(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-18
(45)【発行日】2024-12-26
(54)【発明の名称】地球低軌道で機械的に展開可能な構造
(51)【国際特許分類】
B64G 1/22 20060101AFI20241219BHJP
B64G 1/66 20060101ALI20241219BHJP
B64G 1/44 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
B64G1/22 100B
B64G1/66 C
B64G1/22 100C
B64G1/44 300
(21)【出願番号】P 2021568057
(86)(22)【出願日】2020-05-15
(86)【国際出願番号】 US2020033221
(87)【国際公開番号】W WO2020232386
(87)【国際公開日】2020-11-19
【審査請求日】2023-05-09
(32)【優先日】2019-05-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-02-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】ES
(32)【優先日】2020-02-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】ES
(32)【優先日】2020-02-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】ES
(32)【優先日】2020-02-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-02-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-02-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517362118
【氏名又は名称】エーエスティー アンド サイエンス エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】AST & Science, LLC
【住所又は居所原語表記】100 SE 2nd St,Suite 3500 Miami, Florida 33131, U.S.A
(74)【代理人】
【識別番号】100102934
【氏名又は名称】今井 彰
(72)【発明者】
【氏名】ブラウン アヴィ
(72)【発明者】
【氏名】マルティネス デ オサバ フェルナンデス アイトール
(72)【発明者】
【氏名】ヘルナンデス バールセン ハビエル
(72)【発明者】
【氏名】アヴェラン アーベル
(72)【発明者】
【氏名】ヤオ フイウェン
(72)【発明者】
【氏名】ハルペリン アダム エイチ.
(72)【発明者】
【氏名】ゴメス マリアーノ トレ
【審査官】結城 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第107054694(CN,A)
【文献】特開2012-153357(JP,A)
【文献】特開昭62-244800(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0039758(US,A1)
【文献】特開平11-91698(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64G 1/00-99/00,
H01Q 1/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
宇宙用の構造体であって、格納構成および展開構成を有する複数のタイルと、
前記複数のタイルのうちの隣接するタイルに接続された複数のエネルギー蓄積型の連結装置であって、
前記隣接するタイルのそれぞれの第1の層を連結する第1のエネルギー蓄積型の連結装置と、前記隣接するタイルのそれぞれの第2の層を連結する第2のエネルギー蓄積型の連結装置とを含み、前記第1の層と前記第2の層とは異なり、前記格納構成ではエネルギーを蓄積し、
エネルギーを放出することにより前記複数のタイルを前記展開構成に移行させ
、前記隣接するタイルが展開したときに前記隣接するタイルに直に接して連続した構造体とする、複数のエネルギー蓄積型の連結装置と
、
前記複数のタイルを前記格納構成にロックするロック位置と、前記エネルギー蓄積型の連結装置をエネルギーが放出された位置に動かして前記エネルギー蓄積型の連結装置により自己展開が開始され前記複数のタイルを前記展開構成に移行させるロック解除位置とを備えたロック機構を制御する制御機構と、を有する宇宙用の構造体。
【請求項2】
請求項1において、
蓄積されるエネルギーは機械的なエネルギーを含み、前記複数のエネルギー蓄積型の連結装置は、電気的なエネルギーなしで前記複数のタイルを前記展開構成に移行させる、
宇宙用の構造体。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記複数のエネルギー蓄積型の連結装置の各々は、ばね式の連結装置を含む、
宇宙用の構造体。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかにおいて、
前記複数のエネルギー蓄積型の連結装置の各々は、テープばね式の連結装置を含む、宇宙用の構造体。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかにおいて、
