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特許7606967電源装置及びこれを用いた電動車両並びに蓄電装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-18
(45)【発行日】2024-12-26
(54)【発明の名称】電源装置及びこれを用いた電動車両並びに蓄電装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/262 20210101AFI20241219BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20241219BHJP
   H01M 10/625 20140101ALI20241219BHJP
   H01M 10/647 20140101ALI20241219BHJP
   H01M 10/6554 20140101ALI20241219BHJP
   H01M 50/204 20210101ALI20241219BHJP
   H01M 50/209 20210101ALI20241219BHJP
   H01M 50/249 20210101ALI20241219BHJP
   H01M 50/264 20210101ALI20241219BHJP
【FI】
H01M50/262 Z
H01M10/613
H01M10/625
H01M10/647
H01M10/6554
H01M50/204 401H
H01M50/209
H01M50/249
H01M50/262 E
H01M50/264
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021537673
(86)(22)【出願日】2020-07-20
(86)【国際出願番号】 JP2020028026
(87)【国際公開番号】W WO2021024773
(87)【国際公開日】2021-02-11
【審査請求日】2023-05-12
(31)【優先権主張番号】P 2019145727
(32)【優先日】2019-08-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001889
【氏名又は名称】三洋電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003225
【氏名又は名称】弁理士法人豊栖特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高橋 宏行
【審査官】森 透
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-073642(JP,A)
【文献】特開2016-091991(JP,A)
【文献】国際公開第2013/031613(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/003772(WO,A1)
【文献】中国実用新案第208860510(CN,U)
【文献】特開2016-039023(JP,A)
【文献】特開2008-277050(JP,A)
【文献】特開2017-041322(JP,A)
【文献】国際公開第2017/158950(WO,A1)
【文献】特開2017-195018(JP,A)
【文献】特開2015-149238(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0308242(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0004533(US,A1)
【文献】国際公開第2020/151271(WO,A1)
【文献】中国実用新案第205609622(CN,U)
【文献】中国実用新案第204255553(CN,U)
【文献】中国特許出願公開第109094349(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第108493380(CN,A)
【文献】独国特許出願公開第102014212113(DE,A1)
【文献】中国特許出願公開第109461989(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/262
H01M 50/209
H01M 50/264
H01M 10/613
H01M 10/6554
H01M 10/625
H01M 10/647
H01M 50/249
H01M 50/204
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力供給対象機器に固定するための電源装置であって、
外装缶を角型とする複数の電池セルと、
前記複数の電池セルを積層した電池積層体の両側端面を覆う一対のエンドプレートと、
前記複数の電池セルの積層方向に沿って延長された板状で、前記電池積層体の対向する側面にそれぞれ配置されて、前記エンドプレート同士を締結する複数の締結部材と、
前記一対のエンドプレートをそれぞれ電力供給対象機器に固定するためのブラケットと、
前記エンドプレートと前記ブラケットのそれぞれの界面、該エンドプレートを前記電池積層体を積層方向に摺動させるガイド機構と、
前記エンドプレートと前記ブラケットのそれぞれの界面に配置された弾性体と、
を備え、
前記締結部材で締結された前記エンドプレートの外側に、前記弾性体を配置してなる電源装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電源装置であって、
