(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-18
(45)【発行日】2024-12-26
(54)【発明の名称】車椅子用走行補助具
(51)【国際特許分類】
A61G 3/06 20060101AFI20241219BHJP
A61G 5/06 20060101ALI20241219BHJP
A61G 5/10 20060101ALI20241219BHJP
E04F 11/00 20060101ALI20241219BHJP
B61B 1/02 20060101ALN20241219BHJP
【FI】
A61G3/06 711
A61G5/06
A61G5/10
E04F11/00 100
B61B1/02
(21)【出願番号】P 2021542169
(86)(22)【出願日】2021-06-11
(86)【国際出願番号】 JP2021022379
(87)【国際公開番号】W WO2021261300
(87)【国際公開日】2021-12-30
【審査請求日】2023-10-19
(31)【優先権主張番号】P 2020108883
(32)【優先日】2020-06-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000183233
【氏名又は名称】住友ゴム工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000003159
【氏名又は名称】東レ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091384
【氏名又は名称】伴 俊光
(74)【代理人】
【識別番号】100125760
【氏名又は名称】細田 浩一
(72)【発明者】
【氏名】松下 昌之
(72)【発明者】
【氏名】星川 淳一郎
(72)【発明者】
【氏名】谷口 比呂実
(72)【発明者】
【氏名】浅原 信雄
(72)【発明者】
【氏名】野口 洋平
(72)【発明者】
【氏名】田中 章
【審査官】望月 寛
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-067517(JP,A)
【文献】特開2004-060287(JP,A)
【文献】特開2016-067518(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61G 3/06
A61G 5/06
A61G 5/10
E04F 11/00
B61B 1/02
B61D 23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車椅子が走行する走行路部と該走行路部を下方から補強し、前記走行路部の渡し方向に単縦列に配した複数個の中空セグメントにより形成された補強部を備えた走行路部材と、該走行路部材の端部に装着されて前記車椅子を前記走行路部へと導入する端部材とからなる車椅子用走行補助具であって、前記端部材が、前記補強部の端部に挿入される挿入部と、前記補強部の端部を下方から支持する支持部を有することを特徴とする車椅子用走行補助具。
【請求項2】
前記挿入部と前記支持部とが、前記端部材上に交互に並んで設けられている、請求項1に記載の車椅子用走行補助具。
【請求項3】
前記挿入部および前記支持部が押出形状を有する、請求項1または2に記載の車椅子用走行補助具。
【請求項4】
前記挿入部が、前記支持部の長さの1倍以上、2倍以下の長さを有する、請求項1~
3のいずれかに記載の車椅子用走行補助具。
【請求項5】
前記走行路部材が炭素繊維強化プラスチックからなり、前記端部材が樹脂からなる、請求項1~
4のいずれかに記載の車椅子用走行補助具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物体間に生じる段差に掛け渡して使用するスロープに関し、軽量で、かつ耐荷重性、耐久性に優れ、例えば、車いす利用者が電車乗り降りに際し安全性に優れ、またスロープ自体の運搬性にも優れた携帯用スロープに用いられる車椅子用走行補助具に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、公共施設等ではバリアフリー対策としてエレベータやエスカレータが設置され、また、階段にはその傍らに迂回路としてスロープが作られている場合もあり、車椅子での通行が容易に行えるようになっている。しかし、いまだ公共施設やビルディング等の建造物の内外において、多くの段差が存在している。こうした段差は、通常人であれば容易に超えることが出来るが、車椅子使用者や老人にとっては、乗り越えるのが困難な場合がある。