前記第1の層は少なくとも1つのアンテナを含み、前記第2の層は少なくとも1つの太陽電池を含む、宇宙用の構造体。
【請求項6】
各々が少なくとも1つのアンテナを含む複数のアンテナアセンブリであって、格納構成および展開構成を有するように構成された複数のアンテナアセンブリと、
前記複数のアンテナアセンブリのうちの隣接するアンテナアセンブリを接続する、複数のエネルギー蓄積型の連結装置であって、エネルギーが蓄積された位置
においてエネルギーを蓄積し、エネルギーが放出された位置においてエネルギーを放出するように構成され、前記隣接するアンテナアセンブリのそれぞれの第1の層を連結する第1のエネルギー蓄積型の連結装置と、前記隣接するアンテナアセンブリのそれぞれの第2の層を連結する第2のエネルギー蓄積型の連結装置とを含み、前記第1の層と前記第2の層とは異なり、前記第1のエネルギー蓄積型の連結装置と前記第2のエネルギー蓄積型の連結装置とは前記隣接するアンテナアセンブリに対し前記隣接するアンテナアセンブリが展開したときに直に接し、1つの連続したアレイの面を構成するように配置された、複数のエネルギー蓄積型の連結装置と、
前記複数のアンテナアセンブリを前記格納構成にロックするロック位置と、前記エネルギー蓄積型の連結装置を前記エネルギーが放出された位置に動かして前記エネルギー蓄積型の連結装置により自己展開が開始され前記複数のアンテナアセンブリを前記展開構成に移行させるロック解除位置とを備えたロック機構を制御する制御機構と、を有する
アンテナアレイ。
【請求項7】
請求項
6において、
前記複数のアンテナアセンブリは、前記展開構成におい
て平面アレイ
となるように構成されている、アンテナアレイ。
【請求項8】
請求項
6または7において、
前記複数のエネルギー蓄積型の連結装置は、宇宙空間において、前記複数のアンテナアセンブリを自律的に組み立てる
ように構成されている、アンテナアレイ。
【請求項9】
請求項
6ないし8のいずれかにおいて、
前記複数のアンテナアセンブリは平坦である、
アンテナアレイ。
【請求項10】
請求項
6ないし9のいずれかにおいて、
前記複数のアンテナアセンブリは、前記格納構成においては互いに対して折り畳まれ、前記展開構成においては互いに展開される
ように構成されている、アンテナアレイ。
【請求項11】
請求項
6ないし10のいずれかにおいて、
前記複数のアンテナアセンブリが前記展開構成にあるときは、前記複数のエネルギー蓄積型の連結装置は前記エネルギーが放出された位置に
なるように構成されている、アンテナアレイ。
【請求項12】
請求項
6ないし11のいずれかにおいて、
前記複数のアンテナアセンブリはそれぞれ通信側と太陽側とを含み、前記通信側は地球と通信する
ように構成された少なくとも1つのアンテナ素子を含み、前記太陽側は電力を生成する
ように構成された少なくとも1つの太陽電池を含む、
アンテナアレイ。
【請求項13】
請求項
6ないし12のいずれかにおいて、
前記複数のアンテナアセンブリ
の前記隣接するアンテナアセンブリを接続する少なくとも1つの機械的なエネルギー蓄積型の連結装置をさらに有する、
アンテナアレイ。
【請求項14】
請求項
6ないし13のいずれかにおいて、
前記複数のアンテナアセンブリの各々は、複数の直線状の側面を含み、前記直線状の側面の少なくとも1つは、前記複数のアンテナアセンブリの中の、直に隣接するアンテナアセンブリの少なくとも1つの直線状の側面に
接し、連続したアレイ面を形成する、
アンテナアレイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2019年5月15日に出願された米国特許出願第62/848317号、2020年2月13日に出願されたスペイン特許出願第202030123号、および2020年2月18日に出願された米国特許出願第62/977,864号の優先権を主張する。本出願はまた、2020年2月13日に出願されたスペイン特許出願第202030124号、2020年2月13日に出願されたスペイン特許出願第202030125号、2020年2月18日に出願された米国特許出願第62/977,860号、および2020年2月18日に出願された米国特許出願第62/978,081号に対する優先権を主張する。これらの出願の内容は依拠され、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。本出願はさらに、2020年5月15日に出願された「Solar, Electric, RF Radiator for Self-Contained Structure for Space Application Array」という名称の米国特許出願第16/875,703号、および2020年5月15日に出願された「Thermal Management System for Structures in Space」という名称の米国特許出願第16/875,738号の内容を参照により援用する。
【背景技術】
【0002】
米国特許第9,973,266号および米国特許出願公開第2019/0238216号明細書は、宇宙空間で多数の小型衛星アンテナアセンブリを組み立てて大型アレイを形成するためのシステムを示す。266号特許の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。266号特許に開示されているように、
図1(a)、1(b)は、複数の小型衛星302のアレイ300と、中央または制御衛星200とを有する衛星通信システム100を示す。複数の小型衛星302は、地球上のフットプリント400内のエンドユーザ500と通信し、また制御衛星200とも通信し、制御衛星は基地局においてゲートウェイ600と通信する。複数の小型衛星302はそれぞれ、たとえば、処理装置(処理デバイス、たとえば、プロセッサまたはコントローラ)と、1つまたは複数のアンテナ素子とを含んでもよい。また、制御衛星200は、処理デバイスと、1つまたは複数のアンテナまたはアンテナ素子とを含んでもよい。