前記ガイド機構が、
前記エンドプレートから突出させたガイド軸と、
前記ブラケットに開口されたガイド筒とで構成されてなる電源装置。
【請求項3】
請求項2に記載の電源装置であって、
前記ガイド筒が、前記ガイド軸を摺動自在に圧入したブッシュを備える電源装置。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載の電源装置であって、
前記弾性体が、ばね材である電源装置。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載の電源装置であって、
前記締結部材は、前記電池積層体の側面を覆う締結主面の長手方向の端部をL字状に折曲させたエンドプレート係止片を備えており、
前記エンドプレート係止片を、前記エンドプレートと前記ブラケットの間で、前記エンドプレートに固定してなる電源装置。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載の電源装置であって、
前記電池積層体の、積層方向の中央を、電力供給対象機器に固定してなる電源装置。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載の電源装置であって、さらに、
前記電池積層体の下面を覆う下部プレートを備えており、
前記複数の締結部材は、前記下部プレートの上面に前記電池積層体を載置した状態で前記エンドプレート同士を締結してなる電源装置。
【請求項8】
請求項7に記載の電源装置であって、さらに、
前記下部プレートの上面と、前記電池積層体の下面との間に介在されて、前記下部プレートと電池積層体とを熱結合状態とする伝熱シートと、
を備える電源装置。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一に記載の電源装置を備える車両であって、
前記電源装置と、該電源装置から電力供給される走行用のモータと、前記電源装置及び前記モータを搭載してなる車両本体と、前記モータで駆動されて前記車両本体を走行させる車輪とを備える車両。
【請求項10】
請求項1~8のいずれか一に記載の電源装置を備える蓄電装置であって、
前記電源装置と、該電源装置への充放電を制御する電源コントローラとを備えており、前記電源コントローラでもって、外部からの電力により前記電池セルへの充電を可能とすると共に、該電池セルに対し充電を行うよう制御する蓄電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源装置及びこれを用いた電動車両並びに蓄電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電源装置は、電動車両の駆動用の電源装置や蓄電用の電源装置等に利用されている。このような電源装置は、充放電可能な複数の電池セルを複数枚積層している。また電池セルは、充放電によって外装缶が膨張することが知られている。一般的には、図12の斜視図に示すように、電源装置900は角型の外装缶の電池セル901を、絶縁性のスペーサ902と交互に積層した電池積層体の両側の端面に、それぞれエンドプレート903を配置し、エンドプレート903同士を金属製のバインドバー904で締結している。
【0003】
また、このような電源装置900は、図13に示すようにエンドプレートやバインドバー904をブラケット960を介して電動車両等にボルトで締結するなどして固定されている。
【0004】
一方で、近年の高容量化の要求に伴い、電池積層体を構成する電池セルの積層数が増大する傾向にある。このような構成においては、各電池セルが膨張する膨化量が累積されて、電池積層体全体の伸び量が増える。この結果、電源装置を電動車両等に固定するブラケットの固定点に大きな負荷が掛かるという問題があった。例えば図13の側面図に示すような長さの電源装置900に対して、図14の側面図に示す電源装置700のように電池セルの積層数を増やすと、積層数に応じて延び量も累積されて大きくなる結果、電源装置を固定するブラケット760の固定点に印加される応力負荷も過大となって、疲労や劣化が懸念される。
【0005】
また電池積層体の長尺化が進むと、膨化力を受けるバインドバー704も長尺となって伸び量が増えるため、さらにブラケットに対する応力が大きくなる。このような伸び量に対応したブラケット760やボルトを準備しようとすると、ブラケット760の材質を高価なタイプに変更したり、板厚を増したりボルト径や本数が増えるなど、コストアップと重量増を招くという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】国際公開第2018/012224号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的の一は、電池積層体が長くなった場合でも、電動車両等に固定する固定構造に大きな負荷がかからないようにした電源装置及びこれを用いた電動車両並びに蓄電装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のある側面に係る電源装置は、電力供給対象機器に固定するための電源装置であって、外装缶を角型とする複数の電池セルと、前記複数の電池セルを積層した電池積層体の両側端面を覆う一対のエンドプレートと、前記複数の電池セルの積層方向に沿って延長された板状で、前記電池積層体の対向する側面にそれぞれ配置されて、前記エンドプレート同士を締結する複数の締結部材と、前記一対のエンドプレートをそれぞれ電力供給対象機器に固定するためのブラケットと、前記エンドプレートと前記ブラケットの界面の少なくとも一で、該エンドプレートを前記電池積層体を積層方向に摺動させるガイド機構と、前記エンドプレートと前記ブラケットの少なくとも一の界面に配置された弾性体とを備える。
