの実施形態が本発明の原理および応用の単に例示であることは理解されるべきである。したがって、例示的な実施形態に対して数多くの変更が行われ得ること、および添付の特許請求の範囲によって定義されるような本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、他の構成が考案され得ることは理解されるべきである。