【発明の概要】
【0003】
アンテナアレイは、複数の正方形または長方形の複数のアンテナアセンブリを有する。各アセンブリは、太陽電池を備えた第1のアンテナアセンブリ面と、1つまたは複数のアンテナ素子を備えた第2のアンテナアセンブリとを含む。複数のアンテナアセンブリは、それらの間にギャップが生じないように相互に接続され、第1のアンテナアセンブリ面から構成される第1の連続したアレイの表面と、第2のアンテナアセンブリ面から構成される第2の連続したアレイの表面とを形成する。
【図面の簡単な説明】
【0004】
【
図1(a)】
図1(a)は、従来のアレイ構造を示す。
【
図1(b)】
図1(b)は、従来のアレイ構造を示す。
【0005】
【
図2】
図2は、格納構成におけるアレイ構造の斜視図である。
【0006】
【
図3(a)】
図3(a)は、
図2(a)、2(b)のアレイ構造の1×1の構造要素の斜視図である。
【0007】
【
図3(b)】
図3(b)は、2×1の構造要素の斜視図である。
【0008】
【
図3(c)】
図3(c)は、2×2の構造要素の斜視図である。
【0009】
【
図3(d)】
図3(d)は、ねじ式のテープ接続部の詳細な図である。
【詳細な説明】
【0010】
図面に示される本開示の例示的で非限定的な実施形態を説明する際に、明確にするために特定の用語が用いられる。しかしながら、本開示は、そのように選択された特定の用語に限定されることを意図するものではなく、各特定の用語は、同様の目的を達成するために同様の方法で動作する全ての技術的均等物を含むことを理解されたい。本開示のいくつかの実施形態は、例示する目的で説明されており、本開示は、図面に具体的に示されていない他の形態で具現化され得ることを理解されたい。
【0011】
図2を参照すると、本開示は、地球の低軌道(LEO:Low Earth Orbit)における機械的に展開可能な構造(LMDS:Mechanical Deployable Structure)5に関するものである。LMDS5は、ここでは宇宙用途のための自己展開可能な構造であり、複数の個別の(離散した)アンテナアセンブリ10によって形成され、それらは遠隔衛星モジュールまたは単にパネル若しくはタイル10として参照され、それらの全てが連結(接続)または相互接続用のアセンブリ(組立体、構造体)によって機械的に接続される。LMDS5は衛星システムであり、タイル10の形態の1つまたは複数の(少なくとも1つの)遠隔衛星モジュールまたはアセンブリ(組立体、構造体)を有し、これらがまとまって宇宙空間において単一の大きな位相アレイを形成する。各衛星モジュールアセンブリ(衛星)は、少なくとも1つのヒンジによって互いに機械的に接続された複数の衛星タイル10を有する。複数の衛星モジュールアセンブリは宇宙空間で連結され、単一軌道傾斜角および/または単一開口を有する単一の大型位相アレイを形成することができる。
【0012】
図3(a)に示す例示的な一実施形態では、タイル10は、個々に分離しており、別個(別体、個別)であり、形状が正方形および/または長方形である。タイル10は薄く、外層11、内層13、および中間層15を有する。外層11は、第1の側面を有する正方形または長方形の第1の平面側12を有する第1の薄板(ここでは上面または頂面(天場)12を有する上板(頂板)11として示される)によって形成されてもよい。内層13は、第1の側12の反対側に第2の平面側14を有し、第2の側面を有する第2の薄板13(ここでは下面または底面14を有する下板(底板)13として示される)によって形成されてもよい。中間層は、第1の板11と第2の板13との間のタイル10の内部に配置された中間構造、例えばハニカム支持構造15などによって形成されてもよい。内側層、外側層および中間層は、4つの側面または側縁16を有する。タイル10は矩形の断面を有し、タイルの厚さを規定する側面16の形状を形成し、それはタイル10の長さおよび/または幅よりも実質的に短い。第1および第2の板11、13ならびに支持構造15は軽量である。支持構造15は、第1および第2の板11、13を構造的に支持する。しかしながら、他の実施形態では、支持構造体15を設けなくてもよい。
【0013】
展開可能な構造体5は、格納構成(
図2)で発射され、いったん軌道に入ると(例えば、無重力条件下で)、大きな展開構成(
図1(a))に展開され得る。格納構成では、複数のタイル10は、コンパクトな形態であり、宇宙空間に輸送することができる。これらのタイル10は、任意の適切な様式(種類、タイプ)にアレンジ(調整、変更、準備、配置)でき、例えば、互いの上に折り畳むなどして、あるタイル10の上面12が別のタイル10の上面または底面12、14に面して平行になるように、これらのタイル10を積層配置してもよく、1つまたは複数のタイル10を任意に、選択的に他のタイル10に対して直交するように配置してもよい。展開構成(例えば、
図1(a))では、これらのタイル10は折り畳まれておらず、互いに実質的に平面であり、アレイ構造を形成する。したがって、アンテナ18は上板11の凹部に収納されており、アンテナ18の上面が上板11の頂面12と同一平面となり、平坦な頂面12を形成する。また、太陽電池は底板13の凹部内に配置でき、太陽電池の上面が底面14と同一平面になり、平坦な底面14を形成するようにしてもよい。したがって、上面12および底面14は、それらの間に間隙または間隔を伴うことなく、格納構成でまとめることができる。本開示の一実施形態によれば、タイルは、連続した均一な途切れのない表面を形成する。