【発明の効果】
【0009】
上記構成により、電池セルの膨張によって電池積層体が変位しても、ガイド機構によってエンドプレートが積層方向に沿って移動することを許容しつつ、弾性体によって電池積層体を安定的に保持することが可能となる。よって、電池セルの積層数が増えて変位が大きくなっても、エンドプレートや締結部材の固定部分に過度の負荷がかかる事態を避けて、膨張や収縮を許容しながら安定的に電源装置を保持でき、信頼性が高められる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態1に係る電源装置を電力供給対象機器に固定した状態を示す模式側面図である。
図2図1の電源装置の分解斜視図である。
図3図2の電源装置のIII-III線における要部拡大断面図である。
図4図2の電源装置の更なる分解斜視図である。
図5】電源装置の固定位置を示す断面図である。
図6】実施形態2に係る電源装置の要部拡大側面図である。
図7】実施形態3に係る電源装置の側面図である。
図8】実施形態4に係る電源装置の側面図である。
図9】エンジンとモータで走行するハイブリッド車に電源装置を搭載する例を示すブロック図である。
図10】モータのみで走行する電気自動車に電源装置を搭載する例を示すブロック図である。
図11】蓄電用の電源装置に適用する例を示すブロック図である。
図12】従来の電源装置を示す分解斜視図である。
図13】電源装置をブラケットを介して電動車両等に固定する様子を示す側面図である。
図14】電池積層体を長くした電源装置をブラケットを介して電動車両等に固定する様子を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施形態は、以下の構成によって特定されてもよい。
【0012】
本発明の一実施形態に係る電源装置は、前記ガイド機構が、前記エンドプレートから突出させたガイド軸と、前記ブラケットに開口されたガイド筒とで構成されている。上記構成により、ガイド筒に挿入したガイド軸を摺動させることで、ブラケットとエンドプレートとの界面における変位をスムーズに行うことが可能となる。
【0013】
本発明の他の実施形態に係る電源装置は、前記ガイド筒が、前記ガイド軸を摺動自在に圧入したブッシュを備える。上記構成により、ガイド軸をブッシュに圧入してがたつきを低減し、安定した摺動が得られる。
【0014】
また、本発明の他の実施形態に係る電源装置は、前記弾性体が、ばね材である。
【0015】
さらにまた、本発明の他の実施形態に係る電源装置は、前記エンドプレートと前記ブラケットの界面のそれぞれに、前記ガイド機構と弾性体を設けている。上記構成により、電源装置の長手方向の両側で、電池積層体の伸縮を吸収しつつ安定的に保持できる。
【0016】
さらにまた、本発明の他の実施形態に係る電源装置は、前記電池積層体の、積層方向の中央を、電力供給対象機器に固定している。上記構成により、電池積層体の中央を固定した状態で、電池セルの膨張、収縮によって両側の端面に生じる変位を、ガイド機構と弾性体により吸収することが可能となる。
【0017】
さらにまた、本発明の他の実施形態に係る電源装置は、さらに前記電池積層体の下面を覆う下部プレートを備えており、前記複数の締結部材は、前記下部プレートの上面に前記電池積層体を載置した状態で前記エンドプレート同士を締結している。
【0018】
さらにまた、本発明の他の実施形態に係る電源装置は、さらに、前記下部プレートの上面と、前記電池積層体の下面との間に介在されて、前記下部プレートと電池積層体とを熱結合状態とする伝熱シートを備えている。
【0019】
さらにまた、本発明の他の実施形態に係る電動車両は、上記何れかの電源装置と、該電源装置から電力供給される走行用のモータと、前記電源装置及び前記モータを搭載してなる車両本体と、前記モータで駆動されて前記車両本体を走行させる車輪とを備える。
【0020】
さらにまた、本発明の他の実施形態に係る蓄電装置は、上記何れかの電源装置と、該電源装置への充放電を制御する電源コントローラと備えて、前記電源コントローラでもって、外部からの電力により前記電池セルへの充電を可能とすると共に、該電池セルに対し充電を行うよう制御する。
[実施形態1]
【0021】
本発明の実施形態1に係る電源装置100を、図1図4にそれぞれ示す。これらの図において、図1は実施形態1に係る電源装置100を電力供給対象機器PDに固定した状態を示す模式側面図、図2図1の電源装置100の分解斜視図、図3図2の電源装置100のIII-III線における要部拡大断面図、図4図2の電源装置100の更なる分解斜視図を、それぞれ示している。これらの図に示す電源装置100は、複数の電池セル1を積層した電池積層体10と、電池積層体10の両側端面を覆う一対のエンドプレート20と、エンドプレート20同士を締結する複数の締結部材15と、一対のエンドプレート20をそれぞれ電力供給対象機器PDに固定するためのブラケット60を備える。
(電力供給対象機器PD)
【0022】
電源装置100は、電動車両等の電力供給対象機器PDに固定するためのブラケット60を備えている。ブラケット60は、電源装置100の長手方向、すなわち電池セル1の積層方向の端面に固定されている。図1の例では、電動車両に形成されたねじ穴BHに、ブラケット60に開口されたブラケット固定穴63にプレート固定ボルト62などを用いて螺合して固定している。これにより、電源装置100の長手方向の両端が電力供給対象機器PDに固定される。
(ブラケット60)
【0023】