【0003】
バリアフリーの社会インフラ整備が進んでも、未だ整備されていない段差は数多く存在し、たとえば、歩道と車道との段差、バスの乗降口と道路との段差、道路に作られた溝、電車に乗降する際の車両とホームとの段差や溝が車椅子の通行に支障を来している。
【0004】
多数の段差が存在するという状況は、公共の空間や交通機関のみならず、車椅子使用者や老人の居住する個人住居の内外でも同様である。
【0005】
最近、可搬型のスロープを用い、必要な時のみ設置して使用することを可能とし、例えば、車椅子をホームから電車の車内に移動させる際や電車の乗降口からホームに移動させる際、あるいは、車椅子を道路からバスの車内に移動させる際やバスの乗降口から道路に移動させる際、ホームと電車の車内とに架け渡す渡し板や道路とバスの車内とに架け渡す渡し板が利用される場合がある。
【0006】
これらのスロープは、可搬型であることを前提とするため、軽量で運搬しやすいことが望ましく、このため、金属製や木製のスロープよりも、樹脂製のスロープ、特に軽量である上に耐荷重性能に優れた繊維強化プラスチック製のものが開示されている(例えば特許文献1、特許文献2)。
【0007】
車椅子用スロープは、自走する電動車椅子または車椅子に要介護者1名が乗車した車椅子を介助者による介助操縦により、その板上に行き来させる器具であるため、段差を掛け渡したスロープが急勾配になってはならないため、より高い高低差に対応する場合には、通行者の転落と墜落をさせないスロープの強度剛性、スロープ仮設者の負担軽減のための軽量性などを、損なわない範囲でスロープを長尺化する必要がある。
【0008】
特許文献1では、「電車の乗降口とプラットホームとの間に掛け渡されて使用される電車乗降用スロープであって、一端側が前記乗降口に載置されかつ他端側が前記プラットホームに載置される長さを有しかつ車いすが通行可能な幅を有する板状のスロープ本体と、該スロープ本体の前記一端側の縁部に固着されかつスロープ本体から離間する向きにのびる基片の先端部に下方に折れ曲がることにより前記乗降口に設けられた段差部に係合可能な垂下片を有するフック部材と、このフック部材に前記スロープ本体の幅方向に沿った軸線の回りで揺動自在に連結されて基片から離間する向きにのびるフラップを含み、スロープ本体が繊維強化樹脂からなる電車乗降用スロープが記載され、「一端側が乗降口に載置されかつ他端側がプラットホームに載置される長さを有しかつ車いすが通行可能な幅を有する板状のスロープ本体を具える。従って、車いすの利用者は、スロープ本体上を走行することで、プラットホームと電車との間を容易に行き来することができ」る効果が開示されている。
【0009】
しかし、特許文献1の構成では、スロープ本体に単に繊維強化樹脂を使用することが記載されているだけであり、スロープの支持端部の補強構造に関する記載もない。
【0010】
また、特許文献2では、「発泡性樹脂からなる方形の芯材の表裏両面に、繊維強化プラスチック(FRP:Fiber Reinforced Plastic)製の板材を接着した少なくとも2枚以上の合板からなり、合板は、通行方向上下端それぞれに合板自身の段差を解消するためのテーパ構造4,5を有し、通行方向に対する外側面を枠部材9によって嵌合させた構造を有し、2枚以上の合板を、通行方向に対して並列させ、合板の対向側面をシート材6によって連結させ、合板が互いに重なり合うように折り畳み」する構成が記載され、「軽量で持ち運びが容易であり、加工性が良く最適なサイズを容易かつ安価に製造でき、固定性能に秀で、スロープ縁部及び脱輪防止壁の高い耐衝撃性能により破損が生じにくく、優れた補修性能を有する」効果が開示されている。そのスロープは、硬質ウレタン、ポリプロピレン又はアクリル等の発泡性樹脂からなる芯材の表裏両面に炭素繊維強化プラスチックを接着した合板の構成である。
【0011】
しかし、特許文献2の構成では、合板は発泡性樹脂の表裏両面に炭素繊維強化プラスチックを強固に接着した積層構成であり、積層構成体の製造工程に複数の工程を踏む必要があることから製造コスト的な課題がある。また、スロープ末端まで発泡体との積層構造を形成することにより剛性向上を図ることができるが、生産性もなく発泡体重量により軽量化が失われる。
【0012】