【0014】
LMDS5は、例えばアンテナ、反射器、またはデータセンタを含む多数の用途に利用することができる。
図3(a)~
図3(d)は、アンテナに利用されるLMDS5の一実施形態を示し、複数のタイル10はアンテナアセンブリ(アンテナ組立体、アンテナ構造体)である。各アンテナアセンブリ10は、小型衛星(本明細書ではマイクロ、マイクロ衛星とも呼ばれる)を表し、1つまたは複数の(少なくとも1つの)アンテナ素子18と、処理デバイス(たとえば、プロセッサまたはコントローラ)とを有する。これらのアンテナアセンブリ10は相互接続アセンブリ(連結アセンブリ、連結組立体、連結構造体、接続構造体)によって互いに接続されており、連結アセンブリは、1つまたは複数の(少なくとも1つの)機械的なコネクタ(連結装置、接続装置)20と、アンテナアセンブリ10間の電力および/またはデータ転送を可能にする電気的なコネクタ22と、構造体5を格納構成(
図2)に保持する1つまたは複数の(少なくとも1つの)ラッチ(外れ止め)とを有する。電気的なコネクタ22は、隣接するタイル10の電子コンポーネント(電子部品、例えば、処理装置、センサ、アクチュエータ、電源)を電子的に接続する。したがって、タイル10のアレイはモジュール式であり、タイル10を追加または除去することによってアレイのサイズおよび形状を調整することができる。
【0015】
構造体5は受動的に展開し、例えば、アンテナアセンブリ10は、複数のエネルギー蓄積型の連結装置(複数のエネルギー蓄積型のコネクタ、複数の蓄積エネルギー型の連結装置、複数の蓄積エネルギーコネクタ、複数の蓄積エネルギー連結装置、エネルギーが蓄積された複数の連結装置、複数の蓄積エネルギー型のコネクタ)20によって接続される。複数のエネルギー蓄積型のコネクタ20は、エネルギーが蓄積された位置とエネルギーが放出(解放)された位置とを有する。複数のアンテナアセンブリ10のアレイが折り畳まれた格納構成(
図2(a))では、エネルギー蓄積型のコネクタ20はエネルギーが蓄積された位置にあり、そこで機械的なエネルギーを保持し、エネルギーが放出された位置に対し外向きに付勢される。複数のアンテナアセンブリ10のアレイが折り畳まれていない展開構成(
図2)では、エネルギー蓄積型のコネクタ20はエネルギーが放出された位置にある。例えば、一実施形態では、コネクタ(連結装置、接続装置)20は機械的にエネルギーを蓄積することができ、例えば、外側に(すなわち、直線位置に対し外側に曲がるように)付勢された細長く伸びた直線状の一体型のばねなどのようにである。エネルギーが蓄積された位置では、ばね式のコネクタ20は折り畳むことができ(例えば、半分に折り畳むように湾曲される)、エネルギーが放出された位置では、ばね式のコネクタ20は展開され、実質的に真っ直ぐ(すなわち、線形)または平面であってもよい。しかしながら、エネルギー蓄積型のコネクタ20はばね(ばね式)である必要はなく、他の機械的または電気的にエネルギーを蓄積する任意の適切なコネクタ(連結装置)であってよい。
【0016】
構造体5は、ラッチなどの、ロック状態およびアンロック状態を有する1つまたは複数の(少なくとも1つの)機械的および/または電気的なロック機構30によって格納構成に維持される。これらのロックは、例えば、格納位置(
図2)にあるときにLMDS5の外面に配置されるラッチシステム(外れ止め装置)とすることができる。あるいは、ロックは、例えば、タイル10の回転を防止する機構であってもよい。ロック状態(固定された状態)では、これらのロックは、複数のタイル10のアレイが格納構成から展開構成に不用意に移行(移動)することを、これらのロックが、ロックが解除された状態となるまで、防止する。展開を開始する準備ができると、ラッチは、折り畳まれたアンテナアレイをロック解除するように起動される(トリガーがかかる)。例えば、ラッチは、手動で作動させてもよく、アンテナアセンブリ10の処理装置によって作動させてもよい。ラッチがロック解除されると、複数のエネルギー蓄積型のコネクタは、制御された方法で、複数のアンテナアセンブリ10のアレイを展開構成に移行させ始める。複数のエネルギー蓄積型のコネクタ20内のエネルギーが放出(解放)され始め、複数のエネルギー蓄積型のコネクタは、エネルギーが放出された位置に向かって動く(移行する、移動する)。複数のエネルギー蓄積型のコネクタが、エネルギーの放出された位置に移行すると、複数のアンテナアセンブリ10は、格納構成から展開構成に展開する。
【0017】
エネルギー蓄積型のコネクタ20は、LMDS5が地上にあるときは、エネルギーが蓄積された位置に折り畳まれる。この段階で、LMDS5をコンパクトな格納構成で宇宙空間に輸送することができる。宇宙空間に入ると、1つまたは複数のラッチはロック解除され(例えば、手動で、または遠隔操作ソレノイドなどによって電気的に)、複数のエネルギー蓄積型のコネクタ20は、エネルギー蓄積コネクタ20に蓄えられた機械的なパワー(動力)を利用して複数のアンテナアセンブリ10を展開構成に移行(移動)させる。したがって、コネクタ20が機械的である一実施形態では、アンテナアレイは、格納構成から展開構成に移行するために電力を必要としない。加えて、これらのコネクタ20は、アンテナアセンブリ10の動作を妨げないように配置される。例えば、これらのコネクタ20は、複数のアンテナアセンブリ10の側縁16に配置され、アンテナアセンブリ10の上部12または底部14のいずれにおいても電気的動作に干渉しないようになっている。また、これらのコネクタ20は、アセンブリ10が展開構成でまとまること(集合すること、一体になること)を可能にし、その結果、それらの側面16が互いに接触して、隣接するアンテナアセンブリ10間に間隙のない単一の連続した均一で平坦な表面を形成する。