ブラケット60は、図1図3に示すように、L字状に折曲された金属片で構成される。ブラケット60を各エンドプレート20にそれぞれ固定した状態で、図1の側面図に示すように各ブラケット60の底面と電池積層体10の底面側がほぼ同一平面状となるように構成することで、電力供給対象機器PDの平面上に載置して固定し易くできる。ただブラケット60の形状は一例であり、電力供給対象機器に固定可能な任意の形状が利用できる。例えばエンドプレートの中間部分から突出させるようにブラケットを突出させて、電源装置を浮かせるようにして固定してもよい。また、ブラケットを利用することなく、電源装置を直接電力供給対象機器に固定する構造としてもよい。
(電源装置100)
【0024】
電源装置100は、図4の分解斜視図に示すように、複数の電池セル1を積層した電池積層体10と、この電池積層体10の両側端面を覆う一対のエンドプレート20と、エンドプレート20同士を締結する複数の締結部材15と、電池積層体10を下面に配置された伝熱シート40と、伝熱シート40の下面に配置された下部プレート50を備える。
【0025】
締結部材15は、複数の電池セル1の積層方向に沿って延長された板状に形成される。この締結部材15は、電池積層体10の対向する側面にそれぞれ配置されて、下部プレート50の上面に電池積層体10を載置した状態でエンドプレート20同士を締結する。
【0026】
下部プレート50は、この上面に伝熱シート40を介して載置された電池積層体10を放熱する。また伝熱シート40は、下部プレート50の上面と電池積層体10の下面との間に介在されて、下部プレート50と電池積層体10との熱結合状態を安定させる。これによって、電池セル1の充放電によって電池積層体10が発熱しても、伝熱シート40を介して下部プレート50に熱伝導して放熱する。
(電池積層体10)
【0027】
電池積層体10は、図4の分解斜視図に示すように、正負の電極端子2を備える複数の電池セル1と、これら複数の電池セル1の電極端子2に接続されて、複数の電池セル1を並列かつ直列に接続するバスバー(図示せず)を備える。これらのバスバーを介して複数の電池セル1を並列や直列に接続している。電池セル1は、充放電可能な二次電池である。電源装置100は、複数の電池セル1が並列に接続されて並列電池グループを構成すると共に、複数の並列電池グループが直列に接続されて、多数の電池セル1が並列かつ直列に接続される。図4に示す電源装置100は、複数の電池セル1を積層して電池積層体10を形成している。また電池積層体10の両端面には一対のエンドプレート20が配置される。このエンドプレート20同士に、締結部材15の端部を固定して、積層状態の電池セル1を押圧した状態に固定する。
(電池セル1)
【0028】
電池セル1は、幅広面である主面の外形を四角形とし、一定のセル厚さを有する角形電池であって、幅よりも厚さを薄くしている。さらに、電池セル1は、充放電できる二次電池であって、リチウムイオン二次電池としている。ただ、本発明は電池セルを角形電池には特定せず、またリチウムイオン二次電池にも特定しない。電池セルには、充電できる全ての電池、例えばリチウムイオン二次電池以外の非水系電解液二次電池や、ニッケル水素電池セルなども使用できる。
【0029】
電池セル1は、正負の電極板を積層した電極体を外装缶1aに収納して、電解液を充填して気密に密閉している。外装缶1aは、底を閉塞する四角い筒状に成形しており、この上方の開口部を金属板の封口板1bで気密に閉塞している。外装缶1aは、アルミニウムやアルミニウム合金などの金属板を深絞り加工して製作される。封口板1bは、外装缶1aと同じように、アルミニウムやアルミニウム合金などの金属板で製作される。封口板1bは、外装缶1aの開口部に挿入され、封口板1bの外周と外装缶1aの内周との境界にレーザ光を照射して、封口板1bを外装缶1aにレーザ溶接して気密に固定している。
(電極端子2)
【0030】
電池セル1は、図4等に示すように天面である封口板1bを端子面1Xとして、この端子面1Xの両端部に正負の電極端子2を固定している。電極端子2は、突出部を円柱状としている。ただ、突出部は、必ずしも円柱状とする必要はなく、多角柱状又は楕円柱状とすることもできる。
【0031】
電池セル1の封口板1bに固定される正負の電極端子2の位置は、正極と負極が左右対称となる位置としている。これにより、図4等に示すように、電池セル1を左右反転させて積層し、隣接して接近する正極と負極の電極端子2をバスバーで接続することで、隣接する電池セル1同士を直列に接続できるようにしている。なお、本発明は、電池積層体を構成する電池セルの個数とその接続状態を特定しない。後述する他の実施形態も含めて、電池積層体を構成する電池セルの個数、及びその接続状態を種々に変更することもできる。
【0032】
複数の電池セル1は、各電池セル1の厚さ方向が積層方向となるように積層されて、電池積層体10を構成している。電池積層体10は、正負の電極端子2を設けている端子面1X、図4においては封口板1bが同一平面となるように、複数の電池セル1を積層している。
【0033】
電池積層体10は、隣接して積層される電池セル1同士の間に、絶縁スペーサ16を介在させてもよい。絶縁スペーサ16は、樹脂等の絶縁材で薄いプレート状又はシート状に製作されている。絶縁スペーサ16は、電池セル1の対向面とほぼ等しい大きさのプレート状とする。この絶縁スペーサ16を互いに隣接する電池セル1の間に積層して、隣接する電池セル1同士を絶縁できる。なお、隣接する電池セル間に配置されるスペーサとしては、電池セルとスペーサの間に冷却気体の流路が形成される形状のスペーサを用いることもできる。また、電池セルの表面を絶縁材で被覆することもできる。例えばPET樹脂等のシュリンクチューブ又はシュリンクフィルムで電池セルの電極部分を除く外装缶の表面を熱溶着させてもよい。この場合は、絶縁スペーサを省略してもよい。また、複数の電池セルを多並列、多直列に接続する電源装置においては、互いに直列に接続される電池セル同士の間に絶縁スペーサを介在させて絶縁する一方、互いに並列に接続される電池セル同士においては、隣接する外装缶同士に電圧差が生じないので、これらの電池セルの間の絶縁スペーサを省略することもできる。