また、特許文献3では、「物体間に生じる段差に掛け渡して使用される繊維強化プラスチックの複数の板材からなる携帯用スロープにおいて、携帯用スロープの左右両側に位置する板材端上面に高さhで脱輪防止壁が設置されており、前記脱輪防止壁の高さh、厚みt、耐面圧力を一定値内に収まる」という構成が記載され、これにより「車輪が乗り上げた場合でも脱輪防止壁が折れにくく、かつ軽量で容易に持ち運ぶことができる」効果が開示されている。特許文献3の構成では、板材と脱輪防止壁とを一体に成形する方法が好ましく記載され、たとえば硬質発泡ポリウレタン等からなる芯材の表面に、強化繊維を巻きつけて金型にセットした後、この金型にマトリックス剤を流し込んで、板材と脱輪防止壁とが一体に成形される構成が例示され、これにより板材と脱輪防止壁とが一体に成形されていることから脱輪防止壁がより折れにくくなるとしている。
【0013】
しかし、特許文献3の形態では、積層構造により剛性向上を図ることができるが、発泡体重量により軽量化が失われ、軽量性には改善の余地がある。
【0014】
また、特許文献4では、「スロープ本体は、段ボール材からなる板状コアと、この板状コアの少なくとも上面および下面に貼着された繊維強化樹脂材からなる補強層とを具える携帯用スロープ」が記載され、「板状コアとして発泡ポリウレタンを使用する場合に比して、必要な剛性強度を確保しながら、さらなる軽量化を図ることができ、使用者への負担をより軽減しうる」とする効果が開示されている。
【0015】
しかし、特許文献4の構成では、スロープ本体は段ボール材からなる板状コアと、この板状コアの少なくとも上面および下面に貼着された繊維強化樹脂材からなる補強層構成であり、積層構成体の製造工程に複数の工程を踏む必要があることから製造コスト的な課題がある。
【0016】
また、特許文献5では、「車椅子等の出し入れを可能にするスロープ装置において、前記スロープを構成するフロア部材を前記スロープの展開方向に交差する方向に複数個に分割し、隣り合う前記フロア部材の互いに対向する端面に、互いに係合可能な係合部を一体的に設けた」という構成が記載され、隣り合うフロア部材が係合部により鉛直方向に互いに係合することで、複数のフロア部材でスロープ上の荷重を受けることができ、フロア部材の剛性の低下を招くことなく、スロープの展開・収納時の操作をスムーズにでき、別部材によるフロア部材の補強も必要ない効果が開示されている。
【0017】
しかし、特許文献5の構成では、両側面に設けられる脱輪防止壁はスロープのフロア部材と溶接又はビス止めにより固定した構成であり、複数の工程を踏む必要があることから製造コスト的な課題がある。また、運搬する距離が異なる段差に対しては対応する長さのスロープを複数用意する必要があり、支持端部の強度構造に関する記載もない。
【0018】
また、特許文献6では、「超軽量携帯型スロープ100は、両側面に脱輪防止バー43と一体成形の本体側面部90と、電車側を短くして蝶番42を螺着した中央側面部91を並設する。表面部80は、中央部に並設した中央側面部91で2つ折れでき、左右対称であり、大型車椅子を通過させる傾斜面と一体成形とした平坦な床面として設けられ、裏面部に、裏面部を垂直に支える板を偶数枚間隔を置いて補強部として設ける。ナイロンバンド44を、両側の本体側面部90と、中央側面部91のプラットホーム側の2つ折りの箇所に固着して設けて、電車側のドアーレールに引っ掛ける掛け金具40を表面部80の電車側に固着して設ける。本体側面部90と、表面部80と、補強部に固着して設けた平坦な床面に使用した超ジュラルミンAL2024に多数の貫通孔を貫設する。」という構成が記載され、中空セグメントによるスロープの剛性を向上させる効果が開示されている。
【0019】
しかし、特許文献6の構成では、CFRPよりも重いジュラルミン製であり、一体成形も溶接であるため、軽量化に対しては改善の余地がある。また部材には風貫通孔が設けられており、部材剛性低下により長尺化と軽量化の両立に限界がある。
【0020】
また、特許文献7では、「また、板状部材2a、板状部材2b、板状部材2cおよび板状部材2dの連結方向(
図1に示す矢印11の方向)と直交する方向(
図1に示す矢印12の方向;以下「流れ方向」という)のそれぞれの一端には突出部として鉤状部材5a、鉤状部材5b、鉤状部材5cおよび鉤状部材5dがそれぞれ取り付けられており、板状部材2a、板状部材2b、板状部材2cおよび板状部材2dのそれぞれの他端には、滑り止め部材としてのラバーキャップ7a、ラバーキャップ7b、ラバーキャップ7cおよびラバーキャップ7dがそれぞれ取り付けられている。」という構成が記載され、スロープの端部の構造が開示されている。
【0021】
しかし、特許文献7の構成では、スロープの端部の強化構造に対する記載は無く、接合構造が異なる。
【0022】