コネクタ20
【0018】
図3(a)~(d)に示すように、例示的な一実施形態では、エネルギー蓄積型のコネクタ20はテープばね(テープ型のばね、平型のばね)であるが、他の適切なコネクタを利用することができる。テープばねは、薄く、線形で、細長いものであってもよい。それらは、平坦(すなわち、直線状な断面のもの)または弓形(すなわち、湾曲した断面のもの)のいずれかであってもよい。さらに、相互接続アセンブリ(相互接続構造体)は、タイル10に接続するためのラッチ、ジョイント、ヒンジまたはコネクタなどの他の取り付け可能な機構を含んでもよい。テープばね20は、ばねで負荷が与えられたヒンジであり、展開された後は、必要な機械的剛性を備えた構造体となる。
図3(a)に最もよく示されているように、1つまたは複数のテープばね20が、アンテナアセンブリ10の側縁部16の1つまたは複数に設けられている。
図3(d)では、テープばね20は、金属構造であり、湾曲していてもよく、エネルギーが蓄積された位置に折り畳まれたときに、ばねとしての付勢(バイアス)を生成し、エネルギーが放出された位置に展開されたときにその状態をロックするような力が生成されるようにしてもよい。このロック(保持する)力(係止力)は、複数のアンテナアセンブリ10を展開構成に維持し、それらが展開構成から戻ることを防止する。したがって、これらのタイルは小型の別個の個別デバイスであり、1つまたは複数の(少なくとも1つの)コネクタ20によって互いに物理的に接続されており、宇宙空間内に大きなアレイを形成する。
【0019】
コネクタ20は、格納構成において互いに折り畳まれて互いに実質的に平行であるときに隣接するタイル10と連結するために十分な長さであり、展開構成において展開されて互いに実質的に平面であるときにも、隣接するタイル10を接続するのに十分な長さである。テープばねコネクタ(平型のばね式の連結装置)20は、複数のパネルを展開するためのエネルギーを発揮し(もたらし)、展開されるとそれらのパネル10を所定位置に保持する。コネクタ20は、格納構成にあるときに外向きに跳ねるように付勢された、外向きに付勢(バイアス)された、ばねを含んでもよい。複数のパネル10が相互に折り畳まれると、これらのコネクタ20は、曲がった状態または折り畳まれた構成になり、外側に付勢され、真っ直ぐなまたは直線的な位置になる。格納構成では、ばねは、格納構成から展開構成へのパネル10の移行(移動)を容易にする外向きの力を加える。
【0020】
図3(a)~(d)にさらに示されるように、コネクタ20(すなわち、本例示的実施形態におけるテープばね)は、タイル10の上面12および底面14の両方に(例えば、締結具、接着剤などによって)取り付けることができる。また、上面12上のテープばね20は、底面14上のテープばね20と位置合わせ(整列)されてもよい。しかしながら、テープばね20は、タイル10の任意の適切な位置に設けることができ、上面12と底面14との間などであってもよい。また、テープばね20は、上面12および底面14の両方に設ける必要はなく、あるいは上面12上のテープばねを底面14上のテープばねと位置合わせさせなくてもよい。
【0021】
上記の例では、エネルギー蓄積型のコネクタ20は、機械エネルギーを蓄積するばねテープであることにさらに留意されたい。しかしながら、エネルギーを機械的に蓄積する任意の適切なエネルギー蓄積型のコネクタを利用することができる。加えて、エネルギーを電子的に蓄積する任意の適切なコネクタを利用することができる。加えて、エネルギー蓄積コネクタ20は、任意の適切な時間で、複数のタイル10を格納構成から展開構成に移行(移動)させてもよく、例えば、数時間から数日であってもよい。
【0022】
したがって、各タイル10は、タイル10を隣接するタイル10に機械的に接続する少なくとも1つのコネクタ20を有し、それらは同時に、タイル10を他のタイル10のうちの少なくとも1つに対して動くことで(移動して、例えば、屈曲、折り畳み、回転、または枢動して)、格納位置と展開位置との間の移行を可能にする。
【0023】
例えば、これらのコネクタ20は、第1のタイル10の上面12または底面14が、n番目のタイル10の上面または底面に接触するようにしてもよい。そして、第1のタイル10は、n番目のタイル10と垂直方向または水平方向のいずれかに整列させても(並べても、位置合わせしても)よく、第1およびn番目のタイル10は直に隣接している必要はなく、または、このコネクタによって接続された隣接するタイルでなくてもよい。すなわち、第1のタイルは、n番目のタイルから数タイル離れて配置してもよく、第1のタイルとn番目のタイルとの間に他の複数のタイルが介在してもよい。例えば、n番目のタイルは、第1のタイルと同じ行または列において第1のタイルに直に隣接する第2のタイルであってもよい。または、n番目のタイルは第5のタイルであってもよく、同じ行または列内の第1のタイルと第5のタイルとの間に3つのタイルが介在していてもよい。または、n番目のタイルは、第5のタイルであり、それは第1のタイルとは異なる行および列にあってもよい。一実施形態では、各タイルは2つのコネクタを有し、2つの隣接するタイルに機械的に接続される。
【0024】