【0034】
さらに、図4に示す電源装置100は、電池積層体10の両端面にエンドプレート20を配置している。なおエンドプレート20と電池積層体10の間に端面スペーサ17を介在させて、これらを絶縁してもよい。端面スペーサ17も、樹脂等の絶縁材で薄いプレート状又はシート状に製作できる。
【0035】
実施形態1に係る電源装置100は、複数の電池セル1が互いに積層される電池積層体10において、互いに隣接する複数の電池セル1の電極端子2同士をバスバーで接続して、複数の電池セル1を並列かつ直列に接続する。また、電池積層体10とバスバーとの間にバスバーホルダを配置してもよい。バスバーホルダを用いることで、複数のバスバーを互いに絶縁し、かつ電池セルの端子面とバスバーとを絶縁しながら、複数のバスバーを電池積層体の上面の定位置に配置できる。
【0036】
バスバーは、金属板を裁断、加工して所定の形状に製造される。バスバーを構成する金属板には、電気抵抗が小さく、軽量である金属、例えばアルミニウム板や銅板、あるいはこれらの合金が使用できる。ただ、バスバーの金属板は、電気抵抗が小さくて軽量である他の金属やこれらの合金も使用できる。
(エンドプレート20)
【0037】
エンドプレート20は、図4に示すように、電池積層体10の両端に配置されると共に、電池積層体10の両側面に沿って配置される左右一対の締結部材15を介して締結される。エンドプレート20は、電池積層体10の電池セル1の積層方向における両端であって、端面スペーサ17の外側に配置されて電池積層体10を両端から挟着している。
(締結部材15)
【0038】
締結部材15は、両端を電池積層体10の両端面に配置されたエンドプレート20に固定される。複数の締結部材15でもってエンドプレート20を固定し、もって電池積層体10を積層方向に締結している。各締結部材15は、図4に示すように、電池積層体10の側面に沿う所定の幅と所定の厚さを有する金属製で、電池積層体10の両側面に対向して配置されている。この締結部材15には、鉄などの金属板、好ましくは、鋼板が使用できる。金属板からなる締結部材15は、プレス成形等により折曲加工されて所定の形状に形成される。
【0039】
この締結部材15は、図4の分解斜視図に示すように、締結主面15aの長手方向の端部、すなわち電池積層体10の積層方向の両端において、L字状に折曲させたエンドプレート係止片15bを設けている。このエンドプレート係止片15bを、エンドプレート20に螺合するなどして、エンドプレート20同士を固定する。
【0040】
なお、締結部材15の形状や、エンドプレート20との締結構造は、既知の構造を適宜利用できる。例えば締結部材の両端をL字状に折曲させることなく平板状とし、エンドプレートの側面と螺合するよう構成してもよい。あるいは締結部材がエンドプレートの側面と対向する部分を、段差状に係合する係合構造として、締結部材をエンドプレートの側面に係合構造でもって係合した状態で、さらに螺合させる構造としてもよい。
【0041】
多数の電池セル1を積層している電源装置100は、複数の電池セル1からなる電池積層体10の両端に配置されるエンドプレート20を締結部材15で連結することで、複数の電池セル1を拘束するように構成されている。複数の電池セル1を、高い剛性をもつエンドプレート20や締結部材15を介して拘束することで、充放電や劣化に伴う電池セル1の膨張、変形、相対移動、振動による誤動作などを抑制できる。
【0042】
特に、電池セルの積層数が多い、図14に示すような長尺の電源装置700においては、電池セルの膨張や収縮による電池積層体の全長の変位量が大きいため、電源装置700を電力供給対象機器PDに固定するブラケット760に大きな負荷がかかる。例えば電池セルのセル数が12セルから36セルになると、伸び量が約2.7倍となり、応力負荷もこれに比例して大きくなる。このような長尺の電源装置に対して、上述したガイド機構と弾性体を有する電源装置は有利となる。具体的には、電池積層体の平面視における矩形状のアスペクト比が5以上の長尺の電源装置に対して、有効となる。例えば、電池積層体10の長辺が概ね1m~1m20cm程度、短辺が概ね140mm~170mm程度の電源装置100に対して、電力供給対象機器PDに固定する固定構造に大きな負荷が掛かる事態を回避できる。
【0043】
また締結部材15と電池積層体10の間には、絶縁シート30が介在される。絶縁シート30は絶縁性を備える材質、例えば樹脂などで構成され、金属製の締結部材15と電池セル1との間を絶縁している。
【0044】
なお、電池積層体や電池積層体の表面が絶縁されている場合、例えば電池セルが絶縁性のケースに収納されていたり、樹脂製の熱収縮性チューブ又は熱収縮フィルムで覆われている場合、又は締結部材の表面に絶縁性の塗料やコーティングが施されている場合、あるいは締結部材が絶縁性の材質で構成されている場合等は、絶縁シートを不要とできる。また絶縁シートは、上述したバスバーを保持するバスバーホルダと兼用するように構成してもよい。
(伝熱シート40)
【0045】
伝熱シート40は、絶縁性を備えつつ、熱伝導性に優れた材質で構成される。また伝熱シート40は弾性又は可撓性を有しており、下部プレート50と電池積層体10との間で押圧されて変形し、これらの界面で隙間なく密着して、熱結合状態とする。このような伝熱シート40としては、シリコーン樹脂などが好適に利用できる。また、熱伝導性を増すため酸化アルミニウムなどのフィラーを添加してもよい。