また、特許文献8では、「1は携帯用スロープを示し、2は車椅子等が通行するスロープ部を構成する板材を示す。その携帯用スロープ1は、例えば、電車の乗降口とプラットホームとの間に掛け渡されて使用される。例えば、スロープ1の上端側3が電車側の乗降口に配置され、スロープ1の下端側4がプラットホーム側に配置される構成である。スロープ1の上端側3及び下端側4には車椅子の乗降を容易にするため一定の傾斜を持つように、それぞれテーパ状で形成されることが好ましい。また、スロープ1の乗降口との接触位置及び/又はプラットホームとの接触位置には、適宜滑り止めのゴム部材が固着させることも好ましい。スロープ1の上端側3及び下端側4は軽量かつ安価なプラスチックで形成されることが好ましい。」という構成が記載され、スロープの端部の構造が開示されている。
【0023】
しかし、特許文献8の構成では、スロープの端部の差込み構造に対する記載は無く、端部の強度改善の示唆はなされていない。
【0024】
また、特許文献9では、「本物品は、建物や、電車用の物体間に生じる段差に掛け渡して使用する携帯用スロープであり、スロープの下面に長手方向に補強部を設けた形状とすることにより、軽量でありその運搬性に優れるとともに、耐荷重性、高剛性に優れる。スロープの両側面には脱輪防護壁を設置することで車いす利用者がスロープ上を安全性に搬送できる。本物品は2枚のスロープが連結されてなるため折り畳み可能で、使用時には展開して使用することができる。スロープの長手方向両端部は車椅子の乗降を容易にするため一定の傾斜を持つように、それぞれテーパ状に形成されている。」という構成が記載され、スロープの携帯性を向上させる効果が開示されている。
【0025】
しかし、特許文献9の構成では、スロープの端部の差込み構造に対する記載は無く、端部の強度改善の示唆はなされていない。
【0026】
また、特許文献10では、「前記接続部は、前記中空部に挿入可能に形成されていることを特徴とする請求項2記載の携帯用スロープ。」という構成が記載され、スロープの中空部を利用した接合する構造が開示されている。
【0027】
しかし、特許文献10の構成では、スロープの挿入部に対する記載はあるが支持部の記載が無く、応力集中を緩和する具体的な接合構造の示唆はなされていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0028】
【文献】特開2011-217963号公報
【文献】特開2013-162818号公報
【文献】特開2003-230600号公報
【文献】特開2014-103983号公報
【文献】特開2002-87164号公報
【文献】実用新案登録第3172583号公報
【文献】特開2007-118758号公報
【文献】特開2016-067517号公報
【文献】意匠登録第1527546号公報
【文献】特開2016-067518号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0029】
本発明は、かかる従来技術の問題点に鑑み、物体間に生じる段差に掛け渡して使用するスロープに関し、軽量でスロープ自体の運搬性にも優れ、かつ耐荷重性、耐久性に優れ、車いす利用者の使用時にスロープ上に荷重が負荷されたときの剛性を確保しつつ安全性に優れ、長尺化することによって段差に対応することのできるスロープに用いられる車椅子用走行補助具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0030】
(1)車椅子が走行する走行路部と該走行路部を下方から補強し、前記走行路部の渡し方向に単縦列に配した複数個の中空セグメントにより形成された補強部を備えた走行路部材と、該走行路部材の端部に装着されて前記車椅子を前記走行路部へと導入する端部材とからなる車椅子用走行補助具であって、前記端部材が、前記補強部の端部に挿入される挿入部と、前記補強部の端部を下方から支持する支持部を有することを特徴とする車椅子用走行補助具。
【0031】
本発明によれば、例えば、建造物に存在する段差や、乗用車、電車、バス等の乗り物の出入り口と地面との間に生じる段差を、車椅子使用者がこれを乗り越える際に使用する中空スロープの、掛け渡し方向曲げに対する高剛性中空スロープの支持端部に発生する応力集中を緩和させ強度を向上させることが出来る。支持端部の高強度化により中空化したスロープ重量12kgもの軽量化とスロープ長さ3mという長尺化の両立を図ることが可能となり、短尺の軽量スロープでは急勾配となり車椅子で超えることが不可能であった高低差70cmの段差に対し、本発明を利用すれば傾斜勾配を14°以下に抑えた軽量スロープを仮設することが可能であり、介護者の安全確保と負担軽減ができる。
【0032】
(2)前記挿入部と前記支持部とが、前記端部材上に交互に並んで設けられている、(1)に記載の車椅子用走行補助具。前記挿入部と前記支持部を交互に配することによりスロープ端部の樹脂部品を抜けにくくすることが可能となる。