本開示のさらなる実施形態では、コネクタ20は、第1のタイル10を直に隣接する第2のタイル10に直に連結するヒンジであってもよい。ヒンジは、タイルの内面若しくは外面に、またはタイルの中間層に連結していてもよい。ヒンジは、機械的および/または電気的接続を提供してもよく、一実施形態では、ヒンジは少なくとも機械的な接続を有し、電子的に制御されることにより、動作構成と格納構成との間で動いて(移行して、移動して)もよい。任意の適切な制御機構を利用して、機械的および/または電気的にモジュールの回転を制御することができる。例えば、制御機構は、電流を受けて電磁力を生じさせるコイルであってもよく、複数のタイル10に対し、互いの回転を制御するようにタイル上に配置されてもよい。
【0025】
コイルによって形成された電磁力は、タイル10を動かし、および/またはヒンジを動かすことができる。磁石、付勢された機械的ばね、および/またはソレノイドなどの他の適切な制御機構を設けることができる。必要に応じて、電線またはファイバをヒンジを介して複数のタイル間の間に設けてもよく、宇宙空間内の位相アレイの動きを制御するための制御信号、および/または動作構成と格納構成との間の複数のタイル10の動き(移行)を制御するための制御信号などのデータを搬送するために用いてもよい。一実施形態では、ワイヤは、電流を搬送してもよく、それがコイルを通過して磁場を生成し、ヒンジを開いて複数のタイル10を格納構成から動作構成に移行させてもよい。これらのコイルはまた、位相アレイを傾斜させて、太陽および/または開口のポインティングを追跡するために、さらに、位相アレイ300を他の目的で動かすために用いてもよい。別の実施形態では、コネクタ20は、タイル10の側縁部のうちの少なくとも1つに設けられたテープばねおよびヒンジの両方を含んでもよい。
LMDS構成
【0026】
構造体5を形成するタイル10は、
図3(a)、3(b)、3(c)にそれぞれ示すように、異なる構成、すなわち1×1タイル、2×1タイル、2×2タイルなどで組み立てる(構成する)ことができる。これらのタイル10の各々は、ここでは上部12として示される通信面/側と、ここでは底部14として示される太陽光発電面/側とを有する。通信側12は、地球上のユーザ装置と無線周波数(RF)通信を行うアンテナ素子18を有する。これらのタイル10を増やすことにより、1つのRF側と1つのソーラーパネル(太陽光パネル)側とを有するアレイ/構造5を生成できる。RF側は、地球に面する上面12を形成し、第2の側は、地球から離れた方に面する底面14を形成する。
【0027】
加えて、太陽電池は、地球から離れた方に面する表面(ここでは、底面14)上に配置できる。太陽電池は、特にLMDS5が地球と太陽との間にあるとき、太陽から太陽エネルギーを受け取る。したがって、衛星モジュールの一方の側は太陽電池を有することができ、反対側はアンテナを所望の方向に向けることができる。太陽エネルギーは、タイルの電子コンポーネントに電力を供給するために、またはアレイの推力のために利用することができる。例えば、タイルは、太陽エネルギーを電気エネルギーに変換してソーラーパネルとして動作する光起電材料または他の材料から作製することができ、本開示においては、それらが、信号を送受信するためのアンテナ構造(または衛星若しくは衛星モジュールの他の構造)として動作してもよい。電気エネルギーは、衛星または衛星モジュールに電力を供給するために使用されるか、または後の使用のために蓄積される。したがって、同じ構造を太陽エネルギーのためと、衛星アンテナとしての動作のために使用することができる。
【0028】
展開位置では、複数のタイルは近接して配置され、隣接するタイルの1つまたは複数に接触させてもよい。したがって、RF側は集合的に(全体として)大型の位相アレイを形成する。これらのタイル10は、受信機、送信機または1つまたは複数の処理装置などの他の電子構成要素を任意に収容することもできる。これらの電子コンポーネント(電子部品)は、アンテナ素子18の動作または位相アレイの形成を妨げないように、タイルの内部(上面と下面(底面)との間)に配置される。
【0029】
コネクタ20とRF側12との間のいかなる干渉もさらに回避するために、これらのコネクタ20は、構造が展開する(広がる)ときに、これらのコネクタ20がRF側12の上面を妨害しないように配置される。
図3(a)では、タイル10は16個のアンテナ素子18の4×4のアレイであり、タイル10の2つの側縁の各々に2つのコネクタ20が形成される。しかしながら、他の適切なサイズおよび形状を利用することができる。例えば、タイル10は、
図3(b)では4×8アレイの32個のアンテナ素子18、または
図3(c)では8×8アレイの64個のアンテナ素子12を持つように形成することができ、複数のコネクタ20は、タイル10の外側縁に配置することができる。
【0030】
LMDS5はモジュール式であり、多くの異なるレイアウトの組合せ(タイルサイズ、タイルの数、全体形状、全体サイズなど)で設計することができるが、タイルの形状は正方形および長方形であり、すべてのタイル10は機械的に相互接続される(独立して展開可能な領域ごとに)。一実施形態では、構造体は一度に全て展開する。しかしながら、他の実施形態では、構造は、半分(半体)ずつ2つに分けて、四分の一(四半体)ずつ4つに分けて展開してもよい。LMDSは、特にLEO軌道用に構成されているが、任意の他の可能な軌道または地上に適用可能である。
【0031】
図1(a)は、正方形の形状を有する構造5を示すが、他の用途では、構造5は円形の形状であってもよい。加えて、個々のタイル10のサイズ、レイアウトおよび形状は様々であってもよく、アレイにおける複数のタイル10の列および行の数と同様に異なってもよい。全体的な形状および構造は、タイル10を追加または除去することによって、あるいは、これらのタイルの行、列の数を変えたり、これらのタイルのサイズまたは形状を変更することによって変更することができる。
ラッチ
【0032】