【0046】
また伝熱シート40の上面には、電池積層体10と摩擦抵抗を低減する低摩擦抵抗領域を設けることが好ましい。このような低摩擦抵抗領域として、例えば別部材の摺動シートを伝熱シート40の上面に配置してもよい。摺動シートは、伝熱シート40よりも摩擦抵抗の少ない材質とする。これによって、伝熱シート40の上面で電池積層体10が膨張、収縮によって変位する際、伝熱シート40の上面を摺動させてしわの発生を避け、熱結合状態を維持できる。このような摺動シートとしては、例えばポリエチレンテレフタレート
(PET)フィルムが好ましく、特に2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムが好適である。
【0047】
また、伝熱シート40の表面に、摩擦抵抗を限定する領域を設けてもよい。例えば伝熱シート40の表面にフッ素樹脂コーティング等の表面処理や加工を施すことによって摩擦抵抗を低減させる。あるいは伝熱シート40の表面にグリースやオイルなどを塗布してもよい。
(下部プレート50)
【0048】
下部プレート50は、電池積層体10の下面を覆う。この下部プレート50には、熱伝導性に優れた金属製の放熱板等が利用できる。また下部プレート50は、内部に冷媒の循環経路を備えるなど、冷却機構を備えてもよい。これにより、冷媒冷却によって効率良く電池積層体10を放熱、冷却できると共に、伝熱シート40によって電池積層体10と下部プレート50の熱結合状態を好適に維持できる。
(ガイド機構70)
【0049】
さらに電源装置100は、電池セル1の膨張、収縮により電池積層体10が積層方向に伸縮しても、その変位を吸収してブラケット60への負荷を軽減するよう、ガイド機構70を設けている。ガイド機構70は、図1の側面図及び図3の拡大断面図に示すように、エンドプレートとブラケット60の界面に設けられる。
【0050】
ガイド機構70は、例えばガイド軸71と、このガイド軸71を挿入するガイド筒72の組み合わせとできる。図2等の例では、エンドプレートからガイド軸71を突出させると共に、ブラケット60側には、このガイド軸71と対向する位置に、ガイド筒72を開口している。これにより、ガイド筒72に挿入したガイド軸71を摺動させることで、ブラケット60とエンドプレート20との界面における変位をスムーズに行うことが可能となる。
【0051】
またガイド筒72は、ガイド軸71を摺動自在に圧入したブッシュとしてもよい。ブッシュを樹脂等の可撓性部材で構成することにより、ガイド筒72の内面とガイド軸71の外面との間のがたつきを低減してスムーズな摺動が得られる。また騒音の発生や摺動面の摩耗も低減される。
【0052】
ガイド筒72の長さは、図3の例ではブラケット60の厚さとしているが、これよりも長くしてもよい。例えばガイド筒をブラケットの背面側(図3において左側)に突出させてもよい。このような構成によって、ガイド軸のストロークを長くしても安定的にガイド筒で保持することが可能となる。
(弾性体75)
【0053】
弾性体75はエンドプレートとブラケット60の界面に介在されて、これらの界面に反発力を付与する。特に図1の構成においては、ブラケット60が電力供給対象機器PD側に固定されているため、弾性体75はエンドプレート20側を付勢する状態となる。これにより、電池積層体10が膨張や収縮によって全長を変化させても、ブラケット60同士の間でがたつきを生じることなく、安定的に保持される。
【0054】
弾性体75は、ばね材が好適に利用できる。図2等の例では、コイルばねをブラケット60とエンドプレート20との界面に介在させている。コイルばねは両端をそれぞれブラケット60及びエンドプレート20と固定することで、コイルばねをブラケット60とエンドプレート20の界面で安定的に保持できる。
【0055】
弾性体75は、図3の例ではコイルばねとする例を説明したが、本発明は弾性体の形状をこれに限定するものでなく、他の形状を適宜採用できる。例えば板バネやトーションばね、あるいはゴム状の円柱や角柱などのブロック状としてもよい。特にゴム状の弾性体は、金属製のばねに比べて絶縁性に優れ、安全性の観点から好ましい。
【0056】
なお図2の例では、電池積層体10はその両側に配置されたブラケット60の間で、弾性体75によって付勢された状態に保持される。いいかえると、電池積層体10自体は電力供給対象機器PDに固定されていない状態となる。一方で、電池積層体10を電力供給対象機器PDに固定することもできる。特に重量のある電池積層体10を電力供給対象機器PDに安定的に固定するためには、電池積層体10と電力供給対象機器PDとの物理的な固定構造を付加することが有利となる。電池積層体10を電力供給対象機器PDに固定するには、例えば電池積層体10の底面側を電力供給対象機器PDに直接、あるいは治具などの固定部材を介して行うことができる。また、固定位置FPは、図5の側面図に示すように、電池積層体10の積層方向の中央とすることが好ましい。特に電池積層体10の全長が、積層方向の両方向(図5において左右)に変化することを考慮すると、電池積層体10の中央を固定することで、左右への伸縮を、各端面のエンドプレート20に設けたガイド機構70と弾性体75によって吸収し、安定的に固定できる。なお電池積層体10の固定位置は、電源装置100’の長手方向の中心とする必要はなく、中心の近傍とすれば足りる。また、シミュレーション等により電池積層体10の左右方向への伸縮量に差があると想定される場合には、これに応じて固定位置を調整してもよい。
【0057】