【0033】
(3)前記挿入部および前記支持部が押出形状を有する、(1)または(2)に記載の車椅子用走行補助具。
【0034】
(4)前記補強部材が、前記中空セグメントの終端部に設置された外部部品により位置決めされてなる、(1)~(3)のいずれかに記載の車椅子用走行補助具。
【0035】
(5)前記挿入部が、前記支持部の長さの1倍以上、2倍以下の長さを有する、(1)~(4)のいずれかに記載の車椅子用走行補助具。前記挿入部と前記支持部の差込長さを異なる長さにすることで応力集中が緩和される。
【0036】
(6)前記走行路部材が炭素繊維強化プラスチックからなり、前記端部材が樹脂からなる、(1)~(5)のいずれかに記載の車椅子用走行補助具。中空セグメントを引抜成形で炭素繊維強化樹脂により形成することにより安価で高剛性なスロープを実現できる。
【発明の効果】
【0037】
建物や、電車用の物体間に生じる段差に掛け渡して使用するスロープに関し、軽量でスロープ自体の運搬性にも優れ、かつ耐荷重性、耐久性に優れ、車いす利用者の使用時にスロープ上に荷重が負荷されたときの剛性を確保しつつ安全性に優れ、長尺化することによって高い段差に対応することのできるスロープに用いられる車椅子用走行補助具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】本発明の一実施態様に係るスロープを斜め上方から見た斜視図である。
【
図2】本発明の一実施態様に係るスロープを斜め下方から見た斜視図である。
【
図3】本発明の一実施態様に係るスロープと端部材の接合部斜視図である。
【
図4】本発明の一実施態様に係るスロープと端部材の接合部断面図である。
【
図5】本発明の一実施態様に係るスロープと端部材のロッド材の組立図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下に、本発明の実施の形態について順次説明する。本実施形態は本発明を実施する一例であって、本発明は本実施例形態に限定されるものではない。
【0040】
前記課題を解決するためになされた本発明の構成は、車椅子が走行する走行路部と該走行路部を下方から補強し、前記走行路部の渡し方向に単縦列に配した複数個の中空セグメントにより形成された補強部を備えた走行路部材と、該走行路部材の端部に装着されて前記車椅子を前記走行路部へと導入する端部材とからなる車椅子用走行補助具であって、前記端部材が、前記補強部の端部に挿入される挿入部と、前記補強部の端部を下方から支持する支持部を有することを特徴とする車椅子用走行補助具である。
【0041】
本発明によれば、例えば、建造物に存在する段差や、乗用車、電車、バス等の乗り物の出入り口と地面との間に生じる段差を、車椅子使用者がこれを乗り越える際に使用する中空スロープの、掛け渡し方向曲げに対する高剛性中空スロープの支持端部に発生する応力集中を緩和させ強度を向上させることが出来る。支持端部の高強度化により中空化したスロープ重量12kgもの軽量化とスロープ長さ3mという長尺化の両立を図ることが可能となり、短尺の軽量スロープでは急勾配となり車椅子で超えることが不可能であった高低差70cmの段差に対し、本発明を利用すれば傾斜勾配を14°以下に抑えた軽量スロープを仮設することが可能であり、介護者の安全確保と負担軽減ができる。
【0042】
図1に、本発明に係るスロープの斜め上方から見た斜視図を示す。1は車椅子等が通行するスロープ、2は走行路部を示す。そのスロープ1は、例えば、自動車の乗降口と道路との間に掛け渡されて使用される。例えば、スロープ1の上端側にある端部材3は自動車側の乗降口に配置され、スロープ1の下端側の端部材4が道路側に配置される構成である。スロープ1の上端側の端部材3及び下端側の端部材4は走行路部材2に接合された後付けの部品からなり、車椅子の乗降を容易にするため一定の傾斜を持つように、それぞれテーパ状で形成される。また、スロープ1の乗降口との接触位置及び/又は
道路との接触位置には、適宜滑り止めのゴム部材が固着させることも好ましい。
【0043】
次に、
図2に、本発明に係るスロープの斜め下方から見た斜視図を示す。5は中空セグメントを示す。中空セグメント5は車椅子等の運動物体の通行方向である走行路部材2の縦長方向と略平行方向に長尺的に連続した形で配置される。スロープ1上を移動する車椅子等のタイヤからの局所的な荷重に対して、端部材3付近から端部材4付近まで連続した長尺構造とすることにより、局所的な荷重に耐え得ることができる。
【0044】