本開示の一実施形態では、ロック機構30は、少なくとも1つのラッチ(外れ止め)であってもよい。これらのラッチは、マイクロサイズおよび軽量であってもよく、少なくとも1つのタイル10に取り付けられる。これらのラッチは、1つまたは複数のタイル10を押さえ付け、アレイ5が格納構成から展開構成に不用意に移行することを防止する。これらのラッチは、他の任意の適切な装置であってもよい。一実施形態では、ラッチは形状記憶合金(SMA:Shape Memory Alloy)で作製される。小さな電流がラッチを通過し、これによりラッチが複数のタイル10からなるアレイのロックを解除し、複数のタイル10が折り畳まれた格納構成から展開された展開構成に移動(移行)できるようにする。ロック解除は、ラッチを手動で動かしたり、ボタンを押してこれらのラッチを遠隔的に作動することにより手動で制御してもよく、または1つまたは複数のタイル10においてプロセッサによって自動的に制御してもよい。これらのラッチは、温度が-65~+70℃であり得る宇宙空間における過酷な条件にもかかわらず、迅速(ミリ秒以内で)かつ確実に応答する。
輸送
【0033】
動作構成の一実施形態では、複数のタイル10の全てが単一の平面内に配置され、即ち、複数のタイルの全てが単一の平面の上面をなすように隣接して並んでいる。そして、格納構成では、接続されたタイルの全てが一列(単一の列)で互いに対向して整列および配置される。
【0034】
したがって、このシステムは、複数のコネクタ20によって接続された非常に多数の衛星タイルを有する。これらのタイル10は、保管または輸送構成で配置することができる。これらの小型のタイル10は、別個の個別のデバイスであり、少なくとも1つのコネクタ(連結装置、接続装置)20によって互いに物理的に連結されている。これらのタイルは、保管および輸送のために輸送構成に折り畳むことができ、その後、宇宙空間で、動作構成の大型衛星アレイに展開(分散)することができる。
【0035】
例えば、保管構成では、複数のタイルがコネクタ20に沿って折り畳まれ、ロケットまたは他の輸送装置または宇宙船に載せて輸送するために、箱などの単一の輸送コンテナ内に一緒に配置される(入れられる)。1つまたは複数の輸送コンテナが宇宙空間内の所望の軌道の解放(放出)する位置に到達すると、輸送コンテナを開くことができ、これらのタイルを宇宙空間に放出することができる。これらのタイルは、その後、自動的に操作されて、宇宙空間で動作構成アレイに入り、複数の衛星タイルにより非常に大きく高密度のアレイを形成することができる。
【0036】
これにより、複数のタイルの輸送中に必要とされる空間を大幅に低減するが、動作構成においてはこれらのタイルにより非常に大きなアレイを形成することを可能にする。これらのタイルは、タイルの数に応じてほんの数平方メートルの空間を占めるが、これらは、宇宙空間内において展開されたときには多くの(大きな、何)平方メートルに変換される。したがって、この衛星アレイは、最小限の人間の介入(輸送コンテナおよび宇宙船からタイルを放出したり、任意に選択されるがロック機構をラッチ解除して複数のコネクタの自己展開を開始するなどの)で形成することができ、物理的な人間の介入(アレイのためのフレームまたは他の構造を構築するなどの)なしで形成することも可能である。さらに、多数のタイルを宇宙空間内で互いに接続して、サイズが数百または数千平方メートルの単相アレイを形成することができる。
結論
【0037】
これらのタイル10、コネクタ20およびロック機構30は、LMDS5のために利用され、宇宙空間で展開される。しかしながら、これらのタイル10、コネクタ20およびロック機構は、他の構造または用途において用いることができる。また、LMDS5は、任意の適切なタイル、コネクタ、およびロック機構を利用することができ、例示的な実施例に関して図示および説明されたものに限定されない。また、これらのタイル、コネクタおよびロック機構の好適な例としては、LMDSの一部として構造として内蔵されているものであってもよい。
【0038】
これらのタイル10の形状およびサイズは、これらのタイル10を展開した構成において互いに直に隣接して配置することが可能になるものであることにさらに留意されたい。すなわち、タイル10の全ての側面(側辺)は、隣り合う隣接タイルの対応する側面(側辺)と直に接触する。複数のコネクタ(連結装置)は、これらのタイルが互いに実質的に連続して、隣接するタイル10との間に隙間がない単一の連続した構造体5を形成することを可能にする。これらのコネクタ20は、隣接するタイル10が、展開された位置で互いに直に(直接的に)接触することを可能にする(かつ妨害しない)。
【0039】
LMDS5がアンテナアレイとして構成されるとき、それ(例えば、複数のアンテナ素子18)は、例えばユーザ装置(例えば、携帯電話、タブレット、コンピュータ)および/または地上局のような、地球上の処理装置と通信する。本開示はまた、LMDS5により、地球上の処理装置と通信する(すなわち、信号を送受信する)方法を含む。本開示はまた、LMDS5と通信する(すなわち、信号を送受信する)地球上の装置の処理方法を含む。さらに、LMDS5は、開示された例では地球低軌道(LEO)で使用されているが、他の軌道または他の用途で利用することもできる。加えて、本開示はアンテナアセンブリのアレイに関して説明されたが、本開示は他の用途に利用することができ、例えば、データセンタ、反射器、および他の構造などであって、両方とも宇宙空間または地上で実装されていてもよい。
【0040】