図2等の例では、ガイド軸71やガイド筒72を、ブラケット60とエンドプレート20との各界面において一箇所のみ設ける例を説明したが、本発明はこの構成に限られず、ブラケットとエンドプレートとの各界面で、ガイド軸とガイド筒の組み合わせを複数設けてもよい。これによって、ブラケットとエンドプレートとの摺動の強度と安定性を増し、平行姿勢を維持して高い信頼性で変位できる利点が得られる。複数のガイド軸とガイド筒を設ける配置例としては、ガイド軸とガイド筒の組を2つ、横並びに配置する他、ブラケットとエンドプレートの界面の四隅にそれぞれガイド軸とガイド筒の組を配置してもよい。また、ガイド軸とガイド筒の組に限らず、弾性体も複数個、ブラケットとエンドプレートの界面に配置してもよい。
[実施形態2]
【0058】
なお、図1の例では、エンドプレート20側にガイド軸71を設け、ブラケット60側にガイド筒72を設ける構成を示したが、本発明はこの構成に限らず、例えばエンドプレート側にガイド筒を設け、ブラケット側にガイド軸を設ける構成としてもよい。このような例を実施形態2に係る電源装置200として、図6の拡大断面図に示す。この電源装置200では、エンドプレート20Bがガイド筒72Bを備え、ブラケット60Bがガイド軸71Bを備える。このような構成であっても、同様にエンドプレート20Bをガイド機構70Bでもって直線的に変位させつつ、その変位をブラケット60B側に伝達しないよう、弾性体75で吸収することが可能となる。
[実施形態3]
【0059】
また、以上の例ではガイド機構70と弾性体75を別個の部材としてエンドプレート20とブラケット60との界面に設ける例を説明したが、本発明はこの構成に限られず、これらガイド機構と弾性体を一体的に構成してもよい。このような例を実施形態3に係る電源装置300として、図7の拡大断面図に示す。この電源装置300は、図3と同様、ガイド軸71Cをエンドプレート20C側から突出させ、ブラケット60Cに開口したガイド筒72Cに挿入する。一方で、弾性体75Cをコイルばね状として、コイルばねのループをガイド筒72Cの内径よりも大きくする。さらにコイルばねのループにガイド軸71Cを通すように配置することで、図7に示すようにガイド軸71Cの周囲でブラケット60C及びエンドプレート20Cを押圧して、ブラケット60Cとエンドプレート20Cとの界面を付勢し、ブラケット60Cとエンドプレート20Cとの距離の変化を許容しつつも、エンドプレート20Cを保持できる。この構成であれば、ガイド機構70Cと弾性体75Cをコンパクトにまとめて省スペースに配置できる利点が得られる。
[実施形態4]
【0060】
なお、上述した例では、各エンドプレート20とブラケット60の間にそれぞれガイド機構70と弾性体75を設けた例を説明したが、本発明はこの構成に限らず、一方のエンドプレートとブラケットとの界面にのみ、ガイド機構と弾性体を設ける構成としてもよい。このような例を実施形態4に係る電源装置400として図8の側面図に示す。この図に示す電源装置400は、図において左側のエンドプレート20とブラケット60との界面に、ガイド機構70と弾性体75を配置しており、右側のエンドプレート20とブラケット60との界面にはこれらを配置していない。このような構成であっても、電池積層体10の想定される変位量を、片側のガイド機構70と弾性体75で十分吸収可能であれば、適用できる。また、片側のみにガイド機構70と弾性体75を設けることで、構成を簡素化できる利点が得られる。
【0061】
このようにして、電池セル1の膨張によって電池積層体10が変位しても、ガイド機構70によってエンドプレート20が積層方向に沿って移動することを許容しつつ、弾性体75によって電池積層体10を安定的に保持することが可能となる。よって、電池セル1の積層数が増えて変位が大きくなっても、エンドプレート20や締結部材15の固定部分に過度の負荷がかかる事態を避けて、膨張や収縮を許容しながら安定的に電源装置を保持でき、信頼性が高められる。
【0062】
以上の電源装置100は、電動車両を走行させるモータに電力を供給する車両用の電源として利用できる。電源装置100を搭載する電動車両としては、エンジンとモータの両方で走行するハイブリッド自動車やプラグインハイブリッド自動車、あるいはモータのみで走行する電気自動車等の電動車両が利用でき、これらの車両の電源として使用される。なお、電動車両を駆動する電力を得るために、上述した電源装置100を直列や並列に多数接続して、さらに必要な制御回路を付加した大容量、高出力の電源装置を構築した例として説明する。
(ハイブリッド車用電源装置)
【0063】
図9は、エンジンとモータの両方で走行するハイブリッド自動車に電源装置100を搭載する例を示す。この図に示す電源装置100を搭載した車両HVは、車両本体91と、この車両本体91を走行させるエンジン96及び走行用のモータ93と、これらのエンジン96及び走行用のモータ93で駆動される車輪97と、モータ93に電力を供給する電源装置100と、電源装置100の電池を充電する発電機94とを備えている。電源装置100は、DC/ACインバータ95を介してモータ93と発電機94に接続している。車両HVは、電源装置100の電池を充放電しながらモータ93とエンジン96の両方で走行する。モータ93は、エンジン効率の悪い領域、例えば加速時や低速走行時に駆動されて車両を走行させる。モータ93は、電源装置100から電力が供給されて駆動する。発電機94は、エンジン96で駆動され、あるいは車両にブレーキをかけるときの回生制動で駆動されて、電源装置100の電池を充電する。なお、車両HVは、図9に示すように、電源装置100を充電するための充電プラグ98を備えてもよい。この充電プラグ98を外部電源と接続することで、電源装置100を充電できる。