走行路部材2と中空セグメント5は軽量化効果の観点から、比強度、比剛性に優れる炭素繊維強化プラスチックから形成されることが好ましい。強化繊維としては、ポリアクリルニトリル(PAN)系、レーヨン系、リグニン系、ピッチ系の炭素繊維や、これらの繊維に表面処理が施されているものであってもよい。表面処理としては、カップリング剤による処理、サイジング剤による処理、結束剤による処理、添加剤の付着処理などがある。また、これらの強化繊維は1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
【0045】
繊維強化プラスチックの樹脂としては、繊維強化樹脂は、強化繊維とマトリクス樹脂を含んで構成されるが、マトリクス樹脂としては、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、フェノール(レゾール型)樹脂、ポリイミド樹脂などの熱硬化性樹脂や、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)樹脂、ポリエチレンナフタレート(PEN樹脂)、液晶ポリエステル樹脂等のポリエステル樹脂や、ポリエチレン(PE樹脂)、ポリプロピレン(PP樹脂)、ポリブチレン樹脂等のポリオレフィン樹脂や、ポリオキシメチレン(POM)樹脂、ポリアミド(PA)樹脂、ポリフェニレンスルフィド(PPS)樹脂などのポリアリーレンスルフィド樹脂、ポリケトン(PK)樹脂、ポリエーテルケトン(PEK)樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)樹脂、ポリエーテルニトリル(PEN)樹脂、ポリテトラフルオロエチレン樹脂などのフッ素系樹脂、液晶ポリマー(LCP)などの結晶性樹脂、スチレン系樹脂の他、ポリカーボネート(PC)樹脂、ポリメチルメタクリレート(PMMA)樹脂、ポリ塩化ビニル(PVC)樹脂、ポリフェニレンエーテル(PPE)樹脂、ポリイミド(PI)樹脂、ポリアミドイミド(PAI)樹脂、ポリエーテルイミド(PEI)樹脂、ポリサルホン(PSU)樹脂、ポリエーテルサルホン樹脂、ポリアリレート(PAR)樹脂などの非晶性樹脂、その他、フェノール系樹脂、フェノキシ樹脂、更にポリスチレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリブタジエン系樹脂、ポリイソプレン系樹脂、フッ素系樹脂、およびアクリロニトリル系樹脂等の熱可塑エラストマー等や、これらの共重合体および変性体などの熱可塑性樹脂を用いることができる。なかでも、炭素繊維との接着性や、成形体の力学特性、成形性を考慮すると、エポキシ樹脂やビニルエステル樹脂を用いることが好ましい。
【0046】
また、繊維強化樹脂の炭素繊維の重量繊維含有率が15~80重量%の範囲であることが好ましい。含有量が15重量%未満であると、耐荷重性や剛性が失われ所定の目的の機能を果たすことができない。重量含有量が80重量%を超えると、前記繊維強化樹脂中にボイドが発生する問題が生じやすくなり、成形が困難となる。長尺品などで高弾性率かつ高強度が必要となる場合には、重量含有量の管理許容範囲を小さく設定することが好ましく、好ましくは重量含有率が30~75重量%、さらに好ましくは40~75重量%である。
【0047】
走行路部材2、中空セグメント5は一体化され、形成する繊維強化プラスチックの繊維が連続した炭素繊維であることが好ましい。強化繊維は、スロープの掛け渡し方向である長手方向に平行、あるいは長手方向に対してほぼ直角方向に配列され得る。また、これらの配列を組合せた場合には、スロープ全体としての曲げ強度、耐面圧力が向上する。
【0048】
本発明において端部材3および端部材4に用いられる樹脂材料としては特に制限は無く、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、フェノール(レゾール型)樹脂、ポリイミド樹脂などの熱硬化性樹脂や、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)樹脂、ポリエチレンナフタレート(PEN樹脂)、液晶ポリエステル樹脂等のポリエステル樹脂や、ポリエチレン(PE樹脂)、ポリプロピレン(PP樹脂)、ポリブチレン樹脂等のポリオレフィン樹脂や、ポリオキシメチレン(POM)樹脂、ポリアミド(PA)樹脂、ポリフェニレンスルフィド(PPS)樹脂などのポリアリーレンスルフィド樹脂、ポリケトン(PK)樹脂、ポリエーテルケトン(PEK)樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)樹脂、ポリエーテルニトリル(PEN)樹脂、ポリテトラフルオロエチレン樹脂などのフッ素系樹脂、液晶ポリマー(LCP)などの結晶性樹脂、スチレン系樹脂の他、ポリカーボネート(PC)樹脂、ポリメチルメタクリレート(PMMA)樹脂、ポリ塩化ビニル(PVC)樹脂、ポリフェニレンエーテル(PPE)樹脂、ポリイミド(PI)樹脂、ポリアミドイミド(PAI)樹脂、ポリエーテルイミド(PEI)樹脂、ポリサルホン(PSU)樹脂、ポリエーテルサルホン樹脂、ポリアリレート(PAR)樹脂などの非晶性樹脂、その他、フェノール系樹脂、フェノキシ樹脂、更にポリスチレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリブタジエン系樹脂、ポリイソプレン系樹脂、フッ素系樹脂、およびアクリロニトリル系樹脂等の熱可塑エラストマー等や、これらの共重合体および変性体などの熱可塑性樹脂を用いることができる。中でも、スロープ本体の座屈変形やせん断変形を抑制するために、構造的にせん断抵抗のある部材が好ましく、軽量化効果の観点から、繊維強化プラスチックから形成されることが好ましい。強化繊維としては、特に制限はなく、例えば、アルミニウム、黄銅、ステンレスなどの金属繊維や、ポリアクリルニトリル(PAN)系、レーヨン系、リグニン系、ピッチ系の炭素繊維や、黒鉛繊維や、ガラスなどの絶縁性繊維や、アラミド樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ナイロン樹脂、ポリエチレン樹脂などの有機繊維や、シリコンカーバイド、シリコンナイトライドなどの無機繊維が挙げられる。また、これらの繊維に表面処理が施されているものであってもよい。表面処理としては、導電体として金属の被着処理のほかに、カップリング剤による処理、サイジング剤による処理、結束剤による処理、添加剤の付着処理などがある。また、これらの強化繊維は1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。中でも、軽量化効果の観点から、比強度、比剛性に優れるPAN系、ピッチ系、レーヨン系などの炭素繊維が好ましく用いられる。これらの中で、強度と弾性率などの力学的特性に優れるPAN系の炭素繊維をより好ましく用いることができる。また、これらの強化繊維は不連続繊維を用いてもよいし、連続繊維を用いてもよい。好ましくは、強化繊維は2方向以上に配列され強化されたものが良く、より好ましくは補強部材の面内せん断弾性率が3000MPa以上あることが好ましい。
【0049】
図3にスロープの走行路部2と端部材3、4の接合部斜視図を示す。
図3において、6a、6b、6cは中空セグメントの中空部を示し、端部材3、4の挿入部7a、7b、7cがそれぞれ挿入され、走行路部2と端部材3、4が接合される。端部材3、4の8a、8bは走行路部2を下から支える支持部であり、挿入部7a、7b、7cの間にあって走行路部2を下支えする。
【0050】
端部材3、4の挿入部7a、7b、7cと支持部8a、8bの延長端が同一であると、スロープ1長手方向曲げにおいて、端部材3、4の挿入部7の先端曲げ断面の走行路部材2と中空セグメント5が一体化された境界部に応力が集中し、スロープ1の強度が損なわれる。挿入部7と支持部8の延長長さを異なる寸法とすることによって、特定の曲げ断面に応力を集中させることを防ぎ、スロープ強度を向上させることが出来る。さらに挿入部7より支持部8の延長長さが長いことが好ましく、挿入部7a、7b、7cはそれぞれ同一挿入長さであることが好ましい。挿入部7a、7b、7cの挿入長さが異なる場合、最も長い挿入部先端と走行路部材2が接触する面においてせん断応力が集中し、スロープの強度が低下する。さらに好ましくは、挿入部7の挿入長さが支持部8の1倍以上3倍以下の長さであり、さらに好ましくは1.5倍以上2倍以下である。
【0051】
図4にスロープの走行路部2と端部材3、4の接合部断面
図A-Aを示す。中空セグメント5に挿入される端部材3、4の挿入部7の走行路
部材2の側には応力集中を緩和させるために面取形状を形成することが好ましく。より好ましくは、5mm以上のC面取りであることが好ましい。さらに好ましくは5mm以上のR面取りであることが好ましい。
【0052】
図5に示す組立図において、前記スロープ1の中空セグメント5の中空部6に挿入される着脱可能な補強部材9であって、補強部材は少なくとも1つ以上の面により形成され、補強部材のうち少なくとも1つの面が前記中空セグメントの面に接触している補強構造
が示されている。
【0053】
スロープ1をさらに長尺化すると座屈変形や捻じれ変形など純曲げ変形以外の変形が発生する。また振動の影響も大きくなり利用時の快適性が損なわれる。スロープ1の中空セグメント5内に、補強部材9を挿入し、端部材3、4と接合し一体化することによって、さらにスロープを高剛性化し長さを延伸することが可能となる。さらに局所変形が抑えられることから、スロープ走行時の使用感や快適性も向上する。高剛性化強度化する場合には補強部材9は炭素繊維複合材料が好ましく、振動抑制の機能を持たせる場合には、振動減衰作用のあるゴム材料などが好ましい。補強部材9の材質によってスロープ1の外観を変更することなく、スロープ1に機能性を付与することが可能となる。