一実施形態では、本開示は、各々がアンテナを有する複数の平坦な個別の(別体の、独立した)衛星モジュールより形成される大きい高密度のアレイと、複数の平坦な個別の衛星モジュールのうちの1つまたは複数における複数のコイルであって、各々が電磁力を生成する複数のコイルとを有する位相アレイを提供し、前記複数の平坦な個別の衛星モジュールは複数のヒンジによって相互接続され、複数の平坦な個別の衛星モジュールは、宇宙空間への輸送のためのコンパクトな輸送用の構成と、電磁力により複数の平坦な個別の衛星モジュールが宇宙空間で大型の高密度アレイが形成される動作用(稼働用)の構成と、を有する。さらに、これらの複数の平坦な個別衛星モジュールは、動作用の構成において、大きな平面状に機械的に相互接続された構造を形成する。さらに、これらの複数の平坦な個別の衛星モジュールのそれぞれは、上部に太陽電池を有し、底部に送信機を有する。加えて、電磁力は、ヒンジを中心として複数の平坦な個別の衛星モジュールを旋回させる。さらに、コイルは磁界を生成し、それが位相アレイを移動させて太陽または地上の物体を追跡する。
【0041】
別の実施形態では、本開示は、第1のモジュールと、第2のモジュールと、第1のモジュールおよび第2のモジュールに接続されたコネクタ(連結装置)であって、第1のモジュールおよび第2のモジュールを動作構成と保管構成とに移行させる(動作構成と保管構成との間で動かす)コネクタと、上記のコネクタに結合された制御機構であって、第1および第2のモジュールを動作構成と格納構成とに移行させる制御機構と、を有するフェーズアレイを提供する。さらに、第1および第2のモジュールはアンテナを含む。加えて、上記の制御機構はコイルを備え、上記の制御機構は上記のコイルに電流を流して磁界を生成し、この磁界が上記の第1および/または第2の衛星モジュールを動かして上記のコネクタを中心にして旋回させる。さらに、上記の制御機構はコイルを備え、上記の制御機構は上記のコイルに電流を流して磁界を生成し、この磁界が位相アレイを移動させて太陽または地上の物体を追跡する。さらに、上記の制御機構はコイルを備え、上記の制御機構は上記のコイルに電流を流して磁界を生成し、この磁界が位相アレイを移動させて、位相アレイによって形成された開口の向きを制御する。加えて、上記のコネクタは機械的コネクタを含む。さらに、電気ワイヤまたはケーブルが上記のコネクタを通る。加えて、上記の第1および第2のモジュールは、上部、底部および側部を備えた平坦なものであり、動作構成では、行および列に隣接して並んで配置され、保管構成では上部および/または底部が互いに向かい合うように配置される(組み合わされる)。加えて、上記の第1および第2のモジュールは、上部、底部および側部を備えた平坦なものであり、上部に太陽集熱器を有し、底部にアンテナを有する。
【0042】
別の実施形態では、位相アレイは、第1の衛星モジュールと、第2の衛星モジュールと、第1の衛星モジュールおよび第2の衛星モジュールに回転可能に接続されたヒンジを含む機械的なコネクタとを有し、上記の第1の衛星モジュールを上記の第2の衛星モジュールに対して回転し、第1および第2の衛星モジュールを動作構成と保管構成との間で動かし、さらに、上記のコネクタに結合されたコイルを備える制御機構であって、そのコイルを通過する電流に応答して電磁場を生成し、動作構成と保管構成との間で上記のヒンジの周りで上記の第1および第2の衛星モジュールを動かす制御機構と、を有する。
【0043】
本開示は、2020年5月15日に出願された「Solar, Electric, RF Radiator for Self-Contained Structure for Space Application Array」という名称の米国特許出願第16/875,703号、および2020年5月15日に出願された「Thermal Management System for Structures in Space」という名称の米国特許出願第16/875,738号に開示されたシステムおよび方法とは別々に利用することができ、また、それらと組み合わせて利用することもできることに更に留意されたい。したがって、例えば、自己展開可能な(自律展開型の)複数のタイル10は、太陽光、電気、RF放射器の用途において図示および説明されるような構造を有することができ、かつ/または熱管理の用途において熱管理の出願に図示および説明されるように用いることができる。
【0044】
説明および特許請求の範囲は、平面、正方形、長方形、線形、面一、細長い、円形、平行、垂直、直交、横断、平坦、側部、上部、および底部などのいくつかの幾何学的、関係的、方向的、位置的な用語を使用することにさらに留意されたい。これらの用語は、図面に示された実施形態に基づく説明を容易にするための便宜上のものに過ぎず、本開示を限定することを意図するものではない。したがって、本開示および開示は、それらの幾何学的、関係的、方向的、または位置的な用語なしに、他の方法で説明され得ることを認識されたい。加えて、幾何学的または関係的な用語は正確ではない場合がある。例えば、表面(面)は、正確に平坦、平面または平行でなくてもよいが、例えば面の粗さ、製造時に許容される公差、使用中に実際に加えられる力などに対し、依然として実質的に平坦、平面または平行であると考えられる。また、本開示の趣旨および範囲から逸脱することなく、他の好適な幾何学形状および関係が提供されることができる。
【0045】
前述の説明および図面は、様々な方法で構成され得る本開示の原理の例示のみと見なされるべきであり、本明細書で説明される実施形態によって限定されることは意図されない。本開示の多数の用途が当業者には容易に思い浮かぶであろう。したがって、開示された特定の例または示され説明された正確な構成および動作に本開示を限定することは望ましくない。むしろ、全ての適切な改変および等価物が、本開示の範囲内に入るように用いられ得る。