(電気自動車用電源装置)
【0064】
また、図10は、モータのみで走行する電気自動車に電源装置100を搭載する例を示す。この図に示す電源装置100を搭載した車両EVは、車両本体91と、この車両本体91を走行させる走行用のモータ93と、このモータ93で駆動される車輪97と、このモータ93に電力を供給する電源装置100と、この電源装置100の電池を充電する発電機94とを備えている。電源装置100は、DC/ACインバータ95を介してモータ93と発電機94に接続している。モータ93は、電源装置100から電力が供給されて駆動する。発電機94は、車両EVを回生制動する時のエネルギーで駆動されて、電源装置100の電池を充電する。また車両EVは充電プラグ98を備えており、この充電プラグ98を外部電源と接続して電源装置100を充電できる。
(蓄電装置用の電源装置)
【0065】
さらに、本発明は、電源装置の用途を、車両を走行させるモータの電源には特定しない。実施形態に係る電源装置は、太陽光発電や風力発電等で発電された電力で電池を充電して蓄電する蓄電装置の電源として使用することもできる。図11は、電源装置100の電池を太陽電池82で充電して蓄電する蓄電装置を示す。
【0066】
図11に示す蓄電装置は、家屋や工場等の建物81の屋根や屋上等に配置された太陽電池82で発電される電力で電源装置100の電池を充電する。この蓄電装置は、太陽電池82を充電用電源として充電回路83で電源装置100の電池を充電した後、DC/ACインバータ85を介して負荷86に電力を供給する。このため、この蓄電装置は、充電モードと放電モードを備えている。図に示す蓄電装置は、DC/ACインバータ85と充電回路83を、それぞれ放電スイッチ87と充電スイッチ84を介して電源装置100と接続している。放電スイッチ87と充電スイッチ84のON/OFFは、蓄電装置の電源コントローラ88によって切り替えられる。充電モードにおいては、電源コントローラ88は充電スイッチ84をONに、放電スイッチ87をOFFに切り替えて、充電回路83から電源装置100への充電を許可する。また、充電が完了し満充電になると、あるいは所定値以上の容量が充電された状態で、電源コントローラ88は充電スイッチ84をOFFに、放電スイッチ87をONにして放電モードに切り替え、電源装置100から負荷86への放電を許可する。また、必要に応じて、充電スイッチ84をONに、放電スイッチ87をONにして、負荷86への電力供給と、電源装置100への充電を同時に行うこともできる。
【0067】
さらに、電源装置は、図示しないが、夜間の深夜電力を利用して電池を充電して蓄電する蓄電装置の電源として使用することもできる。深夜電力で充電される電源装置は、発電所の余剰電力である深夜電力で充電して、電力負荷の大きくなる昼間に電力を出力して、昼間のピーク電力を小さく制限することができる。さらに、電源装置は、太陽電池の出力と深夜電力の両方で充電する電源としても使用できる。この電源装置は、太陽電池で発電される電力と深夜電力の両方を有効に利用して、天候や消費電力を考慮しながら効率よく蓄電できる。
【0068】
以上のような蓄電システムは、コンピュータサーバのラックに搭載可能なバックアップ電源装置、携帯電話等の無線基地局用のバックアップ電源装置、家庭内用または工場用の蓄電用電源、街路灯の電源等、太陽電池と組み合わせた蓄電装置、信号機や道路用の交通表示器などのバックアップ電源用などの用途に好適に利用できる。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明に係る電源装置及びこれを備える車両は、ハイブリッド車、燃料電池自動車、電気自動車、電動オートバイ等の電動車両を駆動するモータの電源用等に使用される大電流用の電源として好適に利用できる。例えばEV走行モードとHEV走行モードとを切り替え可能なプラグイン式ハイブリッド電気自動車やハイブリッド式電気自動車、電気自動車等の電源装置が挙げられる。またコンピュータサーバのラックに搭載可能なバックアップ電源装置、携帯電話等の無線基地局用のバックアップ電源装置、家庭内用、工場用の蓄電用電源、街路灯の電源等、太陽電池と組み合わせた蓄電装置、信号機等のバックアップ電源用等の用途にも適宜利用できる。
【符号の説明】
【0070】
100、100’、200、300、400、700、900…電源装置、1…電池セル、1X…端子面、1a…外装缶、1b…封口板、2…電極端子、10…電池積層体、15…締結部材;15a…締結主面;15b…エンドプレート係止片、16…絶縁スペーサ、17…端面スペーサ、20、20B、20C、520、620…エンドプレート、30…絶縁シート、40…伝熱シート、50…下部プレート、60、60B、60C、760…ブラケット、62…プレート固定ボルト、63…ブラケット固定穴、70、70B、70C…ガイド機構、71、71B、71C…ガイド軸、72、72B、72C…ガイド筒、75、75C…弾性体、81…建物、82…太陽電池、83…充電回路、84…充電スイッチ、85…DC/ACインバータ、86…負荷、87…放電スイッチ、88…電源コントローラ、91…車両本体、93…モータ、94…発電機、95…DC/ACインバータ、96…エンジン、97…車輪、98…充電プラグ、901…電池セル、902…スペーサ、903…エンドプレート、704、904…バインドバー、760、960…ブラケット、PD…電力供給対象機器、BH…ねじ穴、FP…固定位置、HV、EV…車両
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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