【0054】
本発明において補強部材9に用いられる樹脂材料としては特に制限は無く、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、フェノール(レゾール型)樹脂、ポリイミド樹脂などの熱硬化性樹脂や、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)樹脂、ポリエチレンナフタレート(PEN樹脂)、液晶ポリエステル樹脂等のポリエステル樹脂や、ポリエチレン(PE樹脂)、ポリプロピレン(PP樹脂)、ポリブチレン樹脂等のポリオレフィン樹脂や、ポリオキシメチレン(POM)樹脂、ポリアミド(PA)樹脂、ポリフェニレンスルフィド(PPS)樹脂などのポリアリーレンスルフィド樹脂、ポリケトン(PK)樹脂、ポリエーテルケトン(PEK)樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)樹脂、ポリエーテルニトリル(PEN)樹脂、ポリテトラフルオロエチレン樹脂などのフッ素系樹脂、液晶ポリマー(LCP)などの結晶性樹脂、スチレン系樹脂の他、ポリカーボネート(PC)樹脂、ポリメチルメタクリレート(PMMA)樹脂、ポリ塩化ビニル(PVC)樹脂、ポリフェニレンエーテル(PPE)樹脂、ポリイミド(PI)樹脂、ポリアミドイミド(PAI)樹脂、ポリエーテルイミド(PEI)樹脂、ポリサルホン(PSU)樹脂、ポリエーテルサルホン樹脂、ポリアリレート(PAR)樹脂などの非晶性樹脂、その他、フェノール系樹脂、フェノキシ樹脂、更にポリスチレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリブタジエン系樹脂、ポリイソプレン系樹脂、フッ素系樹脂、およびアクリロニトリル系樹脂等の熱可塑エラストマー等や、これらの共重合体および変性体などの熱可塑性樹脂を用いることができる。中でも、スロープ本体の座屈変形やせん断変形を抑制するために、構造的にせん断抵抗のある部材が好ましく、軽量化効果の観点から、繊維強化プラスチックから形成されることが好ましい。強化繊維としては、特に制限はなく、例えば、アルミニウム、黄銅、ステンレスなどの金属繊維や、ポリアクリルニトリル(PAN)系、レーヨン系、リグニン系、ピッチ系の炭素繊維や、黒鉛繊維や、ガラスなどの絶縁性繊維や、アラミド樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ナイロン樹脂、ポリエチレン樹脂などの有機繊維や、シリコンカーバイド、シリコンナイトライドなどの無機繊維が挙げられる。また、これらの繊維に表面処理が施されているものであってもよい。表面処理としては、導電体として金属の被着処理のほかに、カップリング剤による処理、サイジング剤による処理、結束剤による処理、添加剤の付着処理などがある。また、これらの強化繊維は1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。中でも、軽量化効果の観点から、比強度、比剛性に優れるPAN系、ピッチ系、レーヨン系などの炭素繊維が好ましく用いられる。これらの中で、強度と弾性率などの力学的特性に優れるPAN系の炭素繊維をより好ましく用いることができる。また、これらの強化繊維は不連続繊維を用いてもよいし、連続繊維を用いてもよい。好ましくは、強化繊維は2方向以上に配列され強化されたものが良く、より好ましくは補強部材の面内せん断弾性率が3000MPa以上あることが好ましい。
【0055】
また本発明において中空セグメント5に挿入される挿入部を接着することにより一体化するとさらに、補強効果は向上する。
【0056】
また本発明において中空セグメント5に挿入される挿入部を機械的に締結することにより一体化するとさらに、補強効果は向上する。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明は、物体間に生じる段差に掛け渡して車椅子の走行に使用されるスロープに用いられる車椅子用走行補助具として有効に使用できる。
【符号の説明】
【0058】
1 スロープ
2 走行路部材
3 スロープの上端側
4 スロープの下端側
5 中空セグメント
6、6a、6b、6c、中空セグメントの中空部
7、7a、7b、7c、挿入部
8、8a、8b、支持部
9 補強部材